JP6860840B2 - 給湯システム - Google Patents

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本発明は、瞬間式の給湯器を用いて構成される給湯システムに関する。
瞬間式の給湯器は、一般的には、入水側が水道管に配管接続され、かつ出湯側に配管接続されている給湯端末が開栓状態にされると、熱交換器を通過する水を連続的に加熱して前記給湯端末に供給されるように構成されている。このため、給湯器の出湯側に複数の給湯端末が分岐配管接続されている場合において、複数の給湯端末への同時供給が行なわれると、各給湯端末への湯水の供給圧が本来の供給圧よりも低くなる。このような現象は、たとえばシャワーを浴びている場合において、他の給湯端末への給湯が開始された際に、シャワーの水圧が大きく低下する現象として経験される。また、このような現象は、給湯器の入水側に接続された給水経路に分岐接続された他の水栓が開栓状態とされた場合などにも発生する。
これに対し、従来においては、給湯器の出湯側の給湯経路に流量調整弁と流量センサとを設けることにより、給湯流量の調整が行なわれている(たとえば、特許文献1,2の過流出防止弁を設ける構成)。ただし、このような手段による流量調整は、主として給湯温度の安定化を図ることを目的としており、給湯器の熱交換器を流通する湯水が熱交換器の加熱能力以上に流れることを防止するようになされている。このため、流量調整弁を用いた流量調整手段によっては、先に述べたような給湯端末への湯水の供給圧が低下する現象を、適切に防止することは困難なものとなっている。
特開平11−101506号公報 特開平7−286753号公報 特許第3485216号公報
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、複数の給湯端末への同時給湯、あるいは給湯器への給水経路に分岐接続されている水栓の開栓などに起因して、給湯端末への湯水の供給圧が大きく低下する現象を適切に防止または抑制することが可能な給湯システムを提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明により提供される給湯システムは、瞬間式の給湯器と、この給湯器において加熱された湯水を給湯端末に導くための給湯経路と、を備えている、給湯システムであって、前記給湯経路に設けられ、かつ前記給湯端末への湯水の供給圧を調整可能な圧力調整弁と、前記供給圧を検出するための圧力センサと、この圧力センサを用いて検出されるデータに基づいて前記供給圧が所定の圧力に維持されるように前記圧力調整弁を制御する制御部と、を備えていることを特徴としている。
このような構成によれば、瞬間式の給湯器から給湯端末への湯水の供給圧が圧力センサを利用して検出された上で、この供給圧が所定の一定圧力に維持されるように圧力調整弁
によって調整される。したがって、複数の給湯端末への同時給湯があった場合、あるいは給湯器への給水経路に分岐接続されている水栓が開栓されることなどに起因して、給湯端末への湯水の供給圧が大きく低下する現象を適切に防止または抑制することができる。
本発明とは異なり、圧力調整弁に代えて、たとえば流量調整弁を用いた場合には、たとえば給湯端末への湯水の供給圧が低下した際に、モータなどを用いて弁体を動作させて弁開度を調整する必要があり、応答性が悪いため、複数の給湯端末への同時給湯があった場合に、各給湯端末への湯水の供給圧が低下することを適切に防止することは実質的に困難である。これに対し、圧力調整弁は圧力を一定に維持するための応答性がよく、湯水の供給圧の低下を適切に防止することが可能である。
このようなことから、本発明によれば、たとえばシャワーを浴びている際に、他の給湯端末への給湯が開始されることなどに起因して、シャワーの水圧が大きく低下し、ユーザが不快感を生じるようなことを適切に防止することが可能である。
本発明において、好ましくは、前記給湯経路の前記圧力調整弁および前記圧力センサよりも下流側に設けられ、かつ複数の給湯端末への湯水の分配供給を可能とする湯水分配供給用のヘッダを、さらに備えている。
このような構成によれば、複数の給湯端末の配管接続が容易化される他、ヘッダに接続される複数の給湯端末のそれぞれについての湯水の供給圧を安定させることができる。
本発明において、好ましくは、前記給湯器の動作条件の設定を行うための操作装置を、さらに備えており、この操作装置において所定の操作を行なうことにより前記供給圧を変更可能とされている。
このような構成によれば、給湯端末への湯水の供給圧を、ユーザが要望する供給圧に設定することができ、ユーザにとって使い心地のよい給湯システムとすることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記操作装置として、複数の操作装置を備えており、これら複数の操作装置には、いずれの操作装置の設定条件を優先させるかについての優先序列が付され、かつ複数の給湯端末に同時に給湯が行なわれる際には、前記供給圧は、優先序列が高い方の操作装置によって設定された供給圧とされるように構成されている。
このような構成によれば、複数の給湯端末への同時給湯が行なわれる場合に、これらの給湯端末への湯水の供給圧をユーザが意図する供給圧とする上で、一層好ましいものとすることができる。
本発明において、好ましくは、前記操作装置は、前記給湯器の省エネモードを選択的に設定可能とされており、前記省エネモードが設定されたときには、前記供給圧は、前記操作装置において設定されている供給圧よりも低い供給圧とされるように構成されている。
このような構成によれば、省エネモードが設定されている際には、給湯端末への湯水の供給圧が低めとされ、湯水流量も少なめとされる。したがって、水資源の節約を図ることができるばかりか、給湯器による加熱対象の水量も減ることとなり、省エネ効果を高くすることが可能である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
本発明に係る給湯システムの一例を示す説明図である。 図1の給湯システムにおいて用いられている圧力調整弁の一例を示す断面図である。 (a),(b)は、図1の給湯システムにおいて用いられている2つのリモコンの正面図である。 図1の給湯システムにおいて実行される動作制御手順の一例を示すフローチャートである。 (a),(b)は、給湯システムにおいて用いられるリモコンの他の例を示す正面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1に示す給湯システムHSは、瞬間式の給湯器A、この給湯器Aの出湯口20に配管接続された給湯用外部配管2b、およびこの給湯用外部配管2bに接続され、かつ複数の給湯端末3が配管接続される湯水分配供給用のヘッダ2cを備えている。給湯器Aは、後述する圧力調整弁V、圧力センサSa、および制御部4を備えている。また、給湯器Aには、台所および浴室用のリモコン5A,5B(5)が通信接続されている。これらのリモコン5A,5Bは、本発明でいう操作装置の一例に相当する。
給湯器Aは、その入水口10が水源としての水道管1に給水管11を介して接続されており、入水口10に入水した水は、入水路12を介して、湯水用の加熱部としての熱交換器60に送り込まれてバーナ61により加熱される。この加熱された湯水は、熱交換器60の出口側に接続された出湯路2aを通過する途中において、分配弁13からバイパス流路14を通過してきた非加熱の水と混合されて温度調整が行なわれて出湯口20に到達する。この出湯口20に到達した湯水は、給湯用外部配管2bを通過して湯水分配供給用のヘッダ2cに到達し、各給湯端末3に分配される。ここで、給湯器A内に設けられている出湯路2aから各給湯端末3に到るまでの経路は、本発明でいう給湯経路の一例に相当し、図面において、符号2で示す(出湯路2a、および湯水分配供給用のヘッダ2cも給湯経路2に含まれる)。
圧力調整弁Vおよび圧力センサSaは、給湯器Aの出湯路2aに設けられている。圧力調整弁Vは、給湯端末3に供給される湯水の供給圧を調整して所定の一定圧力に維持する機能を備えており、たとえば図2に示すような構成である。この圧力調整弁Vは、2次圧調整弁であり、従来既知の減圧弁(水ガバナ)において、その調整バネの強さをモータなどの駆動手段を利用して変更可能とした構成である。具体的には、次のとおりである。
すなわち、圧力調整弁Vは、1次側および2次側の流路61,62を連通させる弁開口部63を開閉するための弁体70、この弁体70と弁軸71を介して連結され、かつ2次圧P2を受けるダイヤフラム72、このダイヤフラム72を弁開方向に押圧する調整バネ73、および弁体70を弁閉方向に押圧するリターンバネ74を備えている。さらに、圧力調整弁Vのケーシング64には、モータMが取り付けられており、このモータMの駆動軸79を正逆いずれかの方向に回転させると、調整バネ73の上部の位置を規制するバネ規制部材78が、駆動軸79の回転方向およびその回転角度に対応して上昇または下降するようになっている。このことにより、調整バネ73の強さが変更される。
この圧力調整弁Vにおいては、2次圧P2が所定値よりも低くなると、ダイヤフラム72および弁体70が下降し、弁開度が増大する結果、1次側流路61から2次側流路62への湯水流量が増加し、2次圧P2が上昇する。このような原理により、1次圧P1を調圧し、2次圧P2の一定化を図ることが可能である。ただし、モータMを駆動させて調整
バネ73の強さを変更することにより、2次圧P2を変更することが可能である。バネ規制部材78を下降させて調整バネ73の強さを強くすると、2次圧P2は高くなる。
圧力センサSaは、圧力調整弁Vの下流側の2次圧P2、すなわち各給湯端末3に対する湯水の供給圧を検出するためのセンサである。この圧力センサSaによる検出信号は、制御部4に送信される。
制御部4は、台所および浴室用のリモコン5A,5Bを用いて設定された動作条件にしたがって給湯温度などの制御を行なう他、圧力センサSaからの検出信号などに基づいて圧力調整弁VのモータMを駆動させ、後述するように、給湯端末3に対する湯水の供給圧(2次圧P2)を制御する。なお、図3(a),(b)に示すように、台所および浴室のリモコン5A,5Bは、給湯温度やその他のデータを画面表示するための表示部50や、複数の操作スイッチを備えている。
前記複数の操作スイッチとしては、給湯端末3への湯水の供給圧を増減変更するための水圧変更スイッチ51、2つのリモコン5A,5Bのうちのいずれの設定条件を優先するかを選択して設定するための優先スイッチ52、および省エネモードの設定のオン・オフ切り替えを行なうためのエコスイッチ53が設けられている。水圧変更スイッチ51を操作して湯水の供給圧を変更する場合には、設定される湯水の供給圧がどの程度であるかが表示部50に表示されるようにされている。この表示は、供給圧を数値で示す態様の他、強、中、弱などの文字で示す態様、あるいは供給圧が高いほど高さが高くなる棒グラフなどの図柄で示す態様など、種々の態様とすることができる。
なお、リモコン5A,5Bには、前記以外の操作スイッチとして、運転のオン・オフ、呼出し、追い焚き、および風呂自動などの一般的な操作スイッチも設けられている。
次に、前記した給湯システムHSの作用について説明する。
まず、各給湯端末3に供給される湯水の供給圧は、圧力センサSaにより検出された上で、この検出値が所定の一定圧力に維持されるように圧力調整弁Vによって調整される。したがって、複数の給湯端末3への同時給湯がなされる場合であっても、各給湯端末3への湯水の供給圧が大きく低下する現象を適切に防止または抑制することが可能である。
複数の給湯端末3が同時使用された場合において、各給湯端末3への湯水の供給圧が低下した際に、この供給圧を元の圧力に復帰させること自体は、たとえば流量調整弁を用いることによっても可能であるが、流量調整弁においては、供給圧が低下した際にこの供給圧を元の圧力まで上昇させるには、モータを駆動させて弁体を動作させる必要があるため、応答性が悪く、供給圧を元の圧力に復帰させる迄の所要時間が長くなる。これに対し、圧力調整弁Vは、流量調整弁とは異なり、たとえば2次圧P2が低下すると、調整バネ73の力がダイヤフラム72に即座に作用して弁体70を動作させ、2次圧P2を所定の圧力に復帰させる応答性に優れる。
このようなことから、圧力調整弁Vを用いた本実施形態においては、たとえばシャワーを浴びている際に、他の給湯端末3が開状態とされた場合であっても、シャワーへの湯水の供給圧を所定圧に適切に維持することが可能である。図示説明は省略するが、給水管11に水栓が分岐接続され、かつこの水栓が開栓状態とされた場合においても、各給湯端末3への湯水の供給圧が大きく低下することは適切に防止または抑制される。
本実施形態の給湯システムHSにおいては、制御部4により、図4のフローチャートに示すような動作制御が実行される。以下、この点について説明する。
まず、いずれかの給湯端末3が開栓状態とされて給湯が開始されると、他の給湯端末3への給湯が行なわれているか否かが判断される(S1:YES,S2)。他の給湯端末3への給湯が行なわれている場合には、優先スイッチ52による設定内容を参照し、今回の給湯と他の給湯とのいずれの給湯条件が優先されるかが判断される(S2:YES,S3)。この判断の結果、今回の給湯よりも他の給湯の方が、給湯条件が優先される設定である場合には、他の給湯についての設定水圧が適用され、給湯端末3への湯水の供給圧の変更はなされない(S3:NO,S10)。このことにより、給湯システムHSの全体として、ユーザの要望に応じた供給圧の設定が行なわれることとなる。
次いで、前記した他の給湯が終了した場合、あるいは前記した場合とは異なり、今回の給湯の方が他の給湯よりも給湯条件が優先される設定である場合には、今回の給湯に関して、エコスイッチ53を利用して省エネモードが設定されているか否かが判断される(S11:YES、またはS3:YES,S4)。省エネモードが設定されていない場合には、給湯端末3への湯水の供給圧(2次圧P2)は、リモコン5A,5Bの少なくとも一方を利用して予め設定された水圧に調整される(S4:NO,S9)。これとは異なり、省エネモードが設定されている場合には、予め設定された水圧よりも所定量だけ低い水圧に設定される(S4:YES,S5)。省エネモードが設定されている場合には、給湯温度も低めとされるが、このことと相俟って省エネ効果がより高められることとなる。
その後、水圧変更スイッチ51を利用して水圧を変更する旨の操作がなされると、圧力調整弁VのモータMを駆動させ、給湯端末3への湯水の供給圧が前記操作に対応した圧力となるように調整される(S6:YES,S7)。このため、ユーザは、湯水の供給圧を自己が要望する圧力またはこれに近い圧力に設定することができ、たとえばシャワーなどを快適に浴びることができることとなる。
今回の給湯に関する前述した一連の動作制御は、この給湯が終了するまで繰り返し実行される(S8:NO,S2)。
図5は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
図5(a)に示すリモコン5においては、給湯端末3への湯水の供給圧を増減変更するための水圧変更スイッチ51aが、たとえば「強」,「やや強」,「やや弱」,「弱」の中からいずれか1つを選択可能なスイッチとして構成されている。このような構成によれば、湯水の供給圧を択一的に選択すればよいため、湯水の供給圧に関する事項に余り詳しくないユーザであっても、自己の要望にあった供給圧を簡単に選択することが可能となり、操作性をよくすることが可能である。
図5(b)に示すリモコン5においては、水圧変更スイッチ51bが、複数のユーザの個々に対応したスイッチとされており、たとえば「個人A」のスイッチをオンにすると、個人Aが予め設定した湯水の供給圧が適用されるように構成されている。
このような構成によれば、湯水の供給圧を複数のユーザの個々の希望に応じたものにすることが容易に実現できる。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る給湯システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
圧力調整弁は、図2に示した構造のものに限定されず、たとえばダイヤフラム72に代えて、パイロットを用いたタイプとすることもできる。圧力調整弁および圧力センサは、給湯器において加熱された湯水を給湯端末に導くための給湯経路(給湯器内の出湯路を含む)に設けられていればよい。したがって、余り現実的ではないが、圧力調整弁および圧
力センサを給湯器の外部、たとえば湯水分配供給用のヘッダの入水口部分などに設けることも可能である。
本発明でいう操作装置は、台所や浴室などに設置されるリモコンに限らず、たとえば給湯器内に組み込まれた操作装置として構成することもできる。
HS 給湯システム
A 瞬間式の給湯器
Sa 圧力センサ
V 圧力調整弁
2 給湯経路
2a 出湯路(給湯経路)
2b 給湯用外部配管(給湯経路)
2c 湯水分配供給用のヘッダ(給湯経路)
3 給湯端末
4 制御部
5(5A,5B) リモコン(操作装置)

Claims (4)

  1. 瞬間式の給湯器と、
    この給湯器において加熱された湯水を給湯端末に導くための給湯経路と、
    を備えている、給湯システムであって、
    前記給湯経路に設けられ、かつ前記給湯端末への湯水の供給圧を調整可能な圧力調整弁と、
    前記供給圧を検出するための圧力センサと、
    この圧力センサを用いて検出されるデータに基づいて前記供給圧が所定の圧力に維持されるように前記圧力調整弁を制御する制御部と、
    を備えており、
    前記給湯端末として、複数の給湯端末があり、
    これら複数の給湯端末のうち、1つの給湯端末に給湯がなされ、前記供給圧が前記所定の圧力に維持されている際に、前記1つの給湯端末とは別の給湯端末への他の給湯が開始されたときには、前記1つの給湯端末への給湯が、前記他の給湯よりも優先されているか否かが判断され、優先されている場合には、前記湯水の供給圧は前記所定の圧力に維持される一方、そうでない場合には、前記供給圧は前記他の給湯に対応して予め設定された圧力とされるように構成されていることを特徴とする、給湯システム。
  2. 請求項1に記載の給湯システムであって、
    前記給湯経路の前記圧力調整弁および前記圧力センサよりも下流側に設けられ、かつ複数の給湯端末への湯水の分配供給を可能とする湯水分配供給用のヘッダを、さらに備えている、給湯システム。
  3. 請求項1または2に記載の給湯システムであって、
    前記給湯器の動作条件の設定を行うための操作装置を、さらに備えており、
    この操作装置において所定の操作を行なうことにより前記供給圧を変更可能とされている、給湯システム。
  4. 請求項3に記載の給湯システムであって、
    前記操作装置は、前記給湯器の省エネモードを選択的に設定可能とされており、
    前記省エネモードが設定されたときには、前記供給圧は、前記操作装置において設定されている供給圧よりも低い供給圧とされるように構成されている、給湯システム。
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