JP6830152B2 - 空調給湯システム - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートポンプを備えた空調給湯システムに関する。
欧州特許出願公開第2653805号には、ヒートポンプを備え、空調運転と給湯運転を同時に行うことができる空調給湯システムが提案されている。システムは、圧縮機および室外熱交換器を有する室外ユニットと、室外ユニットに接続され、室内熱交換器を含む少なくとも1つの室内ユニットと、室内ユニットと並列に配置されるように室外ユニットに接続されている少なくとも1つの給湯ユニットを含む。給湯ユニットは、冷媒−水熱交換器を含む。
欧州特許出願公開第2653805号に開示された上記のシステムは、冷却運転および加熱運転を行う。冷却運転時、給湯ユニットは水を冷却する。加熱運転時、給湯ユニットは水を加熱する。従って、冷却運転中に新たな湯が供給されない。
一方、キッチンや浴室等、家庭内で使用する湯の需要を満たすために、貯湯タンクに十分な量の湯を目標温度でためる必要がある。例えば、冷却運転の需要が一般的に昼間よりも少ない夜間に新たな湯が供給され得る。給湯ユニットは、時間およびこの給湯ユニットに接続されている貯湯タンクに貯留されている湯の温度に基づき、給湯の要求を出力するように構成され得る。
しかしながら、給湯の要求は、少なくとも1つの室内ユニットで行われる冷却運転中に発生する可能性がある。その後、給湯の要求に応じて加熱運転が開始されるように冷却運転が停止される。これは、冷却運転がユーザーの設定に対して中断されることを意味し、ユーザの快適さに既に反している。さらに、この予想外の加熱運転が長く続くほど、ユーザーの快適性は低下する。一方、加熱運転は、給湯の要求を満たすのに十分な長さで行われるべきである。
欧州特許出願公開第2653805号
本発明の課題は、上述の問題を解決し、給湯運転が必要な時でもユーザの快適性が維持される空調給湯システムを提供することにある。
上記目的は、添付の請求項1に記載の冷却運転および加熱運転を選択的に行うように構成された空調給湯用システムによって達成される。添付の従属請求項によって有益な効果が得られる。
本発明の第1の態様は、冷却運転と加熱運転とを選択的に行うように構成された空調給湯システムを提供する。空調給湯システムは、圧縮機および室外熱交換器を有する室外ユニットと、それぞれが、室外機に接続され、室内熱交換器を有する、複数の室内ユニットと、複数の室内ユニットと並列に配置されるように室外ユニットに接続され、冷媒−水熱交換器を有する給湯ユニットと、複数の室内ユニットのうちの少なくとも1つで行われる冷却運転の間に、給湯ユニットからの給湯要求の発生を監視し、その後、その要求に従って加熱運転を開始するように構成されたコントローラと、を含む。コントローラは、複数の室内ユニットのうちのいずれかからの要求の発生を監視するようにさらに構成されている。コントローラは、その要求が冷却運転の負荷の増加に対する増加要求である場合に、冷却運転を再開するようにさらに構成されている。
上記構成によれば、加熱運転中に冷却運転の負荷増加が要求された場合に、加熱運転を停止して冷却運転を再開する。この増加要求は、室内ユニットのいずれかの使用者が不快感を覚え始めたことを示す。言い換えれば、それは加熱動作を徐々に停止すべきであることの指標である。このように、加熱運転の持続期間はこのように制限されているため、使用者の快適さは保証され得る。
増加要求は、冷却運転中であった室内ユニットのいずれかから送信することができる。増加要求は、冷却運転中にオフにされていた他の室内ユニットから送信することができる。
上述した空調給湯システムの好ましい一実施形態によれば、コントローラは、加熱運転中に発生した要求が冷却運転のための冷房要求であり、かつ、その要求がオフからオンに状態が変化した室内ユニットから発生している場合に、増加要求が発生したと判断するようにさらに構成される。
上記構成によれば、コントローラは、室内ユニットから冷却運転が要求されたときに冷却運転を再開する。冷却運転が増加要求により中断されたとき、その室内ユニットは運転していない状態であった。そのため、その室内ユニットに対応するエリアは未だ冷房されていない状態である。したがって、加熱運転を停止して冷却運転を再開することにより、ユーザの快適さを保証することができる。
再開された冷却運転は、以前よりも多くのエリアで実行される。言い換えれば、再開された冷却運転は、増加要求を送信した室内ユニットと、加熱運転が開始される前に冷却運転を行っていた1つまたは複数の室内ユニットとで行われる。
上述した空調給湯用システムの別の好ましい一実施形態によれば、コントローラは、加熱運転中に発生した要求が、加熱運転の開始前に冷却運転中であった室内ユニットの目標温度を下げるための要求である場合に、増加要求が発生したと判断するようにさらに構成される。
上記構成によれば、加熱運転が開始される前に冷却運転が行われていた対応エリアで室内ユニットの目標温度が低下した場合に、コントローラは冷却運転を再開する。目標温度低下要求は、対応エリアにいるユーザが暖かすぎると感じ始めたことを示している。したがって、増加要求に従って冷却運転を再開することは、ユーザの快適さを確保できる。この場合、冷却運転は、基本的に、加熱運転が開始される前に冷却運転がもともと行われていたエリア(単数または複数)において再開される。
上述した空調給湯用システムの別の好ましい実施形態によれば、コントローラは、加熱運転中に発生した要求が、加熱運転の開始前に冷却運転中であった室内ユニットからの風量増加の要求である場合に、増加要求が発生したと判断するようにさらに構成される。
上記構成によれば、コントローラは、加熱運転が開始される前に冷却運転を行っていた室内ユニットから風量の増加が要求された場合に、冷却運転を再開する。風量増加のための増加要求は、対応エリアにいるユーザが暖かすぎると感じ始めたことを示している。したがって、増加要求に従って冷却運転を再開することにより、ユーザの快適さを確保できる。この場合、冷却運転は、基本的に、加熱運転が開始される前に冷却運転が最初に行われていたエリアで再開される。
上述した空調給湯用システムの別の好ましい実施形態によれば、コントローラは、加熱運転中に発生した要求が、エリア内の現在の室温と目標温度との差が所定値を超えることを示し、かつ、加熱運転中に発生した要求が、加熱運転の開始前に冷却運転中であった室内ユニットからのものである場合に、増加要求が発生したと判断するようにさらに構成される。
上記の構成では、コントローラは、加熱運転の開始前に冷却運転が行われた各エリアにおける現在の室温と目標温度との1つ以上の差を監視する。その差のうちの1つが所定値を超えると、冷却運転が再開される。
上述した空調給湯用システムのいずれかの別の好ましい実施形態によれば、複数の室内ユニットのそれぞれは、センサをさらに含み、このセンサは、対応エリア内の現在の室温を検出し、検知した温度をコントローラに送信するように構成されている。
各室内ユニットは、現在の室温と目標温度とをコントローラに送信する。これにより、コントローラは、各室内ユニットに対応する各エリアにおける現在の室温と目標温度との差を監視する。
現在の室温を検出するためのセンサを備えた、上述の空調給湯システムの別の好ましい実施形態によれば、複数の室内ユニットのうちの少なくとも1つのセンサは、対応する室内ユニットのハウジングの上または外側に配置されている。
現在の室温を検出するためのセンサを備えた、上述の空調給湯システムの別の好ましい実施形態によれば、複数の室内ユニットの少なくとも1つは、そのセンサとして赤外線センサを有し、赤外線センサは、対応するエリア内の所定の位置に向けて赤外線を放射して、その所定位置の温度を検出して送信するように構成されている。
赤外線センサは、対応エリア内の床上の位置に赤外線を照射できるように、室内ユニットの前面パネルの下方位置に配置することができる。
上述の空調給湯システムの別の好ましい実施形態によれば、 コントローラは、加熱運転中に発生した要求が、加熱運転の開始前に冷却運転が行われていたエリア内の人の増加を示す場合に、増加要求が発生したと判断するようにさらに構成される。
エリア内の人数が加熱運転の開始前よりも増加すると、冷却運転が再開される。
人数増加を判定する上述した空調および給湯用システムの別の好ましい実施形態は、複数の室内ユニットのうちの少なくとも1つに対応し、対応エリア内の人数を検出し、検出結果をコントローラに送信するように構成されている少なくとも1つのセンサをさらに含む。
赤外線、可視光、超音波などを採用したセンサを用いて、室内ユニットが設置されているエリアの人数を検出することができる。エリア内の人数が増加したら、好ましくは、冷却運転は再開される。コントローラは、増加人数が所定の値を超えたときに冷却運転を再開してもよい。
上述した実施形態のうち、いずれか1つの実施形態を他の実施形態に採用することができる。
本発明の一実施形態に係る空調給湯システムにより形成された冷媒回路の例である。 図1の室外コントローラの機能を示すブロック図である。 図1の室外コントローラに記憶されているレベルテーブルを示す図である。 図1の室外コントローラに記憶されている状態テーブルの例を示す図である。 図1の室内コントローラに記憶されている状態テーブルの例を示す図である。 図1の室内ユニットの室内コントローラの機能を示すブロック図である。 給湯要求によってトリガされる冷却運転から加熱運転への切り換えのタイムチャートの例である。 図1の室外コントローラによって行われるメイン処理の例である。 図1の室外コントローラによって行われるメイン処理の例である。 図7A、図7Bのメイン処理中の増大処理の流れの例である。 図1の室外コントローラが実行する再開処理の一例を示す図である。 図1の室内コントローラが実行するメイン処理の一例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る空調給湯システムで形成される冷媒回路の他の例を示す図である。
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調給湯システム10により形成された冷媒回路の例を示す。なお、添付した図面に示す構成要素同士の大きさの関係は、構成要素同士の実際の大きさの関係とは異なる場合がある。
<システム10の構成>
システム10は、集合住宅、ホテル、オフィスビル、個人住宅等の建物に設置される。システム10は、給湯を伴う加熱運転と、冷却運転とを選択的に行うように構成されている。システム10は、冷媒回路内の冷媒を循環させるヒートポンプ機構を用いて加熱運転及び冷却運転を行う。
システム10は、互いに接続されている、室外機110と、少なくとも1つまたは複数の室内ユニット120a、120bと、給湯ユニット130と、を含む。室内ユニット120a、120bのそれぞれと、給湯機130とは、熱源ユニットとしての室外機110と並列に接続されている。図1には、2台の室内ユニット120a、120bが示されているが、室内ユニットの台数は特に限定されない。1つのみの室内ユニット120または複数の室内ユニット120a、120b、…が、室内ユニット120a、120bと同様に、システム10に配置されてもよい。
室外ユニット110と、室内ユニット120a、120bと、給湯ユニット130とは、ガス冷媒主管101および液冷媒主管102によって接続されている。ガス冷媒主管101および液冷媒主管102は、冷媒が冷媒回路を循環するように流れる冷媒管として機能する。
また、給湯ユニット130には、水回路104から新しい水を受け取り、湯/水を水回路104に供給するために、水配管103が接続されている。水回路104はシステム10の外部にある。水回路104は、給湯ユニット130に新しい水を供給し、湯/水を給湯ユニット130から使用する場所に導く。給湯ユニット130は、供給された水を加熱または冷却し、加熱または冷却した水を貯湯タンク133に貯留するように構成されている。
<室外ユニット110>
室外ユニット110は、室外ユニット側で加熱運転または冷却運転を行い、加熱エネルギーまたは冷却エネルギーを室内ユニット120a、120bおよび給湯ユニット130に供給する。室外ユニット110は、圧縮機111と、切換弁112と、室外熱交換器113と、アキュムレータ114と、室外ファン115と、を含む。
加熱運転時、室外ユニット110は、液冷媒主管102側からガス冷媒主管101に向かって、室外熱交換器113、切換弁112、アキュムレータ114、圧縮機111、切換弁112がこの順に接続される加熱用冷媒回路(以下、加熱回路と言う)を形成する。
冷却運転時、室外ユニット110は、ガス冷媒主管101側から液冷媒主管102に向かって、切換弁112、アキュムレータ114、圧縮機111、切換弁112、室外熱交換器113がこの順に接続される冷却用冷媒回路(以下、冷却回路と言う)を形成する。
圧縮機111は、冷媒を吸入して、高温高圧の状態にまで圧縮するように構成されている。圧縮機111は、特定のタイプの圧縮機に限定されない。圧縮機111は、例えば、レシプロ圧縮機、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機であってもよい。圧縮機111は、好ましくは、例えばインバータにより、自体の回転数を変更可能に制御できるタイプである。
切換弁112は、要求された運転(すなわち加熱運転または冷却運転)に応じて、冷媒の流れを切り換えるように構成されている。切換弁112は、加熱回路と冷却回路との間で冷媒回路の切り換えるように構成されている。
室外熱交換器113は、冷却運転時には凝縮器として機能し、加熱運転時には蒸発器として機能するように構成されている。室外熱交換器113は、室外熱交換器113を流れる冷媒を凝縮または蒸発させるため、室外ファン115から送られた空気と熱交換を行う。室外熱交換器113の熱交換量は、例えば室外ファン115の回転数を変化させることにより制御することができる。
アキュムレータ114は、圧縮機111の吸入側に配置され、余剰冷媒を貯留するように構成されている。アキュムレータ114は、余剰冷媒を貯留する容器であればよい。
室外ファン115は、室外熱交換器113に向けて風を送るため、室外熱交換器113の近傍に配置されている。好ましくは、室外ファン115の風量レベルは、例えば、対応するモータの回転数を変えることによって変更可能である。
<室内ユニット120a、120b>
以下、室内ユニット120a、120bに共通する構成および機能について説明する。よって、ある室内ユニットについての説明は他の室内ユニットにも当てはまり、またその逆も成り立つ。
室内ユニット120aは、各室内ユニット側で加熱運転(暖房運転)または冷却運転(冷房運転)を行うため、室外ユニット110から加熱エネルギーまたは冷却エネルギーを受け取る機能を有する。室内ユニット120aは、互いに直列に接続される室内熱交換器121aと膨張弁122aとを含む。また、室内熱交換器121の近傍には、室内ユニット120aから温風または冷風を送り出すため、室内ファン123aが配置されている。
室内熱交換器121は、加熱運転時に凝縮器として機能し、冷却運転時に蒸発器として機能するように構成されている。室内熱交換器121は、冷媒を凝縮または蒸発させるため、室内熱交換器121を流れる冷媒から室内ファン123aによって供給された空気に熱を伝える。
膨張弁122は、冷媒を減圧して膨張させるように構成されている。膨張弁122の開度は変更可能に制御できることが好ましい。このような弁の例には、電子膨張弁などの精密な流量制御手段、およびキャピラリーチューブなどの安価な冷媒流量制御手段が含まれる。
室内ユニット120aから温風または冷風を送り出し、室内ユニット120aのハウジング(図示せず)の外から中に空気を取り込むために、室内熱交換器121の近傍には、室内ファン123aが配置されている。好ましくは、室内ファン123aの風量レベルは、例えば、対応するモータの回転数を変えることによって変更可能である。
<給湯ユニット130>
給湯ユニット130は、加熱運転または冷却運転を行うために、室外ユニット110からの加熱エネルギーまたは冷却エネルギーを水に伝える機能を有する。給湯ユニット130は、室内水熱交換器131と、膨張弁132と、貯湯タンク133と、を含む。なお、図1では1つの給湯ユニット130しか図示されていないが、給湯ユニットの数は特に限定されず、2つ以上の給湯ユニットが、給湯ユニット130と同様に、システム10内に設けられてもよい。
室内水熱交換器131は、室内水熱交換器131を流れる冷媒から貯湯タンク133に貯留された水に熱を伝えるように、貯湯タンク133によって画定された空間内に配置される。室内水熱交換器131によって加熱または冷却された水は、水回路104に供給される。
給湯ユニット130の膨張弁132は、室内ユニット120aの膨張弁122aと同じ機能を有する。
貯湯タンク133は、水を貯留する。好ましくは、貯湯タンク133は、キッチン、浴室等の家庭内で使用される湯を貯留する。貯湯タンク133は、貯留されている水と外部とを熱的に遮断する。貯湯タンク133内の湯は、好ましくは、後述するように、ユーザが設定した目標温度に保たれる。
好ましくは、貯湯タンク133に貯留された水の状態データを検知するセンサ(図示せず)が配置されている。貯留された水の状態データは、例えば、水温および/または水量を含む。このセンサは、貯湯タンク133の空間内、貯湯タンク133の外表面、および/または貯湯タンク133の出口に配置され得る。
上述のように、システム10では、圧縮機111、切換弁112、室内熱交換器121a、膨張弁122a、および室外熱交換器113が互いに直列に接続されている。同様に、圧縮機111、切換弁112、室内水熱交換器131、膨張弁132および室外熱交換器113が、互いに直列に接続されている。また、室外熱交換器113に対して、室内熱交換器121aと室内水熱交換器131とが並列に接続されている。このようにして、冷媒を循環させるための冷凍回路が形成されている。
図1には図示されていないが、システム10は、冷媒の吐出圧力を検知するセンサ、冷媒の吸入圧力を検知するセンサ、冷媒の吐出温度を検知するセンサ、冷媒の吸入温度を検知するセンサ、室外熱交換器113に流入する冷媒の温度を検知するセンサ、室外熱交換器113から流出する冷媒の温度を検知するセンサ、室外ユニット110に取り込まれる外気の温度を検知するセンサ、室内熱交換器121に流入する冷媒の温度を検知するセンサ、室内熱交換器121から流出する冷媒の温度を検知するセンサ、および貯湯タンク133に貯留されている水の温度を検知するセンサをさらに含んでもよい。これらの各種センサにより得られた測定情報は、後述するコントローラ100、200、300に送信され、システム10内の構成要素を制御するために使用される。
<加熱運転および冷却運転>
冷却運転時には、室外ユニット110と、少なくとも1つの室内ユニット120aとが冷却運転を行う。加熱運転時には、室外ユニット110と、少なくとも1つの給湯ユニット130が加熱運転を行う。後述するシステム10のコントローラ100、200、300は、システム10の関係する構成要素を制御して以下の運転を実行する。
<加熱運転>
システム10は、加熱運転中、以下の動作を実現するように制御される。低圧のガス冷媒は、圧縮機111に吸入される。冷媒は、圧縮機111で圧縮されて高温高圧の状態になり、圧縮機111から吐出され、切換弁112を通り、ガス冷媒主管101を通って室外ユニット110から流出する。そして、室外ユニット110から流出した高圧のガス冷媒は、室内ユニット120および給湯ユニット130に流入する。室内ユニット120に流入した冷媒は、室内熱交換器121に流入する。給湯ユニット130に流入した冷媒は、室内水熱交換器131に流入する。高圧のガス冷媒は、室内熱交換器121で凝縮して高圧の液冷媒となり、室内熱交換器121から流出する。同様に、高圧のガス冷媒は、室内水熱交換器131で高圧の液冷媒となって室内水熱交換器131から流出する。
室内熱交換器121から流出した高圧の液冷媒は、膨張弁122によって減圧されて低圧の気液二相冷媒となり、液冷媒主管102を通って室内ユニット120から流出する。同様に、室内水熱交換器131からの高圧の冷媒は、低圧の気液二相冷媒または低圧の液冷媒となって、液冷媒主管102を通って給湯ユニット130から流出する。そして、低圧の冷媒は室外熱交換器113に流入し、室外ファン115から供給された空気と熱交換を行って低圧のガス冷媒となり、室外熱交換器113から流出する。室外熱交換器113から流出した冷媒は、切換弁112およびアキュムレータ114を通過して再び圧縮機111に吸入される。
<冷却運転>
システム10は、冷却運転中、以下の動作を実現するように制御される。低圧のガス冷媒は圧縮機111に吸入される。冷媒は、圧縮機111で圧縮されて高温高圧の状態になり、圧縮機111から吐出される。高温高圧の冷媒は、切換弁112を経由して室外熱交換器113に流入する。室外熱交換器113に流入した高圧のガス冷媒は、室外ファン115から供給された空気と熱交換を行って高圧の液冷媒になる。高圧の液冷媒は、液冷媒主管102を通って室外ユニット110から流出して、少なくとも1つの室内ユニット120aに向かって流れる。室内ユニット120aに向かって流れた冷媒は、低圧の気液二相冷媒または低圧の液冷媒になるように、膨張弁122aによって減圧される。そして、冷媒は室内熱交換器121に流入する。
室内熱交換器121に流入した低圧の冷媒は、室内熱交換器121で蒸発して低圧のガス冷媒となり、室内熱交換器121から流出する。室内熱交換器121から流出した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒主管101を通って室外ユニット110に流入する。室外ユニット110に流入した低圧のガス冷媒は、切換弁112およびアキュムレータ114を通過して再び圧縮機111に吸入される。低圧の冷媒が給湯ユニット130に供給される時も、同様である。
<コントローラ>
図1に示すように、システム10は、室外コントローラ100と、各室内ユニット120a、120bにそれぞれ対応する2つの室内コントローラ200と、給湯コントローラ300とを含む。室外コントローラ100、室内コントローラ200および給湯コントローラ300は、システム10の全体の運転を制御するように構成されたコントローラを構成する。各コントローラ100、200、300の位置および各コントローラ100、200、300の機能の割り当ては、それらが互いに通信でき、またシステム10の測定装置と通信できるものであれば限定されない。例えば、全てのコントローラを1つのコントローラに集中させて室外ユニット110に配置してもよい。別の実施形態では、室外コントローラ100と各室内コントローラ200の機能が本実施形態とは異なった形で割り当てられる。
室外コントローラ100と、室内コントローラ200と給湯コントローラ300とは、無線または有線の通信手段により互いに情報を送信する。本実施形態では、室外コントローラ100は、オンである各室内ユニット120a、120bの室内コントローラ200と、給湯コントローラ300に対して、所定の時間間隔で現在の運転を通知する。オンである室内ユニット120a、120bの室内コントローラ200は、所定の時間間隔でその現在の状態を室外コントローラ100に送信する。給湯コントローラ300は、室外コントローラ100に給湯の要求を送信するように構成されている。
<室外コントローラ100>
室外コントローラ100は、室外ユニット110内の冷媒の圧力および温度を制御するように構成されている。室外コントローラ100は、圧縮機111の周波数、切換弁112、および室外ファン115の回転数を制御するようにさらに構成されている。
<室内コントローラ200>
室内ユニット120a、120bは、それぞれ室内コントローラ200を有する。以下、室内ユニット120aの室内コントローラ200を例に説明する。システム10の他のどの室内ユニット120bの室内コントローラ200についても同様の説明があてはまる。
室内コントローラ200は、冷却運転時に室内ユニット120aの過熱度を制御し、加熱運転時に室内ユニット120aの過冷却度を制御するように構成されている。室内コントローラ200は、室内ファン123aの回転数を制御するように構成されている。室内コントローラ200は、膨張弁122aの開度を制御するように構成されている。
<給湯コントローラ300>
給湯コントローラ300は、加熱運転時における給湯ユニット130の過冷却度を制御するように構成されている。給湯コントローラ300は、膨張弁132の開度を制御するように構成されている。給湯コントローラは、バルブやポンプ等を制御するように構成されている。図1には示されていないが、給湯ユニット130には、水流量を制御するための構成要素が配置されている。
給湯コントローラ300は、給湯の要求(以下、給湯要求)を室外コントローラ100に送信するように構成されている。給湯コントローラは、例えば、貯湯タンク133に貯留されている水の温度および/または量、および/または時刻に応じて、給湯要求を送信する。
好ましくは、給湯コントローラ300は、貯湯タンク133に貯留されている湯の温度を監視する。給湯コントローラ300は、現在の水温が、ユーザが設定した目標温度未満、または目標温度から算出される閾値温度未満であると判定した場合、給湯要求を送信する。これにより、貯湯タンク133に貯留されている湯はコンスタントに目標温度に保たれる。
<加熱運転後に冷却運転を再開する操作>
上述の機能に加えて、コントローラ100、200、300は、少なくとも1つの室内ユニット120aで冷却運転中に給湯要求が発生したか否かを判定する。判定がイエスの場合、コントローラ100、200、300は、加熱運転を開始し、システム10内の全ての室内ユニット120a、120bのうちのいずれか1つからの増加要求を監視する。コントローラ100,200,300は、加熱運転中に発生した増加要求に応じて、加熱運転を停止して冷却運転を再開する。増加要求は、給湯要求によって中断された冷却運転の負荷を増加させる要求である。これにより、加熱運転の継続時間がこの様に制限されるため、使用者の快適性を確保することができる。
以下、室外コントローラ100および室内コントローラ200の機能について、さらに詳しく説明する。
<室外コントローラ100>
図2は、室外コントローラ100の機能を示すブロック図である。室外コントローラ100は、運転部101と、受信部102と、更新部103と、メモリ104と、圧縮機部105と、サーモオフ部106と、ファン部107と、弁部108とを有する。
運転部101は、上述の加熱運転および冷却運転を制御する。
また、運転部101は、給湯コントローラ300からの給湯要求を監視するように構成されている。運転部101は、少なくとも1つの室内ユニット120aで冷却運転中に給湯要求が発生したかどうかを判断するように構成される。発生した場合、運転部101は加熱運転を開始するように構成される。
運転ユニット101はさらに、加熱運転中に、全室内ユニット120a、120bのいずれかからの増加要求の発生を監視するように構成されている。運転部101は、その増加要求に基づいて、加熱運転を停止し、冷却運転を再開する時点を決定するようにさらに構成される。この増加要求については後で詳しく説明する。
好ましくは、運転部101は、給湯要求が発生した後も冷却運転を継続する。運転部101は、好ましくは、給湯要求後も冷却運転を継続しながら、所定の条件が満たされるか否かを判断するように構成されている。満たされた場合、運転部101は、冷却運転を停止して加熱運転を開始する。冷却運転を停止する条件については後述する。したがって、給湯要求によって、室内ユニット120aにおける冷却運転が直ちに中断されることはない。冷却運転のため室内ユニット120aがオンであるエリアは、給湯要求後もさらに冷房される。したがって、冷却運転が停止した後も、しばらくの間、ユーザは快適に過ごすことができる。
好ましくは、運転部101は、冷却運転がオンとなっている1または複数の室内ユニットに対して、各室内ユニットに配置されている室内ファンを停止させるためのファン停止信号を送信するように構成されている。運転部101は、好ましくは、冷却運転がオンになっている全ての室内ユニットにファン停止コマンドを送信するよう、ファン部107に指示するように構成されている。ファン停止コマンドは、室内ユニットに配置された室内ファンを停止させるコマンドである。各室内ユニットに配置された室内ファンを制御するコマンドは、運転部101の指示に従ってファン部107によって作成され送信される。好ましくは、ファン停止コマンドは、加熱運転が開始される前に送信される。これにより、冷却運転がオンになっていた室内ユニットから温風が吹き出すことがない。
好ましくは、運転部101はさらに、圧縮機111と冷却運転中の各室内ユニットの室内ファンとを略同時に停止させるように構成されている。したがって、運転部101はさらに、ファン部107および圧縮機部105に対して、ほぼ同時にファン停止コマンドおよびコンプレッサ停止コマンドをそれぞれ送信するよう、指示するように構成されていることが好ましい。圧縮機停止コマンドは、圧縮機111を駆動するモータを停止させるコマンドである。圧縮部111を制御するコマンドは、運転部101の指示に従って圧縮機部105により作成され出力される。
好ましくは、運転部101は、加熱運転中に、全ての室内ユニット120a、120bの室内弁を所定の開度に維持するようにさらに構成される。運転部101は、室内ユニット120a、120bの全てに弁コマンドを送信するよう、バルブ部108に指示するように構成されていることが好ましい。弁コマンドは、各室内ユニットの各膨張弁122a、122bを所定の開度に維持するためのコマンドである。弁コマンドは、運転部101の指示に従って弁部108により作成され送信される。
ファン停止コマンド、圧縮機停止コマンド、および弁コマンドを送信するタイミングの好ましい一例を図6に示すが、これについては後述する。
運転部101は、給湯要求が発生した後、加熱運転が開始される前に行われる冷却運転の能力を大きくするように構成されていることが好ましい。冷却運転の能力を大きくするための詳細は後述する。
受信部102は、所定の時間間隔で各室内ユニット120a、120bから「要求信号」を受信するように構成されている。受信部102はさらに、センサ310によって検知された室外温度などの測定情報を受信するように構成されている。
「要求信号」は、室内ユニットのIDと、好ましくは室内ユニットの現在の状態を含む。現在の状態は、例えば、オン/オフ、室内ユニットでオンになっている運転、目標室温、現在の室温、風量レベル、および「要求レベル」のいずれか1つまたはそれらの組み合わせである。
「要求レベル」は、冷却運転の能力に必要とされる変化を示す。「要求レベル」は、例えば、圧縮機111の回転数を増加/減少する所定のステップ幅に対応する数値で表される。運転部101は、「要求レベル」に基づいて、圧縮機111の回転数をどれだけ増加させる、または減少させるかを決定する。
更新部103は、受信したデータに従って、メモリ104に記憶されているデータを更新するように構成されている。
メモリ104は、状態テーブルとレベルテーブルを記憶する。各テーブルの内容については後述する。
圧縮機部105は、運転部101からの指示に従って圧縮機111の回転数を制御するコマンドを生成し、生成したコマンドを圧縮機111のモータのドライバに出力する。
サーモオフ部106は、室内ユニットの「サーモオフ」温度を変更するコマンドを生成し、運転部101からの指示に従って、そのコマンドを1つ以上の関係する室内ユニットに送信する。
対応する室内ユニットのエリア内の現在の室温が「サーモオフ」温度に達すると、その室内ユニットは「サーモオフ」状態になる。これは、対応する膨張弁を完全に閉じることによって、室内ユニットが冷却運転を停止することを意味する。冷却運転においては、室内ユニットの「サーモオフ」温度は室内ユニットの目標温度よりも低い。加熱運転においては、室内ユニットの「サーモオフ」温度は室内ユニットの目標温度よりも高い。「サーモオフ」温度と目標温度との差は、例えば1〜3℃である。給湯要求発生後の冷却運転の「サーモオフ」温度と目標温度との差は、通常の冷却運転の「サーモオフ」温度と目標温度との差よりも大きいことが好ましい。詳細については、後の「冷却運転の能力増大」で述べる。
ファン部107は、室内ファンの回転数を変更するコマンドを生成し、運転部101からの指示に従って、そのコマンドを1つ以上の関係する室内ユニットに送信する。
弁部108は、室内ユニットの膨張弁の開度を変更するコマンドを生成し、運転部101からの指示に従って、そのコマンドを1つ以上の関係する室内ユニットに送信する。
<室外コントローラ100のメモリ104内のレベルテーブル>
図3は、室外コントローラ100のメモリ104に記憶されているレベルテーブルを示す。レベルテーブルは、各要求レベルに対応する数値と、圧縮機111の回転数を増加または減少するステップ幅とを関連付ける。ステップ幅の各値は、圧縮機111の回転数の所定の変化に対応している。
「要求レベル0」は、室温が、対応エリアのサーモオフ温度に達したことを示す。言い換えると、「要求レベル0」は、対応エリアの室内ユニットが「サーモオフ」状態になったことを示している。サーモオフ状態になった室内ユニットは、圧縮機111の回転数の変更を要求しない。「要求レベル1、2、3」は、現在の運転の能力を下げる必要があることを示す。「要求レベル4、5、6」は、現在の運転の能力を上げる必要があることを示す。
運転部101は、好ましくは、最も大きな絶対値を有する1つの「要求レベル」を選択して圧縮機111の回転数を変更するように構成されている。
<メモリ104内の状態テーブル>
図4Aは、室外コントローラ100のメモリ104に記憶されている状態テーブルの例を示す。状態テーブルは、「エリア」、「要求レベル」、「運転状態」、「目標温度」、「風量レベル」、「現在温度」を互いに関連付けて記憶する。
「要求レベル」は上述のとおりである。「エリア」は、1のエリアに対応し、そのエリアに設置されている室内ユニットを識別する。運転状態は、室内ユニットがオンかオフか、および室内ユニットでオンになっている運転を示す。目標温度は、対応する室内ユニットのエリアの室温が達すべき温度を示す。風量レベルは、室内ファンの回転数のレベルを示す。現在温度は、室内ユニットのエリアの現在の温度を示す。
「要求レベル0」は、室内ユニットが「サーモオフ」状態になったことを意味する。図5Aにおいて、「エリア1」の室内ユニットでは、冷却運転がオンであり、既に「サーモオフ」の状態になっている。一方、「エリア2」および「エリア3」の室内ユニットは、冷却運転がオンであるが、各「要求レベル」が0より大きいため、まだ「サーモオフ」状態にはなっていない。
<再開される冷却運転の負荷を増やす増加要求>
冷却運転の負荷が増加には、圧縮機111の負荷の増加を伴う場合と、伴わない場合とがあり得る。前者の増加は、例えば、以前よりも広いエリアで冷却運転を再開し、圧縮機111の周波数を上げ、各室内ユニットの蒸発温度を下げることで達成される。後者の増加は、例えば、運転中の各室内ユニットにおける風量を増加させることによって達成される。
好ましくは、運転部101は、以下の場合に増加要求が発生したと判断するように構成されている。
ケース1:加熱運転中に発生した要求が、冷却運転を要求する冷房要求である。また、この冷房要求は、加熱運転中にオフからオンに状態が変化したばかりの室内ユニットから送信される。言い換えれば、この室内ユニットは、冷却運転がオフにされて加熱運転の開始時にはまだオフであった状態で、加熱運転が行われている間に冷却運転にオンにされている。これにより、再開される冷却運転が以前よりも多くのエリアで行われる。
ケース2:加熱運転中に発生した要求が、冷却運転がオンであった室内ユニットの目標温度を下げることを要求する要求である。言い換えれば、室内ユニットは、加熱運転が開始される前に冷却運転がオンされた状態で、加熱運転中もオンにされている。これにより、その室内ユニットのエリアの室温が下げられた目標温度になるように、再開した冷却運転が行われる。
ケース3:加熱運転中に発生した要求が、冷却運転がオンであった室内ユニットからの風量の増加を要求する要求である。言い換えれば、室内ユニットは、加熱運転が開始される前に冷却運転がオンされた状態で、加熱運転中もオンにされている。これにより、その室内ユニットの室内ファンが所望レベルの風量を発生させる回転数となるように、再開した冷却運転が行われる。
ケース4:加熱運転中に発生した要求は、あるエリアにおける現在の室温と目標温度との差の絶対値が所定の閾値を超えたことを示す。また、この要求は、加熱運転の開始前に冷却運転がオンであった室内ユニットから送信される。言い換えれば、室内ユニットは、加熱運転が開始される前に冷却運転がオンされた状態で、加熱運転中もオンにされている。これにより、冷却運転中であったエリアで現在の室温が暖かくなりすぎると、冷却運転が再開される。
上記のケース4では、システム10内の室内ユニット120a、120bは、それぞれ、好ましくは、対応エリアの現在の室温を検出し、検出した温度を室内制御装置200に送信するセンサ320を有する。
現在の室温は、各室内ユニットが設置されている各エリアに配置されたセンサ320によって検出することができる。このセンサ320は、対応する室内ユニットの一部を構成するが、必ずしもその室内ユニットのハウジングの上または内部に配置される必要はない。センサ320は、室内ユニットのハウジングの内側、室内ユニットのハウジングの外側、または室内ユニットのハウジング上に配置することができる。
例えば、センサ320を、ユーザが室内ユニットを操作する、室内ユニットのコントローラユニットの内部に配置することができる。他の例は、室内ユニットのハウジングの前面パネルに取り付ける赤外線センサである。赤外線センサ320は、床などの対応エリア内の所定位置に向けて赤外線を照射してその温度を検出する。センサ320の他の例は、対応する室内ユニットのハウジングの外部に独立して配置されるセンサである。このセンサ320は、対応エリア内に配置され、検出された温度をコントローラに送信するための通信手段を備えている。
ケース5:加熱運転中に発生した要求は、加熱運転の開始前に冷却運転がされていたエリア内で人数が増加したことを示す。
ケース5では、システム10は、好ましくは、室内ユニットの領域内の人の数を検出するように構成された少なくとも1つのセンサ(図示せず)をさらに備える。このセンサは、システム10内の少なくとも1つの室内ユニットに対応し、その検出結果を対応する室内コントローラに送信する。室内ユニットからの要求信号は、その対応エリア内の人の数を含むことがさらに好ましい。さらに、メモリ104内のステータステーブルが、各エリアの人数を記憶することが好ましい。
<冷却運転を停止するための所定条件>
好ましくは、運転部101は、給湯要求を受けた後も冷却運転を継続するように構成されている。運転部101は、冷却運転を継続し、冷却運転中の全ての室内ユニットから「要求レベル0」の「要求信号」を受信したら加熱運転を開始する。「要求レベル0」の「要求信号」は、室内ユニットが「サーモオフ」状態になったことを示す。運転部101は、冷却運転がオンである全ての室内ユニットから「要求レベル0」の「要求信号」を受信した後、冷却運転を停止する。これによって、冷却運転に対するユーザの快適さをさらに確実にすることができる。
運転部101は、好ましくは、給湯要求から所定時間P1が経過するまで冷却運転を継続するように構成されている。給湯要求から期間P1が経過した後、運転部101は冷却運転を停止するように構成されている。
運転部101は、好ましくは、上述の冷却運転を停止する条件をいずれか1つ、または組み合わせて採用する。
<冷却運転の能力増大>
運転部101は、好ましくは、加熱運転を開始する前に冷却運転の能力を増大するように構成されている。能力増大の好ましい例を以下に説明する。
例1:運転部101は、好ましくは、給湯要求が発生した後かつ加熱運転が開始される前に、給湯要求発生時に既に冷却運転がオンである全ての室内ユニットにおいて、冷却運転を行うように構成されている。
本願において、「冷却運転がオンである室内ユニット」とは、「サーモオフ」状態になった室内ユニット、及び、冷却運転を行っている室内ユニット、のいずれかである。「冷却運転中の室内ユニット」は、「冷却運転がオンである室内ユニット」と同じ意味である。
給湯要求が発生した時に、冷却運転中の全ての室内ユニットが既に「サーモオフ」状態になっていたとしても、好ましくは、室内ユニットは強制的に冷却運転させられる。これにより、サーモオフ状態のエリアで強制的に冷却運転が行われ、冷却運転の能力が増大する。給湯要求が発生した時に、冷却運転中の室内ユニットのうちの1つが依然として冷却運転を行っており、他の室内ユニットがサーモオフ状態になっている場合、後者の室内ユニットは強制的に冷却運転させられる。
例2:運転部101は、好ましくは、給湯要求が発生した後かつ加熱運転が開始される前に、全ての室内ユニット120a、120bで冷却運転を行うように構成されている。
室内ユニット120aのみ冷却運転がオンであり、室内ユニット120bはオフである場合であっても、室内ユニット120aだけでなく、室内ユニット120bも強制的に冷却運転させられる。上述のように、室内ユニット120aが作動中で、既に「サーモオフ」状態になっている場合にも、室内ユニット120aは強制的に冷却運転させられる。これにより、システム10の全ての室内ユニットで強制的に冷却運転が行われ、冷却運転の能力が増大する。室内ユニット120bは、給湯要求発生の前に既にオフになっていても、対応エリアにおいて強制的に冷却運転させられる。したがって、冷却運転が既に停止し加熱運転が開始された後であっても、ユーザの適合性をどのエリアにおいても確保することができる。
例3:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ給湯要求が発生した後に、圧縮機111の回転数を上げるコマンドを出力するよう、圧縮機部105に対し指示するように構成されている。運転部101は、好ましくは、回転数量を増やす所定の値を記憶している。圧縮機部105は、運転部101の指示に基づいてコマンドを生成し、そのコマンドを圧縮機111のモータのドライバに出力する。
例4:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ要求が発生した後に、冷却運転を行っている各室内ユニットのサーモオフ温度を下げるコマンドを送信するよう、サーモオフ部106に対し指示するように構成されている。その指示において、好ましくは、対応する室内ユニットの各目標温度に基づき、サーモオフ温度の変化量が特定される。あるいは、運転部101は、好ましくは、サーモオフ温度を所定値だけ下げる。このような所定値は、好ましくは、通常の冷却運転時のサーモオフ温度に対して設定される別の所定値よりも大きい。通常の冷却運転とは、給湯要求に際して冷却運転の能力を増大するために行われる運転以外の冷却運転である。例えば、給湯要求に際して冷却運転の能力を増大する場合、運転部101は、サーモオフ温度を目標温度よりも2度低い温度に設定する。その他の場合、サーモオフ温度は目標温度よりも1度低い温度に設定される。サーモオフ部106は、好ましくは、冷却運転を行っている全ての室内ユニットにそのコマンドを送信する。
例5:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ要求が発生した後に、冷却運転を行っている各室内ユニットの回転数の増加量を示すコマンドを送信するよう、ファン部107に対し指示するように構成されている。その指示において、好ましくは、例えば、室外温度、増加量の所定値、および現在の室温と目標温度との差に基づき、回転数の増加量が特定される。ファン部107は、その指示に従ってコマンドを生成し、冷却運転を行っている全ての室内ユニットにそのコマンドを送信する。
例6:運転部101は、冷却運転時および要求発生後に、各膨張弁122aの開度を小さくするコマンドを冷却運転中の室内ユニット120aの全てに送信するよう、弁部108に指示するように構成されている。この指示は、好ましくは、各膨張弁の開度または開度の変化量を特定する。弁部108は、その指示に従ってコマンドを作成し、冷却運転中の全ての室内ユニットにそのコマンドを送信する。
例7:運転部101は、好ましくは、冷却運転中かつ要求が発生した後、コマンドを生成して圧縮機111に出力するよう、圧縮機部105に対し指示するように構成されている。その指示において、圧縮機111の回転数の増加量が、メモリ104内の状態テーブルに記憶されている各「要求レベル」とは独立した所定値によって特定される。言い換えると、冷却運転がオンである室内ユニットがいずれも、冷却運転の能力を増大する「要求レベル」を送信していない場合であっても、圧縮機111の回転数は増加する。これにより、冷却運転の能力が強制的に増大される。
運転部101は、冷却運転の能力を増大するために、上述の例をいずれか1つまたは組み合わせて実行してもよい。
<室内コントローラ200>
図5は、室内ユニット120aの室内コントローラ200の機能を示すブロック図である。以下の説明は他の室内ユニットにも当てはまる。室内コントローラ200は、運転部201と、受信部202と、更新部203と、メモリ204と、要求部205と、ファン部206と、弁部207とを有する。
運転部201は、上述の加熱運転および冷却運転を制御する。
受信部202は、室外コントローラ100からコマンドを受信する。受信部202は、入力装置(図示せず)から室内ユニット120aを制御する入力を受信する。受信部202は、温度センサ320によって検知された現在の室温を受信する。
更新部203は、受信部202が受信したデータに基づいて、メモリ204に記憶されている状態テーブルを更新する。図5Bは、室内コントローラ200のメモリ204に記憶されている状態テーブルを示す。状態テーブルは、室外コントローラ100のメモリ104内の状態テーブルに記憶されているデータに加えて、サーモオフ温度を記憶する。室外コントローラ100に記憶されているデータについての説明は、室内コントローラ200に記憶されている共通のデータにも当てはまる。
要求部205は、状態テーブルに記憶されているデータに基づいて「要求信号」を生成する。要求部205は、所定の時間間隔で「要求信号」を室外コントローラ100に送信する。「要求信号」は、上述のように、室内ユニットのIDと、好ましくはその室内ユニットの現在の状態を含む。
ファン部206は、室外コントローラ100からのファン停止コマンドに応じて、対応する室内ファン123aのモータのドライバに信号を出力してモータを停止させる。ファン部206は、入力装置からの入力に応じて、対応する室内ファン123aのモータのドライバに信号を出力してモータの回転数を変更する。
弁部207は、運転部201からの指示に従って膨張弁122aの開度を制御する。また、弁部207は、受信部202が受信したデータに従って、対応する膨張弁122aに、膨張弁122aの開度を変更する信号を出力する。受信データは、例えば、室外コントローラ200から送信された特定の開度を指定するコマンドである。
<タイムチャート>
図6は、給湯要求によってトリガされる冷却運転から加熱運転への切り換えのタイムチャートの好ましい例を示す。冷却運転中の時間t0に発生した給湯要求により、運転モードが冷却運転から加熱運転に切り換わる。
室外コントローラ100の圧縮機部105は、時間t1において圧縮機111を停止する圧縮機停止コマンドを出力する。時間t1は、好ましくは時間t0から少し経過した時間である。これにより、圧縮機111は停止し、冷却運転が終了する。圧縮機部105は、さらに、時間t1から短い期間Pwが経過した時間t2において、圧縮機111を駆動する第2コマンド(以下、圧縮機起動コマンド)を出力する。
室外コントローラ100の運転部101は、切換弁112を冷却運転の位置から加熱運転の位置へと切り換える切換コマンドを出力する。切換弁112は、圧縮機111が冷却運転のために停止した時間t1の後であって、圧縮機111が再び運転を開始する時間t2の前または遅くとも時間t2に、切り換えられる。切換コマンドは、好ましくは、圧縮機111が再び運転を開始する時間t2と実質的に同時に出力される。これにより、期間Pwの終了時に冷媒回路が加熱回路に切り換えられる。
室外コントローラ100のファン部107は、室内ファンを停止するファン停止コマンドを送信する。ファン停止コマンドは、最も早くて時間t1に、遅くとも圧縮機111が再び運転を開始する時間t2までに送信される。好ましくは、ファン停止コマンドは、圧縮機停止コマンドが出力される時間t1と実質的に同時に送信される。ファン停止コマンドは、冷却運転を行っている全ての室内ユニットに送信される。したがって、各室内ユニットのファン部206は、対応する室内ファンを停止する信号を出力する。
これにより、室内ユニットの冷却運転がオンになっているエリアにおいて、加熱運転中に温風が吹き出すことがない。
<処理の流れ>
<室外コントローラ100のメイン処理>
図7Aおよび図7Bは、室外コントローラ100によって行われるメイン処理の例を示す。メイン処理は、室外ユニットの電源がオンになると開始される。
室外コントローラ100は、給湯コントローラから給湯要求があるか否かを監視する(ステップS1)。給湯要求があった場合、処理はステップS2に進む。
室外コントローラ100は、現在の運転モードが冷却運転であるか否かを判定する(ステップS2)。冷却運転であれば、処理はステップS3へ進む。冷却運転でなければ、処理は後述するステップS8へ進む。
室外コントローラ100は、冷却運転中の全ての室内ユニットが「サーモオフ」状態になったか否か判定する(ステップS3)。これにより、確実に、冷却運転中の各エリアの現在の室温が目標温度に達した後にのみ、加熱運転を開始することができる。冷却運転中の室内ユニットが全てサーモオフ状態である場合、処理は後述するステップS6に進む。そうでない場合、ステップS4に進む。
室外コントローラ100は、ステップS4で増大処理を行う。この増大処理により、現在行われている冷却運転の能力が増大する。これにより、加熱運転の開始前に、冷却運転中の各エリアを急速に冷やすことができる。
室外コントローラ100は、冷却運転中の全ての室内ユニットが「サーモオフ」状態になるまで(ステップS3)、あるいは、給湯要求の発生から所定の期間P1が経過するまで(ステップS5)、ステップS4の増大処理を繰り返す。ステップS5により、給湯要求後であっても、冷却運転を有効に維持する最小の期間P1を確保することができる。ステップS3およびS5のいずれか1つで条件が満たされた場合、処理はステップS6に進む。
室外コントローラ100は、圧縮機停止コマンドを出力して圧縮機111の回転を停止する(ステップS6)。これにより、冷却運転が終了する。また、室外コントローラ100は、冷却運転がオンになっていた全ての室内ユニットに、室内ファンを停止するファン停止コマンドを送信する(ステップS6)。これにより、後に続く加熱運転中に、冷却運転がオンになっていた室内ユニットから温風が吹き出すことがない。
室外コントローラ100は、圧縮機停止コマンドを出力してから所定の期間Pwが経過したか否か判定する(ステップS7)。期間Pwが経過した後、処理はステップS8へ進む。
室外コントローラ100は、全ての室内ユニットに、対応する膨張弁をわずかに開いた状態に保つ弁コマンドを送信する(ステップS8)。これにより、後に続けて行われる加熱運転中に、各室内ユニットを介して少量の冷媒が流れる。従って、加熱運転中に冷媒が滞留することなく、全量の冷媒が冷媒回路を循環する。
圧縮機停止コマンドから期間Pwが経過した後、室外コントローラ100は、切換弁112を加熱運転の状態に切り換え、圧縮機111のモータの駆動を開始する(ステップS9)。これにより、加熱運転が開始される。加熱運転中に給湯が行われ、貯湯タンク133に貯留されている水が加熱される。
室外制御装置100は、加熱運転中に増加要求があったか否かを判定する。この判定は、後で詳しく説明する再開処理を行うことにより行われる(ステップS10)。
室外コントローラ100は、圧縮機111のモータの回転を停止する(ステップS11)。これにより、暖房運転および給湯が終了する。
室外コントローラ100は、切換弁112を冷却運転位置に切り換え、圧縮機111のモータを駆動して冷却運転を再開する(ステップS12)。
室外ユニットコントローラ100は、室外ユニットの電源がオフになるまで、上述のステップS1からステップS12を繰り返す(ステップS13)。
以上の処理の流れは例であり、これに限定されない。例えば、別の実施形態では、冷却運転を停止する条件は、ステップS3およびステップS5のいずれか一方あっても、またはそれらの組み合わせであってもよい。
別の実施形態では、ステップS4の増大処理は省略されてもよい。
加熱運転を中止する条件として、ステップS10の代わりに、対応エリア内で現在の室温を正確に検出することができない場合、室外温度といずれかの室内ユニットの目標温度との差を使用することができる。
<室外コントローラ100の増大処理>
図8は、図7A、7Bのメイン処理中に、室外コントローラ100によって行われる増大処理の流れの例を示す。メイン処理のステップS4において、室外コントローラ100は、給湯要求後の時点で行われている冷却運転の能力を増大させる増大処理を行う。
室外コントローラ100は、冷却運転を行っている各室内ユニットそれぞれのサーモオフ温度を下げるコマンドを送信する(ステップS41)。
室外コントローラ100は、冷却運転を行っている各室内ユニットの室内ファンの回転数を上げるコマンドを送信する(ステップS42)。これにより、各室内ユニットからの風量が増加する。
室外コントローラ100は、冷却運転を行っている各室内ユニットの膨張弁をわずかに閉めるコマンドを送信する(ステップS43)。これにより、各室内ユニットの蒸発温度が低くなり、冷却運転の能力が増大する。
室外コントローラ100は、冷却運転を行っているいずれか1つの室内ユニットから、冷却運転の増大が要求されているか否かを判定する(ステップS44)。この判定は、メモリ104の状態テーブルに保存されている各室内ユニットの「要求レベル」に基づいて行われる。もし、増大が要求されている場合、処理はステップS45に進む。そうでない場合には、処理はステップS46へ進む。
室外コントローラ100は、メモリ104内の状態テーブルの最も高い要求レベルに従って、圧縮機111の回転数を上げる(ステップS45)。
室外コントローラ100は、所定のステップ増加幅に基づいて圧縮機111の回転数を上げる(ステップS46)。これにより、冷却運転中の室内ユニットがいずれも冷却運転の能力増大を要求していない場合であっても、冷却運転の能力が増大する。
ステップS41からステップS46の順序は、上述したものに限定されない。ステップS41からステップS46のうちのいずれか1つ、またはそれ以上のステップが省略されてもよい。
<室外コントローラ100の再開処理>
図9は、室外コントローラ100による再開処理の一例を示している。再開処理は、室外機制御装置100のメイン処理がステップS10に進むと開始される。再開処理中、室外コントローラ100は、現行の加熱運転中に任意の室内ユニットからの要求を監視し、発生した要求が増加要求であるかどうかを判定する。
室外コントローラ101は、発生した要求が、現在の加熱運転中にまさに冷却運転がオンにされた室内ユニットからの冷房要求か否かを判断する(ステップS101)。判断がイエスであれば、再開処理を終了し、処理は室外コントローラ100のメイン処理に戻る。これにより、その冷房要求を送信した室内ユニットのエリアを含むエリアで冷却運転が再開される。判断がノーであれば、処理はステップS102へ進む。
室外コントローラ101は、発生した要求が、現在の加熱運転が開始される前に冷却運転がオンであった室内ユニットの目標温度を下げる要求であるか否かを判定する(ステップS102)。判断がイエスであれば、再開処理を終了し、この処理は室外コントローラ100のメイン処理に戻る。これにより、給湯要求前に冷却運転が行われていたエリアで冷却運転が再開される。判断がノーであれば、処理はステップS103へ進む。
室外コントローラ101は、発生した要求が、現在の加熱運転が開始される前に冷却運転がオンであった室内ユニットの風量を増加させる要求であるか否かを判定する(ステップS103)。判断がイエスであれば、再開処理を終了し、この処理は室外コントローラのメイン処理に戻る。これにより、給湯要求前に冷却運転が行われていたエリアで冷却運転が再開される。判断がノーであれば、処理はステップS104へ進む。
室外コントローラ101は、発生した要求が、あるエリアにおける現在の室温と目標温度との差が所定値を超えることを示しているか否かを判断する。室外コントローラ101は、さらに、発生した要求が、現在の加熱運転が開始される前に冷却運転がオンであった室内ユニットから送信されているか否かを判断する。判断がイエスであれば、再開処理を終了し、この処理は室外コントローラのメイン処理に戻る。これにより、給湯要求前に冷却運転が行われていたエリアで冷却運転が再開される。判断がノーであれば、処理はステップS105へ進む。
室外コントローラ101は、発生した要求が、加熱運転の開始前に冷却運転が行われていたエリアの人数の増加を示しているか否かを判断する。判断がイエスであれば、再開処理を終了し、この処理は室外コントローラのメイン処理に戻る。これにより、給湯要求前に冷却運転が行われていたエリアで冷却運転が再開される。判断がノーであれば、処理はステップS101へ戻る。
ステップS101〜S105の順序は、上述したものに限定されない。ステップS101〜S105のうち、いずれか1つ以上のステップを省略されてもよい。
<室内コントローラ200のメイン処理>
図10は、室内コントローラ200によって行われるメイン処理の例を示している。室内のメイン処理は、室内ユニットの電源がオンになると開始される。
室内コントローラ200は、室外コントローラ100から送信される現在の運転を所定の時間間隔で監視する(ステップS201)。現在の運転モードを受信すると、この処理はステップS202へ進む。
室内コントローラ200は、現在の運転が冷却運転から加熱運転に切り換わるか否かを判定する(ステップS202)。加熱運転に切り換わる場合、処理はステップS203に進む。そうでない場合、この処理はステップS201に戻る。
室内コントローラ200は、室外コントローラ100からのコマンドに従って、現在行っている冷却運転の能力を増大する(ステップS203)。例えば、室内コントローラ200は、コマンドに基づいて、対応する室内ファンの回転数、サーモオフ温度、および/または対応する膨張弁の開度を変更する。
室内コントローラ200は、室外コントローラ100から、対応する室内ファンを停止するファン停止コマンドを受信する。室内コントローラ200は、ファン停止コマンドに従って、対応する室内ファンを停止する(ステップS204)。これにより、後に続けて行われる加熱運転中に室内ユニットから温風が吹き出すことがない。
室内コントローラ200は、室外コントローラ100から弁コマンドを受信し、その弁コマンドに従って、対応する膨張弁の開度を制御する(ステップS205)。これにより、確実に、加熱運転中に全量の冷媒を冷媒回路内で循環させることができる。
室内コントローラ200は、室内ユニットの電源がオフになるまで(ステップS206)、上述のステップ201からステップ205を繰り返す。
上述の室内コントローラ200のメイン処理において、室外コントローラ100のメイン処理で増大処理が行われない場合は、ステップ203を省略してもよい。
選択された実施形態のみを選んで本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、特に明記しない限り、様々な構成要素のサイズ、形状、場所または配向は、その変更がそれらの意図された機能に実質的に影響しない限り、必要に応じておよび/または所望に応じて変更することができる。特に明記しない限り、変更がそれらの意図された機能に実質的に影響を及ぼさない限り、互いに直接接続されるかまたは接触するように示した構成要素はそれらの間に中間構造を配して有することができる。特に明記しない限り、1つの要素の機能は2つによって実行することができ、またその逆も可能である。一実施形態の構造および機能は、他の実施形態においても採用することができる。全ての利点が同時に特定の実施形態に存在する必要はない。したがって、本発明による実施形態の上述の説明は、例示のみを目的として提供するものである。
<変形例>
以下は、本発明のシステムに係る他の好ましい実施形態である。
<変形例1>
図10は、上述の実施形態のシステム10の変形例に係るシステム10’を示す。システム10’は、各室内ユニットまたは給湯ユニットにそれぞれ対応する膨張弁が、室外ユニットに配置されている点でシステム10と相違する。図1および図10中、システム10とシステム10’において同じ参照符号で表す構成要素は、同じまたは対応する機能を有する。よって、システム10とシステム10’の相違点のみを以下に説明する。システム10とシステム10’に共通の構成要素および/または機能については、上述のシステム10についての説明を参照することができる。
図10のシステム10’は、互いに接続されている、室外ユニット110’と、少なくとも1つの室内ユニット120a’、120b’と、給湯ユニット130’とを有する。システム10’の各ユニットは互いに、システム10と同じように接続されている。
室外ユニット110’は、各室内ユニット120a’、120b’および給湯ユニット130’のためにそれぞれ配置された膨張弁122a、122b、132を有する。各膨張弁122a、122b、132の構造は、システム10の膨張弁と同じである。各膨張弁122a、122b、132とシステム10’の他の構成要素との接続は、システム10の膨張弁と同じである。
室外ユニット110’は、室外コントローラ100’を有する。室外コントローラ100’は、システム10の室外コントローラ100と同じ機能を有し、さらに各膨張弁122a、122b、132の開度を制御する機能を有する。
各室内ユニット120a’、120b’は室内コントローラ200’を有する。室内コントローラ200’は、対応する膨張弁を制御する機能を除いて、システム10の室内コントローラ200と同じ機能を有する。
給湯ユニット130は、給湯コントローラ300’を有する。給湯コントローラ300’は、対応する膨張弁を制御する機能を除いて、システム10の給湯コントローラ300と同じ機能を有する。
<変形例2>
室外コントローラ100、100’、各室内コントローラ200、200’、および給湯コントローラ300の機能を、上述のシステム10、10’とは異なるように割り当ててもよい。例えば、室内コントローラ200、200’によって行われる制御の一部は、代わりに、対応する室外コントローラ100、100’により行われてもよいし、またその逆でもよい。システム10、10’のいずれかの構成要素の制御を、所定の条件に従って、室外コントローラ100、100’と室内コントローラ200、200’とで取り換えてもよい。
例えば、室外コントローラ100、100’が、膨張弁122a、122b、132を制御するコマンドを生成し、そのコマンドを膨張弁122a、122b、132に直接送信してもよい。同様に、室外コントローラ100、100’は、室内ファン123a、123bを制御するコマンドを生成し、そのコマンドを室内ファン123a、123bに直接送信してもよい。冷却運転中の給湯要求後、後に続く加熱運転終了までは、室外コントローラ100,100’によって膨張弁122a、122b、132および室内ファン123a、123bを制御することが好ましい。
通常運転期間の間は、膨張弁122a、122b、132および室内ファン123a、123bが、対応する室内コントローラ200または給湯コントローラ300によって独立して制御されることがさらに好ましい。通常運転期間とは、「冷却運転中の給湯要求後、かつ冷却運転の後に続いて行われる加熱運転の終了まで」の期間を除く期間である。

Claims (8)

  1. 冷却運転と加熱運転とを選択的に行うように構成された空調給湯システム(10)であって、
    圧縮機(111)および室外熱交換器(113)を有する室外ユニット(110)と、
    それぞれが、前記室外ユニット(110)と接続され、室内熱交換器(121a、121b)を有する、複数の室内ユニット(120a、120b)と、
    前記複数の室内ユニット(120a、120b)と並列に配置されるように前記室外ユニット(110)に接続され、冷媒−水熱交換器(131)を有する給湯ユニット(130)と、
    前記複数の室内ユニット(120a、120b)の少なくとも1つにおいて行われている前記冷却運転の間に、前記給湯ユニット(130)からの給湯の要求の発生を監視し、前記給湯の要求にしたがって前記加熱運転を開始するように構成されたコントローラ(100)と、
    を備え、
    前記コントローラ(100)は、前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの要求の発生を監視するようにさらに構成されており、
    前記コントローラ(100)は、前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が前記冷却運転の負荷の増加に対する増加要求である場合に、前記冷却運転を再開するようにさらに構成され、
    前記コントローラ(100)は、前記加熱運転中に発生した前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が、エリア内の現在の室温と目標温度との間の差が所定値を超えることを示し、かつ、前記加熱運転中に発生した前記要求が、前記加熱運転開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットからのものである場合に、前記増加要求が発生したと判断するようにさらに構成され、
    前記コントローラ(100)は、前記加熱運転開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットにおいて、エリア内の現在の室温と目標温度との間の差が所定値を超えていなくても、前記加熱運転中に発生した前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が、前記加熱運転の開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットからの風量増加の要求である場合に、前記増加要求が発生したと判断するようにさらに構成されている、
    空調給湯システム(10)。
  2. 冷却運転と加熱運転とを選択的に行うように構成された空調給湯システム(10)であって、
    圧縮機(111)および室外熱交換器(113)を有する室外ユニット(110)と、
    それぞれが、前記室外ユニット(110)と接続され、室内熱交換器(121a、121b)を有する、複数の室内ユニット(120a、120b)と、
    前記複数の室内ユニット(120a、120b)と並列に配置されるように前記室外ユニット(110)に接続され、冷媒−水熱交換器(131)を有する給湯ユニット(130)と、
    前記複数の室内ユニット(120a、120b)の少なくとも1つにおいて行われている前記冷却運転の間に、前記給湯ユニット(300)からの給湯の要求の発生を監視し、前記給湯の要求にしたがって前記加熱運転を開始するように構成されたコントローラ(100)と、
    を備え、
    前記コントローラ(100)は、前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの要求の発生を監視するようにさらに構成されており、
    前記コントローラ(100)は、前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が前記冷却運転の負荷の増加に対する増加要求である場合に、前記冷却運転を再開するようにさらに構成され、
    前記コントローラ(100)は、前記加熱運転中に発生した前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が、エリア内の現在の室温と目標温度との間の差が所定値を超えることを示し、かつ、前記加熱運転中に発生した前記要求が、前記加熱運転開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットからのものである場合に、前記増加要求が発生したと判断するようにさらに構成され、
    前記コントローラ(100)は、前記加熱運転開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットにおいて、エリア内の現在の室温と目標温度との間の差が所定値を超えていなくても、前記加熱運転中に発生した前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が前記加熱運転開始前に前記冷却運転が行われていたエリア内の人の増加を示す場合に、前記増加要求が発生したと判断するようにさらに構成されている、
    空調給湯システム(10)。
  3. 冷却運転と加熱運転とを選択的に行うように構成された空調給湯システム(10)であって、
    圧縮機(111)および室外熱交換器(113)を有する室外ユニット(110)と、
    それぞれが、前記室外ユニット(110)と接続され、室内熱交換器(121a、121b)を有する、複数の室内ユニット(120a、120b)と、
    前記複数の室内ユニット(120a、120b)と並列に配置されるように前記室外ユニット(110)に接続され、冷媒−水熱交換器(131)を有する給湯ユニット(130)と、
    前記複数の室内ユニット(120a、120b)の少なくとも1つにおいて行われている前記冷却運転の間に、前記給湯ユニット(300)からの給湯の要求の発生を監視し、前記給湯の要求にしたがって前記加熱運転を開始するように構成されたコントローラ(100)と、
    を備え、
    前記コントローラ(100)は、前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの要求の発生を監視するようにさらに構成されており、
    前記コントローラ(100)は、前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が前記冷却運転の負荷の増加に対する増加要求である場合に、前記冷却運転を再開するようにさらに構成され、
    前記コントローラ(100)は、前記加熱運転中に発生した前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が、エリア内の現在の室温と目標温度との間の差が所定値を超えることを示し、かつ、前記加熱運転中に発生した前記要求が、前記加熱運転開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットからのものである場合に、前記増加要求が発生したと判断するようにさらに構成され、
    前記コントローラ(100)は、前記加熱運転開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットにおいて、エリア内の現在の室温と目標温度との間の差が所定値を超えていなくても、前記加熱運転中に発生した前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が、前記加熱運転の開始前に前記冷却運転中であった室内ユニットの目標温度を下げる要求である場合に、前記増加要求が発生したと判断するようにさらに構成されている、
    空調給湯システム(10)。
  4. 前記コントローラ(100)は、前記加熱運転中に発生した前記複数の室内ユニット(120a、120b)のいずれかからの前記要求が、冷却運転のための冷房要求であり、かつ、状態がオフからオンに変化した室内ユニットからのものである場合に、前記増加要求が発生したと判断するようにさらに構成されている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の空調給湯システム(10)。
  5. 前記複数の室内ユニット(120a、120b)のそれぞれがセンサ(320)を含み、
    前記センサ(320)は、対応エリア内の現在の室温を検出し、検出温度を前記コントローラ(100)に送信するように構成されている、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の空調給湯システム(10)。
  6. 前記複数の室内ユニット(120a、120b)のうちの少なくとも1つの前記センサ(320)は、対応する前記室内ユニットの上または外部に配置されている、
    請求項に記載の空調給湯システム(10)。
  7. 前記複数の室内ユニット(120a、120b)のうちの少なくとも1つは、前記センサ(320)として赤外線センサを有し、前記赤外線センサは、対応エリア内の所定の位置に向けて赤外線を放射して、前記所定の位置の温度を検出して送信するように構成されている、
    請求項又はに記載の空調給湯システム(10)。
  8. 前記複数の室内ユニット(120a、120b)のうちの少なくとも1つに対応し、前記対応エリア内の人数を検出し、検出結果を前記コントローラ(100)に送信するように構成されている少なくとも1つのセンサをさらに含む、
    請求項2に記載の空調給湯システム(10)。
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