JP6838606B2 - 断熱保護部材、その製造方法、施工方法、炉内部材及び加熱炉 - Google Patents

断熱保護部材、その製造方法、施工方法、炉内部材及び加熱炉 Download PDF

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Description

本発明は、無機繊維成形体よりなる断熱保護部材と、その製造方法と、この断熱保護部材を用いた炉内部材及び加熱炉に関する。
鉄鋼業の加熱炉などの高温炉には、屈曲部、角部、曲面部を有する高温配管や、ウォーキングビーム式のスキッドポスト等の円柱形状の部材があり、これらを保護、断熱する部材として、無機繊維集合体や無機繊維成形体が用いられている。中でもニードリング加工された無機繊維集合体(ニードルブランケット)は、その軽量性、易加工性、耐熱衝撃性、耐風食性、低熱伝導率性に優れるといった特性を利用し、多く用いられている。ニードルブランケットは、これを圧縮あるいは積層した成形体とし、ベニアリング工法やブロック積層体を取り付け施工されている。
このような断熱保護部材では、炉内で発生するスケールやアルカリ物質による腐食の問題がある。中でも鉄鋼業の加熱炉においては、炉内のスケールによりアルミナ・シリカ系無機繊維が、特にFeOとの低融点化合物を生成し、そこを起点として浸食、脆性化が起こることによる早期劣化の問題がある。
そこで、上記課題を解決するために、無機繊維集合体に無機質ゾルやバインダー等を付加した無機繊維成形体が複数報告されている。
例えば、特許文献1には、ブランケット積層体の炉内側の面に、焼成によりAlを生じさせる成分及びCaOを生じさせる成分を含んだ液を含浸させた無機繊維質断熱材ブロックが記載されている。
特許文献1に記載の無機繊維質断熱材ブロックは、保形板で両側から挟んで積層方向に圧縮し、結束バンドを掛け回して圧縮状態に保形した形状となっている。この無機繊維質断熱材ブロックは、炉内面に配列した後、結束バンドを切断し、結束バンド及び保形板を撤去するように施工される。
特開2015−81752
上記特許文献1の無機繊維質断熱材ブロックは、結束バンドを掛け回して圧縮状態に保形した荷姿となっているため、炉内面が湾曲している場合、施工するに際して炉内面に沿わせるように湾曲させることはできない。そのため、施工対象面が小曲率平均にて湾曲しているときには、無機繊維質断熱材ブロックを、施工対象面との間に隙間を生じさせることなく施工することが容易ではない。
本発明は、施工対象面が湾曲していても施工対象面に隙間なく密着させるように施工することが容易な断熱保護部材と、その製造方法及び施工方法と、この断熱保護部材が施工された炉内部材及び加熱炉とを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] アルミナ繊維のニードルブランケットの折り返し体が積層された積層体と、
該ニードルブランケットの折り返し部分側の該積層体の1つの面に取り付けられたアルミナ繊維のニードルブランケットからなる基材部とを有する断熱保護部材であって、
該ニードルブランケットの折り返し部分と該基材部とが結合され、
該積層体と該基材部の少なくとも一部に、酸化物前駆体含有液が未乾燥状態で付着している含浸部が設けられており、
該含浸部の水分量が、該含浸部の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部であり、
該断熱保護部材全体の水分量が断熱保護部材全体の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部であり、
前記酸化物前駆体含有液は、焼成により酸化アルミニウム及び酸化カルシウムを含むアルミナ・カルシア系組成物を生じさせる成分を含有しており、
前記含浸部においては、酸化物前駆体含有液が酸化物換算量として該含浸部の無機繊維100質量部に対して2〜50質量部となるように付着している断熱保護部材。
[2] 前記含浸部におけるAlとCaのモル比(Al/Ca)が10〜330である、[1]に記載の断熱保護部材。
[3] 前記積層体の高さHが30〜150mmである、[1]又は[2]に記載の断熱保護部材。
[4] 前記積層体の嵩密度が0.10〜0.75g/cmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の断熱保護部材。
[5] 前記積層体と基材部とはアルミナ質の糸によって縫着されて接合されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の断熱保護部材。
[6] 前記積層体の基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、該基材部との結合部を有する端部の酸化物前駆体含有液量が該対向端部よりも多い、[1]〜[5]のいずれかに記載の断熱保護部材。
[7] 前記積層体の基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、該基材部との結合部を有する端部の水分量が該対向端部よりも多い、請求項1〜6のいずれかに記載の断熱保護部材。
[8] 前記積層体の基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、該基材部との結合部を有する端部の嵩密度が該対向端部と比較して高い、[1]〜[7]のいずれかに記載の断熱保護部材。
[9] 前記基材部、該基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、各部における無機繊維の嵩密度が、基材部、該基材部との結合部を有する端部、該対向端部の順に高くなる、[1]〜[8]のいずれかに記載の断熱保護部材。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の断熱保護部材を製造する方法であって、
前記積層体を構成するためのニードルブランケットと前記基材部とを重ね合わせ、前記折り返し部となる部分で接合する工程と、
前記積層体を構成するためのニードルブランケットをこの接合部分で基材部と垂直方向に折り立てる工程と
を有する断熱保護部材の製造方法。
[11] [1]ないし[9]のいずれかに記載の断熱保護部材を、炉体の内面又は炉内部材の表面に取り付ける工程を有する断熱保護部材の施工方法。
[12] 前記断熱保護部材の基材部と反対側の面を、炉体の内面又は炉内部材の表面に取り付ける工程を有する、[11]に記載の断熱保護部材の施工方法。
[13] 前記炉内部材の施工対象面が凸曲面である、[11]又は[12]に記載の断熱保護部材の施工方法。
[14] 前記炉内部材は、スキッドポスト又はスキッドビームである、[13]に記載の断熱保護部材の施工方法。
[15] [1]ないし[9]のいずれかに記載の断熱保護部材が表面に装着されている炉内部材。
[16] 前記炉内部材はスキッドポスト又はスキッドビームである、[15]に記載の炉内部材。
[17] 前記断熱保護部材は、アルミナ・カルシア系組成物を含有する、[15]又は[16]に記載の炉内部材。
[18] [1]ないし[9]のいずれかに記載の断熱保護部材が炉体内面又は炉内部材の表面に装着されている加熱炉。
[19] 前記炉内部材はスキッドポスト又はスキッドビームである、[18]に記載の加熱炉。
[20] 前記断熱保護部材は、アルミナ・カルシア系組成物を含有する、[18]又は[19]に記載の加熱炉。
[21] 断熱保護部材が表面に装着されている炉内部材であって、
前記断熱保護部材は、アルミナ繊維のニードルブランケットの折り返し体が積層された積層体と、該ニードルブランケットの折り返し部分側の該積層体の1つの面に取り付けられたアルミナ繊維のニードルブランケットからなる基材部とを有し、
該ニードルブランケットの折り返し部分と該基材部とが結合され、
該積層体と該基材部の少なくとも一部に、酸化アルミニウム及び酸化カルシウムを含むアルミナ・カルシア系組成物を含有することを特徴とする炉内部材。
[22] 前記炉内部材はスキッドポスト又はスキッドビームである、[21]に記載の炉内部材。
[23] 断熱保護部材が炉体内面又は炉内部材の表面に装着されている加熱炉であって、
前記断熱保護部材は、アルミナ繊維のニードルブランケットの折り返し体が積層された積層体と、該ニードルブランケットの折り返し部分側の該積層体の1つの面に取り付けられたアルミナ繊維のニードルブランケットからなる基材部とを有し、
該ニードルブランケットの折り返し部分と該基材部とが結合され、
該積層体と該基材部の少なくとも一部に、酸化アルミニウム及び酸化カルシウムを含むアルミナ・カルシア系組成物を含有することを特徴とする加熱炉。
[24] 前記炉内部材はスキッドポスト又はスキッドビームである、[23]に記載の加熱炉。
本発明の断熱保護部材は、アルミナ繊維のニードルブランケットの折り返し体が積層された積層体と、該積層体の1つの面に取り付けられた基材部とを有している。この断熱保護部材は、積層体を施工対象面に当てるようにして施工される場合には、該積層体の構成要素であるニードルブランケットが厚み方向において変形圧縮することで内外周の周長差を吸収する。その結果、施工対象面が小曲率半径にて凸に湾曲していても、断熱保護部材を湾曲させて施工対象面に密着させることができる。
本発明の断熱保護部材にあっては、ニードルブランケットが基材部と垂直方向に配列されている。ニードルブランケットは、一般に繊維がニードルブランケットのマット面方向に配向しているので、本発明の断熱保護部材のニードルブランケット折り返し体の積層体にあっては、繊維が基材部と垂直面方向に配向している。従って、この断熱保護部材を施工対象面に被覆した場合、積層体のニードルブランケット中の繊維は施工対象面と垂直面方向に配向している。
繊維が炉内露呈面方向に配向している基材部は、炉内雰囲気に晒されると、経時的に劣化したり、風食作用によって飛散・剥離消失し易い。これに対し、ニードルブランケット折り返し体の積層体は、上記の通り繊維が施工対象面と垂直面方向すなわち断熱保護部材の炉内露呈面と垂直面方向に配向しているため、非常に耐風食性に優れている。
このため、炉内に設けられた本発明の断熱保護部材は、長期にわたって優れた断熱保護作用を維持する。
本発明の断熱保護部材にあっては、無機繊維のニードルブランケットに酸化物前駆体含有液を含浸させることにより、耐スケール性が向上する。
本発明では、含浸部全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)が10〜330であることにより、高温まで焼成した時に、無機繊維内部に適量のCaOが拡散する。無機繊維内部にCaOが存在することで、無機繊維中にFeOが拡散しにくくなる。つまり無機繊維とFeOとの反応が抑制され、断熱保護部材の耐スケール性が向上する。
本発明の断熱保護部材は、施工されるまでは、含浸させた酸化物前駆体含有液を未乾燥状態としておくことにより、可撓性を有し、特に屈曲部、角部、曲面部の施工性と密着性に優れる。本発明の断熱保護部材は、水分量がコントロールされることにより、機械強度や施工性に優れる。
本発明の断熱保護部材は、スキッドポスト又はスキッドビームに簡便に被覆及び固定できる。
実施の形態に係る断熱保護部材の斜視図である。 図1のII部分の断面図である。 図3a,3bは実施の形態に係る断熱保護部材の製造方法を示す断面図である。 実施の形態に係る断熱保護部材の斜視図である。 実施の形態に係る断熱保護部材の断面図である。 実施の形態に係る断熱保護部材の断面図である。 実施の形態に係る断熱保護部材の施工方法の説明図である。 図8aは断熱保護部材が施工された炉内部材としてのスキッドポスト及びスキッドビームの斜視図、図8bは図8aのVIIIb−VIIIb線断面図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1,2は実施の形態に係る断熱保護部材1を示している。断熱保護部材1は、アルミナ繊維のニードルブランケットを折り返した折り返し体を積層してなる積層体2と、該ニードルブランケットの折り返し部分が露呈した該積層体の1つの面に取り付けられたアルミナ繊維のニードルブランケットからなる基材部3とを有し、該積層体2の折り返し部分と該基材部3とが結合されている。基材部3は、積層体2の積層方向に延在する長方形状である。この断熱保護部材1の少なくとも一部に、後述の酸化物前駆体含有液が含浸されている。
断熱保護部材1を製造するには、例えば、図3aのように、ニードルブランケット5と基材部3とを重ね合わせ、ニードルブランケット5の一端辺5aから所定距離の箇所と基材部3とをアルミナ質の縫糸4で縫合する。図3aでは該積層体2の折り返し部分と該基材部3との結合手段において、アルミナ質の縫糸4で縫合するが、アルミナ・シリカ系接着剤等の耐熱性接着剤で該積層体2の折り返し部分と該基材部3との接着部分を接着してもよい。
図3bの通り、ニードルブランケット5の一端側5bと、それに続く部分5cとを基材部3と垂直方向に折り立てて重ねる。次いで、該部分5cに引き続く部分5dを折り返し、該部分5dとそれに引き続く部分5eとの境目を縫糸4で基材部3に縫合する。以下、この手順を繰り返し、その後前駆体液を含浸させることにより、断熱保護部材1が製造される。
積層体2を構成するニードルブランケット5の各部分5b,5c,5dは基材部3に対し垂直となっている。積層体2及び基材部3の長手方向長さLは等しく、幅Wも等しい。
断熱保護部材1をスキッドポスト又はスキッドビーム等の断熱被覆に用いる場合、積層体2を構成するニードルブランケット5の厚みTは5〜25mm特に10〜15mm程度が好適であり、基材部3の厚みTは5〜25mm特に10〜15mm程度が好適である。断熱保護部材1の長手方向長さLは500〜3000mm特に1000〜2000mm程度が好適である。幅Wは100〜800mm特に300〜600mm程度が好適である。積層体2の高さ(基材部3と垂直方向の高さ)Hは通常30〜150mm、好ましくは40〜120mm、特に好ましくは50〜90mm程度が好適である。
断熱保護部材1の嵩密度は、通常0.10〜0.75g/cm、好ましくは0.15〜0.60g/cm、特に好ましくは0.20〜0.45g/cm程度である。
積層体2の嵩密度は、通常0.10〜0.75g/cm、好ましくは0.15〜0.60g/cm、特に好ましくは0.20〜0.45g/cm程度である。
積層体2は、基材部と垂直方向において基材部との結合部を有する端部とその対向端部を有する。なかでも、基材部との結合部を有する端部の嵩密度が対向端部と比較して高いことが好ましい。
基材部との結合部を有する端部の嵩密度は、好ましくは0.15〜0.75g/cm、より好ましくは0.20〜0.65g/cm、特に好ましくは0.25〜0.60g/cm程度である。
対向端部の嵩密度は、好ましくは0.15〜0.75g/cm、より好ましくは0.20〜0.60g/cm、特に好ましくは0.25〜0.50g/cm程度である。
基材部3の嵩密度は、好ましくは0.10〜0.75g/cm、より好ましくは0.15〜0.60g/cm、特に好ましくは0.20〜0.45g/cm程度である。
断熱保護部材1は、図7のように、施工対象物10の外面に、基材部3と反対側1fを押し付けるようにして施工される。この場合、断熱保護部材1の基材部3と反対側1fを矢印P方向(即ち基材部3と平行方向)に押し縮め、該反対側1fを凹に湾曲させて施工対象物10の外面に密着させる。
施工対象物の曲率が高い場合、断熱保護部材1を湾曲させて密着させようとしても、曲げに対する反対側1fの反発力が強くPの逆方向に剥がれてくることがある。その際は、図4の断熱保護部材1Aの積層体2Aのように、少なくとも一部のニードルブランケット5の一端側5bの長さを短くし、断熱保護部材1Aの基材部3と反対側に凹所7を形成してもよい。凹所7の深さは、積層体2Aの高さHの10〜70%特に30〜50%程度が好適である。
上記アルミナ質の縫糸4としては、アルミナ長繊維の糸が好ましい。なお、アルミナ質以外の耐火材料製縫糸を用いてもよい。
上記の断熱保護部材1,1Aの積層体2,2Aでは、長い長方形状のニードルブランケット5がつづら折り状に折り返されているが、図5の断熱保護部材1Bの積層体2Bのように、U字形に1回だけ折り返された形状のニードルブランケット8によって積層体2Bを構成してもよい。このニードルブランケット8の折り返し部も、アルミナ質の縫糸4によって基材部3に縫着されている。
この断熱保護部材1Bは、ニードルブランケット8を縫糸4によって縫着した後、ニードルブランケット8を基材部3と垂直方向に折り立てることを繰り返して製造することができる。また、この断熱保護部材1Bは、図1に示す断熱保護部材1の基材部3と反対側1fを基材部3と平行方向に切断除去することによっても製造することができる。
図5の断熱保護部材1Bでは、基材部3と反対側1fにおいてニードルブランケット8の端面は面一状に揃っているが、図6の断熱保護部材1Cのように、該反対側1fに、前記断熱保護部材1Aと同様の凹所7を形成し、前記P方向への押し縮めを容易としてもよい。
図5,6の断熱保護部材1B,1Cでは、積層体2B,2Cを構成する各ニードルブランケット8の端面(切り口面)が前記反対側面1fに露呈している。このニードルブランケット8の端面は、断熱保護部材1,1Aのように、該反対側1fの折り返し部がニードルブランケット5の長手方向面すなわちマット面よりなる折り返し部に比べて、後述の接着剤層11となじみ易い。また、図5,6の断熱保護部材1B,1Cでは、反対側1fが平面となっており、施工対象面に全面的に密着させ易い。さらに、施工対象面が平らの時、密着させやすいので、炉内壁面の広範囲に施工が容易なベニアリング材等として使用することもできる。
図7は、断熱保護部材1を施工対象物10に施工する方法を示している。断熱保護部材1の施工に先立って、施工対象物10の表面にアルミナセメントを増粘剤、分散剤などの添加剤と共に水で混練した混練物よりなる接着剤層11を所定厚み(例えば0.3〜10mm特に0.5〜5mm程度)に塗着しておく。接着剤層11はアルミナセメント以外に耐火骨材粒子又は耐火繊維を含んでもよい。
断熱保護部材1の基材部3と反対側1fを、矢印P方向に押し縮めた状態で施工対象物10の表面の接着剤層11に押し付ける。所定枚数の断熱保護部材1で施工対象物10の施工対象面を覆った後、必要に応じ断熱保護部材1の外周に酸化物前駆体含有液含浸ニードルブランケットを巻き付けてもよい。また、外周をテープやロープなどで固定してもよい。さらに、施工対象面の凹凸が激しい場合、酸化物前駆体含有液含浸ニードルブランケットを施工対象物10の表面に巻き付けて、凹凸を軽減し、断熱保護部材1の基材部3と反対側1fを、矢印P方向に押し縮めた状態で施工対象物10の表面の接着剤層11に押し付けてもよい。
断熱保護部材1A〜1Cも上記と同一手順にて施工される。
図7のようにして施工された断熱保護部材1の積層体2にあっては、ニードルブランケット5が炉内露呈面すなわち基材部3の外面と垂直面方向に配向している。ニードルブランケット5にあっては、繊維がマット面方向に配向しているから、積層体2の繊維は基材部3と垂直面方向に配向している。
基材部3を構成するニードルブランケット中の繊維は、炉内露呈面方向に配向しているので、炉を操業したときの炉内の高温ガス流れによって剥ぎ取られ易く、風食作用を受け易い。これに対し、積層体2の繊維は、炉内露呈面と垂直面方向に配向しているので、基材部3が消失して積層体2が直に炉内雰囲気に露呈した状態となっても、繊維が剥ぎ取られにくく、風食作用を受けにくい。そのため、本発明の断熱保護部材1,1A〜1Cは極めて長期にわたって、優れた断熱及び保護作用を維持する。
図8a,8bを参照して、本発明の断熱保護部材1が施工されたウォーキングビーム式加熱炉について説明する。本発明の断熱保護部材が施工されるスキッドポスト21は、鋼製のパイプ状であり、炉床Gから立設されている。なお、スキッドポスト21とは、鋼製のパイプ状そのものだけでなく、該鋼製のパイプ状の周囲に耐火キャスタブル等の既存の断熱材を有するものも包含するものである。複数本のスキッドポスト21に支承されるようにしてスキッドビーム22が設置されている。スキッドポスト21の上部には耐火キャスタブルよりなる耐火被覆23が施されている。スキッドポスト21のうち、この耐火被覆23の下側に本発明の断熱保護部材1を施工する。断熱保護部材1は、基材部3と反対側1fをスキッドポスト21に向けて施工される。
スキッドビーム22の上半側にも耐火キャスタブルよりなる耐火被覆24が施されている。スキッドビーム22の下半側に本発明の断熱保護部材1を施工する。断熱保護部材1は、基材部3と反対側1fをスキッドビーム22に向けて施工される。
本発明の断熱保護部材1は、炉内部材の施工対象面が凸曲面であるスキッドポスト21又はスキッドビーム22の下半側に施工される、特に該積層体を施工対象面に当てるようにして施工されることが、該積層体の構成要素であるニードルブランケットの厚み方向が変形圧縮することで内外周の周長差を吸収する。その結果、施工対象面が小曲率半径にて凸に湾曲していても、断熱保護部材を湾曲させて施工対象面に密着させることができる点で好ましい。
本発明の断熱保護部材がスキッドポスト21又はスキッドビーム22に施工された状態において、基材部3、基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、各部における無機繊維の嵩密度が基材部、該基材部との結合部を有する端部、該対向端部の順に高くなることが好ましい。
断熱保護部材1の施工前にスキッドポスト21及びスキッドビーム22の外面に接着剤層11(図8a,8bでは図示略)を塗布しておく。
施工された断熱保護部材1の外周側に、酸化物前駆体含有液が含浸されたアルミナ繊維ニードルブランケット30を付着させた後、テープやロープで固定する。このテープやロープは、その後、炉内を昇温させた際に焼失する。また、この昇温によって酸化物前駆体が焼成され、酸化物となり、ニードルブランケット内のアルミナ繊維同士の結合のみならず、該折り返し体の界面同士の結合が該酸化物の焼結により強固になるため、断熱保護部材1の形状が保持される。
なかでも、施工された断熱保護部材1の焼成後における基材部、基材部との結合部を有する端部とその対向端部における嵩密度が基材部、基材部との結合部を有する端部、そして対向端部の順に高くなることが好ましい。
断熱保護部材1A〜1Cも同様にして施工される。
以下、本発明で用いるのに好適なニードルブランケットについて詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に特定はされない。
本発明の断熱保護部材は、好ましくはニードルブランケットの少なくとも一部に未乾燥状態で酸化物前駆体含有液が付着している含浸部が設けられ、該含浸部の水分量が、該含浸部の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部であり、該断熱保護部材全体の水分量が断熱保護部材全体の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部であり、前記酸化物前駆体含有液は、焼成により酸化アルミニウム(Al)及び酸化カルシウム(CaO)を含むアルミナ・カルシア系組成物(Al及びCaOは単体であってもよく複酸化物であってもよい。)を生じさせる成分を含有しており、前記含浸部においては、酸化物前駆体含有液が酸化物換算量として該含浸部の無機繊維100質量部に対して2〜50質量部となるように付着しており、前記含浸部全体(無機繊維と付着物との全体)におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)が10以上330以下である。
[ニードルブランケット]
本発明に用いられる無機繊維のニードルブランケット(以下、単に「ブランケット」又は「ニードルブランケット」と称す場合がある。)は、実質的に繊維径3μm以下の繊維を含まない無機繊維の繊維集合体にニードリング処理が施されたものが好ましい。このようなニードルブランケットを用いることにより、本発明の断熱保護部材の耐風食性を高めることができる。
<無機繊維>
ニードルブランケットを構成する無機繊維としては、特に制限がなく、シリカ、アルミナ/シリカ、これらを含むジルコニア、スピネル、チタニア及びカルシア等の単独、又は複合繊維が挙げられるが、特に好ましいのは耐熱性、繊維強度(靭性)、安全性の点で、アルミナ/シリカ系繊維、特に多結晶質アルミナ/シリカ系繊維である。
アルミナ/シリカ系繊維のアルミナ/シリカの組成比(質量比)は65〜98/35〜2のムライト組成、又はハイアルミナ組成と呼ばれる範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは70〜95/30〜5、特に好ましくは70〜74/30〜26の範囲である。
本発明においては、無機繊維の80質量%以上、好ましくは90質量%以上、特に好ましくはその全量が上記ムライト組成の多結晶アルミナ/シリカ系繊維であることが好ましい。また、無機繊維中のAlに対するCaのモル比率(Ca/Al)は0.03以下であることが好ましく、特に無機繊維はCaを含まないことが好ましい。
この無機繊維は、好ましくは繊維径3μm以下の繊維を実質的に含まない。ここで繊維径3μm以下の繊維を実質的に含まないとは、繊維径3μm以下の繊維が全繊維重量の0.1質量%以下であることをさす。
無機繊維の平均繊維径は5〜8μmであることが好ましい。無機繊維の平均繊維径が太すぎると繊維集合体の反発力、靭性が失われ、細すぎると空気中に浮遊する発塵量が多くなり、繊維径3μm以下の繊維が含有される確率が高くなる。
<ニードルブランケットの製造方法>
上述の好適な平均繊維径を有し、かつ、繊維径3μm以下の繊維を実質的に含まない無機繊維集合体は、ゾル−ゲル法による無機繊維集合体の製造において、紡糸液粘度の制御、紡糸ノズルに用いる空気流の制御、延伸糸の乾燥の制御及びニードリングの制御等により得ることができる。
ニードルブランケットは、従来公知の方法、例えば特開2014−5173号公報に記載があるように、ゾル−ゲル法により無機繊維前駆体のマット状集合体を得る工程と、得られた無機繊維前駆体のマット状集合体に、ニードリング処理を施す工程と、ニードリング処理された無機繊維前駆体の集合体を焼成して無機繊維集合体とする焼成工程とを経て製造される。なお、マット状集合体にあっては、無機繊維前駆体が集積過程でマット面方向に配向するので、ニードルブランケットにあっては繊維がブランケットの面方向(マット面方向)に配向する。
ニードルブランケットは、従来公知の方法、例えば特開2014−5173号公報に記載があるように、ゾル−ゲル法により無機繊維前駆体の集合体を得る工程と、得られた無機繊維前駆体の集合体に、ニードリング処理を施す工程と、ニードリング処理された無機繊維前駆体の集合体を焼成して無機繊維集合体とする焼成工程とを経て製造される。
<ニードルブランケットのニードル痕密度、嵩密度及び厚さ>
ニードルブランケットのニードル痕密度については、2〜200打/cm、特に2〜150打/cm、とりわけ2〜100打/cm、中でも2〜50打/cmであることが好ましい。このニードル痕密度が低過ぎると、ニードルブランケットの厚みの均一性が低下し、かつ耐熱衝撃性が低下する等の問題があり、高過ぎると、繊維を傷め、焼成後に飛散し易くなるおそれがある。
ニードルブランケットの嵩密度は、50〜200kg/mであることが好ましく、80〜150kg/mであることがより好ましい。嵩密度が低すぎると脆弱な無機繊維成形体となり、また、嵩密度が高すぎると無機繊維成形体の質量が増大するとともに反発力が失われ、靭性の低い成形体となる。
ニードルブランケットの面密度は、500〜4000g/m、特に600〜3800g/m、とりわけ1000〜2000g/mであることが好ましい。このニードルブランケットの面密度が小さ過ぎると、繊維量が少なく、極薄い成形体しか得られず、断熱用無機繊維成形体としての有用性が低くなり、面密度が大き過ぎると繊維量が多すぎることにより、ニードリング処理による厚み制御が困難となる。
ニードルブランケットの厚さは、好ましくは2〜35mm程度であるが、後述の通り、酸化物前駆体含有液の含浸深さを3mm以上、好ましくは10mm以上確保する観点から、ニードルブランケットの厚さは3mm以上、特に10mm以上であることが好ましい。
なお、本発明において、無機繊維のニードルブランケットは、板状の本発明の無機繊維成形体が製造できるように、板状に成形される。ただし、板状のニードルブランケットは取り扱い時にロール状とされていてもよい。
[酸化物前駆体含有液]
上記のニードルブランケットに含浸させる酸化物前駆体含有液は、酸化物前駆体として、焼成により酸化アルミニウム(Al)及び酸化カルシウム(CaO)を含むアルミナ・カルシア系組成物を生じさせる成分を含む。このアルミナ・カルシア系組成物にあっては、Al及びCaOは、単体であってもよく、AlとCaOの複酸化物であってもよい。AlとCaOの複酸化物としては、CaO・Al、CaO・2Al、CaO・6Al等が例示されるが、これに限定されない。
酸化物前駆体含有液のみを乾燥及び焼成した場合の焼成物中の酸化物の存在形態としては、次の(i)〜(v)のいずれであってもよい。
(i) Al単体とCaO単体
(ii) Al単体とCaO単体と複酸化物
(iii) Al単体と複酸化物
(iv) CaO単体と複酸化物
(v) 複酸化物のみ
酸化物前駆体含有液は、少なくともCaを含有する成分とAlを含有する成分を含む。Caを含有する成分としては、具体的には、カルシウムの水酸化物、塩化物、酢酸塩、乳酸塩、硝酸塩、炭酸塩等が挙げられる。これらは1種のみが酸化物前駆体含有液中に含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。なかでも、カルシウムの酢酸塩、水酸化物又は炭酸塩であることが、焼成時に発生する成分は主に水と二酸化炭素であり、炉内の金属部材や、鋼板等を劣化させない点で好ましい。
Caを含有する成分は、酸化物前駆体含有液中で溶解していても、ゾル状でも、分散状でもよい。Caを含有する成分が酸化物前駆体含有液中で溶解していること又は均一に分散していることにより、酸化物前駆体をニードルブランケットを構成する各無機繊維それぞれの表面全体に均一にコーティングでき、加えて無機繊維内部まで容易に含浸できる点で好ましい。Caを含有する成分が酸化物前駆体含有液中で沈殿する場合は、無機繊維表面に均一にコーティングできず、繊維表面にコーティングできていない部分が生じ、そこからスケールによる浸食が発生するおそれがあるため、耐スケール性向上効果を十分に発揮することができなくなるおそれがある。
Alを含有する成分としては、具体的には、アルミニウムの水酸化物、塩化物、酢酸塩、乳酸化塩、硝酸塩、炭酸塩等が挙げられる。これらは1種のみが酸化物前駆体含有液中に含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。なかでも、アルミニウムの酢酸塩、水酸化物又は炭酸塩であることが、焼成時に発生する成分は主に水と二酸化炭素であり、炉内の金属部材や、鋼板等を劣化させない点で好ましい。
Alを含有する成分は、酸化物前駆体含有液中で溶解していても、ゾル状でも、分散状でもよい。Alを含有する成分が酸化物前駆体含有液中で溶解していること又は均一に分散していることにより、酸化物前駆体をニードルブランケットを構成する各無機繊維それぞれの表面全体に均一にコーティングでき、加えて無機繊維内部まで容易に含浸できる点で好ましい。Alを含有する成分が酸化物前駆体含有液中で沈殿する場合は、無機繊維表面に均一にコーティングできず、繊維表面にコーティングできていない部分が生じ、そこからスケールによる浸食が発生するおそれがあるため、耐スケール性向上効果が乏しくなるおそれがある。
好ましくは、酢酸を分散剤としたアルミナゾルであり、このものは、焼成時に発生する成分が水と二酸化炭素である点で優れている。同様の理由で乳酸を分散剤としたアルミナゾルも用いることができるが、この場合には断熱保護部材の熱収縮率が、酢酸を分散剤としたアルミナゾルを用いた断熱保護部材と比較して高くなる傾向にある。
上記のアルミナゾルを用いた場合に使用する焼成によりCaOを生成させる成分は、カルシウムの酢酸塩が好ましい。酢酸塩を混合することでアルミナゾルの分散性の低下を抑え、酸化物前駆体含有液の粘度の上昇を抑えることができる。酸化物前駆体含有液の粘度が適正な範囲にあることで、含浸しやすくまた、付着量を制御しやすくなる。酸化物前駆体含有液の粘度が過度に高いと、無機繊維に対して含浸が困難になるおそれがある。
酸化物前駆体含有液としては、アルミナゾルが分散した酢酸カルシウム水溶液が好ましい。
酸化物前駆体含有液は、上記の焼成によりAlを生じさせる成分と、焼成によりCaOを生じさせる成分とを、AlとCaのモル比率(Al/Ca)が4以上100以下となるように含むものが好ましく、より好ましくは6以上36以下であり、特に好ましくは9以上13以下である。Al/Ca比率がこの範囲であると、炉内で加熱されたときに、カルシウム成分が適度に拡散して無機繊維とスケールとが反応するのを抑制することができる。また、耐スケール性の高い酸化カルシウム系の酸化物を生成するため、耐スケール性の向上効果に優れたものとなる。
酸化物前駆体含有液の酸化物前駆体濃度(焼成によりAlを生じさせる成分と焼成によりCaOを生じさせる成分の合計の含有量)は、酸化物換算の固形物濃度として、2〜30質量%、特に5〜10質量%が好ましい。酸化物前駆体含有液の酸化物前駆体濃度が低すぎるとニードルブランケットに対する酸化物前駆体成分の付着量(付着量)が低くなるおそれがある。酸化物前駆体含有液の酸化物前駆体濃度が高すぎると、酸化物前駆体含有液の粘性が高くなり、含浸しにくくなるおそれがある。
前述の通り、酸化物前駆体含有液は、ゾル又は溶液であることが、ニードルブランケットの各無機繊維それぞれの表面に均一に酸化物前駆体をコーティングできる点で好ましい。
酸化物前駆体含有液の分散媒体ないしは溶媒としては、水、アルコール等の有機溶媒またはこれらの混合物、好ましくは水が使用される。酸化物前駆体含有液には、ポリビニルアルコール等のポリマー成分が含有されていてもよい。ゾル又は溶液中の化合物の安定性を高めるために、分散安定剤を加えてもよい。分散安定剤としては、例えば、酢酸、乳酸、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
酸化物前駆体含有液は着色剤が配合されてもよい。酸化物前駆体含有液を着色をすることにより、ニードルブランケットの含浸部と非含浸部の領域を目視にて確認することができる点で好ましい。着色の色は黒色や青色が好ましい。着色剤としては水溶性インクなどを用いることができる。
酸化物前駆体含有液のニードルブランケットへの好ましい含浸量は後述の通りである。
[酸化物前駆体含有液の含浸方法]
上記のような酸化物前駆体含有液を無機繊維のニードルブランケットに含浸させるには、ニードルブランケットを酸化物前駆体含有液中に浸して、酸化物前駆体含有液をニードルブランケットの無機繊維間に浸透させればよい。
このようにして酸化物前駆体含有液をニードルブランケットに含浸させた後、所望の含水量、酸化物前駆体付着量となるように、必要に応じ吸引又は圧縮、遠心脱水などにより余剰な液を脱離させてもよい。吸引により余剰な液を脱離させるには、含浸部に被さるアタッチメントを装着し、該アタッチメントに設けた吸引口から吸引して脱液する方法が好ましい。但し、スプレーで塗布する方法は、表面近傍において無機バインダーの固形分密度が高くなるため、ニードルブランケットの厚み方向において均等に含浸させることができない。また、前駆体液含浸部の水分量が多くなるため、乾燥時にマイグレーションが生じ、無機バインダー固形分が表面に多くなる。ゆえに、焼成すると無機繊維成形体の表面部分にひび割れる、そり及び亀裂が発生する不具合が生じてしまうため、スプレーで塗布する方法は望ましくない。
このようにして酸化物前駆体含有液を含浸し、必要に応じて余分な液を脱離させた後、更に必要に応じて所定の水分量になるまで乾燥してもよい。こうすることで、高い酸化物前駆体付着量(付着量)を保ったまま、含水量を減らすことができる。水分量を減らすことで、施工時の接着剤との接着性を高めることができる。また、可撓性を保ったまま、無機繊維成形体の質量を軽くすることで、施工が容易になる利点がある。この乾燥条件は、脱離させる水分量に応じて80〜180℃で0.5〜24時間の範囲で適宜設定される。
酸化物前駆体含有液の付着量は、後述の通り、好ましくは、酸化物(CaO及びAl)換算量として、無機繊維100質量部に対して2〜50質量部である。
[ニードルブランケットにおける含浸部の位置]
本発明の断熱保護部材は、上記のようにして、断熱保護部材の少なくとも積層体2と該基材部3の少なくとも一部に、好ましくは積層体2の基材部との結合部を有する端部、その対向端部及び基材部3側に、より好ましくは積層体2及び基材部3全体に酸化物前駆体含有液が含浸され、かつ未乾燥状態となっている含浸部(以下、単に「含浸部」と称す場合がある。)が形成されているものである。
この含浸部は、断熱保護部材が加熱炉内で使用される際に、少なくとも断熱保護部材の炉内露呈面(被加熱面)となる基材部3に形成されることが好ましい。これは未含浸部においてスケールによる浸食が発生するためでる。含浸部は、前記H方向において積層体2及び基材部3側から高さの1/2以上形成されること、特に断熱保護部材の全体が含浸部であることにより、耐スケール性を高めることができる。
[含浸部及び断熱保護部材の水分量]
本発明の断熱保護部材において、該含浸部の水分量は、当該含浸部の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部である。含浸部の水分量が過度に少ない場合は、バインダー効果により可撓性がなくなる。また、繊維の発塵も多くなる。逆に含浸部の水分量が過度多い場合は、無機繊維成形体に少しの圧をかけただけで、無機繊維から液が漏れ出る。また、自重によって無機繊維成形体が押し潰され、このために端面の剥離が大きくなるという課題がある。また、含浸部の水分量が多過ぎると、使用時の加熱でマイグレーションと呼ばれる、水の乾燥に伴うゾルの物質移動が激しくおき、乾燥表面近傍での付着量が著しく高くなり、内部の付着量が低下することとなるため、耐熱衝撃性、加熱収縮率が悪化する。つまり含浸部全体の均一性を保つには含浸部の水分量は、400質量部を超えないことが重要である。好ましくは、該含浸部の水分量は、含浸部の無機繊維100質量部に対して80〜350質量部である。
本発明の断熱保護部材全体に含まれる水分量は、断熱保護部材全体の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部である。断熱保護部材中の水分量が無機繊維100質量部に対して50質量部より少ないと、断熱保護部材の未乾燥状態を維持しにくく、また可撓性が低くなり施工時に剥離や割れの問題が生じる。断熱保護部材の水分量が無機繊維100質量部に対して400質量部より多いと、断熱保護部材に少しの圧をかけただけで、無機繊維から液が漏れ出る。また、自重によって断熱保護部材が押し潰され、このために端面剥離が大きくなるという課題がある。断熱保護部材全体の水分量は、好ましくは断熱保護部材全体の無機繊維100質量部に対して150〜300質量部である。
積層体2全体の水分量は、積層体2全体の無機繊維100質量部に対して、50〜400質量部、特に150〜300質量部であることが好ましい。なかでも、積層体2の基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、基材部との結合部を有する端部の水分量が対向端部と比較して高いことが好ましい。
基材部との結合部を有する端部における、該端部の無機繊維100質量部に対する水分量は、耐スケール性向上及び嵩密度向上の観点から、50〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは100〜350質量部、特に好ましくは200〜300質量部である。測定方法としては、基材部との結合部を有する端部の試験片(例えば、幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mm)を採取し、当該試験片の無機繊維100質量部に対する水分量を測定する。
対向端部における、該端部の無機繊維100質量部に対する水分量は、耐スケール性向上及び嵩密度向上の観点から、50〜400質量部であることが好ましく、より好ましくは75〜300質量部、特に好ましくは100〜200質量部である。測定方法としては、対向端部の試験片(例えば、幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mm)を採取し、試験片の無機繊維100質量部に対する水分量を測定する。
基材部3全体の水分量は、基材部3全体の無機繊維100質量部に対して、50〜400質量部、特に150〜300質量部であることが好ましい。
[焼成後における酸化物の付着量]
酸化物前駆体含有液は、含浸部において、焼成後の酸化物(CaO及びAl)付着量(以下、単に「酸化物付着量」と称す場合がある。)が含浸部の無機繊維100質量部に対して2〜50質量部となるように断熱保護部材のニードルブランケットに含浸される。この酸化物付着量は、含浸部の無機繊維100質量部に対して好ましくは5〜30質量部、最も好ましくは10〜25質量部である。酸化物付着量が少ない場合は、所望の耐スケール性が得られない場合がある。逆に多すぎると、含浸部の密度が高くなり、熱収縮率の悪化や耐熱衝撃性、耐機械衝撃性の低下が見られる。また、カルシウム成分が繊維表面に多量に存在する場合は、カルシウム成分と無機繊維で、低融点成分を多量に生成するため、含浸部の耐熱性が低下する。
断熱保護部材全体の酸化物付着量は、含浸部の酸化物付着量と同様な理由から、断熱保護部材全体の無機繊維100質量部に対して、5〜40質量部、特に8〜30質量部であることが好ましい。
積層体2全体の酸化物付着量は、含浸部の酸化物付着量と同様な理由から、積層体2全体の無機繊維100質量部に対して、5〜40質量部、特に8〜30質量部であることが好ましい。なかでも、積層体2の基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、基材部との結合部を有する端部の酸化物前駆体含有液量が対向端部と比較して高いことが好ましい。
基材部との結合部を有する端部においては、酸化物前駆体含有液が酸化物付着量として該端部の無機繊維100質量部に対して、耐スケール性向上及び嵩密度向上の観点から、8〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜40質量部、特に好ましくは25〜35質量部である。測定方法としては、基材部との結合部を有する端部の試験片(例えば、幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mm)を採取し、試験片の無機繊維100質量部に対する酸化物前駆体含有液量(酸化物付着量換算)として測定する。
対向端部においては、酸化物前駆体含有液が酸化物付着量として該対向端部の無機繊維100質量部に対して、スキッドポスト又はスキッドビーム等の施工対象物の曲率が高い場合の施工性向上及び施工対象物の表面に付着しているスケールへの耐スケール性付与の観点から、8〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは12〜40質量部、特に好ましくは15〜30質量部である。測定方法としては、対向端部の試験片(例えば、幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mm)を採取し、試験片の無機繊維100質量部に対する酸化物前駆体含有液量(酸化物付着量換算)として測定する。
基材部3全体の酸化物付着量は、含浸部の酸化物付着量と同様な理由から、断熱保護部材全体の無機繊維100質量部に対して、5〜40質量部、特に8〜30質量部であることが好ましい。
本発明の断熱保護部材の含浸部全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)は、10〜330であり、好ましくは30〜100であり、特に好ましくは32〜70である。
含浸部全体とは、含浸部を構成する無機繊維と付着物との全体を表わす。含浸部全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)とは、無機繊維成形体の含浸部に存在するニードルブランケットを構成する無機繊維に含まれるAlのモル量と酸化物前駆体含有液に由来するAlのモル量の和に対する無機繊維に含まれるCaのモル量と酸化物前駆体含有液に由来するCaのモル量の和の比である。施工前の断熱保護部材と、施工後、加熱により焼成された断熱保護部材とにおいて、AlとCaのモル比率(Al/Ca)は実質的に等しい。
本発明の断熱保護部材の含浸部全体のAl:Si:Caモル比は、77.2〜79.5:18.9〜21.6:0.9〜2.2であることが、耐スケール性、耐熱性及び耐熱衝撃性の観点から好ましい。ここで、含浸部全体のAlのモル量及びCaのモル量は、上記の通り、含浸部に存在するニードルブランケットを構成する無機繊維に含まれるAl及びCaの各モル量と酸化物前駆体含有液に由来するAl及びCaの各モル量との合計である。Siのモル量はニードルブランケットを構成する無機繊維に含まれるSiのモル量である。
含浸部におけるAl量、Ca量及びSi量は蛍光X線分析によって測定することができる。
積層体2全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)は、含浸部全体のAlとCaのモル比率(Al/Ca)と同様な理由から、通常10〜330であり、好ましくは30〜100であり、特に好ましくは32〜70である。
基材部との結合部を有する端部におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)は、含浸部全体のAlとCaのモル比率(Al/Ca)と同様な理由から、通常10〜330であり、好ましくは30〜100であり、特に好ましくは32〜70である。測定方法としては、基材部との結合部を有する端部の試験片(例えば、幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mm)を採取し、当該試験片の含浸部全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)を、ニードルブランケットを構成する無機繊維に含まれるAlのモル量と酸化物前駆体含有液に由来するAlのモル量の和に対する無機繊維に含まれるCaのモル量と酸化物前駆体含有液に由来するCaのモル量の和の比を用いて算出する。
対向端部におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)は、含浸部全体のAlとCaのモル比率(Al/Ca)と同様な理由から、通常10〜330であり、好ましくは30〜100であり、特に好ましくは32〜70である。測定方法としては、基材部との結合部を有する端部の試験片(例えば、幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mm)を採取し、当該試験片の含浸部全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)を、ニードルブランケットを構成する無機繊維に含まれるAlのモル量と酸化物前駆体含有液に由来するAlのモル量の和に対する無機繊維に含まれるCaのモル量と酸化物前駆体含有液に由来するCaのモル量の和の比を用いて算出する。
基材部3全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)は、含浸部全体のAlとCaのモル比率(Al/Ca)と同様な理由から、通常10〜330であり、好ましくは30〜100であり、特に好ましくは35〜80である。
[CaOの作用]
含浸部を有する本発明の断熱保護部材が炉内で加熱され、酸化物前駆体含有液が高温で焼成された場合、酸化物前駆体含有液から生成したCaO成分の一部が無機繊維内部に拡散する。含浸部全体におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)が上記範囲にあることで、高温まで焼成した時に、無機繊維内部に適量のCaOが拡散する。無機繊維内部に適量のCaOが存在することで、無機繊維中にFeOが拡散しにくくなる。つまり無機繊維とFeOとの反応が抑制される。このため、断熱保護部材の耐スケールが向上する。含浸部におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)が10より少ない場合は、無機繊維とその内部に拡散したCaOにより、無機繊維との低融点化合物を大量に生成するため、耐熱性、耐熱衝撃性が低下するおそれがある。また、含浸部におけるAlとCaのモル比率(Al/Ca)が330より多い場合は、CaOの拡散が不十分で、耐スケールが向上しないおそれがある。特にムライト(3Al・2SiO)組成の無機繊維を用いた場合は、高温で焼成されると、ムライトの結晶相と、ムライト成分にCaOが拡散した結晶相が生成する。この場合、耐熱衝撃性、耐熱性、耐機械衝撃性に優れるムライト結晶相を残したまま、CaOが繊維内部に拡散しているため、耐FeO性が向上すると考えられる。
このことは、当該無機繊維成形体を1400℃、8時間で焼成した後に、X線回折法(XRD)にて検出されるピークとして、ムライト結晶相を示すピークとCaO−Al−SiO系結晶相を示すピークが存在することで確認することができる。
Ca成分が繊維内部まで拡散していることは、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いた元素マッピングにより確認することができる。
[断熱保護部材の運搬、施工]
本発明の断熱保護部材は、乾燥による水分量の減少を防ぐため、真空梱包やシュリンク梱包などで梱包して保管、輸送されることが好ましい。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、本実施例に記載の項目は以下の方法によって測定した。
積層体の基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部を、それぞれ積層体下部及び積層体上部とする記す場合がある。
[水分量]
断熱保護部材含浸部の水分率は、断熱保護部材を150℃で12時間乾燥し、乾燥前の断熱保護部材の質量Wと乾燥後の断熱保護部材の質量Wとの差(W−W)から水分量を求め、無機繊維100質量部に対する水分の質量比として算出した。
測定に使用した試料は、積層体上部及び積層体下部については幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mmにカットした試験片を、基材部については幅10mm×奥行き60mm×高さ12.5mmにカットした試験片を用いた。
[酸化物付着量]
断熱保護部材含浸部の酸化物付着率は、断熱保護部材を1200℃で8時間焼成した後、断熱保護部材の質量を測定し、断熱保護部材中の無機繊維のニードルブランケットの質量を差し引いて酸化物付着量を求め、断熱保護部材中の無機繊維100質量部に対する酸化物付着量の質量比として算出した。
測定に使用した試料は、積層体上部及び積層体下部については幅12.5mm×奥行き60mm×高さ10mmにカットした試験片を、基材部については幅10mm×奥行き60mm×高さ12.5mmにカットした試験片を用いた。
[脱落確認試験]
断熱保護部材に3mm厚程度モルタルを塗り、直径340mm、高さ800mmの不定形耐火物の筒に施工し、昇温時間5℃/分、1400℃、8時間の条件で焼成し、脱落するかしないかを試験した。
<評価基準>
○:脱落せず、隙間もなかった
×:脱落した
[耐スケール性試験]
断熱保護部材を150℃で12時間乾燥し、R=34(弦長=145mm、矢向=40mm)の不定形耐火物にモルタルを3mm厚程度塗り、積層体の対向端部側を接着した。基材部の上に、5mm角で厚さ1mmの鉄ペレットを載せた状態で電気炉に入れ、1400℃まで5時間で昇温し、この温度に5時間保持した後、降温後取り出して、酸化鉄による深さ方向の浸食度合いから下記基準で評価した。
<評価基準>
○:浸食深さが0mmを超え10mm以下
×:浸食深さが10mmを超える
[外観観察]
断熱保護部材を150℃で12時間乾燥し、3mm厚程度モルタルを塗り、直径340mm、高さ800mmの不定形耐火物の筒に施工し、昇温時間5℃/分、1400℃、8時間の条件で焼成した後の不定形耐火物と断熱保護部材との隙間を観察した。
<評価基準>
○:隙間なし
△:隙間がごくわずか存在する
×:隙間が無数に存在する
[実施例1]
平均繊維径が5.5μmであり、実質的に繊維径3μm以下の繊維を含まない、アルミナ72質量%とシリカ28質量%とを含む多結晶質アルミナ/シリカ系繊維を集積してニードリングしてなるニードルブランケット(三菱ケミカル株式会社製 商品名 MAFTECTM MLS、厚さ12.5mm、ニードル痕密度5打/cm、嵩密度128kg/m、面密度1600g/m)を奥行き600mm×幅1800mmに加工したものを基材部とした。前記ニードルブランケットを奥行き600mm×幅100mmに加工したものを2つ折りにし、谷部分を基材部にアルミナ糸で縫合し、無機繊維成形体を得た。(H=50mm)
酸化物前駆体含有液として、酢酸を分散剤としたアルミナゾル溶液に、酢酸カルシウム一水和物をAlとCaのモル比率(Al/Ca)が12になるように添加し、酸化物換算の固形分濃度を7.0質量%に調整した液を作製した。この液を無機繊維成形体全体に含浸させた後、基材部側を吸引口に接地させ吸引力8.0m/minで吸引し、100℃、3時間乾燥し、断熱保護部材を得た。
得られた断熱保護部材の積層体上部、積層体下部、基材部及び全体の水分量、酸化物付着量、含浸部のAlとCaのモル比率(Al/Ca)及び嵩密度の測定結果を表1に示す。また、直径340mm、高さ800mmの不定形耐火物の筒に施工した際の断熱保護部材各部位の圧縮率と圧縮時における無機繊維の嵩密度及び焼成後における嵩密度を、並びに、施工された断熱保護部材の脱落確認試験、耐スケール性試験及び外観検査を上述の方法で評価した結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1と同様の形状に加工をした後、積層体の対向端部側を吸引口に接地させたこと以外は同様にして断熱保護部材を作製し、実施例1同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の形状に加工をした後、前駆体液を含浸以降の工程しないこと以外は同様にして断熱保護部材を作製し、実施例1同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0006838606
Figure 0006838606
[考察]
表1及び表2に記載の結果より、本願の断熱保護部材である実施例1及び実施例2は、比較例1と比較して、脱落確認試験、耐スケール性試験及び外観検査について良好であった。一方、比較例1は酸化物前駆体含有液を含浸させていないため、断熱保護部材がスケールに浸食されてしまい、耐スケール試験及び外観観察が不良であった。
実施例1と実施例2を比較すると、実施例1は酸化物前駆体含有液を、基材部側に吸引口を接地させて脱液しているため、施工面(積層体上部)の水分と付着量が少なく、構成材料であるニードルブランケットが有する柔軟性と反発力を維持できるため優れている。また、曝露面となる基材部、積層体下部に酸化物前駆体含有液を比較的多く付着できるため、より高い耐スケール性を付与できるため優れている。これに対して、実施例2は積層体の対向端部側に吸引口を接地させて脱液しているため、基材部の酸化物前駆体含有液の付着量が相対的に少なく、脱落はしないものの、一部分隙間が空いていることが観察された。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
本出願は、2016年5月13日付で出願された日本特許出願2016−097230に基づいており、その全体が引用により援用される。
1,1A〜1C 断熱保護部材
2,2A〜2C 積層体
3 基材部
4 縫糸
5 ニードルブランケット
7 凹所
10 施工対象物
11 接着剤層
21 スキッドポスト
22 スキッドビーム

Claims (20)

  1. アルミナ繊維のニードルブランケットの折り返し体が積層された積層体と、
    該ニードルブランケットの折り返し部分側の該積層体の1つの面に取り付けられたアルミナ繊維のニードルブランケットからなる基材部とを有する断熱保護部材であって、
    該ニードルブランケットの折り返し部分と該基材部とが結合され、
    該積層体と該基材部の少なくとも一部に、酸化物前駆体含有液が未乾燥状態で付着している含浸部が設けられており、
    該含浸部の水分量が、該含浸部の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部であり、
    該断熱保護部材全体の水分量が断熱保護部材全体の無機繊維100質量部に対して50〜400質量部であり、
    前記酸化物前駆体含有液は、焼成により酸化アルミニウム及び酸化カルシウムを含むアルミナ・カルシア系組成物を生じさせる成分を含有しており、
    前記含浸部においては、酸化物前駆体含有液が酸化物換算量として該含浸部の無機繊維100質量部に対して2〜50質量部となるように付着している断熱保護部材。
  2. 前記含浸部におけるAlとCaのモル比(Al/Ca)が10〜330である、請求項1に記載の断熱保護部材。
  3. 前記積層体の高さHが30〜150mmである、請求項1又は2に記載の断熱保護部材。
  4. 前記積層体の嵩密度が0.10〜0.75g/cmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱保護部材。
  5. 前記積層体と基材部とはアルミナ質の糸によって縫着されて接合されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱保護部材。
  6. 前記積層体の基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、該基材部との結合部を有する端部の酸化物前駆体含有液量が該対向端部よりも多い、請求項1〜5のいずれか1項に記載の断熱保護部材。
  7. 前記積層体の基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、該基材部との結合部を有する端部の水分量が該対向端部よりも多い、請求項1〜6のいずれか1項に記載の断熱保護部材。
  8. 前記積層体の基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、該基材部との結合部を有する端部の嵩密度が該対向端部と比較して高い、請求項1〜7のいずれか1項に記載の断熱保護部材。
  9. 前記基材部、該基材部と垂直方向における基材部との結合部を有する端部とその対向端部において、各部における無機繊維の嵩密度が、基材部、該基材部との結合部を有する端部、該対向端部の順に高くなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の断熱保護部材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の断熱保護部材を製造する方法であって、
    前記積層体を構成するためのニードルブランケットと前記基材部とを重ね合わせ、前記折り返し部となる部分で接合する工程と、
    前記積層体を構成するためのニードルブランケットをこの接合部分で基材部と垂直方向に折り立てる工程と
    を有する断熱保護部材の製造方法。
  11. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の断熱保護部材を、炉体の内面又は炉内部材の表面に取り付ける工程を有する断熱保護部材の施工方法。
  12. 前記断熱保護部材の基材部と反対側の面を、炉体の内面又は炉内部材の表面に取り付ける工程を有する、請求項11に記載の断熱保護部材の施工方法。
  13. 前記炉内部材の施工対象面が凸曲面である、請求項11又は12に記載の断熱保護部材の施工方法。
  14. 前記炉内部材は、スキッドポスト又はスキッドビームである、請求項13に記載の断熱保護部材の施工方法。
  15. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の断熱保護部材が表面に装着されている炉内部材。
  16. 前記炉内部材はスキッドポスト又はスキッドビームである、請求項15に記載の炉内部材。
  17. 前記断熱保護部材は、アルミナ・カルシア系組成物を含有する、請求項15又は16に記載の炉内部材。
  18. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の断熱保護部材が炉体内面又は炉内部材の表面に装着されている加熱炉。
  19. 前記炉内部材はスキッドポスト又はスキッドビームである、請求項18に記載の加熱炉。
  20. 前記断熱保護部材は、アルミナ・カルシア系組成物を含有する、請求項18又は19に記載の加熱炉。
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