JP6855253B2 - 飲料注出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、容器に充填されている飲料を注出する装置に関する。
容器に充填されている飲料、例えばビール等の穀類分解物含有発泡性飲料等を冷却し、当該容器から漏洩させることなく注出するために用いられる、ビールサーバー、ビールディスペンサー等と称される飲料注出装置が知られている。飲料注出装置からビールを注出する場合、ビン、缶等の容器から直接ジョッキ等にビールを注出する場合に比べて泡もめや気抜けが生じるのを抑えることができ、ビールの香味、こく、旨み等を引き立たせることができる。したがって、ビアホール等の料飲店においては、飲料注出装置が一般に用いられている。
ビールサーバーとしては、保冷式と瞬間冷却式との二つの方式のものが知られている。瞬間冷却式ビールサーバーにおいては、常温雰囲気下に設置された金属樽等の容器に導出経路を接続し、当該容器に充填されているビールの導出経路を冷却することで、冷却されたビールが注出され得る。一方、保冷式ビールサーバーにおいては、金属樽等の容器を冷蔵庫や保冷庫等に収容し、当該冷蔵庫等の上方に設けられた注出タップと容器とを、導出経路を介して接続することで、当該注出タップから冷却されたビールが注出され得る(特許文献1参照)。
また、このようなビールサーバーにより注出されたビールの香味、こく、旨み等を家庭等で楽しむために、ビールが充填された缶容器の口部に接続可能な注出タップが提案されている(特許文献2参照)。缶容器等に充填されているビールを予め冷却しておくことで、缶容器の口部に接続された注出タップから冷却されたビールを注出することができるため、引き立たされたビールの香味、こく、旨み等を家庭でも楽しむことができる。
特許第5995358号公報 特許第4098124号公報
特許文献1に開示されている保冷式ビールサーバーにおいては、ビールが充填された金属樽を冷蔵庫や保冷庫等に収容する必要がある。当該金属樽が空になると、予備の金属樽に交換されるが、予備の金属樽に交換後、ビールを即時に提供するために、予備の金属樽を冷却しておく必要がある。保冷式ビールサーバーの冷蔵庫や保冷庫等に予備の金属樽を収容するのであれば、当該冷蔵庫や保冷庫等の内容量が大きくなってしまうため、保冷式ビールサーバーの設置するスペースが大きくなってしまう。また、金属樽を予備の金属樽に交換する際、保冷式ビールサーバーの冷蔵庫等の扉を開閉する必要があるため、金属樽の交換作業が煩雑であり、また冷蔵庫内の温度が変動してしまうおそれがある。さらに、冷蔵庫等の中で金属樽の交換作業を行うために金属樽から導出経路を取り外す必要があるが、その際に、当該導出経路からビールが漏れ出すおそれがあり、衛生面の問題が生じ得る。
特許文献2に開示されている注出タップにおいては、注出タップを取り付けた缶容器を保冷する機構を有しないため、缶容器の口部に注出タップを取り付けた状態で冷蔵庫等に保管することが前提となる。そのため、短時間に繰り返しビールを注出する必要がある場合には、頻繁に冷蔵庫等の扉を開閉する必要があり、冷蔵庫内の温度が変動してしまうおそれがある。
上記課題に鑑みて、本発明は、飲料が充填された容器を簡便に、かつ保冷庫内の衛生性を保ちつつ交換することができるとともに、容器交換の際にも保冷庫内の温度を略一定に維持することのできる飲料注出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、飲料が充填された容器から当該飲料を注出するための飲料注出装置であって、前記容器を挿入可能な開口部が形成されてなる外壁を有する保冷庫と、前記開口部に嵌合され、当該開口部を蓋する蓋部とを備え、前記蓋部は、前記容器の口部に接続可能な容器接続部を有するとともに前記開口部に嵌合可能な蓋本体と、前記容器から注出される前記飲料の注出流路を開閉する弁部と、前記容器接続部に接続される前記容器内に連通可能な通気部と、前記弁部による前記注出流路の開閉を制御する操作レバーを含む注出タップと、前記蓋本体及び前記注出タップを連結する連結部材とを有し、前記注出流路の一部は、前記容器内に挿入される注出管により構成され、前記連結部材の一端に、前記注出管の一端部を接続可能な接続管が設けられ、前記注出管の一端部には、前記接続管に挿入し、当該接続管の内壁に密接可能な接続部材が設けられていることを特徴とする飲料注出装置を提供する。
本発明によれば、予め冷却した容器の口部に蓋部を接続し、蓋部が接続された容器を保冷庫の開口部から保冷庫内に挿入することで、保冷庫の開口部が蓋部により蓋されるため、容器内の飲料の温度を維持しつつ、蓋部に設けられる注出タップから冷えた飲料を注出することができる。また、容器が空になった場合にも、当該容器を蓋部ごと取り出し、蓋部を予備の容器に接続し直して当該容器を保冷庫内に挿入するだけで容器を容易に交換することができる。また、容器の交換作業の際に保冷庫の扉等を開放する必要がなく、容器の交換の際に保冷庫内の温度を変動させることなく略一定に保つことができる。特に、本発明に係る飲料注出装置において、蓋部に容器が接続されることで蓋部と容器とが一体であることで、容器を交換する際に容器を蓋部と一体のまま保冷庫から取り出して予備の容器に交換することができる。すなわち、保冷庫内で容器の交換作業をする必要がないため、保冷庫内において不用意に汚染を生じさせることがなく、保冷庫の衛生性を容易に確保することができる。
また、本発明は、飲料が充填された容器から当該飲料を注出するための飲料注出装置であって、前記容器を挿入可能な開口部が形成されてなる外壁を有する保冷庫と、前記開口部に嵌合され、当該開口部を蓋する蓋部とを備え、前記蓋部は、前記容器の口部に接続可能な容器接続部を有するとともに前記開口部に嵌合可能な蓋本体と、前記容器から注出される前記飲料の注出流路を開閉する弁部と、前記容器接続部に接続される前記容器内に連通可能な通気部とを有し、前記注出流路の少なくとも一部は、軟質チューブにより構成されており、前記弁部は、前記軟質チューブを押し潰すことにより前記注出流路を閉弁可能なピンチバルブであることを特徴とする飲料注出装置を提供する。
前記注出流路の少なくとも一部は、軟質チューブにより構成されており、前記弁部として、前記軟質チューブを押し潰すことにより前記注出流路を閉弁可能なピンチバルブを用いることができる。飲料注出装置においては、一般に、容器を交換するときなどに接液箇所の洗浄作業が行われ得るが、容器交換の作業負荷が大きいと、作業者にとっては、接液箇所の洗浄の作業負荷が相対的に小さく感じられる。本発明において、容器交換が容易であることで、作業者は、洗浄作業に対する負荷が増大したかのような感覚に陥りやすくなる。しかしながら、注出流路の少なくとも一部が軟質チューブにより構成され、弁部として、軟質チューブを押し潰すことにより注出流路を閉弁可能なピンチバルブが用いられることで、容器交換のときに、蓋部における容器側の接液箇所と弁部側の接液箇所とを同時に洗浄することができるため、洗浄作業を容易に行うことができる。特に、注出流路が軟質チューブにより構成されることで、接液箇所を分解することなく洗浄することができるため、洗浄作業を極めて容易に行うことができる。また、軟質チューブにより構成される注出流路の注出口側端部が弁部内に実質的に包含され、蓋部と軟質チューブとが一体的な部材として取扱可能な態様であるのが好ましい。さらに、軟質チューブの定期的な交換や洗浄、注出される飲料の勢いの調整等を可能にする観点から、蓋部の連結部材から弁部までに至る注出流路が単一の軟質チューブにて構成されるのが好ましく、蓋部の接続部分から注出口の先端までに至る注出流路が単一の軟質チューブにて構成されるのがより好ましい。
前記蓋部は、前記弁部を前記容器に連結するための連結部材をさらに有していてもよい。前記容器の口部が水平よりも上向きの状態で前記蓋本体に接続される場合には、前記連結部材は、前記容器内に挿入される注出管と連結され得る。前記注出タップは、前記飲料が注出される注出口を含む注出カバーをさらに有し、前記弁部は、前記飲料が注出される注出口を含む注出カバー及び前記弁部による前記注出流路の開閉を制御する操作レバーを含む注出タップを含んでいてもよい。前記通気部は、外気に接続されていてもよいし、炭酸ガス等の気体供給源に接続されていてもよい
前記注出流路の少なくとも先端部は、前記注出口から注出される前記飲料の勢いを緩和させ得る構造を有するのが好ましい。注出口から注出される飲料の勢いが強すぎると、注出先であるグラス等において飲料の飛散や泡もめが生じるおそれがあるが、当該飲料の勢いを緩和させ得ることで、飲料の飛散や泡もめが生じるのを抑制することができる。当該緩和させ得る構造として、弁部及び/又は先端部における飲料の注出流路が、注出管の断面積よりも大きい断面積を有する構造が挙げられる。また、当該緩和させ得る構造の他の態様として、前記注出カバー内に収容される前記先端部が、水平方向又は当該水平方向よりも上方を向き、かつ前記注出カバーの内壁の一部に対向するように位置する構造が挙げられる。これにより、前記先端部から吐出された前記飲料が前記注出カバーの内壁により拡散されることで、前記注出口から注出される前記飲料の勢いを緩和することができる。なお、飲料の勢いを緩和させ得る構造は、上述した構造を組み合わせた構造であってもよい。
前記注出流路の少なくとも一部が前記容器内に挿入される注出管により構成される場合、前記注出管と接続可能な接続管を前記蓋部に設けるのが好ましく、前記注出管の一端部には、前記接続管に挿入し、当該接続管の内壁に密接可能な接続部材が設けられているのが好ましく、前記接続部材が、エラストマーにより構成されていてもよい。
また、本発明は、飲料が充填された容器から当該飲料を注出するための飲料注出装置であって、前記容器を挿入可能な開口部が形成されてなる外壁を有する保冷庫と、前記開口部に嵌合され、当該開口部を蓋する蓋部とを備え、前記蓋部は、前記容器の口部に接続可能な容器接続部を有するとともに前記開口部に嵌合可能な蓋本体と、前記容器から注出される前記飲料の注出流路を開閉する弁部と、前記容器接続部に接続される前記容器内に連通可能な通気部と、前記飲料が注出される注出口を含む注出カバー及び前記弁部による前記注出流路の開閉を制御する操作レバーを含む注出タップと、前記蓋本体及び前記注出タップを連結する連結部材とを有し、前記注出流路の少なくとも先端部は、前記注出カバー内に収容され、前記先端部は、水平方向又は当該水平方向よりも上方を向き、かつ前記注出カバーの内壁の一部に対向するように位置しており、前記先端部から吐出された前記飲料が前記注出カバーの内壁により拡散されることで、前記注出口から注出される前記飲料の勢いが緩和されることを特徴とする飲料注出装置を提供する。
前記外壁及び前記蓋本体のそれぞれは、断熱構造を有するのが好ましい。ここで、断熱構造とは、蓋部が保冷庫の開口部に嵌合された状態において、保冷庫内の冷気が、弁部及び通気部を除き、開口部から保冷庫外に冷気が逃げ難い構造を意味し、蓋部と開口部との当接部分にゴムや樹脂等によるシール部材を介在させることで、保冷庫内が気密化されているのが好ましい。より好ましくは外壁及び蓋本体のそれぞれの少なくとも一部が、さらに好ましくは外壁及び蓋本体をあわせた主要部が発砲断熱構造又は真空断熱構造を有する。なお、発砲断熱構造とは、非発泡体である樹脂に比べて有意に熱貫流率の小さい発泡材料が内蔵された構造である。
前記飲料が、穀類分解物含有発泡性飲料であるのが好ましい。
本発明によれば、飲料が充填された容器を簡便に、かつ保冷庫内の衛生性を保ちつつ交換することができるとともに、容器交換の際にも保冷庫内の温度を略一定に維持することのできる飲料注出装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料注出装置の概略構成を示す切断端面図である。 図2は、本発明の一実施形態における保冷庫の概略構成を示す切断端面図である。 図3は、本発明の一実施形態における蓋部の概略構成を示す切断端面図である。 図4は、本発明の一実施形態における蓋本体の概略構成を示す切断端面図である。 図5は、本発明の一実施形態における連結部材の概略構成を示す切断端面図である。 図6は、本発明の一実施形態における注出タップの概略構成を示す切断端面図である。 図7は、本発明の一実施形態における注出管及び接続部材の概略構成を示す斜視図である。 図8は、本発明の一実施形態における注出管及び接続部材の概略構成を示す断面図である。 図9は、本発明の一実施形態における接続部材が注出管接続部に挿入された状態を概略的に示す断面図である。 図10は、本発明の他の実施形態における注出タップの閉弁時の概略構成を示す切断端面図である。 図11は、本発明の他の実施形態における注出タップの開弁時の概略構成を示す切断端面図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る飲料注出装置の概略構成を示す切断端面図であり、図2は、本実施形態における保冷庫の概略構成を示す切断端面図であり、図3は、本実施形態における蓋部の概略構成を示す切断端面図であり、図4は、本実施形態における蓋本体の概略構成を示す切断端面図であり、図5は、本実施形態における連結部材の概略構成を示す切断端面図であり、図6は、本実施形態における注出タップの概略構成を示す切断端面図であり、図7は、本実施形態における注出管及び接続部材の概略構成を示す斜視図であり、図8は、本実施形態における注出管及び接続部材の概略構成を示す断面図であり、図9は、本実施形態における接続部材が注出管接続部に挿入された状態を概略的に示す断面図である。
本実施形態に係る飲料注出装置1は、飲料が充填された容器10を挿入可能な開口部23が形成されてなる前側外壁23を含むハウジング22及び当該開口部23から挿入された容器10を保持可能な容器保持部24を有する保冷庫2と、開口部23を蓋する蓋部3とを備える。なお、本実施形態に係る飲料注出装置1において、容器保持部24を有していなくてもよいが、容器保持部24を有することで、容器10の口部や蓋部3にかかる応力を低減することができ、飲料注出装置1の設計を簡便にすることができる。
本実施形態に係る飲料注出装置1により注出可能な飲料としては、特に限定されるものではないが、例えば、穀類分解物含有発泡性飲料等の炭酸飲料等が挙げられる。本実施形態における「穀類分解物含有発泡性飲料」としては、穀類の分解物を含む発泡性飲料であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、麦芽、大麦の分解物を含む飲料を例示することができる。本実施形態において、「穀類」とは、穀物であれば特に限定されるものではなく、例えば、大麦、小麦、大豆、エンドウ豆等が挙げられ、好ましくは大麦が挙げられる。穀類の分解物の具体的な態様としては、麦芽、大麦、小麦、大豆、エンドウ豆、トウモロコシの分解物であり、例えば、大豆タンパク、大豆ペプチド、エンドウ豆タンパク、コーンタンパク分解物が挙げられる。
本実施形態における「穀類分解物含有発泡性飲料」の具体例としては、好ましくは麦芽分解物含有発泡性飲料であり、より好ましくはビール系飲料である。ビール系飲料とは、通常、ビールを製造した場合(酵母等による発酵に基づいてビールを製造した場合)に得られるビール特有の味わい、香りを有する飲料を意味し、例えば、ビール、発泡酒、リキュール等の発酵麦芽飲料や、その他の醸造酒、若しくは完全無アルコール麦芽飲料(非アルコール麦芽飲料)等の非発酵麦芽飲料が挙げられる。また、ビール系飲料としては、麦芽飲料のみならず、麦や麦芽を使用しない非麦飲料であってもよい。かかる非麦飲料としては、エンドウ豆、大豆、トウモロコシ等を用いた、ビール風の発泡性アルコール含有飲料、完全無アルコール飲料等が挙げられる。なお、本実施形態において、穀類分解物含有発泡性飲料としてのビールを例に挙げて説明する。
開口部23から挿入され、容器保持部24により保持される容器10としては、例えば、金属材料により構成される金属ボトル、ガラス材料により構成されるガラスボトル、樹脂材料により構成されるプラスチックボトル10が挙げられる。プラスチックボトル10を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂材料が挙げられる。プラスチックボトル10は、ビールを内容物とする包装容器であって、その容量は例えば100〜5000mLである。
保冷庫2は、容器保持部24が内部に収容される保冷室21と、図示しない機械室とを有する。機械室には、例えば、ペルチェ式の冷却機構や、冷媒ガスを圧縮する圧縮機及び圧縮された冷媒ガスを液化する濃縮器を含む冷却機構が設けられる。保冷室21には、冷却機構により冷却された保冷庫21内の空気(冷気)とプラスチックボトル10との間での熱交換に寄与する部材(図示を省略)が設けられる。
保冷庫2のハウジング22は、断熱構造を有する。具体的には、ハウジング22には、発泡スチロール、硬質ウレタンフォーム等の発泡断熱材、グラスウール等の繊維系断熱材等が内蔵されていてもよいし、真空断熱層が備えられていてもよい。ハウジング22が断熱構造を有することで、保冷室21内の温度を所望の範囲内に維持することができる。
保冷庫2の前側外壁221は、わずかに上方を向くようにして鉛直方向に対して傾斜している。前側外壁221には、略円形の開口部23が形成されており、開口部23から保冷庫2内に向かって略同径で連続する蓋本体嵌合部25が設けられている。蓋本体嵌合部25の底面側(開口部23に対向する側)には、開口部23の直径よりもわずかに直径が小さい開口を有する蓋本体支持部26が設けられ、蓋本体支持部26から保冷庫2内に向かって連続する領域が保冷室21である。
保冷室21内には、開口部23から挿入されたプラスチックボトル10を保持可能な有底筒状の容器保持部24が設けられている。容器保持部24は、その軸方向が前側外壁221に対して略直交するようにして保冷室21内に設けられている。これにより、プラスチックボトル10が口部をわずかに上方に向けるようにして傾斜して容器保持部24に保持されるため、プラスチックボトル10に充填されているビールを余すことなく注出することができる。
プラスチックボトル10に充填されているビールが主に保冷室21内の冷気によって保冷されることから、容器保持部24を構成する材料は、特に限定されるものではない。当該容器保持部24の構成材料は、熱伝導性に優れた金属材料(例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等)であってもよいし、樹脂材料であってもよい。
蓋部3は、蓋本体嵌合部25に嵌合される蓋本体31と、プラスチックボトル10に充填されているビールを注出する注出タップ33と、蓋本体31及び注出タップ33の間に介在し、両者を連結する連結部材32とを有する。
蓋本体31は、蓋本体嵌合部25に嵌合可能な程度の外形を有する平面視略円形状であって、蓋本体嵌合部25に嵌合された際に前側外壁23と略面一になる前面部311と、前面部311に対向する後面部312とを有する。蓋本体31には、前面部311側に位置する第1小径部313と、第1小径部313に連続し、第1小径部313の内径よりも大きい内径を有する第2小径部314と、第2小径部314に連続し、第2小径部314の内径よりも大きい内径を有する大径部315とからなる貫通孔が形成されている。第2小径部314の内壁には、プラスチックボトル10の口部に螺合して接続可能なねじ山が設けられている。内壁にねじ山が設けられた第2小径部314が、プラスチックボトル10の口部に接続可能な容器接続部を構成する。第1小径部313及び第2小径部314を含む前面部311は、本実施形態のように蓋本体31の一部として構成されていてもよいが、蓋本体31の断熱性を確保できる範囲において、前面部311の少なくとも一部(第1小径部313及び第2小径部314を含む部分)は、蓋本体31とは別個の部材により構成されていてもよい。
蓋本体31の後面部312には、蓋本体31が蓋本体嵌合部25に嵌合されたときに蓋本体支持部26に当接する、Oリング等の冷気シール材316が設けられている。これにより、蓋本体31が蓋本体嵌合部25に嵌合された状態において、保冷室21内の冷気が開口部23を通じて漏出するのを抑制することができる。
連結部材32は、略円柱形状を有し、軸方向における一端(蓋本体31側)に設けられた第1フランジ部321と、他端(注出タップ33側)に脱着可能に螺合された第2フランジ部322と、第2フランジ部322に係合し、注出タップ33に接続可能な穴開き袋ナット323とを有する。連結部材32の一端側には、プラスチックボトル10内に収容され、プラスチックボトル10内のビールを導出するための注出管41を接続可能な注出管接続部324が設けられている。
連結部材32には、注出管接続部324に連続し、連結部材32の軸方向に沿って貫通する注出路325と、連結部材32の周壁から、一端側(蓋本体31側)に連続する通気路326とが形成されている。注出路325は、一端側(蓋本体31側)から他端側(注出タップ33側)に向かって略同径の同径路325aと、同径路325aに連続し、他端側に向かって拡径する拡径路325bとを有する。通気路326には、図示しない継手及びチューブを介してガスボンベ等が接続され、ビールを注出する際に、通気路326を通じてプラスチックボトル10内に炭酸ガス等が供給される。連結部材32の一端側には、プラスチックボトル10の口部に当接可能な、Oリング等の容器シール材327が設けられている。
図6に示す注出タップ33は、タップ本体331と、操作レバー332とを有する。タップ本体331は、連結部材32の穴開き袋ナット323に接続されるビール流入口331a側及びビールが注出される注出口331b側に開口する中空のボディ331cを有し、ボディ331c内の中空部分がビールの注出流路を構成する。
ボディ331c内には、操作レバー332の一端側に設けられた鍵部333と連結され、操作レバー332の前後方向(図6における左右方向)の回動により前後に移動する、中空の可動部331dが設けられている。可動部331dの一端部(連結部材32側の端部)には、中空のヘッド331eが設けられている。操作レバー332を鉛直方向に立設させた状態において、このヘッド331eがボディ331c内壁と密着するため、ボディ331cの中空部分により構成されるビールの注出流路が閉弁される。すなわち、ヘッド331eが、プラスチックボトル10から注出されるビールの注出流路を開閉する弁部を構成する。
図7〜9に示すように、プラスチックボトル10内に挿入される注出管41の一端部には、注出管接続部324に挿入され、注出管接続部324の内壁に密接可能な接続部材42が設けられている。接続部材42は、ゴム弾性を有するエラストマーにより構成され、小径部421と大径部422とを有するのが好ましい。接続部材42が当該エラストマーにより構成されていることで、大径部422を弾性変形させて注出管接続部324内に挿入されるため、注出管接続部324の内壁に接続部材42を強固に密接させることができる。
本実施形態に係る飲料注出装置1を使用するに際し、まず、冷蔵庫等で予め冷却したプラスチックボトル10の口部に、注出管41をプラスチックボトル10内に挿入するようにして蓋部3を接続する。より具体的には、注出管41の他端部をプラスチックボトル10の口部から挿入し、当該口部に蓋本体31の容器接続部(ねじ山)を螺合させる。次に、口部に蓋部3が接続されたプラスチックボトル10を、保冷庫2の開口部23から容器保持部24内に挿入するとともに、蓋本体31を蓋本体嵌合部25に嵌合させる。
この状態の飲料注出装置1において、操作レバー332を前方向に倒すことで、注出タップ33からビールが注出される。プラスチックボトル10が空になったら、容器保持部24から空のプラスチックボトル10を抜き出し、当該プラスチックボトル10から蓋部3を取り外す。そして、冷蔵庫等で冷却されている予備のプラスチックボトル10の口部に当該蓋部3を接続し、蓋部3が接続されたプラスチックボトル10を、上記と同様にして保冷庫2の開口部23から容器保持部24内に挿入する。
本実施形態に係る飲料注出装置1によれば、プラスチックボトル10が空になった場合に、当該プラスチックボトル10を蓋部3ごと取り出し、蓋部3を予備のプラスチックボトル10に接続し直して当該プラスチックボトル10を容器保持部24に挿入するだけで、プラスチックボトル10を容易に交換することができる。また、プラスチックボトル10の交換作業の際に保冷庫2の扉等を開放する必要がないため、プラスチックボトル10の交換の際に保冷室21内の温度を変動させることなく一定に保つことができる。さらに、プラスチックボトル10と蓋部3との着脱を飲料注出装置1の外部で行うことができるため、保冷室21や蓋部3の衛生性を容易に確保することができるとともに、それらの洗浄も容易に行うことができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上記実施形態において、保冷庫2の前側外壁221に1つの開口部23を有する態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、保冷庫2の前側外壁221に2つ以上の開口部23が形成され、各開口部23に対応して容器保持部24が設けられていてもよい。
上記実施形態において、容器保持部24は、開口部23から連続する有底筒状である態様を例に挙げて説明したが、プラスチックボトル10を保持可能な形状であればよく、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
上記実施形態において、容器保持部24として、プラスチックボトル10の口部を上方に向かせるようにわずかに傾斜させてプラスチックボトル10を保持する態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、プラスチックボトル10を水平方向に沿って保持する態様であってもよいし、口部を上方に向けてプラスチックボトル10を立設させる態様であってもよいし、口部を下方に向けてプラスチックボトル10を保持する態様であってもよい。
本実施形態における注出タップ33は、上述した態様に限定されるものではなく、プラスチックボトル10内のビールを注出可能な構造を有していればよい。例えば、図10及び図11に示す注出タップ33は、タップ本体331と、操作レバー332とを有し、タップ本体331内に、軟質チューブにより構成される注出管41及び注出管41を押し潰すことにより閉弁可能なピンチバルブ43が収容される。操作レバー332は、ピンチバルブ43に接続され、操作レバー332が前後方向に回動することで、ピンチバルブ43が水平方向に移動し、注出管41の開弁及び閉弁を制御することができる。
タップ本体331は、ビールが注出される注出口331bを含む注出カバー331fを有しており、タップ本体331内に収容される注出管41の先端部は、タップ本体331内で水平方向又は水平方向よりも上方を向き、かつ注出カバー331fの内壁に対向するように位置する。これにより、注出管41の先端部から吐出されたビールが注出カバー331fの内壁により拡散し、注出口331bから注出されるビールの勢いが緩和される。その結果、ビールに泡もめが生じるのを抑制することができる。
図10及び図11に示す注出タップ33においては、注出管41を案内するガイド孔328が軸方向に沿って形成された連結部材32に接続し、連結部材32を蓋本体31に接続するとともに、注出管41をプラスチックボトル10内に挿入して蓋本体31をプラスチックボトル10の口部に接続すればよい。このような構成を有する注出タップ33によれば、ビールが接する注出流路が、注出管41及び注出カバー331fのみとなるため、容易に洗浄することができるという効果が奏される。
1…飲料注出装置
2…保冷庫
23…開口部
24…容器保持部
3…蓋部
31…蓋本体
32…連結部材
33…注出タップ

Claims (9)

  1. 飲料が充填された容器から当該飲料を注出するための飲料注出装置であって、
    前記容器を挿入可能な開口部が形成されてなる外壁を有する保冷庫と、
    前記開口部に嵌合され、当該開口部を蓋する蓋部と
    を備え、
    前記蓋部は、前記容器の口部に接続可能な容器接続部を有するとともに前記開口部に嵌合可能な蓋本体と、前記容器から注出される前記飲料の注出流路を開閉する弁部と、前記容器接続部に接続される前記容器内に連通可能な通気部と、前記弁部による前記注出流路の開閉を制御する操作レバーを含む注出タップと、前記蓋本体及び前記注出タップを連結する連結部材とを有し、
    前記注出流路の一部は、前記容器内に挿入される注出管により構成され、
    前記連結部材の一端に、前記注出管の一端部を接続可能な接続管が設けられ、
    前記注出管の一端部には、前記接続管に挿入し、当該接続管の内壁に密接可能な接続部材が設けられていることを特徴とする飲料注出装置。
  2. 飲料が充填された容器から当該飲料を注出するための飲料注出装置であって、
    前記容器を挿入可能な開口部が形成されてなる外壁を有する保冷庫と、
    前記開口部に嵌合され、当該開口部を蓋する蓋部と
    を備え、
    前記蓋部は、前記容器の口部に接続可能な容器接続部を有するとともに前記開口部に嵌合可能な蓋本体と、前記容器から注出される前記飲料の注出流路を開閉する弁部と、前記容器接続部に接続される前記容器内に連通可能な通気部とを有し、
    前記注出流路の少なくとも一部は、軟質チューブにより構成されており、
    前記弁部は、前記軟質チューブを押し潰すことにより前記注出流路を閉弁可能なピンチバルブであることを特徴とする飲料注出装置。
  3. 前記蓋部は、前記弁部による前記注出流路の開閉を制御する操作レバーを含む注出タップと、前記蓋本体及び前記注出タップを連結する連結部材とをさらに有することを特徴とする請求項2に記載の飲料注出装置。
  4. 前記注出タップは、前記飲料が注出される注出口を含む注出カバーをさらに有し、
    前記注出流路の少なくとも先端部は、前記注出カバー内に収容され、
    前記先端部は、水平方向又は当該水平方向よりも上方を向き、かつ前記注出カバーの内壁の一部に対向するように位置しており、
    前記先端部から吐出された前記飲料が前記注出カバーの内壁により拡散されることで、前記注出口から注出される前記飲料の勢いが緩和されることを特徴とする請求項に記載の飲料注出装置。
  5. 前記注出流路の一部は、前記容器内に挿入される注出管により構成され、
    前記連結部材の一端に、前記注出管の一端部を接続可能な接続管が設けられ、
    前記注出管の一端部には、前記接続管に挿入し、当該接続管の内壁に密接可能な接続部材が設けられていることを特徴とする請求項に記載の飲料注出装置。
  6. 前記接続部材が、エラストマーにより構成されていることを特徴とする請求項1又は5に記載の飲料注出装置。
  7. 飲料が充填された容器から当該飲料を注出するための飲料注出装置であって、
    前記容器を挿入可能な開口部が形成されてなる外壁を有する保冷庫と、
    前記開口部に嵌合され、当該開口部を蓋する蓋部と
    を備え、
    前記蓋部は、前記容器の口部に接続可能な容器接続部を有するとともに前記開口部に嵌合可能な蓋本体と、前記容器から注出される前記飲料の注出流路を開閉する弁部と、前記容器接続部に接続される前記容器内に連通可能な通気部と、前記飲料が注出される注出口を含む注出カバー及び前記弁部による前記注出流路の開閉を制御する操作レバーを含む注出タップと、前記蓋本体及び前記注出タップを連結する連結部材とを有し、
    前記注出流路の少なくとも先端部は、前記注出カバー内に収容され、
    前記先端部は、水平方向又は当該水平方向よりも上方を向き、かつ前記注出カバーの内壁の一部に対向するように位置しており、
    前記先端部から吐出された前記飲料が前記注出カバーの内壁により拡散されることで、前記注出口から注出される前記飲料の勢いが緩和されることを特徴とする飲料注出装置。
  8. 前記外壁及び前記蓋本体のそれぞれは、断熱構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の飲料注出装置。
  9. 前記飲料が、穀類分解物含有発泡性飲料であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の飲料注出装置。
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