JP6846036B2 - 乳酸菌及び酵母の複式発酵によるステリルグルコシドの製造方法 - Google Patents

乳酸菌及び酵母の複式発酵によるステリルグルコシドの製造方法 Download PDF

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本発明は微生物を用いたステリルグルコシドの製造方法に関する。
ステリルグルコシドは、ステロール骨格にグルコースがα−又はβ−グルコシド結合した構造をとる糖脂質である。ステリルグルコシドは細胞分化やストレス応答における脂質性メディエーターとして機能する可能性が示唆されている。また、ステリルグルコシドを有効成分として用いる例は数多くあり、例えば、ウイルス感染及び細菌感染の治療剤、発毛剤、育毛剤、血中脂質低下剤、抗肥満剤、抗ストレス剤、栄養成分吸収促進剤などが挙げられる。
ステリルグルコシドの製造方法としては、サトウキビからステリルグルコシドを抽出及び精製する工程を含む方法(特許文献1を参照)、ステリルグルコシドを含有する油脂と低級アルコールとをエステル交換反応させる工程を含む方法(特許文献2を参照)、ホエー培地を用いて酵母クリヴェロミセス・ラクチスにステリルグルコシドを蓄積させる方法(特許文献3を参照)などが知られている。
特開2005−261229号公報 特開2011−26567号公報 特開2007−295848号公報
特許文献1及び2に記載の方法は、単一のステリルグルコシドを製造する方法として効率が良い方法である。しかし、飲食品や飲食品素材として、特にステリルグルコシドの機能性や健康増進機能を求める機能性表示食品及び特定保健食品並びにこれらの食品素材に利用することを考慮すれば、特許文献1及び2に記載の方法は有機溶媒を使用した合成工程や抽出工程などの化学的操作を行うことが不可避である方法であることから、これらの方法によって得られるものは食経験や安全性の観点から問題がある。
それに対して、特許文献3に記載の方法は、食経験があるとされている酵母を使用する方法である。しかし、酵母クリヴェロミセス・ラクチスのステリルグルコシドの生産量は非常に少なく、該酵母を発酵して得られる液状の発酵産物中にはステリルグルコシドが目的とする量に達しない。仮に該酵母を利用して高濃度のステリルグルコシドを得ようとすると、副産物であるエタノールが大量に生産され、結果として得られる発酵産物は酒類となることから、発酵産物の用途は限られること、製造上酒類製造免許を要することなどの制約が生じる場合がある。また、これまでにステリルグルコシドを多く含有する飲食品や飲食品素材の製造方法は知られていない。
そこで、本発明は、上記の従来技術の問題点を鑑みて、食経験があり、安全性が高く、かつ、機能性成分と期待されるステリルグルコシドを多く含有する飲食品や飲食品素材を製造する方法を提供することを発明が解決しようとする課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、はじめに乳酸菌及び/又は酵母を利用した発酵技術を用いたステリルグルコシド含有発酵産物の製造方法について検討した。しかし、これらの微生物を単独又は混合して用いる方法では、ステリルグルコシドを高濃度で含有する発酵産物を得ることができなかった。
そこで、本発明者らは、さらに試行錯誤を重ねて鋭意検討したところ、乳酸菌及び酵母を利用した複式発酵技術に至り、遂には食経験のある乳酸菌の複数種類と酵母とを利用した複式発酵技術に基づく方法を創作することに成功した。本方法によれば、個々の微生物の機能を高く制御し、独特の風味を有し、かつ、機能性成分としての期待が高いステリルグルコシドを多く含有する飲食品や飲食品素材を製造し得ることを見出した。本発明は、これらの知見や成功例に基づき完成された発明である。
したがって、本発明によれば、乳酸菌及び酵母からなる群から選ばれる第1の微生物を、飲食品原材料に作用させることにより、第1次発酵産物を得る工程と、乳酸菌及び酵母からなる群から選ばれ、かつ、前記第1の微生物とは異なる第2の微生物を、前記第1次発酵産物に作用させることにより、第2次発酵産物を得る工程とを含む、ステリルグルコシド含有飲食品又はステリルグルコシド含有飲食品素材の製造方法が提供される。
好ましくは、本発明の製造方法において、前記飲食品原材料は、植物性飲食品原材料及び動物性飲食品原材料からなる群から選ばれる飲食品原材料である。
好ましくは、本発明の製造方法において、前記第2次発酵産物は、前記飲食品原材料のステリルグルコシド量に対して、2.0倍以上のステリルグルコシドの量を含有する第2次発酵産物である。
好ましくは、本発明の製造方法において、前記第1次発酵産物を得る工程は、酵母である第1の微生物を飲食品原材料に作用させ、次いで該酵母に適した条件で熟成することにより、第1次発酵産物を得る工程であり、又は前記第2次発酵産物を得る工程は、酵母である第2の微生物を、前記第1次発酵産物に作用させ、次いで該酵母に適した条件で熟成することにより、第2次発酵産物を得る工程である。
本発明の製造方法によれば、有機溶媒を使用した化学的処理を経ずに、高濃度のステリルグルコシドを含有する飲食品及び飲食品素材を製造することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、食経験のある微生物を利用することにより、安全性が高く、さらに風味や香りに優れ、ステリルグルコシドに期待される生理作用を発揮し得る飲食品及び飲食品素材を製造することができる。
したがって、本発明の製造方法は、抗ウイルス用、抗細菌用、発毛用、育毛用、血中脂質低下用、抗肥満用、栄養成分吸収促進用、抗ストレス用の飲食品及び飲食品素材の製造方法として利用することが期待できる。
図1は、実施例に記載のある、発酵原料として豆乳を用いた場合の発酵原料のステリルグルコシド(SG)量に対する各発酵産物のSG量の増加率についてまとめた結果を示す図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の製造方法は、ステリルグルコシド含有飲食品、ステリルグルコシド含有飲食品素材又はそれら両方の製造方法である。
ステリルグルコシド含有飲食品は、ステリルグルコシドを含有する飲食品であれば特に限定されず、例えば、食経験のある飲食品原材料を用いて製造されたものであって、該飲食食品原材料に本来含有されるステリルグルコシドの量よりも多い量のステリルグルコシドを含有する飲食品を挙げることができる。
ステリルグルコシド含有飲食品素材は、ステリルグルコシドを含有する飲食品の製造に供される飲食品素材であれば特に限定されず、例えば、食経験のある飲食品原材料を用いて製造されたものであって、該飲食品原材料に本来含有されるステリルグルコシドの量よりも多い量のステリルグルコシドを含有する飲食品素材を挙げることができる。この場合、飲食品原材料に対して、飲食品素材は加工飲食品原材料ということができる。
ステリルグルコシド含有飲食品及びステリルグルコシド含有飲食品素材に含有されるステリルグルコシドは、通常知られているとおりのステロール骨格にグルコースがα−又はβ−グルコシド結合した構造をとる糖脂質であれば特に限定されず、例えば、該糖脂質のいずれか1種又は2種以上を挙げることができる。ステリルグルコシドは、後述する実施例に記載のステリルグルコシド量測定法によって定量できるものであることが好ましく、例えば、b−Sitosterol b−D−glucosideなどである。
本発明の製造方法は、ステリルグルコシド含有飲食品及びステリルグルコシド含有飲食品素材を製造するために、微生物を飲食品原材料に作用させる工程を少なくとも含む。したがって、本発明の製造方法によって得られる飲食品及び飲食品素材の性質は、使用する微生物及び飲食品原材料の性質に大きく依存する傾向にある。
本発明の製造方法において、微生物としては乳酸菌及び酵母が少なくとも用いられる。
乳酸菌は、通常知られているとおりの乳酸を生成する微生物であれば特に限定されず、桿菌である乳酸菌、球菌である乳酸菌など、いずれの形態的性質、培養的性質、生理学的性質などの性質を有する乳酸菌であってもよいが、例えば、食経験が豊富であり、かつ、発酵飲食品から単離された植物性乳酸菌が挙げられ、ラクトバチルス属乳酸菌、ストレプトコッカス属乳酸菌、エンテロコッカス属乳酸菌、ラクトコッカス属乳酸菌及びビフィドバクテリウム属乳酸菌が好ましい。
乳酸菌の具体例としては、ラクトバチルス属乳酸菌としては、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(brevis)、ラクトバチルス・ジェンセニイ(jensenii)、ラクトバチルス・パラカゼイ(paracasei subspparacasei)、ラクトバチルス・ガセリー(gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(brueckii subspbulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(helveticus)、ラクトバチルス・カゼイ(casei subspcasei)、ラクトバチルス・ラモナウサス(rhamnosus)、ラクトバチルス・デルブリッキィ(delbrueckii subspdelbrueckii)など;ストレプトコッカス属乳酸菌としては、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)など;エンテロコッカス属乳酸菌としては、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)など;ラクトコッカス属乳酸菌としては、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)など;ビフィドバクテリウム属乳酸菌としては、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)などが挙げられるが、これらに限定されない。乳酸菌はこれらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、好ましくはこれらの乳酸菌の2種又は3種を組み合わせて用いることであり、より好ましくはラクトバチルス属乳酸菌を含む乳酸菌の2種又は3種の組み合わせを用いることであり、さらに好ましくはラクトバチルス属乳酸菌、エンテロコッカス属乳酸菌及びビフィドバクテリウム属乳酸菌の組み合わせ、ラクトバチルス属乳酸菌の2種又は3種の組み合わせ、ラクトバチルス属乳酸菌の2種及びラクトコッカス属乳酸菌の組み合わせ、ラクトバチルス属乳酸菌の2種及びストレプトコッカス属乳酸菌の組み合わせを用いることである。
酵母は、通常知られているとおりの単細胞性の真核微生物であれば特に限定されず、出芽酵母、分裂酵母など、いずれの形態的性質、培養的性質、生理学的性質などの性質を有する酵母であってもよいが、例えば、食経験が豊富であり、かつ、発酵飲食品から単離された酵母が挙げられ、サッカロマイセス属酵母、カンジダ属酵母、クリュベロマイセス属酵母、ピチア(Pichia)属酵母、ハンゼヌラ(Hansenula)属酵母などの酵母が好ましく、サッカロマイセス属酵母、カンジダ属酵母及びクリュベロマイセス属酵母がより好ましい。
酵母の具体例としては、サッカロマイセス属酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)など;カンジダ属酵母としては、カンジダ・ケフィア(Candida kefyr)など;クリュベロマイセス属酵母としては、クリュベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)などが挙げられるが、これらに限定されない。酵母はこれらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の製造方法に用いられる酵母は、乳酸菌との親和性が高く、乳酸菌及び乳酸菌の複数種類からなる混合乳酸菌の増殖に良好な影響を与えるような増殖促進作用を有し、発酵産物におけるステリルグルコシドの生産を高めることに寄与し得る酵母であることが好ましい。
乳酸菌及び酵母は、その入手方法について特に限定されず、例えば、乳製品などの飲食品から分離された微生物株、寄託されている微生物株、市販されている微生物株などが挙げられる。
飲食品原材料は、飲食品を製造する際に通常用いられる原材料であれば特に限定されず、例えば、乳酸菌及び酵母を用いた発酵飲食品を製造する際に用いられる原材料が挙げられるが、好ましくは液体状、懸濁状及び半液体状の飲食品原材料であり、より好ましくは植物性飲食品原材料及び動物性飲食品原材料である。
飲食品原材料の具体例としては、豆、麦、米、トウモロコシなどの穀類;豆乳、麦汁などの穀類の液状化物;例えば野菜汁、果汁、青汁などの野菜及び果実の液状化物;牛乳、乳清などの乳製品及び乳製品の液状化物などが挙げられるが、好ましくは豆乳、麦汁、乳清、トマト果汁であり、より好ましくは豆乳である。飲食品原材料はこれらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができ、さらにこれらに通常飲食品の製造において使用される添加物を加えたものを用いることができる。飲食品原材料は、その入手方法について特に限定されず、例えば、穀類、野菜、果実などを用いて調製して得られたもの、市販されているものなどを挙げることができる。
飲食品原材料は、乳酸菌及び酵母が増殖するに際して栄養源となるものであることが好ましい。乳酸菌や酵母による発酵を促進するために、例えば、飲食品原材料の固形分は、Brixショ糖換算で、好ましくは5〜20w/w%であり、より好ましくは8〜17w/w%であり;飲食品原材料のpHは、好ましくは3〜8であり、より好ましくは4〜7である。飲食品原材料におけるステリルグルコシド量は特に限定されないが、例えば、飲食品原材料が液体状のものである場合は、飲食品原材料におけるステリルグルコシド量は0.001mg/L以上であり、好ましくは0.01ml/L以上である。
本発明の製造方法は、乳酸菌及び酵母を飲食品原材料に作用させるところ、これらの微生物を段階的に、それぞれの微生物の増殖に適した温度や通気などの発酵条件で、飲食品原材料に作用させることに特徴がある。なお、本明細書において、微生物を作用させること、微生物を用いて培養すること及び微生物を用いて発酵することは、実質的に同義である。
本発明の製造方法の第1の態様は、乳酸菌である第1の微生物を、飲食品原材料に作用させることにより、第1次発酵産物を得る工程と、酵母である第2の微生物を、第1次発酵産物に作用させることにより、第2次発酵産物を得る工程とを少なくとも含む。
本発明の製造方法の第2の態様は、酵母である第1の微生物を、飲食品原材料に作用させることにより、第1次発酵産物を得る工程と、乳酸菌である第2の微生物を、第1次発酵産物に作用させることにより、第2次発酵産物を得る工程とを少なくとも含む。
第1の微生物を飲食品原材料に作用させる手段は特に限定されず、例えば、第1の微生物として使用する乳酸菌や酵母が飲食品原材料を栄養源として増殖することに適した培養方法を適宜選択して、第1の微生物を飲食品原材料に作用させることが挙げられる。
培養方法としては、例えば、液体培養法(静置培養法、振とう培養法、通気撹拌培養法など)が挙げられ、工業的には通気撹拌培養法が好ましい。培養時間は第1の微生物が増殖し始める時間以上の時間であれば特に限定されず、使用する飲食品原材料の種類や量などによって適宜設定すればよいが、例えば、生菌数が初発菌数の10〜10倍の生菌数に達した時間が挙げられ、好ましくは生菌数が10cells/mL以上の生菌数に達した時間であり、具体的には1〜100時間、好ましくは6〜24時間である。培養液の温度及びpHは、第1の微生物が増殖するのに適した温度及びpHであれば特に限定されず、使用する第1の微生物の種類によって適宜設定し得る。培養液の温度及びpHは、いずれか一方又は両方が培養中一定に維持されることが好ましい。
第1の微生物の増殖を確認する方法は特に限定されないが、例えば、培養物を採取して顕微鏡で観察することや吸光度で観察することなどが挙げられる。また、培養液の溶存酸素濃度は特に限定されず、例えば、0.5〜20ppmである。好気的な培養条件を維持するために、通気量を調節すること、撹拌すること、通気に酸素を追加することなどを実施することが挙げられるが、これらに限定されない。培養方式は、回分培養、流加培養、連続培養、灌流培養などのいずれの方式でもよい。
第1の微生物の初発菌数は特に限定されず、例えば、液体状の飲食品原材料あたり、1×104〜10cells/mlであることが好ましく、1×105〜8cells/mlであることがより好ましい。
本発明の製造方法において、第1の微生物を飲食品原材料に作用させることにより得られるものが第1次発酵産物である。本発明の製造方法では、第1次発酵産物に、第1の微生物とは異なる乳酸菌又は酵母である第2の微生物を作用させることにより、第2次発酵産物を得る。
第1の微生物及び第2の微生物は、乳酸菌と酵母との違いに加えて、至適温度や至適pHなどが相違するものであることが好ましい。
第2の微生物に作用させる第1次発酵産物は、第1次発酵産物に処理を加えずに第1の微生物を含有する態様、第1次発酵産物を第1の微生物を死滅又は除外させる処理に供して得られる態様、第1次発酵産物に飲食品原材料をさらに添加した態様などのいずれの態様のものであってもよいが、第2次発酵産物におけるステリルグルコシド含有量を高めるために、第1次発酵産物に飲食品原材料をさらに添加した態様のものであることが好ましい。
第2の微生物を第1次発酵産物に作用させることは、第1の微生物を飲食品原材料に作用させることに関連する事項を参照して、第2の微生物の種類及び第1次発酵産物の性質に応じて適宜設定すればよい。
第2の微生物を第1次発酵産物に作用させる時間は特に限定されないが、例えば、培養物のpHがより酸性側になった時間であり、好ましくは飲食品原材料のpHから0.1〜3.0程度低いpHになった時間であり、より好ましくは飲食品原材料のpHから0.3〜2.0程度低いpHになった時間であり、具体的には5〜24時間程度である。
第2次発酵産物はステリルグルコシドを高濃度で含有するものであるところ、第2次発酵産物のステリルグルコシド含有量は特に限定されないが、例えば、飲食品原材料のステリルグルコシド量に対して2.0倍以上、好ましくは3.0倍以上、より好ましくは4.0倍以上、さらに好ましくは5.0倍以上、なおさらに好ましくは6.0倍以上の量である。
第1の微生物又は第2の微生物が酵母である場合は、酵母の増殖が認められなくなった後、さらに酵母に適した条件で熟成することが好ましい。本明細書における「酵母の増殖が認められなくなった」とは、上記したとおりの微生物の増殖を確認する方法によって、酵母の増殖が実質的に認められなくなったであろう状態であれば、特に限定されない。酵母に適した条件は、酵母を飲食品原材料又は第1次発酵産物に作用させる条件と同一の条件であってもよいし、異なる条件であってもよい。酵母に適した条件での熟成は、例えば、酵母の増殖に適した発酵条件、例えば、30〜40℃の通気撹拌条件で、数時間〜数十時間、好ましくは3〜72時間、より好ましくは6〜48時間おくことなどが挙げられる。酵母を飲食品原材料又は第1次発酵産物に作用させ、次いで該酵母に適した条件で熟成する時間は、例えば、総計で10〜100時間程度である。
第2次発酵産物は、なんら処理に供せずにそのままの態様、第2次発酵産物を微生物を死滅又は除外させる処理に供して得られる態様、第2次発酵産物と他の飲食品や飲食品素材と混合して得られる態様などとして、ステリルグルコシド含有飲食品やステリルグルコシド含有飲食品素材として用いられ得る。
本発明の製造方法によって得られるステリルグルコシド含有飲食品やステリルグルコシド含有飲食品素材は、ステリルグルコシドに期待される生理作用を発揮し得る飲食品及び飲食品素材として、抗ウイルス用、抗細菌用、発毛用、育毛用、血中脂質低下用、抗肥満用、抗ストレス用及び栄養成分吸収促進用の飲食品及び飲食品素材として、より具体的には機能性飲食品、特定保健用飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、機能性表示飲食品、サプリメント、美容飲食品、化粧品、医薬品、医薬部外品、動物飼料などやこれらの製品を製造するための飲食品素材として利用され得る。
本発明の製造方法では、本発明の目的を達成し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。また、工程内及び工程間は、連続的又は断続的に実施することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[Brix測定方法]
飲食品原材料のBrix値は、屈折によるBrix計(糖度計)(アタゴ社製)を用いて測定した。Brixはショ糖換算百分率%で表示した。
[pH測定方法]
pH計(堀場製作所社製)を用いて測定した。
[ステリルグルコシド(SG)量測定方法]
発酵産物をクロロホルム−メタノール(85:15,v/v)を展開溶媒として、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけた。そして、オルシノール試薬を噴霧及び加熱後に出現する赤紫色スポット(Rf値=約0.3)の大きさから測定した。ステリルグルコシドの試薬(b−Sitosterol b−D−glucoside(CAS番号:474−58−8);Carbosynth社製)で0.1〜0.8μg/spotの検量線を作成して定量した。
[乳酸菌及び酵母]
乳酸菌として、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(brevis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei subspparacasei)、ラクトバチルス・ガセリー(gasseri)、ラクトバチルス・ラモナウサス(rhamnosus)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)を用いた。
酵母として、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クリュベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)及びカンジダ・ケフィア(Candida kefyr)を用いた。
使用した乳酸菌及び酵母は、光英科学研究所保有の混合スターターより単離したものを用いた。
[製造例A−1−1]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳300mlを入れた容量500mlの発酵槽に、混合乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ブレビス及びラクトバチルス・パラカゼイの乳酸菌3種)と酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)とを、それぞれ初発菌数が105〜6cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより発酵を開始した。発酵開始から24時間経過後、pHが4.2になった時点で発酵を終了し、発酵産物A−1−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例A−1−2]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳300mlを入れた容量500mlの発酵槽に、混合乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ブレビス及びラクトバチルス・パラカゼイの乳酸菌3種)と酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)とを、それぞれ初発菌数が105〜6cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより発酵を開始した。発酵開始から24時間経過後、pHが4.2になった時点で発酵を終了し、さらに35℃で24時間静置して熟成することにより、発酵産物A−1−2を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例A−2−1]
Brixショ糖換算10w/w%の麦汁300mlを入れた容量500mlの発酵槽に、混合乳酸菌(ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・ガセリー及びストレプトコッカス・サーモフィラスの乳酸菌3種)と酵母(カンジダ・ケフィア)とを、それぞれ初発菌数が105〜6cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより発酵を開始した。発酵開始から24時間経過後、pHが4.0になった時点で発酵を終了し、発酵産物A−2−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例A−2−2]
Brixショ糖換算10w/w%の麦汁300mlを入れた容量500mlの発酵槽に、混合乳酸菌(ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・ガセリー及びストレプトコッカス・サーモフィラスの乳酸菌3種)と酵母(カンジダ・ケフィア)とを、それぞれ初発菌数が105〜6cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより発酵を開始した。発酵開始から24時間経過後、pHが4.0になった時点で発酵を終了し、さらに35℃で24時間静置して熟成することにより、発酵産物A−2−2を得た。発酵の結果は表1に示す
[製造例B−1−1]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳300mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、30℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から10時間経過後、さらに豆乳500ml及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ、エンテロコッカス・フェシウム及びビフィドバクテリウム・ロンガムの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.3になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−1−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−1−2]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳300mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、30℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から10時間経過後、増殖が最大になったところでさらに35℃で24時間静置して熟成した後、豆乳500ml及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ、エンテロコッカス・フェシウム及びビフィドバクテリウム・ロンガムの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.3になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−1−2を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−2−1]
Brixショ糖換算10w/w%の麦汁500mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、25℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から12時間経過後、さらに麦汁500ml及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ブレビス及びラクトバチルス・パラカゼイの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.0になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−2−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−2−2]
Brixショ糖換算10w/w%の麦汁500mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、25℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から12時間経過後、増殖が最大になったところでさらに30℃で24時間静置して熟成した後、麦汁500ml及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ブレビス及びラクトバチルス・パラカゼイの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.0になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−2−2を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−3−1]
Brixショ糖換算10w/w%の乳清500ml及びブドウ糖5gを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から10時間経過後、さらに乳清300ml、ブドウ糖3g及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ラモナウサス及びラクトコッカス・ラクチスの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.0になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−3−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−3−2]
Brixショ糖換算10w/w%の乳清500ml及びブドウ糖5gを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から10時間経過後、増殖が最大になったところでさらに35℃で24時間静置して熟成した後、乳清300ml、ブドウ糖3g及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ラモナウサス及びラクトコッカス・ラクチスの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.0になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−3−2を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−4−1]
Brixショ糖換算15w/w%のトマト果汁500ml及びブドウ糖5gを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から12時間経過後、さらにトマト果汁(トマト汁)300ml、ブドウ糖3g及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ラモナウサス及びストレプトコッカス・サーモフィラスの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から12時間経過後、pHが3.8になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−4−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−4−2]
Brixショ糖換算15w/w%のトマト果汁500ml及びブドウ糖5gを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から12時間経過後、増殖が最大になったところでさらに35℃で36時間静置して熟成した後、トマト果汁(トマト汁)300ml、ブドウ糖3g及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ラモナウサス及びストレプトコッカス・サーモフィラスの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から12時間経過後、pHが3.8になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−4−2を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−5−1]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳300mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が107〜8cells/mlになるように加え、25〜30℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から10〜12時間経過後、さらに豆乳500ml及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ及びラクトバチルス・ラモナウサスの乳酸菌2種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.0〜4.3になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−5−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例B−5−2]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳300mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が107〜8cells/mlになるように加え、25〜30℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から10〜12時間経過後、増殖が最大なったところでさらに30℃で48時間静置して熟成した後、豆乳500ml及び混合乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ及びラクトバチルス・ラモナウサスの乳酸菌2種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から10時間経過後、pHが4.0〜4.3になった時点で、発酵を終了し、発酵産物B−5−2を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例C−1]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳500mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、混合乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ、エンテロコッカス・フェシウム及びビフィドバクテリウム・ロンガムの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から12時間経過後、さらに豆乳300ml及び酵母(クリュベロマイセス・ラクチス)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から12時間経過後、pHが4.2になった時点で、発酵を終了し、発酵産物C−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例C−2]
Brixショ糖換算15w/w%のトマト果汁500mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、混合乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ブレビス及びラクトバチルス・パラカゼイの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより、第1次発酵を開始した。第1次発酵の開始から10時間経過後、さらにトマト果汁300ml及び酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、30℃で静置することにより第2次発酵を開始した。第2次発酵の開始から12時間経過後、pHが3.8になった時点で、発酵を終了し、発酵産物C−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例D−1]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳800mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、混合乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ、エンテロコッカス・フェシウム及びビフィドバクテリウム・ロンガムの乳酸菌3種)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、35℃で静置することにより、発酵を開始した。発酵の開始から24時間経過後、pHが4.5になった時点で、発酵を終了し、発酵産物D−1を得た。発酵の結果は表1に示す。
[製造例D−2]
Brixショ糖換算11w/w%の豆乳800mlを入れた容量1,000mlの発酵槽に、酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を初発菌数が106〜7cells/mlになるように加え、30℃で静置することにより、発酵を開始した。発酵の開始から48時間経過後、pHが4.5になった時点で、発酵を終了し、発酵産物D−2を得た。発酵の結果は表1に示す。
Figure 0006846036
また、発酵原料として豆乳を用いた場合の発酵原料のSG量に対する最終発酵液(発酵産物A−1−1、B−1−1及びB−5−1、C−1並びにD−1〜2)のSG量の増加率についてまとめた結果を図1に示す。
表1及び図1が示すとおり、乳酸菌のみの発酵又は酵母のみの発酵に比べて、乳酸菌及び酵母を用いた混合発酵の方が、最終的に得られるSG量は増加する傾向にあることがわかった。
さらに、驚くべきことに、酵母又は乳酸菌を用いた第1次発酵の後に、第1次発酵とは異なる乳酸菌又は酵母を用いた第2次発酵を実施することにより、SG量は格別顕著に増加することがわかった。また、酵母を用いる発酵において、微生物の増殖がほとんど認められなくなった後、酵母に適した温度での熟成段階を設けることにより、最終的に得られるSG量は増加する傾向にあることがわかった。
したがって、酵母又は乳酸菌を用いた第1次発酵と、第1次発酵とは異なる乳酸菌又は酵母を用いた第2次発酵とを含む方法及び該方法において酵母を用いる発酵で熟成段階を設ける方法は、SGを製造するための方法として非常に優れた方法であることがわかった。
本発明の製造方法によって得られるステリルグルコシド含有飲食品及びステリルグルコシド含有飲食品素材は、風味や香りに優れつつも、ステリルグルコシドを高濃度で含有することから、日常的な摂取が可能であり、かつ、ステリルグルコシドが有する生理機能を求める者の健康と福祉に貢献できるものである。

Claims (4)

  1. 乳酸菌及び酵母からなる群から選ばれる第1の微生物を、飲食品原材料に作用させることにより、第1次発酵産物を得る工程と、
    乳酸菌及び酵母からなる群から選ばれ、かつ、前記第1の微生物とは異なる第2の微生物を、前記第1次発酵産物に作用させることにより、第2次発酵産物を得る工程と
    を含む、ステリルグルコシド含有飲食品又はステリルグルコシド含有飲食品素材の製造方法であって、
    前記乳酸菌は、ラクトバチルス属乳酸菌を含む2種又は3種の乳酸菌であって、該ラクトバチルス属乳酸菌はラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei subsp.paracasei)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei subsp.casei)及びラクトバチルス・ラモナウサス(L.rhamnosus)からなる群から選択され、かつ
    前記酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)及びクリュベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)からなる群から選択される少なくとも1種の酵母である、前記方法
  2. 前記飲食品原材料は、植物性飲食品原材料及び動物性飲食品原材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の飲食品原材料である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第2次発酵産物は、前記飲食品原材料のステリルグルコシド量に対して、2.0倍以上のステリルグルコシドの量を含有する第2次発酵産物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記第1次発酵産物を得る工程は、酵母である第1の微生物を飲食品原材料に作用させ、次いで該酵母に適した条件で熟成することにより、第1次発酵産物を得る工程であり、又は
    前記第2次発酵産物を得る工程は、酵母である第2の微生物を、前記第1次発酵産物に作用させ、次いで該酵母に適した条件で熟成することにより、第2次発酵産物を得る工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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