JP6857432B1 - 風力発電設備のブレードの非接触検査方法 - Google Patents

風力発電設備のブレードの非接触検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非接触で簡便にブレードを検査できる風力発電設備のブレードの非接触検査方法を提供する。【解決手段】風力発電設備WのブレードBの損傷を非接触で検査する方法であって、ブレードBが、繊維強化プラスチックで形成された抗力側部材PBと、繊維強化プラスチックで形成された揚力側部材SBと、を有し、両者の間に中空空間Phが形成されたものであり、抗力側部材PBの外面PFおよび/または揚力側部材SBの外面SFの温度を非接触で測定し、抗力側部材PBと揚力側部材SBとの温度差に起因して抗力側部材PBの外面PFまたは揚力側部材SBの外面SFに発生する温度分布に基づいてブレードBの損傷を判断する。【選択図】図1

Description

本発明は、風力発電設備のブレードの非接触検査方法に関する。さらに詳しくは、稼動中の風力発電設備のブレードを非接触で検査することができる風力発電設備のブレードの非接触検査方法に関する。
従来、既設の風力発電設備において、ブレードの欠陥等の検査は、ロープアクセスによって行われている。ロープアクセスによる検査では、作業者が風力発電設備のナセルまで上り、ロープを使用してナセルから下降しながらブレードに近づき、目視観察やハンマリングによる打音を聞くことによって欠陥等の検査が行われる。
ロープアクセスによる検査では、数十メートルものブレードを上から下へ降下する形で作業しなければならない。しかも、一本のブレードの検査ではロープアクセスが複数回行なわれており、一つの風力発電設備には複数枚のブレードが設けられているので、一つの風力発電設備の検査に多大な時間と作業者の労力が必要となっている。とくに、集合型風力発電所(ウィンドファーム)のように多くの風力発電設備が設置されている場合には、作業者の負担や検査時間が甚大なものになる。
近年では無人飛行機の普及が進んでおり、無人飛行機を使用したブレードの検査も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、風力発電設備のブレードを水平となるように固定した状態で、ブレード上に無人飛行機を着陸させてブレードの打撃検査を実施することが開示されている。
この方法はロープアクセスに比べれば作業者の負担を軽減でき検査時間を短くできる。
しかし、あくまでも人の代わりに無人飛行機をブレードに接触させて検査を実施するものであり、無人飛行機をブレード上に配置しなければならないのでそのために検査開始までにある程度の時間を要するし、無人飛行機の操作という作業者の負担が発生する。
一方、非接触でブレードの検査を実施する方法も開発されている(特許文献2参照)。
例えば、特許文献2には、ブレード内部に外気よりも高温(例えば70〜120度)や低温の流体を空気熱デバイスから供給してブレードを加熱または冷却して、ブレード内部と外部の温度差に起因してブレード表面に発生する温度分布を測定し、その温度分布に基づいて損傷を把握する技術が開示されている。
特開2017―20410号公報 特表2013―542360号公報
しかるに、特許文献2に開示された方法を実施するには風力発電設備内に空気発生デバイスを搭載する必要があるため、空気発生デバイスが搭載されていない風力発電設備には適用できない。
しかも、多くの風力発電設備を有する集合型風力発電所では、各風力発電設備に空気発生デバイスを設けなければならず、莫大な設備費用が必要になる。そして、各風力発電設備が大型化すれば、それに伴って空気発生デバイスも大型化しなければならなくなり、風力発電設備自体の建設費用や改修費用も莫大になる。
本発明はかかる事情に鑑み、非接触で簡便にブレードを検査できる風力発電設備のブレードの非接触検査方法を提供することを目的とする。
第1発明の液体の処理方法は、風力発電設備のブレードの損傷を非接触で検査する方法 であって、ブレードが、抗力側部材と揚力側部材とを有し、両者の間に中空空間が形成さ れ、中空空間内に抗力側部材と揚力側部材とを連結する連結部材を備えたものであり、連 結部材と抗力側部材の内面および/または揚力側部材の内面とが接着剤により接着されて おり、抗力側部材の外面および/または揚力側部材を加熱した状態で抗力側部材の外面お よび/または揚力側部材の外面の温度を非接触で測定し、抗力側部材の外面および/また は揚力側部材の外面において、接着剤が設けられている個所と対応する位置における外面 の温度に基づいて、接着剤の劣化を判断することを特徴とする。
本発明によれば、接着剤の劣化により剥離が生じていれば、接着剤が正常な状態に比べ てその領域の温度が低下するので、抗力側部材の外面および/または揚力側部材の外面の 温度を非接触で測定すれば、接着剤の劣化を把握することができる。
本実施形態の風力発電設備のブレードの非接触検査方法のフロー図であり、(A)は基本的な非接触検査方法のフロー図であり、(B)は接着剤adの損傷を検査する方法のフロー図であり、(C)は反射光等の影響を除去する検査方法のフロー図である。 (A)は本実施形態の風力発電設備のブレードの非接触検査方法によって測定した風力発電設備Wの外観写真であり、(B)は本実施形態の風力発電設備のブレードの非接触検査方法によって得られたブレードB表面の温度分布画像である。 ブレードBを異なる位置に配置した場合における比較図であり、(A)、(C)は外観写真であり、(B)、(D)本実施形態の風力発電設備のブレードの非接触検査方法によって得られたブレードB表面の温度分布画像である。 本実施形態の風力発電設備のブレードの非接触検査方法で検査されるブレードBの概略説明図である。 風力発電設備Wの概略説明図である。 (A)は風力発電設備から取り外されて地上に置かれているブレードを撮影した外観写真であり、(B)は(A)のブレードにおいてフレーム部分の温度分布が把握しやすくなる温度分布画像であり、(C)は(A)のブレードにおいて損傷部位の温度分布が把握しやすくなる温度分布画像である。 図6(B)のおけるL2のラインの温度変動を示したグラフであり、図6(C)のおけるL1のラインの温度変動を示したグラフである。 (A)は風力発電設備から取り外されて地上に置かれているブレードを撮影した外観写真であり、(B)は(A)のブレードにおいて温度分布の範囲を高温にした温度分布画像であり、(C)は(A)のブレードにおいて温度分布の範囲を低温にした温度分布画像である。 実際の風力発電設備に設置されているブレードを異なる角度から測定した温度分布画像である。
本実施形態の風力発電設備のブレードの非接触検査方法は、風力発電設備のブレードの損傷の有無を検査する方法であって、ブレードの損傷を非接触で簡便に把握できるようにしたことに特徴を有している。
<ブレードBの説明>
まず、本実施形態の風力発電設備のブレードの非接触検査方法(以下では単にブレードの非接触検査方法という場合がある)によって検査される風力発電設備WのブレードBの一例を説明する。
図5に示すように、風力発電設備Wは、地面に立設されたタワーTの上端部にナセルNが設けられており、このナセルNに回転可能に設けられた回転軸Aに複数枚のブレードBが設けられている。複数枚のブレードBは、回転軸Aに対して、ブレードBの軸周り(図5の軸CS周り)に回転できるように設けられている。つまり、ブレードBの角度(ピッチ)を調整できるようになっている。
なお、ナセルNは、タワーTに対して回転可能に設けられている場合と固定されている場合と、があり、タワーTに対して回転可能である場合には風向きに応じてその向きが変更できるようになっている。
図4に示すように、ブレードBは、繊維強化プラスチック(FRP)で形成された抗力側部材PB(正圧面側シェル)と、繊維強化プラスチック(FRP)で形成された揚力側部材SB(負圧面側シェル)と、を有している。ブレードBは、抗力側部材PBと揚力側部材SBの一方の端縁同士が連結されて形成された端縁(リーディングエッジLE)と、抗力側部材PBと揚力側部材SBの他方の端縁同士が連結されて形成された端縁(トレーリングエッジTE)と、を有している。そして、風上方向にリーディングエッジLEを向けた状態で配置すれば、風向きに対するブレードBの角度と風速に応じて、ブレードBを回転させる回転力が発生する。
なお、抗力側部材PBや揚力側部材SBを形成するFRPはとくに限定されない。例えば、カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などの種々のFRPを使用することができる。
また、抗力側部材PBおよび揚力側部材SBは必ずしもFRP製のものに限られず、複数枚のシートや板状の部材が積層された積層材料であって、後述する方法で抗力側部材PBと揚力側部材SBとの間に温度差が生じた場合に、その損傷部位と正常部位との間に損傷を検査可能な温度差(0.5〜2℃程度)を生じさせる材料であればよい。
抗力側部材PBと揚力側部材SBとの間には、中空な空間Phが形成されており、この中空な空間Ph内には、抗力側部材PBの内面PIと揚力側部材SBの内面SIとを連結する連結部材CBが設けられている。この連結部材CBは、木材などで形成された部材であり、ブレードBの軸方向に沿って延びるように設けられている。この連結部材CBは、板状の本体部Mと、本体部Mの両端に設けられた固定プレートPとから構成されている。固定プレートPは、抗力側部材PBの内面PIおよび揚力側部材SBの内面SIに接着剤adによって固定されている。したがって、固定プレートPが設けられている部分は、接着剤adと固定プレートPとを合せた厚さT2の分だけ、抗力側部材PBや揚力側部材SBの厚さT1よりも厚くなっている。
なお、本実施形態のブレードの非接触検査方法で検査されるブレードBの構造は、上記のごとき構造に限定されない。内部に中空な空間を有するブレードBであればよく、その内部の構造はとくに限定されない。上述した例では、連結部材CBは固定プレートPが設けられている位置では断面略I字状であるが、連結部材CBは断面C字状に形成されていてもよい。
<ブレードの非接触検査方法>
つぎに、本実施形態のブレードの非接触検査方法を説明する。
本実施形態のブレードの非接触検査方法では、ブレードBの抗力側部材PBの外面PFや、揚力側部材SBの外面SFの温度を測定して、ブレードBの抗力側部材PBや揚力側部材SBの損傷の有無を検出する。
なお、以下では、ブレードBの抗力側部材PBの損傷を検出する場合を代表として説明する。
本実施形態のブレードの非接触検査方法では、ブレードBの抗力側部材PBの外面PFの温度を測定する温度測定器TCと、この温度測定器TCが測定した温度に基づいて、ブレードBの抗力側部材PBの外面PFの温度分布画像を作成する解析器ADと、を有する測定装置MDを使用して検査を実施する(図4(B)参照)。
温度測定器TCは、ブレードBの抗力側部材PBの外面PFの温度を測定できるものであればよく、とくに限定されない。例えば、赤外線カメラやマルチスペクトルカメラ等を使用することができる。
解析器ADは、温度測定器TCが測定したデータに基づいて、ブレードBの温度分布画像を作成できるものである。例えば、赤外線カメラのデータを温度分布画像(図2(B)参照)を作成するアプリケーションがインストールされたパーソナルコンピュータを解析器ADとして使用することができる。
なお、測定装置MDは、可視光を撮影する一般的なCCDカメラ等を備えていてもよい。この場合、温度測定器TCで測定した温度データに基づいて解析器ADによって形成した温度分布画像とCCDカメラ等で撮影した可視画像とを比較すれば、ブレードBにおける損傷位置などを把握しやすくなる。また、赤外線カメラ自体が赤外線と可視光とを同時に測定することができるものであれば、CCDカメラ等を使用しなくても温度分布画像とCCDカメラ等で撮影した可視画像とを比較できる。
かかる検査機器を使用して、以下の方法でブレードの検査を実施する。
図1(A)に示すように、まず、風力発電設備Wの複数のブレードBのうち、検査するブレードBの角度を調整して、ブレードBの抗力側部材PBの表面PFには直射日光が照射されないが、揚力側部材SBの表面SFには直射日光が照射される状態とする(図4(B)参照)(BS1)。そして、一定の時間その状態に維持すると(例えば10〜20分程度)、揚力側部材SBの表面SFの温度が上昇し、揚力側部材SBと抗力側部材PBとの間で温度差が生じる。すると、連結部材CB等の構造物を通した熱伝導や内部空間Ph内の空気による熱伝達、輻射熱等によって揚力側部材SBから抗力側部材PBに熱が移動する。
その状態で、ブレードBの抗力側部材PBの表面PFを温度測定器TCによって測定し(BS2)、その測定データを解析器ADによって解析し、ブレードBの抗力側部材PBの表面PFの温度分布画像を作成する(BS3)。
なお、温度測定器TCによって測定されたデータは、記憶媒体等に記憶させておき、検査の実施後、別に用意された解析器によって解析してもよい。
そして、温度分布画像を確認して、損傷個所を判断する(BS4)。
ここで、ブレードBに損傷がない場合、抗力側部材PBにおいて同じ構造かつ近接した位置ではほぼ同じ温度になる一方、抗力側部材PBにおいて損傷が生じている部分では周囲との間に温度差が生じる。例えば、FRPの亀裂や剥離などが生じている場合には、その部分は周囲との間に厚さや構造(例えば空隙ができるなど)に差が生じる。すると、損傷している部分はその近傍の同じ構造の部分に比べて、抗力側部材PBの厚さが薄くなるため、周囲との間に温度差が生じる。具体的には、損傷している部分は、周囲に比べて温度が高くなる(図2(B)a参照)。
すると、温度分布画像では、損傷が生じていなければ同じ構造かつ近接した位置ではほぼ均一な温度分布を示すのに対し、損傷が生じている場合には、その部分に温度が高い領域が形成される。
したがって、上記の方法でブレードBの表面の温度、つまり、直射日光が照射されていない表面の温度を非接触で測定し、その温度分布画像を作成すれば、簡単かつ短時間の検査でブレードBの損傷を発見することができる。
しかも、ブレードBの角度(ピッチ)やナセルNの角度等を調整して、検査する表面(抗力側部材PBの表面PF)は直射日光が照射されない状態とし、検査しない表面(揚力側部材SBの表面SF)には直射日光が照射される状態として、非接触で温度を測定するだけである。つまり、本実施形態のブレードの非接触検査方法では、検査する表面に検査可能な温度差(0.5〜2℃程度)を生じさせるために、検査装置や風力発電設備に特別な加熱装置や冷却装置等を設けなくてもよい。すると、既設の風力発電設備にも簡単に適用できるし、新設の風力発電設備であっても特別な設備を設置しなくてもよいので検査のために追加の費用が発生することもない。
また、ブレードBによっては、補修がなされている場合があり、その場合、補修個所は周囲に比べて構造や素材、厚さが異なっている場合があり、その部位は周囲との間に温度差が生じることになる。しかし、抗力側部材PBや揚力側部材SBであれば、補修個所は、通常、周囲に比べて厚さが厚くなっているので、補修個所は周囲よりも温度が低くなる(図2(B)b参照)。すると、補修個所と損傷個所は、いずれも周囲と温度差は生じるが、温度分布画像を確認すれば、補修個所であるか損傷個所であるかを識別することができる。
<接着剤の劣化診断>
また、抗力側部材PBの内面PIおよび揚力側部材SBの内面SIには、連結部材CBの固定プレートPが固定されている。抗力側部材PB等と固定プレートPの素材とが異なる場合もあるが、実質的には、固定プレートPが固定されている部分は、抗力側部材PB等の厚さが厚くなった状態になっているとみなせる。
一方、固定プレートPは、接着剤adによって抗力側部材PBの内面PIとおよび揚力側部材SBの内面SIに固定されている。接着剤adは、FRP製の抗力側部材PB等に比べて、加熱されると温度が高くなる傾向にある。したがって、固定プレートPの位置では、ブレードBが加熱されていない状態では周囲に比べて温度が低い状態になるが、加熱されると接着剤adが加熱されることによって周囲よりも温度が高くなる。
つまり、ブレードBが正常であれば、ブレードBが加熱されていない状態では、固定プレートPの位置は周囲よりも温度が低くなり、ブレードBがある程度加熱されると、固定プレートPの位置は周囲よりも温度が高くなる。
しかし、接着剤adの劣化が生じて固定プレートPと抗力側部材PB等とが剥離する状態になると、剥離した個所は、実質的に、抗力側部材PB等だけが存在する状態になるので、剥離した個所は周囲とほぼ同じ温度になる。したがって、剥離の発生は、一回だけ温度分布を測定して温度分布画像を作成したのでは把握することが難しい。
そこで、接着剤の劣化を診断する場合には、以下のような手順で検査することが望ましい。
図1(B)に示すように、まず、正常なブレードBが十分に加熱されていない状態で、抗力側部材PBの表面PFの温度を測定する(AS1)。この測定データによって温度分布画像を作成し(AS2)、ブレードBの構造、つまり、ブレードBのどの位置に連結部材CBの固定プレートPが設けられているかを把握する(AS3)。具体的には、ブレードBの温度分布画像において温度の低い領域を連結部材CBの固定プレートPが設けられている位置と判断する。この温度分布画像を、以下では基準画像という。
実際の検査では、接着剤adの劣化を検査する表面(例えば、ブレードBの抗力側部材PBの表面PF)を加熱する。加熱する方法はとくに限定されないが、例えば、ブレードBの抗力側部材PBの表面PFに直射日光が照射される状態とする。一定の時間その状態に維持した後、抗力側部材PBの表面PFの温度を測定する(AS4)。この測定データを用いて温度分布画像(検査画像)を作成する(AS5)。
そして、検査画像と基準画像とを比較して、損傷の有無を判断する(AS6)。
具体的には、基準画像において固定プレートPが設けられている位置と、検査画像において周囲に比べて高温となっている領域と、が一致すれば、接着剤adは正常な状態であると判断することができる。
一方、基準画像の固定プレートPが設けられている位置に、検査画像において周囲とほぼ同等の温度になっている領域があれば、その領域は、接着剤adの劣化により剥離が生じている可能性があると判断することができる。
<反射の影響>
また、本実施形態のブレードの非接触検査方法では、ブレードBにおいて検査する表面(上記例で抗力側部材PBの表面PF)には直射日光が照射されない条件としている。しかし、周囲からの反射光(間接光)が検査する表面に照射されると、このような間接光の影響で、測定される温度が変化する可能性がある。
そこで、間接光の影響を除去するには、以下のような測定を実施することが望ましい。
図1(C)に示すように、まず、ブレードBにおいて検査する表面には直射日光が照射されない条件としつつ、ブレードBの位置やブレードBの角度(ピッチ)やナセルNの角度等を変更してブレードBの表面の温度を測定し(RS1)、測定データを用いて温度分布画像を作成する(RS2)。
つぎに、ブレードBの位置を変更して、ブレードBの表面の温度を測定し、測定データを用いて温度分布画像を作成する。さらにブレードBの位置を変更して、ブレードBの表面の温度を測定し、測定データを用いて温度分布画像を作成する。
そして、所定回数だけ上記作業を実施すると、得られた複数の温度分布画像を比較し、各温度分布画像において損傷と見做せる領域が一致するか否かを確認する(RS3)。そして、各温度分布画像において損傷と見做せる領域が一致していれば、その位置は損傷が生じていると判断でき、画像によって位置が異なっていれば損傷が生じている領域ではなく間接光等によるノイズの影響であると判断できる(図3(B)、(D)の丸囲み参照)。つまり、間接光等の影響があっても、その影響を除去してブレードBの損傷個所を把握することができる。
また、ブレードBの位置を変更せずに、ブレードBの温度測定をする位置を変更してもよい。その場合でも、各測定位置における温度分布画像を作成し比較すれば、ブレードBの位置を変更した場合と同様に間接光等の影響を除去してブレードBの損傷個所を把握することができる。その場合には、以下のような測定を実施することが望ましい。
まず、ブレードBにおいて検査する表面には直射日光が照射されない条件として、上述した温度測定器TCを設置し、ブレードBの表面の温度を測定し、測定データを用いて温度分布画像を作成する。
つぎに、ブレードBはそのままで、温度測定をする位置(つまり温度測定器TCの設置場所)を変更して、ブレードBの表面の温度を測定し、測定データを用いて温度分布画像を作成する。さらに温度測定器TCの位置を変更して、ブレードBの表面の温度を測定し、測定データを用いて温度分布画像を作成する。
そして、所定回数だけ上記作業を実施すると、得られた複数の温度分布画像を比較し、各温度分布画像において損傷と見做せる領域が一致するか否かを確認すれば、上述したブレードBの位置を変更する方法と同様に、間接光等の影響があっても、その影響を除去してブレードBの損傷個所を把握することができる。
実際の風力発電設備のブレードの温度を撮影して、本発明の風力発電設備のブレードの非接触検査方法の有効性を確認した。なお、撮影したブレードは、風力発電設備から取り外されて地上に置かれているものである。
測定では、FLIR社製のカメラ(T−420)を使用してブレードの表面を撮影し、FLIR社製の解析ソフトウェア(Tools)を使用して撮影画像の温度を解析し、温度分布画像を作成した。
なお、温度分布画像のうち、図6(B)は、フレーム部分の温度分布が把握しやすくなる温度分布画像であり、図6(C)は、損傷部位の温度分布が把握しやすくなる温度分布画像である。
また、温度分布画像上のラインL1、L2に沿った温度変化を図7に示す。
まず、図6(A)に示すように、撮影したブレードは、撮影した表面全体が日陰、つまり、直射日光が照射されていない状態となっており、逆側の面は直射日光が照射された状態となっている。
この状態において、撮影した表面の温度分布画像を確認すると(図6(B))、フレーム部は周囲に比べて温度が低くなっていることが確認できる。周囲との温度差を確認すると、図7(A)に示すように、フレーム部は0.4度程度周囲よりも温度が低くなっていることが確認できる。
また、図6(C)に示すように、損傷部位は、周囲に比べて温度が高くなっていることが確認できる。周囲との温度差を確認すると、図7(B)に示すように、損傷部位は2度程度周囲よりも温度が高くなっていることが確認できる。
以上のように、ブレードの一方の面に直射日光が照射された状態で、直射日光が照射されていない他方の表面の温度分布を把握すれば、ブレードの損傷部位やフレームを把握できることが確認された。
<直射日光が無い状態での撮影の有効性確認>
つぎに、直射日光が無い状態での撮影が有効であることを確認した。
図8(A)は、一枚のブレードに直射日光が照射されている部分(左側)と直射日光が照射されていない部分(右側)が生じている画像である。この画像から、ブレードの左側には直射日光が照射されており、右側が直射日光が照射されていないことが確認できる。また、図8(A)から、ブレードの表面には汚れがあり、この汚れはブレードの表面全体にあることが確認できる。
このブレードの温度分布画像を図8(B)、(C)に示す。なお、図8(B)は、直射日光が照射されている部分の温度分布を確認するために、表示される温度分布の範囲を高温にしており(33.2〜34.9度)、図8(C)は、直射日光が照射されていない部分の温度分布を確認するために、表示される温度分布の範囲を低温にしている(31.9〜33.9度)としている。
図8(B)と図8(C)を比較すると、直射日光が照射されていない部分(図8(C))では汚れの影響がなくブレードの構造に応じた温度分布が得られていることが確認できる。
一方、直射日光が照射されている部分(図8(B))では汚れの部分(白丸で囲った部分)が直射日光の影響で高温となっており、ブレードの構造が温度分布からでは確認できないことが分かる。
この結果より、撮影する表面に直射日光が照射されていない状態とすることにより、汚れなどの影響を防ぎつつ、ブレードの構造等を温度分布で把握できることが確認できた、
<反射光の影響除去>
また、撮影方向を変えることによって反射光の影響を除去してブレードの構造を把握できることを確認した。
この撮影では、実際の風力発電設備に設置されているブレードを、ドローン(DJI社製)に搭載された赤外線カメラ(ZenmuseXT2)によって撮影した。撮影画像の温度の解析や温度分布画像の作成には、FLIR社製の解析ソフトウェア(Tools)を使用した。
なお、図9(A)と図9(B)は、別な角度から撮影した温度分布画像であり、同じ温度範囲になるように調整している。図9(A)と図9(B)が撮影された時間はほぼ同じ時間(数十秒程度の時間差)であり、太陽の位置は変化していない。
図9(A)、(B)における四角で囲った部分を比較すると、同じ温度範囲の温度分布画像であっても、撮影角度が異なれば、温度分布画像が異なることが確認できる。つまり、反射光等の影響により、温度分布画像が異なるものとなることが確認できる。
しかし、図9(A)、(B)の温度分布画像において、フレーム部分は両温度分布画像で明確に表れており、しかもその位置が一致していることが確認できる。
以上のように、反射光等の影響があっても、撮影角度を変更すれば、フレーム部分や損傷部位などを把握できることが確認できる。
本発明の風力発電設備のブレードの非接触検査方法は、大型の風力発電設備におけるブレードの損傷を検査する方法に適している。
W 風力発電設備
T タワー
N ナセル
B ブレード
PB 抗力側部材
PI 抗力側部材の内面
PF 抗力側部材の表面
SB 揚力側部材
SI 揚力側部材の内面
SF 揚力側部材の表面
CB 連結部材
M 本体部
P 固定プレート
Ph 中空な空間
LE リーディングエッジ
TE トレーリングエッジ
ad 接着剤

Claims (6)

  1. 風力発電設備のブレードの損傷を非接触で検査する方法であって、
    ブレードが、
    抗力側部材と揚力側部材とを有し、両者の間に中空空間が形成され、中空空間内に抗力側部材と揚力側部材とを連結する連結部材を備えたものであり、
    連結部材と抗力側部材の内面および/または揚力側部材の内面とが接着剤により接着されており、
    抗力側部材の外面および/または揚力側部材を加熱した状態で抗力側部材の外面および/または揚力側部材の外面の温度を非接触で測定し、
    抗力側部材の外面および/または揚力側部材の外面において、接着剤が設けられている個所と対応する位置における外面の温度に基づいて、接着剤の劣化を判断する
    ことを特徴とする風力発電設備のブレードの非接触検査方法。
  2. 抗力側部材の外面および/または揚力側部材の外面に直射日光が照射してされる状態でとして抗力側部材の外面および/または揚力側部材を加熱する
    ことを特徴とする請求項1記載の風力発電設備のブレードの非接触検査方法。
  3. ブレードの位置を変更して、抗力側部材の外面および/または揚力側部材の外面の温度を非接触で複数回測定する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の風力発電設備のブレードの非接触検査方法。
  4. 抗力側部材の外面および/または揚力側部材の外面を測定する角度を変更して、抗力側部材の外面および/または揚力側部材の外面の温度を測定する装置の位置を変更して複数回測定する
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の風力発電設備のブレードの非接触検査方法。
  5. 抗力側部材および/または揚力側部材が、複数のシートおよび/または複数の板材が積層された積層材料で形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の風力発電設備のブレードの非接触検査方法。
  6. 前記積層材料が、繊維強化プラスチックである
    ことを特徴とする請求項5記載の風力発電設備のブレードの非接触検査方法。
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