以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像診断装置を説明する。なお、以下では、実施形態に係る医用画像診断装置の一例として、X線CT装置について説明する。また、以下では、実施形態に係る医用画像の一例として、CT画像データについて説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を用いて第1の実施形態に係るX線CT装置の一例を説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、架台110と、寝台装置120と、コンソール130とを備える。
架台110は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール130に出力する装置であり、X線照射制御回路111と、X線管112と、ウェッジ113と、コリメータ114と、検出器115と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)116と、回転フレーム117と、架台駆動回路118とを有する。
回転フレーム117は、X線管112、ウェッジ113及びコリメータ114と、検出器115とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、架台駆動回路118によって被検体Pを中心とした円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線照射制御回路111は、図示しない高電圧発生器を制御して、X線管112に高電圧を供給する。ここで、X線照射制御回路111は、スキャン制御回路133による制御の下、X線管112に供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。また、X線照射制御回路111は、ウェッジ113の切り替えを行う。また、X線照射制御回路111は、コリメータ114の開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。例えば、X線照射制御回路111は、ウェッジ113やコリメータ114を制御することにより、被ばく量を低減したい特定の部位(例えば、水晶体や甲状腺など)に対するX線の照射を制限する補正処理を実行することができる。
X線管112は、X線照射制御回路111による制御のもと図示しない高電圧発生器から供給される高電圧を用いてX線を発生する真空管であり、回転フレーム117の回転にともなって、X線ビームを被検体Pに対して照射する。
ウェッジ113は、X線照射制御回路111の制御により、X線管112から曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ113は、X線管112から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管112から曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。なお、ウェッジ113は、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ114は、X線照射制御回路111の制御により、ウェッジ113によってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。例えば、コリメータ114は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。コリメータ114は、X線照射制御回路111による制御の下、これらの絞り羽根をスライドさせることで、X線管112が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。なお、絞り羽根は、鉛や銅などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するためにX線管112のX線照射口付近に設けられる。
架台駆動回路118は、回転フレーム117を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上で、X線管112、ウェッジ113及びコリメータ114と、検出器115とを旋回させる。
検出器115は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が、回転フレーム117の回転中心軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数列配列される。
データ収集回路116は、DASであり、検出器115が検出したX線の検出データから、CT投影データを収集する。例えば、データ収集回路116は、検出器115により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なってCT投影データを生成し、生成したCT投影データをコンソール130に送信する。例えば、回転フレーム117の回転中に、X線管112からX線が連続曝射されている場合、データ収集回路116は、全周囲分(360度分)のCT投影データ群を収集する。また、データ収集回路116は、収集した各CT投影データに管球位置を対応付けて、コンソール130に送信する。管球位置は、CT投影データの投影方向を示す情報となる。
寝台装置120は、被検体Pを載せる装置であり、寝台駆動装置121と、天板122とを有する。天板122は、被検体Pが載置される板である。寝台駆動装置121は、天板122をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム117内に移動させる。例えば、寝台駆動装置121は、図示しないアクチュエータ(モータ等)が発生させた動力を用いて、天板122を移動させる。なお、架台110と天板122との相対位置の変化は、天板122を制御することによって実現されてもよいし、架台110が自走式である場合には、架台110の走行を制御することによって実現されてもよい。
コンソール130は、操作者によるX線CT装置100の操作を受け付けるとともに、架台110によって収集されたCT投影データを用いてCT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する装置である。コンソール130は、図1に示すように、入力回路131と、ディスプレイ132と、スキャン制御回路133と、記憶回路134と、処理回路135とを有する。
入力回路131は、X線CT装置100の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路135に転送する。
ディスプレイ132は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路135による制御のもと、CT画像データの一部を操作者に表示したり、入力回路131を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。また、ディスプレイ132は、CT画像データについて算出された評価値や、検査プロトコルを表示する。なお、評価値及び検査プロトコルの表示については後に詳述する。
スキャン制御回路133は、処理回路135による制御のもと、X線照射制御回路111、架台駆動回路118、データ収集回路116及び寝台駆動装置121の動作を制御することで、架台110におけるCT投影データの収集処理を制御する。
記憶回路134は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等の不揮発性の記憶装置である。記憶回路134は、処理回路135により生成されたCT投影データやCT画像データを記憶する。また、記憶回路134は、評価値と検査プロトコルとを対応付けて記憶する。なお、記憶回路134が記憶する評価値及び検査プロトコルについては後に詳述する。
処理回路135は、制御機能135a、前処理機能135b、画像再構成機能135c、抽出機能135d、算出機能135e、受付機能135f、取得機能135g及び表示制御機能135hを実行することで、X線CT装置100全体の動作を制御する。例えば、処理回路135は、制御機能135aに対応するプログラムを記憶回路134から読み出して実行することにより、CT投影データの収集処理を制御する。また、例えば、処理回路135は、前処理機能135bに対応するプログラムを記憶回路134から読み出して実行することにより、CT投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みのCT投影データを生成して、記憶回路134に格納する。また、例えば、処理回路135は、画像再構成機能135cに対応するプログラムを記憶回路134から読み出して実行することにより、記憶回路134が記憶するCT投影データを用いて、CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成する。ここで、再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、処理回路135は、逐次近似再構成(IR:Iterative Reconstruction)法を用いて、CT画像データを再構成することもできる。そして、処理回路135は、再構成したCT画像データを記憶回路134に格納する。また、例えば、処理回路135は、抽出機能135d及び算出機能135eに対応するプログラムを記憶回路134から読み出して実行することにより、CT画像データについて評価値を算出し、算出した評価値と検査プロトコルとを対応付ける。また、例えば、処理回路135は、受付機能135f、取得機能135g及び表示制御機能135hに対応するプログラムを記憶回路134から読み出して実行することにより、評価値及び検査プロトコルを対応付けて表示する。なお、評価値及び検査プロトコルについては後に詳述する。
ここで、図1に示すX線CT装置100においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路134へ記憶されている。X線照射制御回路111、架台駆動回路118、スキャン制御回路133及び処理回路135は、記憶回路134からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、図1においては単一の処理回路135にて、制御機能135a、前処理機能135b、画像再構成機能135c、抽出機能135d、算出機能135e、受付機能135f、取得機能135g及び表示制御機能135hが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路135を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))などの回路を意味する。プロセッサは記憶回路134に記憶されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路134にプログラムを記憶させる代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上、X線CT装置100の構成について説明した。かかる構成の下、本願に係るX線CT装置100は、検査プロトコルの適切な評価を可能にする。具体的には、X線CT装置100は、以下詳細に説明する処理回路135による処理によって、医用画像において対象部位に対応する領域の評価値を算出し、算出した評価値と検査プロトコルとを対応付けることによって、検査プロトコルの適切な評価を可能にする。以下、第1の実施形態に係るX線CT装置100が行う処理について、詳細に説明する。
まず、制御機能135aは、スキャン制御回路133を制御することにより、X線照射制御回路111、架台駆動回路118、データ収集回路116及び寝台駆動装置121の動作を制御して、被検体PからCT投影データを収集する。次に、前処理機能135bは、収集したCT投影データに対して種々の補正処理を行なって、補正済みのCT投影データを生成する。次に、画像再構成機能135cは、補正済みのCT投影データを用いてCT画像データを再構成し、CT画像データを記憶回路134に格納する。
次に、抽出機能135dは、CT画像データを取得し、取得したCT画像データにおいて、対象部位に対応する領域を抽出する。例えば、抽出機能135dは、まず、画像再構成機能135cが再構成し、記憶回路134に格納したCT画像データを、記憶回路134から取得する。なお、抽出機能135dは、画像再構成機能135cが再構成したCT画像データを、記憶回路134を経由せず、直接取得する場合であってもよい。また、抽出機能135dは、X線CT装置100以外のX線CT装置において収集され、記憶回路134に格納されたCT画像データを、記憶回路134から取得する場合であってもよい。即ち、抽出機能135dは、任意のX線CT装置において収集されたCT画像データを取得する。
そして、CT画像データを取得した後、抽出機能135dは、取得したCT画像データにおいて対象部位に対応する領域を抽出する。ここで、対象部位とは、被検体Pの部位のうち、撮影の対象となった部位であり、例えば、CT画像データに含まれる臓器や骨、血管などである。なお、対象部位は、CT画像データを収集した際に、検査の目的でなかった部位であってもよい。一例を挙げると、「肺」の検査を目的としてCT画像データを収集した場合、収集したCT画像データには、「肺」に加え、「心臓」が含まれる場合がある。かかる場合、現に撮影の対象となった「肺」に加えて、「心臓」が対象部位となる。また、抽出機能135dは、体幹や上肢、下肢、頭部、胸部といった総括的な単位で対象部位に対応する領域を抽出してもよい。
抽出機能135dは、取得したCT画像データから、任意の手法で、対象部位に対応する領域を抽出することができる。例えば、抽出機能135dは、身長や座高、性別などの被検体Pの情報に基づいて、対象部位に対応する領域を抽出する。また、例えば、抽出機能135dは、取得したCT画像データに含まれる解剖学的な特徴点(Anatomical Landmark)の位置を特定し、特定した特徴点の位置に基づいて、対象部位に対応する領域を抽出する。ここで、解剖学的な特徴点とは、特定の臓器や骨、血管、神経、内腔などの部位の特徴を示す点である。以下、解剖学的な特徴点に基づいて対象部位に対応する領域を抽出する場合について説明する。
まず、抽出機能135dは、ボリュームデータであるCT画像データに含まれるボクセルの値から、解剖学的な特徴点の位置を特定する。例えば、抽出機能135dは、各特徴点のボクセル値や相互の位置関係などが定義されたモデルデータを用いて、CT画像データに含まれる特徴点の位置を特定する。なお、抽出機能135dは、解剖学的な特徴点の位置を、CT画像データにおける座標として特定してもよいし、2次元又は3次元の領域として特定してもよい。ここで、抽出機能135dは、位置を特定し得る全て特徴点の位置を特定する場合であってもよいし、位置特定の確からしさ(検出尤度)が一定の閾値を超える特徴点の位置のみを特定する場合であってもよい。
そして、抽出機能135dは、特定した特徴点の位置に基づいて、対象部位に対応する領域を抽出する。例えば、抽出機能135dは、特徴点の位置に基づき、閾値処理等により画像を複数の領域に分割するセグメンテーション処理アルゴリズムを用いて、対象部位に対応する領域を抽出する。なお、抽出機能135dは、対象部位の形状に沿った領域を抽出するだけでなく、例えば、対象部位に相当する領域を矩形領域や曲面領域として抽出することもできる。
次に、算出機能135eは、CT画像データについて、抽出機能135dが抽出した領域の評価値を算出する。ここで、評価値は、抽出機能135dが抽出した領域を、検査に用いる画像として評価した値である。例えば、評価値は画質を示す値であり、算出機能135eは、評価値として、抽出された領域に含まれるボクセルの画素値の標準偏差(Standard Deviation;SD)値を算出する。ここで、SD値が低い場合は、抽出された領域の画質が高いことを表す。あるいは、算出機能135eは、評価値として、ノイズ電力スペクトル(Noise Power Spectrum:NPS)を算出してもよいし、画質を評価する他の値を算出してもよい。
また、算出機能135eは、評価値として、抽出機能135dによる解剖学的な特徴点の検出尤度や検出割合を算出する場合であってもよい。一例を挙げると、算出機能135eは、モデルデータ上に定義された各特徴点のボクセル値や相互の位置関係と、CT画像データにおける各特徴点のボクセル値や相互の位置関係との類似度に基づいて、抽出機能135dにより検出された各特徴点の検出尤度を算出する。また、一例を挙げると、対象部位が「心臓」である場合において、算出機能135eは、抽出機能135dがCT画像データにおいて検出した特徴点のうち「心臓」に対応する特徴点の数を、モデルデータにおいて「心臓」の特徴点として定義された全特徴点の数で割ることにより、検出割合を算出する。
なお、解剖学的な特徴点の検出尤度や検出割合が高い場合は、抽出された領域が画像として明瞭であり、容易に特徴点の位置が特定できたことを表す。一方で、検出尤度や検出割合が低い場合は、抽出された領域の画質が低かったり、コントラストが低かったり、粒状性が悪かったりといった種々の要因により、特徴点の位置が容易に特定できなかったことを表す。従って、特徴点の検出尤度や検出割合により、検査に用いる画像としての評価が可能である。
また、算出機能135eは、抽出機能135dが抽出した領域について、SD値や特徴点の検出尤度などの複数の値を算出し、算出した複数の値に基づく値(例えば、重み付き平均など)を評価値として算出してもよい。また、算出機能135eは、対象部位に応じた評価値を算出する場合であってもよい。例えば、対象部位が「胸部」である場合、抽出機能135dが抽出した領域には骨と、気体で満たされる肺と、他の体組織とが含まれ、かかる場合に抽出した領域のコントラストが低ければ、骨及び肺以外の領域の観察は困難になる。そこで、対象部位が「胸部」である場合、算出機能135eは、抽出した領域のコントラストに大きな重みを付けて、評価値を算出する。なお、以下では、評価値としてSD値を算出する場合を一例として説明する。
算出機能135eが対象部位ごとに算出した評価値は、CT画像データの収集に用いられた検査プロトコルと対応付けて、記憶回路134により記憶される。例えば、算出機能135eは、対象部位ごとに算出した評価値を、検査プロトコルと対応付けて、記憶回路134に格納する。ここで、検査プロトコルについて説明する。検査プロトコルとは、CT画像データの収集に用いられた種々の条件であり、撮影条件や画像処理プロトコルを含む。
ここで、撮影条件とは、例えば、管電圧や管電流、曝射時間、撮影部位、撮影時に使用した補正処理アルゴリズム、撮影装置などである。撮影条件のうち、管電圧、管電流及び曝射時間とは、CT投影データを収集する際に用いたX線条件である。また、撮影部位とは、例えば、検査の目的とされた部位である。また、撮影時に使用した補正処理アルゴリズムとは、例えば、被ばく量を低減したい特定の部位に対するX線の照射を制限するため、ウェッジ113やコリメータ114を制御してX線の照射範囲や分布を補正する処理に用いられたアルゴリズムである。また、撮影装置とは、X線CT装置100を含むX線CT装置のうち、いずれのX線CT装置において撮影が実行されたのかを示す情報である。
また、画像処理プロトコルとは、例えば、再構成条件や再構成アルゴリズム、画像フィルタなどである。画像処理プロトコルのうち、再構成条件とは、例えば、CT画像データを再構成する際に用いた再構成関数や再構成厚(スライス厚)などである。また、再構成アルゴリズムとは、例えば、FBP法やIR法などの再構成方法である。また、画像フィルタとは、種々のアーチファクト(例えば、金属アーチファクト)を低減するために用いられるフィルタの種類等である。
上述したように、被検体Pから収集されたCT画像データについて評価値が算出され、算出された評価値は検査プロトコルと対応付けて記憶回路134に記憶される。また、被検体Pから複数のCT画像データが収集された場合は、各CT画像データについて評価値が算出され、検査プロトコルと対応付けて記憶回路134に記憶される。
なお、CT画像データに複数の対象部位が含まれる場合、対象部位ごとに評価値が算出され、算出された評価値のそれぞれが、検査プロトコルと対応付けて記憶される。一例を挙げると、所定の検査プロトコル(例えば、プロトコルA)を用いて収集されたCT画像データに「肺」と「心臓」が含まれる場合、算出機能135eは、「肺」に対応する領域の評価値と、「心臓」に対応する領域の評価値とをそれぞれ算出する。そして、記憶回路134は、「肺」に対応する領域の評価値とプロトコルAとを対応付けて記憶し、また、「心臓」に対応する領域の評価値とプロトコルAとを対応付けて記憶する。
また、同一の検査プロトコルを用いたCT画像データの収集が複数回行われた場合、収集された複数のCT画像データのそれぞれから対象部位に対応する領域が抽出され、抽出された領域ごとに算出された評価値のそれぞれが、検査プロトコルと対応付けて記憶される。一例を挙げると、まず、所定の検査プロトコル(例えば、プロトコルB)を用いて、被検体P1のCT画像データと、被検体P2のCT画像データとが収集される。なお、被検体P1及び被検体P2は、図1に示す被検体Pの一例である。次に、抽出機能135dは、被検体P1のCT画像データから対象部位に対応する領域を抽出し、算出機能135eは、抽出された領域の評価値を算出する。また、抽出機能135dは、被検体P2のCT画像データから対象部位に対応する領域を抽出し、算出機能135eは、抽出された領域の評価値を算出する。そして、記憶回路134は、被検体P1のCT画像データについて算出された評価値とプロトコルBとを対応付けて記憶し、また、被検体P2のCT画像データについて算出された評価値とプロトコルBとを対応付けて記憶する。
上述したように、記憶回路134は、CT画像データのうち対象部位に対応する領域について算出された評価値と、CT画像データの収集に用いられた検査プロトコルとを対応付けて記憶する。そして、記憶回路134が記憶する評価値及び検査プロトコルは、操作者からの要求に応じて、操作者に提示される。以下、評価値や検査プロトコルの表示について説明する。
まず、受付機能135fは、操作者から所定の検索条件の入力を受け付ける。例えば、受付機能135fは、所定の検索条件として、評価値や検査プロトコルに関する検索条件の入力を受け付ける。一例を挙げると、受付機能135fは、所定の検索条件として、評価値の数値範囲や対象部位の入力を受け付ける。また、一例を挙げると、受付機能135fは、所定の検索条件として、管電圧の数値範囲や再構成方法の入力を受け付ける。なお、受付機能135fは、所定の検索条件の全部についての入力を受け付けてもよいし、所定の検索条件の一部についての入力を受け付けてもよい。
例えば、操作者は、入力回路131を介して、これから行う検査の内容に基づいて、所定の検索条件を入力する。一例を挙げると、検査の対象となる部位が「頭部」である場合、操作者は、所定の検索条件として、「対象部位が頭部」であることを入力する。また、一例を挙げると、高画質のCT画像データが検査の目的上必要となる場合、操作者は、所定の検索条件として、「SD値が40以下」であることを入力する。受付機能135fは、入力回路131を介した入力を受け付けて、受け付けた内容を取得機能135gに送信する。
取得機能135gは、記憶回路134が対応付けて記憶する評価値及び検査プロトコルのうち、入力された検索条件を満たす評価値及び検査プロトコルを取得する。表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した評価値及び検査プロトコルを、ディスプレイ132に表示させる。例えば、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した評価値及び検査プロトコルを、評価値及び検査プロトコルの組み合わせを一行としたリストで表示させる。
ここで、評価値及び検査プロトコルの表示例について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係る評価値及び検査プロトコルの表示例を示す図である。例えば、所定の検索条件として、「SD値が40以下」であること、及び、「対象部位が頭部」であることが入力された場合、取得機能135gは、「SD値が40以下」であり、かつ、「対象部位が頭部」である評価値及び検査プロトコルの組み合わせを取得する。そして、表示制御機能135hは、図2に示すように、取得機能135gが取得した評価値及び検査プロトコルを表示させる。
なお、「評価値を表示させる」とは、例えば、図2に示すように、評価値(SD値)の具体的な値を表示させたり、その評価値がいずれの対象部位について算出されたものであるのかを表示させたりすることをいう。また、「検査プロトコルを表示させる」とは、例えば、図2に示すように、「検査プロトコル名」を表示させたり、検査プロトコルの内容の一部又は全部を表示させたりすることをいう。なお、図2における「管電圧」及び「管電流」は、検査プロトコルの内容の一例である。
また、「検査プロトコル名」は、検査プロトコルの内容ごとに付けられる名称である。例えば、図2においては、「管電圧」が「XXX」であり、「管電流」が「xxx」である検査プロトコルの名称を「プロトコルC」とし、「管電圧」が「YYY」であり、「管電流」が「yyy」である検査プロトコルの名称を「プロトコルD」とし、「管電圧」が「ZZZ」であり、「管電流」が「zzz」である検査プロトコルの名称を「プロトコルE」としている。
図2において、表示制御機能135hは、SD値が小さい順に、評価値及び検査プロトコルを表示させている。表示制御機能135hは、SD値が小さい順に評価値及び検査プロトコルを表示させることにより、例えば、取得機能135gが取得した評価値及び検査プロトコルの数が多い場合において、SD値の小さいCT画像データを取得することのできる検査プロトコルを優先的に操作者に提示することができる。
なお、評価値及び検査プロトコルを表示させる順序は任意の変更が可能である。例えば、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した評価値及び検査プロトコルを、SD値が大きい順に表示させてもよいし、検査プロトコルに応じた順序で表示させてもよい。一例を挙げると、操作者が図2に示す「管電圧」を指定した場合、表示制御機能135hは、評価値及び検査プロトコルを、管電圧の大きい順、又は管電圧の小さい順に並び替えて表示する。
図2に示すリストは操作者により参照され、例えば、これから行われる検査にて用いられる検査プロトコルの設定に用いられる。例えば、図2において表示されている評価値は、これから行われる検査の対象となる部位「頭部」について算出されたものであり、かつ、画質の要求を満たしている。即ち、図2において表示されている検査プロトコルを用いて検査を実行すれば、「頭部」について、必要な画質を有するCT画像データを取得することができる。操作者は、図2の検査プロトコルの中から、SD値や管電圧、管電流の値を参照しつつ、特に適していると判断した検査プロトコルを選択する。
例えば、操作者は、図2の検査プロトコルの中から、最もSD値が優れている検査プロトコルとして、プロトコルCを選択する。また、例えば、図2の管電流「xxx」が管電流「yyy」よりも大きい場合において、操作者は、プロトコルCを用いてもSD値が「20」になる場合もあることから、プロトコルCでもプロトコルDでも得られる画質は同程度と判断し、被ばく量を低減することのできる検査プロトコルとして、プロトコルDを選択する。
そして、制御機能135a、前処理機能135b及び画像再構成機能135cは、図2に示すリストを参照した操作者により設定された検査プロトコルに基づき、CT画像データを収集する。また、ここで収集されたCT画像データについても、同様に、対象部位に対応する領域の評価値が算出され、検査プロトコルと対応付けて記憶回路134にて記憶される。
次に、X線CT装置100による処理の手順の一例を、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係るX線CT装置100の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101は、抽出機能135dに対応するステップである。ステップS102は、抽出機能135d及び算出機能135eに対応するステップである。ステップS103は、受付機能135f、取得機能135g及び表示制御機能135hに対応するステップである。
まず、処理回路135は、被検体PからCT画像データを収集し、記憶回路134に格納する。次に、処理回路135は、記憶回路134からCT画像データを取得し(ステップS101)、取得したCT画像データについて、対象部位に対応する領域の評価値を算出し、算出した評価値と、CT画像データの収集に用いた検査プロトコルとを対応付ける(ステップS102)。そして、処理回路135は、操作者からの要求に応じて評価値及び検査プロトコルを対応付けて表示し(ステップS103)、処理を終了する。
次に、第1の実施形態に係る評価値及び検査プロトコルの対応付けについて、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係る評価値及び検査プロトコルの対応付けの一連の流れを説明するためのフローチャートである。ここで、図4は、図3のステップS102に対応する処理を示す。図4において、ステップS201及びステップS202は、抽出機能135dに対応するステップである。ステップS203は、算出機能135eに対応するステップである。
まず、処理回路135は、記憶回路134から取得したCT画像データについて、解剖学的な特徴点を抽出する(ステップS201)。次に、処理回路135は、CT画像データにおける解剖学的な特徴点の位置に基づき、対象部位に対応する領域を抽出するセグメンテーション処理を行う(ステップS202)。そして、処理回路135は、CT画像データから抽出した領域の評価値(例えば、SD値)を算出する(ステップS203)。また、記憶回路134は、評価値と、CT画像データの収集に用いた検査プロトコルとを対応付けて記憶する(ステップS204)。
次に、第1の実施形態に係る評価値及び検査プロトコルの表示について、図5を用いて説明する。図5は、第1の実施形態に係る評価値及び検査プロトコルの表示の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ここで、図5は、図3のステップS103に対応する処理を示す。図5において、ステップS301は、受付機能135fに対応するステップである。ステップS302は、取得機能135gに対応するステップである。ステップS303は、表示制御機能135hに対応するステップである。
まず、処理回路135は、操作者から所定の検索条件の入力を受け付け(ステップS301)、記憶回路134が対応付けて記憶する評価値及び検査プロトコルの中から、入力された検索条件を満たす評価値及び検査プロトコルを検索する(ステップS302)。そして、処理回路135は、検索条件を満たす評価値及び検査プロトコルをディスプレイ132に表示させ(ステップS303)、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、抽出機能135dは、取得したCT画像データにおいて、対象部位に対応する領域を抽出する。算出機能135eは、CT画像データについて、抽出した領域の評価値を算出する。記憶回路134は、評価値と、CT画像データの収集に用いられた検査プロトコルとを対応付けて記憶する。受付機能135fは、所定の検索条件の入力を受け付ける。取得機能135gは、記憶回路134が記憶する評価値及び検査プロトコルのうち、入力された検索条件を満たす評価値及び検査プロトコルを取得する。表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した評価値及び検査プロトコルを対応付けて表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、過去に用いられた検査プロトコルのそれぞれを、実際に得られたCT画像データの対象部位に対応する領域に基づく評価値により、適切に評価することを可能とする。
また、第1の実施形態によれば、算出機能135eは、対象部位に対応する領域の評価値を算出する。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、CT画像データ全体のうち、操作者が注目する部位についての評価値により、検査プロトコルを適切に評価することを可能とする。例えば、X線CT装置100は、一つのCT画像データ内でも領域ごとに画質が異なり得ることを考慮し、画像全体としての画質は高いものの注目部位の領域の画質は低くなるような検査プロトコルが選択されることを回避することができる。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能135hは、所定の検索条件を満たす評価値及び検査プロトコルをディスプレイ132に表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、記憶回路134が多くの評価値及び検査プロトコルを記憶する場合であっても、これから行われる検査での要求を満たした評価値及び検査プロトコルや、操作者が関心のある検査プロトコルでの評価値(例えば、再構成方法としてIR法を用いた場合の評価値や、頭部を撮影した場合の評価値など)を適切に表示することができる。
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能135hは、種々の検査プロトコルと対応付けて、評価値を表示させる。従って、第1の実施形態に係るX線CT装置100は、これから行われる検査及び過去に行われた検査の内容を考慮して、より適切な検査プロトコルを推奨することができる。例えば、X線CT装置100は、X線CT装置間での性能差や撮影対象の違いによって、過去の検査では高い画質を有するCT画像データが得られたものの、これから行われる検査では十分な画質が得られない検査プロトコルを推奨してしまう事態を回避することができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、記憶回路134が、評価値及び検査プロトコルを対応付けて記憶する場合について説明した。これに対して、第2の実施形態では、記憶回路134が、更に、評価値及び検査プロトコルに種々の情報やCT画像データを対応付けて記憶する場合について説明する。第2の実施形態に係るX線CT装置100は、図1に示したX線CT装置100と同様の構成を有し、算出機能135e、受付機能135f、取得機能135g及び表示制御機能135hによる処理の一部が相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
第2の実施形態に係る算出機能135eは、上述した評価値の算出に加え、CT画像データを収集する際に用いたX線による、被検体Pの被ばくの程度を表す指標値を算出する。ここで、被ばくの程度を表す指標値とは、例えば、CTDI(Computed Tomography Dose Index)Volや、DLP(Dose Length Product)などである。ここで、CTDIVol(mGy)とは、CTDIファントムによって計測された吸収線量であり、DLP(mGy・cm)とは、CTDIVol(mGy)に体軸方向のX線照射範囲を乗じたものである。そして、記憶回路134は、算出機能135eが算出した指標値を、評価値及び検査プロトコルに対応付けて記憶する。
また、記憶回路134は、更に、CT画像データを再構成する処理に要した時間(再構成時間)を、評価値及び検査プロトコルに対応付けて記憶する。また、記憶回路134は、更に、CT画像データの患者情報を、評価値及び検査プロトコルに対応付けて記憶する。ここで、患者情報とは、例えば、被検体Pの年齢、性別、体重、身長などである。また、記憶回路134は、更に、CT画像データを、評価値及び検査プロトコルに対応付けて記憶する。
次に、受付機能135fは、操作者から所定の検索条件の入力を受け付ける。例えば、受付機能135fは、所定の検索条件として、評価値や検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報に関する検索条件の入力を受け付ける。一例を挙げると、受付機能135fは、所定の検索条件として、指標値や再構成時間の数値範囲の入力を受け付ける。また、一例を挙げると、受付機能135fは、所定の検索条件として、被検体Pの年齢の範囲や、性別の入力を受け付ける。なお、受付機能135fは、所定の検索条件の全部についての入力を受け付けてもよいし、所定の検索条件の一部についての入力を受け付けてもよい。
例えば、操作者は、これから行う検査の内容に基づいて、所定の検索条件を入力する。一例を挙げると、検査における被ばく量を制限する必要がある場合、操作者は、所定の検索条件として、「CTDIVol(mGy)が50以下」であることを入力する。また、一例を挙げると、再構成に要することのできる時間に制限がある場合、操作者は、所定の検索条件として、「再構成時間(sec)が300以下」であることを入力する。
次に、取得機能135gは、記憶回路134が対応付けて記憶する評価値、検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データのうち、入力された検索条件を満たす評価値、検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データを取得する。
例えば、所定の検索条件として、評価値及び検査プロトコルに関する検索条件、被ばくの程度を表す指標値に関する検索条件、再構成時間に関する検索条件、及び、患者情報に関する検索条件が入力された場合、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす評価値及び検査プロトコルであって、入力された検索条件を満たす指標値と対応付き、かつ、入力された検索条件を満たす再構成時間と対応付き、かつ、入力された検索条件を満たす患者情報と対応付いた評価値及び検査プロトコルを取得する。また、取得機能135gは、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データを取得する。
また、例えば、所定の検索条件として、評価値及び検査プロトコルに関する検索条件のみが入力された場合、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす評価値及び検査プロトコルを取得する。ここで、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた指標値は、入力された検索条件(指標値に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた指標値を、入力された検索条件を満たす指標値として取得する。また、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた再構成時間は、入力された検索条件(再構成時間に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた再構成時間を、入力された検索条件を満たす再構成時間として取得する。また、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた患者情報は、入力された検索条件(患者情報に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた患者情報を、入力された検索条件を満たす患者情報として取得する。また、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いたCT画像データを取得する。
また、例えば、所定の検索条件として、被ばくの程度を表す指標値に関する検索条件のみが入力された場合、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす指標値を取得し、また、取得した指標値に対応付いた評価値及び検査プロトコルを取得する。ここで、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた再構成時間は、入力された検索条件(再構成時間に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた再構成時間を、入力された検索条件を満たす再構成時間として取得する。また、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた患者情報は、入力された検索条件(患者情報に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた患者情報を、入力された検索条件を満たす患者情報として取得する。また、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いたCT画像データを取得する。
また、例えば、所定の検索条件として、再構成時間に関する検索条件のみが入力された場合、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす再構成時間を取得し、また、取得した再構成時間に対応付いた評価値及び検査プロトコルを取得する。ここで、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた指標値は、入力された検索条件(指標値に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた指標値を、入力された検索条件を満たす指標値として取得する。また、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた患者情報は、入力された検索条件(患者情報に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた患者情報を、入力された検索条件を満たす患者情報として取得する。また、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いたCT画像データを取得する。
また、例えば、所定の検索条件として、患者情報に関する検索条件のみが入力された場合、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす患者情報を取得し、また、取得した患者情報に対応付いた評価値及び検査プロトコルを取得する。ここで、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた指標値は、入力された検索条件(指標値に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた指標値を、入力された検索条件を満たす指標値として取得する。また、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた再構成時間は、入力された検索条件(再構成時間に関する条件を設けない検索条件)を満たしているため、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いた再構成時間を、入力された検索条件を満たす再構成時間として取得する。また、取得機能135gは、更に、取得した評価値及び検査プロトコルに対応付いたCT画像データを取得する。
そして、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した評価値、検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データをディスプレイ132に表示させる。ここで、評価値等の表示例について、図6を用いて説明する。図6は、第2の実施形態に係る表示例を示す図である。
例えば、所定の検索条件として、「SD値が40以下」であること、「CTDIVol(mGy)が50以下」であること、及び、「再構成時間(sec)が300以下」が入力された場合、取得機能135gは、「SD値が40以下」、「CTDIVol(mGy)が50以下」、「再構成時間(sec)が300以下」を満たす評価値、検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データの組み合わせを取得する。そして、表示制御機能135hは、図6に示すように、取得機能135gが取得した種々の情報をリスト表示させる。
なお、図6においては、取得機能135gが取得した種々の情報のうち、評価値、検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値、及び、再構成時間のみが表示されている。例えば、図6において、表示制御機能135hは、評価値として、「SD値」を表示させている。また、例えば、表示制御機能135hは、検査プロトコルとして、「検査プロトコル名」及び「造影剤量(ml)」を表示させている。また、例えば、表示制御機能135hは、指標値として、「CTDIVol(mGy)」及び「DLP(mGy・cm)」を表示させている。即ち、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した種々の情報のうちの一部(例えば、予め設定された項目や、操作者が選択した項目など)を表示させる。なお、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した種々の情報の全部を表示させる場合であってもよい。
また、図6においては、「造影剤量(ml)」が「40」である検査プロトコルの名称が「プロトコルF」であり、「造影剤量(ml)」が「30」である検査プロトコルの名称が「プロトコルG」であり、「造影剤量(ml)」が「20」である検査プロトコルの名称が「プロトコルH」であり、「造影剤量(ml)」が「10」である検査プロトコルの名称が「プロトコルI」である。また、図6においては、表示制御機能135hは、評価値(SD値)が小さい順で評価値、検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値、及び、再構成時間を表示させるとともに、画質(SD値)順位を表示させている。
なお、表示の順序は任意の変更が可能であり、例えば、表示制御機能135hは、評価値、検査プロトコル、被ばくの程度を表す指標値及び再構成時間を、検査プロトコルや被ばくの程度を表す指標値、再構成時間などに応じた順序で表示させてもよい。一例を挙げると、操作者が図6に示す「CTDIVol(mGy)」を指定した場合、表示制御機能135hは、図6に示すリストを、「CTDIVol(mGy)」が小さい順に並べ替えて表示する。また、一例を挙げると、操作者が図6に示す「再構成時間(sec)」を指定した場合、表示制御機能135hは、図6に示すリストを、「再構成時間(sec)」が小さい順に並べ替えて表示する。また、一例を挙げると、操作者が図6に示す「造影剤量(ml)」を指定した場合、表示制御機能135hは、図6に示すリストを、「造影剤量(ml)」が小さい順に並べ替えて表示する。
図6に示すリストは操作者により参照され、例えば、これから行われる検査にて用いられる検査プロトコルの設定に用いられる。例えば、これから行われる検査で、撮影による被ばくが「CTDIVol(mGy)が50以下」であり、かつ、「再構成時間(sec)が300以下」であり、かつCT画像データの「SD値が40以下」であることが要求される場合において、図6において表示されている検査プロトコルはいずれも要求を満たしている。操作者は、図6の検査プロトコルの中から、「SD値」や「CTDIVol(mGy)」、「DLP(mGy・cm)」、「再構成時間(sec)」、「造影剤量(ml)」の値を参照しつつ、特に適していると判断した検査プロトコルを選択する。
例えば、操作者は、図6の検査プロトコルの中から、最もSD値が優れている検査プロトコルとして、プロトコルFを選択する。また、例えば、操作者は、図6の検査プロトコルであればいずれでも十分な画質が得られると判断し、被ばく量をより低減するため、プロトコルGを選択する。また、例えば、操作者は、より迅速にCT画像データを取得するため、プロトコルHを選択する。また、例えば、操作者は、これから行われる検査における被検体の状態(例えば、腎臓機能など)に応じ、用いる造影剤量をより低減するため、プロトコルIを選択する。
更に、表示制御機能135hは、図6のリスト上において行われる操作等に基づいて、「SD値」のそれぞれに対応するCT画像データを表示させる場合であってもよい。一例を挙げると、入力回路131が備えるタッチパネルに対するタップ操作や、マウスによるクリック操作、マウスカーソルの位置などに基づいて、図6の「SD値」のいずれかが指定された場合、表示制御機能135hは、指定された「SD値」が算出されたCT画像データを表示させる。そして、操作者は、図6の検査プロトコルのうち、これから行う検査において取得したいCT画像データと類似したCT画像データが得られた検査プロトコルを選択する。
なお、CT画像データを表示させる際、表示制御機能135hは、CT画像データから、各種レンダリング処理を行なって、表示用の2次元画像データを生成し、生成した2次元画像データをディスプレイ132に表示させる。あるいは、表示制御機能135hは、過去の検査において既に生成されていた表示用の2次元画像データを取得して、ディスプレイ132に表示させる。ここで、レンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planar Reconstruction)により、3次元のCT画像データから任意の断面のMPR画像データを再構成する処理がある。また、レンダリング処理としては、ボリュームレンダリング(Volume Rendering)処理や、最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)により、3次元のCT画像データから3次元の情報を反映したVR画像データやMIP画像データを生成する処理がある。
また、表示制御機能135hは、図6のリストの一部を強調して表示する場合であってもよい。例えば、表示制御機能135hは、図6のリストのうち、所定の条件を満たす部分を強調して表示する。一例を挙げると、表示制御機能135hは、「CTDIVol(mGy)」の値が所定の閾値を超える場合に、所定の閾値を超えた「CTDIVol(mGy)」の値を、他の文字と異なる色で表示させる。
そして、制御機能135a、前処理機能135b及び画像再構成機能135cは、図6に示すリストを参照した操作者により設定された検査プロトコルに基づき、CT画像データを収集する。また、ここで収集されたCT画像データについても、同様に、対象部位に対応する領域の評価値が算出され、検査プロトコルと対応付けて、記憶回路134により記憶される。また、被ばくの程度を表す指標値や再構成時間、患者情報、CT画像データが、評価値及び検査プロトコルと対応付けて、記憶回路134により記憶される。
上述したように、第2の実施形態によれば、記憶回路134は、CT画像データの収集に用いたX線による被ばくの程度を表す指標値を、CT画像データのうち対象部位に対応する領域の評価値、及び、CT画像データの収集に用いた検査プロトコルと対応付けて記憶する。また、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす指標値を取得する。また、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した指標値を、評価値及び検査プロトコルに対応付けて表示させる。従って、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、CT画像データについて算出された対象部位に対応する領域の評価値に加え、被ばく量の観点から検査プロトコルを評価することを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、記憶回路134は、CT画像データを収集した際の再構成時間を、評価値及び検査プロトコルと対応付けて記憶する。また、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす指標値を取得する。また、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した再構成時間を、評価値及び検査プロトコルに対応付けて表示させる。従って、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、CT画像データについて算出された対象部位に対応する領域の評価値に加え、再構成時間の観点から検査プロトコルを評価することを可能にする。例えば、X線CT装置100は、急患の場合等において、画像再構成に長い時間を要することで診断が遅れるといった事態を回避する検査プロトコルを操作者に提示することができる。
また、第2の実施形態によれば、記憶回路134は、CT画像データが収集された被検体の情報である患者情報を、評価値及び検査プロトコルと対応付けて記憶する。また、取得機能135gは、入力された検索条件を満たす患者情報を取得する。また、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した患者情報を、評価値及び検査プロトコルに対応付けて表示させる。従って、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、CT画像データについて算出された対象部位に対応する領域の評価値に加え、患者情報の観点から検査プロトコルを評価することを可能にする。例えば、X線CT装置100は、評価値が算出されたCT画像データの被検体と、これから行われる検査の対象である被検体とで年齢や性別、体重、身長などを比較し、評価値の信頼性を判断することを可能にする。一例を挙げると、操作者は、患者情報が類似している場合、これから行われる検査においても同様のSD値等を有するCT画像データが収集されると判断することができる。
また、第2の実施形態によれば、記憶回路134は、CT画像データを、評価値及び検査プロトコルと対応付けて記憶する。また、表示制御機能135hは、CT画像データを、評価値及び検査プロトコルに対応付けて表示させる。従って、第2の実施形態に係るX線CT装置100は、CT画像データについて算出された対象部位に対応する領域の評価値に加え、実際に得られたCT画像データを参照しつつ、検査プロトコルを評価することを可能にする。
なお、上述した第2の実施形態では、記憶回路134が、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データの全部を、評価値及び検査プロトコルと対応付けて記憶する場合について説明したが、記憶回路134は、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データのうちの一部を、評価値及び検査プロトコルと対応付けて記憶する場合であってもよい。また、上述した第2の実施形態では、取得機能135gが、入力された検索条件を満たす評価値、検査プロトコル、指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データを取得する場合について説明したが、取得機能135gは、指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データのうちの一部を取得する場合であってもよい。
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、所定の検索条件の入力を受け付け、入力された検索条件を満たす評価値等をリスト表示する場合について説明した。これに対して、第3の実施形態では、検査プロトコルの選択を受け付け、選択された検査プロトコルに係る複数の評価値をグラフ表示する場合について説明する。第3の実施形態に係るX線CT装置100は、図1に示した第1の実施形態に係るX線CT装置100と同様の構成を有し、受付機能135f、取得機能135g及び表示制御機能135hによる処理の一部が相違する。そこで、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、第3の実施形態に係る受付機能135fは、検査プロトコルのうち少なくとも一つを選択する選択操作を受け付ける。例えば、受付機能135fは、表示制御機能135hが評価値と対応付けて表示させた検査プロトコル(例えば、図2のリストに示す「プロトコルC」、「プロトコルD」及び「プロトコルE」)において、選択操作を受け付ける。なお、以下では、図2の「プロトコルC」及び「プロトコルD」を選択する選択操作を受け付けた場合を一例として説明する。
次に、取得機能135gは、選択された検査プロトコルに係る複数の評価値を取得する。例えば、取得機能135gは、「プロトコルC」を用いて収集されたCT画像データについて算出された評価値、及び、「プロトコルD」を用いて収集されたCT画像データについて算出された評価値を、記憶回路134から取得する。ここで、取得機能135gが取得する評価値は、図2のリストに示す評価値(SD値)に限られるものではない。即ち、図2のリストに示す評価値(SD値)は、操作者により入力された所定の検索条件(例えば、評価値の数値範囲や対象部位など)を満たすもののみであるが、取得機能135gは、所定の検索条件を満たすか否かに関わらず、選択された検査プロトコルを用いて収集されたCT画像データについて算出された評価値を取得する。
そして、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した評価値を、検査プロトコルごとにグラフ表示させる。ここで、第3の実施形態に係る評価値のグラフ表示について、図7を用いて説明する。図7は、第3の実施形態に係る表示例を示す図である。図7に示すように、表示制御機能135hは、横軸を「SD値」とし、縦軸を「画像数」としたグラフをディスプレイ132に表示させる。
なお、1つのCT画像データに複数の対象部位が含まれる場合、1つのCT画像データから複数の評価値(SD値)が算出される。かかる場合、「画像数」は、CT画像データの数としてもよいし、算出された評価値の数(対象部位の数)としてもよい。即ち、「画像数」は、CT画像データの数に一致してもよいし、評価値の数に一致してもよい。なお、以下では、「画像数」は算出された評価値の数と一致するものとして説明する。
一例を挙げると、表示制御機能135hは、まず、「SD値」について複数の区分(例えば、「5」刻みの区分)を設定し、取得機能135gが取得した各「SD値」を、いずれかの区分に分類する。例えば、表示制御機能135hは、「区分(2.5〜7.5)」、「区分(7.5〜12.5)」、「区分(12.5〜17.5)」、「区分(17.5〜22.5)」、「区分(22.5〜27.5)」、「区分(27.5〜32.5)」、「区分(32.5〜37.5)」、「区分(37.5〜42.5)」といった8つの区分を設け、各「SD値」をいずれかの区分に分類する。例えば、表示制御機能135hは、図2に示す「SD値」のうち、「10」を「区分(7.5〜12.5)」に分類し、「20」を「区分(17.5〜22.5)」に分類する。
次に、表示制御機能135hは、各区分に分類された「SD値」の数をグラフ上にプロットする。例えば、「区分(7.5〜12.5)」に分類された「SD値」の数が「7」だった場合、表示制御機能135hは、図7のグラフにおいて、横軸「SD値」が「区分(7.5〜12.5)」の中心を表す「10」であり、縦軸「画像数」が「7」である位置にプロットをする。また、例えば、「区分(12.5〜17.5)」に分類された「SD値」の数が「14」だった場合、表示制御機能135hは、図7のグラフにおいて、横軸「SD値」が「区分(12.5〜17.5)」の中心を表す「15」であり、縦軸「画像数」が「14」である位置にプロットをする。そして、表示制御機能135hは、各プロットを折れ線や曲線で結ぶことにより、図7に示すグラフを生成し、ディスプレイ132に表示する。
表示制御機能135hは、図7に示すように、プロトコルCを用いて収集されたCT画像データについて算出されたSD値に基づくグラフと、プロトコルDを用いて収集されたCT画像データについて算出されたSD値に基づくグラフとを重ねて表示させる。SD値を個別に比較する場合は、プロトコルDを用いて収集されたCT画像データについて算出されたSD値が、プロトコルCを用いて収集されたCT画像データについて算出されたSD値よりも小さくなる場合もあるが、図7に示すようにSD値をグラフ表示し、ピークの位置を比較すると、統計的には、プロトコルCを用いた方がプロトコルDを用いた場合よりも小さいSD値を得られると判断することができる。また、図7に示すようにSD値を表示し、各グラフの範囲(「SD値」の最大値と最小値の差など)や形状(グラフの角度など)を比較すると、統計的に、各検査プロトコルによってどの程度安定したSD値が得られるかを判断することができる。即ち、評価値を検査プロトコルごとにグラフ表示することで、検査プロトコルを統計的に評価することができる。
なお、図7に示すグラフは、ディスプレイ132に表示されている図2のリストに代えて表示されてもよいし、図2のリストと併せてディスプレイ132に表示される場合であってもよい。また、X線CT装置100が複数のディスプレイ132を備える場合、図7に示すグラフは、図2のリストを表示させているディスプレイ132と別のディスプレイ132に表示される場合であってもよい。
次に、第3の実施形態に係る評価値のグラフ表示の別の例について、図8を用いて説明する。図8は、第3の実施形態に係る表示例を示す図である。図8に示すように、表示制御機能135hは、横軸を「SD値」とし、縦軸を「画像数」としたグラフをディスプレイ132に表示させる。なお、図7においては、一つの検査プロトコルに対し、一つのグラフが対応するが、図8においては、複数の検査プロトコルに対し、一つのグラフが対応する。
まず、受付機能135fは、複数の検査プロトコルを選択する選択操作を受け付ける。例えば、受付機能135fは、内容の一部が共通する複数の検査プロトコルや、X線CT装置又はその一部(例えば、CT画像データのアーチファクトを低減するために用いられるフィルタ)の製造者が同一である複数の検査プロトコルを選択する選択操作を受け付ける。なお、以下では、かかる複数の検査プロトコルを、検査プロトコル群とも記載する。
一例を挙げると、受付機能135fは、X線CT装置の製造者の入力を受け付けることにより、入力された製造者により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコル群を選択する選択操作を受け付ける。ここで、受付機能135fは、複数の検査プロトコル群を選択する選択操作を受け付ける場合であってもよい。なお、以下では、受付機能135fが、検査プロトコルを選択する選択操作として、「A社」と入力する操作、及び、「B社」と入力する操作を受け付けた場合について説明する。即ち、以下では、「A社」により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコル群と、「B社」により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコル群とが選択された場合について説明する。
次に、取得機能135gは、選択された検査プロトコル群に係る複数の評価値を取得する。例えば、取得機能135gは、「A社」により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコルのいずれかを用いて収集されたCT画像データについて算出された評価値を、記憶回路134から取得する。また、取得機能135gは、「B社」により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコルのいずれかを用いて収集されたCT画像データについて算出された評価値を、記憶回路134から取得する。
そして、表示制御機能135hは、図8に示すように、取得機能135gが取得した評価値を、検査プロトコル群ごとにグラフ表示させる。図8のグラフは、「A社」により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコルのいずれかを用いて収集されたCT画像データの方が、「B社」により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコルのいずれかを用いて収集されたCT画像データよりも、統計的に、SD値が小さくなることを示している。図8に示すグラフは、例えば、病院がX線CT装置を導入する際の指針として用いられる。
次に、第3の実施形態に係るX線CT装置100による処理の手順の一例を、図9を用いて説明する。図9は、第3の実施形態に係るX線CT装置100の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS401は、抽出機能135dに対応するステップである。ステップS402は、抽出機能135d及び算出機能135eに対応するステップである。ステップS403は、受付機能135f、取得機能135g及び表示制御機能135hに対応するステップである。ステップS404は、受付機能135fに対応するステップである。ステップS405は、取得機能135gに対応するステップである。ステップS406は、表示制御機能135hに対応するステップである。
まず、処理回路135は、被検体PからCT画像データを収集し、記憶回路134に格納する。次に、処理回路135は、記憶回路134からCT画像データを取得する(ステップS401)。次に、処理回路135は、取得したCT画像データについて、対象部位に対応する領域の評価値を算出し、算出した評価値と、CT画像データの収集に用いた検査プロトコルとを対応付ける(ステップS402)。次に、処理回路135は、操作者からの要求に応じて評価値及び検査プロトコルを対応付けて表示する(ステップS403)。
ここで、処理回路135は、操作者から、検査プロトコルの選択を受け付ける(ステップS404)。なお、選択される検査プロトコルは、「プロトコルC」のような検査プロトコルの個々であってもよいし、「A社により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコル」のような検査プロトコル群であってもよい。次に、処理回路135は、選択された検査プロトコルを用いて収集されたCT画像データについて算出された、複数の評価値を記憶回路134から取得する(ステップS405)。
そして、処理回路135は、取得した複数の評価値を、検査プロトコルごとにグラフ表示し(ステップS406)、処理を終了する。なお、ステップS406における「検査プロトコルごとに表示」には、「プロトコルC」のような検査プロトコルの個々を単位として表示する場合と、「A社により製造されたX線CT装置により用いられる検査プロトコル」のような検査プロトコル群を単位として表示する場合とが含まれる。
上述したように、第3の実施形態によれば、受付機能135fは、表示制御機能135hが評価値と対応付けて表示させた検査プロトコルのうち少なくとも一つを選択する選択操作を受け付ける。また、取得機能135gは、選択された検査プロトコルに係る複数の評価値を取得する。また、表示制御機能135hは、取得機能135gが取得した複数の評価値を、検査プロトコルごとにグラフ表示させる。従って、第3の実施形態に係るX線CT装置100は、CT画像データについて算出された対象部位に対応する領域の評価値を用いて、検査プロトコルを統計的に評価することを可能にする。一例を挙げると、第3の実施形態に係るX線CT装置100は、検査プロトコルの統計的な評価に基づき、検査の対象となる部位や病変等に応じた推奨条件を設定したり、既に設定されている推奨条件を修正したり、過去に用いられた検査プロトコルの妥当性を評価したりすることを可能にする。
なお、上述した実施形態では、図2に示すように評価値と対応付けてリスト表示された複数の検査プロトコルの中から検査プロトコルが選択される場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、受付機能135fは、検査プロトコルのみを示すリストにおいて検査プロトコルの選択を受け付けてもよいし、検査プロトコルに、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データのうち少なくとも一つが対応付けられたリストにおいて検査プロトコルの選択を受け付けてもよい。
(第4の実施形態)
さて、これまで第1〜第3の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、CT画像データ(ボリュームデータ)について、対象部位に対応する領域を抽出し、抽出した領域の評価値を算出する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、CT画像データから各種レンダリング処理により生成された2次元画像データについて、評価値を算出する場合であってもよい。例えば、X線CT装置100は、CT画像データから生成された2次元画像データについて、対象部位に対応する領域を抽出し、抽出した領域の評価値を算出する。一例を挙げると、X線CT装置100は、2次元画像データのうち対象部位に対応する領域に含まれるピクセルの画素値のSD値を算出する。
ここで、CT画像データから生成された2次元画像データが複数ある場合、X線CT装置100は、例えば、2次元画像データごとにSD値を算出し、算出したSD値の平均値や中央値、最頻値等を評価値として算出する。また、例えば、2次元画像データが複数ある場合、X線CT装置100は、各2次元画像データの対象部位に対応する領域を統合し、統合した領域についてのSD値を評価値として算出する。なお、CT画像データから生成された2次元画像データについて評価値を算出した場合、検査プロトコルには、画像表示条件(例えば、レンダリング処理の種類や、ウィンドウ幅、ウィンドウレベルなど)が含まれる場合であってもよい。
また、上述した実施形態では、医用画像診断装置がX線CT装置である場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態に係る医用画像診断装置は、X線診断装置や、超音波診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置等であってもよい。
例えば、実施形態に係る医用画像診断装置が超音波診断装置である場合、まず、超音波診断装置は、取得した超音波画像データから対象部位に対応する領域を抽出する。次に、超音波診断装置は、抽出した領域の評価値を算出し、算出した評価値と、超音波画像データの収集に用いられた検査プロトコルとを対応付けて記憶する。そして、超音波診断装置は、評価値及び検査プロトコルを対応付けてリスト表示したり、評価値を検査プロトコルごとにグラフ表示したりする。
なお、実施形態に係る医用画像診断装置が超音波診断装置である場合において、検査プロトコルには、例えば、フィルタの通過帯域や音速、速度レンジ、ゲイン、カラーゲイン、フレームレート、超音波の周波数、超音波の位相(0°〜360°)、音圧、視野深度、フォーカス深さ、画角、走査線密度(関心領域(ROI:Region Of Interest)内の走査線数、又は視野内の走査線数)、ダイナミックレンジ、ステアリング角度(走査線の角度)、操作面の回転角度(0°〜180°又は0°〜360°)などが含まれる。ここで、フィルタの通過帯域は、例えば、ノイズの除去を目的とし、一定の周波数の範囲として設定される。また、音速は、撮影対象である被検体の体内組織の平均音速として設定された速度(音速値)である。また、速度レンジは、ドプラモードでどの範囲の速度を観察するかを決める値であり、例えば、最大速度及び最低速度が設定される。また、ゲイン及びカラーゲインは、画像全体の明るさや色を決める値である。
また、例えば、実施形態に係る医用画像診断装置がPET装置である場合、まず、PET装置は、取得したPET画像から対象部位に対応する領域を抽出する。ここで、PET画像は、陽電子放出核種で標識された薬剤が投与された被検体から対消滅イベントに関するデータを収集し、収集したデータを再構成することで生成される機能画像である。通常、被検体の部位により集積する薬剤の量は異なるため、PET装置は、得られたPET画像の各位置における薬剤の集積の程度に基づいて、対象部位に対応する領域を抽出することができる。例えば、PET装置は、PET画像のうち、薬剤が集積しやすい脳や膀胱に対応する領域を抽出することができる。次に、PET装置は、抽出した領域の評価値を算出し、算出した評価値と、PET画像の収集に用いられた検査プロトコルとを対応付けて記憶する。そして、PET装置は、評価値及び検査プロトコルを対応付けてリスト表示したり、評価値を検査プロトコルごとにグラフ表示したりする。
また、上述した実施形態では、評価値及び検査プロトコルに対応付けて記憶される情報の例として、被ばくの程度を表す指標値、再構成時間、患者情報及びCT画像データについて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。一例を挙げると、実施形態に係る医用画像診断装置がMRI装置である場合において、MRI装置は、MR画像のうち対象部位に対応する領域について算出した評価値、及び、MR画像の収集に用いられた検査プロトコルに、ノイズ(撮像時の騒音の大きさ)や、再構成時間、患者情報及びMR画像などを対応付けて記憶する。
第1〜第4の実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、第1〜第4の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、医用画像の収集に用いる検査プロトコルを適切に評価することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。