JP6857854B2 - サリューシン−β阻害剤のスクリーニング方法及びサリューシン−β阻害剤 - Google Patents
サリューシン−β阻害剤のスクリーニング方法及びサリューシン−β阻害剤 Download PDFInfo
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Description
(1)サリューシン−β若しくはその誘導体、ATP合成酵素β鎖若しくはその誘導体、サリューシン−βに対する特異的結合物質、又はATP合成酵素β鎖に対する特異的結合物質、を有効成分として含有する血管新生関連疾患の治療又は予防剤。
(2)前記血管新生関連疾患が、癌、心筋梗塞、慢性炎症、網膜血管新生症、糖尿病性網膜症又は閉塞性動脈硬化症である、(1)に記載の治療又は予防剤。
(3)被検物質の存在下及び非存在下で、サリューシン−βとATP合成酵素β鎖とを接触させる工程と、前記被検物質の存在下及び非存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量を定量する工程と、前記被検物質の存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量が、前記被検物質の非存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量と比較して変化した場合に、前記被検物質を血管新生関連疾患の治療又は予防剤であると判定する工程と、を含む、血管新生関連疾患の治療又は予防剤のスクリーニング方法。
(4)前記血管新生関連疾患が、癌、心筋梗塞、慢性炎症、網膜血管新生症、糖尿病性網膜症又は閉塞性動脈硬化症である、(3)に記載のスクリーニング方法。
(5)サリューシン−β及びATP合成酵素β鎖を含む、血管新生関連疾患の治療又は予防剤のスクリーニングキット。
1実施形態において、本発明は、サリューシン−β若しくはその誘導体、ATP合成酵素β鎖若しくはその誘導体、サリューシン−βに対する特異的結合物質、又はATP合成酵素β鎖に対する特異的結合物質、を有効成分として含有する血管新生関連疾患の治療又は予防剤を提供する。血管新生関連疾患の治療又は予防剤は、血管新生を抑制するものであってもよく、血管新生を促進するものであってもよい。
後述する実施例において示すように、発明者らはサリューシン−βがインビボで血管新生抑制活性を示すことを明らかにした。したがって、サリューシン−β若しくはその誘導体は、血管新生関連疾患の治療又は予防剤として使用することができる。
後述する実施例において示すように、発明者らはサリューシン−βの受容体がATP合成酵素β鎖であることを明らかにした。したがって、遊離状態の(可溶化した)ATP合成酵素β鎖若しくはその誘導体は、サリューシン−βに結合してサリューシン−β受容体への結合を阻害することによってサリューシン−βの働きを抑制することにより、サリューシン−βの生理活性を調節することができる。したがって、ATP合成酵素β鎖若しくはその誘導体は、血管新生関連疾患の治療又は予防剤として使用することができる。ATP合成酵素β鎖のアミノ酸配列を配列番号2に示す。
上述したように、発明者らはサリューシン−βがインビボで血管新生抑制活性を示すことを明らかにした。したがって、サリューシン−βに対する特異的結合物質は、サリューシン−βに結合してサリューシン−βの働きを抑制することにより、サリューシン−βの生理活性を調節することができる。したがって、サリューシン−βに対する特異的結合物質は、血管新生関連疾患の治療又は予防剤として使用することができる。特異的結合物質としては、例えば、抗体、抗体断片、アプタマー、受容体等が挙げられる。
上述したように、発明者らはサリューシン−βの受容体がATP合成酵素β鎖であることを明らかにした。したがって、ATP合成酵素β鎖に対する特異的結合物質は、ATP合成酵素β鎖に結合してサリューシン−βのATP合成酵素β鎖への結合を抑制することにより、サリューシン−βの生理活性を調節することができる。したがって、ATP合成酵素β鎖に対する特異的結合物質は、血管新生関連疾患の治療又は予防剤として使用することができる。特異的結合物質については、上述したものと同様である。
1実施形態において、本発明は、被検物質の存在下及び非存在下で、サリューシン−βとATP合成酵素β鎖とを接触させる工程と、前記被検物質の存在下及び非存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量を定量する工程と、前記被検物質の存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量が、前記被検物質の非存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量と比較して変化した場合に、前記被検物質を血管新生関連疾患の治療又は予防剤であると判定する工程と、を含む、血管新生関連疾患の治療又は予防剤のスクリーニング方法を提供する。
本工程において、被検物質の存在下及び非存在下でサリューシン−βとATP合成酵素β鎖とを接触させる。被検物質としては、例えば化合物ライブラリー等を用いることができる。本工程は、例えば、後述する実験例で示すように、ATP合成酵素β鎖を発現する細胞の培地に、被検物質の存在下又は非存在下で、蛍光標識したサリューシン−βを反応させること等により実施することができる。あるいは、被検物質の存在下又は非存在下で、サリューシン−β又はATP合成酵素β鎖を固定した固相に、蛍光標識したATP合成酵素β鎖又は蛍光標識したサリューシン−βをそれぞれ接触させてもよい。固相としては、例えば、ビーズ等の粒子;スライドガラス、イムノプレート等の板状構造体等が挙げられる。
本工程において、サリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量を定量する。本工程は、例えば、上述した細胞表面に結合した、サリューシン−βの蛍光量を測定すること等により実施することができる。あるいは、上述した固相に結合したATP合成酵素β鎖又はサリューシン−βの蛍光量を測定すること等により実施することができる。
本工程において、被検物質が血管新生関連疾患の治療又は予防剤であるか否かを判定する。より具体的には、被検物質の存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量が、被検物質の非存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量と比較して変化した場合に、被検物質を血管新生関連疾患の治療又は予防剤であると判定する。
1実施形態において、本発明は、サリューシン−β及びATP合成酵素β鎖を含む、血管新生関連疾患の治療又は予防剤のスクリーニングキットを提供する。サリューシン−β又はATP合成酵素β鎖は、蛍光色素等で標識されていてもよい。本実施形態のスクリーニングキットは、上述した血管新生関連疾患の治療又は予防剤のスクリーニング方法を実施するのに好適に用いることができる。
1実施形態において、本発明は、サリューシン−β若しくはその誘導体、ATP合成酵素β鎖若しくはその誘導体、サリューシン−βに対する特異的結合物質、又はATP合成酵素β鎖に対する特異的結合物質を、哺乳動物に投与する工程を備える、血管新生関連疾患の治療又は予防方法を提供する。
[サリューシン−βの受容体の同定]
膜タンパク質ライブラリー(membrane protein library、MPL)をスクリーニングすることにより、サリューシン−βの受容体を同定した。
まず、ラット、マウス及びブタの様々な臓器由来の組織から膜タンパク質を抽出した。臓器としては、心臓、大脳、小脳、肺、肝動脈、腎臓、骨格筋、視床下部/下垂体、大動脈を使用した。
予備検討の結果を踏まえ、NHS−セファロース上にサリューシン−βのN末端を固定したものを使用して、サリューシン−βに結合する膜タンパク質の単離を試みた。
[サリューシン−βの細胞表面に対する結合能の検討]
FITC標識したサリューシン−βを、いくつかの上皮細胞及び癌由来細胞とインキュベートし、共焦点蛍光顕微鏡で観察した。図2(a)〜(n)は、実験結果を示す共焦点蛍光顕微鏡写真である。
[ATP合成酵素の活性に対するサリューシン−βの影響の検討]
内皮細胞表面のATP合成酵素はATPを合成することが知られている。そして、このATP合成能は、低いpH環境下において、アンギオスタチンによって阻害されることが知られている。
[血管新生に対するサリューシン−βの影響の検討]
マウス肉腫細胞株であるSarcoma180細胞をミリポアチャンバーに入れ、Crlj:CD1(ICR)マウスの背部皮下に移植すると、ほとんど血管の無い皮下領域に強力な血管新生を誘導する。この現象を利用したマウス背部皮下法(dorsal air sac assay)により、血管新生に対するサリューシン−βの影響を検討した。
Claims (3)
- 被検物質の存在下及び非存在下で、サリューシン−βとATP合成酵素β鎖とを接触させる工程と、
前記被検物質の存在下及び非存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量を定量する工程と、
前記被検物質の存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量が、前記被検物質の非存在下におけるサリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合量と比較して減少した場合に、前記被検物質をサリューシン−β阻害剤であると判定する工程と、
を含む、サリューシン−β阻害剤のスクリーニング方法。 - サリューシン−β及びATP合成酵素β鎖を含む、サリューシン−β阻害剤のスクリーニングキット。
- サリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合を阻害する物質を有効成分として含有し、
サリューシン−βとATP合成酵素β鎖との結合を阻害する前記物質が、
ATP合成酵素β鎖に対する抗体、
可溶化したATP合成酵素β鎖であって、前記ATP合成酵素β鎖が配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる、可溶化したATP合成酵素β鎖、あるいは、
可溶化した、ATP合成酵素β鎖の誘導体であって、前記ATP合成酵素β鎖の誘導体が、(i)配列番号2からなるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつサリューシン−βに対する結合活性を有するペプチド、(ii)前記ATP合成酵素β鎖にポリエチレングリコールが結合したもの、又は(iii)配列番号2からなるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつサリューシン−βに対する結合活性を有するペプチドにポリエチレングリコールが結合したものである、可溶化した、ATP合成酵素β鎖の誘導体、
である、サリューシン−β阻害剤。
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