JP6838232B2 - 精液用保存液、及びそれを用いた精液輸送方法 - Google Patents

精液用保存液、及びそれを用いた精液輸送方法 Download PDF

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Description

本発明は、精液用保存液、及びそれを用いた精液輸送方法に関するものである。
人工授精は、ヒトの不妊治療だけでなく、優良家畜の生産、品種改良、伝染性疾病の予防等の観点から普及している。特に家畜生産分野における人工授精の普及率は、ウシでほぼ100%、ブタでは約40%と非常に高い(非特許文献1)。
家畜の人工授精用精液を製造及び供給する家畜人工授精所等は、一般的に、顕微鏡や自動細胞解析装置等を用いて比較的簡便に検査が可能である精子運動性または生存性を、人工授精用精液の製品品質の合格基準として定めている。凍結精液を製造する際は凍結融解後の精子運動性または生存性が一定以上の製品を、凍結しない液状精液を製造する際は精液を希釈液で希釈及び冷却した後の精子運動性または生存性が一定以上の製品を、合格として市場に供給している。
一般的に、家畜等の哺乳動物の人工授精用精液の製造施設は、種畜を繋養する畜舎に隣接している。精液は、採取後直ちに製造施設内において希釈液で希釈及び冷却され、冷蔵または凍結保存されることで精子の代謝反応が遅延し、運動性及び生存性、ひいては人工授精による受胎性が保持されると考えられている。凍結精液の品質を向上させるため、人工授精ストロー(特許文献1)や凍結時の希釈液の改良(特許文献2)が行われている。
特許第5738314号 国際公開第2017/159737号
家畜人工授精講習会テキスト、平成28年3月改訂版
しかしながら、一度に多数の種畜の精液を取り扱う場合や畜舎から遠隔地に製造設備を持つ施設を有する場合など、精液を採取した後、直ちに冷却または凍結処理しない場合の精液保存技術及び輸送技術は十分に確立していない状況である。
つまり、家畜等の哺乳動物の精液は、pH緩衝剤や糖類を含む精液用保存液を添加して保存すると、採精直後の精子よりも著しく精子運動性が低下する。また、精液は輸送によるストレスで精子運動性及び生存性が低下する。そのため、従来の精液用保存液及びそれを用いた輸送方法では、精子の運動性や生存性低下を防ぐことに関して、十分な効果をえることができていなかった。
本発明の課題は、人工授精に用いる高品質の精液を、遠隔地に輸送する為の精液用保存液及び精液輸送方法を提供することである。
本発明者は、高品質の精液を安定的に供給するために、精液保存時に観察される精子の運動性低下を防ぐ精液用保存液の検討を行ってきた。
精液を保存・輸送に伴う精子代謝の進行や酸化ストレスに焦点を当てて検討したところ、タンパク質の脱リン酸化阻害剤を精液用保存液に添加することで、精子の運動性を高い水準で維持して保存・輸送することが可能となることを見出した。
また、保存容器の空気層を、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ミネラルオイル等の物質に置き換えることで、輸送後の精子運動性だけでなく、輸送後に作製した凍結精液の品質が向上することを見出し、本発明に到った。
本発明は、以下の発明を包含する。
[1] タンパク質の脱リン酸化阻害剤を含有することを特徴とする、精液用保存液。
[2] 前記精液が、哺乳動物由来の精液である、[1]に記載の精液用保存液。
[3] 前記脱リン酸化阻害剤が、前記精液中に含まれる精子タンパク質の脱リン酸化を阻害する阻害剤である、[1]又は[2]に記載の精液用保存液。
[4] 前記精子タンパク質が、精子の運動性に関連し、SDS−PAGEで求められる質量が50〜100キロダルトン(kDa)のタンパク質である、[3]に記載の精液用保存液。
[5] 前記脱リン酸化阻害剤が、酸性ホスファターゼ阻害剤、アルカリホスファターゼ阻害剤又はチロシンホスファターゼ阻害剤である、[1]〜[4]のいずれかに記載の精液用保存液。
[6] 前記脱リン酸化阻害剤が、イミダゾール、フッ化ナトリウム又はモリブデン酸ナトリウムである、[1]〜[5]のいずれかに記載の精液用保存液。
[7] 前記脱リン酸化阻害剤の含有量が、1〜100mMである、[1]〜[6]のいずれかに記載の精液用保存液。
[8] 精子のエネルギー源となる糖をさらに含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の精液用保存液。
[9] 前記糖が、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、フルクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、又はガラクトオリゴ糖である、[8]に記載の精液用保存液。
[10] 浸透圧計(オズモメーター)を用いて測定される浸透圧が、230〜400mmol/kgである、[1]〜[9]のいずれかに記載の精液用保存液。
[11] 緩衝剤をさらに含有する、[1]〜[10]のいずれかに記載の精液用保存液。
[12] 緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はクエン酸である、[1]〜[11]のいずれかに記載の精液用保存液。
[13] 前記哺乳動物が、ウシ、水牛、ブタ、ヤギ、ウマ又はヒツジである、[2]〜[12]のいずれかに記載の精液用保存液。
[14] 精液を含有する、[1]〜[13]のいずれかに記載の精液用保存液からなる、精液含有保存液。
[15] 前記精液が、凍結保存した精液を融解してなる精液である、[14]に記載の精液含有保存液。
[16] [14]に記載の精液含有保存液を、ミネラルオイルと接触させた状態で輸送することを特徴とする、精液輸送方法。
[17] [14]に記載の精液含有保存液を、不活性ガスを含有する気体と接触させ、酸素体積比が20.1%以下となる状態で輸送することを特徴とする、精液輸送方法。
[18] 前記不活性ガスが、水素ガス、窒素ガス又はアルゴンガスである、[17]に記載の精液輸送方法。
本発明によれば、精子タンパク質の脱リン酸化阻害剤を用いることにより、保存後の精子運動性を高く維持できる。また、精子の運動性だけでなく、生存かつ先体正常精子率にも優れた人工授精用の精液を供給することができる。
本発明における精子運動性や生存性を維持するメカニズムとしては、脱リン酸化阻害といったタンパク質のリン酸化の制御により保存・輸送中の精子の代謝を抑えられることや、精子運動性や生存性に関わるタンパク質の特異的なリン酸化の制御により保存・輸送後、さらには凍結融解後の精子運動性を維持できるようになること、などが考えられる。
イミダゾールを含む精液用保存液で保存した後の運動精子率を示すグラフ。(異符号間に有意差あり(p<0.05、Tukey’s test)) モリブデン酸ナトリウムを含む精液用保存液で保存した後の運動精子率を示すグラフ。(異符号間に有意差あり(p<0.05、Tukey’s test)) フッ化ナトリウムを含む精液用保存液で保存した後の運動精子率を示すグラフ。(異符号間に有意差あり(p<0.05、Tukey’s test)) イミダゾールを含む精液用保存液で保存後に作製した凍結精液の、融解直後及び培養後の運動精子率を示すグラフ。(*は0mM添加区及び10mM添加区の間に有意差有り(p<0.05、Dunnett’s test)) モリブデン酸ナトリウムを含む精液用保存液で保存後に作製した凍結精液の、融解直後及び培養後の運動精子率を示すグラフ。 フッ化ナトリウムを含む精液用保存液で保存後に作製した凍結精液の、融解直後及び培養後の運動精子率を示すグラフ。(*は0mM添加区及び10mM添加区の間に有意差有り(p<0.05、Dunnett’s test))
TC液で保存前後の牛精子タンパク質のチロシンリン酸化状態変化を示す、蛍光微鏡写真及びグラフ。(*は保存前後間に有意差有り(p<0.05、Paired t-test)) 脱リン酸化阻害剤カクテルを添加したTC液で保存した精子の、生存かつ先体正常率及び運動精子率を示すグラフ。(*は試験区間に有意差有り(p<0.05、Paired t-test)) 脱リン酸化阻害剤カクテルを添加したTC液で保存後に作製した凍結精液の、融解直後及び培養後の運動精子率を示すグラフ。(*は試験区間に有意差有り(p<0.05、Paired t-test)) イミダゾールを含む精液用保存液で保存した後の運動精子率を示すグラフ。(異符号間に有意差あり(p<0.05、Tukey’s test))
保存前、TC液で保存及びイミダゾールを添加した精液用保存液で保存した精子タンパク質のチロシンリン酸化状態変化を示す、ウエスタンブロット写真及びグラフ。(*は試験区間に有意差有り(p<0.05、Paired t-test)) ミネラルオイルを充填して保存した後に作製した凍結精液の、融解直後及び培養後の運動精子率と平均経路速度を示すグラフ。(*は試験区間に有意差有り(p<0.05、Paired t-test)) 水素ガス(H)、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)又は酸素ガス(O)を充填して保存した後の運動精子率を示すグラフ。(異符号間に有意差あり(p<0.05、Tukey’s test)) 水素ガス(H)、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)又は酸素ガス(O)を充填して保存した後に作製した凍結精液の、融解直後並びに培養後の運動精子率とその維持率(培養6時間目の値/培養0時間目の値)及び平均経路速度を示すグラフ。(*はAir区との間に有意差有り(p<0.05、Dunnett’s test)、異符号間に有意差あり(p<0.05、Tukey’s test)) イミダゾールの添加及び窒素ガス充填を併用して24時間保存した後の運動精子率、並びに保存後に作製した凍結精液の融解直後及び培養後の運動精子率を示すグラフ。(異符号間に有意差あり(p<0.05、Paired t-test)。 イミダゾールの添加及び窒素ガス充填を併用して宅配便により運搬した直後の運動精子率、並びに保存後に作製した凍結精液の融解直後及び培養後の運動精子率を示すグラフ。(*は試験区間に有意差有り(p<0.05、Paired t-test))
本発明は、タンパク質の脱リン酸化阻害剤を含有する精液用保存液、及びそれを用いた精液輸送方法に関する。
本発明において、保存又は輸送の対象とされる精液は、哺乳動物由来の精液を用いることができる。哺乳動物としては、ウシ、水牛、ブタ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜動物、イヌ、ネコ、ウサギ等の愛玩動物、パンダ等の絶滅危惧動物、及び、マウス、ハムスター、ラット等の実験動物が挙げられる。本発明の精液用保存液は、哺乳動物以外に、鳥類や魚類の精子保存と精子輸送に用いることができる。
本発明の脱リン酸化阻害剤は、精液中に含まれるタンパク質、特に精子タンパク質の脱リン酸化を阻害する化合物である。
脱リン酸化が阻害される精子タンパク質としては、精子の運動性に関連するタンパク質である。好ましくは、SDS−PAGE(Sodium Dodecyl Sulfate-PolyAcrylamide Gel Electrophoresis)で求められる質量が50〜100キロダルトン(kDa)のタンパク質が挙げられる。特に、質量が55kDaのタンパク質、及び質量が77kDaのタンパク質が挙げられる。
脱リン酸化阻害剤としては、酸性ホスファターゼ阻害剤、アルカリホスファターゼ阻害剤、チロシンホスファターゼ阻害剤等が挙げられる。脱リン酸化阻害剤である具体的化合物としては、イミダゾール、オルトバナジン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、βグリセロリン酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、及びフッ化ナトリウムが好ましく、イミダゾール、フッ化ナトリウム、及びモリブデン酸ナトリウムがより好ましい。
脱リン酸化阻害剤の含有量は、1〜100mMであることが好ましく、1〜20mMがより好ましく、4〜12mMが特に好ましい。
本発明の精子用保存液は、精子のエネルギー源として糖成分を含有しても良い。糖としては、グルコース、フルクトース、スクロース、ラクトース等に加えて、ラフィノース、フルクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等の、オリゴ糖が挙げられる。
糖成分の濃度は、1〜150mMが好ましい。
糖成分としてフルクトース又はラクトースを用いる場合は、フルクトースの濃度は1〜50mMが好ましく、5〜30mMがより好ましい。ラクトースの濃度は、1〜100mMが好ましく、20〜60mMがより好ましい。糖成分としてスクロース又はラクトースを用いる場合は、スクロースの濃度は10〜150mMが好ましく、30〜70mMがより好ましい、ラクトース濃度は10〜150mMが好ましく、30〜70mMがより好ましい。
糖成分として、オリゴ糖を用いる場合は、オリゴ糖の濃度は、20〜40g/L(w/v)が好ましく、25〜35g/L(w/v)がより好ましい。
本発明の精子用保存液の浸透圧は、精子の運動活性及び受精活性が維持できる浸透圧であれば任意の浸透圧であってもよいが、通常は230〜3414mmol/kgである(Guthrie et al.、Biology of Reproduction 67、 1811−1816 (2002))。浸透圧は、溶質の濃度、解離度等から理論値を計算することもできるが、溶液を構成する物質の相互作用等を考慮して、浸透圧計(オズモメーター)を用いて測定される。
本発明の精子用保存液の浸透圧は、230〜400mmol/kgが好ましく、250〜350mmol/kgがより好ましい。
本発明の精子用保存液は、所望のpHを達成するために緩衝剤を含んでもよい。緩衝剤としては、中性付近に緩衝作用を持つ緩衝剤であれば任意のものを選択することができ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、メス、ヘペス、テス、トリシン等の緩衝剤、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液等が挙げられる。
緩衝剤としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが好ましい。
また、所望のpHに調整するため、酸若しくはアルカリを用いることができる。酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、アスコルビン酸等が挙げられる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。
緩衝剤として、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はクエン酸を用いる場合は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの濃度は、50〜200mMが好ましく、80〜150mMがより好ましい。クエン酸の濃度は、20〜80mMが好ましく、25〜60mMがより好ましい。
pH調整のための緩衝剤としては、クエン酸が好ましい。
本発明の精液用保存液は、細菌の繁殖を防ぐために抗生物質を含んでもよい。含まれても良い。抗生物質としては、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、タイロシン、リンコマイシン、スペクチノマイシン、ジベカシン等が挙げられる。
本発明の精液用保存液は、冷却ストレスから精子を保護するために大豆レシチンや卵黄を含んでもよい。一方、鳥インフルエンザ等の発生により家きん卵の流通が制限された場合や、自然災害等により種畜からの精液採取が可能な状況で製造施設が機能停止した場合に、その製造施設では精液の冷却保存ができなくなるため、冷却せずに精液を長期保存し、遠隔地に輸送することもできる。
本発明の精液含有保存液は、精液を前記精液用保存液で希釈して得られる。精液の希釈倍率は、精子の生存性に影響を与えない限り特に限定されないが、1.5倍〜10倍希釈が好ましく、2〜4倍希釈がより好ましい。
本発明の精液輸送方法は、精子の生存性に影響を与えない限り特に限定されないが、精液、又は精液含有保存液を、ミネラルオイルと又は不活性ガスを空気より多く含有する気体と接触させた状態で輸送することが好ましい。
ミネラルオイルは、精製されたパラフィン系であれば特に限定されないが、医療用軟膏基剤として用いられるものが好ましい。
不活性ガスとしては、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
本発明の精液輸送方法で精液は、精液含有保存液及びミネラルオイル又は不活性ガスからなる2層構造の状態で輸送されることが好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
<1.精液用保存液の調製>
下記表1記載の各物質を表1の組成になるように秤量し、蒸留水を加えて100mLにし、トリスクエン酸緩衝糖液(TC液)100mLを調製した。
Figure 0006838232
上記TC液に、脱リン酸化阻害剤として、イミダゾール(和光純薬工業社製)、モリブデン酸ナトリウム(シグマアルドリッチ社製)、又はフッ化ナトリウム(和光純薬工業社製)を、0.1mM、1mM、又は10mMとなるように添加し、精液用保存液を調製した。
<2.精液含有保存液の調製>
5頭のホルスタイン種種雄牛(5〜9才、各1射精)から採取した新鮮精液1mLを、ポリエチレン製の丸底チューブ(コーニング社製)に入れた後、上記精液用保存液(25℃)1mLを加えて1:1の割合で希釈した(2倍希釈)。
得られた精液含有保存液を、水温を18℃に設定した卓上型振とう恒温槽(タイテック社製)を用いて振とう速度30 rpm で振とうしながら24時間保存した。
実施例1(精子運動率の測定)
直ちに全ての精液を冷却処理することができない場合や畜舎から遠隔地に高度な製造技術または高額な製造設備を持つ施設まで輸送する場合を想定し、24時間保存した後、TC液で精子濃度が約2000万/mLになるように精液含有保存液を希釈した。希釈精液を予め38℃に加温した厚さ20μmのスライドチャンバー(Leja社製)にマウントした後、精子運動解析システム(Ceros、Hamilton Thorne社製)により精子の運動性を解析し、運動精子率を測定した。
測定結果を図1〜3に示す。脱リン酸化阻害剤濃度依存的な運動精子率の向上が観察された。
実施例2(凍結精液の、融解直後及び培養後の運動精子率)
[凍結精液の作製]
24時間保存後の精液を、TC液で2回洗浄した。洗浄した精液を、非特許文献1の310〜311頁に記載の方法で凍結し、培養試験を実施するまで液体窒素中で保存した。
[精液の融解、及び精子の培養]
凍結精液を38℃の温湯で15秒かけて融解した。融解した精液に含まれる精子を、特許文献1の実施例1に記載の精子洗浄液を用いて洗浄した。洗浄後に38℃で培養しながら、融解直後、培養0時間、3時間、6時間目に精子運動解析装置(CASA)で精子運動性を解析して運動精子率を測定した。
測定結果を図4〜6に示す。脱リン酸化阻害剤の添加によって、運動精子率が向上することが観察された。
実施例3(免疫染色を用いた、保存前後の精子チロシンリン酸化状態確認)
5頭のホルスタイン種種雄牛(5〜7才、各1射精)から精液を採取し、TC液で24時間保存された精液、及び保存前の精液を用いて、精子のチロシンリン酸化状態を確認した。
精液中の精子をリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、PBS)で2回洗浄した。洗浄した精子を1%ホルムアルデヒド(和光純薬工業社製)-PBSにより15分間室温で固定し、200mMグリシン(和光純薬工業社製)を1mL加え反応停止させた。遠心分離により上清を除去し、PBSで2回洗浄することで、固定された精子を回収した。洗浄精子をスライドグラス(松浪硝子工業社製)に塗抹し風乾させた後、免疫染色に用いた。
塗抹した精子を0.1% Triton X-100 (SERVA Electrophoresis社製)-PBSにより室温で15分間処理し、3%BSA(和光純薬工業社製)-PBSで30分間ブロッキングした。PBSで1000倍希釈した抗チロシンリン酸化抗体(Clone 4G10; Merck社製)で1時間処理した。PBSで3回洗浄した後、300倍希釈したAlexa488標識抗マウスIgG抗体(Thermo Fisher Scientific社製)で1時間処理した。PBSで3回洗浄した後、カバーガラス(松浪硝子工業社製)をかけて正立蛍光顕微鏡システム(DM5500 B; Leica Microsystems社製)で観察した。
各個体100精子をカウントし、リン酸化チロシン(pY)陽性精子の内、精子中片部の蛍光強度が高い精子の数を比較した。
観察結果を図7に示す。
24時間保存後の精子は、リン酸化チロシン(pY)陽性シグナルの強度が減少する傾向を確認した。
保存中に、pYが脱リン酸化される精子が多くなったことから、脱リン酸化の阻害が精子運動性維持に寄与することが示唆された。
実施例4(脱リン酸化阻害剤カクテルが保存後の精子生存率、先体正常性及び精子運動性におよぼす影響)
6頭のホルスタイン種種雄牛(7〜9才、各1射精)から精液を採取し、和光純薬工業社製のPhosphatase Inhibitor Cocktail Solution II(以下、脱リン酸化阻害剤カクテル)を脱リン酸化阻害剤として用いた点以外は、上記1及び2と同じ方法で精液用保存液を調製し、精液含有保存液を得た。得られた精液含有保存液を用いて、24時間保存後の精子生存かつ先体正常性、及び精子運動性を確認した。
[生存かつ先体正常率の測定]
24時間保存後の精液から100万精子を分取し、特許文献1に記載の希釈液にFITC標識ピーナッツレクチン(Sigma社製、PNA)及びヨウ化プロピディウム(Sigma社製、PI)をそれぞれ2μg/mLとなるように溶かした溶液を用いて、10分間25℃の条件で二重染色した。染色後、セルアナライザー(Quanta SC; Beckman Coulter社製)で非染色精子を生存かつ先体正常精子としてカウントし、その百分率を算出し、生存かつ先体正常率の測定を測定した。
測定結果を図8に示す。
脱リン酸化阻害剤カクテルを含まない保存液で保存した対照区と比較して、脱リン酸化阻害剤カクテルを含む精液用保存液で保存すると、精子の生存かつ先体正常率が向上した。
[運動精子率の測定]
24時間保存後の精液を、TC液で精子濃度が約2000万/mLになるように希釈した。希釈精液を予め38℃に加温した厚さ20μmのスライドチャンバー(Leja社製)にマウントした後、精子運動解析システム(Ceros、Hamilton Thorne社製)により精子運動性を解析して、運動精子率を測定した。
測定結果を図8に示す。
脱リン酸化阻害剤カクテルを含まない保存液で保存した対照区と比較して、脱リン酸化阻害剤カクテルを含む精液用保存液で保存すると、精子の運動性が向上した。
[保存後の精液を凍結・融解した後の運動精子率及び精子平均経路速度]
実施例記載の方法で24時間保存後の精液を凍結・融解した後、0〜6時間培養して、運動精子率及び平均経路速度を測定した。
運動精子率及び平均経路速度は家畜精液の品質の指標であり、高い値であれば、製品の合格可能性が高いことを示す。
測定結果を図9に示す。
脱リン酸化阻害剤カクテルを含まない保存液で保存した対照区と比較して、脱リン酸化阻害剤カクテルを含む精液用保存液で保存すると、凍結・融解した後の精子運動性が向上した。
実施例5(イミダゾールが保存後の精子運動性、精子生存性に及ぼす影響)
イミダゾールを0、2、4、6、8、又は10mMとなるように添加した点以外は、上記1及び2と同じ方法で精液用保存液を調製し、精液含有保存液を得た。得られた精液含有保存液を用いて、24時間保存後の精子運動性を測定した。
測定結果を図10(n=14)に示す。
運動精子率は、イミダゾール濃度依存的に高まり、イミダゾール濃度10mMにおいて最も高かった。
また、イミダゾールを含まない精液用保存液を用いて保存した対照区(0mM)と比較して、10mMのイミダゾールを含む精液用保存液を用いて保存した試験区は、運動精子率が高かった(図1)。
さらに、精子のチロシンリン酸化状態に及ぼす影響について確認するために、10mMのイミダゾールを含む精液用保存液を用いて保存した精子を、ウエスタンブロット法によりリン酸化チロシン酸化状態を比較した。その結果、77キロダルトン(kDa)付近及び55kDa付近のバンドの発光強度が試験区で高かった(図11、n=8)。図11において、「当日」は保存前の精液を用いた場合の結果を示す。
この結果は、イミダゾールが、77kDa付近及び55kDa付近のタンパク質のチロシン脱リン酸化を阻害していることを示唆する。
なお、ウエスタンブロットは、以下の手順で行った。
1.保存前及び保存後の精液をPBSで2回洗浄し、4x Laemmli Sample Buffer(200mM トリス、8%SDS、24%β-メルカプトエタノール、40%グリセロール、1%ブロモフェノールブルー)で希釈し、95℃で5分間熱処理を行った。
2.SDS−PAGEは、電気泳動用プレキャストゲル(ミニプロティアンTGXゲル4-20%、Biorad社製)を用い、100∨で1時間半電気泳動した。
3.その後、PVDF膜への転写(ミニトランスブロットセル、Biorad社製)を100∨で1時間行った。転写したPVDF膜を3%BSA添加TBS−T(25mMトリス、150mM 塩化ナトリウム、0.1% Tween 20、pH7.6)に室温で1時間処理してブロッキング反応を行った。
4.続いて、1次抗体の反応を4℃、オーバーナイトで行った。1次抗体は抗リン酸化チロシン抗体(Clone 4G10; Merck社製)を用いた。
5.TBS−Tで洗浄後、2次抗体の反応を1時間、室温で行った。2次抗体は、1次抗体の動物種のHRP標識抗体(Jackson ImmunoResearch)をTBS−Tで希釈して用いた。処理したPVDF膜はTBS−Tで洗浄した後、ECL prime(GE lifescience社製)を用いて発光反応を行い、ケミルミ撮影装置(MultiImager II; Bio tools Inc.製)を用いて検出した。
6.得られた77kDa付近及び55kDa付近のバンドの発光強度を画像処理ソフトウェア(ImageJ、アメリカ国立衛生研究所)を用いて測定し、対照区及び試験区の「当日」に対する相対値を比較した。
実施例6(ミネラルオイルが、精液保存後の精子運動性に及ぼす影響)
6頭のホルスタイン種種雄牛(5〜9才、各1射精)から採取した精液2mLを、ポリスチレン製の丸底チューブ(コーニング社製)に分注し、TC液2mLを加えて1:1の割合で希釈した(2倍希釈)。
その後、丸底チューブ内の精液含有保存液以外の空間(空気層)にミネラルオイル(D05042; 吉田製薬社製)を満たし密閉した。密閉したチューブを、温度を18℃に設定したクロマトグラフィー冷蔵庫(REC-5004; Revco社製)内に設置した振とう機(NR-30; タイテック社製)の上に、チューブをその長辺に対して平行に振とうできるように設置し、振とう速度120rpmで振とうしながら24時間保存した。
24時間保存後の精液を、実施例記載の方法で凍結・融解した。融解直後、培養0時間、3時間、6時間目に精子運動解析装置(CASA)で精子運動性を解析して運動精子率及び平均経路速度を測定した。
測定結果を図12に示す。
空気層のミネラルオイルを満たして密閉した状態で保存すると、保存後に作製した凍結精液の融解後の精子運動性向上が観察された。
実施例7(ガスの充填が、精液保存後の精子運動性に及ぼす影響)
5頭のホルスタイン種種雄牛(5〜9才、各1射精)から採取した精液1mLを、ポリスチレン製の丸底チューブ(コーニング社製)に分注し、TC液1mLを加えて1:1の割合で希釈した(2倍希釈)。
その後、丸底チューブ内の精液含有保存液以外の空間(空気層)に、大陽日酸社製のガススプレー缶を用いて、精製空気、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス又は酸素ガスを充填し、直ちに密閉した。密閉したチューブを、18℃に設定したクロマトグラフィー冷蔵庫(REC-5004; Revco社製)内に設置した振とう機(NR-30; タイテック社製)の上に、チューブをその長辺に対して平行に振とうできるように設置し、振とう速度120rpmで振とうしながら24時間保存した。
24時間保存後の精子運動性を、実施例1記載の方法で測定した結果を図13に示す(n=5)。
空気層に酸素ガスを充填して24時間保存すると、保存後の精子運動性が低下することが観察された。
空気層にアルゴンガス、水素ガス、窒素ガス、又はアルゴンガスを充填して24時間保存すると、保存後の精子運動性が、精製空気を充填した場合と比較して向上することが観察された。
24時間保存後の精液を、実施例記載の方法で凍結・融解した。融解直後、培養0時間、3時間、6時間目に精子運動解析装置(CASA)で精子運動性を解析して運動精子率及び平均経路速度を測定した。
測定結果を図14(n=5)に示す。
空気層に酸素ガスを充填して24時間保存すると、保存後に作製した凍結精子を融解した後の精子運動性及び運動性維持率が共に低下することが観察された。
空気層にアルゴンガス、水素ガス、窒素ガス、又はアルゴンガスを充填して24時間保存すると、保存後に作製した凍結精子を融解した後の精子運動性及び運動性維持率が、精製空気を充填した場合と比較して向上することが観察された。
実施例8(イミダゾールの添加及び窒素ガス充填の併用が保存後の精子運動性に及ぼす影響)
8頭のホルスタイン種種雄牛(5〜9才、各1射精)から採取した精液1mLを、ポリスチレン製の丸底チューブ(コーニング社製)に分注し、TC液又は10mMのイミダゾールを含む精液用保存液1mLを加えて1:1の割合で希釈した(2倍希釈)。
その後、丸底チューブ内の精液含有保存液以外の空間(空気層)に、大陽日酸社製のガススプレー缶を用いて、精製空気又は窒素ガスを充填し、直ちに密閉した。密閉したチューブを、18℃に設定したクロマトグラフィー冷蔵庫(REC-5004; Revco社製)内に設置した振とう機(NR-30; タイテック社製)の上に、チューブをその長辺に対して平行に振とうできるように設置し、振とう速度120rpmで振とうしながら24時間保存した。
24時間保存後の精子運動性を、実施例1記載の方法で測定した結果を図15のAに示す。「対照」はTC液で希釈してから精製空気を充填させて密閉・保存したものであり、「イミダゾール」は10mMのイミダゾールを含む精液用保存液で希釈してから精製空気を充填させて密閉・保存したものであり、「窒素ガス」はTC液で希釈してから窒素ガスを充填させて密閉・保存したものであり、「併用」は10mMのイミダゾールを含む精液用保存液で希釈してから窒素ガスを充填させて密閉・保存したものである。
10mMのイミダゾールを含む精液用保存液を用いて精液を希釈して、空気層に窒素ガスを充填して24時間保存した後の運動精子率は、それぞれ単独で処理した場合と比べて高かった。
24時間保存後の精液を、実施例記載の方法で凍結・融解した。融解直後、培養0時間、3時間、6時間目に精子運動解析装置(CASA)で精子運動性を解析して運動精子率及び平均経路速度を測定した。
測定結果を図15のBに示す。
24時間保存後に精子洗浄して凍結保存した場合、融解後の培養中の運動精子率は併用区が最も高く推移した。
実施例9(イミダゾールの添加及び窒素ガス充填の併用が宅配便による運搬後の精子運動性に及ぼす影響)
盛岡種雄牛センター(盛岡市)に繋養される4頭のホルスタイン種種雄牛(5〜9才、各2射精)から採取した精液2mLを、ポリスチレン製の丸底チューブ(コーニング社製)に分注し、TC液又は10mMのイミダゾールを含む精液用保存液2mLを加えて1:1の割合で希釈した(2倍希釈)。
丸底チューブをさらに50mLのコニカルチューブ(コーニング社製)に入れ密閉し、水温18℃に調整した魔法瓶(MWO-K150; タイガー魔法瓶社製)に入れた。魔法瓶は発泡スチロールに梱包し、宅配便により家畜改良技術研究所(前橋市)に運搬した(運搬距離は約600km)。
運搬後の精子運動性を、実施例1記載の方法で測定した結果を図16のAに示す。
試験区は、対照区と比較して運動精子率が高かった。
運搬後の精液を、実施例記載の方法で凍結・融解した。融解直後、培養0時間、3時間、6時間目に精子運動解析装置(CASA)で精子運動性を解析して運動精子率を測定した。
測定結果を図16のBに示す。
試験区は、対照区と比較して培養中の運動精子率が高く推移した。

本発明の精液用保存液を用いて精液を保存すると、精子の運動性を高い水準で維持することが出来るため、遠隔地に存在する施設に高品質の精液を輸送することが可能となる。

Claims (8)

  1. タンパク質の脱リン酸化阻害剤を1〜100mM含有する精液用保存液を用いて、精液を保存する方法であって、
    前記精液がウシ又は水牛の精液であり、
    前記脱リン酸化阻害剤がイミダゾール、フッ化ナトリウム又はモリブデン酸ナトリウムであり、
    前記精液を前記精液用保存液で希釈して得られた精液含有保存液を、不活性ガスを含有する気体と接触させ、酸素体積比が20.1%以下となる密閉状態で輸送した後、前記精液を洗浄して凍結精液を作製することを特徴とする、精液保存方法。
  2. 前記脱リン酸化阻害剤が、前記精液中に含まれる精子タンパク質の脱リン酸化を阻害する阻害剤である、請求項1に記載の精液保存方法。
  3. 前記精子タンパク質が、精子の運動性に関連し、SDS−PAGEで求められる質量が50〜100キロダルトン(kDa)のタンパク質である、請求項2に記載の精液保存方法
  4. 前記精液用保存液が精子のエネルギー源となる糖をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の精液保存方法。
  5. 前記精液用保存液の、浸透圧計(オズモメーター)を用いて測定される浸透圧が、230〜400mmol/kgである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の精液保存方法。
  6. 前記精液用保存液が緩衝剤を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の精液保存方法。
  7. 前記不活性ガスが、水素ガス、窒素ガス又はアルゴンガスである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の精液保存方法。
  8. 前記凍結精液を融解した後の運動精子の維持率が、6時間経過後に50%以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の精液保存方法。
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