JP6820374B2 - 超音波溶着用部材および超音波溶着方法 - Google Patents

超音波溶着用部材および超音波溶着方法 Download PDF

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Description

本発明は、超音波溶着用部材および超音波溶着方法に関する。さらに詳細には、本発明は、溶着対象の第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材、ならびに、これを用いた超音波溶着方法に関する。
熱可塑性樹脂を対象部材とする2つの部材の溶着方法として、超音波振動を付与することによって溶着を行う超音波溶着法が広く用いられている。この際、溶着対象である熱可塑性樹脂のいずれか一方に、リブを予め一体に成形しておき、超音波振動を与えた際の溶着起点としてこのリブ形状を利用する方法が一般的に知られている。
しかし、溶着対象である熱可塑性樹脂の部材のいずれか一方にリブ状の突起を予め一体に成形するための方法としては、射出成形等の成形法に限定されるところ、溶着対象の部材の表面形状が複雑である場合には、リブ状の突起の付加は非常に困難である。
また、近年においては、航空機や船舶を含む輸送機器等の高度な機械的強度が要求される技術分野では、炭素繊維等の繊維および樹脂の複層構造を有する複合材料等の開発が盛んに行われている。このような複合材料は、樹脂層が一般的に薄いので、射出成形によってリブ状の突起を形成すれば樹脂層が剥げて繊維が毛羽立つため、実質的にリブ状の突起形成が不可能であるという不都合がある。
特開平8−150669号公報(特許第3536385号)には、リブ状の突起形成を回避した超音波溶着手段として、図1に示されるような超音波溶着用ネットおよびこれを用いる超音波溶着方法が開示されている(特許文献1)。図中、1は超音波溶着用ネットであり、2はネットを形成する線条を示す。対象の溶着部材間に超音波溶着用ネットを挿入して超音波溶着を行うものであり、射出成形によるリブ状の突起形成が不可能な対象部材であっても、高い自由度を持って溶着を行うことができる。しかし、この超音波溶着用ネットは、線条の断面の長径がネット厚み方向であり、線条の全体を溶着部材の表面に一致させるように構成されている。このような超音波溶着用ネットは、生産性が低いため製造コストが高くなる。さらには、ネットの構造が平面的であるために、溶着部に空気が閉じ込められ、ボイドが残りやすくなり、その結果、溶着強度が低くなり、外観も損なわれるという不都合が生じる。
特開平8−150669号公報(特許第3536385号)
上で説明した諸々の不都合に鑑み、本発明が解決すべき課題は、リブ状の突起を予め設ける必要性がなく、製造が容易であると共に、溶着部にボイドが残りにくく、十分な溶着強度を確保可能な超音波溶着用部材およびこれを用いた超音波溶着方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を進めた結果、溶着対象の2つの部材とは独立した超音波溶着用部材を用い、この超音波溶着用部材と溶着対象表面との接合箇所が少なくとも一部において非連続的に存在するようにし、非接合箇所が空気通路を確保するように外部に開放されており、かつ、接合箇所と非接合箇所の面積比を所定範囲内に調整することによって、上記課題が解決され得ることを見出した。
すなわち、上記課題を解決する本発明の構成は、以下のとおりである。
[1].熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との超音波溶着に先立って、これらの溶着対象表面の間に挟持させるための、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材であって、
この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、
超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように形成されてなり、
かつ、超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように形成されてなり、
かつ、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になる、
上記超音波溶着用部材。
[2].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、上記[1]項に記載の超音波溶着用部材。
[3].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略格子状の織物又は編物のメッシュであり、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、メッシュの糸の交差部が、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所を形成することを特徴とする、上記[2]項に記載の超音波溶着用部材。
[4].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状であることを特徴とする、上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の超音波溶着用部材。
[5].超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の超音波溶着用部材。
[6].熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との間に、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材を挟持させる工程、ならびに、
超音波溶着用部材に超音波振動を与えて、第1部材および第2部材を溶着させる工程を含む超音波溶着方法であって、
この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、
第1部材の溶着対象表面と第2部材の溶着対象表面との間に超音波溶着用部材を挟持させる工程において、
超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように、超音波溶着用部材を配置し、
かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように、超音波溶着用部材を配置し、
かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になるように、超音波溶着用部材を配置する、
上記超音波溶着方法。
[7].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、上記[6]項に記載の超音波溶着方法。
[8].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略格子状の織物又は編物のメッシュであり、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、メッシュの糸の交差部が、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所を形成することを特徴とする、上記[7]項に記載の超音波溶着方法。
[9].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔に配された複数のドット状であることを特徴とする、上記[6]〜[8]項のいずれか1項に記載の超音波溶着方法。
[10].超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、上記[6]〜[9]項のいずれか1項に記載の超音波溶着方法。
なお、超音波溶着用部材に係る本発明(上記項目[1]〜[5])の対象は、当該部材自体である。第1部材および第2部材は、超音波溶着用部材に係る本発明の範囲に含まれない。
本発明の超音波溶着用部材は、溶着対象部材である第1の部材および第2の部材とは独立して取り扱われるものであるため、溶着のためのリブ状の突起を予め設ける必要性がない。
そして、この超音波溶着用部材は、2つの溶着対象部材間の方向における厚みの設計制約が少なく(特にメッシュを採用した場合)、また、超音波溶着用部材の体積を小さくすることができるため、製造効率が高く、製造時間・コストを抑制することが可能である。
さらに、この超音波溶着用部材は、超音波溶着用部材と溶着対象表面との接合箇所(溶着の起点)が少なくとも一部において非連続的に存在するようにし、非接合箇所が空気通路を確保するように外部に開放されており、かつ、接合箇所と非接合箇所の面積比を所定範囲内に調整することによって、溶着部にボイドが残りにくく、接合部の高い気密性が得られるため、十分な溶着強度を確保することが可能となる。
これらの効果は、上記超音波溶着方法を用いた場合にも、同様に得られる。
従来技術の特許文献1による超音波溶着用ネットを例示する図である。 本発明の一実施形態に係る超音波溶着用部材の斜視図(a)および溶着対象部材間に挟持させた同超音波溶着用部材の断面図(b)である。 本発明の一実施形態に係る超音波溶着用部材の斜視図(a)および溶着対象部材間に挟持させた同超音波溶着用部材の断面図(b)である。 本発明の一実施形態に係る超音波溶着用部材の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る超音波溶着用部材(超音波溶着用メッシュ)の平面図および一部拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る超音波溶着用部材(超音波溶着用メッシュ)を溶着対象部材間に挟持させた断面図である。
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る超音波溶着用部材を説明する。
図2(a)中、5は、扁平な略直方体形状の輪郭を有し、熱可塑性樹脂から形成された超音波溶着用部材である。6は、超音波溶着用部材5の一表面上にて、断面が略半円状になるように複数列にわたって略平行に穿たれた凹部である。7は、当該表面における超音波溶着用部材の各凹部間の表面である。8は、超音波溶着用部材5の略平面状である他方の表面である。凹部6の各々は、略等間隔に、かつ部材厚みの略半分以上の深さを有するように、当該表面の一方の端から他方の端に至るまで形成されている。
ここで、凹部間表面7の合計面積は、当該表面輪郭上の凹部6による差渡し面積(ある凹部間表面7及び隣接する凹部間表面7の間の差渡し面積)の合計よりも小さくなることが好ましい。そうすることによって、超音波溶着用部材5の当該表面が溶着対象部材と接したときに、非接合箇所の合計面積を接合箇所の合計面積よりも大きくすることが容易になり、その結果、溶着強度を確保しつつも省資源的・省コストな溶着が可能になる。
図2(b)に示すように、熱可塑性樹脂から形成された第1部材3の溶着対象表面3sと熱可塑性樹脂から形成された第2部材4の溶着対象表面4sと間に、超音波溶着用部材5を挟持させ、この状態にて超音波溶着用ホーン(図示せず)から超音波振動を与えることによって溶着を行うことができる。一般に、溶着対象である両部材は互いに略平行あるいは嵌合する形状を有することから、本図では、溶着対象表面3sと溶着対象表面4sとが互いに略平行である場合を示す。このように溶着対象表面3sと溶着対象表面4sと間に超音波溶着用部材5を挟持させた状態では、凹部6は溶着対象表面3sに接することなく非接合箇所6’を構成する。また、凹部間表面7は溶着対象表面3sに接して接合箇所7を構成する(溶着対象表面3sと溶着対象表面4sとが平行でありかつ超音波溶着用部材5が直方体の輪郭を有する限りにおいて、凹部間表面7は接合箇所7に近似される)。それに対して、超音波溶着用部材5の他方の表面8は、全体的に溶着対象表面4sに接して接合箇所(接合面)8を構成する。
超音波溶着用部材5の素材である熱可塑性樹脂は、第1部材3の熱可塑性樹脂および/または第2部材4の熱可塑性樹脂と同一であることが好ましい。あるいは、超音波溶着用部材5の素材である熱可塑性樹脂は、第1部材3の熱可塑性樹脂および/または第2部材4の熱可塑性樹脂よりも低い融点を有するものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、特に限定されるわけではないが、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、PEKK等を挙げることができる。超音波溶着用部材5は、溶着対象表面の起伏変化への対応の観点から、全体として所定の柔軟性を有することが好ましい。
ここでは、超音波溶着用部材5と溶着対象表面3sとの接合箇所7の各々が、非接合箇所6’の各々に隔てられる形で、非連続に形成されることになる(以下では「非連続形成要件」という)。
超音波溶着用部材5と溶着対象表面3sとの非接合箇所6’の全ては、凹部6の各々が超音波溶着用部材5の表面の一方の端から他方の端に至るまで形成されていることに起因して、超音波溶着用部材5の外部に対して開放されている(以下では「外部開放要件」という)。
超音波溶着用部材5と溶着対象表面3sとの非接合箇所6’の合計面積Aに対する、超音波溶着用部材5と溶着対象表面3sとの接合箇所7の合計面積Bの比率は、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように形成されている(以下では「接合箇所低減要件」という)。なお、近似的に、合計面積Bは、凹部間表面7の面積の合計として計算され、合計面積Aは、超音波溶着用部材5において凹部6を穿つ以前の当該面の面積から合計面積Bを減じた値として計算される。
換言すれば、この構造は、非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件を満たす限りにおいて、超音波溶着用部材の体積を小さくすることができるため、設計上の大きなフレキシビリティを有し、製造効率が高く、製造時間・コストを抑制することが可能である。さらに、この超音波溶着用部材は、超音波溶着用部材と溶着対象表面との接合箇所(溶着の起点)が非連続的に存在するようにし、非接合箇所が空気通路を確保するように外部に開放されている。そのうえ、この超音波溶着用部材は、接合箇所と非接合箇所の面積比を、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように調整することによって、溶着部にボイドが残りにくく(溶着層内部に空気溜まりが形成され難く)、接合部の高い気密性が得られるため、十分な溶着強度を確保することが可能となる。
なお、超音波溶着用部材5は、平坦な略直方体形状の輪郭である必要はなく、溶着対象部材の形状に合わせて任意の形状に変更することができる。凹部6の断面形状は、略半円状とする替わりに、略矩形にしてもよいし、略三角形にしてもよい。また、凹部6の各々の間隔、その深さは、上記3要件を満たす限りにおいて、特に限定されない。材料コストの低減、省資源の観点から、所望の溶着強度が確保される限りにおいて、凹部6の各々の間隔は小さいほうがより好ましく、その深さは大きいほうがより好ましい。例えば、凹部6の各々の平均的な深さは、超音波溶着用部材5の厚みに対して3分の2以上であることがより好ましい。
また,代替的な実施形態として、超音波溶着用部材5の一表面上に、凹部6に加えて、これと略垂直に交差させる形で、断面が略半円状になるように複数列にわたって略平行に穿たれた凹部を更に設けてもよい。この場合の新たに設けられた交差列の凹部およびその凹部間表面の形状・配列に関する設計範囲は、上述と同様に設定することができる。
また、更なる代替的な実施形態として、超音波溶着用部材5の他方の表面8にも、凹部および凹部間表面を同様に形成してもよい。
これらの構造によって、材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
次に、図3を参照して、本発明の他の一実施形態に係る超音波溶着用部材を説明する。
図3(a)中、12は、断面略矩形の、ある一方向に延伸された、扁平な直方体である超音波溶着用部材片であり、熱可塑性樹脂から形成されている。13は、超音波溶着用部材片12の一方の表面であり、14は、超音波溶着用部材片12の他方の表面である。超音波溶着用部材11は、実質的に同一形状を有する複数の超音波溶着用部材片12が、同一平面上に、略等間隔にて略平行に配置された集合体である。
ここで、超音波溶着用部材片12の表面13(または表面14)の合計面積は、隣接する表面13(または表面14)間の差渡し面積の合計よりも小さくなることが好ましい。そうすることによって、超音波溶着用部材片12(すなわち超音波溶着用部材11)の表面13(または表面14)が溶着対象部材と接したときに、非接合箇所の合計面積を接合箇所の合計面積よりも大きくすることが容易になり、その結果、溶着強度を確保しつつも省資源的・省コストな溶着が可能になる。
図3(b)に示すように、熱可塑性樹脂から形成された第1部材9の溶着対象表面9sと熱可塑性樹脂から形成された第2部材10の溶着対象表面10sと間に、超音波溶着用部材11(超音波溶着用部材片12の集合体)を挟持させ、この状態にて超音波溶着用ホーン(図示せず)から超音波振動を与えることによって溶着を行うことができる。実際、溶着対象である両部材は互いに略平行あるいは嵌合する形状を有することから、本図では、溶着対象表面9sと溶着対象表面10sとが互いに略平行である場合を示す。このように溶着対象表面9sと溶着対象表面10sと間に超音波溶着用部材11を挟持させた状態では、超音波溶着用部材片12が存在しない箇所では非接合箇所13’および非接合箇所14’ を構成する。また、表面13および表面14は、それぞれ、溶着対象表面9sおよび溶着対象表面10sに接して接合箇所13および接合箇所14になる(溶着対象表面9sと溶着対象表面10sとが平行でありかつ超音波溶着用部材片12の各々が等しい厚みを有する限りにおいて、表面13および表面14は、それぞれ、接合箇所13および接合箇所14に近似される)。
上記実施形態と同様に、超音波溶着用部材11の素材である熱可塑性樹脂は、第1部材9の熱可塑性樹脂および/または第2部材10の熱可塑性樹脂と同一であることが好ましい。あるいは、超音波溶着用部材11の素材である熱可塑性樹脂は、第1部材9の熱可塑性樹脂および/または第2部材10の熱可塑性樹脂よりも低い融点を有するものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、特に限定されず、上述の実施形態と同様のものを用いることができる。超音波溶着用部材片12は、溶着対象表面の起伏変化への対応の観点から、全体として所定の柔軟性を有することが好ましい。
ここでは、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面9sとの接合箇所13の各々が、非接合箇所13’の各々に隔てられる形で、非連続に形成されることになる(「非連続形成要件」が満たされている)。さらに、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面10sとの接合箇所14の各々が、非接合箇所14’の各々に隔てられる形で、非連続に形成されることになる(ここでも「非連続形成要件」が満たされている)。
超音波溶着用部材片12と溶着対象表面9sとの非接合箇所13’の全ては、超音波溶着用部材片12の各々の間で一方の端から他方の端に至るまで形成されていることに起因して、超音波溶着用部材11の外部に対して開放されている(「外部開放要件」が満たされている)。超音波溶着用部材片12と溶着対象表面10sとの非接合箇所14’の全ては、超音波溶着用部材片12の各々の間で一方の端から他方の端に至るまで形成されていることに起因して、超音波溶着用部材11の外部に対して開放されている(ここでも「外部開放要件」が満たされている)。
超音波溶着用部材片12と溶着対象表面9sとの非接合箇所13’の合計面積Aに対する、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面9sとの接合箇所13の合計面積Bの比率は、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように形成されている(「接合箇所低減要件」が満たされている)。
また、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面10sとの非接合箇所14’の合計面積A’に対する、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面10sとの接合箇所14の合計面積B’の比率は、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように形成されている(「接合箇所低減要件」が満たされている)。
なお、近似的に、合計面積B(またはB’)は、表面13(または表面14)の面積の合計として計算され、合計面積A(またはA’)は、超音波溶着用部材片12の全体について直線的に形成される最外輪郭(集合体としての超音波溶着用部材11の輪郭)の表面13相当面の面積または表面14相当面の面積から合計面積B(またはB’)を減じた値として計算される。
上述の実施形態と同様に、この構造は、非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件を満たす限りにおいて、超音波溶着用部材の体積を小さくすることができるため、設計上の大きなフレキシビリティを有し、製造効率が高く、製造時間・コストを抑制することが可能である。さらに、この超音波溶着用部材は、超音波溶着用部材と溶着対象表面との接合箇所(溶着の起点)が非連続的に存在するようにし、非接合箇所が空気通路を確保するように外部に開放されている。そのうえ、この超音波溶着用部材は、接合箇所と非接合箇所の面積比を、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように調整することによって、溶着部にボイドが残りにくく(溶着部材内部に空気溜まりが形成され難く)、接合部の高い気密性が得られるため、十分な溶着強度を確保することが可能となる。
なお、超音波溶着用部材片12は、断面略矩形の扁平な直方体である必要はなく、溶着対象部材の形状に合わせて任意の形状に変更することができる。また、超音波溶着用部材片12の各配列および間隔は、上記3要件を満たす限りにおいて、特に限定されない。
また,代替的な実施形態として、溶着対象の一部において、上記のように略平行に超音波溶着用部材片12を配置し、溶着対象の他の一部においては、これと異なる方向にて略平行に超音波溶着用部材片12を配置してもよい。また、図2に係る実施形態と図3に係る実施形態を組み合わせてもよい。これによって、溶着対象部材の複雑な立体形状に合わせる形で、よりフレキシブルな溶着設計が可能になり、加えて、材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
次に、図4を参照して、本発明の更なる他の一実施形態に係る超音波溶着用部材を説明する。
図4中、16は、断面略矩形の扁平な直方体である超音波溶着用部材片であり、熱可塑性樹脂から形成されている。17は、超音波溶着用部材片16の一方の表面であり、18は、超音波溶着用部材片16の他方の表面である。超音波溶着用部材15は、実質的に同一形状を有する複数の超音波溶着用部材片16が、略等間隔にて、交差する複数列を構成するように、同一平面上に配置された集合体である。ここで、超音波溶着用部材片16の表面17(または表面18)の合計面積Aは、表面17(または表面18)全体の外側輪郭によって形成される面積Bから合計面積Aを引いた面積よりも小さくなることが好ましい。そうすることによって、超音波溶着用部材片16(すなわち超音波溶着用部材15)の表面17(または表面18)が溶着対象部材と接したときに、非接合箇所の合計面積を接合箇所の合計面積よりも大きくすることが容易になり、その結果、溶着強度を確保しつつも省資源的・省コストな溶着が可能になる。
図示していないが、熱可塑性樹脂から形成された第1部材の溶着対象表面と熱可塑性樹脂から形成された第2部材の溶着対象表面と間に、超音波溶着用部材15(超音波溶着用部材片16の集合体)を挟持させ、この状態にて超音波溶着用ホーンから超音波振動を与えることによって溶着を行うことができる。このように2つの溶着対象表面と間に超音波溶着用部材15を挟持させた状態では、超音波溶着用部材片16が存在しない箇所では非接合箇所を構成する。また、表面17および表面18は、それぞれ溶着対象表面に接して接合箇所になる。(2つの溶着対象表面が平行でありかつ超音波溶着用部材片16の各々が等しい厚みを有する限りにおいて、表面17および表面18は、それぞれ、接合箇所に近似される)。
上記実施形態と同様に、超音波溶着用部材15の素材である熱可塑性樹脂は、溶着対象である第1部材の熱可塑性樹脂および/または第2部材の熱可塑性樹脂と同一であることが好ましい。あるいは、超音波溶着用部材15の素材である熱可塑性樹脂は、第1部材の熱可塑性樹脂および/または第2部材の熱可塑性樹脂よりも低い融点を有するものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、特に限定されず、これまで述べた実施形態と同様のものを用いることができる。
ここでは、溶着対象である第1部材および第2部材の各々について、超音波溶着用部材片16と溶着対象表面との接合箇所の各々が、非接合箇所の各々に隔てられる形で、非連続に形成されることになる(「非連続形成要件」が満たされている)。
溶着対象である第1部材および第2部材の各々について、超音波溶着用部材片16と溶着対象表面との非接合箇所の全ては、超音波溶着用部材15の外部に対して開放されている(「外部開放要件」が満たされている)。
溶着対象である第1部材および第2部材の各々について、超音波溶着用部材片16と溶着対象表面との非接合箇所の合計面積Aに対する、超音波溶着用部材片16と溶着対象表面との接合箇所の合計面積Bの比率は、1未満、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.5未満、さらに好ましくは0.4未満、最も好ましくは0.3未満になるように形成されている(「接合箇所低減要件」が満たされている)。なお、近似的に、合計面積Bは、表面17(または表面18)の面積の合計として計算され、合計面積Aは、超音波溶着用部材片16の全体について直線的に形成される最外輪郭(集合体としての超音波溶着用部材15の輪郭)の表面17相当面の面積または表面18相当面の面積から合計面積Bを減じた値として計算される。
これまで述べた実施形態と同様に、この構造は、非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件を満たす限りにおいて、超音波溶着用部材の体積を小さくすることができるため、設計上の大きなフレキシビリティを有し、製造効率が高く、製造時間・コストを抑制することが可能である。さらに、この超音波溶着用部材は、超音波溶着用部材と溶着対象表面との接合箇所(溶着の起点)が非連続的に存在するようにし、非接合箇所が空気通路を確保するように外部に開放されている。そのうえ、この超音波溶着用部材は、接合箇所と非接合箇所の面積比を、1未満、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.5未満、さらに好ましくは0.4未満、最も好ましくは0.3未満になるように調整することによって、溶着部にボイドが残りにくく(溶着部材内部に空気溜まりが形成され難く)、接合部の高い気密性が得られるため、十分な溶着強度を確保することが可能となる。
なお、超音波溶着用部材片16は、断面略矩形の扁平な直方体である必要はなく、溶着対象部材の形状に合わせて任意の形状に変更することができる。例えば、超音波溶着用部材片16は、扁平な略円柱状でもあってよい。また、超音波溶着用部材片16の各配列および間隔は、上記3要件を満たす限りにおいて、特に限定されない。例えば、超音波溶着用部材片16は、不規則に配列されていてもよい。
また,代替的な実施形態として、図4に係る実施形態を、図2に係る実施形態および/または図3に係る実施形態と組み合わせてもよい。これによって、溶着対象部材の複雑な立体形状に合わせる形で、よりフレキシブルな溶着設計が可能になり、加えて、材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
次に、図5および図6を参照して、本発明の一実施形態に係るメッシュ様式の超音波溶着用部材を説明する(織物を例示する)。
図5は、超音波溶着用メッシュの平面図および一部拡大断面である。図中、19は超音波溶着用メッシュを示し、20は超音波溶着用メッシュ19の織物を構成する略直角に交差するように織られた糸(断面略円形の縦糸および横糸)であり、21は糸の外径であり、22は織物を構成する隣接糸条の間隔:メッシュのいわゆる「開き」である。糸20の外径21は、特に限定されないが、例えば0.1〜1mm程度であってよく、より好ましくは0.15〜0.6mmの範囲である。メッシュの開き22は、特に限定されないが、例えば0.1〜2mm程度であってよく、より好ましくは0.2〜1.2mmの範囲である。
図5の一部拡大断面から把握されるように、超音波溶着用メッシュ19の織物は、実質的に一平面上で、縦糸および横糸が略直角に交差するように織られていることによって、縦糸および横糸の各々が、それぞれ隣接する交差点の間で波打つような状態になる。この縦糸および横糸からなる織物構造を総合的に観察すれば、各交差点にて凸部を形成し、各交差点の合間では凹部を形成することになる。このような立体的な構造を有することによって、超音波溶着用メッシュ19の一方の面あるいはその裏面が溶着対象部材と接したときに、非接合箇所の合計面積を接合箇所の合計面積よりもかなり大きくすることが容易になり、その結果、溶着強度を確保しつつも省資源的・省コストな溶着が可能になる。
図6に示すように、熱可塑性樹脂から形成された第1部材23の溶着対象表面23sと熱可塑性樹脂から形成された第2部材24の溶着対象表面24sと間に、超音波溶着用メッシュ19を挟持させ、この状態にて超音波溶着用ホーン(図示せず)から超音波振動を与えることによって溶着を行うことができる。実際、溶着対象である両部材は互いに略平行あるいは嵌合する形状を有することから、本図では、溶着対象表面23sと溶着対象表面24sとが互いに略平行である場合を示す。このように溶着対象表面23sと溶着対象表面24sと間に超音波溶着用メッシュ19を挟持させた状態では、超音波溶着用メッシュ19の糸20が存在しない箇所では非接合箇所25’および非接合箇所26’ を構成する。また、超音波溶着用メッシュ19の糸20は、溶着対象表面23sおよび溶着対象表面24sに接して接合箇所25および接合箇所26になる。
上記実施形態と同様に、超音波溶着用メッシュ19の素材である熱可塑性樹脂は、溶着対象である第1部材23の熱可塑性樹脂および/または第2部材24の熱可塑性樹脂と同一であることが好ましい。あるいは、超音波溶着用メッシュ19の素材である熱可塑性樹脂は、第1部材23の熱可塑性樹脂および/または第2部材24の熱可塑性樹脂よりも低い融点を有するものであることが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、特に限定されず、これまで述べた実施形態と同様のものを用いることができる。超音波溶着用メッシュ19は、溶着対象表面の起伏変化への対応の観点から、全体として所定の柔軟性を有することが好ましい。
ここでは、超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面23sとの接合箇所25の各々が、非接合箇所25’の各々に隔てられる形で、非連続に形成されることになる(「非連続形成要件」が満たされている)。さらに、超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面24sとの接合箇所26の各々が、非接合箇所26’の各々に隔てられる形で、非連続に形成されることになる(ここでも「非連続形成要件」が満たされている)。
超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面23sとの非接合箇所25’の全ては、超音波溶着用メッシュ19が立体的なメッシュ構造であることに起因し、超音波溶着用メッシュ19の外部に対して開放されている(「外部開放要件」が満たされている)。超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面24sとの非接合箇所26’の全ては、超音波溶着用メッシュ19が立体的なメッシュ構造であることに起因し、超音波溶着用メッシュ19の外部に対して開放されている(ここでも「外部開放要件」が満たされている)。
超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面23sとの非接合箇所25’の合計面積に対する、超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面23sとの接合箇所25の合計面積の比率は、糸20が略円形断面を有することから、計算・測定を要することなく一見して1を大きく下回る値となる(理論上は糸20が織られた各交点でのみ溶着対象表面と接するため「接合箇所低減要件」が満たされている)。
上述の実施形態と同様に、この構造は、非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件を満たす限りにおいて、超音波溶着用部材の体積を小さくすることができるため、設計上の大きなフレキシビリティを有し、製造効率が高く、製造時間・コストを抑制することが可能である。さらに、この超音波溶着用部材は、超音波溶着用部材と溶着対象表面との接合箇所(溶着の起点)が非連続的に存在するようにし、非接合箇所が空気通路を確保するように外部に開放されている。そのうえ、この超音波溶着用部材は、接合箇所と非接合箇所の面積比が1を大きく下回ることによって、溶着部にボイドが残りにくく(溶着部材内部に空気溜まりが形成され難く)、接合部の高い気密性が得られるため、十分な溶着強度を確保することが可能となる。
なお、超音波溶着用メッシュ19の糸20の織り方は、上記3要件を満たす限りにおいて、図示した平織に限定されず、例えば、綾織(斜文織)や繻子織であってもよい。織物に替えて、編物を用いてもよい。また、超音波溶着用メッシュ19の縦糸20の糸条間の間隔と横糸20の糸条間の間隔とが同じである必要はない(すなわち、一方向のメッシュの開きとそれと交差する方向のメッシュの開きが同じである必要はない)。溶着対象面内で均一な溶着を行う観点から、超音波溶着用メッシュ19の縦糸20の糸条間の間隔と横糸20の糸条間の間隔とが、それぞれ一定かつ同一である平織が、最も好ましい。縦糸の素材と横糸の素材は、同じであっても異なっていてもよいが、製造効率の面から通常同じものが用いられる。
また代替的な実施形態として、図5、6に係る実施形態を、図2に係る実施形態および/または図3に係る実施形態および/または図4に係る実施形態と組み合わせてもよい。これによって、溶着対象部材の複雑な立体形状に合わせる形で、よりフレキシブルな溶着設計が可能になり、加えて材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
超音波溶着用ホーンおよび超音波溶着の条件としては、特に限定されず、用いる溶着対象部材や本発明に係る超音波溶着用部材の形状・素材に応じて、公知のものから選択することができる。
本発明に係る超音波溶着用部材は、溶着層におけるボイドの残存を回避しつつ十分な溶着強度を得ることができるため、特に、炭素繊維等の繊維および薄い樹脂の複層構造を有する複合材料や、複雑な形状の外面を有する溶着対象部材の超音波溶着のためにも好適に用いることができる。
以下では、本発明に係る超音波溶着用部材の典型例として、図5〜6に示す実施形態の超音波溶着用メッシュについて、実際に溶着を行い、引張剪断強度の測定および溶着部の断面観察を行った。
本発明は、添付の特許請求の範囲によって特定されるあらゆる実施形態を包含するものであって、以下の実施例によって限定的に解釈されるべきではない。
溶着対象部材である一対の熱可塑性樹脂板の間に、超音波溶着用メッシュを挟持し、これらの溶着対象部材の超音波溶着を行った。20mm×250mmのフラットな面のホーンを有し、出力3000Wの超音波溶着機を用いた。溶着面積は、25mm×12.7mmとした。
[実施例1]
溶着対象部材である一対の熱可塑性樹脂板として、PEEK樹脂製の平板を用いた。
超音波溶着用メッシュとして、同じくPEEK樹脂製の、開きが全体として均一な平織メッシュであって、糸外径が0.2mm、開きが0.3mmのものを用いた。
これらの材料を用いて超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
[実施例2]
糸外径0.4mm、開き0.45mmの超音波溶着用メッシュを用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
[実施例3]
糸外径0.5mm、開き1.0mmの超音波溶着用メッシュを用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
[実施例4]
溶着対象部材である一対の熱可塑性樹脂板として、PP樹脂製の平板を用いた。
超音波溶着用メッシュとして、同じくPP樹脂製の、開きが全体として均一な平織メッシュであって、糸外径が0.215mm、開きが0.297mmのものを用いた。
これらの材料を用いて超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
[比較例1]
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するフィルム(厚み0.1mm)を用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
[比較例2]
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するシート(厚み0.2mm)に対して打ち抜き加工を施し、特許文献1(特開平8−150669号公報(特許第3536385号))のネット形状を模したシートを用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
上記の各実施例および比較例について、一方の溶着対象面に関する接合箇所の合計面積/非接合箇所の合計面積の比率、及び溶着断面の外観評価の結果を、以下の表1に示す。
ここで、溶着断面は、ボイド(溶着時に混入した気泡)が観察されなかった場合を「○」、ボイドが観察された場合を「×」として評価した。
表1から分かるように、上述の非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件の全てを満たす、本発明に係る実施例1〜4の超音波溶着用部材を用いた場合には、ボイドが観られなかった。
それとは対照的に、非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件のいずれも満たさない比較例1のフィルムを用いた場合、ならびに、外部開放要件および接合箇所低減要件を満たさない比較例2のシートを用いた場合には、溶着時に混入した気泡に起因するボイドが観察された。
[実施例5]
溶着対象部材である一対の熱可塑性樹脂板として、PEEK樹脂をマトリックスとする炭素繊維複合材を用いた。超音波溶着用メッシュとして、PEEK樹脂製の、開きが全体として均一な平織メッシュであって、糸外径が0.5mm、開きが1.0mmのものを用いた。これらの材料を用いて超音波溶着を行い、引張剪断強度の測定を行った。
[比較例3]
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するフィルム(厚み0.1mm)を用いた以外は、実施例5と同様に超音波溶着を行い、引張剪断強度の測定を行った。
[比較例4]
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するシート(厚み0.2mm)に対して打ち抜き加工を施し、特許文献1(特開平8−150669号公報(特許第3536385号))のネット形状を模したシートを用いた以外は、実施例5と同様に超音波溶着を行い、引張剪断強度の測定を行った。
上記の実施例5ならびに比較例3及び4について、一方の溶着対象面に関する接合箇所の合計面積/非接合箇所の合計面積の比率、及び引張剪断強度の測定結果を、以下の表2に示す。
表2から分かるように、上述の非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件の全てを満たす、本発明に係る実施例5の超音波溶着用部材を用いた場合には、十分実用的な剪断強度を有していた。それとは対照的に、非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件のいずれも満たさない比較例3のフィルムを用いた場合、ならびに、外部開放要件および接合箇所低減要件を満たさない比較例4のシートを用いた場合には、低い水準の剪断強度を示すかまたは接合しなかった。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との超音波溶着に先立って、これらの溶着対象表面の間に挟持させるための、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材であって、
    この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、かつ予め扁平に形成されており、
    超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように形成されてなり、
    かつ、超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように形成されてなり、
    かつ、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、
    超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状部材片の集合体であり、
    超音波溶着用部材の熱可塑性樹脂は、第1部材の熱可塑性樹脂および/または第2部材の熱可塑性樹脂と同一であることを特徴とする、
    上記超音波溶着用部材。
  2. 超音波溶着用部材が、前記の略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状の超音波溶着用部材以外に、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の超音波溶着用部材。
  3. 超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の超音波溶着用部材。
  4. 熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との間に、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材を挟持させる工程、ならびに、
    超音波溶着用部材に超音波振動を与えて、第1部材および第2部材を溶着させる工程を含む超音波溶着方法であって、
    この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、かつ予め扁平に形成されており、
    第1部材の溶着対象表面と第2部材の溶着対象表面との間に超音波溶着用部材を挟持させる工程において、
    超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように、超音波溶着用部材を配置し、
    かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように、超音波溶着用部材を配置し、
    かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になるように、超音波溶着用部材を配置し、
    超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔に配された複数のドット状部材片の集合体であり、
    超音波溶着用部材の熱可塑性樹脂は、第1部材の熱可塑性樹脂および/または第2部材の熱可塑性樹脂と同一であることを特徴とする、
    上記超音波溶着方法。
  5. 超音波溶着用部材が、前記の略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状の超音波溶着用部材以外に、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、請求項4に記載の超音波溶着方法。
  6. 超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の超音波溶着方法。
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