JP6850766B2 - 腐食量推定装置および腐食量推定方法 - Google Patents

腐食量推定装置および腐食量推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、地中に埋設された金属材料の腐食量を推定する技術に関する。
我々の生活を支えるインフラ設備は、高度経済成長期以降のおよそ20年間に大量にかつ急速に整備されてきた。そのため、2030年には建設後50年を経過する設備が全体の半数以上を占めることから、今後見込まれる老朽化設備はますます増加すると懸念されている。また、インフラ設備の維持管理を確実に遂行する上で不可欠である熟練技術者の就労人口が急速に減少しており、メンテナンスの許容量は減少の一途をたどっている。以上から、インフラの持続的維持が困難になると危惧されている。
この状況に対し、設備の劣化予測に基づく効率的なマネジメントへの転換が求められている。設備の劣化を予測することができれば、どの設備に対し、いつ、どういった措置を施すべきかを事前に判断することができるため、長期的かつ効率的な保全計画を策定することができる。
設備の劣化を予測・推定するには、統計的手法が一般的に用いられる。統計的手法は、膨大な設備の点検データから劣化過程の背後に存在する規則性をモデル化することを特徴としており、設備全体の平均的な劣化現象を把握することができる(非特許文献1)。
貝戸 清之, 杉崎 光一, 小林 潔司, "事前の主観的情報が劣化予測結果のベイズ更新に及ぼす影響", 土木学会, 構造工学論文集, Vol.53A, pp.775-783(2007) 辻野 文三, 沖 猛雄, "土壌中における鋼の腐食挙動とそのモニタリング", 表面技術, Vol.40, No.5, pp.707-708(1989) 山本 悟, 竹子 賢士郎, 高谷 哲, "コンクリート中鋼材の腐食速度測定方法(CIPE法)の開発", さび, 148号, pp. 2-8 (2015) 宮田 義一, 朝倉 祝治, "電気化学的手法を中心とした土壌腐食計測(その1)", 材料と環境, Vol. 46, pp.541-551 (1997)
しかしながら、上記統計的手法の問題点として、点検データ不足によって生じる予測精度の低下が挙げられる。統計的に有意な劣化予測結果を得るためには、数千から数万個の点検データが必要であると言われている。日々の点検によって点検データの蓄積が確保されている架空設備については、前記統計的手法を用いた劣化予測が効果的であるが、一方で、地中埋設設備は、直接視認することができないことから点検データを容易に得ることができず、統計解析に堪え得るデータの蓄積が成されていない場合がほとんどである。
地中埋設設備には、鋼材をはじめとする金属材料が極めて多く使用されており、水道およびガスのパイプライン、電力用ケーブル管路、地下タンク、使用済核燃料のオーバーパック材、鋼管柱、支線アンカ等が挙げられる。地中に埋設された金属材料は、土壌腐食によって劣化が進行する。土壌腐食は、金属材料が土壌と接する界面で錆を生じながら、金属部材の厚みが減る現象である。このため、地中埋設金属設備の劣化を予測するには、土壌腐食による腐食速度を把握することが効果的である。腐食速度は環境因子に依存しているため、腐食速度と環境因子との相関関係を求める必要がある。
しかしながら、大気中および水中と比較して、土壌中に存在する環境因子は多岐に渡ることから、両者の相関は未だに得られていない。このような状況において、土壌腐食の重要な因子として土壌中の水分率と空気率とを挙げた報告がある(非特許文献2)。この報告において、水分率および空気率に対する腐食速度の変化は記載されているものの、異なる土壌における腐食速度の変化挙動は明らかにされていない。地中埋設設備は、様々な土壌環境下に曝されるため、広範囲に存在する各土壌における腐食速度の変化挙動を捉えることができなければ、劣化の将来予測を実現することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、土壌に埋設された金属材料の腐食量を、容易に推定することを目的とする。
本発明は、金属材料の腐食量を推定する腐食量推定装置であって、複数の土壌サンプルの土壌の粒子径を測定し、土壌サンプル毎に土壌の粒子径分布を取得する土壌分析部と、土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルに埋設した前記金属材料を含む電極に対して、複数の土壌含水率での電気化学測定を行う腐食計測部と、土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルの土壌を前記粒子径分布を用いて複数種類に分類し、前記複数種類の分類割合を算出する土壌分類部と、土壌サンプル毎に、前記電気化学測定で得られた分極抵抗から土壌含水率毎の腐食速度を算出し、前記腐食速度が最大となる極大腐食速度を特定する腐食速度算出部と、土壌サンプル毎の前記分類割合と前記極大腐食速度とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定するための腐食推定曲線を生成する腐食推定曲線生成部と、前記金属材料が埋設された実土壌の分類割合を取得し、当該分類割合に対応する極大腐食速度を前記腐食推定曲線から取得し、当該極大腐食速度と、前記金属材料が前記実土壌に埋設された期間とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定する腐食量推定部とを備える。
本発明は、腐食量推定装置が行う、金属材料の腐食量を推定する腐食量推定方法であって、複数の土壌サンプルの土壌の粒子径を測定し、土壌サンプル毎に土壌の粒子径分布を取得する土壌分析ステップと、土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルに埋設した前記金属材料を含む電極に対して、複数の土壌含水率での電気化学測定を行う腐食計測ステップと、土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルの土壌を前記粒子径分布を用いて複数種類に分類し、前記複数種類の分類割合を算出する土壌分類ステップと、土壌サンプル毎に、前記電気化学測定で得られた分極抵抗から土壌含水率毎の腐食速度を算出し、前記腐食速度が最大となる極大腐食速度を特定する腐食速度算出ステップと、土壌サンプル毎の前記分類割合と前記極大腐食速度とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定するための腐食推定曲線を生成する腐食推定曲線生成ステップと、前記金属材料が埋設された実土壌の分類割合を取得し、当該分類割合に対応する極大腐食速度を前記腐食推定曲線から取得し、当該極大腐食速度と、前記金属材料が前記実土壌に埋設された期間とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定する腐食量推定ステップと、を行う。
本発明によれば、土壌に埋設された金属材料の腐食量を、容易に推定することができる。
本実施形態の埋設金属材料の腐食量推定装置の構成を示す機能ブロック図である。 腐食推定曲線を生成する処理の流れを示すフローチャートである。 粒子径測定部で得られる粒度分布曲線の一例を示す図である。 電気化学測定の測定結果(ナイキスト線図)の一例を示す図である。 電気化学測定の実施タイミングの一例を示す図である。 複数の土壌含水率における電気化学測定の測定結果(ナイキスト線図)の一例を示す図である。 1つの土壌サンプルの腐食速度曲線の一例を示す図である。 2つの土壌サンプルの腐食速度曲線の一例を示す図である。 粒度分布曲線から得られた砂の割合(分類割合)に対し、腐食速度曲線の極大腐食速度をプロットした腐食推定曲線の一例を示す図である。 腐食量の推定処理の流れを示すフローチャートである。 腐食量推定式の一例を示す図である。
土壌環境は、固相・液相・気相の三相が共存する複雑な環境である。固相は土壌粒子、液相は水、気相は空気であり、土壌全体をみたとき固相の割合は基本的に変化しない。従って、液相と気相の割合は競合関係にあり、液相あるいは気相のどちらかをモニタリングさえすれば、自ずと水分率および空気率の変化を捉えることができる。
本実施形態では、固相が占める割合を決定する因子を土壌粒子径と定義し、様々な土壌粒子径を有する土壌に対して、液相を記述する土壌含水率の変化に伴う腐食速度の挙動を求め、土壌粒子径と腐食速度との相関関係を取得する。これにより、本実施形態では、広範な土壌に対し、埋設金属材料の腐食量を簡便に推定する。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。複数の図面中同一のものには同じ参照符号を付与する。
図1は、本発明の実施の形態に係る粒子径分布を用いた埋設金属材料の腐食量推定装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。図1に示す粒子径分布を用いた埋設金属材料の腐食量推定装置(以降、腐食量推定装置)1は、土壌分析部10と、腐食計測部20と、指示判定部30と、制御部40と、腐食推定部50とを備える。
土壌分析部10は、複数の土壌サンプルを作製し、この複数の土壌サンプルの土壌の粒子径を測定し、土壌サンプル毎に粒子径分布(例えば、粒度分布曲線)を取得する。図示する土壌分析部10は、少なくとも1つの土壌ふるい部11と、少なくとも1つの粒子径測定部12とを備える。
土壌ふるい部11は、例えば複数の土壌ふるい機が積み重なることで構成され、上部から下部にかけて土壌ふるい機の網目が細かくなることが想定される。土壌ふるい部11は、外部から導入した土壌を、少なくとも1つのふるい機で異なる粒子径を含む土壌に分け、指示判定部30からの指示に基づいて、各ふるい機に残留した土壌を任意の割合で混合した土壌サンプルを作製する。なお、土壌ふるい部11は、指示判定部30の指示に従って、複数の土壌サンプルを作製する。
粒子径測定部12は、土壌ふるい部11が作製した各土壌サンプルについて、粒子径を測定し、土壌サンプルの粒子径分布を取得する。本実施形態では、粒子径分布として、後述する粒度分布曲線を用いることとするがこれに限定されない。
腐食計測部20は、土壌分析部10が作製した土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルに埋設した推定対象の金属材料を含む電極に対して、複数の土壌含水率での電気化学測定を行う。図示する腐食計測部20は、少なくとも1つの電極部21と、少なくとも1つの電気化学測定部22とを備える。
電極部21は、電気化学測定を実施するための電極と、土壌含水率を測定するための土壌水分センサーと、土壌サンプルに水を加える給水装置とを備える。電極部21の電極および土壌水分センサーは、粒子径測定部12での測定を終えた土壌サンプルに埋設される。電極部21の電極には、腐食量の推定対象の埋設金属材料と同様の材料の作用電極が含まれ、作用電極はサンプル土壌に埋設される。
電気化学測定部22は、電極部21が埋設された土壌サンプルに、当該土壌サンプルの土壌が飽和するのに十分な量の水を加え、飽和状態から土壌サンプルの土壌含水率を低下させながら、電気化学測定を行い、腐食速度を算出するための腐食抵抗(分極抵抗)を、複数の土壌含水率で測定する。
制御部40は、土壌分析部10が取得した粒子径分布、および、腐食計測部20が測定した測定結果(分極抵抗)を用いて、腐食量を推定するための腐食推定曲線を生成する。図示する制御部40は、土壌分類部41と、腐食速度算出部42と、腐食推定曲線生成部43とを備える。
土壌分類部41は、土壌サンプル毎に、粒子径測定部12が取得した粒子径分布(粒度分布曲線)を用いて、当該土壌サンプルの土壌を複数種類に分類し、複数種類の分類割合を算出する。具体的には、土壌分類部41は、予め設定した粒子径の各範囲にどの程度の割合で粒子が含まれているか、すなわち分類割合を算出し、算出結果をメモリ等の記憶部に記録する。
腐食速度算出部42は、土壌サンプル毎に、前記電気化学測定で得られた分極抵抗から土壌含水率毎の腐食速度を算出し、前記腐食速度が最大となる極大腐食速度を特定する。具体的には、腐食速度算出部42は、電気化学測定部22の測定結果である分極抵抗から土壌含水率毎の腐食速度を算出し、各土壌含水率における腐食速度をプロットすることで腐食速度曲線を生成する。そして、腐食速度算出部42は、腐食速度曲線を用いて、腐食速度が最大となる極大腐食速度を特定する。
腐食推定曲線生成部43は、土壌サンプル毎の分類割合と極大腐食速度とを用いて、埋設金属材料の腐食量を推定するため、分類割合と極大腐食速度との関係を示す腐食推定曲線を生成する。具体的には、腐食推定曲線生成部43は、複数の土壌サンプルの粒度分布曲線から得られた各々の分類割合に対し、腐食速度曲線における極大値(極大腐食速度)をプロットすることで腐食推定曲線を生成する。
腐食量推定部50は、推定対象の金属材料が埋設された実土壌の分類割合を取得し、当該分類割合に対応する極大腐食速度を、腐食推定曲線生成部43が生成した腐食推定曲線から取得し、当該極大腐食速度と、金属材料が実土壌に埋設された期間とを用いて、金属材料の腐食量を推定する。
次に、本実施形態の腐食量推定装置1の処理について説明する。
図2は、腐食量推定装置1の腐食推定曲線の生成処理の流れを示すフローチャートである。腐食量推定装置1は、複数のサンプル土壌を用いて腐食推定曲線を生成する。
なお、後述する腐食推定曲線上にプロットされる最大腐食速度は、1つの土壌サンプルにつき1点であるため、腐食量推定装置1は、腐食推定曲線を導くに足る数(少なくとも3つ)の複数の土壌サンプルを作製するものとする。土壌サンプルの数を多くすることで、より高い精度の腐食推定曲線を生成することができる。なお、ステップS101〜ステップS105は、土壌サンプル毎に行われる。
土壌ふるい部11は、複数のサンプル土壌を作製する(ステップS101)。具体的には、土壌ふるい部11は、外部から導入した土壌を、少なくとも1つのふるい機を用いて異なる粒子径を含む土壌に分類する。例えば、4個の土壌ふるい機を積み重ね、上部から土壌ふるい機の網目の粗さを1mm、500μm、50μm、500nmとした場合、1mmのふるい機上には1mm以上、500μmのふるい機上には500μm以上1mm以下、50μmのふるい機上には50μm以上500μm以下、500nmのふるい機上には500nm以上50μm以下の土壌粒子がそれぞれ残留し、500nm以下の土壌粒子は全てのふるい機を通過する。
ただし、土壌ふるい機の網目内部に土壌粒子が詰まる、ふるいにかける時間が不十分等の理由により、各ふるい機上に残留した土壌粒子の粒子径は、あくまで目安になるものであり、次のステップS102での厳密な粒子径測定が必要である。
土壌ふるい部11は、ふるい機により分類された複数の土壌(各ふるい機上に残留した土壌、および、全てのふるい機を通過した土壌)を用いて、複数のサンプル土壌を作製する。指示判定部30は、各サンプル土壌について、ふるい機により分類された複数の土壌を、それぞれどのような割合で抽出するかを、土壌ふるい部11に指示する。土壌ふるい部11は、指示判定部30の指示に従って、ふるい機により分類された複数の土壌から、指示された複数の土壌を指示された割合で抽出し、抽出した土壌をすべて混合して土壌サンプルを作製する。
粒子径測定部12は、作製された土壌サンプルの粒子径を測定し、土壌の粒子径分布を取得する(ステップS102)。ここでは、粒子径分布として粒度分布曲線を生成するものとする。粒子径測定の具体的な手法としては、例えばJIS A 1204:2009に記載の土の粒度試験方法を採用しても良いし、レーザー回折/散乱式粒度分析法を採用しても良い。
ただし、JISに記載の土の粒度試験方法では、75μm以上はふるい分析を、75μm未満は沈降分析を適用しなければならず、結果が得られるまで長時間を要することに加え、分析には500mL超の土壌サンプルを必要とする。これに対し、レーザー回折/散乱式粒度分析法では、測定に要する時間は数十秒と非常に短時間であることに加え、分析に必要な土壌サンプルは数mL用意できれば良い。以上から、ステップS102の粒子径測定には、レーザー回折/散乱式粒度分析法を適用することが好ましい。
なお、レーザー回折/散乱式粒度分析法では、土壌サンプルの粒子径分布範囲が広く、かつ、土壌サンプルの混合が不十分な場合、土壌のサンプリング方法によっては正しい結果が得られない可能性がある。そのため、土壌サンプルを十分に混合した上で複数の土壌サンプルを取得し、これらを平均化したものを最終的な測定結果とするのが好ましい。
図3に、粒子径測定部12が生成した、1つの土壌サンプルの粒度分布曲線の一例を示す。粒子径測定部12は、土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルにおいて測定した各粒子径に応じた質量の割合を示す粒度分布曲線分布を生成する。そして、粒子径測定部12は、土壌サンプル毎に生成した粒度分布曲線を、制御部40に送出する。
制御部40は、予め設定した粒子径の各範囲にどの程度の割合で粒子が含まれているか(以降、分類割合)を算出し、その結果をメモリ等の記憶部に記録する(ステップS103)。
分類割合における各分類の粒子径範囲および分類の数は任意に定めることができる。例えば、地盤工学会基準JGS 0051の地盤材料の工学的分類方法で基準化されている分類を使っても良い。実土壌のほとんどが2mm以下の土壌粒子で構成されていることから、本実施形態では、前記地盤材料の工学的分類方法に基づいて、75μm以上2mm以下を「砂」、5μm以上75μm以下を「シルト」、5μm以下を「粘土」と分類する。
そして、制御部40は、土壌サンプル毎に、粒子径測定部12が生成した粒度分布曲線を用いて、この3つの分類にそれぞれ含まれる割合を算出する。この場合「分類」は、粒子径によって区分される「砂」、「シルト」および「粘土」を指す。制御部40は、分類割合を図3に示す粒度分布曲線の縦軸である質量百分率から算出する。JGS 0051の分類方法を採用した場合、ある土壌サンプルの分類割合は、例えば、砂:40%、シルト:50%、粘土:10%と算出される。制御部40は、算出した分類割合を、土壌サンプル毎に記憶部に記憶する。
なお、各分類の割合をすべて合計した値が100%、あるいは限りなく100%に近くなるように、各分類の粒子径範囲を設定することが好ましい。
次に、土壌サンプル毎に行われる、腐食速度曲線の生成について説明する(ステップS104)。
電極部21が備える電極は、電気化学測定部22での電気化学測定手法によって構成が異なる。例えば、二電極法を用いる場合、電極数は2つとなり、作用電極と対極とで構成される。なお、作用電極と対極は、腐食量の推定対象の埋設金属材料と同じ材料を使用する。
三電極法を用いる場合、電極数は3つとなり、作用電極と対極と参照電極とで構成される。なお、作用電極は、腐食量の推定対象の埋設金属材料と同じ材料を使用し、対極は例えば一般的に用いられる白金、炭素など使用し、参照電極は例えば一般的に用いられる銀塩化銀電極、甘汞電極(カロメル電極)などを使用しても良い。
電極部21が備える給水装置は、電極が埋設された土壌サンプルに水を加えるための装置である。給水の形式は問わないが、水圧による土壌サンプルの乱れが少ないことが好ましい。
電気化学測定部22は、各土壌サンプルの腐食速度を算出するための電気化学測定を実施する。電気化学的に腐食速度を算出する場合、腐食進行に伴う反応抵抗(分極抵抗Rp)を測定する手法が一般的に用いられている(非特許文献2)。電気化学的手法として、例えば直流分極抵抗法、あるいは交流インピーダンス法を用いる。
直流分極抵抗法における測定は、自然電位を基準に金属表面を荒らさない範囲で、かつ得られる電流-電位特性から抵抗値の算出が可能な電位範囲で直流電位の掃引を実施する。例えば、電気化学測定において金属表面への影響が小さいと考えられている交流インピーダンス法における印加電位である±5 [mV]の電位範囲で実施しても良い。分極抵抗Rpは、得られた電流-電位特性の傾きから算出する。傾きの算出方法は、例えば最小二乗法を用いても良いし、外挿法を用いても良い。
交流インピーダンス法における測定は、高周波数から低周波数に向かって実施し、高周波領域及び低周波領域のそれぞれに円弧が出現する。
図4に、交流インピーダンス法で得られるナイキスト線図の一例を示す。分極抵抗Rpは低周波領域の円弧に由来すると考えられるため、低周波領域の円弧の開始点から終着点までの横軸(インピーダンス実部、 Z’ [Ω・cm2])の値から分極抵抗Rpを算出する。交流印加電位は、金属表面への影響が小さいと考えられている±5 [mV]で実施するのが好ましい。
なお、直流分極抵抗法で得られる分極抵抗Rpは、測定系全体の抵抗値が算出されるため、土壌サンプル中の測定において分極抵抗Rpに対して土壌抵抗の値が無視できないほど大きく現れる可能性が考えられる。一方で、交流インピーダンス法では、印加電位の周波数によって測定される抵抗値を分離することが可能である。例えば図4において、高周波領域の円弧は土壌に由来する抵抗を反映し、低周波領域の円弧は分極抵抗Rpのみを反映する。このため、交流インピーダンス法は、分極抵抗Rpのみを正確に求めることができる。以上より、電気化学測定部22は、交流インピーダンス法を採用して、サンプル土壌の電気化学測定を行うことが好ましい。
図5は、電気化学測定部22による、土壌サンプルの電気化学測定の実施タイミングの一例を示す図である。図示する電極部21は、サンプル土壌に3つの電極が埋設されている。
電気化学測定部22は、電極部21の土壌サンプルが飽和するのに十分な量の水が供給された状態から、徐々に土壌含水率θを低下させながら、指示判定部30から指示された複数の土壌含水率θ毎に電気化学測定を実施する。電極部21の給水装置(不図示)が、土壌サンプルが飽和するまでサンプル土壌に水を給水する。
図示する例では、土壌サンプルが飽和する土壌含水率θが50%であり、電極部21は、土壌サンプルの土壌含水率θを徐々に低下させる。電気化学測定部22は、例えば5%刻みで、50%、45%、40%等の時点で電気化学測定を実施する。測定する土壌含水率θの下限値は、実土壌で観測され得る最も低い値(図示する例では20%)を採用するのが好ましい。
電気化学測定部22は、指示判定部30からの指示に従って、所定の複数の土壌含水率θ毎に電気化学測定を実施してもよい。この場合、指示判定部30は、電極部21が備える土壌水分センサーが検知する土壌含水率θ(センサー値)を常時モニタリング(取得)し、土壌サンプルが所定の土壌含水率θ(例えば50%、45%、40%等)となった時点で、電気化学測定部22に測定指示を送信する。電気化学測定部22は、測定指示を受信する度に電気化学測定を実施する。
あるいは、電気化学測定部22は、自律的に所定の複数の土壌含水率θ毎に電気化学測定を実施してもよい。この場合、電気化学測定部22は、測定対象の複数の土壌含水率θを、指示判定部30からあらかじめ取得し、保持している。そして、電気化学測定部22は、電極部21の土壌水分センサーが検知する土壌含水率θを常時モニタリングし、土壌サンプルが所定の土壌含水率θとなった時点で電気化学測定を実施する。
なお、電気化学測定部22による測定タイミングは、指示判定部30の指示により、任意に変更することができる。なお、電気化学測定部22による測定は、土壌含水率θが所定の下限値に到達したこと指示判定部30または電気化学測定部22が検知するまで実行される。
図6に、複数の土壌含水率θにおいて、交流インピーダンス法の電気化学測定で得られたナイキスト線図の一例を示す。測定した土壌含水率θ毎に、ナイキスト線図が取得され、低周波領域の円弧に基づく分極抵抗Rpを取得することができる。
土壌含水率θを低下させる方法として、例えば電極部21の底面に数十μm径のフィルターを敷き、自然に水はけさせても良い。また、自然の水はけが非常に遅い土壌条件の場合は、電極部21に乾燥機を備え付け、土壌含水率θを低下させても良い。
土壌含水率θの値によっては、電気化学測定の開始から終了までの間に土壌含水率θが大幅に変化(低下)してしまう可能性が考えられる。そのため、腐食計測部20は、電気化学測定中に土壌含水率θが変動しないための機構を備えることが好ましい。例えば、測定中に電極部21の相対湿度を限りなく高い値に設定することで水分の蒸発を防いでも良いし、電極部21の底面に封止コックを取り付けることで水はけを防いでも良い。
電気化学測定部22は、各土壌含水率θで測定した分極抵抗Rpを含む測定結果を、制御部40に送出する。制御部40は、各土壌含水率θの分極抵抗Rpから次式に基づき腐食電流密度icorrを算出する。
Figure 0006850766
ここで、icorrは腐食電流密度[A/cm2]、Kは換算係数[V]、Rpは分極抵抗[Ω・cm2]を示す。換算係数Kは予め算出しておく。すなわち、換算係数Kは、アノード及びカソード分極曲線からターフェル(Tafel)勾配を導いて次式に基づいて算出される(非特許文献3)。
Figure 0006850766
ここで、βaはアノード勾配[V/decade]、βcはカソード勾配[V/decade]を示す。もしくは、ターフェル勾配を測定することなく、βa = βc = 0.1 [V/decade]と仮定し、換算係数Kを算出しても良い(非特許文献4)。
次に、制御部40は、次式に基づいて腐食速度rを算出する。
Figure 0006850766
ここで、rは腐食速度[cm/sec]、zはイオン価数、ρは密度[g/cm2]、Fはファラデー定数[C]、Mは原子量[g/mol]を示す。z(イオン価数)、ρ(密度)およびM(原子量)は、電極部21の作用電極で使用する材料ごとに決められた値が存在する。例えば、作用電極に鉄(Fe)を使用した場合、Z=2、ρ=7.8、M=55.8となる。前記算出した腐食速度r [cm/sec]に3.15×108を乗ずることで、単位を[mm/year]に変換する。
そして、制御部40は、横軸に土壌含水率θ、縦軸に腐食速度rをプロットすることで、異なる土壌粒子径を有する土壌サンプル毎の腐食速度曲線を取得する(ステップS104)。
図7に、1つの土壌サンプルの腐食速度曲線の一例を示す。腐食速度曲線は、ある特定の土壌含水率θで腐食速度が極大値Rを示す。特定の土壌含水率θで腐食速度が極大値Rを示す理由は、土壌腐食の支配因子として考えられる酸素の拡散と金属表面の濡れ面積とが、相対的に影響しているためである。以下に土壌腐食進行を記述する反応式(4)および式(5)を示す。
Fe→Fe2++2e- (4)
O2+2H2O+4e-→4OH- (5)
土壌腐食は酸化還元反応であることから、式(4)および式(5)が同時に進行することで反応が進む。式(5)によると、腐食反応には水と酸素が必要であることが分かる。すなわち、液相および気相が競合関係にある土壌環境においては、土壌含水率が高い条件では酸素が少なく、一方で酸素が豊富に含まれたとしても土壌含水率が低くなる。従って、水と酸素の両者がバランス良く存在する特定の土壌含水率条件下で、腐食速度は極大値Rを示す。また、前記特定の土壌含水率は、液相と気相とが占めることのできる割合に依存することから、固相の割合を決定する土壌粒子径と相関を示す。
次に、制御部40は、土壌サンプルごと、腐食速度曲線を用いて腐食速度の極大値、すなわち極大腐食速度Rを算出し、算出した極大腐食速度Rをメモリ等の記録部に記録する(ステップS105)。
制御部40は、例えば腐食速度曲線のフィッティングカーブから極大腐食速度Rを求める。図7に示すように、腐食速度曲線は上に凸の曲線であることから、例えばローレンツ型関数を用いたカーブフィッティングを適用することができる。以下にローレンツ型関数の数式一例を示す。
Figure 0006850766
ここで、hはピークの高さ、uはピークを示す土壌含水率θ、wは半値幅、bはバックグラウンドを示す。すなわち、極大腐食速度Rは以下の式で算出することができる。
Figure 0006850766
図8に、2つの土壌サンプルの腐食速度曲線と、当該腐食速度曲線のそれぞれの極大腐食速度R1、R2とを示す。
次に、制御部40は、様々な土壌粒子径を有する複数の土壌サンプルからそれぞれ取得した、粒度分布曲線から算出した分類割合と、腐食速度曲線から算出した極大腐食速度Rとを用いて、様々な土壌粒子径を有する実際の土壌に埋設された金属材料の腐食量を推定するための腐食推定曲線を生成する(ステップS106)。腐食推定曲線は、土壌の分類割合と、極大腐食速度Rとの関係を示す曲線である。
図9は、分類割合に砂を選択して生成した腐食推定曲線の一例を示す図である。腐食推定曲線は、各土壌サンプルについて、横軸に分類割合(図示する例では砂の分類割合)を、縦軸に極大腐食速度Rをプロットしたグラフである。図9の腐食推定曲線は、4つの土壌サンプルをプロットすることで生成されている。なお、腐食推定曲線を描くためには、最低3つの極大腐食速度Rをプロットする必要があるため、作製する土壌サンプルの必要数は、3以上である。なお、算出する極大腐食速度Rの数に比例して、生成される腐食推定曲線の精度が向上する。
前述の通り、腐食速度は土壌粒子径と相関関係を示すことから、任意に選択した分類割合に対して腐食速度は相関関係を示す。
例えば、分類Aおよび分類Bの2つの分類を設定した場合、AあるいはBどちらか一方の割合が分れば、自ずともう一方の割合も決まる。つまり、腐食推定曲線の横軸はAまたはBのどちらを選択しても良く、分類A vs. 極大腐食速度R、あるいは分類B vs. 極大腐食速度Rのどちらか一方の腐食推定曲線さえ取得すれば良い。すなわち、2つの分類の場合、取得すべき腐食推定曲線の必要数は、二次元の腐食推定曲線(図9参照)が1つである。
また、地盤材料の工学的分類方法における砂、シルトおよび粘土の3つの分類を設定した場合、1つの分類割合を固定した状態で残り2つの分類のうち一方を選択し、選択した分類割合において腐食速度Rをプロットすることで腐食推定曲線を生成しても良い。例えば、分類割合のうち粘土:0%と固定し、シルト vs. 極大腐食速度R、あるいは砂 vs. 極大腐食速度Rのどちらか一方の腐食推定曲線を初めに生成する。続いて、粘土:10%と固定し、前記と同様に腐食推定曲線を生成する。これを粘土:100%まで繰り返し、腐食推定曲線を繰り返し取得する。この場合、11個の腐食推定曲線が取得される。
粘土を固定し、シルト vs. 極大腐食速度Rの腐食推定曲線を繰り返し取得した場合、制御部40は、取得した複数の腐食推定曲線を用いて、粘土、 シルト、極大腐食速度Rを軸にとった三次元腐食推定曲線を生成する。また、粘土を固定し、砂 vs. 極大腐食速度Rの腐食推定曲線を繰り返し取得した場合は、粘土、 砂、極大腐食速度Rを軸にとった三次元腐食推定曲線を生成する。
なお、上述した例では、11個の二次元の腐食推定曲線から、三次元腐食推定曲線を生成することとしたが、これに限定されるものではない。三次元腐食曲線を描くためには、最低3つ二次元の腐食推定曲線が必要であるため、二次元の腐食推定曲線の必要数は、3以上である。なお、二次元の腐食推定曲線の数に比例して、生成される三次元腐食曲線の精度が向上する。
以上説明した図2の処理により、腐食量推定装置1は、複数のサンプル土壌を使用して、様々な土壌粒子径を有する実際の土壌に埋設された金属材料の腐食量を推定するための腐食推定曲線を生成する。
続いて、埋設金属材料の腐食量を推定する処理方法について説明する。
図10は、腐食量推定装置1による腐食量の推定処理の流れを示すフローチャートである。腐食量推定装置1は、腐食量の推定対象の埋設金属材料の付近に存在する土壌(以下、「実土壌」)を用いて、腐食量を推定する。
最初に、推定対象の埋設金属材料の付近の実土壌を採取し、土壌分析部10に導入する。その際、採取した実土壌は、土壌ふるい部11を経由することなく、粒子径測定部12に導入される。粒子径測定部12は、図2のステップS102と同様に、実土壌の粒子径測定を行い、粒度分布曲線を生成する(ステップS201)。粒子径測定部12は、生成した粒度分布曲線を制御部40に送出する。
制御部40は、図2のステップS103と同様に、実土壌の分類割合を算出する(ステップ202)。ここでは、図2のステップS103と同じ分類を使用する。なお、実土壌の粒子径分布が既知の場合、実土壌の採集およびステップS201、S202を省略してもよい。
腐食推定部50は、実土壌の分類割合、および、図2で生成された腐食推定曲線を用いて、極大腐食速度Rを取得する(ステップS203)。具体的には、2つの分類の場合、例えば図9に示すような二次元の腐食推定曲線が生成される。腐食推定部50は、図9の腐食推定曲線をカーブフィッティングにより「最大腐食速度R」と「砂の割合(砂%)」との関係式を導出し、当該関係式に実土壌の砂の割合を代入することで最大腐食速度Rを算出する。
3つの分類の場合、A,B(またはC)、極大腐食速度Rの三次元の腐食推定曲線が生成される。腐食推定部50は、腐食推定曲線をカーブフィッティングにより「最大腐食速度R」と、「Aの割合」および「Bの割合」との関係式を導出し、当該関係式に実土壌のAの割合およびBの割合を代入することで、最大腐食速度Rを算出する。
腐食推定部50は、算出した実土壌の極大腐食速度Rを用いた腐食推定式を取得する(ステップS204)。極大腐食速度Rを用いて腐食量を算出する方法として、腐食進展を予測する経験モデルとして知られる、べき乗則式(8)を、腐食推定式として使用しても良い。
Figure 0006850766
ここで、Dは腐食量[mm/year]、Tは埋設金属材料の経年[year]、nは材料の腐食性評価値を示す。ただし、nの値については経験的に0.4〜0.6と言われているため、その中間値である0.5を採用しても良い。なお、T(経年)は、埋設金属材料が実土壌に埋設された期間を示す。
図11に、式(8)の腐食推定式の腐食量Dを縦軸とし、経年Tを横軸としたグラフの一例を示す。
腐食推定部50は、腐食推定式に、腐食推定のパラメータとして入力または保持された経年Tを代入することで、埋設金属材料の腐食量を推定する(ステップS205)。腐食量推定装置1のユーザは、推定対象の埋設金属材料が埋められてから何年経過したかを、腐食推定部50に入力する。あるいは、腐食量推定装置1は、メモリ等の記憶部に推定対象の埋設金属材料の経年Tを保持しておいてもよい。
以上説明した本実施形態では、複数の土壌サンプルの粒子径分布と極大腐食速度とを用いて生成された腐食推定曲線を用いることで、埋設金属材料の腐食量の測定を実際に行うことなく、埋設金属材料の腐食量を簡便に推定することが可能となる。すなわち、本実施形態では、土壌中の水分率および空気率を決定する因子である土壌粒子径を用いることで、腐食量の測定を実際に行うことなく、埋設金属材料の腐食量を容易に推定することができる。
上記説明した腐食量推定装置1の制御部40および腐食推定部50には、例えば、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)と、メモリと、ストレージ(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置と、入力装置と、出力装置とを備える汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた制御部40および腐食推定部50用のプログラムを実行することにより、制御部40および腐食推定部50の各機能が実現される。また、制御部40および腐食推定部50用のプログラムは、HDD、SSD、USBメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、MOなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
1 :腐食量推定装置
10:土壌分析部
11:土壌ふるい部
12:粒子径測定部
20:腐食計測部
21:電極部
22:電気化学測定部
30:指示判定部
40:制御部
50:腐食推定部

Claims (4)

  1. 金属材料の腐食量を推定する腐食量推定装置であって、
    複数の土壌サンプルの土壌の粒子径を測定し、土壌サンプル毎に土壌の粒子径分布を取得する土壌分析部と、
    土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルに埋設した前記金属材料を含む電極に対して、複数の土壌含水率での電気化学測定を行う腐食計測部と、
    土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルの土壌を前記粒子径分布を用いて複数種類に分類し、前記複数種類の分類割合を算出する土壌分類部と、
    土壌サンプル毎に、前記電気化学測定で得られた分極抵抗から土壌含水率毎の腐食速度を算出し、前記腐食速度が最大となる極大腐食速度を特定する腐食速度算出部と、
    土壌サンプル毎の前記分類割合と前記極大腐食速度とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定するための腐食推定曲線を生成する腐食推定曲線生成部と、
    前記金属材料が埋設された実土壌の分類割合を取得し、当該分類割合に対応する極大腐食速度を前記腐食推定曲線から取得し、当該極大腐食速度と、前記金属材料が前記実土壌に埋設された期間とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定する腐食量推定部と
    を備えることを特徴とする腐食量推定装置。
  2. 請求項1に記載の腐食量推定装置であって、
    前記腐食計測部は、土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルが飽和するまで水を加えた状態から、前記土壌含水率を低下させながら前記複数の土壌含水率での電気化学測定を行うこと
    を特徴とする腐食量推定装置。
  3. 腐食量推定装置が行う、金属材料の腐食量を推定する腐食量推定方法であって、
    複数の土壌サンプルの土壌の粒子径を測定し、土壌サンプル毎に土壌の粒子径分布を取得する土壌分析ステップと、
    土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルに埋設した前記金属材料を含む電極に対して、複数の土壌含水率での電気化学測定を行う腐食計測ステップと、
    土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルの土壌を前記粒子径分布を用いて複数種類に分類し、前記複数種類の分類割合を算出する土壌分類ステップと、
    土壌サンプル毎に、前記電気化学測定で得られた分極抵抗から土壌含水率毎の腐食速度を算出し、前記腐食速度が最大となる極大腐食速度を特定する腐食速度算出ステップと、
    土壌サンプル毎の前記分類割合と前記極大腐食速度とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定するための腐食推定曲線を生成する腐食推定曲線生成ステップと、
    前記金属材料が埋設された実土壌の分類割合を取得し、当該分類割合に対応する極大腐食速度を前記腐食推定曲線から取得し、当該極大腐食速度と、前記金属材料が前記実土壌に埋設された期間とを用いて、前記金属材料の腐食量を推定する腐食量推定ステップと、
    を行うこと
    を特徴とする腐食量推定方法。
  4. 請求項3に記載の腐食量推定方法であって、
    前記腐食計測ステップは、土壌サンプル毎に、当該土壌サンプルが飽和するまで水を加えた状態から、前記土壌含水率を低下させながら前記複数の土壌含水率での電気化学測定を行うこと
    を特徴とする腐食量推定方法。
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