JP2019187287A - 攪拌促進装置および藻類培養装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】培養液表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を未然に防止することができる攪拌促進装置および藻類培養装置を提供する。【解決手段】開水路10を流れる培養液Bの攪拌を促進するための攪拌促進装置14であって、表層Sから下方に向かう培養液Bの流れを形成する流れ形成手段20を備えるようにする。【選択図】図2
Description
本発明は、培養液の攪拌を促進するのに好適な攪拌促進装置およびこれを備えた藻類培養装置に関するものである。
近年、バイオマス燃料や食品の材料として微細藻類が注目されており、大規模な培養プラントにおける藻類培養が盛んである(例えば、特許文献1〜3を参照)。藻類は光合成により炭水化物を生産できるため、光と二酸化炭素を利用して独立栄養的に培養することが可能である。屋外での太陽光を利用した大規模培養は生産コスト低減のために有効であるが、屋外で水平方向の水流を利用して攪拌する場合、表層の微細藻類が強力な太陽光を浴びることで生長が阻害される。一方で下層の微細藻類は光の減衰により十分に光合成を行うことができず、増殖速度の低下や溶存酸素濃度の不足が生じる。
表層での強光による阻害を解消するためには遮光を行う、LEDなどの人工光を利用するなどの対策があるが、前者は太陽光エネルギーの利用効率を減少させてしまい、後者は外部電力を必要とする。例えば太陽光発電によって得た電力を利用する場合であっても照明として利用するまでにロスが生じ、十分な光合成を行わせるためには膨大なエネルギーが必要になる。また、レースウェイ型培養装置の場合、下層での光不足を解消するために現在はエアレーションによる通気攪拌などが行われており、こちらも新たに動力を必要とする。微細藻類を生産する際の生産コストを削減することは勿論、微細藻類を利用した燃料生産を行う際には導入エネルギーを極力抑えなければならないため既存の方法は生産に対して不利益を生じるおそれがある。
このため、培養液表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を同時に解決することのできる技術が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、培養液表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を未然に防止することができる攪拌促進装置および藻類培養装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る攪拌促進装置は、開水路を流れる培養液の攪拌を促進するための攪拌促進装置であって、表層から下方に向かう培養液の流れを形成する流れ形成手段を備える。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置は、上述した発明において、流れ形成手段は、培養液の液位に追従して昇降可能に培養液の表層に設けられ、表層の流れに抵抗する水流抵抗体からなることを特徴とする。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置は、上述した発明において、水流抵抗体は、培養液の液面に浮上する浮上部から液中に延びて係留される攪拌板からなることを特徴とする。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置は、上述した発明において、浮上部および攪拌板は透光性であることを特徴とする。
また、本発明に係る藻類培養装置は、上述した攪拌促進装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る攪拌促進装置によれば、開水路を流れる培養液の攪拌を促進するための攪拌促進装置であって、表層から下方に向かう培養液の流れを形成する流れ形成手段を備えるので、表層を流れる培養液は流れ形成手段によって流向が下向きに変えられて、表層付近の培養液の垂直方向への攪拌が促進される。このため、表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を未然に防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置によれば、流れ形成手段は、培養液の液位に追従して昇降可能に培養液の表層に設けられ、表層の流れに抵抗する水流抵抗体からなるので、表層を流れる培養液は水流抵抗体に衝突して下方へと押し出される。これにより、表層付近の培養液の垂直方向への攪拌が促進されるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置によれば、水流抵抗体は、培養液の液面に浮上する浮上部から液中に延びて係留される攪拌板からなるので、攪拌板によって表層付近の培養液の垂直方向への攪拌が促進されるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置によれば、浮上部および攪拌板は透光性であるので、開水路上方から下層への光の導入を妨げることがないという効果を奏する。
また、本発明に係る藻類培養装置によれば、上述した攪拌促進装置を備えるので、表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を未然に防止することができるという効果を奏する。
以下に、本発明に係る攪拌促進装置および藻類培養装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る藻類培養装置100は、微細藻類を屋外で培養する装置であり、培養液Bが循環する循環路10を有する培養槽12と、本実施の形態に係る攪拌促進装置14を備えている。
攪拌促進装置14は、循環路10中に任意の個数を設置することができる。図1の例では、循環路10に沿って間隔をあけて3個設置した場合を示している。
循環路10は、培養槽12内の仕切り板16で環状に形成されたレースウェイ型の開水路である。仕切り板16と側壁10Bとの間には、水車型のパドル18が設置されている。パドル18は、培養液Bを攪拌混合するとともに、循環路10内に培養液Bの水平方向の流れ(循環流C)を形成する。循環路10内で培養される藻類は、この循環路10を循環する間に、培養液B中の栄養分や太陽光を得て増殖する。
攪拌促進装置14は、表層Sから下方に向かう培養液Bの流れを形成する流れ形成手段20を備えている。本実施の形態の流れ形成手段20は、培養液Bの液面に浮上する浮上部22と、この浮上部22の下面に固定され、下方に延びる攪拌板24と、浮上部22を係留するロープ等の係留索26からなる。係留索26は循環路10の底面10Aに沈設した錘28に繋がれている。このため、攪拌板24は、錘28、係留索26、浮上部22によって循環路10の任意の箇所の培養液Bの表層Sに係留固定される。
浮上部22は、培養液Bの液位WLに追従して昇降する浮体である。攪拌板24は、表層Sの流れに抵抗する板状の水流抵抗体であり、水平方向の流れCに対して垂直方向に延びている。攪拌板24は浮上部22の下面に固定されているので、液中に没する垂直方向の長さLを一定に保ちながら液位WLに追従して昇降し、どのような液位WLでも攪拌作用を発揮可能である。
なお、浮上部22および攪拌板24が水平方向の流れCによって多少傾くことは許容範囲であるが、水平まで傾いてしまうと所期の効果を発揮できないので、例えば、攪拌板24の下部に重量物を設けて、過度に傾斜することを防止してもよい。
攪拌板24の幅Wは、循環路10の幅と同等の幅、垂直方向の長さLは5cm程度とすることが好ましい。このようにすれば、表層Sを流れる培養液Bのほぼ全量を下向きに流動させることができる。
浮上部22、攪拌板24は、例えばプラスチック、アクリル、ガラスなどの透光性の材料で構成することが好ましい。このようにすれば、循環路10の上方から下層の培養液Bへの光の導入を妨げることがない。
本実施の形態によれば、表層Sを流れる微細藻類を含む培養液Bは全て攪拌板24に衝突して下方へと押し出される。これにより、表層S付近の微細藻類を含む培養液Bの垂直方向への攪拌が促進される。このため、表層Sでの過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を同時に未然に防止することができる。
この効果により、単位面積当たりの藻類の生産速度が改善される。また、日射の強い地域で培養を開始する際、藻体濃度が薄い培養初期に生じやすい光阻害の影響を避けることができ、安定的に培養することができる。
上記の実施の形態においては、浮上部22および攪拌板24を係留索26で錘28に係留する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではない。このようにする代わりに、例えば、係留索26の下端部を接着剤で循環路10の底面10Aに直接固定してもよいし、底面10Aに固定したアンカーに係留索26の下端部を連結固定してもよい。また、循環路10の側壁10Bまたはその上端部と仕切り板16またはその上端部との間に、循環路10を幅方向に跨ぐ形態で固定部材を橋渡しし、この固定部材に浮上部22および攪拌板24をぶら下げて液中に没するようにしてもよいし、浮上部22を省略して攪拌板24のみをぶら下げてもよい。このようにしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
また、上記の実施の形態では、レースウェイ型の循環路10を有する培養槽12に適用する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではなく、自由液面を有する開水路流れを利用して培養する形式の培養槽であれば、いかなる型式の培養槽でもよい。このようにしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明に係る攪拌促進装置によれば、開水路を流れる培養液の攪拌を促進するための攪拌促進装置であって、表層から下方に向かう培養液の流れを形成する流れ形成手段を備えるので、表層を流れる培養液は流れ形成手段によって流向が下向きに変えられて、表層付近の培養液の垂直方向への攪拌が促進される。このため、表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を未然に防止することができる。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置によれば、流れ形成手段は、培養液の液位に追従して昇降可能に培養液の表層に設けられ、表層の流れに抵抗する水流抵抗体からなるので、表層を流れる培養液は水流抵抗体に衝突して下方へと押し出される。これにより、表層付近の培養液の垂直方向への攪拌が促進される。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置によれば、水流抵抗体は、培養液の液面に浮上する浮上部から液中に延びて係留される攪拌板からなるので、攪拌板によって表層付近の培養液の垂直方向への攪拌が促進される。
また、本発明に係る他の攪拌促進装置によれば、浮上部および攪拌板は透光性であるので、開水路上方から下層への光の導入を妨げることがない。
また、本発明に係る藻類培養装置によれば、上述した攪拌促進装置を備えるので、表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を未然に防止することができる。
以上のように、本発明に係る攪拌促進装置および藻類培養装置は、水平方向の水流を利用して培養液を攪拌する屋外型の藻類培養装置に有用であり、特に、培養液表層での過剰な光による阻害と下層での光不足による増殖阻害を同時に解決するのに適している。
10 循環路(開水路)
10A 底面
10B 側壁
12 培養槽
14 攪拌促進装置
16 仕切り板
18 パドル
20 流れ形成手段
22 浮上部
24 攪拌板(水流抵抗体)
26 係留索
28 錘
100 藻類培養装置
B 培養液
C 循環流
L 長さ
S 表層
W 幅
WL 液位
10A 底面
10B 側壁
12 培養槽
14 攪拌促進装置
16 仕切り板
18 パドル
20 流れ形成手段
22 浮上部
24 攪拌板(水流抵抗体)
26 係留索
28 錘
100 藻類培養装置
B 培養液
C 循環流
L 長さ
S 表層
W 幅
WL 液位
Claims (5)
- 開水路を流れる培養液の攪拌を促進するための攪拌促進装置であって、
表層から下方に向かう培養液の流れを形成する流れ形成手段を備えることを特徴とする攪拌促進装置。 - 流れ形成手段は、培養液の液位に追従して昇降可能に培養液の表層に設けられ、表層の流れに抵抗する水流抵抗体からなることを特徴とする請求項1に記載の攪拌促進装置。
- 水流抵抗体は、培養液の液面に浮上する浮上部から液中に延びて係留される攪拌板からなることを特徴とする請求項2に記載の攪拌促進装置。
- 浮上部および攪拌板は透光性であることを特徴とする請求項3に記載の攪拌促進装置。
- 請求項1〜4のいずれか一つに記載の攪拌促進装置を備えることを特徴とする藻類培養装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018083359A JP2019187287A (ja) | 2018-04-24 | 2018-04-24 | 攪拌促進装置および藻類培養装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018083359A JP2019187287A (ja) | 2018-04-24 | 2018-04-24 | 攪拌促進装置および藻類培養装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019187287A true JP2019187287A (ja) | 2019-10-31 |
Family
ID=68387449
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018083359A Pending JP2019187287A (ja) | 2018-04-24 | 2018-04-24 | 攪拌促進装置および藻類培養装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019187287A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113025484A (zh) * | 2021-03-01 | 2021-06-25 | 雷小英 | 一种藻类微生物智能交互培养设备 |
-
2018
- 2018-04-24 JP JP2018083359A patent/JP2019187287A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113025484A (zh) * | 2021-03-01 | 2021-06-25 | 雷小英 | 一种藻类微生物智能交互培养设备 |
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