JP6840312B2 - 酵素固定バイオセンサチップとバイオセンサモジュールおよびこれらを用いたカロリメトリックバイオセンサ - Google Patents

酵素固定バイオセンサチップとバイオセンサモジュールおよびこれらを用いたカロリメトリックバイオセンサ Download PDF

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Description

本発明は、液体試料中の特定試料成分、例えば、基質であるグルコースなどの量に関する情報を得るのに、それに対応する酵素、例えば、グルコースオキシダーゼなどを流路内に固定して利用する酵素固定バイオセンサチップとこれをモジュール化したバイオセンサモジュール、およびこの酵素固定バイオセンサチップを利用して触媒活性化させたときの反応熱による温度上昇変化を計測して、特定試料成分の量を知るようにしたカロリメトリックバイオセンサに関するものである。
本願発明者の一人は、液体試料としての体液等中の特定試料成分、例えば、グルコース(基質)などの量に関する情報を、それに対応する酵素、例えば、グルコースオキシダーゼなどを用いて触媒活性化させたときの反応熱による均一温度内での温度上昇変化として計測して取得し、評価する「酵素利用のカロリメトリックバイオセンサ」を発明した(特許文献1)。そこでは、第1の温度センサの電極もしくはその電極に導通させたある電極上に、酵素を、電着法で固定させる場合を提案している。そのように酵素を第1の温度センサの電極もしくはその電極に導通させてある電極上に、電着法で固定させる場合には、流路が1個の場合は、電極パッド数が少なくて済み簡便であるという利点があるが、複数の流路を同一基板に形成している場合で、同時に多項目の基質を計測しようとした場合には、他の流路にも形成している第1の温度センサの電極のアースなどの共通電極を共通に用いることができず分離する必要があり、酵素の電着による固定法(クリックケミストリ法)の適用時に電気的絶縁分離が困難になる場合があり、改良が求められていた。
特願2015−52807
本発明は、従来の上述の問題点を解消するために改良したもので、生体由来の微少の基質とそれに対応する酵素との接触触媒熱反応(以降、これを熱反応と言う)による温度変化分を高感度で、しかも高精度で計測できるような温度計測手段が得られるようにすること、多くの基質と酵素との組み合わせで、同時に多項目の基質等(基質又は酵素)の特定とそれらの量が計測できるようにすること、MEMS技術により微小な流路内に酵素固定した反応部を形成したこと、何回も使用できるようにすること、密閉構造の流路形成後に、反応部に酵素を電着により容易に固定(クリックケミストリ法による酵素固定)できるようにすること、高速に計測できるようにすること、安価で同質のバイオセンサチップを大量生産できるようにした酵素固定バイオセンサチップを提供すると共に、この酵素固定バイオセンサチップやバイオセンサモジュールを用いたコンパクトで安価なカロリメトリックバイオセンサを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係わる酵素固定バイオセンサチップは、液体試料中の特定の基質成分を、該基質成分に対応する酵素との触媒作用の反応熱により検出するバイオセンサチップであって、基板から熱分離した薄膜に、液体試料が通る流路が形成されていること、前記流路内の反応部もしくはその近傍に前記反応熱を検出する第1の温度センサを形成したこと、酵素固定用の電極が、前記反応部に形成した前記第1の温度センサとは、電気的に独立に形成されていること、前記電極から延在して前記流路外の前記基板上に前記酵素の電着固定のための酵素固定用電極パッドが形成されていること、前記流路内の電極に所定の前記酵素が固定されていること、を特徴とするものである。
本酵素固定バイオセンサチップは、シリコン(Si)単結晶のSOI基板を用いて、そのSOI層を利用して公知のMEMS技術で作成される微小寸法、例えば、長さ1mm、幅0.2mm、厚み0.01mm程度の架橋構造状や、必要に応じて、カンチレバ状の薄膜などで構成した方が、これを用いて酵素固定バイオセンサチップを提供するには、その周辺回路となる集積回路を同一基板に形成できることや、高感度で高精度の第1の温度センサと第2の温度センサを熱電対で構成するときに半導体熱電対が利用できるなど、好都合であることが多い。
本酵素固定バイオセンサチップは、Si以外のプラスチックやガラス基板を使用しても良く、この基板から熱分離した薄膜に、流路、反応部、この反応部に固定された酵素、第1の温度センサ、第2の温度センサなどを形成して構成しても良い。また、例えば、第1の基板上に、流路、流路内の反応部や第1の温度センサ、第2の温度センサなどを形成し、その後、それらの上に層状に重ねて、厚膜を形成して、この厚膜を第2の基板として形成しておき、更に、この第2の基板から熱分離するようにする薄膜に、流路、流路内の反応部や第1の温度センサと第2の温度センサが形成されるようにしても良い。そして、必要に応じて、第1の基板を除去して、第2の基板を残して、この第2の基板を上述の基板として取り扱うようにしても良い。また、更に、薄膜として、流路を形成する層状薄膜を、上述の薄膜として兼用にすることもできる。この場合は、基板から熱分離し、酵素を固定した反応部や第1の温度センサ、第2の温度センサを有する流路が架橋構造やダイアフラム構造などの宙に浮いた状態の酵素固定バイオセンサチップが提供される。
例えば、架橋構造状の薄膜に、第1の温度センサがこの薄膜の反応部、もしくはその近傍に形成されている。この反応部は、この薄膜が一様加熱された時に最も高温になる領域(例えば、中央部付近)に設けた方が有効に反応部での発熱が架橋構造状の薄膜の昇温に寄与できる。反応部には、例えば、グルコースオキシダーゼなどの酵素が固定される。また、流路がこの架橋構造状の薄膜に形成されており、第1の温度センサを通り、基板の手前から空洞を跨いで対向する位置の基板まで延在した流路内を、特定試料成分を含む体液などの液体試料が通る。例えば、特定試料成分が液体試料としての体液である尿中の基質である糖(グルース)であった場合、酵素として、糖(グルース)に対応する酸化酵素であるグルコースオキシダーゼを用いると良い。なお、「近傍」とは、同一の温度と見做せる範囲の領域や位置をいう。
液体試料としての血液や尿、汗、唾液などの体液中にある特定試料成分である基質としてグルコース、尿酸、乳酸、タンパク、脂肪などで、それらの量を検出する場合は、その基質に対応するそれぞれの特定試料成分対応物質としての酵素であるグルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼやトリプシン、リパーゼなどを、架橋構造状の薄膜のほぼ中央に位置する反応部に、それぞれに対応する酵素や補酵素を固定して、流路を通して導入された体液中の基質とそれに対応する酵素との接触触媒熱反応で温度上昇させて、その温度上昇を反応部内又は近傍に形成してある第1の温度センサにより検出して、その時間経過を含む信号の大きさから基質の量を測定することができる。
酵素の固定法として、従来から担体結合法、架橋法、包括法などで固定するための固定材(例えば、多孔性のあるシリカゲルなどのゲル状物質や電着した高分子材料、光架橋性PVAなど高分子材料など)で、親水性はあるが水に不溶な物質に固定しておき、流路を通して導入された体液中の基質とそれに対応する酵素との接触触媒反応で、熱反応して温度上昇させて、その温度上昇を反応部内又は近傍に形成してある第1の温度センサで検出して、その時間経過を含む信号の大きさから基質の量を測定することもできる。しかし、本発明では、流路形成後に、酵素を流路内の反応部に固定する方が望ましいので、金電極などの金属膜に、キトサンなどの物質を電着した後に、表面をアルキル化処理して、その上にアジド化したタンパク質を電着により固定する、所謂、クリックケミストリ法により、タンパク質である酵素を固定する方法を採用するものである。なお、基質とそれに対応する酵素との接触触媒熱反応は、最適な温度があり、体液中の基質と対応酵素との反応は、一般には、体温付近のことが多い。従って、少なくとも反応に寄与する反応部付近は、一様にその反応の最適温度にしておくようにすることが望ましい。
クリックケミストリ法による本酵素固定バイオセンサチップの流路中の反応部に形成してある金(Au)などの金属膜への酵素の電着固定は、例えば、次のようにする。先ず、キトサンを希塩酸に溶かし、水酸化ナトリウムで、pH調節して、pH5.5程度にし、これを、酵素固定を除いて完成した酵素固定バイオセンサチップの流路の液体試料の流入口から流路内に注入してする。酵素固定用の金(Au)などの反応部に形成してある金属膜の電極は、酵素固定バイオセンサチップの流路外の基板上形成した電極パッドと導通しているので、この電極パッドと、流路の流入口側または流路の流出口側に、他方の対向電極を挿入または形成して、キトサンは、正に帯電しているので、酵素固定用電極を負極とし、他方の対向電極は、正極になるように配線して、電圧を3V程度で、30−60μA(マイクロアンペア)程度で、5分間程度で、数μm程度の厚みに電着する。その後、電着されたキトサン膜を流路に空気を流して乾燥させる。
次に、この電着されたキトサン膜表面を酵素電着固定用の前処理として、アルキル化させる。これには、水酸化ナトリウムとイソピルアルコールの混合溶液を流路に注入して、電着されたキトサン膜に触れさせ、臭化プロパルギル液を微量添加して、60℃程度で5時間程度放置することにより達成される。また、タンパク質である酵素をアジド化しておき、これをクリックケミストリ法で、アルキル化されたたキトサン膜表面に電着して、流路内の反応部の電極に酵素を固定する。酵素のアジド化には、種々の方法があるが、例えば、NHS-dPEG(4)-N3を含むNaHCO3の溶液に、酵素を4時間程度浸すことにより達成される。そして、バッファー液中で、8時間程度、低温(4℃程度)で放置して未反応性分を除去する。次に、クリックケミストリ法による酵素固定のために、例えば、硫酸銅、アスコン酸とEDTAをリン酸バッファー液に溶かして、更に、アジド化されたこの酵素のバッファー液に溶かし、流路に注入する。流入口側に対抗電極を挿入または形成しておき、また、参照電極を流出口側に挿入または形成しておき、流路内の反応部の酵素固定用電極と対向電極との間に、500から-300mVの間の250mV/s程度の走査電圧を繰り返し印加して、10分間程度、酵素を電着させて、クリックケミストリによる流路内の反応部の電極への酵素固定が達成される。
上述では、液体試料として、血液や尿、汗、唾液などの体液中にある特定試料成分としての基質とこれに対する酵素との触媒熱反応について述べたが、液体試料として、例えば、果物中の糖などの特定試料成分とそれに対する酵素との触媒熱反応についても同様である。
本発明の酵素固定バイオセンサチップでは、流路内の反応部に形成してある酵素の電着固定用の電極が、第1の温度センサとは、電気的に独立に形成している。そして、この電極から延在して流路外の基板上に酵素の電着固定のための酵素固定用電極パッドを形成している。1個の流路内に形成している第1の温度センサは、例えば、温度差センサである熱電対であるときには、基板から熱分離した薄膜として、Si(シリコン)基板のSOI層を利用すると、このSOI層の熱電対の一方の熱電導材料として利用することができる。 SOI層である半導体は、ゼーベック係数が金属に比べ大であるので、高感度で高精度の熱電対を製作しやすい。他方の熱電対の熱電導材料として、金属膜を用いると容易に形成できるので好適である。半導体のゼーベック係数が金属に比べ一桁程度大であるので、他方の金属膜は、ゼーベック係数の符号にとらわれずに選択して良い。そして、複数の流路を同一の酵素固定バイオセンサチップに形成して、同時に多項目の液体試料中の成分を計測するようにした場合には、それぞれの流路内に形成してある第1の温度センサを共通のSOI層の熱電対の一方の熱電導材料として使用することで電極パッド数が少なくて済むと共に、各流路内の第1の温度センサの出力信号の増幅回路も共通アースとしても利用できるので、低雑音で増幅できることや各流路内の第1の温度センサの選択が容易な電子回路となり好都合である。しかしながら、このように流路内の反応部に形成してある酵素の電着固定用の電極と各流路内の第1の温度センサとを共通のSOI層の熱電対の一方の熱電導材料として使用して電気的に導通すると、クリックケミストリ法による酵素の電着固定用の電極が各流路で共通になっているために、流路ごとに異なる酵素の選択が困難になる。もちろん、SOI層を各流路ごとに溝を形成するなどで、絶縁分離しておき、各流路内の第1の温度センサの出力信号の増幅回路では共通アースとして電気的に導通させるようにし、クリックケミストリ法による酵素固定用として使用する場合は、流路ごと絶縁分離して使用するようにすることができるが、酵素固定バイオセンサチップの製造が複雑であり、切り替えよう回路スイッチが複雑になるという問題があった。
本発明の請求項2に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記基板から熱分離した薄膜上で前記反応部以外の場所に、前記第1の温度センサの他に、第2の温度センサを形成した場合である。
基板の試料流入口付近の温度は、一般に反応の最適温度ではないので、注入された液体試料が流路を通って反応部に到達するまでには、既にその反応の所定の最適環境温度になっていることが望ましい。しかし、最適温度でなくとも周囲温度が極端に最適温度からずれていなければ、周囲温度補正により液体試料中の特定成分を校正することができる。液体試料は、例えば、尿などの場合には、体温に近く、周囲温度からずれている場合が多く、1mK程度の温度変化を計測する本カロリメトリックバイオセンサでは、基板の温度や周囲温度、更には、液体試料の温度に、極めて敏感である。従って、本願発明では、前記薄膜のうち、反応部の近傍にある第1の温度センサと薄膜の基板側支持端との間に第2の温度センサを設けておき、この第2の温度センサの近傍の流路内を通る液体試料も外部のヒータなどにより所定の最適温度になるように配置することもできるし、ヒータがなくとも、少なくとも、本酵素固定バイオセンサチップでは、第1の温度センサと第2の温度センサとの温度差の計測により、基質とそれに対応する酵素との接触触媒反応による熱反応の温度上昇分のみを計測できるようにしている。もちろん、最適環境温度でなくとも、温度センシング部を断熱材で覆い、室温の環境下での熱反応の温度上昇分を計測しても良い。
液体試料としての尿や血液などの体液中には、生体由来物質であるグルコース、タンパク、尿酸、各種酵素などの多くの基質等が含まれている。これらの体液を利用して、できるだけ多くの種類の試料成分の特定やその量などを同時に計測したい。そのために、同一の基板に、複数の薄膜とその上の流路を配列させ、それぞれの薄膜のそれぞれに第1の温度センサや第2の温度センサ、更に流路内に反応部を形成している。第1の温度センサと第2の温度センサとの差動出力を取り出すようにすると、それぞれの薄膜に形成された流路中を通る液体試料の温度の影響を小さくできるので好適である。
本発明の請求項3に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記第1の温度センサと前記第2の温度センサのうちの少なくとも一つは、温度差センサとした場合である。
温度差センサには、熱電対やサーモパイルが知られている。温度差センサの特長は、基準点(例えば、冷接点)と測定点(例えば、温接点)との温度差のみに関係する出力を電圧出力として取り出すことができることであり、しかも、ほぼ温度差に比例した出力電圧になることである。従って、例えば、第1の温度センサとして熱電対を採用し、第2の温度センサの位置を基準点(冷接点)にして、第1の温度センサの位置を測定点(温接点)とすれば、第1の温度センサの出力は、第2の温度センサの位置と第1の温度センサの位置の温度差出力を示す。このように、少なくとも第1の温度センサを温度差センサにすることにより第2の温度センサの位置と第1の温度センサの位置の温度差出力を高精度で容易に取り出すことができる。もちろん、第2の温度センサと第1の温度センサとも熱電対などの温度差センサにしても良い。この場合、第2の温度センサと第1の温度センサとの基準点を共通にすることにより、第2の温度センサと第1の温度センサとの出力差を計測すると、これは、第2の温度センサの位置と第1の温度センサの位置の温度差出力となる。第2の温度センサと第1の温度センサのそれぞれの一方の熱電物質として、共通する架橋構造を構成するSOI層(例えば、n型シリコン層)とすると、単純な構成となり便利である。また、基準点も基板に設けた共通電極とすると良い。
本発明の請求項4に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記反応部に、ヒータを形成してあり、前記反応部を加熱できるようにした場合である。
生物由来物質の基質とそれに対応する酵素とのそれぞれの組み合わせにおいては、それぞれの接触触媒熱反応には、最適な環境温度が有り、多くの場合、人間の体温付近の35℃から40℃程度であり、一般の室温である20℃より高い温度である。このような最適な温度環境下もしくは、熱反応が観測されやすい温度環境下での接触触媒熱反応になるように、外部にヒータを設置して、流路を持つ前記薄膜を所定の均一な温度分布となる温度設定できるようにすると良い。本発明では、反応部の温度を酵素に最適な温度にすることもできると共に、酵素との熱反応における反応熱の校正用にも使用出来るようにした場合である。特に、酵素の活性が時間や環境により低下することが多く、この反応部に形成してあるヒータにより、酵素の活性度のチェックや校正に役立てるようにしている。例えば、所定のワット数である10μW(マイクロワット)をヒータに加えることによる温度上昇分を事前に計測しておき、標準液体試料を流すことによる酵素熱反応による特定の酵素の反応熱の温度上昇分を時々計測すれば、その経時変化により、酵素活性の度合いをチェックできると共に、これを基にして、標準液体試料の成分の量の校正ができる。
本発明の請求項5に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記ヒータは、前記酵素固定用電極パッドを介してジュール熱によるヒータ加熱ができるようにした場合である。
ヒータとして、反応部に例えば、光照射による加熱もできるが、本発明では、反応部に例えば、薄膜抵抗体を形成しておき、これに電流を流して発熱させる方が簡便である。各流路の反応部に形成しているそれぞれのヒータには、電極パッドが2個ずつ必要であるが、このうちの一方を、酵素の電着固定のための酵素固定用電極パッドと共有することで、基板に設ける電極パッド数が節約になり、少なくて済む。
本発明の請求項6に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記流路の液体試料の流入口と流出口以外は密閉構造であり、前記流路の主体が、フォトレジストで形成した場合である。
MEMS技術では、高精度のパターンを光照射により、画一的なパターン形状として容易に形成できるので、フォトレジスト膜が一般に使用されている。幅200μmで深さ30μm程度の中空で、密閉構造のパターン形状の流路も、シート状のフォトレジスト膜を重ねながら形成することで、容易に形成できる。フォトレジストとしては、耐熱性と硬化強度が重要であるので、例えば、SU―8などのフォトレジスト膜が好適である。ただ、形成時に、上下の重ね合わせのシート状フォトレジスト膜では、それらの密着性を良くして変形し難くするには、重ね合わせ時の熱処理の温度と時間設定が重要である。
本発明の請求項7に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記液体試料との接触を大になるように、前記反応部に凹凸を形成して、該凹凸がないときの表面積に比べ、その表面積を大にした反応部表面に、前記酵素固定用の電極を形成した場合である。
反応部に形成されている凹凸は、例えば、上述の流路形成時のフォトレジスト膜やシートによる中空の流路を形成するときに、中空部を形成するためのフォトレジストシートなどに凹凸になるように形成すると良い。例えば、ピラー状凹凸のパターン配列も容易に形成できるので、好適である。流路内反応部の酵素固定用の電極をこのピラー状凹凸の表面にスパッタリング堆積にて、金(Au)などの金属膜を、0.3μm厚程度に堆積させて、パターン化すると良い。また、この電極を電気的に流路外の基板に引き出し、酵素固定用の電極パッドにするが、途中の流路では、液体試料には接触しないように、フォトレジスト膜などで覆い、電気的に絶縁を施しておいた方が良い。その理由は、反応部の酵素固定用の電極に酵素を電着固定する際に、流路途中でも液体試料に露出していると、その露出箇所にも酵素が電着されることになるからである。
本発明の請求項8に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記流路を有する前記薄膜は、架橋構造とした場合である。
薄膜として架橋構造状の構造を採用すると、薄膜の安定な保持が達成されると言う利点があると共に、後述するように、カロリメトリックバイオセンサのセンサチップを何回も使用するには、流路内を洗浄する必要がある。この場合、流路を通して、例えば、尿や血液などの液体試料を流し、熱反応後、センサチップ外に液体試料や洗浄液などを排出させる必要があるので、架橋構造状の構造が好適である。もちろん、薄膜としてカンチレバ状にすると架橋構造状の構造に比して、小型の薄膜で済むが、センサチップを何回も使用するには、液体試料や洗浄液などを、基板からの熱分離して有る薄膜上で液体試料の蒸発を防ぎながら排出させるには、カンチレバ上の流路をカンチレバの基板支持部に戻す必要があり、構造が複雑になると言う問題もある。
本発明の請求項9に係わる酵素固定バイオセンサチップは、同一の前記基板に形成している前記流路を複数並列に配列させて、1つの流入口から流入した前記液体試料が、前記各流路に分流させるようにしてあり、分流後には、合流して一つの流出口から排出されるようにした場合である。
同一の基板に、複数の流路を形成しておき、それぞれの反応部に異なる酵素を固定しておくことにより、流路の流入口から注入した液体試料の各成分を同時に計測できることが望ましい。本発明では、流路の1個の流入口から注入した液体試料を分流させて、更に、合流させるようにして、1個の流出口から排出させるようにしたもので、液体試料や洗浄液の流路への注入、排出などの流路系が簡便になる。
本発明の請求項10に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記複数の流路の各反応部に固定してある酵素は、それぞれ異なる酵素とした場合である。
上述したように、特定試料成分として、尿や血液などの体液中の基質の量と種類の特定では、特定試料成分である基質に対応する酵素を複数のそれぞれの薄膜上の流路内反応部に固定することにより、流入口から注入された液体試料の体液が分配されて、複数の薄膜に形成されているそれぞれの流路中を通って、それぞれの反応部で特定の酵素との触媒熱反応により発熱して、それらの第1の温度センサと第2の温度センサとの差動出力を取り出すことで、特定の酵素と基質の組合せをほぼ同時に決定できる。例えば、1個の流入口から注入した液体試料が、各薄膜に形成して有る各流路に分流して、それぞれの反応部でそれぞれの特定試料成分の基質に対応するそれぞれの酵素と熱反応して、それぞれの第1の温度センサや第2の温度センサでの温度上昇分の計測によりそれぞれの異なる特定試料成分の量に対する情報を得るようにした場合である。本発明により、液体試料中の種々の基質を同時に計測できるという利点がある。もちろん、逆に、特定試料成分対応物質として基質を反応部に固定しておき、特定試料成分として酵素を検出することもできる。
本発明の請求項11に係わる酵素固定バイオセンサチップは、前記基板の上に、少なくとも1枚のカバーを張り合わせてあり、該カバーを介して、前記基板の流入口と流出口とに液体試料が流入出できるようにした場合である。
本発明の酵素固定バイオセンサチップは、基板から熱分離した極めて熱容量の小さい薄膜に、微細な流路を形成した分解能1mK程度の温度計測システムであり、高精度な特定試料成分の量の検出には、酵素と基質の熱反応以外の外界からの熱の授受や対流などの影響が無いようにすることが最も重要である。熱対流や外気温の変化が影響しない構造にする必要が有り、室温の変動や外部空気等の流れなどの影響を防ぐために、少なくともカバーを1枚、基板に張り合わせて取付けて、断熱効果を高めると共に、液体試料の酵素固定バイオセンサチップの流入口と流出口とに液体試料が流入出できるようにした場合である。もちろん、カバーのうち、基板から熱分離している箇所である宙に浮いている架橋構造の流路領域は、空洞などの凹部を有するようにしておく必要がある。これにより反応部の温度がカバーからも熱分離ができるようになる。基板の裏側にもカバーを取り付けることで、断熱効果が増す。酵素固定バイオセンサチップのカロリメトリックバイオセンサへの取付の仕方により、基板の裏側がカバーの代わりに板に固定できるようにして、基板の裏側の空洞部を覆うようにすることも良い。
本発明の請求項12に係わるバイオセンサモジュールは、液体試料や洗浄液の注入口と排出口を有し、該注入口と排出口の間に、前記請求項1から11のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップを搭載してあること、前記液体試料や洗浄液が該酵素固定バイオセンサチップの流入口と流出口を経て、外部に排出させるように、注入口と排出口および酵素固定バイオセンサとを一体化してあること、更に、前記酵素固定バイオセンサチップへの電気的接続用のコネクタを備えてあること、を特徴とするものである。
本発明の酵素固定バイオセンサチップを搭載したハンディなカロリメトリックバイオセンサとして使用した場合に、酵素の失活などで酵素固定バイオセンサチップを交換する必要が出てくる。酵素固定バイオセンサチップは、極めて微細なパターン形状からなり、破壊されやすい構造である。そのような場合には、酵素固定バイオセンサチップ単体で取り扱うのではなく、酵素固定バイオセンサチップには、直接触れないで酵素固定バイオセンサチップを交換することが望ましい。本発明は、カロリメトリックバイオセンサを使用する一般の人が、容易に酵素固定バイオセンサチップを交換することができるように、液体試料や洗浄液の注入口と排出口を有し、かつ、酵素固定バイオセンサチップへの電気的接続用のコネクタを備えてあるバイオセンサモジュールとして、モジュール化するもので、このバイオセンサモジュール単位で、カロリメトリックバイオセンサに、カセットのように装着することで酵素固定バイオセンサチップが交換できるようにしたものである。
本発明の請求項13に係わるカロリメトリックバイオセンサは、請求項1から11のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップもしくは、請求項12に記載のバイオセンサモジュールを搭載し、液体試料中の特定の基質成分の量を、該基質成分に対応する酵素との触媒作用の反応熱に基づく温度変化を、前記酵素固定バイオセンサチップに形成している前記第1の温度センサと第2の温度センサを用いて計測して、所定の校正データを基にして知るようにしたことを特徴とするものである。
基板の試料流入口付近の温度は、一般に反応の最適温度ではないので、注入された液体試料が流路を通って反応部に到達するまでには、既にその反応の所定の最適環境温度になっていることが望ましい。従って、本願発明では、前記薄膜のうち、反応部の近傍にある第1の温度センサと薄膜の基板側支持端との間に第2の温度センサを設けておき、第1の温度センサと第2の温度センサを用いるが、これらの温度差の計測により、基質とそれに対応する酵素との接触触媒反応による熱反応の温度上昇分のみを計測できるようにした方が良い。この熱反応の温度上昇と事前に準備している所定の校正データを基にして、液体試料中の特定の基質成分の量を知るようにしたもので、マイコンを搭載するなどして、その値を液晶表示するようにすることもできる。
本発明の請求項14に係わるカロリメトリックバイオセンサは、請求項4もしくは5に記載のヒータの前記反応部のジュール加熱による温度上昇を前記第1の温度センサと前記第2の温度センサを用いて計測して、液体試料中の特定の基質成分の量の校正に利用するようにした場合である。
流路内の反応部に設けているヒータを、例えば、10μWや100μWでジュール加熱して、その時の反応部の温度上昇分を第1の温度センサと第2の温度センサとの温度差計測などで計測して、標準校正用の液体試料を流路内の反応部の固定している酵素との熱反応に基づく温度上昇分とを比較し、酵素の劣化等をチェックすることができる。例えば、定期的に計測して、固定されている酵素の失活度のチェックや失活している時には、マイコンを用いた電子回路と校正データにより液体試料中の特定の基質成分の量の校正した表示などに利用することができる。
本発明の請求項15に係わるカロリメトリックバイオセンサは、少なくとも電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路を備え、前記液体試料中の特定の基質成分の量に関する情報を得ることができるようにした場合である。
カロリメトリックバイオセンサのセンサチップは、Si単結晶であるSOI基板を用いて製作すると、MEMS技術が適用されやすく好適である。そして、このSOI基板から成るセンサチップに集積回路技術で電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路も集積化できるし、これらを別の半導体基板等に集積化して、モジュール化することもできる。このようにすることにより、極めてコンパクトな、例えば、ハンディタイプのカロリメトリックバイオセンサを提供することができる。
本発明の請求項16に係わるカロリメトリックバイオセンサは、液体試料の駆動手段と弁による液体試料の流れの制御ができるようにした場合である。
液体試料や洗浄液を、吸引や吐出させる駆動手段としての電気的な駆動によるダイアフラム型ポンプを利用して、流路に液体試料などを流入口から導入して、反応部で酵素との接触熱反応を生じさせ、流出口から排出させるようにしても良いし、また、駆動手段として手動ポンプで駆動するようにしても良い。また、液体試料や洗浄液の流れの開始や停止などの流れの制御を、弁を介しで高速に行わせるようにすると良い。弁として、電磁弁や手動による弁があるが、電磁弁などは、電力を最小限にするために、開閉動作時だけ電力を消費するようにする方が良い。
電源回路は、駆動手段、弁やヒータ等の駆動、マイコンや増幅器などの電子回路への電源の供給に関わる回路であり、増幅回路は、第1の温度センサと第2の温度センサやこれらの差動信号の出力などを増幅する回路である。上述で第1の温度センサと第2の温度センサの出力という表現をしているが、一般には、第1の温度センサと第2の温度センサの生の出力は小さいので、初段増幅後以降の出力を指すが、もちろん、第1の温度センサと第2の温度センサの生の出力信号を指すこともある。演算回路は、第1の温度センサと第2の温度センサからの出力やこれらに基づく差引や積分、また、これらの出力信号などを利用し、更にメモリ回路との組み合わせにより特定試料成分の量への換算などを演算処理するような回路である。また、制御回路は、ヒータの温度制御や液体試料の流速や流れの開始・停止等の電磁バルブのタイミング等の制御、更には、信号の積分時間の設定などやフィードバック制御などを行う回路である。
本発明のカロリメトリックバイオセンサを、例えば、血糖計や尿糖センサなどに用いた場合、ある個人の血糖や尿糖などのカロリメトリックバイオセンサからの特定試料成分の量に関する情報は、その時ばかりでなく、日常での日ごとの変化やその傾向を知ることが大事である。その計測時の数値ばかりでなく、過去のデータを蓄積しておき、経日変化をグラフ化したり、予測したりすることも大切であり、また、医療機関への連絡なども必要な場合もあり、情報を無線もしくは有線にて、外部にあるコンピュータに送信できるようにして、各種の処理ができるようにした方が好都合である。
本発明の酵素固定バイオセンサチップでは、酵素の電着固定用の電極が反応部に形成した第1の温度センサとは、電気的に独立に形成されて、この電極から延在して流路外の同一の基板上に酵素の電着固定のための酵素固定用電極パッドが形成されており、他の流路の反応部にある電極とは、電気的に分離されているので、流路内の所定の反応部の電極に所望の酵素を独立に電着固定することが容易であるという利点がある。
本発明の酵素固定バイオセンサチップでは、第1の温度センサと第2の温度センサとの少なくとも一方が熱電対などの温度差センサであり、特にこれら2つの温度センサを、温度差センサとして選択することにより、第1の温度センサと第2の温度センサの差動出力は、反応部での特定試料成分としての基質とその対応酵素との熱反応に基づく温度上昇分のみの高精度計測が可能になり、誤差が少なく、好適である。
本発明の酵素固定バイオセンサチップでは、流路の主体が、フォトレジストで形成しているので、安価で高精度な酵素固定バイオセンサチップとカロリメトリックバイオセンサが提供できるという利点がある。
本発明の酵素固定バイオセンサチップでは、反応部に、ヒータを形成してあり、反応部を加熱できるようにしているので、このヒータを所定のジュール熱の電力量で駆動して、酵素の失活の度合いをチェックして、校正用に使用することができるので、高寿命の精度の高いカロリメトリックバイオセンサが提供できるという利点がある。
本発明の酵素固定バイオセンサチップでは、密閉構造の流路を形成した後に、この流路内にある反応部に、酵素をクリックケミストリ法で選択的に形成できる。従って、同一基板に形成した複数の薄膜と流路に、それぞれ異なる酵素の固定ができるので、例えば、液体試料の尿中の多項目の特定試料成分を同時計測ができるという利点がある。
本発明のバイオセンサモジュールでは、バイオセンサモジュール単位で、カロリメトリックバイオセンサに、カセットのように装着することで、酵素固定バイオセンサチップに直接手を触れずに、容易に交換できるという利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサでは、流路、第1の温度センサと第2の温度センサと、更に反応部とを備えた薄膜を同一基板に複数形成し、所定の基質とそれに対応する酵素との組み合わせで計測できるように、それぞれに配置させることにより、同時に微量の体液などに含有する特定試料成分の複数の種類の特定とその量をほぼ同時に計測することができると言う利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサでは、流路を密閉構造にしているので、液体試料の蒸発を防ぐと共に、断熱材で囲む構造にするので、微細な温度変化を安定して計測することができる。
本発明のカロリメトリックバイオセンサでは、流路を洗浄液で洗浄できる構造にしており、計測は基質と酵素との熱反応に基づくが、その酵素は触媒として作用するので、消費するものではなく、本質的に基質の洗浄等を利用すれば、何回でも使用できると言う利点がある。
本発明のカロリメトリックバイオセンサでは、MEMS技術によりセンサチップやヒータが形成でき、更に電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路も集積化しやすく、モジュール化することによりコンパクトな携帯用のカロリメトリックバイオセンサとしても提供できると言う利点がある。
本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の薄膜10が架橋構造12である一実施例の平面概略図を示す。(実施例1) 図1のX―X線に沿った断面概略図である。(実施例1) 図1のY1―Y1線に沿った断面概略図である。(実施例1) 本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の他の一実施例で、複数の薄膜10の架橋構造12を有する場合の平面概略図を示す。(実施例2) 図4のX―X線に沿った断面概略図である。(実施例2) 本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の他の一実施例で、薄膜10を、フォトレジストを用いた架橋構造12の流路の一部と兼用にした場合の断面概略図を示す。(実施例3) 本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の他の一実施例で、カバー150を張り合わせた場合の断面概略図を示す。(実施例4) 本発明のバイオセンサモジュールの一実施例の断面概略図を示す。(実施例5) 本発明のカロリメトリックバイオセンサの一実施例の概略図を示す。(実施例6) 本発明のカロリメトリックバイオセンサを駆動する場合の構成概略図を示す一実施例のブロック図である。(実施例7)
以下、本発明の酵素固定バイオセンサチップは、MEMS技術を用いて、シリコン(Si)基板で形成できる。このシリコン(Si)基板、特にSOI基板を用いて製作した場合のいくつかの実施例を主体に説明し、また、本発明の酵素固定バイオセンサチップをモジュール化したバイオセンサモジュールの一実施例、更に、本発明の酵素固定バイオセンサチップを用いた本発明のカロリメトリックバイオセンサの実施の形態を、図面を用いて説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の一実施例の平面概略図を示し、基板1から熱分離した薄膜10を架橋構造12の形状にした場合で、この薄膜10には、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bおよび反応部6とが配置され、第1の温度センサ20Aは、反応部6の位置もしくは近傍に配置している。また、基板1、第1の温度センサ20Aの近傍と反応部6とに連通する流路17が形成されて、尿などの液体試料中のグルコースなどの特定試料成分を含有する液体試料が通る。液体試料は、流入口16から注入され、親水性の壁を持つ流路17内の流路中空部17aを、例えば、毛細管現象やポンプによる強制的な駆動手段により移動し、反応部6に固定されているグルコースなどの基質に特異的に対応するグルコースオキシダーゼの酵素4と特定試料成分(ここでは、グルコース)との接触触媒熱反応(熱反応)により、反応部6を昇温させる。この昇温時の温度上昇分を、第1の温度センサ20Aで計測するが、基準温度として第2の温度センサ20Bの位置での温度を利用し、差動出力として読み出すようにした場合である。また、反応部6での熱反応後の使用済み液体試料は、流路中空部17aを通して流出口18に進み、外部に排出されるようにしている。図2は、図1におけるそのX―X線に沿った断面概略図である。
ここで、反応部6に固定する酵素4の固定法の一例を示す。例えば、液体試料としての体液である尿や血液や汗などの中に含まれる基質である糖(グルコース)の量を検出するために、それに(特異的に)対応する酵素4であるの酸化酵素のグルコースオキシダーゼを反応部6に固定させる。例えば、固定材としてのキトサンの低濃度水溶液を用いて、架橋構造12状の薄膜10の中央付近に形成した流路17内の反応部6に設けてある酵素固定用の電極72にキトサン膜を電着により選択的に固定させ、更にその表面を化学処理によりアルキル化させる。そして事前にアジド化させてある酵素4を、クリックケミストリ法で、電圧を印加した特定の酵素固定用の電極72上のアルキル化させたキトサン上に電着することができる。
例えば、キトサンのような電解質の高分子に酵素4を電極上に電着させて固定するようにすると、基板1から熱分離した薄膜10に形成してある流入口16と流出口18を除いて、液体試料が蒸発しないように密閉構造にした流路17を形成した後にも酵素4を所望の電極(酵素固定用の電極72)上に固定できるという利点がある。キトサンは、一般に疎水性であり、キトサン塩にして水溶液にして、pH調節も行うと親水性になり、熱反応が生じやすい。例えば、キトサンの1w%を希塩酸に溶かし、これを水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH調整を行い、例えば、pH5.5程度にすると良い。これを反応部6の位置に設けた第1の温度センサ20Aの温接点電極22の上の反応部6内の酵素固定用の電極72(本発明では、第1の温度センサ20Aの温接点電極22とは、電気的に絶縁している)上に電着する。酵素4としての酵素のグルコースオキシダーゼを含むキトサン膜を、流入口16内に形成してある電着用の対向電極73(プラス極)と、酵素固定用の電極72(マイナス極)との間で、電圧を印加して、電流の制御(30−60μA)で電着を行い、厚みを数ミクロンメートル(μm)程度に堆積させる。また、熱反応の接触面積を大きくするために、反応部6内に微細な突起などの構造物である凹凸80を形成しておき、この表面に金(Au)などの酵素固定用の電極72を形成して接触触媒熱反応を促進させるようにしている例である。
本発明では、酵素固定用の電極72が、反応部6の下部に形成した第1の温度センサとは、電気的に独立に形成されており、酵素固定用の電極72から延在して流路17外の基板1上に酵素4の電着固定のための酵素固定用電極パッド72Aが形成されている。この酵素固定用電極パッド72Aと 対向電極パッド73Aとの間に、参照電極74を基準にして(参照電極パッド74Aが外部端子である)、負の電位から正の電位に変化する交流電圧を印加して、酵素固定用の電極72上に、酵素4を電着させる。流路17の流入口16と流出口18のそれぞれに、参照電極74と対向電極73とを形成しておくことにより、クリックケミストリ法によるキトサンの電着や酵素4の電着が達成されるので、酵素固定バイオセンサチップ100がこれらの電着以外はすべて完成した状態で電着できるという利点がある。そして、この方法は、並列に形成した多数の流路17にも独立に適用できるので、極めて便利な方法である。
本発明では、反応部6の下部に、ヒータ25を形成してあり、ここに例えば、10μWや100μW程度の所定の電力消費させることで、反応部6を酵素反応以外に所望の温度上昇させることができる。このことから、例えば、酵素4が失活などの劣化し始めた場合や他の流路の酵素4と対応する基質との熱反応との比較や経時変化などをチェックすることができる。例えば、多少の酵素4の劣化による熱反応の出力が低下した場合は、予め用意してある校正用データにより、基質の濃度表示を補正することもできる。もちろん、このヒータ25を周囲環境温度が低い場合など、加熱して温度制御して、最適温度付近で計測するようにしても良い。
この酵素固定バイオセンサチップ100は、公知のMEMS製作技術により形成することができる。ここでは、SOI基板のSOI層11を用いて、架橋構造12状の薄膜10が形成されており、ここでは、2個の第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bを温度差センサである薄膜熱電対として実現した場合である。これらの薄膜熱電対は、SOI層11(例えば、n型シリコン単結晶膜で、厚み10μm程度)を第1の熱電導体120aとし、その上にSOI層11を熱酸化して形成したシリコン酸化膜である絶縁膜50を介して第2の熱電導体120b(例えば、ニッケル薄膜、アルミニウム薄膜やニクロム薄膜)を形成して、測定点(温接点)26としてのオーム性コンタクト60を作成して形成される。そして、基板1には、これらの薄膜の熱電対の共通の基準点(冷接点)27を形成している。架橋構造12状の薄膜10の長さは、800μm程度で良い。また、ここでは、基板1の温度を計測するために、基板1にpn接合ダイオード(半導体ダイオード)を形成してあり、基板1の絶対温度を計測するための絶対温度センサ23として利用している。なお、半導体ダイオードを絶対温度センサ23として使用する方法は、150℃以下の比較的低温である室温の計測では、半導体ダイオードに、一定の順電圧を印加し、その時のダイオード電流の温度依存性から求める方法、一定の電流を流し、その時のダイオード順電圧の温度依存性から求める方法がある。もちろん、絶対温度センサ23として、測温抵抗体を利用しても良い。
流路17は、例えば、液体試料としての体液の尿を用いた場合、ここでの特定試料成分としての尿中のグルコース量を計測する場合、基板1に設けた流入口16から注入した微量の尿を薄膜10の上を通過して反応部6に導かせ、ほとんどが水分である体液である尿を、毛細管現象や駆動手段で反応部6まで力強く導くためには、少なくとも体液である尿に接触する壁面は親水性の材料で形成する方が良い。そのためには、強度を保つために厚膜が形成できる感光性レジストで形成することが好適である。また、毛細管現象に依らずに、駆動手段610としてのポンプだけを使用して、圧力をかけて強制的に液体試料を吸引排出させるなどすると、安定した動作が得られるので、むしろ好適である。 図3には、図1のY1−Y1線に沿ったセンサチップの断面概略図を示している。
本発明の本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の一実施例である図1と図2を用いて、カロリメトリックバイオセンサの動作を説明する。ここでは、例えば、生体由来物質である体液の尿中の特定試料成分(基質)としてのグルコースと、このグルコースの酸化酵素である酵素4として、グルコースオキシダーゼの熱反応での発熱量を計測する場合について説明する。図2に示すように、酵素4としてのグルコースオキシダーゼを、例えば、上述のように電着による酵素4の固定でも良いし、一般に用いられている、薄膜シリカゲルやポリスチレンビーズ表面などに所定の量を分散固定して、薄膜10の中央部に位置した反応部6に設置固定しておく。薄膜10が架橋構造12であり、左右対称であるので、薄膜10を均一に熱したときに、薄膜10の中央部が最も高温になる領域である。この位置に反応部6を形成した方が熱反応時に最も高温になりやすいことで、この中央部付近に反応部6を形成している。上述の流路17が延在している中での反応部6では、酵素4のグルコースオキシダーゼと流路17内を駆動手段610により移動してきた液体試料である尿中の特定試料成分のグルコースと接触するようにしてある。ここで、室温の下で酵素4のグルコースオキシダーゼと特定試料成分の基質のグルコースとが接触して、熱反応をして反応部6の温度上昇(温度上昇分ΔT)を生じる。この時の室温である環境温度からの温度上昇分ΔTが、ほぼ、特定試料成分のグルコースの量に比例することが判明しているので、予め用意してある校正用データを用いて、尿糖(尿グルコース)の量を求めるものである。室温の温度により、反応速度が異なるので、絶対温度センサ23での温度計測により、予め用意してある校正データを基にして、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bからの出力を補正すると良い。
温度上昇分ΔTの計測は、特定試料成分であるグルコースを含む尿である体液が通る流路17の基板1から第1の温度センサ20Aが配置されている反応部6との途中に配置された第2の温度センサ20Bと第1の温度センサ20Aとの温度差を計測することにより有効に達成される。図1を参照すると、SOI層用共通電極パッド75がこれらの共通電極であるので、熱電対電極パッド70Aと熱電対電極パッド70Bとの間の出力電圧が第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bの熱起電力差に相当する。従って、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bとの温度差の計測は、熱電対電極パッド70Aと熱電対電極パッド70Bとの間の出力電圧の計測で達成される。最適環境温度38℃に近い体温の体液である尿が流路17中を移動する間に、一般には、多少冷却されるが、その尿の温度により、第2の温度センサ20Bの温度と熱反応が起こる前の反応部6の温度である第1の温度センサ20Aの温度とは、ほぼ同一の温度になっているので、熱反応後の第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bとの温度差計測は、ほぼ熱反応温度上昇分ΔTを示すものである。ここでは、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bとは、上述のように薄膜熱電対から構成されているので、これらの出力差は、温度上昇分ΔTにほぼ比例している。なお、液体試料の体液は、流路17が全体として長いと基板1に設置して有る流入口16から注入されて、上述の流路17中を移動して反応部6の位置まで移動する間にほぼ環境温度になり、酵素4と接触することになる。
図4は、本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の他の一実施例で、複数の薄膜10の架橋構造12を有する場合の平面概略図を示す。また、図5には、図4のX―X線に沿った断面概略図である。本実施例でも、実施例1と同様に、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bを、熱電対で形成しているが、その時には、熱電導体120aとして、SOI層(n型半導体層)を共通にして、熱電導体120bを、絶縁膜50を介して形成したニクロム(NiCr)のスパッタリング薄膜を用いて、差動増幅できるようにしている。これらの熱電対の測定点(温接点)26では、絶縁膜50の貫通口を通したオーム性コンタクト60で電気的に接続されている。ここでは、図1に示した単一の薄膜10を並列に5個並べ、それぞれを架橋構造12状の薄膜10a、薄膜10b、薄膜10cなどとした場合の一実施例を示している。基板1に設けてある1個の流入口16から注入した液体試料の尿が分配されて、例えば、薄膜10a、薄膜10bや薄膜10cに導入させるそれぞれの流路17が形成されている。そして、液体試料の尿中の特定試料成分としての基質、例えば、グルコース、乳酸、タンパクなどを検出する場合、これらの基質にそれぞれ対応する酵素4a、4b、4cであるグルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、トリプシンなどを薄膜10a、薄膜10bや薄膜10cのほぼ中央部に配してあるそれぞれの反応部6a、6b、6cに上述の電着で所定の量だけ固定しておく。各流路17を酵素固定バイオセンサチップ100の基板1の端部付近で再度合流させて、流出口18まで誘導するようにしている。更に、駆動手段610であるポンプ等で、液体試料や洗浄水等を吸引できるようにしても良い。なお、酵素4は、触媒として使用されるもので、基質との反応で消費されるものではなく、酵素4の固定化により、反応生成物や未反応基質を洗浄水により除去することにより、失活しなければ繰返し使用できるものである。ここでは、単一の薄膜10を並列に5個だけ並べた場合であるが、もちろん、更に増やしても良い。
実施例1での図1と図2で説明したと同様に、流入口16から注入した液体試料の尿が分配されて、薄膜10a、薄膜10bや薄膜10cなどのほぼ中央部に配してあるそれぞれの反応部6a、6b、6cなどに設置し、固定したそれぞれの酵素の酵素4a、4b、4cなどであるグルコースオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、トリプシンなどと最適環境温度下で接触させた時、反応部6a、6b、6cなどの近傍に設置してそれぞれの温度を計測する第1の温度センサ20Aa、20Ab、20Acなどが、同様に薄膜10a、薄膜10b、薄膜10cの途中に形成してある第2の温度センサ20Ba、20Bb、20Bcなどとのそれぞれの温度差計測により、温度上昇分の温度差ΔTが認められると、反応部6a、6b、6cのうちの温度差ΔTが認められた個所に対応するそれぞれ異なる特定試料成分(それぞれ、糖、乳酸、タンパク)が、尿中に存在すると言うことになる。そして、それらの温度上昇分の温度差ΔTの大きさから予め用意した校正データにより、その基質である特定試料成分の量が求められる。例えば、薄膜10aに形成してある反応部6a(ここには、グルコースオキシダーゼなる酵素が酵素4として固定されている)が、触媒熱反応により発熱して第1の温度センサ20Aaと第2の温度センサ20Baとの温度差計測により温度上昇分の温度差ΔTが所定の大きさ以上に計測されると、その大きさに応じて、尿糖の値が校正データを利用して求められるということである。もちろん、薄膜10bに形成した第1の温度センサ20Abと第2の温度センサ20Bbとの差動出力により、温度上昇分の温度差ΔTが所定の大きさ以上に計測されると、その大きさに応じて、尿中の乳酸値が校正データを利用して求められると言うことである。センサチップ100等の製作方法や他の作用等も実施例1の場合と同様なので、ここでは、その詳細な説明については省略する。
図6には、本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の他の一実施例で、薄膜10を、フォトレジストを用いた架橋構造12の流路の一部と兼用にした場合の断面概略図を示す。図6(a)は、Siやガラス、更にはポリイミドなどのような耐熱性の基板である第1の基板101の上に、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bとを温度差センサであるサーモパイルや熱電対として構成する場合には、先ずは、熱電導体120aをスパッタリング堆積などで形成して所望の形状にフォトリソグラフィにより形成する。熱電導体120aとして、Bi、アモルファスシリコンやAuなどを用い、もう一つの熱電導体120bとして、例えば、Sb、AlやNiなどをスパッタリング堆積して、これらの膜を、パターン形成してサーモパイルや熱電対を形成して、例えば、実施例2の図4に示したようなパターン形状にすることができる。この場合、図4では、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bを、熱電対で形成しているが、その時には、熱電導体120aとして、SOI層(n型半導体層)を共通にして、熱電導体120bを、絶縁膜50を介して形成したニクロム(NiCr)のスパッタリング薄膜を用いて、差動増幅できるようにしている。これらの熱電対の測定点(温接点)26では、絶縁膜50の貫通口を通したオーム性コンタクト60で電気的に接続されている。そして、第1の温度センサ20Aの測定点(温接点)26を反応部6の中心部の位置に形成し、第2の温度センサ20Bの測定点(温接点)26を反応部6の近傍の領域で、架橋構造12の中に形成している。更に、第1の基板101の上にSOI層用共通電極パッド75や酵素固定用電極パッド72Aも堆積とパターン化させておく。そして、5個の流路17を並列に形成している。本実施例でも、図4に示したような酵素固定バイオセンサチップ100を、SOI基板以外で、しかも、架橋構造12の主体をフォトレジスト膜からなる流路17で構成する場合の例である。
次に、流路17を耐熱性のポリイミド膜のフォトレジストのスピンコート膜やフォトレジストシートを用いて形成する。フォトレジスト膜を用いると、任意の箇所に電気的に配線するための貫通孔を形成して、上下の電極間を容易に電気的に接続することができるし、中空となる流路中空部17aもフォトレジストシートを重ねながら、途中の工程で流路中空部17aを形造り、その上に重ねたフォトレジストシートに適当な圧力を加えて、昇温して柔らかくして封止するようにして、密閉構造の流路17を、図6(A)のように、第1の基板101の上に形成することができる。そして、流路17の形成途中の工程で、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bのための熱電導体120bの堆積とパターン化、酵素固定用の電極72と対向電極73及び参照電極74用の金(Au)膜などの堆積とパターン化、更に、酵素固定用の電極72の表面積を増加させるための凹凸80も流路17内の反応部6に形成する。次に、形成の第2の基板102を張り合わせるか、または、厚膜のフォトレジストシートを重ねて、所望の厚み、例えば、400μm程度になるようにする。この時に大事なのは、流路17をこの後の工程で、架橋構造12にするために、空洞40を形成しておくことである。第2の基板102としてフォトレジストシートを用いた時には、フォトリソグラフィで露光と現像だけで形成できるが、他の物質の場合は、空洞40をエッチング除去などで形成できる。
図6(B)は、図6(A)に示した第1の基板101が付いている状態から第1の基板101を剥した状態を示している。第1の基板101を剥すには、薬品やプラズマなどのエッチング除去や初めから第1の基板101の上にコーティングしてある膜の溶出などで達成することができる。この状態では、まだ、酵素4を酵素固定用の電極72上に固定していないが、前述の実施例1や2のやり方で、電着にて酵素4の固定ができる。このようにして、フォトレジストを用いた架橋構造12の流路の一部と兼用にした場合の本発明の酵素固定バイオセンサチップ100が完成する。その様子を図6(C)(図6(B)の上下逆転状態)に示す。流路の個数や形状は任意にできるが、例えば、実施例1の図1に示すような1個でもよいし、実施例2の図4に示すように、5個の並列の流路にしても良い。また、酵素固定バイオセンサチップ100の作用・効果等も実施例1、2と同様なので、その詳細は、ここでは省略する。
図7は、本発明の酵素固定バイオセンサチップ100の他の一実施例で、カバー150を張り合わせた場合の断面概略図を示す。実施例1の図1に示した流路が1個の酵素固定バイオセンサチップ100や実施例2の図4に示した流路が5個の酵素固定バイオセンサチップ100に、カバー150を張り付けた場合である。酵素固定バイオセンサチップ100の流入口16と流出口18に、尿ななどの液体試料を流入出させるために、架橋構造12の流路17の保護が必要である。そして、架橋構造12には、空洞40が必要であり、その確保が必要である。そのために、酵素固定バイオセンサチップ100にプラスチック、ガラス、シリコン、金属などの材料で、カバー150を形成することができるが、外界との断熱を考慮すると断熱効果が高い熱伝導が悪い材料が好適である。そのためには、ガラス材などが良く、透明であると流路の様子が見ることができるので、好適である。カバー150は、元の酵素固定バイオセンサチップ100接着剤やレジストシートを加熱圧着させて接着剤として用いることもできる。このように、カバー150を張り付けた酵素固定バイオセンサチップも一体化した酵素固定バイオセンサチップ100として扱うことができる。
図8は、本発明のバイオセンサモジュール500の一実施例の断面概略図を示す。酵素固定バイオセンサチップ100は、架橋構造12の微細な流路17を備えて居り、指やピンセットで不用意に触れることは、破壊の恐れがあり危険である。また、尿糖計や血糖値センサなどのカロリメトリックバイオセンサに用いた場合、酵素4は、タンパク質であるので、その保存状態にもよるが、失活や経時的な触媒作用の劣化が問題となる。従って、酵素4は、洗浄などにより繰り返し使用できるものであるが、劣化のために酵素固定バイオセンサチップ100を交換する必要が出てくる。この場合、酵素固定バイオセンサチップ100だけの交換は、そのハンドリングが一般のユーザには、困難なものである。そこで、酵素固定バイオセンサチップ100を取付けてあり、カセット的に容易に交換可能なモジュール化が求められる。本発明は、酵素固定バイオセンサチップ100を備えてカセット的に容易に交換可能なバイオセンサモジュール500を提供するものである。
バイオセンサモジュール500のモジュール部材510の流路17、注入口160や排出口180などは、微細で精度の確保を必要とする構造なので、プラスチックの3Dプリンタで形成すると良い。また、酵素固定バイオセンサチップ100の各種電極端子からの配線は、例えば、バンプ電極310で圧着接触させ、端子ピン350を設けて、外部のコネクタに差し込み電気的に配線するようにしている。酵素固定バイオセンサチップ100の固定は、例えば、センサチップ固定板520で、ワンタッチで固定できるようにしている。また、液体試料は、注入口160から流入し、酵素固定バイオセンサチップ100の流入口16から酵素固定バイオセンサチップ100の流路17を通って、流出口18から排出口180を通って、外部に排出されるようにしている。酵素固定バイオセンサチップ100とモジュール部材510の流路17とは、パッキン530により液漏れがないようにしている。このバイオセンサモジュール500は、ワンタッチで、後述の図9に示すカロリメトリックバイオセンサの500取り付け箇所のコネクタ固定板580に差し込み固定できるようにすると良い。
図9は、本発明のカロリメトリックバイオセンサの一実施例の概略図を示す。本実施例では、プラスチックのケース570の中に、前述の実施例5に示したバイオセンサモジュール500を、コネクタ固定板580にそこに備えてあるコネクタ550と酵素固定バイオセンサチップ100のコネクタ550とを用いて、バイオセンサモジュール500の端子ピン350を差し込み接続して電気的に電子回路660に配線400を通って接続するようにしている。本発明のカロリメトリックバイオセンサでは、液体試料の流入、排出の駆動手段610として吸引ポンプを用い、タンク620を介して、弁600としての電磁弁で、液体試料の流れの急速な制御ができるようにしている。それらの制御は、カロリメトリックバイオセンサの内部に組み込みの電子回路660のマイコンによりタイミングや流れの開始や停止が所定のルールで行うようにしている。また、酵素固定バイオセンサチップ100内の各流路に固定されている酵素4とそれらに対応する基質との熱反応に基づく各出力信号から各基質の濃度などが予め用意している校正データに基づき、マイコンで演算して、表示部670としての液晶表示で文字として表すようにしている。
カロリメトリックバイオセンサのセンサチップは、Si単結晶であるSOI基板を用いて製作すると、MEMS技術が適用できやすく好適である。そして、このSOI基板から成るセンサチップに集積回路技術で電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路も集積化できるし、これらを別の半導体基板等に集積化して、モジュール化することもできる。このようにすることにより、極めてコンパクトなカロリメトリックバイオセンサを提供することができる。電源回路は、駆動手段610や弁600等の駆動や他の回路への電源の供給に関わる回路であり、増幅回路は、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bや絶対温度センサ23やこれらの差動信号等の出力を増幅する回路である。もちろん、ヒータ25を動作させない場合は、ヒータ25の駆動や制御は不要である。演算回路は、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bからの出力やこれらに基づく差引や積分、また、これらの出力信号などを利用し、更にメモリ回路との組み合わせにより、予め用意した校正データの下で特定試料成分の量への換算などを演算処理するような回路である。また、制御回路は、弁600の電磁弁で、液体試料や洗浄液の流入開始や停止などの制御や、繰り返しとその周期などの制御を行い、更には、信号の積分時間の設定などの温度制御やフィードバック制御なども必要に応じ行う回路である。図10には、本発明のカロリメトリックバイオセンサを駆動する場合の構成概略図の一実施例のブロック図を示す。
上述では、主に液体試料の体液として、尿を主体にして説明したが、同様に、血液、汗、唾液などの体液を用いて、各種の特定試料成分の基質と酵素4の酵素と、更に必要に応じて補酵素などを用いた組合せで、各種の特定試料成分や酵素4の種類の特定とそれらの量を短時間、例えば、十秒程度以内に計測できるものである。また、上述では、ヒトの体液を利用したが、必ずしもヒトとも限らず、動物でも良いし、また、体液以外に溶液中の特定物質の量の検出が、基質とそれに対応して特異的に選択触媒反応をする酵素や補酵素との組み合わせにより生じる熱反応による温度上昇分ΔTの計測により可能になる。また、上述の実施例では、架橋構造12状の薄膜10a、薄膜10b、薄膜10cなどを1個または5個の場合を示したが、必要に応じて、10個やそれ以上にすることもできることは言うまでもない。また、上述では、酵素固定バイオセンサチップ100にSOI基板を用いた場合を主に示したが、基板1や薄膜10として耐熱性プラスチックなどの安価な材料を用い、更に、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bとして、熱電材料の蒸着やスパッタリング、更には、プリントなどで熱電対やサーモパイルを形成しても良い。
本発明の上述の実施例の図面では、請求項に記載された同一の概念を有する部位には、同一の符号を付してある。また、本発明の実施例では、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本実施例に限定されることはなく、本発明の主旨、作用および効果が同一でありながら、当然、種々の変形がありうる。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の酵素固定バイオセンサチップ100は、MEMS技術により基板1から熱分離した薄膜10に、第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bと、第1の温度センサ20Aの近傍に備えた反応部6を形成し、さらに、基板1の流入口16から延在して薄膜10の第1の温度センサ20Aと第2の温度センサ20Bおよび反応部6を経由して、空洞40を跨ぎ対向する同一の基板1領域に形成した流出口18まで延びる流路17とを備えており、外部電極端子からの流路17内の反応部6に形成してある酵素固定用の電極72の所定の酵素4をクリックケミストリ法により固定できるようにしている。 従って、洗浄液を用いて流路17内を洗浄することもできるので、何度も使用できるカロリメトリックバイオセンサが提供できる。本発明のバイオセンサモジュールは、酵素固定バイオセンサチップ100をモジュール化して、ワンタッチで容易にカロリメトリックバイオセンサに組み込み交換することができるようにしている。また、本発明のカロリメトリックバイオセンサは、生体由来の物質である体液である尿、汗、唾液や血液などに含まれる被検出物質である基質や酵素を、これらの熱反応による温度上昇分の計測により、数秒以内に沢山の基質や酵素を同時に計測できると言う利点があり、酵素は、消費しないので、触媒活性の低下はあるものの、洗浄後何回も使用できるので、安価な日常の健康診断に役立てることができる。また、本発明のカロリメトリックバイオセンサは、特定試料成分である基質や酵素の量を容易に数値化でき携帯用にコンパクトにもできるので、家庭のトイレに設置したり、集団検診などでの色の変化を調べる尿試験紙などの代わりに使用できるなど、多方面にわたり利用できるものである。
1 基板
4、4a、4b、4c、4d、4e 酵素
6、6a、6b、6c,6d、6e反応部
10、10a、10b、10c,10d、10e 薄膜
11 SOI層
12 架橋構造
15 下地基板
16 流入口
17 流路
17a 流路中空部
18 流出口
20A、20Aa、20Ab、20Ac 第1の温度センサ
20B、20Ba、20Bb、20Bc 第2の温度センサ
22 第1の温度センサの温接点電極
23 絶対温度センサ
25 ヒータ
26 測定点(温接点)
27 基準点(冷接点)
40 空洞
50 絶縁膜
51 BOX層
60 オーム性コンタクト
70A 第1の温度センサ用電極パッド
70B 第2の温度センサ用電極パッド
70A1、70A2、70A3,・・・ 第1の温度センサ用電極パッド
70B1、70B2、70B3,・・・ 第2の温度センサ用電極パッド
71A、71B、71A1、71B1; 71A2、71B2;71A3、71B3;71A4、71B4・・・ヒータ用電極パッド
72 酵素固定用の電極
72A、72A1、72A2、 72A3、72A4,72A5・・・ 酵素固定用電極パッド
73 対向電極
73A 対向電極パッド
74 参照電極
74A 参照電極パッド
75 SOI層用共通電極パッド
76 A, 76 B 絶対温度センサ用電極パッド
80 凹凸
100 酵素固定バイオセンサチップ
101 第1の基板
102 第2の基板
105 切欠き部
110 SOI層用絶縁分離溝
120a, 120b 熱電導体
150 カバー
160 注入口
180 排出口
310 バンプ電極
350 端子ピン
400 配線
500 バイオセンサモジュール
510 モジュール部材
520 センサチップ固定板
530 パッキン
550 コネクタ
560 アダプタ
570 ケース
580 コネクタ固定板
600 弁
610 駆動手段
620 タンク
650 バッテリ
660 電子回路
670 表示部
1000 カロリメトリックバイオセンサ

Claims (16)

  1. 液体試料中の特定の基質成分を、該基質成分に対応する酵素との触媒作用の反応熱により検出するバイオセンサチップであって、基板から熱分離した薄膜に、液体試料が通る流路が形成されていること、前記流路内の反応部もしくはその近傍に前記反応熱を検出する第1の温度センサを形成したこと、酵素固定用の電極が、前記反応部に形成した前記第1の温度センサとは、電気的に独立に形成されていること、前記電極から延在して前記流路外の前記基板上に前記酵素の電着固定のための酵素固定用電極パッドが形成されていること、前記流路内の電極に所定の前記酵素が固定されていること、を特徴とする酵素固定バイオセンサチップ。
  2. 前記基板から熱分離した薄膜上で前記反応部以外の場所に、前記第1の温度センサの他に、第2の温度センサを形成した請求項1記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  3. 前記第1の温度センサと前記第2の温度センサのうちの少なくとも一つは、温度差センサとした請求項2記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  4. 前記反応部に、ヒータを形成してあり、前記反応部を加熱できるようにした請求項1から3のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  5. 前記ヒータは、前記酵素固定用電極パッドを介してジュール熱によるヒータ加熱ができるようにした請求項4記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  6. 前記流路の液体試料の流入口と流出口以外は密閉構造であり、前記流路の主体が、フォトレジストで形成された請求項1から5のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  7. 前記液体試料との接触を大になるように、前記反応部に凹凸を形成して、該凹凸がないときの表面積に比べ、その表面積を大にした反応部表面に、前記酵素固定用の電極を形成した請求項1から6のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  8. 前記流路を有する前記薄膜は、架橋構造とした請求項1から7のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  9. 同一の前記基板に形成している前記流路を複数並列に配列させて、1つの流入口から流入した前記液体試料が、前記各流路に分流させるようにしてあり、分流後には、合流して一つの流出口から排出されるようにした請求項8記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  10. 前記複数の流路の各反応部に固定してある酵素は、それぞれ異なる酵素とした請求項9記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  11. 前記基板の上に、少なくとも1枚のカバーを張り合わせてあり、該カバーを介して、前記基板の流入口と流出口とに液体試料が流入出できるようにした請求項1から10のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップ。
  12. 液体試料や洗浄液の注入口と排出口を有し、該注入口と排出口の間に、前記請求項1から11のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップを搭載してあること、前記液体試料や洗浄液が該酵素固定バイオセンサチップの流入口と流出口を経て、外部に排出させるように、注入口と排出口および酵素固定バイオセンサとを一体化してあること、更に、前記酵素固定バイオセンサチップへの電気的接続用のコネクタを備えてあること、を特徴とするバイオセンサモジュール。
  13. 請求項1から11のいずれかに記載の酵素固定バイオセンサチップもしくは、請求項12に記載のバイオセンサモジュールを搭載し、液体試料中の特定の基質成分の量を、該基質成分に対応する酵素との触媒作用の反応熱に基づく温度変化を、前記酵素固定バイオセンサチップに形成している前記第1の温度センサと第2の温度センサを用いて計測して、所定の校正データを基にして知るようにしたことを特徴とするカロリメトリックバイオセンサ。
  14. 請求項4もしくは5に記載のヒータの前記反応部のジュール加熱による温度上昇を前記第1の温度センサと前記第2の温度センサを用いて計測して、液体試料中の特定の基質成分の量の校正に利用するようにした請求項13記載のカロリメトリックバイオセンサ。
  15. 少なくとも電源回路、増幅回路、演算回路および制御回路を備え、前記液体試料中の特定の基質成分の量に関する情報を得ることができるようにした請求項13もしくは14のいずれかに記載のカロリメトリックバイオセンサ。
  16. 液体試料や洗浄液の駆動手段と弁による液体試料や洗浄液の流れの制御ができるようにした請求項15記載のカロリメトリックバイオセンサ。
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