JP6827864B2 - 凝集装置及びこれを備えた排ガス処理装置 - Google Patents
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Description
同文献に記載された凝集装置は、排ガスの流路内に、排ガス流れ方向に沿って配置された直流高電圧の正電極と、正電極の側方に並んで平行に配置された接地電極と、接地電極の側方に並んで平行に配置された直流高電圧の負電極とを備えている。正電極と接地電極と負電極とはこの順番で繰り返して配列されている。これら電極の排ガス流れ下流側には、排ガス流れの渦流を形成する転向装置が設けられている。
正電極と接地電極との間を流れつつ正に帯電した微粒子と、負電極と接地電極との間を流れつつ負に帯電した微粒子とは、転向装置にて渦流となった排ガスの流れによって凝集して肥大化される。肥大化された微粒子は、さらに排ガス流れの下流側に設置されたフィルタ等のダスト除去装置によって除去される。
すなわち、本発明にかかる凝集装置は、排ガス流れ方向に沿って配置された第1板状部、及び、該第1板状部の一方の面のみに設けられた複数の第1突起部を有し、正または負のいずれか一方の電圧が印加される第1電極と、前記排ガス流れ方向に沿って配置された第2板状部、及び、該第2板状部の一方の面のみに設けられた複数の第2突起部を有し、接地された第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の前記排ガス流れ方向の下流側に設けられ、排ガスの流れを乱す乱流発生部と、を備え、前記第1電極と前記第2電極とは、前記第1突起部が設けられた面と前記第2突起部が設けられた面とが対向しないように設けられ、かつ、前記排ガス流れ方向に対して交差する方向に交互に設けられている。
第1板状部の一方の面のみに第1突起部が設けられ、第2板状部の一方の面のみに第2突起部が設けられている。そして、第1突起部が設けられた面と第2突起部に設けられた面とが対向しないように設けられているので、第1電極と第2電極で挟まれた流路には、第1突起部または第2突起部の一方のみが突出することになり、一方の突起部のみからコロナ放電が行われることになる。これにより、第1突起部と第2突起部との間で放電の干渉が生じることを回避することができる。したがって、排ガス中に含まれる微粒子を、第1電極と第2電極で挟まれた流路を通過する際に効率良く帯電させることができる。
なお、排ガス中に含まれる微粒子としては、ばいじん等が挙げられる。本発明によれば、例えば1〜3μm程度の粒径で存在する微粒子が3〜5μm以上に凝集肥大化される。
なお、P1/L及びP2/Lの上限は2以下とすることが好ましい。
突起部のピッチと電極間隔の比を変えると電流の拡がる範囲が変化し電流密度が極大値を取る現象が発生する事から板幅を狭められる限界がある。本事象に鑑み、排ガス流れ方向における分割された1つの板状部の幅をW、第1板状部と第2板状部との間隔をLとした場合、W/Lは0.5以上1.0以下とすることが好ましい。
なお、正極性と負極性の放電特性を考えるとき、負極性の方が正極性の電流密度の90%の電界強度で正極性と同じ電流密度を得られる特性に鑑み、第1突起部の高さに対して第2突起部の高さを10%長くすることがより好ましい。
なお、ダスト等の微粒子を捕集する捕集装置としては、集じん装置(例えば乾式電気集じん装置)や、集じん以外の排ガス処理を主とする装置だが集じん機能も併せ持つ装置、例えばクエンチャーや脱硫装置(スクラバ)等の湿式吸収塔が一例として挙げられる。従って、集じん装置(例えば乾式電気集じん装置)の排ガス流れ方向の下流に、例えば脱硫装置が設けられる場合には、凝集装置は、集じん装置の排ガス方向の上流側に設けても下流側(脱硫装置の上流側)に設けても良い。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
<排ガス処理装置の全体構成>
図1には、本実施形態の凝集装置が設置される排ガス処理装置が示されている。
石炭焚きとされたボイラ1の排ガス流れ方向の下流側には、排ガス処理装置として、順に、脱硝装置2、熱回収用ガス−ガスヒータ3、乾式電気集じん装置4、脱硫装置5、再加熱用ガス−ガスヒータ6が設置されている。
図2には、凝集装置10を平面視した概略構成が示されている。
凝集装置10は、排ガスが流通するダクト内に設けられ、排ガス流れ方向Dの上流側に配置されたコロナ放電部11と、コロナ放電部11の下流側に配置された混合部(乱流発生部)12とを備えている。
負極突起部13bは、排ガス流れ方向Dだけでなく、上下方向(図2の紙面垂直方向)にも所定間隔を有して複数設けられている。
なお、負電極13の数は、本実施形態では排ガス流れ方向Dに直交する方向に2つ設けられているが、その数は限定されるものではなく、3つ以上であっても良い。
接地突起部14bは、排ガス流れ方向Dだけでなく、上下方向(図2の紙面垂直方向)にも所定間隔を有して複数設けられている。
なお、接地電極14の数は、本実施形態では排ガス流れ方向Dに直交する方向に3つ設けられているが、その数は限定されるものではなく、4つ以上であっても良い。
板状部13a,14a間の間隔Lに対する突起部13b,14bの高さZ1,Z2の比が小さくなると、突起部13b,14bを設置している板状部13a,14aの電位の影響を受けて電流の広がりが抑制される。この結果、図6の通り平均電流密度が低下していく。性能不足なく且つ裕度を取り過ぎない範囲として電流密度が±20%の範囲を有効とすると、Z1/L及びZ2/Lは、それぞれ、0.05以上0.15以下の範囲が良い。なお、±20%の基準は、突起部13b,14bの高さZ1,Z2=10mm,板状部13a,14a間の間隔L=100mm,すなわちZ1/L=0.1(Z2/L=0.1)を基準としている。
図7に示すように、性能不足なく且つ裕度を取り過ぎない範囲として最大値の±10%程度を有効とすると、P1/L,P2/Lは1.0以上2.0以下の範囲が良いといえる。
図2に示すように、排ガスがコロナ放電部11に流入すると、負電極13と接地電極14との間の流路24a,24bを流れる。負極突起部13bのみが配置された流路24aでは、負電極13と接地電極14との間の電位差によって負極突起部14bの先端から負のコロナ放電が発生し、排ガス中の微粒子が負に帯電する。接地突起部14bのみが配置された流路24bでは、接地電極14と負電極13との間の電位差によって接地突起部14bの先端から正のコロナ放電が発生し、排ガス中の微粒子が正に帯電する。
このように凝集装置10によって凝集肥大化した微粒子は、図1において凝集装置10をAに設置した場合にはその下流側に配置された乾式電気集じん装置4で、Bに設置した場合にはその下流側に配置された脱硫装置5にて捕集されて排ガス中から除去される。
負電極13と接地電極14で挟まれた流路24a,24bには、負極突起部13bまたは接地突起部14bの一方のみが突出することになり、一方の突起部13b,14bのみからコロナ放電が行われることになる。これにより、負極突起部13bと接地突起部14bとの間で放電の干渉が生じることを回避することができる。したがって、排ガス中に含まれる微粒子を、負電極13と接地電極14で挟まれた流路24a,24bを通過する際に効率良く帯電させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対して板状部13a,14aの形状が異なるのみで、その他の点については同様である。したがって、以下では第1実施形態に対する相違点のみについて説明する。
突起部13b,14bのピッチP1,P2と板状部13a,14aの間隔Lの比を変えると電流の広がる範囲が変化し、性能不足なく且つ裕度を取り過ぎない範囲としてピーク電流密度の50%になる位置までが、板幅Wを狭められる限界と規定すると、図8に示した関係が得られる。図7からP1/L,P2/Lは1.0以上2.0以下の範囲としたため、その範囲で規定すると板幅WとピッチP1,P2の比は0.5以上0.7以下の範囲が有効といえる。ただし、板幅WとピッチP1,P2の比は1.0未満まで許容できる。したがって、W/Lは、0.5以上2.0以下とするのが好ましい。
板状部13a,14aを排ガス流れ方向Dに分割することで、放電に寄与しない板状部13a,14aを省略することができ、電極13,14の軽量化とコスト低減が可能となる。
次に、本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対して突起部13b,14bの高さが異なるのみで、その他の点については同様である。したがって、以下では第1実施形態に対する相違点のみについて説明する。また、本実施形態は、第2実施形態と組み合わせることもできる。
図9は、正極性の放電特性と負極性の放電特性の比較を示している。この図は、負極性の方が正極性の電界強度の約90%の電界強度で正極性と同じ電流密度を得ることができることを示している。このため、負極突起部13bの高さに対して接地突起部14bの高さを10%長くするとよいといえる。
コロナ放電の特性から、電極間の電位差が同じ場合、正のコロナ放電よりも負のコロナ放電の方が多くの放電電流が流れる。そこで、相対的に負となる負極突起部13bの高さよりも相対的に正となる接地突起部14bの高さを高くして、放電電流を同等に高めることができる。
2 脱硝装置
3 熱回収用ガス−ガスヒータ
4 乾式電気集じん装置
5 脱硫装置(捕集装置)
6 再加熱用ガス−ガスヒータ
10 凝集装置
11 コロナ放電部
12 混合部(乱流発生部)
13 負電極(第1電極)
13a 負極板状部(第1板状部)
13b 負極突起部(第1突起部)
14 接地電極(第2電極)
14a 接地板状部(第2板状部)
14b 接地突起部(第2突起部)
16 導電線
18 負極性直流電源
20 導電線
22 バッフル板
24a,24b 流路
D 排ガス流れ方向
P1 負極突起部の間隔
P2 接地突起部の間隔
W (分割された板状部の)幅
Z1 負極突起部の高さ
Z2 接地突起部の高さ
Claims (8)
- 排ガス流れ方向に沿って配置された第1板状部、及び、該第1板状部の一方の面のみに設けられた複数の第1突起部を有し、正または負のいずれか一方の電圧が印加される第1電極と、
前記排ガス流れ方向に沿って配置された第2板状部、及び、該第2板状部の一方の面のみに設けられた複数の第2突起部を有し、接地された第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極の前記排ガス流れ方向の下流側に設けられ、排ガスの流れを乱す乱流発生部と、
を備え、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記第1突起部が設けられた面と前記第2突起部が設けられた面とが対向しないように設けられ、かつ、前記排ガス流れ方向に対して交差する方向に交互に設けられている凝集装置。 - 隣り合う前記第1突起部の間隔をP1、隣り合う前記第2突起部の間隔をP2、前記第1板状部と前記第2板状部との間隔をLとした場合に、
P1/L及びP2/Lは、1以上とされている請求項1に記載の凝集装置。 - 前記第1突起部の高さをZ1、前記第2突起部の高さをZ2、前記第1板状部と前記第2板状部との間隔をLとした場合に、Z1/L及びZ2/Lは、それぞれ、0.05以上0.15以下とされている請求項1又は2に記載の凝集装置。
- 前記第1板状部及び/又は前記第2板状部は、前記排ガス流れ方向に連続して形成されている請求項1から3のいずれかに記載の凝集装置。
- 前記第1板状部及び/又は前記第2板状部は、前記排ガス流れ方向に分割されている請求項1から3のいずれかに記載の凝集装置。
- 各前記第1突起部と各前記第2突起部とは、前記排ガス流れ方向において同等の位置に設けられている請求項5に記載の凝集装置。
- 前記第1電極に負の電圧が印加されている場合には、前記第1突起部の高さが前記第2突起部の高さよりも低くされ、
前記第1電極に正の電圧が印加されている場合には、前記第1突起部の高さが前記第2突起部の高さよりも高くされている請求項1から6のいずれかに記載の凝集装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載の凝集装置と、
該凝集装置の前記排ガス流れ方向の下流側に設けられ、排ガス中に含まれる微粒子を捕集する捕集装置と、
を備えている排ガス処理装置。
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