図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置の外観を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置の構成を示すブロック図である。
図3は、第1の実施形態に係るX線検出器の配列パターンの一例を示す図である。
図4は、第1の実施形態に係るトモシンセシス撮影におけるX線出力ユニットの移動方法の一例を表す図である。
図5は、第1の実施形態に係るトモシンセシス撮影におけるX線検出器の移動方法の一例を表す図である。
図6は、第1の実施形態に係る通常撮影におけるX線出力ユニットの移動方法の一例を表す図である。
図7は、第1の実施形態に係る通常撮影におけるX線検出器の移動方法の一例を表す図である。
図8は、第1の実施形態に係るトモシンセシス撮影機能が制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
図9は、第1の実施形態に係る通常撮影機能が制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
図10は、変形例におけるX線検出器の移動方法の一例を表す図である。
図11は、第2の実施形態に係るマンモグラフィ装置の構成を示すブロック図である。
図12は、第2の実施形態に係るトモシンセシス撮影におけるX線出力ユニット及びX線検出器の移動方法の一例を表す図である。
図13は、第2の実施形態に係る通常撮影におけるX線検出器の移動方法の一例を表す図である。
図14は、第2の実施形態に係るトモシンセシス撮影機能が制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
図15は、第2の実施形態に係る通常撮影機能が制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係わるマンモグラフィ装置を説明する。
図1は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1の外観を示す模式図である。また、図2は、第1の実施形態に係るマンモグラフィ装置1の構成例を示すブロック図である。
マンモグラフィ装置1は、図1又は図2に示されるように、基台11及びスタンド12を有する。スタンド12は、基台11上に立設され、X線管アーム13、撮影台14、圧迫板15、X線出力ユニット16及びX線検出ユニット17を支持する。このとき、X線管アーム13は上下方向へ移動可能に支持されている。また、撮影台14は、X線管アーム13とは独立して上下方向へ移動可能に支持されている。また、圧迫板15は、撮影台14とは独立して上下方向へ移動可能に支持されている。また、X線管アーム13は、例えば心棒形状を有する回転軸部121の軸心を回転中心軸Rとして回転可能に支持されている。また、撮影台14は、回転軸部121の軸心を回転中心軸RとしてX線管アーム13とは独立に回転可能に支持されている。
撮影台14は、被検体の乳房Bを支持する台であり、乳房Bが載せられる支持面141を有する。
圧迫板15は、透明な部材、例えば、アクリル板により形成される。圧迫板15は、撮影台14の上方に配置され、撮影台14に対して平行に対向するとともに撮影台14に対して接離する方向へ移動可能に設けられている。圧迫板15は、撮影台14に接近する方向に移動した場合に、支持面141上に支持されている乳房Bを圧迫する。圧迫板15によって圧迫された乳房Bは薄く押し広げられ、乳房B内の乳腺の重なりが減少する。
ここで、図1に示されるように、回転中心軸RをY軸とし、Y軸と直交かつ焦点fから支持面141へ下ろした垂線をZ軸に規定し、X軸をYZ平面に垂直に規定する。なお、XYZ座標系はY軸を中心とした回転座標系を構成する。また、X軸の方向について、被検体が支持面141に乳房Bを載置した場合に、左手側から右手側へ向かう方向をX軸の正方向と、逆の方向をX軸の負方向とする。また、Y軸の方向について、胸壁から乳頭に向かう方向を、Y軸の正方向と、逆の方向をY軸の負方向とする。Z軸の方向について、支持面141から焦点fに向かう方向を、Z軸の正方向と、逆の方向をZ軸の負方向とする。
X線出力ユニット16は、X線管アーム13の端部に設けられる。X線出力ユニット16は、X線管161及びX線絞り器162を有する。X線管161は、高電圧発生ユニット23から供給される高電圧を用いてX線を発生させる。X線管161は、圧迫板15により圧迫された乳房BへX線を照射する。X線絞り器162は、X線管161と圧迫板15との間に配置される。X線絞り器162は、X線管161の照射口部分に取り付けられている。X線絞り器162は、後述するシステム制御回路30の制御の下、X線管161と一体となり移動可能である。X線絞り器162は、複数の絞り羽根を備える。X線絞り器162は、システム制御回路30の制御の下、複数の絞り羽根を開閉動作させることにより、X線管161で発生されるX線の照射範囲を制御する。なお、X線管161とX線絞り器162との間には、必要に応じてX線検出器171に入射するX線の空間線量分布を略均一にするためのX線フィルタが取り付けられてもよい。
X線検出ユニット17は、X線検出器171及びデータ収集回路172を有する。X線検出器171は、フォトンカウンティング検出器である。X線検出器171は、図3に示されるように、マトリクス状に配列された複数の検出素子を有する。また、X線検出器171は、入射したX線を光に直接変換して、X線に由来する光を計数する直接変換型の半導体検出器である。複数の検出素子は、例えばテルル化カドミウム(CdTe)系の半導体で構成されている。以下、X線検出器171は、半導体検出器であるとして説明する。なお、X線検出器171は、例えばシンチレータ及び光電子倍増管により構成される間接変換型の検出器であってもよい。
また、図3に示されるように、X線検出器171の全体の形状は、XY平面と平行な平面を持つ平板かつ、Y軸と平行な1辺が、X軸と平行な他の辺よりも短い、すなわち長辺と短辺を有する長方形である。なお、X線検出器171は、XZ平面上において、焦点f側に対し凹型の円弧形状であってもよい。
X線検出器171のY軸に沿う方向に配列される複数の検出素子1710の数は、例えばM(1以上の整数)個である。また、X線検出器171のX軸に沿う方向に配列される複数の検出素子1710の数はN(2以上の整数)個である。本実施形態において、MはNより小さい。X線検出器171は、図1又は図3に示されるように、Y軸に沿う方向に移動可能に設けられる。また、X線検出器171は、乳房Bと撮影台14とを透過したX線をX線フォトンとして検出し、検出されたX線フォトンのエネルギーに応じた波高値を有する電荷パルスを出力する。
データ収集回路172は、X線検出器171から出力された電荷パルスに基づいてビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号を収集するプロセッサである。データ収集回路172は、X線検出器171によって出力された電荷パルスの波高値に基づいて、当該電荷パルスが属するエネルギー帯域を複数のエネルギー帯域の中から弁別する。また、データ収集回路172は、各エネルギー帯域に応じた波高値を有する電気信号(以下、弁別信号)を出力する。また、データ収集回路172は、弁別信号を複数のエネルギー帯域の各々についてビュー毎に計数し、X線検出器171により検出されたX線フォトンの計数値を表現するデジタルの計数信号を収集する。データ収集回路172は、収集したデジタルの計数信号を後述する前処理回路26に供給する。データ収集回路172は、後述するトモシンセシス画像データを生成するために必要な各ビューに対応するX線検出器171の有効面の中心に対しX線管161からX線が照射される場合のX線照射角度、SID(Source−Image Receptor Distance)及び視野サイズ等の関連情報を、対応するデジタルの計数信号に関連付けて後述する前処理回路26に供給する。なお、収集したデジタルの計数信号及び各ビューに対応する関連情報は、後述する記憶回路29に記憶されてもよい。
また、マンモグラフィ装置1は、図2に示されるように、入力インタフェース回路18、昇降駆動ユニット19、回転駆動ユニット20、X線管駆動ユニット21、X線絞り器駆動ユニット22、高電圧発生ユニット23、X線検出器駆動ユニット24、表示回路25、前処理回路26、再構成回路27、画像処理回路28、記憶回路29及びシステム制御回路30を具備する。
入力インタフェース回路18は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、トラックボール及びジョイスティック等を有する。入力インタフェース回路18は、システム制御回路30に接続され、撮影者から入力される各種指示・命令・情報をシステム制御回路30に取り込む。
昇降駆動ユニット19は、例えば不図示のギア及びステッピングモータを有する。昇降駆動ユニット19は、X線管アーム13、撮影台14及び圧迫板15に接続される。昇降駆動ユニット19は、システム制御回路30から出力されるX線管アーム13の位置情報に従い、X線アームを移動させる。昇降駆動ユニット19は、システム制御回路30から出力される撮影台14の位置情報に従い、撮影台14を移動させる。昇降駆動ユニット19は、システム制御回路30から出力される圧迫板15の位置情報に従い、圧迫板15を移動させる。
回転駆動ユニット20は、例えば不図示のギア及びステッピングモータを有する。回転駆動ユニット20は、回転軸部121に接続される。回転駆動ユニット20は、システム制御回路30から出力される回転軸部121の回転角情報に従い、回転軸部121の軸心を回転中心軸Rとして、撮影台14とX線管アーム13とをそれぞれ独立に回転させる。撮影台14を固定した状態でX線管アーム13を回転させることにより、後述するトモシンセシス撮影に必要なX線管161のX線検出器171のX軸に沿う方向への移動が可能となる。なお、トモシンセシス撮影では、X線管161を回転中心軸R周りに連続的に所定の速度で移動させながら一定時間間隔でX線照射及び画像データ収集を繰り返す。
X線管駆動ユニット21は、例えば不図示のギア、ステッピングモータ及びX線管161を支持する支柱を有する。X線管駆動ユニット21は、X線出力ユニット16のX線管161に接続される。X線管駆動ユニット21は、システム制御回路30から指示されるX線管161の位置情報に従い、X線管161をX線検出器171のY軸に沿う方向に移動させる。
X線絞り器駆動ユニット22は、例えば不図示のギア及びステッピングモータを有する。X線絞り器駆動ユニット22は、X線出力ユニット16のX線絞り器162に接続される。X線絞り器駆動ユニット22は、システム制御回路30から指示されるX線照射範囲に従い、複数の絞り羽根を開閉動作させる。
高電圧発生ユニット23は、例えばインバータ回路を有する。高電圧発生ユニット23は、X線管161に接続される。高電圧発生ユニット23は、システム制御回路30から指示される強度の電圧をX線管161へ供給する。
X線検出器駆動ユニット24は、例えば不図示のギア及びステッピングモータを有する。X線検出器駆動ユニット24は、X線検出ユニット17のX線検出器171に接続される。X線検出器駆動ユニット24は、システム制御回路30から出力されるX線検出ユニット17のX線検出器171の位置情報に従い、図1及び図3に示されるように、X線検出器171をY軸に沿う方向に移動させる。
表示回路25は、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを有する。表示回路25は、システム制御回路30の制御の下、例えば該表示デバイスを通じて、種々の情報を表示する。表示回路25は、例えば後述する画像処理回路28により生成されたマンモグラフィ画像を表示する。
前処理回路26は、データ収集回路172により収集された複数のエネルギー帯域に関する計数信号に前処理を行うプロセッサである。前処理回路26は、例えば後述する記憶回路29から動作プログラムを呼び出し、呼び出したプログラムを実行することで前処理回路26が担う機能を実現する。前処理回路26は、複数のビューの各々について、複数のエネルギー帯域に関する計数信号に前処理を施して複数のエネルギー帯域に関する投影データを生成する。前処理としては、例えば画素間の感度不均一の補正、脱落(欠損)に関する補正、ログ変換、ビームハードニング補正及びオフセット補正等が挙げられる。また、前処理回路26は、生成した投影データを後述する記憶回路29に記憶する。また、前処理回路26は、生成した投影データに対応するX線照射角度、SID及び視野サイズ等の撮影条件等の関連情報を後述する記憶回路29に記憶する。
再構成回路27は、前処理回路26により生成された複数の投影データに基づいて、トモシンセシス画像データを再構成するプロセッサである。再構成回路27は、例えば後述する記憶回路29から動作プログラムを呼び出し、呼び出したプログラムを実行することで再構成回路27が担う機能を実現する。再構成回路27は、前処理回路26により生成された複数の投影データのうち、X線検出器171がY軸に沿う所定に位置に停止している間に、X線検出器171に対しX軸方向に沿った複数の異なる照射角度からX線を照射し生成された複数の投影データ並びに投影データそれぞれに対応するX線照射角度、SID及び視野サイズ等の関連情報に基づいて、トモシンセシス画像データ(以下、部分ボリュームデータと呼ぶ)を再構成する。トモシンセシスにおける画像再構成法としては、例えば、シフト加算法に基づく断層再構成法やFBP(filtered back projection)法に基づく断層再構成法等の既存の断層再構成法が用いられれば良い。また、再構成回路27は、後述するトモシンセシス撮影を停止した場合、一連のトモシンセシス撮影の間に生成した複数の部分ボリュームデータを組合せて一つのボリュームデータを生成する。このとき、部分ボリュームデータに重複部分がある場合は、重複部分について必要な補正を行う。
画像処理回路28は、前処理回路26により生成された投影データに基づいて、マンモグラフィ画像データを生成するプロセッサである。画像処理回路28は、例えば後述する記憶回路29から動作プログラムを呼び出し、呼び出したプログラムを実行することで画像処理回路28が担う機能を実現する。画像処理回路28は、X線検出器171のY軸上で停止する位置が異なる、前処理回路26により生成された複数の投影データを一つの投影データとして合成する。画像処理回路28は、合成された投影データに対し、例えば散乱線補正処理を行いマンモグラフィ画像データを生成する。
また、画像処理回路28は、再構成回路27により生成されたボリュームデータに基づいて、任意の断面を表すマンモグラフィ画像データを生成するプロセッサである。任意の断面とは、例えば支持面141に平行な任意の高さの断面である。
記憶回路29は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。記憶回路29は、前処理回路26が担う機能、再構成回路27が担う機能、画像処理回路28が担う機能、トモシンセシス撮影機能301、通常撮影機能302及び基本制御機能303を実現するためのプログラム、並びに、前処理回路26により生成された投影データ、投影データに対応するX線照射角度、SID、視野サイズ等の関連情報、再構成回路27により生成されたボリュームデータ及び画像処理回路28により生成されたマンモグラフィ画像データ等を記憶する。
システム制御回路30は、例えばマンモグラフィ装置1の各構成回路を制御するプロセッサである。システム制御回路30は、マンモグラフィ装置1の中枢として機能する。システム制御回路30は、記憶回路29から各動作プログラムを呼び出し、呼び出したプログラムを実行することでトモシンセシス撮影機能301、通常撮影機能302及び基本制御機能303を実現する。
トモシンセシス撮影機能301は、入力インタフェース回路18を介し撮影者から受け付けたトモシンセシス撮影の指示に従い、トモシンセシス撮影を経たマンモグラフィ画像データを生成する機能である。以下、図4及び図5を用いてトモシンセシス撮影の方法について説明する。図4は、トモシンセシス撮影におけるX線出力ユニット16の移動方法の一例を表す図である。図5は、トモシンセシス撮影におけるX線検出器171の移動方法の一例を表す図である。
トモシンセシス撮影機能301では、システム制御回路30は、撮影者からトモシンセシス撮影準備の指示を受け付けた場合、回転駆動ユニット20及びX線管駆動ユニット21を制御し、X線出力ユニット16を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図4(a)に示すように、頭尾方向撮影(Cranti−Caudal:CC)の場合、X線検出器171の検出面の中心に対する垂線上で所定の距離離れた位置を基準として、反時計回りに所定の角度φ回転移動させた位置である。また、システム制御回路30は、X線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図5(a)に示すように、被検者の胸壁側に最も近い位置である。
システム制御回路30は、撮影者からトモシンセシス撮影開始の指示を受け付けた場合、図4(a)に示すように、回転駆動ユニット20及び高電圧発生ユニット23を制御し、X線管アーム13を初期位置から時計回りへ所定の速度で回転させることにより、X線管161及びX線絞り器162を移動させながら一定時間間隔でX線管161からX線検出器171に向けてX線を照射する。また、システム制御回路30は、X線絞り器駆動ユニット22を制御し、X線管161の位置に合わせて、X線検出器171の検出範囲に限定してX線が照射されるように、X線絞り器162の有する複数の絞り羽根をX線検出器171のX軸に沿う方向に開閉する。このとき、X線検出器171のY軸に沿う方向のX線照射範囲を制御するための複数の絞り羽根は、X線検出器171のみにX線が照射されるように開閉され固定される。なお、システム制御回路30は、X線管161を、ステップ動作とX線照射を繰り返すように制御してもよい。
また、システム制御回路30は、データ収集回路172を制御し、X線検出器171から出力された電化パルスに基づいてビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号を収集する。収集されたデジタルの計数信号は、各ビューに対応するX線検出器171の有効面の中心に対しX線がX線管161から照射される場合のX線照射角度、SID、視野サイズ等の撮影条件等の関連情報と関連付けされて前処理回路26に供給される。
システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い複数の投影データを生成する。システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する。
システム制御回路30は、回転駆動ユニット20を制御し、X線管161及びX線絞り器162を、X軸方向に沿って最終的に時計回りに角度2φ分移動させる。システム制御回路30は、前処理回路26による角度2φ分の移動の間に収集されたビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号に対する前処理が完了すると、再構成回路27を制御し、複数の投影データに基づいて再構成処理を行う。
すなわち、システム制御回路30は、再構成回路27を制御し、角度2φ分の移動の間に前処理回路26により生成された複数の投影データを用いて部分ボリュームデータを再構成する。
また、システム制御回路30は、X線管161及びX線絞り器162がX軸の正方向へ角度2φに対応する距離だけ移動した後、図4(b)及び図5(b)に示すように、X線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ所定の距離だけ移動させる。このとき、X線検出器171の移動距離は、X線検出器171のY軸に沿う長さ以下になることが好適である。また、システム制御回路30は、X線検出器171のY軸の正方向への移動と同じタイミングで、X線管駆動ユニット21を制御し、X線管161及びX線絞り器162をY軸の正方向へX線検出器171の移動距離と同じ距離だけ移動させる。
また、システム制御回路30は、X線管161及びX線絞り器162のY軸の正方向への移動が終了すると、例えば図4(b)に示すように、回転駆動ユニット20及び高電圧発生ユニット23を制御し、X線管アーム13を反時計回りへ所定の速度で回転させることにより、X線管161及びX線絞り器162をX軸の負方向へ移動させながら一定時間間隔でX線管161からX線検出器171に向けてX線を照射する。また、システム制御回路30は、X線絞り器駆動ユニット22を制御し、X線管161の位置に合わせて、X線検出器171の検出範囲に限定してX線が照射されるように、X線絞り器162の有する複数の絞り羽根をX線検出器171のX軸に沿う方向に開閉する。このとき、X線検出器171のY軸に沿う方向のX線照射範囲を制御するための複数の絞り羽根は、X線検出器171のみにX線が照射されるように開閉され固定される。
また、システム制御回路30は、データ収集回路172を制御し、X線検出器171から出力された電化パルスに基づいてビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号を収集する。収集されたデジタルの計数信号は、各ビューに対応するX線検出器171の有効面の中心に対しX線がX線管161から照射される場合のX線照射角度、SID、視野サイズ等の関連情報と関連付けされて前処理回路26に供給される。
システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い複数の投影データを生成する。システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する。
システム制御回路30は、回転駆動ユニット20を制御し、X線管161及びX線絞り器162を、X軸方向に沿って最終的に反時計回りに角度2φ分移動させる。システム制御回路30は、前処理回路26による角度2φ分の移動の間に収集されたビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号に対する前処理が完了すると、再構成回路27を制御し、複数の投影データに基づいて再構成処理を行う。
すなわち、システム制御回路30は、再構成回路27を制御し、角度2φ分の移動の間に前処理回路26により生成された複数の投影データを用いて部分ボリュームデータを再構成する。
システム制御回路30は、図4(c)に示されるように、X線検出器171のY軸の正方向への移動とX線管161及びX線絞り器162のY軸の正方向への移動及びX軸に沿う方向への移動を繰り返し制御ながら、トモシンセシス撮影を行う。
また、システム制御回路30は、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、ビュー毎の複数のエネルギー帯域の各々についての計数値を所定の閾値と比較することで、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する。すなわち、計数値が所定の閾値を超えた場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定し、計数値が所定の閾値以下の場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過しなかったと判定する。
システム制御回路30は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合、トモシンセシス撮影を継続する。すなわち、システム制御回路30は、次のX線照射を行うためにX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ移動させる。また、システム制御回路30は、X線検出器171のY軸の正方向への移動と同じタイミングで、X線管駆動ユニット21を制御し、X線管161及びX線絞り器162をY軸の正方向へX線検出器171の移動距離と同じ距離だけ移動させる。
また、システム制御回路30は、図5(c)に示すように、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合、トモシンセシス撮影を停止する。なお、トモシンセシス撮影の停止は、X線検出器171のY軸の正方向への移動を所定の回数実施した場合をトリガとしてもよい。システム制御回路30は、トモシンセシス撮影を停止した後、再構成回路27に、トモシセンシス撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の部分ボリュームデータより1つのボリュームデータを生成する旨の要求を再構成回路27に通知する。なお、システム制御回路30は、データ収集回路172により収集されたデジタルの計数信号に含まれるビュー毎の複数のエネルギー帯域の各々についての計数値を所定の閾値と比較することで、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定してもよい。
通常撮影機能302は、入力インタフェース回路18を介し撮影者から受け付けた通常撮影の指示に従い、マンモグラフィ画像データを生成する機能である。以下、図6及び図7を用いて通常撮影の方法について説明する。図6は、通常撮影におけるX線出力ユニット16の移動方法の一例を表す図である。図7は、通常撮影におけるX線検出器171の移動方法の一例を表す図である。
通常撮影機能302では、システム制御回路30は、撮影者から通常撮影準備の指示を受け付けた場合、回転駆動ユニット20及びX線管駆動ユニット21を制御し、X線出力ユニット16を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図6(a)に示すように、X線検出器171の検出面の中心に対する垂線上で中心から所定の距離離れた位置である。また、システム制御回路30は、X線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171を、通常撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図7(a)に示すように、被検者の胸壁側に最も近い位置である。
また、システム制御回路30は、撮影者から通常撮影開始の指示を受け付けた場合、X線絞り器駆動ユニット22を制御し、X線管161の位置に合わせて、X線検出器171の検出範囲に限定してX線が照射されるように、X線絞り器162の有する複数の絞り羽根を開閉する。また、システム制御回路30は、X線管161及びX線絞り器162が初期位置に位置する状態で、高電圧発生ユニット23を制御し、X線管161からX線検出器171に向けてX線を照射する。システム制御回路30は、データ収集回路172を制御し、X線検出器171から出力された電化パルスに基づいて複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号を収集する。また、システム制御回路30は、データ収集回路172から供給されたデジタルの計数信号の前処理を行う旨の要求を前処理回路26に通知する。
システム制御回路30は、図6(c)に示されるように、X線検出器171のY軸の正方向への移動とX線管161及びX線絞り器162のY軸の正方向への移動を繰り返し制御ながら、通常撮影を行う。
また、システム制御回路30は、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、複数のエネルギー帯域の各々についての計数値が所定の閾値と比較することでX線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する。すなわち、計数値が所定の閾値を超えた場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定し、計数値が所定の閾値以下の場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過しなかったと判定する。
また、システム制御回路30は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合、通常撮影を継続する。次のX線照射を行うためにX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ移動させる。軸に沿うまた、システム制御回路30は、X線検出器171のY軸方向への移動と同じタイミングで、X線管駆動ユニット21を制御し、X線管161及びX線絞り器162をY軸の正方向へX線検出器171の移動距離と同じ距離だけ移動させる。
また、システム制御回路30は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合、図6(c)及び図7(c)に示すように、通常撮影を終了する。なお、通常撮影の終了は、X線検出器171のY軸の正方向への移動を所定の回数実施した場合をトリガとしてもよい。システム制御回路30は、通常撮影を終了した後、通常撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の投影データに基づいて、マンモグラフィ画像データを生成する旨の要求を画像処理回路28に通知する。
基本制御機能303は、マンモグラフィ装置1の入出力等の基本動作を制御する機能である。具体的には、基本制御機能303では、システム制御回路30は、表示回路25を介し、トモシンセシス撮影機能301により生成された支持面141に平行な任意の高さの断面についてのマンモグラフィ画像データに基づいて断面画像を表示する。システム制御回路30は、表示回路25を介し、通常撮影機能302により生成されたマンモグラフィ画像データに基づいてマンモグラフィ画像を表示する。
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
(1)トモシンセシス撮影の流れ
図8は、第1の実施形態に係るトモシンセシス撮影機能301が制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
図8に示すように、システム制御回路30は、入力インタフェース回路18を介し、撮影者からトモシンセシス撮影準備の指示の通知があるまで待機する(ステップSA1)。
システム制御回路30は、撮影者からトモシンセシス撮影準備の指示の通知を受け付けた場合(ステップSA1のYes)、回転駆動ユニット20及びX線管駆動ユニット21を制御し、X線出力ユニット16及びX線検出器171を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる(ステップSA2)。
次に、システム制御回路30は、入力インタフェース回路18を介し、撮影者からトモシンセシス撮影開始の指示の通知があるまで待機する(ステップSA3)。
システム制御回路30は、撮影者からトモシンセシス撮影開始の指示の通知を受け付けた場合(ステップSA3のYes)、回転駆動ユニット20、高電圧発生ユニット23及びデータ収集回路172を制御し、X線管アーム13を時計回り又は反時計回りへ所定の速度で回転させることにより、X線管161及びX線絞り器162をX軸に沿う方向に移動させながら一定時間間隔でX線管161からX線検出器171に向けてX線を照射し、デジタルの計数信号を収集する。また、システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い複数の投影データを生成する。システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する(ステップSA4)。システム制御回路30は、回転駆動ユニット20を制御し、X線管161及びX線絞り器162を、X軸方向に沿って最終的に時計回り又は反時計回りに角度2φ分移動させる。
システム制御回路30は、前処理回路26による角度2φ分の移動の間に収集されたビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号に対する前処理が完了すると、再構成回路27を制御し、複数の投影データに基づいて再構成処理を行う(ステップSA5)。
すなわち、システム制御回路30は、再構成回路27を制御し、角度2φ分の移動の間に前処理回路26により生成されたX軸方向に沿ったX線照射角度の異なる複数の投影データを用いて部分ボリュームデータを再構成する。
システム制御回路30は、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、ビュー毎の複数のエネルギー帯域の各々についての計数値を所定の閾値と比較することでX線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する(ステップSA6)。
システム制御回路30は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合(ステップSA6のYes)、次のX線照射を行うためにX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ移動させる。また、システム制御回路30は、X線検出器171のY軸の正方向への移動と同じタイミングで、X線管駆動ユニット21を制御し、X線管161及びX線絞り器162をY軸の正方向へX線検出器171の移動距離と同じ距離だけ移動させる(ステップSA7)。
システム制御回路30は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合(ステップSA6のNo)、トモシンセシス撮影を停止する。システム制御回路30は、トモシンセシス撮影を停止した後、再構成回路27に、トモシセンシス撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の部分ボリュームデータより1つのボリュームデータを生成する旨の要求を再構成回路27に通知し、ボリュームデータを生成する(ステップSA8)。
システム制御回路30は、ステップSA8にて生成したボリュームデータに基づいて、任意の断面を表すマンモグラフィ画像データを生成する(ステップSA9)。
最後に、システム制御回路30は、回転駆動ユニット20、X線管駆動ユニット21及びX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線管161、X線絞り器162及びX線検出器171を所定の位置へ移動させてトモシンセシス撮影を終了する(ステップSA10)。
(2)通常撮影の流れ
図9は、第1の実施形態に係る通常撮影機能302が制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
図9に示すように、システム制御回路30は、入力インタフェース回路18を介し、撮影者から通常撮影準備の指示の通知があるまで待機する(ステップSB1)。
システム制御回路30は、撮影者から通常撮影準備の指示の通知を受け付けた場合(ステップSB1のYes)、回転駆動ユニット20及びX線管駆動ユニット21を制御し、X線出力ユニット16及びX線検出器171を、通常撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる(ステップSB2)。
次に、システム制御回路30は、入力インタフェース回路18を介し、撮影者から通常撮影開始の指示の通知があるまで待機する(ステップSB3)。
システム制御回路30は、撮影者から通常撮影開始の指示の通知を受け付けた場合(ステップSB3のYes)、高電圧発生ユニット23及びデータ収集回路172を制御し、X線管161からX線検出器171に向けてX線を照射し、デジタルの計数信号を収集する。また、システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い投影データを生成する。システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する(ステップSB4)。
システム制御回路30は、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、複数のエネルギー帯域の各々についての計数値を所定の閾値と比較することでX線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する(ステップSB5)。
システム制御回路30は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合(ステップSB5のYes)、次のX線照射を行うためにX線管駆動ユニット21及びX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線管161、X線絞り器162及びX線検出器171をY軸の正方向へ移動させる(ステップSB6)。
システム制御回路30は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合(ステップSB5のNo)、通常撮影を停止する。システム制御回路30は、通常撮影を停止した後、通常撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の投影データを一つの投影データとして合成し、合成した投影データに対し散乱線補正処理を行いマンモグラフィ画像データを生成する旨の要求を、画像処理回路28に通知し、マンモグラフィ画像データを生成する(ステップSB7)。
最後に、システム制御回路30は、回転駆動ユニット20及びX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線管161、X線絞り器162及びX線検出器171を所定の位置へ移動させて通常撮影を終了する(ステップSB8)。
第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、Y軸と平行な1辺がX軸と平行な他の辺よりも短く、回転軸部121の回転中心軸Rに平行なY軸方向に移動可能に支持され、X線管161から出力され乳房Bを透過するX線を光子として検出するX線検出器171を具備する。システム制御回路30は、X線検出器171を所定の距離ずつY軸の正方向に移動させながら、X線照射及びデータ収集を行う。これにより、乳房Bを透過したX線のエネルギースペクトルを取得し、乳房Bを構成する物質情報を観察することができる。物質情報は、例えば乳腺組織と分離して腫瘤を判別することに利用され、病変の見落としの防止に役立つ。また、物質情報を利用することで、発見された腫瘤の良性悪性の鑑別ができるようになり、精密検査の要否の判断を正しく行うことができる。すなわち、過剰診断(本来不要な精密検査)を防止することに役立つ。過剰診断は、被検者に不要な苦痛を与える、個人及び社会の経済的な面で損失になるという点で好ましくない。また、被検者の苦痛を軽減することは、それ自身重要であり、苦痛を軽減することができれば、被検者の検診への抵抗感も軽減し、受診率向上に寄与する。
したがって、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、高い診断能を実現することが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、X線検出器171をY軸の正方向に所定の距離だけ移動させながら、X線管161及びX線絞り器162をX軸に沿う方向に移動させることで、トモシンセシス撮影を行うようにしている。これにより、システム制御回路30は、生成された部分ボリュームデータを組み合わせることで、断面についてのマンモグラフィ画像データを生成するための3次元のボリュームデータを生成することが可能となる。3次元のボリュームデータは、例えば石灰化の3次元分布を把握することに利用される。
また、第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、X線検出器171をY軸の正方向に所定の距離だけ移動させる毎に、X線管161及びX線絞り器162をX軸に沿う方向に所定の速度で時計回り又は反時計回りに角度2φ分だけ移動させながら一定時間間隔でX線照射を行い、角度2φ分のX線投影データを生成する。これにより、効率的にボリュームデータを生成することが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、回転軸部121を回転させることで、X線管161のX線検出器171に対するX線照射軸の角度を変化させ、X線管をX軸に沿う方向に移動する。これにより、X線検出器171の有効面の中心からX線管161の焦点fまでの距離を一定にした状態で、X線照射及びデータ収集を行うことが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、X線照射軸が常にX線検出器171の有効面の中心を通過するようにX線照射を行う。これにより、X線検出器171の有効面の中心付近に対して、常に同程度の強度のX線を照射することが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、X線検出器171のY軸の正方向への移動距離を、X線検出器171のY軸に沿う長さ以下にする。これにより、乳房B全体を表すマンモグラフィ画像データを欠損なく生成することが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、X線検出器171に照射した範囲のX線が乳房Bを透過したか否かを判定し、X線が乳房Bを透過しなかったと判定した場合は、所定の後処理を行った後、トモシンセシス撮影又は通常撮影を終了させる。これにより、効率的なトモシンセシス撮影及び通常撮影を行うことが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、システム制御回路30は、X線管161及びX線絞り器162をX線検出器171と同じタイミングでY軸の正方向に所定の距離だけ移動させる。これにより、X線検出器171に対するY軸方向のX線照射角度を一定とすることが可能となる。
[変形例]
第1の実施形態では、乳房全体をX線照射対象としてマンモグラフィ画像データを生成するケースについて説明した。変形例では、事前に乳房全体のうち検査すべき領域が特定できている場合に、検査したい領域(関心領域)のみをX線照射対象としてマンモグラフィ画像データを生成するケースについて説明する。
変形例におけるマンモグラフィ装置1が有する基台11、スタンド12、X線管アーム13、撮影台14、圧迫板15、X線出力ユニット16及びX線検出ユニット17、入力インタフェース回路18、昇降駆動ユニット19、回転駆動ユニット20、X線絞り器駆動ユニット22、高電圧発生ユニット23、X線検出器駆動ユニット24、表示回路25、前処理回路26、再構成回路27、画像処理回路28及びシステム制御回路30の構成及び機能は、第1の実施形態と同様である。
記憶回路29は、乳房全体のうち検査すべき領域に対応するX線管161、X線絞り器162及びX線検出器171の初期位置を示す情報を記憶する。また、記憶回路29は、乳房全体のうち検査すべき領域に対応するX線検出器171の移動回数を記憶する。
システム制御回路30は、図10(a)及び図10(b)に示されるように、記憶回路29に記憶されている乳房全体のうち検査すべき領域に対応する初期位置及び移動回数に基づいて、トモシンセシス撮影機能301を実行し、トモシンセシス撮影を行う。また、システム制御回路30は、図10(a)及び図10(b)に示されるように、記憶回路29に記憶された乳房全体のうち検査すべき領域に対応する初期位置及び移動回数に基づいて、通常撮影機能302を実行し、通常撮影を行う。
変形例によれば、システム制御回路30は、乳房全体のうち検査すべき領域のみに対し、トモシンセシス撮影又は通常撮影を行う。これにより、被検体に対する被ばく線量の低減することができる。また、検査時間を短縮(乳房圧迫時間の短縮)することができる。したがって、被検体に対する肉体的及び精神的な負担を軽減することが可能となる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、X線管駆動ユニット21によりX線管161をY軸の正方向に移動させてトモシンセシス撮影及び通常撮影を行うことについて説明したが、X線管駆動ユニット21は必ずしも必要ではない。第2の実施形態では、X線管駆動ユニット21を有しないケースについて説明する。
第2の実施形態に係るマンモグラフィ装置1Aの外観は、第1の実施形態と同様である。また、図11は、第2の実施形態に係るマンモグラフィ装置1Aの構成例を示すブロック図である。
マンモグラフィ装置1Aは、図11に示されるように、第1の実施形態のマンモグラフィ装置1と異なり、X線管駆動ユニット21を有しない。
基台11、スタンド12、X線管アーム13、撮影台14、圧迫板15、X線出力ユニット16及びX線検出ユニット17については、第1の実施形態と同様の構成及び機能を有する。
また、マンモグラフィ装置1Aは、図11に示されるように、入力インタフェース回路18、昇降駆動ユニット19、回転駆動ユニット20、X線絞り器駆動ユニット22A、高電圧発生ユニット23、X線検出器駆動ユニット24、表示回路25、前処理回路26、再構成回路27、画像処理回路28、記憶回路29及びシステム制御回路30Aを具備する。
入力インタフェース回路18、昇降駆動ユニット19及び回転駆動ユニット20、については、第1の実施形態と同様の構成及び機能を有する。
X線絞り器駆動ユニット22Aは、例えば不図示のギア及びステッピングモータを有する。X線絞り器駆動ユニット22Aは、X線出力ユニット16のX線絞り器162に接続される。X線絞り器駆動ユニット22Aは、X線検出器171のY軸の正方向への移動に合わせて、Y軸に沿う照射範囲を制御する。
高電圧発生ユニット23、X線検出器駆動ユニット24、表示回路25、前処理回路26、再構成回路27、画像処理回路28及び記憶回路29については、第1の実施形態と同様の構成及び機能を有する。
システム制御回路30Aは、例えばマンモグラフィ装置1Aの各構成回路を制御するプロセッサである。システム制御回路30Aは、マンモグラフィ装置1Aの中枢として機能する。システム制御回路30Aは、記憶回路29から各動作プログラムを呼び出し、呼び出したプログラムを実行することでトモシンセシス撮影機能301A、通常撮影機能302A及び基本制御機能303を実現する。
トモシンセシス撮影機能301Aは、入力インタフェース回路18を介し撮影者から受け付けたトモシンセシス撮影の指示に従い、トモシンセシス画像を生成する機能である。
第1の実施形態では、システム制御回路30は、トモシセンシス撮影中及び通常撮影中に、X線管161及びX線絞り器162をY軸の正方向へ移動させることで、X線検出器へ向かうX線のY軸に沿う照射方向を制御できることを説明した。これに対し、第2の実施形態では、システム制御回路30Aは、トモシセンシス撮影中及び通常撮影中に、X線管161及びX線絞り器162をY軸の正方向へ移動させず、X線絞り器162を制御することで、X線検出器へ向かうX線のY軸に沿う照射方向を制御する。
以下、図12を用いてトモシンセシス撮影の方法について説明する。図12は、トモシンセシス撮影におけるX線出力ユニット16及びX線検出器171の移動方法の一例を表す図である。
トモシンセシス撮影機能301Aでは、システム制御回路30Aは、撮影者からトモシンセシス撮影準備の指示を受け付けた場合、回転駆動ユニット20を制御し、X線出力ユニット16を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図12(a)に示すように、頭尾方向撮影(Cranti−Caudal:CC)の場合、支持面141の中心Oに対する垂線上で所定の距離離れた位置を基準として、反時計回りに所定の角度φ回転移動させた位置である。また、システム制御回路30Aは、X線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図12(a)に示すように、被検者の胸壁側に最も近い位置である。
また、システム制御回路30Aは、撮影者からトモシンセシス撮影開始の指示を受け付けた場合、図12(a)に示すように、回転駆動ユニット20及び高電圧発生ユニット23を制御し、X線管アーム13を初期位置から時計回りへ所定の速度で回転させることにより、X線管161及びX線絞り器162を移動させながら一定時間間隔でX線管161からX線検出器171に向けてX線を照射する。また、システム制御回路30Aは、X線絞り器駆動ユニット22を制御し、X線管161の位置に合わせて、X線検出器171の検出範囲に限定してX線が照射されるように、X線絞り器162の有する複数の絞り羽根をX線検出器171のX軸に沿う方向に開閉する。このとき、X線検出器171のY軸に沿う方向のX線照射範囲を制御するための複数の絞り羽根は、X線検出器171のみにX線が照射されるように照射方向が調整された状態で固定される。
また、システム制御回路30Aは、データ収集回路172を制御し、X線検出器171から出力された電化パルスに基づいてビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号を収集する。収集されたデジタルの計数信号は、各ビューに対応するX線検出器171の有効面の中心に対しX線がX線管161から照射される場合のX線照射角度、SID、視野サイズ等の撮影条件等の関連情報と関連付けされて前処理回路26に供給される。
システム制御回路30Aは、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い複数の投影データを生成する。システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する。
システム制御回路30Aは、回転駆動ユニット20を制御し、X線管161及びX線絞り器162を、X軸方向に沿って最終的に時計回りに所定の角度2φ分移動させる。システム制御回路30Aは、前処理回路26による角度2φ分の移動の間に収集されたビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号に対する前処理が完了すると、再構成回路27を制御し、複数の投影データに基づいて再構成処理を行う。
すなわち、システム制御回路30Aは、再構成回路27を制御し、角度2φ分の移動の間に前処理回路26により生成された複数の投影データを用いて部分ボリュームデータを再構成する。
また、システム制御回路30Aは、X線管161及びX線絞り器162がX軸の正方向へ例えば角度2φに対応する距離だけ移動した後、図12(b)に示すように、X線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ所定の距離だけ移動させる。このとき、X線検出器171の移動距離は、X線検出器171のY軸に沿う長さ以下になることが好適である。
システム制御回路30Aは、X線管161及びX線絞り器162のY軸の正方向への移動が終了すると、例えば図12(b)に示すように、回転駆動ユニット20及び高電圧発生ユニット23を制御し、X線管アーム13を反時計回りへ所定の速度で回転させることにより、X線管161及びX線絞り器162をX軸の負方向へ移動させながら一定時間間隔でX線管161からX線検出器171に向けてX線を照射する。また、システム制御回路30Aは、X線絞り器駆動ユニット22を制御し、X線管161の位置に合わせて、X線検出器171の検出範囲に限定してX線が照射されるように、X線絞り器162の有する複数の絞り羽根をX線検出器171のX軸に沿う方向に開閉する。このとき、X線検出器171のY軸に沿う方向のX線照射範囲を制御するための複数の絞り羽根は、X線検出器171のみにX線が照射されるように開閉され固定される。
また、システム制御回路30Aは、データ収集回路172を制御し、X線検出器171から出力された電化パルスに基づいてビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号を収集する。収集されたデジタルの計数信号は、各ビューに対応するX線検出器171の有効面の中心に対しX線がX線管161から照射される場合のX線照射角度、SID、視野サイズ等の関連情報と関連付けされて前処理回路26に供給される。
システム制御回路30Aは、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い複数の投影データを生成する。システム制御回路30Aは、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する。
システム制御回路30Aは、回転駆動ユニット20を制御し、X線管161及びX線絞り器162を、X軸方向に沿って最終的に反時計回りに角度2φ分移動させる。システム制御回路30Aは、前処理回路26による角度2φ分の移動の間に収集されたビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号に対する前処理が完了すると、再構成回路27を制御し、複数の投影データに基づいて再構成処理を行う。
すなわち、システム制御回路30Aは、再構成回路27を制御し、角度2φ分の移動の間に前処理回路26により生成された複数の投影データを用いて部分ボリュームデータを再構成する。
システム制御回路30Aは、X線検出器171のY軸の正方向への移動とX線管161及びX線絞り器162のX軸に沿う方向への移動を繰り返し制御ながら、トモシンセシス撮影を行う。
また、システム制御回路30Aは、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、ビュー毎の複数のエネルギー帯域の各々についての計数値を所定の閾値と比較することで、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する。すなわち、計数値が所定の閾値を超えた場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定し、計数値が所定の閾値以下の場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過しなかったと判定する。
システム制御回路30Aは、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合、トモシンセシス撮影を継続する。すなわち、システム制御回路30Aは、次のX線照射を行うためにX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ所定の距離だけ移動させる。
また、システム制御回路30Aは、図12(c)に示すように、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合、トモシンセシス撮影を停止する。なお、トモシンセシス撮影の終了は、X線検出器171のY軸の正方向への移動を所定の回数実施した場合をトリガとしてもよい。システム制御回路30Aは、トモシンセシス撮影を停止した後、再構成回路27に、トモシセンシス撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の部分ボリュームデータより1つのボリュームデータを生成する旨の要求を再構成回路27に通知する。
通常撮影機能302Aは、入力インタフェース回路18を介し撮影者から受け付けた通常撮影の指示に従い、マンモグラフィ画像データを生成する機能である。以下、図13を用いて通常撮影の方法について説明する。図13は、通常撮影におけるX線出力ユニット16及びX線検出器171の移動方法の一例を表す図である。
通常撮影機能302Aでは、システム制御回路30Aは、撮影者から通常撮影準備の指示を受け付けた場合、回転駆動ユニット20及びX線管駆動ユニット21を制御し、X線出力ユニット16を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図13(a)に示すように、X線検出器171の検出面の中心に対する垂線上で中心Oから所定の距離離れた位置である。また、システム制御回路30Aは、X線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171を、通常撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる。予め設定された初期位置は、例えば図13(a)に示すように、被検者の胸壁側に最も近い位置である。
また、システム制御回路30Aは、撮影者から通常撮影開始の指示を受け付けた場合、X線絞り器駆動ユニット22を制御し、X線管161の位置に合わせて、X線検出器171の検出範囲に限定してX線が照射されるように、X線絞り器162の有する複数の絞り羽根を開閉する。また、システム制御回路30Aは、X線管161及びX線絞り器162が初期位置に位置する状態で、高電圧発生ユニット23を制御し、X線管161からX線検出器171に向けてX線を照射する。システム制御回路30Aは、データ収集回路172を制御し、X線検出器171から出力された電化パルスに基づいて複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号を収集する。また、システム制御回路30Aは、データ収集回路172から供給されたデジタルの計数信号の前処理を行う旨の要求を前処理回路26に通知する。
システム制御回路30Aは、X線検出器171のY軸の正方向への移動を繰り返し制御ながら、通常撮影を行う。
また、システム制御回路30Aは、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、複数のエネルギー帯域の各々についての計数値を所定の閾値と比較することでX線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する。すなわち、計数値が所定の閾値を超えた場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定し、計数値が所定の閾値以下の場合は、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過しなかったと判定する。
また、システム制御回路30Aは、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合、通常撮影を継続する。すなわち、システム制御回路30Aは、次のX線照射を行うためにX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ所定の距離だけ移動させる。軸に沿う
また、システム制御回路30Aは、図13(c)に示すように、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合、通常撮影を終了する。なお、通常撮影の終了は、X線検出器171のY軸の正方向への移動を所定の回数実施した場合をトリガとしてもよい。システム制御回路30Aは、通常撮影を終了した後、通常撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の投影データに基づいて、マンモグラフィ画像データを生成する旨の要求を画像処理回路28に通知する。
基本制御機能303については、第1の実施形態と同様の機能である。
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
(1)トモシンセシス撮影の流れ
図14は、第2の実施形態に係るトモシンセシス撮影機能301Aが制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
図14に示すように、システム制御回路30Aは、入力インタフェース回路18を介し、撮影者からトモシンセシス撮影準備の指示の通知があるまで待機する(ステップSC1)。
システム制御回路30Aは、撮影者からトモシンセシス撮影準備の指示の通知を受け付けた場合(ステップSC1のYes)、回転駆動ユニット20及びX線管駆動ユニット21を制御し、X線出力ユニット16及びX線検出器171を、トモシンセシス撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる(ステップSC2)。
次に、システム制御回路30Aは、入力インタフェース回路18を介し、撮影者からトモシンセシス撮影開始の指示の通知があるまで待機する(ステップSC3)。
システム制御回路30Aは、撮影者からトモシンセシス撮影開始の指示の通知を受け付けた場合(ステップSC3のYes)、回転駆動ユニット20、高電圧発生ユニット23及びデータ収集回路172を制御し、X線管アーム13を時計回り又は反時計回りへ所定の速度で回転させることにより、X線管161及びX線絞り器162をX軸に沿う方向に移動させながら一定時間間隔でX線管161からX線検出器171に向けてX線を照射し、デジタルの計数信号を収集する。また、システム制御回路30Aは、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い複数の投影データを生成する。システム制御回路30Aは、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する(ステップSC4)。システム制御回路30Aは、回転駆動ユニット20を制御し、X線管161及びX線絞り器162を、X軸方向に沿って最終的に時計回り又は反時計回りに角度2φ分移動させる。
システム制御回路30Aは、前処理回路26による角度2φ分の移動の間に収集されたビュー毎の複数のエネルギー帯域各々のデジタルの計数信号に対する前処理が完了すると、再構成回路27を制御し、複数の投影データに基づいて再構成処理を行う(ステップSC5)。
すなわち、システム制御回路30Aは、再構成回路27を制御し、角度2φ分の移動の間に前処理回路26により生成されたX軸方向に沿ったX線照射角度の異なる複数の投影データを用いて、部分ボリュームデータを再構成する。
システム制御回路30Aは、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、ビュー毎の複数のエネルギー帯域の各々についての計数値が所定の閾値と比較することでX線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する(ステップSC6)。
システム制御回路30Aは、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合(ステップSC6のYes)、次のX線照射を行うためにX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ移動させる(ステップSC7)。
システム制御回路30Aは、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合(ステップSC6のNo)、トモシンセシス撮影を停止する。システム制御回路30Aは、トモシンセシス撮影を停止した後、再構成回路27に、トモシセンシス撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の部分ボリュームデータより1つのボリュームデータを生成する旨の要求を再構成回路27に通知し、ボリュームデータを生成する(ステップSC8)。
システム制御回路30は、ステップSC8にて生成したボリュームデータに基づいて、任意の断面を表すマンモグラフィ画像データを生成する(ステップSC9)。
最後に、システム制御回路30Aは、回転駆動ユニット20及びX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線管161、X線絞り器162及びX線検出器171を所定の位置へ移動させてトモシンセシス撮影を終了する(ステップSC10)。
(2)通常撮影の流れ
図15は、第2の実施形態に係る通常撮影機能302Aが制御する動作のフローチャートの一例を表す図である。
図15に示すように、システム制御回路30Aは、入力インタフェース回路18を介し、撮影者から通常撮影準備の指示の通知があるまで待機する(ステップSD1)。
システム制御回路30Aは、撮影者から通常撮影準備の指示の通知を受け付けた場合(ステップSD1のYes)、回転駆動ユニット20及びX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線出力ユニット16及びX線検出器171を、通常撮影を行うために予め設定された初期位置に移動させる(ステップSD2)。
次に、システム制御回路30Aは、入力インタフェース回路18を介し、撮影者から通常撮影開始の指示の通知があるまで待機する(ステップSD3)。
システム制御回路30Aは、撮影者から通常撮影開始の指示の通知を受け付けた場合(ステップSD3のYes)、高電圧発生ユニット23及びデータ収集回路172を制御し、X線管161からX線検出器171に向けてX線を照射し、デジタルの計数信号を収集する。また、システム制御回路30Aは、前処理回路26を制御し、データ収集回路172より供給されたデジタルの計数信号に対し、必要な前処理を行い投影データを生成する。システム制御回路30は、前処理回路26を制御し、生成した投影データを記憶回路29に記憶する(ステップSD4)。
システム制御回路30Aは、記憶回路29に記憶された投影データに含まれる、複数のエネルギー帯域の各々についての計数値が所定の閾値と比較することでX線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したか否かを判定する(ステップSD5)。
システム制御回路30Aは、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過したと判定した場合(ステップSD5のYes)、次のX線照射を行うためにX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線検出器171をY軸の正方向へ移動させる(ステップSD6)。
システム制御回路30Aは、X線検出器に照射した範囲のX線が乳房を透過していないと判定した場合(ステップSD5のNo)、通常撮影を停止する。システム制御回路30Aは、通常撮影を停止した後、通常撮影の間に記憶回路29に記憶された複数の投影データを一つの投影データとして合成し、合成した投影データに対し、散乱線補正処理を行いマンモグラフィ画像データを生成する旨の要求を、画像処理回路28に通知し、マンモグラフィ画像データを生成する(ステップSD7)。
最後に、システム制御回路30Aは、回転駆動ユニット20及びX線検出器駆動ユニット24を制御し、X線管161、X線絞り器162及びX線検出器171を所定の位置へ移動させて通常撮影を終了する(ステップSD8)。
第2の実施形態によれば、システム制御回路30Aは、Y軸と平行な1辺がX軸と平行な他の辺よりも短く、回転軸部121の回転中心軸Rに平行なY軸方向に移動可能に支持され、X線管161から出力され乳房Bを透過するX線を光子として検出するX線検出器171を具備する。システム制御回路30Aは、X線検出器171を所定の距離ずつY軸の正方向に移動させながら、X線照射及びデータ収集を行う。これにより、乳房Bを透過したX線のエネルギースペクトルを取得し、乳房Bを構成する物質情報を観察することができる。
したがって、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、高い診断能を実現することが可能となる。
また、第2の実施形態によれば、システム制御回路30Aは、X線検出器171をY軸の正方向に所定の距離だけ移動させながら、X線管161及びX線絞り器162をX軸に沿う方向に移動させることで、トモシンセシス撮影を行うようにしている。これにより、システム制御回路30Aは、生成された部分ボリュームデータを組み合わせることで、断面についてのマンモグラフィ画像データを生成するための3次元のボリュームデータを生成することが可能となる。
また、第2の実施形態によれば、システム制御回路30Aは、X線検出器171の移動に応じて、X線検出器171のY軸に沿う方向のX線照射範囲を制御するためのX線絞り器162の複数の絞り羽根は、X線検出器171のみにX線が照射されるように照射方向が調整される。これにより、X線管161及びX線絞り器162をY軸に沿う方向に移動させることなく、トモシンセシス撮影及び通常撮影を行うことが可能となる。
[他の実施形態]
また、第1の実施形態のトモシンセシス撮影機能301では、例えば図4及び図5に示されるように、システム制御回路30は、X線検出器171のY軸の正方向への1回の移動距離を短辺の長さ以下として、X線検出器171を1回移動させる毎に、X線管161及びX線絞り器162を所定の照射角度分X軸に沿う方向へ移動させ、移動中にX線照射を複数回行い、トモシンセシス画像生成用の複数のX線投影データを生成したが、これに限定されない。すなわち、システム制御回路30は、X線管161及びX線絞り器162のX軸に沿う方向への1回の移動距離を所定の角度分以下として、X線管161及びX線絞り器162をX軸に沿う方向へ1回移動させる毎に、X線検出器171を胸壁から乳頭までY軸の正方向へ移動させ、移動中にX線照射を複数回行い、トモシンセシス画像生成用の複数のX線投影データを生成してもよい。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態において、X線管161及びX線絞り器162の移動のうちX軸に沿う方向の移動における所定の速度は、例えばX線検出器171がY軸に沿う方向において乳房Bの乳頭側及び胸壁側付近に位置する場合は、比較的大きいことが好適である。また、所定の速度は、X線検出器171がY軸に沿う方向において乳房Bの中央付近に位置する場合は、比較的小さいことが好適である。
なお、第1の実施形態において、X線管駆動ユニット21は、システム制御回路30から指示されるX線管161の位置情報に従い、X線管161をY軸と平行な方向のみ移動させていたが、これに限定されない。すなわち、X線管駆動ユニット21は、システム制御回路30から指示されるX線管161の位置情報に従い、X線管161を所定の速度でX軸に沿う方向に移動させ、トモシンセシス撮影を行うようにしてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2及び図11における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として表示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。