[1]実施例
図1は実施例に係る運航管理支援システム1の全体構成の一例を表す。運航管理支援システム1は、飛行体の運航管理を支援するシステムである。運航管理とは、ドローンのような飛行体の飛行計画に則った飛行(すなわち運航)を管理することをいう。本実施例では、運航管理を行う複数の事業者3(事業者3−1、3−2、3−3)があり、各事業者3が各々の管轄する飛行体の運航を管理しているものとする。
運航管理支援システム1は、ネットワーク2と、複数のサーバ装置10(サーバ装置10−1、10−2、10−3)と、複数のドローン20と、統合管理装置30とを備える。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムにアクセスする装置同士のデータのやり取りを中継する。ネットワーク2には、サーバ装置10及び統合管理装置30が有線通信で(無線通信でもよい)、ドローン20が無線通信でアクセスしている。
ドローン20は、本実施例では、1以上の回転翼を回転させて飛行する回転翼機型の飛行体であり、撮影、検査、散布、警備及び搬送等の様々な用途に用いられる。ドローン20は、操作者の操作に従って飛行する。操作者による操作は、プロポ(プロポーショナル式の制御(比例制御)を行うコントローラ)又は飛行指示用のパソコン(設定された飛行指示を出し続ける装置)等を用いて行われる。
ドローン20は、安全な飛行等を目的とした運航管理に用いるため、飛行中の自機の位置を少なくとも含む飛行状況を示す情報(飛行情報)を、自機を管轄するサーバ装置10に定期的に送信する。サーバ装置10は、事業者3によって設置され、設置主である事業者3及び自装置が管轄する各ドローン20の飛行計画を生成する処理及び各ドローン20の運航を管理するための処理等を行う。サーバ装置10は本発明の「情報処理装置」の一例である。
統合管理装置30は、複数のサーバ装置10が取り扱う情報(飛行計画及び飛行情報等)を集約し、装置間の円滑な情報共有のための処理を行う。但し、全ての情報共有が統合管理装置30を介して行われる訳ではなく、サーバ装置10同士で直接行われる情報共有もある(詳しくは後述する)。統合管理装置30は、例えば、事業者同士の連携及び業務の調整等を支援する統合管理事業者によって設置される。
統合管理事業者は、ドローンの飛行について監督する立場にある当局(国土交通省及び地方自治体等)との連絡及び調整等も行う。ドローン20のような飛行体は、どこでも飛行させてよいわけではなく、安全等の観点から飛行可能な空域が当局によって定められている。また、本実施例では、単に飛行可能な空域が定められるだけでなく、特定の事業者3が専有してドローン20を飛行させてもよい空域である専有空域と、複数の事業者3で共有する空域である共有空域も当局によって定められるものとする。
専有空域が定められる理由の1つは、例えば、特定の事業者3のドローン20がよく飛行する空域は、その事業者3のドローン20に専有させた方が、運航管理のための事業者間の連絡及び調整が不要で管理効率が高くなり且つ安全性も向上することが期待されるという点である。本実施例では、割り当てられた専有空域及び共有空域を示す情報を統合管理装置30が各事業者3のサーバ装置10に通知する。サーバ装置10は、通知された情報に基づいて飛行計画を生成する。
図2はサーバ装置10及び統合管理装置30のハードウェア構成の一例を表す。サーバ装置10及び統合管理装置30は、物理的には、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、バス15などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。
また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
例えば、ベースバンド信号処理部等は、プロセッサ11によって実現されてもよい。また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。
上述の各種処理は、1つのプロセッサ11によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ11により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ11は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
メモリ12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ12は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ13は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。
ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及びストレージ13の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)である。
例えば、上述の送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置14によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。また、プロセッサ11、メモリ12などの各装置は、情報を通信するためのバス15によって接続される。バス15は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
図3はドローン20のハードウェア構成の一例を表す。ドローン20は、物理的には、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、飛行装置25と、センサ装置26と、バス27などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。これらのうち図2に同名のハードウェアが表されているものは、性能及び仕様等の違いはあるがそれらと同種のハードウェアである。
通信装置24は、ネットワーク2との通信に加え、プロポとの通信を行う機能(例えば2.4GHz帯の電波による無線通信機能)を有する。飛行装置25は、モータ及びローター等を備え、自機を飛行させる装置である。飛行装置25は、空中において、あらゆる方向に自機を移動させたり、自機を静止(ホバリング)させたりすることができる。
センサ装置26は、飛行制御に必要な情報を取得するセンサ群を有する装置である。センサ装置26は、例えば、自機の位置(緯度及び経度)を測定する位置センサと、自機が向いている方向(ドローンには自機の正面方向が定められており、その正面方向が向いている方向)を測定する方向センサと、自機の高度を測定する高度センサとを備える。また、センサ装置26は、自機の速度を測定する速度センサと、3軸の角速度及び3方向の加速度を測定する慣性計測センサ(IMU(Inertial Measurement Unit))とを備える。
運航管理支援システム1が備える各装置における各機能は、各々のプロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、各々の通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
図4は各装置が実現する機能構成を表す。図4では、サーバ装置10−1及び10−2の機能構成が表されているが、他のサーバ装置10の機能構成も共通している。運航管理支援システム1においては、各事業者3を識別する事業者IDと、各サーバ装置10を識別する装置IDと、各ドローン20を識別するドローンIDとが定められている。装置間でやり取りされるデータには各ID及び現在時刻が付与されることで、情報の送信元、情報の対象(例えばどのドローン20の飛行計画であるのか)及び送信時刻等が識別されるようになっている。
また、飛行計画及び飛行情報等の各種の情報はデータ化してやり取りされるが、以下では、データを送信することを単にそのデータが示す情報を送信するとも言う。サーバ装置10は、空域情報取得部101と、専有計画生成部102と、運航処理部103と、管轄計画生成部104と、計画調整部105と、管轄外計画取得部106と、調整結果通知部107と、調整結果取得部108とを備える。統合管理装置30は、空域情報通知部301を備える。
統合管理装置30の空域情報通知部301は、各事業者3に対して割り当てられた専有空域(特定の事業者3が専有してドローン20を飛行させることが許可された空域)を示す空域情報を各事業者3に通知する。本実施例では、専有空域の割り当ては当局が行い、統合管理事業者に対して通知されるものとする。統合管理事業者は、専有空域の割当結果を統合管理装置30に入力する。
割当結果は、例えば、専有空域の3次元的な位置(高度を含む位置)及び大きさを示す空域情報と、割り当てられた事業者3を識別する識別情報とを含む情報である。なお、専有空域は期間(例えば平日と休日)によって変動するように定められてもよいが、以下では説明を分かり易くするため期間による変動はしない例を説明する。空域情報通知部301は、入力された各事業者3の割当結果に基づき、図5に表す通知データを各サーバ装置10に送信することで上記通知を行う。
図5は送信された通知データの一例を表す。図5の例では、或る事業者3のサーバ装置10に送信された通知データが表されている。通知データには、「専有空域」、「調整空域」及び「飛行不可空域」という空域種類が示されている。「専有空域」は、送信先の事業者3に専有的に割り当てられた空域である。「調整空域」は、通知先の事業者3が専有できないが他の事業者3も専有していないため、各事業者3の飛行計画が調整される空域である(具体的な調整方法については後述する)。「調整空域」としては、例えば、当局によって予め定められた共有空域(複数の事業者3で共有する空域)が想定される。
「飛行不可空域」は、どの事業者3もドローン20の飛行が当局によって許可されていない空域である。図5の例では、専有空域、調整空域及び飛行不可空域がセルによって表されている。セルとは、実空間に隙間なく敷き詰められた仮想の立方体の空間のことであり、各セルには各々を識別するセルIDが付されている。本実施例では、説明を分かり易くするため、各セルの高度が一定であり、各セルの中心のxy座標とセルIDとを対応させて表している。
図5の例では、例えば(x001、y001)から(x999、y999)まで表されるxy座標において、(x001、y001)という座標のセルには、C001_001というセルIDが付されている。例えば「専有空域」は、「C001_001」から「C060_030」までの60個×30個のセルを含む空域である。また、「調整空域」は、「C031_001」及び「C032_001」等のセルを含む空域である。
なお、飛行不可空域は、地上の建造物の変化等の事情により変更される場合がある。また、専有空域及び共有領域も、割り当てが見直される場合がある。専有空域は、例えば、事業者3から専有空域の全部又は一部を放棄する旨を当局に申し入れた場合に見直される。また、当局が、各事業者3に専有空域の使用実績を報告させ、実績が条件を満たさないとき(例えば十分に使用されていないとき)に割り当てを見直す場合もある。
こうして解除された専有空域は、共有空域として割り当てられてもよいが、共有空域として当局によって明示的に割り当てられない場合でも、どの事業者3も専有していない空域なので、調整空域に含まれることになる。いずれの場合も、空域情報通知部301は、変更後の各空域を示す通知データを送信して、変更された空域についても通知する。
サーバ装置10の空域情報取得部101は、ドローン20が飛行可能な空域を示す空域情報を取得する。空域情報取得部101は本発明の「取得部」の一例である。ここでいうドローン20には、空域情報取得部101にとっての自装置が管轄するドローン20と、別のサーバ装置10が管轄するドローン20とが含まれる。以下では、サーバ装置10にとって、自装置が管轄するドローン20のグループのことを「管轄グループ」と言い、別のサーバ装置10が管轄するドローン20のグループ(要するに管轄グループとは異なる別のグループ)のことを「管轄外グループ」と言うものとする。
空域情報取得部101は、統合管理装置30から送信されてきた通知データを受け取ると、受け取った通知データが示す専有空域及び調整空域を示す空域情報を取得する。より詳細には、空域情報取得部101は、管轄外グループに属するドローン20の専有空域が割り当てられる場合に、その専有空域以外の飛行可能な空域を示す空域情報を、管轄グループに属するドローン20が飛行可能な空域を示す空域情報として取得する。
管轄外グループは本発明の「第1グループ」の一例であり、管轄グループは本発明の「第2グループ」の一例である。また、管轄外グループに属するドローン20の専有空域は本発明の「第1空域」の一例であり、管轄グループに属するドローン20が飛行可能な空域は本発明の「第2空域」の一例である。管轄グループに属するドローン20が飛行可能な空域とは、図5の例であれば、「専有空域」のセル及び「調整空域」のセルの両方を合わせた飛行空域である。
従って、管轄グループに属するドローン20が飛行可能な空域には、管轄外グループに属するドローン20が飛行可能な空域も一部(調整空域のこと)に含まれる。つまり、空域情報取得部101は、図5の例では、複数のグループ(管轄グループ及び管轄外グループ)に属するドローン20が共有する空域として割り当てられる共有空域を示す情報を、調整空域を示す空域情報として取得している。
また、前述したとおり専有空域の見直しが行われた場合、専有空域だった空域の専有が解除されて調整空域になったり、調整空域だった空域が新たに専有空域になったりする。空域情報取得部101は、管轄外グループに属するドローン20の専有が解除された場合、管轄外グループに属するドローン20の専有空域だった空域を示す情報を、調整空域を示す空域情報として取得する。
また、空域情報取得部101は、管轄外グループに属するドローン20に新たな専有空域が割り当てられた場合、管轄外グループに属するドローン20の専有空域として新たに割り当てられた空域を除く飛行空域を示す情報を、調整空域を示す空域情報として取得する。空域情報取得部101は、取得した空域情報のうち、専有空域を示す専有空域情報を専有計画生成部102に供給する。
専有計画生成部102は、供給された専有空域情報が示す専有空域を管轄グループに属するドローン20に割り当てる飛行計画を生成する。各サーバ装置10においては、管轄グループに属するドローン20の飛行概要を示す概要情報が、例えば各事業者3の従業員等によって入力されているものとする。飛行概要は、ドローン20の飛行目的(搬送、撮影、警備及び探索等)及び飛行能力(飛行可能速度、飛行可能高度及び積載機能の有無等)等に応じて定められている。
具体的には、飛行概要は、出発地点の位置、到着地点の位置、出発予定時刻、到着予定時刻、飛行可能速度、飛行可能高度、飛行範囲、飛行期間及び搬送物の有無等の情報である。例えば出発地点及び到着地点は、搬送を目的とする場合に定められる。また、飛行範囲は、撮影、警備及び探索等を目的とする場合に定められる。なお、出発地点及び到着地点と飛行範囲の両方が定められる場合(ドローン20の拠点から探索範囲まで飛行させる場合等)もある。
また、概要情報は、従業者等がサーバ装置10に直接入力するのではなく、事業者3が有する別のシステムに入力された概要情報をサーバ装置10が取得してもよい。専有計画生成部102は、管轄グループに属する各ドローン20について自装置に記憶されている概要情報を参照し、取得された専有空域情報が示す専有空域の飛行が可能なドローン20を特定する。
具体的には、専有計画生成部102は、例えば、出発地点から到着地点までの飛行経路が専有空域に含まれるドローン20又は飛行範囲が専有空域に含まれるドローン20等を専有空域の飛行が可能なドローン20として特定する。専有計画生成部102は、特定したドローン20について、飛行概要に従い専有空域を飛行する飛行計画を生成する。
図6は生成される飛行計画の一例を表す。図6(a)では、ドローンIDが「D001」のドローン20が飛行する予定の飛行空域として、「倉庫α11」から「店舗α12」まで至る飛行空域A1が表されている。出発地点である「倉庫α11」はセルC001_001に位置し(セルの鉛直下方の地上に位置し)、到着地点である「店舗α12」はセルC050_020に位置している。
出発地点及び到着地点がどちらも専有空域に含まれるので、専有計画生成部102は、「D001」のドローン20を、専有空域の飛行が可能なドローン20として特定している。飛行空域A1には、ドローン20の出発地となるセルC001_001からx軸正方向に隣接するセルを通ってセルC020_001に至る分割空域A11(飛行空域を分割した空域のこと)が含まれる。
また、飛行空域A1には、セルC020_001からy軸正方向に隣接するセルを通ってセルC020_020に至る分割空域A12と、セルC020_020からx軸正方向に隣接するセルを通って目的地セルであるセルC050_020に至る分割空域A13とが含まれている。なお、飛行空域A1は一例であり、専有計画生成部102は、セルC001_001からセルC050_020に至り且つ飛行不可空域を通らない別の飛行空域を定めてもよい。
図6(b)では、ドローンIDが「D001」のドローン20の飛行計画として、飛行空域を表すセルIDと、その飛行空域における飛行予定期間とが表されている。例えば上記ドローン20の場合、分割空域毎にセルID及び飛行予定期間が表されている。例えば分割空域A11であれば、分割空域A11に進入する予定の時刻T111から離脱する予定の時刻T112までの飛行予定期間K11が表されている。また、ドローンIDが「D002」のドローン20は、飛行空域A21を時刻T21からT22まで飛行する飛行計画が表されている。
「D002」のドローン20は例えば或る敷地を上空から撮影することになっており、飛行空域A21はその敷地の上空に位置するセルのセルIDの集合で表されている。図6(b)の例では、飛行空域A21の中でどのような経路で飛行するかまでは計画で決まっていないが、経路まで詳細に決まっていてもよい。専有計画生成部102は、上記のとおり生成した飛行計画を運航処理部103に供給する。
運航処理部103は、供給された飛行計画に従ったドローン20の飛行、すなわち管轄グループに属するドローン20の運航を管理するための処理(以下「運航処理」と言う)を実行する。運航処理部103は、例えば、ドローン20から送信されてくる飛行情報が示す飛行位置、飛行方向及び飛行速度等が飛行計画から外れていないか否かを判定し、外れていると判定した場合は、ドローン20の操縦者に警告を送信する処理又はドローン20を強制停止させる処理等を運航処理として行う。
続いて、調整空域における飛行計画及び運航管理について説明する。空域情報取得部101は、取得した空域情報のうち、調整空域を示す調整空域情報を管轄計画生成部104に供給する。管轄計画生成部104は、空域情報取得部101から供給された調整空域情報が示す調整空域を管轄グループに属するドローン20に割り当てる飛行計画を生成する。
調整空域においては管轄外グループに属するドローン20も飛行する可能性があるが、管轄計画生成部104にとって、管轄外グループの飛行概要は不明である。そこで、管轄計画生成部104は、管轄外グループに属するドローン20については考慮せずに、管轄グループに属するドローン20の飛行概要だけに従い、調整空域を飛行する飛行計画を生成する。管轄計画生成部104は、例えば、専有計画生成部102と同じ方法で、飛行概要から飛行計画を生成する。
調整空域における管轄グループに属するドローン20の飛行計画は、同じ調整空域における管轄外グループに属するドローン20の飛行計画と調整する必要がある。そうしなければドローン20の密度が過剰な空域が生じて安全な飛行ができなくなる可能性があるためである。そこで、計画調整部105は、調整空域における飛行計画を調整する。
飛行計画の調整は、例えば各サーバ装置10が備える計画調整部105のうちのいずれか1つによって行われる。本実施例では、サーバ装置10−1が備える計画調整部105によって飛行計画が調整されるものとする。計画調整部105には、自装置の管轄計画生成部104から、生成された管轄グループに属するドローン20の調整空域における飛行計画が供給される。
また、サーバ装置10−1以外のサーバ装置10(例えばサーバ装置10−2)が備える管轄計画生成部104は、サーバ装置10−1に対して生成した飛行計画を送信する。サーバ装置10−1の管轄外計画取得部106は、送信されてきた飛行計画、すなわち、管轄外グループに属するドローン20の調整空域における飛行計画を取得する。管轄外計画取得部106は、取得した飛行計画を計画調整部105に供給する。
計画調整部105は、供給された管轄グループに属するドローン20の調整空域における飛行計画及び管轄外グループに属するドローン20の調整空域における飛行計画に基づいて、調整空域における飛行計画を調整する。計画調整部105は、具体的には、調整空域における各グループの優先度を決定し、決定した優先度に応じて調整空域を各グループに割り当てた飛行計画を生成する。計画調整部105は本発明の「決定部」の一例であると共に、本発明の「生成部」の一例でもある。
計画調整部105は、調整空域における各グループの優先度を各グループに属するドローン20の属性に応じて決定する。ドローン20の属性として、本実施例では、自機を管轄する事業者3について予め定められた優先度が用いられる。事業者の優先度は、例えば事業者3同士の協議によって定められ、定期的に見直される。サーバ装置10は、定められた各事業者の優先度を示す優先度情報を記憶する。
図7は記憶される優先度情報の一例を表す。図7の例では、「B001」、「B002」及び「B003」という事業者3−1、3−2及び3−3を識別する事業者IDに、「3」、「1」及び「2」という優先度が対応付けられた優先度情報が表されている。図7の例では、数字が小さいほど優先度が高いことが表されているものとする。図7の優先度情報が用いられる場合、優先度が「1」の事業者3−2が管轄するドローン20が最も優先して調整空域が割り当てられ、次いで事業者3−3、事業者3−1の順番に割り当ての優先度が低くなっていく。
計画調整部105は、自装置に記憶されている優先度情報を参照し、参照した優先度情報に示されているとおりに各グループの優先度を決定する。計画調整部105は、本実施例では、決定した優先度が高いグループほど飛行計画通りの飛行空域を多く割り当てた飛行計画を生成する。このように計画された飛行空域の維持を重視して新たな飛行空域を生成する例を以下で説明する。
計画調整部105は、優先度「1」の事業者3−2について、調整空域における飛行計画に表される飛行空域を飛行計画に表される飛行予定期間で全て割り当てる。次に、計画調整部105は、優先度「2」の事業者3−3について、調整空域における飛行計画に表される飛行空域のうち、事業者3−2のドローン20に割り当てられた飛行空域と重複のない部分について割り当てを確定する。なお、飛行空域が重複するとは、飛行するセル及び飛行予定期間の両方が重複することを言う。同じセルを飛行する予定があっても、飛行予定期間が重なっていなければ、飛行空域は重複していないものとする。
計画調整部105は、事業者3−2のドローン20に割当済みの飛行空域と重複する飛行空域であっても、共存条件が満たされる場合はその飛行空域を事業者3−3のドローン20に割り当てる。共存条件とは、例えば、ドローン20同士が衝突する可能性が閾値未満となる場合に満たされる。衝突する可能性は、例えば、2つの飛行計画において、各飛行空域を示すセルIDに重複があり、且つ、重複するセルIDにおける飛行予定期間にも重複がある場合に生じる。
ドローン20同士が衝突する可能性は、飛行空域が広いほど低くなる。また、重複するセルIDの数が同じであれば、飛行予定期間が短いほど衝突する可能性は低くなる。そこで、計画調整部105は、例えば、重複するセルの数が多くなるほど小さくなる係数と飛行予定期間が短いほど小さくなる係数とを、重複するセルを飛行するドローン20の台数に乗じた値を、衝突する可能性を示す値として算出する。
なお、計画調整部105は、図6(b)に表す分割空域のように移動中に通過する飛行空域については、飛行空域単位ではなく、セル単位で飛行予定期間を算出し、セル単位で重複を判断してもよい。その場合、例えば20個のセルを含む分割空域A11であれば、計画調整部105は、飛行予定期間K11を20に分割し、分割した各期間を(予定通りに飛行できない場合を考慮して)前後に延ばした期間を、各セルの飛行予定期間として算出する。
計画調整部105は、共存条件を満たさない事業者3−3のドローン20については、飛行空域は変更せずに飛行予定期間を変更する(飛行空域の維持を重視する)ことで、他の飛行計画と飛行空域が重複しない又は重複しても共存条件を満たす飛行計画を生成する。計画調整部105は、飛行予定期間を変更しただけでは他の飛行計画と飛行空域が重複し且つ共存条件を満たせない場合には、割当済みの飛行空域を除いた空域に飛行空域を変更して飛行計画を生成する。
このように、計画調整部105は、飛行計画が示す飛行空域の維持を飛行予定期間の維持よりも優先して新たな飛行計画を生成する。計画調整部105は、優先度「3」の事業者3−1についても、事業者3−3の場合と同様にして飛行計画を調整する。つまり、計画調整部105は、割当済みの飛行空域と重複する飛行空域が共存条件を満たさない事業者3−1のドローン20については、飛行計画が示す飛行空域を飛行予定期間よりも優先して維持させて新たな飛行計画を生成する。
以上のとおり、本実施例では、計画調整部105は、飛行空域を飛行予定期間よりも優先して維持させることで、決定した優先度が高いグループほど飛行計画通りの飛行空域を多く割り当てた飛行計画を生成する。計画調整部105は、優先度が高い事業者3から順番に上記のとおり飛行計画を調整し、調整後の飛行計画を調整結果通知部107に供給する。
調整結果通知部107は、供給された全事業者3の調整後の飛行計画を、各事業者3のサーバ装置10に送信することで、計画調整部105による調整結果を事業者3に通知する。ここでいう調整結果には、管轄グループに属するドローン20の飛行計画だけでなく、管轄外グループに属するドローン20の飛行計画も含まれる。調整結果取得部108は、送信されてきた飛行計画を受信することで、計画調整部105による調整結果を取得する。
本実施例では、サーバ装置10−1が備える調整結果通知部107が調整結果を通知し、サーバ装置10−1以外のサーバ装置10が備える調整結果取得部108が、通知された調整結果を取得する。なお、サーバ装置10−1が備える調整結果取得部108は、自装置が備える調整結果通知部107から調整結果が通知されてもよいし、自装置が備える計画調整部105から直接調整結果が供給されてもよい。調整結果取得部108は、取得した調整結果を管轄計画生成部104に供給する。
管轄計画生成部104は、供給された調整結果に含まれる飛行計画から自装置が管轄するドローン20について生成された飛行計画を抽出する。管轄計画生成部104は、抽出した飛行計画のうち、自身が生成した飛行計画と同じものについては、飛行計画が確定されたものとして、運航処理部103に供給する。運航処理部103は、供給された飛行計画について上述した運航処理(運航を管理するための処理)を実行する。
また、管轄計画生成部104は、抽出した飛行計画のうち、自身が生成した飛行計画と異なるもの、すなわち調整後の飛行計画については、ドローン20がその飛行計画で飛行した場合に飛行目的を達成可能か否かを判断する。管轄計画生成部104は、例えば搬送目的のドローン20の場合は、出発地点の位置及び到着地点の位置が(必要なら納品期限よりも早い到着予定時刻も)維持されていれば飛行目的を達成可能と判断する。
また、管轄計画生成部104は、撮影目的のドローン20の場合は、撮影範囲が維持されており且つ撮影範囲における飛行予定期間が定められた時間帯の範囲(例えば日中の明るい時間帯の範囲)で維持されていれば飛行目的を達成可能と判断する。また、管轄計画生成部104は、警備目的のドローン20の場合は、撮影範囲が維持されており且つ飛行予定期間が警備すべき期間の一定割合以上で維持されていれば飛行目的を達成可能と判断する。なお、飛行目的の達成可否の判断は、達成可否を判断するための画面をユーザ装置に表示させることで、ユーザに行わせてもよい。
管轄計画生成部104は、飛行目的を達成可能と判断した調整後の飛行計画を運航処理部103に供給する。また、管轄計画生成部104は、飛行目的が達成可能ではないと判断した調整後の飛行計画については、飛行目的が達成可能な飛行計画を再度生成する。その際、管轄計画生成部104は、供給された調整結果に基づいて、他の飛行計画が示す飛行空域と重複しない又は重複しても共存条件を満たす飛行計画を生成する。
管轄計画生成部104は、調整空域における管轄グループに属するドローン20の飛行計画を再度生成した場合は、生成した飛行計画をサーバ装置10−1に対して送信する。送信された飛行計画はサーバ装置10−1の管轄外計画取得部106により取得されて計画調整部105に供給される。サーバ装置10−1の管轄計画生成部104が生成した飛行計画については装置内で計画調整部105に供給される。
サーバ装置10−1の計画調整部105は、供給された飛行計画に基づいて、2回目の調整空域における飛行計画の調整を行う。計画調整部105は、2回目の調整においても、上記のとおり優先度を決定し、決定した優先度に応じて飛行計画を生成する。上述した調整空域における飛行計画の調整と各サーバ装置10による飛行目的の達成可否の判断及び飛行計画の再生成とは、全てのドローン20について調整空域における飛行計画が確定するまで繰り返し行われる。その結果、全てのドローン20について飛行計画が確定し、運航処理部103による運航処理が行われる。
運航管理支援システム1が備える各装置は、上記の構成に基づいて、専有空域における飛行計画及び調整空域における飛行計画を生成する計画生成処理を行う。
図8は計画生成処理における各装置の動作手順の一例を表す。図8の例では、飛行計画を調整するサーバ装置10−1と、飛行計画を調整しないサーバ装置の代表としてサーバ装置10−2とを表している。他のサーバ装置10は、サーバ装置10−2と同じ動作を行うものとする。
図8に表す動作手順は、例えば、毎日決められた時刻になったことを契機に開始される。まず、サーバ装置10−1、10−2(空域情報取得部101)は、ドローン20が飛行可能な空域を示す空域情報を取得する(ステップS11、S21)。次に、サーバ装置10−1、10−2(専有計画生成部102)は、取得された専有空域情報が示す専有空域を、自装置が管轄するドローン20に割り当てる飛行計画を生成する(ステップS12、S22)。
続いて、サーバ装置10−1、10−2(管轄計画生成部104)は、取得された専有空域情報が示す調整空域を、自装置が管轄するドローン20に割り当てる飛行計画(以下「管轄計画」と言う)を生成する(ステップS13、S23)。ここで、サーバ装置10−2(管轄計画生成部104)は、サーバ装置10−1に対して生成した飛行計画を送信する(ステップS24)。
サーバ装置10−1(管轄外計画取得部106)は、送信されてきた自装置が管轄しないドローン20の調整空域における飛行計画(以下「管轄外計画」と言う)を取得する(ステップS31)。次に、サーバ装置10−1(計画調整部105)は、生成された管轄計画及び取得された管轄外計画に基づいて、調整空域における飛行計画を調整する(ステップS32)。
続いて、サーバ装置10−1(調整結果通知部107)は、全事業者3の飛行計画の調整結果をサーバ装置10−2に送信する(ステップS33)。次に、サーバ装置10−1、10−2(調整結果取得部108)は、調整後の飛行計画でも飛行目的が達成されているか否かを判断する(ステップS41、S51)。サーバ装置10−1、10−2は、飛行目的が達成されない(NO)と判断した場合、ステップS13、S23に戻り、飛行計画が確定しなかったドローン20について管轄計画の生成を行う。
サーバ装置10−1、10−2は、ステップS41、S51において飛行目的が達成される(YES)と判断した場合、ステップS12、S22で生成された専有空域における飛行計画と、ステップS13、S23で生成された調整空域における飛行計画と、ステップS32で調整された飛行計画とに基づいて運航処理(運航を管理するための処理)を実行する。図8に表す動作手順は、ドローン20が飛行する日であれば毎日行われてもよいし、ステップS42、S52(運航管理)のみ毎日行われて、ステップS11からS51までの動作手順は間隔をあけて(例えば1週間毎に)行われてもよい。
異なるグループに属する飛行体(ドローン20)がそれぞれ飛行計画を生成する際は、飛行計画に関係する情報の共有が必要になる場合がある。例えば或る飛行空域においてドローン20が過密になる飛行計画が生成されると、高い確率でドローン20の衝突が発生してしまう。その場合、予め過密な飛行空域が生じないように調整する必要があり、そのためには、飛行計画に関係する情報をサーバ装置10同士で共有する必要がある。
本実施例でも、サーバ装置10−1が管轄外グループに属するドローン20の飛行計画を取得して、調整空域における飛行計画を調整している。但し、調整するのは調整空域における飛行計画だけなので、運航管理支援システム1においては、調整空域における飛行計画(管轄外計画)は共有されるが、専有空域における飛行計画(専有計画)は共有されない。これにより、専有計画も共有する場合に比べると、異なるグループに属する飛行体の飛行計画に関係する情報を共有する際の負荷(サーバ装置10の処理の負荷及びネットワーク2の通信による負荷等)を軽減することができる。
上記のとおり情報共有及び調整が行われる調整空域には、予めグループ間で共有する空域として割り当てられた共有空域と、専有空域だったが解除されて調整空域になった空域とが含まれる。本実施例によれば、それらの共有空域及び解除されて調整空域になった空域を、上記の情報共有及び調整が行われない場合に比べて有効に活用することができる。
また、本実施例では、調整空域において、優先度が高いグループほど飛行計画通りの飛行空域が多く割り当てられている。そのため、優先度が低いグループほど飛行計画の見直しが生じやすく、飛行計画の確定まで時間を要することになりやすい。従って、本実施例においては、自グループの優先度が分かっていると、自グループの優先度が分かっていない場合に比べて、調整空域における飛行計画が確定するまでに要する時間の見込みを立てやすくすることができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。その際は、各変形例について優先順位を付けて(各変形例を実施すると競合する事象が生じる場合にどちらを優先するかを決める順位付けをして)実施してもよい。
また、具体的な組み合わせ方法として、共通する値(例えば優先度)を求めるために異なるパラメータを用いる変形例を組み合わせて、それらのパラメータを共に用いて共通する値等を求めてもよい。また、個別に求めた値等を何らかの規則に従い合算して1つの値等を求めてもよい。また、それらの際に、用いられるパラメータ毎に異なる重み付けをしてもよい。
[2−1]優先度の変更
実施例では、調整空域における飛行計画の調整が完了するまで、図7に表す優先度情報に基づき決定される優先度が用いられたが、次回の飛行計画の調整では、異なる優先度が用いられてもよい。例えば、計画調整部105は、各グループに属するドローン20の属性に応じた順番で優先度を決定して飛行計画が生成された後、その順番を反対にした順番で優先度を決定する。
例えば図7に表す優先度情報が用いられる場合、計画調整部105は、飛行計画の調整が最初に完了するまでは、優先度が高い方から順番に事業者3−2、3−3、3−1の順に優先度を決定する。そして、計画調整部105は、次回の飛行計画の調整の際には、優先度が高い方から順番に事業者3−1、3−3、3−2の順に優先度を決定する。この場合、例えば事業者3−1は、最初の調整では調整空域における飛行計画が大きく変更されやすく、場合によっては飛行概要の変更又は飛行の中止をしなければならず、不利益を被ることがある。
しかし、事業者3−1は、次回の調整では、調整空域における飛行計画が全て確定するので、不利益を被ることがない。反対に、事業者3−2は、最初の調整では不利益を被らないが、次回の調整では不利益を被ることがある。事業者3−3は、最初も次回も不利益を被る可能性はあるが、事業者3−1及び3−2が不利益を被る場合に比べて可能性が小さく、不利益の多寡も少なくなりやすい。
このように、本変形例においては、優先度に基づき飛行計画を生成するが、特定の事業者が一方的に不利益を被るということはなく、割り当ての公平性を高めることができる。なお、計画調整部105は、優先度の順番を反対にするだけでなく、例えば、優先度の順番をローテーションさせることで(例えば事業者3−1の優先度を3→2→1→3→2→1・・・というように変更する)、公平性を高めてもよい。
[2−2]飛行目的の達成可否の判断
実施例では、各サーバ装置10の管轄計画生成部104が飛行目的の達成可否を判断したが、計画調整部105が、飛行目的の達成可否を判断してもよい。その場合、例えば、サーバ装置10−2の管轄計画生成部104が飛行計画をサーバ装置10−1に送信する際に、飛行計画の生成に用いた飛行概要も送信する。
管轄外計画取得部106は、送信されてきた飛行計画及び飛行概要を取得し、計画調整部105に供給する。計画調整部105は、飛行空域が重複するドローン20について新たな飛行計画を生成する際に、飛行概要を参照し、飛行目的が達成可能な飛行計画を生成する。この場合、一度の調整で全ての飛行計画を確定させることができ、調整結果の通知における通信負荷を最小にすることができる。
[2−3]飛行概要の変更
計画調整部105が飛行計画を調整した結果、飛行目的を達成する飛行計画の生成が不可能なドローン20が生じる場合がある。例えば、到着地点の周辺のセルが一日中他のドローン20の飛行空域となっており、共存条件を満たすこともできない場合である。その場合、例えば、計画調整部105が、飛行計画の調整が不可能なドローン20について飛行概要の変更を要求することを示す通知データをユーザ端末に送信してもよい。
その際、計画調整部105は、飛行計画の調整が可能になる飛行概要の変更案を示す通知データを送信してもよい。調整が可能になる変更案とは、例えば、共存条件を満たさない飛行空域に最も近い飛行空域を飛行する飛行計画又は共存条件を満たさない飛行予定期間に最も近い飛行予定期間に飛行する飛行計画等である。以上のとおり飛行概要の変更の必要性がユーザに通知され、通知を見たユーザが飛行概要を変更することで、飛行計画の調整が可能になる。
[2−4]飛行時間帯の優先割り当て
計画調整部105は、実施例では、計画された飛行空域の維持を重視して新たな飛行空域を生成したが、飛行計画の生成方法はこれに限らない。本変形例では、計画調整部105は、決定した優先度が高いグループほど飛行計画通りの飛行時間帯を長く割り当てた飛行計画を生成する。
言い換えると、計画調整部105は、飛行計画が示す飛行予定期間の維持を飛行空域の維持よりも優先して新たな飛行計画を生成する。例えば図7に表す優先度が用いられたとする。計画調整部105は、優先度「2」の事業者3−3について、共存条件を満たさないドローン20については、飛行予定期間は変更せずに飛行空域を変更することで、他の飛行計画と飛行空域が重複しない又は重複しても共存条件を満たす飛行計画を生成する。
計画調整部105は、飛行予定期間を維持して飛行空域を変更しても他の飛行計画と飛行空域が重複し且つ共存条件を満たせない場合には、飛行予定期間も変更して飛行計画を生成する。本変形例においては、上記のとおり飛行予定期間の維持を優先して飛行計画を調整することで、例えば納品時刻が決まっている搬送目的のドローン20及び撮影可能な時間帯が決まっている撮影目的のドローン20等のように、飛行する期間が重要なドローン20が飛行目的を達成しやすい飛行計画を生成することができる。
反対に、実施例においては、上記のとおり飛行空域の維持を優先して飛行計画を調整することで、例えば搬送先が遠方でバッテリーに余裕がないドローン20及び撮影ルートが厳密に決まっている撮影目的のドローン20等のように、飛行する経路又は位置が重要なドローン20が飛行目的を達成しやすい飛行計画を生成することができる。
[2−5]属性:ドローンの性能
計画調整部105は、実施例では、調整空域における各グループの優先度を決定する際に、各事業者3について予め定められた優先度をドローン20の属性として用いたが、別の属性が用いられてもよい。本変形例では、計画調整部105が、各グループに属するドローン20の性能の高さを属性として用いて優先度を決定する。
計画調整部105は、例えば、各グループに属するドローン20が備える機能を性能の高さとして扱い、ドローン20の機能と優先度とを対応付けた優先度情報を用いて優先度を決定する。
図9は本変形例の優先度情報の一例を表す。図9に表す優先度情報においては、「自動飛行機能」又は「防水機能」を備えるドローン20は優先度が「1」である。
また、「衝突回避機能」又は「高度維持機能」を備えるドローン20は優先度が「2」であり、特別な機能がないドローン20は優先度が「3」である。本変形例では、管轄計画生成部104がドローン20の飛行計画をサーバ装置10−1に送信する際に、そのドローン20の機能を示す機能情報を合わせて送信する。計画調整部105は、送信されてきた機能情報に基づき、各グループに属するドローン20が備える機能を把握する。
計画調整部105は、例えば、グループに属するドローン20のうち所定の割合(過半数等)のドローン20が特定の機能を備えている場合は、その機能をグループに属するドローン20の性能の高さを表す機能として扱う。また、計画調整部105は、例えば、グループに属するドローン20が「自動飛行機能」及び「高度維持機能」の両方を備えている場合には、優先度が高い方(「1」の方が「2」よりも高い)を採用する。例えば事業者3−1の管轄するドローン20のうち所定の割合以上のドローン20が「自動飛行機能」を備えている場合、計画調整部105は、事業者3−1の優先度を「1」と決定する。
計画調整部105は、各事業者3の優先度が異なる場合は、実施例と同様に飛行計画を調整する。但し、本変形例では、2つの事業者3の優先度が同じになる場合がある。その場合、計画調整部105は、例えば同じ優先度の事業者3の各ドローン20の飛行計画を交互に調整することで(例えば事業者3−1→3−2→3−1→3−2又は3−1→3−2→3−2→3−1という順番)、同じ優先度の事業者3同士では飛行計画が変更される可能性が大きく変わらないようにする。
「自動飛行機能」又は「防水機能」は、飛行計画どおりの飛行に貢献する機能であり、「衝突回避機能」又は「高度維持機能」は、操縦者の技量をサポートする機能である。図9に表す各機能を備えているドローン20は、各機能を備えないドローン20に比べて、割り当てられた飛行空域を効率よく活用することが見込まれる。そこで、計画調整部105は、図9に表す優先度情報を用いることで、飛行空域を効率よく活用する見込みが高いドローン20ほど高い優先度を決定する。
本変形例においては、上記のとおりドローン20の性能が高く飛行空域を効率よく活用することが見込まれる事業者3のドローン20ほど優先度を高くして飛行計画が生成される。これにより、ドローン20の性能の高さを考慮せずに優先度を決定する場合に比べて、調整空域をより効率よく活用することができる。なお、性能の高さと優先度の順番は図9に表す順番とは反対になっていてもよい。
ドローン20の性能が高いほど、計画通りに飛行可能な飛行空域及び飛行予定期間の幅が大きくなるので、飛行計画が変更されても飛行計画を守りやすい。反対に、ドローン20の性能が低いほど、計画通りに飛行可能な飛行空域及び飛行予定期間の幅が小さくなり、変更された飛行計画を守りにくくなる。そこで、ドローン20の性能が低いほど優先度を高くすることで、性能が低いドローン20であっても飛行計画が守られやすいようにすることができる。
[2−6]属性:飛行実績
本変形例でも上記の各例とは別の属性が用いられる。本変形例では、計画調整部105が、各グループに属するドローン20の調整空域における飛行実績の多さを属性として用いて優先度を決定する。
計画調整部105は、例えば、各グループに属するドローン20の調整空域の1ヵ月の平均飛行距離を飛行実績の多さとして扱い、1ヵ月の平均飛行距離と優先度とを対応付けた優先度情報を用いて優先度を決定する。
図10は本変形例の優先度情報の一例を表す。図10に表す優先度情報においては、1ヵ月の平均飛行距離が「Th1未満」の事業者3は優先度が「3」である。
また、1ヵ月の平均飛行距離が「Th1以上Th2未満」の事業者3は優先度が「2」であり、1ヵ月の平均飛行距離が「Th2以上」の事業者3は優先度が「1」である。本変形例では、管轄計画生成部104がドローン20の飛行計画をサーバ装置10−1に送信する際に、そのドローン20の調整空域における飛行履歴を合わせて送信する。計画調整部105は、送信されてきた飛行履歴に基づき、各グループに属するドローン20の調整空域における1ヵ月の平均飛行距離を算出する。
計画調整部105は、例えば事業者3−1の管轄するドローン20の1ヵ月の平均飛行距離がTh2以上であれば、事業者3−1の優先度を「1」と決定する。なお、飛行実績の表し方は1ヵ月の平均飛行距離に限らない。平均をとる期間を変えてもよいし、平均ではなく合計飛行距離が用いられてもよい。また、飛行距離ではなく飛行回数、飛行頻度又は飛行台数等が用いられてもよい。
要するに、調整空域をよく利用していることを表す指標となっていれば、どのような飛行実績が用いられてもよい。図10の例であれば、飛行実績が多く今後も調整空域をよく利用することが見込まれる事業者3ほど優先度を高くして飛行計画が生成される。これにより、調整空域における飛行実績を考慮せずに優先度を決定する場合に比べて、調整空域がより多く活用されるようにすることができる。
なお、飛行実績の多さと優先度の順番を常に図10に表す順番にすると、調整空域をよく利用する事業者3が飛行しやすくなりさらに飛行実績が多くなり、反対に調整空域の飛行実績が少ない事業者3は飛行計画が頻繁に変更されて飛行させにくくなり、さらに飛行実績が少なくなるという循環に陥りやすい。そこで、計画調整部105は、定期的に図10に表す順番を反対にしたり、順番をローテーションさせたりして、事業者間の飛行実績の偏りを減らすようにしてもよい。
[2−7]複数の調整空域
実施例では、図5に表すように調整空域を1つの大きな空域として扱ったが、複数の調整空域が存在していてもよい。複数の調整空域とは、例えば、市区町村の境界によって区切られる空域又は当局が定めた境界によって区切られる空域等である。計画調整部105は、複数の調整空域が存在する場合は、調整空域毎に飛行空域を調整する。
[2−8]属性:拠点の位置関係
本変形例でも上記の各例とは別の属性が用いられる。本変形例では、計画調整部105が、各グループに属するドローン20の拠点と調整空域との距離を属性として用いて優先度を決定する。ドローン20の拠点とは、ドローン20が飛行しないときに所在する場所のことであり、ドローン20が配備される事業所等である。
図11は調整空域及び拠点の一例を表す。図11では、調整空域E1と、調整空域E1の周辺にある事業者3の拠点F1が表されている。調整空域E1は、上述した変形例で述べた複数の調整空域のうちの1つであり、以下では、計画調整部105が、調整空域E1について飛行計画を調整する場合を説明する。調整空域E1においては、事業者3−1、3−2、3−3がそれぞれ飛行計画を生成するものとする。
図11には、事業者3−1の拠点F1−1、F1−2と、事業者3−2の拠点F2−1、F2−2、F2−3と、事業者3−3の拠点F3−1、F3−2が表されている。拠点F1−1、F1−2は、調整空域E1との距離がL11、L12である(いずれも最短距離。以下同じ)。拠点F2−1、F2−2、F2−3は、調整空域E1との距離がL21、L22、L23である。拠点F3−1は調整空域E1との距離がL31である。拠点F3−2は、調整空域E1の地上部分にあるので調整空域E1との距離が0である。
計画調整部105は、調整空域E1を飛行する飛行計画が生成された事業者3の拠点から調整空域E1までの距離の平均値を事業者毎に算出する。図11の例では、事業者3−1の平均距離(L11+L12)÷2と、事業者3−2の平均距離(L21+L22+L23)÷3と、事業者3−3の平均距離(L31+0)÷2との大小関係が事業者3−1>事業者3−2>事業者3−3であるものとする。
計画調整部105は、例えば、各グループに属するドローン20の拠点及び調整空域の平均距離と優先度とを対応付けた優先度情報を用いて優先度を決定する。
図12は本変形例の優先度情報の一例を表す。図12に表す優先度情報においては、管轄グループに属するドローン20(事業者3が自身で管轄するドローン20)の拠点と調整空域との平均距離が「Th11未満」の事業者3は優先度が「1」である。また、管轄グループに属するドローン20の拠点と調整空域との平均距離が「Th11以上Th12未満」の事業者3は優先度が「2」であり、管轄グループに属するドローン20の拠点と調整空域との平均距離が「Th12以上」の事業者3は優先度が「3」である。
本変形例では、計画調整部105は、調整空域の範囲を示す情報と各事業者3が有する拠点の位置を示す情報とを予め記憶しておく。計画調整部105は、調整空域E1の飛行計画を調整する際には、調整空域E1を飛行する飛行計画が取得された事業者3について各拠点と調整空域E1との距離の平均値を算出する。計画調整部105は、事業者3について算出した平均距離に優先度情報において対応付けられている優先度を、その事業者3の優先度として決定する。
計画調整部105は、各事業者3の優先度を決定すると、後は上記の各例と同様に飛行計画を調整する。なお、拠点と調整空域との距離の表し方は上記の平均距離に限らない。例えば各拠点と調整空域との距離の合計値でもよいし、最短距離ではなく飛行可能な空域を通過した場合の距離が用いられてもよい。要するに、調整空域の利用しやすさを表す指標となっていれば、どのような距離の表し方が用いられてもよい。
本変形例では、調整空域の近くの拠点にドローン20が配置され、調整空域を利用しやすい事業者3ほど優先度を高くして飛行計画が生成される。これにより、拠点と調整空域との距離を考慮せずに優先度を決定する場合に比べて、調整空域がより多く活用されるようにすることができる。なお、本変形例においても、図12に表す優先度を続けると事業者間の調整空域の利用量の偏りが増していくので、計画調整部105が、定期的に図12に表す順番を反対にしたり、順番をローテーションさせたりして、事業者間の調整空域の利用量の偏りを減らすようにしてもよい。
[2−9]属性:ドローンの台数
本変形例でも上記の各例とは別の属性が用いられる。本変形例では、計画調整部105が、各グループに属するドローン20の台数に応じて優先度を決定する。ここでいう台数は、上記変形例で述べた調整空域における飛行実績としての台数ではなく、単純に事業者3が所有しているドローン20の台数を意味する。
図13は本変形例の優先度情報の一例を表す。図13に表す優先度情報においては、ドローン20の台数が「Th21未満」の事業者3は優先度が「3」である。また、ドローン20の台数が「Th21以上Th22未満」の事業者3は優先度が「2」であり、ドローン20の台数が「Th22以上」の事業者3は優先度が「1」である。本変形例では、計画調整部105は、各事業者3が所有するドローン20の台数を予め記憶しておく。
計画調整部105は、飛行計画の調整対象となる事業者3のドローン20の台数に優先度情報において対応付けられている優先度を、その事業者3の優先度として決定する。計画調整部105は、各事業者3の優先度を決定すると、後は上記の各例と同様に飛行計画を調整する。事業者3が所有するドローン20の台数が多いほど、例えばドローン20に故障が生じたときに代替機を飛行させるなどして飛行計画を順守しやすい。
本変形例では、各グループに属するドローン20の台数を考慮せずに優先度を決定する場合に比べて、調整空域における飛行計画が順守されやすいようにすることができる。なお、本変形例においても、図13に表す優先度を続けると事業者間の調整空域の利用量の偏りが増していくので、計画調整部105が、定期的に図13に表す順番を反対にしたり、順番をローテーションさせたりして、事業者間の調整空域の利用量の偏りを減らすようにしてもよい。
[2−10]衝突回避機能
本変形例では、計画調整部105が、管轄グループに属するドローン20が衝突回避機能を有する場合は、そのドローン20に対して管轄外グループに属するドローン20と重複する飛行空域でも割り当てる。つまり、計画調整部105は、ドローン20が衝突回避機能を有する場合は、上述した共存条件が満たされると判断して、重複する飛行空域を含む飛行計画を生成する。
本変形例では、衝突回避機能を有するドローン20が多いほど、互いに重複する飛行空域を含む飛行計画が多く生成されるので、衝突回避機能の有無を考慮しない場合に比べて、調整空域がより多く活用されるようにすることができる。なお、衝突回避機能を有するドローン20であっても、過密になり過ぎると衝突の可能性が高まる。そこで、計画調整部105は、飛行空域が重複するドローン20の台数が閾値以上になった場合には、ドローン20が衝突回避機能を有していても、重複する飛行空域を含む飛行計画を生成しないようにしてもよい。
[2−11]空域情報
実施例では、全事業者3の専有空域を示す空域情報が統合管理装置30を介して各事業者3に通知されたが、事業者3の専有空域を示す空域情報が統合管理装置30を介さずに直接各事業者3に通知されてもよい。その場合、空域情報取得部101は、他のサーバ装置10から空域情報を取得する。専有空域はそれほど頻繁に変化するものではないので、空域情報の取得に要する通信等の負荷は小さくて済む。
[2−12]飛行計画
飛行計画の表し方は、実施例と異なっていてもよい。例えばセルを用いずに3次元空間の座標を用いて飛行計画が表されてもよい。その場合、例えば3次元座標系において、飛行経路を線で表す数式又は飛行空域の境界面を表す数式等が用いられればよい。また、途中の経路ではなく、出発地、経由地、到着地の情報だけで飛行計画が表されてもよい。その場合でも、各位置の間を直線的に移動すること又は決められた経路に沿って移動することが決まっていれば、実際に飛行する経路を判断することが可能である。
また、飛行予定期間も、詳細な期間が分かることが望ましいが、例えば出発予定時刻及び到着予定時刻だけが分かる程度でもよい。その場合も、例えば平均飛行速度を算出することで、どの時刻にどの辺りを飛行中であるかを判断することができる。要するに、飛行情報と突き合わせることで計画外飛行を判断することができるのであれば、どのような形で飛行計画が表されてもよい。
[2−13]飛行体
実施例では、自律飛行を行う飛行体として回転翼機型の飛行体が用いられたが、これに限らない。例えば飛行機型の飛行体であってもよいし、ヘリコプター型の飛行体であってもよい。要するに、操作者の操作により飛行することが可能であり、且つ、検査データを取得する機能を有する飛行体であればよい。
[2−14]各機能を実現する装置
図4に表す各機能を実現する装置は、上述した装置に限らない。例えば、サーバ装置10が実現する機能の一部を統合管理装置30が実現してもよいし、それ以外の外部装置が実現してもよい。特に、計画調整部105、管轄外計画取得部106及び調整結果通知部107は、統合管理装置30によって実現されてもよい。その場合、統合管理装置30が本発明の「情報処理装置」の一例となる。
また、例えば、上記の各例では計画調整部105が優先度の決定と飛行計画の生成を行っていたが、優先度を決定する決定部又は決定された優先度に基づいて飛行計画を生成する生成部等が新たに設けられてもよい。要するに、運航管理支援システム1全体として図4等に表された機能が実現され、飛行計画が調整されるようになっていれば、装置毎の機能分担及び各機能が行う動作の範囲は自由に定められてよい。
[2−15]発明のカテゴリ
本発明は、上述したサーバ装置10及び統合管理装置30という情報処理装置の他、それらの情報処理装置及びドローン20のような飛行体を備える情報処理システム(運航管理支援システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、それらの情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、それらの情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
[2−16]機能ブロック
なお、上記実施例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。
すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
[2−17]入出力の方向
情報等(※「情報、信号」の項目参照)は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
[2−18]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2−19]判定方法
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
[2−20]処理手順等
本開示において説明した各態様/実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
[2−21]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2−22]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
[2−23]情報、信号
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
[2−24]「判断」、「決定」
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。
また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
[2−25]「に基づいて」の意味
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
[2−26]「異なる」
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
[2−27]「及び」、「又は」
本開示において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
[2−28]態様のバリエーション等
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。