ところで、外観検査装置の検査部を集約する場合、各検査部において検査に必要な画像が撮像されるように、照明機構の配置や光の照射方向などを適切に設定する必要がある。
本願発明者らは、外観検査装置の検査部の更なる集約化を目指し、検査部を集約する際の照明機構の配置について鋭意研究を重ねた結果、上記従来の第2検査部110と第4検査部120とを集約する際に、以下に述べる問題が生じることを知見した。以下、この問題について説明する。
まず、従来の第2検査部110及び第4検査部120の概略構成について、図14を参照しつつ簡単に説明する。尚、図14(a)は、第2検査部110の構成を模式的に示した図であり、図14(b)は、第4検査部120の構成を模式的に示した図である。
図14(a)に示すように、第2検査部110は、検査領域R6と対向するように、包装フィルムPFのポケットP開口部側に配設された撮像カメラ111と、撮像カメラ111と検査領域R6との間に配設された照明機構112とから構成されている。
前記照明機構112は、検査領域R6よりも搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ配設された一対の第1ライン照明112aと、各第1ライン照明112aの上方に配設された一対の第2ライン照明112bと、各第2ライン照明112bの上方に配設された一対の反射板112cとを備えており、前記反射板112cは、相互に対向する面が反射面となっている。
前記第1ライン照明112aは、検査領域R6内の検査対象物Tに向けて光を照射し、第2ライン照明112bは、反射板112cの反射面に向けて光を照射し、反射板112cは、第2ライン照明112bから照射された光を検査領域R6に向けて反射する。尚、各第1ライン照明112aと検査領域R6との間には、拡散板が配設されており、第1ライン照明112aから照射された光は拡散されるようになっている。
一方、第4検査部120は、検査領域R8と対向するように、ポケットP開口部側の反対側に配設された撮像カメラ121と、検査領域R8を挟んで撮像カメラ121と対向する位置に配設された照明機構122とから構成されている。
前記照明機構122は、検査領域R8よりも搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ配設された一対のライン照明122aを備えており、この一対のライン照明122aは、検査領域R8内の検査対象物Tに向けて光を照射する。尚、各ライン照明122aと検査領域R8との間には、拡散板が配設されており、ライン照明122aから照射された光は拡散されるようになっている。
この第4検査部120においては、ライン照明122aから照射された光によって検査対象物Tが斜め下方向から照明され、ポケットP開口部側から検査対象物Tの画像が撮像カメラ121によって撮像される。
そして、第4検査部120における検査では、内容物NのポケットP開口部側のエッジ部に欠け部N1が存在すると、ライン照明122aから照射された光が欠け部N1で反射され、この反射光が撮像カメラ121に入射する。したがって、撮像される画像は、図16(a)に示すように、欠け部N1と欠け部以外の部分とでコントラストに差が生じる。よって、このコントラストの差を基にして内容物Nの欠けの有無を判別することができる。
このような第2及び第4検査部110,120は、図15に示すように、照明機構112をポケットP開口部側に配設するとともに、照明機構112と対向するように、照明機構122を配設し、照明機構112よりも上方に撮像カメラ140を配置した構成とすることで、見かけ上集約することができる。
しかしながら、第2及び第4検査部110,120を上記のように集約した場合、ライン照明122aから照射され、包装フィルムPFを透過した光が、反射板112cに入射して、これが検査領域に向けて反射されて内容物Nの表面が照明される(図15参照)。したがって、撮像カメラ140により撮像される画像は、図16(b)に示すように、欠け部N1と欠け部以外の部分とでコントラストの差が小さいものとなる。そのため、第2及び第4検査部110,120を上記のように集約した場合、内容物Nの欠けの有無を正確に判別することができなくなるという問題が生じる。
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、検査精度を悪化させることなく検査に必要な構成を集約し、従来よりも設置スペースを小さくできる外観検査装置の提供を、その目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、
透光性を有する包装フィルムに形成されたポケット内に内容物を収容して、該包装フィルムを所定方向に搬送し、搬送方向における所定の位置で前記ポケットの開口部を塞ぐように前記包装フィルムにカバーフィルムを接着してPTPシートを製造する装置に付設され、前記内容物の外観を検査する外観検査装置であって、
前記カバーフィルムが接着される位置よりも搬送方向上流側の搬送路に予め設定された第1検査領域と対向するように、前記ポケットの開口部側に配設され、前記第1検査領域内の前記内容物を前記ポケットの開口部側から撮像する第1撮像機構と、
前記第1検査領域と対向するように、前記ポケット開口部の反対側に配設され、前記第1検査領域内の前記内容物を前記ポケット開口部の反対側から照明する第1照明機構と、
前記第1撮像機構と前記第1検査領域との間に配設され、前記第1検査領域内の前記内容物を前記ポケットの開口部側から照明する第2照明機構と、
前記第1撮像機構、前記第1照明機構及び前記第2照明機構の動作を制御する制御装置とを備え、
前記第1照明機構は、
前記第1検査領域に対して、搬送方向の上流側及び下流側から光を照射する第1照射部と、
前記第1照射部と前記第1検査領域との間に配設された第1偏光板とを備え、
前記第2照明機構は、
前記第1検査領域に対して、搬送方向の上流側及び下流側から光を照射する第2照射部と、
前記第2照射部と前記第1撮像機構との間に配設された反射板と、
前記第2照射部と前記反射板との間に配設され、前記反射板に向けて光を照射する第3照射部と、
前記反射板と前記第1検査領域との間に配設された第2偏光板とを備えており、
前記反射板は、前記第3照射部から照射された光を前記第1検査領域に向けて反射するように配置され、
前記第2偏光板は、その偏光軸が前記第1偏光板の偏光軸と交差しており、
前記制御装置は、第1照射部から光を照射するタイミングと第2照射部及び第3照射部から光を照射するタイミングとが異なるように、前記第1照明機構及び前記第2照明機構を動作させるとともに、前記各照射部から光を照射させたタイミングで前記第1撮像機構を動作させる外観検査装置に係る。
この外観検査装置によれば、第1照明機構を動作させて、第1照射部から第1検査領域に向けて光を照射すると、第1検査領域内の内容物は、第1照射部から照射された光によって照明され、内容物のポケット開口部側のエッジ部に欠けが存在する場合には、この内容物の欠け部で第1照射部から照射された光が反射され、この反射された光が第1撮像機構に入射し、内容物の画像が撮像される。このようにして撮像された画像によれば、内容物におけるポケット開口部側のエッジ部の欠けの有無を判別することができる。以下、この検査を「第1チッピング検査」という。
また、第1照明機構の動作とタイミングをずらして、第2照明機構を動作させ、第2照射部から第1検査領域に向けて光を照射するとともに、第3照射部から反射板に向けて光を照射すると、第1検査領域内の内容物が第2照射部から照射された光及び反射板で反射された光によって照明され、内容物の表面で反射された光が第1撮像機構に入射し、内容物の画像が撮像される。このようにして撮像された画像によれば、内容物や包装フィルム上の異物の有無を判別することができる。以下、この検査を「接着前反射検査」という。
ここで、この外観検査装置においては、第1照射部と第1検査領域との間に第1偏光板が設けられるとともに、反射板と第1検査領域との間に第2偏光板が設けられており、第1偏光板と第2偏光板とは、その偏光軸が交差している。そのため、第1照射部から照射され、第1偏光板によって偏光された光は、内容物を照明するとともに、包装フィルムを透過し、この透過した光は、反射板に入射する前に第2偏光板を通過し、その光量が大幅に減衰される。また、第2偏光板を通過し、反射板で反射された光は、第2偏光板を再度通過することになるため、反射板で反射され、内容物の表面に到達する光は、その光量が無視できるほど低くなる。
したがって、内容物の欠け部で反射された光と欠け部以外の部分で反射された光とでは、その光量に大きな差が生じる。このため、撮像される画像においては、欠け部と欠け部以外の部分とでコントラストに差が生じ、このコントラストの差を基に内容物エッジ部の欠けの有無を正確に判別することができる。
更に、この外観検査装置においては、第1照明機構と第2照明機構とを第1検査領域と対向するように配置するとともに、各照明機構をタイミングをずらして動作させ、各照射部から光を照射させるタイミングに合わせて第1撮像機構を動作させるようにして、第1チッピング検査及び接着前反射検査に必要な画像の撮像を1つの検査領域内の内容物に対して行うことができるように各検査に必要な機構を集約化している。したがって、PTP製造機全体に占める外観検査装置の設置スペースを小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
また、上記外観検査装置において、前記第1照明機構は、前記第1検査領域に向けて赤色光を照射する第4照射部を更に備えており、前記制御装置は、前記第1照射部から光を照射するタイミングと、前記第2照射部及び第3照射部から光を照射するタイミングと、前記第4照射部から赤色光を照射するタイミングとが異なるように、前記第1照明機構及び前記第2照明機構を動作させるとともに、前記各照射部から光を照射させたタイミングで前記第1撮像機構を動作させるようにしても良い。
このように構成された外観検査装置においては、前記第1照明機構を動作させて、第4照射部から第1検査領域に向けて赤色光を照射すると、この第4照射部から照射された赤色光は、第1検査領域内の内容物を照明するとともに、その一部が包装フィルムを透過して第1撮像機構に入射し、内容物の画像が撮像される。このようにして得られる画像によれば、ポケット内の内容物の有無等を判別することができる。以下、この検査を「透過検査」という。
つまり、この外観検査装置では、第1及び第4照射部を有する第1照明機構と、第2及び第3照射部を有する第2照明機構とを第1検査領域に対向するように配置するとともに、各照明機構の動作のタイミングをずらし、各照射部から光を照射させるタイミングに合わせて第1撮像機構を動作させるようにして、第1チッピング検査、接着前反射検査及び透過検査に必要な画像の撮像を1つの検査領域内の内容物に対して行うことができるように各検査に必要な機構を集約化している。したがって、PTP製造機全体に占める外観検査装置の設置スペースをより小さくすることができ、装置全体をよりコンパクトなものにすることが可能となる。
また、上記外観検査装置において、前記第1照明機構は、前記第1検査領域に向けて赤色光及び白色光を選択的に照射する第4照射部を更に備えており、前記制御装置は、前記第1照射部から光を照射し、前記第4照射部から白色光を照射するタイミングと、前記第2照射部及び第3照射部から光を照射するタイミングと、前記第4照射部から赤色光を照射するタイミングとが異なるように、前記第1照明機構及び前記第2照明機構を動作させるとともに、前記各照射部から光を照射させたタイミングで前記第1撮像機構を動作させるようにしても良い。
この場合、第1照明機構を動作させて、第1照射部から第1検査領域に向けて光を照射するとともに、第4照射部から第1検査領域に向けて白色光を照射させれば、第4照射部から照射された白色光がポケット開口部側に周り込んで、内容物の欠け部で反射される。したがって、撮像される画像においては、第4照射部から白色光を照射しない場合と比較して欠け部がより明るくなり、当該欠け部と欠け部以外の部分とのコントラストの差がより大きくなるため、内容物エッジ部の欠けの有無をより精度良く判別することができる。
また、第4照射部から第1検査領域に向けて赤色光を照射させれば、上記と同様に、透過検査を行うことができる。
このように、上記外観検査装置によれば、1つの検査領域において、第1チッピング検査、接着前反射検査及び透過検査を行うのに必要な機構を集約した上で、第1チッピング検査の精度を向上させることができる。
尚、赤色光と白色光とを選択的に照射可能な第4照射部の構造としては、赤色光を発する複数の発光部と白色光を発する複数の発光部とを備え、前記赤色光を発する発光部と前記白色光を発する発光部とが千鳥状に配設された構造を例示することができる。
ところで、前記接着前反射検査においては、内容物が糖衣錠やカプセル錠などのような表面に光沢を有するものである場合、内容物の表面で反射される光の光量が高くなり過ぎ、撮像された画像にハレーションが発生して、得られた画像を基に正確な判別を行うことができなくなる可能性がある。
そこで、ハレーションの発生を防止するために、上記外観検査装置は、前記第1撮像機構と前記第1検査領域との間に第3偏光板が配設されるとともに、前記第2照明機構は、前記第2照射部と前記第1検査領域との間に配設された第4偏光板を更に備え、前記第3偏光板は、その偏光軸が前記第4偏光板の偏光軸と交差しているように構成しても良い。
このようにすれば、第2照射部から照射され、第4偏光板によって偏光され、内容物の表面で反射された光は、第1撮像機構に入射する前に、第3偏光板を通過することでその光量が大幅に減衰される。このため、第1撮像機構に入射する光の光量が抑えられ、ハレーションの発生を防止することができる。
尚、前記第4偏光板を設ける場合、当該第4偏光板と前記第2偏光板とを一体的に形成することが好ましい。このようにすれば、部品点数を減らすことができ、組み立てに要する手間や時間を削減して、コストの低減を図ることができる。
また、上記外観検査装置において、前記カバーフィルムが接着される位置と前記第1検査領域との間の搬送路に予め設定された第2検査領域と対向するように、前記ポケット開口部の反対側に配設され、前記第2検査領域内の前記内容物を前記ポケット開口部の反対側から撮像する第2撮像機構と、前記第2検査領域と対向するように、前記ポケットの開口部側に配設され、前記第2検査領域内の前記内容物を前記ポケットの開口部側から照明する第3照明機構を更に備えており、前記第3照明機構は、前記第2検査領域に対して、搬送方向の上流側及び下流側から光を照射する第5照射部を有しており、前記制御装置は、前記第3照明機構を動作させ、前記第5照射部から光を照射させたタイミングで、前記第2撮像機構を動作させるように構成しても良い。
このように構成された外観検査装置によれば、第3照明機構を動作させて、第5照射部から第2検査領域に向けて光を照射すると、第2検査領域内の内容物は、第5照射部から照射された光によって照明され、内容物のポケット開口部と反対側のエッジ部に欠けが存在する場合には、この内容物の欠け部で第5照射部から照射された光が反射され、この反射された光が第2撮像機構に入射し、内容物の画像が撮像される。このようにして撮像された画像によれば、内容物におけるポケット開口部の反対側のエッジ部の欠けの有無を判別することができる。以下、この検査を「第2チッピング検査」という。
したがって、この外観検査装置によれば、第1チッピング検査及び接着前反射検査に加え、或いは第1チッピング検査、接着前反射検査及び透過検査に加え、第2チッピング検査を行うことができる。また、内容物に関するこれら3又は4種類の検査に必要な画像の撮像を2つの検査領域で行うことができるため、従来よりも外観検査装置の設置スペースを小さくすることができ、PTP製造機全体の小型化を図ることができる。
更に、上記外観検査装置において、前記カバーフィルムが接着される位置よりも搬送方向下流側の搬送路に予め設定された第3検査領域と対向するように、前記ポケット開口部の反対側に配設され、前記第3検査領域内の前記内容物を前記ポケット開口部の反対側から撮像する第3撮像機構と、前記第3撮像機構と前記第3検査領域との間に配設され、前記第3検査領域内の前記内容物を前記ポケット開口部の反対側から照明する第4照明機構を更に備えており、前記第4照明機構は、前記第3検査領域に向けて赤外光及び可視光を選択的に照射する第6照射部を有しており、前記制御装置は、赤外光を照射するタイミングと可視光を照射するタイミングとが異なるように、前記第4照明機構の動作を制御するとともに、赤外光及び可視光を照射させたタイミングで前記第3撮像機構を動作させるように構成しても良い。
このように構成された外観検査装置によれば、第4照明機構を動作させて、第6照射部から第3検査領域に向けて可視光を照射すると、第3検査領域内の内容物は、第6照射部から照射された可視光によって照明され、内容物の表面で反射された可視光が第3撮像機構に入射し、内容物の画像が撮像される。このように撮像された画像によれば、内容物上の異物やカバーフィルム接着後の包装フィルム上の異物の有無を判別することができる。以下、この検査を「接着後反射検査」という。
また、第4照明機構を動作させ、第6照射部から可視光を照射するタイミングとずらして、第6照射部から第3検査領域に向けて赤外光を照射すると、第3検査領域内の内容物は、第6照射部から照射された赤外光によって照明され、内容物で反射された可視光が第3撮像機構に入射し、内容物の画像が撮像される。このように撮像された画像によれば、包装フィルムやカバーフィルムに付着した異物や内容物の異物の有無を判別することができる。以下、この検査を「赤外光反射検査」という。
このように構成された外観検査装置は、第3検査領域内の内容物について、接着後反射検査及び赤外光反射検査を行うことができるように、各検査に必要な構成が集約化されている。
したがって、このように構成された外観検査装置によれば、第1チッピング検査及び接着前反射検査に加えて、或いは第1チッピング、接着前反射検査及び透過検査に加えて、或いは第1チッピング、接着前反射検査、透過検査及び第2チッピング検査に加えて、接着後反射検査及び赤外光反射検査を行うことができる。
また、内容物に関するこれら4種類の検査に必要な画像の撮像を2つの検査領域、或いは5種類の検査に必要な画像の撮像を2つの検査領域、或いは6種類の検査に必要な画像の撮像を3つの検査領域で行うことができるため、外観検査装置を設置するためのスペースを更に小さくすることができ、PTP製造機全体の更なるコンパクト化を図ることができる。
尚、前記第1、第2、第3及び第5照射部から照射する光は、可視光であればその色は特に限定されるものではなく、例えば、これら各照射部は白色光を照射する態様を採り得る。また、第6照射部から照射する可視光についても、その色は特に限定されるものではなく、例えば、第6照射部は、赤外光と白色光と選択的に照射する態様を採り得る。
以上のように、本発明に係る外観検査装置は、第1チッピング検査を行うために必要な機構と、反射検査を行うために必要な機構とが、各検査を正常に行うことができるように集約化されており、PTP製造機全体に占める外観検査装置の設置スペースを小さくでき、PTP製造機全体を小型化することができる。
また、最大で6種類の検査に必要な画像の撮像を3つの検査領域で行うことができるようにしているため、PTP製造機全体に占める外観検査装置の設置スペースを従来よりも格段に小さくすることができ、PTP製造機全体をコンパクトなものにすることができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
まず、本例の外観検査装置1が付設されるPTP製造機の概略構成について説明する。PTP製造機は、一般的に、包装フィルムPFを所定方向(図1の矢示A方向)に搬送する搬送装置(図示せず)や、包装フィルムPFを真空成型して複数のポケットPを形成するポケット形成機構(図示せず)、複数のポケットP内に内容物N(本例においては表面に光沢を有する錠剤)を収容する内容物収容機構(図示せず)、包装フィルムPFにアルミフィルムAFを接着するフィルム接着機構70、アルミフィルムAFが接着された包装フィルムPFを所定の寸法に裁断するフィルム裁断機構(図示せず)などを備えている。そして、このPTP製造機によれば、包装フィルムPFが所定方向に搬送されつつ、包装フィルムPFに複数のポケットPが形成され、このポケットP内に内容物Nが収容された後、搬送方向における所定の位置(フィルム接着位置)において、包装フィルムPFにアルミフィルムAFが接着され、しかる後、包装フィルムPFが所定の寸法に裁断され、PTPシートが製造される。
本例の外観検査装置1は、上述したように、前記PTP製造機に付設される装置であり、図1に示すように、PTP製造機のフィルム接着位置よりも搬送方向上流側の搬送路に予め設定された第1検査領域R1内の検査対象物Tの画像を撮像するための第1検査機構2と、第1検査領域R1とフィルム接着位置との間の搬送路に予め設定された第2検査領域R2内の検査対象物Tの画像を撮像するための第2検査機構35と、前記フィルム接着位置よりも搬送方向下流側の搬送路に予め設定された第3検査領域R3内の検査対象物Tの画像を撮像するための第3検査機構45と、各検査機構2,35,45の動作を制御する制御装置65と、各検査機構2,35,45で撮像された画像を基にして検査対象物Tの外観不良を判別する判別装置66とから構成されている。
尚、前記各検査領域R1,R2,R3は、その領域内に複行複列のポケットPが収まる大きさとなるように、包装フィルムPFの幅方向及び長さ方向に沿った所定の広がりをもって適宜設定される。また、第1及び第2検査機構2,35で画像が撮像される検査対象物Tは、内容物N及び包装フィルムPFであり、第3検査機構45で画像が撮像される検査対象物Tは、内容物N、包装フィルムPF及びアルミフィルムAFである。
[第1検査機構]
前記第1検査機構2は、図2及び図3に示すように、前記第1検査領域R1と対向するように、包装フィルムPFのポケットP開口部側に配設された第1撮像カメラ3と、前記第1検査領域R1と対向するように、前記ポケットP開口部側とは反対側に配設された第1照明機構4と、第1撮像カメラ3と第1検査領域R1との間に配設された第2照明機構15とから構成されている。尚、図3においては、各構成要素を模式的に図示するとともに、後述する筐体12,22,30はその図示を省略した。また、同図中の矢印は、搬送方向を示している。
前記第1撮像カメラ3は、そのレンズの先端に偏光軸が搬送方向と平行になるように第1撮像カメラ用偏光板3aが取り付けられている。尚、図3においては、偏光軸の向きを現すために、第1撮像カメラ用偏光板3aをレンズの先端から離した状態で図示した。また、当該第1撮像カメラ3は、モノクロ画像を撮像するものであっても良いし、カラー画像を撮像するものであっても良い。
前記第1照明機構4は、第1検査領域R1よりも搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ配設された一対の第1上部透過照明5、それぞれ各第1上部透過照明5の下方に配設された一対の第1中間部透過照明6、それぞれが各第1中間部透過照明6の下方に配設された一対の第1透過用反射板7、第1検査領域R1と対向する位置に配設された第1下部透過照明8、各第1上部透過照明5と第1検査領域R1との間に配設された一対の第1上部透過用拡散板9、各第1上部透過用拡散板9と第1検査領域R1との間に配設された一対の第1透過用偏光板10、並びに第1下部透過照明8の上方に配設された第1下部透過用拡散板11を備えており、第1上部透過照明5、第1中間部透過照明6、第1透過用反射板7、第1下部透過照明8、各透過用拡散板9,11及び第1透過用偏光板10は、第1検査領域R1の下方に配設された筐体12の内部空間に収容されている。尚、前記筐体12は、長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行な四角柱状の部材であって、その上面の第1検査領域R1と対向する部分に長手方向に沿ってスリット孔12aが形成されている。
前記第1上部透過照明5は、長尺の板状部材5aと、この板状部材5aの表面に規則的に配置され、白色光を発する複数のLED電球5bとからなるライン照明であり、前記板状部材5aは、LED電球5bを斜め上方向に向けた状態で当該LED電球5bと第1検査領域R1とが対向するように、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、両端部が筐体12の内壁に固定されている。この第1上部透過照明5によれば、LED電球5bから白色光を照射することで、スリット孔12aを介して斜め下方向から第1検査領域R1を照明することができる。尚、LED電球5bから照射された白色光は、前記第1上部透過用拡散板9の作用によって拡散されるようになっている。
前記第1中間部透過照明6は、上記と同様に、長尺の板状部材6aと、この表面に配置され、白色光を発する複数のLED電球6bとからなるライン照明であり、板状部材6aは、LED電球6bと第1透過用反射板7とが対向し、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体12の内壁に固定されている。
前記第1透過用反射板7は、凹曲面状の反射面7aを有する長尺の部材であり、反射面7aが第1中間部透過照明6と対向し、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体12の内壁に固定されている。また、この第1透過用反射板7は、第1中間部透過照明6のLED電球6bから照射された光が第1検査領域R1に向けて反射されるように、配置角度や反射面7aの曲率が調整されている。したがって、前記第1中間部透過照明6によれば、LED電球6bから白色光を照射することで、照射された光が反射面7aで反射され、この反射光によりスリット孔12aを介して第1検査領域R1を照明することができる。
前記第1下部透過照明8は、上面視長方形状の板状部材8aと、この板状部材8aの上面に配置された赤色LED電球8bと、同様に、板状部材8aの上面に配置され、白色光を発するLED電球8cとからなるフラットパネル照明であり、板状部材8aは、その下面が筐体12の内壁に固定されている。また、この第1下部透過照明8において、赤色LED電球8bとLED電球8cとは、図4に示すように、千鳥状に配置されている。この第1下部透過照明8によれば、各LED電球8b,8cから白色光又は赤色光を照射することで、スリット孔12aを介して下方向から第1検査領域R1を照明することができる。
また、前記第1透過用偏光板10は、第1上部透過照明5のLED電球5bから照射され、第1上部透過用拡散板9により拡散した光を偏光させる長尺の板状部材であり、図3に示すように、その偏光軸が搬送方向と平行になるように、両端部が筐体12の内壁に固定されている。尚、前記第1上部透過用拡散板9は、長尺の板状部材であり、その両端部が筐体12の内壁に固定されている。
前記第1下部透過用拡散板11は、第1下部透過照明8の各LED電球8b,8cから照射された光を拡散する機能を有した長尺の板状部材であり、その両端部が筐体12の内壁に固定されている。尚、この第1下部透過用拡散板11は、各LED電球8b,8cから光が照射されている際には一般的な拡散板と同じ効果が得られる一方、光が照射されていないときには黒色に見える特殊な拡散板である。
前記第2照明機構15は、第1検査領域R1と対向する位置に配設された第1反射照明部16とこの第1反射照明部16の上方に配設された第1落射照明部25とからなる。
前記第1反射照明部16は、第1検査領域R1よりも搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ配設された一対の第1下部反射照明17、それぞれ各第1下部反射照明17よりも上方に配設された一対の第1上部反射照明18、それぞれが各第1上部反射照明18よりも上方に配設された一対の第1反射用反射板19、各第1下部反射照明17と第1検査領域R1との間に配設された一対の第1反射用拡散板20、並びに各第1反射用拡散板20と第1検査領域R1との間に配設された一対の第1反射用偏光板21を備えており、第1下部反射照明17、第1上部反射照明18、第1反射用反射板19、第1反射用拡散板20及び第1反射用偏光板21は、第1検査領域R1の上方に配設された筐体22の内部空間内に収容されている。尚、前記筐体22は、長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行な四角柱状の部材であり、その上面及び下面の第1検査領域R1と対向する部分に長手方向に沿ってスリット孔22a,22bが形成されている。
前記第1下部反射照明17は、前記第1照明機構4の第1上部透過照明5などと同様に、長尺の板状部材17a及び白色光を発する複数のLED電球17bからなるライン照明であり、板状部材17aは、LED電球17bを斜め下方向に向けた状態で当該LED電球17bと第1検査領域R1とが対向するように、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体22の内壁に固定されている。この第1下部反射照明17によれば、LED電球17bから白色光を照射することで、スリット孔22aを介して斜め上方向から第1検査領域R1を照明することができる。
前記第1上部反射照明18も、長尺の板状部材18a及び白色光を発する複数のLED電球18bからなるライン照明であり、板状部材18aは、LED電球18bと第1反射用反射板19とが対向するように、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体22の内壁に固定されている。
前記第1反射用反射板19は、前記第1照明機構4の第1透過用反射板7と略同じものであり、凹曲面状の反射面19aが第1上部反射照明18と対向し、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体22の内壁に固定されており、第1上部反射照明18のLED電球18bから照射された光が第1検査領域R1に向けて反射されるように、配置角度や反射面19aの曲率が調整されている。
したがって、第1上部反射照明18によれば、LED電球18bから白色光を照射することで、この光が反射面19aで反射され、この反射光によりスリット孔22aを介して第1検査領域R1を照明することができる。
前記第1反射用拡散板20は、長尺の板状部材であり、その両端部が筐体22の内壁に固定されており、LED電球5bから照射された光を拡散させるものである。
前記第1反射用偏光板21は、前記第1下部反射照明17のLED電球17bと対向する位置から、第1反射用反射板19と第1検査領域R1との間を通り、前記筐体22のスリット孔22bの開口部まで延設された長尺の板状部材であり、第1下部反射照明17のLED電球17bから照射された光と、第1上部反射照明18のLED電球18bから照射され、第1反射用反射板19で反射された光とを偏光させるものである。また、この第1反射用偏光板21は、図3に示すように、その偏光軸が搬送方向と直交するように、両端部が筐体22の内壁に固設されており、当該第1反射用偏光板21の偏光軸と第1撮像カメラ用偏光板3a及び第1照明機構4の第1透過用偏光板10の偏光軸とが直交するようになっている。
前記第1落射照明部25は、所謂同軸落射照明を行うものであり、第1検査領域R1よりも搬送方向上流側に配設された第1落射照明26、この第1落射照明26と対向し、且つ第1検査領域R1と対向する位置に配設された第1落射用ハーフミラー27、第1落射照明26と第1落射用ハーフミラー27との間に配設された第1落射用拡散板28、並びに第1落射用ハーフミラー27と第1落射用拡散板28との間に配設された第1落射用偏光板29を備えており、第1落射照明26、第1落射用ハーフミラー27、第1落射用拡散板28及び第1落射用偏光板29は、第1反射照明部16の筐体22上面に固定された筐体30の内部空間内に収容されている。尚、前記筐体30も、長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行な四角柱状の部材であり、その上面及び下面の第1検査領域R1と対向する部分に長手方向に沿ってスリット孔30a,30bが形成されている。
前記第1落射照明26は、側面視長方形状の板状部材26aと、この板状部材26aの一方面に規則的に配置され、白色光を発する複数のLED電球26bとからなるフラットパネル照明であり、LED電球26bが第1落射用ハーフミラー27と対向するように、板状部材26aの他方面が筐体30の内壁に固定されている。尚、LED電球26bから照射された光は、第1落射用拡散板28の作用によって拡散される。
また、前記第1落射用ハーフミラー27は、長尺の板状部材であり、長手方向を軸として鉛直方向に対し45°傾いた状態で、両端部が筐体30の内壁に固定されている。したがって、第1落射照明26のLED電球26bから照射された光は、この第1落射用ハーフミラー27によって第1検査領域R1に向けて反射される。
前記第1落射用拡散板28も長尺の板状部材であり、その両端部が筐体30の内壁に固定されている。
前記第1落射用偏光板29は、長尺の板状であって、LED電球26bから照射され、第1落射用拡散板28を通過して拡散した光を偏光させるものである。また、この第1落射用偏光板29は、図3に示すように、偏光軸が搬送方向と直交するように、両端部が筐体30の内壁に固定されており、この第1落射用偏光板29の偏光軸と第1撮像カメラ用偏光板3aの偏光軸とが直交するようになっている。
以上の構成を備えた第1検査機構2においては、制御装置65による制御の下、第1照明機構4の第1下部透過照明8から赤色光を照射するタイミングと、第2照明機構15の第1下部反射照明17、第1上部反射照明18及び第1落射照明26から白色光を照射するタイミングと、第1照明機構4の第1上部透過照明5及び第1中間部透過照明6から白色光を照射し、第1下部透過照明8から白色光を照射するタイミングとをずらすように、各照明機構4,15を動作させるとともに、これら各タイミングに合わせて第1撮像カメラ3を動作させ、第1撮像カメラ3により、前記スリット孔22a,22b,30a,30b及び第1落射用ハーフミラー27を通してポケットP開口部側から検査対象物Tの画像を撮像する。尚、撮像された画像は前記判別装置66に送信される。
[第2検査機構]
前記第2検査機構35は、図5に示すように、第2検査領域R2と対向するように、包装フィルムPFのポケットP開口部の反対側に配設された第2撮像カメラ36と、第2検査領域R2と対向するように、ポケットP開口部側に配設された第3照明機構37とから構成されている。尚、第2撮像カメラ36は、モノクロ画像を撮像するものであっても良いし、カラー画像を撮像するものであっても良い。
前記第3照明機構37は、第2検査領域R2よりも搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ配設された一対の第2下部透過照明38、それぞれ各第2下部透過照明38の上方に配設された一対の第2中間部透過照明39、それぞれが各第2中間部透過照明39の上方に配設された一対の第2透過用反射板40、第2検査領域R2と対向する位置に配設された第2上部透過照明41、各第2下部透過照明38と第2検査領域R2との間に配設された一対の第2下部透過用拡散板42、並びに第2上部透過照明41の下方に配設された第2上部透過用拡散板43を備えており、第2下部透過照明38、第2中間部透過照明39、第2透過用反射板40、第2上部透過照明41及び各透過用拡散板42,43は、第2検査領域R2の上方に配設された筐体44の内部空間内に収容されている。尚、筐体44は、上述した他の筐体と同様に、長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行な四角柱状の部材である。そして、この筐体44の下面における第2検査領域R2と対向する部分には、長手方向に沿ってスリット孔44aが形成されている。
前記第2下部透過照明38及び第2中間部透過照明39は、長尺の板状部材38a,39a及び白色光を発する複数のLED電球38b,39bからなるライン照明である。
前記第2下部透過照明38は、LED電球38bを斜め下方向に向けた状態で当該LED電球38bと第2検査領域R2とが対向するように、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、板状部材38aの両端部が筐体44の内壁に固定されており、LED電球38bから白色光を照射することで、スリット孔44aを介して斜め上方向から第2検査領域R2を照明することができる。尚、LED電球38bから照射された白色光は、前記第2下部透過用反射板42の作用によって拡散されるようになっている。
また、第2中間部透過照明39は、LED電球39bと第2透過用反射板40とが対向するように、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、板状部材39aの両端部が筐体44の内壁に固定されている。
前記第2透過用反射板40は、上述した他の反射板と同様に、凹曲面状の反射面40aを有する長尺の部材であり、反射面40aとLED電球39bとが対向し、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体44の内壁に固定されている。尚、この第2透過用反射板40についても、その配置角度や反射面40aの曲率が調整されており、第2中間部透過照明39のLED電球39bから反射面40aに向けて照射された光は、第2検査領域R2に向けて反射される。
前記第2上部透過照明41は、上面視長方形状の板状部材の下面に白色光を発するLED電球が配置されたフラットパネル照明であり、LED電球が第2検査領域R2と対向するように、板状部材の上面が筐体44の内壁に固定されている。この第2上部透過照明41によれば、LED電球から白色光を照射することで、スリット孔44aを介して上方向から第2検査領域R2を照明することができる。尚、LED電球から照射された光は、第2上部透過用拡散板43によって拡散されるようになっている。
尚、各透過用拡散板42,43は、長尺の板状部材であり、その両端部が筐体44の内壁に固定されている。
以上の構成を備えた第2検査機構35においては、制御装置65による制御の下、第2下部透過照明38、第2中間部透過照明39及び第2上部透過照明41から同時に光を照射するように第3照明機構37を動作させるとともに、第2撮像カメラ36を動作させ、この第2撮像カメラ36により、ポケットP開口部の反対側から検査対象物Tの画像を撮像する。尚、撮像された画像は前記判別装置66に送信される。
[第3検査機構]
前記第3検査機構45は、図6に示すように、第3検査領域R3と対向するように、包装フィルムPFのポケットP開口部の反対側に配設された第3撮像カメラ46と、この第3撮像カメラ46と第3検査領域R3との間に配設された第4照明機構47とから構成されている。
前記第3撮像カメラ46は、そのレンズの先端に偏光軸が搬送方向と平行になるように第3撮像カメラ用偏光板46aが取り付けられており、この第3撮像カメラ用偏光板46aは、可視光及び赤外光を偏光する機能を有するものである。また、この第3撮像カメラ46は、可視光と赤外光とを受光する撮像素子を備えている。
前記第4照明機構47は、第3検査領域R3と対向する位置に配設された第2反射照明部48とこの第2反射照明部48の上方に配設された第2落射照明部55とからなる。
前記第2反射照明部48は、第3検査領域R3よりも搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ配設された一対の第2下部反射照明49、それぞれ各第2下部反射照明49よりも上方に配設された一対の第2上部反射照明50、それぞれ各第2上部反射照明50よりも上方に配設された一対の第2反射用反射板51、各第2下部反射照明49と第3検査領域R3との間に配設された一対の第2反射用拡散板52、並びに各第2反射用拡散板52と第3検査領域R3との間に配設された一対の第2反射用偏光板53を備えており、第2下部反射照明49、第2上部反射照明50、第2反射用反射板51、第2反射用拡散板52及び第2反射用偏光板53は、第3検査領域R3の上方に配設された筐体54の内部空間内に収容されている。尚、前記筐体54も、上述した他の筐体と同様に、長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行な四角柱状の部材であり、その上面及び下面の第3検査領域R3と対向する部分に長手方向に沿ってスリット孔54a,54bが形成されている。
前記第2下部反射照明49は、長尺の板状部材49aと、この板状部材49aの表面に配置され、赤外光を発する赤外線LED電球49bと、同様に、板状部材49aの表面に配設され、白色光を発するLED電球49cとからなるライン照明であり、赤外線LED電球49b及びLED電球49cは、千鳥状に配列されている。また、板状部材49aは、各LED電球49b,49cを斜め下方向に向けた状態で各LED電球49b,49cと第3検査領域R3とが対向するように、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体54の内壁に固定されている。そして、この第2下部反射照明49によれば、各LED電球49b,49cから赤外光又は白色光を照射することで、スリット孔54aを介して斜め上方向から第3検査領域R3を照明することができる。
前記第2上部反射照明50は、長尺の板状部材50a、赤外光を発する赤外線LED電球50b及び白色光を発するLED電球50cからなるライン照明であり、板状部材50aは、各LED電球50b,50cと第2反射用反射板51とが対向するように、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体54の内壁に固定されている。
また、前記第2反射用反射板51は、上述した他の反射板と同じものであり、凹曲面状の反射面51aが第2上部反射照明50の各LED電球50b,50cと対向し、且つ長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行になるように、その両端部が筐体54の内壁に固定されている。尚、この第2反射用反射板51は、第2上部反射照明50の各LED電球50b,50cから照射された光が第3検査領域R3に向けて反射されるように、配置角度や反射面51aの曲率が調整されている。
したがって、第2上部反射照明50によれば、各LED電球50b,50cから赤外光又は白色光を照射することで、照射された光が反射面51aで反射され、この反射光によりスリット孔54aを介して第3検査領域R3を照明することができる。
前記第2反射用拡散板52は、長尺の板状部材であって、その両端部が筐体54の内壁に固定されており、第2下部反射照明49の赤外線LED電球49b及びLED電球49cから照射された光を拡散させる。
また、前記第2反射用偏光板53は、可視光及び赤外光を偏光させる機能を有した長尺の板状部材であり、第2下部反射照明49の各LED電球49b,49cから照射された光を偏光させるものである。また、この第2反射用偏光板53は、その偏光軸が搬送方向と直交するように両端部が筐体54の内壁に固定されており、当該第2反射用偏光板53の偏光軸と第3撮像カメラ用偏光板46aの偏光軸とが直交するようになっている。
前記第2落射照明部55は、上述した第2照明機構15の第1落射照明部25と同様に、所謂同軸落射照明を行うものであり、第3検査領域R3よりも搬送方向上流側に配設された第2落射照明56、この第2落射照明56と対向し、且つ第3検査領域R3と対向する位置に配設された第2落射用ハーフミラー57、第2落射照明56と第2落射用ハーフミラー57との間に配設された第2落射用拡散板58、及び第2落射用ハーフミラー57と第2落射用拡散板58との間に配設された第2落射用偏光板59を備えており、第2落射照明56、第2落射用ハーフミラー57、第2落射用拡散板58及び第2落射用偏光板59は、第2反射照明部48の筐体54上面に固定された筐体60の内部空間内に収容されている。尚、筐体60は、長手方向が包装フィルムPFの幅方向と平行な四角柱状の部材であり、その上面及び下面における第3検査領域R3と対向する部分にスリット孔60a,60bが形成されている。
前記第2落射照明56は、側面視長方形状の板状部材56aと、この板状部材56aの一方面に配設され、赤外光を発する赤外線LED電球56bと、同様に、板状部材56aの一方面に配設され、白色光を発するLED電球56cとからなるフラットパネル照明であり、各LED電球56b,56cと第2落射用ハーフミラー57とが対向するように、板状部材56aの他方面が筐体60の内壁に固定されている。
また、前記第2落射用ハーフミラー57は、長尺の板状部材であり、長手方向を軸として鉛直方向に対し45°傾いた状態で、両端部が筐体60の内壁に固定されている。したがって、第2落射照明56の各LED電球56b,56cから照射された光は、この第2落射用ハーフミラー57によって第3検査領域R3に向けて反射される。
前記第2落射用拡散板58は、長尺の板状部材であって、その両端部が筐体60の内壁に固定されており、前記各LED電球56b,56cから照射された光を拡散させる。
前記第2落射用偏光板59は、可視光及び赤外光を偏光させる機能を有した長尺の板状部材であって、各LED電球56b,56cから照射され、第2落射用拡散板58を透過して拡散した光を偏光させる。また、この第2落射用偏光板59は、その偏光軸が搬送方向と直交するように両端部が筐体60の内壁に固定されており、当該第2落射用偏光板59の偏光軸と第3撮像カメラ用偏光板46aの偏光軸とが直交するようになっている。
以上の構成を備えた第3検査機構45においては、制御装置65による制御の下、赤外光を照射するタイミングと、白色光を照射するタイミングとをずらすように、第3照明機構47を動作させるとともに、これら各タイミングに合わせて第3撮像カメラ46を動作させ、第3撮像カメラ46により、スリット孔54a,54b,60a,60b及び第2落射用ハーフミラー57を通してポケットP開口部の反対側から検査対象物Tを撮像する。尚、撮像された画像は、判別装置66に送信される。
[制御装置]
前記制御装置65は、上述したように、各検査機構2,35,45の動作、より具体的に言えば、各照明機構4,15,37,47及び各撮像カメラ3,36,46の動作を制御する装置である。
[判別装置]
前記判別装置66は、各撮像カメラ3,36,46で撮像された画像を受信して、この受信した画像を基にして、検査対象物Tの外観不良の有無を判別する装置である。
次に、以上の構成を備えた外観検査装置1により検査対象物Tを検査する過程について、図7から図12を参照しつつ説明する。尚、図7から図12において、各筐体12,22,30,44,54,60は、図示を省略している。
包装フィルムPF及びポケットP内に収容された内容物N(検査対象物T)は、まず、第1検査領域R1内で第1検査機構2により所定の検査に必要な画像が撮像され、判別装置66において、撮像された画像を基に外観不良が判別される。
まず初めに、図7に示すように、第1照明機構4の第1下部透過照明8から赤色光を照射し、第1検査領域R1内の検査対象物TをポケットP開口部側の反対側から照明するとともに、第1撮像カメラ3を動作させる。これにより、検査対象物Tが下方向から照射された光によって照明され、包装フィルムPFを透過した光が第1撮像カメラ3に入射し、検査対象物Tの画像が撮像される。このようにして撮像された画像は判別装置66に送信され、判別装置66では、撮像された画像を基に内容物Nが収容されていないポケットPの有無や、内容物Nの欠けの有無、包装フィルムPF上の異物の有無が判別される。以下、このような検査を「透過検査」という。
ついで、図8に示すように、第2照明機構15の第1下部反射照明17、第1上部反射照明18及び第1落射照明26から白色光を照射し、検査対象物TをポケットP開口部側から照明するとともに、第1撮像カメラ3を動作させる。これにより、検査対象物Tが斜め上方向及び上方向から照射された光によって照明され、検査対象物Tで反射された光が第1撮像カメラ3に入射し、検査対象物Tの画像が撮像される。このようにして撮像された画像は判別装置66に送信され、判別装置66では、撮像された画像を基にして内容物Nや包装フィルムPF上の異物の有無が判別される。以下、この検査を「接着前反射検査」という。
ここで、本例の外観検査装置1においては、第2照明機構15の第1下部反射照明17と第1検査領域R1との間に第1反射用偏光板21、第1撮像カメラ3に第1撮像カメラ用偏光板3aを設けるとともに、第1反射用偏光板21の偏光軸と第1撮像カメラ用偏光板3aの偏光軸とが直交するようにしている。したがって、第1下部反射照明17から照射された光は、第1反射用偏光板21を通過して偏光された後に検査対象物Tで反射されて、第1撮像カメラに入射する前に、第1撮像カメラ用偏光板3aを通過することで、その光量が大幅に減衰される。よって、本例のように、内容物Nが糖衣錠やカプセル錠などのような表面に光沢を有するものであっても撮像される画像にハレーションが発生するのが防止される。
また、この接着前反射検査においては、第1下部透過照明8を点灯させていないため、第1照明機構4の第1下部透過用拡散板11は黒色に見える。したがって、第1撮像カメラ3で撮像される画像の背景が黒色となり、内容物Nの抽出が可能となっている。
その後、図9に示すように、第1照明機構4の第1上部透過照明5、第1中間部透過照明6及び第1下部透過照明8から白色光を照射し、ポケットP開口部側の反対側から検査対象物Tを照明するとともに、第1撮像カメラ3を動作させる。これにより、検査対象物Tが斜め下方向及び下方向から照明され、内容物NのポケットP開口部側のエッジ部に欠けが存在する場合には、この内容物Nの欠け部で斜め下方向から照射された光が反射され、この反射された光とともに、包装フィルムPFを透過した光が第1撮像カメラ3に入射し、検査対象物Tの画像が撮像される。そして、このようにして撮像された画像は判別装置66に送信され、判別装置66では、撮像された画像を基にして、内容物NのポケットP開口部側のエッジ部の欠け(チッピング)の有無が判別される。以下、この検査を「第1チッピング検査」という。
ここで、本例の外観検査装置1では、第1照明機構4の第1上部透過照明5から照射される光を偏光する第1透過用偏光板10を設けるとともに、第1反射用反射板19と第1検査領域R1との間に第1反射用偏光板21が配置されており、第1透過用偏光板10と第1反射用偏光板21とはその偏光軸が直交している。したがって、第1上部透過照明5から照射され、第1透過用偏光板10によって偏光された光は、検査対象物Tを照明するとともに、包装フィルムPFを透過し、この透過した光は、第1反射用偏光板21を通過する際にその光量が大幅に減衰される。更に、第1反射用偏光板21を通過して第1反射用反射板19で反射された光は、第1反射用偏光板21を再度通過することになる。即ち、第1上部透過照明5から照射された光は、第1反射用反射板19に反射して検査対象物Tに到達するまでの間に、第1反射用偏光板21を2度通過する。このため、検査対象物Tに到達する光は、その光量が無視できるほど減衰される。
よって、内容物Nの欠け部で反射された光と欠け部以外の部分で反射された光とでは、その光量に大きな差が生じ、第1撮像カメラ3で撮像される画像は、内容物Nの欠け部と欠け部以外の部分とでコントラストに差が生じるため、このコントラストの差を基に内容物Nのチッピングの有無を正確に判別することができる。
ついで、包装フィルムPF及びポケットP内に収容された内容物N(検査対象物T)は、第2検査領域R2内で第2検査機構35により所定の検査に必要な画像が撮像され、判別装置66において、撮像された画像を基に外観不良の有無が判別される。
具体的には、図10に示すように、第2検査機構35は、第3照明機構37の第2下部透過照明38、第2中間部透過照明39及び第2上部透過照明41から白色光を照射し、ポケットP開口部側から検査対象物Tを照明するとともに、第2撮像カメラ36を動作させる。これにより、検査対象物Tが斜め上方向及び上方向から照明され、内容物NのポケットP開口部側と反対側のエッジ部に欠けが存在する場合には、斜め上方向から照射された光が当該欠け部で反射され、この反射された光が第3撮像カメラ36に入射するとともに、包装フィルムPFを透過した光が同カメラ36に入射し、検査対象物Tの画像が撮像される。そして、このようにして撮像された画像は判別装置66に送信され、判別装置66では、撮像された画像を基に、内容物NのポケットP開口部側と反対側のチッピングの有無が判別される。以下、この検査を「第2チッピング検査」という。
その後、包装フィルムPFのポケットP開口部側にアルミフィルムAFが接着され、包装フィルムPF、内容物N及びアルミフィルムAF(検査対象物T)は、第3検査領域R3内で第3検査機構45により所定の検査に必要な画像が撮像され、判別装置66において、撮像された画像を基に外観不良の有無が判別される。
具体的には、まず、図11に示すように、第4照明機構47の第2下部反射照明49、第2上部反射照明50及び第2落射照明56から白色光を照射し、ポケットP開口部側の反対側から検査対象物Tを照明するとともに、第3撮像カメラ46を動作させる。これにより、検査対象物Tが斜め上方向及び上方向から照射された光によって照明され、検査対象物Tで反射された光が第3撮像カメラ46に入射し、検査対象物Tの画像が撮像される。このようにして撮像された画像は判別装置66に送信され、判別装置66では、撮像された画像に基づいて内容物Nや包装フィルムPF、アルミフィルムAFに付着した異物の有無が判別される。以下、このような検査を「接着後反射検査」という。
この接着後反射検査においても、第2下部反射照明49から照射された光は、第3撮像カメラ46に入射するまでの間に、偏光軸が直交する第2反射用偏光板53及び第3撮像カメラ用偏光板46aを通過するため、その光量が大幅に減衰される。したがって、上記接着前反射検査の場合と同様に、撮像される画像にハレーションが発生するのが防止される。
ついで、第2下部反射照明49、第2上部反射照明50及び第2落射照明56から赤外光を照射し、検査対象物Tを照明するとともに、第3撮像カメラ46を動作させる。これにより、検査対象物Tが赤外光によって照明された状態で検査対象物Tの画像が撮像され、撮像された画像は判別装置66に送信される。そして、判別装置66では、撮像された画像を基にして包装フィルムPFやアルミフィルムAFに付着した異物や、内容物Nの異物の有無が判別される。以下、この検査を「赤外光反射検査」という。
以上のように、本例の外観検査装置1によれば、透過検査、接着前反射検査及び第1チッピング検査に必要な画像を撮像するための機構を集約するとともに、接着後反射検査及び赤外光反射検査に必要な画像を撮像するための機構を集約することで、第1検査領域R1において透過検査、接着前反射検査及び第1チッピング検査に必要な画像を撮像し、第2検査領域R2において第2チッピング検査に必要な画像を撮像し、第3検査領域R3において接着後反射検査及び赤外光反射検査に必要な画像を撮像することができ、検査の精度が悪化するという問題が生じることなく、PTP製造機に占める外観検査装置の設置スペースを従来よりも小さくすることができ、PTP製造機全体の小型化を図ることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれらに限定されるものではない。
例えば、上例においては、第1撮像カメラ用偏光板3aの偏光軸と、第2照明機構15の第1反射用偏光板21及び第1落射用偏光板29の偏光軸とが直交し、且つ、第1照明機構4の第1透過用偏光板10の偏光軸と、上記第1反射用偏光板21の偏光軸とが直交するように、各偏光板3a,10,21,29を配置するようにし、第1撮像カメラ3に入射する光や第1反射用反射板19で反射され第1検査領域R1に入射する光の光量を減衰させ、外観不良の判別に必要な画像を撮像するようにしているが、これに限られるものではない。外観不良の判別に必要な画像を撮像するできる程度に、第1撮像カメラ用偏光板3aの偏光軸と第1反射用偏光板21及び第1落射用偏光板29の偏光軸とを交差させ、第1透過用偏光板10の偏光軸と第1反射用偏光板21の偏光軸とを交差させて、各偏光板3a,10,21,29を配置しても良い。
また、上例では、透過検査、接着前反射検査及び第1チッピング検査に必要な構成を1つの検査機構として集約するようにしたが、必ずしもこれら3つの検査に必要な機構を集約しなければならないわけではなく、接着前反射検査と第1チッピング検査に必要な構成を集約するようにしても良い。
尚、要求される検査項目に応じて、例えば、第1検査機構のみを設ける、或いは第1及び第2検査機構のみを設けるようにしても良い。
更に、第2及び第4照明機構15,47には、同軸落射照明として機能する各落射照明部25,55を設けるようにしているが、各反射照明部16,48によって十分に検査領域R1,R3内の検査対象物Tを均一に照明することができる場合には、当該各落射照明部25,55を設けなくても良い。
また、第1照明機構4の第1下部透過照明8を赤色光及び白色光を照射するように構成しているが、第1上部透過照明5及び第1中間部透過照明6のみから光を照射した状態で撮像された画像を基にしてチッピングの有無を正確に判別できる場合には、第1下部透過照明8は赤色光のみを照射する構成であっても良い。
また、上例においては、第1照明機構4の第1上部透過照明5及び第1中間部透過照明6、第2照明機構15の第1下部反射照明17、第1上部反射照明18及び第1落射照明26、並びに、第3照明機構37の第2下部透過照明38、第2中間部透過照明39及び第2上部透過照明41から白色光を照射するようにしているが、これら各照明から照射する光は、可視光であればその色は特に限定されるものではない。
更に、上例では、第4照明機構47の各照明49,50,56の構成として、赤外光及び白色光を照射する構成を採用しているが、これら各照明49,50,56についても、白色光に代えて、他の色の可視光を照射する構成を採用しても良い。
また、上例においては、各反射板7,19,40,51が凹曲面状の反射面7a,19a,40a,51aを有するようにしているが、反射面7a,19a,40a,51aの形状は、凹曲面状に限られるものではない。例えば、反射板7,19,40,51が平板状の部材であり、反射面7a,19a,40a,51aが平面であっても良い。