JP6849744B2 - 電気掃除機 - Google Patents
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Description
集塵装置は、電動送風機の駆動によって吸引した空気を旋回させて、吸引した空気中の塵埃を遠心分離する。集塵装置は、塵埃を遠心分離する分離部と、分離部で分離しきれない微細な塵埃を捕集するフィルタとを有する。
フィルタには、分離部の排気口から排気された空気が当たる。この結果、フィルタには、分離部の排気口に対向する部位に局所的に塵埃がたまりやすくなる。
この場合、電気掃除機の清掃効率の低下を招く場合がある。
第1の実施形態の電気掃除機を説明する。
図1は、第1の実施形態の電気掃除機の構成例を示す斜視の模式図である。図2は、第1の実施形態の電気掃除機の本体部の構成例を示す斜視の模式図である。
電気掃除機100は、掃除機本体10、延長管4、および吸込口体3を有する。
掃除機本体10は、空気を吸引する本体部1と、本体部1によって吸引される空気から塵埃を遠心分離する集塵装置2とを有する。本体部1および集塵装置2の詳細構成は後述する。
延長管4は、掃除機本体10に着脱可能に接続される長尺の管部材である。
吸込口体3は、使用時に床面に沿って移動される部分である。吸込口体3は、横長のケースを有し、そのケースの内部にブラシモータと、ブラシモータで回転される回転ブラシとを内蔵している。床面に対向する吸込口体3の下部には、床面の塵埃を含む空気(以下、含塵空気A1)を吸い込む開口部が形成されている。
吸込口体3は、長手方向の中央部から突出した接続管部を介して、延長管4と着脱可能に連結される。
吸込口体3および延長管4は、吸込口体3の開口部から掃除機本体10までの風路体を形成する。
延長管4および吸込口体3の内部には、それぞれ図示略の接続配線が設けられている。延長管4および吸込口体3が掃除機本体10に接続されると、それぞれの接続配線が、掃除機本体10と電気的に接続される。
例えば、吸込口体3に内蔵されたブラシモータは、接続配線を通して、後述する掃除機本体10の二次電池12および回路基板13と電気的に接続される。
図2に示すように、掃除機本体10の本体部1の外郭は、例えば合成樹脂製の本体ケース1aによって形成される。本体ケース1aは、筒状部1Aと、収容部1Bと、を有する。
筒状部1Aにおいて、長手方向の第1端部E1には、延長管4等が連結可能な接続部1bが形成されている。接続部1bには、延長管4の基端部が挿入可能な接続口1gが開口している。接続部1bには、延長管4に代えて電気掃除機100に付属する、吸気ノズル、吸気ブラシ等の適宜の吸気管が着脱可能である。接続口1gは、延長管4、その他の吸気管等を通して、含塵空気A1が流入可能である。
筒状部1Aの側面には、第1端部E1から第2端部E2に向かって、延長管着脱操作部1h、支点部1e、および集塵装置配置部1iがこの順に設けられている。
支点部1eは、後述する集塵装置2の装着時に集塵装置2の回動支点を形成する凹所である。
集塵装置配置部1iは、後述する集塵装置2の外周側面に沿って集塵装置2を配置する凹状の湾曲面を含む。集塵装置配置部1iは一部の凹所を除けば、円弧状の断面形状が筒状部1Aの長手方向に延びる凹曲面状に形成される。
集塵装置配置部1iは、長手方向において第1端部E1寄りに位置する凹曲面状の第1配置部1iAと、第2端部E2寄りに位置し、第1配置部1iAよりも大きな曲率半径を有する凹曲面状の第2配置部1iBと、を有する。第2配置部1iBの曲率半径は、集塵装置2の後述する第2円筒部2Bの外形と略同じ曲率半径を有する。
第1配置部1iAは、第2配置部1iBよりも上方に突出した段差部を形成している。第1配置部1iAの中央部には、後述する集塵装置2の吸気ガイド部22bが挿入可能な凹所1nが形成されている。凹所1nの奥には、筒状部1Aの内部と連通する吸気連通口1cが開口している。
第2配置部1iBには、後述する集塵装置2からの突起部との干渉を防止するための凹所1pが形成されている。
本体部1に後述する集塵装置2が装着された場合(以下、装着形態と称する)、接続部1b内に流入した含塵空気A1は、吸気連通口1cを通して集塵装置2に導入可能である。後述するように、第1カップ部22aから集塵装置2に流入した含塵空気A1は、集塵装置2によって含塵空気A1に含まれる塵埃が除去される。含塵空気A1から塵埃が除去された空気を清浄空気Acと称する。清浄空気Acは集塵装置2から本体部1に排気される。
収容部1Bの第1端部e1には、後述する集塵装置2の先端係合部29bを案内する凸状の案内部1jが設けられている。案内部1jの突出方向の端面である係止面1qの中央部には、後述する集塵装置2の排気口29a(図3参照)と連通可能に設けられた排気連通口1dが開口している。
係止面1qは、第2配置部1iBの端部から収容部1B側に向かって傾斜した傾斜面である。
収容部1Bは、筒状部1Aの第2端部E2との接続部において筒状部1Aの内部と連通している。
収容部1Bの内部には、電動送風機11、二次電池12、および回路基板13が収容されている。
二次電池12は、例えば、電動送風機11、回路基板13等の電気掃除機100内の電装部品に電力を供給する電源部である。二次電池12は、複数の電池を直列あるいは並列に接続した電池パックで構成されてもよい。
二次電池12は、図示略の充電接続部と電気的に接続されている。二次電池12は、充電接続部を通して、図示略の充電台から充電可能である。
図1に示すように、集塵装置2の長手方向には、第1円筒部2Aと、第2円筒部2Bとがこの順に並んでいる。第1円筒部2Aおよび第2円筒部2Bの外形は、それぞれ略円筒状である。ただし第2円筒部2Bの外径は第1円筒部2Aの外径よりも大径である。
第1円筒部2Aは、吸気側の装置部分であり、後述する第1分離部を内部に含む。第2円筒部2Bは、排気側の装置部分であり、後述する第2分離部を内部に含む。
集塵装置2は、その長手軸線が筒状部1Aの長手軸線と平行な姿勢で、筒状部1Aの側方に配置されている。第2円筒部2Bの長手方向の端部は、図示略の案内部1j(図2参照)に案内されて収容部1Bの第1端部e1と連結されている。
図3には、集塵装置配置部1i(二点鎖線参照)上に配置される側面を図示前側に配置した集塵装置2の外観が示されている。
集塵装置2は、全体として略円柱状の外形を有する。集塵装置2の外周部には、中心軸線Oに沿って、カップ22、カバー25、および蓋体29がこの順に配置されている。
カップ22は、第1カップ部22a、吸気ガイド部22b、および第2カップ部22dを含む。
吸気ガイド部22bは第1カップ部22aの側面から第1カップ部22aの略接線方向に突出する筒状部である。吸気ガイド部22bは、本体部1の凹所1nに挿入可能な形状を有する。吸気ガイド部22bにおいてその突出方向の先端部には、吸気口22cが開口している。
吸気ガイド部22bの傾斜は、吸気口22cからカップ22内に流入する含塵空気A1によって旋回流を形成するために設けられている。図3に示す例では、吸気ガイド部22bの傾斜によって形成される旋回流の旋回方向(第1旋回方向)は、カップ22を図示上側から見たとき、反時計回りである。
装着形態において、吸気ガイド部22bは、吸気連通口1cを通る含塵空気A1を漏洩させないように凹所1nと係止する。その際、吸気口22cは吸気連通口1cと連通する。
中心軸線Oに沿う方向であって、第1円筒部2Aから第2円筒部2Bに向かう方向(図示の鉛直上向き方向)をZ1方向と称する。Z1方向は、装着形態において、筒状部1Aの長手方向に沿って第1端部E1から第2端部E2に向かう方向と一致する。Z1方向の反対方向をZ2方向と称する。Z1方向またはZ2方向を単にZ方向と称する場合がある。
誤解のおそれがない場合には、任意の位置に対してZ1方向寄りに位置することを、上、上方、上側に位置すると表現する場合がある。同様にZ2方向寄りに位置することを、下、下方、下側に位置すると表現する場合がある。Z方向に見ることを平面視と称する場合がある。
Y1方向は、中心軸線Oに直交する面内において、吸気口22cの中心から中心軸線Oに向かう方向である。Y2方向は、Y1方向の反対方向である。Y1方向またはY2方向を単にY方向と称する場合がある。本実施形態では、Y方向は、集塵装置配置部1iに対する集塵装置2の着脱方向になっている。
X1方向、中心軸線Oに直交する面内において、Y方向と直交する方向の1つである。X1方向は、起立姿勢における集塵装置2をY1方向から見たとき、向かって左から右に向かう方向である。X2方向は、X1方向の反対方向である。X1方向またはX2方向を単にX方向と称する場合がある。
係止部22eは、本体部1の支点部1eと着脱可能に係合される。係止部22eが支点部1eに係合されると、筒状部1Aの長手方向および長手方向に対する左右方向の位置決めがなされる。これにより、集塵装置2のZ1方向の端部は、支点部1eと係合された係止部22eを中心として集塵装置配置部1i側へと回動することができる。
第2カップ部22dの上端部には、径方向内側に突出する係合突起(図示略)が形成されている。一方、第2円筒部2Bの内部には、第2カップ部22dの係合突起と軸方向に係合可能かつ中心軸線O回りの回転によって係合解除可能な係合部が形成されている。これにより、第2カップ部22dは、第2円筒部2Bと着脱可能に係合している。
カバー25には、装着形態においてY方向から見て、第2配置部1iBと重なる範囲に、切欠き25a、開口部25bが形成されている。
切欠き25aは、後述する蓋体29の蓋体着脱部29dの外形に沿う略U字状に形成されている。
開口部25bは、例えば、掃除ブラシ(図示略)などの付属品を配置するために形成されている。図3に示す例では、開口部25bのZ2方向の端縁には、Y2方向に突出する付属品固定台25cが突出している。付属品固定台25cの形状は、付属品固定台25cに装着された付属品とともに、第1配置部1iAにおける凹所1pの内部に挿入可能な形状を有する。
蓋体29は、外周部におけるY2方向の端部に、第2円筒部2Bに設けられた図示略の係止部と着脱可能に係合する蓋体着脱部29dを有する。
蓋体着脱部29dは、X方向に延びる回動支軸を中心として回動可能に設けられている。さらに、蓋体着脱部29dは図示略の弾性部材によってY1方向に付勢されており、蓋体着脱部29dのZ2方向の端部においてY1方向に突出する係合突起(図示略)が、第2円筒部2Bの内部に形成された係合部(図示略)に係合している。これにより、蓋体29は、第2円筒部2Bを着脱可能に係合している。
蓋体29の装着時には、蓋体29は、カバー25をカップ22との間に挟持している。
傾斜面29cは、装着形態において案内部1jの係止面1qと係止可能な傾斜を有する。傾斜面29cの中心部には、Y方向に長い矩形状の排気口29a(第3排気口)がZ方向に貫通している。
先端係合部29bは、傾斜面29cのX方向の両端部からZ1方向に延びる2つの壁体で形成される凹溝状に形成されている。先端係合部29bのX方向の内面は、案内部1jの側面に沿って互いに係合可能な形状に形成される。
このような構成により、装着形態における先端係合部29bは、収容部1Bの案内部1jの側面を間に挟んで、案内部1jと係合している。具体的には、係止部22eを支点部1eに係合させた状態で、集塵装置2のZ1方向の端部を集塵装置配置部1i側へと回動させることで、案内部1jと先端係合部29bとがX方向およびY方向において互いに係合する。
この係合時には、排気口29aと排気連通口1dとがZ方向において互いに対向する位置に配置される。さらに、傾斜面29cは、案内部1jの係止面1qと互いに当接し、傾斜面29cおよび排気連通口1dの周囲が先端係合部29bと案内部1jとの係合によって気密にシールされる。
このとき、第2円筒部2BのY2方向の側面は、第2配置部1iBに沿って配置される。
このような装着形態における集塵装置2と本体部1との係合は、収容部1Bの外表面に設けられた図示略の係合操作部によって解除可能である。
図4は、図3におけるA−A断面図である。図5は、第1の実施形態の電気掃除機の集塵装置の斜視の分解図である。
集塵装置2の内部には、装着形態では、吸気口22cから排気口29aに向かう風路が形成される。
第1分離部21は、下部円筒部21Aと、上部風路部21Bとを有する。
下部円筒部21Aは、第1カップ部22aよりも小径の外形を有する有蓋円筒状に形成されている。下部円筒部21Aは、第1カップ部22aの内部において底面部22fおよび第1カップ部22aの内周面から離間した位置に、中心軸線Oと同軸に配置されている。
下部円筒部21AのZ2方向の端部には下部開口21aが開口し、Z1方向の端部には下部開口21aよりも狭い上部開口21bが開口している。下部円筒部21Aの側部には、下部円筒部21Aの外周を旋回する含塵空気A1を底面部22fに向けるリブ21eが径方向外側に突出している。
下部円筒部21Aの側面と第1カップ部22aの内周面との間の隙間は、含塵空気A1の旋回風路を形成している。旋回風路では、含塵空気A1に含まれる粗塵D1が遠心分離される。粗塵D1は、第1カップ部22aの内周面に沿って底面部22fに溜まる。
塵埃のうち粗塵D1が除去された含塵空気A2は、底面部22fに回り込み、下部開口21aから下部円筒部21A内で旋回しながらZ1方向に進む。
上部風路部21BのZ1方向の端部には、後述する第2分離部24に含塵空気A2を流入させる第1排気口21dが開口している。
カップ22の内部において、第1分離部21の内部を除く空間は、粗塵D1が回収される第1塵埃回収室S1を構成している。
塵埃案内部23は、第2分離部24を支持する上板部23aと、塵埃案内板23cとを有する。上板部23aの中心部には、上部風路部21Bの開口と略同径の内径を有する開口部23bが中心軸線Oと同軸に形成されている。
上板部23aにおいて開口部23bよりも径方向外側には、複数の開口部23dがZ方向に貫通している。開口部23dは、Z方向に貫通し、後述する第2分離部24の塵埃排出口24gとそれぞれ連通する。
塵埃案内板23cは、各開口部23dよりも内側における上板部23aの下面から、Z2方向に漸次拡径するホーン状に形成されている。
上板部23aの径方向の外縁および塵埃案内板23cの下端部における径方向の外縁と、第2カップ部22dの内周面との間には、図示略のパッキンが配置されている。
このような構成により、第2塵埃回収室S2は、第2分離部24の下方における平面視略円環状の空間からなる。第2塵埃回収室S2は、開口部23dを除くと、気密にシールされている。
第2分離部24は、通気風路部24a、導風部24b、第2分離部本体24e、および上カバー26を有する。本実施形態では、通気風路部24a、導風部24b、および第2分離部本体24eは、樹脂成形等によって一体的に形成されている。
各開口部24fは、後述する第2分離部本体24eにそれぞれ連通している。
第2分離部本体24eは、各開口部24fの径方向外側にそれぞれ設けられている。第2分離部本体24eの個数は、特に限定されないが、本実施形態では一例として、10個である。第2分離部本体24eは、中心軸線Oを中心とする円周上に等間隔に配置されている。
コーン部24dのZ2方向の端部には、第1筒状部24cよりも小径の円孔である塵埃排出口24gがZ方向に開口している。
塵埃排出口24gは、塵埃案内部23の各開口部23dと互いに対向し、互いに気密に接続している。
円筒部26dは、天板部26aの外縁部からZ1方向に延びる略円筒状に形成されている。円筒部26dの外周面は、カバー25の内周面に着脱可能に嵌合する。円筒部26dのZ1方向の先端には、カバー25のZ1方向の端部から径方向内側に延びるフランジ25cが係止している。
円筒部26dよりも径方向内側には、フィルタ体支持部26cが天板部26aからZ1方向に向かって突出している。フィルタ体支持部26cは、後述する第2フィルタ28を支持するための突起部である。例えば、フィルタ体支持部26cは、第2フィルタ28の外周部を下方から支持する円筒状の突起からなる。フィルタ体支持部26cの高さは円筒部26dよりも低い。
第1筒状部24cの内部には、排出筒部26bの外側の開口部24fから吸引される含塵空気A2が排出筒部26b回りに旋回可能な風路が形成される。
さらに、排出筒部26bの内側には、第2分離部本体24eの内部と、天板部26aの上方とをZ方向に連通させる風路が形成されている。
図5に示すように、天板部26aには、各排出筒部26bのZ1方向の端部の内周面による開口部26e(排気口、第2排気口)が形成されている。開口部26eは、第2分離部本体24eの個数および配置に応じて形成される。本実施形態では、10個の開口部26eが、中心軸線Oを中心とする仮想円C0の円周上において互いに離間しており、かつ周方向に等間隔に配置されている。
含塵空気A2が、コーン部24dの内周面に沿って旋回することにより、含塵空気A2に含まれる細塵D2が遠心分離される。細塵D2は、コーン部24dの内面に沿ってZ2方向に移動する。塵埃排出口24gに到達した細塵D2は、塵埃排出口24gと連通する開口部23dを通して、第2塵埃回収室S2内に落下する。第2塵埃回収室S2内に落下した細塵D2は、塵埃案内板23cの傾斜に沿って移動し、第2塵埃回収室S2内に回収される。
含塵空気A2のうち細塵D2が除去された空気を、以下では低塵空気A3と称する。
第2塵埃回収室S2は密閉されているのに対して、排出筒部26bの内部は、本体部1の吸引によって負圧になる。このため、低塵空気A3の多くは、開口部23dを通過することなくコーン部24dの中心部をZ1方向に進む。低塵空気A3は、排出筒部26bの内部を通過して、開口部26eから第2分離部24の上方に排気される。
図5に示すように、上カバー26と蓋体29との間には、Z1方向において、整流部材27、および第2フィルタ28がこの順に配置されている。
図5に示す例では、整流部材27は、上カバー26の上方において、少なくとも開口部26eに重なる範囲に設けられる。整流部材27によって形成される低塵空気A3の流れ方向は、開口部26eが配列された円周よりも内側に向かう方向であることがより好ましい。
図6は、第1の実施形態の電気掃除機における整流部の構成例を示す斜視の模式図である。図7Aは、第1の実施形態の電気掃除機における整流部の構成例を示す平面視の模式図である。図7Bは、図7AにおけるB−B断面図である。
開口部27Cの内径は、平面視にて各開口部26eの全体を覆う大きさであることがより好ましい。例えば、図7Aに示す例では、開口部27Cの内径は、二点鎖線で示す各開口部26eの配列に内接する円の円径に略等しい。ただし、これは一例であり、開口部27Cの内径は、各開口部26eの配列に内接する円の径より小さくてもよい。
Z方向から見た開口部27Cの開口面積は、開口部26eの開口面積の合計よりも広い開口面積を有することがより好ましい。図7Aに示す例では、開口部27Cの開口面積は、開口部26eの開口面積の合計よりも広い開口面積を有する。
図7Bに直線Lを含む鉛直断面(B−B断面)を示すように、エンボス部27BのZ2方向の表面は、凹溝27b(窪み部)を形成している。凹溝27bは、中心軸線Oに関する径方向外側の溝閉端部27a(第1端部)から、中心軸線Oに関する径方向内側の溝開端部27c(第2端部)に向かって延在している。
溝開端部27cは、エンボス部27Bと開口部27Cに沿う円筒面とが交差して形成される端縁である。溝開端部27cは、凹溝27bにおける溝開口部27dを形成する。
凹溝27bの断面形状は、低塵空気A3の風損を低減できる形状であれば、特に限定されない。
本実施形態では、一例として、延在方向に直交する凹溝27bの断面形状はU字状である。溝開端部27cによる延在方向の開口形状も、延在方向から見ると、凹溝27bと同様なU字状である。例えば、凹溝27bの断面形状は、半円形であってもよいし、半円とは異なるU字形でもよい。
溝閉端部27aは、平板部27AからZ1方向に略四分球状に陥没する凹湾曲面であり、凹溝27bと滑らかに接続している。
例えば、図7Aに示す例では、開口部27Cは、溝開口部27dと、平板部27Aの端縁である平板端部27eと、が周方向に交互に配置されて構成されている。低塵空気A3の排気効率の観点では、開口部27Cにおける平板端部27eの占める割合は小さいほどより好ましい。開口部27Cにおける平板端部27eの占める割合は0であってもよい。
凹溝27bの長さは、その延在方向と開口部27Cの大きさとにもよるが、開口部26eを上方から半分以上覆うことができる長さであることがより好ましい。例えば、直線Lを含み平板部27Aに垂直な断面における凹溝27bの長さd27bは、開口部26eの半径以上であることがより好ましい。長さd27bは、凹溝27bの深さHよりも長いことがより好ましい。
第1分離部21および第2分離部24内の含塵空気A1、A2の旋回方向が、Z2方向から見て時計回りの場合には、各エンボス部27Bの延在方向の傾斜は各線分Rに対して逆転される。
このように、エンボス部27Bの延在方向は、各エンボス部27Bから排気される低塵空気A3の旋回方向と一致する旋回方向を有する旋回流を形成できるように定めることがより好ましい。
下側板27gは、平板部27Aの外縁から、Z2方向に延びる壁体で形成される。下側板27gは、平板部27Aを天板部26aと隙間を空けて配置するために設けられている。下側板27gの突出高さは、h(ただし、h>0)である。
hの大きさは、開口部26eから排気される低塵空気A3の風損を考慮して適宜設定されればよい。
フィルタ本体28aは、少なくとも開口部27CをZ方向に覆う大きさを有する。フィルタ本体28aの大きさは、図4に示す例のように、整流部材27のフィルタ支持部27fの内側全体を覆う大きさであることがより好ましい。
枠体28bの下面における外周側にはパッキン30が設けられている。
図4に示すように、枠体28bのZ2方向の端部は、整流部材27の平板部27A上に当接している。これにより、整流部材27上のフィルタ本体28aの高さが規定される。本実施形態では、フィルタ本体28aは、整流部材27のエンボス部27Bの上端と接する位置に配置されている。
枠体28bのZ1方向の端部は、蓋体29の外周部における凹溝に嵌合している。これにより、第2フィルタ28の位置が蓋体29によって規制される。枠体28bは、蓋体29からZ2方向に突出したフィルタ押え29eによって第2フィルタ支持部26cとの間に挟まれている。
枠体28bに設けられたパッキン30は、枠体28bとフィルタ体支持部26cとの間に挟まれている。
このような構成によって、上カバー26と第2フィルタ28との間の空間がパッキン30によってシールされる。
蓋体29とフィルタ本体28aとの間には、風路を形成する隙間が形成されている。
フィルタ本体28aを間に挟んで、整流部材27の開口部27Cと、蓋体29の排気口29aとは、Z方向に対向している。
図8Aは、第1の実施形態の電気掃除機における整流部の作用を説明する断面の模式図である。図8Bは、第1の実施形態の電気掃除機におけるフィルタの汚れ方を示す平面視の模式図である。
含塵空気A1は、接続口1gから本体部1の内部に吸引され、吸気連通口1cを通して集塵装置2の内部に吸い込まれる(図2参照)。
含塵空気A2は各開口部24fに達すると、各開口部24fを通して、各第2分離部本体24eに分流される。
図8Aに示すように、開口部26eの直上には、整流部材27が配置されている。
低塵空気A3の流れ方向は、整流部材27のうち特に開口部26eの直上に位置するエンボス部27Bによって、エンボス部27Bの延在方向に曲げられる(矢印A3a参照)。その際、低塵空気A3は、溝閉端部27aおよび凹溝27bの湾曲面に沿って滑らかに流れ方向が曲げられる。これにより、低塵空気A3の風損が低減できる。
さらに本実施形態では、平面視における各凹溝27bの延在方向が中心軸線Oに対して一定方向に逸れているので、図7Aに示すように、各低塵空気A3は、それぞれの旋回方向と同方向の旋回流が形成される点でも、風損を低減することができる。
開口部27Cを通過した低塵空気A3は、開口部27Cに面する部位を中心にフィルタ本体28aを透過する。低塵空気A3は、フィルタ本体28aを透過した後、図示略の排気口29aから本体部1の排気連通口1dに清浄空気Acとして排気される。
これにより、フィルタ本体28aは、図8Bに模式的に示すよう汚れていく。フィルタ本体28aの経時的な汚れは、中心軸線Oを中心とする略同心円状に分布する。フィルタ本体28aの外縁部F1(主に開口部26eよりも径方向外側)は、ほとんど低塵空気A3が透過しないので、微細塵D3による汚れは少ない。
これに対して、開口部27Cと重なる中心部F3では、全体的に低塵空気A3が透過するので、最も汚れやすい。開口部27Cよりも径方向外側であって、開口部26eと重なる範囲の中間部F2では、低塵空気A3が溝開口部27dを回り込んで進入するので、外縁部F1と中心部F3との中間の汚れが発生する。
図9Aは、比較例の電気掃除機の空気の流れを説明する断面の模式図である。図9Bは、比較例の電気掃除機におけるフィルタの汚れ方を示す平面視の模式図である。
集塵装置102によれば、整流部材27を有しないため、低塵空気A3は、排出筒部26b内の流れ方向を変えることなく、開口部26eからZ1方向に直進する(矢印A3c参照)。低塵空気A3は、開口部26eの直上のフィルタ本体28aを透過した後、図示略の排気口29aから本体部1の排気連通口1dに清浄空気Acとして排気される。
この結果、フィルタ本体28aの汚れは、図9Bに示すように、開口部26eと重なる直上部F12に集中する。直上部F12を除く非直上部F11には、低塵空気A3がほとんど透過しないため、非直上部F11では微細塵D3はほとんど捕集されない。
比較例の集塵装置102において、非直上部F11の面積を狭めるために、第2分離部本体24eを径方向内側に移動したり、第2分離部本体24eの内径を大きくしたりすることも考えられる。しかし、この場合、通気風路部24aが狭くなったり、第2分離部24内での空気の旋回風速の低下を引き起こしたりするため、第2分離部24における遠心分離性能が低下してしまう。
第2の実施形態の電気掃除機を説明する。
図10は、第2の実施形態の電気掃除機における整流部の構成例を示す断面の模式図である。
図10に主要部を示すように、集塵装置2aは、整流部材27に代えて整流部材37(整流部)を有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
凹溝37bは、延在方向において溝閉端部27aから溝開口部27dに向かうにつれて、Z1方向のフィルタ本体28aに向かって傾斜している。凹溝37bは、溝閉端部27aと滑らかに接続している。
凹溝37bの溝深さは、溝閉端部27aから溝開口部27dに向かうにつれて漸次増大している。溝深さの変化量は、低塵空気A3の風損を考慮して適宜に設定できる。
図10に示す例では、凹溝37bの溝底面は、天板部26aおよびフィルタ本体28aに対して、一定角度θだけ傾斜している。ただし、凹溝37bの溝底面は、溝閉端部27aから溝開口部27dに向かうにつれて、傾斜角が漸減したり、漸増したりしてもよい。
凹溝37bの延在方向に直交する断面形状は、凹溝27bと同様のU字状である。ただし、凹溝37bの溝幅は、溝閉端部27aから溝開口部27dに向かうにつれて漸次拡幅していてもよいし、一定幅であってもよい。
すなわち、凹溝27bのように、傾斜を有しない場合に比べて、低塵空気A3の流れ方向の変化が低減されるので、低塵空気A3の風損が低減できる。同様に、溝開口部27dから排気され、図示略の排気口29aに向かって低塵空気A3がZ1方向に流れ方向が変えられる際にも、傾斜を有しない場合に比べると流れ方向の変化が少なくなる。
低塵空気A3は、第1の実施形態と同様、開口部27Cを通して、フィルタ本体28aを透過するので、フィルタ本体28aの寿命は、第1の実施形態と同様に向上する。
第3の実施形態の電気掃除機を説明する。
図11は、第3の実施形態の電気掃除機における整流部の構成例を示す平面視の模式図である。図12は、図11におけるC−C断面図である。
集塵装置2bは、整流部材27に代えて、図11に示す整流部材47(整流部)を有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
エンボス部47Bの延在方向は、エンボス部27Bの延在方向が中心軸線Oから逸れる方向であるのに対して、中心軸線Oに向かう方向である。
図12に示すように、エンボス部47Bの延在方向の断面は、第2の実施形態におけるエンボス部37Bの断面と同様である。すなわち、エンボス部47BのZ2方向の表面は、溝閉端部27aと、凹溝37bとからなる。
このため、溝開口部27dからフィルタ本体28aに向かう低塵空気A3による旋回流の形成がエンボス部47Bによって促進されない以外は第2の実施形態と同様にして、低塵空気A3が、開口部27Cから斜め方向に排気されてフィルタ本体28aに入射する。
本実施形態では、旋回流の形成が促進されない点では、第2の実施形態よりも風損が大きくなるが、フィルタ本体28aの寿命に関しては、第1および第2の実施形態と同様である。
第4の実施形態の電気掃除機を説明する。
図13は、第4の実施形態の電気掃除機における整流部の構成例を示す平面視の模式図である。図14は、図13におけるD−D断面図である。
集塵装置2cは、整流部材27に代えて、図13に示す整流部材57(整流部)を有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
エンボス部57Bは、中心軸線Oを中心としてZ1方向に突出する平面視円形のドーム状に形成されている。エンボス部27Bの中心部には、開口部27Cに代えて円状の貫通孔による開口部57Cが形成されている。開口部57Cの内径の大きさは開口部27Cの内径と同様である。図13に示す例では、開口部57Cは、開口部26eよりも径方向内側に形成されている。
図14に示すように、中心軸線Oを含む断面では、エンボス部57Bの内面57a(傾斜部)は、径方向外側から中心軸線Oに向かうにつれて、平板部27AからのZ1方向の高さが漸増する形状を有する。これにより、内面57aは、平板部27AのZ2方向の表面から中心軸線Oに向かって斜め上方向に傾斜している。ただし、図14に示す例では、傾斜の変化率は、径方向外側から内側に向かって漸次減少している。
これにより、開口部57Cを通過する低塵空気A3(矢印A3f参照)は、旋回成分を含んだ状態で、斜め方向に排気され、フィルタ本体28aに入射する。
さらに、本実施形態によれば、低塵空気A3が開口部57Cから排気される際に周方向の規制を受けない。これにより、低塵空気A3が開口部57Cの周方向に拡散しやすくなる点でも、開口部57Cに対向するフィルタ本体28aの広い範囲に低塵空気A3が入射しやすくなる。
例えば、整流部は、平板部27Aから直角に立ち上がる側面部と側面部の先端から水平またはフィルタに向かって傾斜するように延びる方向変更部とを有する屈曲板、湾曲板が用いられてもよい。この場合、空気が周方向にもれるので、空気の旋回を拘束しないで流れ方向を変えることができる。
Claims (6)
- 空気を吸引する本体部と、
排気口を有するとともに前記本体部によって吸引される前記空気を旋回させて前記排気口から排気するまでの間に前記空気の中の塵埃を遠心分離する複数の分離部と、前記空気の流れ方向で前記複数の分離部よりも下流側に配置され前記空気中に残る塵埃を捕集するフィルタと、前記複数の分離部の各々の少なくとも一部を覆っており前記排気口の少なくとも一部と前記フィルタとの間に配置され前記排気口から前記フィルタに向かう前記空気の流れ方向を変更する整流部と、前記フィルタを透過した前記空気を前記本体部に排気する排気口と、を含む集塵装置と、
を備え、
前記複数の分離部は、1つの仮想円の円周上に沿って並べて配置され、
前記整流部は、
前記複数の分離部の各々の少なくとも一部を覆う円環状に設けられ、前記複数の分離部の前記排気口から排気される前記空気の流れ方向を前記円周から前記円周の中心に向かう方向成分を含むように変更するカバー部と、
前記カバー部の内周側に設けられ、前記カバー部によって流れ方向が変更された前記空気を前記フィルタに向けて通す開口部と、
を有し、
前記フィルタは、前記フィルタの方から前記複数の分離部を見た平面視において前記開口部と前記カバー部の少なくとも一部とを覆う大きさに形成されており、前記カバー部を挟んで前記複数の分離部の前記排気口の全部と対向しかつ前記開口部の全域と対向する位置に配置され、
前記フィルタを透過した前記空気を前記本体部に排気する前記排気口は、前記平面視において前記フィルタを挟んで前記開口部と対向するように配置されている、
電気掃除機。 - 前記整流部の少なくとも一部は、前記フィルタの表面と略平行な方向に対して前記フィルタに向いて傾斜した傾斜部を有する、
請求項1に記載の電気掃除機。 - 前記カバー部は、前記複数の分離部の前記排気口からそれぞれ前記フィルタに向かう前記空気の流れ方向を、前記フィルタの中心側に向かうように変更する、
請求項1または2に記載の電気掃除機。 - 前記開口部の開口面積は、前記複数の分離部の前記排気口の開口面積の合計よりも大きい、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。 - 前記整流部は、前記複数の分離部の前記排気口それぞれに対応する位置に設けられ、それぞれ前記フィルタに向けて窪むとともに前記開口部に向かって延在する溝を形成し、前記開口部と交差する端縁に前記溝が開口する溝開口部が形成された複数の窪み部を有する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。 - 前記フィルタから前記複数の分離部を見た平面視において、前記空気は第1旋回方向に旋回しながら前記複数の分離部から前記複数の分離部の前記排気口の外部に排気され、
前記フィルタから前記整流部を見た平面視において、前記複数の窪み部の各々は、前記窪み部から前記仮想円の内側に向かう前記空気の流れ方向が前記仮想円の中心に対して前記第1旋回方向に旋回するように、前記仮想円の径方向に対して傾けて設けられている、請求項5に記載の電気掃除機。
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