JP6848540B2 - 粒子状無機化合物及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子状無機化合物及びその用途に関する。詳しくは、ハイドロタルサイト及び/又は酸化亜鉛を用いた粒子状無機化合物、アンモニア消臭剤、分散体及び化粧料に関する。
ハイドロタルサイトは層状粘度鉱物の一種であり、触媒や医薬品、化粧料、樹脂用添加剤等の多種多様な用途に広く使用されている。また酸化亜鉛は亜鉛華とも称され、化粧料や塗料、プラスチック等の幅広い用途に用いられており、いずれの無機物質もこれまでに様々な検討がなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ところで、快適な日常生活を求める声の高まりに従い、アンモニア等の消臭技術が種々開発されている。例えば多孔質シリカや活性炭、ゼオライト、シリカゲル、リン酸ジルコニウム等は、アンモニアガスや酢酸ガス等に対して吸着能を有するため、消臭剤として広く使用されている。消臭技術に関しては、例えば特許文献1、3の他、特許文献4にも記載がある。
特開2013−85568号公報 特開2006−206660号公報 国際公開第2017/026379号 特開2014−113214号公報
本願出願人は既に、亜鉛系のハイドロタルサイト型粒子がアンモニアガスやリン化合物の吸着性能に優れることを見いだしている(特許文献3参照)。だが、これをアンモニア消臭剤といった臭気ガス吸着剤として使用するには多量の使用量が必要である等、未だ改良の余地があった。
特許文献1には、調理臭及び残留臭に消臭効果を発揮する消臭剤組成物として、ハイドロタルサイト類を含む組成物が記載されているが、この組成物ではアンモニアや酢酸の消臭能が不充分であった。特許文献2には、ハイドロタルサイト、界面活性剤、分散剤及び水からなる水分散体が記載されているが、このような水分散体は消臭能が不充分である。
特許文献4には、ポリカルボン酸類がアンモニア等の塩基性ガスを吸着するとの記載がある(段落0016参照)。だが、ポリカルボン酸類は、アンモニアガス吸着能が低く、しかも酢酸ガスを吸着できないため、消臭剤としての実用化には適さない。
本発明は、上記現状に鑑み、アンモニア消臭能に優れるうえ、酢酸消臭能も有する粒子状無機化合物を提供することを目的とする。本発明はまた、このような粒子状無機化合物を用いたアンモニア消臭剤、分散体及び化粧料を提供することも目的とする。
本発明者らは、上述の通り亜鉛系のハイドロタルサイト型粒子がアンモニア等の塩基性ガスに代表される臭気ガスを吸着することを既に見いだしていた。だが、改良の余地があったため鋭意検討を進めていたところ、ハイドロタルサイトに、(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体及び/又はこれを用いた共重合体が所定量担持されてなる構造の粒子状無機化合物とすれば、アンモニアガスに対する吸着能が特異的に向上するとともに、酢酸ガス等の他のガス吸着能も低下することなく充分に発揮できることを見いだした。このような効果は、亜鉛系のハイドロタルサイトに限らずマグネシウム系等の他のハイドロタルサイトを用いた場合にも発揮することができるうえ、担体としてハイドロタルサイトだけでなく酸化亜鉛を用いた場合にも同様の効果を発揮できることを見いだした。こうして上記構成の粒子状無機化合物がアンモニア消臭能に際立って優れ、酢酸消臭能も有することを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)ハイドロタルサイト及び/又は酸化亜鉛に、(B)(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体及び/又はこれを用いた共重合体が担持されてなり、該成分(B)の担持量は、成分(A)100重量部に対し1.5重量部以上である粒子状無機化合物である。
上記粒子状無機化合物は、JIS K5101−17−1(2004年)の顔料試験方法によるpH値が6〜7.5であることが好ましい。
上記(B)成分は、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム/マレイン酸アンモニウム共重合体、及び、(メタ)アクリル酸アンモニウム/アクリルアミド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明はまた、上記粒子状無機化合物からなるアンモニア消臭剤でもある。
本発明はまた、上記粒子状無機化合物を含む分散体でもある。
上記分散体は、更に、水を含むことが好ましい。
本発明はまた、上記粒子状無機化合物を含む化粧料でもある。
本発明はまた、上記粒子状無機化合物を含む樹脂組成物でもある。
本発明は更に、上記粒子状無機化合物を含む塗料でもある。
本発明はそして、上記粒子状無機化合物を含む衛生材料でもある。
本発明の粒子状無機化合物は、上述の構成よりなるので、アンモニア消臭能に優れるうえ、酢酸消臭能も有するものである。また、ホルムアルデヒドに対しても一定の消臭能力を有するものである。それゆえ、アンモニア等の消臭剤として特に有用である。また、粒子サイズの小サイズ化も実現できるため、繊維等に容易に練り込むことができ、不織布等に展着させやすい他、臭気ガスと粒子状無機化合物との接触頻度を高めることができるという効果も期待できる。また、化粧料用途に有用であるうえ、塗料、インキ、医薬品、医薬部外品、衛生材料、放射線遮蔽材、樹脂材料、触媒、印刷用トナー、滑材等の各種用途にも適用が期待される。
実施例5及び比較例2で得た粉末の熱重量(TG)測定結果である。 実施例5及び比較例2で得た粉末の示差熱(DTA)測定結果である。
以下、本発明の一例について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1、粒子状無機化合物
本発明の粒子状無機化合物は、(A)ハイドロタルサイト及び/又は酸化亜鉛に、(B)(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体及び/又はこれを用いた共重合体が担持されてなるものである。なお、各成分はそれぞれ1種又は2種以上使用することができる。
以下では、各成分を「(A)成分」等とも称す。
上記粒子状無機化合物は、(A)成分に、(B)成分が担持されてなる。
すなわち(A)成分と(B)成分との単なる混合物ではなく、(A)成分に(B)成分が担持した状態からなる。
上記(B)成分の担持量は、(A)成分100重量部に対し1.5重量部以上である。1.5重量部未満では、(B)成分による効果が充分に発揮できないため、アンモニア消臭効果を発揮することができない。好ましくは1.7重量部以上、より好ましくは2重量部以上、更に好ましくは5.1重量部以上である。5.1重量部以上であると、更に高いアンモニア消臭効果が得られることに加え、ホルムアルデヒド消臭効果においても優れた効果を発揮することができる点で特に好ましい。また、(B)成分の担持量の上限は特に限定されないが、20重量部を超えても効果は頭打ちとなることから、20重量部以下であることが好ましい。より好ましくは10重量部以下、更に好ましくは9重量部以下である。最も好ましくは5.1〜9重量部であり、この場合には、アンモニア、酢酸及びホルムアルデヒドのいずれにも極めて優れた消臭効果を発揮できる組成物となる点で好ましい。
本明細書中、(B)成分の担持量は、示差熱分析による重量減少値から算出することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法にて求めることができる。
ここで、(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体や共重合体は、分散体を作製する際の分散剤として使用されることがある(例えば、特許文献2等参照)。だが、分散剤としての使用態様では、分散剤が多すぎると不純物となり、所望の効果を充分に発揮できないおそれがあることから、最終生成物中の分散剤含有量が分散対象物質100重量部に対し1重量部以下となるように、分散剤を使用することが通常である。従って、従来の分散剤としての使用態様に基づいて、本発明のように、(B)成分を多量使用して(B)成分の担持量が上記範囲内となる粒子状無機化合物を得ることは、当業者にとって容易に想到できない事項といえる。
上記粒子状無機化合物の粒子径は特に限定されないが、粒子のメジアン径(D50)が0.001〜20μmであることが好ましい。D50がこの範囲内にあると、繊維にも容易に練り込むことができるため、消臭剤としての適用が更に拡大する。中でも、特に臭気ガスと粒子状無機化合物との接触頻度を高める観点から、粒子径が小さいことが好適であり、この場合は0.001〜10μmであることが好ましい。より好ましくは0.005〜1μm、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。
本明細書中、メジアン径(D50)とは、体積基準での50%積算粒径を意味し、粉体(粒子)をある粒子径から2つに分けた際に、大きい側と小さい側とが等量になる径をいう。具体的には、後述する実施例に記載の方法に従って求められる。
上記粒子状無機化合物は、JIS K5101−17−1(2004年)の顔料試験方法によるpH値(顔料pHとも称す)が6〜7.5であることが好適である。この範囲内にあると、皮膚への刺激性が低減されるため、例えば化粧料や衛生材料等の直接肌に触れる用途に有用なものとなる。化粧料や衛生材料以外の中性であることが要望される用途にも好適なものとなる。顔料pHは、より好ましくは6.5〜7.5である。
本明細書中、顔料pHは、JIS K5101−17−1(2004年)の顔料試験方法による測定値である。
上記粒子状無機化合物は、その比表面積が0.1〜200m/gであることが好ましい。比表面積がこの範囲にあると、臭気ガスと粒子状無機化合物との接触頻度が増加し、単位重量あたりの消臭能がより一層優れるものとなる。より好ましくは5〜80m/g、更に好ましくは10〜65m/gである。
本明細書中、比表面積は、BET法により得られたBET比表面積(SSAとも称す)を意味する。BET法は、窒素等の気体粒子を固体粒子に吸着させ、吸着した量から比表面積を測定する気体吸着法であり、圧力Pと吸着量Vとの関係からBET式によって単分子吸着量VMを求めることで、比表面積が定まる。具体的には、後述の実施例に記載の条件によりBET比表面積を求める。
以下、粒子状無機化合物を与える各成分について更に説明する。
1)(A)成分
本発明では、(A)成分として、ハイドロタルサイト及び/又は酸化亜鉛を使用する。このいずれかのみを使用してもよいし、両者を使用してもよい。
1−1)ハイドロタルサイト
ハイドロタルサイトとしては特に限定されないが、アンモニア消臭能をより高める観点から、亜鉛元素及び周期表第2族元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素と、アルミニウム元素とを含む粒子が好適である。より好ましくは下記式(1):
{(R)(Zn)}(Al)(OH)(An−x/n・mHO (1)
(式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは0.20〜0.40の数であり、yは0〜0.80の数であり、zは0〜0.80の数であって、かつx+y+z=1を満たす。nは1〜4の整数である。mは、0以上の数である。)で表される粒子である。
上記式(1)中、n価の層間アニオンとしては特に限定されないが、反応性及び環境負荷低減の観点から、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2−)及び硫酸イオン(SO 2−)からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。中でも、炭酸イオンが好ましい。
Rは、周期表第2族元素を表す。例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等が挙げられる。中でも、本発明の粒子状無機化合物を化粧料に用いる場合は、人体への影響を考慮すると、マグネシウム元素又はカルシウム元素であることが好ましい。より好ましくはマグネシウム元素である。
x、y及びzは、0.20≦x≦0.40、0≦y≦0.80、0≦z≦0.80、及び、x+y+z=1を満たす数である。x、y及びzが上記範囲内にあると、結晶構造が安定する。より安定性を向上させる観点から、〔(z+y)/x〕が1.5/1〜3/1となるようにx等を調整することが好ましい。より好ましくは2/1となるように調整することである。この観点から、xは、0.25以上であることが好ましく、より好ましくは0.30以上であり、また0.40以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下、更に好ましくはx=1/3(=約0.33)である。yは、0.24以上であることが好ましく、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.28以上であり、また0.75以下であることが好ましく、より好ましくは0.70以下である。zは、0.20以下であることが好ましい。
nは、1〜4の整数であり、層間アニオンの価数によって適宜調整すればよい。好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2である。
mは、0以上の数である。このmは、結晶構造を解析することで理論上求めることができるが、実際には、付着水の存在等によって正確に測定することは困難である。理論上は、例えば、0以上5未満であることが好ましい。
上記ハイドロタルサイトは、粒子のメジアン径(D50)が0.001〜20μmであることが好ましい。メジアン径(D50)がこの範囲内にあると、得られる粒子状無機化合物の流動性がより安定するうえ、例えば化粧料に含めた際の肌への塗布感触や滑り性にも優れたものとなる。より好ましくは0.05〜10μmである。
本明細書中、メジアン径(D50)とは体積基準での50%積算粒径を意味し、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径をいう。具体的には、後述の実施例に記載の方法に従って求められる。
上記ハイドロタルサイトは、ステアリン酸又はステアリン酸ナトリウムによる表面処理がされていないものが好ましい。言い替えれば、ステアリン酸又はステアリン酸ナトリウムからなる層を表面に有さないハイドロタルサイトであることが好適である。これにより、ハイドロタルサイトの表面にアンモニアガス等が吸着しやすくなり、消臭効果が著しく向上する。ハイドロタルサイトとしてより好ましくは、脂肪酸又は脂肪酸金属塩による表面処理がなされていないものである。
1−2)酸化亜鉛
酸化亜鉛は特に限定されず、市販品や合成品等を適宜使用することができる。
酸化亜鉛のメジアン径(D50)は特に限定されないが、例えば、0.001〜20μmであることが好ましい。これにより、より高い透明性を発揮することができる。より好ましくは0.05〜10μmである。
2)(B)成分
本発明では、(B)成分として、(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体及び/又はこれを用いた共重合体を使用する。このいずれかのみを使用してもよいし、両者を使用してもよい。このような(B)成分は、(A)成分への担持操作が容易であって、極めて高いアンモニア消臭能を付与することができる。
本明細書中、(メタ)アクリル酸アンモニウムとは、アクリル酸アンモニウム及び/又はメタクリル酸アンモニウムを意味する。
(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体(「ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム」とも称す)には、アクリル酸アンモニウムの単独重合体及びメタクリル酸アンモニウムの単独重合体の他、アクリル酸アンモニウムとメタクリル酸アンモニウムとの共重合体を包含するものとする。
(メタ)アクリル酸アンモニウムを用いた共重合体とは、重合させる単量体成分の一つとして(メタ)アクリル酸アンモニウムを用いて得た共重合体、すなわち(メタ)アクリル酸アンモニウムと、(メタ)アクリル酸アンモニウム以外の単量体(他の単量体と称す)とをそれぞれ1種又は2種以上重合して得た共重合体を意味する。
上記(メタ)アクリル酸アンモニウムを用いた共重合体としては特に限定されないが、本発明の効果をより発揮させる観点から、(メタ)アクリル酸アンモニウムと共重合させる他の単量体として、不飽和酸のアンモニウム塩やアミド基含有単量体を用いた共重合体が好適である。中でも、(メタ)アクリル酸アンモニウムとマレイン酸アンモニウムとの共重合体(「(メタ)アクリル酸アンモニウム/マレイン酸アンモニウム共重合体」と称す)や、(メタ)アクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとの共重合体(「(メタ)アクリル酸アンモニウム/アクリルアミド共重合体」とも称す)が好ましい。
従って、(B)成分として特に好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム/マレイン酸アンモニウム共重合体、及び、(メタ)アクリル酸アンモニウム/アクリルアミド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である。これにより、アンモニア消臭能がより一層向上される。
2、製造方法
本発明の粒子状無機化合物を得るには、例えば、(A)成分と(B)成分とを含むスラリーを作製する工程(a)を含む製造方法を採用することが好適である。これにより、容易かつ簡便に本発明の粒子状無機化合物を得ることができる。必要に応じ、1又は2以上のその他の操作を含んでもよく、その他の操作は特に限定されない。
上記工程(a)は、(A)成分と(B)成分とを含むスラリーを作製する工程である。具体的には、分散媒の存在下で(A)成分と(B)成分とを混合する工程であることが好ましい。混合方法は特に限定されず、各原料が均一に混合された状態になるように、撹拌することが好ましい。各原料の添加混合順序も特に限定されない。
上記(A)、(B)成分としてはそれぞれ、市販品を使用してもよいし、合成品を使用してもよい。また、各原料はそれぞれ1種又は2種以上使用することができる。
上記(A)、(B)成分の質量比は、(A)成分の固形分量100重量部に対し、(B)成分の固形分量を1.5〜50重量部とすることが好ましい。より好ましくは2〜20重量部である。
上記分散媒としては特に限定されず、例えば、水、有機溶媒又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価の水溶性アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の2価以上の水溶性アルコール;等が挙げられる。分散媒として好ましくは水であり、より好ましくはイオン交換水である。
工程(a)で得られるスラリー中、(A)成分の固形分濃度は特に限定されないが、スラリー総量100質量%に対し、5〜50質量%とすることが好ましい。これにより、溶媒との馴染みが良好な粒子状無機化合物となり得る。より好ましくは6〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
上記工程(a)後、得られたスラリーを湿式粉砕する工程(b)を行うことが好適である。これにより、アンモニア消臭能がより向上する。工程(b)は、ビーズミル、ボールミル等の粉砕メディアの存在下で行うことが好ましく、また、粉砕時間を、例えば、10分〜10時間とすることが好ましい。より好ましくは20分〜2時間である。
更に工程(a)や工程(b)の後に、濾過、静置乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等により分散媒を除去する工程を行うことが好適である。
3、アンモニア消臭剤
本発明の粒子状無機化合物は、上述の通りアンモニアガスに対する吸着能が特異的に高いため、アンモニア消臭能に際立って優れるものである。従って、アンモニア消臭剤として有用である。このように上記粒子状無機化合物からなるアンモニア消臭剤は、本発明の一つである。
上記アンモニア消臭剤は、上述したように酢酸ガス等の消臭能にも優れるものである。従って、アンモニアガスの他、種々のガスの消臭効果も有する消臭剤として有用である。
4、分散体
本発明の粒子状無機化合物は、上述したように粒子径が小さいものであってもよいが、この場合、臭気ガスと粒子状無機化合物との接触頻度を高めることができる。それゆえ、不織布等に展着させやすいという効果も期待できる。
上記分散体は、溶媒として水や有機溶媒を含むことが好ましいが、中でも、水を含むことがより好ましい。水の含有量は特に限定されないが、例えば、粒子状無機化合物100質量部に対し、100〜10000質量部とすることが好適である。
上記分散体はまた、必要に応じて、他の成分を1種又は2種以上を含んでもよい。他の成分としては特に限定されないが、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、フェノキシエタノール等の防菌防腐剤や抗菌剤等が挙げられる。
上記分散体を得るための製造方法は特に限定されず、上述した成分を混合することにより作製すればよい。混合方法も限定されず、均一に分散させることができる通常の手法を採用すればよい。
上記分散体は、アンモニアガスや酢酸ガス等の種々のガスの消臭能に優れるうえ、分散安定性も良好であるため、様々な用途の原料として有用である。
5、用途
本発明の粒子状無機化合物は、上述したようにアンモニアガスや酢酸ガス等の種々のガスの消臭能に優れるうえ、ホルムアルデヒドに対しても一定の消臭能力を有するものである。それゆえ、各種用途に好適に用いることができる。例えば、化粧料用途の他、塗料、インキ、医薬品、医薬部外品、衛生材料、放射線遮蔽材、樹脂材料、触媒、印刷用トナー、滑材等の用途にも適用が期待される。中でも、化粧料、樹脂材料(樹脂組成物)、塗料、衛生材料用途に特に有用である。このように上記粒子状無機化合物を含む化粧料、樹脂組成物、塗料又は衛生材料もまた、本発明に包含される。
1)化粧料
本発明の化粧料は、上述した本発明の粒子状無機化合物を含む。なお、上記分散体として含んでもよいし、乾燥粉末として含んでもよい。このような化粧料の製造方法は特に限定されず、通常の化粧料の製法に従えばよい。
上記化粧料としては特に限定されず、例えば、スキンケア製品、頭髪製品、メークアップ製品、紫外線防御用製品等が挙げられる。化粧料の形状も特に限定されず、例えば、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、多層状、ムース状、スプレー状等が挙げられる。また、上記化粧料は、水性化粧料、O/W型化粧料(水中油型化粧料)、W/O型化粧料(油中水型化粧料)のいずれの場合でも、好適に適用することができる。
上記化粧料には、必要に応じて、化粧品分野で通常使用されている任意の水性成分、油性成分を1種又は2種以上含んでもよい。水性成分及び油性成分としては特に限定されないが、例えば、油剤、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然又は合成高分子、水溶性又は油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、薬剤成分、色剤(染料、顔料等)、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、各種粉体等が挙げられる。
2)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、上述した本発明の粒子状無機化合物を含むが、更に、任意の樹脂や、通常の樹脂組成物に含まれる添加剤等を1種又は2種以上含んでもよい。本発明の樹脂組成物を用いることで、各種ガス等の消臭性能に優れる樹脂成形体を得ることができる。樹脂成形体としては特に限定されないが、例えば、マスターバッチ、シート、フィルム、ゴム等が好適である。
3)塗料
本発明の塗料は、上述した本発明の粒子状無機化合物を含むが、更に、任意の塗料用樹脂や、通常の塗料に含まれる添加剤等を1種又は2種以上含んでもよい。本発明の塗料は、各種ガス等の消臭性能に優れる塗料、すなわち消臭塗料として有用である。
4)衛生材料
本発明の衛生材料は、上述した本発明の粒子状無機化合物を含む。上述したように本発明の粒子状無機化合物は、繊維等に容易に練り込むことができ、不織布等に展着させやすいため、例えば不織布や原綿に本発明の粒子状無機化合物を展着することで、消臭性能を有する衛生材料を効率よく与えることができる。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「質量%(重量%)」を意味する。各種物性等は以下のようにして評価した。
1、メジアン径(D50
レーザー回折・散乱式粒度分析計(HORIBA社製、型番:LA−950−V2)により粒度分布測定を行った。
まずサンプル(試料)0.1gに0.025%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液60mLを加え、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、US−600)を用いて、強度をV−LEVEL3に設定して2分間分散処理を行うことにより、試料の懸濁液を準備した。この後、0.025%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を試料循環器に循環させ、透過率が80〜95%になるように上記懸濁液を滴下して、循環速度5、撹拌速度1にて、60秒間超音波分散してから測定を行った。
2、(B)成分等担持量
後述の実施例で使用した(B)成分及び比較例で使用したポリアクリル酸ナトリウム又はポリアクリル酸(これらを「(B)成分等」と総称する)は、少なくとも500℃以上で熱分解することから、以下のようにして各試料中の(B)成分等の含有量(「(B)成分等の担持量」とも称す)を算出した。
(B)成分等を添加する前の試料を105℃の温度にて18時間乾燥した後、545℃での重量減少割合(質量%)をXとし、最終的に得た生成物(各粉末)を105℃の温度にて18時間乾燥した後、545℃での重量減少割合(質量%)をYとし、下記式(2)により(B)成分等の含有量(重量%)を算出した。この値を、表2中、「組成物中の(B)成分等含有率」欄に記載した。また、この値をZとし、下記式(3)に基づいて(B)成分等の担持量を算出した。
上記重量減少割合(質量%)は、後述する示差熱・熱重量測定(TG/DTA)において得られた値を用いた。
Figure 0006848540
3、比表面積
以下の条件により比表面積(SSA)の測定を行った。
使用機:マウンテック社製、Macsorb Model HM−1220
雰囲気:窒素ガス(N
外部脱気装置の脱気条件:105℃−15分
比表面積測定装置本体の脱気条件:105℃−5分
4、顔料pH
顔料pHを、JIS K5101−17−1:2004の顔料試験方法に準拠した以下の方法により測定した。
5、アンモニアガス、酢酸ガス、ホルムアルデヒドガスの吸着率
試料を、5Lのサンプリングバック(GLサイエンス社製)に入れ、ブランクとして試料を入れていない5Lのサンプリングバックも用意した。以下の条件でアンモニア、酢酸又はホルムアルデヒドを所定濃度含む窒素ガス3Lをサンプリングバック内に注入した後、直ちに密封し、20℃、湿度65%の条件下で2時間静置した。静置後、サンプリングバック内のガスを吸引器で吸入し、ガス濃度を検知管(ガステック社製)で測定した。下記式(4)により、ブランクに対する各種化合物のガス吸着率(%)を算出した。
なお、ブランクのガス濃度とは、評価試料を入れずに、各種化合物(アンモニア、酢酸又はホルムアルデヒド)を所定濃度で含む窒素ガス3Lのみを入れたサンプリングバックを密栓し、2時間静置した後に測定したガス濃度である。
−試料重量−
アンモニア:0.2g
酢酸:0.1g
ホルムアルデヒド:0.1g
−サンプリングバック−
アンモニア:GLサイエンス社製、「PA−A−A−5」
酢酸:GLサイエンス社製、「PA−A−A−5」
ホルムアルデヒド:GLサイエンス社製、「2F−A−A−5」
−ブランクのガス濃度−
アンモニア:100ppm
酢酸:30ppm
ホルムアルデヒド:10ppm
−ガス検知管−
アンモニア:ガステック社製検知管(No.3La、3L)、光明理化学工業社製北川式検知管(No.105SD)
酢酸:ガステック社製検知管(No.81、81L)
ホルムアルデヒド:ガステック社製検知管(No.91、81L、91LL)
Figure 0006848540
6、臭気(官能評価)
上記「5、アンモニアガス、酢酸ガス、ホルムアルデヒドガスの吸着率」におけるアンモニア吸着試験において24時間静置した後に、サンプリングバッグのコック部分から以下の評価基準に従い官能評価を行った。5名のパネラーに対して、サンプリングバック内の臭気について、以下に示す基準で選んでもらい評価した。なお、試験は盲検として行った。
−アンモニア臭気の評価基準−
◎:ほとんど感知できないにおい
〇:やっと感知できるにおい
×:楽に感知できるにおい
7、示差熱・熱重量
以下の条件により示差熱・熱重量測定(TG/DTA)を行った。
測定機:日立ハイテクサイエンス社製、示差熱・熱重量測定装置(型番:TG/DTA A6300)
昇温速度:10℃/分
測定温度範囲:40〜550℃
測定雰囲気:大気 200mL/分
リファレンス:Al2O3
サンプル重量:10.0mg
試料容器:アルミニウム
以下の実施例及び比較例で使用した装置や試薬等は以下の通りである。
0.7mm径ガラスビーズ:ユニオン社製、UB−1719S
遊星ボールミル:フリッチュ・ジャパン社製、PULVERISETTE P−5/4
フォースミル:大阪ケミカル社製、FM−1
ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(ポイズ532A):花王製、ポイズ532A、有効成分40%
ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A−30SL):東亜合成社製、アロン(R)A−30SL、有効成分39〜41%
ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A40):KFケミカル社製、ディスパーザントA40、有効成分40%
ポリアクリル酸ナトリウム(AC−10NPD):東亜合成社製、ジュリマー(R)AC−10NPD
ポリアクリル酸ナトリウム(AC−103):東亜合成社製、ジュリマー(R)AC−103、有効成分39〜41%
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(A−210):東亜合成社製、アロン(R)A−210、有効成分42〜44%
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(T−50):東亜合成社製、アロン(R)T−50、有効成分41〜45%
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(FP−5000):SNF社製、Flosperse(R)FP−5000、有効成分42〜46%
ポリアクリル酸:東亜合成社製、ジュリマー(R)AC−10P
市販の酸化亜鉛:堺化学工業社製、FINEX−30
実施例1
−工程(I)−
硫酸亜鉛7水和物96.6gと、354g/Lの硫酸アルミニウム水溶液81.2mL(Al(SOとして28.7g)を混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えた金属塩混合水溶液を得た。別途、720g/Lの水酸化ナトリウム水溶液46.7mLと、炭酸ナトリウム26.7gとを混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えたアルカリ混合水溶液を得た。1Lの丸底フラスコにイオン交換水50mLを入れ、撹拌下において、これら水溶液を加えた。このときのスラリーのpHは9であった。その後、50℃で15分間撹拌することにより、スラリーを得た。
−工程(II)−
上記工程(I)により得られたスラリー700mLを、2Lの丸底フラスコに計り取り、80℃で22時間撹拌した。このスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗することにより、ケーキを得た。
−工程(III)−
上記工程(II)により得られたケーキを、乾燥粉として24gとなるように秤量し、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(ポイズ532A)1.2g(乾燥粉に対して固形分として2.0%)とイオン交換水を加え撹拌して、乾燥粉として350g/Lのスラリーを得た。
−工程(IV)−
上記工程(III)により得られたスラリー70mLを、100ccの容器に入れ、0.7mm径ガラスビーズ50gを粉砕メディアとして使用し、遊星ボールミルを用いて250rpmにて40分間分散した。得られたスラリーを、400メッシュ(目開き38μm)の篩にかけてガラスビーズを除去し、得られたスラリーを105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミルにて10秒間粉砕することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(1)を得た。
粉末(1)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
実施例2〜4
ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を表1に記載の(B)成分に変更し、かつその添加量(乾燥粉に対する添加割合)を表1に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(2)〜(4)を各々得た。
粉末(2)〜(4)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
実施例5
反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)を35分としたこと以外は、実施例1の工程(I)と同様の手順でスラリーを得た。
得られたスラリーを、乾燥粉として24gとなるように秤量し、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A40)3.9g(乾燥粉に対して固形分として6.5%)とイオン交換水を加え撹拌して、乾燥粉として350g/Lのスラリーを得た。その後、得られたスラリーを105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミルにて10秒間粉砕することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(5)を得た。粉末(5)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
実施例6
反応時間(すなわち50℃での撹拌時間)を35分としたこと以外は、実施例1の工程(I)と同様の手順でスラリーを得た。得られたスラリーを、乾燥粉として24gとなるように秤量し、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A40)3.6g(乾燥粉に対して固形分として6.0%)とイオン交換水を加え撹拌して、乾燥粉として350g/Lのスラリーを得た。その後、実施例1の工程(IV)と同様の手順で、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(6)を得た。
粉末(6)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
実施例7
−工程(I)−
354g/Lの硫酸アルミニウム水溶液81.2mL(Al(SOとして28.7g)と、297g/Lの硫酸マグネシウム7水和物136.2mL(MgSOとして40.5g)を混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えた金属塩混合水溶液を得た。別途、720g/Lの水酸化ナトリウム水溶液46.7mLと、炭酸ナトリウム26.7gとを混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えたアルカリ混合水溶液を得た。1Lの丸底フラスコにイオン交換水50mLを入れ、撹拌下において、これら水溶液を加えた。このときのスラリーのpHは9であった。その後、50℃で15分間撹拌することにより、スラリーを得た。
−工程(II)−
上記工程(I)により得られたスラリーを、スラリー中の固形分換算で5.3gとなるように100mLの圧力容器に計り取り、全量が75mLとなるようにイオン交換水を加えた後、180℃で2時間保持した。このスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗することにより、ケーキを得た。
−工程(III)−
上記工程(II)により得られたケーキを、乾燥粉として24gとなるように秤量し、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A40)を5.4g(乾燥粉に対して固形分として9.0%)とイオン交換水を加え撹拌して、乾燥粉として350g/Lのスラリーを得た。
−工程(IV)−
上記工程(III)により得られたスラリー70mLを、100ccの容器に入れ、0.7mm径ガラスビーズ50gを粉砕メディアとして使用し、遊星ボールミルを用いて250rpmにて40分間分散した。得られたスラリーを、400メッシュ(目開き38μm)の篩にかけてガラスビーズを除去し、得られたスラリーを105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミルにて10秒間粉砕することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(7)を得た。
粉末(7)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Mg)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
実施例8
市販の酸化亜鉛を24g秤量し、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A40)を、3.6g(乾燥粉に対して固形分として6.0%)とイオン交換水70mLを加え撹拌し、スラリーを得た。得られたスラリーを100ccの容器に入れ、0.7mm径ガラスビーズ50gを粉砕メディアとして使用し、遊星ボールミルを用いて250rpmにて40分間分散した。得られたスラリーを、400メッシュ(目開き38μm)の篩にかけてガラスビーズを除去し、得られたスラリーを105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミルにて10秒間粉砕することにより、酸化亜鉛粒子を含む粉末(8)を得た。
比較例1
実施例1の工程(II)で得たケーキを、105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミルにて10秒間粉砕することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c1)を得た。
粉末(c1)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
比較例2
ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A40)を使用しなかったこと以外は実施例5と同様にして、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c2)を得た。
粉末(c2)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
比較例3
実施例7の工程(II)で得たケーキを、105℃の温度で18時間乾燥し、得られた乾燥粉5gをフォースミルにて10秒間粉砕することにより、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c3)を得た。
粉末(c3)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Mg)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
比較例4
実施例8で用いた市販の酸化亜鉛を、粉末(c4)とした。
比較例5〜9、11、12
ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を、表1記載のポリアクリル酸ナトリウムに変更し、かつその添加量(乾燥粉に対する添加割合)を表1に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ハイドロタルサイト型粒子を含む粉末(c5)〜(c9)、(c11)及び(c12)を各々得た。
粉末(c5)〜(c9)、(c11)及び(c12)中のハイドロタルサイトの組成式は、(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HOであった。
比較例10
ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を、表1記載のポリアクリル酸に変更し、かつその添加量(乾燥粉に対する添加割合)を表1に記載の通りに変更したが、ポリアクリル酸を添加することによりハイドロタルサイトのスラリーが増粘したため、工程(IV)に進むことができなかった。そのため、上述した分析及び評価を行わなかった。
上記実施例及び比較例で得た各粉末につき、上述した分析及び評価を行った。結果を表2に示す。
表2では、比較のため、参考例1として、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(A40)を105℃の温度で18時間乾燥させた乾燥粉末(r1)のガス吸着率を併記した。なお、実施例5、6、8と比較しやすくするために、測定に用いたポリアクリル酸アンモニウム水溶液の乾燥粉末の試料重量は、(A)成分に対して固形分として6%添加した量に相当する量とした。測定に用いた試料重量は以下の通りとした。
アンモニア:0.012g(「上記「5、アンモニアガス、酢酸ガス、ホルムアルデヒドガスの吸着率」におけるアンモニアガスの吸着率における試料重量0.2gの6%相当)
酢酸:0.006g(上記「5、アンモニアガス、酢酸ガス、ホルムアルデヒドガスの吸着率」における酢酸ガスの吸着率における試料重量0.1gの6%相当)
ホルムアルデヒド:0.006g(上記「5、アンモニアガス、酢酸ガス、ホルムアルデヒドガスの吸着率」におけるホルムアルデヒドガスの吸着率における試料重量0.1gの6%相当)
Figure 0006848540
Figure 0006848540
表2より以下の事項を確認した。
実施例1〜7で得た粉末(1)〜(7)は、ハイドロタルサイトに、所定量のポリアクリル酸アンモニウムが担持されてなるという本発明の粒子状無機化合物に該当する例である。これに対し、比較例1〜3で得た粉末(c1)〜(c3)は主に、ポリアクリル酸アンモニウムを含まない点で相違し、比較例5〜9で得た粉末(c5)〜(c9)は主に、ポリアクリル酸アンモニウムに代えてポリアクリル酸ナトリウムを用いた点で相違し、比較例11、12で得た粉末(c11)、(c12)は主に、ポリアクリル酸アンモニウムの担持量が本発明で規定された量未満である点で相違する。このような相違の下、アンモニア吸着率及び臭気評価を比較すると、粉末(c1)〜(c3)、(c5)〜(c9)、(c11)、(c12)に比較して、粉末(1)〜(7)では極めて良好な結果が確認される。ハイドロタルサイトの代わりに酸化亜鉛を使用した場合(粉末(8)、(c4))にも同様の傾向が見られる(実施例8、比較例4参照)。同様に、実施例1〜8で得られた粉末(1)〜(8)では、ポリアクリル酸アンモニウムを含みながらも、酢酸ガス吸着能力が低下することなく充分に発揮でき、しかもホルムアルデヒド吸着能にも優れることが分かった。また、ポリアクリル酸アンモニウムに代えてポリアクリル酸を使用した場合には、粒子状化合物を得ること自体が困難であった(比較例10参照)。
なお、ハイドロタルサイトとして、市販のマグネシウム系のハイドロタルサイト(協和化学工業社製、アルカマイザー1、(Mg)0.67(Al)0.33(OH)(CO0.165・0.5HO、ステアリン酸による表面処理あり。)を使用した場合についても検討したが、この場合よりも実施例1〜7の方が各ガスの吸着能が著しく高く、臭気官能評価も高かった。従って、ハイドロタルサイトとして、ステアリン酸又はステアリン酸ナトリウムによる表面処理がされていないものを用いることが好適であることが分かった。
実施例1〜8では、(B)成分として(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体を用いた場合についてのみ評価したが、共重合体を用いた場合にも同様の傾向が見られる。従って、本発明の粒子状無機化合物は、極めて優れたアンモニア消臭能とともに、充分な酢酸消臭能も有することが分かった。
また実施例5で得た粉末(5)及び比較例2で得た粉末(c2)につき、示差熱−熱重量分析を行った。結果を図1及び2に示す。
粉末(5)と粉末(c2)とは、(B)成分の有無のみが相違し、粉末(5)は、(B)成分としてポリアクリル酸アンモニウムを含んでいる。図1及び2では、約300℃以上の挙動が粉末(5)と粉末(c2)とで異なっているが、ポリアクリル酸アンモニウムの分解温度が約400℃付近にあることを考慮すると、この挙動の違いは、粉末(5)に含まれるポリアクリル酸アンモニウムの熱分解に起因すると考えられる。

Claims (10)

  1. (A)ハイドロタルサイト及び/又は酸化亜鉛に、
    (B)(メタ)アクリル酸アンモニウムの単独重合体及び/又はこれを用いた共重合体が担持されてなり、
    該成分(B)の担持量は、成分(A)100重量部に対し1.5重量部以上、20重量部以下である
    ことを特徴とする粒子状無機化合物。
  2. JIS K5101−17−1(2004年)の顔料試験方法によるpH値が6〜7.5である
    ことを特徴とする請求項1に記載の粒子状無機化合物。
  3. 前記(B)成分は、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム/マレイン酸アンモニウム共重合体、及び、(メタ)アクリル酸アンモニウム/アクリルアミド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子状無機化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状無機化合物からなる
    ことを特徴とするアンモニア消臭剤。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状無機化合物を含む
    ことを特徴とする分散体。
  6. 更に、水を含む
    ことを特徴とする請求項5に記載の分散体。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状無機化合物を含む
    ことを特徴とする化粧料。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状無機化合物を含む
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状無機化合物を含む
    ことを特徴とする塗料。
  10. 請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状無機化合物を含む
    ことを特徴とする衛生材料。
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