JP6827124B2 - (1r,3s)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のアミン塩 - Google Patents

(1r,3s)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のアミン塩 Download PDF

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Description

本発明は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の新規なアミン塩に関し、これはアデノシンAアデノシン受容体拮抗薬である。特に、本発明は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩を対象とする。前記塩は、Aアデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療または予防に有用である。
アデノシンA受容体拮抗薬は、高血圧症、心不全、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、喘息、鼻炎やじんま疹を含むアレルギー反応、多発性硬化症などの強皮症や自己免疫疾患を含む様々な疾患の治療または予防に有用である(Hocher, B, Adenosine A1 receptor antagonists in clinical research and development, Kidney International (2010) 78, 438-445およびその中の参照文献; Hasko, G et al, Adenosine receptors: therapeutic aspects for inflammatory and immune diseases, Nature Reviews, volume 7, September 2008, 759およびその中の参照文献)。
具体的には、特許出願WO2009/044250 A1は、5−シアノ−1,3−チアゾール誘導体を開示しており、これらは有力なAアデノシン受容体拮抗薬であり、上記の疾患の治療に有用である。前記特許出願には、3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸、特に、(1R,3S)立体異性体が開示され、その構造を以下に示す。
Figure 0006827124
5−シアノ−1,3−チアゾール誘導体の薬学上許容される塩は、引用される文献で一般に述べられている。本明細書に記載の5−シアノ−1,3−チアゾール誘導体と塩を形成するための薬学上許容される塩基は、アルカリ金属水酸化物(例えば、ナトリウムまたはカリウム)ならびにアルキルアミン、アリールアルキルアミンおよび複素環アミンなどの有機塩基である。しかしながら、前記の文献は、いずれの特定の塩も明記していない。
(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸は好適な薬理活性を示したが、前記化合物はあるレベルの吸湿性を示し、これがその安定性、従って、その医薬開発を損なう可能性がある。
いくつかの特性、とりわけ、溶解度、溶解速度、バイオアベイラビリティ(Gwak HS et al, Enhanced bioavailability of piroxicam via salt formation with ethanolamines, Int J Pharm 2005; 297:156-161)、吸湿性、香味ならびに物理および化学安定性などは塩形成によって変化し得る(Farag Badawy SI, Effect of salt form on chemical stability of an ester prodrug of a glycoprotein IIb/IIIa receptor antagonist in solid dosage forms, Int J Pharm 2001; 223:81-87)。
多数の薬学上許容される対イオンのアベイラビリティおよび薬学上許容される対イオンの性質と対応する塩の最終的な特性との間の相関の欠如を考えれば、塩選択プロセスが困難であり、その結果が先験的に予測できない。
(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の物理化学的および薬学的特性を改善する塩、特に、活性化合物の結晶化度またはバイオアベイラビリティなどの他の重要なパラメーターに悪影響を及ぼさずに吸湿性を改善する塩を提供する必要がある。前記酸の製造、取り扱い、保存および薬物特性に改善を得るためには、特に、通常の薬物保存条件(<75%RH)下で(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の吸湿性を低減すると同時に良好なレベルのその安定性および溶解度を確保する必要がある。
本発明は、対応する遊離酸および他の塩に比べて物理化学的特性、薬物動態学的特性および薬学的特性が改善された(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のトロメタミン塩を提供する。
(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の相当な数の別の塩をプロファイリングした後に、本発明者らは驚くことに、前記化合物のトロメタミン塩が、遊離酸形態の化合物に比べてだけでなく前記化合物の他の塩に比べても良好な吸湿性、溶解度およびバイオアベイラビリティ特性を示すことを見出した。加えて、トロメタミン塩は結晶形で得られる。前記特性の改善は、前記化合物の製造プロセス、取り扱い、および保存に、また、前記製品の薬学的特性に利点を与える。具体的には、経口バイオアベイラビリティの有意な改善が本発明のトロメタミン塩により示され、これは目的とする治療レベルを達成するのに有意に低用量の化合物の投与を可能とする。
本発明の対象に関して、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の特定の塩、特に、前記化合物のトロメタミン塩または特許出願WO2009044250A1に開示されている化合物系列に属する他のいずれの化合物の製造および使用に関する技術水準においても知られている開示は無い。
よって、第1の態様において、本発明は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のトロメタミン塩に関する。
第2の態様において、本発明は、第1の態様で定義された塩の製造方法であって、
a)溶媒の存在下で(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸とトロメタミンを混合する工程と、
b)得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のトロメタミン塩を単離する工程とを含む、
方法に関する。
第3の態様において、本発明は、第1の態様に記載の塩と、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、アンギオテンシン受容体拮抗薬、スタチン、β遮断薬、カルシウム拮抗薬および利尿薬からなる群から選択される1以上の治療薬とを含んでなる組合せ製品に関する。
第4の態様において、本発明は、第1の態様に記載の塩または第3の態様に記載の組合せ製品と、薬学上許容される添加剤とを含んでなる医薬組成物に関する。
第5の態様において、本発明は、薬剤として使用するための、第1の態様に記載の塩、第3の態様に記載の組合せ製品または第4の態様に記載の医薬組成物に関する。
第6の態様において、本発明は、Aアデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療および/または予防において使用するための、第1の態様に記載の塩、第3の態様に記載の組合せ製品または第4の態様に記載の医薬組成物に関する。
さらなる態様において、本発明は、Aアデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療および/または予防のための薬剤の製造における、第1の態様に記載の塩、第3の態様に記載の組合せ製品または第4の態様に記載の医薬組成物の使用に関する。
さらなる態様において、本発明は、アデノシンA受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患を治療および/または予防する方法であって、そのような治療を必要とする対象に第1の態様に記載の塩、第3の態様に記載の組合せ製品または第4の態様に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法に関する。
図1は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のDVSパターンを表し、前記遊離酸の重量変化(%)を相対湿度(RH)の関数として示す。 図2は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩のDVSパターンを表し、前記塩の重量変化(%)を相対湿度(RH)の関数として示す。 図3は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩のH−NMRスペクトルを示す。 図4は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸とそのトロメタミン塩のDVSパターンの比較を表す。 図5は、(1R−3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トリエタノールアミン塩のDVSパターンを表し、前記塩の重量変化(%)を相対湿度(RH)の関数として示す。 図6は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩とトリエタノールアミン塩のDVSパターンの比較を表す。 図7は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸マグネシウム塩のDVSパターンを表し、前記塩の重量変化(%)を相対湿度(RH)の関数として示す。
発明の具体的説明
本特許出願は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の数種の塩を開示する。以下の塩は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸から得られたものである:トロメタミン塩、トリエタノールアミン塩、ジエチルアミン塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、リシン塩およびアルギニン塩。しかしながら、それらの総てのうち、トロメタミン塩だけが、遊離酸に比べて物理化学的、薬物動態学的、および薬学的特性の改善を示した。
トロメタミン塩
本発明者らは驚くことに、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩(IUPAC名:((1R,3S)−3−((5−シアノ−4−フェニルチアゾール−2−イル)カルバモイル)シクロペンタン−1−カルボン酸1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−アミニウム)が以下の利点の総てを有することが判明した唯一の塩であることを見出した:
1)強制条件下での安定性:例えば、変色して稠密になったトリエタノールアミン塩とは異なり、得られた固体には結晶度変化、色または他のいずれの態様変化も見られなかった。
2)吸湿性:特に薬物の通常の保存条件(<75%RH)で、遊離酸および他の類似の塩、例えば、トリタノールアミン塩よりも低い吸湿性を示す。
3)溶解度:遊離酸よりも、また、検討した他の塩よりも実質的に良好な溶解度、特に、トリエタノールアミンおよびジエチルアミンの類似の塩よりも良好な溶解度を示す。
4)バイオアベイラビリティ:特に驚くことに、遊離酸およびトリエタノールアミン塩のような他の構造上類似の塩に比べて経口暴露およびバイオアベイラビリティにおいてトロメタミン塩の改善を示した。
従って、前記トロメタミン塩は、薬理活性化合物を含有し、その操作を容易にし、かつ、より良好な投与計画を可能とする固体投与形の製造に有利となる。加えて、本発明の対象であるトロメタミン塩は遊離酸よりも高い水溶解度を有し、従って、非経口投与に好適な薬理活性化合物を含有する水性医薬形に使用されるより実現可能な化合物を提供する。
本発明の対象である(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩は、強制安定性条件下であっても、安定な固体である。この塩は、トロメタミン塩(75%RHで0.17%)により達成される水分含量の変動と遊離酸(75%RHで0.43%)の変動とを比べた場合の実施例でわかるように、特に75%RHまででは、遊離酸よりも吸湿性が低い。
トリエタノールアミン塩は、安定性試験中にやや変色し稠密となる固体であり、従って、ある程度の吸湿性を示す。吸湿性分析により、この塩は75%RHにおける水分含量に3.44%の変動に達する吸湿性であることが確認された。
ジエチルアミン塩は、安定性試験中にいくらかの分解を示した。従って、前記塩は安定性を欠くと考えられ、それを用いてさらなる試験は行わなかった。
加えて、他の塩、例えば、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸ナトリウム塩を製造したところ、これは良好な安定性を有さず、変色し、明らかな吸湿性を示し、従って、ナトリウム塩は、遊離酸に関して検討された様々な物理的、化学的、および薬学的パラメーターの改善を達成するには不十分であった。
マグネシウム塩は、極めて吸湿性であり(吸収される水の量は相対湿度(RH)に比例する)、75%RHで水分含量に18%の変動に達する。
確認されているように、遊離酸に比べて安定性、吸湿性、バイオアベイラビリティおよび溶解度に改善を示す唯一の塩はトロメタミン塩である。
従って、本発明の第1の態様は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のトロメタミン塩を対象とし、これは以下の一般式を有する。
Figure 0006827124
用語「塩」は、イオン形態(陰イオンとして)および対イオン(陽イオン)である(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のアセンブリを意味する。
好ましい実施形態では、トロメタミンおよび(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸は1:1モル比であり、すなわち、塩中に存在するトロメタミン1モルにつき、1モルの(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸が存在する。
別の好ましい実施形態では、本発明のトロメタミン塩は、8.7、12.3、18.0、18.4、21.7および26.1±0.20 2θ°のX線粉末回折(XRPD)ピークセットから選択される少なくとも5つの2θ°ピークを含んでなる、好ましくは、8.7、18.0、18.4、21.7および26.1,±0.20 2θ°に2θ°ピークを含んでなるXRPDパターンを特徴とする結晶形を示す。
より好ましい実施形態では、本発明のトロメタミン塩は、8.7、12.3、13.0、13.4、16.3、16.8、17.3、18.0、18.4、19.5、20.9、21.7、23.8、24.6および26.1±0.20 2θ°に2θ°ピークを含んでなるX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする結晶形を示す。
トロメタミン塩の製造方法
別の態様において、本発明は、本発明の対象であるトロメタミン塩の製造方法であって、
a)溶媒の存在下で(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸およびトロメタミンを混合する工程と、
b)(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸、トロメタミン塩を単離する工程とを含んでなる、
方法に関する。
工程a)は、溶媒の存在下で(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸とトロメタミンを混合することを含んでなる。
(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸は、引用することにより本明細書の一部とされる特許出願WO2009044250A1に開示される方法を用いて製造される。
特定の実施形態では、工程a)において、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸およびトロメタミンは1:1〜1:1.5、好ましくは、1:1〜1:1.2のモル比である。両方の化合物の混合物は、例えば機械的撹拌により行うことができる。この混合物は溶液または懸濁液であり得る。好ましくは、工程a)は、酸とトロメタミンの混合物を溶媒の還流温度に、好ましくは、溶液が得られるまで加熱することを含んでなる。特定の実施形態では、この混合物は、好ましくは、還流温度で、撹拌しながら、30分〜24時間、より好ましくは、30分〜5時間、さらに好ましくは、1.5時間〜2.5時間、より好ましくは、約2時間維持される。
溶媒は、塩を形成するのにいずれの好適な溶媒であってもよく、すなわち、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸またはトロメタミンと反応しない溶媒であり得る。好ましくは、溶媒は、アルカノール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水およびそれらの混合物からなる群から選択される。
本明細書で使用する場合、アルキルという用語は、1〜12個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有し、不飽和を持たない直鎖または分岐炭化水素鎖を含む。アルキルという用語が、C−Cなどの炭素原子の数を指示する表現を伴う場合、前記アルキルが1〜3個の炭素原子などの指定数の炭素原子を有することを意味する。
本明細書で使用する場合、アルカノールという用語には、ヒドロキシル基(OH)に連結された、先に定義されたような直鎖または分岐アルキル鎖が含まれる。好ましいアルカノールは、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノールおよびそれらの混合物、より好ましくは、イソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノールおよびそれらの混合物である。
本明細書で使用する場合、脂肪族炭化水素という用語は、飽和または1以上の不飽和(二重結合または三重結合)、例えば、1、2または3個の不飽和を有する、直鎖、分岐または環式の炭素および水素原子、好ましくは、5〜12個の炭素原子、より好ましくは、5〜8個の炭素原子、さらに好ましくは、6または7個の炭素原子からなる化合物を意味する。脂肪族炭化水素の例は、とりわけペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、およびそれらの混合物;好ましくは、ヘプタンおよびシクロヘキサンおよびそれらの混合物である。
本明細書で使用する場合、芳香族炭化水素という用語は、炭素原子と水素原子からなり、不飽和であって、ヒュッケル則に従い、好ましくは環に6個の炭素原子を有し、場合により、同じであっても異なっていてもよい1、2または3個のC−Cアルキル基で置換されていてもよい環式化合物を意味する。芳香族炭化水素の例は、トルエンおよびキシレンおよびそれらの混合物である。
本明細書で使用する場合、エーテルという用語は、式R−O−R’の化合物を意味し、ここで、RおよびR’は以下から選択される:(a)先に定義されたようなアルキル鎖、(b)RおよびR’はともにアルキレン鎖−(CH(mは4〜6の整数である)を形成し、場合によりC−Cアルキル基で置換されていてもよく、または(c)RおよびR’はともに−(CH−O−(CH−基(nおよびpは1〜3から独立に選択される 整数である)を形成する。エーテルの例は、とりわけ、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、およびそれらの混合物である。
本明細書で使用する場合、ケトンという用語は、式R−C(=O)−R’の化合物を意味し、ここで、RおよびR’は、先に定義されたようにアルキル基から独立に選択される。ケトンの例は、とりわけ、アセトンおよびメチルイソブチルケトンおよびそれらの混合物である。
本明細書で使用する場合、エステルという用語は、R−COOR’基を意味し、ここで、RおよびR’は、先に定義されたようにアルキル基から独立に選択される。エステルの例は、酢酸エチルおよび酢酸イソブチルおよびそれらの混合物である。
本明細書で使用する場合、トロメタミンという用語は、本明細書では式(HOCHC−NHの化合物を呼称して用いられ、そのIUPAC名は、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオールであり、また、以下の名称も持つ:トリスアミン、トロメタモール、およびトロメタン。
本発明の一つの実施形態によれば、工程a)の溶媒は、イソプロパノール、プロパノール、メタノール、ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
本方法において使用される溶媒の容量は、当業者により決定可能である。好ましくは、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のモル量の1〜50倍、より好ましくは1〜10倍の容量(ml)が使用される。
当業者ならば、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩が形成された時に、常法により、例えば、薄層クロマトグラフィー、核磁気共鳴または高速液体クロマトグラフィーを用いて決定することができる。
前記塩が形成されたところで、工程b)、すなわち、本発明の分野の常法により、例えば、濾過によって、得られたトロメタミン塩の単離を行う。特定の実施形態では、工程a)の混合物を15〜30℃に冷却または放冷した後、工程b)を行う。
好ましくは、工程b)は、不純物を除去するために得られた塩を洗浄すること、および前記塩を乾燥させることをさらに含んでなる。洗浄は好ましくは、工程a)で使用するものと同じ溶媒で行う。乾燥は好ましくは、真空下、室温で行う。
組合せおよび医薬組成物
本発明はさらに、本発明の塩と、a)アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)、b)アンギオテンシン受容体拮抗薬、c)スタチン、d)β遮断薬、e)カルシウム拮抗薬、およびf)利尿薬から選択される1以上の治療薬とを含んでなる組合せ製品を提供する。
ACE阻害剤の例は、例えば、とりわけ、カプトプリル、エナラプリル、およびベナゼプリルである。
アンギオテンシン受容体拮抗薬の例は、例えば、とりわけ、ロサルタン、アジルサルタン、イルベサルタン、およびエプロサルタンである。
スタチンの例は、例えば、とりわけ、アトルバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、およびロバスタチンである。
β遮断薬の例は、例えば、とりわけ、アセブトール、アテノロール、ベタキソロール、カルベジロール、およびプロパノロールである。
カルシウム拮抗薬の例は、例えば、とりわけ、アムロジピン、ベラパミル、ビジピン、およびイスラジピンである。
利尿薬の例は、例えば、とりわけ、クロロチアジド、クロルタリドン、フロセミド、およびスピロノラクトンである。
前記組合せ製品は、前記塩と1以上の治療薬とを含んでなる医薬組成物であり得る。あるいは、組合せ製品において、前記塩と1以上の治療薬は異なる組成物である。
さらに、本発明はまた、上記で定義されたような塩または上記で定義されたような組合せと薬学上許容される添加剤とを含んでなる医薬組成物も包含する。特に、トロメタミン塩は、治療上有効な量である。治療薬も、存在する場合、好ましくは治療上有効な量である。
薬物または薬理活性剤の「有効な量」または「治療上有効な量」は、薬物または薬剤の、所望の効果を提供するために十分であるが毒性の無い量を意味する。「有効な」量は、個々の年齢および遺伝的条件、特定の活性薬剤などに応じて対象ごとに異なる。従って、正確な「有効量」を明示することは常に可能というわけではない。しかしながら、いずれの個々の場合においても、当業者ならば、通常の試験を用いて適当な「有効」量を決定することができる。
本発明の塩および上記で定義される1以上の治療薬は、同時、逐次、または別々に投与し得る。
同時投与は、例えば、本発明の塩と上記で定義される1以上の治療薬を含んでなる組成物の形態で、または独立に調剤された(すなわち、それらは同じ組成物の一部ではない場合)本発明の塩と上記で定義される1以上の治療薬の同時投与、すなわち、同じ時点での投与によって行ってよい。
逐次投与は、好ましくは、本発明の塩をある時点で、また上記で定義される1以上の治療薬を異なる時点でずらして投与することを意味する。
個別投与は、好ましくは、本発明の塩と上記で定義される1以上の治療薬を、互いに独立に異なる時点で投与することを意味する。
用語「薬学上許容される添加剤」は、有効成分とともに投与される担体、希釈剤、またはアジュバントを意味する。このような製剤添加剤は、石油、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む水および油などの無菌の液体であり得る。特に注射溶液向けの水または塩水溶液、ならびにデキストロースおよびグリセロールの水溶液が担体として好ましくし使用される。好適な医薬担体は、"Remington Pharmaceutical Sciences", EW Martin, 第21版, 2005に記載されている。
本発明の経口投与医薬組成物のための薬学上許容される添加剤の例は、当技術分野で公知の従来の添加剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ、アラビアガム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントまたはポリビニルピロリドン;賦形剤、例えば、ラクトース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、スクロース、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン、デキストロース、マルトデキストリン、デキストラン、デキストリン、加工デンプン;流動促進剤および錠剤滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、コロイド状二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、無水コロイド状ケイ素、グリセリン、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウムまたはタルク;崩壊剤、例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスポビドン、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはソルビタン脂肪酸エステル;薬学上許容される湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム;水可溶化助剤、例えば、尿素、ベタイン一水和物、硫酸カリウム、酢酸カリウム、マンニトール;アルカリ化剤、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム;甘味剤、例えば、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウムおよびアスパルテーム;香味剤、例えば、メントールおよびペパーミント油である。
本発明の医薬組成物は、非経口的、経口的または局所的、好ましくは、経口経路によって投与され得る。
好ましい実施形態では、医薬組成物は、好適な用量単位の形の、無菌の溶液、懸濁液または凍結乾燥品などの非経口投与に好適な投与形である。賦形剤、緩衝剤または界面活性剤などの好適な添加剤も使用可能である。
医薬組成物はまた、固体または液体いずれかの経口形態であってもよい。経口投与に好適な投与形は、錠剤、カプセル剤、シロップまたは溶液もしくは経口懸濁液用の粉末溶液、顆粒、サシェ剤であり得る。好ましくは、投与形は、錠剤およびカプセル剤からなる群から選択される。
上記の処方物は、スペインおよびUS薬局方および類似の参照テキストに記載または企図されているものなどの標準法を用いて調製される。
医学的使用
本発明の対象であるトロメタミン塩は、Aアデノシン受容体に対して強力な拮抗活性を示し/維持する。
よって、本発明はまた、薬剤として使用するための、上記のような塩、上記で定義されたような1以上の治療薬を伴った本発明の塩の組合せ製品、または上記で定義されたものなどの医薬組成物の使用を対象とする。
この態様はまた、薬剤を調製するために、上記のような本発明の塩、上記で定義されたような1以上の治療薬を伴った本発明の塩の組合せ製品、または上記で定義されたような医薬組成物としても処方され得る。
本発明の別の態様は、Aアデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療および/または予防において用いられる上記のような塩、上記で定義されたような1以上の治療薬を伴った本発明の塩の組合せ製品、または上記で定義されたものなどの医薬組成物に取り組む。
この態様はまた、Aアデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療および/または予防のための薬剤の製造における、上記のような本発明の塩、上記で定義されたような1以上の治療薬を伴った本発明の塩の組合せ製品、または従前に定義されたような医薬組成物の使用として処方されてもよい。
この態様はまた、Aアデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患を治療および/または予防する方法として処方されてもよく、そのような治療を必要とする対象に上記のような本発明の塩、上記で定義されたような1以上の治療薬を伴った本発明の塩の組合せ製品、または上記で定義されたような医薬組成物を投与することを含んでなる。
アデノシンA受容体拮抗作用による改善を受け得る疾患または病態は、高血圧症、心不全、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、または体液貯留、心筋再潅流傷害、喘息、アレルギー反応により引き起こされる他のいずれかの疾患、限定されるものではないが、高血圧症、心不全、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、喘息、鼻炎およびじんま疹を含むアレルギー反応、強皮症や多発性硬化症などの自己免疫疾患などから選択される。好ましい実施形態では、アデノシンA受容体拮抗作用による改善を受け得る疾患または病態は、心不全、急性腎不全、喘息、動脈性高血圧症、および透析低血圧症からなる群から選択される。
用語「治療する」および「治療」は、本明細書で使用する場合、前記の用語が当てはまる疾患もしくは病態または前記の疾患もしくは病態の1以上の症状の進行を逆転させる、緩和する、阻害することを意味する。
用語「予防する」および「予防」は、本明細書で使用する場合、この用語が当てはまる疾患もしくは病態またはそのような疾患もしくは病態の1以上の症状の発生の阻害を意味する。
本発明による使用では、本発明の塩、組合せ製品または医薬組成物は、1、2、3、4または5回/日、投与してよい。使用では、本発明の塩、組合せ製品または医薬組成物は、治療される疾患または病態の症状が、それらの進行において逆転、緩和または阻害されるまで投与してよい。
本発明は以下の通りである。
[1](1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のトロメタミン塩。
[2]トロメタミンと(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸が1:1のモル比である、上記[1]に記載の塩。
[3]8.7、18.0、18.4、21.7および26.1±0.20 2θ°に2θ°ピークを含んでなるX線粉末回折パターンを有する結晶形であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の塩。
[4]X線粉末回折パターンにおいて12.3、13.0、13.4、16.3、16.8、17.3、19.5、20.9、23.8および24.6±0.20 2θ°に2θ°ピークをさらに含んでなる、上記[3]に記載の塩。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載のトロメタミン塩の製造方法であって、a)(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸とトロメタミンを溶媒の存在下で混合すること、およびb)工程a)で得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩を単離することを含んでなる、方法。
[6]工程a)の混合物が溶媒の還流温度で加熱される、上記[5]に記載の方法。
[7]前記溶媒がアルカノール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水およびそれらの混合物からなる群から選択される、上記[5]または[6]に記載の方法。
[8]前記溶媒がイソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノールおよびそれらの混合物から選択される、上記[7]に記載の方法。
[9]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の塩とアンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシン受容体拮抗薬、スタチン、β遮断薬、カルシウム拮抗薬および利尿薬からなる群から選択される1以上の治療薬とを含んでなる、組合せ製品。
[10]上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の塩または上記[9]に記載の組合せ製品と薬学上許容される賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
[11]薬剤として使用するための、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の塩、上記[9]に記載の組合せ製品または上記[10]に記載の医薬組成物。
[12]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療および/または予防において使用するための、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の塩、上記[9]に記載の組合せ製品または上記[10]に記載の医薬組成物。
[13]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が高血圧症、心不全、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、喘息、鼻炎およびじんま疹を含むアレルギー反応、強皮症ならびに自己免疫疾患からなる群から選択される、上記[12]に記載の使用のための塩、組合せ製品または医薬組成物。
[14]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が心不全、急性腎不全、喘息、動脈性高血圧症および透析低血圧症からなる群から選択される、上記[13]に記載の使用のための塩、組合せ製品または医薬組成物。
[15]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療および/または予防のための薬剤の製造における、上記[1]〜[4]のいずれかに定義される塩、上記[9]に定義される組合せ製品または上記10に定義される医薬組成物の使用。
[16]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が高血圧症、心不全、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、喘息、鼻炎およびじんま疹を含むアレルギー反応、強皮症ならびに自己免疫疾患からなる群から選択される、上記[15]に記載の使用。
[17]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が心不全、急性腎不全、喘息、動脈性高血圧症および透析低血圧症からなる群から選択される、上記[16]に記載の使用。
[18]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患を治療および/または予防する方法であって、そのような処置を必要とする対象に、上記[1]〜[4]のいずれかに定義される塩、上記[9]に定義される組合せ製品または上記[10]に定義される医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
[19]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が高血圧症、心不全、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、喘息、鼻炎およびじんま疹を含むアレルギー反応、強皮症ならびに自己免疫疾患からなる群から選択される、上記[18]に記載の方法。
[20]A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が心不全、急性腎不全、喘息、動脈性高血圧症および透析低血圧症からなる群から選択される、上記[19]に記載の方法。
以下の限定されない例は本発明を説明することを意図し、本発明の範囲の限定と見なされるべきではない。
全般
XRPD分析は、回折装置PANalytical X’Pertを反射配置θ−θ、放射線Cu Kαおよび検出器PIXcelとともに45kVおよび40mAで使用する環境条件下で行った。サンプルはゼロバックグラウンドケイ素サンプルホルダー内でセットし、データ取得中は0.25rev/秒で回転させた。測定値は角度範囲3〜40°(2θ)、ステップサイズ0.013°、走査速度0.328°/秒で記録した。強度1%以上のピークのみを報告した。
1H−NMR分析は、溶媒として重水素化メタノール(MeOD−d)またはDMSO−d中、5mmのワイドプローブATB 1H/19F/Xを備えたVarian Mercury 400で行った。スペクトルは、5〜10mgのサンプルを0.6mlの重水素化溶媒に溶解させて取得した。
強制条件下での安定性試験は、供試品を40℃および70%RHで1週間維持することによって行った。塩は、結晶形の変化を確認するためにXRPDにより分析した。
塩の吸湿性試験は、Q5000装置(TAインスツルメント)を用いた動的蒸気吸着(DVS)プロファイルの作成により行った。初期安定化期間(サンプルを真空下60℃で予め乾燥させる)の後、各サンプルについて等温線(25℃)を得た:吸湿0〜95%相対湿度(RH)0から95%までの吸湿とRH95%から乾燥までの脱湿。両等温線とも5%および10%湿度段階で行った。
相対湿度(RH)は湿潤窒素流と乾燥窒素流の混合物によって制御した。次のレベルにRHを変化させる前は、RHは、平衡が得られるまで(一定重量)または最大時間に達するまで一定に保持した。
溶解度スクリーンアッセイは、次のように行った:アッセイ化合物の保存溶液(10−2M)を384穴の透明プレート(Greiner 781101)中、5%DMSO:95%PBSバッファーで500μMから0.256nMに減少させたモル濃度となるように希釈した。サンプルを37℃でインキュベートし、NEPHELOstar Plus(BMGLABTECH)で2時間および4時間後に読み取った。結果を分割回帰で調製し、化合物が可溶な最大濃度を得た。
実施例1.(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の合成
化合物(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の合成は特許出願WO2009044250に詳細が記載され、これは参照することにより本明細書の一部とされる。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.88 (m, 4H), 1.99 (m, 1H), 2.22 (m, 1H), 2.79 (m, 1H), 3.06 (m, 1H), 7.57 (m, 3H), 7.99 (m, 2H), 12.37 (s, 1H), 12.89 (s, 1H)。
図1は、(1R−3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸(遊離酸型)のDVSパターンを示す。
実施例2.(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩の製造
イソプロパノール(IPA)(1.5ml)中の(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸(100mg、0.293 mmol)およびトロメタミン(39.0mg、0.322mmol)の懸濁液を、磁気撹拌および冷媒を備えた10mlのフラスコに入れた。これを溶液が得られるまで還流下で加熱した。次に、この溶液を室温にゆっくり冷却し、このようにして得られた懸濁液をこの温度で2時間撹拌した。固体をNo.3フィルタープレートで濾過し、IPA(2×0.2ml)で洗浄し、真空下、室温で15時間乾燥させ、104.9mgの(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩をベージュの固体として得た(75%)。
1H-NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ = 8.11 - 8.09 (m, 2H); 7.51 - 7.45 (m, 3H); 3.64 (s, 6H); 3.1 (qt, J= 8.0 Hz, 1H); 2.81 (qt, J= 8.0 Hz, 1H); 2.29 - 2.21(m, 1H); 2.17 - 2.10 (m, 1H); 2.03 - 1.97 (m, 4H)。
得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩の結晶形は、表1に示されるXRPDパターンを特徴とする。
Figure 0006827124
図2は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩のDVSパターンを示す。結果によれば、前記の塩は、通常の薬物保存条件で遊離酸形よりも吸湿性が低い(<75%RH)。
図3は、得られたトロメタミン塩のH−NMRスペクトルを示し、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸とトロメタミンが1:1の比であることが確認される。
図4は、(1,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸とそのトロメタミン塩のDVSパターンの比較を示す。
実施例3.(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トリエタノールアミン塩(IUPAC名:(1R,3S)−3−((5−シアノ−4−フェニルチアゾール−2−イル)カルバモイル)シクロペンタン−1−カルボン酸トリス(ヒドロキシエチル)アンモニウム)の製造
酢酸エチル(AcOEt)(1.5ml)中の(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸(100mg、0.293mmol)の溶液に、AcOEt(0.8ml)中のトリエタノールアミン(43.7mg、0.293mmol)の溶液を室温で加えた。短時間で固体が沈殿し、このようにして得られた懸濁液を室温で7時間撹拌した。固体をNo.3フィルタープレートで濾過し、AcOEt(0.1ml)で洗浄し、室温で15時間真空乾燥させ、121.7mgの(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トリエタノールアミン塩を白色固体として得た(収率85%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.99 (dd, 2H), 7.56 (dt, 3H), 4.46 (m, 3H), 3.42 (t, 6H), 3.08 - 3.00 (m, 1H), 2.82 - 2.73 (m, 1H), 2.58 (t, 6H), 2.24 - 2.15 (m, 1H), 2.03 - 1.95 (m, 1H), 1.93 - 1.79 (m, 4H)。
得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トリエタノールアミン塩の結晶形は、以下のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする:5.29、6.88、8.89、9.08、10.27、10.60、11.89、12.78、13.07、13.80、14.26、15.05、16.63、17.03、18.10、18.47、19.44、19.98、20.61、21.75、22.63、24.09、24.51、25.10、25.42、25.80、26.41、26.90、27.63、30.41、34.54±0.20度2θ。
図5は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トリエタノールアミン塩のDVSパターンを示す。結果は、前記塩は75%RHまででは吸湿性はあまり大きくないことを示す。0から75%までのRHで、重量は3.44%増す。75%RHを超えると、水の吸収が急上昇し、85%RHで17.58%、95%RHで37.48%に達する。
結果によれば、この塩は、通常の薬物保存条件(<75%RH)で遊離酸形よりも、そしてトロメタミン塩よりも吸湿性が高い。図6は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩とトリエタノールアミン塩のDVSパターンの比較を示す。
実施例4.(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸ジエチルアミン塩(IUPAC名:(1R,3S)−3−((5−シアノ−4−フェニルチアゾール−2−イル)カルバモイル)シクロペンタン−1−カルボン酸ジエチルアンモニウム)の製造
エタノール(EtOH)(1.35ml)中の(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸(100mg、0.293mmol)の溶液に、EtOH(0.65ml、0.293mmol)中のジエチルアミン0.5M溶液を加えた。得られた溶液を2日間室温でゆっくり蒸発させて微細な固体を得た。この固体を真空下、室温で15時間乾燥させ、105mgの(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸ジエチルアミン塩をベージュの固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.99 (d, 2H), 7.56 - 7.44 (m, 3H), 2.95 - 2.88 (m, 1H), 2.84 (q, 4H), 2.75 - 2.68 (m, 1H), 2.13 - 1.96 (m, 2H), 1.84 (m, 4H), 1.12 (t, 6H)。
得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸ジエチルアミン塩の結晶形は、5.51、7.03、9.23、11.07、12.11、12.38、13.14、15.22、15.64、16.45、17.26、18.17、19.22、19.56、19.95、21.41、22.71、24.92、25.35、26.68、28.34±0.20度2θにピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
実施例5.(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸(IUPAC名:(1R,3S)−3−((5−シアノ−4−フェニルチアゾール−2−イル)カルバモイル)シクロペンタン−1−カルボン酸ナトリウム)のナトリウム塩の製造
アセトニトリル(ACN)(2.0ml)中の(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸(200mg、0.586mmol)およびNaOH(25.7mg、0.642mmol)の溶液を、磁気撹拌を備えた10mlフラスコに入れ、室温で1時間撹拌した。固体をNo.3フィルタープレートで濾過し、ACN(2×0.4ml)で洗浄し、室温で15時間乾燥させ、178.1mgの(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸ナトリウム塩を白色固体として得た(83%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.99 (d, 2H), 7.49 (m, 3H), 2.93 - 2.84 (m, 1H), 2.72 (m, 1H), 2.04 (m, 2H), 1.84 (d, 4H)。
得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のナトリウム塩の結晶形は、3.65、7.24、9.76、11.08、12.24、12.84、14.32、16.11、17.00、19.29、20.00、21.33、22.31、23.24、25.00、25.56、26.66、28.18、31.04、32.69±0.20度2θにピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
実施例6.(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のマグネシウム塩の製造(IUPAC名:(1R,3S)−3−((5−シアノ−4−フェニルチアゾール−2−イル)カルバモイル)シクロペンタン−1−カルボン酸マグネシウム)
O(1mL)中の(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸(100mg、0.293mmol)およびNaOH 2M(0.160mL、0.320)の溶液に、MgCl・6HO(30.0mg、0.147mmol)を加えた。このようにして得られた沈澱にHO(1mL)を加えて均質な溶液を作製し、これを室温で90分間撹拌した。この固体をNo.3フィルタープレートで濾過し、HO(2×0.2mL)で洗浄し、室温で15時間真空乾燥させ、73.9mgの(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のマグネシウム塩をベージュ色の固体として得た(71%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 7.99 (d, 4H), 7.51 (m, 6H), 2.91 (m, 2H), 2.67 (m, 2H), 2.18 - 1.96 (m, 4H), 1.84 (s, 8H)。
得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のマグネシウム塩の結晶形は、4.08、7.23、8.68、10.76、18.17、25.14±0.20度2θにピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
図7は、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のマグネシウム塩のDVSパターンを示し、前記の塩は吸湿性が極めて高いことを示す。水分含量は%RHに比例し、75%RHで18.11%に上昇する。
表2は、吸湿性試験で測定した3種類の異なる塩および親カルボン酸の水分含量を示す。
Figure 0006827124
表2からわかるように、トロメタミン塩は、特に75%RHまでは遊離酸よりも吸湿性が低い。トリエタノールアミン塩と構造的に類似の塩は、トロメタミン塩よりも吸湿性が高いと考えられる。
実施例7.溶解度スクリーンアッセイ
37℃で実施例1〜5の溶解度を表3に示す。
Figure 0006827124
表3からわかるように、トロメタミン塩は、他の塩(構造上類似の塩および遊離酸であっても)に比べて高い溶解度を示す。
実施例8.経口バイオアベイラビリティアッセイ
この試験の目的は、以下の雄SDラットにおける単回の静脈(IV)投与および経口(PO)投与により、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸から得られた種々の塩の血漿薬物動態を調べることであった。
動物を2群に分けた:群1(IV:1mg/kg)および群2(PO:5mg/kg)。群1および2の動物に生理食塩水中の(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸の種々の塩の溶液を投与した。血液サンプルを各時点で3匹のラットの組から、抗凝固剤としてKEDTA溶液を含むラベルを付けたマイクロ遠沈管に、投与前、0.083、0.25、0.5、1、2、4、8および24時間(IV)ならびに投与前、0.25、0.5、1、2、4、6、8および24時間(PO)に採取した。血漿サンプルを全血の遠心分離によって分離し、−70±10℃より低い温度で生物学的分析まで保存した。総てのサンプルを、アセトニトリルを用いたタンパク質沈降により分析のために処理し、適格なLC−MS/MS法(LLOQ=1.00ng/ml)で分析した。薬物動態パラメーターは、Phoenix WinNonlin(登録商標)(バージョン6.3)のノンコンパートメント分析ツールを用いて計算した。
実施例1〜5から得られた主要な薬物動態パラメーターを表4に示す。
Figure 0006827124
Cmaxは、投与時点と最終観測時点の間で、薬物の経口投与後に得られた最大血漿薬物濃度を意味する。
AUC lastは、投与時から定量限界よりも大きい最後の観測時までの曲線下面積を意味する。
クリアランスは、血漿から薬物を除去する身体の能力の測定値を意味し、静脈内投与から計算される。
F%は、バイオアベイラビリティを意味する。経口投与後の化合物の全身アベイラビリティは下式を用いて計算する:
F(%)=(AUClast PO×用量IV/AUClast IV×用量PO)×100
表4からわかるように、トロメタミン塩は、他の塩(構造上類似の塩および遊離酸であっても)に比べて高いバイオアベイラビリティを示す。

Claims (14)

  1. (1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のトロメタミン塩。
  2. トロメタミンと(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸が1:1のモル比である、請求項1に記載の塩。
  3. 8.7、18.0、18.4、21.7および26.1±0.20 2θ°に2θ°ピークを含んでなるX線粉末回折パターンを有する、(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸のトロメタミン塩の結晶。
  4. トロメタミンと(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸が1:1のモル比である、請求項3に記載の結晶。
  5. X線粉末回折パターンにおいて12.3、13.0、13.4、16.3、16.8、17.3、19.5、20.9、23.8および24.6±0.20 2θ°に2θ°ピークをさらに含んでなる、請求項3または4に記載の結晶。
  6. 請求項1もしくは2に記載のトロメタミン塩または請求項3〜5のいずれか一項に記載の結晶の製造方法であって、
    a)(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸とトロメタミンを溶媒の存在下で混合すること、および
    b)工程a)で得られた(1R,3S)−3−(5−シアノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−2−イルカルバモイル)シクロペンタンカルボン酸トロメタミン塩を単離することを含んでなる、方法。
  7. 工程a)の混合物が溶媒の還流温度で加熱される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記溶媒がアルカノール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記溶媒がイソプロパノール、プロパノール、エタノール、メタノール、ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノールおよびそれらの混合物から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 請求項1もしくは2に記載の塩または請求項3〜5のいずれか一項に記載の結晶と、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシン受容体拮抗薬、スタチン、β遮断薬、カルシウム拮抗薬および利尿薬からなる群から選択される1以上の治療薬とを含んでなる、組合せ製品。
  11. 請求項1もしくは2に記載の塩、請求項3〜5のいずれか一項に記載の結晶または請求項10に記載の組合せ製品と薬学上許容される賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
  12. A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患の治療および/または予防のための、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が高血圧症、心不全、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、喘息、鼻炎およびじんま疹を含むアレルギー反応、強皮症ならびに自己免疫疾患からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. A1アデノシン受容体拮抗作用により改善することが知られる疾患が心不全、急性腎不全、喘息、動脈性高血圧症および透析低血圧症からなる群から選択される、請求項13に記載の医薬組成物。
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