JP6861301B2 - 移植片拒絶の予防に使用するための抗cd40抗体 - Google Patents

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Description

本開示は、CFZ533などの抗CD40抗体を用いることによる、実質臓器移植における移植片拒絶の予防のための方法、治療レジメン、使用、キット、および治療法に関する。
CD40は、B細胞、ならびに単球、マクロファージ、および樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞(APC)上に恒常的に発現される膜貫通型糖タンパク質である。
CD40は、血小板上でも発現され、ある種の条件下では、好酸球、および実質細胞上で発現される可能性がある。CD40に対するリガンド(CD154、CD40リガンド、またはCD40L)は、活性化T細胞、血小板、およびB細胞を含めた様々な細胞型上に誘導可能である。
CD40へのCD154の結合は、細胞型に依存する様々な活性化という結果をもたらす、NF−κBを介するシグナル伝達、およびMAPK経路を誘発する。例えば、この経路を介するシグナル伝達は、一次T細胞依存性抗体反応(TDAR)、B細胞増殖、胚中心(GC)形成、免疫グロブリン(Ig)アイソタイプスイッチ、体細胞変異、およびメモリーBおよび形質細胞の分化を含めた、適応免疫系のいくつかの重要なエフェクター機能にとって不可欠である。CD40経路活性化は、B細胞に対する効果に加えて、DC成熟および機能、ならびに単球およびマクロファージ生存およびサイトカイン分泌にとって重要なシグナルを提供する。より最近、CD40−CD154経路シグナル伝達は、炎症組織における実質細胞の機能と関連付けられており、腎臓、唾液腺、および皮膚由来の活性化された上皮細胞は、CD40ライゲーションに応答してケモカインを産生する。
CD40を発現する細胞型の多様性、ならびに、CD40−CD154相互作用の下流のエフェクター機能の多様性は、この経路を標的にすることが、様々な適応症の治療可能性を有する可能性があることを示唆する。この概念の裏付けとして、受容体またはリガンド遮断抗体を使用するこの共刺激経路の阻害は、前臨床モデルにおいて、自己免疫疾患病態を改善し、同種移植片生着を延長させた。さらに、抗CD154抗体の使用が、全身性エリテマトーデス(SLE)および免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)を有する患者において有益であることが示されている。残念ながら、抗CD154抗体での治療は、診療現場において、また非ヒト霊長類(NHP)において、血栓塞栓症を誘発する。
過去数十年にわたって、臓器同種移植は、末期の腎不全、心不全、肝不全、または肺不全を有する患者の生活の質を拡大および向上させることへの大きな影響を伴い、一般的な医療処置となってきている。有効性を最大にし、かつ有害作用を最小にするために、現在の免疫抑制(IS)レジメンは、IS薬の組み合わせを使用する。異なる作用機序を有する準最大用量の個々の薬剤の、毒性が重なることを回避しながらの投与を介して相乗的または相加的な免疫抑制効果を達成することには注意が払われる。今日の大抵の治療レジメンは、導入薬と共にまたは伴わずに、2種以上の主要なおよび補助的なISを含む。導入薬は、他のIS薬剤が有効な濃度に到達しつつある間に、レシピエントの免疫系、および同種移植片に対する免疫応答の初回抗原刺激を抑制するために、移植後最初の数時間ないし数日の間に投与される。導入薬としては、抗CD25 mAbバシリキシマブ(Simulect(登録商標)、Novartis)またはポリクローナル抗T細胞グロブリン(Thymoglobulin(登録商標)、ウサギATG、rATG、Genzyme)が挙げられる。高感作患者では、長期のリンパ球枯渇をもたらす抗CD52 mAb、アレムツズマブ(Campath(登録商標)、Sanofi−Aventis SA)での導入が使用されている。移植後1〜2日以内に、次の薬剤のうちの2種以上を用いて、維持治療レジメンが開始される:シクロスポリン(CsA、Neoral(登録商標)、Novartis)若しくはタクロリムス(Tac、FK506、Prograf(登録商標)、Astellas)などのカルシニューリン阻害剤(CNI)、それと共にミコフェノール酸(MPA;Myfortic(登録商標)、Novartis)若しくはミコフェノール酸モフェチル(MMF;CellCept(登録商標)、Roche)などのリンパ球増殖抑制剤、またはエベロリムス(Zortress(登録商標)、Certican(登録商標)、Novartis)若しくはシロリムス(Rapamune(登録商標)、Pfizer)などの増殖シグナル阻害剤。より最近、融合タンパク質であるT細胞共刺激遮断薬ベラタセプトNulojix(登録商標)、BMS)が、MPAを用いるカルシニューリンを使用しない治療レジメンにおいて、生物学的薬剤がCNIに代わる可能性を示した。
現在の標準治療レジメンは、急性拒絶反応率が非常に低い、優れた短期的有効性を提供するが、長期の移植片生着および患者生存を向上させる可能性が依然として存在する。移植後1年目および5年での腎臓同種移植片移植片生着の現在の割合は、それぞれ95%および68%(Matas et al 2013)であり、その後、急速に低下する。12か月での推定される糸球体濾過量は、その後の移植不全と強く関係している(Kasiske et al 2011)。したがって、腎臓同種移植片の機能はまた、移植片生着の重要な予測因子である。ドナー年齢、急性拒絶反応、および血管リモデリングなどの他の因子も、移植片生着全般に影響を及ぼす可能性があるが、カルシニューリン阻害剤の腎毒性影響は、不可逆的な腎機能悪化と直接的に関係がある(Naesens et al 2009)。治療レジメンからCNIを排除することによって、腎毒性、高血圧、脂質異常症、神経毒性、胃腸および血液毒性、および/または糖尿病誘発効果などの機構に基づく副作用を最小限にするまたはなくすことができる。新規の治療法の探索においては、同種移植片に対する免疫応答、特に急性の細胞性拒絶反応および慢性の体液性または抗体関連型拒絶反応において役割を果たすB細胞、形質細胞、および抗体への関心が高まっている(Clatworthy 2011)。TおよびB細胞の初回抗原刺激、およびその後のドナー特異的抗体の産生を低下させる特異的治療を開発し、CNIを排除することによって、慢性拒絶反応を最小限にすることができ、かつ長期の移植片生着を向上することができると仮定される。したがって、新規の免疫抑制剤のかなりの必要性が存在する。
CFZ533は、ヒトCD40に対して誘導されるヒトモノクローナル抗体である。これは、IgG1アイソタイプサブクラスに属し、FcγR結合ならびにADCCおよびCDCのような関連するエフェクター機能を無効にするFc−サイレンシング変異(N297A)を含む。CFZ533は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8828396号明細書および米国特許第9221913号明細書に開示されている。
ADCC活性が抑制されたヒト、抗CD40モノクローナル抗体が、CD40−CD154経路のシグナル伝達と関連する疾患の治療または予防に、例えば実質臓器移植における移植片拒絶の予防に好適であることが判明した。具体的には、抗体CFZ533が、概念実証研究において、実質臓器移植における移植片拒絶の予防の新規の治療モダリティを提供する見込みを示した。
詳細な説明では、CD40経路関連のインビトロおよびインビボモデル系におけるCFZ533の機能特性の特徴を説明する、また、CFZ533曝露とPD効果との関係を追求する、いくつかの具体例を提供する。
本発明の第1の態様によれば、CD40−CD154経路のシグナル伝達に関連する疾患の治療または予防に使用するための抗CD40抗体が提供される。
好ましい実施態様では、実質臓器移植における移植片拒絶の予防に使用するための抗CD40抗体が提供される。
実質臓器移植は、腎移植または肝移植であり得る。
実質臓器移植は、腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植であり得る。
抗体は、以下からなる群から選択することができる:
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;および
e.サイレントFc IgG1領域、または抗体が細胞枯渇を媒介できないようにするアミノ酸変異を含む抗CD40抗体。
抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含むことができる。
一実施態様では、第1の態様による使用のための治療有効量の抗体と、薬学的に許容し得る1種以上の担体とを含む医薬組成物が提供される。
一実施態様では、投与経路は、第1の態様による抗体の皮下若しくは静脈内、または皮下若しくは静脈内の組み合わせである。
用量は、抗体の血漿または血清中濃度が少なくとも40μg/mLであるように調整することができる。
用量は、ヒト対象のキログラムあたり3mg超の活性成分(mg/kg)、例えば10mg/kg以上、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、または30mg/kg以上であり得る。
一実施態様では、用量は、ヒト対象のキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分、例えば静脈内に(IV)投与された場合にキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分である。
一実施態様では、用量は、ヒト対象のキログラムあたり約10mgの活性成分、例えばIVでのキログラムあたり約10mgの活性成分である。
一実施態様では、用量は、約150mg〜約600mgの活性成分、例えば皮下に(SC)投与された場合に約150mg〜約600mgである。
一実施態様では、用量は、約300mgまたは450mgの活性成分、例えば約300mgまたは450mg(SC)である。
一実施態様では、抗体は、第1の負荷投薬および第2の維持投薬を通して投与される
一実施態様では、負荷投薬は、第1の用量の1、2、3、または4回の毎週の静脈内または皮下注射からなり、維持投薬は、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなり、ここでは、第1の用量は、第2の用量よりも高い。
一実施態様では、第1の用量は、約300mg〜約600mgであり、第2の用量は、約300mg、約450mg、または約600mgである。
一実施態様では、負荷投薬は、第1の用量の1または2回の静脈内投与からなり、維持投薬は、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなる。
一実施態様では、第1の用量は、約10mg/kgまたは約30mg/kgであり、第2の用量は、約300mg〜約600mgである。
第2の態様によれば、CD40−CD154経路のシグナル伝達と関連する疾患の治療または予防の方法が提供される。
好ましい実施態様では、ヒト対象における実質臓器移植における移植片拒絶を予防する方法であって、治療有効用量の抗CD40抗体を前記対象に投与することを含む方法が提供される。
実質臓器移植は、腎移植または肝移植であり得る。別の実施態様では、実質臓器移植は、腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植であり得る。
一実施態様では、抗体は、以下からなる群から選択される:
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;および
e.サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体。
一実施態様では、抗体は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む。
一実施態様では、抗体は、薬学的に許容し得る1種以上の担体と共に投与される。
一実施態様では、抗体は、皮下若しくは静脈内に、または皮下または静脈内の組み合わせで投与される。
一実施態様では、抗体は、抗体の血漿または血清中濃度が少なくとも40μg/mLであるように投与される。
用量は、ヒト対象のキログラムあたり3mg超の活性成分(mg/kg)、例えば10mg/kg以上、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、または30mg/kg以上であり得る。
一実施態様では、抗体は、ヒト対象のキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分、例えば静脈内に(IV)投与された場合にキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分の用量として投与される。
一実施態様では、用量は、ヒト対象のキログラムあたり約10mgの活性成分、例えばIVでのキログラムあたり約10mgの活性成分である。
一実施態様では、抗体は、約150mg〜約600mgの活性成分、例えば皮下に(SC)投与された場合に約150mg〜約600mgの用量として投与される。
一実施態様では、用量は、約300mgまたは450mgの活性成分、例えば約300mgまたは450mg(SC)である。
一実施態様では、抗体は、負荷投薬および維持投薬で投与される。
一実施態様では、負荷投薬は、第1の用量の1、2、3、または4回の毎週の皮下注射からなり、維持投薬は、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなり、ここでは、第1の用量は、第2の用量よりも高い。
一実施態様では、第1の用量は、約300mg〜約600mgであり、第2の用量は、約300mg、約450、または約600mgである。
一実施態様では、負荷投薬は、1または2回の静脈内投与からなり、維持投薬は、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなる。
一実施態様では、第1の用量は、約10mg/kgまたは約30mg/kgであり、第2の用量は、約300mgである。
第3の態様によれば、実質臓器移植における移植片拒絶の予防のための医薬品の製造のための、抗CD40抗体、緩衝液、安定剤、および可溶化剤を含む液体医薬組成物の使用、ならびに抗CD40抗体を実質臓器移植患者に静脈内または皮下投与するための手段が提供され、ここでは、抗CD40抗体は:
a.第1の負荷投薬で、静脈内または皮下に投与されることとなり;
b.その後、第2の維持投薬で、静脈内または皮下に投与されることとなり、ここでは、維持用量は、負荷用量とは異なり、かつ、前記抗CD40抗体は、以下からなる群から選択される:
i.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
ii.配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
iii.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
iv.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;
v.サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体;および
vi.配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体。
本開示の追加の態様は、実質臓器移植における移植片拒絶の予防のための医薬品の製造のための、抗CD40抗体を含む液体医薬組成物の使用に関し、ここでは、抗CD40抗体は:
a.第1の負荷投薬で、静脈内または皮下に投与されることとなり;
b.その後、第2の維持投薬で、静脈内または皮下に投与されることとなり、ここでは、維持用量は、負荷用量とは異なり、かつ、前記抗CD40抗体は、以下からなる群から選択される:
i.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
ii.配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
iii.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
iv.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;
v.サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体;および
vi.配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体。
第4の実施態様では、本開示は、その治療が長期の移植片拒絶の予防をもたらす、実質臓器移植患者の治療に使用するためのCFZ533に関する。
第5の実施態様では、本開示は、実質臓器移植患者における移植片機能損失の長期の予防に使用するためのCFZ533に関する。
第6の実施態様では、本開示は、その治療が長期の移植片生着をもたらす、実質臓器移植患者の治療に使用するためのCFZ533に関する。
第7の実施態様では、本開示は、(i)移植片機能損失の予防、(ii)臓器移植片機能損失の欠如、または(iii)移植片生着が、移植後少なくとも3年間持続する、実施態様4〜6による使用のためのCFZ533に関する。
第8の実施態様では、本開示は、CFZ533治療が移植後に行われ、かつ抗体が、抗体の血漿または血清中濃度が少なくとも40μg/mLであるように投与される、実施態様4〜7による使用のためのCFZ533に関する。
第9の実施態様では、本開示は、ヒト対象のキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分の用量として投与される、実施態様8による使用のためのCFZ533に関する。
第10の実施態様では、本開示は、その用量が、ヒト対象のキログラムあたり約10mgの活性成分である、実施態様9による使用のためのCFZ533に関する。
第11の実施態様では、本開示は、約150mg〜約600mgの活性成分の用量として投与される、実施態様9による使用のためのCFZ533に関する。
第12の実施態様では、本開示は、その用量が、約300mg、約450mg、または約600mgの活性成分である、実施態様11による使用のためのCFZ533に関する。
第13の実施態様では、本開示は、負荷投薬および維持投薬で投与される、実施態様8〜12による使用のためのCFZ533に関する。
第14の実施態様では、本開示は、負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の毎週の皮下注射からなり、維持投薬が、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなり、ここでは、第1の用量が、第2の用量よりも高い、実施態様13による使用のためのCFZ533に関する。
第15の実施態様では、本開示は、第1の用量が、約300mg〜約600mgであり、第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgである、実施態様14による使用のためのCFZ533に関する。
第16の実施態様では、本開示は、負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の静脈内投与からなり、維持投薬が、第2の用量の毎週の皮下注射からなる、実施態様15による使用のためのCFZ533に関する。
第17の実施態様では、本開示は、第1の用量が、約10mg/kgであり、第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgの活性成分である、実施態様16による使用のためのCFZ533に関する。
第18の実施態様では、本開示は、患者が治療有効量のCFZ533で治療される、実質臓器移植患者における長期の移植片生着を確実にする方法に関する。
第19の実施態様では、本開示は、患者が治療有効量のCFZ533で治療される、実質臓器移植患者における移植片機能損失の長期の予防の方法に関する。
第20の実施態様では、本開示は、CFZ533治療が移植後に行われ、かつ抗体が、抗体の血漿または血清中濃度が少なくとも40μg/mLであるように投与される、実施態様18および19による方法に関する。
第21の実施態様では、本開示は、抗体が、ヒト対象のキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分の用量として投与される、実施態様20による方法に関する。
第22の実施態様では、本開示は、その用量が、ヒト対象のキログラムあたり約10mgの活性成分である、第21の実施態様による方法に関する。
第23の実施態様では、本開示は、抗体が、約150mg〜約600mgの活性成分の用量として投与される、第22の実施態様による方法に関する。
第24の実施態様では、本開示は、その用量が、約300mg、約450mg、または約600mgの活性成分である、第23の実施態様による方法に関する。
第25の実施態様では、本開示は、抗体が、負荷投薬および維持投薬で投与される、第24の実施態様による方法に関する。
第26の実施態様では、本開示は、負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の毎週の皮下注射からなり、維持投薬が、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなり、ここでは、第1の用量が、第2の用量よりも高い、第25の実施態様による方法に関する。
第27の実施態様では、本開示は、第1の用量が、約300mg〜約600mgであり、第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgである、第26の実施態様による方法に関する。
第28の実施態様では、本開示は、負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の静脈内投与からなり、維持投薬が、第2の用量の毎週の皮下注射からなる、第26の実施態様による方法に関する。
第29の実施態様では、本開示は、第1の用量が、約10mg/kgであり、第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgである、第28の実施態様による方法に関する。
第30の実施態様では、本開示は、実質臓器移植が、腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植である、実施態様4〜17による使用のためのCFZ533、または実施態様18〜29による方法に関する。
比較研究の第1のおよび第2のコホートの研究デザインの模式図である。 比較研究の第3のコホートの研究デザインの模式図である。 研究を開始する前の予備的なシミュレートした薬物動態プロフィールを示すグラフである。 静脈内投与の後の薬物動態プロフィールを示すグラフである。 rCD154誘導性の経路活性化のCFZ533阻害を示すグラフである。 インビトロでのCFZ533最小刺激活性を示すグラフである。 CFZ533が細胞枯渇を媒介しないことを示すグラフである。 個々のRI−1 B細胞の代表的な画像である。 非ヒト霊長類におけるCFZ533の薬物動態特性を示すグラフである。 図10Aは、実験設計模式図である。図10Bは、抗KLH IgGおよび血漿CFZ533濃度を示すグラフである。図10Cは、組織学的分析の結果を示す。 実際のCFZ533血漿中濃度と共にプロットされた、新規腎移植患者におけるおよび維持腎移植患者における、CFZ533についての予測される血漿中濃度−時間プロフィールを表している。 研究デザインの模式的全体像である。 図13:研究デザインの模式的提示である。図13Aは、パート1の設計を示し、図13Bは、パート2の設計を示す。 (上記の通り。) 研究を開始する前の、シミュレートした薬物動態プロフィールを示すグラフである。 非ヒト霊長類(NHP)腎移植研究において得られたBanffスコアを示す。NHPは、移植後に、CsA(Sandimmun(登録商標)、Novartis/Sandimmun Neoral(登録商標)、Novartis)、CFZ533、およびCFZ533とCsAとの組み合わせで治療した。Banffスコアの合計を示す。 CFZ533で最大25か月間継続的に治療された5人の患者から、また、タクロリムスで同じ期間治療された7人の患者から得られた生検データを示す(CCFZ533X2201、本明細書には開示しない)。移植片の質を、慢性同種移植片損傷指数(Chronic Allograph Damage Index)(CADI)(Isoniemi et al.1992 and 1994)を使用して推定した。ここでは、≦1のスコアは、正常な腎臓組織像を反映し、より高いスコアは、長期転帰の不良と相関する(Hayry et al. 2004,Yilmaz et al. 2007,Yilmaz et al. 2003)。元のままの腎臓組織像は、イスカリマブ(iscalimab)(60%)では5人の患者のうちの3人において見られ、タクロリムス(0%)で治療された7人にはいずれにも見られなかった。平均CADIは、タクロリムス(n=7)の5.14±0.80に対して、CFZ533(n=5)については1.60±0.60であった(平均±SEM、スチューデントtを使用してp<0.01)。 Yilmaz,S.et al.2003(Protocol core needle biopsy and histologic Chronic Allograft Damage Index (CADI) as surrogate end point for long−term graft survival in multicenter studies.J Am Soc Nephrol,14(3),pp.773−9)から得られ、低CADIスコアと移植後の移植片生着/機能損失との関連を図示する。
開示の詳細な説明
CD40−CD154(CD154はCD40Lである)経路は、実質臓器移植における移植片の生着において重要な役割を果たすと考えられている。
したがって、ADCC活性が抑制された抗CD40抗体などの、CD40−CD154シグナル伝達を遮断する能力があるあらゆる抗CD40モノクローナル抗体は、実質臓器移植における移植片機能損失の予防に適している可能性がある。
理論に拘泥されることは望まないが、本発明者らは、少なくとも約40μg/mLに維持された血漿中濃度のCFZ533抗体が、実質臓器移植患者における標的組織におけるCD40−CD40L経路を遮断するのに必要であることを明らかにした。したがって、罹患した組織においてCD40発現が亢進されるであろう状況(状態の重症度、免疫系移植後の活性化)において、治療期間全体を通して、少なくとも40μg/mL、最大400μg/mLの維持された血漿中濃度を提供する投薬レジメンが、治療効果について考慮される。定常状態での観察される最大血漿中濃度は、約400μg/mlであり、感染症のリスク増大を示唆する重大なシグナルは存在せず概ね安全かつ良好な耐容性を示した。血栓塞栓症は観察されなかった。
適切な投薬量は、例えば、個々のCD40経路アンタゴニスト、例えば、用いられることとなる抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体(例えばBIIB063)若しくはその抗原結合断片、治療の対象、投与様式、および治療される状態の性質および重症度に応じて、また、患者が受けてきた前治療の性質に応じて変わることとなる。最終的に、担当する医療提供者が、それぞれ個々の患者を治療するCD40経路アンタゴニストの量を決定することとなる。いくつかの実施態様では、担当する医療提供者は、低用量のCD40経路アンタゴニストを投与し、患者の反応を観察することができる。他の実施態様では、患者に投与されるCD40経路アンタゴニストの初回用量は高く、その後、再発の徴候が生じるまで下向きに用量調整される。患者にとって最適な治療効果が得られるまで、より大きい用量のCD40経路アンタゴニストを投与することができ、この投薬量は、一般に、それ以上増大させない。
本開示の治療の方法または使用のいくつかを実施する際には、治療有効量のCD40経路アンタゴニスト、例えば抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体若しくはその抗原結合断片が、患者、例えば哺乳類(例えばヒト)に投与される。開示する方法が、CD40経路アンタゴニスト(例えば、mAb1/CFZ533、mAb2、ASKP1240)を使用して、実質臓器移植患者における移植片機能損失の予防を提供することが理解されるが、これは、患者が最終的にCD40経路アンタゴニストで治療されることとなるならば、こうしたCD40経路アンタゴニスト療法が必然的に単剤療法であることを排除しない。実際、患者が、CD40経路アンタゴニストでの治療について選択されるならば、CD40経路アンタゴニスト(例えば、mAb1/CFZ533、mAb2、ASKP1240)は、本開示の方法に従って、単独で、または他の薬剤および治療法と組み合わせて投与することができる。
一実施態様では、本開示は、mAb1/CFZ533、mAb2、またはASKP1240を、次の薬剤のうちの2種以上と組み合わせて使用する、実質臓器移植患者における移植片機能損失の予防のための方法を提供する:シクロスポリン(CsA、Neoral(登録商標)、Novartis)若しくはタクロリムス(Tac、FK506、Prograf(登録商標)、Astellas)などのカルシニューリン阻害剤(CNI)、ミコフェノール酸(MPA;Myfortic(登録商標)、Novartis)若しくはミコフェノール酸モフェチル(MMF;CellCept(登録商標)、Roche)などのリンパ球増殖抑制剤、またはエベロリムス(Zortress(登録商標)、Certican(登録商標)、Novartis)若しくはシロリムス(Rapamune(登録商標)、Pfizer)などの増殖シグナル阻害剤、またはベラタセプト(Nulojix(登録商標)、BMS)などのT細胞共刺激遮断薬。
別の実施態様では、本開示は、mAb1/CFZ533、mAb2、またはASKP1240を、カルシニューリンを使用しない治療レジメンにおいて、ベラタセプト(Nulojix(登録商標)、BMS)などのT細胞共刺激遮断薬と組み合わせて使用する、実質臓器移植患者における移植片機能損失の予防のための方法を提供する。
追加の実施態様では、本開示は、mAb1/CFZ533、mAb2、またはASKP1240を、CsA、(Neoral(登録商標)、Novartis)、タクロリムス(Tac、FK506、Prograf(登録商標)、Astellas)、および/またはmTor阻害剤(エベロリムス(Zortress(登録商標)、Certican(登録商標)、Novartis)など)と組み合わせて使用する、実質臓器移植患者における移植片機能損失の予防のための方法を提供する。
一実施態様では、本開示は、mAb1/CFZ533、mAb2、またはASKP1240を使用する(ここでは、mAb1/CFZ533、mAb2、またはASKP1240が、唯一の医薬品有効成分として投与される)、実質臓器移植患者における移植片機能損失の単剤療法による予防のための方法を提供する。ある種の実質臓器移植患者、例えば、用いられることとなるCD40経路アンタゴニスト、例えば抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体若しくはその抗原結合断片での治療に対して不十分な反応を呈する患者にとっては、レジメン変更が適切であり得ることが理解されよう。したがって、投与(例えばmAb1/CFZ533またはmAb2)は、毎月の投薬よりも高頻度、例えば、隔月投薬(2週に1回)、毎週の投薬であり得る。
患者は、静脈内または皮下への負荷レジメン(例えば、数週間毎週[例えば、1〜5週、例えば、0、1、2、3および/または4週での投薬]、または数週間隔週(例えば、2〜8週、例えば、0、2、4、および/または6週での投薬)、それに続く維持レジメン、例えば毎週、隔週、または毎月の維持レジメンから恩恵を受ける可能性が高い。
例えば、mAb1/CFZ533またはmAb2にとって適切なレジメンは、毎日、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または数週間毎週[例えば、1〜5週、例えば、0、1、2、3および/または4週での投薬]、それに続く毎月の維持レジメンであり得る。
別の例では、mAb1/CFZ533またはmAb2にとって適切なレジメンは、数週間毎週または隔週[例えば、2〜8週、例えば、0、2、4、および/または6週での投薬]、それに続く毎週、隔週、または毎月の維持レジメンである。
投与(例えばmAb1/CFZ533またはmAb2について)は、毎月の投薬よりも低頻度、例えば、6週おき、8週おき(2か月おき)、年4回(3か月おき)の投薬などであり得ることも理解されよう。
ある種の実質臓器移植患者、例えば、用いられることとなるCD40経路アンタゴニスト、例えば抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体若しくはその抗原結合断片での治療に対して不十分な反応を呈する患者にとっては、疾患の重症度に基づいて、用量漸増が適切であり得ることが理解されよう。したがって、皮下(SC)投薬量は、約150mg〜約900mg(SC)、例えば、約75mg、約100mg、約125mg、約175mg、約200mg、約250mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mgなどよりも大きい可能性があり;同様に、静脈内(IV)投薬量は、約10mg/kg、例えば、約11mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kgなどよりも大きい可能性がある。ある種の実質臓器移植患者、例えば、CD40経路アンタゴニスト、例えば抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体若しくはその抗原結合断片での治療に対する有害事象または有害反応を呈する患者にとっては、用量低下が適切である可能性もあることも理解されよう。したがって、CD40経路アンタゴニスト(例えば抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体若しくはその抗原結合断片)の投薬量は、約150mg〜約900mg(s.c.)、例えば、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約175mg、約200mg、約250mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mgなどよりも小さい可能性がある。
いくつかの実施態様では、CD40アンタゴニスト、例えば抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体若しくはその抗原結合断片は、最大30mg/kg(IV)または600mg(SC)の初回用量で、複数回(毎週、隔週)、患者に投与することができ、この用量はその後、医師によって決定される通りに、必要に応じて、毎週または隔週SC送達される150mgまたは300mgまたは450mgに調整することができる。
いくつかの実施態様では、CD40アンタゴニスト、例えば抗CD40抗体若しくはその抗原結合断片(例えば、mAb1(本明細書ではCFZ533とも呼ばれる)、mAb2、ASKP1240)または抗CD40L抗体若しくはその抗原結合断片は、i.v.送達される10mg/kgの初回用量で患者に投与することができ、この用量はその後、医師によって決定される通りに、必要に応じて、s.c.送達される150mgまたは300mgまたは450mgに調整することができる
具体的実施態様では、第1日(D1)、第15日(D15)、第29日(D29)、第57日(D57)、第85日(D85)、第99日(D99)、第113日(D113)、および第114日(D141)に、3mg/kg CFZ533がs.c.投与される。
別の具体的実施態様では、D1、D15、D29、D57、D85、D99、D113、およびD141に、10mg/kg CFZ533がi.v.投与される。
さらに別の具体的実施態様では、600mg CFZ533の4つの単位用量を含む負荷用量が、週1回(Q1W)、s.c.投与され(すなわちD1、D8、D15、およびD22での600mg CFZ533(s.c.))、それに続いて、300mgの単位用量を含む維持用量が、週1回(Q1W)、s.c.投与される(すなわちD29からD85までの週1回の300mg CFZ533(s.c.))。
さらなる具体的実施態様では、対象1kgあたり少なくとも10mgかつ最大30mgのCFZ533の単回用量を含む負荷用量が、第1日に1回、および移植後1週で場合によっては再びIV投与され、それに続いて、少なくとも300mgの単位用量を含む維持用量が、毎週(Q1W)または隔週(Q2W)、SC投与される(すなわちD8からD85までの週1回の300mg CFZ533(s.c.))。
CFZ533は、年4回、毎月、毎週、または隔週、例えば、約75mg、約150mg、約300mg、約450mg、または約600mgの単位用量で、皮下注射によって、約75mg〜約600mgまたは約150mg〜約300mgが投与される投薬で、皮下に投与することができる。
CFZ533は、約300mg〜約600mg、好ましくは約600mgの負荷用量で、毎週、皮下注射によって投与することができ、ここでは、負荷用量は、1〜4週の間、好ましくは4週の間投与される。
負荷用量はまた、約10mg/kg〜約30mg/kgのi.v.投与であり得る。
負荷用量のCFZ533に、毎週、隔週、または毎月投与される維持用量が続くことが好ましい。維持用量は、週1回、300mg(s.c.)であることが好ましい。
抗CD40抗体またはその抗原結合断片は、CFZ533、その機能性誘導体、またはそのバイオ後続品であり得る。
本明細書で定義される場合、「単位用量」は、約75mg〜900mg、例えば約150mg〜約600mg、例えば約150mg〜約600mg、例えば約300mg〜約600mg、または例えば約150mg〜約300mgから構成され得るs.c.用量を指す。例えば、単位s.c.用量は、約75mg、約150mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mgである。
定義
本明細書で使用する場合、CD40は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5とも呼ばれる、表面抗原分類40を指す。用語CD40は、別段の記述がない限り、配列番号19において定義される通りのヒトCD40を指す。
数値xに関する用語「約」は、例えば+/−10%を意味する。数値範囲または数の列挙の前に使用される場合、用語「約」は、系列内のそれぞれの数に適用される。例えば、表現「約1〜5」は、「約1〜約5」と解釈されるべきである。または、例えば、表現「約1、2、3、4」は、「約1、約2、約3、約4など」と解釈されるべきである。
単語「実質的に」は、「完全に」を排除しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを「完全に含まない」可能性がある。必要に応じて、単語「実質的に」は、本開示の定義から省くことができる。
用語「を含むこと」は、「が含まれること」ならびに「からなること」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、もっぱらXのみからなる可能性もあるし、何か追加のものが含まれる(例えば、X+Y)可能性もある。
AUC0−tは、時間0から時間「t」(ここでは、tは、投与後の定義された時点である)までの血漿中濃度−時間曲線下面積を示す[質量×時間/体積]。
AUCtx−tyは、時間「x」から時間「y」(ここでは、「時間x」および「時間y」は、投与後の定義された時点である)までの血漿中濃度−時間曲線下面積を表す。
maxは、薬物投与後に観察される最大血漿中濃度である[質量/体積]。
minは、薬物投与後に観察される最小血漿中濃度である。
トラフは、投薬期間の開始の直前に、または投薬間隔の最後に観察される血漿中濃度である。
maxは、薬物投与後に最大濃度に到達するまでの時間である[時間]。
ss(下付き文字)は、パラメータが定常状態で定義されることを示す。
「血漿中濃度」は、患者の血液の血漿中濃度である。
本明細書で使用する場合の用語「抗体」または「抗CD40抗体」などは、CD40と(例えば、結合、立体障害、安定化/不安定化、空間分布によって)相互作用する抗体全体を指す。天然起源の「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存される領域と共に散在する、相補性決定領域(CDR)と称される高頻度可変性の領域に、さらに細分化することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される、3つのCDRおよび4つのFRからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(Clq)を含めた宿主組織または因子への、免疫グロブリンの結合を媒介することができる。用語「抗体」には、例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ抗体、またはキメラ抗体が含まれる。抗体は、あらゆるアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスのもの、好ましくはIgG、最も好ましくはIgG1であり得る。例示的な抗体としては、表1に記述した通り、CFZ533(本明細書ではmAb1とも呼ばれる)およびmAb2が挙げられる。
軽鎖と重鎖は両方とも、構造的および機能的相同性の領域に分けられる。用語「定常」および「可変」は、機能に関して使用される。この点に関しては、軽(VL)鎖部分と重(VH)鎖部分の両方の可変ドメインが、抗原認識および特異性を決定するということを理解されたい。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2、またはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移動性、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的性質を与える。慣例によって、定常領域ドメインの付番は、抗体の抗原結合部位またはアミノ末端から遠位になるにつれて増加する。N末端は、可変領域であり、C末端は、定常領域であり;CH3およびCLドメインは、それぞれ、重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を事実上含む。具体的には、用語「抗体」には、特に、IgG−scFv型が含まれる。
抗体の用語「抗原結合部分」(または単に「抗原部分」)は、本明細書で使用する場合、抗原またはエピトープと特異的に結合する能力を保持するタンパク質などの、抗体の全長または1つまたは複数の断片(例えば、CD40の一部)を指す。
「相補性決定領域」(「CDR」)は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(“Kabat”ナンバリングスキーム)、Al−Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927−948(“Chothia”ナンバリングスキーム)およびImMunoGenTics(IMGT)ナンバリング(Lefranc,M.−P.,The Immunologist,7,132−136(1999);Lefranc,M.−P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55−77(2003)(“IMGT”ナンバリングスキーム)によって記載されているものを含めた、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して決定される境界を伴うアミノ酸配列である。IMGTでは、抗体のCDR領域は、IMGT/DomainGap Alignプログラムを使用して決定することができる。
本明細書で使用する場合の用語「エピトープ」は、免疫グロブリンに高い親和性で結合する能力があるあらゆる決定基を指す。エピトープは、その抗原を特異的に標的にする抗体によって結合される抗原の領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗体と直接的に接触する特異的なアミノ酸が含まれる。エピトープは、タンパク質上に存在することが最も多いが、核酸などの他の種類の分子上に存在する場合もあり得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、またはスルホニル基などの分子の、化学的に活性な表面集団(grouping)を含むことができ、特異的な三次元構造特性および/または特異的な電荷特性を有することができる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは、別の遺伝子によってコードされるが、これらが単一のタンパク質鎖(ここでは、VL領域とVH領域が対合して、一価の分子を形成する)としてふるまうことを可能にする合成のリンカーによって、組換え方法を使用して、これらを連結することができる(一本鎖Fv(scFv)として公知;例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423−426;およびHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−5883を参照のこと)。
表現「単離された抗体」は、本明細書で使用する場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、CD40と特異的に結合する単離された抗体は、CD40以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、CD40と特異的に結合する単離された抗体は、他の種由来のCD40分子などの他の抗原との交差反応性を有することができる。さらに、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まない可能性がある。本明細書で使用する場合の用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、単一分子組成の抗体分子の調製を指す。用語「ヒト抗体」には、本明細書で使用する場合、フレームワークもCDR領域もヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体が含まれることが意図される。「ヒト抗体」は、ヒト、ヒト組織、またはヒト細胞によって産生される必要はない。本開示のヒト抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムまたは部位特異的変異誘発によって、抗体遺伝子の組換え中のインビボでのジャンクションでのN−ヌクレオチド付加によって、またはインビボでの体細胞変異によって導入される変異)を含むことができる。
天然のポリペプチドおよびその機能性誘導体に関する「同一性」は、本明細書では、最大の同一性(%)を得るために、必要であれば、配列を整列し、ギャップを導入した後の、対応する天然のポリペプチドの残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合と定義され、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とはみなされない。N−またはC−末端伸長部も挿入も、同一性を低下させると解釈されないものとする。アラインメントのための方法およびコンピュータプログラムは、周知である。同一性(%)は、標準のアラインメントアルゴリズム、例えば、Altshul et al.((1990)J.Mol.Biol.,215:403 410)によって記載されているBasic Local Alignment Search Tool(BLAST);Needleman et al.((1970)J.Mol.Biol.,48:444 453)のアルゴリズム;またはMeyers et al.((1988)Comput.Appl.Biosci.,4:11 17)のアルゴリズムによって決定することができる。一連のパラメータは、12というギャップペナルティ、4というギャップ伸長ペナルティ、および5というフレームシフトギャップペナルティを伴うBlosum 62スコア行列であり得る。2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の同一性(%)は、PAM120重み(weight)剰余テーブル、12というギャップ長ペナルティ、および4というギャップペナルティを使用して、ALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれているE.MeyersおよびW.Miller((1989)CABIOS,4:11−17)のアルゴリズムを使用して決定することもできる。
「アミノ酸」は、例えば、すべての天然に存在するL−α−アミノ酸を指し、D−アミノ酸が含まれる。表現「アミノ酸配列変異体」は、本開示による配列と比較するとそのアミノ酸配列がいくらか違う分子を指す。例えば特定の配列の、本開示による抗体のアミノ酸配列変異体は、ヒトCD40と結合する能力を依然として有するままである。アミノ酸配列変異体には、置換変異体(本開示によるポリペプチド内の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その代わりに同じ位置に別のアミノ酸が挿入されたもの)、挿入変異体(本開示によるポリペプチド内の特定の位置のアミノ酸のすぐ隣に1つまたは複数のアミノ酸が挿入されたもの)、および欠失変異体(本開示によるポリペプチド内の1つまたは複数のアミノ酸が除去されたもの)が含まれる。
本明細書で使用する場合の用語「Fc領域」は、抗体の定常ドメインのCH3、CH2、およびヒンジ領域の少なくとも一部分を含むポリペプチドを指す。場合によっては、Fc領域には、いくつかの抗体クラスに存在するCH4ドメインが含まれる可能性がある。Fc領域は、抗体の定常ドメインのヒンジ領域全体を含むことができる。一実施態様では、本発明は、抗体のFc領域およびCH1領域を含む。一実施態様では、本発明は、抗体のFc領域のCH3領域を含む。別の実施態様では、本発明は、抗体の定常ドメイン由来のFc領域、CH1領域、およびCκ/λ領域を含む。一実施態様では、本発明の結合分子は、定常領域、例えば、重鎖定常領域を含む。一実施態様では、こうした定常領域は、野生型の定常領域と比較して改変される。すなわち、本明細書で開示される本発明のポリペプチドは、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2、またはCH3)の1つまたは複数に対する、および/または軽鎖定常領域ドメイン(CL)に対する変更または改変を含むことができる。改変の例としては、1つまたは複数のドメイン内の1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、または置換が含まれる。こうした変更は、エフェクター機能、半減期などを最適化するために含めることができる。
本明細書で使用する場合、用語「親和性」は、単一の抗原部位での抗体と抗原との間の相互作用の強さを指す。各抗原部位内では、抗体「アーム」の可変領域は、多数の部位で、弱い非共有結合性の力を通じて、抗原と相互作用する;相互作用が多いほど、親和性が強くなる。本明細書で使用する場合、IgG抗体またはその断片(例えばFab断片)に関する用語「高親和性」は、標的抗原に対する10−8M以下、10−9M以下、または10−10M、または10−11M以下、または10−12M以下、または10−13M以下のKを有する抗体を指す。しかし、高親和性結合は、他の抗体アイソタイプについては異なる可能性がある。例えば、IgMアイソタイプについての高親和性結合は、10−7M以下、または10−8M以下のKを有する抗体を指す。
本明細書で使用する場合、CD40ポリペプチドと特異的に結合する抗体またはタンパク質は、100nM以下、10nM以下、1nM以下のKDでヒトCD40ポリペプチドと結合する抗体またはタンパク質を指すことが意図される。
「CD40以外の抗原と交差反応する」抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下のKで抗原と結合する抗体を指すことが意図される。「特定の抗原と交差反応しない」抗体は、100nM以上のK、または1μM以上のKD、または10μM以上のKで抗原と結合する抗体を指すことが意図される。ある種の実施態様では、抗原と交差反応しないこうした抗体は、標準の結合アッセイにおいて、これらのタンパク質に対する本質的に検出不可能な結合を呈する。
用語「Kassoc」または「K」は、本明細書で使用する場合、ある特定の抗体−抗原相互作用の会合速度を指すことが意図されるのに対して、用語「Kdis」または「K」は、本明細書で使用する場合、ある特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指すことが意図される。
用語「K」は、本明細書で使用する場合、Kに対するKの比(すなわちK/K)から得られ、モル濃度(M)として表される、解離定数を指すことが意図される。抗体についてのK値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴を使用する、またはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによるものである。
本明細書で使用する場合、用語「ADCC」または「抗体依存性細胞傷害」活性は、細胞枯渇活性を指す。ADCC活性は、当業者に周知のADCCアッセイによって測定することができる。
本明細書で使用する場合、用語「サイレント」抗体は、ADCCアッセイにおいて測定された場合にADCC活性を呈さないまたは低いADCC活性を呈する抗体を指す。
一実施態様では、用語「ADCC活性なしまたは低いADCC活性」は、サイレント抗体が、標準のADCCアッセイにおいて測定された場合に50%未満の特異的細胞溶解、例えば10%未満の特異的細胞溶解であるADCC活性を呈することを意味する。「ADCC活性なし」は、サイレント抗体が、1%未満であるADCC活性(特異的細胞溶解)を呈することを意味する。
エフェクター機能の抑制は、抗体のFc領域内の変異によって得ることができ、当技術分野で記載されている:LALAおよびN297A(Strohl,W.,2009,Curr.Opin.Biotechnol.vol.20(6):685−691);ならびにD265A(Baudino et al.,2008,J.lmmunol.181:6664−69;Strohl,W.,上記)。サイレントFc IgG1抗体の例は、IgG1 Fcアミノ酸配列内のL234AおよびL235A変異を含む、いわゆるLALA変異体を含む。サイレントIgG1抗体の別の例は、D265A変異を含む。別のサイレントIgG1抗体は、N297A変異を含み、これは、グリコシル化/非グリコシル化抗体をもたらす。
用語「治療」または「治療する」は、本明細書では、本発明による抗CD40抗体またはタンパク質、例えばmAb1またはmAb2抗体の、対象への適用または投与、または本発明の前記抗CD40抗体またはタンパク質を含む医薬組成物の、対象由来の単離された組織若しくは細胞株への適用または投与(ここでは、対象は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患、自己免疫疾患および/または炎症性疾患に随伴する症状、または自己免疫疾患および/または炎症性疾患の発症の素因を有し、その目的は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患、自己免疫疾患および/または炎症性疾患のあらゆる随伴症状、または自己免疫疾患および/または炎症性疾患の発症の素因を軽減、回復、または改善することである)と定義される。
「治療」はまた、本発明の抗CD40抗体またはタンパク質、例えばmAb1またはmAb2抗体を含む医薬組成物の、対象への適用または投与、または本発明の前記抗CD40抗体またはタンパク質を含む医薬組成物の、対象由来の単離された組織若しくは細胞株への適用または投与(ここでは、対象は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患、自己免疫疾患および/または炎症性疾患に随伴する症状、または自己免疫疾患および/または炎症性疾患の発症の素因を有し、その目的は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患、自己免疫疾患および/または炎症性疾患のあらゆる随伴症状、または自己免疫疾患および/または炎症性疾患の発症の素因を軽減、回復、または改善することである)を意図する。
用語「予防する」または「予防すること」は、予防的または防止的処置を指し;疾患、障害、および/またはそれに随伴する症状の発症を遅らせること、またはこれらの発症を予防することに関する。
本明細書で使用する場合、対象は、こうした対象が、こうした治療から、生物学的に、医学的に、または生活の質において恩恵を受けるならば、治療「を必要として」いる。
用語「薬学的に許容し得る」は、活性成分の生物学的活性の有効性を邪魔しない非毒性の材料を意味する。
本明細書で使用する場合、対象化合物の用語「投与」または「投与すること」は、治療を必要としている対象に対して本発明の化合物およびそのプロドラッグを提供することを意味する。1つまたは複数のさらなる治療薬「と組み合わせた」投与には、任意の順序での任意の投与経路での同時(並行)および連続的投与が含まれる。
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、患者(ヒトなど)への単一用量または反復用量投与時に、障害または再発性の障害の症状を治療する、予防する、発症を予防する、治癒させる、遅らせる、重症度を低下させる、回復させる、または患者の生存をこうした治療が存在しない場合に予測される生存よりも延長させるのに有効である、抗CD40抗体またはその抗原結合断片、例えばmAb1の量を指す。単独で投与される個々の活性成分(例えば抗CD40抗体、例えばmAb1)に適用される場合、この用語は、その成分単独を指す。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み合わせで、連続的に、または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の合わせた量を指す。
表現「治療レジメン」は、病気を治療するために使用されるレジメン、例えば、実質臓器移植における移植片機能損失の予防中に使用される投薬プロトコルを意味する。治療レジメンには、導入レジメンおよび維持レジメンが含まれ得る。
表現「導入レジメン」または「導入期間」は、疾患の初期治療のために使用される、治療レジメン(または治療レジメンの一部)を指す。いくつかの実施態様では、開示される方法、使用、キット、プロセス、およびレジメン(例えば、実質臓器移植における移植片機能損失を予防する方法)は、導入レジメンを用いる。いくつかの場合では、導入期間は、最大の有効性に到達するまでの期間である。導入レジメンの一般的目標は、治療レジメンの最初の期間中に、患者に対して高レベルの薬物を提供することである。導入レジメンは、医師が維持レジメン中に用いるであろうよりも多い用量の薬物を投与すること、または医師が維持レジメン中に投与するであろうよりも頻繁に薬物を投与すること、またはその両方を含むことができる「負荷レジメン」または「負荷投薬」を(部分的にまたは全体的に)用いることができる。用量漸増は、導入レジメン中または後に行うことができる。
表現「維持レジメン」または「維持期間」は、病気の治療中の患者の維持のために、例えば、患者を導入期間後に長期間(数か月または数年)、寛解状態に維持するために使用される、治療レジメン(または治療レジメンの一部)を指す。いくつかの実施態様では、開示される方法、使用、およびレジメンは、維持レジメンを用いる。維持レジメンは、継続療法(例えば、例えば毎週、毎月[4週ごと]、毎年などの一定の間隔で薬物を投与すること)、または間欠療法(例えば、断続的治療、間欠治療、再発時の治療、または特定のあらかじめ定められた基準の到達[例えば、疼痛、疾患顕在化など]時の治療)を用いることができる。用量漸増は、維持レジメン中に行うことができる。
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアルおよびシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプ、パッチ式ポンプなどを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために使用される。こうしたものを用いて、患者が、薬物を自己投与する(すなわち、薬物を自分自身のために投与する)こともできるし、医師が、薬物を投与することもできる。
移植患者における用語「移植片拒絶の長期の予防」、「移植片機能損失の長期の予防」、「長期の移植片生着」は、特に実質臓器移植患者では、移植された組織または臓器または移植片が、移植後少なくとも3年、または少なくとも4年、または少なくとも5年の期間の間、生存かつ機能する状況を指す。移植患者における用語「移植片拒絶の長期の予防」、「移植片機能損失の長期の予防」、「長期の移植片生着」は、特に実質臓器移植患者では、組織または臓器または移植片の移植が、患者の人生において1度しか必要とされない状況を指すこともできる。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.実質臓器移植における移植片拒絶の予防に使用するための抗CD40抗体。
2.前記実質臓器移植が、腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植である、上記1に記載の使用のための抗体。
3.前記抗体が、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;および
e.サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される、上記1または2に記載の使用のための抗体。
4.前記抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む、上記3に記載の使用のための抗体。
5.上記1〜4のいずれかに記載の使用のための治療有効量の抗体と、薬学的に許容し得る1種以上の担体とを含む医薬組成物。
6.投与経路が、皮下若しくは静脈内、または皮下若しくは静脈内の組み合わせである、上記1〜5のいずれかに記載の使用のための抗体。
7.用量が、抗体の血漿または血清中濃度が少なくとも40μg/mLであるように調整される、上記1〜6のいずれかに記載の使用のための抗体。
8.前記用量が、ヒト対象のキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分である、上記1〜7のいずれかに記載の使用のための抗体。
9.前記用量が、ヒト対象のキログラムあたり約10mgの活性成分である、上記8に記載の使用のための抗体化合物。
10.前記用量が、約150mg〜約600mgの活性成分である、上記1〜7のいずれかに記載の使用のための抗体。
11.前記用量が、約300mg、約450mg、または約600mgの活性成分である、上記10に記載の使用のための抗体化合物。
12.前記抗体が、負荷投薬および維持投薬を通して投与される、上記1〜11のいずれかに記載の使用のための抗体。
13.前記負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の毎週の皮下注射からなり、前記維持投薬が、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなり、かつ、前記第1の用量が、前記第2の用量よりも高い、上記12に記載の使用のための抗体。
14.前記第1の用量が、約300mg〜約600mgであり、前記第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgである、上記13に記載の使用のための抗体。
15.前記負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の静脈内投与からなり、前記維持投薬が、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなる、上記12に記載の使用のための抗体。
16.前記第1の用量が、約10mg/kgまたは約30mg/kgであり、前記第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgである、上記15に記載の使用のための抗体。
17.ヒト対象における実質臓器移植における移植片拒絶を予防する方法であって、治療有効用量の抗CD40抗体を前記対象に投与することを含む方法。
18.前記実質臓器移植が、腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植である、上記17に記載の方法。
19.前記抗体が、
a.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b.配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
d.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;および
e.サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される、上記17または18に記載の方法。
20.前記抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む、上記19に記載の治療の方法。
21.前記抗体が、薬学的に許容し得る1種以上の担体と共に投与される、上記17〜20のいずれかに記載の方法。
22.前記抗体が、皮下若しくは静脈内に、または皮下または静脈内の組み合わせで投与される、上記17〜21のいずれかに記載の方法。
23.前記抗体が、抗体の血漿または血清中濃度が少なくとも40μg/mLであるように投与される、上記17〜22のいずれかに記載の方法。
24.前記抗体が、ヒト対象のキログラムあたり約3mg〜約30mgの活性成分の用量として投与される、上記17〜23のいずれかに記載の方法。
25.前記用量が、前記ヒト対象のキログラムあたり約10mgの活性成分である、上記24に記載の方法。
26.前記抗体が、約150mg〜約600mgの活性成分の用量として投与される、上記17〜23のいずれかに記載の方法。
27.前記用量が、約300mg、約450mg、または約600mgの活性成分である、上記26に記載の方法。
28.前記抗体が、負荷投薬および維持投薬で投与される、上記17〜27のいずれかに記載の方法。
29.前記負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の毎週の皮下注射からなり、前記維持投薬が、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなり、かつ、前記第1の用量が、前記第2の用量よりも高い、上記28に記載の方法。
30.前記第1の用量が、約300mg〜約600mgであり、前記第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgである、上記29に記載の方法。
31.前記負荷投薬が、第1の用量の1、2、3、または4回の静脈内投与からなり、前記維持投薬が、第2の用量の毎週の皮下注射からなる、上記28に記載の方法。
32.前記第1の用量が、約10mg/kgであり、前記第2の用量が、約300mg、約450、または約600mgである、上記31に記載の方法。
33.実質臓器移植における移植片拒絶の予防のための医薬品の製造のための、抗CD40抗体を含む液体医薬組成物の使用であって、前記抗CD40抗体は:
a.第1の負荷投薬で、静脈内または皮下に投与されることとなり;
b.その後、第2の維持投薬で、静脈内または皮下に投与されることとなり、前記維持投薬は、前記負荷投薬とは異なり、かつ、前記抗CD40抗体は、
i.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含むグロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
ii.配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
iii.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
iv.配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;
v.サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体;および
vi.配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体
からなる群から選択される使用。
実施例1.抗CD40抗体
CD40は、B細胞、ならびに単球、マクロファージ、および樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞(APC)上に恒常的に発現される膜貫通型糖タンパク質である。CD40は、血小板上でも発現され、特定の条件下では、好酸球および活性化された実質細胞上で発現される可能性がある。B細胞上のCD40のライゲーションは、B細胞生存の増進および重要なエフェクター機能(クローン性増殖、サイトカイン分泌、分化、胚中心形成、メモリーB細胞の発生、親和性成熟、免疫グロブリン(Ig)アイソタイプスイッチ、抗体産生、および抗原提示の延長が含まれる)をもたらす下流シグナル伝達をもたらす。抗原提示細胞(APC)のCD154介在性の活性化はまた、CD4+Tヘルパー細胞およびCD8+T細胞の交差提示および活性化の調節に関与する、サイトカイン分泌の導入および表面活性化分子(CD69、CD54、CD80、およびCD86が含まれる)の発現をもたらす。
CD154は、2つの形態;膜結合型および可溶型で存在する。膜結合型CD154は、活性化されたCD4+、CD8+、およびT−リンパ球、マスト細胞、単球、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー(NK)細胞、活性化された血小板上に発現される膜貫通型糖タンパク質であり、また、B細胞上で報告されている。これはまた、血管内皮細胞上に低レベルで発現され、局所炎症中に上方調節される可能性がある。可溶型CD154(sCD154)は、膜結合型CD154のタンパク質分解後に形成され、細胞活性化後にリンパ球および血小板からシェディングされる。いったんシェディングされると、sCD154は、機能性のままであり、CD40受容体と結合するその能力を保持する。
インビボでのCD40/CD154相互作用の重要な役割は、CD40またはそのリガンドの機能喪失型変異の結果として高免疫グロブリンM(HIGM)を患う患者によって最も良く説明される。HIGMを有する患者は、T細胞依存性抗体反応の重度の障害、B細胞記憶の欠如、およびほとんどまたは全くない循環IgG、IgA、またはIgEを示す。CD40シグナル伝達の変異を有する患者において、同様の表現型および疾患発現が記載されている(van KootenおよびBanchereau 2000)。
ADCC活性が抑制された抗CD40 mAbが、参照によって本明細書にその全体が組み込まれる米国特許第8828396号明細書および米国特許第9221913号明細書に開示されている。ADCC活性が抑制された抗CD40 mAbは、他の抗CD40抗体と比較して改善された安全性プロフィールを有することが予測され、特に、実質臓器移植における移植片拒絶の予防、特に腎移植または肝移植における移植片拒絶の予防などの非腫瘍性の適応症に、より適している可能性がある。本明細書で開示される抗CD40抗体は、実質臓器移植における移植片拒絶の予防、特に腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植における移植片拒絶の予防に適している可能性がある。
本発明者らの拘束力のない仮説によれば、mAb1およびmAb2と呼ばれる、米国特許第8828396号明細書および米国特許第9221913号明細書による2種のmAbは、移植の治療に適した化合物であると考えられる。CFZ533とも呼ばれる抗体mAb1が、特に好ましい。
mAb1は、インビトロでのCD154誘導性の活性化、ならびにインビボでのT細胞依存性抗体形成および胚中心形成を阻害する。移植患者では、mAb1でのCD40遮断が、新規の治療モダリティを提供することが示されている(実施例7)。
当業者が本発明を実施できるようにするために、mAb1およびmAb2のアミノ酸およびヌクレオチド配列を、下の表1に提供する。
当技術分野で公知の別の抗CD40 mAbは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8568725B2号明細書に記載されている通りのAstellas Pharma/Kyowa Hakko Kirin CoからのASKP1240である。
当技術分野で公知のさらに別の抗CD40 mAbは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8591900号明細書に記載されている通りのBoehringer IngelheimからのBI655064である。
当技術分野で公知のさらなる抗CD40 mAbは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8669352号明細書に記載されている通りのFast Forward PharmaceuticalsによるFFP104である。
別の治療モダリティは、抗CD40L−Tn3融合タンパク質であるAstraZenecaからのMEDI4920、またはBiogenからの抗CD40L抗体BIIB063であり得る。
上に言及した抗体と同じ作用様式をもつ抗体、いわゆるバイオ後続品も、当業者によって理解されるであろう通り、本開示によって包含される。
Figure 0006861301
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一実施態様では、抗CD40抗体が提供され、前記抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む。
一実施態様では、抗CD40抗体が提供され、前記抗体は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む。
一実施態様では、抗CD40抗体が提供され、前記抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む。
一実施態様では、抗CD40抗体が提供され、前記抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む。
一実施態様では、抗CD40抗体が提供され、前記抗体は、サイレントFc IgG1領域を含む。
好ましい実施態様では、mAb1と呼ばれる抗CD40抗体が提供される。具体的には、mAb1は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列と配列番号10の軽鎖アミノ酸配列とを含み;mAb2は、配列番号11の重鎖アミノ酸配列と配列番号12の軽鎖アミノ酸配列とを含む。
1.発現系
軽鎖および重鎖の発現のために、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを、標準の技術によって宿主細胞に遺伝子導入する。様々な形式の用語「遺伝子導入」が、外来性DNAの原核生物または真核生物宿主細胞への導入のために一般に使用される様々な技術、例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン遺伝子導入などを包含することが意図される。理論的には、本発明の抗体を、原核生物宿主細胞か真核生物宿主細胞のいずれかにおいて発現させることが可能である。真核細胞、例えば哺乳類宿主細胞、酵母、または糸状菌における抗体の発現が論じられている。なぜなら、こうした真核細胞、特に哺乳類の細胞が、原核細胞よりも、適切にフォールディングされた免疫学的に活性な抗体をアセンブルおよび分泌する可能性が高いからである。
具体的には、クローニングまたは発現ベクターは、適切なプロモーター配列に動作可能なように連結される、次のコード配列(a)〜(b):
(a)mAb1の全長重鎖および軽鎖をそれぞれコードする配列番号15および配列番号16;または
(b)mAb2の全長重鎖および軽鎖をそれぞれコードする配列番号17および配列番号18
のいずれかの少なくとも1つを含むことができる。
本発明の組換え抗体を発現させるための哺乳類宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary)(CHO細胞)(例えばR.J.KaufmanおよびP.A.Sharp,1982 Mol.Biol.159:601−621に記載されている通りのDH FR選択可能マーカーと共に使用される、UrlaubおよびChasin,1980 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−4220に記載されているdhfr−CHO細胞が含まれる)、CHOK1 dhfr+細胞株、NSO骨髄腫細胞、COS細胞、およびSP2細胞が含まれる。特に、NSO骨髄腫細胞との使用のためには、別の発現系は、PCT公報国際公開第87/04462号パンフレット、国際公開第89/01036号パンフレット、および欧州特許第0338841号明細書に示されているGS遺伝子発現系である。
抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを、哺乳類宿主細胞に導入する場合、抗体は、宿主細胞における抗体の発現または宿主細胞が成長する培養培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準のタンパク質精製方法を使用して、培養培地から回収することができる(例えば、Abhinav et al.2007,Journal of Chromatography 848:28−37を参照のこと)。
宿主細胞は、mAb1またはmAb2の発現および産生に適した条件下で培養することができる。
2.医薬組成物
治療用抗体は、典型的には、すぐに投与可能な水性の形態で、または投与前の適切な希釈剤での再構成のための凍結乾燥物(lyophilisate)として製剤化される。抗CD40抗体は、凍結乾燥物として、または例えばプレフィルドシリンジに入れた水性の組成物として製剤化することができる。
適切な製剤は、再構成して患者への送達のための高濃度の抗体活性成分および低レベルの抗体凝集を含む溶液を与えることができる、水性の医薬組成物または凍結乾燥物を提供することができる。高濃度の抗体は、これにより、患者に送達されなければならない材料の量が低下するので、有用である。投薬体積の低下により、患者に一定用量を送達するためにかかる時間が最小限になる。高濃度の抗CD40抗体を含む本発明の水性組成物は、皮下投与に特に適している。
したがって、本発明は、mAb1またはmAb2などの抗CD40抗体を含む、対象における投与に、例えば皮下投与に適した水性医薬組成物を提供する。
抗CD40抗体は、薬学的に許容し得る担体と組み合わせた場合に、医薬組成物として使用することができる。こうした組成物は、mAb1またはmAb2などの抗CD40抗体に加えて、担体、種々の希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、および当技術分野で周知の他の材料を含有することができる。担体の特性は、投与経路に依存することとなる。開示する方法に使用するための医薬組成物はまた、標的とされる特定の障害の治療のための追加の治療薬を含有することができる。
ある具体的実施態様では、組成物は、6.0のpHを有する水性製剤から調製される、以下を含む凍結乾燥製剤である:
(i)150mg/mL mAb1またはmAb2
(ii)270mM スクロース(安定剤として)、
(iii)30mM L−ヒスチジン(緩衝薬として)、および
(iv)0.06% Polysorbate 20(界面活性剤として)。
別の具体的実施態様では、医薬組成物は、6.0のpHを有する、以下を含む水性医薬組成物である:
(i)150mg/mL mAb1またはmAb2
(ii)270mM スクロース(安定剤として)、
(iii)30mM L−ヒスチジン(緩衝薬として)、および
(iv)0.06% Polysorbate 20(界面活性剤として)。
別の具体的実施態様では、組成物は、以下を含む凍結乾燥または液体製剤である:
(i)mAb1またはmAb2
(ii)スクロース(安定剤として)、
(iii)L−ヒスチジン(緩衝薬として)、および
(iv)Polysorbate 20(界面活性剤として)、および、シクロスポリン(例えばCsA、Neoral(登録商標)、Novartis)若しくはタクロリムス(Tac、FK506、Prograf(登録商標)、Astellas)などのカルシニューリン阻害剤(CNI)、ミコフェノール酸(例えばMPA;Myfortic(登録商標)、Novartis)若しくはミコフェノール酸モフェチル(例えばMMF;CellCept(登録商標)、Roche)などのリンパ球増殖抑制剤、またはエベロリムス(例えばZortress(登録商標)、Certican(登録商標)、Novartis)若しくはシロリムス(例えばRapamune(登録商標)、Pfizer)などの増殖シグナル阻害剤、またはベラタセプト(例えばNulojix(登録商標)、BMS)などのT細胞共刺激遮断薬からなる群から選択される少なくとも1種の追加の医薬品有効成分。
3.投与経路
典型的には、抗体またはタンパク質は、注射によって、例えば、静脈内に、腹腔内に、または皮下に投与される。この投与を実行するための方法は、当業者に公知である。局所的にまたは経口的に投与することができる、または、粘膜を透過する能力がある可能性がある組成物を得ることも可能である。当業者によって理解されるであろう通り、選択された特定の投与経路に対して適切であるような、投与するのに適したあらゆる手段を使用することができる。
可能な投与経路の例としては、非経口(例えば、静脈内(i.v.若しくはI.V.若しくはiv若しくはIV)、筋肉内(IM)、皮内、皮下(s.c.若しくはS.C.若しくはsc若しくはSC)、または注入)、経口および肺内(例えば、吸入)、経鼻、経皮(局所)、経粘膜、および直腸内投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用のために使用される液剤または懸濁剤は、次の構成成分を含むことができる:無菌の希釈剤、例えば注射用水、生理食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸、クエン酸、またはリン酸、および張度の調整のための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調整することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または反復投与バイアルに封入することができる。
抗CD40療法は、場合によっては、本発明の抗体またはタンパク質の「負荷用量/レジメン」を、抗CD40療法を必要としている対象に施すことによって開始することができる。「負荷用量/レジメン」は、対象に投与される本発明の抗CD40抗体またはタンパク質の初回用量/レジメン(ここでは、投与される本発明の抗体またはタンパク質の用量は、より高い投薬範囲(すなわち、約10mg/kg〜約50mg/kgまで、例えば約30mg/kg)の範囲内にある)を意図する。「負荷用量/レジメン」は、単回投与、例えば、単回注入(ここでは、抗体またはその抗原結合断片は、IV投与される)として、または「負荷用量/レジメン」全体が、約24時間以内に(または、疾患の重症度に基づいて、反復静脈内投与が必要とされるならば、最初の1か月以内に)施される限りは反復投与、例えば、反復注入(ここでは、抗体またはその抗原結合断片は、IV投与される)として投与することができる。次いで、「負荷用量/レジメン」の施与後に、1種または複数の追加の治療有効量の本発明の抗CD40抗体またはタンパク質を対象に投与する。その後の治療有効量は、例えば、毎週の投薬スケジュールに従って、または2週に1回(隔週)、または3週に1回、または4週に1回投与することができる。こうした実施態様では、その後の治療有効量は、一般に、より低い投薬範囲(すなわち、約0.003mg/kg〜約30mg/kg、例えば約10mg/kg、例えば10mg/kg)の範囲内にある。
あるいは、いくつかの実施態様では、「負荷用量/レジメン」の後に、その後の治療有効量の本発明の抗CD40抗体またはタンパク質が、「維持スケジュール」(ここでは、本発明の治療有効用量の抗体またはタンパク質は、毎週、隔週、または1か月に1回、6週に1回、2か月に1回、10週に1回、3か月に1回、14週に1回、4か月に1回、18週に1回、5か月に1回、22週に1回、6か月に1回、7か月に1回、8か月に1回、9か月に1回、10か月に1回、11か月に1回、または12か月に1回投与される)に従って投与される。こうした実施態様では、本発明の抗CD40抗体またはタンパク質の治療有効量は、特に、その後の用量が、より高頻度の間隔で、例えば、2週に1回から月1回投与される場合には、より低い投薬範囲(すなわち、約0.003mg/kg〜約30mg/kg、例えば約10mg/kg、例えば10mg/kg)の範囲内に、または、特に、その後の用量が、より低頻度の間隔で投与される場合、例えば、その後の用量が、1か月〜12か月離れて投与される場合には、より高い投薬範囲(すなわち、10mg/kg〜50mg/kgまで、例えば30mg/kg)の範囲内にある。
投薬のタイミングは、一般に、「ベースライン」としても公知である、活性な化合物(例えば、mAb1)の第1の用量の日から測定される。しかし、異なる医療提供者が、異なる命名規則を使用する。
特に、第0週は、医療提供者によっては第1週とみなされる可能性があり、一方で、第0日は、医療提供者によっては第1日とみなされる可能性がある。したがって、異なる医師が、例えば、ある用量を、同じ投薬スケジュールを指すのに、3週の間/第21日に、3週の間/第22日に、4週の間/第21日に、4週の間/第22日に与えられると称することとなる可能性がある。一貫性を保つために、投薬の最初の週は、本明細書では、第0週とみなすこととするのに対して、投薬の最初の日は、第1日とみなすこととする。しかし、この命名規則は、単に一貫性を保つために使用され、制限的なものと解釈されるべきではない、すなわち、医師が、ある特定の週を「第1週」と呼ぶか「第2週」と呼ぶかにかかわらず、毎週の投薬は、抗CD40抗体(例えば、mAb1)の毎週の用量の規定であることが、当業者によってことが理解されよう。本明細書に記述する投薬計画の例は、図1および2において参照される。ある用量が、厳密な時点で提供される必要はないことが理解されよう。例えば、およそ第29日の予定である用量は、これが、適切な週に提供されるのであれば、例えば、第24日〜第34日、例えば第30日に提供される可能性がある。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の送達を可能にするのに十分な量の抗CD40抗体を有する容器」は、所与の容器(例えば、バイアル、ペン(pen)、シリンジ)が、所望される用量を提供するために使用することができる、(例えば、医薬組成物の一部としての)ある体積の抗CD40抗体を、その中に配置していることを意味するために使用される。一例としては、所望される用量が500mgであるならば、臨床医は、250mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤を含有する容器から2ml、500mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤を含有する容器から1ml、1000mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤を含有する容器から0.5ml、などを使用することができる。こうした各場合において、これらの容器は、所望される500mg用量の送達を可能にするのに十分な量の抗CD40抗体を有する。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の[投与経路]送達を可能にするための投薬量で製剤化される」は、所与の医薬組成物が、指定された投与経路(例えば、SCまたはIV)を介して、所望される用量の抗CD40抗体(例えば、mAb1)を提供するために使用することができることを意味するために使用される。一例としては、所望される皮下用量が500mgであるならば、臨床医は、250mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤の2ml、500mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤の1ml、1000mg/mlの濃度を有する抗CD40抗体製剤の0.5ml、などを使用することができる。こうした各場合において、これらの抗CD40抗体製剤は、抗CD40抗体の皮下送達を可能にするのに十分に高い濃度である。皮下送達は、典型的には、約1mLまたはそれ以上(例えば2mL)の体積の送達を必要とする。しかし、例えばパッチ/ポンプ機構を使用して、時間をかけて、より高い体積を送達することができる。
本明細書で開示されるのは、患者における実質臓器移植における移植片拒絶の予防のための医薬品(ここでは、医薬品は、容器を含むように製剤化され、各容器は、単位用量あたり少なくとも約75mg、150mg、300mg、または600mgの抗CD40抗体またはその抗原結合断片(例えば、mAb1)の送達を可能にするのに十分な量の抗CD40抗体を有する)の製造のための抗CD40抗体(例えば、mAb1)の使用である。
本明細書で開示されるのは、患者における実質臓器移植における移植片拒絶の予防のための医薬品(ここでは、医薬品は、単位用量あたり75mg、150mg、300mg、または600mgの抗CD40抗体またはその抗原結合断片(例えば、mAb1)の全身送達(例えば、IVまたはSC送達)を可能にするための投薬量で製剤化される)の製造のための抗CD40抗体(例えば、mAb1)の使用である。
4.キット
本開示はまた、場合に応じて抗CD40抗体またはその抗原結合断片、例えばmAb1で、移植患者を治療するためのキットを包含する。こうしたキットは、(例えば、液体または凍結乾燥形態の)抗CD40抗体またはその抗原結合断片、例えばmAb1、または(上に記載した)抗CD40抗体を含む医薬組成物を含む。さらに、こうしたキットは、抗CD40抗体を投与するための手段(例えば、シリンジおよびバイアル、プレフィルドシリンジ、プレフィルドペン、パッチ/ポンプ)および使用のための説明書を含むことができる。説明書は、具体的な投薬レジメンの一部として、患者に抗CD40抗体(例えば、mAb1)を提供することを明らかにすることができる。これらのキットは、乾癬を治療するための、例えば、封入される抗CD40抗体、例えば、mAb1と組み合わせた送達のための、(上に記載した)追加の治療薬も含有することができる。
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアルおよびシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプ、パッチ/ポンプなどを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために使用される。こうしたものを用いて、患者が、薬物を自己投与する(すなわち、薬物を自分自身のために投与する)こともできるし、介護者または医師が、薬物を投与することもできる。
一実施態様では、自己注射器などの投与するための手段は、薬物の血漿中濃度をリアルタイムで検出および処理するための手段を含むシステムの一部である。好ましい実施態様では、このシステムは、薬物の血漿中濃度を閾値と比較し、それによって用量を調整するための手段を含む。
本明細書で開示されるのは、以下を含む、移植患者の治療のためのキットである:a)治療有効量の抗CD40抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物;b)抗CD40抗体またはその抗原結合断片を患者に投与するための手段;およびc)抗CD40抗体またはその抗原結合断片の投与を、ヒト対象の1キログラムあたり約3〜約30mgの活性成分の用量で、それを必要とする患者に(複数回)提供する説明書。
ある具体的実施態様では、実質臓器移植における移植片拒絶の予防のための医薬品の製造のための、a)抗CD40抗体、緩衝液、安定剤、および可溶化剤を含む、液体医薬組成物、およびb)抗CD40抗体を移植患者に皮下投与するための手段、の使用が提供され、ここでは、抗CD40抗体は:
i)ヒト対象の1キログラムあたり約3〜約30mg、例えば10mgの活性成分の用量で、1週おきに、3回、患者に皮下投与されることとなる;
ii)その後、ヒト対象の1キログラムあたり約3〜約30mg、例えば10mgの活性成分という毎月の用量として、患者に皮下投与されることとなり、
ここでは、前記抗CD40抗体は、以下からなる群から選択される:
a)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
b)配列番号1、配列番号2、および配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、および配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインとを含む抗CD40抗体;
c)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号13のFc領域とを含む抗CD40抗体;
d)配列番号7のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメインと、配列番号14のFc領域とを含む抗CD40抗体;
e)サイレントFc IgG1領域を含む抗CD40抗体;および
f)配列番号9の重鎖アミノ酸配列および配列番号10の軽鎖アミノ酸配列;または配列番号11の重鎖アミノ酸配列および配列番号12の軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD40抗体。
実施例2.薬理学
1.第1の薬理学
mAb1は、ヒトCD40と高親和性(0.3nMのK)で結合する。しかし、これは、Fcγ受容体(CD16が含まれる)とは結合しないし、抗体依存性細胞傷害も補体依存性細胞傷害も媒介しない。mAb1は、ヒト白血球の組換えCD154(rCD154)誘導性の活性化を阻害するが、単球由来樹状細胞(DC)によるPBMC増殖またはサイトカイン産生を誘発しない。mAb1は、非常に類似の親和性で、ヒトおよび非ヒト霊長類CD40と結合する。
mAb1は、インビボで、一次および二次T細胞依存性抗体反応(TDAR)を阻止し、非ヒト霊長類における腎臓同種移植片の生存を延長させることができる(Cordoba et al 2015)。さらに、mAb1は、インビボで、構築された胚中心(GC)を崩壊させることができる。
CD40受容体占有率と機能活性を、ヒト全血培養を使用して、インビトロで同時に評価した。機能活性は、CD20陽性細胞(B細胞)上のCD69(活性化マーカー)のCD154誘導性の発現を介して定量化し、CD40占有は、蛍光標識したmAb1を使用して観察した。rCD154誘導性のCD69発現の十分な阻害のためには、mAb1によるほぼ完全なCD40占有が必要であった。
2.第2の薬理学
血小板機能および止血に対するmAb1の効果を研究し、mAb1は、血小板凝集反応を誘発せず、むしろ、高濃度で、血小板凝集に対するある種の穏やかな抑制効果を呈することが示された。
実施例3.非臨床の毒性学および安全性薬理学
mAb1を用いる毒性研究は、抗CD154 mAbを用いる臨床試験において報告された場合に血栓塞栓症の証拠がなかったことを含めて、いずれの有意な臓器毒性も示さなかった(Kawai et al 2000)。13週のGLPアカゲザル研究(10、50、および150mg/kgでの毎週の投薬)では、5/22匹の動物において、進行中の感染症に起因すると考えられるリンパの細胞充実性の増大が認められ、観察結果は、mAb1の薬理学と一致していた。50mg/kgの2匹の動物の腎臓および肺において、炎症性病変が認められ、2匹の動物のうちの1匹では、眼および気管における病変も認められた。腎臓および肺に対するmAb1の直接的影響は、排除することができないが、日和見病原体の確認を含めた証拠の重みは、これらの所見が、mAb1介在性の免疫抑制に続発する可能性が高く、感染症由来のものであることを示唆する。これらの炎症所見を考慮して、13週の毒性研究についての無毒性量(NOAEL)を、10mg/kgに設定した。カニクイザルにおける26週の慢性毒性研究では、有害なmAb1関連の所見は発見されなかった。これらのデータに基づいて、NOAELを150mg/kg(26週)に設定した。平均(全動物)Cmax,ssは、1、50、および150(NOAEL)mg/kg(S.C.、毎週)で、それぞれ44、3235、および9690μg/mLであった。26週のカニクイザル研究から得られたNOAELは、臨床投薬レジメンを裏付けるために最も適切であると考えられる。
死後の組織学的および免疫組織学的評価は、脾臓の皮質B細胞領域、およびリンパ組織におけるGCの低下を示した。回復動物は、正常なT細胞領域と増大したB細胞領域を伴うリンパ節細胞充実性の増大といういくつかの症例を示し、これは、退薬後のGCの再構成と一致していた。回復動物は、mAb1の血中濃度が、十分な受容体占有に必要な濃度未満に低下した直後に、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に対する一次TDARを開始することができた。
T細胞依存性抗体反応(TDAR)の完全な阻害が原因で、KLH、すなわちmAb1に対する抗薬物抗体(ADA)の形成が期待されず、したがって、mAb1の濃度が継続的に薬理学的レベルに維持される場合、ADA関連の副作用の可能性は低いと考えられる。
組織交差反応性研究は、CD40が、免疫細胞上に存在するだけでなく、種々の/様々な組織内に存在することを示した。これは、主として、内皮および上皮細胞(ここでは、CD40が、創傷治癒プロセスに応答することなどのシグナル伝達、ウイルス防御の上方調節、および炎症関連メディエーターに関与する)上でのその発現に起因する。mAb1のような拮抗性の抗CD40モノクローナル抗体は、炎症プロセスに寄与することが期待されない。これは、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使用するインビトロ研究によって確認された。
完全にガイドラインに従う生殖毒性研究は、これまでのところ行われていない。しかし、適切な生殖毒性学種としてのウサギを確認するために、ウサギにおける用量範囲設定、胚−胎児発生(EFD)研究が行われている。胚−胎児発生に対する影響は見られず、いずれの群においても治療関連の胎児外部奇形は存在しなかった。
実施例4.非臨床の薬物動態および薬力学
1.薬物動態(PK)
IgG免疫グロブリンに典型的であるが、mAb1の排除の主要な経路は、血漿と平衡状態にある部位で起こるタンパク質分解性の異化作用を介する可能性が高い。さらに、mAb1−CD40複合体の結合および内在化は、迅速な飽和性のクリアランス経路をもたらした。これは、約10〜20μg/mLでの屈曲点を示す、非線形のmAb1血清中濃度−時間プロフィールによって示された。クリアランス全体に対するCD40介在性のクリアランスの寄与は、CD40発現、内在化、および受容体代謝回転速度のレベルと共に、mAb1濃度に依存する。mAb1>10〜20μg/mLの血清中濃度については、線形の動態が予想されるのに対し、より低い濃度では、非線形動態が明らかになる。
2.薬力学(PD)
カニクイザルにおけるPK/PD研究では、PKプロフィールにおける屈曲点(約10μg/mL)は、独立したリンパ球標的飽和アッセイにおいて決定される場合のCD40飽和の低下と関係があった。したがって、この屈曲点は、CD40の飽和のレベルおよび標的エンゲージメント(engagement)を示す証拠についてのマーカーとみなされる。
CD40占有率と薬力学的活性との関連を、KLHで免疫を受けたアカゲザルにおいて、さらに実証した。サルは、KLHで3回免疫を受けた(1回目は、投薬の約3週前であり、2回目は、mAb1投与の2週後であり、3回目は、mAb1の完全なウォッシュアウト後であった)。第2のKLHワクチン接種時の血漿中濃度>40μg/mLのmAb1によるCD40占有は、リコール抗体反応を完全に予防した。mAb1がなくなると、すべての動物は、第3のKLHに対する十分なメモリー抗体反応を開始した。これらの結果は、既存のメモリーB細胞の機能が、影響を受けなかったことを示唆する。mAb1の完全な排除後、破傷風トキソイド(TTx)での免疫化は、治療されていない動物と同様の抗TTx−IgG/IgM力価をもたらし、mAb1排除後に十分なTDARが回復したことを実証した。
3.免疫原性
免疫抑制薬から予測される通り、アカゲザル(単一用量)における免疫原性データは、KLH−TDAR実験(experience)からの結果と一致しており、mAb1による十分なCD40占有下では、mAb1に対する免疫応答は開始されない可能性があることを裏付けた。
実施例5.ヒト安全性および忍容性データ
mAb1の安全性、忍容性、PK、およびPD活性は、健康な対象および関節リウマチ(RA)を患う患者における、mAb1の進行中の、無作為化された、二重盲検の、プラセボ対照の、単一用量漸増研究において評価されている。合計48人の対象が登録されている:最大3mg/kg(IVまたはS.C.)の単一用量のmAb1を受けた36人の健康な対象、およびRAを有する12人の患者(そのうちの6人は、10mg/kg(IV)の単一用量のmAb1を受けた)。全体的に見ると、健康なボランティアにおける最大3mg/kg mAb1までの単一用量、およびRA患者における単一の10mg/kg mAb1は、安全かつ良好な耐容性を示しており、重篤な有害事象の疑い(SAE)は発生していない。30mg/kg(IV)用量の研究は、RA患者において進行中である。この研究は、依然として進行中であるので、すべての臨床データは、事実上、予備的であり、RA患者において最大10mg/kgの用量で行われた中間解析に基づいている。
実施例6.ヒト薬物動態および薬力学(健康なボランティアおよび関節リウマチ患者)
単回IVまたはSC投与後の、健康な対象ならびに関節リウマチを患う患者では、CFZ533 PKプロフィールは、標的介在性消失と一致しており、CD40受容体占有率が、およそ90%未満に低下した場合、非線形PKプロフィールおよびより急速なクリアランスがもたらされた。
中国人対象からのPKプロフィールの、いくらかの個人間の変動性にもかかわらず、中国人対象におけるCFZ533の消失は、概して、非中国人対象と同様であり、3mg/kg(IV)CFZ533後(約4週)の標的エンゲージメントも同様であった。この用量レベルで、血漿中の遊離CFZ533プロフィール、遊離CD40および総CD40を測定する末梢B細胞上のCD40占有率、ならびに血漿中の総CD40濃度を通じて、同様のPK/PDプロフィールが示された。
健康な対象におけるSC投与後、CFZ533は、急速に吸収され、ヒトにおける典型的なIgG1抗体について予測されるものと一致して分配された。3mg/kg(SC)では、CFZ533は概して、投与後3日(2人の対象については7日)でピークになり、投薬の1週後、血漿中濃度は、IV後と同じ範囲であった。3mg/kg(SC)では、標的エンゲージメントの期間は、やはり約4週であった。
関節リウマチを患う10mg/kg(IV)の患者では、投与前平均と比較される全血B細胞上の遊離CD40、および血漿中の総sCD40プロフィールによって測定された場合、十分なCD40占有は、概して、8週間維持された。30mg/kg(IV)では、PKおよび血漿中の総sCD40プロフィールは、標的エンゲージメントの期間と一致していた。
健康な対象では、CFZ533によるCD40エンゲージメントは、B細胞上の遊離CD40によって測定される場合のB細胞上のCD40占有率を追跡すると、概して、末梢B細胞上の総CD40の約50%の減少をもたらした。これは、CFZ533への結合時の膜結合型CD40の内在化および/またはシェディングに起因する可能性が高い。関節リウマチを患う患者では、末梢B細胞上の総CD40の減少は確認されなかった。
血漿中のCFZ533と、全血B細胞上のCD40占有率(B細胞上の遊離CD40)との関係が明らかにされ、0.3〜0.4μg/mLのCFZ533濃度が、全血B細胞上の十分な(≧90%と定義される)CD40占有と関係があった。
より一般的には、CFZ533について、非特異的および特異的な排除経路が特定されている。FcRn受容体によって介在される非特異的な高容量の経路は、一般に、内在性IgGによって共有される。CFZ533の特異的な標的介在性の消失は、(その後のリソソーム分解を伴って)部分的に内在化される、および/または膜からシェディングされる、CFZ533−CD40複合体の形成をもたらした。標的介在性のプロセスは、CFZ533の飽和性のおよび非線形消失をもたらした。CFZ533−CD40複合体の形成は、用量/濃度依存性であり、高濃度のCFZ533で飽和が生じた。
全体的に見ると、CFZ533の消失は、CFZ533のクリアランス全体に対する、特異的な(標的介在性の)および非特異的な排除経路の相対的寄与に依存する。CFZ533濃度が標的の濃度よりも低い場合には、非線形PK挙動が観察されたのに対し、CD40受容体が飽和している、より高い濃度では、非特異的経路が優勢であり、CFZ533の排除は線形であった。
膜結合型受容体を標的にし、かつ標的介在性の消失を示す、典型的なIgG1抗体について予測される通り、CFZ533の曝露の程度(AUClast)は、用量の増大よりも大きく(比例を超えて)増大した。したがって、これは、より高い用量でのCFZ533の分布容積およびクリアランスの低下と関係があることが予測される。
1mg/kg(IV)CFZ533(1週 十分なCD40占有)の1人の対象は、CFZ533に対する特異的な抗体を生じた。これは、CFZ533血漿中濃度が定量化の限界未満になり、組織内でいずれかのCD40経路関連の影響を遮断するのには確実に低すぎるようになってから6週後に検出された。この対象における抗薬物抗体(ADA)の存在は、曝露を損なわず、免疫関連の安全性シグナルとは関係がなかった。この研究では、これは、2%のADA発生率に相当する。
3mg/kg(IVおよびSC)の単一用量のCFZ533は、十分な(≧90%)受容体占有率に相当するCFZ533濃度で、第1のKLH免疫化に対する抗KLH反応を一時的に抑制した(約3〜4週間)。抗KLH一次反応は、CFZ533濃度として、すべての対象において検出され、それに伴って受容体占有率が低下した。すべての対象は、第2のKLH免疫化(受容体占有の喪失が予測された後に投与される)に対するリコール反応を開始することができた。
データは、CFZ533によるCD40エンゲージメントが、ヒト全血における組換え型ヒトCD154(rCD154)介在性のB細胞活性化を防止することを示唆する。B細胞上のrCD154誘導性CD69発現は、概して、B細胞上の十分なCD40占有に相当する期間中に抑制された。CD40占有が不完全であった場合、rCD154の機能活性は回復した。
免疫表現型検査データに対するCFZ533のいかなる影響の証拠も存在しなかった。
実施例7.臨床試験
腎移植における移植片拒絶の予防などの、CD40−CD154経路のシグナル伝達と関連する疾患の治療または予防においてADCC活性が抑制されたヒト、抗CD40モノクローナル抗体を利用する適合性を評価するために、本明細書ではmAb1とも呼ばれる抗体CFZ533を使用して、臨床研究を設計および実行した。
1.研究デザイン
新規腎移植レシピエントにおける、タクロリムス(Tac)を含むおよび含まない、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)および副腎皮質ステロイド(CS)と組み合わせた、抗CD40モノクローナル抗体、CFZ533の、安全性、忍容性、薬物動態/薬力学(PK/PD)、および有効性を評価する、12か月の、無作為化された、反復投与の、非盲検の研究。
この適応的な2パートの研究の目的は、CFZ533が、標準的な基準のドナーからの同種移植片を受容している新規腎移植集団において同様の速度の急性拒絶反応予防およびより良い腎機能を提供しながら、カルシニューリン阻害剤(CNI)を置き換える可能性を調べることである。
図12は、研究デザインの模式的全体像である。
この試験のパート1は、標準治療、CNIに基づく免疫抑制の状況における、CFZ533のIV投与とSC投与との両方についての反復投与の薬物動態(PK)、薬力学(PD)、および忍容性をプロファイリングすることに焦点を合わせることとなる。
第1群については、合計6人の患者が登録されて、標準曝露タクロリムス(全血トラフ濃度4〜11ng/mL)、MMF、およびCSと共に、3mg/kg CFZ533の、IV導入(第1日)、および第15日、29日、43日、および71日でのSC投与を受けることとなる。
パート1の第1の目的は、治療および追跡調査期間にわたって、新規腎移植患者における、MMF、CS、およびTac(標準曝露)と組み合わせた、反復IVおよびSC用量のCFZ533の安全性、忍容性、および薬物動態を評価することである。パート1の第2の目的は、
・末梢血CD40占有率(B細胞上の遊離CD40および総CD40)の大きさおよび期間を定量化すること;
・末梢血の総可溶型CD40および総可溶型CD154の、ベースラインからの変化および回復を定量化すること;および
・抗CFZ533抗体の定量的分析を介して、CFZ533の免疫原性を評価すること
である。
パート2は、最大12か月間の、補助的なMMFおよびバシリキシマブ導入療法と組み合わせた、CNIの非存在下でのCFZ533の安全性および有効性を評価することとなる。
2:1の無作為化後、45人の患者が、並行方式で、第2A群および第2B群に登録されることとなる。第2A群は、バシリキシマブ導入、MMF、およびCSと共に、静脈内CFZ533 10mg/kg反復投与を受けることとなり;第2B群(対照)は、バシリキシマブ導入、MMF、およびCSと共に、標準曝露タクロリムス(全血トラフ濃度4〜11ng/mL)を受けることとなる。
パート2の第1の目的は、CFZ533が、移植後第3か月に、治療を要した生検で確認された急性拒絶反応(tBPAR)によって評価される場合に、新規腎移植患者における、MMFを伴う、CNIを使用しないレジメンにおいて、主要な免疫抑制剤として作用する可能性を評価することである。
パート2の第2の目的は、
・MMFおよびCS(最大3か月)と組み合わせて長期間投与されたCFZ533の、対照に対する安全性および忍容性を評価すること;
・12か月の治療期間中の、反復IV用量のCFZ533の薬物動態を評価すること;
・反復IV用量のCFZ533の後の治療期間中の、末梢血CD40占有(B細胞上の遊離CD40および総CD40)の大きさおよび期間を定量化すること;
・以下によって評価される、移植後第3か月での、CFZ533治療群における腎機能を、対照と比較すること:
・腎疾患における食事改善(Modification of Diet in Renal Disease)(MDRD)を使用する、推定される糸球体濾過量(GFR);
・推定されるGFR(eGFR)が<60mL/分/1.73mである患者の割合;
・負のeGFR勾配を有する患者の割合;
・抗CFZ533抗体の定量的分析を介して、反復IV用量のCFZ533の免疫原性を評価すること;および
・反復IV用量のCFZ533の後の治療期間中の、末梢血の総可溶型CD40の、ベースラインからの変化および回復を定量化すること。
(1)主な選択基準
・書面によるインフォームドコンセント;
・男性または女性患者≧18歳;
・心拍動減少、非血縁生体、またはヒト白血球抗原(HLA)が一致しない血縁生体ドナーからの移植のレシピエント;および
・冷阻血時間(CIT)が<30時間である腎臓のレシピエント;
(2)主な除外基準
・o多臓器移植レシピエント;
・o心停止ドナーからの臓器のレシピエント;
・ABO不適合の同種移植片または補体依存性リンパ球毒性(CDC)クロスマッチ陽性移植;
・第1の同種移植片が術後の合併症に起因して失われた場合以外の第2の腎臓同種移植片の受け取り;
・抗ドナー反応性の評価のための、地域診療によって決定される、拒絶反応の高い免疫学的リスク(例えば、高いパネル反応性抗体(PRA)>20%、既存のドナー特異的抗体(DSA)の存在);
・結核(TB)のリスクがある;
・抗HIV陽性、HBsAg陽性、または抗HCV陽性;
・エプスタイン−バーウイルス(EBV)陰性(パート1でのみ);
・移植後の腎臓生検を不可能にするであろう、凝固障害の病歴、または長期の抗凝固を必要とする医学的状態;
・活動性感染症;
・妊娠中または授乳中(泌乳中)の女性;および
・妊娠の可能性のある女性(投薬中、また、研究薬物が中止された後の12週間、避妊の高度に有効な方法を使用していない限り、妊娠することが生理学的に可能なすべての女性と定義される)。
(3)研究的および参照基準(reference)療法
パート1(図13A);第1群、n=6:3.0mg/kg(SC)のCFZ533(5回投与;第1の用量はIVであり、第15日、29日、43日、および71日にSC)+タクロリムス(4〜11ng/mL)+MMF 1.0g BID+CS。
パート2(図13B);第2A群、n=30:バシリキシマブ20mg(第1日、4日)+10mg/kg(IV)のCFZ533(17回投与)+MMF 1.0g BID+CS;および第2B群 対照/標準治療、n=15:バシリキシマブ20mg(第1日、4日)+タクロリムス(4〜11ng/mL)+MMF 1.0g BID+CS。
(4)併用治療
CMV、PCP、HBV、およびBKウイルス予防;ならびに経口のカンジダ治療。
(5)有効性評価
治療を要した生検で確認された急性拒絶反応(tBPAR)、移植片機能損失、死亡、推定される糸球体濾過量(GFR)。
治療を要した生検で確認された急性拒絶反応(tBPAR)
治療を要したBPARは、対象が抗拒絶反応治療を受け、かつ組織学的に急性拒絶反応と診断された、あらゆる状態である(Banff 2009基準またはBanff 2013基準に従う。境界の組織学的所見は、地域診療によって解釈され、抗拒絶反応治療が施されるならば、tBPARの基準を満たす)。
腎臓生検は、急性拒絶反応の疑いがあるすべての場合について採取されることとなる。
腎臓同種移植片生検
拒絶反応の疑いがあるすべてのエピソードについて、抗拒絶反応治療の開始にかかわらず、好ましくは48時間以内に、地域診療によって同種移植片生検を実施しなければならない。生検は、更新されたBanff 2009基準(または地域診療次第でBanff 2013基準)に従って、地域の病理医によって読み取りが行われることとなる。地域の病理医によって読み取りが行われた生検の結果は、腎臓同種移植片生検の電子症例報告/記録書(eCRF)に収載されることとなる。これらの結果は、急性拒絶反応に対する対象管理のために使用されることとなる。地域の病理医には、治療は盲検化されたままであることとなる。地域診療によって実施された(例えば、理由を問わない)いかなる生検も、記録されるべきである。パート2では、拒絶反応および他の腎臓疾患関連事象の疑いがあることから実施された生検はまた、独立した判定委員会(Adjudication Committee)によって中心的に評価されることとなる。
移植片機能損失
同種移植片は、対象が透析を開始した日に機能喪失し、その後、透析から逃れることはできないと推定されることとなる。対象が、永久透析を開始する前に同種移植片腎摘除術を受けるならば、腎摘除術の日が、移植片機能損失の日である。移植片機能損失の理由は、移植片機能損失eCRFに記録されることとなる。これは、研究中止の理由として移植片機能損失を用いて、研究完了(Study Completion)eCRFおよび治療段階消失(Treatment Phase Disposition)eCRFに、また、無作為化された治療の間に死亡が発生したならば、適切な用法用量記録(Dosage Administration Record)eCRFに記録されることとなる。移植片機能損失は、SAEとみなされ、有害事象(Adverse Event)eCRFに、(重篤として)報告されるべきであり、SAEは、24時間以内に、地域のNovartis Drug Safetyおよび疫学課(Epidemiology Department)の地域のNovartis Drug Safetyおよび疫学課(DS&E)(Epidemiology (DS&E) Department)に報告されるべきである。
死亡
対象死亡の場合には、死亡に至るSAEが、24時間以内にNovartis DS&Eに報告されるべきである。死亡に至る事象は、有害事象(Adverse Event)eCRFに入力するべきであり、死亡は、(無作為化された治療の間に死亡が発生したならば)適切な用法用量記録(Dosage Administration Record)eCRFに、また、研究完了(Study Completion)eCRFに、また、治療段階消失(Treatment Phase Disposition)eCRFに示されるべきである。
(6)安全性評価
安全性評価は、以下の変数を測定することによって実施される:
腎機能、有害事象および重篤な有害事象、感染症、サイトカイン、ドナー特異的抗体、移植後発症糖尿病(NODAT)、EBV、CMVサーベイランス、ウイルス血清学的検査、免疫原性、心電図(ECG)、バイタルサインおよびBKウイルス徴候および結核徴候、および臨床検査。
有害事象(AE)は、対象または臨床的研究対象における、あらゆる不都合な医学的出来事(すなわち、あらゆる好ましくないおよび意図されたものではない徴候[異常な検査所見が含まれる]、症状、または疾患)である。したがって、AEは、医薬(研究)生成物の使用と時間的にまたは必然的に関係がある可能性もない可能性もある。
インフォームドコンセントに署名をしており、かつ研究に登録されているすべての対象について、インフォームドコンセントに署名した後に発生したすべての有害事象は、有害事象(Adverse Event)eCRFに記録されることとなる。既存の医学的状態/疾患(すなわち、病歴)は、それが、書面によるインフォームドコンセントを提供した後に悪化したならば、AEとみなされる。異常な検査値または検査結果は、これらが臨床徴候または症状を誘発する、または臨床的に有意であると考えられる、またはこれらが治療法を必要とする場合にのみ、AEに相当する。
AEの発生は、研究中の各来診時に、対象に対する非指示的な質問によって探るべきである。AEはまた、来診中または来診と来診の間に、または身体検査、臨床検査、または他の評価を通じて、対象が申し出る場合に見つけることができる。AEは、徴候、症状、またはこれに関連する診断に基づいて、有害事象(Adverse Event)eCRFに記録されなければならない。
SAEは、以下の基準のいずれか1つを満たす、あらゆるAEと定義される:
・致死的であるまたは生命を脅かす
・持続性のまたは重大な能力障害/不能をもたらす
・先天異常/先天性欠損となる
・入院が以下の目的である場合を除いて、入院患者の入院または現在の入院の延長を必要とする:
・状態のいかなる悪化とも関係がない、日常治療または研究される適応症の観察
・研究中の適応症と関連せず、かつ、インフォームドコンセント用紙に署名してからは悪化していない、既存の状態に対する待機的または事前計画治療
・上に示したSAEの定義のいずれかを満たさない、かつ入院にはつながらない事象に対する、緊急の外来患者としての治療
・対象の全身状態のいかなる悪化もない場合の、社会的理由およびレスパイトケア
・医学的に有意である、すなわち、患者を危険にさらす、または、上に列挙した転帰のうちの1つを予防するための医学的または外科的介入を必要とする可能性がある事象と定義される。
すべての悪性新生物は、他の重症度基準を満たさなければ、「医学的に有意」に基づいて重篤と評価することとなる。
(7)他の評価
薬物動態(血漿中の遊離CFZ533;Tacトラフレベル;MPAトラフレベル;ならびに血漿中の可溶型CD40および可溶型CD154)、移植片生着、患者生存、ならびにリンパ節/組織生検などの、他の変数も評価される。
2.投薬レジメン
あらゆる研究関連の評価が実施される前に、患者は、書面によるインフォームドコンセントを与えなければならない。同意が得られたら、移植前スクリーニングおよびベースライン評価を行い、移植の最大28日前に開始する研究に参加するための患者の適格性を決定することとなる。スクリーニング、ベースライン、および研究第1日の来診は、互いに近接して(すなわち、12時間の時間枠内で)行う。評価からのデータ収集は、医学的標準治療の一部として、臨床現場で実施したが、移植前に短時間で(すなわち24時間以内−第1日のベースラインウインドウを第1日に一致させる)、選択基準および除外基準に沿って評価されるならば、死亡したドナーから臓器を受ける患者について、患者の適格性を確認するために、事前のICF承認が許容される。
第1日は、無作為化/登録および移植の日と定義される。このプロトコルは、1週に対して7日、および研究1か月(Study Month)に対して4週(または28日)を定義する。例えば、第2週は、第8日に開始するとみなされ、研究第2か月目(Study Month 2)は、第5週/第29日に開始するとみなされる。無作為化/登録は、移植前の24時間以内に行うべきであり、薬物投与は、無作為化/登録後に開始することとなる。CFZ533が投与されることとなるならば、第1の用量のCFZ533は、移植前または手術中にIV投与されることとなり、クランプを外す時までに完了しなければならない。他の研究薬物は、移植後24時間以内に、または地域診療に従って開始しなければならない。
無作為化/登録されたが移植されなかった患者は、交代させられることとなる。すべての無作為化された/登録された対象は、無作為化された/割り当てられた治療中であるかどうかにかかわらず、第6か月(パート1)または第12か月(パート2)まで研究を継続することが期待される。すべての対象は、標準治療(SoC)での治療の患者について、その最終用量のCFZ533の後およそ3か月間、または、研究終了(EoS)の来診後2か月間、安全性(例えば、SAE)について追跡調査されることとなる。
拒絶反応速度が、先験的に定義された停止規則(示さない)を満たす、あらゆる治療群は、研究中のいかなる時点でも、直ちに中断されることとなる。
ある群から次への移行(パート1〜2が含まれる)は、先験的に定義された規則に基づくこととなる。投薬または研究の臨床的実施のあらゆる変更は、この研究の承認を担う倫理委員会によって、また、地方条例によって規定される場合には地域保健所によって承認された改正を介して実行されることとなる。
安全性評価には、身体検査、ECG、バイタルサイン、標準の臨床検査評価(血液学、血液化学、尿分析)、AEおよびSAEモニタリング、ならびに特別な評価が含まれることとなる。
選択基準を満たすおよそ6人の患者が、移植前のおよそ12時間以内に登録され、第1日(IV)、15日、29日、43日、および71日に、標準曝露Tac(全血トラフ濃度4〜11ng/mL)、ミコフェノール酸モフェチル1.0g BID、およびCSと共に、3mg/kgのIVおよびSC CFZ533を受けることとなる(図13A)。
第1の用量のCFZ533は、移植前または手術中にIV投与されることとなる。薬物投与は、登録後に開始することとなり、クランプを外す時までに完了しなければならない。その後の用量のCFZ533は、およそ3か月の期間、SC投与されることとなる。
他の研究薬物は、移植後24時間以内に開始しなければならない。
登録および移植の日が、研究の第1日であるとみなされることとなる。その後、移植後の入院が行われることとなり、次いで、患者は、第1〜3か月(最長およそ第71日まで)の間は毎週、次いで、第4〜6か月(最長およそ第155日まで)の間はおよそ1週おきに、研究来診に訪れることとなる。
累積的な有効性および安全性データは、研究の実行中、継続的に収集されることとなる。
PK、PD、およびtBPARは、臨床試験チームによって継続的に審査されることとなる。観察されるtBPARの数が、先験的に定義された中止基準を超えた時にはいつでも、研究は中止されることとなる。
選択基準を満たすおよそ45人の患者は、移植前の24時間以内に2:1様式で無作為化され、2つの治療群のうちの1つに入ることとなる(図13B):1.第2A群、n=30:バシリキシマブ20mg(第1日、4日)+10mg/kg(IV)のCFZ533(17回投与)+MMF 1.0g BID+CS;2.第2B群 対照/SoC、n=15:バシリキシマブ20mg(第1日、4日)+Tac(4〜11ng/mL)+MMF 1.0g BID+CS。
導入療法は、移植前の2時間以内に、または地域診療に従って開始しなければならない。
第1の用量のCFZ533は、移植前または手術中にIV投与されることとなる。薬物投与は、無作為化後に開始することとなり、クランプを外す時までに完了しなければならない。その後の用量のCFZ533は、12か月の期間にわたってIV(第2A群)投与されることとなる。
他の研究薬物(バシリキシマブは別として)は、移植後24時間以内に開始しなければならない。第2の用量のバシリキシマブは、第4日に、または地域診療に従って投与されることとなる。
無作為化および移植の日が、研究の第1日であるとみなされることとなる。研究の第3日、7日、15日、29日、43日、57日に、次いで、その後第12か月まで(最長およそ第337日まで)毎月、さらなる治療が施されることとなる。次いで、対象は、研究完了時(Study Completion)評価を受けることとなる。
成功基準(安全性およびtBPAR)が満たされているかどうかを判定するために、パート2の主要評価項目を評価することとなる。注意すべきAEまたは安全性が、先験的に定義された中止基準を満たすことに関与するならば、計画された用量レベルの1つを、改正を介して変更または中断することができる。
対象は、試験の最後に、研究完了時(Study Completion)評価を受けることとなる。
3.用量/レジメン、治療の期間の理論的根拠
この前向きな多施設研究のパート1に選択された非盲検の適応的デザインは、3か月間の、MMF+TacおよびCSに加えた場合の、反復投与CFZ533の安全性、忍容性、PK、およびPDの注意深い比較および評価を可能にすることとなる。パート2は、成人の新規腎移植レシピエントにおける臓器拒絶反応の初期および維持予防法のために、バシリキシマブ導入+MMFおよびCSを伴う、十分な検出力をもつCNIを使用しないレジメンにおいて、CFZ533の臨床活性および曝露反応を評価するために、パート1で得られた知識を発展させる。
理想的な研究は、この適応的な研究の固有の複雑性(複数の群、頻繁な来診、中間解析、および広範な調査)を考慮して、偏りを最小限にするために、二重盲検のダブルダミー方法論を用いるであろうが、非盲検の設計を利用することが決定されている。この非盲検の設計は、たとえ、突発的なSAEなどの迅速な介入の必要性が生じたとしても、CFZ533の初期検討中の患者のリスクを最小限にすることとなるだけでなく、CFZ533群におけるTacプラセボおよび対照グループにおけるプラセボ注射/注入に関するみせかけの用量調整に伴うさらなる困難および誤りを回避する。研究者バイアスが、特に非盲検の研究設定において、調査的治療を受ける患者の管理に影響を与える可能性があることが認識される。一般に、こうした精査は、研究を対照群に有利に偏らせる。したがって、CFZ533治療群についてのまたはCFZ533治療群に対する偏りを最小限にするための取り組みは、同様の標準治療および患者管理を行う限られた数の質の高い移植センターの使用を通じて成し遂げられることとなる。パート2において、非盲検設計によって導入されるあらゆる偏りを克服するために、盲検化された外部の独立した判定委員会(AC)が設立され、偏りのない、標準化された、盲検化された方式で、疑われる拒絶反応および他の腎臓疾患関連事象について、採取されたすべての生検が中心的に評価されている。判定結果は、eCRFに入力され、追加の出力が提供されることとなる。
このファースト・イン移植研究には、臨床研究プロトコルにまとめた選択基準および除外基準に従ってドナーから腎臓を受ける新規患者集団が登録されることとなる。この集団は、これらが典型的には、最高レベルの免疫抑制を必要とせずに、移植片機能の遅延を含めた移植後合併症の最も低いリスクを示す、また臨床活性の適正な評価を提供することから選択した。安全性リスクは、重篤な感染症およびそれに関係する悪性病変(例えば、PTLD)、ならびに血栓塞栓症に特に注意して、外部DMCによって、定期的に審査されることとなる。
治療を要したBPARおよびGFRの有効性評価項目は、臨床転帰(すなわち、死亡および移植片機能損失)と共にまたは伴わずに、従来の有効性評価項目(例えば、tBPAR、BPAR)だけではなく移植片機能の評価を含めることに関して、最近のHAガイダンス(CHMP/EWP/263148/06 2009)および考察(FDA Workshop 2012)と一致している。
tBPAR、移植片機能損失、または死亡の複合が、腎移植指標において、多くの以前の研究において評価項目として使用されており、この指標での登録目的のために、保健所によって広く受け入れられている。
全体的に見ると、この設計は、腎移植における免疫抑制レジメンの臨床開発のために広域の保健所によって十分に確立された先例と一致している。
IV経路と SC経路を介して新規腎移植患者に投与されることとなる初回CFZ533用量は、どちらも3mg/kg CFZ533である(パート1)。すべてのCFZ533治療レジメンについて、第1の用量のCFZ533は、クランプを外す時点での末梢のB細胞上の十分なCD40の標的占有および移植された臓器の血管再生を確実にするために、移植手術前にまたは移植手術中にIV投与されることとなる;このタイミングは、外来抗原が最初から存在する中での免疫反応の開始を回避する。患者の好都合および投与の容易さのために、SC経路が好ましいが、高用量、および手術中の初回用量の投与のために、IV経路が残されている。
以下のセクションは、CFZ533用量全体の理論的根拠、およびパート1および2についての詳細を順に論じている:パート1についての用量選択:健康なボランティアでは、3mg/kg(IVまたはSC)が、約4週間、B細胞上の十分な(>90%)CD40飽和をもたらした。にもかかわらず、膜結合型標的(Lowe et al 2010)と可溶型標的(Schwabe et al 1999,Contin et al 2003,Komura et al 2007)の発現レベルおよび/またはターンオーバーの差が、治療用抗体のPK/PDプロフィールに影響を与える可能性があることが認識される。新規腎移植患者における反復投与CFZ533 PKおよびPDをプロファイリングするために、3mg/kg CFZ533のIV投与とSC投与の両方を、この研究のパート1において、約2 1/2か月かけて調べることとする。さらに、患者間の変動性についてより良く制御する、また、4倍の免疫抑制にさらされる患者の数を最小限にするために、同じ6人の患者内で、IV投与と隔週および毎月のSC投与との両方を評価することが計画される。パート1のために計画された、予測されるCFZ533 PKおよびCD40受容体占有のシミュレーションを、図14に示す。移植の時点でのIV負荷用量を用いるSC投与のCFZ533 PK/PDシミュレーションが示される。第15日、29日、43日、および71日にSC投与。注:黒の太い曲線は、経時的なCFZ533濃度を表す(日)。左のy軸は、CFZ533濃度をμg/mLで表す。灰色の破線は、経時的なB細胞上の末梢CD40受容体占有を表し、右のy軸は、CD40受容体占有をパーセント(%)で表す。
正常な健康な対象と腎移植患者との間でCFZ533の消失が保存されるならば、計画された3回のq2wk SC投与後のCmaxは、50μg/mLに近づくであろう。CFZ533クリアランスが低下する場合には、CFZ533濃度は、IV注入の濃度(約80μg/mL)に近づくまたは上回ることが可能である。
このCFZ533レジメンは、治療期間にわたる末梢の全血における完全なCD40抑制をもたらすことが期待される。パート1からの結果は、この試験のパート2で調べることとなるIVおよびSC投薬レジメンのモデル化および選択についてより良く知るために使用することとなるPKおよびPDデータを提供することとなる。過剰免疫抑制のリスクをさらに最小限にするために、試験のこのパートに参加している患者に、バシリキシマブなしの導入療法が施されることとなる。患者はまた、CMVおよびPCPの予防法を受けることとなり、EBVの血清学的検査が陰性のレシピエントは除外されることとなる。
最終CFZ533用量の投与完了時に、患者は、定義された地域診療に基づいて管理されることとなるSoCを続けることとなり、研究プロトコルあたり6か月を通して観察されることとなる。
この試験のパート2では、CFZ533が、10mg/kg(IV)(7回の投与からなる負荷レジメンが、最初の2か月に使用され、次いで、毎月の(q4w)投薬が、研究第57日に開始する)で調べることとなる。
ヒトにおいて確認される安全性および忍容性:単一用量漸増(0.03〜30mg/kg)のCFZ533(i.v.)および3mg/kg(s.c.)を試験する第1相研究(CCFZ533X2101)が完了し、試験された最大用量(10mg/kg(i.v.))まで、安全上の大きな懸念は示されなかった。臨床経験に基づくと、10mg/kg(i.v.)の投薬レジメンは、安全でありかつTx患者において容認できると予測される。
前臨床毒性学的研究から得られる適切な安全域:これまでのGLP毒性研究は、(i)アカゲザルにおける、10、50、および150mg/kg(s.c.およびi.v.)での13週間の毎週のs.c.投薬、および(ii)カニクイザルにおける、1、50、および150mg/kgでの26週間の毎週のs.c.投薬で、CFZ533を試験している。これらの研究は、12週または24週間の提案された静脈内レジメンでのCFZ533の使用を妨げることとなるいかなる主要所見も示さなかった。カニクイザルにおける26週の毒性研究では、定常状態で、150mg/kg(NOAEL)での毎週の投薬後に、8300μg/mL(Cav,ss)の平均濃度が得られた。1か月の期間にわたる相当する全身曝露(AUC、定常状態条件)は、232400日*μg/mLであろう。これは、最初の1か月にわたる予測される全身的血漿曝露よりも約57倍高い(AUC0−28日;図3)。26週の毒性研究では、NOAELで、Cmax,ssは、9495μg/mLであった。これは、tx患者における提案された静脈内レジメンについての予測されるCmax(約400μg/mL)よりも24倍高い(図3)。
図3は、10mg/kg(コホート2)で静脈内に与えられるCFZ533についての、予測される平均血漿中濃度−時間プロフィールを示す。研究第1日、15日、29日、および57日(プラセボ対照期間)、および研究第85日、99日、113日、および141日(非盲検期間)に与えられる10mg/kg(i.v.)CFZ533についての平均PKプロフィールをシミュレートした。健康な対象におけるFIH研究CCFZ533X2101からのコホート5(3mg/kg(i.v.))PKデータの予備的モデルに基づく集団分析から得られたパラメータを使用して、ミカエリスメンテンモデルを適用した。抗CD40遮断剤を用いた以前の経験は、ヒトtxにおいては存在せず、健康な対象とtx患者との間のCD40(発現、ターンオーバー)の生物学のいかなる潜在的な違いも、分かっていなかった。提案されたi.v.レジメンは、治療期間全体を通して、tx患者における標的組織におけるCD40発現の増大について予測するための、40μg/mLを超えて維持される血漿中濃度を提供することが期待された。40μg/mLでの水平な点線は、標的組織における十分なCD40占有および経路遮断が期待される濃度を超える、血漿中濃度を表している(カニクイザル−1mg/kg用量グループにおける26週の毒性研究からのPDデータに基づく)。最初の1か月(より高い(higher)投薬頻度)の間の予測される全身曝露は、4087日*μg/mLであり(カニクイザル−毎週の150mg/kgのNOAELにおける26週の毒性研究における定常状態での1か月にわたって観察された全身的血漿曝露よりも57倍低い)、予測されるCmaxは、約400μg/mLである。
非ヒト霊長類における組織における関連するPD効果:26週の毒性学的研究(1mg/kg用量グループ)では、平均の定常状態血漿中濃度が≧38μg/mLである動物は、リンパ節の皮質B細胞領域における胚中心の完全な抑制を有していた。10mg/kg(i.v.)レジメンは、治療期間全体(プラセボ対照および非盲検、図3参照)を通して、tx患者における、より高いCD40発現について予測するための、40μg/mLを超えて維持される血漿中濃度、および標的飽和の喪失に起因する、標的組織における不完全なPD効果を提供することが期待された。
ASKP1240、CD40を遮断するモノクローナル抗体からのデータ:実質臓器移植における、Astellasの抗CD40抗体ASKP1240からの開示されたPK/有効性データの最近の分析(Harland et al 2015)は、組織における効率的な標的介在性の抗体クリアランスが、標的組織における標的発現の有意な増大の結果として、CD40遮断の喪失、および有効性の喪失の可能性をもたらす可能性があることを実証した。提案された静脈内レジメンは、治療期間全体を通して、より高いCD40発現が起こり得る状態で、CD40排除経路を飽和させることを目的としている。
図1は、進行中の比較研究CCFZ533X2203(開示しない)のコホート1および2の研究デザインの模式図である。
コホート3は、2つの期間を含む:
1.非盲検治療期間(第1日、第1週の投薬から、最終用量まで、および第85日、第13週の評価の完了)、
2.追跡調査期間(最終用量の完了後の第13週から、第141日、第21週まで)(患者が、研究薬物を受けずに8週間追跡される場合)
非盲検治療期間では、治療群1の投薬は、CFZ533 600mg(s.c.)(週1回、4週間)で開始し;治療群2では、投薬は、第1日のCFZ533 10mg/kg(i.v.)で開始する。
その後、それぞれ、週1回、4週間(治療群1)および9週間(治療群2)のCFZ533 300mg(s.c.)で、投薬を継続する。
図2は、進行中の研究比較研究CCFZ533X2203(開示しない)のコホート3の研究デザインの模式図である。
図4は、CFZ533−10mg/kg(IV)の薬物動態を示すグラフである。IVレジメンは、標的組織における十分な標的飽和および完全なCD40経路遮断を提供した。血漿中濃度>40μg/mL(グラフ内の点線)で、組織中のCD40経路遮断が予測される(GC発達およびT依存性抗原反応の抑制)。12/24週の治療後、患者によっては、CD40発現が下方調節されるという徴候が現れた。
(1)対照薬およびバックグラウンド薬物
成人の新規腎移植レシピエントでは、Tac、MMF、およびCSの使用は、承認されたレジメン(例えばPrograf(登録商標)PI 2013)であり、世界的に腎移植の80%超に使用されている現在の標準治療である。Tacが、MPAベースのレジメンと、また、IL−2アンタゴニストを使用する導入と組み合わせられる場合、Tacについての標識されたトラフ濃度範囲は、4〜11ng/mLであり(例えばPrograf(登録商標)PI 2013)、この範囲が、この臨床研究に用いられることとなる。
CFZ533は、パート1では、Tac、MMF、およびCSに加えて、パート2では、MMFおよび導入療法を用いるTac/CNIを使用しないレジメンにおいて試験されることとなる。すべての併用薬物は、ラベルに従って使用されることとなる。
(2)タクロリムス(Tac)
Tacは、T細胞活性化およびIL−2転写を阻止するカルシニューリン阻害剤である。Tac(例えばPrograf(登録商標))は、同種腎移植を受けている患者における臓器拒絶反応の予防について示されている。Tacは、アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル(MMF)または副腎の副腎皮質ステロイドと併用することが推奨される。Tacを受けているすべての患者について、治療薬物モニタリングが推奨される。腎移植患者では、初回用量のTac(例えばPrograf(登録商標))を、移植から24時間以内に投与することができるが、腎機能が回復するまで遅らせるべきである。MMF/IL−2受容体アンタゴニストと組み合わせて、0.1mg/kg/日の開始用量、および4〜11ng/mLの最初の12か月中の標的トラフ濃度が推奨される。腎移植患者における最も一般的な有害反応(≧30%)は、感染症、振戦、高血圧、異常腎機能、便秘、下痢、頭痛、腹痛、不眠、悪心、低マグネシウム血症、尿路感染症、低リン血症、末梢性浮腫、無力症、疼痛、高脂血症、高カリウム血症、貧血であった。Tacに関するより多くの情報については、個別の添付文書(例えばPrograf(登録商標)PI 2013)を参照されたい。
(3)ミコフェノール酸モフェチル(MMF)
MMF(例えばCellCept(登録商標))は、ミコフェノール酸(MPA)、すなわち、T細胞およびB細胞の成長に必要であるプリン(グアニン)生合成におけるイノシン1リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)の可逆的阻害剤の、プロドラッグである。他の細胞は、別のサルベージ経路を介してプリンを回収することが可能であるので、この影響を逃れることが可能であり、したがって、MMFは、リンパ球に対する強力な細胞増殖抑制効果を有する。MMFは、同種腎移植、心臓移植、または肝移植を受けている患者における臓器拒絶反応の予防について示されている。MMFは、シクロスポリンおよび副腎皮質ステロイドと併用するべきである。腎移植患者に使用するためには、1gの用量が1日2回、経口的に投与されること(1日量は2g)が推奨される。MMF(例えばCellCept(登録商標))は、妊娠している可能性のある女性患者に対する警告を載せている。MMFのいくつかの製造業者は、男性避妊(コンドーム)を推奨している。妊娠中の使用は、第一期妊娠喪失および先天性奇形のリスク上昇を伴う。生殖可能な女性(FRP)は、妊娠予防および計画に関して助言を受けなければならない。MMFの他の一般的な副作用には、下痢、嘔吐、疼痛、腹部疼痛、下腿、足首、および足のむくみ、高血圧が含まれる。より多くの情報については、個別の添付文書(例えばCellCept(登録商標)PI 2013)を参照されたい。
(4)バシリキシマブ
バシリキシマブ(例えばSimulect(登録商標))は、IgG1アイソタイプのキメラCD25モノクローナル抗体である。これは、活性化されたTリンパ球の表面上の高親和性IL−2受容体(CD25)のp55サブユニット(Tac抗原)のインターロイキン−2(IL−2)結合部位で、アンタゴニストとして作用する。バシリキシマブは、シクロスポリンおよび副腎皮質ステロイドを含有する免疫抑制レジメンの一部として使用される場合の、腎移植を受けている患者における急性臓器拒絶反応の予防について示されている。バシリキシマブは、もっぱら中心または末梢IV投与用である。再構成されたバシリキシマブは、ボーラス注射静注として与えられる、または通常の生理食塩水またはデキストロース5%で25mL(10mgバイアル)若しくは50mL(20mg/バイアル)の体積に希釈されて20〜30分かけてIV注入として投与されるべきである。成人の患者のための推奨されるレジメンは、2回の20mg用量であり;第1の用量は、移植前の2時間以内に与えられることが示唆され、第2の用量は、移植の4日後に与えられることが示唆される。ボーラス投与は、悪心、嘔吐、および疼痛を含めた局所的反応を伴う可能性がある。
4.治療
この研究では、以下の薬物が使用されることとなり、このプロトコル、および適用可能な場合には地域の現在の標識法に従って投与されることとなる。地域の承認状況および規制に依存して、列挙されたすべての剤形が、それぞれの国において利用可能というわけではない。対象が無作為化される治療レジメンは、最大4つの構成成分:MMF(すべての研究パート)、CS(すべての研究パート)、CFZ533および/またはTac(パート1では両方;パート2ではいずれか一方)、およびバシリキシマブ(パート2のみ)を含む。
CFZ533は、再構成を必要とする、150mg/mLの凍結乾燥された非盲検のバルク薬物として提供される。注入液/注射液のためのCFZ533 150mg/mL濃縮物(バイアル中の液体)が、導入されることとなる。調製および投与についての指示が、別の薬学マニュアルに記載されるべきである。
併用薬物は、ラベルに従って使用されることとなる。Tac(例えばPrograf(登録商標)またはGenerics)0.5mg、1.0mg、若しくは5.0mgカプセル剤または錠剤として。ミコフェノール酸モフェチル(例えばCellCept(登録商標)またはGenerics)250mg若しくは500mgフィルムコート錠、または250mgカプセル剤、またはIV投与のための500mgバイアル。滅菌水での再構成後のIV投与のための20mg凍結乾燥バイアルとしてのバシリキシマブ。経口およびIV投与のための副腎皮質ステロイド(CS)、MMF、Tac、およびバシリキシマブは、局所的に与えられることとなる。
プロトコルにより定義される以外の追加の免疫抑制剤は、使用することができない。
パート1では、対象は、第1群に登録されることとなる。パート2では、対象は、群2A〜2Bの1つに無作為に割り付けることとなる。研究治療は、次の通りに定義される。
パート1:第1群、n=6:3.0mg/kg(SC)のCFZ533(5回の投与;第1の用量IV)+Tac(4〜11ng/mL)+MMF 1.0g BID+CS。パート2:第2A群、n=30:バシリキシマブ20mg(第1日、4日)+10mg/kg(IV)のCFZ533(17回の投与)+MMF 1.0g BID+CS。第2B群 対照/標準治療、n=15:バシリキシマブ20mg(第1日、4日)+Tac(4〜11ng/mL)+MMF 1.0g BID+CS。
被験薬CFZ533は、Novartisによって調製され、非盲検化されたバルク薬物として研究者に供給されることとなる。
パート2における研究薬物の調製のために、盲検化されていない薬剤師または指名された人が、研究者のサイトで、治療コードを受け取るために、IRTシステムにログインすることが必要となる。さらに、盲検化されていない薬剤師または指名された人は、研究者のサイトで、別の薬学マニュアルに基づいて、対象への投与のための薬物を調製することとなる。対象特有の分配プロセスの適切な文書化が継続されるべきである。バルク薬物ラベルは、現地の言葉となり、各国の法的必要条件に従うこととなり、対象に関する情報ではなく薬物についての保管条件が含まれることとなる。
(1)導入療法
対照群、またはTac、MMF、および/またはステロイドがプロトコルに従って投与されることとなる群に無作為に割り付けられた患者に対して、センターの診療に従って移植前に投与することができるが、こうした診療は、所与のセンターのすべての対象に対して常に変わることなく適用されなければならない。無作為化/登録では、すべての対象は、割り当てられたレジメンに従わなければならない。導入療法、およびTacまたはMMFも含めた移植前免疫抑制は、免疫抑制カテゴリー内の併用薬物(Concomitant medication)eCRFに記録されるべきである。
(2)バシリキシマブ導入療法
導入療法を受けるために無作為化された対象は、IV投与される2×20mg用量のバシリキシマブを受けることとなる。第1の用量は、移植手術の前の2時間以内に与えられるべきであり、第2の用量は、移植後第4日に、または地域診療に従って投与されるべきである。
20mgバイアルが、5mL滅菌水で再構成されるべきである。生じた溶液は、等張性であり、IVボーラスとして注射することができる。あるいは、この溶液を、滅菌した生理食塩水および5%デキストロースで50mLの体積に希釈して、30分かけて注入として投与することができる。ボーラス投与後に静脈刺激が生じたならば、次の用量は、(適切な場合)30分の注入として投与されるべきである。維持用量は存在せず、導入療法には他の抗体は許容されない。すべてのバシリキシマブ用量および変更は、免疫抑制カテゴリー内の併用薬物(Concomitant Medication)eCRFに記録されなければならない。
(3)CFZ533療法
CFZ533は、それぞれの来診時に、権限が与えられた研究スタッフによって、IV注入またはSC注射によって患者に投与されることとなる。
第1の用量のCFZ533は、移植前または手術中にIV投与されることとなる。薬物投与は、無作為化/登録後に開始することとなり、クランプを外す最大6時間前に、またはクランプを外す時までに完了しなければならない。
研究薬物調製および投与ガイドラインは、別の薬学マニュアルに記載されている。対象は、ベースライン来診時に体重測定することとなり、この体重値は、最初の研究薬物調製および用量の算出のために使用されることとなる。ほとんどの実際の体重は、さらなる用量算出の根拠として役立つこととなる。
対象に処方および投薬されるすべての投薬量、ならびに研究中のすべての用量変更は、にCFZ533用量投与記録(Dose Administration Record)eCRFに記録されなければならない。患者は、研究者によって適切であるとみなされるならば、それぞれの治療後に、解放することができる。
(4)MMD投与
ミコフェノール酸モフェチルは、500mgの2錠または250mgの4カプセル(b.i.d.)(2g/日)となる。移植後>24時間挿管されたままである、および/または他の理由で経口薬物を飲み込むことができない患者については、経口への転換が可能になるまで、IV MMFに置換することができる。
第1の用量のMMFは、無作為化/登録の直後に、および同種移植片の移植片血流再開後24時間以内に、または地域診療に従って投与されることとなる。
すべてのMMF用量および変更は、用量投与記録(Dose Administration Record)eCRF(パート1)、および免疫抑制カテゴリー内の併用薬物(Concomitant Medication)eCRF(パート2)に記録されなければならない。
(5)タクロリムス投与
Tacは、POカプセル剤(b.i.d.)として投与され、4〜11ng/mLの目標範囲内に維持するように調整されることとなる。Tacは、可能な限り早く、また、移植片の血流再開後24時間以内に開始されるべきである。この研究におけるTacの最も低い可能な投薬は、0.5mg(b.i.d.)である。Tacが、連続して21日よりも長い間、中断されるならば、研究レジメンを継続することはできず、患者は、無作為化された治療を中断され、地域診療によって管理されなければならない。その研究レジメンを中断する対象は、研究において、パート1における第6か月またはパート2における第12か月まで、標準治療を維持することが期待される。
Tac投薬は、研究者によって必要に応じて変更され、それぞれの来診時に、タクロリムス用法用量記録(Dosage Administration Record)(パート1)および併用薬物(Concomitant Medication)(パート2)eCRFに記録されることとなる。Tac不耐性(例えば、腎毒性、神経毒性)の場合には、Tacの用量低下が必要である可能性がある。Tacトラフレベルが、必要とされる目標レベル外であることが起こるならば、研究者は、用量低下の開始日および理由を、タクロリムス用法用量記録(Dosage Administration Record)(パート1)および併用薬物(Concomitant Medication)(パート2)eCRFに記録するために、意図されるTacトラフレベルを確認することを求めることとなる。
Tac代謝を妨げることが知られている薬物の同時投与は、可能ならば避けられるべきである。これらの薬物が必要とされるならば、研究者は、Tacトラフレベルを慎重に監視するべきである。
患者は、採血の前日の最終投与の時間を記録し、朝の用量を、血液採取が完了した後に投与することができるように、来診時にするように指示されることとなる。
(6)副腎皮質ステロイド
副腎皮質ステロイド(CS)は、それぞれのサイトに登録されたすべての患者において一致するように、地域の標準診療に従って投与されることとなる。CSの投薬は、免疫抑制カテゴリー内の併用薬物(Concomitant Medication)eCRFに記録されるべきである。
5.結果
CD40シグナル伝達は、自己免疫疾患(AD)の病因と関連しており、全身性ADを患う患者は一般に、CD40発現の増大および血清/血漿CD40レベルの上昇を呈する。
CFZ533は、標的介在性消失(TMD)、すなわち、(用量に相関して)かなりの割合のCFZ533がCD40と高親和性で結合され、その結果、この相互作用が、CFZ533のPKプロフィールに反映されるプロセスを受ける。こうした状況では、実質臓器移植患者を治療するための適切な用法用量を定義するために検討するための追加の因子には、体内のCD40発現レベル、CD40合成および分解(標的の生物学)、ならびにCFZ533−CD40結合動態が含まれる。
健康なボランティア、関節リウマチ、一次性シェーグレン症候群、腎移植、肝移植、グレーブス病、および重症筋無力症患者におけるCFZ533の以前の臨床経験は、CD40発現の上昇が、CD40が十分には飽和していなければ、CFZ533の高い排除(クリアランス)速度は、標的エンゲージメントの喪失、および標的組織におけるCD40経路遮断の喪失と関連することを示している。十分なCD40占有下では、CFZ533のクリアランス全体へのCD40の寄与は最小限であり、CFZ533の消失は、主として、FcRn受容体(再利用/サルベージによるIgG恒常性を担う高能力受容体)へのCFZ533結合の結果である。図4は、図1および2、研究CCFZ533X2203(本明細書には開示しない)に開示されたレジメンに従って投与された患者におけるCFZ533の血漿中濃度を示す。
薬物動態/薬力学的展望および用量設定戦略から、患者における適切な用法用量が、負荷レジメン、それに続く維持レジメンを含むであろう可能性が高い。
おそらく最初の1か月の間、IVまたはSC投与を通した負荷レジメンが正当化される。なぜなら、CFZ533は、CD40介在性の排除を受けるからである。治療の開始時にCD40が十分には飽和されていないならば、CD40発現の上昇の状況で、CFZ533の高い排除(クリアランス)速度は、標的エンゲージメントの喪失、および標的組織におけるCD40経路遮断の喪失と関連する可能性が高い。負荷期間の後、患者における進行中の研究CCFZ533X2203(本明細書には開示しない)からのPKデータを使用する予備的なモデル化に基づいて、SC維持レジメンが、標的組織における十分なCD40経路遮断を確実にするように選択されることとなる。
図11は、実際のCFZ533血漿中濃度と共にプロットされた、新規腎移植患者におけるおよび維持腎移植患者における、CFZ533についての予測される血漿中濃度−時間プロフィールを表している。
これらの線は、典型的な移植患者についてのCFZ533血漿中濃度の予測される時間経過を表す(新規移植患者;600mg(SC)Q2W維持レジメン−長破線、または300mg(SC)Q2W維持レジメン−実線;または450mg(SC)Q2W維持レジメン−短破線)。これらのレジメンのそれぞれについて、定常状態でのトラフCFZ533血漿中濃度についての90%予測区間を示す。これらの予測は、体重の範囲が50〜120kgである患者についてのものである。別の研究において測定されたCFZ533血漿中濃度を、灰色の点として示す。予測は、ファースト・イン・ヒューマン研究および移植研究からのデータに適合させたモデルに基づく。
事後平均tBPAR率を、95%信用区間、tBPARを患う患者の数、および閾値、10%、15%、20%、および25%を超える事後確率と共に示した。tBPAR率についての事後確率分布のプロットを提供した。
あらかじめ定義した成功基準は、CFZ533群と対照グループとの間のtBPAR率の、(少なくとも60%の証明のレベル(level of proof)を用いた)20パーセントポイント未満の差であるとみなされた。
研究の全体的な結果を、表2に示す。
Figure 0006861301
薬物動態パラメータの全体像は、表3において参照される。
Figure 0006861301
治療を要した生検で確認された急性拒絶反応(tBPAR)の頻度および重症度(Banff分類)によって定義される有効性を、表4に示す(判定されたデータ)。
Figure 0006861301
有効性データの統計解析の全体像を、表5に示す。
Figure 0006861301
Figure 0006861301
パート2におけるeGFRを、表6に示す。
Figure 0006861301
有害事象(AE)の概要は、表7において参照される。AEは、第1の患者の第1の来診(FPFV)から最終の患者の最終の来診(LPLV)まで収集した。
Figure 0006861301
結論として、この研究は、CFZ533群の患者が、研究全体を通して、有意に良好な腎機能を有しており;eGFRの差はおよそ10mL/分であり、急性拒絶反応のリスクは、Tacで治療された患者のリスクと同様であったことを示す。
報告されたBPARの割合は、どちらの治療群においてもかなり高かった。これは、最近失敗した競合者の試験後の研究者の特別な警戒による可能性が最も高い。したがって、独立した盲検化されたACが、試験の成功のために不可欠であり、将来の移植研究についての重要な学びを提供した。
この研究はまた、NODATのリスクが、CFZ533患者では、はるかに低いように見え(TAC+MMFで治療された患者の16.67%(パート2)と比較して;CFZ533+TAC+MMFで治療された患者の0%(パート1);CFZ533+MMFで治療された患者の8.82%)、どちらかと言えば、合併症が、CFZ533を用いると、Tacを用いるよりも少ない傾向があったことを示す。したがって、CFZ533は、良好な耐容性を示し、安全性プロフィール、PK、および有効性の結果は、第II/III相試験へのさらなる進行を裏付ける。
実施例8.CFZ533、すなわち遮断性の非細胞枯渇抗CD40モノクローナル抗体のインビトロおよびインビボ特性の特徴
1.方法
CD40に対するCFZ533の親和性の表面プラズモン共鳴分析
組換えCFZ533の結合分析を、ランニング緩衝液としてHBS−EP+を用いて25℃で実施した。典型的な結合分析サイクルは、3つのステップ(i)チップ表面上に固定されたタンパク質Aを介する抗体の捕捉、(ii)捕捉された抗CD40抗体へのCD40抗原の結合、および(iii)タンパク質A表面の再生から構成されていた。抗原−抗体結合相互作用の反応速度定数(kinetic rate constant)を決定するために、ブランク注射からの反応を二重参照して、結合データを処理した。結合曲線を、Biacore T100 Evaluationソフトウェアの1:1相互作用モデルを使用して局所的に適合させて、反応速度定数を決定した。平衡解離定数(KD)の値を、速度定数kd/kaの比として算出した。すべての結合測定は、2つの独立した実験で実施した。
FcγRIIIAに対するCFZ533の親和性の表面プラズモン共鳴分析
4−アミノ酸精製タグ(4APP;Novartis)およびAviビオチン標識タグ(GLNDIFEAQKIEWHE;Avidity)でタグ付けされたヒトFcγRIIIAの細胞外ドメインを、Geneart:ヒトFcγRIIIA(CD16a)158V(Uniprot:P08637、17−199)、ヒトFcγRIIIA 158F(Uniprot:P08637、17−199)によって合成し、HEK293細胞において発現させ、抗4APP親和性クロマトグラフィーを用いて精製した。受容体を、ストレプトアビジンセンサーチップ(General Electric)に結合させたBirA(Avidity)を用いて部位特異的にビオチン標識し、異なるAbの平衡−結合レベルを、記載されている通りに(Warncke et al.2012)表面プラズモン共鳴(T100、General Electric)によって分析した。平衡解離定数(KD)は、1:1モデルによって算出した。
ヒト白血球培養
全血バフィーコートは、健康なボランティア(Blutspendezentrum,Basel,Switzerland)から、または、Swiss Human Research Actおよび責任ある倫理委員会(Ethikkommission Nordwest−und Zentralschweiz;EKNZ)の承認に従ってインフォームドコンセント下で提供された健康なボランティアから採取された全血から得た。ヒト扁桃試料は、Ergolz Klinik(Liestal,Switzerland)(研究プロトコルNo.1000244 v.03;Ethikkommission beider Basel;EKBBによって承認されている)とKantonspital(Liestal,Switzerland)(研究プロトコルNo.TRI0149 v.01;EKNZによって承認されている)の両方から得た。インビトロ培養実験については、詳細な方法についての補足資料を参照されたい。簡単に言うと、全血、単離されたPBMC、インビトロで得られた単球DCまたはヒト扁桃B細胞を、単一濃度のまたは用量漸増のCFZ533または適切な対照抗体と共にインキュベートした。経路遮断実験については、これらの培養物は、EC80濃度の組換えヒトCD154(5μg/ml)およびIL−4(75ng/ml)も含んでいた。インビトロアッセイの読み取りには、チミジン取り込み(H−TdR)によって評価される増殖、B細胞上の活性化分子CD69の発現のフローサイトメトリーに基づく評価、およびELISAによって評価されるサイトカイン分泌が含まれていた。NHP全血およびPBMCについて、同様のアッセイを使用した。いくつかのヒト全血実験では、蛍光的にタグ付けしたCFZ533を使用して、CD40受容体占有も調べた。適切な場合には、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアにおける線形回帰に基づく曲線適合を使用して、IC50値を推定した。
インビトロ細胞枯渇アッセイ
詳細な方法についての補足資料を参照されたい。簡単に言うと、CFZ533がCD20posB細胞の枯渇を媒介する能力を、B細胞枯渇抗体リツキシマブと比較して、3日の期間にわたって、ヒト全血においてモニタリングした。CDCについては、CFZ533またはリツキシマブを、ウサギ補体の存在または非存在下で、RAJI B細胞と共にインキュベートし、細胞溶解を発光によって評価した。
CFZ533の内在化
蛍光的にタグ付けしたCFZ533およびrCD154の内在化を、ヒトB細胞株RI−1(Th’ng et al,1987)を使用して、インビトロで評価した。CFZ533内在化のCD40依存性は、CD40ノックアウトRI−1細胞株を使用して評価した。内在化は、製造業者の指示書に従ってAmnis(登録商標)イメージフローサイトメーター(image flow cytometer)(Merck KHaA,Darnstadt)を使用して評価し、データはImageStream(登録商標)ソフトウェアを使用して解析した。
インビボ研究
単一用量薬物動態/薬力学的(PK/PD)研究は、7.5〜8.5歳(6.5±2.6kg)の、フィリピン(Siconbrec,Makati City,Philippines)で飼育下繁殖された、生物製剤治療を受けていないカニクイザル(Macaca fascicularis)を利用した。動物の取り扱い、世話、薬物治療、および血液採取は、動物保護に関するSwiss Federal Lawに従って実施される(動物ライセンスBS #1900、BS#1495)。リコール免疫化実験については、本発明者らは、Covance Laboratories GmbH,Muenster,Germanyで行われた毒性研究からの動物を利用した(論文準備中)。この研究は、動物福祉法および認められている動物福祉の標準に関して国の法的規制の徹底順守で、認可された研究プロトコルおよび地域の標準の手術手順に従って実施した。
PK研究では、CFZ533が、16.2(5532)、18.5(5531)、および20(5530)mg/kgという計算された単一用量で、3匹の動物に投与された。CFZ533血清中濃度、末梢TおよびBリンパ球の数、およびCFZ533による末梢B細胞上のCD40占有の分析のために、血液を採取した。リコールTDAR実験については、動物は、研究第8日(初回抗原刺激)および43日(リコール;CFZ533治療中)に、それぞれ、Alum中のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)で免疫を受けた。初回抗原刺激およびリコール免疫化の1日前、および7、14、および21日後に、血清を採取した。KLH特異的なIgM/IgG力価は、標準としてカニクイザル抗KLH IgM/IgG標準血清を使用するサンドイッチELISAを用いて決定した。PK評価は、上に記載している通りに実施した。PKおよびTDAR実験の追加的詳細については、補足資料を参照されたい。
胚中心の組織学的分析
ホルマリン固定し、パラフィンワックスに包埋した(FFPE)脾臓、およびリンパ節(腋窩、下顎、および腸間膜)の切片を、ヘマトキシリンおよびエオジンで、ならびに、以下のマーカー:抗CD20抗体(M0755、Dako)、抗CD8抗体(RM−9116−SO、Medac)、およびKi67(M7240、Dako)を用いる間接的な免疫ペルオキシダーゼ方法(DakoによるHRP+DAB)で染色した。すべてのスライドを、評価し、染色の強度に従って(陰性から強度まで)等級分けした。さらに、組織内のあらゆる免疫組織化学的染色された細胞の染色パターンおよび分布も記載した。
2.結果
CFZ533は、ヒトCD40と結合し、複数のCD40発現細胞型のrCD154誘導性の活性化を阻害する。
表3は、組換えヒトCD40に対するCFZ533のKDが、表面プラズモン共鳴によって0.3nMと決定され、したがってその親抗体HCD122(CFZ533の野生型IgG1バージョン)と非常に類似していたことを示す。
Figure 0006861301
図5Aは、複数のドナー(それぞれ、5、32、および6人のドナー)からの、ヒト全血培養物、PBMC、および単離された扁桃B細胞の、rCD154およびIL−4介在性の増殖(3H−TdR)に対する、CFZ533の効果を示す。データは、正規化されたcpmとして示す(rCD154+IL−4=100;点線)。図5Bは、CFZ533が、一晩の培養後のrCD154刺激されたmoDCによるTNF−α産生を阻害したことを示す。図5Cは、CFZ533の遅延添加(delayed addition)が、rCD154+IL−4介在性のヒトPBMC増殖を阻害したことを示す。rCD154+IL−4での刺激の1時間前、同時、または2および6時間後に、CFZ533をヒトPBMCに添加し、その後の4日間の培養の後に、増殖(3H−TdR)を評価した(点線および破線は、rCD154+IL−4、および細胞+培地対照を表す)。すべてのデータについて、rCD154誘導性の刺激の読み取りの平均値およびSDを、対数変換したCFZ533濃度の関数としてグラフで示した。適切な場合には、IC50値を、線形回帰に基づく曲線適合を使用して決定した。図5Dは、CFZ533によるCD40占有と経路遮断との関係を示す。10人のドナーからのヒト全血を、用量漸増のCFZ533の存在下で、rCD154と共に、一晩培養した。経路活性化の程度(B細胞上の%CD69pos)、およびCD40占有の程度(CFZ533をAlexaFlour 488標識して染色)を評価した。白丸および黒丸は、それぞれ、CFZ533によって占有されるCD40の割合、およびCD20pos B細胞上のCD69pos発現細胞の割合を、対数変換したCFZ533濃度の関数として示す(平均値およびSDを示す)。点線および破線は、すべてのドナーに対して正規化された、rCD154誘導性のCD69発現、および細胞+培地対照培養物を表す。
図5Aは、CFZ533が、複数のドナーからのヒト全血培養物、PBMC、ならびに精製された扁桃B細胞のrCD154誘導性の増殖を、それぞれ0.024μg/ml(0.16nM)、0.017μg/ml(0.12nM)、および0.071μg/ml(0.47nM)の力価(IC50値)で、完全に阻害したことを示す。さらに、本発明者らは、CFZ533が、初代単球由来樹状細胞(moDC)によるrCD154誘導性のTNF産生を、0.04μg/ml(0.27nM)のIC50で完全に阻止したことを実証することができた(図5B)。
以前に公表されている通り、CFZ533は、カニクイザル由来のPBMCのrCD154誘導性の増殖を阻害した(Cordoba et al.,2015)。CFZ533は、ヒト、アカゲザル、およびカニクイザル動物由来のPBMCのrCD154誘導性の増殖を、同様の力価(それぞれ0.02、0.03、および0.01μg/mlのIC50)で阻害し、また、これらの種由来のB細胞上のCD40と、およそ0.2μg/mlのEC50値で結合することができた(表4参照)。
Figure 0006861301
上の細胞データは、CFZ533が、rCD154の前にまたはrCD154と同時に添加される実験から得られ、これは、この抗体が、内在性リガンドの結合を妨げることができることを示している。本発明者らはまた、rCD154を含有する白血球培養の開始の最大6時間後のCFZ533の添加が、最小限の力価の損失を伴って、細胞活性化の完全な阻害をもたらすことを実証することができ、これは、CFZ533が、CD40から内在性リガンドを外して取って代わることができることを示している(図5C)。
本発明者らはまた、CFZ533によるCD40占有の程度と、経路阻害の程度との間の関係を評価することを望んでいた。それを行うために、本発明者らは、複数のドナーからの全血において、CFZ533によるCD40受容体占有と、rCD154誘導性のCD69を、同時に評価した。図5Dは、少なくとも90%の、CFZ533によるCD40受容体占有が、CD40経路活性化の完全な遮断のために必要とされていたことを示す。受容体占有と経路阻害との間の同様の関係はまた、CD40経路活性化の読み取りとしてCD23およびCD54を使用して認められた(データは示さない)。
CFZ533はインビトロで最小限の刺激の可能性を呈する
CFZ533がヒト白血球の活性化を刺激する能力を、全血におけるB細胞上の活性化分子CD69の増殖および上方調節を使用して評価した。図6Aは、以下に関するデータを示す。i.複数のドナー(n=13)からのヒト全血を、用量漸増のCFZ533と共にインキュベートし、培養の3日後に増殖(H−TdR)を評価した。ii.複数のドナー(n=26)からのヒトPBMCを、用量漸増のCFZ533と共にインキュベートし、培養の3日後に増殖(H−TdR)を評価した。どちらのグラフについても、データは、対数変換したCFZ533濃度の関数として、正規化されたcpmの平均値およびSDとして示す(rCD154+IL−4=100;点線、細胞+培地=0;破線)。図6Bは、CFZ533が、追加の刺激の存在下で、ヒトPBMC増殖を誘発しないことを示す。ヒトPBMCを、IL−4(i)または抗IgM F(ab’)2.(ii)の存在下で、用量漸増のCFZ533で3日間刺激した。3H−TdR(cpm)の平均およびSDを、対数変換したCFZ533濃度の関数として示す。図6Cでは、刺激なし、CFZ533、アイソタイプ対照、またはrCD154を伴うヒト全血(41人のドナー)が、どのように一晩培養されたか、また、B細胞上のCD69発現がFACSによってどのように評価されたかを示す。それぞれの点は、単一のドナーからのデータを表し、平均の%CD69値は、水平な赤線によって示される。
図6Aは、CFZ533が、rCD154と対照的に、ヒト全血(1:10希釈)またはPBMCによるチミジン取り込みを誘発できなかったことを示す。CFZ533が増殖を誘発できないことは、IL−4または抗IgMなどの追加の共刺激物質の添加によって影響を受けなかった(図6B)。本発明者らはまた、CFZ533が、やはりrCD154と対照的に、複数のドナーからの全血におけるB細胞上のCD69の上方調節を誘発できなかったことを実証することができた(図6C)。最後に、CFZ533は、CD40を発現している単球由来DCまたはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)によるサイトカイン産生を誘発できなかった(データは示さない)。
CFZ533は細胞枯渇を媒介しない
CFZ533を、FcγR結合を阻止し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介できないことをもたらすことが以前に示されているN297A変異を含有するように操作した。CFZ533は、HCD122(野生型IgG1)と比較すると、FcγRIIIAと結合することができず(表5)、本発明者らは、結合のこの欠如が、CFZ533が細胞枯渇を媒介する能力にどのようにして影響を与えるかを調べることを望んでいた。
Figure 0006861301
図7Aは、用量漸増のCFZ533または50μg/mlリツキシマブの存在下で72時間インキュベートされた、ヒト全血培養物からのデータを示す。B細胞数は、リンパ球FSC(前方散乱光)/SSC(側方散乱光)ゲートの範囲内にあるCD45posおよびCD19pos事象に基づいて決定した。個々の抗体濃度についての結果を、治療していない試料に関して、残存するB細胞(パーセント)として算出し、対数変換した抗体濃度の関数としてグラフで示した(100%に補正し、点線として示した)。データは、8人の独立したドナーの平均値およびSDを表す。図7Bは、異なる濃度のリツキシマブまたはCFZ533、および一定濃度のウサギ補体と共にインキュベートしたRaji B細胞からの結果を示す。Raji細胞の濃度依存性の死滅を、2時間後に分析し、ここでは、細胞の生存率を、ルシフェラーゼを使用する各ウェル内のATP濃度の決定によって測定した。結果は、対数変換した抗体濃度の関数として、アイソタイプ対照に対して正規化された相対ルシフェラーゼ単位(RLU)として示す。
図7Aは、枯渇抗CD20抗体リツキシマブが、ヒト全血におけるB細胞のおよそ80%を排除することができたのに対して、CFZ533は、細胞枯渇を媒介できなかったことを示す。さらに、CFZ533は、リツキシマブとは対照的に、Raji B細胞の補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介することができなかった(図7B)。
CFZ533はB細胞によってCD40依存的に内在化される
本発明者らは、次に、CFZ533が、ヒトB細胞株RI−1において発現しているCD40によって内在化される可能性があるかどうかを調べることを望んでいた。図8Aは、rCD154が、非許容条件(4℃)と比較して、許容条件(37℃)下で内在化された(ここでは、rCD154の弱い染色を、原形質膜上に観察することができた)ことを示す。CFZ533も内在化されたが、37℃で、残留する膜染色が確かにあるように見えた。図8Bは、rCD154の内在化の程度が、CFZ533について観察されるものよりも大きいように見えることを示した。本発明者らは、CD40ノックアウトRI−1 B細胞株を使用して、CFZ533(図8C)およびrCD154(データは示さない)の結合および内在化が、CD40依存性であることを実証することができた。
図8Aは、AlexaFlour 488で標識したrCD154またはCFZ533と共に、37℃または4℃で3時間培養した、個々のRI−1 B細胞の代表的な画像を示す。図8B.許容条件下でのCFZ533およびrCD154の相対的な内在化浸食(internalisation erode)(非許容浸食値を引いたもの)。それぞれの点は、個々の(individual)実験からのデータを表し、集団平均は、水平な赤線として示される。図8C.Alexa488で標識したCFZ533と共に37℃で3時間培養した、個々のCD40発現またはCD40ノックアウトRI−1細胞の代表的な画像。すべての実験において、細胞膜の境界をはっきりさせるために、細胞は、AlexaFlour 647標識されたCD45で共染色した。
非ヒト霊長類におけるCFZ533の薬物動態特性
図9A.16.2(5532)、18.5(5531)、および20(5530)mg/kg(静脈内)という計算された用量での単一用量投与後の3匹のカニクイザルにおけるCFZ533の血清中濃度。図9B.CD40占有率:利用可能なCD40(パーセント)(i)および総CD40(パーセント)(ii) C.末梢B/T細胞:単回投与後の末梢血B細胞の割合。第0日は、CFZ533が投与された時である。
上のデータは、CFZ533が、NHP CD40に結合し、NHP B細胞のrCD154誘導性の活性化を、同様の力価で阻害することができたことを示した。これは、カニクイザルおよびアカゲザルが、CFZ533 PKとPDとの間の関係を調べるインビボ研究に適した種であろうことを示唆している。図9A内のデータは、CFZ533の単回静脈内投与(16.2、18.5、および20mg/kgという計算された用量)後の、3匹のカニクイザルのPKプロフィールを示す。内在化している膜結合型抗原を標的にするモノクローナル抗体に典型的であるが(Mager et al.2006およびNg et al.2006)、CFZ533濃度の時間経過は、明らかな標的介在性の消失を呈し、非線形PKプロフィールならびに濃度依存性のクリアランス速度および半減期がもたらされた。PKプロフィールにおいて観察される屈曲点は、標的エンゲージメントのマーカーであり、CFZ533のクリアランス全体へのCD40の寄与の増大、およびより短い半減期と関連している。さらに、PKプロフィールにおける屈曲点は、CD40飽和の低下が観察される時間と一致していた(図9B、i)。これは、CFZ533が、より急速な排除を受けた場合に、およそ10〜20μg/mlで起こった。すべての動物において、細胞上のCD40受容体発現の喪失は存在しなかった(図9B、ii)。さらに、CFZ533は、研究全体を通したいくつかの観察される変動にもかかわらず、末梢血B細胞(図9C)またはT細胞(データは示さない)が枯渇されなかった。
CFZ533はリコールT細胞依存性抗体産生を阻害する
図10Aは、リコールTDARに対するCFZ533の効果を評価するための実験設計の模式図を示す。x軸よりも下の矢印は、一次および二次KLH免疫化を強調する。単一用量の10mg/kg CFZ533のタイミングを、上に示す。アスタリスクは、抗KLH IgGおよび/またはCFZ533濃度が測定された時点を示す。図10B.各グラフは、個々の動物についての抗KLH IgG(黒塗記号)および血漿CFZ533濃度(対数スケール;実線)を示す。対照動物からの平均抗KLH IgGレベル(白抜き記号)を、比較目的で、各グラフに重ね合わせる。図10C.CFZ533を使用する1mg/kg/週の皮下反復投与(26週研究)から得られるアカゲザルからのmLNにおける胚中心(Ki67染色)の組織学的分析。6匹の動物からの代表的なmLN切片を、(i)対照の画像(ii).iii.治療期間の最後の個々の動物からの、投薬期間にわたる平均の定常状態CFZ533血清中濃度と共に示す。
遮断されるCD40の予測される狙い通りのPD効果は、TDARの阻害である(Kawabe et al.1994)。CFZ533は、NHPおよびヒトにおける一次TDARを阻害し、本発明者らはまた、リコールTDARに対するこの抗体の効果を調べることを望んでいた。その実験設計の概要を、図10Aに示す。簡単に言うと、4匹のアカゲザルは、研究第1日の10mg/kgでのCFZ533の単回静脈内投与の前、研究第−28日(初回抗原刺激)に、Alum中のKLHで免疫を受け、それに続いて、研究第15日に第2のKLH免疫化を行った。
図10Bは、4匹のそれぞれの動物における、免疫を受けた対照(CFZ533なし)からのデータと比較した、抗KLH IgGリコール反応に対するCFZ533の効果を示す。CFZ533のPKプロフィールでは、動物間の変動性が存在しており、動物#1および#3では、より迅速なCFZ533の排除が観察された。動物#2および#4では、より長い期間、より高い血漿中濃度が観察された。興味深いことに、これらの動物は、研究第15日での抗KLH IgG(およびIgM;データは示さない)リコール反応の完全な抑制を示した(すべての動物は、KLHに対する一次TDARを開始したことに留意されたい)。対照的に、より迅速なCFZ533のクリアランスを有する動物(動物#1と比較すると、動物#3が、より大きな遅延)では、特に、血清CFZ533濃度が、第2のKLH免疫化の時点で、およそ40μg/ml未満である場合に、抗KLH IgG反応が(いくらかの遅れを伴ってはいるが)観察された。移植された(Cordoba et al.2015)および移植されていない(図9B)動物における、CFZ533での以前のインビボ実験で観察されている通り、末梢B細胞枯渇は観察されなかった(データは示さない)。
上の結果は、NHPにおけるリコールTDARの完全な抑制のためには、およそ40μg/mlよりも高いCFZ533血清中濃度が必要であることを示した。本発明者らは、CFZ533曝露とCD40経路関連の組織薬力学的効果との間の関係をさらに調べることを望んでいた。1mg/kg/週のCFZ533(皮下)での26週の毒性研究の停止時に、本発明者らは、腸間膜リンパ節(mLN)におけるGCの組織学的および分子的分析を実施した。図10C(i)は、本発明者らが、投与された6匹の動物のうち、3匹の個体においてGCの完全な抑制を観察することができたのに対して、残りの動物のmLNにおいては、依然としてGCが観察されたことを示す。図10C(iii)は、少なくとも38μg/mLの血清中濃度(投薬期間にわたる平均の定常状態濃度)が、リンパ節の皮質B細胞領域におけるGC発達の完全な抑制を伴っていたのに対して、全血CD20posB細胞上の十分なCD40占有にもかかわらず(動物26842および26772;データは示さない)、GCの不完全な抑制(動物26842)または抑制なし(動物26772および26837)が、20μg/mL未満の血清中濃度で観察されたことを示す。末梢B細胞枯渇の証拠は存在しなかった(データは示さない)。
考察
CFZ533は、CD40−CD154共刺激経路の調節不全を伴う実質臓器移植および自己免疫疾患の潜在的治療法として開発されている。本発明者らは、本明細書に、CD40経路関連のインビトロおよびインビボモデル系におけるCFZ533の機能特性の特徴を記載し、また、CFZ533曝露とPD効果との関係を追求する。
CFZ533は、CD40と結合し、B細胞およびDCを含めた様々なヒト免疫細胞型上のrCD154誘導性の経路活性化を完全に妨げることができた。さらに、CFZ533が全血における経路活性化を完全に遮断するためには、90%を超えるCD40占有が必要とされたように見える。まとめると、これらのデータは、十分な受容体占有が得られると仮定すれば、CFZ533が、細胞型に関係なくCD40経路依存性エフェクター機能を阻止する可能性を有することを示唆する。本発明者らのデータはまた、PBMCでは、CFZ533が、CD40から、あらかじめ結合されているrCD154を外して取って代わることができたことを示し、これは、mAbと生理的リガンドのエピトープが重複する可能性があること;構造研究における調査段階にある概念を示唆している。
単一用量PK研究では、CFZ533について、インビボでの濃度依存性のクリアランス速度および半減期が観察された。このPKプロフィールは、CD40受容体発現が、CFZ533の排除に影響を与えることを示唆していた。低いCFZ533濃度(すなわち不完全な標的飽和)では、CFZ533のクリアランス全体へのCD40の寄与は上昇し、半減期は、IgG1型抗体について通常観察されるよりもいくらか短かった。完全な標的飽和(および十分な機能上経路阻害)に相当する、より高い濃度では、CFZ533のクリアランス全体への受容体の寄与は制限され、は半減期増大した。CFZ533の標的介在性のクリアランスは、インビトロで観察されたCFZ533のCD40介在性の内在化(この複合体のリソソーム分解がこれに続くと思われる)と一致していた。
PK/PD研究からの追加の発見は、CFZ533が末梢B細胞をインビボで枯渇できないことを裏付けた(Cordoba et al.2015)。言及した通り、CFZ533がCD40発現細胞を枯渇できないことは、ヒンジ領域内のN結合型グリコシル化の欠如をもたらし、FcγRIIIAと結合できないようにまたはADCCまたはCDCを媒介できないようにする、抗体におけるN297A変異の存在に起因する。CD40発現細胞型(特に炎症条件下での、免疫および非免疫細胞型上のこの受容体の広い組織分布に特に関心が持たれる)の枯渇を防止するために、CFZ533のFc−サイレンシングを行った。
NHP腎移植における有効性(Cordoba et al.2015)に加えて、本明細書で開示される結果は、CFZ533が、リコールTDARを完全に阻害することを示した。この結果は、T細胞依存性抗原に対するメモリーB細胞の反応が、CD40−CD154相互作用に十分に依存していることを示唆していた。リコール反応の阻害の程度は、CFZ533の濃度に関連するように見え、(追加免疫後の少なくとも1週間の)30〜40μg/mlを超える血清レベルが、抗原特異的な抗体反応の十分な抑制のために必要である。血清中濃度と、CD40経路関連の組織PD読み取りとの間のこの関係はまた、腸間膜リンパ節GCに対するCFZ533の効果を調べる場合に適用され、ここでは、平均の定常状態血清CFZ533濃度の最小閾値が、GCの完全な抑制のために必要であった。これらのデータは、投薬戦略を提供するための、末梢の薬物曝露と、組織における標的関連のPD効果との間の関係を確立することの重要性を指し示す。CD40−CD154共刺激経路を標的にするいくつかの生物製剤が、様々な自己免疫疾患のために開発されている。血栓塞栓症のリスクの可能性(Boumpas et al.,2003)にもかかわらず、CFZ533のような抗CD40 mAbに加えて、抗CD154 mAbが、引き続き臨床中である。最近の結果は、Fcサイレンシングおよびペグ化F(ab’)2手法が、CD154を標的にする抗体の血栓塞栓傾向を排除することができることを示唆している。しかし、Fcサイレント抗CD154 mAbが、効果が低い可能性があるという報告が存在する。これまでに、前臨床モデルにおけるまたは臨床中の複数の抗CD40抗体の投与に伴う血栓塞栓症の証拠は存在しない。
結論として、本発明者らのデータは、CFZ533が、最小のアゴニスト特性を有する、経路遮断性の非細胞枯渇抗CD40抗体であることを示す。十分な、薬理学的に適切な曝露で、CFZ533は、CD40発現細胞型を枯渇せずに、リコールTDARを完全に阻害する、また、胚中心を抑制することができる。これらのデータは、腎移植における前臨床有効性と組み合わせて、腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植のような選択された自己免疫疾患および実質臓器移植におけるCFZ533の臨床的有用性の可能性の確固たる科学的な理論的根拠を提供する。
非ヒト霊長類研究:CFZ533は移植された腎臓移植片の質を保つ
本研究の目標は、腎臓同種移植片拒絶のNHPモデルにおいて、単剤療法としてまたはシクロスポリンAと組み合わせて与えられた場合の、CFZ533の有益な効果を評価することであった
非ヒト霊長類(NHP)は、腎臓同種移植片拒絶のモデルとして使用されている。レシピエントNHPは、生命を維持するための腎臓同種移植片を移植された。腎移植および術後モニタリングは、(例えば、Cordoba F et al,2015に記載されている通りの)標準の技術を使用して実施した。動物は、(第−1日、0日、および1日の負荷用量の後)毎週の研究薬物CFZ533で、および毎日のシクロスポリンA(CsA)(例えばSandimmun Neoral(登録商標),Novartis)で治療した。経口投与のためのCsAは、マイクロエマルジョン予備濃縮製剤であった(Sandimmun Neoral(登録商標)飲用液剤、100mg/ml、Novartis Pharma AG and Sandimmun(登録商標)注入用濃縮製剤、50mg/ml、NovartisPharma AG)。治療は、移植(Tx)の1日前に開始した。採取したすべての組織(移植片生検、または屍検にて、表2〜5)を、肉眼で検査し、4%緩衝ホルマリン中で固定した。脱水後、これらをパラフィンワックスに包埋した。パラフィン塊から3μm厚の切片を切り出し、ヘマトキシリンおよびエオシン(HE)、過ヨウ素酸シッフ(PAS)、トリクローム、およびヴァーヘフ−ワンギーソン染色で染色した。生検および屍検試料は、腎臓同種移植片病理学のBanff15分類に従ってスコア付けした(Loupy 2017)。Banff等級付けには、C4dスコアは含まれなかった。
この研究で使用されたカニクイザル(Macaca fascicularis)は、飼育下繁殖された(SICONBREC Inc,Makati City,Philippines)若い大人であり、正常な血液学、血清/尿化学を有し、結核、サルモネラ菌/赤痢菌、ウイルス感染(ヘルペスB、STLV、SIV、SRV D型、B型肝炎)、および外部および内部寄生生物について陰性であった。1匹の動物のみ、Nafovanny,Long Thanh,Vietnamから入手した。
Figure 0006861301
移植後の日数は、さらなる分析のために生検が採取された時点を指す。CsAのs.c.適用のためには、Sandimmun(登録商標)が使用され;CsAのp.o適用のためには、Sandimun Neoral(登録商標)が使用された。CsA用量20mg/kg(p.o.)は、効果がない用量とみなされる。
CsA(20mg/kg(p.o.))との併用療法として、または単剤療法として適用される場合、CFZ533は、NHPにおける腎臓同種移植片の生着を増大させることにおいて有効性を示し、Banffスコアの合計によって示される通りに移植片形態を十分に維持した(図15)。結論として、この研究の結果は、腎移植片拒絶の予防のための妥当な治療としての、単剤療法としてのまたは併用療法でのCFZ533の使用を裏付ける。さらに、こうした組み合わせ治療は、優れた安全性プロフィールを示す。
カルシニューリン(CNI)を使用しない、CFZ533での治療法は、移植された腎臓移植片の質を保つ
CFZ533を使用する新規腎移植(CCFZ533X2101/NCT02217410)におけるPoC研究を実施した。この多施設の無作為化された対照試験では、CFZ533は、タクロリムスと比較して向上された腎機能を示した。研究患者のサブセットに対して、同種移植片生検を実施した。治療法に対して盲検化された病理医が、確立されたBanff基準を使用して、すべての生検スライドを検査およびスコア付けし、慢性同種移植片損傷指数(CADI、Nickerson P et al.,Legendre C et al.,Seron D et al.,)を算出した。1以下のCADIは、「正常な腎臓組織像」とみなされた。2人の患者は、わずか2か月後に治療法を切り替えたので、分析から除外した。この試験の結果を、図16に示す。これらの結果は、CFZ533を受けている5人の患者のうちの3人(60%)が「正常な腎臓組織像」を有していたのに対して、タクロリムスを受けている7人はいずれも有していなかったことを示す(p<0.01)。最終の生検での平均CADIは、CFZ533については1.6±0.6、タクロリムスについては5.1±0.8であった(p<0.01)。
結論:現在の標準治療と比較して、CFZ533は、より低いCADIスコアを伴い、高い割合の同種移植片において、正常な組織像に近い組織像が維持されるように見え、したがって、CFZ533は、実質臓器移植の長期の転帰を改善する可能性を有する。これらの所見は、非ヒト霊長類における知見を裏付ける。
CADIスコアは、移植後の移植片機能損失/移植片生着と直接的な相関性がある。CFZ533治療の結果として、移植後にCADIスコア(Yilmaz et al.,2003)によって測定される、正常な腎臓組織像は、移植患者における長期の移植片生着を確実にする方法を提供する。
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Claims (4)

  1. ヒト対象における実質臓器移植における移植片拒絶の予防に使用するための抗CD40抗体を含む組成物であって、前記抗体が、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、治療期間全体を通して、抗CD40抗体の維持された血漿又は血清中濃度が少なくとも40μg/mLかつ最大400μg/mLであるように用量が調整され、抗CD40抗体が、負荷投薬および維持投薬を通して投与され、負荷投薬は、第1の用量の1、2、3、または4回の静脈内投与からなり、維持投薬は、第2の用量の毎週または隔週の皮下注射からなり、第1の用量は、対象のkgあたり少なくとも10mgかつ最大30mgの抗CD40抗体であり、それに300mg〜600mgである維持投薬が続く、組成物。
  2. 負荷用量が、対象のkgあたり少なくとも10mgかつ最大30mgの抗CD40抗体の単回用量を含み、第1日に1回静脈内に投与され、それに続いて、少なくとも300mgの単位用量を含む維持用量が、毎週または隔週、皮下に投与される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記実質臓器移植が、腎移植、肝移植、心臓移植、肺移植、膵移植、腸移植、または複合組織移植である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  4. 薬学的に許容し得る1種以上の担体をさらに含む医薬組成物である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
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