本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。図1は、本実施形態に係るスロットマシン1の全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとを含む。前面扉1bの中央上部には、液晶表示器51が設けられている。液晶表示器51は、表示領域51aを有しており、透視窓3に対応する透過領域51bが透過可能である。これにより、表示領域51aで所定の演出を実行可能とするとともに、表示領域51aのうち透過領域51bが透過することで透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールとも称する)が視認可能となる。図2は、各リールの図柄配列を示す図である。リール2L〜2Rには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。なお、リールの個数は、3つに限らず、1つであってもよく、2以上であってもよい。また、可変表示部は、物理的なリールにて構成されている例を示しているが、液晶表示器などの画像表示装置にて構成されているものであってもよい。
液晶表示器51の右下には、メダルを投入可能なメダル投入部4が設けられ、前面扉1bの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口9、スピーカ53、54が設けられている。
前面扉1bには、操作手段の一例として、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットおよび設定済の賭数を精算して返却させる際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L〜2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56などが設けられている。
前面扉1bには、報知手段の一例として、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル数が表示されるクレジット表示器11、メダルの払出枚数やエラー時のエラーコード、リールの停止順を識別可能な情報などが表示される遊技補助表示器12、設定されている賭数を報知するための1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、メダル投入が可能であることを報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が可能であることを報知するスタート有効LED18、スタートスイッチ7の操作後においてウエイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L、2C、2Rの回転開始を待機している状態)中であることを報知するウエイト中LED19、リプレイ入賞後のリプレイゲーム中であることを報知するリプレイ中LED20が設けられている。
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6操作などにより規定数の賭数(例えば3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、スタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。賭数設定済の状態でメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、リール2L〜2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するためのラインである。本実施形態では、1本の入賞ラインLNのみ設けられている例を説明するが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1〜LM4が設けられている。無効ラインLM1〜LM4は、入賞判定されるラインではなく、入賞ラインLNに特定の入賞図柄の組合せ(いわゆるばらけ目)が揃った際に、無効ラインLM1〜LM4のいずれかに所定の図柄の組合せ(例えば、ベル−ベル−ベル)を揃えることで、入賞ラインLNに特定の入賞を構成する図柄の組合せが揃ったことを認識しやすくするものである。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L〜2Rを回転させて図柄を変動表示し、ストップスイッチ8L〜8Rが操作されると対応するリールの回転を停止させることで、透視窓3の上中下段に3つの図柄を表示結果として導出表示する。入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与されて、クレジット加算か、クレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。
ここで、スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L〜2Rが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、リール2L〜2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
図3は、スロットマシン1の内部構造を示す図である。図4は、スロットマシン1の機能構成例を示す図である。図4の例では、遊技の進行を制御するとともに、遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、コマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101、遊技の進行に応じた信号を外部に出力する外部出力基板1000などが設けられている。
遊技制御基板40は、各種の操作手段や検出手段(図4の遊技制御基板40の左側に例示)などのスイッチ類からの検出信号に基づいて遊技を進行させ、報知手段(図4の遊技制御基板40の左側に例示)などの表示機器類を駆動制御する。また、遊技制御基板40は、リールセンサ33L〜33Rからの信号に基づき、リールモータ32L〜32Rを駆動制御する。
遊技制御基板40には、メイン制御部41などの回路構成(図4の遊技制御基板40内に例示)が搭載されている。メイン制御部41は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。
演出制御基板90は、演出用スイッチ56が接続され、また液晶表示器51などの演出装置(図4の演出制御基板90の左側に例示)を駆動制御する。演出制御基板90には、サブ制御部91などの回路構成(図4の演出制御基板90内に例示)が搭載されている。サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を直接的または間接的に制御する。サブ制御部91は、1チップマイクロコンピュータであり、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどを備えている。サブ制御部91の回路構成には、たとえば、日および時刻のうちの少なくともいずれか一方を計時するための時計装置97(以下では、RTCともいう)を含む。サブ制御部91は、たとえば、RTC97により計時された日および時刻のうちの少なくともいずれか一方の値や、演出用スイッチ56からの検出信号などに応じて演出制御を実行可能である。電源基板101には、ホッパーモータ34b、各種の操作手段や検出手段(図4の電源基板101の右側に例示)などが接続されている。
図5は、入賞役の種類、入賞役の図柄組み合わせ、及び入賞役に関連する技術事項を説明するための図である。名称欄には、入賞役の名称を示し、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄の組合せを示している。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄の組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインに停止する図柄の組合せであって遊技者が認識しやすい図柄の組合せを示している。払出枚数欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与)を示している。BB1、BB2は、ボーナスという有利な状態への移行を伴う入賞役である。BB1、BB2の払出枚数欄には、入賞により移行されるボーナスの終了条件が示されている。ボーナスは、各々、予め定められたメダル枚数以上払出されることにより終了する。たとえば、BB1に当選・入賞して制御されるボーナスについては、当該ボーナス中に払出されたメダル枚数が351枚以上となったゲームにおいて終了する。
図6は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移の一部を説明するための図である。遊技状態欄には、入賞時に移行される遊技状態を示している。また、「/」は、「または」を示している。例えば、図6の転落リプレイの図柄の組合せは、「ベル‐リプレイ‐ベル」であり、その入賞時にはRT1に制御され、付与される価値は再遊技付与である。転落リプレイの図柄の組合せが入賞ライン上に停止したときには、無効ライン上に「リプレイ/プラム‐リプレイ‐リプレイ/プラム」が停止する。特別リプレイの図柄の組合せが入賞ライン上に停止したときには、無効ライン上に「黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR」が停止する。「黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR−黒BAR/白BAR」は、特別リプレイに当選しているときにのみ無効ライン上に停止可能であって、特別リプレイに当選していないときにはいずれのライン上にも停止されない図柄の組合せである。
再遊技役(リプレイ)は、再遊技を付与する役である。ここで、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値(たとえば、クレジット)を用いることなく次の遊技を行うことが可能であることをいう。換言すると、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値を用いることなくリール2(可変表示部)が変動表示可能となる遊技である。本実施形態では、再遊技役が当選すると、ストップスイッチ8(導出操作手段)の操作手順(操作順序、および操作タイミングのうちの少なくとも1つ)に関わらず、入賞する。なお、再遊技役は、当選したとしても、ストップスイッチ8(導出操作手段)の操作手順によっては、入賞しない役(つまり、取りこぼしのある役)であってもよい。
図7は、移行出目の図柄組合せを示す図である。また、図8は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図であり、図9は、遊技状態及びRTの概要を示す図である。図8に示すとおり、本実施形態におけるスロットマシン1は、リプレイが所定の当選確率(図9の上図の再遊技役欄の数値参照)で当選するRT0〜RT4と、小役の当選確率がRT0〜RT4中であるときよりも向上するボーナスとを含む複数種類の遊技状態のうち、開始条件が成立してから終了条件が成立するまで対応するいずれかの遊技状態に制御される(図8の矢印に沿って示した入賞役あるいは出目参照、図9の上図の開始条件・終了条件欄の参照)。
RT1〜RT4のうち、RT1およびRT3は共にメダルの払出率が低い遊技者にとって不利な遊技状態である。これに対して、RT0およびRT2は共にメダルの払出率が高い遊技者にとって有利な遊技状態である。特に、RT2はRT0よりもメダルの払出率が高い、遊技者にとってより有利な遊技状態である。RT4はボーナス当選したときに移行する遊技状態である。RT0〜RT4においては、再遊技役以外の抽選対象役である小役に当選する確率は変わらないように設定されている。
BB1、BB2のいずれかに当選したときには、RT4に制御される。BB1、BB2のいずれかが当選したときに設定される当選フラグは、当選しているBBの入賞が発生するまで持ち越される。また、RT4についても、BB当選からBB入賞発生まで継続して制御される。BB当選ゲーム終了後の次ゲームにおいて当選示唆演出が実行されてBB当選している旨が報知されて、遊技者はBB1あるいはBB2に当選したことを把握することができる。RT4中においては、RT0およびRT2中よりも低く、RT1およびRT3中と同じ確率(図9の上図の再遊技役欄の数値参照)でリプレイに当選する。なお、RT4におけるリプレイ確率は、当選した小役を取りこぼすことなく入賞させることができたとしても、払出率が1を超えない確率に設定されている。つまり、RT4におけるリプレイ確率は、RT4中に当選した小役を取りこぼすことなく入賞させた場合に払出されるメダルの合計枚数が、RT4中においてメダルあるいはクレジットを賭数の設定に用いたメダルの合計枚数を超えず、メダルが増加しない確率に設定されている。RT4中においてBB入賞が発生すると、ボーナスに制御されて、図5を用いて説明したメダル枚数以上払出されることによりボーナス終了となり、RT3へ制御される。内部抽選されるリプレイの種類は、RTの種類毎に定められている(図9の下図の丸印が抽選されるリプレイを示す)。
なお、BBが他の抽選対象役と同時当選している場合は、BB以外の抽選対象役が優先的に入賞するようにリール制御される。そのため、RT4において小役または再遊技役に当選する確率が高い場合は、BB入賞が発生しにくく、ボーナスに移行しにくくなる。そこで、RT4においては、再遊技役に当選する確率がRT0またはRT2に比べて低くなるように設定されている(図9参照)。これにより、RT4においては、BBに単独で当選しやすく、いつまでもボーナスに移行できないということが起こりにくくなっている。
図8に示すとおり、RT0〜RT3へは、出目によって移行する。入賞役の当選確率を設定するための設定変更を終えた直後の遊技状態はRT3である。RT3からRT1へは移行出目の導出により移行する。移行出目は図7に示されている出目のいずれかであり、いわゆるはずれ出目である。これらの移行出目は、図14に示す左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4が当選し、右下がりベルあるいは中段ベルの入賞条件となるリール以外を第1停止とし、かつ当選している上段ベルを取りこぼした場合に、入賞ラインLNに揃う出目である。
RT1からRT0へは昇格リプレイの入賞により移行する。昇格リプレイの出目は図6に示されている昇格リプレイ1,2の図柄の組合せのいずれかである。RT0からRT2へは特殊リプレイの入賞により移行する。特殊リプレイの出目は図6に示されている特殊リプレイの図柄の組合せのいずれかである。RT2において移行出目が出るとRT1に戻る。また、RT0において移行出目が出るか、または転落リプレイが入賞すると、RT1に戻る。
したがって、遊技者は、現状の有利な遊技状態に留まるか、あるいはより有利な状態へ移行するために、出目に注意を払う必要がある。ところが、昇格リプレイ、特殊リプレイ、転落リプレイのいずれが導出されるかが、内部当選状況のみならず、リール2L,2C,2Rの停止順によって変化する。つまり、現状の有利な遊技状態に留まることができるか、より有利な状態へ移行できるか、あるいは不利な遊技状態へ転落するかが、ストップスイッチ8L、8C、8Rの押順によって決まる。本実施の形態に係るスロットマシンは、遊技者にとって有利となる押順を報知する機能を備えている。そのような報知のための演出をナビ演出という。また、ナビ演出が行われる期間をアシストタイム(AT)という。ATは、遊技者にとって有利な状態の一例である。
ここで、RT0〜RT3におけるゲームの流れを説明する。設定変更状態の終了後、RT3に制御される。設定変更状態とは、入賞役の当選率の設定値を変更することができる状態をいう。スロットマシン1では、設定キースイッチ(図示省略)を操作することによって、当選率の設定値を変更可能となる。RT3では、非ATとなり、ナビ演出が実行されない。このため、RT3において左ベル1〜4などのベルのうちの何れかに当選すると、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出され(図14参照)、遊技状態がRT1に移行する。RT1では、昇格リプレイに入賞することにより、RT0に移行する。昇格リプレイに入賞するためには、昇格リプレイに対応するリプレイGR1〜6(図13参照)に当選する必要があることのみならず、役毎に予め定めた操作手順(図13参照)でリール2L,2C,2Rを停止操作する必要がある。
また、RT0に制御された場合でも、移行出目が出るか、あるいは転落リプレイが出ると、RT1に戻ってしまう。RT0において、転落リプレイは、リプレイGR11〜13に当選したとき(図11参照)、転落リプレイを回避する押順を知らない限り、2/3の確率で転落リプレイが入賞する(図13参照)。また、移行出目を回避することにも注意が必要である。左ベル1〜4などのベルのうち何れかに当選した場合において、所定のリール(図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止されたときには、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出されてしまう。
RT0からRT2へ昇格するためには、特殊リプレイの導出が必要である。RT0では、リプレイGR21〜23に当選する可能性があり(図11および図13参照)、このときに、所定のリール(図13に示す特殊リプレイを入賞させるためのリール)を第1停止すると特殊リプレイを入賞させてRT2に昇格できる。しかし、RT2では、RT1への降格の契機となる移行出目に注意を払う必要がある。左ベル1〜4などのベルのうち何れかに当選したときには、所定のリール(図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止されたときには、第2停止と第3停止のタイミングによっては移行出目が導出される。その結果、非AT中のときの遊技の大部分は、RT1において消化されることとなる。
ATは、これらの遊技状態の移行に大きな影響を与える。RT1では、リプレイGR1〜6の何れかに当選したときに(図13参照)、昇格リプレイを入賞させるためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、昇格リプレイを入賞させてRT0に移行させることができる。RT0では、リプレイGR11〜13の何れかに当選したときに(図13参照)、通常リプレイを入賞させるためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、通常リプレイ入賞によりRT0を維持することができる。また、RT0では、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4のうち何れかに当選したときに、右下がりベルまたは中段ベルを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行される。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、移行出目の導出を回避させてRT0を維持させることができる。さらに、RT0では、リプレイGR21〜23(図13参照)の何れかに当選したときに、特殊リプレイを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行され得る。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、特殊リプレイ入賞によりRT2に移行させることができる。
RT2では、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4のうち何れかに当選したときに、右下がりベルまたは中段ベルを入賞させるための操作手順を特定するためのナビ演出が実行される。このため、ナビ演出に従って停止操作を行うことにより、移行出目の導出を回避させてRT2を維持させることができる。
このように、AT中であるときには、RT2に制御されるように、かつRT2が維持されるように、ナビ演出が実行されるため、AT中であるときの遊技の大部分は、RT2において消化されることとなる。なお、ATはATゲーム数が0になると終了する。ATのゲーム数は、RT2+AT(本実施の形態では、遊技者にとって有利なRT2においてATに制御されている状態を、特に、アシストリプレイタイム(以下、ARTという)と呼ぶ。)に制御することが可能になったゲームの次ゲーム、すなわちRT0でリプレイGR21〜23のいずれかに当選し、特殊リプレイが入賞可能となったゲームの次ゲームからカウント開始される。これにより、実質的にはARTでATゲーム数分のゲームを消化するとATが終了する。そして、ATの終了によりARTが終了することとなる。
ARTが終了した後においてはナビ演出が実行されなくなるが、移行出目が導出するまでRT2への制御が維持される。しかし、ARTが終了した後のRT2中は、非AT中であるため、前述したように所定のリール(図14に示す右下がりベルあるいは中段ベルを入賞させるためのリール)以外が第1停止される。その結果、ARTが終了した後のRT2中においては、ARTが終了してから極めて早い段階で移行出目が停止することによりRT1に移行される。
図10および図11は、遊技状態毎に抽選対象役(以下、当選役ともいう)として読み出される抽選対象役の組合せを示す図である。抽選対象役欄には、その名称を示し、遊技状態欄には、RTの種類毎に、丸印でその抽選対象役が抽選対象であることを示し、丸印の下の数値により当選確率にかかわる判定値数を示している。例えば、ベルは、RT0〜RT3いずれかの状態において、360/65536で当選する抽選対象役である。RT4中は、ボーナス抽選されないが、ボーナスと同時当選し得る入賞役(以下では、同時当選役ともいう)の当選確率が他のRT中と同確率となるように、同時当選役であるベルや弱スイカについては括弧内に示す判定値数で内部抽選が行われる。
図11に示すように、特別リプレイは、RT2に制御されているときにのみ抽選対象役となるように定められている。また、ボーナス中においては、たとえば、中段ベルが抽選対象役に設定されており、極めて高い確率(64000/65536)で当選するように定められている。また、中段ベルは、操作タイミングにかかわらず入賞を発生し得る役である。このため、ボーナス中においては、操作タイミングおよび操作手順にかかわらず、極めて高い確率で中段ベル入賞を発生させることができ、メダル枚数を効率的に増加させることができる。このため、ボーナスは、遊技者にとって有利な状態である。
図12は、抽選対象役に含まれる入賞役の組合せを示す図である。例えば、弱チェリーは、下段チェリーである。弱スイカは、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとを含む。よって、内部抽選で弱スイカに当選したときには、右下がりスイカと、上段スイカと、中段スイカとに当選したことになる。
抽選対象役のうちボーナス1〜ボーナス12は、BB1またはBB2と弱チェリーやベルなどの所定の入賞役が同時に読み出されて当選し得る役である。また、図10で示したように、ボーナス1〜ボーナス12は、異なる判定値数が定められている。このため、遊技者にとっての有利度であって、同時当選役に当選したときにBB1またはBB2が実際に同時当選している割合(以下、信頼度ともいう)が、ボーナス6や12などに含まれる中段チェリーが最も高く、続いて、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカの順となり、ベル(以下、中段ベルともいう)が最も低くなるように、判定値数が定められている。
図13および図14は、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明するための図である。当選した抽選対象役毎に、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに、その右の停止する図柄組合せに示す入賞役の図柄組合せを入賞ラインLNに停止させるリール制御が行なわれる。例えば、リプレイGR1が当選したときにおいて、押し順が左中右であるときは、昇格リプレイ1が導出されて、押し順が左中右以外であるときは通常リプレイが導出される。また、例えば、左ベルが当選したときにおいて、押し順が左第1停止であるときは、右下がりベルが導出されて、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルまたは移行出目が導出される。
また、同時当選役に当選しているときには、当該同時当選役に当選していないときと異なるリール制御が行われ得る。たとえば、弱スイカに当選しているときには、中段スイカよりも右下がりスイカあるいは上段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われるのに対し、強スイカに当選しているときには、右下がりスイカおよび上段スイカのいずれよりも中段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。また、弱チェリーあるいは強チェリーが当選しているときには、下段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われ、中段チェリーが当選しているときには、中段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。これにより、リール2L〜2Rが停止したときの図柄の組合せから、チェリーかスイカか、弱か強か、あるいは、中段チェリーか否かなどを推定可能となり、ボーナス当選に対する期待感を異ならせることができる。
[ゲーム処理]
メイン制御部41は、ゲーム制御処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム制御処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。
賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、所定の乱数回路から乱数値を抽出し、当該抽出した乱数値に基づいて入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理(図10〜図12など参照)が行われる。乱数回路は、所定の数値範囲(0〜65535)内の数値を所定の更新規則にしたがって更新する。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたときに乱数回路が更新している数値を乱数値として抽出する。内部抽選において抽選対象役に当選したときには、当該抽選対象役に含まれる入賞役の当選フラグがRAMの所定領域に設定される。たとえば、BB1に当選したときには、BB1当選フラグが設定され、強チェリーに当選したときには、下段チェリーの当選フラグと、1枚役の当選フラグとが設定される。BB1、BB2の当選フラグについては、当選したBBに入賞するまで持ち越される一方、BB1、BB2以外の入賞役に対応する当選フラグは、入賞の発生の有無にかかわらず、当選したゲームが終了したときに消去される。
内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(例えば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L〜2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L〜8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる(図13、図14など参照)。リール回転処理では、所定のフリーズ条件が成立しているときに、ゲームの進行を所定期間に亘って遅延(ストップスイッチ8L〜8R各々の停止操作の有効化を遅延)させるフリーズ演出を実行するためのフリーズ演出処理を実行した後に、ストップスイッチ8L〜8Rを有効化して通常ゲームに移行させる。
リール2L〜2Rが停止してリール回転処理が終了すると、入賞ライン上の図柄組合せに基づいて入賞などが発生したか否かを判定する入賞判定処理(図5〜図7など参照)が行われる。また、入賞ライン上の図柄組合せに応じて、図8で示した状態に制御する。
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる。払出処理では、入賞の発生に応じてメダルの払出しまたはクレジット加算や、入賞に関わらない各種の処理(たとえば、ボーナス中のメダル払出枚数を計数してボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグ(小役・再遊技役等の当選フラグ)の消去など)が行われる。また、BB1、BB2のいずれかに入賞したと判定されたときには、入賞したBBの当選フラグを消去する。ゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理(図8、図9など参照)を実行する。これにより、1ゲーム分のゲーム制御処理が終了し、次の1ゲーム分のゲーム制御処理が開始する。
[設定値の設定]
スロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わる。詳しくは、設定値に応じて、内部抽選で用いる当選確率を決定することにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値に応じて当選確率が変化することを設定差あり、設定値に応じて当選確率が変化しないことを設定差なしとも言う。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も当選確率の有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど当選確率の有利度が段階的に低くなる。
ここで、図4を参照して、設定値の変更操作を説明する。設定値を変更するためには、スロットマシン1の前面扉1bを開放し、内部に設けられた設定キースイッチ37を店員等の管理者がon状態としてからスロットマシン1の電源をonする。すると、設定値表示器24に設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態となる。ここで、リセット/設定スイッチ38を操作することで、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新される。所望の設定値とした後に、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。設定キースイッチ37がoffされると、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納され、前面扉1bを閉鎖すると遊技の進行が可能な状態に移行する。
このように、「電源ON」+「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定変更状態に移行させるようにすることで、前面扉が開放されていない状態での不正な設定変更を防ぐことができる。また、一旦設定変更状態に移行された後は、設定変更状態を終了させる終了条件(設定値確定後に設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定変更状態が維持される。これにより、設定変更状態中に前面扉が閉まっても設定変更状態を終了させないため、再度設定変更状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
複数種類の抽選対象役のうちには、設定値に関わらず当選確率が変化しない役が存在する。その役は、たとえば、AT抽選対象役である強チェリー、強スイカ、弱チェリー、および弱スイカは、設定値に関わらず当選確率が変化しない。このように、遊技者にとっての有利度合いが高い状態への移行を決定するための抽選対象役は設定値に関わらず当選確率が変化しない。メイン制御部41は、このような抽選対象役に当選したことを契機として、遊技者にとっての有利度合いが高い状態へ移行させるか否かを決定するための乱数抽選を行う。このような乱数抽選を有利期間作動抽選ともいう。また、有利期間作動抽選の当選確率も設定値によって変化しない。
設定値に応じて内部抽選の当選確率を変化させ設定値に応じて有利区間作動抽選の当選確率を変化させないもの、設定値に応じて内部抽選の当選確率を変化させず設定値に応じて有利区間作動抽選の当選確率を変化させるもの、設定値に応じて内部抽選の当選確率を変化させるとともに設定値に応じて有利区間作動抽選の当選確率をも変化させるもの、のいずれかが行われるものであってもよい。
[ATの制御について]
ここで、ATの制御を説明する。メイン制御部41は、ボーナスやRT2などの有利な遊技状態とは異なるATに制御可能である。ATとは、既に説明したとおり、遊技者にとって有利な図柄の組合せを入賞ラインLN上に停止させるための操作態様(押し順)を特定可能なナビ演出が実行される期間であって、遊技者にとって有利な状態である。たとえば、リプレイGR1(図13参照)が当選しているゲームにおいて、「123!」といった昇格リプレイを入賞させる手順を液晶表示器51に表示することによってナビ演出が行なわれる。ただし、ATとして、目押しすべき図柄を教える演出、あるいは、目押しのタイミングを教える演出を採用してもよい。すなわち、ATの概念は、押順の報知に限られるものではない。
ATの制御に関する抽選は、非AT中とAT中とで異なる。非AT中に実行される抽選を“AT抽選”と称し、AT中に実行される抽選を“上乗せ抽選”と称する。メイン制御部41は、非AT中において、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカのうちのいずれかに当選したことを条件に、AT抽選を実行する。AT抽選の契機となるこれらの役を“AT抽選対象役”という。AT抽選では、0を含む複数種類の中からナビストックの数が抽選される。ナビストックとは、ATに制御するゲーム数の単位であり、本実施の形態では、1ナビストックは50ゲームに対応する。なお、ナビストック数=0は、実質的に非当選、すなわち、AT制御しないという結果に対応する。
AT抽選によって得られたナビストック数は、AT制御の権利としてストックされて、ナビストックの単位でAT制御が実行される。このため、ナビストック数は、ATに制御される権利の数を示すことになり、このナビストック数を多く保有すればするほど、長い期間に亘りATに制御される。たとえば、ナビストック数が2であれば、ATが50ゲーム継続した後に、再び、次のナビストックに基づいて50ゲームのATが実行される。
メイン制御部41は、AT中において、ATの上乗せ抽選を実行する。上乗せ抽選の契機は、AT抽選の契機と同じである。すなわち、AT抽選対象役である、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカのいずれかが当選したことを条件に、上乗せ抽選が実行される。上乗せ抽選に当選した場合には所定数のゲームがATのゲームとして上乗せされる。たとえば、ナビストックを2つ所有している状況において、1つ目のナビストックの残り10ゲームの段階で上乗せ抽選によって20ゲームが上乗せされる場合には、本来、残り10ゲームで1つ目のナビストックが消化されてしまうところ、その残りゲーム数が30ゲームに変更される。その結果、1つ目のナビストックに基づくATの制御が延長され、2つ目のナビストックに基づくATの制御が後ろ倒しになる。
AT抽選および上乗せ抽選において当選する確率は、AT抽選対象役に応じて異なる。前述のように、遊技者は、リール2L〜2Rが停止したときの図柄の組合せから、チェリーかスイカか、強か弱か、あるいは中段チェリーか否かなど、いずれの抽選対象役が当選しているかを推定することができる。そのため、遊技者はリール2L〜2Rが停止したときの図柄の組合せからいずれのAT抽選対象役に当選しているかを推定することができるとともに、その推定結果から、AT抽選および上乗せ抽選に当選している確率を予測することができる。よって、リール2L〜2Rが停止したときの図柄の組合せから、AT抽選および上乗せ抽選で当選することに対する異なる期待感を遊技者に与えることができる。
[AT抽選処理]
図15に示すAT抽選テーブルを用いて、AT抽選処理について詳細に説明する。AT抽選処理は、1ゲームの進行において予め定められたタイミングで実行されるものであればよく、たとえば、内部抽選処理において内部抽選が行われた後に実行されるようにしてもよい。メイン制御部41は、AT抽選処理において、ナビストックを保有しているか否かを判定する。メイン制御部41は、ナビストックを保有していると判定した場合は、AT中であることから、AT抽選処理を終了する。メイン制御部41は、ナビストックを保有していないと判定した場合は、AT中ではないことから、AT抽選対象役である中段チェリー、強チェリー、弱チェリー、強スイカ、弱スイカのうちのいずれかのAT抽選対象役に当選したか否かを判定し、AT抽選対象役に当選していないと判定した場合は、AT抽選処理を終了する。
メイン制御部41はAT抽選対象役に当選していると判定した場合は、図15に示すAT抽選テーブルに示す当選確率に従って、AT抽選を行う。たとえば、中段チェリーに当選している場合は、30%の確率でナビストックを付与しないと決定し、35%の確率で1つのナビストックを付与すると決定し、20%の確率で2つのナビストックを付与すると決定し、15%の確率で1つのナビストックを付与すると決定する。ここで、ナビストックを付与しないと決定するということは、非AT中であれば、ATに制御しないことを決定するということである。
メイン制御部41は、AT抽選を行った後、AT抽選においてナビストックを付与しないと決定した場合は、AT抽選に当選しなかったことを示すAT抽選時コマンドをサブ制御部91に送信して、AT抽選処理を終了する。メイン制御部41は、AT抽選においてナビストックを付与すると決定した場合は、AT抽選に当選したことおよび決定したナビストック数を示すAT抽選時コマンドをサブ制御部91に送信するとともに、決定したナビストック数をRAMの所定領域に記憶する。
メイン制御部41は、AT中において、ATゲーム数が上乗せされる確率が高い高確状態と、ATゲーム数が上乗せされる確率が高確率状態のときよりも低い低確状態とに制御可能である。そこで、メイン制御部41は、ナビストック数を記憶した後、高確状態および低確状態のうちのいずれの状態でATに制御するかを決定する状態決定処理を行い、AT抽選処理を終了する。
図15に示すように、ナビストックを付与すると決定される割合は、当選した抽選対象役の種類に応じて異なるように定められており、中段チェリー>強チェリー=強スイカ>弱チェリー=弱スイカとなるように定められている。また、付与されるナビストック数の期待値についても、中段チェリー>強チェリー=強スイカ>弱チェリー=弱スイカとなるように定められている。
このように、内部抽選により当選した抽選対象役の種類によって、ATに制御するという特典が付与される確率が異なるため、遊技の興趣が向上する。また、ATに制御する期間に相当するナビストック数という特典の期待値についても、内部抽選により当選した抽選対象役の種類によって異なるため、遊技の興趣が向上する。
図15に示すように、強チェリーに当選したときと強スイカに当選したとき、または弱チェリーに当選したときと弱スイカに当選したときとでは、ナビストックを付与すると決定される割合および付与されるナビストックの期待値が等しい。また、図10に示すように、判定値数は強チェリーと強スイカとで等しく、また、弱チェリーと弱スイカとで等しい。
このように、強チェリーに当選したときおよび強スイカに当選したとき、または、弱チェリーに当選したときおよび弱スイカに当選したときで、同じ確率でATに制御するという特典が付与され、かつ、ATに制御する期間に相当するナビストック数という特典の期待値も等しいため、強チェリーに当選したときと強スイカに当選したときとで、AT抽選を統一することができ、メイン制御部41の処理負担を削減することができる。
また、前述のように、ATへ移行するか否かを決定するAT抽選対象役は設定値に関わらず当選確率が変化しない役である。すなわち、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカは設定値に関わらず当選確率が変化しない。
このように、設定値に関わらず、AT抽選対象役に当選する確率が等しいため、仕様を設計する際に設定値ごとにAT抽選対象役に当選する割合を変えて設計する必要がなく、設計時の作業負担を軽減させることができる。
[状態決定処理]
メイン制御部41は、AT抽選処理において、ナビストックを付与すると決定した場合は、ATに制御する間、ATゲーム数が上乗せされる確率が高い高確状態およびATゲーム数が上乗せされる確率が高確率状態のときよりも低い低確状態のうちのいずれの状態に制御するかを決定する状態決定処理を行う。図16に示す、状態決定処理について、状態決定用テーブルを用いて説明する。メイン制御部41は、ナビストックを1つ消化する期間に亘って、高確状態または低確状態に制御する。ここで、ナビストックを1つ消化することは、すなわち、50ゲームに亘るATの制御が終了することを意味する。メイン制御部41は、ナビストックを1つ消化する期間においては、他の遊技状態への移行は行わない。すなわち、現在が高確状態であれば、その高確状態が維持され、現在が低確状態であれば、その低確状態が維持され、高確状態と低確状態との間での状態の移行は発生しない。したがって、仮に、ナビストックに基づくATの進行中にATゲーム数が上乗せされたとしても、その上乗せされたATゲーム数を含んで提供されるナビストックのすべてのATゲームが終了するまでの間は、現在の状態(低確状態または高確状態)が維持される。すなわち、AT期間においては高確状態と低確状態との間での一方から他方への移行は発生しない。
図16中の高確とは高確状態を示しており、低確とは低確状態を示している。また、右向き矢印は1つのナビストックが消化され、次のナビストックの消化に移ることを示しており、たとえば、「“高確”“右向き矢印”“低確”」とは、1つ目のナビストックを消化する間は高確状態に制御し、次のナビストックを消化する間は低確状態に制御することを示している。
メイン制御部41は、状態決定処理において、付与されたナビストックの数に応じて異なる状態決定用テーブルを用いて、ATに制御する間の状態を決定する。AT抽選により1つのナビストックを付与すると決定された場合は、図16(A)に示す状態決定用テーブルを用いて、ATに制御されている間の状態が決定される。AT抽選により2つのナビストックを付与すると決定された場合は、図16(B)に示す状態決定用テーブルを用いて、ATに制御されている間の状態が決定される。AT抽選により3つのナビストックを付与すると決定された場合は、図16(C)に示す状態決定用テーブルを用いて、ATに制御されている間の状態が決定される。
メイン制御部41は、図16に示す状態決定用テーブルを用いてATに制御する間の状態を決定した後、状態決定処理において決定したナビストック消化中にいずれの状態に制御するかに関する情報をRAMの所定領域に記憶し、状態決定処理を終了する。
[AT制御処理]
メイン制御部41は、ATに制御するためのAT制御処理を行う。AT制御処理は、1ゲームの進行において予め定められたタイミングで実行されるものであればよく、たとえば内部抽選処理において内部抽選が行われた後に実行されるようにしてもよい。本実施形態においては、RT0〜RT3のうちのいずれかに制御されているときにATに制御される。つまり、ボーナスに当選しているとき、および、ボーナス中はATに制御されない。
メイン制御部41は、AT制御処理において、いずれの遊技状態に制御されているかを判定し、ボーナスに当選している状態であるRT4中、またはボーナス中であると判定した場合は、AT制御処理を終了する。メイン制御部41は、RT0〜RT4のうちのいずれかに制御されていると判定したときは、ATの残りゲーム数が0でないか否かを判定する。ATの残りゲーム数が0でないか否かは、RAMの所定領域に記憶されているATゲーム数に基づいて判定される。メイン制御部41は、ATの残りゲーム数が0であるときは、ナビストックが残っているか否かを判定し、ナビストックが残っていないと判定したときは、AT制御処理を終了する。ナビストックが残っているか否かは、RAMの所定領域に記憶されているナビストック数に基づいて判定される。メイン制御部41は、ナビストックが残っているときは、残っているナビストックを消化してATを継続させるべく、ATゲーム数として50ゲームをRAMの所定領域に記憶する。メイン制御部41は、AT中は、1ゲームを消化する毎にATゲーム数を1減算する。また、メイン制御部41は、AT中は、上乗せ抽選処理においてATゲーム数を上乗せする場合には、現在、消化しつつあるナビストックの残りのATゲーム数に対して、上乗せ分のATゲーム数を加算する。
メイン制御部41は、ATの残りゲーム数が0でないと判定したとき、AT中であることと、残りのATゲーム数と、現在の状態が高確状態であるか低確状態であるかを示す情報とを含むAT中コマンドをサブ制御部91に送信する。メイン制御部41は、ATの残りゲーム数が0、かつ、ナビストックが残っていると判断したとき、新たなATが継続されることと、残りのATゲーム数=50と、現在の状態が高確状態であるか低確状態であるかを示す情報とを含むAT中コマンドをサブ制御部91に送信する。
[上乗せ抽選処理]
図17に示す、上乗せ抽選テーブルを用いて、上乗せ抽選処理を説明する。メイン制御部41は、上乗せ抽選処理において、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、中段チェリーのうちのいずれかの抽選対象役に当選したか否かを判定する。メイン制御部41は、いずれの抽選対象役にも当選していないと判定した場合、上乗せ抽選処理を終了する。メイン制御部41は、いずれかの抽選対象役に当選していると判定した場合、高確状態であるか、または低確状態であるかに応じて異なる確率で上乗せ抽選を行う。高確状態であるか、低確状態であるかは、RAMの所定領域に記憶された情報に基づいて判定する。また、メイン制御部41は、弱スイカ、強スイカ、弱チェリー、強チェリー、中段チェリーのうちのいずれの抽選対象役に当選したかに基づいて上乗せ抽選を行う。たとえば、高確状態であって、中段チェリーに当選した場合は、80%の確率で上乗せ抽選に当選する。
メイン制御部41は上乗せ抽選に当選したときは、上乗せするATゲーム数を決定する。メイン制御部41は、決定したATゲーム数をRAMの所定領域に記憶されているATゲーム数に加算する。これにより、現在、消化しつつあるナビストックの残りゲーム数が上乗せされる。さらに、メイン制御部41は、上乗せ抽選に当選したか否かおよび上乗せするATゲーム数を特定可能な上乗せ抽選時コマンドをサブ制御部91に送信して上乗せ抽選処理を終了する。
図17に示すように、上乗当選確率は、高確率状態と低確率状態とのいずれの状態に制御されているか、および、当選した抽選対象役の種類に応じて異なるように定められている。具体的には、高確状態に制御されているときの方が、高い確率で上乗抽選に当選するため、高確状態の方が低確状態よりも遊技者にとって有利な状態である。また、上乗当選確率は、中段チェリー>強チェリー=強スイカ>弱チェリー=弱スイカとなるように定められている。このように、内部抽選により当選した抽選対象役の種類によって、ATに制御する期間が加算されるという特典が付与される確率が異なるため、遊技の興趣が向上する。
また、上乗せされるATゲーム数の期待値は、中段チェリー>強チェリー=強スイカ>弱チェリー=弱スイカとなるように定められている。このように、内部抽選により当選した抽選対象役の種類によって、ATに制御する期間に相当するATゲーム数という特典の期待値が異なるため、遊技の興趣が向上する。
図17に示すように、強チェリーに当選したときと強スイカに当選したとき、または弱チェリーに当選したときと弱スイカに当選したときとでは、上乗せ抽選に当選する確率と上乗せされるATゲーム数の期待値は等しい。また、図10に示すように、判定値数は強チェリーと強スイカとで等しく、また、弱チェリーと弱スイカとで等しい。
このように、強チェリーに当選したときおよび強スイカに当選したとき、または、弱チェリーに当選したときおよび弱スイカに当選したときで、同じ確率で上乗せ抽選に当選するため、強チェリーに当選したときと強スイカに当選したときとで、上乗せ抽選を統一することができ、メイン制御部41の処理負担を削減することができる。
また、前述のように、ATへ移行するか否かを決定する抽選対象役は設定値に関わらず当選確率が変化しない役である。ここで、ATへ移行するか否かを決定する抽選対象役とはAT抽選対象役である。よって、中段チェリー、強チェリー、強スイカ、弱チェリー、弱スイカは設定値に関わらず当選確率が変化しない。
このように、設定値に関わらず、AT抽選対象役に当選する確率が等しいため、仕様を設計する際に設定値ごとにAT抽選対象役に当選する割合を変えて設計する必要がなく、設計時の作業負担を軽減させることができる。
[各種コマンドについて]
メイン制御部41は、上記に例示した処理の実行に応じた遊技の進行状況および処理結果を特定可能なコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて、各種処理を行う。
本実施形態では、メイン制御部41がサブ制御部91に対して、内部当選コマンド、押し順コマンド、ストップスイッチやスタートスイッチの操作コマンド、遊技状態コマンド、AT抽選時コマンド、AT中コマンド、上乗せ抽選時コマンドなどを含む複数種類のコマンドを送信する。
内部当選コマンドは、内部抽選の結果に応じて当選した抽選対象役が属するグループを特定可能なコマンドである。内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始されたときに送信される。サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信することにより、スタートスイッチ7の操作、および当選した抽選対象役が属するグループを特定可能である。
押し順コマンドは、内部抽選において当選した抽選対象役に応じて、遊技者にとって有利となる図柄組合せを停止させるための操作手順(正解手順ともいう)を特定可能なコマンドである。押し順コマンドは、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始されたときに送信される。AT中においては、正解手順を特定可能な押し順コマンドが送信されるのに対して、非AT中においては、正解手順を特定可能な押し順コマンドは送信されず、正解手順を特定不可能な押し順コマンド(たとえば、当選役に関わらず共通手順を特定可能な押し順コマンド)が送信されるか、あるいは何らの押し順コマンドも送信されない。このため、サブ制御部91は、AT中においては押し順コマンドを受信することにより、正解手順を特定可能となる一方で、非AT中においては正解手順を特定できないようになっている。
ストップスイッチやスタートスイッチの操作コマンドはストップスイッチやスタートスイッチが操作されたことを示すコマンドであり、各操作時に送信される。遊技状態コマンドは遊技状態が移行したときに送信される。具体的にはRTが移行したときやボーナスに制御されたときに送信される。
AT抽選時コマンドは、AT抽選が行われたときに送信され、AT抽選に当選したか否か、付与されたナビストック数がいくつであるか、および、AT中に高確状態と低確状態のうちのいずれの状態に制御されるかなどを特定可能なコマンドである。
AT中コマンドは、ゲームが開始したときに送信され、当該ゲームがAT中におけるゲームであるか否か、残りのATゲーム数、残りのナビストック数、現在が高確状態であるか低確状態であるかを特定可能なコマンドである。上乗せ抽選時コマンドは、上乗せ抽選が行われたときに送信され、上乗せ抽選に当選したか否かおよび上乗せされるATゲーム数を特定可能なコマンドである。
[AT中の演出について]
AT中にメイン制御部41およびサブ制御部91が実行する演出を説明する。AT中にメイン制御部41は、リールの停止順を識別可能な情報を遊技補助表示器12に表示する。サブ制御部91は、液晶表示器51にリールの停止順を指示するナビ演出の画像(図示省略)と、残りのATゲーム数を特定可能な画像(図18(A)では「35G」と表示)と、高確状態および低確状態のうちのいずれの状態であるかを示唆する画像とを表示する。たとえば、リプレイGR2の当選時には、昇格リプレイを入賞させるための押し順である「左、右、中」を特定可能な情報として「2」が遊技補助表示器12に表示されるとともに、液晶表示器51には、「左、右、中」の順でストップスイッチ8を操作することを特定可能な画像が表示される。また、高確状態を示唆する画像とは、日中であることを示す背景画像(図18(A)参照)であり、低確状態を示唆する画像とは、夜中であることを示す背景画像(図18(D)参照)である。
[上乗せ抽選時の演出について]
図18を用いて、上乗せ抽選時の演出を説明する。図18は、上乗せ抽選時の演出の一例を示す図である。図18に示すように、AT中は液晶表示器51の左上の表示領域に残りのATゲーム数が表示される(図18(A)では「35G」と表示)。ここで、残りのATゲーム数とは、残り何ゲームで1つのナビストックが消化されるかを示す情報である。サブ制御部91は、一つのナビストックを消化する度に、ATに継続して制御するか否かを示唆する演出を液晶表示器51を用いて実行してもよい。
図18は、AT中の1ゲームの間に実行される液晶表示器51を用いた演出を説明するための演出図面であって、高確状態に制御されているときの演出図面である。図18(A)は、BET処理が完了し、スタートスイッチ7への操作を受付けることが可能な状態における演出図面である。図18(A)においては、日中を示す第1背景が液晶表示器51の表示画面に表示されている。第1背景は低確状態に制御されているときに選択されやすい画像であって(図19参照)、低確状態に制御されていることを示唆する画像である。
図18(B)は、AT中に上乗せ抽選が行われた場合に表示される演出画面である。この演出画面は、上乗せ抽選が行われたゲームにおいて、すべてのリールが停止した後に表示される。上乗せ抽選が行われると、上乗せ抽選に当選したか否かを報知するための上乗せ報知演出としてボタン演出が実行され得る。図18(B)は、そのようなボタン演出の画面を表している。
ボタン演出とは、ボタン画像を表示させて演出用スイッチ56(図1参照)への操作を促し、演出用スイッチ56への操作に応じて上乗せ抽選に当選したか否かを示す所定画像を表示させる演出である。図18(B)に示す演出用スイッチ56への操作を促す画像が表示された後、演出用スイッチ56への操作がされると、上乗せ抽選に外れているときには、上乗せ抽選に当選しなかったことを示す画像として、図18(C)に示すような「残念」という文字画像が表示される。なお、上乗せ抽選に当選したときには、「やったね」という文字画像が表示される。上乗せ抽選に当選しなかったことを示す画像が表示された後、次のゲームが開始したときは、図18(D)に示すように第1背景とは異なる夜中を示す第2背景に切替わる場合と、図18(E)に示すように背景が切替わらない場合とがある。第2背景は低確状態のときよりも、高確状態のときの方が選択されやすい画像であって(図19参照)、高確状態に制御されていることを示唆する画像である。
ただし、背景が切り替わる場合および背景が切り替わらない場合のいずれであっても、1つのナビストックに基づいたAT制御が継続している間は、現在の状態(高確状態、および低確状態のいずれか)が維持される。したがって、たとえば、高確状態で1つのナビストックに基づいたAT制御が継続しており、しかも、そのときの背景画像が低確状態に対応する第1背景(図18(A)参照)であるとき、図18(C)の残念画面が表示された後、背景が高確状態を示唆する第2背景に切り替わったとしても(図18(D)参照)、実際の状態は高確状態が維持されることになる。したがって、高確状態で上乗せ抽選に外れた場合であっても、背景を第2背景に切り替えることで、上乗せ抽選に外れたことによって遊技者が気落ちしてしまうことを防止でき、遊技の興趣が低下しないようにすることができる。しかも、実際には、状態の移行を伴っていないため、その際に状態を実際に移行させる制御をも行う場合と比較して、スロットマシンの処理負担を軽減できる。
[背景決定処理]
サブ制御部91は、AT中に液晶表示器51に表示する背景を決定するための背景決定処理を実行する。サブ制御部91は、背景決定処理により、次のゲームにおいて表示する背景を決定し、背景決定処理により決定した背景を次のゲームが開始したときに液晶表示器51に表示する。ゲームが開始したときとは、スタートスイッチ7が操作されたタイミングのことをいう。つまり、背景は、スタートスイッチ7が操作されたタイミングで表示される。しかしながら、これに代えて、再遊技役に入賞した場合はスタートスイッチを操作したときに背景を表示し、再遊技役に入賞しなかった場合には1以上の賭け数が設定されたときに背景を表示するようにしてもよい。
サブ制御部91は、背景決定処理により、ATへの制御を開始するとき、および、ナビストックが消化され次ゲームから次のナビストックに基づいてATへの制御を行うときはいずれの背景を表示するかを決定し、上乗せ抽選が行われたときは背景を異なる背景に切り替えるか否かを決定する。サブ制御部91は、背景決定処理において、AT中であるか否かを判定する。AT中であるか否かはAT中コマンドを受信したか否かに基づいて判定される。サブ制御部91は、AT中ではないと判定したときはAT抽選に当選したか否かをAT抽選時コマンドに基づいて判定する。サブ制御部91は、AT抽選時コマンドを受信していないとき、および、AT抽選に当選していないと判定したときは背景決定処理を終了する。
サブ制御部91はAT抽選に当選していると判定したときは、図19に示す背景選択テーブルに基づいてATを開始するときに液晶表示器51に表示する背景を決定する。サブ制御部91は、AT抽選時コマンドに基づいて、AT開始時に高確状態と低確状態とのうちのいずれの状態に制御されるかを判定し、低確状態に制御されると判定したときは、図19(A)に示す背景選択テーブルを用いて背景を決定し、高確状態に制御されると判定したときは、図19(B)に示す背景選択テーブルを用いて背景を決定する。たとえば、低確状態に制御されると判定されたときは、90%の確率で第1背景が、10%の確率で第2背景が選択される。サブ制御部91は、AT開始時の背景を決定した後、いずれの背景を表示させるかを特定可能な情報をRAMの所定領域に記憶し、背景決定処理を終了する。
サブ制御部91は、AT中であると判定したときは、当該ゲームが終了することでナビストックが一つ消化され、次ゲームから新たなナビストックに基づいてATに制御されるか否かを判定する。具体的には、サブ制御部91は、残りのATゲーム数と残りのナビストック数がいずれも0であるか否かを判定し、いずれも0であると判定したときは、次ゲームからはATに制御されないと判断し、次ゲームにおいて第1背景も第2背景も表示しない旨を決定して背景決定処理を終了する。サブ制御部91は、残りのATゲームが0で、残りのナビストック数が1以上のときは、当該ゲームが終了することでナビストックが一つ消化され、次ゲームから新たなナビストックに基づいてATに制御されると判断し、新たなナビストックに基づいてATに制御されるときに液晶表示器51に表示する背景を図19に示す背景選択テーブルに基づいて決定する。サブ制御部91は、新たなナビストックに基づいて低確状態に制御されると判定したときは図19(A)に示す背景選択テーブルを用いて背景を決定し、新たなナビストックに基づいて高確状態に制御されると判定したときは図19(B)に示す背景選択テーブルを用いて背景を決定する。
サブ制御部91は、次ゲームもATに制御され、かつ、当該ゲームが終了してもナビストックは消化されないと判断したときは、背景を切替えるための背景切替処理を行い、背景決定処理を終了する。
[背景切替処理]
サブ制御部91は、次ゲームもATに制御され、かつ、当該ゲームが終了してもナビストックは消化されないと判断したときは、背景を切替えるための背景切替処理を行う。背景の切替えは、メイン制御部41において上乗せ抽選処理が行なわれたときに生じ得る。サブ制御部91は、上乗せ抽選がされたか否かを上乗せ抽選時コマンドを受信したか否かに基づいて判定し、上乗せ抽選がされなかったと判定したときは、背景を切替えないことを決定し、当該ゲームにおいて表示されている背景の表示を継続することを決定する。
サブ制御部91は、上乗せ抽選がされたと判定したときは、図20に示す背景切替テーブルに基づいて背景を切替えるか否かを判定する。サブ制御部91は、AT中コマンド、および現在表示している背景に基づいて、図20(A)〜図20(D)のうちのいずれの背景切替テーブルを用いるかを決定する。
サブ制御部91は、低確状態に制御されており、かつ、第1背景が表示されているときは、図20(A)の背景切替テーブルを用いて背景を切替えるか否かを決定する。この場合は、上乗せ抽選時コマンドに基づき、上乗せ抽選に当選していると判定された場合は、40%の確率で第1背景を第2背景に切り替えると決定し、60%の確率で背景を切替えない旨を決定する。
サブ制御部91は、低確状態に制御されており、かつ、第2背景が表示されているときは、図20(B)の背景切替テーブルを用いて背景を切替えるか否かを決定する。サブ制御部91は、高確状態に制御されており、かつ、第1背景が表示されているときは、図20(C)の背景切替テーブルを用いて背景を切替えるか否かを決定する。サブ制御部91は、高確状態に制御されており、かつ、第2背景が表示されているときは、図20(D)の背景切替テーブルを用いて背景を切替えるか否かを決定する。高確状態に制御されており、かつ、第2背景が表示されているときは、上乗せ抽選に当選していても当選していなくても、背景を切替えない。
図20(C)に示すように、高確状態中に低確状態を示唆する第1背景が表示されている場合に、上乗せ当選に当選しATゲームを付与することが決定されたときは、第2背景に切り替えることが可能である。そのため、低確状態を示唆する第1背景が表示されているときにATゲーム数が付与され、かつ、第1背景から第2背景に切替わることがある。このような場合に、遊技者はATゲームが付与されたことに対して喜び、かつ、第2背景に切替わったことでATゲームが付与されたゲーム以降のゲームに対しても期待を抱き、遊技の興趣が向上する。
また、図20(C)に示すように、高確状態中に低確状態を示唆する第1背景が表示されている場合に、上乗せ当選に当選しなかったときであっても、第2背景に切り替えることが可能である。そのため、低確状態を示唆する第1背景が表示されているときにATゲーム数が付与されなかったときでも、第1背景から第2背景に切替わることがある。このような場合に、遊技者はATゲームが付与されなかったことに対して残念に思うものの、第2背景に切替わったことでATゲームが付与されなかったゲーム以降のゲームに対しても期待を抱き、遊技の興趣が向上する。
[効果]
(1) 本実施形態のスロットマシンは、ナビストックを1つ消化するまでの所定期間においては、高確状態と低確状態との間での一方から他方への移行は発生しない。つまり、AT中にAT抽選対象役に当選したときに上乗せ抽選が行われ、上乗せ抽選に当選した場合も当選しなかった場合も、高確状態と低確状態との間での一方から他方への移行は発生しない。そのため、上乗せ抽選がおこなわれたときに、状態移行に関わる決定を行う場合と比較して、状態移行に関わる決定に関する処理負担を軽減できる。ただし、状態を移行させないものの、背景を第1背景から第2背景に切り替えることができるため、背景が切替わった以降のゲームに期待を抱き、遊技の興趣を向上させることができる。たとえば、特典を付与しないと決定した場合に、背景が第1背景から第2背景に切替わると、特典が付与されないことに対して残念に思わせてしまうものの、背景が第2背景に切替わることで、その後の上乗せ抽選に期待を抱かせることができるため、遊技の興趣が向上する。
(2) 本実施形態のスロットマシンは、メイン制御部41が高確状態と低確状態のうちのいずれの状態に制御するかを決定し、サブ制御部91がいずれの背景を表示するかを決定する。そのため、一つの制御部でAT中の制御およびAT中の演出について決める場合に比べて、各制御部にかける負担を抑えることができるとともに、各制御部において必要な記憶容量を分散させることができる。
[主な変形例]
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例を説明する。
[背景切替について]
本実施形態において、低確状態において第1背景の表示中に、上乗せ抽選が行われ、上乗せしないと決定した場合は、背景を切替えない(図20(A)参照)。しかし、上乗せしないと決定した場合であっても、背景を切替えるか否かを決定し、一定の割合で背景を切り替えることを決定するものとしてもよい。このようにすれば、低確状態においても、第2背景に切り替えることができるため、高確状態に移行したかのように見せることができ、遊技者は第2背景に切替わった以降の遊技に期待を持つことができるため、遊技の興趣が向上する。
また、本実施形態において、低確状態において第2背景の表示中に、上乗せ抽選が行われ、上乗せしないと決定した場合は、背景を切替える(図20(B)参照)。しかし、上乗せしないと決定した場合であっても、背景を切替えるか否かを決定し、一定の割合で背景を切替えないことを決定するものとしてもよい。このようにすれば、低確状態において、第2背景の表示中に上乗せ抽選に当選しなかった場合であっても、継続して第2背景が表示されるため、上乗せ抽選が行われたゲーム以降のゲームへの期待を持続させることができる。
また、本実施形態において、高確状態において第2背景の表示中に、上乗せ抽選に当選したか否かに関わらず背景を切替えない(図20(D)参照)。しかし、上乗せ抽選に当選しなかった場合に、一定の割合で背景を切替えることを決定するものとしてもよい。また、上乗せ抽選に当選した場合に、一定の割合で背景を切替えることを決定するものとしてもよい。
[状態を示唆する演出について]
本実施形態において、状態を示唆する演出として、日中を示す背景画像と、夜中を示す背景画像を例に挙げたが、これに限ったものではない。たとえば、キャラクタの表示態様を状態を示唆する演出としてもよい。具体的には、低確状態に制御されるときはキャラクタが白色の服を着た第1態様で表示されやすく、高確状態に制御されるときはキャラクタが赤色の服を着た第2態様で表示されやすくすることでキャラクタの表示態様によって状態を示唆してもよい。また、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLEDの色を変えることで状態を示唆してもよい。また、スロットマシン1が備えるスピーカから出力される楽曲の種類によって状態を示唆してもよい。
[状態の決定方法について]
本実施形態において、AT抽選時に付与された全てのナビストックを消化する間の状態について、AT抽選時に決定するものとしたが、ナビストックを消化する度に次のナビストックを消化する間において制御する状態を決定してもよい。また、1つのナビストックが消化されるまでの間は、状態が低確状態または高確状態のいずれかの状態を維持するものとした。すなわち、本実施形態に係るスロットマシンは、所定期間の一例となるナビストック期間に亘って低確状態または高確状態に制御される。ここで、ナビストック期間以外を所定期間とすることも考えられる。たとえば、ナビストックを用いないで、ATゲームだけを用いてATの制御を管理する場合に、一度に付与されたATゲーム数の期間を所定期間としてもよい。具体的には、AT抽選時にナビストックを用いずに、付与するATゲーム数を0ゲーム、50ゲーム、100ゲーム、150ゲームの中から抽選で決定するときに、100ゲームに決定した場合は、100ゲームに亘って低確状態または高確状態に制御され、状態の移行を生じないようにしてもよい。この場合に、100ゲームの間に上乗せ抽選に当選して50ゲームが付与されたときは、100ゲームの間は状態の移行が生じず、かつ、上乗せされた50ゲームの間は状態の移行が生じないようにしてもよい。また、50ゲームの間は常に状態の移行を生じないようにしてもよい。具体的には、ATゲーム数が180ゲームのときは、最初の50ゲームの間は高確状態、次の50ゲームの間は低確状態、最後の30ゲームの間は高確状態というように制御してもよい。
また、いずれのAT抽選対象役に当選したかによって、高確状態に制御する割合と低確状態に制御する割合が異なるように、状態を決定してもよい。たとえば、中段チェリーに当選した場合は、高確状態に制御する期間が長くなるように設定し、弱チェリーに当選した場合は低確状態に制御する期間が長くなるように設定してもよい。これにより、いずれのAT抽選対象役に当選したかによって、遊技者にとって有利な高確状態に制御される期間が変わってくるため、遊技の興趣が向上する。
[第1状態と第2状態について]
本実施形態において、第1状態の一例として低確状態を、また、第1状態よりも有利な第2状態の一例として高確状態を、それぞれ挙げて説明した。これら低確状態および高確状態は、上乗せ抽選確率の高さが異なる。しかし、第1状態と第2状態とは、遊技者にとって有利な度合が相異なる状態であればよい。たとえば、AT抽選確率が高いCZに制御されている状態を第2状態とし、CZに制御されていない非AT状態を第1状態としてもよい。また、第1状態と比較して小役の当選確率が高い点で有利な状態を第2状態としてもよい。
また、有利な状態は、たとえば、所定の入賞役の当選確率が高確率となるレギュラーボーナス(RB)やリプレイタイム(RT)、小役の集中状態や、少なくとも1のリールの引き込み可能範囲が通常よりも狭くなるとともに毎ゲームにおいてすべての小役の発生が許容された状態となるチャレンジタイム(CT)、入賞役の当選確率などを変化させるものではなく当選した小役を入賞させるための操作手順を所定期間(たとえば50ゲーム消化するまでの間)に亘って報知する擬似ボーナスなどであってもよい。また、これらの有利な状態に制御される確率が高確率となる状態であってもよく、また、フリーズ状態に制御される確率が高確率の状態、ATゲーム数などのゲーム数が高確率で上乗せされる状態、ATの上乗せゲーム数が増加されやすくなる状態など、上記実施形態と異なる態様の有利状態を設定してもよい。また、通信回線網上で特典を得るための条件や、プレミアム感のある演出(フリーズ演出、プレミアム演出など)を実行する条件の成立確率が高確率となる状態等、遊技者にとって間接的に有利な特典や、遊技の興趣を向上させる状態などであってもよい。また、有利な状態への移行を許容するか否かを決定する許容決定手段は、内部抽選処理に限らず、入賞役とは無関係に決定する手段であってもよい。
また、有利な状態とは、たとえば、特典を付与するか否かを決定する特典付与抽選において、「特典が付与される確率」、および「特典が付与されることが決定されたときに付与される特典の価値(または特典量の期待値)」のうちの少なくとも一方が、通常の状態(有利な状態とは異なる状態)よりも高い状態としてもよい。また、有利な状態とは、特典付与抽選の実行契機の数が、該通常の状態よりも多いものとしてもよい。また、有利な状態とは、特典を付与させるために消化することが必要な消化必要ゲーム数が、通常の状態よりも少なくなる状態としてもよい。
たとえば、特典をATゲーム数とした場合には、有利な状態とは、通常の状態よりも、「AT抽選でのAT当選確率」、および「AT抽選でのAT当選した場合に付与されるATゲーム数の価値」のうちの少なくとも一方が、通常の状態よりも高い状態としてもよい。また、有利な状態とは、AT抽選の実行契機の数が、該通常の状態よりも多いものとしてもよい。たとえば、通常の状態でのAT抽選の実行契機が、第1役当選および第2役当選とした場合には、有利な状態でのAT抽選の実行契機は、第1役当選および第2役当選に加えて第3役当選としてもよい。
[特典について]
前述した例では、特典として、ATゲーム数を一例に挙げたが、これに限ったものではない。たとえば、BB当選、AT当選などの、メダルやパチンコ玉の払出率に直接影響を及ぼす価値や、遊技者にとっての有利度合いを向上させる価値や、メダルの払出率に直接影響を及ぼすものではない価値であってもよい。具体的に、AT抽選において通常時よりも高確率でAT当選する高確率状態が設けられている場合において、現在の状態が高確率状態であるか否かを示唆するための確率示唆演出の実行、液晶表示器51に音声とともにプレミア演出の実行(特別キャラクタ出現、次回発生したボーナス中において特別なボーナス中演出実行など)、設定されている設定値を示唆するための設定値示唆演出の実行、一定数を集めることでスロットマシン1が設置された遊技店において定めたサービスと交換可能なポイント付与、特典映像や特典情報を所定のWebサイトにてダウンロードすることが可能な2次元コードを液晶表示器51において表示などであってもよい。
また、特典の一例としてATゲーム数を例示したが、ATに関する特典としては、これに限らず、たとえば、ATに所定ゲーム数(たとえば50ゲーム)制御可能にする権利(ナビストック)を特典としてもよい。また、ナビ演出を実行可能なナビ演出実行可能回数を決定し、当該決定されたナビ演出実行可能回数分、ナビ演出が実行されるまでATに制御する場合、ナビ演出実行可能回数を特典としてもよい。また、たとえば、上限付与量を決定し、付与された遊技用価値(メダル払出枚数)が決定された上限付与量に到達するまでATに制御する場合、上限付与量を特典としてもよい。また、所定のAT開始条件が成立してから所定のAT終了条件が成立するまでATに制御され、AT終了条件が成立したときに当該ATを継続するか否かの継続抽選を行う場合、継続抽選において継続すると決定される継続確率を特典としてもよい。
[上乗せ報知演出の変形例について]
本実施形態においては、上乗せ抽選に当選したか否かが報知された後に背景が切り替わる例を説明した(図18(C)、(D))。しかしながら、上乗せ抽選に当選したか否かが報知されたタイミングで背景を切り替えるようにしてもよい。また、(ア)上乗せ抽選に当選した場合と当選しなかった場合とで同じタイミング(これをタイミングTAとする)で、その旨を報知するとともに、さらに、そのタイミングTAで背景を切り替えるようにしてもよい。さらには、(イ)上乗せ抽選に当選しなかった場合には、その旨を報知しないようにしてもよく、その際には、タイミングTAで、背景を切り替えるようにしてもよい。上乗せ抽選に当選しなかったことを報知しなくても、上乗せ抽選に当選したことがタイミングTAで報知されないことを以て、遊技者は、上乗せ抽選に当選しなかったことを理解できる。以下、図21を用いて、上記(イ)のような上乗せ報知演出の変形例を詳細に説明する。
図21はAT中に上乗せ抽選が行われたときから上乗せ抽選の抽選結果が報知されるまでの演出図面であって、高確状態に制御されているときの演出図面である。図21(A)においては、日中を示す第1背景が液晶表示器51の表示画面に表示されている。スタートスイッチ7が操作され、中段チェリーに当選した場合は、上乗せ抽選が行われる。その後、全てのリール2L〜2Rが停止されて当該ゲームにおいて中段チェリーが入賞すると、図21(B)に示すように「チャンス!」という文字画像が液晶表示器51に表示される。これにより遊技者に上乗せ抽選が行われたことが示唆される。その後、3ゲームに亘って、上乗せ抽選に当選したか否かを煽る演出として、図21(C)に示すような第1背景に「ざわ...、ざわ...」という文字画像が追加された演出画像が液晶表示器51の表示画面に表示される。3ゲーム目に全てのストップスイッチ8L、8C、8Rへの操作が終了したときに、上乗せ抽選に当選していた場合は、図21(E)に示すように、上乗せ抽選に当選したことを報知するため「+10ゲームGET!!」という文字画像が表示されるとともに、液晶表示器51の左上の表示領域に表示されているATゲーム数が「41G」に更新される。その文字画像が表示されるタイミングをTAとする。一方、上乗せ抽選に当選していなかった場合は、図21(D)に示すように、そのことが報知されることなく、背景画像が先のタイミングTAで第2背景に切替わる。上乗せ抽選に当選していないことは積極的には報知されないが、上乗せ抽選に当選したことがタイミングTA(当選していれば報知されるべきタイミング)で報知されないことを以て、遊技者は、上乗せ抽選に当選しなかったことを理解できる。
このように、上乗せ抽選に当選していなかった場合でも、高確状態に制御されていることを示唆する第2背景に切替わることにより、上乗せ抽選に当選していなかったことに対して残念に思うものの、第2背景に切替わったことで第2背景に切替わった以降のゲームに対しても期待を抱き、遊技の興趣が向上する。また、上乗せ抽選に当選しなかったことが報知された後に背景が切替わる場合には、先に遊技者が残念にしか感じられない期間を経て遊技者に期待を抱かせることになるが、上乗せ抽選に当選したか否かを遊技者が理解できるタイミングTAと、背景が切替わるタイミングとを同じにすることで、遊技者が残念にしか感じられない期間を無くすことができる。また、前述のように、背景が切替わるときに、実際には、状態の移行を伴っていないため、その際に状態を実際に移行させる制御をも行う場合と比較して、スロットマシンの処理負担を軽減できる。
なお、上乗せ抽選に当選したか否かを「ざわざわ」のような演出によって煽る期間を設けなくともよい。また、上乗せ抽選に当選したか否かを煽る演出として敵キャラクタと味方キャラクタとが闘う、いわゆるバトル演出を行ってもよい。上乗せ抽選に当選している場合はバトル演出において味方キャラクタが勝つような演出とともに、「WIN」という文字画像が表示されるものの、背景は変更しないようにしてもよい。また、上乗せ抽選に当選していない場合はバトル演出において味方キャラクタが負けるような演出が行われるとともに、「LOSE」という文字画像が表示されて、背景が切替わるようにしてもよい。
[スロットマシンの変形例について]
上記実施形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基盤とドラムとが流通可能で、筺体が共通なもので基盤のみあるいは基盤とドラムとを遊技機と称する。また、遊技玉を発射して遊技を行うことが可能な遊技領域を備え、遊技領域に設けられた所定領域を遊技玉が通過することに応じて賭数の設定が可能となるスロットマシンであってもよい。
また、前述した実施の形態では、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能なリールを複数備え、リールを変動表示した後、リールの変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数のリールの表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンを説明した。すなわち、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンを説明した。しかし、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンであれば、3つのリールを備えるものに限らず、1のリールしか備えないものや、3以外の複数のリールを備えるスロットマシンであってもよい。
[演出や報知について]
前述した例では、液晶表示器51を用いて演出や報知を行う例を挙げたが、たとえば、スピーカ53,54、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(上記実施形態のリールLED55)、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED、ストップスイッチの振動、ストップスイッチの周囲からの送風、ストップスイッチの温度の変化など、上記の実施形態と異なる手段で演出を実行してもよい。
[ATについて]
上記スロットマシンの例では、ATに係る制御をメイン制御部41が実行する例を説明したが、メイン制御部41が実行するATに係る制御としては、AT抽選の実行が挙げられる。AT抽選には、AT抽選の当選または非当選の決定、ATゲーム数をストックするか否かの決定、ATゲーム数の決定、ATゲーム数の上乗せ抽選などが含まれるものであってもよい。また、ATに係る制御としてAT抽選の高確率状態の制御が挙げられる。AT抽選の高確率状態の制御には、AT抽選の当選確率が高確率になる制御、内部抽選の結果に応じてATに制御されるまでの期間を短縮する制御、上乗せ抽選の当選確率やゲーム数を優遇する制御などが含まれる。また、ATに係る制御として、規定ゲーム数のゲームが消化されたときにATに制御することが挙げられる。規定ゲーム数のゲームが消化されたときとして、天井ゲーム数に到達したとき、抽選で決定されたゲーム数に到達したときが含まれる。また、ATに係る制御として、前兆期間を設定する制御が挙げられる。前兆期間を設定する制御には、ATの開始前の前兆期間にたとえば0〜32ゲームの演出を実行する制御が含まれる。また、ATに係る制御として、ペナルティを付与する制御が挙げられる。ペナルティを付与する制御には、ペナルティ内容の決定、ペナルティ期間の決定または設定が含まれる。また、ATに係る制御として、AT中である旨のランプやLEDの点灯制御をメイン制御部41が行うことが挙げられる。
また、ATに係る制御として、ナビ演出を実行するためのランプやLEDの点灯制御をメイン制御部41が行うことが挙げられる。さらに、メイン制御部41がナビ演出を実行することに連動してサブ制御部91がナビ演出を実行するようにしてもよい。さらに、メイン制御部41は、たとえばAT抽選の高確率状態に制御するときなど抽選確率を向上させるときに、その旨をランプやLED(たとえば、遊技補助表示器12など)の点灯制御によって報知するようにしてもよい。より具体的に、メイン制御部41は、遊技補助表示器12によりナビ演出を所定回数実行することによりAT抽選の高確率状態に制御する旨を報知するようにしてもよい。あるいは、メイン制御部41は、サブ制御部91にナビ演出を所定回数実行させることによりAT抽選の高確率状態に制御する旨を報知するようにしてもよい。
なお、ATに係る制御をメイン制御部41が実行する場合には、メイン制御部41の処理を、メイン制御部41に従属し、メイン制御部41の下位となる制御部に実行させることが好ましい。たとえば、リールの停止制御を遊技制御基板以外の基板に設けた制御部が実行するようにし、メイン制御部41はストップスイッチの操作信号を当該制御部に転送することが挙げられる。このように、メイン制御部41の制御を下位となる制御部に行わせることにより、ATに係る制御を行うときのROM41bやRAM41cの容量不足やメインCPU41aの処理能力不足を防止することができる。
また、前述した実施の形態では、前述したATに係る制御をメイン制御部41が実行するようにしたが、サブ制御部91が実行するようにしてもよい。サブ制御部91は、たとえば、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づいてAT抽選処理や上乗せ抽選処理を行い、その結果に応じてATに制御するための処理やナビ演出を実行するための処理などを行うようにしてもよい。
[設定変更状態および設定確認状態について]
設定確認状態に関して、「設定キースイッチON」+「前面扉開放検出」を条件として、設定確認状態に移行させるようにしてもよい。これにより、前面扉が開放されていない状態での不正な設定確認を防ぐことができる。また、一旦設定確認状態に移行された後は、設定確認状態を終了させる終了条件(設定キースイッチがOFF操作)が成立するまで前面扉の開閉状態に関わらず設定確認状態を維持するようにしてもよい。これにより、設定確認状態中に前面扉が閉まっても設定確認状態を終了させないため、再度設定確認状態へ移行させる手間を生じさせてしまうことを防ぐことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。