JP6826007B2 - 光誘起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法および測定装置 - Google Patents

光誘起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法および測定装置 Download PDF

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本開示は、半導体の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法および測定装置に関するものである。
太陽電池の製造において、半導体の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムは、その半導体を太陽電池として使用した場合の変換効率と相関を持つことが知られている。
特開2013−145868号公報 特開2016−157907号公報
J.M.Borrego, R.J.Gutmann, N.Jensen, and O.Paz: Solid-Sate Electron. 30 (1987). R. A. Sinton and Andres Cuevas, "Contactless determination of current-voltage characteristics and minoritycarrier lifetimes in semiconductors from quasi-steady-state photoconductance data", Appl. Phys. Lett. 69 (1996) D. Macdonald, R. A. Sinton, and A. Cuevas, "On the use of a bias-light correction for trapping effects in photoconductance-based lifetime measurements of silicon", J. Appl. Phys. 89 (2001) M. Bail and R.Brendel, "Separation of bulk and surface recombination by steady state photo conductance measurements", 16th European Photovoltaic Solar Energy Conference, 1-5 May 2000, Glasgow, UK John F. Roller, Yu-Tai Li, Mario Dagenais, and Behrang H. Hamadani, "Spectral dependence of carrier lifetimes in silicon for photovoltaic applications", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 120, 233108 (2016)
本開示の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法は、半導体に対して、第1照射光を、照射強度を変化させて照射して、前記半導体に発生した光誘起キャリアによる前記半導体に生じる第1導電率増分を検出する第1ステップと、前記第1導電率増分に基づいて、第1実効キャリアライフタイムを算出する第2ステップと、前記半導体に対して、前記第1照射光と波長スペクトルが異なる第2照射光を、照射強度を変化させて照射して、前記半導体に発生した光誘起キャリアによる前記半導体に生じる第2導電率増分を検出する第3ステップと、前記第2導電率増分に基づいて、第2実効キャリアライフタイムを算出する第4ステップと、前記第1および第2実効キャリアライフタイムに基づいて前記半導体のバルクキャリアライフタイムと表面再結合速度とを算出する第5ステップと、を有することを特徴とする。
本開示の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定装置は、半導体に対して強度を変化させて照射する光照射手段と、前記半導体の導電率増分を検出する検出手段と前記導電率増分に基づいて、実効キャリアライフタイムを算出する第1変換手段と、バルクキャリアライフタイムを算出する第2変換手段とを有し、前記光照射手段は、互いに波長スペクトルが異なる第1照射光および第2照射光を照射可能であり、前記第2変換手段は、前記第1変換手段が算出した、前記第1照射光に対する第1実効キャリアライフタイ
ムおよび前記第2照射光に対する第2実効キャリアライフタイムから前記バルクキャリアライフタイムを算出することを特徴とする。
(a)は、キセノンフラッシュランプの波長スペクトルであり、(b)は、(a)から生成された短波照射光の波長スペクトルであり、(c)は、(a)から生成された長波照射光の波長スペクトルである。 短波照射光および長波照射光を照射した場合の、基板表面からの距離zに対する励起キャリア密度Δnの計算結果を示すグラフである。 照射強度と光導電率との関係を示したグラフであり、(a)は、短波照射光、(b)は、長波照射光に対応するものである。
過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムは、一般に半導体を構成する結晶固有の特性と欠陥や不純物濃度によって決まるバルクキャリアライフタイムと、半導体表面に存在する表面準位や欠陥濃度により決まる表面再結合速度に依存する。過剰少数キャリアを利用する太陽電池の製造においては、バルクキャリアライフタイムを大きくするとともに表面再結合速度を小さくして過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムを増大させることが行われる。
このため、バルクキャリアライフタイムおよび表面再結合速度を実験的に決定できる測定方法や装置が有用である。特に、太陽電池製造において多く使われている多結晶シリコン基板のバルクキャリアライフタイムと表面再結合速度を、表面パッシベイション処理なしで測定できる装置や測定方法が求められている。
半導体に発生した過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムを測定する代表的な方法として、μ−PCD法(μ波検出光導電減衰法、例えば非特許文献1を参照)およびQSSPC法(擬定常光導電法、例えば非特許文献2を参照)が知られており、市販装置が普及している。μ−PCD法では、マイクロ波を半導体に照射した状態で、光パルスを照射する。その結果、光パルスによって励起されたキャリアは半導体の光導電率を増加させ、これによってマイクロ波の反射強度が変化する。光パルスの照射後の光導電率の減衰を、反射強度の時間変化として導波管などで測定することにより、過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムを測定する。
QSSPC法では、導電率センサとしてインダクタンスコイルを半導体基体に対面して配置し、RF周波数の電気信号を印加する。そして、半導体基体に実効キャリアライフタイムに比べて十分に長い、矩形波ではない光を照射する。この照射光によって励起されたキャリアは半導体の光導電率を増加させる。照射光と光導電率の時間変化を、それぞれ光センサと導電率センサにより同時に測定し、照射光と光導電率の関係を求める。さらに、照射光と光導電率の関係から、過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムを測定する。QSSPC法はμ−PCD法に比べて、実効キャリアライフタイムの過剰少数キャリア密度に対する依存性を測定できる利点がある。
しかし、上記のμ−PCD法やQSSPC法によって、半導体の過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムを測定することは可能であるが、バルクキャリアライフタイムおよび表面再結合速度を測定することはできない。
バルクキャリアライフタイムおよび表面再結合速度を測定するための装置および方法が特許文献1に開示されている。特許文献1の測定方法は、半導体基体に対して、光誘起キャリア、すなわち過剰キャリアを発生させるための波長の異なる少なくとも2種類の時間
変化しない連続光を照射するとともに、半導体基体にマイクロ波を照射し、半導体基体を透過したマイクロ波の強度を検出し、マイクロ波強度に基づいて、少なくとも2種類の連続光の波長毎の実効キャリアライフタイムを算出し、波長毎の実効キャリアライフタイムに基づき半導体基体のバルクキャリアライフタイムと表面再結合速度とを算出している。
ところで、多結晶シリコン基板や一部の単結晶シリコン基板においては、照射光によって励起された過剰少数キャリアの一部が、浅いエネルギー準位にあるトラップ準位によりトラップされ、ホールとの再結合に至らないため、シリコン基板の導電率が増加するトラッピング効果が現れ、過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムが見掛け上非常に大きく測定されることあり、これに対して、トラッピング効果の補正をすることができる。
しかし、特許文献1の測定方法は、半導体基体に対して時間的に変化しない連続光を照射するため、トラッピング効果の現れる半導体の実効キャリアライフタイムを、トラッピング効果を補正して測定することが困難である。トラッピング効果は多結晶シリコン基板において通常現れ、特に表面パッシベイション処理されていない多結晶シリコン基板において顕著な効果を持つ。従って、特許文献1の測定方法は、多結晶シリコン基板の実効キャリアライフタイム、特に表面パッシベイション処理されていない多結晶シリコン基板の実効キャリアライフタイムを測定することが困難である。
非特許文献3や特許文献2においてトラッピング効果を補正して、実効キャリアライフタイムを測定する方法が開示されている。非特許文献3や特許文献2の方法は、半導体に照射する光の強度を変化させて導電率の増分、すなわち光導電率を測定することを前提としている。特許文献1の測定方法は、連続光を照射するため、通常トラッピング効果が現れる多結晶シリコン基板の実効キャリアライフタイムを測定することが困難であり、従ってバルクキャリアライフタイムおよび表面再結合速度を測定することが困難である。
また、バルクキャリアライフタイムおよび表面再結合速度を実験的に評価するための別の装置、方法が非特許文献4、5に開示されている。非特許文献4で開示された測定方法では、通常のQSSPC測定において、照射強度が時間とともに減衰する照射光として使われるキセノンフラッシュランプに、2種類の帯域の異なるバンドパスフィルタを装着し、350〜500nmの短波長照射と1000〜1100nmの長波長照射を行い、短波長照射と長波長照射に応じた過剰少数キャリアの実効キャリアライフタイムを測定し、これらの実効キャリアライフタイムに適合するバルクキャリアライフタイムおよび表面再結合速度を求める。しかし、バンドパスフィルタを用いているため、トラッピング効果を補正するための光照射強度を得難い課題がある。
非特許文献5では、QSSPC測定の照射光として、周期的に強度変化する、波長の異なる9種類の単一波長LED光を用いて、9種類の実効キャリアライフタイムを測定し、これらに適合するバルクキャリアライフタイムおよび表面再結合速度を求めている。しかし、単一波長照射のため、非特許文献3と同様にトラッピング効果を補正するための光照射強度を得難いという課題がある。
以下、本開示の実施形態であるバルクキャリアライフタイムと表面再結合速度との測定方法、およびバルクキャリアライフタイムと表面再結合速度との測定装置を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
本開示のバルクキャリアライフタイムτと表面再結合速度Sとの測定方法において、シリコン基板などの半導体に過剰キャリアを発生させるために用いられる2種類の照射光のスペクトルの例を図1(b)、(c)に示す。照射強度はフォトンフラックス(単位面積当たりの光子数)の相対値である。図1(b)に示した波長スペクトルを有する、第1
照射光である短波照射光は、図1(a)に示した波長スペクトルを有するキセノンフラッシュランプに900nm以上をカットするショートパスフィルターを付加して作製することができる。図1(c)に示した波長スペクトルを有する、第2照射光である長波照射光は、図1(a)に示した波長スペクトルを有するキセノンフラッシュランプに800nm以下をカットするロングパスフィルターを付加して作製することができる。
パッシベイション処理されていないシリコン基板(τ=100μsec,S=30000cm/sec)に、図1(b)に示された波長スペクトルを有する短波照射光および図1(c)に示されたスペクトルを有する長波照射光を1sun(=0.1W/cm)だけ照射したときの励起キャリア密度Δnのz分布(zは基板表面からの距離)の計算結果を図2に示す。図2から分かるように、短波照射光によるΔnは表面側に偏っており、長波照射によるΔnは表裏面で小さく、その中間で大きい分布を示している。短波照射光による励起キャリアは、表面で多いことから、測定される実効キャリアライフタイムτshortは、Sが及ぼす効果を相対的に大きく受けた結果になる。長波照射により測定された実効キャリアライフタイムτlongは、Sが及ぼす効果を相対的に小さく受け、τが及ぼす効果を相対的に大きく受けた結果になる。これを利用すれば、τlongとτshortの測定値を解析してτおよびSを求めることができる。
原理的には、短波照射光の波長スペクトルの帯域と、長波照射光の波長スペクトルの帯域をより大きく分離すれば、τlongはτの効果をより大きく受け、τshortはSの効果をより大きく受けるので、τおよびSをより高精度に決定できる。しかし、二つの波長スペクトルの帯域をより大きく分離するために、それぞれの波長スペクトルの帯域を狭くしすぎると、照射強度の不足により、トラッピング効果を十分に補正するために必要な光導電率を確保し難くなり、実効キャリアライフタイムの測定精度が低くなるおそれがある。短波照射光および長波照射光の、互いに重なっていない波長スペクトルの帯域を、それぞれ300nm以上にすれば、τおよびSをより高精度に測定できる。
なお、波長スペクトルの帯域とは、フォトンフラックス(単位面積当たりの光子数)の値がピーク値の2%以上となっている範囲である。また、ここでは、短波照射光および長波照射光の波長スペクトルの帯域は重なっていてもよいが、重なっていない部分が300nm以上あればよい。
さらに、短波照射光の波長スペクトル帯域の上限が900nm以下であり、長波照射光の波長スペクトル帯域の下限が800nm以上であって、800から1200nmまでの間に300nm以上の波長スペクトル帯域を持っていれば、帯域の分離が十分大きくなり、照度も高くできるので、τおよびSをより高精度に測定できる。
また、短波照射光と長波照射光とで、光子が半導体に侵入する深さに差が大きければ、τおよびSをより高精度に測定できる。半導体に侵入した光子の数が、半導体表面に対して1/eに減じる距離を侵入深さとしたとき、長波照射光の侵入深さ、短波照射光の侵入深さの50倍以上であればよい。侵入深さは、用いた照射光のスペクトルおよび半導体の物性からシミュレーションより求めることができる。なお、図1(c)で示した長波照射光の侵入深さは、図1(b)で示した短波照射光の侵入深さの約91倍である。
図3(a)は、図1(b)の短波照射光をP型多結晶シリコン基板(厚さ=170μm、体積抵抗率ρ=1.5Ωcm)に照射したときの、照射強度Iph(sun)を変化させて光導電率σph(S/cm)を測定した結果である。図3(b)は、図1(c)の長波照射光を同じシリコン基板に照射したときの、照射強度Iph(sun)と光導電率σph(S/cm)の関係の測定結果である。
図3(a)、(b)とも10sun以下の低照射強度領域において、照射強度に対して光導電率が急激に立ち上がっていることが分かる。これはトラッピングの効果と考えられる。多結晶シリコン基板や一部の単結晶シリコン基板においては照射光によって励起された過剰少数キャリアの一部が、伝導帯から浅いエネルギー準位にあるトラップ準位によりトラップされ、ホールとの再結合に至らないため、シリコン基板の導電率が増加するトラッピング効果が現れる。
τおよびSを算出する前に、上述の導電率の測定結果から、低照射強度において生じるトラッッピングの影響を小さくした実効キャリアライフタイムを算出する。すなわち、第1照射光である短波照射光に対する第1導電率増分の測定結果から、第1実効キャリアライフタイムを算出し、第2照射光である長波照射光に対する第2電率増分の測定結果から、第2実効キャリアライフタイムを算出する。具体的には、以下のようにして、トラッピング効果を補正して実効キャリアライフタイムを求める。
図3(a)、(b)のような照射光強度Iphと光導電率σphの関係の測定結果に対して、Iphとσphがほぼ線形関係になっている領域(図3(a)、(b)では20sun以上)のデータに対する回帰直線をIph=0まで外挿することにより、トラッピング効果による光導電率σtrapを求める。トラッピングによる光導電率σtrapを補正した光導電率であるσph−σtrapは、照射光により励起されたキャリア対による導電率の増分を表している。
次に、σph−σtrap(S/cm)から、数式(1)を用いて過剰少数キャリア密度Δn(cm−3)を求める。
Figure 0006826007
ただし、数式(1)において、qはキャリアの電荷1.602×10−19 クーロン
である。μは電子の移動度、μはホールの移動度であり、μ+μの近似値は1700(cm/Vsec)である。厳密には、μ+μは半導体のドーピング濃度や過剰少数キャリア密度Δnに依存して若干変化する。このため、Δnを精度良く求めるためには、Δnとドーピング濃度依存性を考慮したμ+μと数式(1)を用いて、繰り返し計算によってΔnの収束値を求めてもよい。
また、照射光強度Iph(sun)から、数式(2)を用いてキャリア対生成率G(cm−3sec−1)を求める。
Figure 0006826007
ただし、数式(2)において、Iph(sun)はsun単位の照射光強度(光センサの出力)、0.038(Acm−2sun−1)は理想的な光センサが標準太陽光1sunを受光したときの短絡電流密度jscの定義値、W(cm)は半導体の厚みである。また、opt(optical constant)は標準太陽光によりキャリブレーショ
ンされた実際の光センサの出力値Iph(sun)からGを計算するときの補正係数である。このoptは半導体の反射率、透過率、照射スペクトル、光センサの外部量子効率を考慮して決定される。
このようにして求めた過剰少数キャリア密度Δnはσph、従ってIphの関数である。キャリア対生成率GもIphの関数である。従ってΔnとGはIphを介して関係している。一対のΔnとGを数式(3)に代入することによって、過剰少数キャリアの実効ラキャリアイフタイムτeffを求める。
Figure 0006826007
このようにして求めた長波長照射光に対する実行キャリアライフタイムτlongおよび短波長照射光に対する実効キャリアライフタイムτshortからバルクキャリアライフタイムτおよび表面再結合速度Sをシミュレーションによって求めることができる。τlongとτshortを求める際に、同じΔnにして行うことで、一般的にΔnに対して依存性のある実効キャリアライフタイムを適切に評価できる。
まず、τおよびSの解析に必要な数式を以下に説明する。過剰少数キャリア密度Δn(t,z)の一次元拡散方程式は、数式(4)の通りである。
Figure 0006826007
ただし、D(cm/sec)は少数キャリアの拡散係数、τ(sec)はバルクキャリアライフタイム、G(1/seccm)は少数キャリアの単位体積当たりの発生率である。Δn(z)の時間変化(左辺)は、拡散により上下から流れこむΔn(右辺第1項)により増え、有限のライフタイムτに従って消滅するΔn(右辺第2項)によって減少し、光照射の効果G(右辺第3項)により増加する。
本開示に用いるQSSPC測定では準定常状態の条件で実効キャリアライフタイムを測定するので、Δn(t,z)の時間変化をゼロとした拡散方程式(5)が成立する。
Figure 0006826007
キャリア発生率G(z)は照射photon fluxにより数式(6)から、求められる。
Figure 0006826007
ただし、J(1/cm)は表面で吸収されたphoton fluxであり、α(1/cm)は光吸収係数(侵入長の逆数)である。
励起キャリア密度Δnの表裏における境界条件は、数式(7)、(8)で表現される。
Figure 0006826007
Figure 0006826007
ただしS(cm/sec)は表面再結合速度、W(cm)は基板の厚さである。数式(7)の右辺は単位時間、単位面積当たりに表面において再結合するキャリア数を表す。数式(7)の左辺は、このキャリアが内部から拡散により供給されることを表現している。
実効キャリアライフタイムτeffは励起キャリア密度とキャリア発生率の厚さ方向(z)の積分の比として定義される。すなわち、数式(9)の関係がある。
Figure 0006826007
解析の順路を考えると、数式(5)にτおよびSを与え、また数式(6)を通じてGを与え、数式(7)と数式(8)の境界条件の下にΔn(z)を解き、数式(9)よりτeffを求める方向が準方向である。一方、本開示では二個のτeff(τlongおよびτshort)を測定により求め、τおよびSを解析により求めるので、逆問題を解くことになる。これは、上述の関係を用いて、測定する半導体に短波照射光を照射した場合における、τおよびSと、それらから計算されるτeff、および測定する半導体に長波照射光を照射した場合におけるτおよびSと、それらから計算されるτeffからなるデータベースを作製し、τlongおよびτshortを満足するτおよびSを導き出せばよい。
以上のようなバルクキャリアライフタイムの測定方法によりバルクキャリアライフタイムを測定する測定装置は、以下のように構成すればよい。バルクキャリアライフタイムの測定装置は、半導体に対して強度を変化させて照射する光照射手段と、前記半導体の導電率増分を検出する検出手段と前記導電率増分に基づいて、実効キャリアライフタイムを算出する第1変換手段と、バルクキャリアライフタイムを算出する第2変換手段とを有し、
前記光照射手段は、互いに波長スペクトルが異なる第1照射光および第2照射光を照射可能であり、前記第2変換手段は、前記第1変換手段が算出した、前記第1照射光に対する第1実効キャリアライフタイムおよび前記第2照射光に対する第2実効キャリアライフタイムから前記バルクキャリアライフタイムを算出する。
前記第1変換手段は、低照射強度において生じるトラッッピングの影響を小さくするように実効キャリアライフタイムを算出する。
前記光照射手段は、互いに重なっていない波長スペクトル帯域が300nm以上である前記第1および第2照射光を照射可能である。
前記光照射手段は、波長スペクトル帯域の上限が900nm以下である前記第1照射光と、波長スペクトル帯域の下限が800nm以上であって、800から1200nmまでの間に300nm以上の波長スペクトル帯域を有する第2照射光とを照射可能である。
前記半導体の表面に当たって侵入する光子の数が前記表面における光子の数の1/eになる距離を侵入深さとするとき、前記光照射手段は、前記第1照射光の前記侵入深さの50倍以上の前記侵入深さを有する前記第2照射光を照射可能である。
前記第2変換手段は、所定の数値範囲にわたる複数の数値のバルクキャリアライフタイムと、所定の数値範囲にわたる複数の数値の表面再結合速度と、各数値のバルクキャリアライフタイムおよび各数値の表面再結合速度に対応し、前記第1照射光を当てた場合の実効キャリアライフタイムおよび前記第2照射光を当てた場合の実効キャリアライフタイムを含んでいるデータベースを有しており、該データベースを用いて前記バルクキャリアライフタイムを算出する。
半導体である表1示したP型多結晶シリコン基板d(厚さ170μm、体積抵抗率1.5Ωcm)に対して、図1(b)で示した波長スペクトルの短波照射光を、照射高度を時間変化させて照射して、半導体の導電率増分を測定し、図3(a)の結果を得た。測定には、QSSPC測定の市販装置(WT120, Sinton Instruments)を用いた。図3(a)か
ら短波照射光に対する実効キャリアライフタイムτshortを求めた。
同様にして、図1(c)で示した波長スペクトルの長波照射光も用いて、図3(b)の結果を得て、長波照射光に対する実効キャリアライフタイムτlongを求めた。
バルクキャリアライフタイムτおよび表面再結合速度Sの計算では、半導体デバイスシミュレータ(PC1D)により予め計算したτlongvs{τ(1〜10μse
c),S(10〜10cm/s)}とτshortvs{τ(1〜10μsec),S(10〜10cm/s)}のデータベースを利用して算出した。
表1の他のP型多結晶シリコン基板についても、図1(b)で示した波長スペクトルの短波照射光と、図1(c)で示した波長スペクトルの長波照射光を用いて、実効キャリアライフタイムτshortおよびτlongを測定し、バルクキャリアライフタイムτおよび表面再結合速度Sを算出した。算出されたτおよびSの値は妥当な範囲であった。
Figure 0006826007

Claims (11)

  1. 半導体に対して、第1照射光を、照射強度を変化させて照射して、前記半導体に発生した光誘起キャリアによる前記半導体に生じる第1導電率増分を検出する第1ステップと、
    前記第1導電率増分に基づいて、第1実効キャリアライフタイムを算出する第2ステップと、
    前記半導体に対して、前記第1照射光と波長スペクトルが異なる第2照射光を、照射強度を変化させて照射して、前記半導体に発生した光誘起キャリアによる前記半導体に生じる第2導電率増分を検出する第3ステップと、
    前記第2導電率増分に基づいて、第2実効キャリアライフタイムを算出する第4ステップと、
    前記第1および第2実効キャリアライフタイムに基づいて前記半導体のバルクキャリアライフタイムと表面再結合速度とを算出する第5ステップと、
    を有することを特徴とする光誘起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法。
  2. 前記第1および第2実効キャリアライフタイムが、低照射強度において生じるトラッッピングの影響を小さくするよう算出したものであることを特徴とする請求項1に記載の光誘起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法。
  3. 前記第1および第2照射光は、互いに重なっていない波長スペクトル帯域が300nm以上あることを特徴とする請求項1または2に記載の光誘起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法。
  4. 前記第1照射光は、波長スペクトル帯域の上限が900nm以下であり、前記第2照射光は、波長スペクトル帯域の下限が800nm以上であって、800から1200nmまでの間に300nm以上の波長スペクトル帯域を有することを特徴とする請求項3に記載の光誘起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法。
  5. 前記半導体の表面に当たって侵入する光子の数が前記表面における光子の数の1/eになる距離を侵入深さとするとき、前記第2照射光の前記侵入深さが、前記第1照射光の前記侵入深さの50倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光誘起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定方法。
  6. 半導体に対して強度を変化させて照射する光照射手段と、
    前記半導体の導電率増分を検出する検出手段と
    前記導電率増分に基づいて、実効キャリアライフタイムを算出する第1変換手段と、
    バルクキャリアライフタイムを算出する第2変換手段とを有し、
    前記光照射手段は、互いに波長スペクトルが異なる第1照射光および第2照射光を照射可能であり、
    前記第2変換手段は、前記第1変換手段が算出した、前記第1照射光に対する第1実効キャリアライフタイムおよび前記第2照射光に対する第2実効キャリアライフタイムから前記バルクキャリアライフタイムを算出することを特徴とする光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定装置。
  7. 前記第1変換手段は、低照射強度において生じるトラッッピングの影響を小さくするように実効キャリアライフタイムを算出することを特徴とする請求項6に記載の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定装置。
  8. 前記光照射手段は、互いに重なっていない波長スペクトル帯域が300nm以上である前記第1および第2照射光を照射可能であることを特徴とする請求項6または7に記載の
    光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定装置。
  9. 前記光照射手段は、波長スペクトル帯域の上限が900nm以下である前記第1照射光と、波長スペクトル帯域の下限が800nm以上であって、800から1200nmまでの間に300nm以上の波長スペクトル帯域を有する第2照射光とを照射可能であることを特徴とする請求項8に記載の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定装置。
  10. 前記半導体の表面に当たって侵入する光子の数が前記表面における光子の数の1/eになる距離を侵入深さとするとき、前記光照射手段は、前記第1照射光の前記侵入深さの50倍以上の前記侵入深さを有する前記第2照射光を照射可能であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定装置。
  11. 前記第2変換手段は、所定の数値範囲にわたる複数の数値のバルクキャリアライフタイムと、所定の数値範囲にわたる複数の数値の表面再結合速度と、各数値のバルクキャリアライフタイムおよび各数値の表面再結合速度に対応し、前記第1照射光を当てた場合の実効キャリアライフタイムおよび前記第2照射光を当てた場合の実効キャリアライフタイムを含んでいるデータベースを有しており、該データベースを用いて前記バルクキャリアライフタイムを算出することを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の光励起キャリアのバルクキャリアライフタイムの測定装置。
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