以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[流向流速測定装置の全体構造]
図1は、第1の実施の形態に係る流向流速測定装置を例示する図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のXZ平面に平行な断面図である。図2は、第1の実施の形態に係る流向流速測定装置の筐体等を例示する図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は底面図である。図3は、第1の実施の形態に係る流向流速測定装置の流路形成部等を例示する図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は底面図である。なお、ここでは、センサ1の平面形状を矩形状とし、センサ1の上面の任意の1辺の方向をX方向、センサ1の上面のX方向に直交する方向をY方向、センサ1の上面の法線方向をZ方向とする。
図1〜図3を参照するに、流向流速測定装置100は、大略すると、筐体110と、基板120と、流路形成部130とを有している。
なお、本実施の形態では、便宜上、流向流速測定装置100の流路板131側を上側又は一方の側、外部接続端子127側を下側又は他方の側とする。又、各部位の流路板131側の面を一方の面又は上面、外部接続端子127側の面を他方の面又は下面とする。但し、流向流速測定装置100は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を流路板131の一方の面の法線方向(Z方向)から視ることを指し、平面形状とは対象物を流路板131の一方の面の法線方向(Z方向)から視た形状を指すものとする。又、各部位をXY平面に平行に切断した場合の形状を横断面形状、XY平面に垂直に切断した場合の形状を縦断面形状とする。
筐体110は、円筒状の外枠111と、開口部112xを備えた環状の基板固定部112とを有している。基板固定部112は、外枠111の上端から上側及び内側に突起している。外枠111と基板固定部112とは、例えば、一体成形されている。なお、流向流速測定装置100を基板上に実装して使用する際の乱流の影響を低減する観点から、外枠111の高さをある程度確保しておくことが好ましい。
外枠111の下面側には、基板120の角部の形状に対応する基板位置決め部111yが4箇所設けられている(図2(b)参照)。各々の基板位置決め部111yに基板120の4隅が位置決めされた状態で、基板120が筐体110に固定されている。
筐体110と基板120との固定は、樹脂141及び142により行われている。樹脂141は、基板固定部112の下面と基板120の側面とを接着している。樹脂142は、基板固定部112の内壁面下部と基板120の上面外周部とを接着している。樹脂142は、基板固定部112と基板120の上面(センサ搭載面)とが形成する角部に、基板固定部112の内壁面に沿って環状に形成されている。
基板120の上面側の略中央には、流向及び流速を検出するセンサ1が実装(例えば、樹脂等の接着剤を用いてダイボンド)されている。センサ1は、銅や金等の金属線であるボンディングワイヤ123を介して、基板120のパッドと電気的に接続されている。但し、センサ1は、金属線を用いずに、貫通配線を用いて基板120のパッドと電気的に接続されてもよい。センサ1は、基板固定部112の開口部112x内に露出している。
基板120の下面側には、複数の電子部品125が実装されている。電子部品125は、例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタ等である。電子部品125は、集積回路等の能動部品を含んでもよい。
基板120の下面側の外周部には、複数の外部接続端子が、はんだ等を用いて実装されている。各々の外部接続端子127は、外枠111の下端から下側に突起している。外部接続端子127の個数や配置は任意に決定して構わないが、ここでは、Y方向に配列した5本の外部接続端子127が、X方向に離間して略平行に2組設けられている。
基板120の上面における基板固定部112とセンサ1との段差は、樹脂143に埋められている。言い換えれば、基板固定部112の内壁面とセンサ1の側面と基板120の上面とが形成する空間には、樹脂143が充填されている。基板固定部112とセンサ1とが形成する段差を樹脂143で埋めることで、渦巻き流等の乱流の発生を抑制できる。
なお、基板固定部112の上面とセンサ1の上面が略同一平面にあることが好ましいが、両者の高さが異なる場合でも、樹脂143の表面張力により、基板固定部112とセンサ1とが形成する段差をなくすことができる。
樹脂143としては、未硬化時には低粘度であって、硬化すると比較的高硬度の樹脂を用いることが好ましい。樹脂143としては、例えば、エポキシ系樹脂等を用いることができる。
なお、樹脂141及び142は樹脂143よりも粘度の高い樹脂を用い、樹脂143を充填する前に硬化させておくことが好ましい。前述のように、樹脂142を基板固定部112の内壁面に沿って環状に形成することで、低粘度の樹脂143が硬化前に基板120の下側に流れ出すことを防止できる。
樹脂142に代えて、樹脂141を基板120の側面に沿って環状に形成しても同様の効果が得られる。もちろん、樹脂141及び142の両方を環状に形成してもよい。樹脂141及び142の粘度は、樹脂143の粘度の10倍以上とすることが好ましい。
センサ1の上面は、樹脂143から露出しているため、フッ素コーティング等の防湿コーティングを施すことが好ましい。この場合、センサ1の特性に影響のない薄さでコーティングする必要がある。
基板120のセンサ1が実装されている部分の下側には、大気導入用の貫通孔120xが設けられている。貫通孔120xは、センサ1を基板120に接着する際に、接着樹脂を硬化するときの温度でセンサ1の内圧が上昇し、センサ1が傾いて実装されることを防止するための孔である。すなわち、貫通孔120xを設けることで、センサ1を基板120に接着する際のセンサ1の内圧の上昇を抑制している。
筐体110上には、流路形成部130が固着されている。流路形成部130は、基板120の上面と対向する流路形成面を備えた流路板131と、流路板131の流路形成面の外周部に設けられた複数の支柱132と、流路板131の流路形成面に設けられた絞り部133とを有している。
各々の支柱132は、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置されている。各々の支柱132の横断面形状は線対称であって、対称線をセンサ1に向けた形状である。本実施の形態では、一例として、各々の支柱132は円柱である。つまり、各々の支柱132の横断面形状は、高さ方向の何れの位置で切断しても円形状である。各々の支柱132は、例えば、流路板131の流路形成面と一体成形されている。各々の支柱132の下面は、樹脂144を介して、外枠111の上面の基板固定部112の外周側に固着されている。
外枠111の上面側には、平面形状が円形の溝である支柱位置決め部111xが2箇所設けられている(図2(a)参照)。例えば、複数の支柱132のうち、支柱位置決め部111xの位置に対応する支柱132を他の支柱132よりも長くし、長くした支柱132の先端部を支柱位置決め部111xに挿入することで、筐体110と流路形成部130とを容易に位置決めすることができる。
絞り部133は、流路板131の流路形成面の外周部が形成する流路よりも、センサ1上の流路を狭くするために設けられている。絞り部133は、例えば、流路板131の流路形成面において各々の支柱132の内側に設けることができる。絞り部133は、例えば、逆円錐台状とすることができる。
基板固定部112の上面、樹脂143の上面、及びセンサ1の上面と、流路形成部130とが対向する領域には、流路150が形成されている。流路150は、360°の何れの方向から流体が流れ込む場合も、入口及び出口が広く、その途中が絞り部133により狭くなるように形成されている。流路150の入口を広くすることにより、流路150に取込める流量を確保できるため、センサ1の出力を高めることが可能となる。
[センサの構造]
図4は、第1の実施の形態に係るセンサを例示する図であり、図4(a)は平面透視図、図4(b)は図4(a)のA−A線に沿う断面図である。
図4を参照するに、第1の実施の形態に係るセンサ1は、半導体基板10と、メンブレン部20と、X軸温度検出体30及び31と、Y軸温度検出体32及び33と、発熱抵抗体40と、測温抵抗体50と、配線60〜69と、ダミー配線70及び71と、パッド80〜89(ボンディングパッド)とを有する。
センサ1は、発熱抵抗体40を発熱させた状態で、夫々の温度検出体(X軸温度検出体30及び31、Y軸温度検出体32及び33)の温度検出結果に基づいて、温度検出体上を流れる流体の流向や流速を検出するセンサである。センサ1は、例えば、空調機器の流量制御や、自動車のエンジン内の空気の流量制御等に用いることができる。
半導体基板10は、開口部10xを備えた枠状(額縁状)に形成されている。半導体基板10としては、例えば、シリコン基板(Si基板)やSOI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。
メンブレン部20は、絶縁膜21〜25が順次積層された構造であり、開口部10xを塞ぐように半導体基板10上に設けられている。メンブレン部20の平面形状は、例えば、正方形である。メンブレン部20において、半導体基板10と接していない領域(開口部10xを塞いでいる領域)を特に薄膜構造体部20tと称する。薄膜構造体部20tの平面形状は、例えば、正方形である。薄膜構造体部20tは、半導体基板10と接していないため熱容量が小さく、温度が上昇し易い構造とされている。
なお、図4では、メンブレン部20の上面20aの4つの縁辺20eの1つに平行な軸をX軸、メンブレン部20の上面20aと平行な面内でX軸と直交する軸をY軸、メンブレン部20の厚さ方向をZ軸としている。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交している。ここで、平面視とは、対象物をメンブレン部20の上面20aの法線方向から視ることをいう。又、平面形状とは、対象物をメンブレン部20の上面20aの法線方向から視たときの形状をいう。
図4(b)では、便宜上、半導体基板10の厚さT1とメンブレン部20の厚さT2とを同程度に描いているが、実際には、半導体基板10の厚さT1は比較的厚く、メンブレン部20の厚さT2は比較的薄い。半導体基板10の厚さT1は、例えば、50〜300μm程度とすることができる。又、メンブレン部20の厚さT2は、例えば、0.5〜5μm程度とすることができる。
メンブレン部20において、絶縁膜22上には、X軸温度検出体30及び31、並びにY軸温度検出体32及び33が設けられている。X軸温度検出体30及び31並びにY軸温度検出体32及び33は、保護膜として機能する絶縁膜23に被覆されている。絶縁膜23上には、発熱抵抗体40及び測温抵抗体50が、例えばつづら状に形成されている。なお、発熱抵抗体40及び測温抵抗体50をつづら状に形成するのは、発熱抵抗体40及び測温抵抗体50の抵抗値を大きくするためである。発熱抵抗体40及び測温抵抗体50は、保護膜として機能する絶縁膜24に被覆されている。
絶縁膜24上には、配線60〜69、ダミー配線70及び71、並びにパッド80〜89が設けられている。配線60〜69中の所定の配線と、発熱抵抗体40、X軸温度検出体30及び31、Y軸温度検出体32及び33、並びに測温抵抗体50とは、絶縁膜23及び24に形成された垂直配線(図示せず)を介して接続されている。配線60〜69、ダミー配線70及び71、並びにパッド80〜89は、保護膜として機能する絶縁膜25に被覆されている。但し、パッド80〜89の上面の少なくとも一部は、絶縁膜25に設けられた開口部25x内に露出し、センサ1と基板120との接続を可能としている。
X軸温度検出体30及び31は、X軸に平行な線上に形成されている。Y軸温度検出体32及び33は、Y軸に平行な線上に形成されている。X軸温度検出体30及び31はX軸方向の温度変化を検出する部分であり、Y軸温度検出体32及び33はY軸方向の温度変化を検出する部分である。X軸温度検出体30及び31、並びにY軸温度検出体32及び33は、例えば、酸化バナジウムから形成することができる。各温度検出体に酸化バナジウムを用いることにより、検出感度を向上することができると共に、発熱抵抗体の低消費電力化及び温度検出体の小型化が可能となる。
X軸温度検出体30の一端は配線62を介してパッド83と接続され、他端は配線63を介してパッド82と接続されている。又、X軸温度検出体31の一端は配線64を介してパッド84と接続され、他端は配線65を介してパッド85と接続されている。
パッド82とパッド84は、センサ1の外部で接続される。又、パッド83はセンサ1の外部でGND(又は電源)と接続され、パッド85はセンサ1の外部で電源(又はGND)と接続される。これにより、X軸温度検出体30とX軸温度検出体31とがGNDと電源との間に直列に接続され、パッド82とパッド84との接続部から中間電位を得ることができる。
Y軸温度検出体32の一端は配線67を介してパッド87と接続され、他端は配線66を介してパッド86と接続されている。又、パッド86は配線69を介してY軸温度検出体33の一端と接続され、Y軸温度検出体33の他端は配線68を介してパッド88と接続されている。つまり、Y軸温度検出体32とY軸温度検出体33とは、配線66及び69を介して直列に接続されている。
パッド87はセンサ1の外部でGND(又は電源)と接続され、パッド88はセンサ1の外部で電源(又はGND)と接続される。これにより、Y軸温度検出体32とY軸温度検出体33とがGNDと電源との間に直列に接続され、パッド86から中間電位を得ることができる。
発熱抵抗体40の一端は配線60を介してパッド80に接続され、他端は配線61を介してパッド81に接続されている。パッド80とパッド81との間に電圧を印加すると発熱抵抗体40に電流が流れて発熱する。
なお、発熱抵抗体40の材料と配線60及び61の材料に異種材料を使用し、発熱抵抗体40の比抵抗が配線60及び61の比抵抗より大きくなる材料を選択すると好適である。これにより、発熱抵抗体40に電力が集中し、発熱抵抗体40の温度上昇が大きくなるため、上流の温度検出体と下流の温度検出体の検出する温度差が大きくなり、検出感度を向上することができる。
発熱抵抗体40は、例えば、白金(Pt)、ニクロム(NiCr)、ポリシリコン(p−Si)等から形成することができる。この場合、配線60及び61の材料として、これらより比抵抗の小さいアルミニウム(Al)や金(Au)等を用いることが好ましい。
測温抵抗体50の一端はパッド80に接続され、他端はパッド89に接続されている。測温抵抗体50は、パッド80及び89を介して、センサ1の外部の抵抗ブリッジ回路に接続され、ブリッジを構成する抵抗の1つとなる。この回路構成により、測温抵抗体50の抵抗変化に基づいて、流体の温度を検出することができる。測温抵抗体50は、例えば、白金(Pt)、ニクロム(NiCr)、ポリシリコン(p−Si)等から形成することができる。
ここで、薄膜構造体部20tにおける、X軸温度検出体30及び31、Y軸温度検出体32及び33、発熱抵抗体40、配線60〜69、並びにダミー配線70及び71のレイアウトの特徴について説明する。
薄膜構造体部20tにおいて、平面視において、X軸温度検出体30及び31、Y軸温度検出体32及び33、及び配線60〜69、ダミー配線70及び71は、発熱抵抗体40に対して点対称に配置されている。言い換えれば、薄膜構造体部20t内の各要素を点対称とするために、ダミー配線70及び71を設けたともいえる。これにより、発熱抵抗体40からの熱が薄膜構造体部20tに均等に伝わり、流体の流れる向き(流向)に対して温度分布のばらつきが少なくなるため、検出感度を向上することができる。
なお、ここでいう点対称は、完全に点対称である場合のみではなく、検出感度向上という本発明の効果を損なわない範囲内で略点対称な場合も含むものとする。直交、平行、中心、正方形、円形、対角線上等の文言についても同様である。
具体的には、発熱抵抗体40は、メンブレン部20の中心(薄膜構造体部20tの中心)に配置されている。又、X軸温度検出体30及び31、Y軸温度検出体32及び33は、発熱抵抗体40の周囲に均等に配置されている。つまり、X軸温度検出体30及び31、Y軸温度検出体32及び33は、発熱抵抗体40から等距離に配置されている。又、発熱抵抗体40を挟んで互いに対向するX軸温度検出体30及び31はX軸と平行な方向に配置されている。又、発熱抵抗体40を挟んで互いに対向するY軸温度検出体32及び33はY軸と平行な方向に配置されている。
又、発熱抵抗体40の一端から引き出された配線60及び他端から引き出された配線61は、メンブレン部20の1つの対角線上に配置されている。
そして、X軸温度検出体30から引き出された配線63と、Y軸温度検出体33から引き出された配線69は、発熱抵抗体40から引き出された配線61の両側に、配線61と平行に配置されている。配線61と配線63との間隔と、配線61と配線69との間隔は、略同一である。
同様に、X軸温度検出体31から引き出された配線64と、Y軸温度検出体32から引き出された配線67は、発熱抵抗体40から引き出された配線60の両側に、配線60と平行に配置されている。配線60と配線64との間隔と、配線60と配線67との間隔は、略同一である。
又、メンブレン部20の他の1つの対角線上において、発熱抵抗体40の両側にダミー配線70及び71が配置されている。
そして、X軸温度検出体30から引き出された配線62と、Y軸温度検出体32から引き出された配線66は、ダミー配線70の両側に、ダミー配線70と平行に配置されている。ダミー配線70と配線62との間隔と、ダミー配線70と配線66との間隔は、略同一である。
同様に、X軸温度検出体31から引き出された配線65と、Y軸温度検出体33から引き出された配線68は、ダミー配線71の両側に、ダミー配線71と平行に配置されている。ダミー配線71と配線65との間隔と、ダミー配線71と配線68との間隔は、略同一である。
なお、発熱抵抗体40の一端及び他端から引き出された配線を発熱抵抗体配線、各温度検出体から引き出された配線を温度検出体配線と称する場合がある。発熱抵抗体配線と温度検出体配線とを互いに平行に配置することにより、発熱抵抗体40から発生した熱が薄膜構造体部20t上に分布しやすくなり、上流の温度検出体と下流の温度検出体の検出する温度差が大きくなる。これにより、検出感度を向上することができる。
このように、配線60、64、及び67と、配線61、63、及び69とがメンブレン部20の1つの対角線上に配置され、ダミー配線70、配線62、及び配線66と、ダミー配線71、配線65、及び配線68とがメンブレン部20の他の1つの対角線上に配置されている。
これらの配線を対角線上に配置する理由は、流体はX軸上とY軸上を主に流れるが、配線上を流体が流れたときに、配線から発熱抵抗体の熱が放熱し難くするためである。言い換えれば、配線の方向をX軸又はY軸(流体の流れる方向)に平行にすると、配線上を流体が流れ、配線から発熱抵抗体の熱が放熱してしまうので、配線が延びる方向が流体の流れ(X軸上、Y軸上)と一致しないようにしている。
薄膜構造体部20tへの熱応力は、薄膜構造体部20tの各縁辺(半導体基板10の上面内縁部と接する部分)の中央部を含む4つの領域(図4の4つの応力集中部B)に集中することが確認されている。
そこで、センサ1において、配線60〜69、並びにダミー配線70及び71は、4つの応力集中部Bを除く領域に配置されている。前述のように、配線を対角線上に配置しているので、応力集中部Bを避けて配置することが容易となる。薄膜構造体部20tの応力集中部Bに配線を配置しないことにより、薄膜構造体部20tへの熱応力による影響が緩和され、配線と薄膜構造体部の機械的強度を向上することができる。
薄膜構造体部20t上の配線の幅は、応力緩和のため、薄膜構造体部20tの周囲(半導体基板10上)の配線よりも細く、1〜10μm程度である。配線幅の細い薄膜構造体部20t上の配線を、応力集中部Bを避けて配置することにより、熱応力により断線するおそれを低減できる。
[流向流速測定装置の動作]
次に、流向流速測定装置100の動作について説明する。ここでは、流向流速測定装置100のセンサ1が所定の制御回路に接続されているものとする。制御回路は、測温抵抗体50の抵抗変化に基づいて流体の温度を検出して発熱抵抗体40の好適な発熱量を算出し、それに基づいた電圧をパッド80とパッド81との間に印加して発熱抵抗体40に電流を流して発熱させることができる。
又、制御回路との接続により、前述のように、X軸温度検出体30とX軸温度検出体31とがGNDと電源との間に直列に接続され、パッド82とパッド84との接続部から中間電位(中間電位Xとする)を得ることができる。又、Y軸温度検出体32とY軸温度検出体33とがGNDと電源との間に直列に接続されパッド86から中間電位(中間電位Yとする)を得ることができる。
発熱抵抗体40に電流を流して発熱させると、薄膜構造体部20tの温度が上昇する。このとき、検知対象となる流体(例えば、空気やガス等)が流れていない場合には、X軸温度検出体30とX軸温度検出体31の出力がバランスしているため、中間電位XとしてGNDと電源の中間の電位(初期値X0とする)が得られる。同様に、Y軸温度検出体32とY軸温度検出体33の出力がバランスしているため、中間電位YとしてGNDと電源の中間の電位(初期値Y0とする)が得られる。
一方、流向流速測定装置100において、流路150を流体が流れている場合には、センサ1の表面側に温度分布が生じる(上流側が下流側よりも低温となる)。そのため、上流側に配置された温度検出体の抵抗値と、下流側に配置された温度検出体の抵抗値とのバランスが崩れ、中間電位X及びYが変化する。
制御回路は、中間電位X及びYが初期値X0及びY0に対してGND側か電源側の何れの方向に変化したかにより、流体の流れている方向を360°検出することができる。又、制御回路は、中間電位X及びYが初期値X0及びY0に対してどれだけ変化したかにより、流速や流量を測定することができる。なお、中間電位X及びYが変化した方向や変化した量と、流向や流速との関係は、例えば、テーブルとして制御回路内に記憶しておくことができる。
流向流速測定装置100では、各々の支柱132は、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置され、各々の支柱132の横断面形状は円形状である。各々の支柱132を、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置することで、360°の各々の方向から流路150に流体が流入した場合の流速ばらつきを抑制することが可能となり、流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
なお、本実施の形態では、一例として支柱132を12本設けているが、これには限定されず、支柱132は3本程度としてもよい。支柱132の本数を少なくし、かつ支柱132を細くすることにより、流入方向に依る測定誤差を更に低減することができる。
図5に示すように、流体Aが流路150に流入する方向から視て支柱132の後ろ側で渦巻き流Bが発生する。流向流速測定装置100では、各々の支柱132の横断面形状を円形状としたことにより、360°の何れの方向から流体Aが流路150に流入する場合でも、発生する渦巻き流Bは一様になる。そのため、横断面形状が四角状等の柱に比べて流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
又、流向流速測定装置100では、樹脂143を設けているが、樹脂143を設けていなくても流速や流向の測定が可能である。しかし、図6(a)に示すように、流路150内において基板固定部112とセンサ1とが形成する段差が埋められていないと、流体Aの乱れ(流体Aの剥離、渦巻き流Bの発生等)が生じて測定誤差が大きくなる。
一方、図6(b)に示すように、流路150内において基板固定部112とセンサ1とが形成する段差が樹脂143で埋められていると、流体Aの剥離や渦巻き流Bの発生を抑制できるため、流体Aの乱れが生じず、測定誤差を低減することができる。又、樹脂143を設けることで、ボンディングワイヤ123と基板120とのショート防止や、結露防止、防水等の効果も得られる。従って、樹脂143を設け、流路150内において基板固定部112とセンサ1とが形成する段差を埋めることが好ましい。
樹脂143を設けない場合には、基板120上に実装されたセンサ1の側壁(主に半導体基板10の側壁)に流体がぶつかって発生する乱流を低減するため、半導体基板10の厚さT1を薄くすることが好ましい。半導体基板10の厚さT1を薄くすることにより、基板120との間に生じる段差を小さくすることが可能となり、乱流の発生を抑制できる。
図7(c)は、図7(a)に示す流向流速測定装置100と、図7(b)に示す流向流速測定装置100X(絞り部133を設けていない)において、流速とセンサ1の出力との関係を比較したものである。なお、基板固定部112の上面から流路板131の流路形成面までのZ方向長さL1を1.5mm、基板固定部112の上面から絞り部133の下面までのZ方向長さL2を0.5mmとした(但し、図7(b)に示す流向流速測定装置100Xでは、絞り部133を設けていないのでL1のみ)。
流向流速測定装置100では、流路形成部130に縦断面形状が逆円錐台状の絞り部133を設けているが、絞り部133を設けていなくても流速や流向の測定が可能である。しかし、図7(c)に示すように、流路形成部130に絞り部133を設けることで、センサ1上を流れる流体の速度が速くなるため、高速側での出力を上げることが可能となり、センサ1の検出感度を向上できる。
センサ1の検出感度を向上する観点と、流路150の入口を広くして流路150に取込める流量を確保する観点から、絞り部133の下面の直径は、流路板131の下面の直径の半分程度とすることが好ましい。又、乱流の発生を抑制する観点から、絞り部133の側面の傾斜角は45度以下とすることが好ましい。
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、筐体内の基板の下方に樹脂を設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図8を参照するに、流向流速測定装置100Aは、筐体110の外枠111の内側において、基板120の下面(センサ搭載面の反対面)が樹脂160により封止されている点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
樹脂160を設けることで、基板120の下面及び電子部品125を湿度等から保護することができる。樹脂160としては、常温硬化の樹脂を用いることが好ましい。樹脂160として常温硬化の樹脂を用いないと、樹脂を硬化させるために加熱した際に、貫通孔120xを介してセンサ1の内圧が上昇し、センサ1が破損するおそれがある。樹脂160として常温硬化の樹脂を用いることで、加熱によるセンサ1の内圧上昇が発生しないため、センサ1の破損を防止できる。樹脂160として用いると好適な常温硬化の樹脂の一例としては、ウレタン樹脂が挙げられる。
なお、樹脂160を設ける構造に代えて、電子部品125を含む基板120の下面側にコーティング剤を塗布し、筐体110の外枠111の下側に、基板120及び電子部品125を収容し、外部接続端子127の先端側を露出する蓋を取り付けてもよい。この場合も、樹脂160を設けるのと同様の効果を得ることができる。
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、支柱が円柱ではない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図9は、第1の実施の形態の変形例2に係る流向流速測定装置を例示する図であり、図9(a)は流向流速測定装置100Bの斜視図、図9(b)は流路形成部130Bの底面図である。図9を参照するに、流向流速測定装置100Bは、流路形成部130の支柱132が流路形成部130Bの支柱132Bに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Bでは、各々の支柱132Bは、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置され、各々の支柱132Bの横断面形状は高さ方向の何れの位置で切断しても楕円形状である。各々の支柱132Bは、楕円の長軸をセンサ1の中心に向けて配置されている。つまり、各々の支柱132Bの横断面形状は長軸に対して線対称であって、対称線である長軸をセンサ1に向けた形状である。
各々の支柱132Bを、楕円の長軸をセンサ1の中心に向けてセンサ1を中心とする円周上に等間隔で配置することで、支柱132(円柱)の場合と同様に、360°の各々の方向から流路150に流体が流入した場合の流速ばらつきを抑制することが可能となり、流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
又、横断面形状が楕円形状の支柱132Bでは、図5に示した渦巻き流Bの発生を、横断面形状が円形状の支柱132よりも低減することができる。その結果、流向流速測定装置100Bでは、流入方向に依る測定誤差を流向流速測定装置100よりも更に低減することができる。
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、支柱が円柱ではない他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図10は、第1の実施の形態の変形例3に係る流向流速測定装置を例示する図であり、図10(a)は流向流速測定装置100Cの斜視図、図10(b)は流路形成部130Cの底面図である。図10を参照するに、流向流速測定装置100Cは、流路形成部130の支柱132が流路形成部130Cの支柱132Cに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Cでは、各々の支柱132Cは、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置され、各々の支柱132Cの横断面形状は高さ方向の何れの位置で切断しても涙滴形状(ティアドロップ形状)である。各々の支柱132Cは、涙滴形状の鋭角部をセンサ1の中心に向けて配置されている。つまり、各々の支柱132Cの横断面形状は鋭角部を2等分する線に対して線対称であって、対称線である鋭角部を2等分する線をセンサ1に向けた形状である。
各々の支柱132Cを、涙滴形状の鋭角部をセンサ1の中心に向けてセンサ1を中心とする円周上に等間隔で配置することで、支柱132(円柱)の場合と同様に、360°の各々の方向から流路150に流体が流入した場合の流速ばらつきを抑制することが可能となり、流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
又、横断面形状が涙滴形状の支柱132Cでは、図5に示した渦巻き流Bの発生を、横断面形状が円形状の支柱132よりも低減することができる。その結果、流向流速測定装置100Cでは、流入方向に依る測定誤差を流向流速測定装置100よりも更に低減することができる。
〈第1の実施の形態の変形例4〉
第1の実施の形態の変形例4では、支柱が円柱ではない他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例4において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図11は、第1の実施の形態の変形例4に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図11を参照するに、流向流速測定装置100Dは、流路形成部130の支柱132が流路形成部130Dの支柱132Dに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Dでは、各々の支柱132Dは、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置されている。各々の支柱132Dは、高さ方向において中央部が両端部より細い形状(括れた形状)とされている。各々の支柱132Dは、例えば、2つの円錐台の小径側の面同士を連結した形状とすることができる。各々の支柱132Cの横断面形状は円形状であるが、切断する高さによって径が異なる。
各々の支柱132Dを、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置することで、支柱132(円柱)の場合と同様に、360°の各々の方向から流路150に流体が流入した場合の流速ばらつきを抑制することが可能となり、流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
なお、支柱132Dは一体成形されたものでもよいが、例えば、上側の円錐台は流路板131と一体成形され、下側の円錐台は外枠111と一体成形され、2つの円錐台の小径側の面同士を樹脂144で固着する構造としてもよい。
〈第1の実施の形態の変形例5〉
第1の実施の形態の変形例5では、支柱が円柱ではない他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例5において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図12は、第1の実施の形態の変形例5に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図12を参照するに、流向流速測定装置100Eは、流路形成部130の支柱132が流路形成部130Eの支柱132Eに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Eでは、各々の支柱132Eは、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置されている。各々の支柱132Eは、高さ方向において中央部が両端部より太い形状とされている。各々の支柱132Eは、例えば、2つの円錐台の大径側の面同士を連結した形状とすることができる。各々の支柱132Eの横断面形状は円形状であるが、切断する高さによって径が異なる。
各々の支柱132Eを、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置することで、支柱132(円柱)の場合と同様に、360°の各々の方向から流路150に流体が流入した場合の流速ばらつきを抑制することが可能となり、流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
なお、支柱132Eは一体成形されたものでもよいが、例えば、上側の円錐台は流路板131と一体成形され、下側の円錐台は外枠111と一体成形され、2つの円錐台の大き径側の面同士を樹脂144で固着する構造としてもよい。
〈第1の実施の形態の変形例6〉
第1の実施の形態の変形例6では、支柱が円柱ではない他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例6において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図13は、第1の実施の形態の変形例6に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図13を参照するに、流向流速測定装置100Fは、流路形成部130の支柱132が流路形成部130Fの支柱132Fに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Fでは、各々の支柱132Fは、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置されている。各々の支柱132Fは、筐体110側が太くなる円錐台状とされている。各々の支柱132Fの横断面形状は円形状であるが、切断する高さによって径が異なる。
各々の支柱132Fを、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置することで、支柱132(円柱)の場合と同様に、360°の各々の方向から流路150に流体が流入した場合の流速ばらつきを抑制することが可能となり、流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
〈第1の実施の形態の変形例7〉
第1の実施の形態の変形例7では、支柱が円柱ではない他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例7において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図14は、第1の実施の形態の変形例7に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図14を参照するに、流向流速測定装置100Gは、流路形成部130の支柱132が流路形成部130Gの支柱132Gに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Gでは、各々の支柱132Gは、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置されている。各々の支柱132Gは、筐体110側が細くなる円錐台状とされている。各々の支柱132Gの横断面形状は円形状であるが、切断する高さによって径が異なる。
各々の支柱132Gを、センサ1を中心とする円周上に等間隔で配置することで、支柱132(円柱)の場合と同様に、360°の各々の方向から流路150に流体が流入した場合の流速ばらつきを抑制することが可能となり、流入方向に依る測定誤差を低減することができる。
〈第1の実施の形態の変形例8〉
第1の実施の形態の変形例8では、流路形成部の形状が異なる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例8において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図15は、第1の実施の形態の変形例8に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図15を参照するに、流向流速測定装置100Hは、流路形成部130の絞り部133が流路形成部130Hの絞り部133Hに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Hでは、絞り部133Hは楕円体の一部であり、センサ1の上部の流路が最も狭くなっている。なお、絞り部133Hの平面形状は円形である。
流路形成部130Hに絞り部133Hを設けることで、絞り部133(縦断面形状が逆円錐台状)の場合と同様に、センサ1上を流れる流体の速度が速くなるため、高速側での出力を上げることが可能となり、センサ1の検出感度を向上できる。
〈第1の実施の形態の変形例9〉
第1の実施の形態の変形例9では、流路形成部の形状が異なる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例9において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図16は、第1の実施の形態の変形例9に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図16を参照するに、流向流速測定装置100Iは、流路形成部130の絞り部133が流路形成部130Iの絞り部133Iに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。
流向流速測定装置100Iでは、絞り部133Iの縦断面形状は絞り部133と同様に逆円錐台状であるが、絞り部133Iの円錐台の大径側の大きさが流路板131の下面の大きさと略同一であり、絞り部133Iが流路板131の下面の略全面に設けられている。
流路形成部130Iに絞り部133Iを設けることで、絞り部133の場合と同様に、センサ1上を流れる流体の速度が速くなるため、高速側での出力を上げることが可能となり、センサ1の検出感度を向上できる。
なお、流路形成部130Iの絞り部133Iでも、入口及び出口はテーパを設けることでセンサ1上等よりも広くなっているため、流路150に取込める流量を確保する効果は維持でき、絞り部133の場合と同様に、センサ1の出力を高めることが可能となる。
〈第1の実施の形態の変形例10〉
第1の実施の形態の変形例10では、支柱を外枠側に設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例10において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図17は、第1の実施の形態の変形例10に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図17を参照するに、流向流速測定装置100Jは、各々の支柱132が筐体110の外枠111の上面と一体成形されている点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。なお、図17は、外枠111と流路板131とを支柱132を介して固着する前の状態を示している。外枠111に設けられた支柱132と流路板131とは、例えば、樹脂144を用いて固着することができる。
このように、支柱132は、流路板131側ではなく外枠111側に設けてもよい。
〈第1の実施の形態の変形例11〉
第1の実施の形態の変形例11では、支柱を流路板と外枠の両方に設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例11において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図18は、第1の実施の形態の変形例11に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図18を参照するに、流向流速測定装置100Kは、各々の支柱132の一部が流路板131の流路形成面と一体成形され、各々の支柱132の他部が筐体110の外枠111の上面と一体成形されている点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。なお、図18は、外枠111と流路板131とを支柱132を介して固着する前の状態を示している。外枠111に設けられた支柱132と流路板131、及び外枠111と流路板131に設けられた支柱132とは、例えば、樹脂144を用いて固着することができる。
このように、支柱132は、流路板131側と外枠111側の両方に設けてもよい。
〈第1の実施の形態の変形例12〉
第1の実施の形態の変形例12では、形状の異なるセンサを用いる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例12において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図19は、第1の実施の形態の変形例12に係る流向流速測定装置を例示する断面図である。図19を参照するに、流向流速測定装置100Lは、センサ1がセンサ1Aに置換された点が流向流速測定装置100(図1等参照)と相違する。センサ1Aはセンサ1よりも薄型に形成されており、センサ1A上にはスペーサ170が配置されている。スペーサ170の材料としては、熱伝導率が低い材料を選定することが好ましい。センサ1の発熱抵抗体40で発した熱が放熱し難くするためである。スペーサ170の材料の一例としては、ガラスを挙げることができる。
流向流速測定装置100Lでは、基板固定部112の開口部112x内にセンサ1及びスペーサ170を露出するように、基板120の上面の外周部が基板固定部112に固定されている。そして、基板120の上面における基板固定部112とスペーサ170との段差は、樹脂143に埋められている。
このように、センサ1Aをセンサ1よりも薄型に形成し、センサ1A上にスペーサ170を配置することで、ボンディングワイヤ123を樹脂143で完全に被覆することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、各実施の形態や変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、楕円の支柱等でも、高さ方向において中央部が両端部より細い形状(括れた形状)としたり、中央部が両端部より太い形状としたりしてもよい。又、1本の支柱に中に、円柱状の部分と円錐台状の部分等とが混在してもよい。