JP6847660B2 - リガンドをコードする合成バイオマーカーのアフィニティベースの検出 - Google Patents

リガンドをコードする合成バイオマーカーのアフィニティベースの検出 Download PDF

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Description

本願は、2013年6月7日に提出された「リガンドをコードする合成バイオマーカーのアフィニティベースの検出」("AFFINITY-BASED DETECTION OF LIGAND-ENCODED SYNTHETIC BIOMARKERS")というタイトルの米国仮出願第61/832,766号に対して米国合衆国法典第35巻119(e)条(35 U.S.C. § 119(e))による優先権を主張する。
本発明は、アフィニティアッセイを用いてインビボでプロテアーゼ活性を検出することおよびモニタすることに関連する方法および製品に関する。それら方法および製品は、超高感度診断プラットホームの基礎を形成し、超高感度診断プラットホームとして用いられ得る。本発明はまた、本発明の方法に用いるための製品、キットおよびデータベースに関する。
尿には、生じる状態をモニタするためのソースとして、奥深く、長年の臨床の歴史があり、依然として健康診断の不可欠な要素となっている[1]。100をはるかに上回る試験が、妊娠[2]、糖尿病[3]、腎臓病[4]、代謝異常、その他疾患など多種多様な状態を示すために実行され得る。数分以内に何リットルもの血液を選択的に濾過して生物学的プロセスの副産物を除去する能力を進化させた腎臓系の見事な生理機能に触発され、我々は、近年、「合成バイオマーカー(synthetic biomarker)」と呼ばれる、プロテアーゼ感受性ナノ粒子という類のものを開発した。この「合成バイオマーカー」は、病気の部位における無調節のプロテアーゼ活性に応答して循環系にレポーターを放出し、次いで、レポーターは、検出のための質量分析法などの多重化の手法を用いた非侵襲的モニタリングのためのホストの尿中に濃縮される[6]。癌におけるプロテアーゼの調節異常は、細胞シグナリングにおいて重大な結果をもたらし、癌細胞の増殖、浸潤、血管新生、アポトーシスの回避、および転移を推進するのを助ける。肝線維症および癌のマウスモデルにおいて、合成尿バイオマーカーにより、コア生検による固形臓器の侵襲的モニタリングの必要性がなくなり、腫瘍分泌血液バイオマーカーと比較して癌の早期検出を顕著に向上させた。
いくつかの側面における本発明は、バイオマーカーナノ粒子が酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素感受性検出可能マーカーが検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されていることにより、酵素に暴露されたときに、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出することができ、かつ検出可能マーカーがリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む、対象にバイオマーカーナノ粒子を投与すること;生体試料が、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出する身体部位から離れた身体部位にある、マーカーの検出のための生体試料を同定すること;および生体試料における検出可能マーカーの存在が対象内に活性型で存在する酵素を示す、検出可能マーカーの存在を検出するために捕捉アッセイを用いて生体試料を分析すること、を伴う方法である。
いくつかの態様において、捕捉リガンドは酵素感受性ドメインに結合している。他の態様において、検出リガンドは酵素感受性ドメインに結合している。リンカーは、例えば、PEG等のポリマー、タンパク質、ペプチド、多糖、核酸または小分子であってもよい。いくつかの態様において、リンカーは、10〜100アミノ酸長のタンパク質である。他の態様において、リンカーはGluFib(配列番号1)である。
いくつかの態様における捕捉アッセイは、蛍光、比色、生物発光および化学発光のELISAを含むELISA、ペーパー試験ストリップ、ビーズベースの蛍光アッセイ、ならびに表面プラズモン共鳴(SPR)等の無標識検出からなる群から選択される検出工程を伴う。捕捉アッセイは、例えば、アフィニティ剤に対する捕捉リガンドの結合を伴ってもよい。いくつかの態様における捕捉リガンドは、タンパク質、ペプチド、多糖、核酸、蛍光分子または小分子である。例えば、捕捉リガンドがビオチンであり、かつアフィニティ剤がストレプトアビジンであるか、または捕捉リガンドがストレプトアビジンであり、かつアフィニティ剤がビオチンであってもよい。いくつかの態様における分析方法は多重分析方法である。
いくつかの態様において、検出リガンドはタンパク質、ペプチド、多糖、核酸、蛍光分子または小分子である。他の態様において、検出リガンドまたは捕捉リガンドは、アレクサ488(Alexa488)、TAMRA、DNP、フルオレセイン、オレゴングリーン(Oregon Green)、テキサスレッド(Texas Red)、ダンシル(Dansyl)、ボディピ(BODIPY)、アレクサ405(Alexa405)、カスケードブルー(Cascade Blue)、ルシファーイエロー(Lucifer Yellow)、ニトロチロシン、HAタグ、FLAGタグ、Hisタグ、Mycタグ、V5タグ、Sタグ、ビオチンからなる群から選択される。
アフィニティ剤は、抗体、抗体断片、アプタマー、Abにコンジュゲートした磁気ビーズ、アフィニティカラム上のタンパク質またはペプチドからなる群から選択されてもよい。いくつかの態様において、アフィニティ剤は、例えばビーズ等の表面に固定されている。他の態様において、アフィニティ剤は溶液にある。
バイオマーカーナノ粒子は、任意の経路によって対象に投与すればよい。例えば、バイオマーカーナノ粒子は、静脈内に、経口で、経皮でまたはインプラントを介して投与され得る。
いくつかの態様におけるキャリアは、ナノ粒子などの粒子、タンパク質、ペプチドまたは多糖または合成ポリマーである。
いくつかの態様において、酵素は癌に関連する酵素である。他の態様において、酵素はプロテアーゼまたはグリコシダーゼである。
方法はまた、対象から生体試料を採集する工程を含んでもよく、この場合、生体試料は、尿、血液、唾液または粘液性分泌物である。
いくつかの態様において、複数の酵素感受性検出可能マーカーを有する複数のバイオマーカーナノ粒子を対象に投与する。他の態様において、バイオマーカーナノ粒子が複数の酵素感受性検出可能マーカーを有する。例えば、いくつかの態様において、複数の酵素感受性検出可能マーカーが複数の捕捉リガンドと単一タイプの検出リガンドとを含む。複数の捕捉リガンドは2〜1,000、2〜100または2〜10の異なる捕捉リガンドを含む。他の態様において、複数の酵素感受性検出可能マーカーが単一タイプの捕捉リガンドと複数の検出リガンドとを含む。
いくつかの態様において、酵素感受性検出可能マーカーが疾患または状態に関連する酵素による改変、プロテアーゼよる切断または酵素による検出可能要素の付加に感受性がある。他の態様において、酵素感受性検出可能マーカーが、疾患または状態に関連しないが正常状態に関連する酵素による改変、プロテアーゼによる切断または酵素による検出可能要素の付加に感受性がある。
いくつかの態様において、疾患または状態が、癌、心血管疾患、関節炎、ウイルス感染症、細菌感染症、寄生虫感染症もしくは真菌感染症、アルツハイマー病気腫、血栓症、血友病、卒中、臓器機能不全、いずれか任意の炎症状態、血管疾患、実質性疾患または薬理学的に誘発された状態である。
いくつかの態様において、方法は、検出可能マーカーを生体試料における他の要素から単離する精製工程を伴う。
他の態様において、方法は対象において疾患を診断するための方法であり、対象における検出可能マーカーの存在が疾患を有する対象を示し、対象における検出可能マーカーの非存在が疾患を有しない対象を示す。
他の態様において、方法は検出シグナルを正規化するために遊離レポーターを対象に投与することを伴う。
本発明の側面によれば、対象にバイオマーカーナノ粒子が投与されており、バイオマーカーナノ粒子が酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素感受性検出可能マーカーが検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されていることにより、酵素に暴露されたときに、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出することができ、かつ検出可能マーカーがリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む、障害または状態を有することが疑われる対象から尿試料を採集すること;および捕捉アッセイが、アフィニティ剤が捕捉リガンドに結合するアフィニティ工程と、リガンドマーカーの存在を検出するために検出リガンドを検出する検出工程とを伴い、生体試料におけるリガンドマーカーの存在または非存在が対象内の障害または状態を示す、捕捉アッセイによる分析方法に尿試料を供試すること、を伴う方法が提供される。
いくつかの態様における検出工程は、化学発光ELISAおよび生物発光ELISAを含むELISAアッセイ、ペーパー試験ストリップ、ビーズベースの蛍光アッセイ、ならびに表面プラズモン共鳴(SPR)等の無標識検出からなる群から選択される。他の態様において、アフィニティ剤は、抗体、抗体断片、アプタマー、Abにコンジュゲートした磁気ビーズ、アフィニティカラム上のタンパク質またはペプチドからなる群から選択される。他の態様において、方法は疾患または状態を処置するために対象に治療剤を投与することを伴う。
本発明の他の側面によれば、酵素に暴露されたときにバイオマーカーナノ粒子から放出することができる酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含むバイオマーカーナノ粒子を含む薬物送達区画を有する経皮パッチを含む組成物が提供される。酵素感受性検出可能マーカーは、検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されており、かつ検出可能マーカーは、リンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含んでもよい。
本発明の他の側面によれば試薬が提供される。試薬は、バイオマーカーナノ粒子を含み、バイオマーカーナノ粒子は酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素感受性検出可能マーカーは検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されていることにより、酵素に暴露されたときに、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出することができ、かつ検出可能マーカーがリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む。
いくつかの態様において、捕捉リガンドは酵素感受性ドメインに結合しており、他の態様において、検出リガンドが酵素感受性ドメインに結合している。捕捉アッセイがアフィニティ剤に対する捕捉リガンドの結合を伴ってもよい。
本発明の他の側面によれば組成物が提供される。組成物は、バイオマーカーナノ粒子を含み、バイオマーカーナノ粒子は酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素および遊離レポーターに暴露されたときに、酵素感受性検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出することができる。酵素感受性検出可能マーカーが検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されてもよく、かつ検出可能マーカーがリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む。いくつかの態様において、遊離レポーターはタンパク質、ペプチドまたは多糖である。
さらなる他の側面において、本発明は、バイオマーカーナノ粒子が、酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素感受性検出可能マーカーが検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されていることにより、酵素に暴露されたときに、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出することができ、かつ検出可能マーカーがリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む、バイオマーカーナノ粒子を収容する容器;および対象にナノ粒子を投与するための、および対象の生体試料を分析してナノ粒子の投与によって発生したリガンドマーカーの存在または非存在を捕捉アッセイによって検出するための指示、を有するキットである。
いくつかの態様において、キットは、遊離レポーターと、例えば抗体、抗体断片、アプタマー、Abにコンジュゲートした磁気ビーズ、アフィニティカラム上のタンパク質またはペプチド等のアフィニティ剤と、例えば化学発光ELISAおよび生物発光ELISAを含むELISAアッセイ、ペーパー試験ストリップ、ビーズベースの蛍光アッセイ、および表面プラズモン共鳴(SPR)等の無標識検出からなる群から選択されるアッセイのための試薬等の検出試薬とを収容する1つまたは2つ以上の容器をさらに含む。
別の側面において、本発明は、酵素に暴露されたときに、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出する、マイクロドーズのバイオマーカーナノ粒子を対象に投与すること;および生体試料における検出可能マーカーの存在が、対象内に活性型で存在する酵素を示す、検出可能マーカーの存在を検出するために捕捉アッセイを用いて生体試料を分析すること、を伴う方法である。いくつかの態様において、マイクロドーズは100マイクログラム未満である。他の態様において、生体試料は、例えば尿等、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出する身体部位から離れた身体部位にある。さらなる他の態様において、バイオマーカーナノ粒子は酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素感受性検出可能マーカーは検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されている。任意に、検出可能マーカーはリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む。
他の側面において、本発明は、本願明細書において記載される用途のいずれかのための組成物である。組成物は、本願明細書に記載される組成物のいずれかであり、例えば、検出可能マーカーを有するバイオマーカーナノ粒子のマイクロドーズ、または、バイオマーカーナノ粒子が酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素および遊離レポーターに暴露されたときに、酵素感受性検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出することができる、バイオマーカーナノ粒子が挙げられる。
本発明の態様のそれぞれは、本願明細書において為された各種記述を包含し得る。したがって、任意の1のエレメントまたはエレメントの組合せを伴う本発明の記述のそれぞれは、任意に、本発明の各側面に含まれ得る。
図1A〜図1Dは、(A)アプローチの模式図を示す。リガンドコードレポーターにタンデムに繋いだトロンビン感受性基質にコンジュゲートしたNWから構成される合成マーカー。これらの剤は、凝血塊の形成に関して血管系を調査するものであり、凝血塊においてトロンビン活性によりレポーターが切断され、ELISAによる分析のための尿の中に放出される。(B)プロテアーゼ活性を検出するための蛍光NWアッセイの模式図。(C)凝固プロテアーゼ応答における蛍光活性のキネティクス(状態当たりn=3)。Thr:トロンビン;Bival:ビバリルジン。(D)凝固を活性化するためにCaClを添加した後の血漿中の蛍光活性のキネティクス(状態当たりn=3)。
図2A〜図2Dは、ELISAによるリガンドコードレポーターの検出を示す。(A)関連するリガンドの化学構造と共にリガンドコードレポーターRおよびRの設計。(B)ELISAサンドイッチ複合体およびコントロール尿試料に添加したRおよびRの特異的検出を示す開発した96ウェルプレートの写真。(C)尿中のR、R+RおよびRの段階希釈を検出するために用いる抗Flsc抗体で被覆したウェルの吸光度値(λ=450nm)(状態当たりn=3、s.d.)。(D)濃度を増加させたトロンビンと共にインキュベートした後にNWから放出された、切断されたレポーター(R)レベルの定量(状態当たりn=3、s.d.)。
図3A〜図3Dは、トロンボプラスチン誘導血栓形成の特徴を示す。(A)トロンボプラスチン(2μg/gb.w.)またはPBSの静脈内注射の後にVT750標識フィブリノゲンの沈着をモニタするための摘出臓器の近赤外蛍光スキャン。(B)血栓形成マウスおよびコントロールマウスから採取した臓器に沈着したVT750フィブリン(フィブリノゲン)レベルの定量(P<0.05、**P<0.01、***P<0.005、スチューデントのt検定;群当たりn=3、s.d.)。(C)肺のヘマトキシリンおよびエオシンによる染色(スケールバー=100μm)。青色の矢印はフィブリン凝塊を示す。(D)トロンボプラスチンの投与量上昇に応答して肺に沈着したフィブリンの定量。Bival:ビバリルジン(P<0.05、**P<0.01、***P<0.005、テューキーポスト検定を伴う一元配置分散分析(one-way ANOVA with Tukey post test);n=マウス3〜5匹、s.e.)。
図4A〜図4Eは、肺塞栓の非侵襲的な尿による検出。(A)トロンボプラスチンまたはPBSで処置したマウスから摘出した臓器におけるVT750標識NW分布の定量(n=マウス3匹、s.d.)。(B)マウスにクエンチした基質(VT750で標識)にコンジュゲートしたNWと、トロンボプラスチンまたはPBSとの混合物を注入した後の臓器の蛍光シグナルの定量(**P<0.01、スチューデントのt検定;n=マウス3匹、s.d.)。挿入図は、腎臓および肺の代表蛍光スキャンを示す。(C)トロンボプラスチンを投与したマウスの膀胱に局在する蛍光シグナル増加を示す、NW投与後のインビボ蛍光イメージ。(D)トロンボプラスチンに応答した正規化尿レポーターレベル(R/R)。Bival:ビバリルジン(***P<0.005、ボンフェローニポスト検定を伴う二元配置分散分析(two-way ANOVA with Bonferroni post test); n=マウス5匹、s.e.)。(E)正規化尿バイオマーカーレベルに対する肺におけるVT750フィブリン(フィブリノゲン)沈着のグラフ。
図5A〜図5Cは、(A)抗Flsc捕捉抗体または(B)抗AF488捕捉抗体を用いた、尿に添加したR1、R1+R2、およびR2の比色検出の写真を示す。(C)450nmで測定した(B)由来の抗AF488ELISAプレートの吸光度値(状態当たりn=3、s.d.)。
図6は、NWにコンジュゲートしたビオチン‐eGvndneeGffsar(K−Flsc)GGfPRSGGGC(配列番号2)の構造を示す。
図7は、トロンボプラスチンの投与30分後にマウスから採取した臓器切片のヘマトキシリンおよびエオシンによる染色を示す(スケールバー=100μm)。
図8は、トロンボプラスチン投与量増加、ならびにビバリルジンによるその阻害に応答して肺に沈着したVT750フィブリン(フィブリノゲン)レベルの近赤外蛍光スキャンを示す。
図9は、トロンボプラスチン誘導血栓形成後の臓器におけるVT750‐NW分布の近赤外スキャンを示す。
図10は、トロンボプラスチン誘導血栓形成後の臓器におけるVT750‐基質‐レポーター(R)分布の近赤外スキャンを示す。
図11は、トロンボプラスチン誘導血栓形成後の肺切片の免疫蛍光染色を示す。肺におけるフィブリン沈着、R蓄積および核の染色を示す(スケールバー=100μm)。
図12A〜図12Bは、尿中のレポーターレベルに対する水分補給状態の影響を示す。(A)ELISAを介した非水分補給マウス対水分補給マウス由来の尿におけるRの定量(***p < 0.005、スチューデントのt検定;n=マウス5匹)。(B)非水分補給マウス対体重10%相当量のPBSを皮下注射して水分を補給したマウスから投与2時間後に採集した尿容量(***p < 0.005, スチューデントのt検定;n=マウス5匹)。
本発明使用のバイオマーカーナノ粒子および方法の模式図を示す。ハプテンをコードするタンデムペプチドがナノウォーム(nanoworm)(NW)ナノ粒子にコンジュゲートしている。それら剤を、静脈内に投与すると、疾患部位に蓄積し、ELISAまたはペーパーベースの試験ストリップ等の低コストアフィニティアッセイによる検出のための尿の中にレポーターを放出する。
図14A〜図14Dは、プロテアーゼ感受性ナノ粒子が尿から疾患を検出することを示す。(AおよびB)は、トロンビンまたはMMP9(B)(B7)に特異的なフルオロフォア標識ペプチド基質(A)(B6)で被覆されたナノ粒子、それらのプロテアーゼ耐性d‐体(dB6、dB7)、ならびにプロテアーゼ阻害剤(アルガトロバンおよびマリマスタット)の存在下のタンパク質分解を示すグラフのセットである。(C)は方法を示す模式図である。(D)側腹部腫瘍を保有するマウスにおける切断ペプチドの尿中の蓄積を示す動物全体の蛍光イメージング。
図15A〜図15Fは、合成尿バイオマーカーのアフィニティベースの検出を示す。(A)抗体およびハプテンレポーターのサンドイッチ複合体、ならびにpM感度を示す検出下限の模式図。(B)4つの異なるハプテンコードレポーターに対する吸着させた抗体の特異性を示す、開発した96ウェルプレートの写真。(C)プレートアッセイの光学定量により、非同族抗体‐ハプテンのペアー間ではごく僅かな交差反応性が明らかとされた。(D)ペーパーベースのラテラルフローアッセイの模式図。(E)ペーパー上における単一レポーターの検出下限の定量(上)、ならびにその強度プロファイル(下)。(F)異なるレポーターを添加した異なる尿サンプルに暴露した空間的にコード化したペーパー試験ストリップ。試験ラインは特異抗体を印刷した領域のみ現れた。
図16A〜図16Bは、合成尿バイオマーカーが疾患を区別することを示す。NW注射を受けたマウス由来の尿試料のELISA分析により、健全コントロールに対して血栓形成(A)または癌(B)を検出した尿バイオマーカーの上昇が示された。
生物学的プロセスまたは生物学的システムに関する情報を評価するための迅速、簡易かつ信頼性のあるアッセイが、本発明により提供される。被検体の生理学的状態のステータスは、酵素活性に関連する分子特性を同定することによる本発明の方法を用いて評価され得る。この事は、ここで、質量分析ほど制限がない、広く利用可能なアッセイという意味で本発明の方法を用いて達成され得る。酵素活性の検出は、癌、血栓形成、線維症、感染性疾患、関節リウマチおよび動脈硬化等の疾患を診断するために、ならびに予後指標のために有用である。用途としてはまた、キナーゼ、ホスファターゼ、ヌクレアーゼ等の酵素活性およびその他のものをモニタすることを含む。医療介入に対する大抵の癌の反応は、現在、身体検査および各種臨床画像診断法によってモニタされている。前立腺や卵巣癌等のいくつかの癌は、血液における単一のバイオマーカーを用いることによってモニタされる。このような診断技術は、例えば特定の疾患状態において活性化される分子マーカーの蛍光検出を用いて達成される。より複雑なアッセイは、典型的には、質量分析等で見られるような精緻な技術および機器の使用を伴う。したがって、本発明は、分子診断(例えば、早期癌検出)において、ならびに基礎科学リサーチ(例えば、プロテアーゼ活性のプロファイリング)において広範囲の商業アプリケーションを有する。例えば、癌に対するELISA試験は、早期スクリーニングまたは再発モニタリングのための即時の臨床アプリケーションを有し得る。同様に、ペーパーの試験は、(家庭用妊娠試験と同様の)家庭用モニタリングのための、ならびにグローバルヘルスのための低価格診断法を提供するための多くの商業アプリケーションを有し得る。概して、本発明は、現在の技術および方法によって実現不可能な商業アプリケーションを可能にする。
循環し、局所的な微小環境を感知するバイオマーカーナノ粒子の能力を利用することによって、我々は、インビボで酵素活性を検出し、かつ生理学的プロセスを非侵襲的に定量し得る合成バイオマーカーを作り出した。例えば、本明細書の例に示されるように、活性血塊の凝固量を決定するためにトロンビン活性を評価することができる。局在化シグナルを生成することによって機能する他のナノ粒子センサ[9〜10、23]とは異なり、本発明の組成物は、対象とする部位で局所的にレポーターを放出することによってプロテアーゼ活性を感知する。即ち、対象とする部位において、血栓が形成されるが、その後、血栓は濾過され、尿から遠隔的に検出される。異なるリガンドとそれらの同族結合分子とを用いることによって、我々の過去の研究[6]に記載される質量分析を必要とすることなく、標準化された96ウェルプレートアッセイ等のアッセイを用いて検出することができるヘテロ二官能化レポーターのパネルも開発した。このシステムは、追加のリガンド‐捕捉剤ペアーを組み込むことによって容易に拡張可能であり、ケアの時点におけるペーパーベースの試験ストリップ(ラテラルフローアッセイ)、ビーズベースのアッセイ(例えば、免疫沈降)を含むアッセイ、表面プラズモン共鳴、ナノエレクトロニクス(例えば、ナノワイア)等を含むその他の方法による検出に適応可能である。
本発明の方法には、従来技術の方法に対して多数の有利な点を有する。例えば、本発明の方法を用いると、対象においてマイクロドージング(microdosing)を可能にする超高感度検出プラットホームを用いて生きた対象において酵素活性を検出することが可能になる。現在、マイクロドージング研究が実施されているが、マイクロドージング研究において、微量な薬物(通常、薬理学的投与量の1/100から最大100μg)をヒト対象に投与され、前臨床動物モデルを用いても取得不可能であるクリアランス、臓器分布、血漿半減期、その他のもの等の基本パラメータを得る。マイクロドーズで対象または患者に投与する大抵の薬物は安全である。その結果、「フェース0」の研究を、従来のFDA指導臨床試験と比較して少ない規制で行うことができる。しかしながら、マイクロドージング研究を可能にするために、超高感度分析法が、標的分析を検出するのに必要とされる。本発明の方法は、既に確立した、および新たな高感度分析プラットホームによって容易に検出することができるリガンドコードレポーターのプラットホームを提供する。インビボで酵素活性を検出するための質量分析ベースの方法を伴う、本発明者らの過去の成果は、マイクロドージングに十分な感度を有しない。例えば、その質量分析ベースの方法は、正確な検出には1mg/kgの投与のベースラインが必要となる。本発明の方法は、このベースラインレベルの1/100未満はもちろん、極めて正確な結果を伴いつつ100マイクログラムをはるかに下回るレベルの投与を可能にする。これらの結果は、実に予想外のものである。
本発明のアッセイの感度は、いくつかの側面において、バイオマーカーナノ粒子の独特な構造と捕捉‐検出技術との組合せに由来する。バイオマーカーナノ粒子の構造は、マーカーで修飾されたコアまたはキャリア要素から構成されており、マーカーは、リンカーによって互いに接続しかつ酵素感受性要素を介してキャリアに接続する二重リガンドを有する構造を有する。マーカーは、インビボでの機能する酵素に対する暴露によって、キャリアから切断されかつ分離される。マーカーは、その後、尿などの末梢身体部位に移行し、そこで本発明の手法を用いて捕捉され、検出され得る。捕捉工程は、捕捉試薬とリガンドのうちの1つとの結合相互作用を伴う。その他のリガンドが、その後、様々な方法によって検出され得る。マーカーの放出を促進し、次いで単純な容易にアクセス可能なアッセイを用いてマーカーを捕捉し、かつ検出する能力により、本明細書に記載される超高感度技術が可能になる。
現在、生物体におけるプロテアーゼ活性の検出は、典型的には、ペプチド切断に続いて蛍光シグナルを発するように設計された「活性ベースの」プローブを用いて実行される(Baruch et al. Trends Cell Biol 2004, Blum et al. Nat Chem Biol 2007, Nomura et al. Nat Rev cancer 2010)。同時に異なる切断イベントをモニタするこれら剤の能力、または多重化は、それらの発光スペクトルを区別し得るようにかつ近赤外窓(600〜900nm)内で設計し、組織散乱によるシグナル減衰を最小化する挑戦によって部分的に制限される。驚くべきことに、本発明の方法を用いて、何百ものユニークにコードされた剤を作り出す能力、したがって多くの新規診断試験が実現した。
本発明者は、過去に、ナノ粒子を標識し、質量分析によってプロテアーゼ活性の多重モニタリングを可能にする質量「バーコード」を利用する方法を開発した。現代の質量分析機器は、複雑な試料の中で数百の異なるペプチドの存在を容易に検出することができるが(即ち、多重化は基本的な制限ではない。)、それら機器は、高価であり、特別な技術的専門知識を必要とし、大抵の臨床現場において容易に利用可能ではない。本発明により、インビボ酵素ステータスの高感度で迅速な検出のためのナノ粒子ベースのシステムが、ELISAやラテラルフローアッセイ(lateral flow aassy;LFA)等のアフィニティベースアッセイを用いて達成され得ることを発見された。
本明細書においてペーパー試験ストリップアッセイとも称されるラテラルフローアッセイ(LFA)は、妊娠の標準試験として40年近く用いられている。LFAの追加の利点としては、それらは、実験室のインフラを必要としない点である。該アッセイは、試料パッドに試料を適用することをユーザーに要求するのみで、試験ストリップ上で自動化され、結果は、区別できる着色ストライプの検査によって肉眼で読み取ることができる。これらの理由により、 LFAは、ほとんどあらゆる状況において用いることができる。先進国では、1つの潜在的な実施としては、クリニックにおいてバイオマーカーナノ粒子を注射し、その後、自宅で患者によって測定することが挙げられる。LFA、または迅速診断試験RDTは、マラリヤやエイズを含む多数の疾患に対して開発された。しかしながら、発展途上国のほとんどについては、感染性疾患の負担は減少しているのに対し、癌等の非伝染性疾患が増加している。残念なことに、多くの疾患に対するLFAは、内因性バイオマーカーが低レベルであることに起因して依然として捕捉が難しいままである。LFAを用いてプロテアーゼ感受性合成プローブを測定する本発明の方法は、農業地帯のインドや中国のような場所において顕著に早く癌を診断できるまたとない機会を提供するものであるが、そのような場所において、医療インフラの欠如により、それ以外の方法では、早めの診断を困難にさせるであろう。
本発明は、疾患の進行および再発の両方、ならびに治療に対する応答をモニタする方法として、疾患または状態に特異的酵素レパートリの機能的特性化評価のためのプラットホームに関する。方法は、現在の技術より、桁違いに大量のインビボ酵素‐基質情報を提供し、または質量分析の手法を考慮すると、より簡単で効率的な方法を提供する。プラットホームは、機能的に癌およびその他疾患の進行ならびに治療に対する応答をモニタするまたとない機会を提供する。プラットホームは、長期治療計画に特に有用であり、長期治療計画において、予後機能的シグネチャ(prognostic functional signature)の発見が介入を多大に補助し、かつ酵素シグネチャが治療効果に直接相関する。
疾患の動物モデルに、外来の検出可能な基質ライブラリー等のバイオマーカーナノ粒子を投与することによって、癌、心血管疾患、関節炎等の疾患およびその他のものと関連する基質特異的酵素活性に関する情報を取得することが可能である。この技術は、例えば、バイオマーカーナノ粒子と称される化合物の例である、シャペロンされる酵素感受性検出可能化合物を用いて、インビボで数百の酵素‐基質活性の同時プロファイリングを潜在的に可能にする。方法は、モジュラー構造および任意に親水性である小マーカーペプチドの区別できる薬物動態(それぞれ、RESおよび腎クリアランス)を活用する。バイオマーカーナノ粒子は、長い循環時間を有し、したがって循環系に留まり、または多孔質の血管新生血管網を介して腫瘍に透過し、血管新生血管網において、酵素(MMP、カリクレイン、カテプシン、プラスミノゲン活性化因子、ADAM)等の局所分子が、バイオマーカーナノ粒子の酵素感受性領域にアクセスし、または基質がバイオマーカーナノ粒子の酵素にアクセスする。
バイオマーカーナノ粒子は、例えば酵素感受性ドメインを含む試薬は、酵素、例えばプロテアーゼに暴露されるときには、試薬が切断され、その結果、本明細書において酵素感受性検出可能マーカーと称されるマーカーが放出される。マーカーは、腎臓で除去され、その結果、酵素活性の「メッセンジャー」として機能する。尿分析は、癌酵素活性等のバーコードに構成されるデータを生成し得る。酵素活性が非存在の場合、バイオマーカーナノ粒子は未切断のままとなり、検出可能マーカーを含む試薬全体は、RES臓器(肝臓、脾臓およびリンパ節)を通して除去される。本発明の捕捉アッセイを用いて基質を同定すれば、迅速かつ超低用量で1,000を超える基質をアッセイできる可能性とともに、利用可能性と使いやすさを伴った、前例のない多重化能力を実現する。
このように、いくつかの側面における本発明は、対象にバイオマーカーナノ粒子を投与すること、検出可能マーカーを検出する対象から生体試料を同定すること、任意に試料を採集すること;および1つまたは2つ以上の検出可能マーカーの存在を検出するために分析方法に生体試料を供試することを伴う。生体試料における検出可能マーカーの存在は、対象内の活性酵素または基質を示す。本発明は、本明細書においてインビボで酵素の存在を検出するためのキャリアに含まれる酵素感受性ドメインに関して説明されているが、本発明の方法のそれぞれは、インビボで基質を検出することが望まれるときにもまた有用である。その場合、酵素基質反応が検出可能マーカーの放出を生じさせるならば、酵素感受性ドメインは、インビボで基質に作用する能力を有する酵素を含有するだろう。例えば、インビボ基質との反応に際し、酵素が、検出可能マーカーの放出を生じさせる構造変化を受けたとすると、マーカーは、基質の存在のシグナルとして検出され得る。
例えば、いくつかの側面における本発明は、バイオマーカーナノ粒子が酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、酵素感受性検出可能マーカーが検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成されていることにより、酵素に暴露されたときに、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出することができ、かつ検出可能マーカーがリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む、対象にバイオマーカーナノ粒子を投与すること;生体試料が、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出する身体部位から離れた身体部位にある、マーカーの検出のための生体試料を同定すること;および生体試料における検出可能マーカーの存在が対象内に活性型で存在する酵素を示す、検出可能マーカーの存在を検出するために捕捉アッセイを用いて生体試料を分析することを含む方法を伴う。
バイオマーカーナノ粒子は、酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを有するモジュラー構造を含む。本明細書においてモジュラー構造とは、多数のドメインを有する分子をいう。
酵素感受性検出可能マーカーは、キャリアに接続したモジュラー構造の一部である。それは、検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインから構成される。
検出可能マーカーは、インビボで酵素に暴露されたときにバイオマーカーナノ粒子から放出することができる。一度放出された検出可能マーカーは、検出のための遠隔部位に自由に移行する。遠隔部位とは、本明細書において、酵素反応が生じる酵素を収容する身体組織と区別できる身体の部位をいうのに用いられる。検出可能マーカーは、リンカーによって接続した捕捉リガンドと検出リガンドとから構成される。
捕捉リガンドは、結合パートナーによって捕捉され得る能力を有する分子である。検出リガンドは、様々な方法のいずれかによって検出され得る能力を有する分子である。捕捉リガンドと検出リガンドとは、特定の検出可能マーカーにおいて互いに区別できるものであるが、我々が捕捉リガンドおよび検出リガンドとする分子の種類は顕著にオーバーラップする。例えば、多くの分子が、捕捉されかつ検出され得る能力を有する。いくつかの場合において、それら分子は、捕捉されることによって、またはプローブを捕捉することによって検出されてもよい。捕捉リガンドと検出リガンドとは、それぞれ独立に、タンパク質、ペプチド、多糖、核酸、蛍光分子または小分子の1つまたは2つ以上であってもよい。いくつかの態様において、検出リガンドまたは捕捉リガンドは、アレクサ488(Alexa488)、TAMRA、DNP、フルオレセイン、オレゴングリーン(Oregon Green)、テキサスレッド(Texas Red)、ダンシル(Dansyl)、ボディピ(BODIPY)、アレクサ405(Alexa405)、カスケードブルー(Cascade Blue)、ルシファーイエロー(Lucifer Yellow)、ニトロチロシン、HAタグ、FLAGタグ、Hisタグ、Mycタグ、V5タグ、Sタグ、ビオチンまたはストレプトアビジンのうちの1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
捕捉リガンドと検出リガンドはリンカーによって接続している。リンカーの目的は、2つのリガンドの間の立体障害を防止することにある。したがって、リンカーはこの事を達成するいずれかのタイプの分子であり得る。リンカーは、例えば、PEG等のポリマー、タンパク質、ペプチド、多糖、核酸または小分子であってもよい。いくつかの態様において、リンカーは、10〜100アミノ酸長のタンパク質である。他の態様において、リンカーは、GluFib(配列番号1)である。任意に、リンカーの長さは8nm〜100nm、6nm〜100nm、8nm〜80nm、l0nm〜l00nm、13nm〜100nm、15nm〜50nmまたは10nm〜50nmであってもよい。
キャリアドメインは、単一タイプの酵素感受性ドメインおよび/または検出可能マーカー等、単一タイプの酵素感受性検出可能マーカーを含んでもよく、または、キャリアドメインは、異なる酵素感受性ドメインおよび検出可能マーカー等、多数タイプの酵素感受性検出可能マーカーを含んでいてもよい。例えば、各キャリアは、1つのタイプの酵素感受性検出可能マーカーを含んでもよく、または、2〜1,000の異なる酵素感受性検出可能マーカーを含んでもよく、またはそれらの間のいずれかの整数のものであってもよい。あるいは、各キャリアは1,000を超える酵素感受性検出可能マーカーを含んでもよい。バイオマーカーナノ粒子の複数のコピーを対象に投与する。バイオマーカーナノ粒子のいくつかの混合物は、酵素である酵素感受性検出可能マーカーを含んでもよいし、ほかのものは、酵素感受性ドメインであってもよく、他は、それら2つの混合物であってもよい。加えて、複数の異なるバイオマーカーナノ粒子を対象に投与して多数の酵素および/または基質が存在するか否かを決定してもよい。その場合には、複数の異なるバイオマーカーナノ粒子は複数の検出可能マーカーを含み、その結果、各酵素感受性ドメインが特定の検出可能マーカーまたは分子に関連する。
キャリアドメインは、ナノ粒子のコアとして機能してもよい。キャリアドメインの目的は、酵素感受性検出可能マーカーのプラットホームとして機能することにある。そのようなものとして、キャリアは、キャリアまたはプラットホームとして機能し得るかぎり、いずれかの材料またはサイズであり得る。好ましくは、材料は、非免疫原性のものであり、即ち、それを投与する対象の身体において免疫反応を引き起さない。別の目的としては、それは組織、細胞または分子に対してモジュラー構造をターゲティングするターゲティング手段として機能し得ることである。いくつかの態様において、キャリアドメインは粒子である。ナノ粒子等の粒子は、例えば、循環によって腫瘍に対する受動的なターゲティングを生じさせてもよい。他のタイプのキャリアは、例えば、組織、細胞または分子に対して能動的なターゲティングを引き起こす化合物を含む。キャリアの例としては、マイクロ粒子、ナノ粒子、アプタマー、ペプチド(RGD、iRGD、LyP−1、CREKA等)、タンパク質、核酸、多糖、ポリマー、抗体または抗体断片(例えばハーセプチン、セツキシマブ、パニツムマブ等)、および小分子(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において「粒子」という用語は、ナノ粒子およびマイクロ粒子を含む。ナノ粒子は、直径1.0μm未満の粒子として定義される。ナノ粒子の製剤は、直径1.0μm未満の平均粒子サイズを有する粒子を含む。マイクロ粒子は、直径が1.0μmより大きく、1mm未満の粒子である。マイクロ粒子の製剤は、直径が1.0μmより大きい平均粒子サイズを有する粒子を含む。したがって、マイクロ粒子は、5〜10ミクロン、5〜15ミクロン、5〜20ミクロン、5〜30ミクロン、5〜40ミクロン、または5〜50ミクロンの範囲のサイズを含む、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも50ミクロンまたは少なくとも75ミクロンの直径を有してもよい。粒子の組成物は、10nmからmmサイズにわたる、異質なサイズ分布を有してもよい。いくつかの態様において、直径は、約5nm〜約500nmである。他の態様において、直径は、約100nm〜約200nmである。他の態様において、直径は、約10nm〜約100nmである。
鉄、セラミック、金属、天然ポリマー材料(脂質、糖類、キトサン、ヒアルロン酸等を含む)、合成ポリマー材料(ポリ‐ラクチド‐コグリコリド、ポリ‐グリセロールセバシン酸等)、および非ポリマー材料を含む、様々な材料、またはそれらの組合せから構成されていてもよい。
粒子は、全部または一部においてポリマーまたは非ポリマー材料料から構成されていてもよい。非ポリマー材料料を、例えば、粒子の調製において利用してもよい。例示の材料としては、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カルシウムホスホシリケート、リン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、リン酸オクタカルシウム、およびケイ酸塩が挙げられる。特定の態様において、粒子は、炭酸カルシウム等のカルシウム塩、二酸化ジルコニウム等のジルコニウム塩、酸化亜鉛などの亜鉛塩、ケイ酸マグネシウム等のマグネシウム塩、二酸化ケイ素等のシリコン塩、または酸化チタンもしくは二酸化チタン等のチタン塩を含んでもよい。
多数の生分解性や非生分解性の生体適合性ポリマーが、ポリマー生体材料、薬物放出制御、および再生医療の分野で知られている(例えば、バカンティ(Vacanti)に対する米国特許第6,123,727号;米国特許第5,804,178号; 米国特許第5,770,417号; 米国特許第5,736,372号;米国特許第5,716,404号;シャストリ(Shastri)に対する米国特許第6,095,148号; 米国特許第5,837,752号;アンセス(Anseth)に対する米国特許第5,902,599号;ミコス(Mikos)に対する米国特許第5,696,175号; 米国特許第5,514,378号; 米国特許第5,512,600号;バレラ(Barrera)に対する米国特許5,399,665;ドム(Domb)に対する米国特許第5,019,379;ロン(Ron)に対する米国特許第5,010,167号; ダモーレ(d'Amore)に対する米国特許第4,946,929号;およびコーン(Kohn)に対する米国特許第4,806,621号; 米国特許第4,638,045号を参照; Langer, Acc. Chem. Res. 33:94, 2000; Langer, J. Control Release 62:7, 1999; and Uhrich et al., Chem. Rev. 99:3181, 1999も参照;これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。)。
ポリマーは、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、およびそれらの共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、セルローストリアセテート、セルロース硫酸ナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレンポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルクロリド、ならびにポリスチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
非生分解性ポリマーの例としては、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、共重合体、およびそれらの混合物が挙げられる。
生分解性ポリマーの例としては、乳酸とグリコール酸とのポリマー、ポリアンヒドリド、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(poly(lactide-co-glycolide))、およびポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)poly(lactide-co-caprolactone)等の合成ポリマー、ならびにアルギネート、およびデキストランやセルロースを含むその他多糖、コラーゲン、それらの化学誘導体(アルキル、アルキレン等の化学基の置換、付加、ヒドロキル化、酸化、ならびに当業者によって通常どおり為されるその他改変)、アルブミン、およびその他親水性タンパク質、ゼインおよびその他プロラミン、および疎水性タンパク質、共重合体、ならびにそれらの混合物等の天然ポリマーが挙げられる。一般に、これら材料は、インビボにおいて酵素による加水分解または水への暴露のどちらかによって、表面浸食または内部浸食によって分解する。上記材料は、単独で用いてもよいし、物理的な混合物(配合物)として用いてもよいし、または共重合体として用いてもよい。いくつかの態様において、ポリマーは、ポリエステル、ポリアンヒドリド、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および乳酸とグリコール酸との共重合体、ならびにそれらの配合物である。
PVPは、およそ10,000〜700,000にわたる平均分子量を有し、かつ化学式(CNO)[n]を有する非イオン生成親水性ポリマーである。PVPはまた、ポリ[l-(2-オキソ-l-ピロリジニル)エチレン]、Povidone(商標)、Polyvidone(商標)、RP 143(商標)、Kollidon(商標)、Peregal ST(商標)、Periston(商標)、Plasdone(商標)、Plasmosan(商標)、Protagent(商標)、Subtosan(商標)およびVinisil(商標)としても知られている。PVPは、無毒であり、高吸湿性であり、かつ水または有機溶剤に容易に溶解する。
ポリ(オキシエチレン)グリコールとしても知られるポリエチレングリコール(PEG)は、一般化学式HO(CHCHO)[n]Hを有するエチレンオキサイドと水との縮合ポリマーである。
ポリビニルアルコール(PVA)は、ポリビニルアセテートから、アセテート基を水酸基で置換することによって調製されるポリマーであり、式(CHCHOH)[n]を有する。ほとんどのポリビニルアルコールは水に可溶である。
PEG、PVAおよび PVPは、Sigma Chemical Company (St. Louis, Mo.)等の化学製品供給業者から商業的に入手可能である。
特定の態様において、粒子は、乳酸−グリコール酸共重合体(poly(lactic-co-glycolic acid)(PLGA)を含んでもよい。
キャリアは、無機材料から構成されていてもよい。無機材料としては、例えば磁気材料、導電材料および半導体材が挙げられる。
粒子に加えて、キャリアは、細胞、ウイルス、細菌等の生物学的および生きたキャリア、ならびに生きていない有機キャリアを含むいずれかの有機キャリア、または疾患における酵素(細胞外酵素、膜結合酵素、および細胞内酵素を含む)に対する酵素基質の暴露を可能にするいずれかの組成物から構成されていてもよい。
いくつかの態様において、粒子は多孔性である。多孔性粒子は、その外表面から粒子のコアの中へ伸長する1つまたは2つ以上のチャネルを有する粒子であり得る。いくつかの態様において、チャネルは、その両端が粒子の表面に位置するように、粒子を通して伸長するものであってもよい。これらのチャネルは、典型的には、粒子中にチャネル形成試薬を含有させ、その後に除去することによって粒子の合成の間に形成される。
孔のサイズは、粒子のサイズに依存し得る。特定の態様において、孔は、15ミクロン未満、10ミクロン未満、7.5ミクロン未満、5ミクロン未満、2.5ミクロン未満、1ミクロン未満、0.5ミクロン未満または0.1ミクロン未満の直径を有する。多孔性粒子における多孔度(degree of porosity)は、粒子容積の0%超〜100%未満にわたってもよい。多孔度は、1%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満または50%未満であってもよい。多孔度は、多数の方法で決定することができる。例えば、多孔度は、キャリアの合成プロトコルに基づいて(例えば、水溶液またはその他チャンネル形成試薬の容量に基づいて)決定することができ、あるいは合成後にキャリアの顕微鏡検査によって決定することができる。
複数の粒子は、1つまたは2つ以上のパラメータまたは特徴に関して均一であってもよい。いくつかの場合において、所定のパラメータに関して均一である複数は、複数の内の粒子が、パラメータの所定の定量的基準の約+/−10%以下、好ましくは約+/−5%以下、最も好ましくは約+/−1%以下しか互いに違いがないことを意味する。例として、粒子は、均一な多孔性であってもよい。この事は、複数の粒子内における多孔度が、平均多孔率(average porosity)の多くて+/−10%だけ異なることを意味する。その他の場合において、均一である複数は、複数の内のすべての粒子が、いずれの粒子が最終的にすべて同じ特性を有するか否かに関わらず、例えば同じ剤への暴露等を含め、同じ方法で処理されまたは加工されたことを意味する。さらに他の態様において、均一である複数は、粒子の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が、所定のパラメータに関して同一であることを意味する。
複数の粒子は、1つまたは2つ以上のパラメータまたは特徴に関して不均一であってもよい。所定のパラメータに関して不均一である複数は、いくつかの場合において、複数の内の粒子が、約+/−20%超を含め、約+/−10%超、平均から逸脱していることを意味する。不均一粒子は、それらのサイズまたは直径、それらの形状、それらの組成、それらの表面電荷、それらの分解プロファイル、ある剤が粒子に含まれているか否か、および粒子にいかなるタイプの剤が含まれているか、剤の位置(例えば、表面上か、または内部か)、粒子に含まれている剤の数等を含む多数のパラメータに関して異なっていてもよい。本発明において、各種タイプの粒子を別々に合成し、次いでそれら粒子を試料との接触の前に、所与の比率の多数のうちのいずれか1つで組み合せることも考慮される。例として、一の態様において、粒子は、形状に関して均一であってもよいが(例えば、少なくとも95%の形状は球形である)、サイズ、分解プロファイル、および/またはその中に含まれる剤に関して不均一であってもよい。
粒子サイズ、形状、および放出キネティクスはまた、粒子形成条件を調節することによって制御することもできる。例えば、粒子形成条件を最適化して、より小さい粒子またはより大きい粒子を産生することもできるし、あるいは全体のインキュベーション時間またはインキュベーション温度を増加させて、長時間の放出キネティクスを有する粒子を生じさせることもできる。
粒子はまた、1つまたは2つ以上の安定化物質で被覆されていてもよく、そのような安定化物質は、非経口投与による長期持効性のために、または粒子を溶解させることなく胃または腸を通過させることによる経口デリバリーのために特に有用であり得る。例えば、経口デリバリーを対象とする粒子は、ムチン、腸の杯状細胞、顎下腺およびその他粘液腺細胞によって産生される、ムコ多糖を含有する分泌物などの物質による被覆で安定化してもよい。
デリバリーを強化するために、粒子を、例えばリポソーム、ビロソーム、陽イオン性脂質、またはその他脂質ベース構造の中に組み込んでもよい。「陽イオン性脂質」という用語は、生理的pHで正味の正電荷を保持する脂質をいう。そのような脂質としては、DODAC、DOTMA、DDAB、DOTAP、DC‐Chol、およびDMRIEが挙げられるが、これらに限定されるものではない。加えて、陽イオン性脂質の市販製剤が多数利用可能である。これらは、例えば、リポフェクチン(LIPOFECTIN)(登録商標)(GIBCO/BRL、グランドアイランド、ニューヨーク、米国から市販されている、DOTMAおよびDOPEを含む陽イオン性リポソーム);リポフェクタミン(LIPOFECTAMINE)(登録商標)(GIBCO/BRLから市販されている、DOSPAおよびDOPEを含む陽イオン性リポソーム);ならびにトランスフェクタム(TRANSFECTAM)(登録商標)(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン、米国から市販されている、エタノールにDOGSを含む陽イオン脂質)が挙げられる。様々な方法が、リポソームを調製するために利用可能であり、例えば、米国特許第4,186,183号、第4,217,344号、第4,235,871号、第4,261,975号、第4,485,054号、第4,501,728号、第4,774,085号、第4,837,028号、第4,946,7874号;PCT公報第WO 91/17424号が挙げられる。粒子は、全体または一部においてGRAS成分から構成されていてもよい。即ち、GRAS成分とは、米国FDAによって、一般的に安全と扱われている(Generally Regarded As Safe(GRAS))ものである。粒子材料として有用なGRAS成分としては、セルロース等の非分解性の食物ベースの粒子を含む。
キャリアドメインは、いくつかの機能を果たし得る。上記で説明したとおり、キャリアドメインは、組織等の特異的領域に産物をターゲティングするために有効であり得る。その場合、糖タンパク質、抗体、または結合タンパク質などのターゲティング剤を含み得る。
さらに、キャリアドメインのサイズを、バイオマーカーナノ粒子の特定の使用に基づいて調節してもよい。例えば、キャリアドメインは、5nmより大きいサイズを有するように設計されてもよい。例えば5nmより大きい粒子は、尿に入ることができないが、むしろ、細網内皮系(reticuloendothelial system;RES;肝臓、脾臓およびリンパ節)を通じて除去される。腎臓を通じた除去から除外されることによって、解析工程の間に、いずれかの未切断バイオマーカーナノ粒子は検出されない。加えて、血液において、またはより大きい粒子が血管系を通じてより容易に往復される腫瘍部位において粒子を維持するために有用であり得る。いくつかの態様において、キャリアドメインは、500ミクロン〜5nm、250ミクロン〜5nm、100ミクロン〜5nm、10ミクロン〜5nm、1ミクロン〜5nm、100nm〜5nm、100nm〜10nm、50nm〜10nm、またはそれらの間におけるいずれかの整数によるサイズ範囲である。他の場合において、キャリアドメインのサイズは5nm未満である。そのような場合、バイオマーカーナノ粒子は、尿中に除外される。しかしながら、遊離検出可能マーカーの存在は、依然として、例えば質量分析を用いて検出され得る。いくつかの態様において、キャリアドメインは、l〜5nm、2〜5nm、3〜5nmまたは4〜5nmである。
任意に、キャリアドメインは、生物学的剤を含んでもよい。一の態様において、生物学的剤はキャリアドメインに組み込まれてもよいし、キャリアドメインを構成するものであってもよい。例えば、生物学的剤は、タンパク質分解ドメインを付着させる骨格またはプラットホームを形成してもよい。したがって、本発明の組成物は、診断方法と治療剤の送達という2つの目的を同時に達成し得る。いくつかの態様において、生物学的剤は、酵素阻害因子であってもよい。そのような場合、生物学的剤は、局所部位においてタンパク質分解活性を阻害することができ、作用部位においてその特定の治療活性を試験するのに検出可能マーカーを用いることができる。HIVは、活性プロテアーゼがモニタされ得る疾患の例である。この態様において、組成物は、プロテアーゼ阻害因子を保持するマイクロ粒子または送達デバイスを含んでもよい。プロテアーゼ感受性部位は、特定のプロテアーゼ阻害因子の活性に関してフィードバックが提供され得るように、HIVプロテアーゼに対して感受性を有し得る。
生物学的剤は、診断剤、化粧剤および治療剤、例えば放出可能薬物を含む。したがって、いずれかの生物学的剤を、粒子内に組み込むことができ、粒子は、対象に対する投与または適用の後、組み込まれた材料を局所的にまたは全身に送達するかまたは維持することができる。すべての生体適合性の、または薬学的に許容し得る物質を、当業者に知られている技術を用いて粒子中に組み込ませるか、または粒子の孔中にトラップすることができる。生物学的剤は、治療上、予防上、化粧上または診断上の活性を有する合成の無機化合物および有機化合物、タンパク質およびペプチド、多糖およびその他の糖、脂質、ならびにDNAおよびRNA核酸配列を含むが、これらには限定されるものではない。核酸配列は、遺伝子、プラスミド、ベクター、相補的DNAに結合して転写を阻害するアンチセンス分子、siRNA、shRNAおよびリボザイムを含む。
特定の場合において、生物学的剤は抗微生物剤である。本明細書における抗微生物剤は、感染性の微生物を死滅させるかまたは阻害することができる、天然に存在するかまたは合成の化合物を指す。本発明により有用な抗微生物剤のタイプは、対象が感染しているかまたは感染するリスクがある微生物のタイプに依存する。抗微生物剤は、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗寄生虫剤を含むが、これらには限定されるものではない。「抗感染症剤」、「抗細菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「抗寄生虫剤」および「寄生虫駆除剤」などの語句は、通常の当業者に十分に確立された意味を有し、標準的な医学の教科書中に定義されている。
成長因子をまた、キャリア中に組み込んでもよい。本明細書において成長因子という用語は、細胞の増殖および/または分化を刺激するいずれかの剤を指す。成長因子は、線維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF)IおよびII、TGF−β、TGF−α、骨形成タンパク質(BMP)(例えばBMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−6またはBMP−7)、ヘッジホッグタンパク質、増殖分化因子、造血コロニー刺激因子(CSF)、血管内皮成長因子(VEGF)、類骨誘導因子(OIF)、アンジオゲニン、エンドセリン、肝細胞増殖因子、ケラチノサイト増殖因子、ADMP−1、インターロイキン(IL)(例えばIL−3およびIL−6)、上皮細胞増殖因子、デキサメタゾン、レプチン、ソーティリン、トランスグルタミナーゼ、プロスタグランジンE、1,25−ジヒドロキシビタミンD3、アスコルビン酸、プロコラーゲン、リン酸グリセロール、TAK−778、スタチン、成長ホルモン、造血幹細胞因子(SF)、アクチビンA(ACT)、レチノイン酸(RA)、上皮増殖因子(EGF)、造血成長因子、ペプチド成長因子、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン(IFN)、ヘパリン結合性増殖因子(HBGF)、神経成長因子(NGF)ならびに筋肉形態形成因子(MMP)を含むが、これらには限定されるものではない。
生物学的剤はまた、抗癌治療であり得る。抗癌治療は、例えば放射線療法、化学療法、アジュバント療法または上述のもののいずれかの組み合わせを含む。
キャリアドメインをまた、それを分析の間に身体において検出することができるように構成してもよい。例えば、MRIを用いてバイオマーカーナノ粒子を追跡して、非侵襲性のイメージングデータを提供できるように酸化鉄を粒子中に組み込むことができる。
キャリアは、酵素感受性検出可能マーカーに結合している。本明細書における酵素感受性検出可能マーカーは、対象において酵素反応を促進し、検出可能マーカーの放出を引き起こすモジュール構造の部分である。酵素感受性検出可能マーカーは、検出可能マーカーに結合した酵素感受性ドメインである。
酵素感受性部位は、特異的な疾患状態において活性である酵素に依存する。例えば、腫瘍は、特定のセットの酵素に関連する。分析されている疾患状態が腫瘍である場合には、産物は、腫瘍または他の罹患した組織によって発現される酵素のものとマッチする酵素感受性部位で設計される。あるいは、酵素特異的部位は、通常は存在するが、特定の疾患状態では欠如する酵素に関連するものであってもよい。この例では、疾患状態は、欠如もしくは酵素に関連するシグナル、または正常参照と比較したシグナルレベルの低下に関連するだろう。
本願明細書における酵素とは、生物体の代謝プロセスを加速するかまたは触媒する、生存細胞において産生される多数のタンパク質のいずれかをいう。酵素は、基質に対して作用する。基質は、酵素によって触媒される反応が起こる直前に、活性部位と呼ばれる位置において酵素に結合する。酵素は、プロテアーゼ、グリコシダーゼ、リパーゼ、ヘパリナーゼ、ホスファターゼを含むが、これらには限定されるものではない。
酵素感受性部位を最適化して、両方の高い触媒活性(または他の酵素活性)を特定された標的酵素に提供してもよいし、また検出のために最適化された検出可能マーカーを放出してもよい。患者の転帰は、個々の疾患の表現型に分子レベルで依存し、これはしばしば、酵素の発現において反映される。バイオインフォマティクスの最近の急増は、ヒト組織における遺伝子発現の複雑なパターンの探査が容易化した(Fodor, S.A. Massively parallel genomics. Science 277, 393-395 (1997))。発現プロファイリングによって生成される膨大なデータセットを用いて、腫瘍の分子診断が可能な高性能のコンピュータアルゴリズムが近年開発された(Khan J, Wei JS, Ringner M, Saal LH, Ladanyi M, Westermann F, et al. Classification and diagnostic prediction of cancers using gene expression profiling and artificial neural networks. Nat Med 2001;7:673-679.)。特定の疾患と関連する酵素および基質を同定するために、この情報にアクセスすることができる。この情報に基づいて、当業者は、バイオマーカーナノ粒子に組み込むべき適切な酵素または基質を同定することができる。表1は、(正常に対して増大したかまたは減少した)疾患と関連する酵素、およびいくつかの場合における特異的な基質の非限定的なリストを提供する。表2は、疾患またはその他状態と関連する基質の非限定的なリストを提供する。特定の疾患または状態に関連する多数の他の酵素/基質の組み合せが、当業者に知られており、本発明によれば有用である。
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上記の酵素/基質のいくつかは、以下の刊行物に記載されており、それら刊行物のすべては参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる:Parks, W. C. and R. P. Mecham (Eds): Matrix metalloproteinases. San Diego: Academic Press; 1998; Nagase, H. and J. F. Woessner, Jr. (1999) J. Biol. Chem. 274:21491; Ito, A. et al. (1996) J. Biol. Chem. 271:14657; Schonbeck, U. et al. (1998) J. Immunol. 161: 3340; Rajah, R. et al. (1999) Am. J. Cell Mol. Biol. 20:199; Fowlkes, J. L. et al. (1994) Endocrinology 135:2810; Manes, S. et al. (1999) J. Biol. Chem. 274:6935; Mira, E. et al. (1999) Endocrinology 140:1657; Yu, Q. and I. Stamenkovic (2000) Genes Dev. 14:163; Haro, H. et al. (2000) J. Clin. Invest. 105:143; Powell, C. P. et al. (1999) Curr. Biol. 9:1441; Suzuki, M. et al. (1997) J. Biol. Chem. 272:31730; Levi, E. et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:7069; Imai, K. et al. (1997) Biochem. J. 322:809; Smith, M. M. et al. (1995) J. Biol. Chem. 270:6440; and Dranoff, G. (2004) Nat. Rev. cancer 4: 11-22.
酵素感受性検出可能マーカーを、直接キャリアに付着させてもよい。例えば、それを、既知の手法を用いてマイクロ粒子の表面上に直接被覆してもよい。あるいは、キャリアがタンパク質材料である場合には、それを、ペプチド結合を介して直接接続してもよい。加えて、酵素感受性検出可能マーカーをキャリアドメインに、リンカーを用いることによって接続してもよい。本願明細書において「結合した」または「結合」は、2つの構成要素が任意の物理化学的手段によって互いに結合していることを意味する。通常の当業者に知られているすべての結合、即ち共有結合または非共有結合が包含される。したがって、いくつかの態様において、キャリアは、外面に付着したリンカーを有し、それを用いて、酵素感受性検出可能マーカーを結合させることができる。他の分子をまた、リンカーに付着させることもできる。
酵素感受性検出可能マーカーは、好ましくは、複数の化学単位から構成されるポリマーである。本願明細書における「化学単位」は、直接または間接的に他の構成ブロックまたはモノマーに結合してポリマーを形成し得る構成ブロックまたはモノマーである。いくつかの態様において、酵素感受性検出可能マーカーは、酵素による切断に感受性があるかまたは疾患もしくは状態と関連する基質の切断を生じるペプチドである。タンパク質分解切断部位がペプチドであるときの多数の例が、上記の表に提示されている。
酵素感受性ドメインはまた、多糖であってもよい。いくつかの多糖特異的分解酵素は、腫瘍、血管新生およびその他の状態と関連している。「多糖」は、結合した糖類または糖単位で構成されるバイオポリマーである。タンパク質分解感受性ドメインとして用いられる多糖を、単離するかまたは新たに合成してもよい。例えば、多糖は、天然の供給源から、例えば切断およびゲル分離によって精製するなど、単離してもよく、あるいは、化学合成によるなどして合成してもよく、バイオマーカーナノ粒子に組み込んでもよい。
例えば、HSGAG分解酵素は、本発明の方法によって分析することができる酵素である。HSGAG分解酵素は、ヘパリナーゼ‐I、ヘパリナーゼ‐II、ヘパリナーゼ‐III、D‐グルクロニダーゼおよびL‐イズロニダーゼを含む。ヘパリナーゼは、ウロン酸の前にグリコシド結合において切断する。ヘパリナーゼIは、2‐O硫酸化イズロン酸の前のグリコシド結合において切断する。ヘパリナーゼ‐IIIは、硫酸化されていないグルクロン酸の前のグリコシド結合において切断する。ヘパリナーゼ‐IIは、Hep‐IおよびHep‐IIIの切断可能部位の両方において切断する。グルクロニダーゼおよびイズロニダーゼは、それらの名称が示唆するように、それぞれグルクロン酸およびイズロン酸の後のグリコシド結合において切断する。亜硝酸は、N−硫酸化ヘキソサミンの後のグリコシド結合においてランダムに切断し、6員環のヘキソサミン環を5員環のアンヒドロマンニトール環に変換する。適切な酵素感受性ドメインを、これらの酵素の既知の基質および切断部位に基づいて設計してもよい。
バイオマーカーナノ粒子はまた、モジュール構造を収容する埋め込み型マイクロ送達デバイス(microdelivery device)を含んでいてもよい。埋め込み型マイクロ送達デバイスは、身体中に移植するための大きさであり、モジュール構造を保持することができるいずれかのタイプのデバイスである。例えば、デバイスは、その中に収容されるモジュール構造を含有する埋め込み型カプセルであり得る。カプセルは、半透膜を有してもよく、その結果、モジュール構造が膜を通過することができないが、膜が、酵素や基質等の内在性分子、ならびに検出可能マーカーに対して透過性を有するものであってもよい。あるいは、埋め込み型マイクロ送達デバイスは、それに付着したモジュール構造を有するチップであってもよい。埋め込み型マイクロ送達デバイスの例は、埋め込み型カプセル、チップ、徐放性製剤、マルチパルス(multi-pulse)薬物送達再吸収可能ポリマーマイクロチップデバイス(multi-pulse drug delivery resorbable polymeric microchip device)(Grayson et al. Nature Materials, VOL 2, Nov 2003, p. 767)および放出制御マイクロチップ(Santini et al Nature, vol 397, 1999, p.335)を含むが、これらに限定されるものではない。これらのデバイスは、本明細書中に記載したポリマー材料の多くを含む多くの材料から作製され得る。好ましくは、埋め込み型デバイスは、生体適合性かつ無毒である。
酵素感受性ドメインの酵素によるインビボでの改変の結果、検出可能マーカーが生じる。あるいは、酵素感受性検出可能マーカーが酵素であるときには、酵素は、内在性基質を切断し、検出可能マーカーを内在性基質から産生する。検出可能マーカーは、検出可能な分子である。それは、酵素感受性ドメインの部分、例えば切断の際に放出されるかもしくは付加される断片であり得、または別個の構成要素であり得る。好ましくは、検出可能マーカーは、上述のとおり、リンカーによって結合した2つのリガンドから構成される。検出可能マーカーは、例えば、最適な検出を促進するコードされた特徴を有する、ペプチド、核酸、小分子、フルオロフォア/クエンチャー、炭水化物、粒子、放射性標識、MRI活性化合物、無機材料、有機材料の1つまたは2つ以上から構成されてもよい。
捕捉/検出工程を達成するために、任意の既知の検出方法によって検出可能マーカーを検出してもよい。多様な方法が、検出可能マーカーの性質に応じて用いられ得る。検出可能マーカーは、捕捉に続いて、光学密度、放射性放射、非放射性エネルギー移動を介して直接検出してもよく、または検出可能マーカーは、抗体コンジュゲート、アフィニティカラム、ストレプトアビジン−ビオチンコンジュゲート、PCR分析、DNAマイクロアレイ、および蛍光分析を用いて間接的に検出してもよい。
いくつかの態様における捕捉アッセイは、蛍光、比色、生物発光、および化学発光によるELISAを含むELISA、ペーパー試験ストリップもしくはLFA、ビーズベースの蛍光アッセイ、および表面プラズモン共鳴(SPR)等の無標識検出からなる群から選択される検出工程を伴う。捕捉アッセイは、例えば、アフィニティ剤に対する捕捉リガンドの結合を伴ってもよい。
分析行程は、生体試料に対して直接実行してもよく、またはシグネチャ要素を、最初にある程度まで精製してもよい。例えば、精製工程は、生体試料中の他の要素から検出可能マーカーを単離することを伴ってもよい。精製工程は、アフィニティークロマトグラフィー等の方法を含む。本願明細書における「単離した分子」または「精製した分子」は、その天然環境からある程度まで単離した検出可能マーカーである。単離したまたは精製した分子は、分析の前に、100%純粋である必要はなく、あるいは実質的に純粋である必要すらない。
検出可能マーカーの存在を同定することによって検出可能マーカーを分析する方法を用いて、分子の定性的評価(例えば検出可能マーカーが存在するか、もしくは存在しないか)または定量的評価(例えば酵素の相対活性レベルを示す、存在する検出可能マーカーの量)を提供してもよい。定量的数値は、例えば試料中に存在する各画分のパーセント相対量を決定することによる等、いずれかの手段によって計算してもよい。これらのタイプの計算を行う方法は、当該分野において知られている。
検出可能マーカーが核酸であるときには、それをPCRおよびマイクロアレイを用いても分析することもできる。PCR法は、当該分野において周知である。例えば、Mullis et al.に対して発行された米国特許第5,333,675号には、自動化PCRを実行するための装置および方法が記載されている。一般に、PCR法を実行すると、各々がDNAの選択領域内で一方のストランドの一部と相補的である2つのDNAプライマーを提供することによって、DNAの選択領域の増幅が生じる。プライマーは、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)ならびにDNAポリメラーゼ等の鎖伸長酵素の存在下で、核酸の鋳型ストランドに対してハイブリダイズされる。プライマーは、分離したストランドとハイブリダイズされ、それらが二本鎖を形成する、プライマーとハイブリダイゼーションした領域を除いて、一本鎖であるDNA分子を形成する。二本鎖領域が、鎖伸長酵素(例えばDNAポリメラーゼ)の作用によって伸長され、最初の2種のプライマー間に伸長した二本鎖分子を形成する。二本鎖DNA分子は分離され、一本鎖を生成し、それら一本鎖は、次いでプライマーと再びハイブリダイズされ得る。このプロセスが、多数のサイクルにわたって繰り返され、プライマーの間の同一ヌクレオチド配列を有し、かつプライマーを含む、一連のDNAストランドを生成する。
鎖伸長酵素は、当該分野において周知であり、例えば大腸菌DNAポリメラーゼI、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、組換え改変T7 DNAポリメラーゼ、逆転写酵素およびその他酵素が挙げられる。熱安定酵素が、自動化された熱サイクル機器において有用であるため特に好ましい。熱安定ポリメラーゼは、例えばbacillus stearothermophilus(Bio-Rad)、thermus thermophilous(フィンザイム(finzyme)、ATCC番号27634)、thermus属種(ATCC番号31674)、thermus aquaticusTV11518株(ATCC番号25105)、Bukhrashuili et al., Biochem. Biophys. Acta., 1008:102-07 (1909)によって記載されているsulfolobus acidocaldarius、thermus filiformus(ATCC番号43280)から単離されたDNAポリメラーゼ、Perkin-Elmer-Cetus (Norwalk, Conn.)、Promega (Madison, Wis.) およびStratagene (La Jolla, Calif.)から商業的に入手できるTaq DNAポリメラーゼ、ならびにAmpliTaq(商標)DNAポリメラーゼ、即ちPerkin-Elmer-Cetusから入手可能であり、米国特許第4,889,818号に記載されている組換え型thermus equitus Taq DNAポリメラーゼが挙げられる。
好ましくは、本発明によるPCRベースの方法は、自動化されており、サーマルサイクラーを用いて実施される。多くのタイプのサーマルサイクラーが、当該分野において周知である。例えば、M.J. Research (Watertown, Mass)は、ペルチェ熱ポンプを有するサーマルサイクラーを提供してサーマルサイクラーにおいて正確な均一温度制御を提供する;Ericomp (San Diego, CA)からのデルタサイクラー(DeltaCycler)サーマルサイクラーもまた、ペルチェに基づいており、自動傾斜制御、時間/温度伸長プログラミングおよびチューブまたはマイクロプレート構成の選択を含む。ストラタジーン(Stratagene) (La Jolla, CA)によるロボサイクラー(RoboCycler)(商標)は、ロボット工学を組み込んでおり、サイクリングの間の迅速な温度移行と、試料間の各ウェルにわたる均一性を提供し;特に好ましいサイクラーは、パーキン・エルマー・アプライド・バイオシステムズ(Perkin-Elmer Applied Biosystems)(Foster City, CA) のABIプリズム(ABI Prism)(商標)877インテグライテッド・サーマルサイクラーであり、それは、液体の取り扱い、ならびに蛍光DNAシーケンシングおよびPCR反応のためのサーモサイクリングプロセスを自動化する、プログラミング可能なインターフェースによって作動する。
対象中の酵素の存在または非存在はまた、ハイブリダイゼーション手法を用いて決定してもよい。マイクロアレイ技術の標準的なハイブリダイゼーション手法を利用して、生体試料中の核酸の存在を評価する。DNAチップ技術、遺伝子チップ技術および固相核酸アレイ技術を含む他の名称により知られているマイクロアレイ技術は、技術の当業者に周知であり、固定された基質に対して同定された核酸プローブのアレイを得ること、標的分子をレポーター分子(例えば、放射性タグ、化学発光タグまたはフルオレセイン、Cye3−dUTPまたはCye5‐dUTP等の蛍光タグ)で標識すること、プローブに対して標的核酸をハイブリダイズさせること、ならびに標的‐プローブハイブリダイゼーションを評価することに基づくが、これらには限定されるものではない。標的配列と完全にマッチする核酸配列を有するプローブによれば、一般に、より完全でないマッチを有するプローブよりも、より高いレポーター分子シグナルが検出される。核酸マイクロアレイ技術において利用される多くの要素および手法は、The Chipping Forecast, Nature Genetics, Vol.21、1999年1月に提示されており、その全内容は、本明細書中に参照によって組み込まれる。
本発明によれば、マイクロアレイ基材は、ガラス、シリカ、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミナや酸化ニッケル等の金属酸化物、各種粘土、ニトロセルロースまたはナイロンを含み得るが、これらには限定されるものではない。すべての態様において、ガラス基材が好ましい。本願明細書における「アレイ」は、表面に対して特定の順序で配置した分子のセットである。好ましくは、アレイは表面に付着するポリヌクレオチドで構成される。オリゴヌクレオチドアレイを、検出可能マーカーで標識され得る標的核酸に関して核酸試料をスクリーニングするための用いることができる。標的核酸と基材に結合したオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションから生じる蛍光シグナルにより、アレイ中のオリゴヌクレオチドの基材上での位置を参照することによって、標的核酸の同一性に関する情報が提供される。このようなハイブリダイゼーションアッセイによれば、異なるシグナルの強さを示す数千のシグナルが発生され得る。これらのシグナルは、アレイの特定のオリゴヌクレオチドに対応する。異なるシグナルの強さが、アレイのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした標識標的核酸の量に基づいて生じる。
最適なハイブリダイゼーションのための条件は既知である。一般のハイブリダイゼーション条件は、当該分野において一般的に用いられているものであり、例えばSambrook et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, (1989), 第2版、Cold Spring Harbor, NY;Berger and Kimmel, “Guide to Molecular Cloning Techniques”, Methods in Enzymology, (1987), Volume 152, Academic Press, Inc., San Diego, CA;およびYoung and Davis, (1983), PNAS (USA) 80:1194に記載されているものが挙げられる。一般に、核酸のハイブリダイゼーションのためのインキュベーション温度は、約20℃〜75℃の範囲である。17個のヌクレオチド残基またはそれより長いプローブに関し、ハイブリダイゼーションのための好ましい温度範囲は、約50℃〜54℃である。より長いプローブについてのハイブリダイゼーション温度は、好ましくは約55℃〜65℃であり、より短いプローブについては52℃未満である。再ハイブリダイゼーションは、多様な時間枠で実行され得る。好ましくは、SNPおよびRCGのハイブリダイゼーションは、少なくとも30分間で実行する。
検出可能マーカーを標識してもよい。例えば、標識は、単離した検出可能マーカーがPCRに供試されるときに、核酸に直接付加されてもよい。例えば、標識したプライマーまたは標識したヌクレオチドを用いて実施するPCR反応により、標識された産物が産生される。標識されたヌクレオチド(例えばフルオレセインで標識したCTP)は、商業的に入手可能である。核酸に標識を付着させる方法は、当業者に周知であり、PCR法に加えて、例えばニックトランスレーションおよび末端標識が挙げられる。
本発明の方法において用いるのに好適な標識は、標準的な手段によって検出可能な任意のタイプの標識を含み、それらには、分光法、光化学的方法、生化学的方法、電気的方法、光学的方法または化学的方法が含まれる。好ましいタイプの標識は、例えばフルオレセイン等の蛍光標識を含む。蛍光標識は、少なくとも1つのフルオロフォアを含む化合物である。商業的に入手できる蛍光標識は、例えばフルオレセインホスホラミダイド、例えばフルオレプライム(fluoreprime)(Pharmacia, Piscataway, NJ)、フルオレダイト(fluoredite)(Millipore, Bedford, MA)、FAM (ABI, Foster City, CA)、ローダミン、ポリメタジン(polymethadine)色素誘導体、リン光(phosphore)、テキサスレッド(Texas red)、緑色蛍光タンパク質、CY3およびCY5を含む。ポリヌクレオチドは、1つまたは2つ以上のスペクトル上区別できる蛍光標識で標識され得る。「スペクトル上区別できる」蛍光標識は、1つまたは2つ以上のそれらの特徴的吸収スペクトル、発光スペクトル、蛍光存続期間等に基づいて互いに区別され得る標識である。スペクトル上区別できる蛍光標識は、それらを組み合わせて用いる(「多重化する」)ことができるという利点を有する。H、125I、35S、14Cまたは32P等の放射性核種もまた、本発明の方法によれば有用な標識である。複数種の放射活性上区別可能な放射性核種を用いることができる。そのような放射性核種は、例えば放射性核種によって発せられる放射線のタイプ(例えば、α線、β線またはδ線)に基づいて区別することができる。32Pシグナルを、現在約50ミクロンの分解能を有するホスホイメージャー(phosphoimager)を用いて検出することができる。化学発光または比色法(酵素的色反応)等のその他既知の手法も用いることができる。
「ドナー」フルオロフォアが、酵素のための結合部位である短い架橋によって「アクセプター」発色団に結合されるクエンチャー組成物を用いてもよい。ドナーフルオロフォアのシグナルは、共鳴エネルギー移動(RET)を伴うと考えられるプロセスを介して、アクセプター発色団によってクエンチされる。ペプチドの切断の結果、発色団およびフルオロフォアの分離、クエンチの除去、ならびにドナーフルオロフォアから測定される、その後のシグナル発生が生じる。
データが、例えば二次元画像として得られれば、コンピュータを用いることで、特定の位置における光放射の強度に応じて色が変化する表示画像にデータを変換することができる。このタイプのデータ分析を実行できる任意のタイプの市販のソフトウェアを用いることができる。一般に、データ分析は、基材上での位置に応じて発せられた蛍光の強度を決定する工程、外れ値を除外する工程、および相対結合親和性を計算する工程を伴う。標識に対応するシグナルの存在、非存在および強度の1つまたは2つ以上を用いて、検出可能マーカーの存在または非存在を評価する。1つまたは2つ以上の検出可能マーカーの存在および非存在を用いて、酵素の存在または非存在に基づいて個体の疾患ステータスを決定することができる。
データはまた、手動で観察または分析してもよい。例えば、データから診断情報または予後情報を提供するために、蛍光標識の存在または非存在を観察してもよい。
本発明の方法により評価した疾患または状態は、酵素と関連する任意の疾患または状態である。例えば、癌、心血管疾患、関節炎、ウイルス感染、細菌感染、寄生虫感染もしくは真菌感染、アルツハイマー病気腫、血栓形成、血友病、卒中、臓器機能不全、任意の炎症状態、血管疾患、実質性疾患または薬理学的に誘導された状態はすべて、酵素に関連することが知られている。薬理学的に誘導された状態は、酵素阻害因子およびその他剤が酵素活性に直接または間接的に影響する状態である。したがって、これらのそれぞれを、本発明の方法により評価するかまたはモニタするかまたは研究することができる。
転移が、癌患者における処置の失敗の主な原因であることから、非転移性原発性腫瘍を転移性腫瘍と区別できるようにすることは有用である。転移を早期に検出することができる場合、疾患の進行を遅延させるために転移を積極的に処置することができる。転移は、原発性腫瘍からの細胞の離脱、循環を通した細胞の移動、ならびに局所組織部位または遠隔組織部位における腫瘍細胞の最終的な定着を伴う複雑なプロセスである。加えて、モニタリングおよび早期の処置を開始し得るように、特定の癌の発達のための素因を検出することをできるようにすることが所望される。例えば、リンパ腫や白血病等の血液系腫瘍の広範な細胞遺伝学的分析が記載されている。例えば、Solomon et al., Science 254, 1153-1160, 1991を参照。本発明の非侵襲的な方法を用いた早期の検出またはモニタリングは有用であり得る。
固形腫瘍は、腫瘍形成から転移ステージを経て、いくつかの異なる活性プロテアーゼが関与し得るステージに進行する。腫瘍が次のステージに進行し得るように、つまり増殖上の優位性、薬物耐性もしくは血管新生増強を生じさせる能力、タンパク質分解、または転移能力を付与することによって腫瘍を次のステージに進行し得るように、いくつかのプロテアーゼが腫瘍を変化させるものと考えられる。
アルツハイマー病が進行性認知症を引き起こし、結果としてアミロイドプラーク、神経原線維変化、神経膠症およびニューロン脱落の形成を生じる。当該疾患は、遺伝子的形態と孤発性形態との両方において発生し、その臨床的経過および病理学的特徴は、極めて類似している。変異したときにアルツハイマー病の常染色体優性型を生じる3つの遺伝子が現在までに発見されている。これらは、アミロイドタンパク質前駆体(APP)および2つの関連するタンパク質、即ちプレセニリン−1(PS1)およびプレセニリン−2(PS2)をコードする。3つのタンパク質のいずれかにおける変異が、APPのタンパク質分解処理を、アミロイドベータペプチド(Aβペプチド)、即ちアルツハイマー病におけるアミロイドプラークの主要な要素である40〜42個のアミノ酸長のペプチドを産生する細胞内経路を介して増強することが観察された。それぞれα−セクレターゼ部位に対してN末端およびC末端に位置するβ−およびγ−セクレターゼ部位におけるAPPの病理学的処理によって、α部位における処理とは極めて異なる結果が得られる。β−およびγ−セクレターゼ部位における連続的処理によって、Aβペプチド、即ち場合によってはアルツハイマー病の発症機序において極めて重要であるペプチドが放出される。アスパルチルプロテアーゼ2(Asp2)と呼ばれるβセクレターゼ酵素は、この処理を媒介すると考えられる。Asp2活性の存在は、アルツハイマー病の診断および予後に重要である。この酵素およびその基質をまた、本発明の方法において用いて、治療がアルツハイマー病の進行を遅延するにあたり機能する能力をモニタリングすることができる。
方法は、トロンビン活性を分析することによって対象において血塊の存在を検出するのに有用であり得る。MRIまたは超音波は、血液凝固の相対量および解剖学的位置を正確に解像するが、それらは、現在、生物学的に活性な血塊を安定なものから区別することはできない。例えば、DVTを示す患者は、彼らの血塊が拡大しているというエビデンスがある場合、つまり、数週にわたり彼らの血塊量を連続的にモニタリングすることが必要とされる診断(この事は血栓が線溶療法に対して最も応答する早期ステージにおいてトロンビン活性の上昇によって潜在的に予測され得る)がある場合には、抗凝固剤が処方される[27]。アテローム性動脈硬化プラークのイメージングの関連研究によれば、トロンビン活性を測定すると、安定なプラークから重度のプラークを病期分類し、区別し得ることを十分に予測し得ることが示されているが、このようなプラークは、解剖学的特徴のみに基づくと区別できなかった[9c]
本願明細書において、対象とは、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたは齧歯動物である。すべての態様において、ヒト対象が好ましい。癌診断に関連する本発明の側面において、一般に対象は、好ましくは癌を有することが疑われるヒト、または以前に癌を有すると診断されたヒトである。癌を有することが疑われる対象を確認する方法は、理学的検査、対象の家族の病歴、対象の病歴、生検または多種の画像化技術、例えば超音波検査法、コンピュータ断層撮影法、磁気共鳴画像、磁気共鳴分光法または陽電子放出断層撮影を含み得る。
本願明細書において、生体試料とは、組織試料である。生体試料を、身体において、例えば標識を組織の部位にて、即ち尿中で検出することによって試験してもよい。あるいはまた、生体試料を対象から採集し、インビトロで試験してもよい。生体試料は、尿、血液、唾液または粘膜分泌を含むが、これらには限定されない。好ましい態様において、組織試料を、非侵襲的に、例えば尿中で得る。
本願全体を通して用いられる、エレメントが「複数」とは、そのエレメントが2つまたは3つ以上あることをいう。
本発明のバイオマーカーナノ粒子を、酵素活性を検出するのに有効な量で対象に投与する。「有効量」は、例えば、酵素の存在下で検出可能なレベルの検出可能マーカーの放出をもたらすのに必要であるかまたは十分な量である。本願明細書に記載した本発明の化合物の有効量は、用いる特定の化合物、化合物の送達の方式およびそれを単独で用いるか組み合わせて用いるかに依存して変動し得る。任意の特定の用途に有効な量はまた、評価されるかもしくは処置される疾患、投与する特定の化合物、対象の大きさ、または疾患もしくは状態の重篤度および検出方法などの要因に依存して変動し得る。通常の当業者は、本発明の特定の分子の有効な量を、過度の実験を必要とせずに経験的に決定することができる。本明細書中に提供した教示と組み合わせて、多様な活性化合物の中から選択し、効力、相対的生物学的利用能、患者の体重、有害な副作用の重篤度および投与の好ましい方式などの要因を比較検討することによって、有効なレジメンを計画することができる。
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容し得る担体中に溶解したかまたは分散させた有効な量の1つまたは2つ以上の剤を含む。「薬学的に、または薬理学的に許容し得る」の語句は、動物、例えばヒトに適切であるように投与した場合に有害反応、アレルギー応答または他の有害な反応を発生しない分子構成要素および組成物を指す。さらに、動物(例えばヒト)への投与のために、製剤が無菌性、発熱性、一般的安全性およびFDA Office of Biological Standardsによって必要とされる純度基準を満たさなければならないことが理解される。
本明細書中で用いる「薬学的に許容し得る担体」は、通常の当業者に知られている任意のおよびすべての溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば抗細菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定化剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素、そのような同様の材料およびそれらの組み合わせを含む(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences (1990)を参照、本明細書中に参照によって組み込まれる)。任意の慣用の担体が活性成分と不適合性である場合を除いて、治療組成物または医薬組成物におけるその使用を熟考する。当該剤は、それを固体、液体またはエアゾールのいずれの形態で投与するべきであるか、およびそれが注射などの投与の経路のために無菌であることが必要であるか否かに依存して、異なるタイプの担体を含み得る。
好ましくは、材料を身体中に注入するが、また他の経路によって投与することができる。例えば、本発明の化合物を、静脈内に、皮内に、動脈内に、病巣内に、腫瘍内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に(intraprostaticaly)、胸膜内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、膣内に、直腸内に、局所的に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、結膜下の、小胞内に(intravesicularlly)、粘膜に、心膜内に、臍内に、眼内に(intraocularally)、経口的に、局所的に、局在的に、吸入(例えばエアゾール吸入)、注射、注入、持続点滴、標的細胞を直接浴びせる局在化された灌流、カテーテルを介して、洗浄によって、クリームにおいて、脂質組成物(例えばリポソーム)において、もしくは他の方法によって、または通常の当業者に知られている前記のいずれかの組み合わせによって投与することができる(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences (1990)を参照、本明細書中に参照によって組み込まれる)。
ある態様において、医薬組成物は、例えば少なくとも約0.1%の活性化合物を含んでいてもよい。他の態様において、活性化合物は、例えば単位の重量の約2%〜約75%または約25%〜約60%およびそこから誘導可能ないずれかの範囲を含んでいてもよい。
剤を、遊離塩基、中性または塩形態の組成物に処方してもよい。薬学的に許容し得る塩は、酸付加塩、例えばタンパク質性組成物の遊離のアミノ基と共に生成したもの、または無機酸、例えば塩酸もしくはリン酸、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸もしくはマンデル酸と共に生成したものを含む。遊離のカルボキシル基と共に生成した塩もまた、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムもしくは水酸化第二鉄;または有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンもしくはプロカインから誘導することができる。
組成物が液体形態にある態様において、担体は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えばトリグリセリド、植物油、リポソーム)およびそれらの組み合わせを含むがこれらには限定されない溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性を、例えばコーティング、例えばレシチンを用いることによって;担体、例えば液体ポリオールもしくは脂質中の分散体によって所要の粒径を維持することによって;界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースを用いることによって;またはそれらのそのような方法の組み合わせによって維持することができる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムまたはそれらの組み合わせを含むのが好ましい。
本発明の方法によれば、化合物を、医薬組成物において投与してもよい。一般的に、医薬組成物は、本発明の化合物および薬学的に許容し得る担体を含む。ペプチド、モノクロナール抗体および抗体断片のための薬学的に許容し得る担体は、当業者に周知である。本明細書中で用いる薬学的に許容し得る担体は、活性成分の生物学的活性の有効性を妨げない無毒性物質を意味する。
薬学的に許容し得る担体は、希釈剤、充填剤、塩、緩衝物質、安定化剤、可溶化剤および当該分野において周知の他の材料を含む。ペプチドのための例示的な薬学的に許容し得る担体は、特に米国特許第5,211,657号に記載されている。そのような製剤は、塩、緩衝剤、保存剤、相溶性担体および任意に他の治療剤をルーティンとして含んでいてもよい。医薬において用いる場合には、塩は薬学的に許容し得なければならないが、薬学的に許容し得ない塩を好都合に用いて、その薬学的に許容し得る塩を調製してもよく、本発明の範囲から除外されない。そのような薬理学的および薬学的に許容し得る塩は、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸などから調製されたものを含むが、それらには限定されない。また、薬学的に許容し得る塩を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として調製することができる。
本発明の化合物を、固体、半固体、液体または気体形態、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、保管所、吸入薬および注射、ならびに経口、非経口または外科的投与のための通常の方法における製剤に処方してもよい。本発明はまた、例えば移植による局所的投与のために処方された医薬組成物を包含する。
経口投与に好適な組成物を、別個の単位、例えばカプセル、錠剤、トローチ剤として提示してもよく、各々は、所定量の活性剤を含む。他の組成物は、水性液体または非水性液体に懸濁させた懸濁液、例えばシロップ、エリキシル剤またはエマルジョンを含む。
本発明の化合物を、組織に直接投与してもよい。直接の組織投与を、直接注射によって達成してもよい。化合物を1回投与してもよく、または代わりにそれらを、複数の投与において投与してもよい。複数回投与する場合には、当該化合物を、異なる経路を介して投与してもよい。例えば、第1(または最初の数回)の投与を、罹患した組織中に直接行ってもよく、一方後の投与を、全身的に行ってもよい。
経口投与のために、化合物を、活性化合物を当該分野において周知の薬学的に許容し得る担体と混ぜ合わせることによって容易に処方することができる。そのような担体によって、本発明の化合物を、処置するべき対象による経口摂取のための錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして処方するのが可能になる。経口使用のための医薬製剤を、得られた混合物を任意に粉砕し、所望により好適な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得て、固体賦形剤として得ることができる。好適な賦形剤は、特に充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天もしくはアルギン酸、またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを加えてもよい。任意に、経口処方物をまた、内部の酸性状態を中和するための生理食塩水もしくは緩衝液中に処方してもよいか、またはいかなる担体をも伴わずに投与してもよい。
糖衣錠コアには、好適なコーティングを設ける。この目的のために、濃縮糖溶液を用いてもよく、それは、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、carbopolゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含んでいてもよい。染料または顔料を、識別のために、または異なる組み合わせの活性化合物用量を特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えてもよい。
経口的に用いることができる医薬組成物は、ゼラチン製の押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の柔軟な密封されたカプセルを含む。押し込み型カプセルは、活性成分を、充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプン、および/または潤滑剤、例えばタルクもしくはステアリン酸マグネシウムおよび任意に安定剤との混合物において含むことができる。柔軟なカプセルにおいて、活性化合物を、好適な液体、例えば脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールに溶解するかまたは懸濁させてもよい。さらに、安定剤を加えてもよい。また、経口投与のために処方された微小球もまた、用いてもよい。そのような微小球は、当該分野において十分に定義されている。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に好適な投与量でなければならない。
頬側投与のために、当該組成物は、慣用の方式で処方した錠剤またはトローチ剤の形態を採り得る。
吸入による投与のために、本発明により用いるための化合物を、エアゾールスプレー提示の形態で加圧した包装または噴霧器から、好適な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスの使用を伴って好都合に送達してもよい。加圧されたエアゾールの場合において、投薬単位を、弁を提供することによって決定して、計量された量を送達してもよい。化合物の粉末混合物および好適な原料粉末、例えばラクトースまたはデンプンを含む、吸入器または注入器における使用のための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、処方してもよい。エアゾール送達系を調製するための手法は、当業者に周知である。一般的に、そのような系は、活性剤の生物学的特性を顕著に損なわない成分を用いなければならない(例えばSciarra and Cutie, “Aerosols,” in Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、1990, pp 1694-1712を参照;参照によって組み込まれる)。当業者は、エアゾールを製造するための多様なパラメータおよび条件を、過度の実験に依存せずに容易に決定することができる。
化合物を全身的に送達することが所望される場合には、注射による、例えばボーラス注入または持続点滴による非経口投与用にそれらを処方してもよい。注射のための製剤を、単位剤形において、例えばアンプルにおいて、または複数投与(multi-dose)容器において、保存剤を加えて提示してもよい。組成物は、油性のまたは水性のビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態を採り得、処方剤(formulatory agent)、例えば懸濁剤、安定剤および/または分散剤を含んでいてもよい。
非経口的投与のための製剤は、無菌の水性の、または非水性の溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含み、生理食塩水および緩衝された媒体を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または固定油を含む。静脈内ビヒクルは、流体および栄養素補充薬、電解質補充薬(例えばリンゲルのデキストロースに基づくもの)などを含む。保存剤および他の添加剤、例えば抗微生物剤、酸化防止剤、キレート剤および不活性ガスなどもまた、存在してもよい。より低い用量は、投与の他の形態、例えば静脈内投与から生じる。対象における応答が適用された初期用量にて不十分である場合には、より高い投与量(または異なる、より局所化された送達経路による有効により高い投与量)を、患者の耐容性が許容する程度に用いてもよい。1日あたりの複数回投与を熟考して、適切な全身的な濃度の化合物を達成する。
本発明により発生するデータを、任意にバーコードまたは他の人間もしくは機械で読み取り可能な形態に変換してもよい。例えば、バーコードの各々の線は、特定の対象についての特異的な酵素または特異的な酵素の群の存在または非存在を示し得る。バーコードデータを、他の対象に関する情報のデータベースまたは疾患に関する情報と比較して、試験対象の診断、予後または他の分析において補助することができる。
本発明の1つの態様において、ここで発生したデータを用いて、癌のための臨床的処置パラダイムを選択する。処置の選択肢は、本明細書中に記載したように、以下のものを含み得るが、これらには限定されない:放射線療法、化学療法、アジュバント療法または前述の方法のいずれかの組み合わせ。変動し得る処置の側面は、以下のものを含むが、これらには限定されない:用量、投与のタイミング、または持続時間もしくは療法;また投与量、タイミングまたは持続時間において変動し得る他の処置と組み合わせても組み合わせなくてもよい。癌のための他の処置は、手術であり、それを、単独で、または前述の処置方法のいずれかとの組み合わせで用いることができる。医療分野における通常の当業者は、適切な処置パラダイムを、本明細書中に記載した方法によって発生したデータの評価に基づいて決定することができる。
特定の態様において、本明細書中に記載したデータを計算し、処理するためのソフトウェアを、データ発生デバイス、例えば質量分析計、マイクロアレイ読取機またはPCR機器へのデータ結合によって接続したコンピュータ上に提供することができる。任意の標準的なデータ結合を用いることができ、それは、直列の、または並列のケーブル、無線周波数または赤外線のテレメトリー結合、LAN接続、WAN接続などを含む。あるいはまた、データを、コンピュータ可読媒体(例えば磁気媒体または光媒体)によって転送し、ソフトウェアによって読み取ることができる。データをまた、使用者によって使用者インターフェース、例えばキーボード、モニター、マウス、グラフィカルユーザーインターフェース、例えばタッチスクリーンなどを介して直接入力することができる。コンピュータを、データ発生デバイス内に包含させ、未加工のデータを発生させ、比率を計算し、そのような比率を表示するための集積システムを提供してもよい。1つまたは2つ以上のコンピュータをまた、1または2以上のデータ発生デバイスおよび1つまたは2つ以上のディスプレイデバイスに、例えばローカルエリアネットワークまたは広域ネットワークにおいて結合させてもよい。
本発明の1つの態様において、視覚的表示を用いて、分類、診断、予後および/または治療的モニタリングの予測のためのデータを表示する。視覚的表示を、グラフィカルユーザーインターフェース、例えばモニター、またはプリンターとすることができる。
データを、個別に、またはコンピュータによって処理することができる。例えば、1組の検出可能マーカーの定量的数値を表す、コンピュータ可読媒体において明白に統合されたデータ構造を発生させるためのコンピュータで実行する方法を、本発明によって行うことができる。定量的数値を、参考データベースと比較することができる。あるいはまた、定性的パターンを、参考データベースと比較することができる。
コンピュータプログラムとして上記のことを実行することができるコンピュータシステムは、典型的には、情報を使用者に対して表示する出力デバイスおよび使用者からの入力を受信する入力デバイスの両方に接続された主要装置を含み得る。主要装置は一般的に、メモリシステムに相互接続機構を介して接続されたプロセッサを含む。入力デバイスおよび出力デバイスをまた、プロセッサおよびメモリシステムに相互接続機構を介して接続してもよい。
1つまたは2つ以上の出力デバイスを、コンピュータシステムに接続することができる。例示的な出力デバイスは、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プリンター、モデムなどの通信デバイス、および音声出力を含む。1または2以上の入力デバイスもまた、コンピュータシステムに接続することができる。例示的な入力デバイスは、キーボード、キーパッド、トラックボール、マウス、ペンおよびタブレット、通信デバイス、ならびにセンサなどのデータ入力デバイスを含む。本明細書中で開示した主題は、コンピュータシステムと組み合わせて用いる特定の入力もしくは出力デバイス、または本明細書中に記載したものに限定されない。
コンピュータシステムは、コンピュータプログラミング言語、例えばC++、Java(登録商標)、または他の言語、例えばスクリプト言語もしくはアセンブリ言語を用いてプログラム可能な汎用コンピュータシステムであり得る。コンピュータシステムはまた、特別にプログラムされた特殊目的のハードウェア、例えばApplication-Specific Integrated Circuit(ASIC)を含んでいてもよい。汎用コンピュータシステムにおいて、プロセッサは典型的には、商業的に入手できるプロセッサであり、その中で、Intelから入手できるシリーズx86、CeleronおよびPentium(登録商標)プロセッサ、AMDおよびCyrixからの同様のデバイス、Motorolaから入手できる680X0シリーズマイクロプロセッサ、IBMからのPowerPCマイクロプロセッサおよびDigital Equipment CorporationからのAlphaシリーズプロセッサが、例である。多くの他のプロセッサが入手できる。そのようなマイクロプロセッサは、オペレーティングシステムと呼ばれるプログラムを実行し、その中でWindows(登録商標) NT、リナックス(登録商標)、UNIX(登録商標)、DOS、VMSおよびOS8が例であり、それは、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、デバッギング、入力/出力制御、計算、コンパイル、記憶割り当て、データ管理およびメモリ管理、ならびに通信制御および関連するサービスを提供する。プロセッサおよびオペレーティングシステムは、高水準プログラミング言語におけるアプリケーションプログラムを書くことができるコンピュータプラットホームを定義する。
メモリシステムは、典型的にはコンピュータ可読かつ書き込み可能な不揮発性の記録媒体を含み、その中で、磁気ディスク、フラッシュメモリおよびテープが例である。ディスクは、「フロッピー(登録商標)ディスク」のようにリムーバブルであるか、またはハードドライブとして知られるように常設であり得る。ディスクは、多数のトラックを有し、ここでシグナルは、典型的には二進法、即ち1および0の列として示された形態で記憶される。そのようなシグナルは、マイクロプロセッサによって実行されるべきアプリケーションプログラム、またはアプリケーションプログラムによって処理されるべきディスク上に記憶された情報を定義することができる。典型的には、作動にあたり、プロセッサは、データを不揮発性の記録媒体から、典型的には揮発性のランダムアクセスメモリ、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはスタティックメモリ(SRAM)である集積回路メモリ素子に読み込ませる。集積回路メモリ素子によって、典型的にはプロセッサによる情報へのディスクより迅速なアクセスが可能になる。プロセッサは、一般的に集積回路メモリ内のデータを操作し、次に、処理が完了した後にデータをディスクにコピーする。ディスクと集積回路メモリ素子との間のデータ移動を管理するための多様な機構が、知られており、本明細書中に開示した主題は、そのような機構に限定されない。さらに、本明細書中に開示した主題は、特定のメモリシステムに限定されない。
本明細書中に開示した主題は、特定のコンピュータプラットホーム、特定のプロセッサ、または特定の高水準プログラミング言語に限定されない。さらに、コンピュータシステムは、マルチプロセッサコンピュータシステムであり得るか、またはコンピュータネットワーク上に接続された複数のコンピュータを含み得る。各々のモジュールがコンピュータプログラムの別個のモジュールであり得るか、または別個のコンピュータプログラムであり得ることを、理解するべきである。そのようなモジュールは、別個のコンピュータにおいて作動可能であり得る。データを、メモリシステム中に記憶させるか、またはコンピュータシステム間で伝送してもよい。本明細書中に開示した主題は、ソフトウェアもしくはハードウェアもしくはファームウェア、またはそれらのいずれかの組み合わせを用いるいかなる特定の履行にも限定されない。システムの多様なエレメントは、個別に、または組み合わせて、コンピュータプロセッサによる実行のための機械可読な記憶デバイスにおいて明白に統合されたコンピュータプログラム産物として実装され得る。プロセスの多様なステップを、コンピュータ可読媒体上に明白に統合されたプログラムを実行するコンピュータプロセッサによって行って、入力の際に作動し、出力を発生させることによって機能を発揮してもよい。そのようなシステムを実装するのに好適なコンピュータプログラミング言語は、手続き型プログラミング言語、オブジェクト指向プログラミング言語、および2つの組み合わせを含む。
本発明はさらに、インビボで活性な剤のための薬理作用剤またはリード化合物を特定する効率的な方法を提供する。一般的に、選別方法は、インビボでの酵素活性を有益に変化させる化合物についてアッセイすることを伴う。本発明によるそのような方法は、化合物の自動化されたハイスループットスクリーニングに適合可能である。
当該方法を、任意の対象において用いることができる。例えば、疾患の動物モデルを用いて、複数種の推定の治療剤を選別して、推定の治療剤の疾患と関連する特定の酵素に対する活性レベルを評価することができる。例えば、キャリアと関連する異なる推定の治療剤を有するバイオマーカーナノ粒子のライブラリーを、動物モデルに投与することができる。各々の治療剤が独特の検出可能マーカーと関連する場合には、推定の治療剤の活性を、本明細書中に記載したように検出可能マーカーの尿中の濃度を分析することによって評価することができる。
加えて、当該方法を、個別化医療の前進のために用いてもよい。例えば、各々の治療剤が目立たない検出可能マーカーと関連する複数の治療剤を有する1組のバイオマーカーナノ粒子を、疾患を有する対象に投与して、いずれの治療剤が当該個別の対象において最も有効であるかを評価することができる。データに基づいて、適切な治療ストラテジーを設計することができる。この例を、HIVにおいて見ることができる。プロテアーゼ阻害剤を、治療的に用いて、HIV生存および活性と関連する決定的に重要なプロテアーゼの活性を阻害する。異なる酵素阻害剤をキャリアまたはキャリアの一部として有する1組のバイオマーカーナノ粒子を、生成することができる。各々の酵素阻害剤は、特定の検出可能マーカーと関連しており、したがって特定の阻害剤の酵素に対する活性を、シグネチャの尿中の濃度をモニタリングすることによって評価することができる。例えば、特に活性な阻害剤によって、低下したレベルの検出可能マーカーが尿に輸送される。
典型的には、既知の活性治療剤は、負のコントロールとしての役割を果たし得、即ち既知の治療剤は、バイオマーカーナノ粒子中に組み込まれている。また本明細書中で候補剤と呼ぶ推定の治療剤は、多種の化学的群を包含するが、典型的にはそれらは有機化合物である。好ましくは、候補の薬理作用剤は、小さい有機化合物、即ち50より大きいが約2500より小さい、好ましくは約1000より小さい、より好ましくは約500より小さい分子量を有するものである。候補剤は、ポリペプチドおよび/または核酸との構造的相互作用に必要な官能性化学基を含み、典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2種の官能性化学基およびより好ましくは少なくとも3種の官能性化学基を含む。候補剤は、上記で特定した官能基の1つまたは2つ以上で置換された環状炭素構造もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含むことができる。候補剤はまた、生体分子、例えばペプチド、糖類、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記のものの誘導体もしくは構造的類似体、またはそれらの組み合わせなどであり得る。剤が核酸である場合には、剤は、典型的にはDNAまたはRNA分子であるが、本明細書中で定義した修飾された核酸もまた、熟考される。
候補剤を、合成の、または天然の化合物のライブラリーを含む多様な供給源から得る。例えば、多数の手段が、多様な有機化合物および生体分子のランダムの、かつ指示された合成のために利用可能であり、それは、ランダム化されたオリゴヌクレオチド、合成の有機的なコンビナトリアルライブラリー、ランダムペプチドのファージディスプレイライブラリーの発現などを含む。あるいはまた、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが、入手可能であるかまたは容易に製造される。さらに、天然の、および合成的に作製されたライブラリーおよび化合物を、慣用の化学的、物理的および生化学的手段によって容易に修飾することができる。さらに、既知の薬理作用剤に、指示されたかまたはランダムな化学的修飾、例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)などを施して、剤の構造的類似体を製造してもよい。
本発明はまた、バイオマーカーナノ粒子を収容した容器を有するキットを含み、ここでバイオマーカーナノ粒子は、酵素感受性検出可能マーカーに結合したキャリアドメインを含む。キットはまた、分析試薬を収容する第2の容器を含んでいてもよい。
また物品と呼ばれるキットは、本発明の医薬化合物または診断階級の化合物を、1つまたは2つ以上の容器中に含む。当該物品は、本発明の化合物の使用を促進するかまたは説明する指示書またはラベルを含んでいてもよい。例えば、当該キットは、バイオマーカーナノ粒を対象に投与するための、および対象の生体試料中のバイオマーカーナノ粒子の検出可能マーカーを分析するための指示書を含んでいてもよい。
本明細書中で用いる「促進された」は、本発明の組成物に関与する、教育、病院および他の臨床的指示、医薬販売を含む医薬産業活動、および任意の形態の書面、口頭および電子的な通信を含む任意の広告または他の販売促進活動を含む、商取引を行うすべての方法を含む。
「指示書」は、促進の要素を定義することができ、典型的には本発明の組成物の包装に関する、またはこれに関連する書面での指示書を伴う。指示書はまた、任意の方法において提供された任意の口頭の、または電子的な指示書を含むことができる。
したがって、本明細書中に記載した剤を、いくつかの態様において医薬キットまたは診断キットもしくは研究キットに組み立てて、治療的、診断的または研究的用途におけるそれらの使用を容易にしてもよい。キットは、本発明の要素および使用のための指示書を収容する1つまたは2つ以上の容器を含んでいてもよい。特に、そのようなキットは、本明細書中に記載した1つまたは2つ以上の剤を、意図された治療的用途およびこれらの剤の適切な投与を記載した指示書と共に含んでいてもよい。いくつかの態様において、キット中の剤は、特定の用途および剤の投与の方法に好適な薬学的処方および投与量であり得る。
キットを、本明細書中に記載した方法の医師による使用を容易にするように設計することができ、多くの形態を採ることができる。当該キットの組成物の各々を、適切な個所において、液体形態(例えば溶液)または固体形態(例えば乾燥粉末)において提供してもよい。特定の場合において、組成物の数種は、例えば、好適な溶媒または他の種(例えば水もしくは細胞培養培地)を加えることによって構成可能であるかまたは他の方法で加工可能であり得(例えば活性形態に)、それにまた、キットを提供してもよいかまたは提供しなくてもよい。本明細書中で用いる「指示書」は、指示および/または販売促進の要素を定義することができ、典型的には本発明の包装に対する、またはそれと関連する書面での指示書を伴う。指示はまた、使用者が、指示書がキットと関連するべきであることを明確に認識するような任意の方式、例えば視聴覚的(例えばビデオテープ、DVDなど)、インターネットおよび/またはウェブに基づく通信などにおいて提供された、任意の口頭の、または電子的な指示を含むことができる。書面での指示書は、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する行政機関によって規定された形態であり得、当該指示書はまた、ヒトに投与するための製造、使用または販売の機関による承認を反映することができる。
キットは、本明細書中に記載した要素のいずれか1つまたは2つ以上を1つまたは2つ以上の容器中に含んでいてもよい。例として、1つの態様において、キットは、キットの1種または2種以上の要素を混合し、かつ/または試料を単離し、混合し、対象に適用するための指示書を含んでいてもよい。キットは、本明細書中に記載した剤を収容する容器を含んでいてもよい。剤を無菌的に調製し、シリンジ中に包装し、冷蔵保存して輸送してもよい。あるいはまた、それを、保存のためにバイアルまたは他の容器中に収容してもよい。第2の容器は、無菌的に調製した他の剤を有してもよい。あるいはまた、キットは、シリンジ、バイアル、管または他の容器中で予混合され、輸送された活性剤を含んでいてもよい。
キットは、多様な形態、例えばブリスター小袋、収縮包装された小袋、真空の密封可能な小袋、密封可能な熱成形されたトレイ、または同様の小袋もしくはトレイ形態を、小袋、1つまたは2つ以上の管、容器、箱または袋内でゆるく包装された付属物と共に有していてもよい。キットを、付属物を加えた後に殺菌し、それによって容器中の個別の付属物を他の方法で包装を解くのを可能にしてもよい。キットを、任意の適切な滅菌手法、例えば放射線滅菌、加熱滅菌または当該分野において知られている他の滅菌法を用いて殺菌することができる。キットはまた、特定の用途に依存して、他の要素、例えば容器、細胞培地、塩、緩衝液、試薬、シリンジ、針、殺菌剤を適用するかまたは除去するための織物、例えばガーゼ、使い捨て手袋、投与前の剤のための担体などを含んでいてもよい。
キットの組成物を、任意の好適な形態として、例えば液体溶液として、または乾燥粉末として提供してもよい。提供された組成物が乾燥粉末である場合には、粉末を、好適な溶媒を加えることによって再構成してもよく、それもまた提供することができる。組成物の液体形態を用いる態様において、液体形態は、濃縮されているかまたは直ちに使用可能であり得る。溶媒は、化合物および使用または投与の様式に依存する。薬物組成物に適する溶媒は、周知であり、文献において入手可能である。溶媒は、化合物および使用または投与の様式に依存する。
キットは、態様の1つの組において、区分されているキャリア手段を含んで、1つまたは2つ以上の容器手段、例えばバイアル、管などを密接な閉じ込めにおいて受けてもよく、容器手段の各々は、当該方法において用いるべき別個のエレメントの1つを含む。例えば、容器の1つは、アッセイのための正のコントロールを含むことができる。さらに、キットは、他の要素、例えばアッセイにおいて有用な緩衝液のための容器を含んでいてもよい。
本発明はまた、完成し包装され、ラベルが付与された医薬製品を包含する。この製造物品は、適切な単位剤形を、適切な器もしくは容器、例えばガラスバイアル、または密閉された他の容器中に含む。非経口投与に適する剤形の場合において、活性成分は、無菌であり、粒子状の遊離した溶液としての投与に適する。言い換えると、本発明は、非経口溶液および凍結乾燥した粉末を共に包含し、各々は無菌であり、後者は、注射の前の再構成に適する。あるいはまた、単位剤形は、経口、経皮、局所的または粘膜の送達に適する固体であってもよい。
好ましい態様において、単位剤形は、静脈内、筋肉内または皮下送達に適する。したがって、本発明は、各々の送達経路に適する好ましくは無菌の溶液を包含する。
他の好ましい態様において、本発明の組成物を、レシチン、タウロコール酸およびコレステロールを含むがこれらには限定されない生体適合性洗剤;またはガンマグロブリンおよび血清アルブミンを含むがこれらには限定されない他のタンパク質と共に、容器中に保存する。
任意の医薬製品のように、包装材料および容器を、製品の保存および輸送の間の安定性を保護するように設計する。さらに、本発明の製品は、問題の疾患または障害をいかにして適切に予防または処置するかに関して医師、技術者または患者に助言する使用のための指示または他の情報的材料を含む。言い換えると、製造物品は、実際の用量、モニタリング手順を含むがこれらには限定されない投与レジメンを示すかまたは示唆する指示手段を含む。
さらに特に、本発明は、包装材料を含む製造物品、例えば箱、ビン、管、バイアル、容器、噴霧器、注入器、静脈内(i.v.)袋、包装材料など;および前記包装材料内に含まれる医薬剤の少なくとも1つの単位剤形を提供する。本発明はさらに、好ましくは無菌形態で包装された、処方物の注射のための針もしくはシリンジ、および/または包装されたアルコールパッドを含む製造物品を提供する。

例1 方法
バイオマーカーナノ粒子の合成
酸化鉄ナノウォーム(NW)を、過去に発表されたプロトコル[12]に従って合成した。トロンビン感受性基質-レポーターペプチド (ビオチン-eGvndneeGffsar(K-Flsc)GGfPRSGGGC、配列番号2、小文字=D体)を、タフツ大学コア・ファシリティ・ペプチド合成サービス(the Tufts University Core Facility peptide synthesis service)によって合成した。アミン末端NWを、最初に、ヨード酢酸N-スクシンイミジル(Pierce)と反応させてスルフヒドリル反応性ハンドル(sulfhydryl-reactive handles)を導入した。次いで、システイン末端ペプチドと20KDaポリエチレングリコール‐SH(Laysan Bio.)とを、室温(RT)、1時間、NWと混合し(95:20:1のモル比)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(fast protein liquid chromatography)によって精製した。ストック液は、4℃で、PBSで保存した。薬物動態研究のために、NWは、上記のPEG化の前に、最初にVT750(PerkinElmer)と反応させた。蛍光アッセイのために、ペプチドは、リガンドコードレポーターの代わりにフルオレセインを用いて合成した。インビボでプロテアーゼ活性をモニタするために、ペプチドは、N末端ビオチンの代わりにVT750を用いて合成した。
C末端に捕捉リガンド(フルオレセイン、ジニトロフェニル、テトラメチルローダミン、またはアレクサフロー488)を用い、かつ反対の末端に検出リガンド(ビオチン)を用いてグルタメート‐フィブリノペプチドB(Glutamate-Fibrinopeptide B)を誘導体化することによって、ヘテロ二官能化リガンドコードレポーターR1−4を合成した。ナノウォーム(NW,約60nm)は、過去に記載されたとおり[28、29]、塩化鉄(III)六水和物および塩化鉄(II)四水和物とデキストラン(15−25kDa)との反応により合成した。アミノ化NWは、ヨード酢酸N‐スクシンイミジルを用いて誘導体化し、スルフヒドリル末端プロテアーゼ感受性レポーターと反応させた。レポーター価数は、(約20‐30)であり、吸光度またはELISAによって定量した。
NHS-フルオロセイン(R1、Pierce)、NHS-ローダミン(R3、Pierce)またはNHS‐アレクサフロー488(R4、Invitrogen)を用い、グルタメート‐フィブリノペプチドB‐ビオチン(Glutamate-Fibrinopeptide B-biotin)(GluFib-ビオチン、配列=eGvndneeGffsar-ビオチン、配列番号1、小文字=D体、New England Peptide)を1:10のペプチド:色素の比で誘導体化することによって、ヘテロ二官能化リガンドコードレポーターR1−4を合成し、あるいはヘテロ二官能化リガンドコードレポーターR1−4を合成した(R2、New England Peptide)。A488‐マレイミド(インビトロジェン)とNHS‐ビオチン(Pierce)およびNH‐PEG‐チオール(5kDa、Laysan)との10:10:1の色素:ビオチンPEGの比による反応によりアレクサフロー488-PEG-ビオチン(R4、PEG)を合成し、イラストラNAP−25カラム(illustra NAP-25 columns 、GE Healthcare)を用いて精製した。得られたコンジュゲートはHPLC(Gilson)によって精製した。レポーター濃度は、プレートリーダー(Molecular Devices SpectraMax Plus)により、96ウェルプレートにおける色素特異的吸光係数による吸光度によって定量した。
ナノウォーム(NW)は、過去に記載されたとおり[28、29]、塩化鉄(III)六水和物および塩化鉄(II)四水和物(Sigma)とデキストラン(Mr 15-25kDa、Fluka)との反応によって形成した。動的光散乱(dynamic light scattering,DLS; Malvern Instruments Nano ZS90)による平均流体力学的サイズは60nmであった。
アミノ化NWを、50mMホウ酸ナトリウム、pH8.3、5mM EDTAで、20℃、オーバーナイトで500倍モル過剰のヨード酢酸N‐スクシンイミジル(SIA, Pierce)とオーバーナイトで反応させ、スルフィドリル末端ペプチドに対する結合を促進させた。高速液体クロマトグラフィー(fast-performing liquid chromatography;FPLC, GE Healthcare)による精製の後、SIA誘導体化NWを、同じホウ酸バッファーにおいて、20℃、オーバーナイトで、基質コンジュゲートレポーター(MIT Swanson Biotechnology Center、Tufts University peptide synthesis core facility、New England Peptide)およびmPEGチオール(20 kDa; Laysan)と1:95:20のNW:ペプチド:PEGの比で反応させた。レポーターコード基質官能化NWは、再び精製し、FPLCによって1×PBS中に交換し、4℃で保存した。NW上の基質‐レポーター価数(典型的には20〜30)は、吸光度またはELISA(下記)によって定量した。
インビトロプロテアーゼアッセイ
NW(ペプチドに基づいて200nM)を、メーカーの指示に従って、活性バッファーにおいて、37℃、384ウェルプレートで、ヒトトロンビン(2μM)、FVIIa(10nM)、FIXa(90nM)、FXa(160nM)、FXIa(31nM)および活性化タンパク質C(60nM、Haematologic Technologies)と混合し、マイクロプレートリーダ(SpectroMax Gemini EM)を用いてモニタした。血漿による研究のために、NWを、蛍光発生をモニタする前に、コントロールヒト血漿(Thermo Scientific) 50μLおよび80mMCaCl (Sigma)またはPBS50μLと混合した。トロンビン阻害実験のために、ビバリルジン(Anaspec)を、終濃度5mg/mLで添加し、NWの添加前に2分間、プレインキュベートした。ELISA分析のために、NW(ペプチドに基づいて100nM)を37℃、10min.トロンビンと共にインキュベートし、遠心サイズ濾過(centrifugal size filtration)によって、NWから、切断されたレポーター(R)を精製した。
蛍光レポーター結合トロンビン感受性NW、または蛍光レポーターMMP感受性NW(それぞれ、基質はPLGLRSW、配列番号3またはPLGVRGK、配列番号4)を、(それぞれ)組換トロンビンまたはMMP9に導入した。タンパク質分解の際のホモクエンチされたフルオロフォアの放出を、37℃で、プレートリーダーによって蛍光増加として読み取った。阻害剤のアルガトロバン(Argatroban)またはマリマスタット(Marimastat)を、100μMで、プロテアーゼ‐NWカクテルと共にインキュベートした。LFAによってレポーター放出を定量するために、レポーター官能化NWを、同族プロテアーゼと共にインキュベートし、30kDa MWカットオフフィルターを通過させ、LFAにより定量し、マン・ホイットニー(Mann-Whitney)検定によって分析した。
フルオレセイン官能化MMP感受性NWまたはフルオレセイン官能化トロンビン感受性NW(ペプチドに基づいて2.5μM)を、メーカーの指示で384ウェルプレートにおいて、100μLの最終容量で1%BSA(w/v)(Sigma)において、組換トロンビン(15nM;Haematologic Technologies)またはMMP9(15nM; R&D Systems)と混合し、 ホモクエンチされたレポーターの酵素による放出に起因する蛍光シグナルの増加を37℃でモニタした(SpectroMax Gemini EM microplate reader)。アルガトロバン(Sigma)またはマリマスタット(Tocris)を、終濃度100μMで、NW‐プロテアーゼカクテルと共にインキュベートした。LFAによってタンパク質分解によるレポーター放出をアッセイするために、レポーター官能化酵素感受性NWを、37℃で、4時間、上記MMP9またはトロンビンと共にインキュベートし、30kDa MWカットオフ遠心フィルタを通過させた。濾過したレポーターは、LFAダイナミックレンジ内で希釈し、後述のとおりLFAによりアッセイした。100μL最終容量で、BSA1%(w/v)において上記の組換トロンビンまたはMMP9(両方とも15nM)と混合したレポーター3(1μM)を用いてレポーター安定性実験を実施し、37℃で1時間インキュベートした。この後、レポーターを上記30kDa MWカットオフ遠心フィルタに通過させ、R3 ELISAによってアッセイした。
二官能化レポーターのELISAによる検出
96ウェルプレート(Thermo Scientific)を、PBSで希釈した抗Flsc(GeneTex、GTX19224) 0.8μg/mLまたは抗Alex Fluor 488 (Invitrogen, A11094)0.4μg/mLのいずれかを用いて4℃、オーバーナイトでインキュベートした。プレートは、試料100μLを添加する前に、PBSの1%(w/v)ウシ血清アルブミン(Sigma)を用いて、1時間、ブロッキングした。次いで、プレートに捕捉されたレポーターを、0.2μg/mLのニュートラアビジン‐HRP(Pierce)100μLを添加することによって検出したが、これはTMB溶液(Thermo Scientific)50μLを用いて5〜15分間発色し、ウェルの吸光度をマイクロプレート分析(SpectraMax Plus, Molecular Devices)により450nmで決定する前に、HCl50μLでクエンチした。特に断わりのない限り、プレートを各ステップの間においてPBSTで3回洗浄し、インキュベーションはRTで行った。
トロンボプラスチン誘導血栓症の特性評価
トロンボプラスチン(ウサギ脳由来、Sigma)3〜4mgを含有する各バイアルをPBS2mLで溶解した。フィブリン沈着を定量するために、ウシフィブリノゲン(Sigma)を3倍モル過剰量のVT750と、1時間、RTで反応させ、遠心サイズ濾過(サイズカットオフ、Millipore)によって精製した。スイスウェブスターマウス(Swiss Webster mice;Taconic)を、イソフルランで軽く麻酔し、尾の静脈注射を介してVT750‐フィブリノゲン(VT750に基づいて1nmol)とトロンボプラスチンとの混合物を投与した(n=投与当たりマウス3匹)。30分後、マウスをCOによる窒息によって安楽死させ、臓器を、LI−CORオデッセイ赤外イメージングシステム(LI-COR Odyssey Infrared Imaging System)上でスキャンした。各臓器におけるフィブリン(フィブリノゲン)による蛍光を、イメージJソフトウェア(ImageJ software、NIH)を用いて定量した。トロンビン阻害を試験するために、マウスに、トロンボプラスチンの混注の5分前に、ビバリルジン(10mg/kg)を静脈投与した。組織学的検査のために、肺を4%パラホルムアルデヒドで膨張させ、その他すべての臓器は4%パラホルムアルデヒドにRTで1〜2時間インキュベートした。すべての臓器は、パラフィン包埋、切片化、および染色(Koch Institute Histology Core)を行うまで、70%エタノールに保存した。
NWの薬物動態
NWとペプチドの薬物動態を分析するために、マウスに、トロンボプラスチン(投与量)と共に、VT750標識NW、またはVT750標識ペプチドとコンジュゲートしたNW(ペプチドに基づいて600nM)のいずれか一方を与え、摘出した臓器をIVISイメージングシステム(Xenogen)上でイメージングした。免疫染色によって組織切片を分析するために、NW(ペプチドに基づいて600nM)およびトロンボプラスチン(2μL/g b.w.)をマウスに投与し、30分後に主要な臓器を採取した。肺は、OCTにおいて凍結および切片化する前に、4%パラホルムアルデヒドで膨張させた。代表切片は、蛍光顕微鏡法(Nikon Eclipse Ti)による分析の前に、NW(抗Flsc一次, Genetex GTX19224), フィブリン (Nordic GAM/Fbg/Bio)およびヘキスト(Invitrogen, H3569)について染色した。
尿中濃度に対する水分補給状態の影響
遊離レポーターR(ビオチン-eGvndneeGffsar(K-AF488)、配列番号1)を、タフツ大学のコア・ファシリティ・ペプチド合成サービス(Tufts University Core Facility peptide synthesis service)により合成した。マウス(n=マウス5匹)を麻酔し、それら体重の10%に相当するPBSボーラスを皮下注射した。2時間後に、マウスに尾の静脈注射を介してR(125nm)を投与した。マウスは、NW注射の後30分間、円筒状スリーブで囲まれた96ウェルプレート上にマウスを配置し、マウスに排尿させた。尿試料は、ELISA分析まで−80℃で保存した。
血栓症の尿によるモニタリング
実験は、対のセットアップで行った。トロンビン感受性NW(ペプチドに基づいて600nM)およびR(125nM)を健常マウス(n=マウス5〜10匹)に混注してバックグランドレベルのプロテアーゼ活性(0日目)を決定し、96ウェルプレート上に配置して尿を採集した。5日後、NW注射30分後にマウスから尿を採取する前に、マウスにNW、R、およびトロンボプラスチンを再び投与した。トロンビン阻害実験のために、NW/R注射の5分前に、マウスにビバリルジン(10mg/kg)を静脈内投与した。尿試料は、ELISA分析まで−80℃で保存した。
統計分析
分散分析(ANOVA)およびスチューデントt検定は、グラフパッド5.0(GraphPad 5.0、Prism)を用いて計算を行った。ピアソンのr係数は、エクセル(Excel)(Microsoft Office)を用いて計算した。
インビボイメージング
すべての動物による研究は、MITの動物愛護委員会によって承認を得た(プロトコル0411-036-14)。トロンビン感受性NWまたはMMP感受性NWは、赤外蛍光レポーターVT‐750を用いて官能化した。タンパク質分解により放出された蛍光レポーターの膀胱および/または肺における局在は、コントロールおよび罹患マウスにおいてイメージングした。雌のスイスウェブスターマウスにおいて合成バイオマーカーと共にコラーゲンおよびエピネフリンを混注することによって血栓症を誘導し、雌NCrヌードマウスにおいてヒト細胞株LS 147Tを皮下注射することによって側腹部の直腸結腸腫瘍(colorectal flank tumors)を誘導した。
インビボイメージングのための合成バイオマーカーは、MMP感受性NWまたはトロンビン感受性NW上の遊離アミン基(基質N末端およびNW上の両方)をVivoTag 750-NHS (Perkin Elmer)と反応させることによって調製し、FPLCによって精製した。
ヒトLS174T直腸結腸癌細胞は、10%FBS(Gibco)と1%ペニシリン‐ストレプトマイシン(CellGro)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(ATCC)で培養した。雌NCrヌードマウス(4〜6週齢;Taconic)に、5×10個のLS174T細胞/側腹部を接種し、およそ0.5cmの全量(容量=長さ×幅×深さ/2)まで生育させた。腫瘍保有マウスおよび年齢をマッチさせたコントロールマウスに、VivoTag標識およびFAM標識のMMP感受性NW(基質に基づいて1.67μM)200μLを静脈内注入し、注入の5〜60m後、インビボイメージングシステム(IVIS, Xenogen)によって可視化させた。組織学検査のために、マウスは、注入の1h後に屠殺した。腫瘍を除去し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、OCT(Tissue-Tek)で凍結し、切片化し、蛍光顕微鏡法(Nikon Eclipse Ti)によるイメージングの前に、ラット抗CD31(Santa Cruz), DAPI(Invitrogen)およびヤギ抗FAM(GeneTex)を用いて染色した。
血栓症のモデルを作成するために、雌スイスウェブスター(4〜6週齢;Taconic)マウスにVivoTag標識およびFAM標識のトロンビン感受性MW(ペプチドに基づいて0.84μM)200μL、エピネフリン10μg/kg、ならびにコラーゲン(Chronolog)280μg/kgを混注した。誘導の15分後、マウスを屠殺し、肺をPBSで膨張させて摘出した。肺の赤外蛍光イメージングは、LI−CORオデッセイ赤外イメージャーを用いて行った。ペプチド基質は、トロンビンに関してはPLGLRSW(配列番号3)であり、MMPに関してはPLGVRGK(配列番号4)であった[30]
ELISAアッセイによる特性評価
96ウェルプレートに、捕捉抗体を吸着させ、1×PBSの1%BSAでブロッキングした。レポーター標準を適用し、ニュートラアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼの添加によって検出した。1〜5m間の発色基質TMBの酸化により、レポーター濃度の定量が可能となった。すべてのインキュベーションは1hとし、各工程の間にプレートを0.5%(w/v)ツイーン20(Tween 20)含有の1×PBSで洗浄した。尿の干渉は、コントロールマウスの尿にR1を1:100で添加することによってアッセイした。アッセイの特異性は、すべてのレポーターに対する各抗体の捕捉特異性を定量し、同族レポーターラダー(ladder)に対してシグナルを正規化することによって測定した。
マウス抗フルオレセイン抗体(GeneTex)、ウサギ抗DNP抗体、およびウサギ抗A488抗体(Invitrogen)、ならびにマウス抗ローダミン抗体(Rockland)を、1×PBSで1h間、0.4〜0.8μg/mLの濃度で96ウェルバクチプレート(96-well Bacti plate)(Thermo)に吸着させた。次いで、プレートを1%(w/v)BSA(Sigma)含有の1×PBSで1h間ブロッキングした。レポーター標準を、ブロッキングしたプレートに2倍の連続希釈で、100μLの容量で1h間適用し、アッセイの直線性の特性を評価した。レポーターを検出するために、0.4μg/mLのニュートラアビジン−HRP(Pierce)100μLを1h間適用した。結合したHRPを、1〜5m間、ウルトラ‐TMB(Ultra-TMB、Pierce)50μLに暴露し、その後、1NのHClを50μL用いてクエンチングした。各工程の間、プレートは、0.5%(v/v)ツイーン20(Tween 20、Sigma)含有の1×PBSを用いて3回洗浄した。450nmにおける吸光度を測定し、既知のレポーター濃度に対してプロットし、これを用いてアッセイの直線吸光度領域上の直線フィットを生成した。検出のアッセイ限界(LOD)は、平均バックグラウンドシグナルを超える3つの標準偏差として計算した。
尿に起因する干渉を試験するために、無処置マウス由来の尿を、1:100の希釈でR1標準に添加した。アッセイの特異性を定量するために、各レポーターの直線領域のピークにおけるレポーター濃度を4つの捕捉抗体のそれぞれに適用し、ELISAを通常どおり遂行した。4つの捕捉抗体タイプのそれぞれに関するシグナルを、標準ラダーとの比較によって定量化し、それらの同族抗体によって捕捉したレポーター由来の最大シグナルに対して正規化した。
ペーパーラテラルフローアッセイの特性評価
捕捉抗体(ELISAに関するものと同じ)またはコントロール(α‐ストレプトアビジン)抗体を、セルロースエステル膜上に、0.5mmのピッチ、50nLの液滴で2mm間隔のラインに印刷した。膜は、ガラス繊維コンジュゲートおよび吸収パッドと共に、プラスチックの裏張りに積層した。得られた構造体は、4mmのストリップに切断し、4℃で保存した。尿に1:1で希釈したレポーターをコンジュゲートパッドに適用し、洗浄バッファー(1%(w/v)ツイーン80(Tween 80)含有の1×PBS)で洗い流した。レポーターは、40nmのストレプトアビジン‐金ナノ粒子を用いて検出した。乾燥したストリップをスキャンし、バンド強度を積分し、定量するカスタムスクリプトによって処理した。
抗体(上記と同じ)をハイフロー・プラス・セルロースエステル膜(HiFlow Plus cellulose ester membrane、240s/4cm流率、Millipore)上に、0.5mmピッチ、50nLの液滴を用いて2mmの間隔を取ったラインに印刷した(Digilab MicroSys)。コントロールのラインは、0.5mg/mLの抗ストレプトアビジン抗体(Abcam)であるのに対して、レポーター捕捉抗体は、ELISAのものと同じであり、1mg/ml(αR1、αR3、αR4)または 2mg/mL(αR2)で適用した。セルロース膜(Millipore)をプラスチックの裏張りに積層した。10mmのガラス繊維コンジュゲートパッド(Millipore)をセルロース膜の試料側に積層し、20mmのセルロース繊維パッドをコンジュゲートパッドの試料側とセルロース膜の流出端の両方に積層した。得られた構造体を4mmストリップに切断し、これを4℃で保存した。
1:1でコントロール尿を添加した1%(w/v)BSA含有1×PBSにおける2倍希釈のマーカー標準を、コンジュゲートパッドに適用し、洗浄バッファー(1%(w/v)ツイーン80含有1×PBS)200μLで試料パッド上を洗浄した。マーカーを検出するために、ストレプトアビジンコンジュゲート金ナノ粒子(40nm;BBI International)5μLをコンジュゲートパッドに適用し、追加の洗浄バッファー200μLで洗浄した。試験ストリップを乾燥させ、肉眼で見えるようにするか、またはスケーリングテンプレートに適用するか、またはスキャンするか(600dpi;Epson V330 Photo)、または携帯電話(Samsung Galaxy Nexus)で画像化した。得られた画像は、MATLAB(MathWorks)にロードし、各抗体ラインにわたるバックグラウンドに対してシグナルを積分するカスタムスクリプトによって処理した。各抗体によってレポーター捕捉を比較し、単一のレポーターを適用し、かつ各抗体ラインにわたりバックグラウンドノイズに対してシグナルを定量することによって、マーカーの直交性の特性を評価した。すべてのストリップは、少なくともトリプリケートで実行した。
採集および尿ペプチドの分析
合成バイオマーカーカクテル(遊離R4プラス血栓症を検出するためのR3官能化トロンビン感受性NWまたはCRCを検出するためのR2官能化MMP感受性NWのいずれか一方)を静脈内注入したマウスから、注射の後30または60m間(それぞれ血栓形成またはCRCを検出するために)尿を採集した。尿の採集回数は、それら疾患モデルを用いた過去の研究[30、31]から最適化したが、疾患の部位および酵素による基質切断の率に依存するものである。未処理尿におけるレポーター濃度は、ELISAについては1:10〜10で、LFAについては1:4〜5で希釈した尿により上記プロトコルによってアッセイした。データは、受信者操作特性(ROC)曲線(両方)およびウィルコクソンの符号順位検定(CRC)またはマン・ホイットニー検定(Mann-Whitney test)(血栓症)を用いて分析した。
注射のコントロールとしてR4(A488-PEG-ビオチン、血栓症モデル:0.125μM、CRCモデル:1μM)、ならびにR2官能化MMP感受性MW(ペプチドに基づいて1.67μM;腫瘍容量約0.5cm)またはR3官能化トロンビン感受性NW(ペプチドに基づいて0.84μM;血栓症モデル)いずれか一方を含有するPBS200μLを、マウスに静脈内注入した。注入の直後、円筒状チューブによって囲まれた96ウェルプレート上にマウスを配置し、30m(血栓症モデル)または1h(腫瘍モデル)の間、尿を採集した。尿の採集回数は、それら疾患モデルを用いた過去の研究[30、31]から最適化したが、疾患の部位および酵素による基質切断の率に依存するものである。尿は、採集の直後に−80℃で保存した。
未処理の尿は、1%(w/v)BSA含有1×PBSで希釈し(1:100〜1:10,000)、上述の標準を用いてELISA(少なくとも2つのレプリケート)によって定量した。尿を、1:4(血栓症モデル)または1:5(CRCモデル)の希釈で、5μLの容量でラテラルフロー試験ストリップに適用した。ラテラルフロー試験は、上述のとおりトリプリケートで実行し、試験ストリップを乾燥させ、上述の自動化スクリプトによって定量した。ELISAおよびLFAのデータをウィルコクソンの符号順位検定(CRC)およびマン・ホイットニー検定(Mann-Whitney test)(血栓症)を用いて分析した。
注射可能併用診断薬
例示の合成バイオマーカーは、多様な商用目的の広く用いられている材料から設計した。それら材料の多くは、薬物および医療製品において広く用いられており、容易かつ安価に入手可能である(酸化鉄、デキストラン、ポリ (エチレングリコール)、フルオレセイン、ビオチン、および固相合成に適合する25-merのペプチド)。合成バイオマーカーのプラットホームの設計において、固相合成に適合する標準化されたカップリングストラテジー(ペプチド上のチオール含有システイン残基を酸化鉄ナノウォーム上のアミノ化デキストランに結合させるためのヘテロ二官能化クロスリンカーであるヨード酢酸N-スクシンイミジル(SIA)を用いた)。商業的に成功したペプチド薬物に起因したグローバル化および合成容量の増加の結果、ペプチド合成のコストが急落した。ヒトの投与量は、マウスによる研究から、約0.16mg/kgと推定され得る。
本願明細書に記載される例示の合成バイオマーカーは、レポーター価数(酸化鉄コアに基づいて0.4pmol/kg)によって定量されるとおり、マウスにおいて約12nmol/kg(25gのマウスで200μL中約1.5μM)で投与される。各合成バイオマーカーは、各115kDaナノウォーム上でペプチド価数30(それぞれ3kDa)、および被覆ポリ(エチレングリコール)(PEG)価数10(それぞれ20kDa)を有するように近似される。平均62kgの個人(Walpole et al. BMC Public Health 2012)において、これは10.0mgの全投与量であり、そのうち2.9mgがナノウォームでり、5.0mgがPEGであり、2.2mgがペプチドである。
例2 バイオマーカーナノ粒子は、血漿の複雑な環境内でトロンビンのタンパク質分解活性を特異的に感知する。
血管内における閉塞性凝血塊の形成を組織化するプロテアーゼ活性のカスケードの活性化である急性血栓症に関して血管内部位を検査するために設計された合成バイオマーカーを設計した(図1A)。血栓は、急性冠症候群、卒中および静脈血栓塞栓症を含む多数の血管疾患の重大な病態生理学的特徴である[7]。凝固カスケードにおいて最も重要なセリンプロテアーゼはトロンビンであり、トロンビンは、フィブリノゲンの、血塊の構造骨格として機能するフィブリンへの変換を触媒するだけでなく、正および負のフィードバック回路を通じた止血も調節する[8]。今まで、多数の研究により、血栓形成ならびにアテローム性動脈硬化症等のその他トロンビン依存性疾患の場合においてトロンビン活性を検出する近赤外蛍光プローブの使用が説明されてきた[9]。つい最近、これらのプローブは、イメージング剤の保持および検出シグナルの維持が向上するように、切断された後に活性化される細胞透過メカニズムを備えるように改変されている[9c、10]。クリニックにおいて、血液バイオマーカーDダイマー、即ちフィブリン分解の副産物がしばしば、血栓症の指標として用いられるが、この試験は、採血によって導入されるアーチファクトに高度に感受性があり、特異性が低く、トロンビン活性よりもプラスミン(即ち、線維素溶解)をより正確に反映するものである[11]
血栓に関してホストの血管系を検査するナノ粒子を開発した。トロンビン活性に応答して、本発明のそれらナノ粒子は、全身の血塊の凝固量の統合測定手段として尿中にレポーターを放出する。本願明細書において、標準化された96ウェルプレートにおいて酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)による抗体ベースの検出を可能にする構造上区別されるリガンドでこれらレポーターをコードする方法が記載され、その方法によれば、このプラットホームを臨床検査室における用途に容易に適合可能にする。
血栓症のための合成バイオマーカーの構築は、トロンビンによって切断可能であり、ELISAによって検出可能な基質-リポータタンデムペプチドを用いて酸化鉄ナノウォーム(NW)の表面を改変することを伴う(図1A)[6、12]。本発明のバイオマーカーナノ粒子の合成および用途の一般図を図13に示す。好適な基質を最初に開発するために、トロンビン切断可能配列fPR−x−S (x=切断部位,kcat/K約9.33×10)[13]を、グリシンスペーサーとC末端システインとを含むように拡張し、スルフヒドリル化学を介してNWへの結合を可能にした[12]。基質特異性を試験するための、ホモクエンチされた基質(NW当たり約40ペプチド)を産生するのに十分な価数でフルオロフォア標識誘導体をNW上でコンジュゲートし、次いで精製したトロンビンまたは血液凝固プロテアーゼ(FXa、APC、FIXa、FVIIa、FXIa)のパネルと共に、それぞれが血栓形成の間に最大生理的濃度となるように、NWをインキュベートした(図1B)。トロンビン活性によって放出された遊離発光ペプチド断片は、10分以内に25倍を超えて試料の蛍光を増加させた(赤、図1C)。対照的に、非同族プロテアーゼのパネルからは、ならびに臨床上承認された直接トロンビン阻害剤であるビバリルジン(Bival)の存在下におけるトロンビンによって、ごくわずかなタンパク質分解を観察した。
血液からトロンビン活性を感知する能力をさらに調査するために、NWをクエン酸ナトリウム(補因子カルシウムをキレートする抗凝固剤)で不活性化したヒト血漿試料に添加し、凝固を誘発するための過剰量の塩化カルシウム(CaCl)またはコントロールとしてのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加した後に血漿の蛍光をモニタした。血漿の蛍光は凝固カスケードの活性化に際して著しく増加したが、コントロール試料またはビバリルジンの存在下では増加しなかった(図1D)。まとめると、これらの結果により、血漿の複雑な環境内でトロンビンのタンパク質分解活性を特異的に感知するNWの能力が確立した。
例3 本発明の構造物は、プロテアーゼ活性をモニタすることができる。
我々は、多くの臨床検査の主要な検出プラットホームであるELISAによる96ウェルフォーマットでプロテアーゼ活性の定量を可能にするリガンドコードレポーターのシステムを構築した。従来のELISAは、検体上の区別できるエピトープに結合する2つのアフィニティ剤から構成されるサンドイッチ複合体を介して標的分析物を検出する(図2A)。合成レポーターを組立てるために、プロテアーゼ耐性ペプチドであるグルタメート‐フィブリノペプチドB(Glutamate-Fibrinopeptide B、Glu-fib、配列=eGvndneeGffsar (配列番号1)、小文字=D体)(我々は、これを腎クリアランス効率が高いので選択した[14])を、構造的に区別できるリガンド(即ち、FlscまたはAF488)とビオチンを用いて末端で修飾した(それぞれ、標識されたRおよびR;図2A)。次いで、これらレポーターを尿に添加し、ニュートラアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)の添加ならびに3,3′,5,5′-テトラメチルベンジジン(TMB)に対するその触媒作用による発色によりRまたはRの存在を検出する前に、捕捉抗体(α-Flscまたはα-AF488)で予め被覆した96ウェルプレートに適用した。抗体の特異性から予測されるとおり、顕著な色の変化が、マッチした抗体‐リガンド対を含有するウェルのみで現れ(+/−または−/+ウェル、図2B)、非同族レポーターの存在によって影響は受けなかった(+/+ウェル)。両方の捕捉抗体(約3μM、図2C、図5)の検出限界において同一の傾向が観察され、合成レポーターをタンパク質ベースのELISAに匹敵する高い特異性および感度で検出したことを示した[15]。最適化したトロンビンおよびレポーターシステムを所定位置に有した状態で、最終的なタンデムペプチドコンストラクト(配列=ビオチン‐eGvndneeGffsar(K-Flsc)GGfPRSGGGC、配列番号2、図6)で修飾したNWを、次いで、トロンビンレベルを増加させてトロンビンと共にインキュベートしたところ、溶液中に放出された切断産物の量(サイズ濾過によって単離)は、相応して投与量に依存しており、ELISAによってトロンビン活性をモニタする能力が確立したことがわかった(図2D)。まとめると、これらの結果は、標準化された96ウェルアッセイによってプロテアーゼ活性をモニタするための直交レポーターのパネルを組立てるためにリガンド‐抗体相互作用の特異性が用いられ得ることを示す。
例4 バイオマーカーナノ粒子はインビボで血栓形成を検出する。
次に、我々は、生きたマウスにおいてトロンボプラスチンの静脈内(i.v.)投与を介して誘導した血栓形成を検出する合成バイオマーカーの能力を調査した。このモデルは、血液学の文献において、血栓形成に対するホストの感受性に役割の異なる血管受容体が関与しすることを探査し、また新たな抗血栓剤の有効性を探査するために探査されている。[16]トロンボプラスチンは、組織因子と第VII因子との複合体形成を介した外因経路を通じて凝固カスケードを誘発し、凝血塊が、肺に大規模に塞栓を形成し、肺塞栓(PE)の生命を脅かす臨床状態を繰り返す。PE形成を定量するために、フィブリノゲンのトロンビン媒介タンパク質分解によるフィブリン凝固の形成が、臓器全体の蛍光分析によって定量可能になるよう、マウスにトロンボプラスチンおよび凝固前駆体フィブリノゲン(近赤外フルオロフォアVT750で標識)を混注した(図3A)。投与(投与量=g b.w.当たり2μl)の30分以内に、6倍を超える増加が肺の中に沈着したフィブリン(フィブリノゲン)のレベルで観察され、腎臓および肺において顕著な減少が観察され(スチューデントt-検定によりP<0.005、n=マウス3匹;図3B)、i.v.投与で形成される血栓を心臓から肺に直接輸送する静脈血流パターンと一致した。組織切片の組織化学分析は、凝血塊が、肺切片には存在し(矢印、図3C)、他の主要な臓器(脳、心臓、腎臓、肝臓および脾臓;図7)およびコントロール動物には欠如していることを明らかにすることにより、それらの発見を裏付けた。上昇させたが亜致死とした投与量(LD50はg b.w.当たり約3μlを観察)のトロンボプラスチンを与えられた動物は、投与量に比例して肺にフィブリン(フィブリノゲン)を蓄積し、ビバリルジンで前処置した動物では、PEは容易に防止され(テューキーのポスト検定を用いた一元配置分散分析によりP<0.005、n=マウス3〜5匹;図3D、図8)、凝固形成はトロンビンの活性に大きく動かされることを確かめた。要すれば、これらの結果により、静脈血栓形成の臨床病理を模倣するモデル[16b、17]において全血塊量を正確に制御する能力を確立した。動脈血栓形成において、抗血小板治療による処置によって証明されているとおり、活性化された血小板が、フィブリノゲンの動員においてトロンビンよりも、より大きい役割を有している可能性がある[18]。血小板主導型血栓形成に対する本プラットホームの適用可能性は、コラーゲン/エピネフリンまたはADPなどの血小板凝固剤の全身注射に基づいたモデル[16b、19]を利用することによって試験することができる。
例5 バイオマーカーナノ粒子は、トロンビン活性に関し血管系を全身にわたり調査し、血栓形成部位でレポーターを放出することが可能であり、レポーターは次いで効率的にホストの尿中に除去される。
次に、我々は、血栓形成の背景において合成バイオマーカーの薬物動態の特性を評価した。VT750で標識したNWの混合物およびトロンボプラスチンをマウスに直接注射したところ、トロンボプラスチン群とコントロール群との間で肺を含む摘出臓器のすべてにおいて顕著な差異は観察されず、血栓形成はNW構造の生体内分布を変化させないことを示した(スチューデントt-検定によりP>0.05、n=マウス3匹;図4A、図9)。ペプチド切断および切断された断片の輸送をモニタするために、我々は、蛍光をクエンチさせた基質(VT750で標識)にコンジュゲートしたNWを併用投与したところ、肺および腎臓において、健常動物に対して、それぞれ約1.8倍および約2.5倍、蛍光の顕著な増加を観察した(スチューデントt-検定によりP>0.01、n=マウス3匹;図4B、図10)。トロンボプラスチンが、NWの生体内分布を変化させずに肺に局在する凝血塊(即ち、凝固は腎臓では見られなかった)を誘導したことを示す我々の先の観察と併せて、この発見は、肺におけるペプチド切断の証拠(それらの蛍光増加による)、および自由に発光する断片の腎臓における蓄積を提供した。肺切片の免疫染色は、さらに、コントロール切片では存在しないフィブリンとのNWの同時局在、つまり凝固部位を示し(図11)、循環するNWが、局所血栓にアクセスできると言う仮説を支持した。ペプチド断片のクリアランス効率を視覚化するために、インビボ蛍光イメージングによってマウスをモニタしたところ、コントロールに対して血栓形成マウスの膀胱に局在する蛍光シグナルに顕著な増加を観察した(図4C)。まとめると、データは、本発明のバイオマーカーナノ粒子が、トロンビン活性に関して血管系を全身的に検査し、血栓形成部位にレポーターを放出することが可能であり、次いで、レポーターは、ホストの尿に効率的に除去されることを示す。
例6 バイオマーカーナノ粒子は、生きたマウスでトロンビン活性をモニタし、ELISAによって尿に由来する亜致死PEの凝固量を定量的に測定できる。
尿における分析物の濃度は、主に、ホストの水分補給状態(ヒトにおいて50〜1200mOsm/kgのHOの範囲)[20]に依存し、多くの外部因子(例えば、サーカディアンリズム、食物、活動およびその他)によって影響を受ける。尿の濃度を決定するアプローチは、クレアチニン[21]、安静時にまたはイヌリンのi.v.投与時に着実に尿中に濾過される筋代謝の副産物[22]、腎臓によって能動的に吸収または分泌されず、尿における存在が尿産生の速度に直接関連する多糖のレベルを測定することを含む。遊離レポーター(R、R)は、同様に生物学的に不活性であるGlu‐fib[14]から構築されるので、i.v.投与後の尿中へのそれらの濾過は、尿の濃度を示すであろうという仮説が立てられる。これを試験するために、マウスにおいて過剰水分補給の状態を作り出すために体重の10%に相当する食塩水の皮下ボーラスを受けたマウスにおいて尿中のRレベルを測定したところ、適宜に飲むことが許容されてはいた非水分補給マウスと比較して、それは約50%だけ希釈されることが分かった(スチューデントt-検定によりP<0.005、図12A)。実験期間(約2.5hrs)の間に採集した尿の容量もまた、2.5倍増加し(スチューデントt-検定によりP<0.005、図12B)、これと併せて、遊離レポーターを用いると水分補給状態および動物の尿濃度をモニタできることを示した。我々は、トロンビン活性に対する合成バイオマーカーの応答の尿分析によってトロンボプラスチン誘導PEをモニタすることを試みた。入院患者の状況でしばしばある連続モニタリングをシミュレーションするために、我々は、最初に、トロンビン感受性NWと尿の正規化のための遊離レポーター(R)をそれぞれ受けた健常コホートの動物において定常活性を決定した(図4D)。NWが完全に除去させる5日後(半減期約6時間)[6]、トロンボプラスチン、NWおよびRの混合物を同じマウスに投与し、ELISAによってレポーターレベルを定量した。それらの健常状態(第0日目)と比較すると、PEの誘導(第5日目)の結果、尿中の切断断片のレベルに最高3倍の顕著な上昇が生じた(ボンフェローニのポスト検定を用いた二元配置分散分析によりP<0.005、n=マウス5匹;図4D)。血栓形成のための投与(投与量=g b.w.当たり2μl)の前にビバリルジンで処置したマウスでは、レポーターレベルは無効化され、トロンビン活性を阻害し、PEの形成を予防するビバリルジンの能力を示す先の発見と一致した。トロンボプラスチンを投与したマウスの尿におけるバイオマーカーのマーカーレベルを第0日目から採集したそれらの健常尿試料に対して正規化し(図13)、トロンボプラスチンの同一投与量で沈着したフィブリン(フィブリノゲン)の量(図3D)と直接比較すると、0.99の相関係数により疾患負荷に対して特筆すべき相関が見られた(ピアソン(Pearson)のr、図4E)。まとめると、それら発見により、合成バイオマーカーは、生きたマウスにおいてトロンビン活性をモニタし、ELISAによって尿から亜致死のPEの凝固量を定量的に測定できることを示した。
例7 ELISAを用いたインビボ特異的切断の実証
プロテアーゼ感受性ナノ粒子を開発するために、我々は、トロンビンおよびMMP9に特異的であると過去に報告した2つのペプチド基質(それぞれB6およびB7)を選択し、蛍光ナノ粒子アッセイで組換プロテアーゼ(即ち、トロンビンおよびMMP9)による切断に関する各能力を証明した(図14a,b)。凝固に関与する循環プロテアーゼであるトロンビンは、血栓形成の間に強く活性化されるのに対しマトリクス分解酵素であるMMP9は、多くの固形癌において高頻度で調節異常となる。血栓形成または結腸直腸癌のマウスモデルにおいて、トロンビンまたはMMP9に特異的なナノ粒子の静脈内注入の後にホストの尿において蛍光標識切断断片の顕著な蓄積が観察された(図14c)。
リガンドベースレポーターを構築するために、我々は、タンパク質分解ペプチド構造のグルタメート‐フィブリノペプチドB(Glutamate-Fibrinopeptide B)(GluFib、EGVNDNEEGFFSAR、配列番号1)を、一方の末端はフルオレセイン(FAM)で、他方の末端はビオチンで最初に改変して、レポーター1(R1)を作製した。FAM等のハプテンは、抗体によって容易に捕捉され得るので、我々は、最初、ELISAによってレポーターを検出する能力を試験した(図15a)。従来のサンドイッチアッセイと同様に、96ウェルプレートをα‐FAM抗体で被覆し、α‐FAMによる捕捉のためのR1上に積層し、ビオチンに結合するストレプトアビジン‐HRPの添加によりサンドイッチ複合体を完成させた。発色基質であるTMBを用いたプレートの発色の後、pM未満の濃度のR1の存在が検出され(図15a)、リガンドで改変したレポーターのアフィニティアッセイを構築できる能力が確立された。直交レポーターのファミリーを組立てるために、独特なハプテン(即ち、FAM、TAMRA、DNPまたはAlexa488)およびビオチン(それぞれR1−R4を標識した。図15b)で向かい合う末端を改変したGluFibの誘導体を作製することによって4つの異なる剤を合成した。交差反応性を試験するために、R1、R2、R3またはR4を添加した溶液を、α‐FAM抗体、α‐DNP抗体、α−TAMRA抗体またはα−Alexa488抗体で特定の領域を被覆した96ウェルプレートに適用した。それらの特異性に一致して、最も高いシグナル強度が、マッチする抗体‐ハプテンの対を含有するウェルのみに現れたのに対し、マッチしない組合せのシグナル強度は対照的にごく僅かであった(図15b、c)。まとめると、これらの研究によれば、直交レポーターのファミリーを組立てるためにハプテン‐抗体の相互作用の特異性を利用できることが示された。
例8 ペーパーベースアッセイを用いたインビボ特異的切断の実証
ペーパーベースのラテラルフローアッセイ(LFA)を本発明の方法によるレポーターを検出するのに開発した。LFAの生化学は、ELISAアッセイにおいて用いられるものと同様であることから、レポーター構造の変更は何ら必要とされなかった。LFAのために、抗体は、プラスチックプレートの代わりにニトロセルロース膜に結合させ、ストレプトアビジンは、レポーターの光学的検出を容易にする金ナノ粒子に結合させた(図15d)。最初に、レポーターを含有する試料をストリップの残部に試料を送達させるためのレザーバとして機能するセルロースパッドに適用した。試料は、ストレプトアビジンで被覆された金ナノ粒子(直径10〜100nm)を含有する「コンジュゲートパッド」を通過する。レポーター上のビオチン部分はナノ粒子上のストレプトアビジンに結合した。ナノ粒子‐レポーターコンジュゲートを含有する試料は、次いで、ストライプ状にα‐FAM抗体を沈着させたニトロセルロース膜を下流に向けて移動した。試料がストライプの上を通過すると、レポーター上のFAM部分はα‐FAM抗体に結合し、ナノ粒子‐レポーターコンジュゲートはストライプの上に蓄積した。レポーターが十分な濃度で存在する場合、肉眼でニトロセルロース膜上に赤いラインとして金ナノ粒子は視認可能となる。このアッセイを用いて、R1を、LFAを用いて添加した試料において約100nM濃度まで検出した(図15e)。加えて、我々は、レポーターライブラリーにおいて各種ハプテンに対する抗体を含有する複数の多数のストライプを用いることによって同じ試験ストリップ(図15f)上で多数の直交レポーターを測定することに成功した。ELISAフォーマットに対して特異性の損失は何ら観察されず、LFAフォーマットは、「労力がない」という利点を有する診断ツールとして同じように有効であることが示された。
アフィニティアッセイによって生きた動物においてプロテアーゼ活性を検出する能力を実証するために、基質B6およびB7を、ナノ粒子に対してハプテンコードレポーターと共にコンジュゲートさせた。ナノ粒子の投与の後、尿をELISAまたはLFAによって分析したところ、健常動物に対して疾患の尿試料に存在する切断されたレポーターの量において著しい増加が検出され、尿から非侵襲的に疾患を区別する能力が示された(図16a、b)。まとめると、これらの研究は、特許請求される発明の有用性を実証し、確立した安価なアフィニティアッセイによって容易に検出できるリガンドコード「合成バイオマーカー」として用いることができる本発明の組成物の能力を強調するものである。
例9 泌尿器系疾患のモニタリングのためのプロテアーゼ感受性ナノ粒子
血栓形成および癌のための合成バイオマーカーを開発するために、プロテアーゼであるトロンビンおよびマトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)の活性を感知するためのナノ粒子を最初に設計した。ポリ(エチレングリコール)を被覆した酸化鉄ナノウォーム(NW)(共同研究者およびラボによって過去に特性を評価した長期循環型ナノ粒子[28、29])を、トロンビン切断可能基質およびMMP9切断可能基質(それぞれ、PLGLRSW、配列番号3、およびPLGVRGK、配列番号4[30])で、NW当たり20〜30のペプチドの表面価数で官能化して分子間クエンチングを誘導した(図1A)。トロンビン感受性NWをトロンビンと共にインキュベートしたところ、溶液に放出された切断ペプチド断片が自由に蛍光を発するにつれ試料の蛍光の急増が観察され、ペプチド分解の効率を試験した。直接トロンビン阻害剤であるアルガトロバン(Argatroban)の存在下では、または基質が、プロテアーゼ耐性D‐立体異性体を用いて合成したときには、蛍光の増加は観察されず、NWを活性化させるためにはトロンビン活性が必要であることが示された。MMP感受性NWをMMP9と共にインキュベートしたときには、試料の蛍光において同様の増加が観察され、広域MMP阻害剤であるマリマスタット(Marimastat)またはD‐体基質を用いたときには、活性は何ら観察されなかった。まとめると、これらの発見は、NWの表面上のペプチドは、トロンビンまたはMMP9によって効率的に切断され得ることを示した。
インビボ蛍光イメージングによってペプチドの輸送および切断をモニタするためのキャリアペプチド結合近赤外フルオロフォアで標識した基質を有するNWを合成した。ペプチドであるグルタメート‐フィブリノペプチドB(GluFib、配列eGvndneeGffsar、配列番号1)に近赤外フルオロフォアVT750(N末端)をコンジュゲートさせたが、このペプチドはプロテアーゼ活性に対する安定性を付与し、腎クリアランスを促進し、基質のタンパク質分解によって放出されるペプチド‐フルオロフォアレポーターのインビボ蛍光視覚化を可能にするためにD‐アミノ酸(小文字)を用いて合成したものである[30、31、32]
血栓形成のマウスモデルを選択したが、このマウスモデルにおいて、凝固の発生が、血小板およびトロンビンを活性化させ、肺に塞栓を生じさせる凝血塊を形成するコラーゲンおよびエピネフリンのIV投与によって制御される[33]。過去の発見と一致して、コラーゲンおよびエピネフリンを投与したマウスにNWを同時投与した結果、健常コントロールに対して、尿および肺の蛍光が際立って増加し、ペプチドのインビボ切断および腎クリアランスが示された。CRCに提供するために、MMP9を分泌する細胞株によって形成したヒト結腸直腸腫瘍(LS 174T)[34]を皮下に保有するヌードマウスにMMP9感受性NWを注入したところ、膀胱に局在する蛍光において同様の増加が観察された。腫瘍切片の免疫蛍光染色により、血管系から腫瘍間質へのNWの溢出が確認された。これらの結果は、疾患部位を探査し、切断されたペプチド断片をホストの尿中に放出する合成バイオマーカーの能力を立証した。
例10 サンドイッチ複合体によってリガンドコードレポーターを検出すること
次に、我々は、タンパク質ベースのサンドイッチ複合体によって検出され得るリガンドコードレポーターのパネルの設計を試みた。サンドイッチ複合体の形成には、標的抗原が捕捉物資と検出物資とに別々に結合する2つの異なるエピトープを発現することが必要とされ、リガンドとなるフルオレセイン(FAM;捕捉)およびビオチン(検出)を同一のD‐立体異性体GluFibのそれぞれ反対の末端にコンジュゲートさせ、合成ヘテロ二官能化レポーターR1を構築した。GluFibは、分子スペーサとして機能し、FAMとビオチンがそれらの同族タンパク質であるα‐FAM抗体(a‐R1)およびストレプトアビジンにそれぞれ自由に結合することを可能にし、以前のとおり、GluFibが生物学的に不活性で、腎臓によって効率的に濾過されることから[30、 31、32]、レポーターのクリアランスを促進する。R1を添加した尿試料が、臨床検査において用いられる標準的なアッセイであるサンドイッチELISAによって検出され得るか否かについて最初に決定した。ニュートラアビジン‐ホースラディッシュペルオキシダーゼ(NA‐HRP)を添加して発色基質3,3′,5,5′-テトラメチルベンジジン(TMB)の発色を触媒する前に、R1の段階希釈物を、R1を固定するa‐R1抗体で被覆した96ウェルプレートに適用したところ、約6pMから約0.1pMの検出限界(LOD)まで線形用量依存性が明らかとなった。これは、前立腺特異的抗原[35]等の天然に存在するバイオマーカーがELISAによって検出され得る感度のLODと較べて遜色がなく、リガンド‐タンパク質相互作用を利用することによる合成サンドイッチアッセイを設計する能力を確立した。異なるレポーターの直線領域の分析は、以下の表3に見出すことができる。
Figure 0006847660
アプローチを一般化し、レポーターの多重化ライブラリーを構築するために、捕捉リガンドとなるジニトロフェニル(DNP)、テトラメチルローダミン(TMR)およびアレクサフロー488(AF488)をビオチンと対にすることによってGluFibの追加のヘテロ二官能化誘導体を合成し、それぞれレポーターR2〜R4を作製した。フルオレセインと同様に、これらのリガンドは、生物体が十分に耐えられ、安定であり、強力な免疫原に結合しない限り免疫反応を誘発しない[36]ので選択した。それぞれR2、R3またはR4を捕捉する抗体α−DNP(α−R2)、α−TMR(α−R3)またはα−AF488(α−R4)を用いることによって独立したサンドイッチELISAを開発し、それぞれについてLODおよび機能する直線領域を同定したところ、それらはまたサンドイッチELISAについて予想される典型的な値内にあった。特異性をアッセイしたところ、マッチした抗体‐リガンドの対を含有するウェルの試料強度では増加が明らかとなったのに対し、マッチしないウェルでは、交差反応性は同族検出シグナルのLOD未満であった。これらの結果により、リガンドコードレポーターは、サンドイッチELISAによって尿において感度良くかつ特異的に検出され得ることが示された。
例11 プロテアーゼ活性の検出およびペーパーアッセイの開発
家庭用の妊娠試験としてヒト絨毛性ゴナドトロピンを検出する、20年よりも前に開発されたペーパーベースのLFAは、それ以来、病原体、薬物、ホルモンおよび代謝物質を検出する多様なセッティングの用途に拡張されている[37]。LFAは、サンドイッチ複合体によって抗原を検出するものであり、捕捉抗体が、ニトロセルロース膜等の高度に多孔質の試験ストリップに吸着されており、その試験ストリップは、サンプルパッドから捕捉領域に液体を移動させ、分析物を輸送する働きをする。固定された分析物は、次いで、酵素的な増幅なしに肉眼で検出可能な着色ラインを作り出すナノ粒子(典型的には金またはラテックスのナノスフィア)に結合させた検出剤によって視覚化される。
ここで、我々は、リガンドコードレポーターがペーパー上で検出され得るか否か決定することを試みた。低容量ロボット液体ハンドラーを用いて、a‐R1およびa-ストレプトアビジン抗体をニトロセルロースペーパーストリップ上に沈着させ、試験ラインおよびコントロールラインをそれぞれ作製した。R1を添加した未処理のマウス尿試料を次いでサンプルパッドに適用し、その後、金ナノ粒子コンジュゲートストレプトアビジンを含有する溶液を適用した。試験抗体が印刷された場所に着色ラインが現れ、尿からのR1捕捉およびサンドイッチ複合体としての検出が示された。R1の連続希釈を分析するのに用いたLFAの定量スキャンによれば、約1nMのLODおよび約1-7nMの機能する直線領域が明らかとなった。残りのレポーターにカスタマイズした別のLFAについても同様の性能基準が観察された。R1〜4の標準曲線の直線領域に関する統計は、以下の表4に見出すことができる。
Figure 0006847660
捕捉抗体は、コントロールラインに対して、4本の平行試験ラインに印刷し、4つのレポーターのうち1つを含有する尿試料を分析したところ、多重レポーター検出を可能にした。同族捕捉抗体を印刷した試験ラインのみが陽性シグナルを生じ、ELISA試験の結果と同様に、LFAの特異性および単一の、間隔を空けてコードしたペーパーストリップを用いて異なるレポーターを検出する能力が強調された。
トロンビン感受性基質は、NW上にR3とタンデムにコンジュゲートし、LFAによってプロテアーゼ活性を検出した。トロンビンによるインビトロ基質切断の後に、サイズ排除濾過(size-exclusion filtration)によってペプチド断片を回収した。切断されたR3は、LFAによって濾過液から容易に検出され、トロンビンに暴露しなかったコントロール試料と比較して顕著に黒い試験ラインになった(p=0.0022)。R2コードMMP感受性NWをMMP9と共にインキュベートした後に回収した濾過液をLFAによって分析した場合にも同様の結果が得られた(p=0.0022)。これらの結果により、異なるプロテアーゼをペーパーベースのLFAによって検出できることが実証された。
例12 合成尿バイオマーカーを用いたペーパー上における疾患検出
尿濃度は、多くのホストおよび環境要因(例えば、食物、活動レベル、病歴、サーカディアンリズム)に依存するものであり、それゆえ、我々は、試験に関する正規化ストラテジーの開発を試みた。同時投与された遊離レポーターは、疾患状態とは独立して尿中に入り、プロテアーゼ活性によって放出されるレポーターのレベルを正規化するのに用いられ得ることが仮説として立てられた。遊離R4およびトロンビン感受性NW(R3で標識)の混合物を健常コホートまたは血栓症コホートのマウスに注入し、注入後30m間、すべての尿を採集し、このアプローチを調査した。R4の尿中の濃度は、ELISAによれば、2つの群の間で統計的に同等であり、遊離レポーターの偏りのないクリアランスが示された(p=0.25)。対照的に、トロンビン活性のレポーターであるR3の尿レベルは、独立に定量したときには(p<10−4)またはR4に対して正規化したときには(p<10−4)、血栓を保有するマウスで顕著に増加した。多数の捕捉抗体を印刷したペーパーストリップを用いてR3およびR4の尿レベルを同時に分析したところ、同様に、健常コントロールと比較して疾患尿試料ではR3/R4の比において統計的に優位な増加が観察された(p=0.0015)。真陽性(感度)および偽陽性(1−特異性)の比を、受信者操作特性(receiver-operating characteristic;ROC)曲線によって分析したところ、多重化ペーパー試験は、曲線下面積(area under the curve,a.u.c)が0.92となり、コントロールマウスに対して血栓形成マウス由来の尿を正確に区別した(p=0.0015)。
遊離R4およびR2コードMMP感受性ナノ粒子を含有する溶液を皮下にLS174T直腸結腸腫瘍を保有するヌードマウスに注入し、注射後最大1時間のすべての尿を採集することによる、血栓症に関して開発した正規化ストラテジーを、固形癌を検出する能力を確立するために採用した。罹患マウスは、健常動物と統計的に同等の効率でR4を除去したのに対し(p=0.92)、インビボMMP活性のレポーターであるR2の尿濃度、またはその正規化した強度(R2/R4)が両方とも、ELISAによると、腫瘍保有マウスの尿で顕著に上昇した(p=0.0039、p=0.0098)。ROC分析によって、この尿試験は、高度に正確であり、0.90のa.u.cでCRCを区別した(p=0.0025)。LFAによる同じ尿試料の分析により、腫瘍保有マウスから採集した尿ではR2/R4の比において顕著な増加が実証されたが、コントロールマウスから採集した尿ではその比に顕著な増加は実証されなかった(p=0.002)。これらの結果により、LFAは、尿から直接合成バイオマーカーを検出すると共に、顕著な予測能力により非伝染性疾患を区別し得ることが示された。
参考文献
Figure 0006847660
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上記に記載した明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。本発明は、提供された例によって範囲において限定されるものではない。なぜならば、それら例は、本発明の各種側面を例示することを意図し、他の機能的に同等な態様が本発明の範囲内にあるからである。本発明の各種改変が、本願明細書において示し、記載したものに加えて、当業者に上記の記載から明らかとなり、添付の特許請求の範囲内にある。本発明の利点および目的は、必ずしも本発明の各態様によって包含されるわけではない。
本願において列挙したすべての参考文献、特許および特許公報は、それら全体が本明細書中に参照によって組み込まれる。

Claims (14)

  1. バイオマーカーナノ粒子を投与されている対象からの生体試料を用いること、ここで、バイオマーカーナノ粒子は、酵素感受性ドメインを介してヘテロ二官能化検出可能マーカーに連結したキャリアドメインを含み、ヘテロ二官能化検出可能マーカーは、リンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含み、さらにヘテロ二官能化検出可能マーカーは、酵素に暴露されたときにバイオマーカーナノ粒子から放出される;および
    生体試料における検出可能マーカーの存在が対象内に活性型で存在する酵素を示す、検出可能マーカーの存在を検出するために捕捉アッセイを使用して生体試料をインビトロで分析すること
    を含み、ここで、捕捉リガンドおよび検出リガンドが、別個のハプテンである、インビトロ方法。
  2. 生体試料が、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出する身体部位から離れた身体部位から採取され、生体試料が尿である、請求項1に記載のインビトロ方法。
  3. 対象が、複数のバイオマーカーナノ粒子を投与されており、ここで複数のバイオマーカーナノ粒子は、複数の検出可能マーカーを含み、その結果、各酵素感受性ドメインが特定の検出可能マーカーに関連する、請求項1または2に記載のインビトロ方法。
  4. 分析することが、生体試料を物品に導入することを含み、
    該物品が、検出試薬が結合する規定領域を有する膜と、生体試料が膜に送達され、かつ膜に沿って移動するように、導入された生体試料を膜と接触させて収容するリザーバーと、膜上にコンジュゲートパッドとを含むハウジング(housing)を含み、
    コンジュゲートパッドが、捕捉リガンドに結合するアフィニティ剤を含み、生体試料が妊娠タンパク質を含まない、請求項1に記載のインビトロ方法。
  5. アフィニティ剤が金ナノ粒子に結合したストレプトアビジンであり、捕捉リガンドがビオチンである、請求項4に記載のインビトロ方法。
  6. 検出試薬が検出リガンドに特異的な抗体であり、任意に、抗体がα−FAM抗体である、請求項4に記載のインビトロ方法。
  7. 酵素感受性ドメインを介してヘテロ二官能化検出可能マーカーに連結したキャリアドメインを含むバイオマーカーナノ粒子を投与されている対象からの生体試料を用いること、これにより、検出可能マーカーが、酵素に暴露されたときに、バイオマーカーナノ粒子から放出され、かつ検出可能マーカーがリンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含み、生体試料が、検出可能マーカーをバイオマーカーナノ粒子から放出する身体部位から離れた身体部位から採取される;および
    生体試料における検出可能マーカーの存在が対象内に活性型で存在する酵素を示す、検出可能マーカーの存在を検出するために捕捉アッセイを用いて生体試料をインビトロで分析すること
    を含み、ここで、捕捉リガンドおよび検出リガンドが、別個のハプテンである、インビトロ方法。
  8. 捕捉アッセイが、捕捉リガンドと結合する基質上の一次抗体、および、検出リガンドに連結している酵素結合二次抗体を用いるELISAアッセイを含む、請求項7に記載のインビトロ方法。
  9. 捕捉アッセイがアフィニティ剤に対する捕捉リガンドの結合を含む、請求項7に記載のインビトロ方法。
  10. 捕捉リガンドがタンパク質である、請求項9に記載のインビトロ方法。
  11. リンカーが、ポリマーである、請求項7に記載のインビトロ方法。
  12. 酵素感受性検出可能マーカーが、疾患または状態に関連しないが正常状態に関連するプロテアーゼによる切断に感受性がある、請求項7に記載のインビトロ方法。
  13. 対象に投与された遊離レポーターに基づいて検出シグナルを正規化することをさらに含む、請求項7に記載のインビトロ方法。
  14. バイオマーカーナノ粒子を含む組成物であって、バイオマーカーナノ粒子が、酵素感受性ドメインによって、リンカーによって接続された捕捉リガンドと検出リガンドとを含む検出可能マーカーに連結したキャリアドメインを有するモジュール構造を含み、検出可能マーカーが、検出リガンドが酵素に暴露されたときにバイオマーカーナノ粒子から放出された後に、捕捉リガンドと検出リガンドを介してELISAまたはラテラルフローアッセイにおいて検出されることができ、ここで、捕捉リガンドおよび検出リガンドが、別個のハプテンである、前記組成物。
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