以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
従来の血管計測では、血管径が細いため、MPR画像及びCPR(Curved Multi Planer Reconstruction)画像を用いて観察することが多く、内視鏡画像を用いた観察は行われていなかった。また、従来の大腸検査では、仮想内視鏡画像(VE画像)を用いることがあるが、大腸の屈曲が大きいため、大腸表面の形状を把握することが主に行われていた。また、VE画像に対応して、VE画像の視線方向を法線とする、短軸MPR画像が用いられてきた。また、大腸内腔のポリープを確認するために大腸の走行に沿った円筒投影画像が用いられてきた。そのため、大腸検査では、任意のMPR画像やCPR画像を用いた観察は行われていなかった。
断面画像を用いて被検体を観察する場合、断面がどの方向を向いているかをユーザが把握することは困難であることが多い。仮に、VE画像と長軸MPR画像を用いて被検体を観察する場合に、VE画像と画像との位置関係を把握することは困難であると予想される。
以下、同じ観察対象を仮想内視鏡画像と断面画像とで観察する場合に、仮想内視鏡画像と断面画像との位置関係を容易に把握できる医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムについて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における医用画像処理装置100の構成例を示すブロック図である。医用画像処理装置100は、ポート110、ユーザインタフェース(UI:User Interface)120、ディスプレイ130、プロセッサ140、及びメモリ150を備える。
医用画像処理装置100には、CT装置200が接続される。医用画像処理装置100は、CT装置200からボリュームデータを取得し、取得されたボリュームデータに対して処理を行う。医用画像処理装置100は、PC(Personal Computer)とPCに搭載されたソフトウェアにより構成されてもよい。
CT装置200は、生体へX線を照射し、体内の組織によるX線の吸収の違いを利用して、画像(CT画像)を撮像する。生体としては人体等が挙げられる。生体は、被検体の一例である。
CT画像は、時系列に複数撮像されてもよい。CT装置200は、生体内部の任意の箇所の情報を含むボリュームデータを生成する。生体内部の任意の箇所は、各種臓器(例えば心臓、腎臓、大腸、小腸、肺)を含んでもよい。CT画像が撮像されることにより、CT画像における各画素(ボクセル)の画素値(CT値)が得られる。CT装置200は、CT画像としてのボリュームデータを医用画像処理装置100へ、有線回線又は無線回線を介して送信する。
具体的に、CT装置200は、ガントリ(図示せず)及びコンソール(図示せず)を備える。ガントリは、X線発生器やX線検出器を含み、コンソールにより指示された所定のタイミングで撮像することで、人体を透過したX線を検出し、X線検出データを得る。コンソールは、医用画像処理装置100に接続される。コンソールは、ガントリからX線検出データを複数取得し、X線検出データに基づいてボリュームデータを生成する。コンソールは、生成されたボリュームデータを、医用画像処理装置100へ送信する。
CT装置200は、連続的に撮像することで3次元のボリュームデータを複数取得し、動画を生成することも可能である。複数の3次元画像による動画のデータは、4D(4次元)データとも称される。
医用画像処理装置100内のポート110は、通信ポートや外部装置接続ポートを含み、CT画像から得られたボリュームデータを取得する。取得されたボリュームデータは、直ぐにプロセッサ140に送られて各種処理されてもよいし、メモリ150において保管された後、必要時にプロセッサ140へ送られて各種処理されてもよい。
UI120は、タッチパネル、ポインティングデバイス、キーボード、又はマイクロホンを含んでもよい。UI120は、医用画像処理装置100のユーザから、任意の入力操作を受け付ける。ユーザは、医師、放射線技師、又はその他医療従事者(Paramedic Staff)を含んでもよい。
UI120は、ボリュームデータにおける関心領域(ROI:Region of Interest)の指定や輝度条件の設定等の操作を受け付ける。関心領域は、組織(例えば、血管、気管支、臓器、骨)の領域を含んでもよい。また、UI120は、仮想内視鏡画像(VE画像)の視点、視線方向、画角、視点からのオフセットの設定の操作を受け付けてもよい。組織は、病変組織、正常組織、臓器、器官、など生体の組織を広く含む。
ディスプレイ130は、LCD(Liquid Crystal Display)を含んでもよく、各種情報を表示する。各種情報は、ボリュームデータから得られる3次元画像を含む。3次元画像は、ボリュームレンダリング画像、サーフェスレンダリング画像、仮想内視鏡画像(VE画像)、MPR画像、CPR画像、等を含んでもよい。
メモリ150は、各種ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)の一次記憶装置を含む。メモリ150は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)の二次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、USBメモリやSDカードの三次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、各種情報やプログラムを記憶する。各種情報は、ポート110により取得されたボリュームデータ、プロセッサ140により生成された画像、プロセッサ140により設定された設定情報、を含んでもよい。
プロセッサ140は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。
プロセッサ140は、メモリ150に記憶された医用画像処理プログラムを実行することにより、各種処理や制御を行う。また、プロセッサ140は、医用画像処理装置100の各部を統括する。
プロセッサ140は、ボリュームデータにおいて、セグメンテーション処理を行ってよい。この場合、UI120がユーザからの指示を受け付け、指示の情報がプロセッサ140に送られる。プロセッサ140は、指示の情報に基づいて、公知の方法により、ボリュームデータから、セグメンテーション処理を行い、関心領域を抽出(segment)してもよい。また、ユーザからの詳細な指示により、手動で関心領域を設定(set)しても良い。また、観察対象が予め定められている場合、プロセッサ140は、ユーザ指示なしでボリュームデータから、セグメンテーション処理を行い、観察対象を含む関心領域を抽出してもよい。
プロセッサ140は、ポート110により取得されたボリュームデータに基づいて、3次元画像を生成する。プロセッサ140は、ポート110により取得されたボリュームデータから、指定された領域に基づいて、3次元画像を生成してもよい。3次元画像は、ボリュームレンダリング画像である場合、レイサム(RaySum)画像、MIP(Maximum Intensity Projection)画像、又はレイキャスト(Raycast)画像を含んでもよい。
次に、VE画像及びMPR画像について詳細に説明する。
プロセッサ140は、例えば、観察対象の被検体を含む3次元空間における視点(視点位置)、視線方向、及び画角に基づいて、VE画像を生成する。視線方向は、VE画像における奥行方向である。VE画像では、視線方向における前方向又は後方向に、視点を順次移動可能である。また、VE画像では、被検体のパス等の基準線に沿って視点を順次移動可能とすることもできる。よって、例えば、UI120を介して視点が移動すると、プロセッサ140は、視点、視線方向、及び画角に基づいて、VE画像を再生成する。
プロセッサ140は、透視投影方式に従って、VE画像を生成してもよい。プロセッサ140は、等距離射影方式に従って、VE画像を生成してもよい。
また、プロセッサ140は、VE画像における視線方向に平行な面を断面として、MPR画像を生成する。プロセッサ140は、VE画像の視点を含む面を断面として、MPR画像を生成してもよい。プロセッサ140は、VE画像の視点を含まない、つまり視点からオフセットされた位置(以下、オフセット視点ともいう)を含む面を断面として、MPR画像を生成してもよい。
本実施形態では、VE画像における視線方向に平行な面を「長軸面」とも称し、VE画像における視線方向に垂直な面を「短軸面」とも称する。VE画像の長軸面(長軸MPR面)を断面とするMPR画像を、「長軸MPR画像」とも称する。尚、長軸MPR面は、視線方向に平行な平面であるので、被検体のパスが湾曲している場合にはパスと一致しない箇所もある。また、長軸MPR面は、視線方向に平行な平面であるので、長軸MPR面は視線を回転軸として、自由に回転させることが出来る。
VE画像の視点とオフセット視点との距離は、VE画像の視点と長軸MPR面の距離と等しくなり、この距離を「オフセット距離」(オフセットの長さ)とも称する。オフセット距離は、UI120を介してオフセット視点の位置を指示されることで、プロセッサ140により算出されてもよいし、UI120を介してオフセット距離の具体的な値が入力されてもよい。
医用画像処理装置100がオフセット視点を用いて長軸MPR画像を生成することで、ユーザは、例えば、オフセットしないと視認し難いVE画像中の病変等を容易に断面画像で確認できる。
図2は、いわゆる気管支ナビゲーションアプリケーションにおいて、ディスプレイ130に表示された被検体としての気管支10の画面例を示す模式図である。図2では、気管支10のVE画像G10と、気管支10の長軸MPR画像G20と、気管支10の外観画像(俯瞰画像)G30と、がディスプレイ130に表示されている。尚、図2の各画像は、別々に表示されてもよいし、一部の画像が表示されなくてもよい。図2では、気管支10は、比較的太い管を含む基部11と、比較的細い管を含む端部12と、を有する。
長軸MPR画像G20は、MPR画像であるので、組織の距離、位置、及び角度が正確に表現される。そのため、長軸MPR画像G20は、病変の位置や大きさの把握や、病変や気管支の分岐までの距離方向を確認するのに向いている。
VE画像G10には、気管支10の内腔13が示されている。気管支10の内腔には、更に分岐する気管支10の内腔14,15が含まれている。VE画像G10は、気管支内視鏡のシミュレーションとして機能する。
ディスプレイ130は、プロセッサ140の制御により、VE画像G10上に、VE画像G10における長軸MPR面LF1の位置を示す参照線RL1を表示する。
医用画像処理装置100は、長軸MPR画像G20によって視線上の気管支10の走行と分岐を表現することによって、特に複雑に分岐する端部12に近い気管支10の状態を把握し易くなる。また、VE画像G10上に参照線RL1が表示されることで、ユーザは、VE画像G10と長軸MPR画像G20との位置関係を容易に把握できる。特に、従来は、任意の平面はVE画像内では台形などで表現されることが多いが、参照線で表示されることによって、ユーザは、空間把握を容易にできる。
次に、オフセットに係る各部の位置関係について説明する。
オフセットに係る各部は、VE画像の視点、視線方向、長軸MPR面LF1、参照線、等を含む。ユーザは、UI120を介して、VE画像の視点、視線方向、の情報を入力してもよい。また、オフセット距離が、UI120を介してユーザにより指定されてもよい。この場合、プロセッサ140が、このオフセット距離に基づいて、オフセットされた長軸MPR面LF1を設定してもよい。また、長軸MPR面LF1の位置が、UI120を介してユーザにより指定されてもよい。この場合、プロセッサ140が、この長軸MPR面LF1の位置に基づいて、オフセット距離を導出してもよい。
図3(A),(B)に示す第1の位置関係では、基準となる短軸面(基準短軸面ともいう)が仮定され、オフセットに係る各部の位置が示されている。基準短軸面によってオフセット距離の理解が助けられる。図4(A),(B)に示す第2の位置関係では、VE画像の画角に対して係数を乗算した結果がオフセット距離となっており、オフセットに係る各部の位置が示されている。基準短軸面は、オフセット視点の位置から視線方向に沿って任意の位置にスライドさせた位置に配置される。基準短軸面つまりVE画像の投影面の位置は、UI120を介して指定されてもよい。
図3(A)は、オフセットに係る各部の第1の位置関係を説明するための模式図である。図3(B)は、第1の位置関係で長軸MPR画像が生成される場合のVE画像G10の画面例を示す模式図である。
視点P1を基点として、画角θ1の広がりの範囲(VE画像範囲ともいう)がVE画像G10に含まれる。よって、基準短軸面SF1における、VE画像G10の視点P1を含み視線方向D1との交点C1と、VE画像範囲の周端を示す周端線L1との交点C2と、の距離d1の2倍が、基準短軸面SF1におけるVE画像G10の大きさとなる。視線方向D1は、長軸MPR面LF1に平行な方向となる。視線方向D1は、基準短軸面SF1に垂直な方向となる。また、視点P1を含み視線方向D1と基準短軸面SF1との交点C1と、オフセット視点OP1と同一平面上にある長軸MPR面LF1と基準短軸面SF1との交点C3と、の距離が、オフセット距離OD1となる。長軸MPR面LF1と視線方向D1は平行であるので、オフセット距離OD1は、長軸MPR面LF1と視点P1との距離と言っても良い。
図3(B)では、VE画像G10に、気管支10の内部が表現されている。ここでは、気管支10の内腔13があり、2つに分岐する気管支10の内腔14,15が表現されている。また、VE画像G10に参照線RL1が合わせて表示される。参照線RL1は、図3(A)に示した長軸MPR面LF1を示す。
図3(B)では、オフセット距離OD1とVE画像G10の上下方向の半分の距離d1とは、それぞれ図3(A)でのオフセット距離OD1と距離d1とに一致する。つまり、プロセッサ140は、基準短軸面SF1の上下方向の長さ(d1×2)と、オフセット距離OD1と、の比を固定して(変更しないで)、VE画像G10における参照線RL1の位置を規定し、参照線RL1をディスプレイ130に表示させる。すなわち、基準短軸面SF1を仮定することによって、オフセット距離OD1をVE画像G10において可視化している。なお、基準短軸面SF1そのものは、ユーザに明示(つまり表示)する必要は無い。
尚、視点P1から長軸MPR面LF1がオフセットされない場合、図3(A)の交点C1と交点C3とは同じ点となるので、オフセット距離OD1は値0となり、参照線RL1は、VE画像の視点P1を通る直線となる。
図4(A)は、オフセットに係る各部の第2の位置関係を説明するための模式図である。図4(B)は、第2の位置関係で長軸MPR画像が生成される場合のVE画像G10の画面例を示す模式図である。
第2の位置関係では、基準球面SSが仮定される。基準球面SSは、例えば視点P1を中心とする球の球面である。
VE画像G10の視線方向D1と、視点P1を基点として、長軸MPR面LF1と同一平面上にあり基準球面SSと交わる交点C4を通る方向D1Aと、の成す角度が、オフセット角度θoとなる。オフセット角度θoに所定の係数を乗算した結果が、オフセット距離OD1となる。基準となる球の半径を「r」、オフセット角度をθoとすると、オフセット距離OD1=r×sinθoが満たされるようにしてもよい。
図4(B)では、オフセット距離OD1とVE画像の上下方向の半分の距離d1とは、それぞれ図4(A)でのオフセット距離OD1と距離d1とに一致する。つまり、プロセッサ140は、基準短軸面SF1の上下方向の長さ(d1×2)と、オフセット距離OD1と、の比を固定して(変更しないで)、VE画像G10における参照線RL1の位置を規定し、参照線RL1をディスプレイ130に表示させる。
尚、視点P1から長軸MPR面LF1がオフセットされない場合、図4(A)の視線方向D1と上記の方向D1Aとは同じ方向となるので、オフセット角度θoが0°となり、参照線RL1は、VE画像G10の視点P1を通る直線となる。オフセット角度θoは、画角θよりも基本的には小さくなる。
尚、基準球面SSの中心を視点P1とすることを例示したが、基準球面SSの中心はこれ以外であってもよい。例えば、基準球面SSの中心は、視点P1を含み、視点P1よりも視線方向D1と反対方向(例えば図4(A)左側の無限遠)に配置されてもよい。この場合、基準球面SSは、第1の位置決定方法に係る基準短軸面SF1とほぼ等しくなる(近似する)。
尚、図3(A),図4(A)では、上下方向が、ディスプレイ130上の鉛直方向であってもよいし、鉛直方向と垂直な水平方向であってもよいし、鉛直方向及び水平方向以外の任意の方向であってもよい。
図5(A),(B)は、長軸MPR画像を視線に対して平行にオフセットさせる利点を説明するための模式図である。
VE画像G10Xにおいて直線としての参照線RLXで表現されたMPR面LFXを自然に空間上に配置することを想定する。この場合、MPR面LFXが視点PXを含むので、MPR面LFXの面方向が視線方向DXと一致しない場合には、視線方向DXに対して角度θxを持つこととなる。VE画像G10Xを様々な角度から観察しようとすると、視点PXの位置を維持した状態で、MPR面LFXの面方向を仰角方向(図5(A)では上下方向)等に回転させることになる。この結果、VE画像G10X内でMPR面LFXがどの面を示すかを空間認識することが困難となる。
また、ユーザが角度θxを操作すると、MPR面LFXは、視線方向DXに対して仰角を持ってスイープする。そのため、スイープされつつ表示される構造物の立体形状にパースが付き、通常のMPR画像に対する操作に基づく画像と異なる表現がなされ、ユーザが混乱しやすい。よって、長軸MPR画像G20における観察部位の位置とVE画像G10Xにおける観察部位の位置との関係性の把握が困難となる。
これに対し、医用画像処理装置100は、視点P1をオフセットし、長軸MPR面LF1を平行移動させてVE画像G10で観察する場合、参照線RL1で示された位置を、視線方向D1と平行な長軸MPR面LF1の長軸MPR画像G20により観察できる。よって、ユーザは、長軸MPR面LF1の仰角方向の回転を抑制してVE画像における任意の位置での断面を観察でき、ユーザの直観に即したVE画像となる。よって、医用画像処理装置100は、数学的な空間関係から一歩離れた長軸MPR面LF1の平行移動(オフセット)により、長軸MPR画像G20における観察部位の位置とVE画像G10における観察部位の位置との関係性の把握が容易にできる。また、従来は、任意の平面はVE画像内では台形などで表現されることが多いが、参照線で表示されることによって、ユーザは空間把握を容易にできる。
次に、長軸MPR面LF1の移動について説明する。
まず、オフセット無しの場合(オフセット距離OD1が0の場合)の長軸MPR面LF1の視線を軸とした回転について説明する。
図6(A)は、オフセット無しの場合の長軸MPR面LF1の回転前(基準位置)の様子を示す模式図である。図6(B)は、図6(A)の場合のVE画像G10上の参照線RL1を示す模式図である。図7(A)は、オフセット無しの場合の長軸MPR面LF1の回転後の様子を示す模式図である。図7(B)は、図7(A)の場合のVE画像G10上の参照線RL1を示す模式図である。尚、図6(A),(B)が、長軸MPR面LF1の回転後の様子であってもよいし、図7(A),(B)が、長軸MPR面LF1の回転前の様子であってもよい。
図6(A)は、図3(A)においてオフセットが無い場合に相当する。尚、オフセットが無い場合には、プロセッサ140は、基準短軸面SF1を定義しなくても、視点P1を通り視線方向D1に平行な面としての長軸MPR面LF1を生成可能である。
図6(B)では、VE画像G10の中心に位置する視点P1を、参照線RL1としての直線が通過する。また、図6(B)では、長軸MPR面LF1が基準位置にある場合は、参照線RL1が左右方向に水平に延びている。
また、図7(A)に示すように、長軸MPR面LF1が回転した場合でも、視点P1は、長軸MPR面LF1と同一平面に含まれる。また、長軸MPR面LF1は、視点P1を含む視線方向D1に沿う直線を回転中心AX1として、回転する。長軸MPR面LF1の回転は、例えばUI120を介してユーザから指示され、プロセッサ140が、UI120を介した入力操作に基づく回転量で、回転中心AX1を中心に長軸MPR面LF1を回転させ、長軸MPR画像G20を生成する。回転の結果、図7(B)に示すように、参照線RL1は、視点P1を通り、左右方向から回転量に応じた角度傾いて、ディスプレイ130に表示される。
続いて、オフセット有りの場合の視線を軸とした長軸MPR面LF1の回転について説明する。
図8(A)は、オフセット有りの場合の長軸MPR面LF1の第1の回転位置での様子を示す模式図である。図8(B)は、図8(A)の場合のVE画像G10上の参照線RL1を示す模式図である。図9(A)は、オフセット有りの場合の長軸MPR面LF1の第2の回転位置での様子を示す模式図である。図9(B)は、図9(A)の場合のVE画像G10上の参照線RL1を示す模式図である。
図8(A)では、図3(A)と同様に、視線方向D1と基準短軸面SF1とが垂直となっている。また、長軸MPR面LF1と平行な方向(視線方向D1の方向を除く)に、参照方向RD1(RD1A)が定義される。参照方向RD1は、長軸MPR面LF1に沿う(視線方向D1の方向を除く)任意の方向である。プロセッサ140は、VE画像G10の投影面に平行な有限遠にある面(例えば基準短軸面SF1)に参照方向RD1が投影された方向と平行に、VE画像G10の中心(視点P1)からオフセットされた位置(オフセット視点)を通る直線として、参照線RL1を設定する。そして、プロセッサ140は、VE画像G10上の参照線RL1をディスプレイ130に表示させる。
尚、図8(A)では、長軸MPR面LF1の空間内の位置関係が分かり難いので、視点P1から視線方向D1を向いた回転中心AX1、及び回転中心AX1を軸として半径をオフセット距離OD1とした仮想円筒CL1を作図した。この場合、長軸MPR面LF1は仮想円筒CL1に接する。
オフセット有りで長軸MPR面LF1が視線を軸として回転する場合、オフセット無しの場合と同様に、視点P1を含む視線方向D1に沿う直線を回転中心AX1として、回転する。但し、オフセット有りの場合には、オフセット無しの場合と異なり、回転中心AX1と長軸MPR面LF1との間がオフセット距離OD1だけ離間している。そのため、回転中心AX1周りに長軸MPR面LF1が回転しても、長軸MPR面LF1は仮想円筒CL1に接し続ける。
図8(B)では、VE画像G10において、参照線RL1が表示されている。VE画像G10において、基準短軸面SF1を仮定することによって、長軸MPR面LF1と基準短軸面SF1の交線を参照線RL1として可視化している。なお、基準短軸面SF1そのものはユーザに明示する必要は無い。これによって、VE画像G10において、参照線RL1が視線方向D1の位置からオフセット距離OD1だけ離間しているかのように表示される。
図9(A)では、長軸MPR面LF1が第2の回転位置に配置されている。図9(A)に示すように、長軸MPR面LF1の第2の回転位置では、長軸MPR面LF1の第1の回転位置とは異なる位置及び異なる向きで、長軸MPR面LF1が仮想円筒CL1の側面に接する。尚、ここでは、第2の回転位置の場合でも、長軸MPR面LF1の視点P1からのオフセット距離OD1は変更されていない。尚、図9(A)では、上記のオフセット視点を通る直線は、紙面において仮想円筒CL1の上側の面に接する。
図9(B)では、VE画像G10において、第2の回転位置における参照線RL1が表示されている。VE画像G10において、基準短軸面SF1を仮定することによって、第2の回転位置にある長軸MPR面LF1と基準短軸面SF1との交線を、参照線RL1として可視化している。なお、基準短軸面SF1そのものは、ユーザに明示する必要は無い。これによって、VE画像G10において、参照線RL1が視線方向D1の位置からオフセット距離OD1だけ離間しているかのように表示される。また、第1の回転位置にある長軸MPR面LF1と基準短軸面SF1との交線と、第2の回転位置にある長軸MPR面LF1と基準短軸面SF1との交線とが、VE画像G10の視点P1を中心として回転したかのように表示される。従って、ユーザは、参照線RL1の表示を参照することで、長軸MPR面LF1が回転し、移動したことを認識し、また、長軸MPR面LF1が空間上のどこに配置されているかを把握できる。
尚、先に説明した視点P1のオフセットは、長軸MPR面LF1の平行移動となり、長軸MPR面LF1の移動の1つの形態である。
次に、参照線RL等の移動について説明する。
ユーザがUI120を介してディスプレイ130に表示されたVE画像G10上の参照線RL1を移動させると、この移動に応じて、長軸MPR面LF1の位置がインタラクティブに移動してもよい。この場合、プロセッサ140は、移動した長軸MPR面LF1に係る長軸MPR画像G20を生成し、ディスプレイ130に表示させる。
また、ユーザがUI120を介してディスプレイ130に表示された長軸MPR画像G20に係る長軸MPR面LF1を操作して移動させると、プロセッサ140は、長軸MPR面LF1に係る長軸MPR画像G20を生成してもよい。この場合、プロセッサ140は、この移動に応じて、VE画像G10上の参照線RLをインタラクティブに移動させ、ディスプレイ130に表示させる。
尚、長軸MPR面LF1の位置は、VE画像G10の視線方向D1に対して平行に移動する。一方、VE画像G10の視線方向D1及び視点P1は変化しない。つまり、長軸MPR面LF1、長軸MPR画像G20、及び参照線RL1の位置が変化しても、被検体のVE画像G10は不変である。
また、ユーザがUI120を介してディスプレイ130に表示されたVE画像G10の視点P1や視線方向D1を移動させると、プロセッサ140は、この移動に応じて、長軸MPR面LF1の位置や向きを変更し、変更された長軸MPR面LF1の長軸MPR画像G20を生成してもよい。このとき、VE画像G10上の参照線RL1は、移動しても移動しなくても良い。VE画像G10上の参照線RL1が移動しない場合、プロセッサ140は、新しいVE画像G10に対応した参照線RL1と新しい視線方向D1から、新しい参照方向RD1を算出して、長軸MPR面LF1の向きを定める。または、プロセッサ140は、新しい視線方向D1と元の参照方向RD1から、長軸MPR面LF1の向きを変更し、この変更に応じて、VE画像G10上の参照線RL1をインタラクティブに移動させ、ディスプレイ130に表示させる。
また、ユーザがUI120等を介してディスプレイ130に表示された長軸MPR画像G20において長軸MPR面LF1の位置を移動させると、プロセッサ140が、長軸MPR面LF1の移動に応じて、VE画像G10の視線方向D1及び視点P1をインタラクティブに移動させてもよい。
次に、医用画像処理装置100の動作について説明する。
図10は、医用画像処理装置100の動作例(第1動作例)を示すフローチャートである。ここでは、気管支10を含む肺に病変が存在することを想定する。尚、図10では、視点P1のオフセット無しの場合の参照線RL1の描画例を示している。ここでは、初期状態として、オフセット距離OD1を0とすることを想定する。
まず、ポート110は、肺を含むボリュームデータを取得する(S11)。尚、ポート110が被検体の全体のボリュームデータを取得した後、プロセッサ140が、このボリュームデータから、肺を含むボリュームデータの一部を抽出してもよい。
UI120は、肺のボリュームデータに含まれる病変部(病変の領域)を関心領域ROIとして指定する入力を受け付ける(S12)。プロセッサ140は、入力を受け付けた関心領域ROIとしての病変部を抽出する。
プロセッサ140は、既知のトラッキング手法により、口から病変部に至るまでの経路(パス)を生成する(S13)。具体的には、プロセッサ140は、CT値が所定値(例えば値500)以下となる領域を抽出し、この領域を気管支10の領域としてもよい。プロセッサ140は、気管支10の領域に対して細線化処理し、気管支10のグラフ構造を取得してもよい(図2参照)。プロセッサ140は、気管支のグラフ構造を基に、口から病変部までの経路の情報を獲得し、パスとしてもよい。パスは、気管支10の中心線を示してもよいし、中心線以外の基準線(例えば、重心、輪郭の少なくとも一部)を示してもよい。
プロセッサ140は、気管支10のパス上の視点P1、視線方向D1、及び画角θ1に基づいて、VE画像G10を生成する(S14)。視点P1は気管支10のパスに沿って視点P1を移動可能である。視点P1が移動すると、プロセッサ140がVE画像G10を再生成する。尚、視点P1、視線方向D1、画角θ(つまりVE画像範囲)は、UI120を介して指定されてもよい。
プロセッサ140は、視点P1を含み、視線方向D1と平行な平面(長軸MPR面LF1)を取得(例えば算出)する(S15)。
プロセッサ140は、長軸MPR面LF1を断面とする長軸MPR画像G20を生成する。ディスプレイ130は、生成された長軸MPR画像G20を表示する(S16)。ディスプレイ130は、長軸MPR画像G20に、VE画像G10の視点P1及び視線方向D1を示す情報を表示してもよい(例えば後述する図22参照)(S16)。
プロセッサ140は、長軸MPR面LF1に含まれ、視線方向D1と垂直な参照方向RD1を取得(例えば算出)する(S17)。参照方向RD1は、以下の式により算出されてもよい。尚、以下に示す符号「×」は、外積を示す。
参照方向RD1=視線方向D1×長軸MPR面LF1の法線方向N1
プロセッサ140は、参照方向RD1をVE画像G10の投影面に平行な有限遠にある面(例えば基準短軸面SF1に相当する面)に投影した参照投影方向PRD1を取得(例えば算出)する(S18)。なお、図7(A),(B)では、参照方向RD1と参照投影方向PRD1は一致したものとして、参照方向RD1が図示されている。参照方向RD1と参照投影方向PRD1は、後に視線方向D1をUI120を介して操作すると、基準短軸面SF1が移動することによって、解離する。この場合に、参照投影方向PRD1を自然に表現するために、メモリ150が参照方向RD1の情報を保持しておく。
プロセッサ140は、VE画像G10において、視点P1(投影面における視点P1の投影位置に相当)を通り、参照投影方向PRD1に沿う直線SL1を、長軸MPR面LF1を示す参照線RL1として生成する。VE画像G10における視点P1の位置は、通常、VE画像G10の中心と一致する。ディスプレイ130は、生成された参照線RL1をVE画像G10上に表示する(S18)。
このように、医用画像処理装置100は、VE画像上に長軸MPR面を示す参照線RL1を表示することで、VE画像G10における認識が困難な長軸MPR面LF1の位置を容易に把握できる。よって、ユーザによるVE画像G10及び長軸MPR画像G20を用いた診断精度を向上できる。
図11は、長軸MPR面MF1の移動(平行移動や回転)を考慮した動作例(第2動作例)を示すフローチャートである。図11では、視点P1のオフセット有りの場合の参照線RL1の描画例を示している。ここでは、長軸MPR面MF1を操作することによって、オフセットが発生することを想定している。また、長軸MPR面LF1に対する操作を行うことを想定している。図11の動作は、VE画像G10上に長軸MPR面MF1を示す参照線RL1が表示された状態から開始する。つまり、図11は、図10の動作の続きを示している。
UI120は、ユーザの指示により、長軸MPR面LF1の平行移動又は回転の操作を受け付ける(S21)。ここでは、例えば、長軸MPR面LF1の長軸MPR画像G20が表示された画面の領域やその近傍の領域に対して、ドラッグ操作が行われる。
S21において回転の操作を受け付けた場合(S22のYes)、プロセッサ140は、先述のように、回転中心AX1周りに長軸MPR面LF1を回転させ、長軸MPR画像G20を再生成する(S23)。また、プロセッサ140は、長軸MPR面LF1の法線方向N1が変化するので、参照方向RD1を再算出する(S23)。
また、S21において平行移動の操作を受け付けた場合(S22のNo)、プロセッサ140は、長軸MPR面LF1を平行移動させ、長軸MPR画像G20を再生成し、オフセット距離OD1を算出する(S24)。
プロセッサ140は、基準短軸面SF1を取得する(S25)。基準短軸面SF1は、視点P1の座標V1(位置)から視線方向D1へ所定長さ進んだ視点対応位置を含み、視線方向D1を法線ベクトルとする面である。この場合、視点P1の位置は、基準短軸面SF1を通過する視線を表現するものとなる。基準短軸面SF1は、UI120により指定されてもよいし、プロセッサ140により算出されてもよい。基準短軸面SF1は、VE画像G10の投影面の一例である。視点対応位置は、図3(A)に示した交点C1に相当する。
プロセッサ140は、参照方向RD1を基準短軸面SF1に投影した方向である参照投影方向PRD2を取得(例えば算出)する(S26)。なお、図9(A),(B)では、参照方向RD1と参照投影方向PRD2は一致したものとして、参照方向RD1が図示されている。参照方向RD1と参照投影方向PRD2は、例えば、視線方向D1をUI120を介して操作すると、解離する。この場合に、参照投影方向PRD2を自然に表現するために、メモリ150が参照方向RD2の情報を保持しておく。
プロセッサ140は、基準短軸面SF1において、視点対応位置から長軸MPR面LF1の法線方向N1にオフセット距離OD1移動した点を通り、参照投影方向PRD1に沿う直線SL2を取得(例えば算出)する(S27)。
プロセッサ140は、直線SL2を参照線RL1としてVE画像上に表示する(S28)。
このように、医用画像処理装置100が、VE画像G10に表示された長軸MPR画像G20の長軸MPR面LF1の移動に伴って、長軸MPR面LF1に対応する位置に参照線RL1を移動させ、VE画像G10とともに表示できる。よって、ユーザは、被検体におけるVE画像と任意の位置のMPR画像とを、位置関係を把握しながら比較観察できる。
尚、図11では、参照線RL1が一度表示された後に平行移動によりオフセットの操作がされたことを例示したが、動作の最初から長軸MPR面LF1が視点P1からオフセットされた状態であってもよい。つまりオフセットされた状態から医用画像処理装置100の動作を開始してもよい。また、オフセットされた状態から、更に平行移動や回転等の移動がされてもよい。
図12は、医用画像処理装置100の動作例(第3動作例)を示すフローチャートである。ここでは、VE画像G10上の参照線RL1に対する操作を行うことを想定している。図12の動作は、図11と同様に、VE画像G10上に長軸MPR面LF1を示す参照線RL1が表示された状態から開始する。
UI120は、ユーザの指示により、VE画像G10とともに表示された参照線RL1の移動(平行移動や回転)の操作を受け付ける(S31)。ここでは、例えば、VE画像G10における参照線RL1が表示された画面の領域又はその近傍の領域に対して、ドラッグ操作が行われる。
プロセッサ140は、参照線RLの移動の操作に応じて得られた新たな参照線RL1を基準短軸面SF1に投影し、空間上の直線SL3を取得(例えば算出)する(S32)。この場合、直線SL3の方向を新しい参照方向RD1及び新しい参照投影方向PRD1とすると、後の操作に利用することができる。
プロセッサ140は、直線SL3を含み、視線方向D1に平行な平面を新たな長軸MPR面LF1として設定(例えば算出)する(S33)。この場合、新たな基準短軸面SF1における直線SL3と視点対応位置との距離が、新たなオフセット距離OD1となる。
プロセッサ140は、新たな長軸MPR面LF1を断面として、長軸MPR画像G20を生成する。ディスプレイ130は、生成された長軸MPR画像G20を表示する(S34)。
このように、医用画像処理装置100が、VE画像G10に表示された参照線RL1の移動に伴って、参照線RL1に対応する位置に長軸MPR面LF1を移動させ、長軸MPR画像G20を表示できる。よって、ユーザは、被検体におけるVE画像と任意の位置のMPR画像とを、位置関係を把握しながら比較観察できる。
このように、医用画像処理装置100は、例えば、肺の中に腫瘍がある場合に、気管支10内のパスに沿った各位置の観察を援助する気管支ナビゲーション(気管支ナビゲーションプロトコル)を実現する。よって、医用画像処理装置100は、気管支内視鏡を用いずにVE画像G10や長軸MPR画像G20により気管支10の内部を観察できるので、気管支10内での侵襲を低減でき、患者の負担を低減できる。
気管支10の基部11は比較的管が太いので、医用画像処理装置100は、奥行方向を観察可能なVE画像G10を用いて、気管支10の内部を観察できる。また、気管支10の端部12(末端)では気管支10の分岐の数が多く比較的管が細いので、医用画像処理装置100は、VE画像G10の奥行方向(視線方向D1)に沿って切断された長軸MPR画像G20を用いて、気管支10の内部を観察できる。気管支10の端部12では、実際に、ユーザから長軸MPR画像G20を確認したいという要望が多い。
また、ユーザは、VE画像G10がどの向きの画像を示すかを把握することは困難であるが、長軸MPR面LF1を示す参照線RL1を手掛かりとして、VE画像G10の3次元空間におけるどの向きを表現しているかを把握し易くなる。
また、医用画像処理装置100は、長軸MPR面LF1を用いることで、観察対象の組織のパスの走行に依存せずに、パスから離れても、視線方向D1の各位置が同一平面で表現可能である。従って、医用画像処理装置100は、視点P1やオフセット視点OP1を含む平面の様子を高精度に表現できる。
以上のように、本実施形態の医用画像処理装置100は、ポート110、UI120、プロセッサ140、及びディスプレイ130を備える。ポート110は、被検体を含む3次元空間のボリュームデータを取得する。プロセッサ140は、3次元空間における視点P1及び視線方向D1を設定する。プロセッサ140は、視点P1から視線方向D1を向いたVE画像G10を生成する。プロセッサ140は、視点P1を含み視線方向D1に平行な平面(長軸MPR面LF1)を断面として、ボリュームデータのMPR画像(長軸MPR画像G20)を生成する。ディスプレイ130は、VE画像G10とともに、VE画像G10における断面の位置を直線として示す参照線RL1を表示し、且つMPR画像を表示するする。また、UI120は、VE画像G10における参照線RL1の位置を変更するための入力操作を受け付ける。プロセッサ140は、この入力操作に応じて、変更された参照線RL1の位置に対応する断面のMPR画像を再生成する。ディスプレイ130は、VE画像G10とともに、変更された参照線RL1を再表示し、再生成されたMPR画像を表示する。参照線RL1は、断面位置記号の一例である。
これにより、ユーザは、VE画像G10における参照線RL1を目印として、長軸MPR画像の断面位置を容易に把握できる。また、長軸MPR画像の断面位置が、VE画像G10において、VE画像の把握を妨げること無くコンパクトに可視化される。また、医用画像処理装置100は、参照線RL1に対して参照線RL1の移動操作を受け付けても、操作を反映した変更後の長軸MPR面LF1を断面とする長軸MPR画像G20を生成し、新たな参照線RF1を表示できる。また、参照線RL1の移動操作は、2次元的な線の操作であるので、長軸MPR面LF1の操作が容易である。従って、ユーザは、VE画像G10における位置を変更しながら、長軸MPR画像G20を参照できる。よって、医用画像処理装置100は、観察対象の組織内の診断精度を向上できる。
また、本実施形態の医用画像処理装置100では、プロセッサ140は、視点P1からオフセットされた第1の点(オフセット視点OP1)を含み視線方向D1に平行な平面(長軸MPR面)を断面として、ボリュームデータのMPR画像(長軸MPR画像)を生成してもよい。また、UI120は、断面の位置を変更するための入力操作に伴い、プロセッサ140が、変更された断面のCPR画像を再生成し、ディスプレイ130が、変更された参照線RL1を再表示し、且つMPR画像を表示してもよい。
これにより、医用画像処理装置100は、VE画像G10の視点P1の位置を含まず、視点P1からオフセットされたオフセット視点OP1の位置を含む平面を長軸MPR面とすることができる。よって、長軸MPR面LF1が視線方向D1と平行に移動されるので、ユーザが直感的にMPR画像の位置を理解し易い。そのため、ユーザは、VE画像G10と長軸MPR画像G20との位置関係を把握し易くなる。また、長軸MPR画像G20の断面位置が、VE画像G10において、VE画像G10の把握を妨げること無くコンパクトに可視化される。また、参照線RL1の移動操作は、2次元的な線の操作であるので、長軸MPR面LF1の操作が容易である。
また、ディスプレイ130は、VE画像G10とともに、長軸MPR画像G20を表示してもよい。プロセッサ140は、UI120により受け付けた長軸MPR画像G20の長軸MPR面LF1の位置を変更するための入力操作に基づいて、変更された断面の長軸MPR画像G20を再生成してもよい。ディスプレイ130は、VE画像G10とともに、変更された断面の位置に対応する参照線RL1を再表示してもよい。
これにより、UI120により長軸MPR面LF1の位置を変更しても、VE画像G10における参照線RL1の位置が追従して変更される。よって、ユーザは、長軸MPR面LF1を移動させながら、長軸MPR画像G20とVE画像G10との位置関係を容易に把握できる。
また、参照線RL1の位置の変更には、参照線RL1により位置が示される長軸MPR面LF1の平行移動又は回転が含まれてもよい。
これにより、医用画像処理装置100は、被検体を含む3次元空間において、長軸MPR面LF1を任意の位置且つ任意の向きで設定でき、長軸MPR画像G20を生成できる。よって、ユーザは、VE画像G10との位置関係を把握しながら、被検体をあらゆる角度から観察可能である。
また、プロセッサ140は、透視投影法に従ってVE画像G10を生成してもよい。これにより、ユーザは、実際に見た通りに近い状態で観察対象を観察できるので、直感的に分かりやすい。
また、プロセッサ140は、等距離射影法に従ってVE画像G10を生成してもよい。これにより、ユーザは、内視鏡から得られる画像に近い状態で観察対象を観察できるので、直感的に分かりやすい。また、視線方向に対して、略後方(例えばVE画像G10の紙面奥側)までの視野を確保することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、VE画像上に長軸MPR面を示す参照線を表示することを例示した。第2の実施形態では、VE画像上に長軸CPR面を示す参照線を表示することを例示する。
ボリュームデータにおける任意の曲線(例えば気管支パスを示す曲線)を含むCPR面、及び、任意の曲線をオフセットしたオフセット曲線を含むCPR面について、特に、VE画像の視点がその任意の曲線上にある場合に、VE画像との関係で、長軸CPR面と言う。ここで、CPR(Curved Multi Planer Reconstruction)画像とは、MPR画像のMPR面が平面を曲面(CPR面)に拡張したものである。CPR面は、原則として、与えられたパスに対して、任意のベクトル(本実施形態ではCPR方向ベクトルと呼称)に沿う方向にパスを平行移動することによって張られる(形成される)面である。また、CPR面は、オフセットすることが出来る。長軸CPR面の画像を、長軸CPR画像とも称する。CPR画像には、ストレッチCPR、プロジェクトCPR、ストレートCPR、等が含まれる。
本実施形態では、任意の曲線を被検体のパスとして主に説明する。パスは、第1の実施形態と同様に、口から病変部に至るまでの経路を示してもよい。
尚、本実施形態では、第1の実施形態と同様の事項については、説明を省略又は簡略化する。本実施形態の医用画像処理装置100の構成は、第1の実施形態の医用画像処理装置100の構成と同様である。
図13(A)は、3次元空間SP2における長軸CPR面LF2を示す模式図である。図13(B)、図13(A)の長軸CPR面LF2を上側から見た模式図である。図14は、長軸CPR画像G40の表示例を示す図である。
長軸CPR面LF2を断面とする長軸CPR画像G40は、パスPS2を示す曲線に沿った曲断面上のボクセルで構成される画像である。長軸CPR画像G40は、血管や腸管などの管状組織を観察するために用いられてもよい。
図13(A)では、3次元空間SP2上のボリュームデータ(例えば肺のボリュームデータ)に、気管支10のパスPS2が含まれている。図13(B)では、長軸CPR面LF2におけるパスPS2が二次元で示されている。尚、長軸CPR面LF2は、パスPS2に沿う曲面であるので、パスPS2を常に含む。
長軸CPR面LF2は、与えられたパスPS2に対して、CPR方向ベクトルV2に沿う方向にパスPS2を平行移動することによって張られる面として、一意に定まる。また、長軸CPR面LF2は、CPR方向ベクトルV2と、3次元空間SP2上のパスPS2を示す曲線と、後述するオフセットと、に基づいて、一意に定められてもよい。つまり、長軸CPR面LF2がオフセットされている場合、長軸CPR面LF2は、与えられたパスPS2からオフセットされたオフセット曲線を、CPR方向ベクトルV2に沿う方向に平行移動することによって張られる面として、一意に定められてもよい。
図15は、長軸CPR面LF2においてCPR方向ベクトルV2を示す模式図である。CPR方向ベクトルV2とは、任意の方向のベクトルであり、パスPS2上の位置によらず一定の方向を向いている。例えば、CPR方向ベクトルV2は、パスPS2の端点をむすんだ線分に対して垂直である。例えば、CPR方向ベクトルV2は、視点P2におけるパスPS2の接線に対して垂直である。CPR方向ベクトルV2は、UI120への入力操作等に基づいて、プロセッサ140により設定される。
長軸CPR画像G40を用いて観察対象の組織を観察する場合、UI120等を用いてCPR方向ベクトルV2を回転させることで、プロセッサ140は、様々な向きの面を長軸CPR面LF2に設定する。これにより、ユーザは、長軸CPR面LF2の長軸CPR画像G40を観察することで、観察対象の管状組織の全容を把握できる。
図16は、パスPS2上でのVE画像G50の視点P2の移動を説明するための模式図である。プロセッサ140は、例えばUI120に対する入力操作に応じて、VE画像G50の視点P2を、パスPS2に沿って移動させる。プロセッサ140は、VE画像G50の投影面にCPR方向ベクトルV2を投影して得られた直線を、参照線RL2として生成する。ディスプレイ130は、VE画像G50上に参照線RL2を表示する(図19(B)参照)。尚、VE画像G50の投影面は、例えば、視点P2から視線方向D2に進んだ任意の位置に配置され、視線方向D2を法線方向とする面である。尚、図16は、オフセット無し(オフセットが0)の場合を示している。
次に、長軸CPR面LF2のオフセットについて説明する。
図17は、長軸CPR面LF2のオフセットを説明するための模式図である。プロセッサ140は、パスPS2における視点P2の位置からオフセットした位置に長軸CPR面LF2を設定する。この場合、オフセットされた長軸CPR面LF2の長軸CPR画像G40が得られる。尚、長軸CPR面LF2bは、オフセット前でパスPS2を面上に含む長軸CPR面を示す。
これにより、医用画像処理装置100は、長軸CPR面LF2をパスPS2上の視点P2の位置から一定距離(例えばオフセット距離OD2)オフセットすることで、管状組織(例えば気管支10)の中心線とパスPS2とが異なる場合に、微調整できる。例えば、プロセッサ140は、パスPS2からオフセットされた位置を、管状組織の中心線の位置に合わせることができる。これにより、ユーザは、管状組織の内部をより観察し易くできる。また、プロセッサ140は、パスPS2からオフセットされた位置を、管状組織の輪郭にある瘤に合わせることが出来る。これにより、ユーザは、管状組織の疑わしい形状の部位をより観察し易くできる。
長軸CPR面LF2をオフセットするための方法として、例えば以下の第1のオフセット方法と第2のオフセット方法が考えられる。
図18(A)は、第1のオフセット方法を説明するための模式図である。第1のオフセット方法では、プロセッサ140は、CPR方向ベクトルV2に垂直な方向(例えば図18(A)における上下方向)に、長軸CPR面LF2bを平行移動してオフセットし、長軸CPR面LF2とする。
よって、長軸CPR面LF2をCPR方向ベクトルV2の基点方向から視ると、オフセット前の長軸CPR面LF2bが、長軸CPR面LF2bにおける各位置で等しく上方向にスライドされてオフセットされ、オフセット後の長軸CPR面LF2となる。その結果、オフセットされた長軸CPR面LF2の位置に平行移動する。
図18(B)は、第2のオフセット方法を説明するための模式図である。第2のオフセット方法では、プロセッサ140は、長軸CPR面LF2bにおける各位置において、CPR方向ベクトルV2及び当該位置でのパスPS2に垂直な方向に、長軸CPR面LF2bを移動してオフセットし、長軸CPR面LF2とする。
よって、長軸CPR面LF2をCPR方向ベクトルV2の基点方向から視ると、オフセット前の長軸CPR面LF2bが、線L13における各位置で異なる方向にスライドされてオフセットされ、オフセット後の長軸CPR面LF2となる。その結果、オフセットされた長軸CPR面LF2の位置に移動する。
次に、オフセットに係る各部の位置関係について説明する。
図19(A)は、オフセットに係る各部の位置関係を説明するための模式図である。図19(B)は、VE画像G50の画面例を示す模式図である。
視点P2を基点として、所定の画角θ2の広がりの範囲(VE画像範囲)がVE画像G50に含まれる。よって、基準短軸面SF2における、視点P2を含み視線方向D2との交点C21と、VE画像範囲の周端を示す周端線L2との交点C22と、の距離d2の2倍が、基準短軸面SF2におけるVE画像G50の大きさとなる。ここでの基準短軸面SF2は、視点P2の位置における視線方向D2を法線方向とする面である。
また、パスPS2を含みCPR方向ベクトルV2に平行な曲面CF2(オフセット前の長軸CPR面LF2bに相当)と、長軸CPR面LF2と、の距離が、オフセット距離OD2となる。長軸CPR面LF2の位置は、UI120を介してオフセット前の長軸CPR面LF2bを基にドラッグ等により指定されてもよいし、UI120によりオフセット距離OD2の値が具体的に入力されてもよい。
尚、VE画像G50の視線方向D2は、視点P2におけるパスPS2に対する接線方向となる。よって、パスPS2上の視点P2の位置によって、長軸CPR面の面方向は変化する。また、視線方向D2は、基準短軸面SF2に垂直な方向となる。視点P2がパスS2上を進み、視点P2での視線方向D2が変化すると、基準短軸面SF2の向きも変化し、基準短軸面SF2と視線方向D2とは垂直な状態が維持される。
図19(B)では、参照線RL2が表示されている。参照線RL2は、視点P2からオフセットされたオフセット視点OP2の位置でのCPR方向ベクトルV2が、VE画像G50の投影面に射影されて形成された線に相当する。投影面は、基準短軸面SF2であってもよい。この場合、プロセッサ140は、基準短軸面SF2の上下方向の長さ(d2×2)と、オフセット距離OD2と、の比を固定して(変更しないで)、VE画像G50における参照線RL2の位置を規定し、参照線RL2をディスプレイ130に表示させる。
尚、図19(A)に示すように、VE画像G50の視点P2での視線方向D2と基準短軸面SF2の交点C21よりも、オフセット後の長軸CPR面LF2と基準短軸面SF2との交点C23が上側に位置する。そのため、基準短軸面SF2に投影されたVE画像におけるCPR方向ベクトルV2を示す参照線RL2は、VE画像G50における視点P2の位置(VE画像G50の中心点)よりも上側に示されている。
次に、本実施形態の医用画像処理装置100の動作について説明する。
長軸CPR画像G40を用いて観察対象の組織を観察する場合、UI120等を用いてCPR方向ベクトルV2を回転させることで、プロセッサ140は、様々な向きの面を長軸CPR面LF2に設定する。これを、長軸CPR画像G40を回転させる、又は、長軸CPR面LF2を回転させる、と言う。また、回転の他、プロセッサ140は、UI120への入力操作に応じて、長軸CPR画像G40を平行移動(オフセット含む)させてもよい。
ここで、プロセッサ140は、UI120を介したCPR方向ベクトルV2の回転又は平行移動の操作に応じて、視線方向D2を軸として、CPR方向ベクトルV2を回転又は平行移動させてもよい。また、プロセッサ140は、UI120を介した長軸CPR面LF2の回転又は平行移動の操作に応じて、VE画像G50において参照線RL2を新しい位置に再表示させてもよい。また、プロセッサ140は、UI120を介したCPR方向ベクトルV2の回転の操作に応じて、視点P2におけるパスPS2の接線を軸として、CPR方向ベクトルV2を回転又は平行移動させてもよい。また、プロセッサ140は、UI120を介した参照線RL2の回転又は平行移動の操作に応じて、変更された参照線RL2に対応する長軸CPR面LF2を断面として、長軸CPR画像G40を再生成し、長軸CPR画像G40を表示してもよい。
なお、ユーザによるCPR画像におけるCPR方向ベクトルの操作については、特許文献2に詳しく記載されている。
尚、本実施形態においても、図2と同様に、ディスプレイ130は、VE画像G50、長軸CPR画像G40、及び外観画像G30を1画面で表示してもよいし、別々に表示してもよいし、一部の画像が省略されて表示してもよい。
以上のように、本実施形態の医用画像処理装置100では、ポート110は、被検体を含む3次元空間SP2のボリュームデータを取得する。プロセッサ140は、ボリュームデータから被検体の基準線を示すパスPS2を生成する。プロセッサ140は、パスPS2上の視点P2及び視線方向D2を設定する。プロセッサ140は、視点P2から視線方向D2を向いたVE画像G50を生成する。プロセッサ140は、CPR方向ベクトルV2を設定する。プロセッサ140は、パスPS2をCPR方向ベクトルV2に沿う方向に平行移動することによって定義される面(長軸CPR面LF2)を断面として、ボリュームデータのCPR画像(長軸CPR画像G40)を生成する。ディスプレイ130は、VE画像G50とともに、VE画像G50において視点P2を通るCPR方向ベクトルV2を直線として示す断面位置記号を表示し、且つCPR画像を表示する。また、UI120は、VE画像G50における断面位置記号の位置を変更するための入力操作を受け付ける。プロセッサ140は、入力操作に応じて、変更された断面位置記号の位置に対応する断面のCPR画像を再生成する。ディスプレイ130は、VE画像G50とともに、変更された断面位置記号を再表示し、且つ再生成されたCPR画像を表示する。断面位置記号は、参照線RL2であってもよい。
これにより、ユーザは、VE画像G50における参照線RL2を目印として、長軸CPR画像の断面位置を容易に把握できる。また、長軸CPR画像の断面位置が、VE画像G50において、VE画像の把握を妨げること無く、コンパクトに可視化される。また、医用画像処理装置100は、参照線RL2に対して参照線RL2の移動操作を受け付けても、操作を反映した変更後の長軸CPR面LF2を断面とする長軸CPR画像G40を生成し、新たな参照線RF1を表示できる。また、参照線RL2の移動操作は、2次元的な線の操作であるので、長軸CPR面LF2の操作が容易である。従って、ユーザは、VE画像G50における位置を変更しながら、長軸CPR画像G40を参照できる。よって、医用画像処理装置100は、観察対象の組織内の診断精度を向上できる。
また、被検体のパスPS2は曲線形状であるので、二次元的に示すと再現精度が低下する可能性があるが、視点P2に近い位置にある管状組織の分岐等は、比較的正確に把握でき、観察のし易さを確保できる。
また、本実施形態の医用画像処理装置では、プロセッサ140は、パスPS2からオフセットされたオフセット曲線をCPR方向ベクトルV2に沿う方向に平行移動することによって定義される面を断面として、ボリュームデータのCPR画像を生成してもよい。ディスプレイ130は、VE画像G50とともに、VE画像G50にCPR方向ベクトルV2とオフセット曲線のオフセット距離OD2を直線として示す断面位置記号を表示し、且つCPR画像を表示してもよい。また、UI120は、断面の位置を変更するための入力操作に伴い、プロセッサ140が、変更された断面のCPR画像を再生成し、ディスプレイ130は、変更された断面位置記号を再表示し、且つ再生成されたCPR画像を表示してもよい。尚、視点対応位置は、オフセット視点OP2の位置であってもよい。また、表示されるオフセット距離OD2は、例えば参照線RL2とオフセット視点OP2との距離としてVE画像G50において示すものである。
これにより、医用画像処理装置100は、VE画像G50の視点P2の位置を含まず、パスPS2上の視点P2からオフセットされたオフセット曲線を含む曲面を長軸CPR面LF2とすることができる。よって、長軸CPR面LF2がパスPS2と平行に移動されるので、パスPS2から等距離でユーザが直感的にCPR画像を理解し易い。そのため、ユーザは、VE画像G10と長軸MPR画像G20との位置関係を把握し易くなる。また、長軸CPR画像の断面位置が、VE画像G50において、VE画像の把握を妨げること無く、コンパクトに可視化される。また、参照線RL2の移動操作は、2次元的な線の操作であるので、長軸CPR面LF2の操作が容易である。
また、被検体の中心線とパスPS2とが異なる場合に、パスPS2と平行に長軸CPR面LF2を移動して微調整できる。よって、被検体の中心線を含む長軸MPR画像G20を容易に得られ、ユーザは、中心線付近の様子を容易に観察できる。
また、ディスプレイ130は、VE画像G50とともに、長軸CPR画像G40を表示してもよい。プロセッサ140は、UI120により受け付けた長軸CPR画像G40の長軸CPR面LF2の位置を変更するための入力操作に基づいて、変更された断面の長軸CPR画像G40を再生成してもよい。ディスプレイ130は、VE画像G50とともに、変更された断面の位置に対応する参照線RL2を再表示してもよい。
これにより、UI120により長軸CPR面LF2の位置を変更しても、VE画像G50における参照線RL2の位置が追従して変更される。よって、ユーザは、長軸CPR面LF2を移動させながら、長軸CPR画像G40とVE画像50との位置関係を容易に把握できる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
第1,第2の実施形態では、VE画像G10,G50上に長軸MPR面LF1,長軸CPR面LF2を明示する参照線RL1,RL2が表示されることを例示した。尚、参照線RL1,RL2以外の記号(つまり断面を直線として示す断面位置記号)等により、長軸MPR面LF1又は長軸CPR面LF2の位置が示唆されてもよい。
従来は、3次元空間において任意の平面は、例えば、台形や傾斜した格子として表現されることが多いが、台形や傾斜した格子ではVE画像を埋め尽くしてしまい、距離や位置関係が必ずしも明確では無い。また、台形や傾斜した格子では、平面の法線方向は把握可能としても、距離や位置関係が必ずしも明確では無い。
これに対し、第1,第2の実施形態では、医用画像処理装置100は、直線を想起できる形で表現することによって、長軸MPR面LF1の位置、視線からの距離、及び法線方向を、コンパクトにVE画像において表現できる。また、医用画像処理装置100は、長軸MPR面LF1の位置、視線からの距離、及び法線方向を、容易に操作できる。
図20(A),(B)及び図21(A),(B)は、参照線を断面位置記号で表現する表示例を示す模式図である。ここでは、参照線RL1とVE画像G10を例に説明するが、参照線RL2とVE画像G50でも同様である。なお、参照線そのものも、断面位置記号となりうる。
図20(A)では、参照線RL1の一部M1が断面位置記号としてVE画像G10の両端部に表示されており、2つの参照線RL1の一部M1を結ぶ線(つまり参照線RL1)の位置が、VE画像G10における長軸MPR面LF1の位置を示唆している。図20(B)では、△記号M2を断面位置記号として用いており、2つの△記号M2の先端を結ぶ位置が、VE画像G10における長軸MPR面LF1の位置を示唆している。図21(A)では、VE画像G10における観察対象の外側の領域に○記号M3を断面位置記号として用いており、2つの○記号M3を結ぶ位置が、VE画像G10における長軸MPR面LF1の位置を示唆している。
図21(B)では、VE画像G10における観察対象の外側の領域に矢印記号M4を用いており、2つの矢印記号M4の先端を結ぶ位置が断面位置記号として、VE画像G10における長軸MPR面LF1の位置を示唆している。また、矢印記号M4により、参照線RL1で位置が示される長軸MPR面LF1を上から見ている図であるか、下から見ている図であるかを、表現してもよい。図21(B)では、矢印記号M4により、長軸MPR画像G20が長軸MPR面LF1を上から見た画像であることを示している。
また、図20(A),(B)及び図21(A),(B)の各断面位置記号を、UI120により選択可能とし、その断面位置記号の位置を変更できるようにしてもよい。この場合、プロセッサ140は、第1,第2の実施形態で説明した参照線RL1,RL2を移動した際と同様の動作を行う。
図20(A),(B)及び図21(A),(B)に示す断面位置記号を用いる場合、医用画像処理装置100は、参照線RL1,RL2により観察部位が隠れることを抑制しながら、参照線RL1,RL2の位置を想起でき、VE画像G10,G50を視認し易くなる。
第1の実施形態では、ディスプレイ130は、プロセッサ140の制御により、長軸MPR面LF1における長軸MPR画像G20において、VE画像G10の視点P1を参照点RP11として表示し、視線方向D1を参照線RL11として表示してもよい。図22は、視点P1(参照点RP11)及び視線方向D1(参照線RL11)を示した長軸MPR画像G20の表示例を示す模式図である。
第2の実施形態では、ディスプレイ130は、プロセッサ140の制御により、長軸CPR面LF2における長軸CPR画像G40において、VE画像G50の視点P2を参照点RP12として表示し、視点P2での視線方向D2を参照線RL12として表示してもよい。図23は、視点P2(参照点RP12)及び視線方向D2(参照線RL12)を示した長軸CPR画像G40の表示例を示す模式図である。
第1,第2の実施形態では、プロセッサ140は、ボリュームデータの各ボクセルのボクセル値に基づいて、VE画像G10,G50に含まれる各領域の成分(臓器の領域、血液の領域、管状組織内の空気の領域、等)を判定してもよい。プロセッサ140は、判定結果が示すVE画像G10,G50における空気の領域の位置を加味して、参照線RL1,RL2の位置を設定してもよい。この場合、プロセッサ140は、参照線RL1,RL2の位置に基づいて、長軸MPR面LF1又は長軸CPR面LF2を設定し、長軸MPR画像G20又は長軸CPR画像G40を生成してもよい。
尚、参照線RL1,RL2は、VE画像の中心つまり視点P1,P2を通過してもよいし、通過しなくてもよい。つまり、オフセット無しでもオフセット有りでもよい。また、オフセット距離OD1,OD2の値は、固定でもよいし可変でもよい。
図24は、空気の領域を考慮した参照線RL1とVE画像G10との表示例を示す模式図である。ここでは、VE画像G10を例に用いているが、VE画像G50についても同様である。
図24では、空気の領域として、気管支10の2つの内腔14,15が存在している。プロセッサ140は、この気管支10の2つの内腔14,15を通過するように、参照線RL1の位置を設定する。よって、参照線RL1は、図24では右下がりの直線となる。
第1,第2の実施形態では、プロセッサ140は、画角θ1,θ2の範囲でのVE画像G10,G50を生成することを例示した(例えば図3(A),図19(A)参照)。内視鏡を体内に挿入して体内を撮像する場合、内視鏡画像の画角θに依存して、1つの視点を基点として投影面に向かって放射状に広がって投影される。この代わりに、プロセッサ140は、1つの視点ではなく複数の仮想視点を基点として、それぞれが長軸MPR面LF1に平行にVE画像G10の投影面に投影し、VE画像G10を生成してもよい。この場合、医用画像処理装置100は、内視鏡を用いた場合に表れる画像の歪みを抑制できる。
第1,第2の実施形態では、図2の長軸MPR画像G20では、参照線RL1で切断された面つまり長軸MPR面LF1を上側から見た画像を示しているが、逆側から見た画像であってもよい。つまり、ディスプレイ130は、長軸MPR面LF1を下側から見た長軸MPR画像G20を表示してもよい。長軸MPR面LF1を上側から見た長軸MPR画像G20を下側から見た長軸MPR画像G20へ変更することは、長軸MPR面LF1を180度回転することに相当する。尚、このような長軸MPR面LF1を見る向きについては、長軸CPR画像G40でも同様である。
第1,第2の実施形態では、撮像されたCT画像としてのボリュームデータは、CT装置200から医用画像処理装置100へ送信されることを例示した。この代わりに、ボリュームデータが一旦蓄積されるように、ネットワーク上のサーバ等へ送信され、サーバ等に保管されてもよい。この場合、必要時に医用画像処理装置100のポート110が、ボリュームデータを、有線回線又は無線回線を介してサーバ等から取得してもよいし、任意の記憶媒体(不図示)を介して取得してもよい。
第1,第2の実施形態では、撮像されたCT画像としてのボリュームデータは、CT装置200から医用画像処理装置100へポート110を経由して送信されることを例示した。これは、実質的にCT装置200と医用画像処理装置100とを併せて一製品として成立している場合も含まれるものとする。また、医用画像処理装置100がCT装置200のコンソールとして扱われている場合も含む。
第1,第2の実施形態では、CT装置200により画像を撮像し、生体内部の情報を含むボリュームデータを生成することを例示したが、他の装置により画像を撮像し、ボリュームデータを生成してもよい。他の装置は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、血管造影装置(Angiography装置)、又はその他のモダリティ装置を含む。また、PET装置は、他のモダリティ装置と組み合わせて用いられてもよい。
また、上記実施形態では、生体として人体を例示したが、動物の体でもよい。
また、本開示は、医用画像処理装置の動作を規定した医用画像処理方法として表現することも可能である。さらに、本開示は、上記実施形態の医用画像処理装置の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して医用画像処理装置に供給し、この医用画像処理装置内のコンピュータが読み出して実行するプログラムも適用範囲である。