JP6850642B2 - 圧力センサ - Google Patents

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本発明は、流体の圧力、特にその静水圧を測定する圧力センサに関し、高圧ガス雰囲気、特に高圧水素ガス雰囲気中の圧力測定に好適な圧力センサに関する。
流体の圧力を測定する圧力センサとして、流体の圧力により歪を発生するダイアフラム(起歪体)と、歪み量を電気信号として検出する歪ゲージ(歪センサ)とを有するものが知られている(例えば、特許文献1)。また、歪ゲージを構成する材料としては、特許文献1に示されるシリコン薄膜や、Cu−Ni箔が知られている。
一方、近時、家庭用燃料電池の普及、燃料電池自動車の出現、およびそれにともなう水素ステーションの建設等、水素エネルギー社会の実現に向けた動きが加速しつつある。水素ガスは、数十から数百MPaといった高圧にして用いられることが多く、例えば自動車用途では、燃料として35MPa、70MPaの高圧まで圧縮した水素をボンベに充填して用いており、そのような高圧水素ガス雰囲気での圧力センサが求められている。
しかし、高圧水素ガス雰囲気では、水素の影響があるので、圧力センサに水素を原因とする特性の劣化や変動が生じるおそれがある。
これに対して、特許文献2では、水素ガスの影響を受けることなく安定した検出を行える歪ゲージ材料としてFeCr系合金箔(Fe−Cr−Al箔)を用いたものが記載されている。
特開2006−38540号公報 特開2008−64569号公報
ところで、特許文献1に示すように、圧力センサは、歪ゲージとダイアフラム等の起歪体を用いる必要があるため、水素ガス雰囲気で適用可能な特許文献2の歪ゲージを用いた圧力センサは高価なものとなる。また、特許文献2の歪ゲージのゲージ率は2.5程度であり、更なる高い感度が求められる。さらに、高圧水素ガスを収容する容器にダイアフラムのような薄い隔膜部分が存在すると、ダイアフラムが水素脆化により破壊されて水素が漏洩する危険性がある。
したがって、本発明は、高圧力下でも高感度で圧力を測定することができ、安価でかつ安全な圧力センサを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、Cr薄膜またはCr−N薄膜を用いることにより、起歪体を用いることなく、高圧力下であっても流体等の圧力を直接測定できることを見出した。また、Cr薄膜およびCr−N薄膜は、水素の影響を受けることなく、高圧水素ガス雰囲気中で圧力を測定することができることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜()を提供する。
(1)基板と、基板上に形成されたCr薄膜またはCr−N薄膜からなる受感部とを有し、起歪体を用いることなく、前記受感部の面直方向あるいは三次元等方的方向からの圧力による圧縮応力に基づく出力変化の値から前記受感部が受けた圧力を検出することを特徴とする圧力センサ。
2)水素ガスの圧力を測定することを特徴とする()に記載の圧力センサ。
)前記基板はセラミックスからなることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の圧力センサ。
)前記基板はジルコニアからなることを特徴とする()に記載の圧力センサ。
本発明によれば、基板上に形成された、Cr薄膜またはCr−N薄膜からなる受感部を用いるので高感度であり、かつ起歪体を用いることなく、受感部の面直方向あるいは三次元等方的方向からの圧力による圧縮応力に基づく出力変化の値から受感部が受けた圧力(流体の静水圧)を検出するので、構造が極めてシンプルであり、安価な圧力センサを実現することができる。また、シンプルな構造であることから超小型化も可能であり、また、ダイアフラム等を付ける必要がないので、設置場所の自由度が極めて高く、多数個配置することも可能で、多数個配置による圧力分布測定も可能である。
さらに、高圧力ガス雰囲気でも水素ガスの影響を受けずに圧力測定することができることから、高圧水素ガス雰囲気における圧力センサとして好適である。また、高圧水素ガス容器にダイアフラムのような薄肉構造を存在させる必要がなく安全性が高い。
本発明の一実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。 本発明の圧力センサを高圧ガス用の圧力センサとして用いた場合の概略構成を示す図である。 窒素環境試験(試験1)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験1)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験1)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験1)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 水素環境試験(試験1)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図である。 水素環境試験(試験1)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 水素環境試験(試験1)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図である。 水素環境試験(試験1)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 窒素環境試験および水素環境試験(試験1)におけるサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 窒素環境試験および水素環境試験(試験1)におけるサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)のガス圧と出力との関係を示す図である。 窒素環境試験および水素環境試験(試験1)におけるサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 窒素環境試験(試験1)におけるサンプルA〜Cの出力の経過時間による変化を比較した図およびその際の経過時間によるガス圧および温度の変化を示す図である。 水素環境試験(試験1)におけるサンプルA〜Cの出力の経過時間による変化を比較した図およびその際の経過時間によるガス圧および温度の変化を示す図である。 窒素環境試験(試験2)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験2)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験2)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験2)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験2)の際のサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 窒素環境試験(試験2)におけるサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 窒素環境試験(試験2)におけるサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)のガス圧と出力との関係を示す図である。 窒素環境試験(試験2)におけるサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 窒素環境試験(試験2)におけるサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 水素環境試験(試験2)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図である。 水素環境試験(試験2)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 水素環境試験(試験2)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図である。 水素環境試験(試験2)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 水素環境試験(試験2)の際のサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。 水素環境試験(試験2)におけるサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 水素環境試験(試験2)におけるサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)のガス圧と出力との関係を示す図である。 水素環境試験(試験2)におけるサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 水素環境試験(試験2)におけるサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。 窒素環境試験(試験2)におけるサンプルA〜Dの出力の経過時間による変化を比較した図である。 水素環境試験(試験2)におけるサンプルA〜Dの出力の経過時間による変化を比較した図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
ゲージ率が高い歪ゲージ材料としてCr薄膜が知られている(例えば特開昭61−256233号公報)。また、本発明者は、先に、ゲージ率が高く温度安定性が高い歪ゲージ材料としてCr−N薄膜が有効であることを見出し、特許出願している(特許第3642449号公報、特開2015−031633号公報)。
また、本発明者は、Cr薄膜またはCr−N薄膜は横感度も縦感度と同程度に大きく、感度に関して二次元的な等方性を有することから、測定のための電流が流れる方向である受感部の長手方向が歪印加方向と垂直をなす歪センサを提案した(特開2014−035239号公報)。Cr薄膜およびCr−N薄膜のこのような特性から、Cr薄膜およびCr−N薄膜の歪感度の起源は、さらに感度の大きなSiと同様のピエゾ抵抗効果であると推測した。そして、そのような推測に基づけば、Cr薄膜およびCr−N薄膜の歪特性は3次元的にも等方的であると考えられる。そうであれば、Cr薄膜およびCr−N薄膜は面直方向にも大きな感度を持つ可能性があり、起歪構造(起歪体)を用いることなく静水圧的な圧力を検知できる可能性がある。
そこで、基板上にCr−N薄膜を形成したサンプルを高圧ガス中に配置して試験した結果、起歪体が存在しないにもかかわらず、圧力に対して比較的大きく直線的に変化する出力を示すことが見出された。上述の通り、Cr薄膜もCr−N薄膜と同じ性質をもつことから同様の出力特性を示すことは明らかである。
本発明は、このような知見に基づいたものであり、基板上にCr薄膜またはCr−N薄膜からなる受感部を形成した極めてシンプルな構造の圧力センサであり、起歪体を用いることなく、Cr薄膜またはCr−N薄膜からなる受感部の面直方向あるいは三次元等方的方向からの圧力による圧縮応力に基づく出力変化の値から受感部が受けた圧力を直接検出する。
一方、Cr薄膜およびCr−N薄膜は、上述したようにゲージ率が高い歪ゲージ材料であるが、今まで水素ガス雰囲気での適用については検討されていなかった。そこで、Cr薄膜およびCr−N薄膜への水素への影響を調べた結果、Cr−N薄膜の歪特性は水素の影響をほぼ受けないことが確認された。また、高圧水素ガス雰囲気中でも劣化しないことが確認された。
このように、Cr薄膜およびCr−N薄膜は歪特性が水素の影響を受けず、高圧水素ガス雰囲気中でも劣化しないことから、本発明の圧力センサは、高圧水素ガス容器内の圧力測定に適している。
次に、本発明の一実施形態に係る圧力センサについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。
符号1は基板であり、その上にCr薄膜またはCr−N薄膜からなる受感部2が形成されている。
基板1は薄膜を保持するものであり、絶縁層を形成した金属、ポリイミド等の樹脂、またはセラミックスを用いることができる。高圧ガス雰囲気での使用を考慮すると、基板1としては、高圧ガス中でも変形のないもの、すなわち剛性が高い金属やセラミックスが好ましく、さらに高圧水素中では水素脆化のないセラミックス、例えばジルコニアが好ましい。セラミックスの場合、絶縁膜も不要となる。また、本発明の圧力センサは起歪構造を必要としないが、逆に、基板1の厚さ、構造、および設置方法を、歪みを誘起しないように選択することが好ましい。
受感部2を構成するCr薄膜またはCr−N薄膜は、連続膜に成膜可能でかつ分解能や感度を損なわない厚さであることが好ましい。
Cr薄膜は、Crと不可避不純物とからなり、15程度以上の大きなゲージ率を有する。また、Cr−N薄膜は、Cr、Nおよび不可避不純物からなり、5以上の大きなゲージ率が得られるとともに、抵抗温度係数(TCR)がほぼ0であるといった大きな利点がある。このような特性を得る観点から、Cr−N薄膜のNの含有量は、原子%で0.0001〜30%の範囲であることが好ましい。
受感部2を構成するCr薄膜またはCr−N薄膜を成膜する手法は特に限定されないが、Cr薄膜またはCr−N薄膜の形成が可能な合金を原料とした蒸着法、CrターゲットまたはCr−N薄膜の形成が可能な合金ターゲット、複合ターゲットまたは多元ターゲットを用いたスパッタリング法、Cr−N薄膜の場合は、窒素ガスを含む成膜雰囲気を用いた反応性スパッタリング法、上記薄膜の形成が可能な原料を用いた気相輸送法、もしくはめっきを含む液相法等により成膜することができる。また、このような薄膜を形成する際に、マスク法などを用いて所望の形状の薄膜を形成してもよいし、薄膜を形成した後、ドライエッチング(プラズマエッチング、スパッタエッチング等)、化学エッチング(腐食法)、リフトオフ法、レーザトリミング法などのエッチングまたはトリミング加工などを施すことにより所望の形状に加工してもよい。さらに、Cr薄膜またはCr−N薄膜は成膜したままで使用してもよいが、大気中、非酸化性ガス中、還元性ガス中または真空中で200℃以上1000℃以下の温度の加熱処理を行うことが好ましい。
本発明の圧力センサは、高圧ガスの圧力を測定するのに適している。良好な感度を得る観点から0.01MPa以上が好ましい。また、圧力の上限は明らかではないが、1000MPa程度の超高圧での圧力測定が期待される。
本発明の圧力センサを高圧ガス用の圧力センサとして用いる場合には、例えば図2のような構成とすることができる。すなわち、高圧ガス容器10に圧力容器用信号線導入端子(シーリンググランド)11を設け、高圧ガス容器10内の基板12に受感部を構成する2つのアクティブゲージ13を形成し、高圧ガス容器10の外の基板14に2つのダミーゲージ15を形成して、2アクティブ4ゲージブリッジ回路を形成する。これによりシングルアクティブの2倍の出力を得ることができる。この場合、ダイアフラムを用いる必要がないため、容器からの引き出し部分である圧力容器用信号線導入端子11を強固にすることができ、高圧ガス容器10を高圧水素ガス容器として用いる場合に、水素漏洩等の危険性を低くすることができる。また、基板12と基板14を一体とすると、薄膜素子製造をさらに容易にすることができる。一方、基板12と基板14を分割して自由な被覆金属配線で結ぶことにより基板12とゲージ13からなる受感部を容器10内の端子11から離れた任意の位置に設置することが可能であり、さらに、一つの端子11を介して複数の素子(受感部)を容器10内に設置することもできる。複数用意することで安全性をより高めることができる。
以上のような構成の圧力センサによれば、受感部を構成するCr薄膜またはCr−N薄膜の圧力に対する感度が大きく、ガス圧力によって薄膜にかかる圧縮応力に対応する出力を直接検出して流体の圧力を検出することができ、絶縁膜やダイアフラム等の起歪体を用いる必要がない。このため、構造が極めてシンプルで、安価な圧力センサを実現することができる。また、このようなシンプルな構造であるため、超小型化も可能であり、また、ダイアフラム等を付ける必要がないので、設置場所の自由度が極めて高く、多数個配置することも可能で、多数個配置による圧力分布測定も可能である。さらに、高圧力ガス雰囲気でも水素ガスの影響を受けずに圧力測定することができることから、高圧水素ガス雰囲気における圧力センサとして好適である。また、ダイアフラム等の起歪体を用いないことから、高圧水素ガス容器にダイアフラムのような薄肉構造を存在させる必要がなく安全性が高い。
なお、本発明は上記実施形態に限らず本発明の要旨の範囲内で種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、高圧ガス雰囲気、特に高圧水素ガス雰囲気の圧力測定に本発明を用いた場合を示したが、これに限らず、液体の圧力も測定可能である。また、Cr薄膜またはCr−N薄膜を起歪体(起歪構造)上に形成または構築し、歪が発生しない場合や歪量がわかる場合も圧力が測定可能であり、起歪体(起歪構造)が無い場合と同等になる。
以下、本発明の実施例について説明する。
[試料]
ここでは、12.5μm厚のポリイミドベース(基板)の上に、5.2μm厚のCuNi箔からなるゲージ材(受感部)が形成され、その上に12.5μm厚のカバーが形成された市販品の歪ゲージ(サンプルA)と、30μm厚のジルコニアベース(基板)の上に、0.5μm厚のCr−N薄膜からなるゲージ材(受感部)を形成したサンプル(サンプルB)と、25μm厚のポリイミドベース(基板)の上に、0.5μm厚のCr−N薄膜からなるゲージ材(受感部)を形成したサンプル(サンプルC)、特許文献2に基づく株式会社共和電業製の市販品の歪ゲージ(ポリイミドベース(厚さ不明)の上に、15μmのFeCr系合金箔からなるゲージ材(受感部)が形成されたもの)(サンプルD)を準備し、それらを30mm角の大きさで厚さ12mmのSUS316製の塊状の金属ブロック上に接着して試験体とした。
[窒素ガス環境試験]
窒素ガス環境試験は、サンプルA〜Cを接着した試験体を高圧ガス容器内に装入し、容器内に窒素ガスを導入して30minで60MPaまで圧力を上昇させ、6時間保持後、30minで圧力を大気圧に戻す試験1と、サンプルA〜Dを接着した試験体を高圧容器内に装入し、容器内に窒素ガスを導入して30minで60MPaまで圧力を上昇させ、24時間保持後、30minで圧力を大気圧に戻す試験2とを行った。
[水素ガス環境試験]
水素ガス環境試験は、サンプルA〜Cを接着した試験体を高圧ガス容器内に装入し、容器内に水素ガスを導入して30minで60MPaまで圧力を上昇させ、6時間保持後、30minで圧力を大気圧に戻す試験1と、サンプルA〜Dを接着した試験体を高圧容器内に装入し、容器内に水素ガスを導入して30minで60MPaまで圧力を上昇させ、24時間保持後、30minで圧力を大気圧に戻す試験2とを行った。
[結果]
図3は窒素環境試験(試験1)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図、図4は窒素環境試験(試験1)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図、図5は窒素環境試験(試験1)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図、図6は窒素環境試験(試験1)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。
また、図7は水素環境試験(試験1)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図、図8は水素環境試験(試験1)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図、図9は水素環境試験(試験1)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図、図10は水素環境試験(試験1)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。
さらに、図11は窒素環境試験(試験1)および水素環境試験(試験1)におけるサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図、図12は窒素環境試験(試験1)および水素環境試験(試験1)におけるサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)のガス圧と出力との関係を示す図、図13は窒素環境試験(試験1)および水素環境試験(試験1)におけるサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。図11〜13において、(a)が窒素環境試験(試験1)の結果であり、(b)が水素環境試験(試験1)の結果である。
なお、図14に窒素環境試験(試験1)におけるサンプルA〜Cの出力の経過時間による変化を比較して示し、図15に水素環境試験(試験1)におけるサンプルA〜Cの出力の経過時間による変化を比較して示す。
さらにまた、図16は窒素環境試験(試験2)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図、図17は窒素環境試験(試験2)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図、図18は窒素環境試験(試験2)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図、図19は窒素環境試験(試験2)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。図20は窒素環境試験(試験2)の際のサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。
さらにまた、図21は窒素環境試験(試験2)におけるサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図、図22は窒素環境試験(試験2)におけるサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)のガス圧と出力との関係を示す図、図23は窒素環境試験(試験2)におけるサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミドのガス圧と出力との関係を示す図、図24は窒素環境試験(試験2)におけるサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。
さらにまた、図25は水素環境試験(試験2)の際の容器内の経過時間による圧力変化を示す図、図26は水素環境試験(試験2)の際のサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図、図27は水素環境試験(試験2)の際のサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)の経過時間による出力変化を示す図、図28は水素環境試験(試験2)の際のサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図、図29は水素環境試験(試験2)の際のサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)の経過時間による出力変化を示す図である。
さらにまた、図30は水素環境試験(試験2)におけるサンプルA(CuNi箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図、図31は水素環境試験(試験2)におけるサンプルB(Cr−N薄膜/ジルコニア)のガス圧と出力との関係を示す図、図32は水素環境試験(試験2)におけるサンプルC(Cr−N薄膜/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図、図33は水素環境試験(試験2)におけるサンプルD(FeCr系合金箔/ポリイミド)のガス圧と出力との関係を示す図である。
なお、図34に窒素環境試験(試験2)におけるサンプルA〜Dの出力の経過時間による変化を比較して示し、図35に水素環境試験(試験2)におけるサンプルA〜Dの出力の経過時間による変化を比較して示す。
これらの試験においては、各サンプルに形成されたブリッジ回路に2Vの電圧を印加し、各サンプルの抵抗変化にともなって生じる電圧(e)の変化を指示歪値ε(ε[kμε]=2e[mV/V])で表し、出力として示した。
図4〜6および図7〜10に示すように、窒素環境試験(試験1)および水素環境試験(試験1)において、Cr−N薄膜を用いたサンプルB、Cは、CuNi箔を用いたサンプルAに比較して極めて高い出力が得られることが確認された。そのことは、これらの結果をまとめた図14および図15に明確に示されている。また、図11〜図13は窒素環境試験(試験1)および水素環境試験(試験1)におけるガス圧と出力の関係を示すものであり、いずれの図も、手動で圧力上昇させたため直線的に圧力を上昇させることが難しくばらつきがみられるが、圧力を下げる際にはガスを抜くだけであるからリニアに圧力が変化し、出力は線形となっている。これらの中でCr−N薄膜を用いたサンプルB、Cは、窒素環境および水素環境にかかわらず、圧力変化に対し直線性を示しており、特に、ジルコニア基板を用いたBは極めて高い直線性を示すことが確認された。これに対し、CuNi箔を用いたサンプルAは、高圧水素の影響により出力が大きく変動することが確認された。また、ポリイミド基板を用いたサンプルA、Cは、高圧保持時に基板の変形と思われる出力変化が生じたが、ジルコニア基板を用いたサンプルBではそのような出力変化が見られなかった。
図26〜29に示す24時間の水素環境試験(試験2)の時間と出力の関係を、図17〜20に示す24時間の窒素環境試験(試験2)の時間と出力の関係と比較すると、Cr−N薄膜を用いたサンプルB、Cは、CuNi箔を用いたサンプルA、FeCr系合金箔を用いたサンプルDに比較して極めて高い出力が得られることが確認された。そのことは、これらの結果をまとめた図34および図35に明確に示されている。また、Cr−N薄膜を用いたサンプルB、Cは、水素環境の影響を受けていないが、CuNi箔を用いたサンプルAは、高圧水素の影響により出力が大きく変動することが確認された(例えば図26のF)。また、ポリイミド基板を用いたサンプルA、Cは、高圧保持時に基板の変形と思われる出力変化が生じたが(例えば図26のE、図28のG)、ジルコニア基板を用いたサンプルBではそのような出力変化が見られなかった。
図21〜24に示す24時間の窒素環境試験(試験2)のガス圧と出力の関係において、ポリイミド基板を用いたサンプルA、C、Dはいずれも、圧力上昇した場合と圧力降下した場合とで、基板の影響と思われるヒステリシスが見られたが、ジルコニア基板を用いたサンプルBは、ほとんどヒステリシスが見られず、良好な直線性を示した。
図30〜33に示す24時間の水素環境試験(試験2)のガス圧と出力の関係において、Cr−N薄膜を用いたサンプルB,CおよびFeCr系合金箔を用いたサンプルDはいずれも水素の影響はほとんど受けていないが、CuNi箔を用いたサンプルAは極めて大きな影響を受けていることが確認された。また、図32と図33を比較することにより、Cr−N薄膜のサンプルCがFeCr系合金箔のサンプルDよりも出力は大きく、高圧水素ガス環境の影響が小さいことが確認された。
以上のように、Cr−N薄膜は、CuNi箔やFeCr系合金箔に比べて、圧力に対する出力が極めて大きいことから、Cr−N薄膜が起歪構造を用いることなくガス圧を直接検出できることが確認された。また、Cr−N薄膜は水素環境下でも水素の影響をほとんど受けずに圧力を検出できることが確認された。さらに、ポリイミド基板では高圧保持時に基板の変形と思われる出力変化が生じたが、ジルコニア基板ではそのような出力変化が見られなかったことから、高圧に対しては、樹脂であるポリイミド基板よりもセラミックスであるジルコニア基板のほうが好ましいことが確認された。なお、ジルコニア基板のサンプルBとポリイミド基板のサンプルCにおいて、窒素中と水素中で出力の変化挙動に大きな違いが見られないことから、ポリイミドへの水素の影響は小さいと考えられる。
1;基板、2;受感部(Cr薄膜またはCrN薄膜)、10;高圧ガス容器、11;圧力容器用信号線導入端子(シーリンググランド)、12,14;基板、13;アクティブゲージ、14;ダミーゲージ

Claims (4)

  1. 基板と、基板上に形成されたCr薄膜またはCr−N薄膜からなる受感部とを有し、起歪体を用いることなく、前記受感部の面直方向あるいは三次元等方的方向からの圧力による圧縮応力に基づく出力変化の値から前記受感部が受けた圧力を検出することを特徴とする圧力センサ。
  2. 素ガスの圧力を測定することを特徴とする請求項に記載の圧力センサ。
  3. 前記基板はセラミックスからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力センサ。
  4. 前記基板はジルコニアからなることを特徴とする請求項に記載の圧力センサ。
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