JP6849464B2 - 微細藻類培養池とその作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光合成によりオイルを生産する微細藻類を培養するための池とその作製方法に関するものである。
近年、新たな再生可能エネルギーの一つとして、微細藻類が産生するオイル生産などの「バイオマス」の活用が注目されている。微細藻類は、一般的には水中に存在する顕微鏡サイズの藻で、その多くは植物と同様に、太陽光を利用して二酸化炭素を固定し、炭水化物を合成する光合成を行い、代謝物としてオイルを産生する。
微細藻類の培養施設としては、微細藻類と培養液の混合液を収納する長円形状の循環水路を成す培養池と流路内の混合液を撹拌するための撹拌装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−239746号公報
ところで、微細藻類を大量培養するためには、開放系の大規模培養施設が必要となるが、従来の数百m2〜数千m2規模の培養施設は、施設の安全性や安定性のため、コンクリート製の培養池が必要であった。
しかしながら、コンクリート製の培養池は、100m2程度の比較的小型のものであっても、建設費用が高価であるだけでなく、施工に要する期間が長くなってしまうといった問題点あった。
一方、ゴルフ場などの調整池などの水深が20cm程度の浅い池の中には、地面を素掘りした中に直接防水シート貼った安価で短期間で作製できるものがあるが、素掘りの場合には、施工後に周辺から水が集まり、シートの底面や裏面に水が入り込んでシートを持ち上げる可能性があり、将来的にはシートが損傷する恐れがあるので、微細藻類を培養する培養池に適用することは困難である。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、安全性や安定性を確保できるとともに、短期間で作製が可能な微細藻類培養池とその作製方法を提供することを目的とする。
本発明は、光合成を行う微細藻類を培養するための微細藻類培養池であって、整地された地面から立ち上がるように形成された平面視枠型の外壁と、前記外壁に囲まれた領域に敷設されて、縁部が前記外壁に貼付けられる防水シートとを備え、前記外壁が、複数のコンクリートブロックを、上下方向に積層するとともに、枠状に配列して成ることを特徴とする。
このように、素掘りをせず、地面にコンクリートブロックを用いて培養池の骨組みである外壁を作り、そこに防水シートを貼付けるようにすれば、規模も形状も好みのままの池を短期間で作り上げることができる。また、素掘りでなく、外壁を整地された地面から立ち上げるように構築したので、雨天時にも周囲の水が防水シートの裏面・底面に入り込むことがないので、培養池の安全性や安定性を確保できる。
また、前記外壁と前記防水シートで囲まれた空間に収納される培養液を攪拌するための撹拌装置を設けて、培養した藻類を攪拌混合できるようにしたので、藻類の培養を効果的に行うことができる。
また、当該微細藻類培養池に収納される微細藻類と前記微細藻類の培養液とを含む液体上に浮遊するフロート部材と、前記フロート部材に搭載される水車と、前記水車を回転させる駆動装置とを備えた撹拌装置を設けたので、撹拌装置の設置位置の自由度を高めることができる。
また、水車に代えて、前記フロート部材に搭載されて前記液体内にバブルを放出するバブル発生器を用いれば、撹拌装置の設置位置の自由度を高めることができるとともに、水流の発生だけでなく、培養液中に、藻の培養促進に効果的な二酸化炭素の注入・溶解も同時に行えるので、微細藻類の培養を効果的に行うことができる。
また、前記外壁内に、複数のコンクリートブロックを積層して成る内壁を設けて循環水路を形成するようにしたので、培養液を効果的に攪拌することができる。
また、本発明は、光合成を行う微細藻類を培養するための微細藻類培養池の作製方法であって、整地した地面に、複数のコンクリートブロックから成る平面視枠型の外壁を構築する工程と、前記地面の前記外壁に囲まれた領域に防水シートを敷設する工程と、前記防水シートの縁部を前記外壁に貼付ける工程と、を備え、前記外壁を構築する工程では、
複数のコンクリートブロックを、上下方向に積層するとともに、枠状に配列して前記外壁を構築することを特徴とする。
このような工程を採ることにより、安全性や安定性の高い微細藻類培養池を短期間に製作することができる。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
本実施の形態に係る微細藻類培養池を示す図である。 本実施の形態に係る撹拌装置を示す図である。 外壁の構築方法と防水シートの取付方法の一例を示す図である。 本発明による微細藻類培養池の他の例を示す図である。 本発明による微細藻類培養池の他の例(内壁なし)を示す図である。 撹拌装置の他の例を示す図である。
実施の形態
図1(a)〜(c)は本実施の形態に係る微細藻類培養池1を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は(a)図のA−A断面図、(c)図はB−B断面図である。
各図において、2は外壁、3は防水シート、4は内壁、5は撹拌装置である。
外壁2は、整地された地面G上に、複数のコンクリートブロック6a,6bを積層して形成される。本例では、平面視長方形状のコンクリートブロック6aと台形状のコンクリートブロック6bを組み合わせて、上から見た形状がトラック状(角丸長方形状ともいう)の外壁2を構築した。
防水シート3は、外壁2に囲まれた領域に敷設され、その縁部3aが、外壁2の外周部に貼付けられている。
内壁4は、外壁2の内部で、防水シート3上に、複数の平面視長方形状のコンクリートブロック6aを積層したものを直線状に配置したもので、外壁2内を内壁4により区切ることで、外壁2と内壁4と防水シート3により囲まれた空間である培養池1内に収納される藻類の培養液Cの循環流路が形成される。
撹拌装置5は、図2(a),(b)にも示すように、培養池1内に収納される培養液Cに浮遊する3つのフロー部材51,52,53と、隣接するフロー部材51,52、及び、フロー部材52,53をそれぞれ連結する連結部材54と、隣接するフロー部材51,52、及び、フロー部材52,53間にそれぞれ配置される水車55,55と、中央のフロー部材52上に設置されて、水車55を駆動する駆動装置56と、撹拌装置5を外壁2と内壁4との間に拘束するためのロープ57の一端側を固定するフロー部材側固定部材58とを備える。
ロープ57の他端側は、外壁2と内壁4とにそれぞれ設けられた壁側固定部材7に取付けられる。ロープ57とフロー部材側固定部材58と壁側固定部材7とにより、フロート部材を外壁2と内壁4との間に拘束する拘束部材を構成する。
なお、本例では、外壁2と内壁4にそれぞれ複数個設けることで、撹拌装置5の設置位置を変更可能としている。
次に、微細藻類培養池1の作製方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、整地した地面Gに、平面視長方形状のコンクリートブロック6aと台形状のコンクリートブロック6bとを用いて、平面視枠型の外壁2を構築する。本例では、図(a)に示すように、外壁2の形状をトラック状とした。このとき、コンクリートブロック6a,6bを地面Gに固定する。具体的には、コンクリートブロック6a,6bに予め形成された穴に、鉄筋(もしくは、アンカーボルト)2mを通し、その先端を地面Gに打ち込込んだ後、その穴にモルタル等を注入・固化するなどすればよい。
次に、図3(b)に示すように、地面Gの外壁2に囲まれた領域に防水シート3を敷設し、その縁部3aを外壁2の外周側の側面に固定することで、防水シート3を外壁2に貼付ける。防水シート3を固定するには、例えば、ビス3mなどの固定部材を外周側の側面側からコンクリートブロック6a,6bに打ち込むなどすればよい。
防水シート3の貼付け後には、図3(c)に示すように、外壁2の内側の防水シート3上に、平面視長方形状のコンクリートブロック6aを用いて内壁2を構築する。この場合も、コンクリートブロック6aを、鉄筋4mを用いて地面Gに固定することが好ましい。
微細藻類培養池1の作製後には、外壁2と内壁4と防水シート3により囲まれた循環流路に藻類の培養液Cを投入する。そして、培養液C上に撹拌装置5を設置した後、図2(b)に示すように、駆動装置56を駆動させて、水車55,56を回転させることで、循環流路にて培養液Cを循環させる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
例えば、前記実施の形態では、防水シート3を敷設した後に、内壁4を構築したが、先に外壁2と内壁4とを構築した後、防水シート3を敷設してもよい。
また、前記実施の形態では、平面視トラック状の培養池1を作製したが、培養池1の形状はこれに限るものではなく、図4(a)に示すような、円形の外壁2Rと内壁4Rとを有する培養池1Rなど、円形、四角形、楕円形など他の形状としてもよい。あるいは、図4(b)に示すように、外壁2内に隔壁21を設けるとともに、外壁2と内に隔壁21とにより囲まれた領域にそれぞれ内壁41,42を設けるようにしてもよい。これにより、一つの微細藻類培養池1Tで、2種類の異なる微細藻類を培養池することができる。
また、前記実施の形態では、内壁4を備えた培養池1を作製したが、図5に示すように、大きな培養池1Zの場合には、内壁を作らなくてもよい。この場合、撹拌装置5は、外壁2に拘束してもよいし、培養池1Z内にポール等のフロート固定部材7Pを立て、このフロート固定部材7Pに撹拌装置5を固定すればよい。これにより、培養池1Zに、攪拌装置5が移動・浮遊することなく設置することができる。
また、同図に示すように、培養池1Zが広い場合には、攪拌装置5を複数台浮かべるようにすれば、培養池1Zに全体を攪拌することができる。
また、前記実施の形態では、水車55を備えた撹拌装置5を用いたが、図6に示すような、ナノバブルを発生させて水流を起こさせる形態の撹拌装置8を用いてもよい。
撹拌装置8は、撹拌液を吸い込むポンプ81と、図示しない空気供給装置からの空気を輸送する輸送管82と、撹拌液に空気を混合するミキサー83と、空気が混合された撹拌液を攪拌液中に噴出させるノズル84とを備え、攪拌液中に細かい泡(ナノバブル)となった空気を噴出させることで、攪拌液中に水流を発生させることができる。
このとき、空気に、藻の培養促進に効果的な二酸化炭素を混入してやれば、水流の発生に加えて、二酸化炭素を培養液中に注入・溶解させることができるので、藻の培養を更に効率よく行うことができる。
撹拌装置8は、例えば、フロー部材52に、取付板59を介して取付ればよい。
また、ナノバブルを用いた撹拌装置8は、水深が浅い培養池だけでなく、水流の発生方向を、例えば、噴流型等に変更することで、水深が深い培養池においても、効果的な撹拌混合が可能となる。
1 微細藻類培養池、2 外壁、3 防水シート、3a 防水シートの縁部、
4 内壁、5 撹拌装置、6a,6b コンクリートブロック、7 壁側固定部材、
51〜53 フロー部材、54 連結部材、55 水車、56 駆動装置、
57 ロープ、C 培養液、G 地面。

Claims (7)

  1. 光合成を行う微細藻類を培養するための微細藻類培養池であって、
    整地された地面から立ち上がるように形成された平面視枠型の外壁と、前記外壁に囲まれた領域に敷設されて、縁部が前記外壁に貼付けられる防水シートとを備え、
    前記外壁が、
    複数のコンクリートブロックを、上下方向に積層するとともに、枠状に配列して成ることを特徴とする微細藻類培養池。
  2. 前記外壁と前記防水シートで囲まれた空間に収納される培養液を攪拌するための撹拌装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の微細藻類培養池。
  3. 前記撹拌装置が、
    当該微細藻類培養池に収納される微細藻類と前記微細藻類の培養液とを含む液体上に浮遊するフロート部材と、
    前記フロート部材に搭載される水車と、
    前記水車を回転させる駆動装置とを備えることを特徴とする請求項2に記載の微細藻類培養池。
  4. 前記撹拌装置が、
    当該微細藻類培養池に収納される微細藻類と前記微細藻類の培養液とを含む液体上に浮遊するフロート部材と、
    前記フロート部材に搭載されて前記液体内にバブルを放出するバブル発生器とを備えることを特徴とする請求項2に記載の微細藻類培養池。
  5. 前記外壁内に、複数のコンクリートブロックを積層して成る内壁を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の微細藻類培養池。
  6. 光合成を行う微細藻類を培養するための微細藻類培養池の作製方法であって、
    整地した地面に、複数のコンクリートブロックから成る平面視枠型の外壁を構築する工程と、
    前記地面の前記外壁に囲まれた領域に防水シートを敷設する工程と、
    前記防水シートの縁部を前記外壁に貼付ける工程と、
    を備え
    前記外壁を構築する工程では、
    複数のコンクリートブロックを、上下方向に積層するとともに、枠状に配列して前記外壁を構築することを特徴とする微細藻類培養池の作製方法。
  7. 前記外壁の内側の防水シート上に、複数のコンクリートブロックから成る内壁を構築する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の微細藻類培養池の作製方法。
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