以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中心を示す線CLが示されている。
<車両全体>
図1には、鞍乗り型電動車両の一例として、ユニットスイング式の自動二輪車1が示されている。自動二輪車1は、操向輪である前輪3と、駆動輪である後輪4と、を備えている。前輪3は、フロントフォーク6に支持され、バーハンドル2によって操向可能である。フロントフォーク6には、フロントフェンダ6aが支持されている。
後輪4は、スイングユニット10に支持され、電気モータ30によって駆動可能である。スイングユニット10は、電気モータ30と、電気モータ30の駆動力を減速して後輪車軸4aに伝達する減速機35と、を備えている。スイングユニット10の後端部には、フェンダ支持アーム40を介してリアフェンダ50が支持されている。フェンダ支持アーム40には、リアクッション7の下端部が連結されている。
バーハンドル2、フロントフォーク6及び前輪3を含むステアリング系部品は、車体フレーム11の前端部に操向可能に支持されている。スイングユニット10および後輪4は、車体フレーム11の下部に上下揺動可能に支持されている。車体フレーム11の周囲は、車体カバー5によって覆われている。車体フレーム11および車体カバー5は、自動二輪車1の車体(バネ上)の主要構成である。
図7を併せて参照し、自動二輪車1は、シート8に着座した運転者が足を載せる左右一対のステップフロア9と、左右ステップフロア9間で車両前後方向に延びるセンタートンネルCTと、センタートンネルCTおよび左右ステップフロア9の前方に連なるフロントボディFBと、センタートンネルCTおよび左右ステップフロア9の後方に連なるリアボディRBと、を備えている。
図3を併せて参照し、センタートンネルCTは、フロントボディFBの後方で、上面部CT1を後下がりに傾斜させて延びている。センタートンネルCTは、上面部CT1の後側を上方に向けて湾曲させて、リアボディRBに接続している。以下、センタートンネルCTの上面部CT1の後側の湾曲下端部を最低部CT2という。
最低部CT2は、前輪3の上端よりも上方に位置している。最低部CT2は、シート8(前シート8a)の下端部近傍に配置されている。側面視において、最低部CT2と前シート8aの下端部との間の上下方向の距離z1は、前シート8aの上下方向の厚さz2よりも小さい。フロア面9aから最低部CT2までの距離は、最低部CT2から前シート8aの上面までの距離よりも大きい。
自動二輪車1は、ステップフロア9にセンタートンネルCTを備えることで、乗員の足載せ位置に自由度を持たせながら、センタートンネルCTを左右の足で挟み込むことを可能とする。このため、乗員の足周りの快適性と車体のコントロール性とが確保される。センタートンネルCTは、自動二輪車1の低床部を構成している。センタートンネルCTの上方には、乗員が車体を跨ぎやすくする跨ぎ空間CT3が形成されている。
図1に戻り、フロントボディFBの前上部には、ヘッドランプを含むフロントコンビネーションランプ53、およびウインドスクリーン305が配置されている。リアボディRBの後部には、ブレーキランプを含むリアコンビネーションランプ54、およびグラブレール58が配置されている。リアボディRB上には、乗員が着座するシート8が支持されている。シート8は、運転者が着座する前シート8aおよび後部同乗者が着座する後シート8bを一体に有している。
シート8は、前端部下側が、車幅方向(左右方向)に沿うヒンジ軸を介して車体に連結されている。シート8は、前記ヒンジ軸を中心に上下に回動することで、リアボディRBの上部を開閉する。シート8がリアボディRBの上部を閉塞した閉状態(図1参照)になると、乗員がシート8に着座可能となる。シート8がリアボディRBの上部を開放した開状態になると、シート8下方の物品や空間にアクセス可能となる。シート8は、閉状態で施錠可能である。
<車体フレーム>
図8〜図10に示すように、車体フレーム11は、複数種の鋼材を溶接等により一体に接合して形成されている。車体フレーム11は、前端部に位置するヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から下方へ延びる左右一対のダウンフレーム14aと、左右ダウンフレーム14aの下端部から後方へ延びる左右一対のロアフレーム14bと、左右ロアフレーム14bの後端部から上後方へ延びる左右一対のリアフレーム14cと、左右ダウンフレーム14aの上方でヘッドパイプ12から下後方へ延びる左右一対のアッパーフレーム(メインフレーム)13と、左右ダウンフレーム14aの上下中間部から下後方へ延びる左右一対のミドルフレーム17と、左右アッパーフレーム13の前後中間部から上後方へ延びる左右一対のリアアッパーフレーム(シートフレーム)15と、左右リアフレーム14cの上下中間部から上後方へ延びる左右一対のリアロアフレーム(サポートフレーム)16と、を備えている。例えば、各フレーム部材は、丸鋼管で構成されている。本実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。
ダウンフレーム14aおよびロアフレーム14bは、前下屈曲部142を介して一体に連なっている。ロアフレーム14bおよびリアフレーム14cは、後下屈曲部144を介して一体に連なっている。ダウンフレーム14a、ロアフレーム14bおよびリアフレーム14cは、一体の丸鋼管で構成されている。ダウンフレーム14a、ロアフレーム14bおよびリアフレーム14cは、側面視U字状のアンダーフレーム14を構成している。以下、ダウンフレーム14a、アッパーフレーム13およびミドルフレーム17を含む部位を、ヘッドパイプ12から下後方に延びるダウンフレーム部18という。ダウンフレーム部18は、左右一対に設けられ、これら左右ダウンフレーム部18の間にPCU320(図2参照)等の制御系部品が配置されている。
リアフレーム14cの上端部は、リアアッパーフレーム15の前後中間部に下方から接続されている。リアアッパーフレーム15は、ダウンフレーム14a、ロアフレーム14bおよびリアフレーム14cと略同径の丸鋼管で構成されている。
アッパーフレーム13の下後端部は、後下屈曲部144に上前方から接続されている。ミドルフレーム17の下後端部は、ロアフレーム14bの後部に上方から接続されている。
リアロアフレーム16の上後端部は、リアアッパーフレーム15の後部に下方から接続されている。アッパーフレーム13、ミドルフレーム17およびリアロアフレーム16は、リアアッパーフレーム15等よりもやや小径の丸鋼管で構成されている。
ダウンフレーム14aは、ヘッドパイプ12から後方へ、側面視で下後方へ斜めに延びた後に屈曲し、概ね鉛直下方へ延びている。左右ダウンフレーム14aは、ヘッドパイプ12から後方へ、平面視で車幅方向外側へ斜めに延びた後に屈曲し、概ね車体側面と略平行に延びている。
左右ダウンフレーム14aの下部間には、前中段クロスフレーム147が設けられている。前中段クロスフレーム147は、車幅方向に沿う直線状をなして延び、左右ダウンフレーム14aに車幅方向内側から接続されている。左右前下屈曲部142の間には、前下クロスフレーム148が設けられている。前下クロスフレーム148は、下前方に凸の湾曲状をなして延び、左右前下屈曲部142に車幅方向内側から接続されている。前中段クロスフレーム147および前下クロスフレーム148は、ダウンフレーム14a等よりも小径の丸鋼管で構成されている。
ロアフレーム14bは、概ね車両前後方向に沿って延びている。左右ロアフレーム14bの間には、ロアクロスフレーム149が設けられている。ロアクロスフレーム149は、車幅方向に沿う直線状をなして延び、左右ロアフレーム14bに車幅方向内側から接続されている。ロアクロスフレーム149は、ロアフレーム14b等と略同径の丸鋼管で構成されている。左ロアフレーム14bにおける側面視でロアクロスフレーム149と重なる部位には、サイドスタンドブラケット149aが取り付けられている。
ロアフレーム14b後方の後下屈曲部144は、上方に位置するほど車幅方向外側に位置するように傾斜して形成されている。リアフレーム14cの下部は、後下屈曲部144の傾斜に合わせて、上方に位置するほど車幅方向外側に位置するように傾斜している。リアフレーム14cは、下部の上方で車幅方向内側へ緩やかに湾曲し、概ね車体側面と略平行に延びている。
リアアッパーフレーム15の前半部は、平面視で後方に位置するほど車幅方向外側に位置するように傾斜して延び、側面視では後上がりに傾斜して延びている。リアアッパーフレーム15の後半部は、前半部の後端で屈曲した後、平面視で後方に位置するほど車幅方向内側に位置するように傾斜して延び、側面視では前半部よりも傾斜を緩めて後上がりに延びている。
左右リアアッパーフレーム15の前部間には、センタークロスフレーム155が設けられている。センタークロスフレーム155は、上前方に凸の湾曲状(詳細にはコ字形状)をなして延びている。センタークロスフレーム155は、リアアッパーフレーム15等よりも小径の丸鋼管で構成されている。左右リアアッパーフレーム15の後端部間には、リアクロスフレーム156およびリアクロスプレート157が設けられている。
リアロアフレーム16は、側面視ではリアアッパーフレーム15の前半部と略平行に延び、左右リアアッパーフレーム15の後半部に下方から接続されている。左右リアロアフレーム16の後部間には、リアロアクロスフレーム159が設けられている。
アッパーフレーム13は、ヘッドパイプ12から後方へ、側面視では下後方へ直線状に延びている。アッパーフレーム13は、ヘッドパイプ12から後方へ、平面視では車幅方向外側へ斜めに延びた後に屈曲し、概ね車体側面と略平行に延びている。左右アッパーフレーム13は、平面視では左右ダウンフレーム14aよりも車幅方向内側に位置している。左右アッパーフレーム13の後部は、平面視で後方に位置するほど車幅方向外側に位置するように傾斜している。
ミドルフレーム17は、側面視では下後方へ直線状に延び、平面視では概ね車体側面と略平行に延びている。ミドルフレーム17は、平面視では車幅方向内側でロアフレーム14bとアッパーフレーム13との間に位置するように配置されている。
図中符号135はリアフレーム14cの下部に取り付けられて不図示のピリオンステップを支持するステップ支持ステー、符号139はリアクッション7の上端部を支持するクッション支持ブラケット、符号161はアッパーフレーム13の前上端部とダウンフレーム14aの前上端部とを連結する中間ガセット、符号162はヘッドパイプ12の下部後方で左右ダウンフレーム14aの前上部を連結するフロントガセット、符号163はアッパーフレーム13およびダウンフレーム14aの前部間を連結するアッパーガセット、符号164はアッパーフレーム13およびロアフレーム14bの後部間を連結するロアガセット、符号165はリアロアフレーム16の前端部とステップ支持ステー135とを連結するサイドガセット、符号166はリアアッパーフレーム15の前端部とアッパーフレーム13とを連結するミドルガセット、符号167はリアロアフレーム16の後端部とリアアッパーフレーム15とを連結するリアガセット、符号171はアンダーフレーム14の後下屈曲部144の下後方に沿って設けられてリンク機構19を連結可能とするロアブラケット、をそれぞれ示している。
<車体カバー>
図1、図4、図5に示すように、車体カバー5は、フロントコンビネーションランプ53の上方でフロントボディFBの上部を前方から覆うフロントカバー301と、フロントコンビネーションランプ53の下方かつ前輪3の後方でフロントボディFBの下部を前方から覆う凹状のフロントロアカバー302と、フロントボディFBの左右側部を外側方から覆う左右一対のフロントサイドカバー303と、フロントボディFBの上部を後方から覆うインナーカバー304と、を備えている。フロントカバー301の上部には、ウインドスクリーン305が前方から重なるように取り付けられている。フロントロアカバー302には、センタートンネルCT内に走行風W1を導く導風孔(導風部)315が形成されている。
車体カバー5は、左右ステップフロア9の上面(フロア面9a)を形成するとともにセンタートンネルCTの左右側部を外側方から覆う左右一対のフロアカバー306と、左右フロアカバー306の下方に連なりステップフロア9の下方部位を外側方から覆う左右一対のロアサイドカバー307と、左右ロアサイドカバー307の下端部間に渡り車体下面を下方から覆うアンダーカバー308と、を備えている。左右ロアサイドカバー307の後端部の間には、スイングユニット10の前部を揺動可能に挿通する開口が形成されている。この開口は、導風孔315からセンタートンネルCT内に導入された走行風W1をセンタートンネルCT外に排気する導風出口部309を構成している。
車体カバー5は、センタートンネルCTの上部を上方から覆うセンターカバー311と、リアボディRBの左右側部を外側方から覆う左右一対のリアサイドカバー312と、を備えている。左右リアサイドカバー312の後端部間には、リアコンビネーションランプ54およびグラブレール58が配置されている。ライセンスプレート55、ライセンスランプ56およびリフレクタ57は、リアフェンダ50に配置されている。センターカバー311は、センタートンネルCTの上面部CT1を形成している。
<スイングユニット>
図1、図2に示すように、スイングユニット10は、前端部がリンク機構19を介して車体フレーム11に上下揺動可能に支持されるスイングアーム20と、スイングアーム20の後部左側で駆動軸31を左右方向に沿わせて配置される電気モータ30と、電気モータ30の後方に連なる減速機35と、を一体に有している。
電気モータ30は、バッテリ100の電力により駆動する。電気モータ30は、例えばVVVF(variable voltage variable frequency)制御による可変速駆動がなされる。電気モータ30は、無段変速機を有する如く変速制御されるが、これに限らず、有段変速機を有する如く変速制御されてもよい。
電気モータ30は、後輪車軸4aに対して、車両前方へオフセットして配置されている。電気モータ30の駆動軸31は、後輪車軸4aに対して、車両前方へオフセットして配置されている。電気モータ30は、車両前後方向で概ね後輪車軸4aの軸心と後輪4のホイール4wの前端4w1との間に配置されている。電気モータ30は、側面視で概ね全体が、後輪4のホイール4wの外周(タイヤ内周)よりも内周側に配置されている。電気モータ30は、スイングアーム20の左アームの車幅方向外側に張り出して設けられている(図7参照)。
<バッテリ>
図2、図6、図7に示すように、バッテリ100は、シート8の下方に搭載されている。バッテリ100は、平面視でシート8(特に前シート8a)と重なるように配置されている。バッテリ100は、複数(例えば前後二つ)の単位バッテリ101,102で構成されている。複数の単位バッテリ101,102は、互いに同一構成とされている。以下、各単位バッテリ101,102をそれぞれ前バッテリ101、後バッテリ102という。前後バッテリ101,102は、それぞれ断面矩形状(例えば略正方形状)をなして長手方向に延びる角柱状(直方体状)をなしている。前後バッテリ101,102は、それぞれ断面形状の前後辺を左右方向に沿わせ、かつ左右側辺を前後方向に沿わせて配置されている。前後バッテリ101,102は、それぞれ長手方向を上方に位置するほど後方に位置するように傾斜させた起立姿勢で配置されている。前後バッテリ101,102は、互いに平行に傾斜し、前後面間に一定間隔を空けて配置されている。
バッテリ100は、前後バッテリ101,102を直列に結線することで、所定の高電圧(48〜72V)を発生させる。前後バッテリ101,102は、それぞれ充放電可能なエネルギーストレージとして、例えばリチウムイオンバッテリで構成されている。
図16を併せて参照し、前後バッテリ101,102は、ジャンクションボックス(分配器)323およびコンタクタ(電磁開閉器)324を介してPDU321に接続されている。PDU321からは三相ケーブル80が延び、この三相ケーブル80が電気モータ30に接続されている。
図2を参照し、前後バッテリ101,102は、それぞれ車体に固定された前後バッテリケース103,104に対して上方から挿脱される。前後バッテリケース103,104は、それぞれ上方に向けて開口するバッテリ挿脱口を有している。各バッテリ挿脱口の周囲には、それぞれケース内に挿入した前後バッテリ101,102の上方への離脱を規制するロック機構103a,104aが設けられている。前後バッテリ101,102は、それぞれバッテリ挿脱口からバッテリケース103,104内へ斜めにスライド移動し、バッテリケース103,104に出し入れ可能に収納される。前後バッテリ101,102は、それぞれバッテリケース103,104に対して斜めに挿脱されることで、バッテリ挿脱時の重量の一部がバッテリケース103,104の後壁部に支持される。前後バッテリ101,102は、シート8前端のヒンジ軸と反対側に傾斜することで、シート8を開けたときの出し入れを容易にしている。
前後バッテリ101,102の下端部には、それぞれバッテリ側接続端子(不図示)が設けられている。前後バッテリケース103,104の底壁部には、前記バッテリ側接続端子を着脱可能に接続するケース側接続端子(不図示)が設けられている。前記ケース側接続端子は、前記ロック機構103a,104aのロック操作前には、前後バッテリケース103,104の底壁部の下方に没入している。このとき、前後バッテリ101,102のバッテリケース103,104への挿脱は可能であるが、前後バッテリ101,102をバッテリケース103,104に挿入しただけでは、前記バッテリ側接続端子と前記ケース側接続端子とは接続されない。
前後バッテリ101,102をバッテリケース103,104に収納した後、前記ロック機構103a,104aをロック操作することで、前記ケース側接続端子がバッテリケース103,104の底壁部の上方に突出する。これにより、前記バッテリ側接続端子と前記ケース側接続端子とが接続される。前記ロック操作および端子接続は、前後バッテリ101,102毎に行うことが可能である。
前記ロック機構の操作および前後バッテリ101,102の挿脱は手動であり、前後バッテリ101,102は工具不要で車体に対して着脱される。前後バッテリ101,102は、シート8の開状態で車体に対して着脱可能である。前後バッテリ101,102は、シート8の開閉により車体に対して着脱可能な状態と着脱不能な状態とを切り替える。
前後バッテリ101,102は、車体に対して着脱可能なモバイルバッテリである。前後バッテリ101,102は、それぞれ車外の充電器で充電したり、モバイルバッテリとして外部機器の電源として利用する等、単独で用いることが可能である。
前後バッテリ101,102およびバッテリケース103,104の左右外側方には、車体フレーム11の左右一対のフレーム部材として、左右リアフレーム14c、左右リアアッパーフレーム15および左右リアロアフレーム16が配置されている。バッテリ100は、前記左右一対のフレーム部材に挟まれた空間(左右フレーム部材の左右方向内側)に配置されている。バッテリ100は、側面視において、左右フレーム部材と少なくとも一部が重なるように配置されている。これにより、バッテリ100に対する車幅方向外側からの外乱の影響が抑えられる。
図6、図7を参照し、バッテリ100は、電気モータ30よりも車両前後方向の前方に配置されている。バッテリ100は、平面視で電気モータ30と重ならないように配置されている。バッテリ100は、平面視で電気モータ30と前後方向位置をずらして(相互に離間して)配置されている。
前後バッテリ101,102は、互いに同一の左右方向位置に配置されている。前後バッテリ101,102は、それぞれ平面視で車体左右中心CLを左右に跨いで配置されている。例えば、前後バッテリ101,102は、左右中心を平面視で車体左右中心CLと一致させている。前後バッテリ101,102は、平面視で電気モータ30と左右方向位置をずらして(相互に離間して)配置されている。
<制御システム>
図16に示すように、PDU(Power Driver Unit)321およびECU(Electric Control Unit)322は、一体の制御ユニットであるPCU320を構成している。
バッテリ100からの電力は、メインスイッチ260と連動するコンタクタ324を介して、モータドライバたるPDU321に供給される。バッテリ100からの電力は、PDU321にて直流から三相交流に変換された後、三相交流モーターであるモーター30に供給される。
バッテリ100からの出力電圧は、DC−DCコンバータ326を介して降圧され、12Vのサブバッテリ327の充電に供される。サブバッテリ327は、灯火器等の一般電装部品、メーター261、スマートユニット221及びECU322等の制御系部品に電力を供給する。サブバッテリ327を搭載することで、バッテリ100(以下「メインバッテリ100」ともいう。)の取り外し時にも各種電磁ロック等を操作可能となる。
図示はしないが、PDU321は、トランジスタ等のスイッチング素子を複数用いたブリッジ回路及び平滑コンデンサ等を具備するインバータを備えている。PDU321は、モーター30のステータ巻線に対する通電を制御する。モーター30は、PDU321による制御に応じて力行運転を行い、車両を走行させる。
バッテリ100は、車体に搭載された状態で、外部電源に接続したチャージャー325によって充電される。バッテリ100(前後バッテリ101,102)は、車体から取り外した状態で、車外の充電器により充電することも可能である。
前後バッテリ101,102の各々は、充放電状況や温度等を監視するBMU(Battery Managing Unit)101a,102aを備える。各BMU101a,102aが監視した情報は、前後バッテリ101,102を車体に搭載した際にECU322に共有される。ECU322には、アクセルセンサ329からの出力要求情報が入力される。ECU322は、入力された出力要求情報に基づき、PDU321を介してモーター30を駆動制御する。
例えば、ECU322は、バッテリ100を制御することにより、バッテリ100の充放電を規制する。例えば、ECU322は、コンタクタ324およびリレー262を制御することにより、バッテリ100に対する電力の供給とバッテリ100からの放電を切り替える。
第一ダイオード271は、チャージャー325の高電位側端子325Pと、前バッテリ101の高電位側端子101Pとの間に流れる電流を整流する。例えば、第一ダイオード271は、チャージャー325の高電位側端子325Pから前バッテリ101の高電位側端子101Pに向かう方向に電流を流す。
第二ダイオード272は、チャージャー325の高電位側端子325Pと、後バッテリ102の高電位側端子102Pとの間に流れる電流を整流する。例えば、第二ダイオード272は、チャージャー325の高電位側端子325Pから後バッテリ102の高電位側端子102Pに向かう方向に電流を流す。
第一ダイオード271に流れる電流と、第二ダイオード272に流れる電流とは、互いに異なる。チャージャー325の高電位側端子325P、前バッテリ101の高電位側端子101P、および後バッテリ102の高電位側端子102Pのそれぞれの極性は、同じ極性である。例えば、チャージャー325の高電位側端子325P、前バッテリ101の高電位側端子101P、および後バッテリ102の高電位側端子102Pのそれぞれの極性は、正極である。
前バッテリ101に対応する第一ダイオード271と、後バッテリ102に対応する第二ダイオード272とは、下記の事象から各部を保護するように設けられている。
第一ダイオード271および第二ダイオード272が設けられていることにより、前バッテリ101の高電位側端子101Pおよび後バッテリ102の高電位側端子102Pのそれぞれから、チャージャー325の高電位側端子325Pに電流が逆流することを防止する。
第一ダイオード271が設けられていることにより、バッテリ100が直列に接続された場合に、前バッテリ101が短絡することを防止する。
前バッテリ101の高電位側端子101Pと後バッテリ102の高電位側端子102Pとを繋ぐ導体281と導体282とにおいて、第一ダイオード271および第二ダイオード272がそれぞれ逆向きに設けられていることにより、前バッテリ101および後バッテリ102の一方が短絡故障した場合に、他方の短絡を防止する。
コンタクタ324は、前バッテリ101の低電位側端子101Nと後バッテリ102の高電位側端子101Pとの間の接続を断続する。例えば、コンタクタ324は、導通状態において、前バッテリ101の低電位側端子101Nと後バッテリ102の高電位側端子102Pとの間を接続する。コンタクタ324は、導通状態でバッテリ100を直列に接続し、遮断状態でバッテリ100の直列の接続を解列する。コンタクタ324が遮断状態にある期間には、少なくともチャージャー325がバッテリ100に電力を供給する期間が含まれる。
リレー262は、前バッテリ101の低電位側端子101Nと後バッテリ102の低電位側端子102Nとの間の接続を断続する。例えば、リレー262は、導通状態において、前バッテリ101の低電位側端子101Nと後バッテリ102の低電位側端子102Nとの間を接続する。リレー262が導通状態にある期間には、少なくともチャージャー325がバッテリ100に電力を供給する期間が含まれる。
直列に接続されるバッテリ100の両端がPDU321に対してそれぞれ接続されている。コンタクタ324およびリレー262の状態の切り替えにより、バッテリ100内の前バッテリ101と後バッテリ102とが直列に接続され、又は、並列に接続される。コンタクタ324、リレー262、第一ダイオード271および第二ダイオード272は、接続切替手段の一例である。ダイオード271,272、リレー262、接続部(分岐点P1〜P4)はジャンクションボックス323に含まれる。
<電気回路の駆動系の接続構成の例>
電気回路の駆動系の各部は、第一導体281、第二導体282、第三導体283、第四導体284、第五導体285、第六導体286、第七導体287および第八導体288を含む導体(導線)により、下記の通り電気的に接続される。
第一導体281により、前バッテリ101の高電位側端子101Pとチャージャー325の高電位側端子325Pとが電気的に接続されている。第一導体281には、第一ダイオード271が介挿されている。例えば、第一ダイオード271のカソードが前バッテリ101の高電位側端子101Pに接続され、第一ダイオード271のアノードがチャージャー325の高電位側端子325Pに接続されている。第一ダイオード271のアノードからチャージャー325の高電位側端子325Pまでの間には、第一分岐点P1が設けられている。
第二導体282により、第一分岐点P1と後バッテリ102の高電位側端子102Pとが電気的に接続されている。第二導体282には、第二ダイオード272が介挿されている。例えば、第二ダイオード272のカソードが後バッテリ102の高電位側端子102Pに接続され、第二ダイオード272のアノードが第一分岐点P1を介してチャージャー325の高電位側端子325Pに接続されている。第二ダイオード272のカソードから後バッテリ102の高電位側端子102Pまでの間には、第二分岐点P2が設けられている。
第三導体283により、第二分岐点P2と前バッテリ101の低電位側端子101Nとが電気的に接続される。第三導体283には、コンタクタ324の接点が介挿されている。第三導体283には、第三分岐点P3が設けられている。第三分岐点P3の位置は、コンタクタ324から前バッテリ101の低電位側端子101Nまでの間にある。
第四導体284により、第三分岐点P3とチャージャー325の低電位側端子325Nとが電気的に接続される。第四導体284には、リレー262の接点が介挿されている。
第四導体284により、直列に接続された各バッテリのうち、より低電位側のバッテリ(後バッテリ102)の低電位側端子(102N)とチャージャー325の低電位側端子325Nとが電気的に接続されている。
第一ダイオード271のカソードから前バッテリ101の高電位側端子101Pまでの間には、第四分岐点P4が設けられている。
第五導体285により、第四分岐点P4とPDU321の高電位側端子とが電気的に接続される。
第六導体286により、第四分岐点P4とDC−DCコンバータ326の高電位側端子326Pとが電気的に接続される。
第七導体287により、PDU321の低電位側端子は、チャージャー325の低電位側端子325Nに接続される。
第八導体288により、DC−DCコンバータ326の低電位側端子326Nは、チャージャー325の低電位側端子325Nに接続される。
電気回路は、上記の駆動系の接続の他、図において破線で示す監視制御系の接続を含んでいてもよい。電気回路は、ECU322を備えていてもよい。
<電気回路の作用>
ECU322は、各BMU101a,102aからバッテリ100の状態を取得する。ECU322は、アクセルセンサ329等から利用者の操作を検出する。ECU322は、収集した情報に基づいて、コンタクタ324、リレー262およびPDU321を制御する。
例えば、チャージャー325からの電力でバッテリ100を充電する場合、ECU322は、コンタクタ324を遮断状態にし、リレー262を導通状態にする。前バッテリ101と後バッテリ102とが並列に接続された状態にある場合に、前バッテリ101と後バッテリ102とに対してチャージャー325からの電力が供給される。上記の制御状態にある場合、PDU321に対してチャージャー325からの電力が供給可能な状態になる。PDU321に対するチャージャー325からの電圧は、前バッテリ101の端子間にかかる電圧と同じである。
例えば、バッテリ100に蓄積された電力でPDU321を駆動する場合、ECU322は、コンタクタ324を導通状態にし、リレー262を遮断状態にする。前バッテリ101と後バッテリ102とが直列に接続された状態にある場合に、前バッテリ101と後バッテリ102とはPDU321に対して電力を供給する。上記の場合、第一ダイオード271は逆バイアスされている。前記逆バイアスにより、前バッテリ101の高電位側端子101Pの電圧(例えば96V)が、後バッテリ102の高電位側端子102Pと、チャージャー325の高電位側端子325Pとに印加されることはない。
<ABS>
PCU320には、ABS(Anti-lock Brake System)229が電気的に接続されている。ABS229は、急ブレーキ時などに駆動輪がロックした場合、ブレーキをかけているままでも自動的にブレーキの解除および作動を繰り返し、タイヤのグリップ力を回復させるとともに、車両の走行安定性を保つ機能を有する。ABS229は、車両の走行状態および停止状態を検出可能な車両状態検出部としても機能する。例えば、ABS229は、車輪速を検出可能な車輪速センサ(不図示)を備える。
<PCUの作用>
PCU320は、リッド開閉検出部225およびABS229の検出結果に基づいて、車両を制御する制御部としても機能する。
PCU320は、ABS229が車両の停止状態を検出し、かつ、リッド開閉検出部225がリッド313a(図1参照)の開状態を検出したとき、車両の走行を禁止する。
PCU320は、ABS229が車両の走行状態を検知し、かつ、リッド開閉検出部225がリッド313aの開状態を検出したとき、車両が停止した後に、車両の走行を禁止する。
ここで、車両の停止状態には、車両が完全に停止している状態のみならず、車両が実質的に停止している状態(車両が僅かに動いている状態)が含まれる。例えば、車両の速度をVとしたとき、車両の停止状態には、0km/h≦V≦5km/hの範囲の状態が含まれる。
<PCUのロック制御部としての作用>
自動二輪車は、車両のロックおよびアンロックを可能とするスマートシステム220(車両電子ロック)と、スマートシステム220を制御するロック制御部であるPCU320と、PCU320に電力を供給するサブバッテリ327と、を備える。
スマートシステム220は、リモートキー223(携帯機器)との認証によって車両のロックおよびアンロックを可能とする。
スマートシステム220は、PCU320に接続されるスマートユニット221と、スマートユニット221に接続されるアンテナ222と、スマートユニット221に接続されるロックノブ211(ハンドルロック部)と、スマートユニット221に接続されるシートスイッチ212(蓋ロック部)と、を備える。
スマートユニット221は、マイクロコンピュータを含む制御部である。
アンテナ222は、リモートキー223との通信を行うための送受信アンテナである。
ロックノブ211は、ハンドル2(図1参照)のロックおよびアンロックを可能とする。
シートスイッチ212は、バッテリ100を収納する収納蓋であるシート8(図1参照)のロックおよびアンロックを可能とする。
PCU320は、バッテリ100が車両から取り外された状態で、車両のアンロックを可能とする。PCU320は、リモートキー223との認証結果に基づいて、スマートユニット221を制御する。
図16に示すように、リモートキー223は、スマートユニット221と通信してID情報を送信する。例えば、リモートキー223には、無指向性での通信(送信および受信)を可能にするための複数のアンテナが接続された送受信回路(不図示)と、各種データを記憶するための記憶装置としてのEEPROM(不図示)と、リモートキー223の構成要素を制御するCPU(不図示)と、を備える。リモートキー223には、リモートキー223を駆動するためのリチウム電池等の電源が内蔵されている。
例えば、スマートシステム220は、リモートキー223の送受信回路がアクティブになっている状態で、リモートキー223を持って車両に設定された認証エリアに入ったときにシステム全体が動作する。スマートシステム220は、リモートキー223の送受信回路が停止状態であるときは動作しない。
例えば、リモートキー223を持って認証エリア外に出ているとき、スマートシステム220は初期状態にあり、各ロック装置は施錠されている。
<各種スイッチによる作用など>
図16を参照して、各種スイッチによる作用などを説明する。
例えば、メインスイッチ260をオンにすることで、スマートユニット221はサブバッテリ327によって給電される。
例えば、メインスイッチ260およびスタートスイッチ228をオンにすることで、サブバッテリ327は、DC−DCコンバータ326を通じてメインバッテリ100によって充電される。
メインスイッチ260がオンである場合、メインバッテリ100の有無にかかわらず、スマートユニット221はサブバッテリ327によって給電される。したがって、メインバッテリ100が無くてもサブバッテリ327によってスマートユニット221を作動させることができる。
メインスイッチ260がオンである場合、スマートユニット221は、DC−DCコンバータ326を通じてメインバッテリ100によって充電される。
PCU320は、リッドスイッチ213の状態を検出する。PCU320は、リッド313aの開閉状態に基づいて車両を制御する。
例えば、PCU320は、車両が走行前のときにリッド313aの開状態を検出した場合、アクセルセンサ329からの入力によらず、駆動力を発生させない制御を行う。
これにより、リッド313aが開いている状態で車両が走行を開始することを防止することができる。
例えば、PCU320は、車両が走行中にリッド313aの開状態を検出した場合、車速が実質的に0となるまではアクセルセンサ329に応じた駆動力を発生させる制御を行う。例えば、車速は、PCU320に接続されたABS229から得ることができる。
車速はABS229から得ることに限らず、GPS(Global Positioning System)または、その他の車速を検出する手段から得てもよい。
例えば、PCU320は、車速が実質的に0、または停車状態となった場合、アクセルセンサ329からの入力によらず、駆動力を発生させない制御を行う。
これにより、仮に走行中にリッド313a(図1参照)が開いてしまっても、安全な位置まで移動して停車したのち、リッド313aを閉じることができる。
メーター261には、リッド313a(図1参照)の開閉状態に応じて変化するLEDインジケータ(不図示)等の報知手段が設けられていてもよい。LEDインジケータを視認することにより、走行中でもリッド313a(図1参照)の開閉状態を確認することができる。
<制御系部品>
図2、図3、図6に示すように、PCU320は、ジャンクションボックス323、コンタクタ324及びチャージャー325とともに、センタートンネルCTの内側に配置されている。PCU320、ジャンクションボックス323、コンタクタ324およびチャージャー325は、車両前後方向における前後輪3,4間の中央位置CP(図2参照)よりも前方に配置されている。前後輪3,4間の中央位置CPよりも後方には、バッテリ100が配置されている。これにより、車両前後方向における制御系部品の重量バランスが良好になる。PCU320をサスペンションのバネ上に配置することで、例えばPCU320を電気モータ30とともにリアサスペンションのバネ下に配置する場合に比べて、バネ下重量が軽減される。
図11、図12を併せて参照し、PCU320は、上下厚さを抑えた偏平ボックス状の筐体332を備えている。筐体332は、例えばアルミ合金で形成されている。筐体332は、平面視矩形状をなし、前後辺を左右方向に沿わせるとともに左右側辺を前後方向に沿わせて配置されている。筐体332の上面には、車両前後方向に沿う複数の放熱フィン333が立設されている。PCU320は、筐体332の上面部をヒートシンクとしている。
PCU320は、ECU322を構成する制御基盤とPDU321を構成する高圧基盤とを、筐体332内で厚さ方向に重ねた二層構造とされている。高圧基盤は上層、制御基盤は下層を構成している。PDU321を上層にするので、PDU321を下層にする場合に比べて、PDU321に対する下方からの外乱の影響が抑えられる。
図13〜図15を併せて参照し、筐体332の右側面には、高圧基盤に三相ケーブル80を接続するための端子台331が設けられている。端子台331には、三相分の端子接続部331aが筐体332の前後方向に並んで設けられている。各端子接続部331aには、三相ケーブル80の一端の端子がボルト締結により接続されている。端子台331がPCU320の側面に設けられることで、三相ケーブル80の取り回し性および着脱作業性を向上している。PCU320の後端部には、コンタクタ324に至る出力ケーブル335aがコネクタ335を介して接続されている。
三相ケーブル80は、PCU320の右側方で一本に束ねられて集合ケーブルとなり、スイングユニット10の前端部近傍で車体を右側から左側へ斜めに横断する。三相ケーブル80は、スイングユニット10の左側を後方へ延び、他端が電気モータ30に接続されている。三相ケーブル80は、側面視で筐体332およびリブ331cと重ならないよう配置されている。
端子台331は、右ダウンフレーム部18よりも左右方向内側に配置されている。端子台331は、側面視において、フレーム部材に囲まれた領域R1内に配置されている。端子台331は、側面視において、フレーム部材を避けて配置されている。端子台331は、絶縁部材からなる台座331bを有している。台座331bは、複数の端子接続部331aの間を仕切るリブ(立壁)331cを有している。端子台331が側面視でフレーム部材に囲まれた領域R1内に配置されるので、車両側面からの衝撃で右ダウンフレーム部18が変形したとしても、フレーム部材が端子台331に接触し難くなる。
PCU320は、平面視で車体左右中心CLを左右に跨いで配置されている。PCU320の左右外側には、車体フレーム11の左右一対のフレーム部材として、左右ダウンフレーム14a、左右アッパーフレーム13および左右ミドルフレーム17(左右ダウンフレーム部18)が配置されている。PCU320は、前記左右一対のフレーム部材(ダウンフレーム部18)に挟まれた空間(左右ダウンフレーム部18の左右方向内側)に配置されている。PCU320は、側面視において、左右ダウンフレーム部18と少なくとも一部が重なるように配置されている。これにより、車両側面からの衝撃におけるPCU320への衝撃荷重入力が抑えられる。すなわち、車両側方からの外乱によるPCU320への影響が抑えられ、PCU320の保護性が高められる。
図7を参照し、PCU320は、バッテリ100よりも車両前後方向の前方に配置されている。PCU320は、平面視でバッテリ100および電気モータ30と重ならないように、相互に離間して配置されている。これにより、走行中の発熱部品であるPCU320、バッテリ100および電気モータ30が、車両前後方向で適宜分散して配置される。このため、PCU320、バッテリ100および電気モータ30の温度上昇が抑えられる。
図3を参照し、PCU320は、ロアフレーム14bよりも上方に配置されている。これにより、車体下部が車両下方の障害物等と接触しても、PCU320に対する下方(路面側)からの衝撃から、ロアフレーム14bによってPCU320を保護することができる。PCU320は、ステップフロア9のフロア面9aよりも上方に配置されている。これにより、PCU320の地上高をさらに稼いて被水を抑えている。
PCU320は、センタートンネルCTの最低部CT2よりも下方に配置されている。PCU320は、ヘッドパイプ12の下端部よりも下方に配置されている。PCU320は、側面視において、上下方向で前輪車軸3aの軸心とホイール3wの上端3w1との間の高さ範囲H1に配置されている。PCU320の配置高さの上限を設定することで、自動二輪車1の重心位置が高くなることが抑えられ、かつ三相ケーブル80の長さの増加も抑えられる。
PCU320は、側面視で前下がりに傾斜して配置されている。PCU320の前下端(最下端)T1は、前輪車軸3aと略同一の高さに位置している。PCU320の後上端(最上端)T2は、前輪3のホイール3wの上端3w1よりも下方に位置している。
図6、図7を参照し、自動二輪車1は、センタートンネルCTの上後方にシート8を備え、シート8の下後方に後輪4を備えている。PCU320は、平面視でセンタートンネルCTと重なり、バッテリ100は、平面視でシート8と重なるように配置されている。電気モータ30は、後輪4と前後方向位置をラップさせ、バッテリ100とは前後方向位置をずらすように配置されている。
これにより、走行中の発熱部品であるPCU320、バッテリ100および電気モータ30が、車両前後方向および上下方向で適宜分散して配置され、PCU320、バッテリ100および電気モータ30の相互の熱影響(温度上昇)が抑えられる。
PCU320の上面部には、フロントロアカバー302の導風孔315からセンタートンネルCT内に導入された走行風W1が供給される。車両前方に臨む導風孔315により、センタートンネルCT内に走行風W1が効率よく取り込まれる。これにより、センタートンネルCT内に走行中の発熱部品であるPCU320、ジャンクションボックス323およびコンタクタ324を配置しながら、これら発熱部品の冷却性が確保される。前記発熱部品をバッテリ100よりも前方に配置するので、走行風W1による前記発熱部品の冷却性が高まる。
図5を参照し、導風孔315は、前面視で前輪3を避けるように左右一対に設けられている。左右導風孔315の各々は、左右方向に延びるスリット状の開口316を上下に複数並べて形成されている。例えば、左側の導風孔315は、上下三段の開口316を有し、右側の導風孔315は、上下四段の開口316を有している。導風孔315は、前輪3の上端よりも下方に位置している。センタートンネルCT内に走行風を導入可能な構成であれば、導風孔315に代わり、切り欠きや間隙等の導風部であってもよい。
図3を参照し、フロントロアカバー302の裏面側(後面側)には、各開口316を通過した走行風W1を下向きに変化させるフード317が形成されている。PCU320は、フロントロアカバー302の後方で導風孔315よりも下方に配置されている。このPCU320の上面部(放熱フィン333)に対し、各開口316を通過しフード317により下向きに案内された走行風W1が供給される。図6中の網掛けで示す領域R2は、センタートンネルCT内における走行風W1を流す導風路領域を示す。導風路領域R2は、側面視において、導風孔315の上下端y1,y2と導風出口部309の上下端y3,y4とをそれぞれ結んだ線に挟まれた領域である。図中線L2は側面視で導風路領域R2を上下に二分する通路中央線を示す。
PCU320は、厚さ方向と直交する上面部を前下がりに傾斜させた姿勢で配置されている。これにより、導風孔315から導入された走行風W1が、PCU320における放熱フィン333を有する上面部に当たりやすくなり、PCU320の冷却性が高まる。
放熱フィン333の上縁を側面視で車両後方へ延ばした延長線L1は、バッテリ100と重なる。このため、放熱フィン333に沿って流れた走行風W1は、延長線L1上にあるバッテリ100に向けて流れ、バッテリ100の冷却にも供される。センタートンネルCTからバッテリ100周辺を流れた走行風W1は、リアボディRBの後下部(導風出口部309)から後輪4周辺に向けて排気される。
図4を参照し、左右導風孔315の左右方向外側の端部x1は、車両前後方向から見て、ダウンフレーム部18よりも左右方向外側に形成されている。これにより、左右導風孔315からセンタートンネルCT内に導入された走行風W1は、少なくとも一部がダウンフレーム部18の左右方向外側を通過して流れる。このため、センタートンネルCT内の空気の流速が向上し、スイングユニット10が効率よく冷却される。
また、左右導風孔315の左右方向内側の端部x2は、車両前後方向から見て、PCU320の左右方向外側の端部x3よりも左右方向内側に形成されている。これにより、左右導風孔315からセンタートンネルCT内に導入された走行風W1は、少なくとも一部がPCU320の左右方向外側の部位に直接的に当てられ、PCU320が効率よく冷却される。
図11〜図13を参照し、PCU320の上面部には、複数の放熱フィン333とともに、ジャンクションボックス323を締結するための締結ボス334が複数立設されている。ジャンクションボックス323は、平面視でPCU320よりも小形の矩形状をなし、前後辺を左右方向に沿わせるとともに左右側辺を前後方向に沿わせるように配置されている。このジャンクションボックス323の平面視の四隅に、PCU320に対する締結部323aが設けられている。ジャンクションボックス323は、各締結部323aを対応する締結ボス334に締結した状態で、PCU320の上方に間隔を空けて重なるように配置された状態で固定されている。
図3を参照し、車体フレーム11は、左右一対のフレーム部材を連結するクロスフレームとして、前中段クロスフレーム147、前下クロスフレーム148およびセンタークロスフレーム155を備えている。各クロスフレーム147,148,155は、平面視でPCU320の少なくとも一部と重なるように配置されている。前中段クロスフレーム147は、車両前後方向視でPCU320の少なくとも一部と重なるように配置されている。これら各クロスフレーム147,148,155により、PCU320に対する車両側方からの外乱がより強固に抑えられる。また、前中段クロスフレーム147により、PCU320に対する車両前方からの外乱が抑えられる。
自動二輪車1は、バッテリ100を車載状態で充電するためのチャージャー325を備えている。チャージャー325は、PCU320の下方に間隔を空けて重なるように配置されている。上面視において、チャージャー325とPCU320とは、互いに重なって配置されている。チャージャー325は、PCU320の筐体332よりも車幅方向で小さく(図12参照)、左右ダウンフレーム部18よりも車幅方向内側に配置されている。これにより、チャージャー325に対する外側方からの外乱の影響が抑えられる。
図12、図14を参照し、チャージャー325は、PCU320の下面にラック340を介して固定されている。PCU320には、ラック340を連結するための締結部334aが設けられている。PCU320、ジャンクションボックス323およびチャージャー325は、三層のサブアッセンブリとして車体に搭載される。前記サブアッセンブリにおいて、PCU320には、予め三相ケーブル80の一端が接続されている。前記サブアッセンブリを車体に搭載した後、三相ケーブル80の他端が電気モータ30に接続される。
自動二輪車1は、高圧線(出力ケーブル101b,102b等)を複数接続するジャンクションボックス323を備えている。ジャンクションボックス323は、PCU320の上方に間隔を空けて重なるように配置されている。上面視において、ジャンクションボックス323とPCU320とは、互いに重なって配置されている。ジャンクションボックス323は、PCU320の上面部の締結ボス334に固定されている。
図11を併せて参照し、ジャンクションボックス323の上面部には、複数の高圧線を接続するための端子台336が前後一対に設けられている。前後端子台336には、それぞれ複数の端子接続部336aが左右方向に並んで設けられている。前後端子台336の一方には、前後バッテリ101,102から延びる出力ケーブル101b,102bが接続され、前後端子台336の他方には、コンタクタ324に延びる出力ケーブル336b(図16参照)が接続されている。図示都合上、図11、図12では、ジャンクションボックス323に接続するケーブルの図示を略している。
前後端子台336ひいてはジャンクションボックス323は、PCU320の筐体332よりも車幅方向の全幅が小さく、左右ダウンフレーム部18よりも車幅方向内側に配置されている。ジャンクションボックス323は、PCU320の左右方向外側の端部x3(図4参照)よりも左右方向内側に配置されている。これにより、ジャンクションボックス323に対する外側方からの外乱の影響が抑えられる。
自動二輪車1は、高圧線をスイッチングさせるコンタクタ324を備えている。コンタクタ324は、PCU320の上方でジャンクションボックス323の後方に配置されている。コンタクタ324は、PCU320の筐体332よりも車幅方向で小さく、左右ダウンフレーム部18よりも車幅方向内側に配置されている。これにより、コンタクタ324に対する外側方からの外乱の影響が抑えられる。
コンタクタ324は、自動二輪車1の走行時には前後バッテリ101,102を直列に結線して電気モータ30側(PCU320)と接続し、バッテリ充電時には前後バッテリ101,102を並列に結線してチャージャー325側と接続する。コンタクタ324は、電磁開閉器の他、スイッチ式等の各種形式であってもよい。
コンタクタ324は、走行時には前後バッテリ101,102を直列に接続して高電圧を得ることを可能とする。コンタクタ324は、バッテリ充電時には走行時よりも大電流を流して急速充電を可能とする。このため、バッテリ充電時には、チャージャー325とともにジャンクションボックス323およびコンタクタ324の発熱量が大きくなる。
自動二輪車1では、チャージャー325とジャンクションボックス323およびコンタクタ324との間に、間隔を空けてPCU320を配置している。バッテリ充電中の発熱部品であるチャージャー325とジャンクションボックス323およびコンタクタ324とは、走行中の発熱部品であるPCU320を挟んで互いに離間している。これにより、バッテリ充電中の発熱部品同士の熱影響を抑えている。
図2、図3、図6を参照し、センタートンネルCT内でPCU320およびジャンクションボックス323の上方には、物品収納ボックス313が設けられている。物品収納ボックス313は、例えばチャージャー325と外部電源とを接続する充電コード(不図示)が収納されている。物品収納ボックス313は、上方に開放する容器形状をなし、上部開口をセンタートンネルCTの上面に沿うように配置している。センタートンネルCTの上面には、物品収納ボックス313の上部開口を開閉するリッド313aが設けられている。センタートンネルCTの上面にリッド313aを設けることで、運転者がシート8に着座した乗車姿勢でもリッド313aを開閉することが可能である。
<センタートンネルの周辺構造>
以下、物品収納ボックス313を、充電コード245を収納するコード収納部230とした例を説明する。
図20に示すように、センタートンネルCTには、接地面に対して後側ほど下方に位置するように傾斜するカバー傾斜面CSが設けられている。センタートンネルCTには、コード収納部230を開閉可能なリッド240が設けられている。リッド240は、センタートンネルCTの上部に配置されている。これにより、リッド240の開閉状態を視覚的に確認しやすい。加えて、リッド240の開閉操作を容易に行うことができる。
図20において、リッド240が閉状態であるときを実線、リッド240が開状態であるときを二点鎖線でそれぞれ示す。
リッド240が閉状態であるときに、カバー傾斜面CSは、リッド240の上面と実質的に面一に連なる。以下、カバー傾斜面CSの上部(前上部)に位置する部分を「傾斜面上部CS1」、カバー傾斜面CSの下部(後下部)に位置する部分を「傾斜面下部CS2」ともいう。傾斜面上部CS1は、上面部CT1(図3参照)の前端部に相当する。傾斜面下部CS2は、上面部CT1(図3参照)の後端部に相当する。傾斜面下部CS2は、最低部CT2(図3参照)を含む部分に相当する。
<リッド開閉検出部>
図21に示すように、センタートンネルCTには、リッド240の開閉状態を検出可能なリッド開閉検出部225が設けられている。リッド開閉検出部225は、傾斜面上部CS1の近傍に配置されている。例えば、リッド開閉検出部225は、接触式変位センサ225aを備える。
リッド開閉検出部225は、リッド240と車体カバー5との間に生じた隙間に基づいて、リッド240の開閉状態を判定する。ここで、隙間とは、充電コード245がリッド240と車体カバー5とに挟まれたときにリッド240と車体カバー5との間に生じる隙間を意味する。隙間の大きさは、充電コード245のうちリッド240と車体カバー5とに挟まれている部分の外径寸法と実質的に同じ大きさを有する。例えば、充電コード245がコード収納部230から外部に引き出されている状態(図25(b)、図25(c)参照)でリッド240が閉じられると、リッド240と車体カバー5との間には充電コード245の外径寸法に相当する隙間が生じる。
リッド開閉検出部225は、ヒンジアーム253の押し込み量に基づいて、隙間の大きさを判定する。図23は、接触式変位センサ225aがヒンジアーム253によって押されている状態を示す。図24は、接触式変位センサ225aがヒンジアーム253によって押されていない状態を示す。
リッド開閉検出部225は、隙間が充電コード245の最小外径寸法以上となったときに、リッド240が開状態であると判定する。
リッド開閉検出部225は、隙間が充電コード245の最小外径寸法未満となったときに、リッド240が閉状態であると判定する。
ここで、充電コード245の最小外径寸法とは、充電コード245の延在方向において充電コード245の外径寸法のうち最も小さい直径の寸法を意味する。充電コード245が保護チューブ等で保護される場合には、充電コード245の外径寸法には、保護チューブ等の厚みを含めた寸法が含まれる。
例えば、充電コード245は、カールコードであって、自由に変形可能である。充電コード245には、外部電源へ接続可能な接続プラグ246(図25参照)が設けられている。充電コード245は、チャージャー325(図3参照)と外部電源とを接続する。
例えば、充電コード245を螺旋状に巻回した状態(図25(a)参照)で、充電コード245をコード収納部230内に収納することが可能である。
例えば、充電コード245の一部を螺旋状に巻回した状態(図25(b)参照)で充電コード245をコード収納部230外へ引き出すことが可能である。
例えば、充電コード245の巻回を解除した状態(図25(c)参照)で、コード引出し部236から遠く離れた位置まで充電コード245を引き出すことが可能である。
<報知手段>
センタートンネルCTの内部には、リッド開閉検出部225の検出結果に基づいて、乗員に報知する報知手段226(図5参照)が設けられている。図5の前面視で、報知手段226は、車体左右中心線CLを挟んでホーン227とは反対側に配置されている。報知手段226は、車体左側に配置されている。例えば、報知手段226は、スピーカーである。
例えば、報知手段226は、リッド開閉検出部225がリッド240の開状態を検出したときに警報(第1の警報)を発する。例えば、報知手段226は、リッド開閉検出部225がリッド240の閉状態を検出したときに第1の警報とは異なる第2の警報を発する。報知手段226は、リッド開閉検出部225がリッド240の閉状態を検出したときに警報を発しなくてもよい。
<ヒンジ機構>
図21に示すように、センタートンネルCTには、リッド240を開閉可能とするヒンジ機構250が設けられている。ヒンジ機構250は、傾斜面上部CS1の近傍に配置されている。
ヒンジ機構250は、傾斜面上部CS1の下部に固定されたヒンジブラケット251と、車幅方向に延在し且つ端部がヒンジブラケット251に固定されたヒンジ軸252と、ヒンジ軸252に回動可能に取り付けられたヒンジアーム253と、を備える。
図21の断面視で、ヒンジアーム253は、ヒンジ軸252に回動可能に取り付けられたヒンジ軸支部253aと、ヒンジ軸支部253aから前下方に傾斜して直線状に延びるアーム前半部253bと、アーム前半部253bの下端に連なり、後下方に傾斜して延びるアーム中間部253cと、アーム中間部253cの後端に連なり、後上方に傾斜して延びるアーム後半部253dと、を備える。アーム後半部253dの後端には、リッド240の前下部241が連結されている。
リッド240の後下部242には、前下方に突出する前下方突出部243が設けられている。図21の断面視で、前下方突出部243は、後側ほど上方に位置するように傾斜する係止壁243aを備える。係止壁243aには、ロック機構255におけるフック258を挿通可能に前後に開口する係止孔243hが設けられている。
<ロック機構>
図21に示すように、センタートンネルCTには、リッド240をロック可能とするロック機構255が設けられている。ロック機構255は、傾斜面下部CS2の近傍に配置されている。
ロック機構255は、傾斜面下部CS2の下部に固定されたロックブラケット256と、車幅方向に延在し且つ端部がロックブラケット256に固定されたロック軸257と、ロック軸257に回動可能に取り付けられたフック258と、ロックブラケット256およびフック258に接続された付勢部材(不図示)と、フック258に接続されたリッドワイヤ(不図示)と、フック258を回動可能なアクチュエータ(不図示)と、を備える。
付勢部材(不図示)は、フック258が係止壁243aに係止されるように、フック258に対しロック軸257回りの矢印V1方向の付勢力を付与する。例えば、付勢部材は、コイルばねである。
アクチュエータ(不図示)は、フック258が係止壁243aから外れるように、不勢部材の付勢力に抗して、フック258に対し矢印V1方向とは反対方向の力を付与可能である。例えば、フック258とアクチュエータとの間には、ケーブル(不図示)が接続されている。アクチュエータは、不勢部材の付勢力に抗してケーブル(不図示)を牽引することによって、フック258の係合を解除することが可能である。
<コード収納部>
図21に示すように、センタートンネルCTには、充電コード245を収納可能なコード収納部230が設けられている。コード収納部230は、上方に開放する箱状をなしている。コード収納部230には、充電コード245以外の他の物品を収納可能である。例えば、コード収納部230内に充電コード245が収納されている状態で、コード収納部230内に他の物品を併せて収納することが可能である。
コード収納部230は、左右アッパーフレーム13、左右ダウンフレーム14a、左右ミドルフレーム17の間に配置されている。コード収納部230の上部は、左右アアッパーフレーム13の間に配置されている。コード収納部230の下部は、左右ダウンフレーム14a、左右ミドルフレーム17の間に配置されている。
コード収納部230は、ヒンジ機構250を収納可能なヒンジ収納部231と、ロック機構255を収納可能なロック収納部232と、ヒンジ収納部231とロック収納部232とを連結する左右一対の連結部233L,233Rと、充電コード245を収納可能なコード収納本体234と、を備える。
ヒンジ収納部231は、コード収納本体234の前上側に配置されている。ヒンジ収納部231は、傾斜面上部CS1の近傍に位置する。リッド240が閉状態であるときに、ヒンジ収納部231は、ヒンジ機構250の前方に位置するヒンジ前壁231aと、ヒンジ機構250の下方に位置するヒンジ下壁231bと、を備える。図21の断面視で、ヒンジ前壁231aは、前側ほど下方に位置するように傾斜して直線状に延びている。図21の断面視で、ヒンジ下壁231bは、ヒンジ前壁231aの下端に連なり、後側ほど上方に位置するように傾斜して直線状に延びている。
ロック収納部232は、コード収納本体234の後上側に配置されている。ロック収納部232は、傾斜面下部CS2の近傍に位置する。リッド240が閉状態であるときに、ロック収納部232は、ロック機構255の下方に位置するロック下壁232aを備える。図21の断面視で、ロック下壁232aは、ヒンジ前壁231aと略平行に前側ほど下方に位置するように傾斜した後、後下方に屈曲して延びるL字状をなしている。ロック収納部232には、ロック機構255におけるフック258の回動を許容するように前後に開口する開口部232hが設けられている。
左右連結部233L,233Rは、ヒンジ収納部231とロック収納部232との前後間をわたす。図21の断面視で、連結部233は、後側ほど下方に位置するように傾斜して延びている。
コード収納本体234は、コード収納部230の前後左右および底部のそれぞれに位置する壁部を備える。以下、コード収納部230において、前側に位置する壁部を「前壁部234a」、後側に位置する壁部を「後壁部234b」、左側に位置する壁部を「左壁部234cL」、右側に位置する壁部を「右壁部234cR」、底部に位置する壁部を「収納底部234d」ともいう。
図21の断面視で、前壁部234aは、ヒンジ下壁231bの前下端に結合される前壁上結合部234a1と、前壁上結合部234a1の下端に連なり、下方へ直線状に延びる前壁上半部234a2と、前壁上半部234a2の下端に連なり、前下方へ屈曲して延びる前壁中間部234a3と、前壁中間部234a3の下端に連なり、下方へ直線状に延びる前壁中間部234a4と、を備える。
図21の断面視で、後壁部234bは、ロック下壁232aの後下端に連なり、前側ほど下方に位置するように傾斜して延びる後壁上半部234b1と、後壁上半部234b1の下端に連なり、前上方に屈曲して延びる後壁中間部234b2と、後壁中間部234b2の前端に連なり、前側ほど下方に位置するように傾斜して直線状に延びる後壁下半部234b3と、を備える。
左右壁部234cL,234cRは、前後壁部234a,234bの左右端の前後間をそれぞれ渡す。図22の断面視で、左右壁部234cL,234cRは、前壁上結合部234a1(図21参照)に連なり、左右連結部233L,233Rの下端に結合される左右結合部234c1と、左右結合部234c1の車幅方向内端に連なり、下側ほど車幅方向内側に位置するように傾斜して直線状に延びる左右壁本体234c2と、を備える。
収納底部234dは、前後壁部234a,234b(図21参照)の下端の前後間および左右壁部234cL,234cRの下端の車幅方向間を渡す。図22の断面視で、収納底部234dは、左側ほど下方に位置するように傾斜して直線状に延びる底部本体234d1と、底部本体234d1の左端に連なり、下方に突出する下方突出部234d2と、を備える。
図21の断面視で、底部本体234d1は、前側ほど下方に位置するように傾斜して直線状に延びている。収納底部234dは、傾斜面上部CS1の側において最も深く形成されている。
図22に示すように、下方突出部234d2の下端には、上下に開口する水抜き孔234hが設けられている。
<プラグ固定部>
図21に示すように、コード収納部230には、接続プラグ246(図25参照)を固定可能とするプラグ固定部235が設けられている。プラグ固定部235は、傾斜面下部CS2の近傍に配置されている。プラグ固定部235は、後壁中間部234b2から前下方に突出するように設けられている。例えば、プラグ固定部235には、接続プラグ246を上方から差し込み可能な差込孔235hが設けられている。
<コード引出し部>
図21に示すように、コード収納部230には、充電コード245をコード収納部230の内部に引き出し可能とするコード引出し部236が設けられている。コード引出し部236は、コード収納部230の左壁部234cLを車幅方向に開口する孔である。
図21の断面視で、コード引出し部236は、後側ほど下方に位置するように直線状に傾斜する上辺を有する矩形状に形成されている。コード引出し部236の各辺の長さは、充電コード245の直径よりも大きい。上下方向において、コード引出し部236は、リッド240の後下部242と重なっている。コード引出し部236の上端236uは、プラグ固定部235よりも上方に位置する。コード引出し部236は、リッド240の下端243eよりも上方に配置されている。
コード収納部230の収納空間230sは、コード引出し部236の下方において最も下側に広がっている。収納空間230sは、コード引出し部236から引き出される充電コード245を、傾斜面上部CS1の上部近傍からコード収納部230の下部にかけて収納可能とする。
以上説明したように、上記実施形態における自動二輪車1は、車両走行用の電気モータ30と、電気モータ30へ電力を供給するバッテリ100と、電気モータ30を制御するPCU320と、乗員が着座するシート8と、シート8の前下方に位置し、シート8に着座した乗員が足を載せるステップフロア9と、ステップフロア9の左右中央部で車両前後方向に延びるセンタートンネルCTと、を備え、PCU320は、センタートンネルCTの内部に配置され、バッテリ100は、シート8の下方に配置され、パワーコントロールユニット320とバッテリ100とは、平面視で互いに重ならずに配置されている。
この構成によれば、センタートンネルCT内のPCU320とシート8下方のバッテリ100とが、平面視で互いに重ならないように、前後に分離して配置される。このため、発熱部品であるPCU320とバッテリ100とが、互いに熱影響を受けることを抑えることができる。また、PCU320とバッテリ100とが互いに離間すれば、発熱部品の間に冷却経路を確保しやすくなり、冷却性を向上させることができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図17を参照して説明する。
この実施形態の自動二輪車1Aは、前記第一実施形態に対して、チャージャー325を無くしてPCU320およびジャンクションボックス323を下方移動させ、第一実施形態よりも大型の物品収納ボックス313Aを備える点で特に異なる。その他の、第一実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
PCU320は、少なくとも端子台331がフロア面9aよりも上方に位置するように配置されている。端子台331は、例えば筐体332の上面部に配置されている。端子台331は、物品収納ボックス313Aの底壁部(壁部)313Awと対向する位置で、底壁部313Aw側を向くように配置されている。物品収納ボックス313Aの底壁部313Awにおける端子台331と対向する部位には、メンテナンスリッド318aを有する開口部318が形成されている。これにより、端子接続部331aが物品収納ボックス313Aの内側からアクセス可能となる。このため、PCU320の上方に物品収納ボックス313Aを配置しながら、PCU320のメンテナンス性を確保することができる。
物品収納ボックス313Aの底壁部313Awは、PCU320の上面部と協働して通風路s1を形成している。通風路s1は、導風孔315からセンタートンネルCT内に導入した走行風を整流して後方へ流すので、走行風の流速を高める。通風路s1にはPCU320の放熱フィン333が面しており、PCU320の冷却性を向上させる。
例えば、自動二輪車1Aは、前後バッテリ101,102の他、リザーブバッテリ319を備えてもよい。この場合、物品収納ボックス313Aの少なくとも一部に、リザーブバッテリ319を収納するバッテリ収納部319aが設けられてもよい。
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について、図18、図19を参照して説明する。
この実施形態の自動二輪車1Bは、前記第一実施形態に対して、チャージャー325を無くすとともにPCU320を縦置きにして車幅方向一側に配置し、第一実施形態よりも車幅方向他側に偏った大型の物品収納ボックス313Bを備える点で特に異なる。その他の、第一記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
PCU320は、筐体332の厚さ方向を左右方向に向けた起立姿勢で配置されている。PCU320は、車体左右中心CLに対して左側方にオフセットして配置されている。電気モータ30は、車体左右中心CLに対して右側方にオフセットして配置されている。PCU320は、車体左右中心CLに対して、左右方向で電気モータ30と反対側にオフセットして配置されている。
重量物であるPCU320が左右方向で電気モータ30と反対側にずれて配置されることで、自動二輪車1Bの左右の重量バランスを良好にしている。偏平な外形状のPCU320が、厚さ方向を左右方向に向けた縦置き姿勢で配置されることで、PCU320を左右方向でオフセットさせやすい。PCU320および電気モータ30の少なくとも一方が車体左右中心CLと重なるように配置されてもよい。
PCU320は、少なくとも端子台331がフロア面9aよりも上方に位置するように配置されている。端子台331は、例えば筐体332の上面部に配置されている。
例えば、第二実施形態と同様、端子台331を物品収納ボックス313Bの壁部と対向する位置に配置してもよい。また、PCU320と物品収納ボックス313Bの壁部とによって、導風孔315からセンタートンネルCT内に導入した走行風を流す通風路を形成してもよい。また、物品収納ボックス313Bにおける端子台331と対向する壁部にメンテナンス用の開口部を設けてもよい。また、物品収納ボックス313Bにリザーブバッテリを収納するバッテリ収納部を設けてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、バッテリの性能および車両の仕様等に応じて、単一のバッテリを搭載する車両に適用してもよい。ただし、航続距離を延ばすために、複数のバッテリを搭載することは有効である。また、少なくとも一つのバッテリをリザーブバッテリとしてもよい。また、使用するバッテリの数を切り替える制御を可能としてもよい。また、使用するバッテリの数を切り替えるスイッチ等の操作部を備えてもよい。また、車体下方は走行風の流速が高いことから、PCUの下面部に放熱フィンを設けてもよい。
自動二輪車への適用に限らず、本発明を適用する鞍乗り型電動車両は、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。また、前輪(操向輪)に走行用の電気モータを備える車両に適用してもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。