JP6853021B2 - コンクリート表面形状の品質管理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タイル張り用のコンクリート下地表面の目荒し深さを測定し、測定値とタイル剥離を防止できる目荒らし深さの必要限界値とを比較して、タイル剥離の有無を判定するコンクリート表面形状の品質管理装置に関する。
建築構造物の施工において、施工現場で、コンクリートにより形成された壁の下地表面にタイルを張ることが、広く行われている。コンクリート下地に張られたタイルの剥離、剥落を防ぐため、様々な技術が開発され、実施されている。
例えば、特許文献1には、建築物の下地コンクリートの表面に接着剤で接着された仕上げタイルの剥離危険度を評価する方法が開示されている。
また、特許文献2には、裏面側が高強度コンクリートに埋設されて設けられる先付けタイルが開示されている。本先付けタイルにおいては、先付けタイル裏面から高強度コンクリート側に向かって庇状に突出する側面視凸型形状の補強体が、先付けタイルの面内上方から高強度コンクリートの鉛直荷重を受けた際に最大撓み量が発生する部位に、先付けタイル上辺に沿って水平状に設けられている。これにより、先付けタイルの高強度コンクリート表面からの剥離・剥落を防止する。
特許文献2は、タイルの構造を工夫してタイルの剥離を防止することを開示するものであるが、タイルではなくコンクリート下地に対して、タイルの剥離を防止する処置を施すことも行われている。例えば、コンクリート下地の表面を、超高圧水洗浄法等により目荒らしして下地処理することは周知である。
コンクリート下地からのタイルの剥離を効果的に防止するためには、コンクリート下地の目荒らし深さが一定以上でなければならないため、上記のような下地処理の後には、目荒らし深さの品質を判定することが不可欠である。一般には、目荒らし深さの品質は、予め合否判定見本を用意し、合否判定見本と実際の下地処理状況を比較することで、判定されることが多い。品質判定の結果、実際の下地処理状況が合否判定見本と同程度以上となるまで、下地処理は、繰り返し実施される。
上記のような、合否判定見本を用いた目荒らし深さの品質判定は、定量的なものではなく、人間が目視で実施するものであるため、品質判定の結果は、周囲の明るさ等の品質判定時の環境や、品質判定を実施する人間の性格等に依存する。したがって、場合によっては、合否判定見本と同等な程度に十分に、下地が処理されない可能性がある。
これに対し、特許文献3には、下地処理後のコンクリート表面の光沢度を光沢度計により測定し、光沢度を指標として処理後のコンクリート表面の表面粗さを定量的に評価し、管理する、コンクリート下地処理面の品質管理方法が開示されている。
特許文献3においては、光沢度を効率的にかつ精度良く測定するために、コンクリート表面の凹凸をアルミ箔等の薄い金属箔に型押しして写し取り、それを試験体としてその光沢度を光沢度計により測定することが推奨されている。すなわち、特許文献3の方法によって、精度良く表面粗さを測定しようとした場合においては、上記のようにコンクリート表面の凹凸を薄い金属箔に型押しする必要があるため、コンクリート表面の表面粗さを直接測定する場合に比べると工程が複雑であり、測定を含めた品質判定が容易ではない。
また、薄い金属箔は、型押しするために手で触っただけでもしわがよることがあるため、金属箔に、実際のコンクリート表面よりも深い凹凸が刻まれる可能性がある。すなわち、実際にはコンクリート表面の表面粗さが不十分な状態である場合においても、より深い凹凸が刻まれた金属箔に対する品質判定の結果、コンクリート表面が十分な表面粗さを持つと判定されてしまい、結果的にタイルとコンクリート下地とが十分な強度で接合されず、タイルが剥離する可能性がある。このように、特許文献3の方法においては、金属箔を使用したとしても、表面粗さの測定精度に限界がある。また、十分な精度を保つために、金属箔にしわがよらないように作業することで、測定を含めた品質判定作業に長時間を要すことになるとともに、表面粗さの合否判定に経験に基づく判定技量が必要であった。
特開2012−208042号公報 特許第5905775号公報 特開2009−24468号公報
名知博司:外装タイル張り仕上げにおけるひずみ追従性に関する研究、工学院大学、博士(工学)学位論文、2006年3月
本発明が解決しようとする課題は、十分な精度で目荒らし深さを測定でき、測定及び品質判定の実施が容易な、コンクリート表面形状の品質管理装置を提供することである。
本発明者らは、タイル張り用のコンクリート下地表面の目荒らし深さの品質判定方法として、コンクリート下地表面の目荒らし深さを計測できる表面輪郭度計に、予めタイルの剥離が防止できる目荒らし深さの必要限界値(閾値)を設定し、計測値と必要限界値を比較し、タイル剥離の有無を判定する機能を付加することで、建設現場で、タイル剥離の有無が直ちに判定できる点に着目し、本発明のコンクリート表面形状の品質管理装置に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、タイル張り用のコンクリート下地表面の目荒し深さを管理する品質管理装置であって、コンクリート下地表面の目荒し深さを測定する深さ測定部と、前記深さ測定部で測定されたコンクリート下地表面の目荒し深さの測定値が、予め設定した閾値未満か、該閾値以上かを判定する目荒し深さの品質判定部と、目荒し深さの品質判定結果を表示する目荒し深さの判定表示部と、を備えていることを特徴とするコンクリート表面形状の品質管理装置を提供する。
上記のような構成によれば、コンクリート下地表面の目荒らし深さを、深さ測定部によって、コンクリート下地表面に対して直接測定しているため、金属箔への型押し等の間接的な作業により測定値の精度が損なわれることがない。したがって、十分な精度で目荒らし深さを測定できる。
また、上記のように、目荒らし深さを、金属箔への型押し等の間接的な作業を介さずに、直接測定できるため、測定を含めた品質判定作業が容易である。
また、測定結果を、予め設定した閾値と比較して品質を判定し、その結果を判定表示部に表示するため、測定に伴う目荒らし深さの品質判定作業を、測定と同時に一括して実施することが可能である。また、品質判定は、目荒らし深さの測定値と閾値との比較により、定量的に実施される。したがって、測定を含めた品質判定作業を容易に、かつ短時間であっても、確実に、実施することが可能である。
本発明の一態様においては、前記閾値は、前記タイルと前記コンクリート下地表面との間で、接着界面破壊が生じる目荒し深さの限界値であることを特徴とする。
上記のような構成によれば、閾値として、例えばコンクリート表面にタイルが貼り付けられたタイル張り試験体を用いたひずみ追従性試験で得られた接着界面破壊が生じる目荒し深さの限界値をデータベースとして記録しておき、コンクリート下地表面の目荒し深さの測定値以上となるように管理することで、効果的に、タイルの剥離を防止することができる。
別の態様においては、コンクリート表面形状の品質管理装置は、複数の前記深さ測定部を備えている。
上記のような構成によれば、コンクリート下地表面の複数の箇所において、同時に目荒らし深さを測定可能であるため、測定精度を高めるために目荒らし深さを複数の箇所で測定したい場合であっても測定操作を一度実施すればよく、したがって、測定を更に容易に実施することが可能となる。
本発明によれば、十分な精度で目荒らし深さを測定でき、測定及び品質判定の実施が容易な、コンクリート表面形状の品質管理装置を提供することができる。
本発明の実施形態によるコンクリート表面形状の品質管理装置、(a)は斜視図、(b)は説明図である。 コンクリート表面形状の品質管理装置を構成する制御部のブロック図である。 コンクリート表面形状の品質管理装置を構成する必要目荒らし深さの閾値テーブルの実施例である。 超高圧水洗浄法による洗浄パターンの説明図である。 コンクリート表面形状の品質管理装置とレーザー変位計による目荒らし深さの測定結果の比較図である。 タイル張りコンクリート角柱試験体(a)は正面図、(b)は平面図である。 タイル張りコンクリート角柱試験体によるタイルの圧縮軸ひずみ追従性試験で用いた実験パラメータの組合せ表である。 タイルの圧縮軸ひずみ追従性試験での圧縮荷重の加力パターン図である。 コンクリート表面の圧縮軸ひずみと熱冷繰り返し数の試験結果1(超高圧洗浄なしの試験体)を示すグラフである。 コンクリート表面の圧縮軸ひずみと熱冷繰り返し数の試験結果2(洗浄パターン密度が低い試験体)を示すグラフである。 コンクリート表面の圧縮軸ひずみと熱冷繰り返し数の試験結果3(標準洗浄パターンの試験体)を示すグラフである。 タイルの圧縮軸ひずみ追従性試験に基づく、実験パラメータごとの目荒らし深さの計測値である。 第1変形例によるコンクリート表面形状の品質管理装置、(a)は正面側斜視図、(b)は背面側斜視図、(c)は測定方法の模式図である。
本発明は、タイル張り用のコンクリート下地表面での必要目荒し深さについて、測定を行い、判定する品質管理装置である。詳細には、コンクリート表面形状の品質管理装置を使用して、コンクリート下地表面の目荒し深さを測定し、当該測定値とタイル剥離を防止する目荒し深さの必要限界値(閾値)と比較して、タイル剥離の有無を判定するコンクリート表面形状の品質管理装置である。
具体的には、品質管理装置は、コンクリート下地表面の目荒らし部分を対象に、当該装置を構成する筐体から1つの深さ測定部を延伸させ、コンクリート表面の目荒らし深さを測定する実施形態(図1)と、筐体から複数の深さ測定部を延伸させ、同時に複数個所の目荒らし深さを測定する第1変形例(図13)がある。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態におけるコンクリート表面形状の品質管理装置1の斜視図であり、図1(b)は、品質管理装置1の説明図である。品質管理装置1は、タイル張り用のコンクリート下地表面の目荒し深さを管理するものである。品質管理装置1は、筐体2と、筐体2上に設けられている入力部4(4A、4B、4C)、及び、判定表示部5を備えている。
筐体2は、好ましくは片手で握ることが可能な程度の大きさを有し、その一部が、図1(a)においては下方向Xに細く突出して、突出部2aが形成されている。
品質管理装置1は、深さ測定部3を備えている。本実施形態においては、深さ測定部3は針状に形成されている。深さ測定部3は、品質管理装置1の非使用時においては、筐体2の内部に格納されている。品質管理装置1の使用時には、深さ測定部3は、後述するような入力部4に対する操作を受けた後述する制御部6からの指示を受信して、筐体2の突出部2aの、先端面2bから突出して、突出部2aの突出方向Xに向けて延伸し、深さ測定部3の先端3aが、何らかの物体に当接した際に延伸を停止する。深さ測定部3は、この延伸が停止した際の、深さ測定部3の突出長さL、すなわち、突出部2aの先端面2bから深さ測定部3の先端3aまでの距離を測定し、制御部6に送信する。
図1(b)に断面が示されているように、タイルが張られる前のコンクリート下地20の表面20aは、タイルとコンクリート下地20との接合強度を高めてタイルの剥離、剥落を防止するために、超高圧水洗浄法等により目荒らしがなされ、これにより凹凸が形成されている。
コンクリート下地20の表面20aの凸部の先端、すなわち突端20bに、筐体2の突出部2aの先端面2bが当接するように、品質管理装置1が設けられ、入力部4によって深さ測定部3が突出部2aから突出するように操作された際には、突出長さLとして、品質管理装置1が設けられた位置における、コンクリート下地20の表面20aの、突端20bからの深さが測定される。
このように、深さ測定部3は、コンクリート下地20の表面20aの目荒し深さを測定する。
入力部4は、本実施形態においてはボタンである。入力部4は、第1ボタン4A、第2ボタン4B、及び、第3ボタン4Cを備えている。
第1ボタン4Aは、測定開始を指示するボタンであり、これが押下されると、品質管理装置1は、深さ測定部3を突出部2aの先端面2bから突出させて、目荒らし深さの測定を開始する。
第2ボタン4Bは、目荒らし深さの測定回数を選択するボタンである。コンクリート下地20の凹凸の、突端20bに対する最深部20cの深さには、ばらつきがある。また、品質管理装置1の設置位置によっては、深さ測定部3の先端3aが常に、コンクリート下地20の表面20aの、凹凸の最深部20cに到達するとは限らない。例えば、図1(b)に示されるように、突端20bと最深部20cの間に連続する斜面20dに先端3aが当接する可能性がある。したがって、コンクリート下地20の表面20aの目荒らし深さを測定する際には、異なる複数の位置において複数回、目荒らし深さを測定した上で、これらの平均値を算出し、この平均値を最終測定結果とするのが好適である。第2ボタン4Bによって、例えば3回、5回、9回等の、測定回数が選択される。
第3ボタン4Cは、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度や、超高圧水洗浄法による洗浄パターン等を選択するボタンである。後述するように、目荒らし深さの測定結果は、予め設定された閾値と比較されて、目荒らし深さの品質が判定される。タイルの剥離、剥落のし難さの程度は、コンクリート下地20のコンクリート強度や、超高圧水洗浄法による洗浄パターン等の外的要因に依存するため、品質判定の基準となる閾値は、本実施形態においては、これらの外的要因に依存して異なっている。すなわち、第3ボタン4Cによって、外的要因が選択されることにより、品質判定に使用される適切な閾値が選択される。
入力部4において設定した入力値は、筐体2内に格納された制御部6に送信される。
品質管理装置1は、図1には図示されない、制御部6を内部に備えている。制御部6は、品質管理装置1の動作を制御するものであり、筐体2内に格納された、半導体集積回路等によって実現されている。図2に、制御部6のブロック図を示す。制御部6は、閾値設定部7、閾値テーブル8、閾値算出部9、深さ算出部10、及び、品質判定部11を備えている。
まず、図3を用いて、コンクリート下地表面の必要目荒らし深さの閾値テーブル8を説明する。図3は、閾値テーブル8の実施例である。閾値は、タイルとコンクリート下地20の表面20aとの間で、接着界面破壊が生じる目荒し深さの限界値である。上記のように、タイルの剥離、剥落のし難さの程度は、コンクリート下地20のコンクリート強度や、超高圧水洗浄法による洗浄パターン等の外的要因に依存するため、これらの外的要因に応じて、異なる閾値が、テーブルとして設定されている。
「超高圧水洗浄」の項目は、超高圧水洗浄法による洗浄パターンの種別を示している。図4は、超高圧水洗浄法による洗浄パターンの説明図である。図4(a)の洗浄パターンにおいては、線状に、超高圧水洗浄法による洗浄がなされており、図3の「洗浄パターン」が「線状」で、「目荒らし密度」が「標準型」の項目に相当する。図4(b)の洗浄パターンにおいては、図4(a)と同様に線状だが、洗浄量が図4(a)よりは少なくなっており、図3の「洗浄パターン」が「線状」で、「目荒らし密度」が「低密度型」の項目に相当する。図4(c)の洗浄パターンにおいては、らせん状に洗浄がなされており、図3の「洗浄パターン」が「らせん状」で、「目荒らし密度」が「標準型」の項目に相当する。図4(d)の洗浄パターンにおいては、図4(c)と同様にらせん状だが、洗浄量が図4(c)よりは少なくなっており、図3の「洗浄パターン」が「らせん状」で、「目荒らし密度」が「低密度型」の項目に相当する。
ここでいう、目荒らし密度の標準型とは、コンクリート表面の切削痕が10mm角の桝目入りプラスチック計測シートを用いて計測した際、10mm角の桝目の中に1つ以上の明確に確認できる目荒らし密度とした。よって、切削痕が10mm角の桝目の中に存在しない場合は、低標準型の目荒らし密度とした。
「コンクリート圧縮強度」の項目は、コンクリート圧縮強度による種別を示しており、本実施形態においては、「32.1N/mm」、「34.2N/mm」、及び、「60.6N/mm」の3種類のコンクリート強度に関して、それぞれ閾値が設定されている。
図3中の、「超高圧水洗浄」の各項目と「コンクリート圧縮強度」の各項目の交差位置に示されている数値が、該当する超高圧水洗浄法による洗浄パターンとコンクリート圧縮強度が選択された場合における閾値である。例えば、「超高圧水洗浄」が「線状」で「標準」であり、「コンクリート圧縮強度」が「32.1N/mm」の場合の閾値は、257.1μmである。
図2に示されている閾値設定部7は、目荒らし深さの測定と品質判定の前に、予め、閾値テーブル8内に、閾値を設定する。閾値は、入力部4によって、手入力で設定されても構わない。あるいは、品質管理装置1の備える図示されない通信部等を介して、図3に示される閾値テーブル8自体を、品質管理装置1の外部から受信し、制御部6内に保存することにより、閾値が設定されても構わない。
閾値算出部9は、入力部4、特に第3ボタン4Cにより入力された、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度や、超高圧水洗浄法による洗浄パターン等に関する情報を受信する。この、受信した情報を基に、閾値算出部9は閾値テーブル8から、測定対象に最も適した閾値を算出する。
図3に示されるように、特にコンクリート強度の項目においては、閾値テーブル8に、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度に合致する欄が、必ずしもあるとは限らない。このような場合に、閾値算出部9は、閾値テーブル8に登録されている、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度に近い前後の、2つのコンクリート強度値に関して、それらの間のコンクリート強度値を例えば線形に補完する数式を立式し、これを基に、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度に相当する閾値を算出する。
具体的には、図3は、タイル後張りコンクリート角柱試験体を使用したタイルの圧縮軸ひずみ追従性試験(後述)によるコンクリート下地表面の必要目荒らし深さの閾値テーブルの実施例である。閾値は、本発明のコンクリート表面形状の品質管理装置で計測された荒らし深さ(μm)であり、3種類のパラメータにて閾値テーブルが構成される。第1パラメータはコンクリート圧縮強度で、その範囲は32.1N/mm〜60.6N/mmであり、第2パラメータは超高圧水洗浄の洗浄パターンで、線状タイプ、またはらせん状タイプであり、第3パラメータは超高圧水洗浄による目荒らし密度で、標準型、または低密度型に分類される。表中の網掛け部分は、タイル剥離を生じた各パラメータを組み合わせた目荒らし深さの実施例であり、表中の閾値を確保してもタイル剥離が発生する。今後、追加試験が必要である。
よって、コンクリート強度をパラメータとする閾値は、コンクリート強度が32.1N/mm〜60.6N/mmの範囲内では各閾値を内挿し、32.1N/mm以下では32.1N/mmの閾値を参照し、60.6N/mm以上では60.6N/mmの閾値を参照した。
例えば、図3に示される閾値テーブル8に関し、超高圧水洗浄を線状で標準の洗浄パターンで、コンクリート強度が34.2N/mmと60.6N/mmの中間の47.4N/mmの値で洗浄した場合においては、閾値算出部9は、34.2N/mmの場合の閾値201.4μmと、60.6N/mmの場合の閾値210.6μmの中間の値である206.0μmを、閾値として算出する。
閾値算出部9は、上記のようにして算出した閾値を、後述する品質判定部11へ送信する。
深さ算出部10は、入力部4、特に第2ボタン4Bにより入力された、目荒らし深さの測定回数を受信する。
深さ算出部10は、深さ測定部3に、コンクリート下地20の表面20aの目荒し深さを測定するよう指示を送信し、深さ測定部3から、測定結果を受信する。
深さ算出部10は、測定指示の送信と測定結果の受信を、指定された測定回数分だけ繰り返し、指定された測定回数分の目荒らし深さの測定値を内部に保存する。その後、深さ算出部10は、保存した測定回数分の測定値の平均値を算出し、次に説明する品質判定部11へ送信する。
品質判定部11は、閾値算出部9から閾値を、深さ算出部10から測定値の平均値を、それぞれ受信する。
品質判定部11は、これらの値を比較する。すなわち、品質判定部11は、深さ測定部3で測定されたコンクリート下地20の表面20aの目荒し深さの測定値が、より厳密には、深さ算出部10が算出した測定値の平均値が、予め設定した閾値未満か、閾値以上かを判定する。
上記のように、閾値は、タイルとコンクリート下地20の表面20aとの間で、接着界面破壊が生じる目荒し深さの限界値である。したがって、品質判定部11は、測定値が閾値未満である場合は、目荒らし深さが十分ではなく、十分な目荒らし深さが得られるように更なる超高圧水洗浄が必要であると判断し、閾値以上である場合は、タイルの剥離、剥落を防止できる程度に目荒らし深さは十分深く、超高圧水洗浄を終了してよいと判断する。
品質判定部11は、この判定結果を、判定表示部5へ送信する。
判定表示部5は、液晶ディスプレイ等の表示装置である。判定表示部5は、品質判定部11から判定結果を受信して、表示する。
上記のような品質管理装置1の、特に深さ測定部3は、例えば、一般に表面輪郭ゲージ等と称される、携帯型の表面輪郭測定器を基にして製作されてもよい。
次に、コンクリート表面形状の品質管理装置1を使用した、コンクリート表面を目荒らしする方法を、図1と図2を用いて説明する。
まず、目荒らし深さの測定と品質判定の前に、閾値設定部7によって、予め閾値テーブル8内に閾値を設定する。
次に、作業者は、入力部4、特に第3ボタン4Cにより、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度や、超高圧水洗浄法による洗浄パターン等に関する情報を入力する。入力された情報は、制御部6の閾値算出部9に送信される。閾値算出部9は、これらの情報を受信し、受信した情報を基に、閾値テーブル8から、測定対象に最も適した閾値を算出する。閾値算出部9は、算出した閾値を、後述する品質判定部11へ送信する。
更に、作業者は、入力部4、特に第2ボタン4Bにより、目荒らし深さの測定回数を選択する。入力された情報は、制御部6の深さ算出部10に送信される。
その後、作業者は、筐体2の突出部2aの先端面2bを、タイルが張られる前のコンクリート下地20の表面20aに当接させて、入力部4、特に第1ボタン4Aを押下する。すると、深さ算出部10は、深さ測定部3に、コンクリート下地20の表面20aの目荒し深さを測定するよう指示を送信する。深さ測定部3は、深さ算出部10からの指示を受信して、筐体2の突出部2aの、先端面2bから突出して、突出部2aの突出方向Xに向けて延伸し、深さ測定部3の先端3aが、コンクリート下地20の表面20aに当接すると、延伸を停止する。深さ測定部3は、この延伸が停止した際の、深さ測定部3の突出長さLを測定し、深さ算出部10に送信する。深さ算出部10は、深さ測定部3から、測定結果を受信し、目荒らし深さの値として内部に保存する。
この測定の後に、作業者は、筐体2の突出部2aの先端面2bを、コンクリート下地20の表面20aの、前回の測定位置とは異なる位置に当接させて、当該位置における目荒らし深さを、上記と同様に測定する。作業者は、この測定作業を、コンクリート下地20の表面20a上の測定位置を変えながら、第2ボタン4Bにより選択した測定回数分だけ実施する。結果として、深さ算出部10の内部には、コンクリート下地20の表面20aの互いに異なる位置における、第2ボタン4Bにより選択した測定回数分の目荒らし深さの測定値が保存されている。
測定作業が終了した後、深さ算出部10は、保存された測定回数分の測定値の平均値を算出し、品質判定部11へ送信する。
品質判定部11は、閾値算出部9から閾値を、深さ算出部10から測定値の平均値を、それぞれ受信する。
品質判定部11は、これらの値を比較する。すなわち、品質判定部11は、深さ測定部3で測定されたコンクリート下地20の表面20aの目荒し深さの測定値が、予め設定した閾値未満か、閾値以上かを判定する。品質判定部11は、測定値が閾値未満である場合は、目荒らし深さが十分ではなく、十分な目荒らし深さが得られるように更なる超高圧水洗浄が必要であると判断し、閾値以上である場合は、タイルの剥離、剥落を防止できる程度に目荒らし深さは十分深く、超高圧水洗浄作業を終了してよいと判断する。
品質判定部11は、この判定結果を、判定表示部5へ送信する。
判定表示部5は、品質判定部11から判定結果を受信して、表示する。
作業者は、判定表示部5の判定結果を参照し、超高圧水洗浄作業を終了してよい旨の判断が表示されている場合は、超高圧水洗浄作業を終了する。そうでない場合には、十分な目荒らし深さが得られて判定表示部5に超高圧水洗浄作業を終了してよい旨の判断が表示されるまで、作業者は、超高圧水洗浄作業と品質管理装置1による目荒らし深さの測定を、繰り返して実施する。
既に説明したような、コンクリート表面形状の品質管理装置1、及び、コンクリート表面形状の品質管理装置1を使用したコンクリート表面を目荒らしする方法において、判定表示部5に適切な判定結果を表示するためには、品質管理装置1が十分な測定精度を備えており、及び、目荒らし深さの品質判定の基準となる閾値が適切に決定されている必要がある。以下、品質管理装置1の測定精度と、適切な閾値の決定について説明する。
品質管理装置1の測定精度に関しては、コンクリート表面の状況を正確に観測可能なレーザー変位計による測定結果と、品質管理装置1による測定結果を比較した。
具体的には、超高圧水洗浄を施したコンクリート下地表面を、レーザー変位計で測定し、JIS B 0601(製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ)に規定されている算術平均粗さRa(μm)を算出した。同時に、品質管理装置1を用いて、超高圧水洗浄を施したコンクリート下地表面の目荒らし深さ(μm)を、15の異なる位置において測定し、その平均値を算出した。その後、算術平均粗さRa(μm)と、目荒らし深さの平均値の相関を求めた。
図5に、複数の試験体に関する両者の測定結果をプロットしたグラフを示す。横軸、すなわちx軸が、レーザー変位計により測定した算術平均粗さRa(μm)であり、縦軸、すなわちy軸が、品質管理装置1により測定した目荒らし深さ(μm)である。これらの値の相関係数rは0.865となっており、両者は互いに相関が高く、すなわち、品質管理装置1によりコンクリート下地の目荒らし深さを、レーザー変位計に相当する、十分な精度で測定できることがわかった。
図5において、線40は、プロットされた全測定結果の中央位置に設けられたものであり、次式で表される。
(数1)
y=1.1963x …(1)
次に、適切な閾値を決定する方法を説明する。
本実施形態においては、コンクリート表面にタイルが貼り付けられたタイル張り試験体を用いてひずみ追従性試験を実施し、この結果を基に、閾値が決定されている。図6(a)に、試験体30の正面図を、図6(b)に、試験体30の平面図を、それぞれ示す。
試験体30は、以下の手順で製作した。まず、100×100×400mmの型枠にコンクリート33を打ち込み、所定の材齢が経過した後、超高圧水洗浄法によってコンクリート33の表面33aを目荒しした。その後、吸水調整材を塗布して2週間養生し、張付けモルタル31を介してモザイクタイル張りでタイル32を張った。
コンクリート33の表面33aと、タイル32表面には、ひずみゲージ34を設置した。
試験体30としては、図7に示される種類のものを用意した。「超高圧水洗浄」の、「洗浄パターン」、「目荒らし密度」の項目は、図3を用いて説明した閾値テーブル8と同様である。「洗浄パターン」が「無」の項目は、目荒らしがなされない試験体を示している。「超高圧水洗浄」の、「圧力(MPa)」の項目は、超高圧水洗浄における水の吐出圧である。「試験体数」の項目には、各仕様に準じた試験体の本数が記載されている。タイル32張りの直後にひずみ追従性試験を実施する試験体については「初期」の項目に、タイル32張りの後に次に説明するような冷熱繰り返し試験を実施し、その後ひずみ追従性試験を実施する試験体については「冷熱繰り返し」の項目に、それぞれ分類されて試験体数が数えられている。
上記のように、一部の試験体30に関しては、タイル32張りの後に、冷熱繰り返し試験を実施し、その後ひずみ追従性試験を実施している。
冷熱繰り返し試験は、日本建築仕上学会規格M−101(セメントモルタル塗り用吸水調整材の品質基準)の熱冷繰り返し抵抗性試験に準じたものである。試験体30に対する、70℃の環境下での105分間の赤外線ランプの照射と、続く15分間の6l/minの散水速度での散水を1サイクルとし、この1サイクルの試験を、300サイクル、または、600サイクル繰り返した。
上記のように製作された各試験体30に対し、図6(a)における上下方向に3MN試験機を用いて圧縮する、加力試験を実施した。荷重速度は、毎秒3KN程度とした。図8に、試験体30への加力手順を説明するグラフを示す。
図8に示されるように、徐々に圧縮荷重を増加させ、コンクリート表面の圧縮軸ひずみが200μに達した後に圧縮荷重を低減させるサイクルを、3回繰り返して、打診によりタイル仕上げ面の剥離状況を検査する。その後、徐々に圧縮荷重を増加させ、コンクリート表面の圧縮軸ひずみが400μに達した後に圧縮荷重を低減させるサイクルを、3回繰り返して、タイル仕上げ面の剥離状況を検査する。更に、徐々に圧縮荷重を増加させ、コンクリート表面の圧縮軸ひずみが600μに達した後に圧縮荷重を低減させるサイクルを、3回繰り返して、タイル仕上げ面の剥離状況を検査する。最後に、再度、圧縮荷重を増加させ、タイル32に浮きが発生するまで、あるいは、圧縮荷重がコンクリート圧縮強度に達する手前まで加力し、タイル32に剥離が発生した時のコンクリート表面の圧縮軸のひずみを、ひずみゲージ34によって測定した。
図9は、コンクリート下地20の表面20aに対して超高圧水洗浄を実施せずに、タイル32を張った試験体30に対して、ひずみ追従性試験を実施した結果を示すグラフである。横軸は、冷熱繰り返し試験のサイクル数であり、縦軸は、ひずみ追従性試験においてひずみゲージ34によって測定されたコンクリート表面の圧縮軸ひずみの値である。図9において、線50、51、52は、それぞれ、コンクリート強度が32.1N/mm、34.2N/mm、及び、60.6N/mmの場合のグラフである。
例えば、線52上の点52aは、コンクリート強度が60.6N/mmの、コンクリート下地20の表面20aに対して超高圧水洗浄を実施せずに、タイル32を張った試験体30に対して、タイル32張りの後に冷熱繰り返し試験を実施せずに、ひずみ追従性試験を実施した場合を示している。また、例えば、線51上の点51bは、コンクリート強度が34.2N/mmの、コンクリート下地20の表面20aに対して超高圧水洗浄を実施せずに、タイル32を張った試験体30に対して、タイル32張りの後に冷熱繰り返し試験を300サイクル実施して、ひずみ追従性試験を実施した場合を示している。
図10は、コンクリート下地20の表面20aに対して、目荒らし密度が低密度による超高圧水洗浄を実施して、タイル32を張った試験体30に対して、ひずみ追従性試験を実施した結果を示すグラフである。横軸、縦軸は、図9と同様である。図10において、線60、61、62は、それぞれ、コンクリート強度が32.1N/mm、34.2N/mm、及び、60.6N/mmの場合に、洗浄パターンが線状となるように超高圧水洗浄を実施した場合のグラフであり、線63、64、65は、それぞれ、コンクリート強度が32.1N/mm、34.2N/mm、及び、60.6N/mmの場合に、洗浄パターンがらせん状となるように超高圧水洗浄を実施した場合のグラフである。
図11は、コンクリート下地20の表面20aに対して、目荒らし密度が標準型で超高圧水洗浄を実施して、タイル32を張った試験体30に対して、ひずみ追従性試験を実施した結果を示すグラフである。横軸、縦軸は、図9と同様である。図11において、線70、71、72は、それぞれ、コンクリート強度が32.1N/mm、34.2N/mm、及び、60.6N/mmの場合に、洗浄パターンが線状となるように超高圧水洗浄を実施した場合のグラフであり、線73、74、75は、それぞれ、コンクリート強度が32.1N/mm、34.2N/mm、及び、60.6N/mmの場合に、洗浄パターンがらせん状となるように超高圧水洗浄を実施した場合のグラフである。
図12は、図9、図10、図11のひずみ追従性試験を実施した試験体30に対し、品質管理装置1によって測定されたコンクリート下地表面の目荒らし深さをまとめた表である。
「超高圧水洗浄」の項目は、超高圧水洗浄法による洗浄パターンの種別を示している。「洗浄パターン」、「目荒らし密度」の項目は、図3と同様である。「超高圧水洗浄」の項目が「無」と示されている項目は、図9、すなわち、コンクリート下地20の表面20aに対して超高圧水洗浄を実施せずに、タイル32を張った試験体30に対して、ひずみ追従性試験を実施した結果に相当する。「圧力」の項目は、超高圧水洗浄法における吐出圧を示すもので、150MPa〜200MPaの水圧を示す。
「サイクル数」の項目は、冷熱繰り返し試験のサイクル数を示している。
例えば、図9における線52上の点52aは、コンクリート強度が60.6N/mmの、コンクリート下地20の表面20aに対して超高圧水洗浄を実施せずに、タイル32を張った試験体30に対して、タイル32張りの後に冷熱繰り返し試験を実施せずに、ひずみ追従性試験を実施した場合であるから、これに相当する試験体30の品質管理装置1による目荒らし深さの測定結果は、35.1μmであったことがわかる。ちなみに、この場合においては超高圧水洗浄は実施されていないため、上記の値は、コンクリート下地20の表面20aがもともと備えていた凹凸の程度を示すものである。
また、同様に、図11における線75上の点75cは、コンクリート強度が60.6N/mmの、コンクリート下地20の表面20aに対して、洗浄パターンがらせん状となるように標準程度に超高圧水洗浄を実施した試験体30に対して、タイル32張りの後に600サイクルの冷熱繰り返し試験を実施した後に、ひずみ追従性試験を実施した場合であるから、これに相当する試験体30の品質管理装置1による目荒らし深さの測定結果は、183.5μmであったことがわかる。
また、表中の網掛け部分は、タイル剥離を生じた各パラメータを組み合わせた目荒らし深さの実施例であり、表中の閾値を確保してもタイルに剥離が発生した。よって、本ひずみ追従性試験結果より、超高圧水洗浄を行わない状態で、コンクリート面に後張りしたタイルは、一定期間経過した後に剥離する可能性が高いことが確認できた。また、コンクリート強度が60.6N/mmのコンクリートにおいては、目荒らし密度が低密度型に相当するように、コンクリート表面の切削痕が少ないと、タイルが剥離する可能性が高いことが確認できた。
上記のように図12としてまとめられた表から、超高圧水洗浄が実施され、なおかつ、冷熱繰り返し試験のサイクル数が600の結果のみを抜粋したものが、図3に示される閾値テーブル8である。すなわち、図3の閾値テーブル8を使用することにより、例えば、コンクリート強度が60.6N/mmの、コンクリート下地20の表面20aに対して、洗浄パターンがらせん状となるように標準程度に超高圧水洗浄を実施する場合においては、183.5μmを閾値としてこれ以上の目荒らし深さとなるように、超高圧水洗浄を実施すればよいことがわかる。図11に示される対応する点75cは、y軸において、1300μ程度の位置に示されているため、上記のような超高圧水洗浄の実施により、1300μ程度のひずみに耐えられるように、タイル32を張ることができる。
ここで、図9、図10、図11においては、コンクリート表面の圧縮軸ひずみが、例えば500μの位置に、一点鎖線で示された線Tが設けられている。線Tは、非特許文献1の研究成果に基づき、コンクリートと貼付モルタルとの界面、及び貼付モルタルとタイル裏面との界面にて剥離が認められず、ひずみ追従性に優れていると判断されているコンクリートの圧縮軸ひずみである500μに設定した。コンクリート表面の圧縮軸ひずみが線Tに達していない、すなわち、線Tよりも下に位置する実験結果、例えば図10における点62c等に関し、図3、図12において対応する目荒らし深さの測定値及び閾値、例えば35.0μmの値は、模様を付けて示されている。このような、ひずみ追従性試験の結果が一定の値よりも低くなった、例えば点62cのような場合においては、目荒らし深さが35.0μmより十分に深くなるようにした試験体30を再度作成し、ひずみの結果がより適切に、すなわち、500μ以上の値となるまで試験を繰り返して、適切な閾値を決定するのが望ましい。
よって、コンクリート表面の圧縮軸ひずみと冷熱繰り返し試験のサイクル数との関係(図9〜図11)において、縦軸に示すコンクリート表面の圧縮軸ひずみは、タイルに剥離が発生した時のコンクリートの圧縮軸ひずみであり、コンクリート表面の圧縮軸ひずみが線Tより下回る試験体は耐剥離性能が低いと判断される。
次に、上記のコンクリート表面形状の品質管理装置1の効果について説明する。
上記のような構成によれば、コンクリート下地20の表面20aの目荒らし深さを、深さ測定部3によって、コンクリート下地20の表面20aに対して直接測定しているため、金属箔への型押し等の間接的な作業により測定値の精度が損なわれることがない。したがって、十分な精度で目荒らし深さを測定できる。
また、上記のように、目荒らし深さを、金属箔への型押し等の間接的な作業を介さずに、直接測定できるため、測定を含めた品質判定作業が容易である。
また、測定結果を、予め設定した閾値と比較して品質を判定し、その結果を判定表示部5に表示するため、測定に伴う目荒らし深さの品質判定作業を、測定と同時に一括して実施することが可能である。また、品質判定は、目荒らし深さの測定値と閾値との比較により、定量的に実施される。したがって、測定を含めた品質判定作業全体を短時間に、かつ目荒らし深さに関する判定技量を要することなく、確実に、実施することが可能である。
また、閾値として、上記のように、コンクリート表面にタイル32が貼り付けられたタイル張り試験体30を用いたひずみ追従性試験で得られた接着界面破壊が生じる目荒し深さの限界値を、図3に示される閾値テーブル8のようなデータベースとして記録しておき、コンクリート下地20の表面20aの目荒し深さを閾値以上となるように管理することで、タイル32の剥離を防止することができる。
また、上記のように、図3に示される閾値テーブル8は、図12として示されるひずみ追従性試験による試験結果から、冷熱繰り返し試験を600サイクル繰り返した結果を抜粋したものであり、この閾値に基づいて、目荒らし深さの品質が判定される。したがって、タイル32を張った直後だけではなく、経年後においても確実にタイル32の剥離を防止することができる。
また、レーザー変位計を用いると、上記のように、コンクリート表面の状況を正確に観測することはできるものの、レーザー変位計は携帯が容易ではない大きさを有しているため、タイル張りの現場にレーザー変位計を持ち出して、レーザー変位計によってコンクリート表面の目荒らし深さを測定するのは難しい。これに対し、上記の品質管理装置1においては、構造が簡潔であり携帯可能な大きさに製作することが可能であるため、タイル張りの現場に携帯し、現場においてコンクリート表面の目荒らし深さを測定するのに好適である。すなわち、品質管理装置1によれば、場所を問わずに、高い精度で目荒らし深さを測定することが可能である。
(実施形態の第1変形例)
次に、図13を用いて、上記実施形態として示したコンクリート表面形状の品質管理装置1の第1変形例を説明する。図13(a)は、本第1変形例における品質管理装置80の正面側斜視図、図13(b)は品質管理装置80の背面側斜視図、及び、図13(c)は品質管理装置80の説明図である。本第1変形例の品質管理装置80においては、上記実施形態における品質管理装置1とは、品質管理装置80が複数の深さ測定部83を備えている点が異なっている。
品質管理装置80の筐体82は、板状に形成されている。筐体82の正面82cには、上記実施形態と同様な入力部84と判定表示部85が設けられている。
筐体82の背面82dには、複数の突出部82aが、背面82dから突出するように設けられている。本実施形態においては、各突出部82aは円柱状に形成されており、突出部82aの先端面82bは、背面82dと略平行になるように設けられている。
突出部82aの各々には、上記実施形態と同様に、使用時には先端面82bから突出して、突出部82aの突出方向に向けて更に延伸するように、深さ測定部83が設けられている。
品質管理装置80は、図13(c)に示されるように、コンクリート下地20の表面20aに筐体82の背面82dを対向させて、各突出部82aの先端面82bが表面20aに接するように設けられて使用される。この操作を容易にするために、筐体82の正面82cには、把持部90が設けられている。
本第1変形例が、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。本第1変形例においては、特に、1回の操作でコンクリート下地20の表面20aの複数の位置における目荒らし深さを同時に測定することで、短時間で、コンクリート表面の平均的な目荒らし深さを得ることができる。よって、タイル張り用のコンクリート下地表面の目荒し深さの品質判定作業全体を、短時間にて、定量的に実施できる。
(実施形態の第2変形例)
次に、上記実施形態として示したコンクリート表面形状の品質管理装置1の第2変形例を説明する。本第2変形例の品質管理装置においては、上記実施形態における品質管理装置1とは、閾値テーブルの作成方法が異なっている。
上記実施形態においては、タイル張りの現場では、コンクリート下地表面の目荒らし深さは品質管理装置1によって測定されるため、閾値テーブル8に設定されている閾値は、各試験体30の目荒らし深さを品質管理装置1で測定した結果が用いられている。本第2変形例においては、これに代えて、各試験体30の目荒らし深さをレーザー変位計で測定した結果を基にした値が、閾値として、閾値テーブルに登録されている。
図5を用いて説明したように、コンクリート下地表面の、レーザー変位計によって測定された算術平均粗さと、品質管理装置1によって測定された目荒らし深さは、互いに相関が高く、両者は上記した数式1のような関係で対応させて考えることが可能である。そこで、本第2変形例においては、各試験体30の目荒らし深さをレーザー変位計で測定し、その結果を、数式1における係数である1.1963の逆数に近い、0.8以上0.9未満の係数、より詳細には、例えば0.836等の値によって乗算して、深さ測定部によって測定した場合の閾値に換算し、これが閾値テーブルに設定されている。
本第2変形例が、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。本第2変形例においては、特に、試験体のコンクリート下地表面の状況を、コンクリート表面の状況を正確に観測可能なレーザー変位計により観測、測定しているため、閾値の精度を高めることが可能であり、したがって、品質管理装置による判定精度をより高くすることができる。
なお、本発明のコンクリート表面形状の品質管理装置1は、図面を参照して説明した上述の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態及び各変形例において、図12に示されるように試験結果をまとめて、図3に示される閾値テーブル8を設定するにあたり、超高圧水洗浄の吐出圧は「200MPa」の結果のみを考慮したが、図7に示されるような「150MPa」等の他の値を用いた閾値テーブル8を別途製作し、閾値算出部9が、吐出圧によって出力する閾値を変えるようにしてもよいことは、いうまでもない。コンクリートの材齢等、図12に記載されていない他の項目についても同様である。
また、超高圧水洗浄においては、処理速度を3分/mあるいは4分/mにする、ノズル孔数を12孔または7孔にする等、吐出圧や洗浄パターン以外にも様々な選択肢があるため、これらの処理速度やノズル孔数等を基に異なる閾値が出力されるように、閾値テーブル8の設定と閾値算出部9の処理を変更してもよい。
また、上記実施形態及び各変形例において、閾値算出部9は、あらかじめ設定された閾値テーブル8を基に、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度に近い前後の、2つのコンクリート強度値に関して、それらの間のコンクリート強度値を例えば線形に補完する数式を立式し、これを基に閾値を算出していたが、品質管理装置1における閾値の設定・保存方法や、閾値算出部9による閾値の算出は、これに限られない。
例えば、閾値が、コンクリート強度値や超高圧水洗浄法による洗浄パターン等を入力とした何らかの関数で表すことが可能であれば、閾値テーブル8の代わりにこの関数を制御部6内に保存し、閾値算出部9がこの関数に対して適切な値を入力することによって、閾値を算出するようにしても構わない。
あるいは、処理を簡略化して、例えば、閾値算出部9は、上記のような線形補間を行わずに、閾値テーブル8の、測定対象となるコンクリート下地20のコンクリート強度に最も近いコンクリート強度値を検索し、当該コンクリート強度値に対応する閾値をそのまま出力しても構わない。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1 品質管理装置 20 コンクリート下地
2 筐体 20a 表面
2a 突出部 80 品質管理装置
2b 先端面 82 筐体
3 深さ測定部 82a 突出部
3a 先端 82b 先端面
4 入力部 83 深さ測定部
5 判定表示部 84 入力部
6 制御部 85 判定表示部
7 閾値設定部 90 把持部
8 閾値テーブル
9 閾値算出部
10 深さ算出部
11 品質判定部

Claims (3)

  1. タイル張り用のコンクリート下地表面の目荒し深さを管理する品質管理装置であって、
    コンクリート下地表面の目荒し深さを測定する深さ測定部と、
    前記深さ測定部で測定されたコンクリート下地表面の目荒し深さの測定値が、予め設定した閾値未満か、該閾値以上かを判定する目荒し深さの品質判定部と、
    目荒し深さの品質判定結果を表示する目荒し深さの判定表示部と、
    コンクリート下地のコンクリート強度と、目荒らしのパターンを含むパラメータに関する情報が入力される入力部と、
    前記パラメータに対応した前記閾値が設定された閾値テーブルと、
    前記入力部に入力された前記情報を基に、前記閾値を、当該閾値テーブルから算出する閾値算出部と、
    を備えていることを特徴とするコンクリート表面形状の品質管理装置。
  2. 前記閾値は、前記タイルと前記コンクリート下地表面との間で、接着界面破壊が生じる目荒し深さの限界値であることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート表面形状の品質管理装置。
  3. 前記深さ測定部は、針状に形成され、
    前記入力部には、測定開始の指示が入力され、
    前記入力部に前記測定開始の指示が入力されると、前記深さ測定部を延伸させ、先端がコンクリート下地表面に当接し停止した際の突出長さを基に、目荒し深さを測定する、請求項1または2に記載のコンクリート表面形状の品質管理装置。
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