JP6842619B2 - スランプ及びスランプフロー値の推定方法及び設備 - Google Patents

スランプ及びスランプフロー値の推定方法及び設備 Download PDF

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Description

本発明は、生コンの組成や配合、混錬装置の負荷等の外乱要素を排除し、生コンクリートの実際の流動性だけを測定するようにすることで、信ぴょう性の高いスランプ及びスランプフロー推定値を算出することができる技術に関するものである。
コンクリートは、主に工場において、セメント、細骨材、粗骨材、水及び混和剤を混錬し、出荷され、現場で打設される。以下、本願において、硬化前、特に混錬後の状態のコンクリートを「生コン」と称することとする。
従来、工場では発注オーダーに基づいて生コンを製造して出荷するが、発注通りに生コンが製造されず、現場で必要とするワーカビリティ(作業や扱いの性能)を発揮しないことがあり、工場と打設現場との間で品質が相違することが問題となっていた。
例えば鉄筋が密集し、型枠の配置が複雑で開口が狭いビルなどの建築物を構築するような場合には鉄筋間に生コンが充填されるように流動性の高い生コンが求められ、この逆に、例えば鉄筋間隔が広く、強度や重量が必要であるダムや擁壁など土木構造物を構築するような場合には流動性の低い生コンが求められる。こうしたワーカビリティを知る指標として、生コンの流動性を示すスランプ及びスランプフロー値が用いられる。スランプ及びスランプフロー値の両数値が、大きければ生コンの流動性が高く、小さければ流動性が低いと評価する。
通常、生コンのスランプ及びスランプフロー値は、次のスランプ試験(JIS A 1101)及びスランプフロー試験(JIS A 1150)により行われており、これらの試験によって測定されたスランプ及びスランプフロー値が、発注時の上記希望する生コンの性状や品質を表す共通認識の基準とされている。
スランプ試験は、作業者が、平面地に中空の切頭円錐の上面内径10cm、下面内径20cm、高さ30cmの試験用の入れ物(「スランプコーン」と称される)を配置し、スランプコーンの上面から混錬後の生コンの一部を抜き出して挿入し、スランプコーンの上面から突棒で25回程度突いて攪拌し、スランプコーンを垂直に抜き取った後、生コン頂部の高さの沈降量を測ってこれを「スランプ値」とし、生コン底部の拡径量を測ってこれを「スランプフロー値」としている。
ここで、本発明は、スランプ値、スランプフロー値、をそれぞれ別個に推定しているわけではなく、スランプもスランプフローも両方推定することを説明する。上記ワーカビリティの指標は、事実上、生コンのある程度の流動特性を知ったうえでスランプ試験(JIS A 1101)を行うかスランプフロー試験(JIS A 1150)を行うかを決めている。
上記のスランプ試験とスランプフロー試験は同時に行われる(行うことができる)ものであり、上記のとおり、スランプ試験を行えば、自ずとスランプフロー試験も行っていることとなり、一般的にスランプ試験の結果数値の帯域によって、そのままスランプ値(沈降量)とするか、スランプフロー値(拡径量)とするかを使い分けているに過ぎない。
図11に示すとおり、スランプ値とスランプフロー値の関係は一次関数的直線で示すことができ、ワーカビリティの指標として、粘度の高い(流動性の低い)すなわちスランプ値が〜約21cmの生コンに対しては「スランプ値(〜21cm)」を指標採用し、粘度の低い(流動性の高い)すなわちスランプ値が21cmより大きい生コンに対しては「スランプフロー値(45cm〜)」を指標採用するのが一般的である。
よって、本発明では、基本的にスランプ値を推定するが、スランプ推定値が、〜21cmの場合はこの値をそのまま「スランプの推定値」とし、21cmより大きいの場合は図11のような関係式に照らしてスランプ推定値に対応する「スランプフローの推定値」とするから、スランプとスランプフローを単体別個に推定算出するということはない。
工場では、出荷する生コンが打設後に必要とされる強度が発現されるよう(購入者の要求性能のうちの圧縮強度となるように)製造することは最重要課題であるものの、このコンクリート強度は概ね水セメント比に支配されているので、各材料の計量段階で確認ができる「各骨材の表面水率が適切に管理」されていれば、生コン製造段階でコンクリート強度はかなり精度よく管理できるようになってきた。
つまり、コンクリート中に含まれる水量が適量な範囲で変動している場合、コンクリート強度においてスランプ及びスランプフローとの関連性は低く、工場の製造段階で把握されたコンクリート推定強度を満たしていれば、スランプ及びスランプフロー値(工場においては推定値)は満されているというわけではない。したがって、スランプ及びスランプフロー値を検査するために、上記スランプ試験などが行わなければならないのである。
ところが、スランプ試験は、作業者によって混錬後の生コンを一部抜き出して行われるため、作業者による測定値のばらつきが生じるなどの問題が生じていた。そこで、下記の特許文献1〜4では、上記作業者によるスランプ試験を行うことなく、工場における混錬時にスランプ値やスランプフロー値を推定することが提案されている。
例えば、特許文献1(特開平1−113661号公報)では、ミキサー羽根の回転軸にトルクメーターを取付けて、混錬時の回転トルクを測定し、この測定値と実測スランプ値を関連付けた校正式からスランプ値を推定することが開示されている。
例えば、特許文献2(特開平7−5091号公報)では、混錬ミキサーの駆動モータの負荷値と無負荷状態からの偏差量と、該偏差量の単位時間当たりの変化量との関係から、スランプ値を測定することが開示されている。
例えば、特許文献3(特開2008−8629号公報)では、混錬時間と混錬時間における混錬ミキサーにかかる負荷値から混錬中の生コンのスランプ値を算出するために、混錬時間と負荷値として得られる測定データ間の相互関係の第1関数を決定し、第1関数から導出される測定終了時の算出用混錬時間における算出負荷値を算出し、予め得た生コンの配合率が同じ場合におけるスランプ値と負荷値のデータに基づいて決定した相互関係の第2関数に算出負荷値を代入して最終スランプ値を算出することが開示されている。
例えば、特許文献4(特開2018−4436号公報)では、細骨材の吸水率、微粒分量、粗粒率及び算術平均粗さに基づいて、スランプフロー値を推定することが開示されている。
本願も上記開示内容も、実際にスランプ試験によって得られた測定値ではない点では、推定値という範疇を脱することはないものの、練り混ぜられた生コン自体の品質特性を含み、かつ、スランプ試験に類似する形式で測定が行えるのであれば、信ぴょう性の高い推定値を得られることは言うまでもない。
この観点において、特許文献1〜3は、混錬ミキサーにおける負荷に基づいているので、例えば混錬ミキサの羽根及び軸部のすり減り、並びに混錬する生コンの量の変動により、混錬ミキサーの負荷が変動し、実際の生コンのスランプ及びスランプフロー値との乖離が生じるといった問題がある。
つまり、特許文献1〜3は、混錬する生コンの量が多ければ負荷は高くなるからスランプ値が小さくなり、逆に生コンの量が少なければ負荷は低くなるからスランプ値が大きくなる、といったように、(スランプ試験におけるスランプ値が)同一品質の生コンであっても混錬する生コンの量の多少によって推定スランプ値が変動する。
また、特許文献4は、細骨材の吸水率、微粒分量、粗粒率及び算術平均粗さ、といったように配合材料の割合や性状に基づいているので、例えば細骨材以外の配合材料であるセメントと水、粗骨材の配合量によって実際の生コンのスランプ及びスランプフロー値との乖離が生じるといった問題がある。
つまり、特許文献4は、吸水率、微粉分量、粗粒率、細骨材の算術平均粗さ、を回帰分析した関係式に基づいてスランプフロー値を推定することを特徴とするものの、単位水量/単位結合材料や、コンクリート単位容積当たりの結合量や細骨材量、粗骨材量、がある特定の範囲内の場合という前提条件があったうえでスランプフロー推定値と推定値が近似するのであるから、各種オーダー時にこれら材料が特定の範囲内の条件を満たすとは限らず、実質的には使えないといった問題がある。
以上のことから、特許文献1〜4は、スランプ及びスランプフロー値の推定方法としては混錬後の生コンの粘性意外の「一定条件下」ではスランプ試験の実測値に近似する値を算出することができたとしても、スランプ値やスランプフロー値を推測する関連要因以外の他の要因が存在し、かつ他の要因の影響で推定値が実測値から乖離し、信ぴょう性を欠くという問題がある。
特開平1−113661号公報 特開平7−5091号公報 特開2008−8629号公報 特開2018−4436号公報
本発明が解決しようとする問題は、従来は、生コンの流動性に間接的に影響する要因でスランプ及びスランプフロー値を推定していたので、生コンの流動性に寄与しない他の要因の影響で推定値が実測値から乖離し、信ぴょう性を欠くという点にある。
上記課題を解決するために、本発明は、生コンのスランプ及びスランプフロー値を推定するために、上下面が開口した中空の切頭円錐状で上面が大径、下面が小径となるように配置された測定容器に、混錬後で出荷前の生コンを装入し、該測定容器から排出される生コンの排出時間と排出速度を測定し、前記測定容器の上面から覗く生コンの堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、生コン排出時間内における排出容積の変動量の最大値である最大容積変動量と、を排出時間内で撮像して測定し、前記測定容器から排出される生コンの前記排出時間及び排出速度、堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の前記平均せん断ひずみ、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の前記平均せん断ひずみ、生コンの排出時間内における排出容積の変動量の最大値である前記最大容積変動量に基づいてスランプ及びスランプフローの推測値を算出することとした。
また、上記方法を実施するために、本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定設備は、上下面が開口した中空の切頭円錐状で上面が大径、下面が小径となるように配置された測定容器と、この測定容器の上面開口の斜め上方に配置したTOFカメラ(Time of Flight Camera:距離画像カメラ)と、下面開口に配置した開放ゲートを連動させると共に、該TOFカメラによって撮像して測定した、測定容器から排出される生コンの排出時間及び排出速度、堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみ、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみ、生コンの排出時間内における排出容積の変動量の最大値である最大容積変動量に基づいて、スランプ及びスランプフローの推測値を算出する制御部と、を備えることとした。
本発明では、生コンの粘性等に関する間接的な測定要因に基づいてスランプ及びスランプフロー値を推定する手法ではなく、粘性を含む流動特性と直接関連する要因によってスランプ及びスランプフロー値を推定するので、生コンの流動性に寄与しない要素がスランプ及びスランプフロー値の推定に影響することがほとんどなく、スランプ試験及びスランプフロー試験の実測値と乖離するといった事態が抑制される。
図1は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定方法を実施するための本発明の設備を適用した生コン出荷設備の概略構成を示す図である。 図2は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定設備における測定容器とTOPカメラとの関係を示す図である。 図3は生コンの製造・出荷手順を説明するフローチャートである。 図4は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順を含んだ生コンの製造・出荷手順を説明するフローチャートである。 図5は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順を説明するフローチャートである。 図6は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順において、(a)は生コンの排出時の流速と排出時間の関係を示す図、(b)は生コンの排出時の最大流速とスランプとの関係を示す図、である。 図7は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順において、(a)はスランプ値が10cmの時のせん断ひずみ平均値と排出時間の関係を示す図、(b)はスランプ値が15cmの時のせん断ひずみ平均値と排出時間の関係を示す図、である。 図8は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順において、(a)はスランプ値が21cmの時のせん断ひずみ平均値と排出時間の関係を示す図、(b)は生コンの排出時の最大平均せん断ひずみとスランプとの関係を示す図、である。 図9は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順において、(a)は生コンの容積変動量と排出時間の関係を示す図、(b)は生コンの最大容積変動量とスランプとの関係を示す図、である。 図10は本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順において、各要因とスランプとの関係を示す図である。 図11はスランプ試験におけるスランプ値とスランプフロー値との関係を示す図である。
本発明は、従来は、生コンの流動性に間接的に影響する要因でスランプ及びスランプフロー値を推定していたので、生コンの流動性に寄与しない他の要因の影響で推定値が実測値から乖離し、信ぴょう性を欠くという課題を、上下面が開口した中空の切頭円錐状で上面が大径、下面が小径となるように配置された測定容器に、混錬後で出荷前の生コンを装入し、該測定容器から排出される生コンの排出時間と排出速度を測定し、前記測定容器の上面から覗く生コンの堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、生コン排出時間内における排出容積の最大値である最大容積変動量と、を排出時間内で撮像して測定し、測定容器から排出される生コンの前記排出時間及び排出速度、堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の前記平均せん断ひずみ、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の前記平均せん断ひずみ、生コンクリートの排出時間内における排出容積の変動量の最大値である前記最大容積変動量に基づいてスランプ及びスランプフローの推測値を算出することで改善することができた。
ここで、スランプ試験について考察する。JIS A 1101の規定で用いるスランプコーンに装入される生コンの容積は一定である。また、スランプ値とスランプフロー値は、図11に示すように、グラフで示すと一次関数的な直線を描く、つまり比例し、高い相関関係を示し、流動性が高ければ、スランプ値も大きく、スランプフロー値も大きい傾向がうかがえる。
本発明は、スランプ及びスランプフロー推定値を算出するが、スランプ及びスランプフロー推定値と実際のスランプ試験による実測値との乖離を避けるべく、できるだけスランプ試験等に近い測定環境において、また流動性に寄与しない外部要因をできるだけ排除して流動性のみを観察、測定することを主題とした。
よって、本発明は、上下面が開口した中空の切頭円錐状で上面が大径、下面が小径となるように配置された測定容器と、この測定容器の上面開口の斜め上方に配置したTOFカメラ(Time of Flight Camera:距離画像カメラ)と、該TOFカメラによる撮像・測定値に基づいて、スランプ及びスランプフローの推測値を算出する制御部と、を備えたスランプ及びスランプフロー値の推定設備を用いることとした。
ここで、測定容器は、混錬装置の下流に設けてもよいし、混錬装置から切り出された生コンを受けるウェットバッチホッパーで兼ねても構わないし、ウェットバッチホッパーの下流や別構成で設ける構成としてもよい。なお、この測定容器は、スランプ試験におけるスランプコーンを意味する。
TOFカメラは、測定容器の上方に設けられ、該測定容器内の挿入された生コンの堆積天端面を該測定容器下面の開放ゲートの解放以降、継続して生コンの流動挙動を撮像し、測定するものであり、スランプ試験におけるスランプコーンを外してスランプ及びスランプフロー値を測定する状況を意味する。
スランプ試験ではスランプコーンを外した際の生コンの流動性を、沈降高さと底面の広がりで判断しており、生コンの組成や配合、混錬装置の負荷等は度外視している。本発明においても、スランプ試験のスランプの実測値及びスランプフロー試験のスランプフローの実測値と全く同じ推定値を算出することはできないとしても、生コンの実際の流動性だけを測定するようにすることで、外乱要素が排除され、信ぴょう性の高いスランプ及びスランプフロー推定値を算出することができるのである。
以下、図1〜図10を用いて本発明の具体的実施例について説明する。1は、本発明のスランプ及びスランプフロー推定方法が実施される本発明のスランプ及びスランプフロー推定設備としての生コン出荷設備である。
本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定設備は、後述生コン切出部7から切り出される前までの生コン出荷設備1に組み込まれる場合(ケース1)と、生コン切出部7から切り出された後で生コン出荷設備1とは別建てで設ける場合(ケース2)と、の2パターンある。なお、ケース2の場合、つまり後述測定容器8とTOFカメラ9とが別建てであっても生コンの出荷に至るまでの工程を切り離すことはなく、後述管理部11や制御部12を共にしている。
具体的には、本実施例では、「ケース1」は、1)測定容器8及びTOFカメラ9が混錬装置6と生コン切出部7との間に設けられる、2)測定容器8を生コン切出部7が兼ねてTOFカメラ9が該生コン切出部7の上方に設けられる構成を、「ケース2」は、3)測定容器8及びTOFカメラ9が生コン切出部7のさらに下流(アジテータ車に出荷前)の位置に設けられる構成を、示している。
生コン出荷設備1は、生コンの製造、管理、混練、出荷、を行う設備であり、上記のとおり本発明のスランプ及びスランプフロー推定設備の構成をアジテータ車に出荷する前までに組み込んだ構成である。
2はセメント切出部、3は骨材切出部、4は水供給部、5は混和剤切出部であり、セメント切出部2、骨材切出部3、混和剤切出部5のそれぞれには、各材料の質量を計測するセメント動荷重計測部2A、骨材動荷重計測部3A、表面水率計測部3B、水動荷重計測部4A、混和剤動荷重計測部5Aが各々設けられている。
6は、セメント切出部2、骨材切出部3、水供給部4、混和剤切出部5から、供給された各材料を混練する混練装置であり、この混練装置6には、混練時間を計測する時間計測部6A、混練回数を計測する混練回数計測部6B、が各々設けられている。
7は、混練装置6から供給された生コンを切り出す生コン切出部(ウェットバッチホッパー)であり、この生コン切出部7には、単位水量計測部7A、出荷量計測部7B、が設けられている。
8は、上記混錬装置6の排出口と生コン切出部7の装入開口との間に、上下面が開口した中空の切頭円錐状で上面が大径、下面が小径となるように配置された測定容器である。この測定容器8は、スランプ試験に用いるスランプコーンを逆にした図2に示すような形状とされ、上面は開放され、下面には開閉制御される開放ゲートが設けられている。
9は、この測定容器8の上面開口の斜め上方に配置したTOFカメラ(Time of Flight Camera:距離画像カメラ)である。このTOFカメラ9は測定容器8の上面開口の斜め上方に配置する。このTOFカメラ9は、後述する制御部12に対して撮像(測定データ)信号を出力し、制御部12から測定開始・停止の制御信号により制御される。
なお、TOFカメラ9は、セメント粒子や飛翔するモルタルから保護して継続的な測定を行うために、保護容器に収納されている。この保護容器は、防水性、防塵性及び防湿性を備えるとともに、かつ、半導体レーザーから発する熱を放熱する機能も備えている。
上記のとおり、選択的に、測定容器8及びTOFカメラ9は、ケース1、ケース2で異なる位置に設けられる。ケース1の1)では測定容器8及びTOFカメラ9が混錬装置6と生コン切出部7との間に設けられる、ケース1の2)では測定容器8を生コン切出部7が兼ねてTOFカメラ9が該生コン切出部7の上方に設けられる、ケース2の3)では測定容器8及びTOFカメラ9が生コン切出部7のさらに下流(アジテータ車に出荷前)の位置に設けられる。なお、図1では、ケース1の1)2)を図示し、ケース2の3)は位置のみ示している。
以上が、生コン出荷設備1のうち屋外に設けた設備であり、屋外設備の各計測部による計測信号、各部の稼働指示信号、は屋内設備として設けられた管理部11に入力、管理部11から出力、されるように構成されている。なお、屋内設備と屋外設備の接続関係は後述する。
生コン出荷設備1のうち屋内に設けられた管理部11は、例えば(パーソナル)コンピュータ同等構成のサーバーで構成され、該サーバーに備えたCPU及びメモリが制御部12、ハードディスクがデータ部13、キーボード及びマウスが入力部14、ディスプレイ(やプリンタ)が出力部15、とされている。
生コンのスランプ及びスランプフロー値を推定する方法は、生コン出荷設備1における製造、管理、混錬、出荷可否の判断といった一連の稼働プログラムのうちの一部である。制御部12は、管理部11においてはデータ部12から該プログラム全体が制御部12に読み出され、制御部12が各種入力データとデータ部13から読み出した数式や問い合わせに対するデータにより各種演算を行うと共に、屋外設備の各部を制御する。
制御部12には、各計測部2A,3A,3B,4A,5Aの計測値に基づいて各種の演算を行う演算部12Aと、各セメント切出部2、骨材切出部3、水供給部4、混和剤切出部5へ配合指示を出力する配合指示部12B、を有している。なお、これら演算部12A、配合指示部12Bは、プログラム上で構築された概念的な構成である。
さらに、制御部12には、上記演算部12Aによって演算された各演算値に基づいて生コンの出荷の可否を判定する判定部12Cと、を有している。なお、この判定部12Cもまたプログラム上で構築された概念的な構成である。
ここで、屋外設備と屋内設備との接続構成について説明する。配合指示部12Bは、セメント切出部2、骨材切出部3、水供給部4、混和剤切出部5に対して各々配合量の指示信号を出力する。また、セメント動荷重計測部2A、骨材動荷重計測部3A、表面水率計測部3B、水動荷重計測部4A、混和剤動荷重計測部5Aは演算部12Aに対して各々計測値の信号を出力する。
制御部12は混練装置6に対して混練時間と混練回数の指示信号を出力する。また、時間計測部6A、混練回数計測部6Bは制御部12に対して各々計測値の信号を出力する。
制御部12は生コン切出部7に対して出荷指示信号を出力する。また、単位水量計測部7A、出荷量計測部7Bは演算部12Aに対して各々計測値の信号を出力する。
判定部12Cは、生コン切出部7に対して、上記演算部12Aで演算された各種(後述)の演算値を用いた判定結果に基づいて出荷(切り出し)の可否を出力する。
また、制御部12は、測定容器8(生コン切出部7が兼ねる場合も同様)の下面における開放ゲートの開放を制御している。制御部12は、開放ゲートの開放速度等が後のスランプ及びスランプフローの推定値の算出に影響をおよぼすことのないよう、常に一定ルールに沿って開放するようにしている。
さらに、制御部12は、測定容器8から生コンを排出する際に継続的にTOFカメラ9によって撮像した該測定容器8の生コンの堆積上端面の撮像データに基づいて、排出時間と排出速度を算出し、測定容器8の上面から覗く生コンの堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、生コン排出時間内における排出容積の最大値である最大容積変動量と、を算出し、これらに基づいてスランプ及びスランプフローの推測値を算出する。
以下に、上記構成の生コン出荷設備1の全体制御の手順について図3及び図4を用いて説明する。なお、図3及び図4では生コン出荷設備1の全体制御を説明し、本発明のスランプ及びスランプフローの推測値を算出する手順自体は図5において説明する。また、図4では、本発明のスランプ及びスランプフローの推測値を算出する手順が発生するタイミングを合わせている。
生コン管理部11では生コン出荷設備1全体を制御するプログラムが実行され、屋外側の各部が稼働状況下において、求められたオーダーに基づいて入力部14から各材料の配合量の指示が与えられる。
次に、材料として配合する骨材を採取し、粗粒率の測定を行い(手順1:以下#1と記す)、骨材のうちの粗骨材の実績率を測定する(#2)。その後、表面水率計測部3Bにより骨材の表面水率を測定する(#3)。#3の後にその生コンの製造に関する配合に関する条件を入力部14から入力する(#4)。
#5では、制御部12は材料の受け入れ時の品質データをデータ部13に問い合わせ、さらに推定強度を求める演算式を指定、さらにその際の標準偏差、を入力部14の入力により設定する。また、#5では、上記#4によって計測した骨材の表面水率に基づいて演算部12Aが配合する水の量のうち補正水量を求める。
#5の後、つまり、入力部14により配合するセメント、骨材、水、混和剤、の決定された配合量や条件等が出力部15(ここではディスプレイとして説明する)に出力され(#6)、出力部15において配合量や条件等を出力し(#7)、入力ミス等があれば(#7でNo)、#1に戻り、問題がなければ、各材料の計測部において動荷重計測を開始する(#8)。
#8で動荷重計測の指示が制御部12より出力されると、動荷重を計測するに際し、各計測部2A,3A,4A,5Aの計測精度の確認を行い(#9)、この精度値が制御部12へ出力され、制御部12は計測精度が許容範囲を超える誤差である場合は(#9でNo)、出荷停止とし(#10)、許容誤差範囲内である場合は#11へ進み、各材料の動荷重計測を行う(#11)。
#11における各材料の動荷重計測の後、演算部12Aにおいて、セメントと水の動荷重値を用いてセメント水比(セメント量/水量:水の量に対するセメントの量の割合)を演算すると共に、各材料の動荷重値を用いて混練前の強度を演算し(#12)、この値を一旦データ部13へ記憶する。なお、本発明で言う強度とは、圧縮強度と曲げ強度を総称している。
#12の後、混練装置6に混練を開始し(#13)、以下、図3を参照して説明を続ける。制御部12は、混練装置6からの混練回数と混練時間を制御し、出力部15にその状況を出力して、状況をモニタする(#14)。所定混練回数と時間を経過した後、制御部12は、混練措置6から混練後の生コンを排出する(#15)。
ケース1の1)の場合、測定容器8及びTOFカメラ9が混錬装置6と生コン切出部7との間に設けられているから、#15で排出された生コンは測定容器8へ排出されることとなり、ここで後述する図5のスランプ及びスランプフロー推定手順を経た後、生コン切出部7へ排出され、処理は#16へ進む。
ケース1の2)の場合、測定容器8を生コン切出部7が兼ねて、かつTOFカメラ9が該生コン切出部7を撮像する構成であるから、#15で排出された生コンは生コン切出部7へ排出されることとなる。
ケース1の1)、ケース1の2)の場合、生コン切出部7に排出された生コンの静置中に単位水量を単位水量計測部7Aにより計測する(#16)。#17では、#16において得た単位水量と#11で計測したセメントの動荷重値とに基づいて、単位水量/セメント量を演算し、この値をデータ部13へ記憶する。さらに、演算部12Aは、前記単位水量に基づいて推定強度を演算する(#18)。
そして、上記#12で得た混練前の各種演算値と、混練後の各種演算値を、データ部13から読み出し、判定部12Cにおいて、出荷適否の判定を行う(#19)。この判定部12Cにおける判定では、次の条件について判定する。
#19では、例えば、単位水量の上限値が195kg/m3 以下であるか否か、単位水量/セメント量の割合がセメントの種類により60%未満又は65%未満であるか否か、スランプ及びスランプフローの推定値が所定オーダー通りであるか否か、推定強度値の最小値と最大値の領域のうち、最低値が必要強度を満たしているか否か、また、該最低値の発現確率が95%以上であるか否か、の各々を判断する。
#19の判定において、1つでも満たさない場合(#19でNo)、出荷不適品として廃棄し(#20)、全てを満たす場合(#19でYes)、出荷に適した生コンとして、制御部12からケース1の1)の場合は生コン切出部7から排出指示、つまり出荷指示を出力して処理を終了する。
一方、ケース1の2)の測定容器8を生コン切出部7が兼ねて、かつTOFカメラ9が該生コン切出部7の上方に設けられた構成の場合、生コン切出部7から生コンを排出する際に、後述する図5のスランプ及びスランプフロー推定手順を経た後、スランプ及びスランプフロー推定値がオーダーの許容範囲内であることが確認された後、改めて出荷指示が制御部12から出力され、処理を終了する。なお、ケース1の2)の場合、上記のとおり、#16〜#19の処理は生コン切出部7に排出されて該生コン切出部7に生コンを一定時間静置している間に行われる。
また、ケース2の3)の場合、生コン切出部7の下流側に測定容器8及びTOFカメラ9が設けられる構成であるから、#19で出荷に適しているとして生コン切出部7から排出された生コンは、測定容器8へ排出されることとなり、ここで後述する図5のスランプ及びスランプフロー推定手順を経た後、スランプ及びスランプフロー推定値がオーダーの許容範囲内であることが確認された後、改めて出荷指示が制御部12から出力され、処理を終了する。
これらを経て、制御部12は、アジテータ車に生コンを装入する際に、スランプ及びスランプフロー推定値等を含む諸データの伝票を出力部15(このときはプリンタを意味する)より出力する。この伝票のデータはデータ部13にデータとして蓄積され、伝票は搬送担当者に渡す。以上が生コン出荷設備1における生コンの製造から出荷までの手順である。
次に、本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順について図5を用いて説明する。上記のとおりスランプ及びスランプフロー値の推定手順は、測定容器8及びTOFカメラ9を設ける位置により、図5のフローチャートにおけるスランプ及びスランプフロー値の推定手順の直前処理と直後処理が相違する。この直前処理と直後処理前記最初と最後については図5に示さないが、上記図4のフローチャートとの整合を図って説明する。
本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定手順は、まず、前工程(後述)から排出された生コンを測定容器8で受けた後、制御部12は一定時間静置する(手順1:以下S1と記す)。
ここで、上記「前工程」とは、各々の構成において次の工程を意味する。ケース1の1)の場合、測定容器8及びTOFカメラ9が混錬装置6と生コン切出部7との間に設けられているから、「混錬装置6」を意味する。ケース1の2)の場合、測定容器8を生コン切出部7が兼ねて、かつTOFカメラ9が該生コン切出部7の上方に設けられているから、「混錬装置6」を意味する。ケース2の3)の場合、生コン切出部7の下流側に測定容器8及びTOFカメラ9が設けられる構成であるから、「生コン切出部7」を意味する。
なお、図5において、ケース1の2)の場合は測定容器8を生コン切出部7が兼ねているから、以降、生コン切出部7を測定容器8として説明することとする。
制御部12は、測定容器8内で前工程から排出された生コンを全て受けて一定時間経過後に、測定容器8の下面に設けられた開放ゲートを開放して測定容器8から生コンを排出する(S2)。この開放ゲートは、開放のさせかたがスランプ及びスランプフロー値の推定に影響をおよぼさないように配慮されている。
制御部12は、測定容器8の下面の開放ゲートが開放すると同時あるいは直前からTOFカメラ9を作動させる(S2)。TOFカメラ9は、測定容器8の上方から該測定容器8内の生コン堆積天端面を測定容器8から排出している間、継続的に撮影しており、この撮像データから撮像地点までの距離を測定し、制御部12へ向けて出力する。
制御部12は、TOFカメラ9からのデータに基づいて次の項目を継続的に算出し、これを測定値とする(S3)。
・生コンの排出時の流速
・平均せん断ひずみ
・容積変動量
(生コンの排出時の流速)
制御部12は、排出速度について、測定容器8の内部の所定時間経過後の排出量、つまり堆積天端面からの排出に伴う沈降量に基づいて算出する。
すなわち、t秒後の生コン排出量ΔV(t)は、t−1秒時に計測した生コン容積V(t−1)からt秒時までの生コン容積V(t)を差し引いた下式にて容積として算出できる。
ΔVt=V(t−1)−V(t) (cm3 ) (1)
t−1秒からt秒までの生コン排出時の流速Δvtは、上記(1)式で求めたt−1秒からt秒までの生コン排出量を排出開口部の面積A(cm2 )と測定時間間隔Δtで除算した下式で算出できる。生コン排出時の流速と排出時間の関係を図6(a)に示す。
Δvt=ΔVt/(A×Δt) (cm/S) (2)
(平均せん断ひずみ)
制御部12は、TOFカメラ9による測定容器8内の生コン堆積天端面の撮像データから特定地点における窪み量(沈降量)を平均せん断ひずみ量として算出する。測定容器8内に排出された生コンの天端面は、図2に示すように、測定容器8の形状と生コンの排出時の自重により、中央部が凹状に窪んでしだいに外周部が沈降して該測定容器8内における堆積天端面の高さが低くなるという堆積変状する特性がある。
この特性は生コンの粘性が影響しており、粘性の程度で顕著に現れる。そこで、本発明では、流動性が間接的に影響する要因に基づいてスランプ及びスランプフロー値を推定するのではなく、測定容器8内におけるせん断ひずみ量に着目、つまり、生コンの流動性自体に(つまり直接的に)着目してスランプ及びスランプフロー値を推定することとした。
このせん断ひずみは、混錬後とは言え生コンの粘性が堆積位置により不均質になりがちであることから、平均値を採用することとした。平均せん断ひずみを求めるために、図2に示すとおり、かつ流動する生コンの測定容器8内の堆積天端面の複数点の高さを測定し、平均化することとしている。
引き続き図2を用いて説明を続ける。TOFカメラ9は、測定容器8内の中央部所定径領域(以下、領域Iという)の例えば中心を含む5点、さらに、同心円の中央部所定径から大径領域(以下、領域IIという)の例えば4点について、生コンを測定容器8の下面から排出している際の所定間隔タイミングにおける各々の地点の鉛直高さLi(t)(iは測定位置、i=1〜9)を測定して制御部12へ送る。生コン排出時のせん断ひずみと排出時間の関係を図7〜図8に示す。
各点の鉛直方向の変動量ΔLi(t)は、t−1秒時の上記各測定点の鉛直高さLi(t−1)からt秒後の上記各測定点の鉛直高さLi(t)を差し引いた値として下式によって算出する。
ΔLi(t)=Li(t−1)−Li(t) (cm) (3)
領域Iの各測定点におけるt秒後のせん断ひずみ量Δγi(t)は、測定位置i(2〜5)におけるt秒後の鉛直変位の変動量ΔLi(t)を領域Iの半径(Xcm)で除算した下式によって算出する。
Δγ2(t)={ΔL1(t)−ΔL2(t)}/X (4−1)
Δγ3(t)={ΔL1(t)−ΔL3(t)}/X (4−2)
Δγ4(t)={ΔL1(t)−ΔL4(t)}/X (4−3)
Δγ5(t)={ΔL1(t)−ΔL5(t)}/X (4−4)
領域IIの各測定点におけるt秒後のせん断ひずみ量Δγi(t)は、測定位置i(6〜9)におけるt秒後の鉛直変位の変動量ΔLi(t)を領域IIの半径(X´cm)で除算した下式によって算出する。
Δγ6(t)={ΔL2(t)−ΔL6(t)}/X´ (5−1)
Δγ7(t)={ΔL3(t)−ΔL7(t)}/X´ (5−2)
Δγ8(t)={ΔL4(t)−ΔL8(t)}/X´ (5−3)
Δγ9(t)={ΔL5(t)−ΔL9(t)}/X´ (5−4)
領域I及び領域IIの平均せん断ひずみ量Δνは、円周上で直交する4点で算出されたせん断ひずみ量を平均化する式1によって各々算出する。
Figure 0006842619
(容積変動量)
同じ容量であっても、粘性により排出時間は異なり、粘性が小さい方が大きい方よりも排出時間は短い。排出時間Tは、TOFカメラ9の撮像と距離策定から、測定容器8内の生コン堆積量が最大値を示した時の値から堆積量が0、つまり、容積が0、もしくは、容積変動量が0となった時の時間nまでの累計時間として算出される。生コンの容積変動量と排出時間の関係を図9に示す。
Figure 0006842619
以上のとおり、生コンの流速(図6)、平均せん断ひずみと排出時間(図7〜図8)、容積変動量と(図9)については、各々図6(b)、図8(b)、図9(b)に示すように生コンの粘性(スランプ)に関連した、シンプルな特性を有しており、データ部13ではモデル式として備えている。
つまり、本発明のスランプ及びスランプフロー値の推定方法においては、過去「測定」したスランプ及びスランプフロー推定値に対する、図6(b)に示す生コンの流速と排出時間の関係における流速のピーク(最大流速)と、図8(b)に示す領域I及び領域IIにおける生コンの平均せん断ひずみと排出時間の関係における平均せん断ひずみのピーク(最大平均せん断ひずみ)と、図9(b)に示す生コンの容積変動量と排出時間の関係における生コン変動量のピーク(最大容積変動量)と、の各々の関係を記録したデータベースをデータ部13に備えている。
生コン排出時の流速とスランプ及びスランプフロー値の関係は、図5(a)で示すとおり、排出時間と共に流速も加速し、最大(ピーク)を迎えた後、急激に減速する。この関係は、生コンの粘性によりピーク流速と、ピークに達する排出時間が異なるものの生コンの粘性に応じて図6(b)に示すような(近似直線の)関係式に基づいているから、制御部12は図6(b)の関係式をデータ部13から読み出して照合する(S4)。
生コンの平均せん断ひずみとスランプ及びスランプフロー値の関係は、図7(a)(b)、図8(a)で示すとおり、領域Iと領域IIにおいて、生コンの粘性により最大平均せん断ひずみと最大せん断ひずみに到達する排出時間が異なるものの生コンの粘性に応じて図8(b)に示すような(近似直線の)関係式に基づいているから、制御部12は図8(b)の関係式をデータ部13から読み出して照合する(S4)。
容積変動と排出時間の関係は、図9(a)に示すとおり、最大容積変動量(ピーク)が、同じ容積で粘性が異なる場合にはこのピークに到達する排出時間が異なり、生コンの粘性が小さいほど、図9(b)に示すような(近似直線の)関係式に基づいているから、制御部12は図9(b)の関係式をデータ部13から読み出して照合する(S4)。
制御部12は、上記データ部13から、上記S3で得た、生コンの流速のピークである最大流速値、領域I及び領域IIにおける平均せん断ひずみのピークである最大平均せん断ひずみ値、生コン容積変動量のピーク値である最大容積変動量値に基づいて各々の要因に対するスランプ及びスランプフロー推定値を特定すると共に、図10に示すように、各要因で特定されたスランプ及びスランプフロー推定値が全て収まる範囲の上限値と下限値の中央を算出して、これを測定結果から得たスランプ及びスランプフローの推定値とする(S5)。
この後、制御部12は、上記のとおり、データ部13に、生コンの流速(図6)、平均せん断ひずみと排出時間(図7〜図8)、容積変動量と(図9)のそれぞれに対するスランプ及びスランプフローとの関係について、図6(b)、図8(b)、図9(b)に示すような「測定値」にフィードバックさせ、上記S5の推定値と、生コンを抜き取って行っていたスランプ試験の実測値との検証を行う(S6)。
データ部13には、上記の逆で、例えばスランプ試験で実際に得たスランプ(固定)値及びスランプフロー(固定)値のときの、生コンの流速、平均せん断ひずみと排出時間、容積変動量に関する、図6(b)、図8(b)、図9(b)のそれぞれに示すような「実試験」関係データを有しており、S5で算出したスランプ及びスランプフローの推定値に至る、生コンの流速、平均せん断ひずみと排出時間、容積変動量について、上記「測定値」が各「実試験」の関係式から許容範囲を超えて乖離していないことを検証して、S5の推定値の妥当性を判断する。
例えば、S5の推定値は、各要因で特定されたスランプ及びスランプフロー推定値が全て収まる範囲の上限値と下限値の中央を算出して得ているから、いずれか又は複数の要素が、例えば「実試験」の関係式から著しく乖離していても、S5の推定値は算出されることとなる。こういった不具合を防止するために、各要素毎にスランプ試験にて実際に得たスランプ及びスランプフロー値を固定して予め得ている、生コンの流速、平均せん断ひずみと排出時間、容積変動量の各要素との比較検証を行うのである。
制御部12は、各要素毎での許容範囲を超えた乖離が見られる場合は、その要因を分析し、図6(b)、図8(b)、図9(b)の測定値のフィードバックによる関係式の見直しや校正を図り、そのうえでスランプ及びスランプフローの推定値を得るようにしている。そして、制御部12は、S5の推定値の妥当性の検証がなされたうえで(S6を経た後に)、推定値が図11に示すような(図11はスランプ試験、スランプフロー試験の実測値)測定上におけるスランプ推定値から見たスランプフロー推定値の関係データに照合し、該推定値を、スランプの推定値、又は、スランプフローの推定値のいずれかとして出力する(S7)。
以上が、本発明のスランプ及びスランプフローの推定値の算出手順であり、S7の後、ケース1の1)では、混錬装置6と生コン切出部7との間に測定容器8及びTOFカメラ9が設けられているから、スランプ及びスランプフローの推定の際に測定容器8から排出される生コンは既に生コン切出部7へ排出されていることとなり、処理は#16へ進む。
また、ケース1の2)では、生コン切出部7が測定容器8を兼ねているから、測定容器8からのスランプ及びスランプフローの推定の際の排出はすなわち生コン切出部7からの排出となり、S7の後にスランプ及びスランプフローの推定値がオーダー通りであるか否かの確認の後(不図示)に、アジテータ車に装入されると共に出荷伝票が発行される。
ケース2の3)では、生コン切出部7の下流に測定容器8及びTOFカメラ9を設けているから、スランプ及びスランプフローの推定の際の排出はすなわち測定容器8からの排出となり、S7の後にスランプ及びスランプフローの推定値がオーダー通りであるか否かの確認の後(不図示)に、アジテータ車に装入されると共に出荷伝票が発行される。
以上のとおり、本発明は、従来、混錬後の生コンを抜き取って行っていたスランプ試験及びスランプフロー試験に代えて、様々な関係要因に基づいて算定していたスランプ及びスランプフローの推定値に関し、生コン自体の流動特性を観察すると共に測定し、これに基づいて算定することとしているので、生コンに使用する材料の品質変動、生コンの配合要因、混錬装置の電気的要因といった外乱要因がどうであれ、得られた推定値とスランプ試験及びスランプフロー試験の実測値との乖離はほとんど見られず、信ぴょう性の高い推定値を得ることができる。
1 生コン出荷設備
6 混練装置
7 生コン切出部
8 測定容器
9 TOFカメラ
11 管理部
12 制御部

Claims (2)

  1. 生コンクリートのスランプ及びスランプフロー値を推定するために、上下面が開口した中空の切頭円錐状で上面が大径、下面が小径となるように配置された測定容器に、混錬後で出荷前の生コンクリートを装入し、該測定容器から排出される生コンクリートの排出時間と排出速度を測定し、前記測定容器の上面から覗く生コンクリートの堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみと、生コンクリートの排出時間内における排出容積の変動量の最大値である最大容積変動量と、を排出時間内で撮像して測定し、前記測定容器から排出される生コンクリートの前記排出時間及び排出速度、堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の前記平均せん断ひずみ、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の前記平均せん断ひずみ、生コンクリートの排出時間内における排出容積の変動量の最大値である前記最大容積変動量に基づいてスランプ及びスランプフローの推測値を算出することを特徴とするスランプ及びスランプフロー値の推定方法。
  2. 上下面が開口した中空の切頭円錐状で上面が大径、下面が小径となるように配置された測定容器と、この測定容器の上面開口の斜め上方に配置したTOF(Time of Flight)カメラと、該TOFカメラによって撮像して測定した、前記測定容器から排出される生コンクリートの排出時間及び排出速度、堆積天端面の中央所定径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみ、中央所定径部よりさらに大径部における周縁複数部位の平均せん断ひずみ、生コンクリートの排出時間内における排出容積の変動量の最大値である最大容積変動量に基づいて、スランプ及びスランプフローの推測値を算出する制御部と、を備えたことを特徴とするスランプ及びスランプフロー値の推定設備。
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