JP6860550B2 - 喫煙物品用風味カプセル - Google Patents

Description

本開示は、１つ以上の煙成分と相互作用して主流煙中の煙成分の濃度を低減する能力を有する１つ以上の化合物を収容する壊れやすいカプセルを含むフィルターを有する喫煙物品に関する。

紙巻たばこなどの可燃性喫煙物品は典型的に、たばこロッドを形成する紙ラッパーによって囲まれた細かく切られたたばこ（通常はカットフィラーの形態）を有する。紙巻たばこは、紙巻たばこの一方の端に点火し、たばこロッドを燃焼することによって、喫煙者によって使用される。次に喫煙者は、典型的にフィルターを収容する紙巻たばこの反対の端または口側の端で吸い込むことによって、主流煙を受け入れる。フィルターは、主流煙が喫煙者に送達される前に主流煙の一部の成分を取り込むように位置する。

フェノールまたは他のフェノール化合物などの一部の煙成分は、強過ぎて不快な味覚の一因となる可能性があり、フィルターによって効果的に取り除かれない場合がある。

強過ぎて不快な味覚を与える煙成分をマスキングするまたは取り除くための多様な選択肢がある。例えば、喫煙物品は、煙の強過ぎて不快な味覚をマスキングするための風味剤、または味覚を変えるための風味剤を含むことができる。風味剤を放出する壊れやすいカプセルをフィルター内に配置することができる。別の実施例として、中国特許第ＣＮ１０３１４１９３９Ａ号は、水とグリセロールが水素結合相互作用によって煙の中のフェノールを捕捉することができることを教示している。中国特許第ＣＮ１０３１４１９３９Ａ号は、フィルター内に配置されたカプセルを有する喫煙物品を開示している。このカプセルは水およびグリセロールを含み、カプセルが粉砕された時に水およびグリセロールが放出され、フェノールその他を捕捉できる。中国特許第ＣＮ１０３１４１９３９号は、カプセルのコア中の疎水性物質の使用を開示していない。

しかし、カプセルが煙成分除去のための保湿剤を有すること、およびコア内に多量の脂質を有することは示唆されていない。

本発明の１つの目的は、主流煙中の１つ以上の成分の濃度を低減する能力を有する内容物を有する壊れやすいカプセルを伴う喫煙物品を提供することである。本発明のその他の目的は、下記の請求の範囲および添付図面を含む本開示を読んで理解することで当業者にとって明らかとなろう。

本発明の様々な態様では、喫煙物品は喫煙可能材料および喫煙可能材料の下流にあるフィルターを含む。フィルターは、コアおよび壊れやすいシェルを有するカプセルを備える。コアは、１つ以上の脂質化合物および１つ以上の保湿剤を含む混合物を有する。脂質化合物は、混合物の重量の５０％以上の割合を占める。１つ以上の保湿剤の少なくとも１つは、１つ以上の煙成分と相互作用して主流煙中の１つ以上の煙成分の濃度を低減する能力を有する。

「喫煙可能材料」は本明細書で使用される場合、材料が喫煙物品内に置かれ、かつ喫煙物品がユーザーによって適切に使用された時に、喫煙物品のユーザーに送達可能なエアロゾルを発生する材料である。喫煙可能材料は、たばこを含むことが好ましい。

本発明の喫煙物品および方法の様々な態様は、保湿剤を含む現時点で入手可能な喫煙物品と比べて１つ以上の利点を有しうる。例えば、本発明の様々な態様によるカプセルを収容する喫煙物品は、カプセルから放出される保湿剤との相互作用によって、フェノールまたは他のフェノール化合物などの煙成分を選択的にオンデマンドで低減することができる。選択的な煙成分の低減は、味覚を改善する、または主流煙の強過ぎる不快さを低減することができる。コア内の保湿剤は、カプセルの破壊に伴い、主流煙に湿気を与えるように機能することもできる。さらに、脂質構成成分の割合が高いコアは有利なことに、親油性風味剤のための担体として使用することができる。さらに、脂質構成成分の比率が高いコアは、親水性構成成分を有するエマルションをもたらす可能性があり、このエマルションは継ぎ目のない封入方法を使用して封入することができる。従って、漏れおよびこれに関連したフィルターの染みまたは湿っぽさを低減するようにカプセルを形成することができる。本明細書で説明した喫煙物品の１つ以上の態様のさらなる利点は、本開示を読み理解することで当業者に明らかとなるであろう。

任意の適切な壊れやすいカプセルは、本明細書で説明の通り、喫煙物品に採用されてもよい。壊れやすいカプセルは、１つ以上の保湿剤、１つ以上の脂質化合物、および随意に１つ以上のさらなる化合物の混合物を収容するコアを含む。コアは、本質的に混合物から成る、または混合物から成ることが好ましい。

任意の適切な保湿剤をコア内に含むことができる。適切な保湿剤の例には、糖アルコール、糖ポリオール、ポリマーポリオール、グリコール、尿素、およびアルファ−ヒドロキシ酸が挙げられる。適切な保湿剤化合物の例には、グリセロール、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール（ＰＥＧ₄₀₀およびＰＥＧ₆₀₀などのＰＥＧ）、ポリオキシエチレン、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、およびポリデキストロースが挙げられる。一部の好ましい実施形態において、コアはグリセロールを含有しない。

コア内の保湿剤の１つ以上は親水性であること、すなわち保湿剤が、少なくとも部分的に極性化し、かつ油中よりも水中で容易に溶解できるようにする水素結合の能力を有する分子であることが好ましい。「親水性」という用語は本明細書で使用される場合、水中の溶解度が２５℃にて１００ミリリットルあたり２５グラム以上であることを意味する。従って、「疎水性」という用語は、水中の溶解度が２５℃にて１００ミリリットルあたり２５グラム未満であることを意味する。多くの場合、保湿剤の水中溶解度は、２５℃にて１００ミリリットルあたり約４０グラム以上であり、例えば２５℃にて１００ミリリットルあたり約５０グラム以上である。例えば、マルチトールの水中溶解度は約２００ｇ／１００ｍＬであり、またＰＥＧ₄₀₀の溶解度は約４４グラム／１００ｍＬである。

保湿剤は１つ以上の煙成分と任意の適切な方法で相互作用して、主流煙中の１つ以上の成分の濃度を低減することができる。例えば、保湿剤は煙成分と反応して新しい化学的化合物を形成することができ、保湿剤および煙成分はイオン結合を通して相互作用することができ、または保湿剤および煙成分はファンデルワールス力を通して相互作用することができる。保湿剤および煙成分は、水素結合を通して相互作用することが好ましい。水素結合は、フェノールまたは他のフェノール性煙成分の水酸基、および酸素含有部分（保湿剤が水酸基を含む場合、保湿剤の水素部分など）を通して生じることができる。保湿剤は、フェノール性煙成分の水酸基と相互作用する能力を有する水酸基を含むことが好ましい。水酸基を有する保湿剤の例には、糖アルコール、糖ポリオール、ポリマーポリオール、グリコールなどが含まれる。例えば、グリセロール、ＰＥＧ（ＰＥＧ₄₀₀およびＰＥＧ₆₀₀など）、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、およびトリエチレングリコールは、ヒドロキシ部分を含有する保湿剤である。

保湿剤は、コア内にまたは混合物中に任意の適切な濃度で存在することができる。例えば、混合物中の１つ以上の保湿剤の累積濃度は、約１％〜約２０％の範囲とすることができる。混合物中の１つ以上の保湿剤の累積濃度は、約２％〜約１５％の範囲であることが好ましい。混合物中の１つ以上の保湿剤の累積濃度は、約７％〜約１０％の範囲であることがより好ましい。混合物は１つの保湿剤のみを含有することが好ましい。

１つ以上の脂質化合物および１つ以上の保湿剤を含む混合物はエマルションを含むことが好ましい。１つ以上の保湿剤は随意に、エマルションの形成に有利に働くように、１つ以上の脂質化合物との混合の前に適切な溶媒中に溶解することができる。同様に、１つ以上の脂質化合物は随意に、１つ以上の保湿剤との混合の前に適切な溶媒中に溶解することができる。

１つ以上の脂質化合物と１つ以上の保湿剤の混合物は、任意の適切な脂質化合物を含むことができる。脂質化合物は一般的に、クロロホルムなどの有機溶媒中に少なくとも部分的に可溶であり、また水中に比較的可溶である。脂質は疎水性化合物である。１つ以上の脂質化合物は、脂肪族化合物であるか、または脂肪族部分を含有することが好ましい。コアの混合物中の１つ以上の脂質化合物は、１つ以上のトリグリセリドを含むか、１つ以上のトリグリセリドから本質的に成るか、または１つ以上のトリグリセリドから成ることがより好ましい。適切なトリグリセリドの例には、カプリル酸およびカプリン酸トリグリセリド、またはココナッツオイル、植物油、オリーブ油、ヒマワリ油、コーン油、ピーナッツ油、グレープシード油、小麦胚芽油、鉱油、シリコーン油、もしくはその抽出物などのトリグリセリドの混合物が挙げられる。

１つ以上のトリグリセリドは１つ以上の中鎖トリグリセリドを含むことが好ましい。「中鎖トリグリセリド」は本明細書で使用される場合、脂肪酸部分のうちの少なくとも２つがＣ₆−Ｃ₁₂脂肪族末端を有するトリグリセリドである。脂肪酸部分の３つのすべてがＣ₆−Ｃ₁₂脂肪族末端を有することが好ましい。中鎖脂肪酸の例には、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、およびドデカン酸が挙げられる。１つ以上の中鎖トリグリセリドは、コア内の脂質化合物の５０重量％〜１００重量％の割合を占めることが好ましい。１つ以上の中鎖トリグリセリドは、少なくとも６０重量％、少なくとも７０重量％、少なくとも８０重量％、少なくとも９０重量％の割合を占めることが好ましい。１つ以上の中鎖トリグリセリドは、コア内の脂質化合物の９０重量％〜１００重量％の割合を占めることがより好ましい。

混合物中の１つ以上の脂質化合物は、混合物の重量の５０％以上の割合を占める。例えば、混合物中の１つ以上の脂質化合物は、５０重量％〜約９９重量％の範囲で混合物中に存在することができる。１つ以上の脂質化合物は、混合物の重量の７５％以上の割合を占めることが好ましく、８０％以上の割合を占めることがより好ましい。

コアの混合物は随意に、１つ以上の感覚促進剤を含有することができる。適切な任意の感覚促進剤が、壊れやすいカプセルのコア内に含まれてもよい。適切な感覚促進剤は風味剤および感覚剤を含む。適切な風味剤は、風味組成物または香料組成物の処方に従来的に使用されている芳香族分子または香料分子を含む。風味剤は、芳香族、テルペン系、またはセスキテルペン系の炭化水素であることが好ましい。風味剤は、精油、アルコール、アルデヒド、フェノール系分子、様々な形態のカルボン酸、芳香族アセタールおよびエーテル、窒素性複素環、ケトン、スルフィド、ジスルフィド、メルカプタン（芳香族または非芳香族のどちらでもよい）であってもよい。風味剤の例には、天然または合成の芳香剤または香料が挙げられる。適切な香料の例には、フルーティ系、お菓子系、フローラル系、スイート系、ウッディ系の香料がある。適切な芳香の例には、ココナッツ、バニラ、コーヒー、チョコレート、シナモン、ミント、またはロースト系もしくはトースト系の芳香がある。適切な感覚剤には例えば、清涼剤、冷却剤、または高温効果剤が挙げられ、それらは口内でそれぞれ清涼効果、冷却効果、または高温効果を提供する。適切な清涼剤は、コハク酸メンチルおよびその誘導体であってもよいが、これに限定されない。適切な高温効果剤は、バニリルエチルエーテルであってもよいが、これに限定されない。

適切な感覚促進剤の他の例には、バニラ抽出物、蜂蜜、甘草抽出物、フランビノーネ、２−３ジメチルピラジン、酪酸エチル、エチルマルトール、プロピオン酸エチル、バニリン、フラネオール、イソブチルアルデヒド、イソ吉草酸、マルトール、ベンズアルデヒド、ジメチルスルフィド、２メチル酪酸、イソバレルアルデヒド、フェネチルアルコール、フェニル酢酸、ヘリオトロピン、吉草酸、バレルアルデヒド、ブチルアルコール、酪酸、ベンジルアルコール、酢酸エチル、コロハ抽出物、イソブチルアルコール、イソ酪酸、シクロテン、コーヒージオン、アセトイン、スクロース、ソルビトール、乳酸エチル、クエン酸、チコリ抽出物、アルファイオノン、乳酸、ピルビン酸、およびバニラオレオレジンが挙げられる。

１つ以上の感覚促進剤は、煙のより滑らかな味覚をもたらす１つ以上の風味剤を含むことが好ましい。このような化合物の例には、アセトイン、スクロース、ソルビトール、乳酸エチル、乳酸、バニラオレオレジン、ベンジルアルコール、エチルマルトール、バニリン、フラネオール、マルトール、ベンズアルデヒド、およびヘリオトロピンが挙げられる。

感覚促進剤は親水性または疎水性であり得る。一部の感覚促進剤の例、およびそれらの水中溶解度を下記の表１に示す。
表１ 一部の感覚促進剤の水中溶解度

水中に限っては溶解度が低いまたは中程度のこれらの感覚促進剤は、脂質構成成分中ではより多く溶解できることがあるため、コアの混合物の脂質化合物の濃度が高い場合に、有利に溶解しうる。水中溶解度が高いこれらの感覚促進剤は、コアの親水性部分（例えば親水性保湿剤）内に存在する可能性がある。

壊れやすいカプセル中の感覚促進剤の濃度を調節または変更して、望ましい量の感覚促進剤を提供することができる。従って、各カプセル内の感覚促進剤の濃度は同じにすることもでき、または望ましい感覚的結果に応じて変更することができる。

本発明の喫煙物品は、任意の適切に壊れやすい適切なシェルを含むことができる。例えば、壊れやすいカプセルのシェルは、例えばゼラチンまたは植物成分であり得る１つ以上の親水コロイドを含むことができる。例えば、シェルは、ゼラチン、加工デンプン、多糖類系材料（ペクチンまたはアルギネートなど）、ゼラチン、パラフィン蝋、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、寒天、アルギン、ソルビトール、グリセロール、アラビアグアー、カラギーナン、植物ガム（ガティガム、プルランガム、マンナンガムなど）、もしくは他の任意の適切な材料、またはこれらの組み合わせを含むことができる。シェルはアルギネートを含有することが好ましい。

シェルは、シェルの総乾燥質量の約１．５重量％〜約９５重量％、好ましくは約４重量％〜約７５重量％、なおより好ましくは約２０重量％〜約５０重量％などの、任意の適切な量の１つ以上の親水コロイドを含有してもよい。

シェルは１つ以上の充填剤をさらに含んでもよい。「充填剤」は本明細書で使用される場合、シェル内の乾燥材料の割合を増やすもしくは減らすことができる、またはシェルの粘弾性特性を変えることができる任意の適切な材料（可塑剤など）である。シェル内の乾燥材料の量を増やすことで、シェルを硬化し、シェルを変形に対して物理的により抵抗力のあるものにすることができる。充填剤は、デンプン誘導体（デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン（アルファ、ベータ、もしくはガンマ）など）、またはセルロース誘導体（ヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ）、ヒドロキシプロピルセルロース（ＨＰＣ）、メチルセルロース（ＭＣ）、カルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）など）、ポリビニルアルコール、ポリオール、またはそれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。デキストリンは好ましい充填剤である。シェル内の充填剤の量は一般的に、シェルの総乾燥質量の９８．５重量％以下、好ましくは約２５重量％〜約９５重量％、より好ましくは約４０重量％〜約８０重量％、さらにより好ましくは約５０重量％〜約６０重量％である。

一部の好ましい実施形態において、シェルは１つ以上の保湿剤を含む。１つ以上の保湿剤は、シェルの任意の適切な重量百分率の割合を占めることができる。特に好ましい実施形態において、シェルはアルギネートおよび保湿剤を含む。

粉砕可能なカプセルのシェルは、任意の適切な厚さとしてもよい。一部の実施形態において、カプセルのシェルの厚さは、約１０マイクロメートル〜約５００マイクロメートルであり、約２０マイクロメートル〜約１５０マイクロメートルであることが好ましく、約３０マイクロメートル〜約８０マイクロメートルであることがより好ましい。

本明細書で提示されている教示に従って喫煙物品に組み込むカプセルは、カプセルの重量とシェルの重量の任意の適切な比を有してもよい。例えば、カプセル重量とシェル重量の比は、カプセルの総重量の約５重量％〜約１５重量％であり、約６重量％〜約１０重量％であることが好ましくは、約８重量％であることがより好ましい。

コアは、カプセルの任意の適切な重量パーセントを占めてもよい。例えば、壊れやすいカプセルのコアは、カプセルの約８５重量％〜約９５重量％を占め、約９０重量％〜約９４重量％を占めることが好ましく、約９２重量％を占めることがより好ましい。

カプセルは任意の適切な総重量を有してもよい。例えば、カプセルの総重量は約５ｍｇ〜約６０ｍｇとすることができ、約１０ｍｇ〜約５０ｍｇとすることが好ましく、約１５ｍｇ〜約４０ｍｇとすることがより好ましい。例えば、３．５ｍｍの直径を有するカプセルは２２ｍｇの重量であってもよく、また３．０ｍｍの直径を有するカプセルは１７ｍｇの重量であってもよい。

本明細書で提示した教示による喫煙物品の中に組み込むカプセルは、任意の適切な外径寸法を有してもよい。一部の実施形態において、カプセルの外径は、約２ｍｍ〜約７ｍｍの範囲であり、約３ｍｍ〜約６ｍｍの範囲であることが好ましく、約４ｍｍ〜５ｍｍの範囲であることがより好ましい。

壊れやすいカプセルの製造には多数のプロセスが存在することを理解することができる。従って、カプセルは、カプセルを破壊するまたは破裂させるための動力学的な力または熱的な力に対する抵抗が異なる様々なサイズおよび形状を持つことができ、また代替的なカプセル組成物およびカプセル成分を含むことができる。

一部の実施形態において、本発明の喫煙物品で使用するカプセルは、同時押出成形プロセスによって得られる継ぎ目のないカプセルである。同時押出成形プロセスは、外側の親水性の液体相および内側の親油性の液体相の、２つの液体の同時的な押出とすることができる。同時押出成形プロセスは、化合物の液滴形成、シェル固化、およびカプセルの収集という、３つの主な段階を含むことが好ましい。化合物の液滴は、シェル相の内側の液体充填物相の球体である。液体充填物相はコアを構成する。シェル相はシェルを構成する。本発明のカプセルは、例えば欧州特許第ＥＰ１９０６７７５Ａ２号または同第ＥＰ５１３６０３号に記載されている任意の適切な同時押出成形プロセスによって作製されてもよい。

一部の実施形態において、単純なドリッピング、ドリップキャスティング、静電ドリッピング、同軸気流技法、液体ジェット破壊技法、振動ジェット（ノズル）破壊技法、ジェット切断技法、および回転（またはスピニング）ディスク噴霧など（しかしこれらに限定されない）、コアエマルションおよびシェル溶液をゲル化浴の中へと滴らせることを含む、当業界で周知の任意の方法によってカプセルを形成することができる。シェル構成成分として重量パーセントが高いグリセリンを使用する場合では、コアエマルションを有する安定したエマルションがもたらされ、従って効果的な粉砕可能なカプセルが得られないことが分かっている。しかし、シェル溶液がアルギネートを含む場合、不安定なエマルションが形成され、結果として流体コアと壊れやすいシェルを有する粉砕可能なカプセルがもたらされる。保湿剤の一部は、こうしたプロセスの間にシェルへと移動すると考えられる。

壊れやすいカプセルは粉砕可能なカプセルであることが好ましい。粉砕可能なカプセルは本明細書で使用される場合、約０．０１ｋｐ〜約５ｋｐの粉砕強度を持つカプセルであり、約０．５ｋｐ〜約２．５ｋｐの粉砕強度を持つカプセルであることが好ましい。カプセルの粉砕強度を、１つのカプセルに対して破裂するまで垂直方向に連続的に負荷をかけることによって測定することができる。カプセルの粉砕強度は、容量２５ｋｇ、最小変位０．０２ｋｇ、精度＋／−０．１５％のＬＬＯＹＤ−ＣＨＡＴＩＬＬＯＮ Ｄｉｇｉｔａｌ Ｆｏｒｃｅ Ｇａｕｇｅ、Ｍｏｄｅｌ ＤＦＩＳ ５０を使用して測定することができる。フォースゲージはスタンドに取り付けることができ、カプセルは、手動のスレッドねじ装置を用いて上方に移動させるプレートの中央に位置付けることができる。その後、手動で圧力をかけることができる。ゲージは、カプセルが破裂する瞬間にかけられた最大の力を記録する（例えば、ｋｇまたはＬｂの単位で測定）。カプセルの破裂によって、コアの内容物が放出される。

カプセルを特徴付けるためのさらなる方法には、破壊の前にカプセルが耐えることのできる、例えば、ニュートンの単位で測定される最大圧縮力である粉砕力が含まれ、また破壊時の圧縮によるカプセルの寸法の変化（すなわち変形）である破壊時の距離が含まれる。また、例えば、カプセルの寸法（例えば、カプセルの直径）と、破壊点まで圧縮された時に圧縮力の方向で測定されたカプセルの寸法との間の比で表現することもできる。圧縮は一般的に、自動または手動の圧縮試験機の圧縮プレートによって、床に向かってかけられる。こうした機械は当業界で周知であり、また市販されている。

好ましい実施形態において、喫煙物品に導入する前のカプセルの粉砕強度は、約０．６ｋｐ〜約２ｋｐであり、約０．８ｋｐ〜約１．２ｋｐであることが好ましい。喫煙物品に導入して喫煙試験にかけた後のカプセルの粉砕強度は約０．６ｋｐ〜約２ｋｐであることが好ましく、約０．８ｋｐ〜約１．２ｋｐであることがより好ましい。あるいは、喫煙物品に導入する前のカプセルの粉砕力の値は、約５Ｎ〜約２０Ｎであり、約７Ｎ〜約１８Ｎであることが好ましく、約１２．０Ｎであることがより好ましい。圧縮試験機は、毎分１０ｍｍ〜毎分４２０ｍｍの速度範囲で作動させることができる。直径が約４ｍｍ〜約７ｍｍの範囲であるカプセルの場合、喫煙物品に導入する前のカプセルは、約０．６０ｍｍ〜約０．８０ｍｍの破損時の距離を示す場合があり、約０．７４ｍｍの破損時の距離を示すことが好ましい。上記の粉砕力および破壊時の距離は典型的に、１００Ｎ引張ロードセル（Ｉｎｓｔｒｏｎまたは均等物など）を装備した汎用引張／圧縮試験機を、２２℃にて相対湿度６０％の条件下で毎分約３０ｍｍで作動させる時に得られる。手動試験機の一例は、Ａｌｌｕｒｉｓ Ｔｙｐｅ ＦＭＩ-２２０Ｃ２-Ｄｉｇｉｔａｌ Ｆｏｒｃｅ Ｇａｕｇｅ ０−２００Ｎ（供給元：Ａｌｌｕｒｉｓ ＧｍｂＨ ＆ Ｃｏ．）である。

破壊時の距離は約０．５ｍｍ〜約２ｍｍの範囲であることが好ましく、約１ｍｍ〜約１．５ｍｍの範囲であることがより好ましく、約１．２５ｍｍであることがなおより好ましい。

本発明の粉砕可能なカプセルは、喫煙可能材料の下流にある喫煙物品内に任意の適切な方法で置くことができる。「下流」という用語は、喫煙可能材料からユーザーの口へと引き出される際の主流煙の方向に関連して説明された、喫煙物品の複数の要素の相対的位置を意味する。粉砕可能なカプセルはフィルター要素内に置かれることが好ましい。

粉砕可能なカプセルをフィルター内の空所またはくぼみの中に置くことができる。例えば、粉砕可能なカプセルを、プラグ−スペース−プラグ構成でのくぼみ内に置いてもよい。フィルターは、粉砕可能なカプセルを中に置くことができる複数のフィルター要素を含んでもよい。

粉砕可能なカプセルは、酢酸セルローストウ、ポリ乳酸（ＰＬＡ）、または紙などのフィルター材料内に包埋されることが好ましい。例えば、フィルターは、風味含有の壊れやすいカプセルを紙巻たばこのフィルターの中に組み込む方法と類似する方法で、フィルター材料内に包埋することができる。

「喫煙物品」という用語は、紙巻たばこ、葉巻たばこ、シガリロを含み、また喫煙可能材料（たばこなど）が点火されて燃焼されて煙を生成するその他の物品を含む。「喫煙物品」という用語はまた、直接的または間接的に喫煙用組成物を加熱する喫煙物品、または熱源の有無にかかわらず、気流または化学反応を使用して、喫煙可能材料からニコチンまたはその他の材料を送達する喫煙物品など（しかしこれらに限定されない）、喫煙可能材料が燃焼しない物品も含む。

「煙」という用語は本明細書で使用される場合、喫煙物品によって生成されるエアロゾルを説明するために使用される。喫煙物品によって生成されるエアロゾルは、例えば、紙巻たばこなどの可燃性の喫煙物品によって生成される煙、または加熱式喫煙物品もしくは非加熱式喫煙物品などの不燃性の喫煙物品によって生成されるエアロゾルでもよい。

本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を持つ。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。

単数形（「１つの（ａ）」、「１つの（ａｎ）」、および「その（ｔｈｅ）」）は本明細書で使用される場合、複数形の対象を有する実施形態を含蓄するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。

「または」は一般的に、本明細書で使用される場合、「および／または」を含めた意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および／または」という用語は、列挙された要素の１つまたはすべて、または列挙された要素のうちの任意の２つ以上の組み合わせを意味する。

「有する、持つ（ｈａｖｅ）」、「有している、持っている（ｈａｖｉｎｇ）」、「含む（ｉｎｃｌｕｄｅ）」、「含まれる（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」、「備える（ｃｏｍｐｒｉｓｅ）」、「備える（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」、またはこれに類するものは本明細書で使用される場合、制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これに限定されない」を意味する。「から本質的に成る」、「から成る」、およびこれに類するものは、「含む」およびこれに類するものに包摂されることが理解されるであろう。

「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定のメリットをもたらし得る本発明の実施形態を指す。ただし、同一またはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものでありうる。その上、１つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外するものではない。

部分的に広げられた喫煙物品の実施形態の概略的な斜視図である。 フィルターが、プラグラップによって取り囲まれたプラグ−スペース−プラグ構成である実施形態を図示する。 粉砕可能なカプセルがフィルター材料内に包埋され、プラグラップによって取り囲まれるフィルターの実施形態を図示する。 壊れやすいシェルによって囲まれたコアを含む粉砕可能なカプセルの実施形態を図示する。 実施例の試験の結果を提示する。

図１は部分的に広げられた喫煙物品の実施形態の概略的な斜視図である。図２〜図３は、カプセルを含むフィルターの実施形態の概略的な長軸方向の断面図である。図４は、カプセルの断面の概略的な斜視図である。図１〜図４に示した喫煙物品、フィルター、およびカプセルは、上述の喫煙物品の実施形態または喫煙物品の構成要素を図示する。概略図の縮尺は必ずしも正確なものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される１つ以上の態様を図示する。ただし、図面に図示されていないその他の態様が本開示の範囲および精神に含まれることが理解されるであろう。

ここで図１を参照すると、喫煙物品１０（この場合では紙巻たばこ）が図示されている。喫煙物品１０には、たばこロッドなどのロッド２０、および酢酸セルローストウなどのフィルター材料３２を含む口側端フィルター３０が含まれる。図示された喫煙物品１０には、プラグラップ６０、紙巻たばこ用紙４０、およびチッピングペーパー５０が含まれる。図示した実施形態において、プラグラップ６０はフィルター３０の少なくとも一部分を囲む。紙巻たばこ用紙４０はロッド２０の少なくとも一部分を囲む。チッピングペーパー５０またはその他の適切なラッパーは、当業界で一般的に周知のように、プラグラップ６０および紙巻たばこ用紙４０の一部分を囲む。フィルター３０は粉砕可能なカプセルを含み、これは、例えば図２および図３に図示される向きとしてもよい。

図２は、フィルター３０が、プラグラップ６０によって取り囲まれたプラグ３２−スペース３３−プラグ３４構成である実施形態を図示する。プラグ３２は口側の端のプラグであり、白色の酢酸セルローストウであることが好ましい。粉砕可能なカプセル８０は、プラグ３２とプラグ３４の間の空隙３３内に配置される。

図３は、粉砕可能なカプセル８０がフィルター材料３２内に包埋され、プラグラップ６０によって取り囲まれるフィルター３０の実施形態を図示する。

図４は、壊れやすいシェル８４によって囲まれたコア８２を含む粉砕可能なカプセル８０の実施形態を図示する。

以下の非限定的な実施例では、上述のカプセルおよび方法の例証的な実施形態を提供する。これらの実施例は、本明細書で提示されている開示の範囲を制限するものではない。

実施例
フィルター中の保湿剤が主流煙からフェノールを効果的に取り除くことができるかどうかを判断するために、保湿剤を含む組成物を紙巻たばこのフィルターに注入した。様々な保湿剤が様々な濃度で評価された。下記の表２は、フィルターに注入された保湿剤組成物の体積、密度、濃度を図示する。
表２ フェノールの低減を試験するためにフィルターに注入された保湿剤組成物

保湿剤は望ましい濃度でエタノール中で溶解され、その後、溶解された保湿剤組成物はフィルターに注入された。

主流煙中のフェノール濃度を低減する保湿剤組成物の能力は以下の通り試験された。簡潔に述べると、紙巻たばこの主流煙は、ＩＳＯ ３３０８に従って標準条件下でケンブリッジフィルターパッド上へと収集された。フィルターパッドは有機溶媒を用いて抽出され、抽出物は通常的なガスクロマトグラフィー／質量分析法による分析に供された。

試験の結果は図５に提示されており、保湿剤が注入されていない対照の紙巻たばこ中のフェノールの収量に対するフェノール収量の割合で示されている。これらの結果は、主流煙からの煙成分のレベルを著しく低減する上で保湿剤が効果的であることを示す。

多くの壊れやすいカプセルが調製され、特徴付けられた。下記の表３では、カプセルの３つのバッチを形成するために使用された成分を列記している。
表３ カプセルの製造に使用された成分

ＭＣＴ＝中鎖トリグリセリド。ＰＶＡ＝ポリビニルアルコール。

バッチ００１、バッチ００２、およびバッチ００３のカプセルは振動ジェット破壊技法によって調製された。

表３に示す通り、シェル（ＣａＣｌ₂、ＰＶＡ、およびアルギネート）は、カプセルの重量の約７％〜約８％であり、その一方でコア（ＭＣＴおよびプロピレングリコール）は、カプセルの重量の約９２％〜約９３％であった。

バッチ００１のカプセルの平均直径は４．３ｍｍであった。バッチ００２のカプセルの平均直径は４．２ｍｍであった。バッチ００３のカプセルの平均直径は４．２ｍｍであった。

バッチ１のカプセルは、明細書で上記に説明した通り、破壊試験を受けた。粉砕力および破壊時の距離が評価された。平均粉砕力は１１．９Ｎであり、破壊時の距離の平均は１．２５ｍｍであった。

こうして、喫煙物品用の風味カプセルのための方法、システム、装置、化合物、および組成物が説明されている。本発明の様々な修正および変形が、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。本発明は特定の好ましい実施形態に関連して記述してきたが、当然のことながら、本発明は主張の通り、こうした特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。実際に、化学、化学工学、フィルター製造、紙巻たばこ製造、または関連する分野の当業者にとって明らかである、本発明を実施するための説明された方法の様々な修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内に収まるものであることが意図される。

Claims (14)

1. 喫煙物品であって、
   喫煙可能材料と、
   前記喫煙可能材料の下流にあるフィルターと、を含み、
   前記フィルターが、コアと、前記コアを囲む壊れやすいシェルとを備える継ぎ目のない粉砕可能なカプセルを備え、
   前記コアが、１つ以上の脂質化合物、および１つ以上の煙成分と相互作用して主流煙中の前記１つ以上の煙成分の濃度を低減する能力を有する１つ以上の保湿剤を含む混合物を含み、
   前記１つ以上の脂質化合物が、前記混合物の重量の５０％以上の割合を占め、
   前記１つ以上の保湿剤が前記混合物の重量の２％〜１５％の割合を占める、喫煙物品。
2. 前記１つ以上の脂質化合物が１つ以上の中鎖トリグリセリドを含む、請求項１に記載の喫煙物品。
3. 前記１つ以上の中鎖トリグリセリドが前記混合物の重量の５０％以上の割合を占める、請求項２に記載の喫煙物品。
4. 前記１つ以上の中鎖トリグリセリドのうちの少なくとも１つが、ココナッツオイル中に存在する中鎖トリグリセリドである、請求項２または３に記載の喫煙物品。
5. 前記１つ以上の保湿剤の少なくとも１つが親水性であり、またフェノールと水素結合を形成する能力を有する糖アルコール、糖ポリオール、ポリマーポリオール、またはグリコールを含む、請求項１〜４のいずれか１項に記載の喫煙物品。
6. 前記１つ以上の保湿剤の前記少なくとも１つが、グリセロールトリアセテート、クエン酸トリエチル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびポリオキシエチレンから成る群から選択される化合物を含む、請求項５に記載の喫煙物品。
7. 前記１つ以上の保湿剤の前記少なくとも１つが、ポリエチレングリコール４００またはポリエチレングリコール６００を含む、請求項５または６に記載の喫煙物品。
8. 前記混合物がエマルションである、請求項１〜７のいずれか１項に記載の喫煙物品。
9. 前記カプセルが振動ジェット破壊技法を介して形成される、請求項１〜８のいずれか１項に記載の喫煙物品。
10. 前記カプセルの直径が３ｍｍ〜５ｍｍの範囲である、請求項１〜９のいずれか１項に記載の喫煙物品。
11. 前記カプセルの弾かれることに対する抵抗が５Ｎ〜２０Ｎである、請求項１〜１０のいずれか１項に記載の喫煙物品。
12. 前記コアが風味剤をさらに含む、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の喫煙物品。
13. 前記風味剤がアセトイン、スクロース、ソルビトール、乳酸エチル、乳酸、バニラオレオレジン、ベンジルアルコール、エチルマルトール、バニリン、フラネオール、マルトール、ベンズアルデヒド、およびヘリオトロピンから成る群から選択される、請求項１２に記載の喫煙物品。
14. 前記風味剤が親水性である、請求項１２または１３に記載の喫煙物品。

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