JP6846729B2 - 橋台背面領域の盛土構築工法およびその盛土構造体 - Google Patents
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Description
ここで、「橋台背面領域」とは、橋台の正面に対してその反対側となる橋台の背面に位置する領域をいう。
そして、補強材一体型ふとん籠を構成する補強材のシート面上に補強用骨材材料を締め固めるか、または、補強材のシート面上に複数のふとん籠を別途介在させ、ふとん籠の内部にそれぞれ排水用骨材材料を充填してふとん籠設置層を造成し、橋梁と同程度の高さまでふとん籠設置層を順次積層して一体化した盛土構造体を構築することにより、洪水時におけるその奔流の側圧に対しても、補強材一体型ふとん籠を配置したふとん籠設置層が、盛土構造体の脆性的な破壊を阻止するとともに、盛土構造体の上流側から押し寄せる洪水奔流を排水用骨材材料および補強用骨材材料を介して透水し、橋台背面領域の盛土構造体に生じがちな浸食、変形を大幅に抑制し、盛土構造体の粘り強い強靭な耐久性を発揮することができる。
なお、橋台背面領域の上流側と下流側との両側において、補強材一体型ふとん籠を橋台背面領域の横断方向で相互に対向配置した場合は、橋台背面領域に施工した盛土構造体の上流側から下流側への排水をより一層促進することができる。
そして、本発明で用いる補強材一体型ふとん籠については、橋台の橋台背面領域にて組み立てられても良く、橋台の橋台背面領域から離れた場所にて組み立てられた後に橋台の橋台背面領域に搬入されても良い。
また、この補強材一体型ふとん籠は、橋台背面領域の上流側のみに配置しても良いが、橋台背面領域の上流側と下流側との両側に配置しても良い。
さらに、本発明におけるシート状の補強材については、橋台背面領域の盛土構築状況を考慮すると、3〜13mのシート長さを有するものが好ましい。
また、上述したふとん籠に充填する排水用骨材材料については、栗石であっても良いし、単粒度砕石であっても良い。
他方、上述した補強材一体型ふとん籠の補強材のシート面上に敷設される補強用骨材材料については、透水性、排水性を発揮する材料であることは当然であるが、排水用骨材材料よりも締固めし易く、排水用骨材材料よりも粒径の小さいものを含むのが良く、例えば、土砂やクラッシャランやレキ質材である。
なお、ここで、本発明で意味する「締め固めし易い」とは、具体的には、実際の工事現場で締め固めた骨材材料の測定から得られた乾燥密度と、基準の締め固め試験の最大乾燥密度との比で規定される締め固め度が90%以上の状態となるクラッシャランやレキ質材などの骨材材料である。
ここで、図1は、本発明の第1実施例である盛土構造体100を構築する直前の橋台背面領域を示す図であり、図2は、本発明の第1実施例である盛土構造体100を構築する途中の橋台背面領域を示す図であり、図3は、本発明の第1実施例である橋台背面領域に構築した盛土構造体100を示す図であり、図4は、本発明の第1実施例における補強材一体型ふとん籠110の相互に対向した配置組付けを示す概略図であり、図5は、図4のV−V断面で見た盛土構造体100に対する洪水時の氾濫した奔流の流れを示す図であり、図6は、本発明で用いる補強材一体型ふとん籠110を示す図である。
本発明の第1実施例である盛土構造体100では、図2乃至図4に示すように、橋台背面領域BAの側縁に沿って設置する直方体状のふとん籠111とこのふとん籠111の底面から連続して橋台背面領域BAの横断方向に向かって敷設するシート状の補強材112とで補強材一体型ふとん籠110を構成し、この補強材一体型ふとん籠110が、橋台背面領域BAの横断方向で同一の高さとなる施工位置で相互に対向配置される。
このように、補強材一体型ふとん籠110が橋台背面領域BAで相互に対向配置されると、この補強材一体型ふとん籠110の補強材112のシート面上には、透水性や排水性に加えて重量的な形態安定性を発揮させるために土砂からなる補強用骨材材料120が締め固められ、他方、ふとん籠111の内部には、透水性や排水性を発揮させるために栗石からなる排水用骨材材料130が充填され、図2に示すように、ふとん籠設置層110Aが順次造成される。
なお、本実施例の盛土構造体100では、10層のふとん籠設置層110Aを積層した場合を例示したが、その積層数は、橋梁B1の高さとの関係で任意に設定することができることは言うまでもない。
なお、本実施例では、図3に示すように、橋梁B1から延びる橋台背面領域BAの長手方向に沿って盛土構造体100を4体配置した場合を例示したが、その設置数は、橋梁B1へ通じる歩道、車道、鉄道軌道などを設けるための橋台背面領域BAの状況に応じて任意に設定することができることは当然である。
これにより、相互に連結された補強材一体型ふとん籠110が、奔流に起因して生じる橋台背面領域BAに対する側圧を相互に分散して吸収し、洪水時に洪水奔流の流速が増加しても盛土構造体100の安定性が充分に確保されている。
これにより、補強材112のシート面上の補強空間S2に締固めた補強用骨材材料120の単位体積当たりの重量が、ふとん籠111の内部空間S1に充填した排水用骨材材料130の単位体積当たりの重量よりも大きくなり、ふとん籠設置層110Aが強靭かつ安定し、盛土構造体100の粘り強い強靭な耐久性が発揮される。
また、本発明の第1実施例である盛土構造体100の上流側および下流側の法面には、裾広がりの斜面を呈する盛土(図示しない)を施工しても構わない。
図6に示すように、補強材一体型ふとん籠110のふとん籠111は、直方体形状の籠網体を構成する6つの保形面、すなわち、ふとん籠111の上面に配置する蓋状網面111aと、この蓋状網面111aに連続して順次形成される外側網面111b、底網面111c、内側網面111dと、これらに連結される2つの連結網面111e、111eを備え、これらの6つの保形面で内部空間S1を画成している。
このようなふとん籠111の開閉自在な蓋状網面111aを開くことにより、ふとん籠111の内部空間S1に、栗石からなる排水用骨材材料130が充填される。
なお、ふとん籠111の内部には、ふとん籠111の内部空間S1を複数の内部空間に仕切る仕切り保形部材が配置されていてもよい。
図6では、ふとん籠111の内部空間S1は、1つの仕切り保形部材により2つの内部空間に仕切られている。
これにより、シート状の補強材112は、ふとん籠111の底網面111cと面一状態で敷設されるため、ふとん籠111と補強材112との相互間で不要な緩みが生じることが無く、補強材一体型ふとん籠110の設置形態が長期に亘って安定している。
さらに、補強材一体型ふとん籠110のふとん籠111と補強材112とが一体となって洪水奔流による側圧を受けても、ふとん籠111の外側網面111bの前方への変形が抑制される。
これにより、樹脂からなる外部被覆が、耐摩耗性・耐酸性・耐アルカリ性があるので、鋼線112aの摩耗や腐食による性能劣化を抑制して盛土構造体100の剛性が長期的に保持される。
このような鋼線112aを編むことにより、例えば、ふとん籠111および補強材112の網目内寸法が80mm、120mmとなる亀甲型網目状に形成する。
この亀甲型網目により、補強材一体型ふとん籠110は、外力に対する保形性を発揮するとともに通水性を発揮する。
更に補強材一体型ふとん籠110を橋台背面領域BAの横断方向で相互に対向配置することにより、下流側に奔流を流すことが容易となるため、より信頼性の高い盛土構造体を施工することができる。
更に補強材一体型ふとん籠110を橋台背面領域BAの横断方向で相互に対向配置することも可能なことにより、下流側に奔流を流すことが容易となるため、より信頼性の高い盛土構造体を施工することができる。
ここで、図7は、本発明の第2実施例である橋台背面領域BAに構築した盛土構造体200を示す図であり、図8は、本発明の第2実施例における補強材一体型ふとん籠210の相互に対応配置した組付けを示す概略図であり、図9は、図8のIX−IX断面で見た盛土構造体200に対する洪水の流れを示す図である。
110 、210 ・・・補強材一体型ふとん籠
110A・・・ふとん籠設置層
111 、211 ・・・ふとん籠
111a・・・蓋状網面
111b・・・外側網面
111c・・・底網面
111d・・・内側網面
111e・・・連結網面
112 、212 ・・・補強材
112a・・・鋼線
120 、220 ・・・補強用骨材材料(土砂)
130 、230 ・・・排水用骨材材料(栗石)
140 ・・・連結手段(鉄筋棒材)
150 ・・・結束ワイヤー
160 ・・・不織布
B1・・・橋梁
B2・・・橋台
BA・・・橋台背面領域
S1・・・内部空間
S2・・・補強空間
Claims (9)
- 橋梁の橋台に隣接する橋台背面領域の盛土構築工法であって、
前記橋台背面領域の側縁に沿って設置する直方体状のふとん籠と該ふとん籠の底面から連続して前記橋台背面領域の横断方向に向かって敷設するシート状の補強材とで補強材一体型ふとん籠を構成し、
該補強材一体型ふとん籠を前記橋台背面領域の少なくとも上流側に配置した後、前記補強材のシート面上に補強用骨材材料を締め固めるか、または、前記補強材のシート面上に複数のふとん籠を別途介在させ、前記ふとん籠の内部にそれぞれ排水用骨材材料を充填してふとん籠設置層を造成し、前記橋梁と同程度の高さまで前記ふとん籠設置層を順次積層して一体化した盛土構造体を構築することを特徴とする橋台背面領域の盛土構築工法。 - 前記排水用骨材材料が、栗石や単粒砕石であることを特徴とする請求項1に記載された橋台背面領域の盛土構築工法。
- 前記補強用骨材材料が、土砂またはクラッシャランであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された橋台背面領域の盛土構築工法。
- 前記補強材一体型ふとん籠の補強材を、前記橋台背面領域の横断方向で相互に連結することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載された橋台背面領域の盛土構築工法。
- 前記補強材一体型ふとん籠の背面を、不織布でそれぞれ被覆することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載された橋台背面領域の盛土構築工法。
- 前記盛土構造体を、前記橋梁から延びる橋台背面領域の長手方向に沿って複数連続して配置することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載された橋台背面領域の盛土構築工法。
- 前記橋台に隣接する盛土構造体のふとん籠を、前記橋台に対して連結手段を介して連結することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載された橋台背面領域の盛土構築工法。
- 前記橋台背面領域の下層部位に位置するふとん籠設置層の補強材のシート面上に前記補強材一体型ふとん籠のふとん籠のみが複数追加配置され、
前記橋台背面領域の上層部位に位置するふとん籠設置層の補強材のシート面上に前記補強用骨材材料が締め固められることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載された橋台背面領域の盛土構築工法。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載された橋台背面領域の盛土構築工法によって構築されることを特徴とする橋台背面領域の盛土構造体。
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