JP6862355B2 - 低酸素シグナリング遺伝子を阻害するためにAPE1/Ref−1を標的とする方法 - Google Patents

低酸素シグナリング遺伝子を阻害するためにAPE1/Ref−1を標的とする方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2016年3月11日に出願された米国仮特許出願第62/307,000号および2015年5月21日に出願された米国仮特許出願第62/164,795号に基づく優先権を主張し、前記特許出願のそれぞれは参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。
本開示は、概して、脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ1/酸化還元エフェクター因子1(APE1/Ref−1;apurinic/apyrimidinic endonuclease 1/redox effector factor 1)を標的とする方法を対象とする。より具体的には、APE1/Ref−1を阻害することにより、低酸素媒介シグナリングが阻害され、それによって、低酸素状態に曝露された腫瘍細胞の生存および浸潤を減少させる。一特定実施形態において、本開示は、APE1/Ref−1の阻害剤と炭酸脱水酵素IX(CA(carbonic anhydrase)9)の阻害剤との組み合わせを投与する方法を対象とする。
膵管腺癌(PDAC(pancreatic ductal adenocarcinoma))と診断された全患者の半数は、その疾患により、1年以内に死亡する。化学治療による処置は、この疾患の自然経過を変化させなかった。低酸素への適応を含むいくつかの機序が、PDACの侵襲性・処置抵抗性表現型に関与すると提唱されている。この低酸素への適応は、転移能の増加につながり、化学治療および放射線治療の効力を損なう。細胞中の酸素の主要センサーの一つは、低酸素誘導因子−1α(HIF(Hypoxia−Inducible Factor)−1α)であり、これは、正常酸素条件下では迅速に分解されるが、低酸素条件下では、腫瘍微小環境における生存、転移、および血管新生シグナリングに寄与するいくつかの遺伝子をアップレギュレートする転写因子である。最も注目に値するHIF標的の一つは、微小環境を酸性化し、それによって上皮間葉転換を促し、細胞外マトリックス分解に寄与しつつ、定常的な細胞内pHを維持することにより、腫瘍細胞の生存および転移を促進する、炭酸脱水酵素IX(CA9)である
脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ1/酸化還元エフェクター因子(APE1/Ref−1)は、塩基除去修復におけるDNA修復機能、および転写因子を還元してそれらがそれぞれのDNA標的配列に結合することを可能にする能力を有する、多機能タンパク質である。APE1/Ref−1は、アポトーシスの防止、生存機序、および低酸素シグナリングに関与する、HIF−1αを含むいくつかの転写因子を制御する。
上記に基づいて、本開示は、APE−1/Ref−1を妨害することで、さらにHIF−1α媒介シグナリングを妨害し、よって低酸素状態に曝露された腫瘍細胞の生存および浸潤の減少をもたらすことを対象とする。
本開示は、概して、脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ1/酸化還元エフェクター因子1(APE1/Ref−1)を標的とする方法を対象とする。より具体的には、APE1/Ref−1を阻害することにより、低酸素媒介シグナリングが阻害され、それによって、低酸素状態に曝露された腫瘍細胞の生存および浸潤を減少させる。
したがって、一態様において、本開示は、低酸素シグナリング遺伝子を阻害する必要がある対象において、低酸素シグナリング遺伝子を阻害するための方法を対象とする。本方法は、Ape1/Ref−1の酸化還元機能を選択的に阻害する有効量の3−[(5−(2,3−ジメトキシ−6−メチル−1,4−ベンゾキノイル)]−2−ノニル−2−プロペン酸、薬学的に許容されるその塩または薬学的に許容されるその溶媒和物を、対象に投与する工程を含む。
別の一態様において、本開示は、膵管腺癌(PDAC)を阻害する必要がある対象において、PDACを阻害するための方法を対象とする。本方法は、Ape1/Ref−1の酸化還元機能を選択的に阻害する有効量の3−[(5−(2,3−ジメトキシ−6−メチル−1,4−ベンゾキノイル)]−2−ノニル−2−プロペン酸、薬学的に許容されるその塩または薬学的に許容されるその溶媒和物を、対象に投与する工程を含む。
さらに別の一態様において、本開示は、がん細胞の成長を阻害する必要がある対象において、がん細胞の成長を阻害するための方法を対象とする。本方法は、Ape1/Ref−1の酸化還元機能を選択的に阻害する有効量の3−[(5−(2,3−ジメトキシ−6−メチル−1,4−ベンゾキノイル)]−2−ノニル−2−プロペン酸、薬学的に許容されるその塩または薬学的に許容されるその溶媒和物を、対象に投与する工程、および少なくとも1つの追加治療剤を対象に投与する工程を含む。一特定実施形態において、対象は膵管腺癌(PDAC)を有する。別の一実施形態において、対象は、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST(malignant peripheral nerve sheath tumors))(シュワン腫または肉腫とも呼ばれ、神経線維肉腫の一形態(NF1)に関連しうる)を有する。
さらに別の一態様において、本開示は、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)を阻害する必要がある対象において、MPNSTを阻害するための方法を対象とする。本方法は、Ape1/Ref−1の酸化還元機能を選択的に阻害する有効量の3−[(5−(2,3−ジメトキシ−6−メチル−1,4−ベンゾキノイル)]−2−ノニル−2−プロペン酸、薬学的に許容されるその塩または薬学的に許容されるその溶媒和物を、対象に投与する工程を含む。
本開示は、本開示の以下の詳細な説明を検討すれば、よりよく理解され、上述したもの以外の特徴、態様および利点が明らかになるであろう。そのような詳細な説明では以下の図面を参照する。
実施例1において調製されたHIF−1 −/− MEF生成におけるHIFの欠失を表す図である。Ad−CMV−Cre(Creアデノウイルス)ベクターまたはAd−GFP(対照)ベクターのどちらか一方が形質導入されたHIF−1−floxマウス胚性線維芽(MEF(mouse embryonic fibroblast))細胞から収集されたDNAを使って、2−loxP/1−loxP PCRを行った。 図2A〜2Dは、細胞株におけるHIF1α、STAT3、およびNFκBの存在、ならびに実施例1において分析された低酸素条件下での、APE1/Ref−1の、STAT3およびHIF1αとの相互作用を表す図である。具体的には、PDAC細胞において、APE1/Ref−1の、HIF1αおよびSTAT3との相互作用は、低酸素によって刺激される。Panc10.05細胞(図2A)およびPa03C細胞(図2B)を、正常条件下または低酸素(0.2%酸素)条件下で24時間インキュベートした後、内因性に発現したAPE1/Ref−1の収集および免疫沈降を行った。wt−APE/Lenti−CMV−GFPを使ってAPE1/Ref−1を過剰発現する安定細胞株を生成させて、それらをLenti−CMV−GFP、「ベクター」(図2C:10.05;図2D:Pa03C)と比較し、0.2%酸素への24時間の曝露後にAPE1/Ref−1免疫沈降を行った。HIF1α抗体、STAT3抗体、APE1/Ref−1抗体、NFκB抗体、およびSTAT1抗体によるIPのウェスタン分析を行った。 図3Aおよび3Bは、正常酸素条件下でTNFαまたはIL−6によって処理された細胞におけるAPE1/Ref−1と転写因子との間の相互作用を表す図である。APE1/Ref−1を過剰発現する安定Panc10.05細胞株(wt−APE/Lenti−CMV−GFP対Lenti−CMV−GFP、「ベクター」)を、表示の時間にわたってIL−6(図3A)またはTNFα(図3B)に曝露し、APE1/Ref−1を免疫沈降させた。STAT3抗体、APE1/Ref−1抗体、およびNFκB抗体によるIPのウェスタン分析を行った。 図4A〜4Cは、がん関連線維芽(CAF(Cancer−Associated Fibroblast))細胞においてHIF1αおよびSTAT3とのAPE1/Ref−1の相互作用が、低酸素によって刺激されることを示す図である。具体的には、UH1303−02 hTERT(CAF)細胞を正常酸素下または低酸素(0.2%酸素)下で24時間インキュベートしてから、内因性に発現したAPE1/Ref−1の収集および免疫沈降を行った(図4A)。wt−APE/Lenti−CMV−GFPを使ってAPE1/Ref−1を過剰発現する安定細胞株を生成させ(対Lenti−CMV−GFP、「ベクター」)(図4Bおよび図4C)、正常酸素中(図4B)または0.2%酸素中(図4C)での24時間のインキュベーション後に、APE1/Ref−1免疫沈降を行った。HIF1α抗体、STAT3抗体、APE1/Ref−1抗体、およびNFκB抗体によるIPのウェスタン分析を行った。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。具体的には、MIA−PaCa2細胞を、スクランブル(SC(scrambled))siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAと共に、HIF1α駆動ルシフェラーゼおよびレニラ(Renilla)リポーターコンストラクトで同時トランスフェクトした。APE1/Ref−1のノックダウンをウェスタンブロットによって確認した。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。具体的には、MIA−PaCa2細胞を、スクランブル(SC(scrambled))siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAと共に、HIF1α駆動ルシフェラーゼおよびレニラリポーターコンストラクトで同時トランスフェクトした。トランスフェクションの3〜4日後、低酸素状態(0.2%酸素、対正常酸素対照)における24時間後に、HIF1α駆動ルシフェラーゼ発現を評価した。p<0.001(テューキーの多重比較検定)。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAのトランスフェクションおよび表示のとおりの低酸素状態における24時間後に収集した試料を使って、CA9 mRNAレベルを、記載の細胞株において、qPCRによって評価した。#p<0.001(ANCOVA)。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAのトランスフェクションおよび表示のとおりの低酸素状態における24時間後に収集した試料を使って、CA9 mRNAレベルを、記載の細胞株において、qPCRによって評価した。**p<0.01(ANCOVA)。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAのトランスフェクションおよび表示のとおりの低酸素状態における24時間後に収集した試料を使って、CA9 mRNAレベルを、記載の細胞株において、qPCRによって評価した。#p<0.001(ANCOVA)。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。3つの異なるsiRNAによるMIA−PaCa2細胞におけるAPE1/Ref−1ノックダウンをウェスタンブロットによって確認した。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。低酸素状態(0.2%酸素、対正常酸素対照)における24時間後に、CA9 mRNAレベルを、SC試料および3つのsiRNAのすべてからのノックダウン試料において、qPCRによって評価した(図5G−n=3の代表的実験)。p<0.001(テューキーの多重比較検定)。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAのトランスフェクションおよび1%酸素における24時間のインキュベーション後に、CA9タンパク質レベルを、10.05細胞において、ウェスタンブロットによって評価した。CA9ウェスタンブロットについては、低酸素下では、siAPEに対して、SCについてp<0.05(テューキーの多重比較検定)。 APE1/Ref−1タンパク質発現が、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与することを示す図である。SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAのトランスフェクションおよび1%酸素における24時間のインキュベーション後に、CA9タンパク質レベルを、CAF19細胞において、ウェスタンブロットによって評価した(図5H〜5I)。CA9ウェスタンブロットについては、低酸素下では、siAPEに対して、SCについてp<0.05(テューキーの多重比較検定)。 さらなるPDAC細胞株において、APE1/Ref−1タンパク質発現がCA9 mRNAレベルに影響を及ぼすことを示す図である。具体的には、SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAのトランスフェクションおよび表示のとおりの低酸素状態における24時間後に収集した試料を使って、CA9 mRNAレベルを、Panc10.05細胞において、qPCRによって評価した。#p<0.001(ANCOVA)。 さらなるPDAC細胞株において、APE1/Ref−1タンパク質発現がCA9 mRNAレベルに影響を及ぼすことを示す図である。具体的には、SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAのトランスフェクションおよび表示のとおりの低酸素状態における24時間後に収集した試料を使って、CA9 mRNAレベルを、Pa02C(図6B)細胞において、qPCRによって評価した。**p<0.01およびp<0.001(ANCOVA)。 APE1/Ref−1酸化還元シグナリングがHIF−1依存的にCA9転写に影響を及ぼすことを示す図である。具体的には、HIF−1非欠損(+/+)およびHIF−1欠損(−/−)マウス胚性線維芽細胞(MEF)を0.2%酸素に24時間曝露し、CA9 mRNAレベルをqPCRによって評価した。 APE1/Ref−1酸化還元シグナリングがHIF−1依存的にCA9転写に影響を及ぼすことを示す図である。HIF−1 −/− MEFを、SC siRNAまたはAPE1/Ref−1指向siRNAでトランスフェクトし、0.2%酸素において24時間インキュベートしてから、収集およびqPCRによるCA9 mRNAレベルの評価を行った(n=3の代表的実験)。 APE1/Ref−1酸化還元シグナリングがHIF−1依存的にCA9転写に影響を及ぼすことを示す図である。APX3330および1%酸素への24時間の曝露後に収集した試料を使って、記載の細胞株において、CA9 mRNAレベルをqPCRによって評価した(n=3の代表的実験)。**p<0.001(テューキーの多重比較検定)。 APE1/Ref−1酸化還元シグナリングがHIF−1依存的にCA9転写に影響を及ぼすことを示す図である。APX3330および1%酸素への24時間の曝露後に収集した試料を使って、記載の細胞株において、CA9 mRNAレベルをqPCRによって評価した(n=3の代表的実験)。p<0.01(テューキーの多重比較検定)。 APE1/Ref−1酸化還元シグナリングがHIF−1依存的にCA9転写に影響を及ぼすことを示す図である。表示のとおりのAPX3330による処理後にCAFの存在下または非存在下で成長させた単層(2D)培養物および3D腫瘍スフェロイド培養物からPa03C細胞を収集し、CA9タンパク質レベルをウェスタンブロットによって評価した。 低酸素下でCA9タンパク質レベルは増加するが、APE1レベルは増加しないことを示す図である。具体的には、表示の時間にわたってPDAC細胞を0.2%酸素に曝露し、CA9タンパク質レベルをウェスタンブロットによって評価した。 低酸素下でCA9タンパク質レベルは増加するが、APE1レベルは増加しないことを示す図である。具体的には、表示の時間にわたってPDAC細胞を0.2%酸素に曝露し、APE1/Ref−1タンパク質レベルをウェスタンブロットによって評価した。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が、低酸素下でPDAC細胞を酸性化し、細胞増殖を阻害することを示す図である。Panc10.05細胞を表示の濃度のAPX3330およびSLC−0111で処理し、48時間にわたって低酸素(0.2%O)に曝露してから、細胞内pHを分析した。p>0.05(ダネットの多重比較検定)。処置群間の非線形回帰曲線の差異は、各実験において余分平方和(extra−sum−of−squares)F検定とそれに続くボンフェローニ補正とを使って確認された(単剤曲線に対してすべての二重処理曲線についてp<0.05)。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が、低酸素下でPDAC細胞を酸性化し、細胞増殖を阻害することを示す図である。Pa02C細胞を表示の濃度のAPX3330およびSLC−0111で処理し、6日間にわたって低酸素(0.2%)に曝露した。p>0.05および**p<0.01(ダネットの多重比較検定)。処置群間の非線形回帰曲線の差異は、各実験において余分平方和(extra−sum−of−squares)F検定とそれに続くボンフェローニ補正とを使って確認された(単剤曲線に対してすべての二重処理曲線についてp<0.05)。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が、低酸素下でPDAC細胞を酸性化し、細胞増殖を阻害することを示す図である。Pa02C細胞を表示の濃度のAPX3330およびFC13−555Aで処理し、6日間にわたって低酸素(0.2%)に曝露した。p>0.05および##p<0.01(シダックの多重比較検定)。処置群間の非線形回帰曲線の差異は、各実験において余分平方和(extra−sum−of−squares)F検定とそれに続くボンフェローニ補正とを使って確認された(単剤曲線に対してすべての二重処理曲線についてp<0.05)。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が3D共培養モデルにおけるPDAC腫瘍成長を阻害することを示す図である。具体的には、Pa03C腫瘍細胞(Tdtomatoが形質導入されたもの)を、CAF(EGFPが形質導入されたもの)の存在下および非存在下で、3D培養物において成長させた。スフェロイドをSLC−0111単独で処理し、12日間の培養後に腫瘍およびCAFの面積を定量した。二重処理実験では処置群間の非線形回帰曲線の差異が、余分平方和F検定とそれに続くボンフェローニ補正を使って確認された(腫瘍細胞単独におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、各曲線についてp<0.01、腫瘍+CAF共培養物におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、50μM SLC−0111による曲線についてp<0.01)。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が3D共培養モデルにおけるPDAC腫瘍成長を阻害することを示す図である。具体的には、Panc10.05腫瘍細胞(Tdtomatoが形質導入されたもの)を、CAF(EGFPが形質導入されたもの)の存在下および非存在下で、3D培養物において成長させた。スフェロイドをSLC−0111単独で処理し、12日間の培養後に腫瘍およびCAFの面積を定量した。二重処理実験では処置群間の非線形回帰曲線の差異が、余分平方和F検定とそれに続くボンフェローニ補正を使って確認された(腫瘍細胞単独におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、各曲線についてp<0.01、腫瘍+CAF共培養物におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、50μM SLC−0111による曲線についてp<0.01)。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が3D共培養モデルにおけるPDAC腫瘍成長を阻害することを示す図である。具体的には、Pa03C腫瘍細胞(Tdtomatoが形質導入されたもの)を、CAF(EGFPが形質導入されたもの)の存在下および非存在下で、3D培養物において成長させた。スフェロイドをSL−0111とAPX3330との組み合わせで処理し、12日間の培養後に腫瘍およびCAFの面積を定量した。二重処理実験では処置群間の非線形回帰曲線の差異が、余分平方和F検定とそれに続くボンフェローニ補正を使って確認された(腫瘍細胞単独におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、各曲線についてp<0.01、腫瘍+CAF共培養物におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、50μM SLC−0111による曲線についてp<0.01)。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が3D共培養モデルにおけるPDAC腫瘍成長を阻害することを示す図である。具体的には、Panc10.05腫瘍細胞(Tdtomatoが形質導入されたもの)を、CAF(EGFPが形質導入されたもの)の存在下および非存在下で、3D培養物において成長させた。スフェロイドをSL−0111とAPX3330との組み合わせで処理し、12日間の培養後に腫瘍およびCAFの面積を定量した。二重処理実験では処置群間の非線形回帰曲線の差異が、余分平方和F検定とそれに続くボンフェローニ補正を使って確認された(腫瘍細胞単独におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、各曲線についてp<0.01、腫瘍+CAF共培養物におけるAPX3330単独に関する曲線に対して、50μM SLC−0111による曲線についてp<0.01)。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が3D共培養モデルにおけるPDAC腫瘍成長を阻害することを示す図である。具体的には、Pa03C腫瘍細胞(Tdtomatoが形質導入されたもの)を、CAF(EGFPが形質導入されたもの)の存在下および非存在下で、3D培養物において成長させた。二重処理実験からの代表的な画像を示す。 CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化が3D共培養モデルにおけるPDAC腫瘍成長を阻害することを示す図である。具体的には、Panc10.05腫瘍細胞(Tdtomatoが形質導入されたもの)を、CAF(EGFPが形質導入されたもの)の存在下および非存在下で、3D培養物において成長させた。二重処理実験からの代表的な画像を示す。 APE1発現がPDACにおける生存率の減少と相関すること、およびCA9がPDACではアップレギュレートされることを示す図である。APE1/Ref−1 mRNAの発現量が低いPDAC患者と高いPDAC患者における総生存率の比較は、がんゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas)(TCGA)データベースから得られた。 APE1発現がPDACにおける生存率の減少と相関すること、およびCA9がPDACではアップレギュレートされることを示す図である。正常膵臓とPDACとにおけるCA9 mRNAレベルの比較は、Logsdonらによって提供されたデータを使って、Oncomineから得られた。 APE1発現がPDACにおける生存率の減少と相関すること、およびCA9がPDACではアップレギュレートされることを示す図である。膵がん前駆症とPDACとにおけるCA9 mRNAレベルの比較は、Logsdonらによって提供されたデータを使って、Oncomineから得られた。 APE1発現がPDACにおける生存率の減少と相関すること、およびCA9がPDACではアップレギュレートされることを示す図である。正常膵臓とPDACとにおけるCA9 mRNAレベルの比較は、Peiらによって提供されたデータを使って、Oncomineから得られた。 PG−S3−001によるSTAT3阻害なしでの共培養腫瘍スフェロイドの共焦点像である。 PG−S3−001によるSTAT3阻害ありでの共培養腫瘍スフェロイドの共焦点像である。 Thermo ArrayScanを使った3D細胞プレーティングを表す図である。ここでは、各細胞集団の総強度および総面積の差異を定量するために、3D構造物の二次元投影図が処理される。10日目:腫瘍=Pa03C赤色、CAF=CAF19緑色。下側の行は腫瘍殺滅を示し、ここでは、赤色(腫瘍)が消失し、緑色(CAF)が残っている。パネルの右側の黄色は赤色(腫瘍)と緑色(CAF)とのオーバーラップの結果である。提出された図面ではすべての色が示されているわけではない。 CAFとの共培養物において評価されたPDAC細胞の薬効を表す図である。 腫瘍殺滅に対するRUXとAPX3330との併用の効果を表す図である。 PDACの生存に対するRUXとAPX3330との併用の二重標的化効果を表す図である。 ST8814 MPNST細胞株における腫瘍形成に対するE3330の効果を表す図である。腫瘍成長を4日間および7日間にわたって監視した。対物10倍。 ST8814 MPNST細胞株の創傷閉鎖に対するE3330の効果を表す図である。擦過面積を経時的に表している。スケールバーは、倍率10倍の顕微鏡上に描かれた250μm/セルを表す。 ST8814 MPNST細胞株の創傷閉鎖に対するE3330の効果を表す図である。移動した細胞のパーセンテージを表すグラフである。 S462 MPNST細胞株の創傷閉鎖に対するE3330の効果を表す図である。擦過面積を経時的に表している。スケールバーは、倍率10倍の顕微鏡上に描かれた250μm/セルを表す。 S462 MPNST細胞株の創傷閉鎖に対するE3330の効果を表す図である。移動した細胞のパーセンテージを表す図である。
別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用される技術用語、表記および他の科学的用語は、本発明が関係する技術分野における通常の技能を有する者によって一般に理解されている通常の意味を有することが意図されている。一部の例では、一般に理解されている意味を持つ用語が、明瞭さのためにおよび/またはすぐに参照できるように、本明細書において定義されるが、本明細書におけるそのような定義の包含は、必ずしも、当技術分野において広く理解されているものとの実質的差異を表すとみなされるべきでない。本明細書において記載されまたは参照される技法および手順は、広くよく理解されており、当業者により従来の方法論を使って一般に使用されている。適宜、市販のキットおよび試薬の使用を伴う手順は、別段の注記がある場合を除き、一般的には、製造者が定めたプロトコールおよび/またはパラメータに従って実行される。
A.定義
本明細書において使用される場合、用語「試料」は、物理的特徴、生化学的特徴、化学的特徴および/または生理学的特徴などに基づいて特徴づけられおよび/または同定されるべき細胞実体および/または他の分子実体を含有する関心対象から得られたまたは誘導された組成物を指す。例えば、語句「疾患試料」およびその変形は、特徴づけられるべき細胞実体および/もしくは分子実体を含有すると予想されるまたは含有することがわかっている関心対象から得られる任意の試料を指す。「組織」または「細胞試料」は、対象または患者の組織から得られた類似する細胞の収集物を指す。組織試料または細胞試料の供給源は、対象からの血液または任意の血液構成成分(例えば全血、血漿、血清)でありうる。組織試料は、初代細胞もしくは培養細胞または細胞株であることもできる。場合により、組織試料または細胞試料は患部組織/器官から得られる。組織試料は、自然において当該組織と本来は混ざっていることのない化合物、例えば保存剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養素、抗生物質などを含有することができる。
本明細書において使用される場合、用語「対照」、「対照コホート」、「参照試料」、「参照細胞」、「参照組織」、「対照試料」、「対照細胞」、および「対照組織」は、同定を行うために本開示の方法または組成物が使用されているその疾患または状態を患っていないことがわかっている、または患っていないと信じられる、供給源から得られた試料、細胞または組織を指す。対照は1つの対照または複数の対照を包含することができる。一実施形態において、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、本開示の組成物または方法を使って同定が行われている疾患または状態を有する対象または患者と同じ対象または患者の身体の健常部分から得られる。一実施形態において、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、または対照組織は、本開示の組成物または方法を使って同定が行われている疾患または状態を有する対象または患者ではない個体の身体の健常部分から得られる。
用語「対象」は、本明細書においては、処置されるべき個体を指すために、「患者」と相互可換的に使用される。対象は哺乳動物(例えばヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなど)である。対象は、臨床患者、臨床治験ボランティア、実験動物などである。対象は、ある状態(例えばPDACまたはMPNST)を有すると疑われうる、もしくは有するリスクがありうるか、またはある状態(例えばPDACまたはMPNST)を有すると診断されうる。対象は、また、PDAC、MPNST、腎がん、および膀胱がんを有すると疑われうる、または有するリスクがありうる。一実施形態によれば、本発明に従って処置されるべき対象はヒトである。
用語「阻害する」およびその派生語は、進行または重症度を低減し、妨げ、防止し、制約し、および減速し、停止させ、または反転させることを含む、広く受け入れられているその意味を包含する。したがって本方法は、適宜、医療上の治療的投与と予防的投与をどちらも包含する。したがって、その必要がある対象は、本明細書における治療的使用に関する場合、医療介入を必要とするまたは医療介入を望むと同定された者である。
「有効量」は、本明細書に記載する病理学的な疾患および障害を阻害するのに必要な薬剤の量である。少なくとも1つの追加治療剤が対象に投与される場合、そのような薬剤は、当該薬剤の利益を得るために、逐次的に、並行して、または同時に投与されうる。
本明細書において使用される場合、「処置すること」、「処置」、「緩和すること」、「緩和する」、および「緩和」は、目的が、標的とされた病理学的状態または障害を防止しもしくは減速させ(減らし)、または障害の症状の一部を軽減することである手段を指す。処置を必要とする者は、既に障害を持っている者、ならびに障害を有しやすい者、障害を有するリスクがある者、および障害が防止されるべき者を包含することができる。
多くの腫瘍(例えば膵腫瘍、脳、卵巣、膀胱、腎臓、前立腺および肉腫)における低酸素状態は予後不良と関連している。酸素枯渇は、腫瘍細胞における薬物耐性、増殖、および遊走/浸潤の増加に寄与するさまざまな因子をアップレギュレートする転写因子である低酸素誘導因子1アルファ(HIF1α)の安定化につながる。HIF−1転写活性は、正常酸素条件下でプロリンヒドロキシル化とそれに続くフォンヒッペル・リンダウタンパク質(VHL(von Hippel−Lindau))媒介ユビキチン化による分解の標的となるそのαサブユニットの安定化に依存する。安定なHIF1αは構成的に発現されるβサブユニットと二量体化して、それぞれのプロモーター中に低酸素応答エレメント(HRE(hypoxia−response element))を持つ遺伝子を活性化する。HIF−1特異的阻害剤は今のところ存在しないので、その極めて重要な転写標的およびHIF−1活性を制御する酵素を標的とすることは、がん細胞における低酸素シグナリングを調節するための有望な方法である。
本開示は、概して、脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼ1/酸化還元エフェクター因子1(APE1/Ref−1)を標的とする方法に関する。より具体的には、APE1/Ref−1を阻害することにより、低酸素媒介シグナリングが阻害され、それによって、低酸素状態に曝露された腫瘍細胞の生存および浸潤を減少させる。一特定実施形態において、本開示は、APE1/Ref−1の阻害剤と追加治療剤とを投与する方法を対象とする。実施例において示すように、APE1/Ref−1の阻害剤および追加治療剤で複数の低酸素シグナリング経路を遮断すると、腫瘍成長は、がん関連線維芽細胞(CAF)の存在下でさえ、劇的に低減される。
Ape1/Ref−1の酸化還元機能は、3−[(5−(2,3−ジメトキシ−6−メチル−1,4−ベンゾキノイル)]−2−ノニル−2−プロペン酸(proprionic acid)(以下、「E3330」または「3330」または「APX3330」という)によって選択的に阻害されることが見いだされた。APX3330に関するさらなる情報は、本明細書と矛盾しないかぎり参照により本明細書に組み込まれるAbeらの米国特許第5,210,239号に見いだされうる。
Figure 0006862355
興味深いことに、下記の実施例は、Ape1/Ref−1の酸化還元機能の選択的遮断が、正常細胞において、いかなるアポトーシスも、または認知しうるいかなるアポトーシスも、引き起こさないことを示している。がん性細胞におけるアポトーシスの増加をもたらす選択的遮断は正常細胞も損なうと、当然、予想されるであろう。しかしそれは当てはまらないことが見いだされた。
本応用が考えられる場合、特にヒトでは、意図される応用に適した形態で薬学的組成物を調製する必要があるだろう。概して、これは、対象にとって有害であるかも知れない不純物を本質的に含まない組成物を調製する工程を必然的に伴うであろう。
薬剤は、対象の体重および疾患進行の程度に基づく用量で、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、胸膜内投与、または腹腔内投与することができ、1日あたり1回、2回、さらには4回の投与で与えられうる。
一般的には、薬剤を安定にし、標的細胞による取り込みを可能にするために、適当な塩および緩衝剤を使用することが望まれるであろう。本開示の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体に溶解または分散された有効量の薬剤を含む。そのような組成物は無害(innocuously)とも呼ばれる。語句「薬学的に」または「薬理学的に許容される」は、対象に投与されたときに、有害なアレルギー反応または他の不都合な反応を生じない分子実体および組成物を指す。本明細書において使用される場合、薬学的に許容される担体は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張性および吸収遅延剤などを包含する。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は当技術分野ではよく知られている。補助活性成分も組成物に組み入れられうる。
本開示において使用するための組成物は、古典的な薬学的調製物を包含しうる。本開示によるこれらの組成物の投与は、標的組織が当該経路によって利用可能であるかぎり、任意の一般的な経路によるであろう。これは、経口、鼻腔、口腔粘膜、直腸、膣または外用を包含する。もう一つの選択肢として、投与は、同所性注射、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、または静脈内注射によることができる。そのような組成物は、通常は、本明細書に記載するように、薬学的に許容される組成物として投与されるであろう。
例えば、化合物は一般的な賦形剤、希釈剤、または担体と調合され、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、粉末剤などに成形されうる。そのような製剤に適した賦形剤、希釈剤、および担体の例には、次に挙げるものがある:充填剤および増量剤、例えばデンプン、糖類、マンニトール、およびケイ酸誘導体;結合剤、例えばカルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、アルギナート、ゼラチン、およびポリビニルピロリドン;保湿剤、例えばグリセロール;崩壊剤、例えば炭酸カルシウムおよび炭酸水素ナトリウム;溶解を遅延させるための薬剤、例えばパラフィン;再吸収促進剤、例えば4級アンモニウム化合物;表面活性剤、例えばセチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール;吸着担体、例えばカオリンおよびベントナイト;ならびに潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、および固形ポリエチルグリコール。
活性化合物は非経口投与または腹腔内投与することもできる。遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中に調製されうる。分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコールまたはそれらの混合物中に、および油中に調製されうる。通常の貯蔵条件および使用条件下で、これらの調製物は微生物の成長を防止するための保存剤を含有する。
注射可能な使用に適した剤形は、滅菌水性溶液剤または滅菌水性分散剤および滅菌注射可能溶液剤または滅菌注射可能分散剤の即時調製用の滅菌粉末剤を包含する。特に適切な実施形態において、剤形は滅菌されており、シリンジによる容易な投与が実現する程度に流動性である。これは、製造条件下および貯蔵条件下で安定であることができ、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されうる。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒でありうる。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合は必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持されうる。微生物の作用の防止は、さまざまな抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされうる。多くの場合、等張化剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射可能組成物の長時間にわたる吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを、組成物中に使用することによってもたらされうる。
滅菌注射可能溶液剤は、必要量の活性化合物を、適当な溶媒に、必要に応じて、上に列挙したさまざまな他の成分と共に組み入れてから濾過滅菌することによって、調製することができる。概して分散剤は、さまざまな滅菌活性成分を、基礎分散媒と上に列挙したもののうちの必要な他の成分とを含有する滅菌媒体に組み入れることによって調製される。滅菌注射可能溶液剤を調製するための滅菌粉末剤の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥技法および凍結乾燥技法である。これらの技法では、活性成分と任意の望ましい追加成分との粉末が、前もって滅菌濾過しておいたその溶液から得られる。
経口投与の場合、本開示の薬剤を、賦形剤と共に組み入れて、非摂取用含嗽剤および歯磨剤の形態で使用しうる。含嗽剤は必要量の活性成分を適当な溶媒、例えばホウ酸ナトリウム溶液(ドーベル液)などに組み入れることで調製されうる。もう一つの選択肢として、活性成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含有する殺菌洗浄剤に組み込まれうる。活性成分は、ゲル剤、ペースト剤、粉末剤およびスラリー剤を含む歯磨剤に分散されうる。活性成分は、水、結合剤、研磨材、着香剤、起泡剤、および保水剤を含みうる練り歯磨剤に、治療有効量で添加されうる。
本開示において使用するための組成物は、中性の形態または塩の形態で調合されうる。薬学的に許容される塩は、例えば塩酸またはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸を使って形成される酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基を使って形成されるもの)を包含する。遊離カルボキシル基を使って形成される塩も、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄(III)などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導されうる。
製剤化が終わったら、溶液剤は、その剤形に適した方法で、治療的に有効であるような量で投与されることになる。製剤は、注射可能溶液剤、薬物放出カプセル剤などのさまざまな剤形で、容易に投与される。例えば、水性溶液剤として非経口投与する場合、溶液は必要に応じて適切に緩衝化されるべきであり、液状希釈剤はまず十分量の食塩水またはグルコースで等張性にされる。これら特定の水性溶液剤は静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与および腹腔内投与にとりわけ適している。これに関して、使用することのできる滅菌水性媒体は、本開示を考慮すれば、当業者にはわかるであろう。例えば、1回量を1mlの等張NaCl溶液に溶解し、それを1000mlの皮下注入液に添加するか、注入候補部位に注射することができる(例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第15版の1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照されたい)。処置される対象の状態に依存して、投薬量にはある程度の変動が必然的に生じるであろう。いずれにせよ、投薬責任者は個々の対象にとって適当な用量を決定することになる。さらに、ヒト投与の場合、調製物は、FDAおよびそれに相当する外国機関が要求する滅菌性、一般的安全性および純度の基準を満たすべきである。
いくつかの態様では、上記のように、APE1/Ref−1阻害剤が、1つ以上の追加治療剤と組み合わせて投与される。例示的追加治療剤には、シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT(signal transducer and activator of transcription)3)の阻害剤(例えば2−ヒドロキシ−4−(((4−メチルフェニル)スルホニルオキシ)アセチル)アミノ)−安息香酸/S3I−201、6−ニトロベンゾ[b]チオフェン−1,1−ジオキシド/stattic、オクロマイシノン、4−[[(4−シクロヘキシルフェニル)メチル][2−[メチル[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)スルホニル]アミノ]アセチル]アミノ]−安息香酸(SH−4−54)、4−(N−(4−シクロヘキシルベンジル)−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−メチルフェニルスルホンアミド)アセトアミド)−2−ヒドロキシ安息香酸(BP−1−102)、およびBP−1−102構造に基づく他の阻害剤(例えばKaranら,Mol. Cancer Ther. 2016 Feb 12.,pii:molcanther.0003.2015に記載されているPG−S3−001、PG−S2−002およびPG−S3−003(以下に示す構造)、ならびにDR−4−89))、炭酸脱水酵素IX(CA9)の阻害剤、血管内皮成長因子(VEGF(vascular endothelial growth factor))の阻害剤および/またはVEGF受容体(VEGF−R)の阻害剤(例えばアバスチン(登録商標)/ベバシズマブ(VEGF抗体阻害剤)、ザルトラップ(登録商標)/ziv−アフリベルセプト、CEDIRANIB(登録商標)/AZD−2171(リセンチン(Recentin))(VEGF−R阻害剤)、ヴォトリエント(登録商標)/パゾパニブ/GW786034(VEGF−R阻害剤)、NEVAXAR(登録商標)/ソラフェニブ(VEGF−R阻害剤)、スーテント(登録商標)/リンゴ酸スニチニブ(VEGF−R阻害剤)、サイラムザ(登録商標)/ラムシルマブ(VEGF−R阻害剤)、およびスチバーガ(登録商標)/レゴラフェニブ)(VEGF−R阻害剤)、ヤヌスキナーゼ(JAK(Janus kinase))の阻害剤(例えばルキソリチニブ(「RUX」)、エルロチニブ、LY3009104、トファシチニブ(tofacitibnib)、バリシチニブ、CYT387、フィルゴチニブ、レスタウルチニブ、パクリチニブ)、ならびにそれらの組み合わせがある。
Figure 0006862355
特に好適な一実施形態において、追加治療剤は炭酸脱水酵素IX(CA9)阻害剤である。例示的CA9阻害剤には、SLC−0111(SignalChem Lifesciences Corp.、ブリティッシュコロンビア州リッチモンド)およびその類似体FC13−555Aがある。SLC−0111およびFC13−555Aの構造を以下に示す。
Figure 0006862355
特に好適な別の一実施形態において、追加治療剤はヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、特にJAK−STATシグナリング経路を妨害するものである。例示的JAK阻害剤には、ルキソリチニブ(JAK1/JAK2阻害剤)、エルロチニブ(JAK2阻害剤)、LY3009104(JAK2阻害剤)、トファシチニブ(JAK3阻害剤)、バリシチニブ(JAK1/JAK2阻害剤)、CYT387(JAK2阻害剤)、フィルゴチニブ(JAK1阻害剤)、レスタウルチニブ(JAK2阻害剤)、パクリチニブ(JAK2阻害剤)、およびそれらの組み合わせがある。
APE1/Ref−1タンパク質のノックダウンは、HIF媒介転写、ならびにCA9およびアンジオポエチン様4(ANGPTL4)を含むHIF−1αによって誘導される下流標的を減じることが、ここに見いだされた。具体的には、HIF−1αは、STAT3と共に、低酸素によって誘導されるCA9転写における決定的因子である。CA9は、細胞内pHを制御して細胞生存を促すために、低酸素に対する細胞応答の一部として機能する。APE1/Ref−1を介して、CA9活性とCA9転写との両方を遮断することにより、低酸素条件下でのPDAC細胞増殖の減少が見られることが、ここに見いだされた。
本明細書ではPDACに関して説明するが、本開示の方法は、低酸素媒介シグナリングを阻害し、それによって低酸素状態に曝露された腫瘍細胞の生存および浸潤を減少させるために、PDAC以外でも使用されうることを認識すべきである。特に本方法は、脳がん、卵巣がん、膀胱がん、腎がん、前立腺がん、肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)などを阻害するために使用されうる。
本開示は、本発明を開示すると共に、当業者がだれでも、任意のパネルまたはデバイスを製作し、それらを使用すること、および組み込まれた任意の方法を行うことを含めて、本発明を実施することができるようにするために、実施例を使用する。本発明の特許性の範囲は、請求項によって画定され、当業者が想到する他の例も包含しうる。そのような他の例は、それらが請求項の文言と相違しない構造要素を有する場合、またはそれらが請求項の文言との差異が本質的でない等価な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内にあるものとする。
実施例1
この実施例では、APE1/Ref−1がHIF1α媒介転写による低酸素シグナリングを制御する機序を分析する。さらに、腫瘍サイズおよび腫瘍増殖に対する、APE1/Ref−1阻害剤およびCA9阻害剤による併用処置の効果も分析する。
材料および方法
細胞培養:細胞は、Jiang,Zhouら(2010)Cancer Investigation 28(9):885−895、Fishel,Jiangら(2011)Molecular Cancer Therapeutics 10(9):1698−1708、Cardoso,Jiangら(2012)PLoS ONE 10:e47462、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068に記載されているように、培養維持した。患者由来の腫瘍細胞およびCAF19細胞は、Anirban Maitra博士の研究室(ジョンズ・ホプキンス大学(The Johns Hopkins University))から得た(Jones,Zhangら 2008)。がん関連線維芽細胞UH1303−02は、Walter,Omuraら(2008)Cancer Biol Ther 7(6):882−888に記載されているように、患者腫瘍組織からアウトグロース法を使って単離した。すべての細胞株をSTR分析によって鑑定し(IDEXX BioResearch)、マイコプラズマ汚染について日常的にチェックした。低酸素曝露は、Ruskinn Invivo 200低酸素ワークステーションを使って達成した。APE1/Ref−1を過剰発現させるために、Kim,Guoら(2015)Mutat Res 779:96−104に記載されているように、CMV−EGFP−WT APE1/Ref−1およびCMV−EGFPレンチウイルスコンストラクトを使用した。イメージング用の細胞を検出するために、CMV−EGFPレンチウイルスコンストラクトを使用した。さらに、150pfu/細胞のpCL7TdTOMwoレンチウイルスベクターをPa03C細胞およびPanc10.05細胞と共に48時間インキュベートすることで、TdTomatoを安定に発現する細胞を作成した。
ウェスタンブロット分析:ウェスタンブロットは、APE1/Ref−1(Novus Biologicals;コロラド州リトルトン)、HIF1α(GeneTex;カリフォルニア州アービン)、STAT1、STAT3(Cell Signaling;マサチューセッツ州ダンバーズ)、NFκB(アブカム(abcam);マサチューセッツ州ケンブリッジ)、CA9(サンタクルズ(Santa Cruz);テキサス州ダラス)およびビンキュリン(シグマ(Sigma);ミズーリ州セントルイス)に対する抗体で、Wang,Luoら(2004)Mol Cancer Ther 3(6):679−686、Fishel,Heら(2008)DNA Repair(Amst)7(2):177−186、Fishel,Colvinら(2010)Hematol 38(12):1178−1188、Jiang,Zhouら(2010)Cancer Investigation 28(9):885−895、Fishel,Jiangら(2011)Molecular Cancer Therapeutics 10(9):1698−1708、Cardoso,Jiangら(2012)PLoS ONE 10:e47462、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068に記載されているように行った。
共免疫沈降:ピアス(Pierce)Co−IPキット(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific))を使用し、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068に記載の変更を加えて、試料を共免疫沈降した。
トランスフェクション:PDAC細胞およびCAF細胞を、Wang,Luoら(2004)Mol Cancer Ther 3(6):679−686、Fishel,Heら(2008)DNA Repair(Amst)7(2):177−186、Fishel,Colvinら(2010)Hematol 38(12):1178−1188、Jiang,Zhouら(2010)Cancer Investigation 28(9):885−895、Fishel,Jiangら(2011)Molecular Cancer Therapeutics 10(9):1698−1708、Cardoso,Jiangら(2012)PLoS ONE 10:e47462、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068に記載されているように、APE1/Ref−1 siRNAでトランスフェクトした。使用したsiRNAは#1またはスクランブル対照(既報)および2つのLifeTech検証済siRNA(#2、s1445および#4、s1447)(Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068)である。別段の指定がある場合を除き、APE1/Ref−1 siRNA#1を標準siRNAとして使用した。
一過性ルシフェラーゼリポーターアッセイ:MIA PaCa−2細胞を、Luo,Delaplaneら(2008)Antioxid Redox Signal 10(11):1853−1867、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068に記載されているように、X−tremeGENE9 DNAトランスフェクション試薬(ロシュ(Roche)、インディアナ州インディアナポリス)を使って、上述のsiRNAと一緒に、HIF1αによって駆動されるルシフェラーゼを含有するコンストラクトおよびレニラ・ルシフェラーゼ対照リポーターベクターで同時トランスフェクトした。ホタル・ルシフェラーゼ活性およびレニラ・ルシフェラーゼ活性は、以前のように、デュアル・ルシフェラーゼ・リポーター・アッセイ・システム(Dual Luciferase Reporter Assay System)(プロメガ社(Promega Corp.))を使用することによってアッセイした(Luo,Delaplaneら(2008)Antioxid Redox Signal 10(11):1853−1867、Cardoso,Jiangら(2012)PLoS ONE 10:e47462、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068)。
qRT−PCR反応:Fishel,Jiangら(2011)Molecular Cancer Therapeutics 10(9):1698−1708に記載されているように、CA9のmRNA発現レベルを測定するために、qRT−PCRを使用した。細胞を、低酸素(1%および0.2%O)の存在下または非存在下で、24時間にわたって、APE1/Ref−1 siRNAで処理するか、一連の量のAPX3330で処理した後、キアゲン(Qiagen)RNeasy Miniキット(カリフォルニア州バレンシア)を使って、全RNAを細胞から抽出した。第1鎖cDNA合成および定量PCRは、Fishel,Vaskoら(2007)Mutat Res 614(1−2):24−36、Jiang,Guoら(2009)DNA Repair(Amst)8(11):1273−1282、Fishel,Jiangら(2011)Molecular Cancer Therapeutics 10(9):1698−1708に記載されているとおりに行った。18S rRNA、RPLPO、およびB2Mを参照遺伝子として使用し、比較Ct法を使って、相対定量的mRNAレベルを決定した(LivakおよびSchmittgen(2001)Methods 25(4):402−408、Fishel,Vaskoら(2007)Mutat Res 614(1−2):24−36、Jiang,Guoら(2009)DNA Repair(Amst)8(11):1273−1282)。CA9用、18S用、RPLPO用、およびB2M用のプライマーは市販されている(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems))。
阻害剤:化合物は、以前に記載されたように調製し、使用した:APX3330(Luo,Delaplaneら(2008)Antioxid Redox Signal 10(11):1853−1867、Fishel,Colvinら(2010)Exp Hematol 38(12):1178−1188、Nyland,Luoら(2010)J Med Chem 53(3):1200−1210、Su,Delaplaneら(2011)Biochemistry 50:82−92)およびSLC−0111(ClinicalTrials.gov、Nishimori,Minakuchiら(2006)J Med Chem 49(6):2117−2126、Pacchiano,Aggarwalら(2010)Chem Commun(Camb)46(44):8371−8373、Lou,McDonaldら(2011)Cancer Res 71(9):3364−3376、Pacchiano,Cartaら(2011)J Med Chem 54(6):1896−1902、McDonald,Winumら(2012)Oncotarget 3(1):84−97、Supuran(2015)J Enzyme Inhib Med Chem:1−16、SupuranおよびWinum(2015)Expert Opin Drug Discov 10(6):591−597)。加えて、SLC−0111類似体FC13−555Aを以下に記載するように合成した。
4−[3−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド FC13−555Aの合成
Figure 0006862355
スルファニルアミド 2(1.0等量)のACN溶液に1−クロロ−2−イソシアナト−4−ニトロ−ベンゼン 1(1.0等量)を加えた。その溶液を室温で3時間撹拌した。白色沈殿物が生成した。それを濾過によって収集し、ジエチルエーテルで摩砕し、減圧下で乾燥することにより、標題化合物を淡黄色固形物として得た。
4−[3−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド FC13−555A:収率89%;シリカゲルTLC R 0.28(酢酸エチル/n−ヘキサン 30%v/v);δ(400MHz,DMSO−d)7.28(2H,brs,DOとの交換,SONH),7.78(2H,d,J 8.8,ArH),7.83(3H,m,ArH),7.94(2H,d,J 8.8,ArH),8.82(1H,,brs,DOとの交換,NH),9.21(1H,s,ArH),10.00(1H,s;ArH);δ(100MHz,DMSO−d)115.6,118.5,118.8,127.8,128.9,131.3,137.7,138.6,142.9,147.5,152.7;m/z(ESI−MS−正イオン)371.01(M+H);元素分析理論値:C,42.11;H,2.99;S,8.65;元素分析実測値:C,42.15;H,3.04;S,8.62。
細胞増殖:単層におけるPDAC細胞増殖は、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068に記載されているように、アラマーブルーアッセイを使って測定した。APX3330およびSLC−0111で処理した細胞を6日間にわたって低酸素に曝露してからアラマーブルー試薬(インビトロジェン(Invitrogen))を添加し、続いて蛍光分析を行った。倍率変化は、正常培地中で成長する細胞と比較した、表示の阻害剤で処理した細胞についての蛍光の読みを表す。
pHアッセイ:細胞内pHは、pHrodo Red AM細胞内pH指示薬(LifeTech)を使って評価した。APX3330およびSLC−0111で処理したPDAC細胞を48時間にわたって低酸素に曝露した後、pHrodo Red AM色素による分析を行った。細胞内pH較正緩衝液(LifeTech)を使って、pH値を決定するための蛍光強度の標準曲線を作成した。増殖の変化を説明するために、結果をMTS分析に標準化した。
統計分析.Yuan,Reedら(2006)BMC Bioinformatics 7:85、Fishel,Wuら(2015)J Biol Chem 290(5):3057−3068に記載されているように、2−ΔΔCT法および共分散分析(ANCOVA)モデルを使って、スクランブル、siAPE1/Ref−1、および低酸素処理に関するqPCRデータポイントを分析した。処理群が複数ある試験におけるデータポイントは、事後多重比較検定(適宜、テューキー、ダネット、またはシダック)を使って分析した。複数の薬物を使ったデータ曲線の評価には、群間で共有される非線形回帰曲線の適合度を各群に関する独立した曲線のそれと比較するために、余分平方和F検定を使用した。処置群と対照群との間の差異は、適宜、ボンフェローニ補正後に、p<0.05であれば、有意とみなした。統計分析は、SAS(バージョン9.3、著作権(著作権)2010、サスインスティチュート社(SAS Institute Inc.)、ノースカロライナ州ケアリー)およびPrism(バージョン6.0f、著作権(著作権)2014、GraphPad Software Inc.、カリフォルニア州ラホーヤ)を使って行った。
HIF−1 −/− MEF生成:HIF−1欠損細胞を生じさせるために、HIF−1−floxマウス胚性線維芽(MEF)細胞に、Ad−CMV−Cre(Creアデノウイルス)またはAd−GFP(対照)ベクター(BioLabs、ペンシルバニア州マルバーン)を、5ng/mLポリブレンを使って、24時間、形質導入した(Attardi,Loweら(1996)Embo j 15(14):3693−3701、Rankin,Wuら(2012)Cell 149(1):63−74)。PCRを使ってHIFの欠損を確かめた(図1)。
3D共培養物:以前に記載されているように(Sempere,Gunnら(2011)Cancer Biol Ther 12(3):198−207、Arpin,Macら(2015)Molecular Cancer Therapeutics)、CAF(75μL/ウェル)の存在下および非存在下で3次元的腫瘍スフェロイドを生成させるために、超低接着性96ウェルプレート(コーニング社(Corning Inc.),Life Sciences)を使用した。低継代数患者細胞の遺伝的特徴を保存するために、表示のとおり、EGFP(緑色)またはTdTomato(赤色)を、細胞に安定形質導入した(Jones,Zhangら(2008)Science 321(5897):1801−1806)。3%成長因子低含有マトリゲル(Reduced Growth Factor Matrigel)(RGF、BDバイオサイエンス(BD Biosciences))および5%FBSを含有する無色のDMEM成長培地に、細胞を再懸濁した。プレーティングに続いて、4日目および8日目に、5%血清、3%RGFマトリゲル、および表示の阻害剤を含有する培地で細胞を処理した。12日目に、Thermo ArrayScanハイコンテントイメージングシステムを使ってスフェロイドを分析した(Lovborg,Nygrenら(2004)Mol Cancer Ther 3(5):521−526、Lindblom,Bergら(2012)Toxicol Pathol 40(1):18−32)。ArrayScanにより、TdTomatoおよびEGFPに関して、2.5倍対物レンズを使って3D構造物の画像をキャプチャし、次に2D投影図を処理することで、CAFと腫瘍との両方の総強度および総面積の差異を定量した。
結果
HIF1αおよびSTAT3とのAPE1/Ref−1の相互作用は低酸素によって刺激される
以前に公表されたデータは、APE1/Ref−1のノックダウンおよび/または選択的阻害剤APX3330(APX3330ともいう)によるAPE1/Ref−1酸化還元シグナリングの阻害に続いて、STAT3、HIF1α、およびNFκB活性の減少が起こることを証明した(Fishel,Jiangら(2011)Molecular Cancer Therapeutics 10(9):1698−1708、Cardoso,Jiangら(2012)PLoS ONE 10:e47462)。同様に、APE1/Ref−1の阻害は、細胞内の主要HIF−1標的である炭酸脱水酵素IX(CA9)の減少につながることが見いだされた。低酸素シグナリングにおけるAPE1/Ref−1の役割をさらに精査し、低酸素がAPE1/Ref−1とその酸化還元標的との間の相互作用を刺激するかどうかをより明確に決定するために、正常酸素条件下および低酸素(0.2%O)条件下の2つの低継代数PDAC細胞株(Panc10.05およびPa03C)の溶解物から、内在性APE1/Ref−1を免疫沈降させた。IPをHIF1α、STAT3、およびNFκBについてプローブした。低酸素条件下ではプルダウン画分中にHIF1αおよびSTAT3が検出され、NFκBは検出されなかったが、正常酸素条件下では、これらの相互作用は検出されなかった(図2Aおよび図2B)。APE1/Ref−1とそれが制御する転写因子との間の相互作用が、適当な刺激により、正常酸素条件下で実際に起こることを示すために、TNFα(NFκB)およびIL−6(STAT3)の対照を行った(図3Aおよび図3B)。HIF1αおよびSTAT3とのAPE1/Ref−1の相互作用は低酸素条件下では明白である。
APE1/Ref−1の過剰発現は、低酸素への曝露後にAPE1/Ref−1と共に免疫沈降したHIF1αおよびSTAT3のどちらについても、より強いシグナルをもたらした(図2Cおよび図2D)。低酸素への曝露後の、APE1/Ref−1を過剰発現する細胞からのIP中に、NFκBは、依然として検出されなかった。これは、APE1/Ref−1の量が上記のパネル(図2Cおよび図2D)を制限しているわけではないことを示している。転写因子とのAPE1/Ref−1の相互作用が低酸素におけるシグナリングに特異的であることを証明するために、別のSTATファミリーメンバーであるSTAT1をプローブした。Panc10.05細胞からのIPをSTAT1についてプローブしたが、STAT1は、APE1/Ref−1のレベルまたは酸素条件とは無関係に検出されなかった(図2C)。膵腫瘍微小環境における疾患およびさまざまな細胞タイプ間のシグナリングの複雑さゆえに、CAFにおけるHIF1α、STAT3およびNFκBとのAPE1/Ref−1の相互作用を調べた。結果は、PDAC細胞での結果と同一であった。すなわち、APE1/Ref−1は、低酸素下でHIF1αおよびSTAT3と相互作用するが、NFκBとは相互作用しない(図4A〜4C)。臨床治験が始まったCA9阻害剤と、APE1/Ref−1遮断に続くCA9の転写制御を証明する以前のデータ(Fishelら,Mol Cancer Ther 10(9):1698−1708)とを考慮して、この実施例では、HIF1αシグナリングと、APE1/Ref−1を介した下流分子CA9の制御とに焦点を合わせた。
APE1/Ref−1タンパク質発現は、低酸素によって誘発されるHIF1α媒介転写に寄与した
APE1/Ref−1とHIF1αとの間の相互作用が機能的に重要であることを示すために、MIA PaCa−2細胞を、APE1/Ref−1 siRNAまたはスクランブル対照と並行して、HIF1α駆動ホタル・ルシフェラーゼまたはpLuc−MCS(ベクター対照)で同時トランスフェクトし、細胞を24時間にわたって低酸素に曝露することによって、HIF−1転写活性へのAPE1/Ref−1の寄与を評価した。APE1/Ref−1ノックダウンは、低酸素によって誘導されるHIF1α活性の有意な低減(約47%)をもたらした(図5Aおよび図5B)。
HIF−1標的CA9の低酸素媒介転写を調べることによって、HIF転写活性に対するAPE1/Ref−1の効果をさらに評価した。2つのPDAC細胞株および1つの膵がんCAF細胞株におけるCA9 mRNAレベルを、APE1/Ref−1ノックダウンおよび低酸素への曝露後に比較した。低酸素によって誘導されるCA9 mRNAレベルは、どちらの低酸素レベルでもすべての細胞株において、APE1/Ref−1ノックダウンによって減弱された(図5C〜5E)。異なる細胞株における誘導の量の変動は、正常酸素条件下での極端に低いベースラインCA9発現に原因の一部があると考えうる。APE1/Ref−1ノックダウンは、2つの追加初代PDAC細胞株において、低酸素(hypoxid)条件下でのCA9 mRNAレベルを、同様に減弱した(図6Aおよび6B)。これらの結果を、低酸素に曝露されたMIA PaCa−2細胞において、2つの追加APE1/Ref−1標的siRNAを使って検証し、同様の結果を得た(図5F〜5G)。CA9の低減がタンパク質レベルでも起こったことを確かめるために、低酸素によって誘導されるCA9タンパク質レベルを、PDAC細胞および膵CAF細胞において、APE1/Ref−1ノックダウン後に、ウェスタンブロットによって評価した。APE1/Ref−1ノックダウンは、低酸素によって誘導されるCA9タンパク質レベルの約70%の低減をもたらした(図5H〜5I)。
低酸素によって誘導されるCA9転写はHIF−1依存的である
CA9転写に対するAPE1/Ref−1および低酸素の効果がHIF−1活性によって媒介されることを確認するために、低酸素によって誘導されるCA9 mRNAレベルを、HIF−1欠損(−/−)MEFにおいて、APE1/Ref−1ノックダウン後に評価した。予想どおり、HIF−1非欠損MEFでは、CA9が、正常酸素対照と比較して30倍誘導された。HIF−1 −/− MEFでは、CA9 mRNAレベルは、低酸素への曝露によって誘導されず(図7A)、APE1/Ref−1ノックダウンによる影響も受けなかった(図7B)。これは、APE1/Ref−1発現レベルまたは酸素レベルとは関わりなく、CA9転写がHIF−1依存的であることを示している。これらの細胞におけるHIF−1枯渇はPCRによって確認した(図1)。
APE1/Ref−1酸化還元シグナリングの阻害はCA9転写に影響を及ぼす
APE1/Ref−1は、多機能性タンパク質として、DNA損傷の塩基除去修復(BER(Base excision repair))、RNA品質管理、および還元−酸化(酸化還元)制御にも関与する。APE1/Ref−1のノックダウンはこれらの機能のすべてに影響を及ぼす。酸化還元機能が低酸素シグナリング経路のAPE1/Ref−1媒介制御を担っていることを決定するために、他のAPE1/Ref−1機能には影響を及ぼさないAPE1/Ref−1特異的酸化還元阻害剤であって、2016年の夏に臨床治験が予定されているものを使って、酸化還元機能を調べた。APX3330が、低酸素に曝露されたPanc−1細胞およびMIA−PaCa2細胞におけるCA9 mRNAレベルを減少させることは、以前に示されている。ここでは、これらの結果が、初代細胞およびCAF細胞、ならびに3D共培養物に拡張される。APX3330による処理および低酸素への曝露後に、Pa03C細胞および膵CAF細胞におけるCA9 mRNAレベルは、用量依存的に減弱された(図7Cおよび7D)。加えて、3D共培養モデルにおいて、APX3330によるAPE1/Ref−1の阻害後に、CA9タンパク質発現を測定した。単層における患者由来Pa03C細胞の場合、正常酸素条件下ではCA9は検出されなかったが、スフェロイドとして成長させると、これらの細胞はCA9を発現した。CAFの存在下で成長させた腫瘍スフェロイドは、より強くCA9発現をアップレギュレートした(約3倍)。これはおそらく、大きなスフェロイドほど大きな低酸素領域を含むと共に、間質要素にはより複雑なシグナリングが存在するからであろう。APX3330によるAPE1/Ref−1酸化還元シグナリングの阻害は、CAF細胞の存在下でも非存在下でも、3D腫瘍培養物における用量依存的なCA9発現の減少につながった(図7E)。これらのデータは、PDACにおけるCA9およびAPE1/Ref−1のような、新規な標的を検証する前臨床試験のための3D共培養系の使用を支持している。
3つのPDAC細胞株において低酸素(0.2%酸素)への曝露後にCA9タンパク質発現およびAPE1/Ref−1タンパク質発現を評価したところ、CA9レベルは経時的に増加するが、APE1/Ref−1レベルは有意に変化しないことが見いだされた。(図8Aおよび図8B)。これは、低酸素によって誘導されるCA9発現が、APE1/Ref−1のアップレギュレーションに続発するわけではないことを示している。
CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化はPDAC細胞を酸性化し、低酸素下での細胞増殖を阻害する
CA9は低酸素条件下で細胞内pHを制御し、APE1/Ref−1酸化還元活性は、低酸素によって誘導されるCA9発現に寄与する。低酸素条件下での炭酸脱水素活性に関する機能的エンドポイントとして、pHrodo Red AM蛍光pH指示薬を使って、CA9阻害剤SLC−0111およびAPE1/Ref−1酸化還元阻害剤APX3330による処理後に、低酸素に曝露されたPDAC細胞における細胞内(Intracelllular)pHを分析した。SLC−0111およびAPX3330による二重処理は、どちらかの阻害剤単独による処理と比較して、より大きな細胞内pHの減少をもたらした(図9A)。
APE1/Ref−1酸化還元活性の阻害は、APX3330および低酸素による細胞の処理後に、PDAC細胞増殖の用量依存的減少をもたらした。細胞生存性に対するAPE1/Ref−1阻害の効果は、APX3330処理に加えてCA9阻害剤SLC−0111によって処理することにより、低酸素下で、著しく強化された(図9B)。さらに、APX3330とSLC−0111類似体FC13−555Aとの組み合わせも、単層におけるPDAC細胞を殺すのに著しく有効であることが見いだされた。(図9C)。これは、低酸素シグナリングタンパク質の遮断がPDAC細胞にとって有害であるだろうという仮説を支持している。これらの結果を支持して、新しいCA9阻害剤が開発されている。
CA9およびAPE1/Ref−1の二重標的化は3D共培養モデルにおけるPDAC腫瘍成長を阻害した
腫瘍微小環境をより正確に模倣するために、低継代数患者由来腫瘍細胞とがん関連線維芽細胞とを含むPDACの三次元共培養モデルを利用した。上で証明されたとおり、これらの腫瘍スフェロイドにおいて、CA9のレベルは、CAF細胞と共に成長させた場合の方が高く、CA9発現はAPX3330での処理によって減弱される(図7E)。3Dモデルでは、SLC−0111によるCA9の阻害が、より強力であり、患者由来細胞の面積の低減によって測定した場合、腫瘍細胞殺滅に対する劇的な効果は、単層の場合より低い用量で観察された(図10Aおよび図10B)。細胞殺滅はCAFより腫瘍細胞の方が劇的であり、CAF19細胞がPa03C細胞と共培養された場合は、とりわけそうであった。蛍光強度を測定した場合にも同様の傾向が見られた(データ省略)。重要なことに、CA9の阻害は、CAFの防御的環境にある場合でさえ、腫瘍細胞を効果的に殺すことができた。
CA9活性の阻害に並行するSTAT3媒介転写およびHIF媒介転写の遮断がPDAC細胞死を増強するかどうかを決定するために、3D共培養モデルにおいて、APX3330とSLC−0111とを併用した。各細胞タイプにおける蛍光ラベルが異なるので、腫瘍単独でも、共培養された腫瘍およびCAFでも、二重標的化の効果を評価することができた。低酸素に曝露された2D培養物で見られたように、APE1/Ref−1酸化還元阻害へのCA9阻害の追加は、腫瘍スフェロイドにおける細胞殺滅の劇的な増強をもたらした。患者由来PDAC細胞(Pa03CまたはPanc10.05)およびCAF細胞で構成されるスフェロイドを、APX3330およびSLC−0111で処理し(図10Eおよび10F)、各細胞タイプのマーカーとして蛍光面積を個別に評価した(図10Cおよび図10D)。CA9阻害の追加によって、APX3330が誘発するスフェロイド成長阻止の劇的な強化が観察された。APX3330処理で観察される腫瘍細胞面積の減少はSLC−0111の存在下では有意に相違し、これにより、低酸素に曝露された2D培養物において見られた効果が検証された。赤色蛍光強度および緑色蛍光強度を測定した場合にも同様の傾向が見られた(データ省略)。
考察
APE1/Ref−1発現の上昇は、膵がん、卵巣がん、胃がん、乳がん、肺がん、膠芽腫、肝臓がん、大腸がんを含む多くのがんに関連し、がんゲノムアトラス(TCGA、cancergenome.nih.gov)から公的に入手できるデータの分析により、APE1/Ref−1発現の上昇に伴うPDAC患者の生存率の有意な減少が明らかになる(図11A)。腫瘍細胞において、APE1/Ref−1による、STAT3、NFκB、およびHIF−1などのさまざまな腫瘍促進転写因子(TF)におけるシステインのチオールの還元−酸化(酸化還元)は、これらの因子の活性化における決定的ステップである。これらのTFはいずれも、がん治療における、特にPDACにおける重要な標的であるが、特に創薬困難であることが示されている。
APE1/Ref−1はPDAC細胞におけるSTAT3活性化およびその結果生じるSTAT3の腫瘍促進効果に寄与する。STAT3とHIF−1の協同的活性はさまざまながんにおいて証明されているが、STAT3へのAPE1/Ref−1の結合がPDAC細胞における低酸素への曝露によって刺激されるという本開示における発見は、PDACにおける潜在的治療標的として、APE1/Ref−1とSTAT3との両方が重要であることを示している。これらの発見は、最終的な臨床治験のために開発されている前臨床STAT3阻害剤を使って、さらに探求されるであろう。さらにまた、低酸素によって誘導されるHIF−1転写活性およびCA9 mRNAレベルを、APX3330処理が減少させることを証明している上記の結果は、刺激的である。というのも、CA9阻害剤は臨床治験に入るところであるか、または臨床治験中だからである。この、後者の発見は、患者への応用により近いだけでなく、APE1/Ref−1による影響を受ける経路に沿って複数のポイントでさまざまなシグナリング経路を遮断するという戦略に基づいているので、大変興味深い。
HIF−CA9軸を、APX3330によるCA9のHIF−1生産の遮断、およびSLC−0111を使用することでもたらされる任意のCA9活性の遮断という、2つのポイントで阻害する本開示の戦略は、低酸素PDAC細胞の標的化のための新規なアプローチである。とはいえ、APX3330とSLC−0111との併用に対して感受性であるのは、低酸素PDAC細胞だけではないだろう。APX3330は、十分に酸素供給されている腫瘍細胞において活性化される他のシグナリング経路も標的としており、SLC−0111は別の腫瘍関連炭酸脱水酵素であるCA12も阻害することができる。上記の発見は、追加の細胞酸性化および低酸素PDAC細胞増殖の阻害をもたらすこの戦略を確立する。
結論として、ここに提示した実施例は、PDACにおけるAPE1/Ref−1、STAT3およびHIF−1シグナリングとCA9生産との間の密接な関係の引き続いての証拠、およびそれぞれは最低限の毒性を示す2つの小分子阻害剤の併用が、効果的な処置の達成が今なお困難な疾患であるPDACの処置において、重要な次のステップになりうることの初めての証拠を提供する。
実施例2
この実施例では、細胞の生存および増殖に対するRef−1/STAT3の二重標的化効果を分析した。
材料および方法
三次元成長アッセイ.96ウェルプレートを1%ノーブル寒天(ディフコ(Difco))(50μL/ウェル)でコーティングした。mCherry標識PDAC細胞およびEGFP標識CAFを、3%マトリゲル(BDバイオサイエンス)を含有する通常成長培地に、1:4(腫瘍:CAF)の細胞比で再懸濁し、固化した1%ノーブル寒天の上にプレーティングした。プレーティング後の4日目および8日目に、5%血清+3%マトリゲル+試験対象薬を含有する培地を細胞に供給した。
APX3330、JAK2阻害剤(ルキソリチニブ(INCB018424;フィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific))(「RUX」))およびリードSTAT3阻害剤(PG−S3−001、DR−4−89)を利用して、PDAC低継代数患者由来細胞株(Pa03CおよびPanc10.05)におけるRef−1/STAT3阻害の効果を評価した。増殖に基づく3D共培養アッセイ、および相乗作用、相加作用または拮抗作用を評価するための統計分析を使って、応答を、シュー・タラレイ(Chou−Talalay)法を使って評価した。
この実施例は、12日間にわたって同じ生共培養物が視覚化されるように計画し、8日間および12日間共培養した時点でThermo ArrayScanによって画像をキャプチャした。このモデルでは、細胞集団を識別し、定量することができるように、がん細胞および間質細胞に、別個の蛍光タンパク質(腫瘍はmCherry、そしてCAFはEGFP)で印をつけた。有効な組み合わせをスクリーニングするために、3D培養およびイメージング用の適当なプレート(96ウェルプレート)、安定な構造物を形成させるのに必要な1ウェルあたりの腫瘍細胞数(1000細胞)、およびCAFに対する腫瘍の最適な比(1:4)を含む、3D共培養の使用を可能にするいくつかの因子を、前もって最適化した(図12Aおよび図12B)。Thermo ArrayScanを使って、3D構造物の二次元投影図をすぐに処理して各細胞集団の総強度および総面積の差異を定量することができるセミハイスループットシステムを開発した(図13)。こうして、天然のインビボPDAC環境をより忠実に模倣するCAFとの共培養物において、PDAC細胞の薬効を評価することができた。
結果
単剤APX3330、RUX、PG−S3−001、およびDR−4−89は、3Dアッセイにおいて既に試験されている。これらの薬剤は、単独の腫瘍スフェロイドも、CAFと共に培養された腫瘍スフェロイドも、効果的に殺した。特に、リード化合物PG−S3−001およびDR−4−89によるSTAT3の阻害は、CAFの存在下でさえ、PDAC細胞における細胞死をもたらし、単剤として、いくらかの活性がインビボで観察された(図14)。
このモデルを使って、APX3330とSTAT3阻害との組み合わせを試験した。ArrayScanおよび96ウェルプレートフォーマットを使って開発されたこのシステムのセミハイスループット性ゆえに、各薬物の組み合わせおよび用量を数多く実行することができる。PG−S3−001およびDR−4−89ならびにRUXによるSTAT3経路をどちらも使用することは、直接的なSTAT3阻害がJAK2によるSTAT3の上流阻害より強力であるかどうかを確かめるのに役立つであろう。
図15に示すように、APX3330と組み合わされたRUXは、単独の腫瘍スフェロイドも、CAFと共に培養された腫瘍スフェロイドも、効果的に殺した。
実施例3
この実施例では、PDACの生存に対するAPX3330とルキソリチニブ(RUX)との組み合わせのインビボ効果を分析した。
APX3330およびRUXを利用して、低継代数患者由来細胞株(Pa03C)がCAFと同時注入されるインビボ共培養モデルにおいて、Ref−1/STAT3阻害の効果を評価した。具体的には、NSGマウス(1処置群につきn=5)を、5日間投薬、2日間休薬で、2週間にわたって、50mg/kgのAPX3330により、1日2回(BID)、腹腔内(IP)処置し、かつ/または各午後の処置時に1日1回(SID)、腹腔内(IP)投与される50mg/kgのRUXで処置した。図16に示すように、APX3330+RUXの同時処置は、この共培養インビボモデルにおける腫瘍成長を強力に阻害した。併用処置の効果を見るために亜致死量の単剤(50mg/kg)を使用し、併用処置はマウスにおいて忍容性が高かった。
上述したことによれば、これら2つのタンパク質の二重標的化は、PDAC細胞に対して合成的致死事象に相当する。
実施例4
この実施例では、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)細胞株における細胞の生存および増殖に対するRef−1阻害の効果を分析した。
方法および材料
NF1患者に由来するST8814 MPNST細胞はATCC(LGC Standards、英国ミドルセックス)から購入した。MPNST 24472から樹立された細胞株であるS462 MPNST細胞株は、19歳の女性NF1患者から採取された。言及した細胞株はすべて、75cmフラスコにおいて、10%(v/v)ウシ胎仔血清(FCS)および1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシン(Pen Strep)を補足したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を使って培養した。細胞株は5%CO下、37℃でインキュベートした。
軟寒天腫瘍形成アッセイ
6ウェルプレートにおいて二層軟寒天アッセイを企てた。簡単に述べると、0.6%寒天層上の、0.35%寒天を含有する完全培地に、10個のMPNST細胞をプレーティングした。寒天に完全培地を重層し、細胞コロニーを5%CO中、37℃で7日間成長させた。培地を週に3回変え、培地を変える度にプレートを50μMのE3330で処理した。オリンパス(Olympus)カメラを装着したAMG EVOS倒立顕微鏡を使って、代表的な位相差像を撮影した(図17)。
創傷治癒
細胞を35mmプレートに播種し、80〜90%コンフルエントに到達させた。次に、1%(v/v)FBS DMEM中で24時間にわたって細胞を同期させ、ピペットチップで擦過することによって「傷つけた」。死細胞をPBS洗浄で除去した後、DMEM(10%(v/v)FBS)で置き換えた。細胞を50μM E3330で処理し、18時間、インキュベーター(5%CO/37℃)に入れておいた。ImageJを使って擦過面積を測定した。オリンパスカメラを装着したAMG EVOS倒立顕微鏡を使って、処理の前および処理の18時間後に、写真を撮影した(図18Aおよび図19A)。次に、移動した細胞のパーセンテージを算出した(図18Bおよび図19B)。有意性を決定するためにPrismを使ってT検定を行った。3回の独立した実験を行った。

Claims (4)

  1. 悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)を阻害する必要がある対象において、MPNSTを阻害するための医薬組成物であって、
    Ape1/Ref−1の酸化還元機能を選択的に阻害する有効量の3−[(5−(2,3−ジメトキシ−6−メチル−1,4−ベンゾキノイル)]−2−ノニル−2−プロペン酸、薬学的に許容されるその塩または薬学的に許容されるその溶媒和物を含医薬組成物
  2. 少なくとも1つの追加治療剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 前記少なくとも1つの追加治療剤が、シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)の阻害剤、炭酸脱水酵素IX(CA9)の阻害剤、血管内皮成長因子受容体(VEGF−R)の阻害剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項に記載の医薬組成物
  4. 前記少なくとも1つの追加治療剤が、SLC−0111、FC13−555A、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される炭酸脱水酵素IX(CA9)阻害剤である、請求項に記載の医薬組成物
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