JP6840508B2 - タキシングシステムおよびタキシングシステムの健全性確認方法 - Google Patents

タキシングシステムおよびタキシングシステムの健全性確認方法 Download PDF

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Description

この発明は、タキシングシステムおよびタキシングシステムの健全性確認方法に関し、特に、降着装置の車輪をモータにより駆動するタキシングシステムに関する。
従来、降着装置の車輪をモータにより駆動するタキシングシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
タキシングとは、航空機が自身の動力によって地上を走行移動することである。従来では、航空機のプロペラやジェットエンジンなどの推力によりタキシングが行われていた。燃費効率向上および排気ガスの排出低減を可能とするため、主動力源に代えてモータによって降着装置の車輪を直接駆動する方式が検討されている。
上記特許文献1には、降着装置の車輪に電動モータおよび減速機を内蔵した、いわゆるインホイール型の駆動部が開示されている。これにより、タキシングの際にはジェットエンジンなどの主動力源を用いることなく、電動モータによって車輪を駆動できる。
米国特許出願公開第2013/62466号明細書
航空機の車輪(降着装置)は、タキシング時以外の着陸時にも必要となり、着陸時に車輪がロックされるなどの異常が発生すると、タイヤがバーストするおそれがある。上記特許文献1のようにモータによって車輪を駆動する構造を採用する場合、モータと車輪との間に動力伝達経路を構成するギアやシャフトなどが設けられて構造が複雑化するため、タキシングシステムにおける車輪回転や車輪駆動が正常に行われなくなる各種の故障形態が発生する。このため、タキシングシステムの健全性(異常が存在しないこと)を着陸前に事前に把握することが重要である。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、車輪をモータにより駆動する場合のタキシングシステムの健全性を事前に把握することが可能なタキシングシステムおよびタキシングシステムの健全性確認方法を提供することである。
上記目的を達成するために、第1の発明によるタキシングシステムは、航空機のタキシングシステムであって、降着装置に設けられた車輪の駆動指令入力を受け付ける入力部と、車輪を駆動するモータと、モータの回転および車輪の回転の少なくとも一方を検出する回転検出部と、を含む駆動部と、航空機の上位制御器と接続され、駆動指令に従ってモータを制御する制御部とを備え、制御部は、航空機の飛行中でかつ降着装置を展開状態にした際にモータを駆動させ、車輪の駆動中の少なくとも回転検出部の出力に基づいて、車輪の健全性を確認する健全性確認動作を実行可能に構成され、制御部は、健全性確認動作において、地上走行時における車輪の回転速度よりも低い速度で、車輪を空転させた状態で回転検出部の出力を取得する。本発明において、車輪の健全性とは、車輪の回転およびモータによる車輪の回転駆動に関して異常がないことを示す概念であり、車輪が回転すること(固着していないこと)、車輪回転が正常であること、モータにより車輪を駆動できること、モータが車輪の駆動力を正常に発生できること、などを含む広い概念である。
第1の発明によるタキシングシステムでは、上記のように、制御部を、航空機の飛行中でかつ降着装置を展開状態にした際にモータを駆動させ、車輪の駆動中の少なくとも回転検出部の出力に基づいて、車輪の健全性を確認する健全性確認動作を実行可能に構成する。これにより、飛行中の航空機が着陸する際に、事前に健全性確認動作を実行することにより、降着装置を展開させた着陸可能な状態で車輪が正常に回転するか否かなどの車輪の健全性を確認することができる。この結果、航空機の着陸前に事前に健全性確認動作を実施することによって、車輪をモータにより駆動する場合のタキシングシステムの健全性を事前に把握することができる。
上記第1の発明において、好ましくは、制御部は、健全性確認動作において、車輪の駆動中に回転検出部が回転を検出しない場合に、モータと車輪との間の動力伝達経路の固着異常を検知する。ここで、固着異常とは、動力伝達経路の機械的固着によって、モータにより駆動力を発生させても、モータおよび車輪の両方が回転しない状態である。このように構成すれば、モータと車輪との間の動力伝達経路を構成するギアやシャフトなどに機械的な固着が発生する故障形態を、着陸前に事前に把握することができる。これにより、着陸時に車輪がロックされてしまうという事態を予め把握することができる。
上記第1の発明において、好ましくは、モータは、電動モータであり、制御部は、モータの駆動電流値を検出する駆動電流検出部を含み、駆動指令に従ってモータへの電力供給を制御するように構成され、制御部は、健全性確認動作において、車輪の駆動中における駆動電流値を判断基準として、モータから車輪への動力非伝達異常、または、モータと車輪との間における過負荷異常を検知する。ここで、本発明の動力非伝達異常とは、モータの回転駆動力が車輪に伝達されておらず車輪を駆動することができない状態であり、過負荷異常とは、モータの回転に伴い車輪が回転するものの、動力伝達経路上で過負荷(異常な摩擦など)が発生している状態である。このように構成すれば、モータの駆動電流値に基づいて、タキシングのための車輪駆動に関する故障形態(動力非伝達異常、過負荷異常)を事前に把握することが可能となる。これにより、車輪駆動に関する故障を事前に把握できるので、着陸後のタキシングを代替手段によって実行するなどの対策を迅速にとることが可能となる。
上記第1の発明において、好ましくは、駆動部と車輪との間で動力を伝達可能に接続する接続部を含み、接続部は、許容値以上の荷重が入力された場合にモータと車輪との間の接続を解除するトルクリミッタまたはメカニカルフューズを含む。このように構成すれば、万が一、タキシングシステムに固着異常が発生して車輪がロックされた場合でも、着陸時に車輪へ許容値以上の荷重(トルク)が加わった時点で、モータと車輪との間の接続を解除して車輪を回転可能な状態にすることができる。その結果、タキシングシステムの健全性を着陸前に事前に把握できることに加えて、着陸時の車輪ロックを回避することが可能となる。なお、本明細書では、許容値以上の荷重(トルク)が入力された場合に接続を解除する構造のうち、接続構造の破壊を伴うもの(接続状態に復元不能)がメカニカルフューズであり、接続構造の破壊を伴わないもの(接続状態に復元可能)がトルクリミッタであるとする。
第2の発明によるタキシングシステムの健全性確認方法は、航空機のタキシングシステムにおける車輪駆動の健全性を確認する健全性確認方法であって、航空機の飛行中でかつ降着装置を展開状態にした際に車輪を駆動し、地上走行時における車輪の回転速度よりも低い速度で車輪を空転させ、車輪の駆動により車輪を空転させた状態で車輪の駆動状態を検出し、車輪の駆動状態の検出結果に基づいて、車輪の健全性を確認する。
第2の発明によるタキシングシステムの健全性確認方法では、上記構成により、飛行中の航空機が着陸する際に、事前に降着装置を展開状態にして車輪を回転駆動する動作を実行することにより、着陸可能な状態で車輪が正常に回転するか否かなどの車輪の健全性を確認することができる。これにより、車輪をモータにより駆動する場合のタキシングシステムの健全性を事前に把握することができる。
本発明によれば、上記のように、車輪をモータにより駆動する場合のタキシングシステムの健全性を事前に把握することができる。
第1および第2実施形態によるタキシングシステムを示したブロック図である。 航空機および降着装置を説明するための模式図である。 第1実施形態における駆動部および車輪の構造例を示した縦断面図である。 健全性確認動作を説明するための模式図である。 第1実施形態における健全性確認動作の制御処理を説明するためのフロー図である。 健全性確認動作における駆動電流値を説明するための模式的な時間−電流値グラフである。 第2実施形態における駆動部および車輪の構造例を示した縦断面図である。 第2実施形態における健全性確認動作の制御処理を説明するためのフロー図である。 接続部の変形例を説明するための縦断面図である。 第1および第2実施形態の変形例による予備回転動作を説明するための模式図である。 予備回転動作を行わない場合について説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態による航空機のタキシングシステムについて説明する。
本実施形態によるタキシングシステム1は、航空機に搭載され、車輪を駆動してタキシングを行うシステムである。
(タキシングシステムの全体構成)
図1に示すように、タキシングシステム1は、降着装置2(図2参照)に設けられた車輪41の駆動指令入力を受け付ける入力部10と、車輪41を駆動するための駆動部20と、駆動指令に従って駆動部20を制御する制御部30とを備える。
図1の構成例では、入力部10は、タキシングレバー11および着陸前テストスイッチ12を含む。駆動部20は、モータ21、回転センサ22および減速機23を含む。制御部30は、走行制御コントローラ31およびモータ制御ドライバ32を含む。モータ制御ドライバ32は、特許請求の範囲の「駆動電流検出部」の一例である。
タキシングシステム1は、タキシングレバー11を介して受け付けた入力操作に基づいて、駆動部20により降着装置2の車輪41を駆動することによって、航空機100の地上走行を行う機能を有する。図2に示すように、降着装置2は、機体の下部に取り付けられ、航空機100を地上で支持する装置である。航空機100には、降着装置2の脚格納部4が設けられており、降着装置2は、機体の内外に格納および展開可能に構成されている。降着装置2は、主として、車輪41と、車輪41が取り付けられる脚柱42とを備え、航空機100の主脚、前脚、尾脚などとして構成される。タキシングシステム1は、主脚、前脚、尾脚などのうち一部の降着装置2の車輪41を駆動するように構成されてもよいし、全ての降着装置2の車輪41を駆動してもよい。
図1に戻り、タキシングレバー11および着陸前テストスイッチ12は、航空機100の操縦室(図示せず)に設けられ、降着装置2に設けられた車輪41の駆動指令入力(パイロットによる操作入力)を受け付ける。タキシングレバー11は、受け付けた操作入力に応じた走行入力信号(駆動指令)を走行制御コントローラ31に送信する。タキシングレバー11の操作によって、走行時の駆動量(速度)などが制御される。
着陸前テストスイッチ12は、タキシングシステム1の後述する健全性確認動作を行う際、パイロットの操作入力を受け付ける。着陸前テストスイッチ12は、入力を受け付けると、健全性確認動作の開始命令である着陸前テスト信号を走行制御コントローラ31に送信する。
駆動部20は、降着装置2に設けられた車輪41を駆動する。駆動部20は、車輪41の駆動ユニットとして、降着装置2に設けられている。回転センサ22は、特許請求の範囲の「回転検出部」の一例である。駆動部20は、モータ21によって車輪41を回転駆動する。
モータ21は、車輪41を駆動可能であれば電動式、油圧式などであってよく、動力は特に限定されない。第1実施形態では、モータ21は、ロータ(図示せず)およびステータ(図示せず)を備えた電動モータからなる。
減速機23は、モータ21の回転を減速して駆動トルクを増幅し、車輪41側に出力する。減速機23の構造は特に限定されず、平行軸歯車や遊星歯車を備えた歯車減速機構でもよいし、歯車減速機構以外の他の減速機構を備えていてもよい。また、減速機23は、単段式でも、多段式でもよく、所望の減速比を得ることができれば、どのような構造であってもよい。減速機23を設けることなく、モータ21によって車輪41を直接駆動してもよい。
第1実施形態では、回転センサ22は、モータ21の回転を検出する。回転センサ22としては、エンコーダ、レゾルバなどの公知の回転検出手段を用いることができる。回転センサ22は、モータ制御ドライバ32に回転数信号を出力する。
走行制御コントローラ31は、タキシング動作の制御を行う。走行制御コントローラ31は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(field−programmable gate array)などのプロセッサと、揮発性および/または不揮発性のメモリとを備えたコンピュータにより構成されている。走行制御コントローラ31は、走行入力信号(駆動指令)に従って、走行指令信号をモータ制御ドライバ32に送信することにより、駆動部20(モータ21)の制御を行う。
走行制御コントローラ31は、航空機100の機体コントローラ3と通信可能に接続されている。機体コントローラ3は、特許請求の範囲の「上位制御器」の一例である。機体コントローラ3は、航空機全体を制御するための主制御部である。
走行制御コントローラ31は、タキシングシステム1の状態を判定し、ステータス信号を機体コントローラ3に出力する。ステータス信号には、正常(スタンバイ)状態や、各種の異常を示す情報が含まれうる。走行制御コントローラ31は、機体コントローラ3から、タキシングに関する各種情報を取得する。たとえば、走行制御コントローラ31は、降着装置2が展開状態(ギアダウンポジション)にあるか、格納状態にあるかを示す位置情報を取得する。また、走行制御コントローラ31は、WoW(Weight−On−Wheel)信号を取得する。WoW信号は、降着装置2の脚柱42(図2参照)に機体重量が加わっているか否かを示す信号であり、航空機100が飛行中(機体重量が加わっていない:Air)か、地上接地中(機体重量が加わっている:Ground)かを判別する信号である。
モータ制御ドライバ32は、電流制御回路を備え、走行制御コントローラ31の走行指令信号に従って、駆動部20(モータ21)に駆動電流を供給する。また、モータ制御ドライバ32は、モータ21に供給した駆動電流値を検出する。モータ制御ドライバ32は、回転センサ22から取得したモータ21の回転数と、モータ21に供給した駆動電流値とを、走行制御コントローラ31に出力する。
タキシングシステム1の各部(走行制御コントローラ31、モータ制御ドライバ32、モータ21、回転センサ22など)には、図示しない航空機100の補助動力装置(APU)またはバッテリから電力が供給される。
〈駆動部〉
図3に、駆動部20の構成例を示す。図3は、降着装置2の脚柱42と車輪41の回転軸(車軸45)とを通る縦断面の模式図である。図3において、車輪41や駆動部20は左右に一対設けられるが、図3ではそのうち片側(右側)の構造のみを示し、反対側の構造を省略して図示している。
車輪41は、外周部にタイヤ43が設けられ、内周部が軸受44を介して車軸45によって回転可能に支持されている。車軸45は、脚柱42の下端部から水平方向に延びる軸部分である。車輪41は、車軸45の先端に設けられたアクスルナット46およびホイールキャップ47と、車軸45の脚柱42側(根元側)に設けられた筒状のスペーサ48とによって、軸方向位置が保持されている。
脚柱42は、ピストン式の緩衝構造を有する。すなわち、脚柱42は、中空円筒状のシリンダ部42aと、シリンダ部42aの内側に挿入されたピストン部42bとを含む。ピストン部42bの下端部に車軸45が設けられており、シリンダ部42aの上端部が機体に接続されている。着陸時には、ピストン部42bの移動に伴うシリンダ部42a内の容積変化を利用して衝撃が吸収される。
第1実施形態の駆動部20は、車輪41に接続されるように構成されたインホイール型の駆動ユニットである。つまり、駆動部20は、車輪41と一体的に連結されるように同軸で接続された構造を有している。駆動部20は、車軸45に対して、車輪41と同軸で取り付けられている。具体的には、駆動部20は、環状形状を有し、車軸45およびスペーサ48が内周側を貫通するように配置されている。駆動部20は、車軸45の脚柱42側の根元部分に形成されたフランジ部45aに固定されている。詳細構造を省略するが、駆動部20の内部に、回転センサ22、モータ21および減速機23が内蔵されている。車軸45の根元側(フランジ部45a側)から、回転センサ22、モータ21および減速機23の順で配列されており、駆動部20の軸方向端部に出力軸としての接続部24が設けられている。つまり、接続部24は、減速機23の出力側と連結されている。
接続部24は、環状形状を有し、車軸45の周囲で軸回りに回転する。接続部24は、駆動部20と車輪41との間で動力を伝達可能に接続するように構成されている。接続部24と車輪41との接続構造は、任意である。図3では、接続部24が車輪41の内部(内周側)で半径方向外側に向けて拡がっており、車輪41のリム部41aの内周面に設けられた係合部41bと係合している。係合部41bでは、ギア(歯車)の噛み合い、スプラインまたはキー溝、ボルトなどを用いた締結、などの各種方法によって接続部24と車輪41とが接続される。図3では、係合部41bは、接続部24の外周部と対応するスプライン(溝部または歯部)であり、係合部41bと接続部24とが互いに係合している。
接続部24は、許容値以上の荷重が入力された場合にモータ21と車輪41との間の接続を解除するトルクリミッタまたはメカニカルフューズを含むことが好ましい。トルクリミッタまたはメカニカルフューズは、接続(駆動力の伝達)と接続の解除とに、切替機構を持たない。図3では、接続部24にメカニカルフューズ24aを設けた構成例を示している。図3のメカニカルフューズ24aは、環状の接続部24に形成された薄肉部により構成されている。つまり、接続部24の半径方向の厚みが、メカニカルフューズ24aにおいて小さくなっている。メカニカルフューズ24aの肉厚は、接続を解除するための許容値に応じて設定されている。これにより、許容値以上の荷重(トルク)が接続部24に加えられた場合に、メカニカルフューズ24aが破断し、駆動部20(モータ21)と車輪41との間の機械的接続が解除される。
メカニカルフューズ24aは、車輪41と直接接続される部分に設けられている。つまり、メカニカルフューズ24aと車輪41との間に、機械的固着が発生し得る他の減速機構が介在していない。そのため、メカニカルフューズ24aが破断した場合には、車輪41が軸受44を介して車軸45に回転支持されるだけの状態となるため、より確実に、車輪41を回転自在な状態にすることが可能である。
このような構成により、駆動部20のモータ21が電流供給によって駆動されると、減速機23および接続部24を介して車輪41が回転駆動される。モータ21の回転数は、回転センサ22によって検出され、モータ制御ドライバ32に出力される。
〈健全性確認動作〉
第1実施形態では、制御部30(走行制御コントローラ31)は、車輪の健全性を確認する健全性確認動作を実行可能に構成されている。
健全性確認動作は、航空機100の着陸前(飛行中)の準備段階に実施される。健全性確認動作は、図4に示すように、航空機100の飛行中でかつ降着装置2を展開状態にした際にモータ21を駆動させることにより行われる。つまり、健全性確認動作では、空中でモータ21を駆動させ、車輪41を空回りさせる制御が行われる。走行制御コントローラ31は、車輪41の駆動中における車輪41の駆動状態を検出する。走行制御コントローラ31は、駆動状態の検出結果として、車輪41の駆動中の少なくとも回転センサ22の出力に基づいて、車輪41の健全性を確認する。第1実施形態では、走行制御コントローラ31は、駆動状態の検出結果として、さらにモータ21の駆動電流値にも基づいて、車輪41の健全性を確認する。
制御部30(走行制御コントローラ31)は、たとえば、降着装置2の展開完了後の着陸前の所定時間(たとえば、2〜3分間)の間に、健全性確認動作を実行することが可能である。以下、制御部30(走行制御コントローラ31)による健全性確認動作の制御処理について説明する。
図5は、健全性確認動作の制御処理を示す。走行制御コントローラ31は、パイロットによる着陸前テストスイッチ12の入力を受け付けると、図5に示す健全性確認動作の制御処理を開始する。
ステップS1において、走行制御コントローラ31は、以下の条件(A)〜(C)を満たすかに否かを判断する。
(A)降着装置2が展開状態である
(B)タキシングシステム1がスタンバイ状態である
(C)航空機100が飛行中である
条件(A)は、機体コントローラ3からの降着装置2の位置情報により確認される。位置情報がギアダウンポジションである場合、条件(A)を満たす。また、タキシングシステム1の制御系が正常(短絡や断線がない)であり、電力供給が正常である(モータ21への電力供給が可能である)場合に、条件(B)が満たされる。条件(C)は、機体コントローラ3からのWoW信号により確認される。WoW信号がAirである場合に、条件(C)が満たされる。
条件(A)〜(C)のいずれかが満たされない場合、走行制御コントローラ31は待機する。条件(A)〜(C)が全て満たされると、走行制御コントローラ31はステップS2に処理を進める。
ステップS2において、走行制御コントローラ31は、モータ21を所定の一定速度(V1、図4参照)で駆動させるように制御する。
健全性確認動作における定速駆動速度(モータ21の回転数)V1は、通常のタキシング時の駆動速度V2(図示せず)よりも低い速度とすることが好ましい。たとえば、速度V1は、速度V2の1/10〜1/100程度とすることができる。たとえば、速度V1は、100rpm程度とすることができる。健全性確認動作は動作確認であり、実際に航空機100を推進するわけではないためである。これにより、万が一異常(故障)が発生していた場合に駆動速度を上げすぎる(過度にモータ21を駆動する)ことが回避される。一例として、通常のタキシング時の速度V2において、車輪41が350rpm、減速機23の減速比が1:30程度と仮定すると、モータ21の回転数(速度V2)は10500rpmとなるので、速度V1が100rpmの場合、速度V1は速度V2の約1/100となる。
ステップS3において、走行制御コントローラ31は、モータ制御ドライバ32から、回転センサ22の出力を取得する。
ステップS4において、走行制御コントローラ31は、モータ21が回転しているか否かを判断する。すなわち、回転センサ22により検出されたモータ21の出力軸の回転数が0か、0以外(速度V1またはその近傍を含む)かを判断する。モータ21が回転している(回転数が0以外)場合、走行制御コントローラ31は、ステップS5に処理を進める。
ステップS5において、走行制御コントローラ31は、モータ制御ドライバ32から、モータ21の駆動電流値を取得する。ここで、図6は、健全性確認動作における定速駆動を行う際の、時間経過に伴うモータ21の駆動電流値の変化を模式的に示した時間−電流値グラフであり、縦軸が駆動電流値、横軸が時間となっている。
ステップS6において、走行制御コントローラ31は、取得した駆動電流値が、規定範囲E(図6参照)内であるか否かを判断する。規定範囲Eは、図6に示すように、無負荷状態(車輪41が接地していない状態)で、モータ21を速度V1で定速駆動する場合の、正常時の駆動電流値変化(図6の軌跡T1)を基準とする。正常時(健全時)の駆動電流値は、速度V1近傍に到達するまでの加速領域での立ち上がりピークに到達した後、定速回転駆動に遷移してピークよりも低い所定値で定常状態となる。規定範囲Eは、正常時(健全時)の駆動電流値変化(T1)に対して、誤差等の許容マージンを設定した電流値範囲とされる。
駆動電流値が規定範囲E内に収まっている場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を正常(健全)と判定し、判定結果を機体コントローラ3に送信する。駆動電流値が規定範囲E内に収まっていない場合、走行制御コントローラ31は、ステップS7に進み、駆動電流値が規定範囲Eよりも小さいか否かを判定する。
駆動電流値が規定範囲Eよりも小さい場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を動力非伝達異常と判定する。
動力非伝達異常とは、モータ21の回転駆動力が車輪41に伝達できておらず、車輪41の駆動ができていない状態(異常)である。図6の軌跡T2に示すように、所定の速度V1でモータ21が回転しているにも関わらず、駆動電流値が規定範囲Eよりも小さい場合、モータ21にかかる負荷が小さすぎることが分かる。すなわち、動力非伝達異常では、モータ21と車輪41との間の動力伝達経路上のどこかで機械的接続が断たれており、モータ21が空回りするような状態となっていると考えられる。
このように、走行制御コントローラ31は、健全性確認動作において、車輪41の駆動中における駆動電流値を判断基準として、モータ21から車輪41への動力非伝達異常を検知する。この場合、走行制御コントローラ31は、動力非伝達異常の判定結果を機体コントローラ3に送信する。
一方、ステップS7おいて、駆動電流値が規定範囲Eよりも大きい場合(ステップS7でNo)、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を過負荷異常と判定する。
過負荷異常とは、モータ21の回転駆動力が車輪41に伝達するものの、必要な駆動力(トルク)が大きくなり過ぎている状態(異常)である。図6の軌跡T3に示すように、所定の速度V1でモータ21が回転しているにも関わらず、駆動電流値が規定範囲Eよりも大きい場合、モータ21にかかる負荷が大きすぎることが分かる。すなわち、過負荷異常では、モータ21と車輪41との間の動力伝達経路上のどこかで、摩擦の増大やギアの噛み合い不良などが発生して、モータ21の負荷が増大している状態となっていると考えられる。
このように、走行制御コントローラ31は、健全性確認動作において、車輪41の駆動中における駆動電流値を判断基準として、モータ21と車輪41との間における過負荷異常を検知する。この場合、走行制御コントローラ31は、過負荷異常の判定結果を機体コントローラ3に送信する。
また、ステップS4においてモータ21が回転していない(回転数が0である)と判断した場合、走行制御コントローラ31は、ステップS8に処理を進める。
ステップS8において、走行制御コントローラ31は、モータ制御ドライバ32から、モータ21の駆動電流値を取得する。
ステップS9において、走行制御コントローラ31は、取得した駆動電流値が、予め設定された設定値Pに公差を加えた範囲以上であるか否かを判断する。設定値Pは、たとえばモータ21を速度V1で定速駆動する際の、正常範囲での駆動電流値(ピーク値)とされる。駆動電流値が(設定値P+公差)範囲以上である場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を固着異常と判定する。
固着異常とは、駆動指令に従ってモータ21を駆動させても、モータ21および車輪41の両方が回転していない状態(異常)である。図6の軌跡T4に示すように、駆動電流値が設定値P+公差範囲以上まで上がっているにも関わらず、モータ21の回転が検出されない場合、モータ21と車輪41との間の動力伝達経路上のどこかで、たとえば減速機23における異物の噛み込み、摺動部における焼き付きなどによる固着が発生していると考えられる。モータ21を速度制御により駆動する場合、駆動電流を上昇させても回転センサ22の出力が速度V1まで上がらず、軌跡T4に示すように駆動電流値は上昇を続けるため、機械的な固着が発生していることが検知できる。
このように、走行制御コントローラ31は、健全性確認動作において、車輪41の駆動中に回転センサ22が回転を検出しない場合に、モータ21と車輪41との間の動力伝達経路の固着異常を検知する。第1実施形態では、車輪41の駆動中に回転センサ22が回転を検出せず、かつ、駆動電流値が所定範囲以上となる場合に、走行制御コントローラ31は、固着異常を検知したと判定する。この場合、走行制御コントローラ31は、固着異常の判定結果を機体コントローラ3に送信する。
一方、ステップS9において、駆動電流値が(設定値P+公差)範囲未満である場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を電気系統異常と判定する。
電気系統異常とは、モータ駆動指令によりモータ21を駆動させようとしたものの、モータ21の電流値が上がらない状態(異常)である。図6の軌跡T5に示すように、モータ21を駆動する際に駆動電流値が正常に上がらず、かつ、モータ21の回転も検出されない場合、走行制御コントローラ31、モータ制御ドライバ32と駆動部20との間での電気経路上の故障が発生している状態になっていると考えられる。電気系統異常は、たとえば、モータ21内部の電気的故障(断線など)が発生し、モータ21を駆動することができない状態になっている場合や、回転センサ22およびモータ制御ドライバ32の電流検出部における故障により、回転数や駆動電流値を正常にモニタリングできない状態になっている場合などが考えられる。
このように、走行制御コントローラ31は、健全性確認動作において、車輪41の駆動中に回転センサ22が回転を検出せず、かつ、駆動電流値が所定範囲未満となる場合に電気系統異常を検知する。この場合、走行制御コントローラ31は、電気系統異常の判定結果を機体コントローラ3に送信する。
以上のようにして、走行制御コントローラ31は、着陸前に事前に健全性確認動作を実施することが可能である。健全性確認の結果は、機体コントローラ3を介して、操縦室のパイロットに報知される。その結果、タキシングシステム1の車輪41の健全性が着陸前に把握され、異常がある場合には異常の種類に応じた対策を採ることが可能となる。
(第1実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、走行制御コントローラ31を、航空機100の飛行中でかつ降着装置2を展開状態にした際にモータ21を駆動させ、車輪41の駆動中の少なくとも回転センサ22の出力に基づいて、車輪41の健全性を確認する健全性確認動作を実行可能に構成する。これにより、飛行中の航空機100が着陸する際に、事前に健全性確認動作を実行することにより、降着装置2を展開させた着陸可能な状態で車輪41が正常に回転するか否かなどの車輪41の健全性を確認することができる。この結果、車輪41をモータ21により駆動する場合のタキシングシステム1の健全性を事前に把握することができる。
第1実施形態では、上記のように、走行制御コントローラ31を、健全性確認動作において、車輪41の駆動中に回転センサ22が回転を検出しない場合に、モータ21と車輪41との間の動力伝達経路の固着異常を検知するように構成する。これにより、着陸時に車輪41がロックされているかを予め把握することができる。
また、第1実施形態では、さらに、走行制御コントローラ31を、健全性確認動作において、車輪41の駆動中に回転センサ22が回転を検出しない場合の駆動電流値を判断基準として、固着異常と電気系統異常とを判別して検知するように構成する。これにより、車輪41がロックされる固着異常か、電気経路上の故障である電気系統異常かを区別して、予め把握することができる。
第1実施形態では、上記のように、走行制御コントローラ31を、健全性確認動作において、車輪41の駆動中における駆動電流値を判断基準として、モータ21から車輪41への動力非伝達異常、または、モータ21と車輪41との間における過負荷異常を検知するように構成する。これにより、モータ21の駆動電流値に基づいて、タキシングのための車輪駆動に関する故障形態(動力非伝達異常、過負荷異常)を事前に把握することが可能となる。これにより、車輪駆動に関する故障を事前に把握できるので、着陸後のタキシングを代替手段によって実行するなどの対策を迅速にとることが可能となる。
第1実施形態では、上記のように、接続部24に、許容値以上の荷重が入力された場合にモータ21と車輪41との間の接続を解除するメカニカルフューズ24aを設ける。これにより、万が一、タキシングシステム1に固着異常が発生して車輪41がロックされた場合でも、着陸時に車輪41へ許容値以上の荷重(トルク)が加わった時点で、モータ21と車輪41との間の接続を解除して車輪41を回転可能な状態にすることができる。その結果、タキシングシステム1の健全性を着陸前に事前に把握できることに加えて、着陸時の車輪41のロックを回避することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、図7および図8を参照して、本発明の第2実施形態によるタキシングシステムについて説明する。第2実施形態では、モータ21の回転を検出する回転センサ22を設けた例を示した上記第1実施形態とは異なり、車輪41の回転を検出する回転センサ122を設ける例について説明する。なお、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
図7に示すように、第2実施形態によるタキシングシステム201の駆動部20は、車輪41の回転を検出する回転センサ122を備えている。
図7の構成例では、回転センサ122は、車輪41の回転を検出するスピードセンサである。回転センサ122は、車軸45の先端の中空部に収容されている。回転センサ122は、車輪41と一体回転するホイールキャップ47の回転を取り出して車輪41の回転を検出する。回転センサ122は、モータ制御ドライバ32に回転数信号を出力する。走行制御コントローラ31は、車輪41の駆動中の少なくとも回転センサ122の出力(車輪41の回転)に基づいて、車輪41の健全性を確認する健全性確認動作を実行可能に構成されている。
〈健全性確認動作〉
図8を参照して、第2実施形態における走行制御コントローラ31による健全性確認動作の制御処理について説明する。
ステップS1およびS2は、上記第1実施形態と同様である。ステップS2においてモータ21を速度V1で定速駆動する場合、正常(健常)であれば、車輪41は、モータ21の速度V1と、減速機23の減速比とに応じた所定の回転速度で回転する。
ステップS11において、走行制御コントローラ31は、モータ制御ドライバ32から、回転センサ122の出力を取得する。これにより、第2実施形態では、走行制御コントローラ31は、車輪41の回転数を取得する。
ステップS12において、走行制御コントローラ31は、車輪41が回転しているか否かを判断する。車輪41が回転している(回転数が0以外)場合、走行制御コントローラ31は、ステップS13に処理を進める。
ステップS13において、走行制御コントローラ31は、モータ制御ドライバ32から、モータ21の駆動電流値を取得する。
ステップS14において、走行制御コントローラ31は、取得した駆動電流値が、所定の上限値以下であるか否かを判断する。上限値は、たとえば図6に示した規定範囲Eの最大値としてよい。
駆動電流値が上限値以下に収まっている場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を正常(健全)と判定し、判定結果を機体コントローラ3に送信する。
一方、駆動電流値が上限値を超えている場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を過負荷異常と判定する。つまり、車輪41は回転駆動されているものの、駆動電流値が上限値よりも大きいため、モータ21と車輪41との間の動力伝達経路上でモータ21の負荷が増大していること(過負荷異常)が考えられる。走行制御コントローラ31は、過負荷異常の判定結果を機体コントローラ3に送信する。
また、ステップS12において車輪41が回転していない(回転数が0である)と判断した場合、走行制御コントローラ31は、ステップS15に処理を進める。
ステップS15において、走行制御コントローラ31は、モータ制御ドライバ32から、モータ21の駆動電流値を取得する。
ステップS16において、走行制御コントローラ31は、取得した駆動電流値が、所定の下限値未満であるか否かを判断する。下限値は、たとえば図6に示した規定範囲Eの最低値としてよい。
駆動電流値が下限値未満である場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を動力非伝達異常または電気系統異常であると判定する。
すなわち、車輪41が回転しておらず、かつ、駆動電流値が下限値未満である場合、モータ21は回転しているが駆動力が車輪41まで伝達されていない状態(動力非伝達異常)と、モータ21への電力供給ができていない場合または回転数や駆動電流値を正常にモニタリングできない状態(電気系統異常)と、が考えられる。第2実施形態では、走行制御コントローラ31は、動力非伝達異常または電気系統異常の判定結果を機体コントローラ3に送信する。
一方、ステップS16において、駆動電流値が下限値以上である場合、走行制御コントローラ31は、健全性確認結果を固着異常と判定する。
すなわち、モータ21を駆動し、駆動電流値が下限値以上まで上がっているにも関わらず、車輪41の回転が検出されない場合、動力伝達経路上のどこかに機械的な固着が発生していることが考えられる。この場合、走行制御コントローラ31は、固着異常の判定結果を機体コントローラ3に送信する。
以上のように、健全性確認動作は、モータ21の回転を検出せず、車輪41の回転を検出することによっても実行することが可能である。
第2実施形態のその他の構成は上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、走行制御コントローラ31を、車輪41の駆動中の回転センサ122の出力(車輪41の回転)に基づいて、車輪41の健全性を確認する健全性確認動作を実行可能に構成することによって、車輪41をモータ21により駆動する場合のタキシングシステム1の健全性を事前に把握することができる。
第2実施形態のその他の効果は上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、電動モータからなるモータ21を駆動部20に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電動モータ以外の油圧モータからなるモータ21を駆動部20に設けてもよい。車輪41を駆動するための油圧モータは、たとえばEHA(Electro−Hydraulic Actuator)により構成してもよい。
EHAは、アクチュエータとしての油圧モータと、油圧モータを駆動するための電動油圧ユニットをコンポーネント化したものである。電動油圧ユニットは、油圧モータに供給する油圧を発生させる油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動するための電動モータとを含む。EHAでは、航空機100のエンジンを作動させて油圧を取り出す必要がなく、APUやバッテリなどから供給される電力によって油圧モータを駆動することができる。この場合でも、油圧モータからなるモータ21の回転、または車輪41の回転に少なくとも基づいて、健全性確認動作を行うことができる。また、この場合には、油圧モータに供給される駆動圧力(油圧)を検出して、駆動圧力に基づいて動力非伝達異常や過負荷異常を判定してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、インホイール型の駆動ユニットとして構成された駆動部20の構成例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インホイール型以外の駆動部を設けてもよい。たとえば、駆動部は、車輪に連結されたドライブシャフトを駆動するタイプであってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、駆動部20(モータ21)が出力軸である接続部24を介して車輪41に接続された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、モータ21と車輪41との間の動力伝達経路上に、駆動力を伝達する接続状態と、駆動力を伝達しない非接続状態とに切り替え可能なクラッチ機構(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、健全性確認動作において、クラッチ機構が正常に動作するか否かを確認してもよい。たとえば、クラッチ機構のオンオフ状態のそれぞれでモータ21の定速駆動を行い、車輪41が回転および非回転の状態に切り替わるか否かにも基づいて健全性を判断してもよい。
また、上記第1実施形態では、健全性確認動作によって、正常(健全)、固着異常、過負荷異常、動力非伝達異常、電気系統異常の5つの状態を検知し、上記第2実施形態では、正常(健全)、固着異常、過負荷異常、動力非伝達異常または電気系統異常の4つの状態を検知した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、健全性確認動作においてこれらの状態以外の状態を検知してもよいし、検知する状態の種類(数)も、5つまたは4つ以外でよい。たとえば、本発明では、正常(健全)と、異常との2つの状態のみを検知する構成であってもよい。
すなわち、モータ21を定速駆動した状態でモータ21(または車輪41)が回転していれば正常、回転していなければ異常(固着異常)と判定してもよい。なお、この場合、健全性確認動作においてモータ21の駆動電流値を取得する必要はない。したがって、健全性確認動作は、少なくとも回転センサの出力(モータ21または車輪41の回転)に基づいて実行されればよい。
また、上記第1および第2実施形態では、健全性確認動作において、モータ21の駆動電流値の大きさを判断基準として、動力非伝達異常や過負荷異常などの検知判定を行った例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、モータ21の駆動電流値の立ち上がり時間(ピークに到達するまでの時間)など、駆動電流値の大きさ以外の情報に基づいて健全性確認の検知判定を行ってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、回転センサの出力(モータ21または車輪41の回転)と、モータ21の駆動電流値とに基づいて健全性確認を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回転センサの出力およびモータ21の駆動電流値以外の、他のセンサ等の検出結果を用いて健全性確認を行ってもよい。たとえば、想定される故障原因に応じて、故障原因を特定しうる情報を検出可能なセンサを設ければ、健全性確認によって故障原因を精度よく特定可能となる。なお、上記第1実施形態では、回転センサ22によりモータ21の回転を検出し、上記第2実施形態では回転センサ122により車輪41の回転を検出しているが、モータ21および車輪41の両方の回転を検出してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、接続部24にメカニカルフューズ24aを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図9に示す変形例のように、接続部24にトルクリミッタ224を設けてもよい。トルクリミッタ224は、駆動部20側に設けられた摩擦板221と、車輪41側に設けられた摩擦板222とが、スプリングなどの付勢部材223によって互いに接触するように付勢された構造を有する。駆動部20による車輪41の駆動時(タキシング時)には、摩擦板221と摩擦板222との間の摩擦力によって駆動力が伝達される。付勢部材223の付勢力によって設定される許容値以上の荷重(トルク)が入力された場合には、摩擦板221と摩擦板222とが滑り回転することにより、モータ21と車輪41との間の接続が解除される。
また、接続部24にメカニカルフューズ24aを設ける場合でも、薄肉部からなるメカニカルフューズ24aに代えて、許容値以上の荷重(トルク)が入力された場合に破断するシェアピンを用いてもよい。メカニカルフューズ24aやトルクリミッタ224の構造は、モータ21と車輪41との間の接続部24に適した構造を有するものであれば、どのような構造でもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、航空機100の飛行中でかつ降着装置2を展開状態にした際にモータ21を駆動させて健全性確認動作を行う構成について説明したが、本発明では、この健全性確認動作に続いて、着陸時に車輪41を予め回転させる予備回転動作を行うように走行制御コントローラ31を構成してもよい。
すなわち、図10に示す変形例のように、走行制御コントローラ31は、健全性確認動作で正常(健全)と判定した場合に、着陸動作中に、空中で車輪41を予め回転(空転)させる予備回転動作を行う。そして、着陸動作によって、車輪41を回転(空転)させたまま地面Gに接地させる。
ここで、図11のように、車輪41が回転停止している状態で着陸(接地)する場合、車輪41と地面Gとの相対速度(=航空機100の着陸時の速度)が大きいため、相対速度に応じた大きな摩擦力F1が車輪41と地面Gとの間に発生し、車輪41を介して脚柱42に大きな負荷(いわゆるSpin Up荷重)が作用する。また、着陸した時点で、車輪41はタキシング時よりも大きな速度で強制的に回転することになる。
そこで、図10に示したように空中で車輪41を予め進行方向に回転(空転)させる予備回転動作を行うことによって、車輪41が地面Gに接地する際の車輪41と地面Gとの相対速度を小さくすることが可能となる。その結果、車輪41と地面Gとの間に発生する摩擦力F2が摩擦力F1よりも小さくなるので、脚柱42に作用する負荷を低減することができる。また、急激な車輪41の回転によって減速機23やモータ21が急激に回転されることも抑制される。
着陸時の飛行速度はタキシング時よりも十分に高速であるので、予備回転動作を行う場合には、モータ21によりなるべく高速で車輪41を駆動することが好ましい。予備回転動作の回転速度V3は、たとえば、タキシング時の最高速度、またはモータ21により発生可能な速度上限としてよい。また、着陸した瞬間には、予備回転動作の回転速度よりも高い速度で車輪41が強制的に回転されることになるため、予備回転動作(モータ21による駆動)は、車輪41が接地する直前で停止して、慣性による空転状態で車輪41が接地するようにすることが好ましい。
1、201 タキシングシステム
2 降着装置
3 機体コントローラ(上位制御器)
10 入力部
20 駆動部
21 モータ
22 回転センサ(回転検出部)
24 接続部
24a メカニカルフューズ
30 制御部
32 モータ制御ドライバ(駆動電流検出部)
41 車輪
100 航空機
224 トルクリミッタ

Claims (5)

  1. 航空機のタキシングシステムであって、
    降着装置に設けられた車輪の駆動指令入力を受け付ける入力部と、
    前記車輪を駆動するモータと、前記モータの回転および前記車輪の回転の少なくとも一方を検出する回転検出部と、を含む駆動部と、
    前記航空機の上位制御器と接続され、駆動指令に従って前記モータを制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記航空機の飛行中でかつ前記降着装置を展開状態にした際に前記モータを駆動させ、前記車輪の駆動中の少なくとも前記回転検出部の出力に基づいて、前記車輪の健全性を確認する健全性確認動作を実行可能に構成され
    前記制御部は、前記健全性確認動作において、地上走行時における前記車輪の回転速度よりも低い速度で、前記車輪を空転させた状態で前記回転検出部の出力を取得する、タキシングシステム。
  2. 前記制御部は、前記健全性確認動作において、前記車輪の駆動中に前記回転検出部が回転を検出しない場合に、前記モータと前記車輪との間の動力伝達経路の固着異常を検知する、請求項1に記載のタキシングシステム。
  3. 前記モータは、電動モータであり、
    前記制御部は、前記モータの駆動電流値を検出する駆動電流検出部を含み、駆動指令に従って前記モータへの電力供給を制御するように構成され、
    前記制御部は、前記健全性確認動作において、前記車輪の駆動中における前記駆動電流値を判断基準として、前記モータから前記車輪への動力非伝達異常、または、前記モータと前記車輪との間における過負荷異常を検知する、請求項1または2に記載のタキシングシステム。
  4. 前記駆動部と前記車輪との間で動力を伝達可能に接続する接続部を含み、
    前記接続部は、許容値以上の荷重が入力された場合に前記モータと前記車輪との間の接続を解除するトルクリミッタまたはメカニカルフューズを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタキシングシステム。
  5. 航空機のタキシングシステムにおける車輪駆動の健全性を確認する健全性確認方法であって、
    前記航空機の飛行中でかつ降着装置を展開状態にした際に車輪を駆動し、地上走行時における前記車輪の回転速度よりも低い速度で前記車輪を空転させ、
    前記車輪の駆動により前記車輪を空転させた状態で前記車輪の駆動状態を検出し、
    前記車輪の駆動状態の検出結果に基づいて、前記車輪の健全性を確認する、タキシングシステムの健全性確認方法。
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