以下、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
1.回路装置の第1構成例
まず図1、図2を用いて、差動信号のクロスポイントがずれることによりデータ確定時間が変動することについて説明する。図1は、比較例の回路装置であり、図2は、比較例の動作を説明する波形図である。
図1に示すように、差動信号CKP、CKMは終端抵抗RTCKにより電流電圧変換される。受信回路RVCKは、電圧に変換された差動信号CKP、CKMを受信することで、シングルエンドのクロック信号CKIを出力する。差動信号DTP、DTMは終端抵抗RTDTにより電流電圧変換される。受信回路RVDTは、電圧に変換された差動信号DTP、DTMを受信することで、シングルエンドのデータ信号DTIを出力する。受信処理回路RPCは、クロック信号CKIを用いてデータ信号DTIを取り込む。例えば受信処理回路RPCは、クロック信号CKIを用いてデータ信号DTIをシリアルパラレル変換する。
図2に示すように、受信回路RVCKに入力される差動信号CKP、CKMは、クロスポイントがずれていない状態であるとする。クロスポイントとは、正極信号であるCKPと負極信号であるCKMとが交わるポイントである。即ち、CKPとCKMが交わる電圧及びタイミングのことである。図2において、クロスポイントの電圧は振幅の中心であり、またクロスポイントのタイミングは等間隔である。
受信回路RVCKにおいて、クロック信号CKIをローレベルからハイレベルに変化させる能力と、クロック信号CKIをハイレベルからローレベルに変化させる能力とにアンバランスがある場合、差動信号CKP、CKMのクロスポイントがずれていなくても、クロック信号CKIのデューティーが50%からずれる。図2には、クロック信号CKIのハイデューティーが50%より小さくなる例を示している。これは、実質的に差動信号CKP、CKMのクロスポイントがずれたことと同じである。同様に、データ信号DTIのデューティーが50%からずれる。図2には、データ信号DTIのローデューティーが50%より小さくなる例を示している。
受信処理回路RPCは、データ信号DTIを取り込むためのクロック信号CKIDを、クロック信号CKIに基づいて生成する。そして受信処理回路RPCは、クロック信号CKIDの立ち上がりエッジ及び立ち上がりエッジで、データ信号DTIを取り込む。上記のようなデューティーの変動がある場合、データ信号DTIのデータ確定時間が変動する。図2の例では、データ信号DTIがローレベルになっている時間が短い。このようなデータ確定時間の変動があると、受信処理回路RPCがクロック信号CKIDでデータ信号DTIを取り込む際のセットアップホールド時間が確保しにくくなる。図2の例では、クロック信号CKIDの立ち下がりエッジでデータ信号DTIを取り込む際のセットアップ時間が短くなっている。クロック信号CKI及びデータ信号DTIのデューティーはプロセス変動によってばらつくため、セットアップホールド時間のマージンを確保することが困難になる。転送レートが向上するほど、セットアップホールド時間のマージンを確保することが難しくなるため、転送レートを向上させる際に上記デューティーの変動が課題となる。
なお、上記では受信回路において正極と負極の能力にアンバランスがあることでデータ確定時間が変動する例を説明したが、データ確定時間が変動する要因はこれに限定されない。例えば、差動信号の伝送線路において正極と負極の寄生負荷にアンバランスがあること、或いは、送信回路において正極と負極の駆動能力にアンバランスがあること等によっても、データ確定時間が変動する。以下の本実施形態では、受信回路において正極と負極の能力にアンバランスがあることでデータ確定時間が変動する場合を例に説明するが、上記のような他の要因によってデータ確定時間が変動する場合にも本実施形態を適用できる。
以下、本実施形態の回路装置について説明する。図3は、回路装置100の第1構成例である。回路装置100は、受信回路10と、検出回路20と、メモリー30と、設定回路40と、インターフェース回路50と、端子TP、TMと、信号線LP、LMと、容量回路CP、CMと、終端抵抗RTと、を含む。回路装置100は例えば集積回路装置である。
回路装置100の外部に設けられた送信回路5は、端子TP、TMに対して差動信号を出力する。差動信号は信号SP、SMを含む。信号SPが端子TPに入力され、信号SMが端子TMに入力される。送信回路5は例えば電流駆動回路である。この場合、電流の差動信号が終端抵抗RTにより電圧の差動信号に変換される。信号SP、SMは、電圧に変換された後の差動信号である。
信号線LPは、受信回路10の正極入力端子と端子TPとを接続する。信号線LMは、受信回路10の負極入力端子と端子TMとを接続する。なお、本実施形態における接続は、電気的な接続である。電気的な接続とは、電気信号が伝達可能に接続されていることである。電気信号による情報の伝達が可能となる接続が電気的な接続であり、受動素子等を介した接続であってもよい。例えば信号線LP、LMの経路内に抵抗又はキャパシター等が挿入されてもよい。
受信回路10は、非反転入力端子及び反転入力端子に入力された差動信号を受信する。受信回路10は、受信した差動信号を、シングルエンドの出力信号SIとして出力する。受信回路10の構成例については後述する。なお以下では、出力信号SIが、差動信号の正極信号である信号SPと同極性である場合を例に説明するが、出力信号SIが、差動信号の負極信号である信号SMと同極性であってもよい。
容量回路CPの一端は信号線LPに接続され、容量回路CPの他端は接地ノードに接続される。容量回路CMの一端は信号線LMに接続され、容量回路CMの他端は接地ノードに接続される。なお、容量回路CP、CMの他端は、接地ノードに限らず所定電位のノードに接続されればよい。
容量回路CPは可変容量回路である。具体的には、容量回路CPは、第1〜第pスイッチと第1〜第pキャパシターを含む。pは2以上の整数である。第iスイッチと第iキャパシターは、信号線LPと接地ノードの間に直列に接続される。iは1以上p以下の整数である。スイッチは例えばトランジスターである。設定回路40が第1〜第pスイッチの各スイッチをオン又はオフに設定する。これにより、容量回路CPの容量値が可変に設定される。同様に容量回路CMは可変容量回路であり、容量回路CPと同様な構成である。
検出回路20は、出力信号SIのデューティーを検出し、その検出結果を検出信号DETとして出力する。なお以下では検出回路20が出力信号SIのハイデューティーを検出する場合を例に説明する。容量回路CPの容量値は、検出回路20の検出結果に基づく容量値に、設定されている。第1構成例では、回路装置100の製造時において、検出回路20が出力信号SIのデューティーを検出し、その検出結果に基づく容量値が予め設定される。同様に、容量回路CMの容量値は、検出回路20の検出結果に基づく容量値に、設定されている。
容量回路CP、CMの容量値が変更されると、差動信号のクロスポイントが変わるので、受信回路10から出力される出力信号SIのデューティーが変わる。即ち、本実施形態によれば、デューティーの検出結果に基づいて容量回路CP、CMの容量値が設定されていることで、デューティーのずれを減少させることが可能になる。デューティーのずれは、基準デューティーに対するずれのことである。基準デューティーは例えば50%である。本実施形態では、出力信号SIのデューティーが50%となるように、差動信号のクロスポイントを調整することが可能となる。なお、デューティーが略50%となるようにクロスポイントが調整されていればよい。即ち、セットアップホールド時間を確保できる程度にデューティーが改善されていればよいので、デューティーが厳密に50%になる必要はない。
図4に示すように、cp=cmのときデューティー<50%だったとする。cpは容量回路CPの容量値であり、cmは容量回路CMの容量値である。この場合、cp<cmとなるようにcp、cmが設定される。例えばcp=cmのときcp=cm=c0だったとする。この場合、cp<c0<cmとなるようにcp、cmが設定される。図4に示すように、cp<cmに設定されることで、信号SPの電圧変化が、信号SMの電圧変化よりも急峻になる。これにより、出力信号SIのデューティーが増加するように、差動信号のクロスポイントが変化する。一方、cp=cmのときデューティー>50%だったとする。この場合、cp>cmとなるようにcp、cmが設定される。これにより、出力信号SIのデューティーが減少するように、差動信号のクロスポイントが変化する。このようにして、出力信号SIのデューティーが50%となるように、差動信号のクロスポイントが調整される。
メモリー30は、容量回路CP、CMの容量値を設定するための設定情報を記憶する。設定情報は、例えば、上述した第1〜第pスイッチをオン又はオフに設定するためのデータである。メモリー30は不揮発性メモリーである。不揮発性メモリーは、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリー等である。EEPROMは例えばフローティングゲート型のメモリーセルなどにより実現できる。フラッシュメモリーは、例えばMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)のメモリーセルなどにより実現できる。或いは不揮発性メモリーは、ヒューズセルを用いたメモリーであってもよい。ヒューズセルは、記憶されるビット信号に対応して抵抗値が可変のプログラマブル抵抗を含む。
メモリー30には、回路装置100の製造時において設定情報が書き込まれる。具体的には、検出回路20は、出力信号SIのデューティーが50%より高いか否かを検出する。インターフェース回路50は、検出信号DETを外部装置に送信する。外部装置は、例えば、回路装置100を検査するテスターである。外部装置は、検出信号DETに基づいて容量値cp、cmの設定情報を、インターフェース回路50に出力する。インターフェース回路50は、設定情報を設定回路40に出力する。例えばデューティー<50%のとき、外部装置はcpを減少させると共にcmを増加させ、デューティーが50%に達したときのcp、cmを取得する。外部装置は、そのcp、cmの設定情報を、インターフェース回路50を介してメモリー30に書き込む。
電子機器等に組み込まれた回路装置100の動作を通常動作と呼ぶこととする。通常動作において、設定回路40は、メモリー30からcp、cmの設定情報を読み出し、その設定情報に基づいて容量回路CP、CMの容量値を設定する。これにより、通常動作において出力信号SIのデューティーが50%となる。第1構成例において設定回路40は例えばレジスターである。この場合、メモリー30からcp、cmの設定情報がレジスターに読み出される。レジスターは、保持する設定情報を容量回路CP、CMに出力することで、容量回路CP、CMの容量値を設定する。
なお、検出回路20は、出力信号SIのデューティーが所定範囲内であるか否かを検出してもよい。所定範囲は50%を含む範囲であり、例えば(50−α)%以上(50+α)%以下である。αは、データ取り込み時のセットアップホールド時間を確保できるように、シミュレーション等に基づいて設定される。例えばデューティー<(50−α)%のとき、外部装置はcpを減少させると共にcmを増加させ、デューティーが所定範囲内となったときのcp、cmを取得する。外部装置は、そのcp、cmの設定情報を、インターフェース回路50を介してメモリー30に書き込む。
以上では、容量回路CP、CMの容量値が両方とも可変に設定される場合を例に説明したが、容量回路CPの容量値のみが可変に設定されてもよい。この場合、容量回路CMは、容量値が固定のキャパシターであってもよい。或いは、容量回路CMの容量値のみが可変に設定されてもよい。この場合、容量回路CPは、容量値が固定のキャパシターであってもよい。
なお、第1構成例において、SP、TP、LP、CP、受信回路10の正極入力端子が、それぞれ第1信号、第1端子、第1信号線、第1容量回路、第1入力端子であり、SM、TM、LM、CM、受信回路10の負極入力端子が、それぞれ第1信号、第2端子、第2信号線、第2容量回路、第2入力端子である。或いは、SM、TM、LM、CM、受信回路10の負極入力端子を、それぞれ第1信号、第1端子、第1信号線、第1容量回路、第1入力端子とし、SP、TP、LP、CP、受信回路10の正極入力端子を、それぞれ第1信号、第2端子、第2信号線、第2容量回路、第2入力端子としてもよい。
2.回路装置の第2構成例
図5は、回路装置100の第2構成例である。回路装置100は、受信回路10と、検出回路20と、設定回路40と、端子TP、TMと、信号線LP、LMと、容量回路CP、CMと、終端抵抗RTと、を含む。なお、既に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
第2構成例では、通常動作時において、検出回路20の検出結果に基づいて設定回路40が容量回路CP、CMの容量値を設定する。第2構成例において設定回路40はロジック素子が組み合わせされたロジック回路である。
具体的には、検出回路20は、受信回路10から出力される出力信号SIのデューティーが50%より高いか否かを、検出する。デューティー<50%のとき、設定回路40は、容量回路CPの容量値cpを減少させると共に容量回路CMの容量値cmを増加させる。一方、デューティー>50%のとき、設定回路40は、cpを増加させると共にcmを減少させる。これにより、出力信号SIのデューティーが50%となる。
或いは、検出回路20は、出力信号SIのデューティーが所定範囲内であるか否かを検出する。所定範囲は、例えば(50−α)%以上(50+α)%以下である。デューティー<(50−α)%のとき、設定回路40はcpを減少させると共にcmを増加させる。デューティー>(50+α)%のとき、設定回路40はcpを増加させると共にcmを減少させる。(50−α)%<デューティー<(50+α)%のとき、設定回路40はcp、cmを変化させない。これにより、出力信号SIのデューティーが所定範囲内となる。
図14で後述するように、回路装置100は、例えば電気光学パネルを駆動する表示ドライバーである。受信回路10は表示データ又は表示制御信号を受信するための受信回路である。表示制御信号は、ピクセルクロック信号又は垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号等である。このとき、設定回路40は、表示データ転送における垂直ブランキング期間及び水平ブランキング期間の少なくとも一方において、容量回路CP、CMの容量値を制御する。ブランキング期間は、表示データ転送がディセーブルとなっている期間、即ち受信回路10に表示データが入力されない期間である。垂直ブランキング期間は、1フレームの表示データが転送される期間が終了した後、次の1フレームの表示データが転送される期間が開始されるまでの期間である。水平ブランキング期間は、1ラインの表示データが転送される期間が終了した後、次の1ラインの表示データが転送される期間が開始されるまでの期間である。
なお上記に限定されず、受信回路10に表示データが入力されない期間において、設定回路40が容量回路CP、CMの容量値を制御すればよい。例えば、回路装置100が起動された後の初期化期間等において、設定回路40が容量回路CP、CMの容量値を制御してもよい。
また、設定回路40が容量回路CP、CMの容量値を両方とも制御する場合に限定されない。即ち、設定回路40が容量回路CPの容量値のみを制御してもよい。この場合、容量回路CMは、容量値が固定のキャパシターであってもよい。或いは、設定回路40が容量回路CMの容量値のみを制御してもよい。この場合、容量回路CPは、容量値が固定のキャパシターであってもよい。
3.回路装置の第3構成例
図6は、回路装置100の第3構成例である。回路装置100は、受信回路10と、検出回路20と、メモリー30と、設定回路40と、インターフェース回路50と、端子TP、TMと、信号線LP、LMと、抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2と、終端抵抗RTP、RTMと、を含む。なお、既に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
終端抵抗RTPとRTMは、信号線LPとLMの間に直列に接続される。第1構成例と同様に、信号線LPは、受信回路10の正極入力端子と端子TPとを電気的に接続し、信号線LMは、受信回路10の負極入力端子と端子TMとを電気的に接続する。例えば、信号線LP、LMの各々に、ACカップリング用のキャパシターが挿入されてもよい。その場合、終端抵抗RTPとRTMが接続されるノードにバイアス電圧が供給される。
抵抗回路RP1の一端は信号線LPに接続され、抵抗回路RP1の他端は電源ノードに接続される。抵抗回路RP2の一端は信号線LPに接続され、抵抗回路RP2の他端は接地ノードに接続される。抵抗回路RM1の一端は信号線LMに接続され、抵抗回路RM1の他端は電源ノードに接続される。抵抗回路RM2の一端は信号線LMに接続され、抵抗回路RM2の他端は接地ノードに接続される。なお、抵抗回路RP1、RM1の他端は、電源ノードに限らず第1電位のノードに接続されればよい。また抵抗回路RP2、RM2の他端は、接地ノードに限らず第2電位のノードに接続されればよい。第2電位は第1電位よりも低い。
抵抗回路RP1は可変抵抗回路である。具体的には、抵抗回路RP1は、第1〜第qスイッチと第1〜第q抵抗を含む。qは2以上の整数である。第jスイッチと第jキャパシターは、信号線LPと電源ノードの間に直列に接続される。jは1以上q以下の整数である。スイッチは例えばトランジスターである。設定回路40が第1〜第qスイッチの各スイッチをオン又はオフに設定する。これにより、抵抗回路RP1の抵抗値が可変に設定される。同様に、抵抗回路RP2、RM1、RM2は可変容量回路であり、抵抗回路RP1と同様な構成である。
抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2の抵抗値が変更されると、差動信号のクロスポイントが変わるので、受信回路10から出力される出力信号SIのデューティーが変わる。第3構成例では、抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2の抵抗値は、検出回路20の検出結果に基づく抵抗値に、設定されている。即ち、デューティーの検出結果に基づいて抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2の抵抗値が設定されている。これにより、出力信号SIのデューティーが50%となるように、差動信号のクロスポイントを調整することが可能となる。
図7に示すように、rp1=rp2=rm1=rm2のときデューティー<50%だったとする。rp1は抵抗回路RP1の抵抗値であり、rp2は抵抗回路RP2の抵抗値であり、rm1は抵抗回路RM1の抵抗値であり、rm2は抵抗回路RM2の抵抗値である。この場合、rp1<rp2、且つrm1>rm2となるようにrp1、rp2、rm1、rm2が設定される。例えばrp1=rp2=rm1=rm2のときrp1=rp2=rm1=rm2=r0だったとする。この場合、rp1<r0<rp2、且つrm1>r0>rm2となるように設定される。図7に示すように、rp1<rp2、且つrm1>rm2に設定されることで、信号SPの振幅中心が信号SMの振幅中心よりも高くなる。これにより、出力信号SIのデューティーが増加するように、差動信号のクロスポイントが変化する。一方、rp1=rp2=rm1=rm2のときのときデューティー>50%だったとする。この場合、rp1>rp2、且つrm1<rm2となるようにrp1、rp2、rm1、rm2が設定される。これにより、出力信号SIのデューティーが減少するように、差動信号のクロスポイントが変化する。このようにして、出力信号SIのデューティーが50%となるように、差動信号のクロスポイントが調整される。
メモリー30は、抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2の抵抗値を設定するための設定情報を記憶する。設定情報は、例えば、上述した第1〜第qスイッチをオン又はオフに設定するためのデータである。メモリー30は不揮発性メモリーである。
メモリー30には、回路装置100の製造時において設定情報が書き込まれる。具体的には、検出回路20は、出力信号SIのデューティーが50%より高いか否かを検出する。インターフェース回路50は、検出信号DETを外部装置に送信する。外部装置は、検出信号DETに基づいて抵抗値rp1、rp2、rm1、rm2の設定情報を、インターフェース回路50に出力する。インターフェース回路50は、設定情報を設定回路40に出力する。例えばデューティー<50%のとき、外部装置はrp1、rm2を減少させると共にrp2、rm1を増加させ、デューティーが50%に達したときのrp1、rp2、rm1、rm2を取得する。外部装置は、そのrp1、rp2、rm1、rm2の設定情報を、インターフェース回路50を介してメモリー30に書き込む。
通常動作において、設定回路40は、メモリー30からrp1、rp2、rm1、rm2の設定情報を読み出し、その設定情報に基づいて抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2の抵抗値を設定する。これにより、通常動作において出力信号SIのデューティーが50%となる。
なお、検出回路20は、出力信号SIのデューティーが所定範囲内であるか否かを検出してもよい。所定範囲は、例えば(50−α)%以上(50+α)%以下である。例えばデューティー<(50−α)%のとき、外部装置はrp1、rm2を減少させると共にrp2、rm1を増加させ、デューティーが所定範囲内となったときのrp1、rp2、rm1、rm2を取得する。外部装置は、そのrp1、rp2、rm1、rm2の設定情報を、インターフェース回路50を介してメモリー30に書き込む。
以上では、メモリー30が抵抗値の設定情報を記憶する場合を例に説明したが、第2構成例と同様に、検出回路20の検出結果に基づいて設定回路40が抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2の抵抗値を制御してもよい。この場合、メモリー30及びインターフェース回路50は省略されてもよい。
具体的には、検出回路20は、受信回路10から出力される出力信号SIのデューティーが50%より高いか否かを、検出する。デューティー<50%のとき、設定回路40は、rp1、rm2を減少させると共にrp2、rm1を増加させる。一方、デューティー>50%のとき、設定回路40は、rp1、rm2を増加させると共にrp2、rm1を減少させる。これにより、出力信号SIのデューティーが50%となる。
或いは、検出回路20は、出力信号SIのデューティーが所定範囲内であるか否かを検出する。所定範囲は、例えば(50−α)%以上(50+α)%以下である。デューティー<(50−α)%のとき、設定回路40はrp1、rm2を減少させると共にrp2、rm1を増加させる。デューティー>(50+α)%のとき、設定回路40はrp1、rm2を増加させると共にrp2、rm1を減少させる。(50−α)%<デューティー<(50+α)%のとき、設定回路40はrp1、rp2、rm1、rm2を変化させない。これにより、出力信号SIのデューティーが所定範囲内となる。
また以上では、抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2の抵抗値が可変に設定される場合を例に説明したが、抵抗回路RP1、RP2の抵抗値のみが可変に設定されてもよい。この場合、抵抗回路RM1、RM2は、抵抗値が固定の抵抗素子であってもよい。或いは、抵抗回路RM1、RM2の抵抗値のみが可変に設定されてもよい。この場合、抵抗回路RP1、RP2は、抵抗値が固定の抵抗であってもよい。
なお、第3構成例において、SP、TP、LP、RP1、RP2、受信回路10の正極入力端子が、それぞれ第1信号、第1端子、第1信号線、第1抵抗回路、第2抵抗回路、第1入力端子であり、SM、TM、LM、RM1、RM2、受信回路10の負極入力端子が、それぞれ第1信号、第2端子、第2信号線、第3抵抗回路、第4抵抗回路、第2入力端子である。或いは、SM、TM、LM、RM1、RM2、受信回路10の負極入力端子を、それぞれ第1信号、第1端子、第1信号線、第1抵抗回路、第2抵抗回路、第1入力端子とし、SP、TP、LP、RP1、RP2、受信回路10の正極入力端子を、それぞれ第1信号、第2端子、第2信号線、第3抵抗回路、第4抵抗回路、第2入力端子としてもよい。
4.検出回路
図8は、検出回路20の第1の詳細な構成例である。検出回路20は、積分回路14と比較回路CPAと基準電圧生成回路13とを含む。
積分回路14は、受信回路10の出力信号SIを積分し、その結果を出力電圧QINTとして出力する。積分回路14は抵抗RINTとキャパシターCINTとを含む。抵抗RINTの一端には出力信号SIが入力され、抵抗RINTの他端はキャパシターCINTの一端が接続される。キャパシターCINTの他端は接地ノードに接続される。抵抗RINTの他端から出力電圧QINTが出力される。
基準電圧生成回路13は、基準電圧VRAを生成する。基準電圧生成回路13は抵抗RRA1、RRA2を含む。抵抗RRA1の一端は電源ノードに接続され、抵抗RRA1の他端は抵抗RRA2の一端に接続される。抵抗RRA2の他端は接地ノードに接続される。抵抗RRA1の他端から基準電圧VRAが出力される。
比較回路CPAは、積分回路14の出力電圧QINTと基準電圧VRAとを比較することで、検出信号DETを出力する。受信回路10から出力される出力信号SIのデューティーが50%より大きいとき、比較回路CPAは、第1電圧レベルの検出信号DETを出力する。一方、出力信号SIのデューティーが50%より小さいとき、比較回路CPAは、第2電圧レベルの検出信号DETを出力する。例えば図8に示すように、比較回路CPAの正極入力端子に出力電圧QINTが入力され、比較回路CPAの負極入力端子に基準電圧VRAが入力される。この場合、QINT>VRAのときDETはハイレベルであり、QINT<VRAのときDETはローレベルである。即ち、この例では、第1電圧レベルがハイレベルであり、第2電圧レベルがローレベルである。
図8の検出回路20を図5の第2構成例に適用した場合における、設定回路40の動作を説明する。なお、図8の検出回路20は図3の第1構成例及び図6の第3構成例にも適用可能である。
設定回路40は、検出信号DETに基づいて容量回路CP、CMの容量値cp、cmを設定する。即ち、検出信号DETが第1電圧レベルであるとき、設定回路40は容量値cpを増加させると共に容量値cmを減少させる。一方、検出信号DETが第2電圧レベルであるとき、設定回路40は容量値cpを減少させると共に容量値cmを増加させる。
このようにすれば、出力信号SIのデューティーが50%より大きいとき、設定回路40が容量値cpを増加させると共に容量値cmを減少させる。これにより、出力信号SIのデューティーが低下する。一方、出力信号SIのデューティーが50%より小さいとき、設定回路40が容量値cpを減少させると共に容量値cmを増加させる。これにより、出力信号SIのデューティーが増加する。このようにして、出力信号SIのデューティーを50%にすることができる。
図9は、検出回路20の第2の詳細な構成例である。検出回路20は、積分回路14と比較回路CPB1、CPB2と基準電圧生成回路13とを含む。なお、既に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
基準電圧生成回路13は、第1基準電圧である基準電圧VRB1と、第2基準電圧である基準電圧VRB2を生成する。VRB1>VRB2である。デューティーの所定範囲を(50−α)%以上(50+α)%以下としたとき、VRB1は所定範囲の上限(50+α)%に対応し、VRB2は所定範囲の下限(50−α)%に対応する。基準電圧生成回路13は抵抗RRB1〜RRB3を含む。抵抗RRB1の一端は電源ノードに接続され、抵抗RRB1の他端は抵抗RRB2の一端に接続される。抵抗RRB2の他端は抵抗RRB3の一端に接続され、抵抗RRB2の他端は抵抗RRB3の一端に接続される。抵抗RRB3の他端は接地ノードに接続される。抵抗RRB1の他端から基準電圧VRB1が出力され、抵抗RRB2の他端から基準電圧VRB2が出力される。
比較回路CPB1は、積分回路14の出力電圧QINTと基準電圧VRB1とを比較することで、第1検出信号である検出信号DET1を出力する。受信回路10から出力される出力信号SIのデューティーが(50+α)%より大きいとき、比較回路CPB1は、第1電圧レベルの検出信号DET1を出力する。一方、出力信号SIのデューティーが(50+α)%より小さいとき、比較回路CPB1は、第2電圧レベルの検出信号DET1を出力する。例えば図9に示すように、比較回路CPB1の正極入力端子に出力電圧QINTが入力され、比較回路CPB1の負極入力端子に基準電圧VRB1が入力される。この場合、QINT>VRB1のときDET1はハイレベルであり、QINT<VRB1のときDET1はローレベルである。
比較回路CPB2は、積分回路14の出力電圧QINTと基準電圧VRB2とを比較することで、第2検出信号である検出信号DET2を出力する。受信回路10から出力される出力信号SIのデューティーが(50−α)%より大きいとき、比較回路CPB2は、第1電圧レベルの検出信号DET2を出力する。一方、出力信号SIのデューティーが(50−α)%より小さいとき、比較回路CPB2は、第2電圧レベルの検出信号DET2を出力する。例えば図9に示すように、比較回路CPB2の正極入力端子に出力電圧QINTが入力され、比較回路CPB2の負極入力端子に基準電圧VRB2が入力される。この場合、QINT>VRB2のときDET2はハイレベルであり、QINT<VRB2のときDET2はローレベルである。
図9の検出回路20を図5の第2構成例に適用した場合における、設定回路40の動作を説明する。ここでは、図9の検出信号DET1、DET2が図5の検出信号DETに対応する。なお、図9の検出回路20は図3の第1構成例及び図6の第3構成例にも適用可能である。
設定回路40は、検出信号DET1、DET2に基づいて容量回路CP、CMの容量値cp、cmを設定する。即ち、検出信号DET1、DET2が第1電圧レベルであるとき、設定回路40は容量値cpを増加させると共に容量値cmを減少させる。一方、検出信号DET1、DET2が第2電圧レベルであるとき、設定回路40は容量値cpを減少させると共に容量値cmを増加させる。検出信号DET1が第2電圧レベルであり、且つ検出信号DET2が第1電圧レベルであるとき、設定回路40は容量値cp、cmを変化させない。
このようにすれば、出力信号SIのデューティーが(50+α)%より大きいとき、設定回路40が容量値cpを増加させると共に容量値cmを減少させる。これにより、出力信号SIのデューティーが低下する。一方、出力信号SIのデューティーが(50−α)%より小さいとき、設定回路40が容量値cpを減少させると共に容量値cmを増加させる。これにより、出力信号SIのデューティーが増加する。出力信号SIのデューティーが(50−α)%より大きく(50+α)%より小さいとき、設定回路40が容量値cp、cmを変化させない。これにより、出力信号SIのデューティーが変化しない。このようにして、出力信号SIのデューティーを(50−α)%以上(50+α)%以下の所定範囲内にすることができる。
5.送信回路、受信回路
図10は、送信回路5の詳細な構成例である。送信回路5は、P型トランジスターTPAとN型トランジスターTNA1〜TNA4とを含む。
N型トランジスターTNA1〜TNA4はHブリッジ回路を構成しており、Hブリッジ回路は信号IP、IN、IPX、INXにより駆動される。信号IPXは信号IPの論理反転信号であり、信号INXは信号INの論理反転信号である。P型トランジスターTPAのゲートにはバイアス電圧VRPが入力されており、P型トランジスターTPAは電流源として機能する。この電流源は、Hブリッジ回路に定電流を供給する。
以下、ハイレベルをHと記載し、ローレベルをLと記載する。IP=H、IN=Lのとき、N型トランジスターTNA1、TNA4がオンであり、N型トランジスターTNA2、TNA3がオフである。電流源からN型トランジスターTNA1を介して出力ノードQPに電流が流れる。この電流は受信回路の終端抵抗を介して出力ノードQNに戻り、N型トランジスターTNA4を介して接地ノードに流れる。IP=L、IN=Hのとき、N型トランジスターTNA1、TNA4がオフであり、N型トランジスターTNA2、TNA3がオンである。電流源からN型トランジスターTNA3を介して出力ノードQNに電流が流れる。この電流は受信回路の終端抵抗を介して出力ノードQPに戻り、N型トランジスターTNA2を介して接地ノードに流れる。このように、送信回路5は電流駆動により差動信号を出力する。
図11は、受信回路10の詳細な構成例である。受信回路10は、P型トランジスターTPB1、TPB2とN型トランジスターTNB1〜TNA3と論理反転回路IVB1、IVB2とを含む。
P型トランジスターTPB1、TPB2及びN型トランジスターTNB1、TNB2は差動対回路を構成しており、差動対回路は信号SP、SMを増幅する。信号SP、SMは、受信回路10に入力された差動信号である。N型トランジスターTNB3のゲートにはバイアス電圧VRNが入力されており、N型トランジスターTNB3は電流源として機能する。この電流源は、差動対回路に定電流を供給する。論理反転回路IVB1、IVB2は、差動対回路の出力信号をバッファリングすることで出力信号SIを出力する。このように、受信回路10は、受信した差動信号をシングルエンドの出力信号SIとして出力する。
例えば、受信回路10に入力された差動信号のクロスポイントがずれていなかったとする。しかし、差動対回路にアンバランスがある場合には、出力信号SIのデューティーがずれる。或いは、論理反転回路IVB1、IVB2が信号をローレベルからハイレベルに変化させる能力と、論理反転回路IVB1、IVB2が信号をハイレベルからローレベルに変化させる能力との間にアンバランスがある場合には、出力信号SIのデューティーがずれる。本実施形態の回路装置100は、このようなアンバランスがある場合であっても、出力信号SIのデューティーを50%にできる。
6.クロック埋め込み式サーディス(SerDes)
以上に説明した本実施形態の回路装置100は、クロック埋め込み式サーディスに適用できる。クロック埋め込み式サーディスは、データ信号にクロック信号を埋め込むことで1組の差動信号によりデータ信号及びクロック信号を転送する方式である。以下、単にサーディスと呼ぶ。なお、本実施形態の回路装置100は、図1等で説明したデータ信号とクロック信号をそれぞれ差動信号として転送する方式にも適用できる。
図12は、サーディスにおける受信処理回路17の構成例である。受信処理回路17は、PLL回路15とデータ抽出回路16とを含む。なお、図3、図5、図6の回路装置100は図12の受信処理回路17を含むことができる。
受信回路10は、サーディス規格の差動信号を受信し、その受信した信号を出力信号DTINとして出力する。出力信号DTINは図3、図5、図6の出力信号SIに対応する。PLL回路15は、出力信号DTINに含まれるクロック信号に同期したクロック信号RECKを生成する。データ抽出回路16は、クロック信号RECKに基づいて、出力信号DTINからデータ信号を抽出する。このデータ信号は、例えば8b10b方式により符号化されている。データ抽出回路16は、抽出されたデータ信号に対して8b10b方式の復号化を行うことで、符号化前のデータ信号REDTを復元する。
図13は、受信処理回路17の動作を説明する波形図である。出力信号DTINは、8b10b方式で符号化された10ビットデータD0〜D9と、クロック信号とを含む。10ビットデータD0〜D9の次はビット“0”であり、その次はビット“1”であり、その次は10ビットデータD0〜D9である。この“0”から“1”への遷移が、データに埋め込まれたクロック信号になっている。
PLL回路15は、VCOの発振信号を分周したフィードバッククロック信号FBCKと、出力信号DTINにおける“0”から“1”への遷移とを位相比較する。PLL回路15は、その位相比較結果に基づいて、VCOの発振信号を、出力信号DTINにおける“0”から“1”への遷移にロックさせる。PLL回路15は、VCOの発振信号に基づいてクロック信号RECKを出力する。
データ抽出回路16は、出力信号DTINに含まれる10ビットデータD0〜D9を、クロック信号RECKに基づいて取り込む。このとき、クロスポイントのずれによって出力信号DTINのデータ確定時間が変動すると、10ビットデータD0〜D9を、クロック信号RECKに基づいて取り込む際のセットアップホールド時間を確保することが困難になる。例えば出力信号DTINのハイデューティーが50%より小さい場合、出力信号DTINがハイレベルに確定している時間が短いので、クロック信号RECKに基づいてハイレベルを取り込む際のセットアップホールド時間が厳しくなる。本実施形態の回路装置100は、出力信号DTINのデューティーを50%にできるので、セットアップホールド時間を改善できる。
7.電気光学装置
次に本実施形態の回路装置100を用いた電気光学装置250の構成例について説明する。図14の電気光学装置250は、表示ドライバーである回路装置100と、電気光学パネル200とを含む。表示ドライバーである回路装置100は、受信回路10が受信したデータ信号に基づいて電気光学パネル200を駆動する。
回路装置100は、インターフェース回路12と駆動回路120とD/A変換回路130と階調電圧生成回路132と表示データレジスター134と処理回路140とを含む。
インターフェース回路12は、受信回路10を含む。外部装置の送信回路から端子TP、TMを介してインターフェース回路12に差動信号が入力される。外部装置は、例えばCPU又はマイクロコンピューター等のプロセッサー、或いは表示コントローラーである。インターフェース回路12は、図3の検出回路20、設定回路40、インターフェース回路50、容量回路CP、CM、終端抵抗RTを含む。或いは、インターフェース回路12は、図5の検出回路20、設定回路40、容量回路CP、CM、終端抵抗RTを含む。或いは、インターフェース回路12は、図6の検出回路20、設定回路40、インターフェース回路50、抵抗回路RP1、RP2、RM1、RM2、終端抵抗RTP、RTMを含む。
処理回路140は各種の制御処理を行う。例えば処理回路140は、表示タイミング制御、及び回路装置100内の各回路の制御、外部装置とのインターフェース処理等を行う。処理回路140は、例えばゲートアレイなどの自動配置配線により実現できる。処理回路140には、受信回路10により受信されたデータ信号が、入力される。処理回路140は、そのデータ信号に基づいて表示データを出力する。
表示データレジスター134は、処理回路140からの表示データをラッチする。ガンマ電圧回路である階調電圧生成回路132は、複数の階調電圧をD/A変換回路130に出力する。D/A変換回路130は複数のD/A変換器DAC1〜DACnを含む。そしてD/A変換回路130は、階調電圧生成回路132からの複数の階調電圧の中から、表示データレジスター134からの表示データに対応する階調電圧を選択して、駆動回路120に出力する。駆動回路120は、選択された階調電圧をデータ電圧として各データ線に出力する。
駆動回路120は、表示データに対応するデータ電圧VD1〜VDnをデータ線DL1〜DLnに出力することで、電気光学パネル200を駆動する。nは2以上の整数である。駆動回路120は、複数のアンプ回路AM1〜AMnを有する。アンプ回路AM1〜AMnは、D/A変換器DAC1〜DACnからの階調電圧をバッファリング又は増幅することで、データ電圧VD1〜VDnをデータ線DL1〜DLnに出力する。
電気光学パネル200は、画像を表示するためのパネルであり、例えば液晶パネルや有機ELパネルなどにより実現できる。液晶パネルとしては、薄膜トランジスター(TFT)などのスイッチ素子を用いたアクティブマトリクス方式のパネルを採用できる。
8.電子機器、プロジェクター
図15に本実施形態の回路装置100を含む電子機器300の構成例を示す。電子機器300は、本実施形態の回路装置100、電気光学パネル200、処理装置310、記憶部320、操作インターフェース330、通信インターフェース340を含む。表示ドライバーである回路装置100と電気光学パネル200により電気光学装置250が構成される。電子機器300の具体例としては、例えばプロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ、携帯情報端末、メーターパネル、カーナビゲーションシステム等の車載装置、携帯型ゲーム端末、ロボット、或いは情報処理装置などの種々の電子機器がある。
処理装置310は、電子機器300の制御処理や、種々の信号処理等を行う。処理装置310は、例えばCPUやMPU等のプロセッサー、或いはASIC等により実現できる。或いは処理装置310は表示コントローラーであってもよい。記憶部320は、例えば操作インターフェース330や通信インターフェース340からのデータを記憶したり、或いは、処理装置310のワークメモリーとして機能する。記憶部320は、例えばRAMやROM等の半導体メモリー、或いはHDD等の磁気記憶装置、或いはCDドライブ、DVDドライブ等の光学記憶装置等により実現できる。操作インターフェース330は、ユーザーからの種々の操作を受け付けるユーザーインターフェースである。例えば操作インターフェース330は、ボタンやマウスやキーボード、或いは電気光学パネル200に装着されたタッチパネル等により実現できる。通信インターフェース340は、表示データや制御データの通信を行うインターフェースである。通信インターフェース340の通信処理は、有線の通信処理であってもよいし、無線の通信処理であってもよい。
処理装置310には、通信インターフェース340が受信した表示データ、又は記憶部320から読み出された表示データが、入力される。処理装置310は、その表示データを回路装置100へ転送する。回路装置100は、入力された表示データに基づいて電気光学パネル200を駆動することで、表示データに対応した画像を電気光学パネル200に表示させる。
なお電子機器300がプロジェクターである場合には、光源と光学系を有する投影部が更に設けられる。光源は、例えばハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニットなどにより実現される。光学系は、例えばレンズ、プリズム又はミラー等により実現される。電気光学パネル200が透過型である場合、光源からの光が光学系を介して電気光学パネル200に入射され、電気光学パネル200を透過した光がスクリーンに投影される。電気光学パネル200が反射型である場合、光源からの光が光学系を介して電気光学パネル200に入射され、電気光学パネル200から反射された光がスクリーンに投影される。
以上に説明した本実施形態の回路装置は、差動信号の第1信号が入力される第1端子と、差動信号の第2信号が入力される第2端子と、第1端子及び第2端子を介して差動信号を受信する受信回路と、を含む。また回路装置は、第1信号線と第2信号線と第1容量回路と第2容量回路と検出回路とを含む。第1信号線は、受信回路の第1入力端子と、第1端子とを接続する。第2信号線は、受信回路の第2入力端子と、第2端子とを接続する。第1容量回路の一端は、第1信号線に接続され、第1容量回路の他端は、所定電位のノードに接続される。第2容量回路の一端は、第2信号線に接続され、第2容量回路の他端は、所定電位のノードに接続される。検出回路は、受信回路から出力される出力信号のデューティーを検出する。第1容量回路の容量値である第1容量値は、検出回路の検出結果に基づく容量値に、設定されている。
第1容量回路の容量値が変更されると、差動信号のクロスポイントが変わるので、受信回路から出力される出力信号のデューティーが変わる。即ち、本実施形態によれば、第1容量回路の容量値が、デューティーの検出結果に基づく容量値に設定されているので、基準デューティーに対するデューティーのずれを減少させることが可能になる。
また本実施形態では、回路装置は、第1容量値の設定情報を記憶するメモリーと、メモリーから読み出した設定情報に基づいて、第1容量値を設定する設定回路と、を含んでもよい。
このようにすれば、検出回路の検出結果に基づく第1容量値の設定情報を、メモリーに記憶させることができる。そして、設定回路が、メモリーから読み出した設定情報に基づいて第1容量値を設定することで、第1容量値が、検出回路の検出結果に基づく容量値に設定される。
また本実施形態では、メモリーは、不揮発性メモリーであってもよい。
このようにすれば、検出回路の検出結果に基づく第1容量値の設定情報を、不揮発性メモリーに記憶させることができる。例えば、回路装置の製造時等において、設定情報を不揮発性メモリーに書き込んでおくことができる。
また本実施形態では、回路装置は、検出結果に基づいて第1容量値を設定する設定回路を含んでもよい。
このようにすれば、設定回路が、検出回路の検出結果に基づいて第1容量値を設定することで、第1容量値が、検出回路の検出結果に基づく容量値に設定される。また、このようにすれば、回路装置の通常動作時において、設定回路が第1容量値を設定することが可能となる。
また本実施形態では、検出回路は、受信回路の出力信号を積分する積分回路と、積分回路の出力電圧と基準電圧とを比較することで、検出信号を出力する比較回路と、を含んでもよい。設定回路は、検出信号に基づいて第1容量値を設定してもよい。
このようにすれば、積分回路の出力電圧は、受信回路の出力信号を平滑化した電圧となる。即ち、受信回路から出力される出力信号のデューティーに応じて、積分回路の出力電圧が変化する。このため、比較回路が、積分回路の出力電圧と基準電圧とを比較することで、出力信号のデューティーを検出できる。即ち、比較回路が、出力信号のデューティーの方が基準デューティーよりも高いか否かを、判定できる。基準デューティーは、基準電圧に対応したデューティーである。
また本実施形態では、比較回路は、積分回路の出力電圧と基準電圧との比較結果に応じて、第1電圧レベル又は第2電圧レベルの検出信号を出力してもよい。設定回路は、検出信号が第1電圧レベルであるとき、第1容量値を増加させ、検出信号が第2電圧レベルであるとき、第1容量値を減少させてもよい。
このようにすれば、受信回路から出力される出力信号のデューティーが、基準デューティーよりも高いか否かに応じて、第1容量値が制御される。これにより、基準デューティーに対するデューティーのずれを減少させることが可能になる。
また本実施形態では、検出回路は、受信回路の出力信号を積分する積分回路と、積分回路の出力電圧と第1基準電圧とを比較することで、第1検出信号を出力する第1比較回路と、積分回路の出力電圧と、第1基準電圧と異なる第2基準電圧とを比較することで、第2検出信号を出力する第2比較回路と、を含んでもよい。設定回路は、第1検出信号及び第2検出信号に基づいて、第1容量値を設定してもよい。
このようにすれば、第1比較回路が、積分回路の出力電圧と第1基準電圧とを比較することで、出力信号のデューティーの方が第1基準デューティーよりも高いか否かを、判定できる。第1基準デューティーは、第1基準電圧に対応したデューティーである。また第2比較回路が、積分回路の出力電圧と第2基準電圧とを比較することで、出力信号のデューティーの方が第2基準デューティーよりも高いか否かを、判定できる。第2基準デューティーは、第2基準電圧に対応したデューティーである。そして設定回路が、第1検出信号及び第2検出信号に基づいて第1容量値を設定することで、出力信号のデューティーが第1基準デューティーと第2基準デューティーの間となるように、第1容量値を設定できる。
また本実施形態では、回路装置は、電気光学パネルを駆動する駆動回路を含んでもよい。設定回路は、表示データ転送における垂直ブランキング期間及び水平ブランキング期間の少なくとも一方において、第1容量値を制御してもよい。
このようにすれば、受信回路に表示データが入力されない垂直ブランキング期間及び水平ブランキング期間の少なくとも一方において、第1容量値を制御できる。例えば、垂直ブランキング期間及び水平ブランキング期間の少なくとも一方において、デューティー検出用の差動信号が受信回路に入力される。このデューティー検出用の差動信号に基づいて第1容量値が制御される。このようなデューティー検出用の差動信号は、受信回路に表示データが入力されないブランキング期間において受信回路に入力できる。
また本実施形態では、第1容量値は、デューティーを50%にする容量値であってもよい。
このようにすれば、上述した基準デューティーは50%であり、受信回路から出力される出力信号のデューティーが50%となるように、第1容量値が設定される。デューティーが50%となることで、セットアップホールド時間を確保しやすくなる。
また第2容量回路の容量値である第2容量値は、検出回路による検出結果に基づく容量値に、設定されている。
第2容量回路の容量値が変更されると、差動信号のクロスポイントが変わるので、受信回路から出力される出力信号のデューティーが変わる。即ち、本実施形態によれば、第2容量回路の容量値が、デューティーの検出結果に基づく容量値に設定されているので、基準デューティーに対するデューティーのずれを減少させることが可能になる。
また本実施形態の他の態様では、回路装置は、差動信号の第1信号が入力される第1端子と、差動信号の第2信号が入力される第2端子と、差動信号を受信する受信回路と、を含む。また回路装置は、第1信号線と第2信号線と第1抵抗回路と第2抵抗回路と第3抵抗回路と第4抵抗回路と検出回路とを含む。第1信号線は、受信回路の第1入力端子と、第1端子とを接続する。第2信号線は、受信回路の第2入力端子と、第2端子とを接続する。第1抵抗回路の一端は、第1信号線に接続され、第1抵抗回路の他端は、第1電位のノードに接続される。第2抵抗回路の一端は、第1信号線に接続され、第2抵抗回路の他端は、第1電位のノードより電位が低い第2電位のノードに接続される。第3抵抗回路の一端は、第2信号線に接続され、第3抵抗回路の他端は、第1電位のノードに接続される。第4抵抗回路の一端は、第2信号線に接続され、第4抵抗回路の他端は、第2電位のノードに接続される。検出回路は、受信回路の出力信号のデューティーを検出する。第1抵抗回路の抵抗値である第1抵抗値、及び第2抵抗回路の抵抗値である第2抵抗値は、検出回路の検出結果に基づく抵抗値に、設定されている。
第1抵抗回路の抵抗値及び第2抵抗回路の抵抗値が変更されると、差動信号のクロスポイントが変わるので、受信回路から出力される出力信号のデューティーが変わる。即ち、本実施形態によれば、第1抵抗回路の抵抗値及び第2抵抗回路の抵抗値が、デューティーの検出結果に基づく抵抗値に設定されているので、基準デューティーに対するデューティーのずれを減少させることが可能になる。
また本実施形態では、回路装置は、第1抵抗値及び第2抵抗値の設定情報を記憶するメモリーと、メモリーから読み出した設定情報に基づいて、第1抵抗値及び第2抵抗値を設定する設定回路と、を含んでもよい。
このようにすれば、検出回路の検出結果に基づく第1抵抗値及び第2抵抗値の設定情報を、メモリーに記憶させることができる。そして、設定回路が、メモリーから読み出した設定情報に基づいて第1抵抗値及び第2抵抗値を設定することで、第1抵抗値及び第2抵抗値が、検出回路の検出結果に基づく抵抗値に設定される。
また本実施形態では、回路装置は、検出結果に基づいて第1抵抗値及び第2抵抗値を設定する設定回路を含んでもよい。
このようにすれば、設定回路が、検出回路の検出結果に基づいて第1抵抗値及び第2抵抗値を設定することで、第1抵抗値及び第2抵抗値が、検出回路の検出結果に基づく抵抗値に設定される。また、このようにすれば、回路装置の通常動作時において、設定回路が第1抵抗値及び第2抵抗値を設定することが可能となる。
また本実施形態では、検出回路は、受信回路の出力信号を積分する積分回路と、積分回路の出力電圧と基準電圧とを比較することで、検出信号を出力する比較回路と、を含んでもよい。設定回路は、検出信号に基づいて第1抵抗値及び第2抵抗値を設定してもよい。
このようにすれば、比較回路が、積分回路の出力電圧と基準電圧とを比較することで、出力信号のデューティーを検出できる。即ち、比較回路が、出力信号のデューティーの方が基準デューティーよりも高いか否かを、判定できる。そして、設定回路が、デューティーの検出結果に基づいて第1抵抗値及び第2抵抗値を設定できる。
また本実施形態の電気光学装置は、電気光学パネルと、上記に記載され、電気光学パネルを駆動する回路装置と、を含む。
また本実施形態の電子機器は、上記に記載された回路装置を含む。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、電気光学装置及び電子機器等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。