JP6820374B2 - 超音波溶着用部材および超音波溶着方法 - Google Patents
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Description
しかし、溶着対象である熱可塑性樹脂の部材のいずれか一方にリブ状の突起を予め一体に成形するための方法としては、射出成形等の成形法に限定されるところ、溶着対象の部材の表面形状が複雑である場合には、リブ状の突起の付加は非常に困難である。
[1].熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との超音波溶着に先立って、これらの溶着対象表面の間に挟持させるための、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材であって、
この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、
超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように形成されてなり、
かつ、超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように形成されてなり、
かつ、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になる、
上記超音波溶着用部材。
[2].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、上記[1]項に記載の超音波溶着用部材。
[3].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略格子状の織物又は編物のメッシュであり、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、メッシュの糸の交差部が、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所を形成することを特徴とする、上記[2]項に記載の超音波溶着用部材。
[4].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状であることを特徴とする、上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の超音波溶着用部材。
[5].超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の超音波溶着用部材。
[6].熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との間に、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材を挟持させる工程、ならびに、
超音波溶着用部材に超音波振動を与えて、第1部材および第2部材を溶着させる工程を含む超音波溶着方法であって、
この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、
第1部材の溶着対象表面と第2部材の溶着対象表面との間に超音波溶着用部材を挟持させる工程において、
超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように、超音波溶着用部材を配置し、
かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように、超音波溶着用部材を配置し、
かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になるように、超音波溶着用部材を配置する、
上記超音波溶着方法。
[7].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、上記[6]項に記載の超音波溶着方法。
[8].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略格子状の織物又は編物のメッシュであり、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、メッシュの糸の交差部が、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所を形成することを特徴とする、上記[7]項に記載の超音波溶着方法。
[9].超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔に配された複数のドット状であることを特徴とする、上記[6]〜[8]項のいずれか1項に記載の超音波溶着方法。
[10].超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、上記[6]〜[9]項のいずれか1項に記載の超音波溶着方法。
なお、超音波溶着用部材に係る本発明(上記項目[1]〜[5])の対象は、当該部材自体である。第1部材および第2部材は、超音波溶着用部材に係る本発明の範囲に含まれない。
そして、この超音波溶着用部材は、2つの溶着対象部材間の方向における厚みの設計制約が少なく(特にメッシュを採用した場合)、また、超音波溶着用部材の体積を小さくすることができるため、製造効率が高く、製造時間・コストを抑制することが可能である。
さらに、この超音波溶着用部材は、超音波溶着用部材と溶着対象表面との接合箇所(溶着の起点)が少なくとも一部において非連続的に存在するようにし、非接合箇所が空気通路を確保するように外部に開放されており、かつ、接合箇所と非接合箇所の面積比を所定範囲内に調整することによって、溶着部にボイドが残りにくく、接合部の高い気密性が得られるため、十分な溶着強度を確保することが可能となる。
これらの効果は、上記超音波溶着方法を用いた場合にも、同様に得られる。
図2(a)中、5は、扁平な略直方体形状の輪郭を有し、熱可塑性樹脂から形成された超音波溶着用部材である。6は、超音波溶着用部材5の一表面上にて、断面が略半円状になるように複数列にわたって略平行に穿たれた凹部である。7は、当該表面における超音波溶着用部材の各凹部間の表面である。8は、超音波溶着用部材5の略平面状である他方の表面である。凹部6の各々は、略等間隔に、かつ部材厚みの略半分以上の深さを有するように、当該表面の一方の端から他方の端に至るまで形成されている。
ここで、凹部間表面7の合計面積は、当該表面輪郭上の凹部6による差渡し面積(ある凹部間表面7及び隣接する凹部間表面7の間の差渡し面積)の合計よりも小さくなることが好ましい。そうすることによって、超音波溶着用部材5の当該表面が溶着対象部材と接したときに、非接合箇所の合計面積を接合箇所の合計面積よりも大きくすることが容易になり、その結果、溶着強度を確保しつつも省資源的・省コストな溶着が可能になる。
超音波溶着用部材5と溶着対象表面3sとの非接合箇所6’の全ては、凹部6の各々が超音波溶着用部材5の表面の一方の端から他方の端に至るまで形成されていることに起因して、超音波溶着用部材5の外部に対して開放されている(以下では「外部開放要件」という)。
超音波溶着用部材5と溶着対象表面3sとの非接合箇所6’の合計面積Aに対する、超音波溶着用部材5と溶着対象表面3sとの接合箇所7の合計面積Bの比率は、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように形成されている(以下では「接合箇所低減要件」という)。なお、近似的に、合計面積Bは、凹部間表面7の面積の合計として計算され、合計面積Aは、超音波溶着用部材5において凹部6を穿つ以前の当該面の面積から合計面積Bを減じた値として計算される。
また,代替的な実施形態として、超音波溶着用部材5の一表面上に、凹部6に加えて、これと略垂直に交差させる形で、断面が略半円状になるように複数列にわたって略平行に穿たれた凹部を更に設けてもよい。この場合の新たに設けられた交差列の凹部およびその凹部間表面の形状・配列に関する設計範囲は、上述と同様に設定することができる。
また、更なる代替的な実施形態として、超音波溶着用部材5の他方の表面8にも、凹部および凹部間表面を同様に形成してもよい。
これらの構造によって、材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
図3(a)中、12は、断面略矩形の、ある一方向に延伸された、扁平な直方体である超音波溶着用部材片であり、熱可塑性樹脂から形成されている。13は、超音波溶着用部材片12の一方の表面であり、14は、超音波溶着用部材片12の他方の表面である。超音波溶着用部材11は、実質的に同一形状を有する複数の超音波溶着用部材片12が、同一平面上に、略等間隔にて略平行に配置された集合体である。
ここで、超音波溶着用部材片12の表面13(または表面14)の合計面積は、隣接する表面13(または表面14)間の差渡し面積の合計よりも小さくなることが好ましい。そうすることによって、超音波溶着用部材片12(すなわち超音波溶着用部材11)の表面13(または表面14)が溶着対象部材と接したときに、非接合箇所の合計面積を接合箇所の合計面積よりも大きくすることが容易になり、その結果、溶着強度を確保しつつも省資源的・省コストな溶着が可能になる。
超音波溶着用部材片12と溶着対象表面9sとの非接合箇所13’の全ては、超音波溶着用部材片12の各々の間で一方の端から他方の端に至るまで形成されていることに起因して、超音波溶着用部材11の外部に対して開放されている(「外部開放要件」が満たされている)。超音波溶着用部材片12と溶着対象表面10sとの非接合箇所14’の全ては、超音波溶着用部材片12の各々の間で一方の端から他方の端に至るまで形成されていることに起因して、超音波溶着用部材11の外部に対して開放されている(ここでも「外部開放要件」が満たされている)。
超音波溶着用部材片12と溶着対象表面9sとの非接合箇所13’の合計面積Aに対する、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面9sとの接合箇所13の合計面積Bの比率は、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように形成されている(「接合箇所低減要件」が満たされている)。
また、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面10sとの非接合箇所14’の合計面積A’に対する、超音波溶着用部材片12と溶着対象表面10sとの接合箇所14の合計面積B’の比率は、1未満、好ましくは0.8未満、さらに好ましくは0.5未満になるように形成されている(「接合箇所低減要件」が満たされている)。
なお、近似的に、合計面積B(またはB’)は、表面13(または表面14)の面積の合計として計算され、合計面積A(またはA’)は、超音波溶着用部材片12の全体について直線的に形成される最外輪郭(集合体としての超音波溶着用部材11の輪郭)の表面13相当面の面積または表面14相当面の面積から合計面積B(またはB’)を減じた値として計算される。
また,代替的な実施形態として、溶着対象の一部において、上記のように略平行に超音波溶着用部材片12を配置し、溶着対象の他の一部においては、これと異なる方向にて略平行に超音波溶着用部材片12を配置してもよい。また、図2に係る実施形態と図3に係る実施形態を組み合わせてもよい。これによって、溶着対象部材の複雑な立体形状に合わせる形で、よりフレキシブルな溶着設計が可能になり、加えて、材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
図4中、16は、断面略矩形の扁平な直方体である超音波溶着用部材片であり、熱可塑性樹脂から形成されている。17は、超音波溶着用部材片16の一方の表面であり、18は、超音波溶着用部材片16の他方の表面である。超音波溶着用部材15は、実質的に同一形状を有する複数の超音波溶着用部材片16が、略等間隔にて、交差する複数列を構成するように、同一平面上に配置された集合体である。ここで、超音波溶着用部材片16の表面17(または表面18)の合計面積Aは、表面17(または表面18)全体の外側輪郭によって形成される面積Bから合計面積Aを引いた面積よりも小さくなることが好ましい。そうすることによって、超音波溶着用部材片16(すなわち超音波溶着用部材15)の表面17(または表面18)が溶着対象部材と接したときに、非接合箇所の合計面積を接合箇所の合計面積よりも大きくすることが容易になり、その結果、溶着強度を確保しつつも省資源的・省コストな溶着が可能になる。
溶着対象である第1部材および第2部材の各々について、超音波溶着用部材片16と溶着対象表面との非接合箇所の全ては、超音波溶着用部材15の外部に対して開放されている(「外部開放要件」が満たされている)。
溶着対象である第1部材および第2部材の各々について、超音波溶着用部材片16と溶着対象表面との非接合箇所の合計面積Aに対する、超音波溶着用部材片16と溶着対象表面との接合箇所の合計面積Bの比率は、1未満、好ましくは0.8未満、より好ましくは0.5未満、さらに好ましくは0.4未満、最も好ましくは0.3未満になるように形成されている(「接合箇所低減要件」が満たされている)。なお、近似的に、合計面積Bは、表面17(または表面18)の面積の合計として計算され、合計面積Aは、超音波溶着用部材片16の全体について直線的に形成される最外輪郭(集合体としての超音波溶着用部材15の輪郭)の表面17相当面の面積または表面18相当面の面積から合計面積Bを減じた値として計算される。
また,代替的な実施形態として、図4に係る実施形態を、図2に係る実施形態および/または図3に係る実施形態と組み合わせてもよい。これによって、溶着対象部材の複雑な立体形状に合わせる形で、よりフレキシブルな溶着設計が可能になり、加えて、材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
図5は、超音波溶着用メッシュの平面図および一部拡大断面である。図中、19は超音波溶着用メッシュを示し、20は超音波溶着用メッシュ19の織物を構成する略直角に交差するように織られた糸(断面略円形の縦糸および横糸)であり、21は糸の外径であり、22は織物を構成する隣接糸条の間隔:メッシュのいわゆる「開き」である。糸20の外径21は、特に限定されないが、例えば0.1〜1mm程度であってよく、より好ましくは0.15〜0.6mmの範囲である。メッシュの開き22は、特に限定されないが、例えば0.1〜2mm程度であってよく、より好ましくは0.2〜1.2mmの範囲である。
超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面23sとの非接合箇所25’の全ては、超音波溶着用メッシュ19が立体的なメッシュ構造であることに起因し、超音波溶着用メッシュ19の外部に対して開放されている(「外部開放要件」が満たされている)。超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面24sとの非接合箇所26’の全ては、超音波溶着用メッシュ19が立体的なメッシュ構造であることに起因し、超音波溶着用メッシュ19の外部に対して開放されている(ここでも「外部開放要件」が満たされている)。
超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面23sとの非接合箇所25’の合計面積に対する、超音波溶着用メッシュ19の糸20と溶着対象表面23sとの接合箇所25の合計面積の比率は、糸20が略円形断面を有することから、計算・測定を要することなく一見して1を大きく下回る値となる(理論上は糸20が織られた各交点でのみ溶着対象表面と接するため「接合箇所低減要件」が満たされている)。
また代替的な実施形態として、図5、6に係る実施形態を、図2に係る実施形態および/または図3に係る実施形態および/または図4に係る実施形態と組み合わせてもよい。これによって、溶着対象部材の複雑な立体形状に合わせる形で、よりフレキシブルな溶着設計が可能になり、加えて材料コストの低減、製造の効率化を更に進めることができる。
本発明に係る超音波溶着用部材は、溶着層におけるボイドの残存を回避しつつ十分な溶着強度を得ることができるため、特に、炭素繊維等の繊維および薄い樹脂の複層構造を有する複合材料や、複雑な形状の外面を有する溶着対象部材の超音波溶着のためにも好適に用いることができる。
本発明は、添付の特許請求の範囲によって特定されるあらゆる実施形態を包含するものであって、以下の実施例によって限定的に解釈されるべきではない。
溶着対象部材である一対の熱可塑性樹脂板として、PEEK樹脂製の平板を用いた。
超音波溶着用メッシュとして、同じくPEEK樹脂製の、開きが全体として均一な平織メッシュであって、糸外径が0.2mm、開きが0.3mmのものを用いた。
これらの材料を用いて超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
糸外径0.4mm、開き0.45mmの超音波溶着用メッシュを用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
糸外径0.5mm、開き1.0mmの超音波溶着用メッシュを用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
溶着対象部材である一対の熱可塑性樹脂板として、PP樹脂製の平板を用いた。
超音波溶着用メッシュとして、同じくPP樹脂製の、開きが全体として均一な平織メッシュであって、糸外径が0.215mm、開きが0.297mmのものを用いた。
これらの材料を用いて超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するフィルム(厚み0.1mm)を用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するシート(厚み0.2mm)に対して打ち抜き加工を施し、特許文献1(特開平8−150669号公報(特許第3536385号))のネット形状を模したシートを用いた以外は、実施例1と同様に超音波溶着を行い、溶着部の断面観察を行った。
ここで、溶着断面は、ボイド(溶着時に混入した気泡)が観察されなかった場合を「○」、ボイドが観察された場合を「×」として評価した。
それとは対照的に、非連続形成要件、外部開放要件および接合箇所低減要件のいずれも満たさない比較例1のフィルムを用いた場合、ならびに、外部開放要件および接合箇所低減要件を満たさない比較例2のシートを用いた場合には、溶着時に混入した気泡に起因するボイドが観察された。
溶着対象部材である一対の熱可塑性樹脂板として、PEEK樹脂をマトリックスとする炭素繊維複合材を用いた。超音波溶着用メッシュとして、PEEK樹脂製の、開きが全体として均一な平織メッシュであって、糸外径が0.5mm、開きが1.0mmのものを用いた。これらの材料を用いて超音波溶着を行い、引張剪断強度の測定を行った。
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するフィルム(厚み0.1mm)を用いた以外は、実施例5と同様に超音波溶着を行い、引張剪断強度の測定を行った。
超音波溶着用メッシュの代わりに、PEEK樹脂製の均一厚みを有するシート(厚み0.2mm)に対して打ち抜き加工を施し、特許文献1(特開平8−150669号公報(特許第3536385号))のネット形状を模したシートを用いた以外は、実施例5と同様に超音波溶着を行い、引張剪断強度の測定を行った。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との超音波溶着に先立って、これらの溶着対象表面の間に挟持させるための、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材であって、
この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、かつ予め扁平に形成されており、
超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように形成されてなり、
かつ、超音波溶着用部材は、第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたときに、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように形成されてなり、
かつ、超音波溶着用部材を第1部材の溶着対象表面および第2部材の溶着対象表面の間に挟持させたとき、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、
超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状部材片の集合体であり、
超音波溶着用部材の熱可塑性樹脂は、第1部材の熱可塑性樹脂および/または第2部材の熱可塑性樹脂と同一であることを特徴とする、
上記超音波溶着用部材。 - 超音波溶着用部材が、前記の略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状の超音波溶着用部材以外に、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の超音波溶着用部材。
- 超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の超音波溶着用部材。
- 熱可塑性樹脂を含んでなる第1部材の溶着対象表面と、これに対して平行または嵌合する形状を有する熱可塑性樹脂を含んでなる第2部材の溶着対象表面との間に、第1部材および第2部材とは独立した超音波溶着用部材を挟持させる工程、ならびに、
超音波溶着用部材に超音波振動を与えて、第1部材および第2部材を溶着させる工程を含む超音波溶着方法であって、
この超音波溶着用部材は、熱可塑性樹脂を含んでなり、かつ予め扁平に形成されており、
第1部材の溶着対象表面と第2部材の溶着対象表面との間に超音波溶着用部材を挟持させる工程において、
超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所が、少なくとも一部において非連続的に存在するように、超音波溶着用部材を配置し、
かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所および/または超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の全てが、超音波溶着用部材の外部に対して開放されるように、超音波溶着用部材を配置し、
かつ、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第1部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になり、および/または、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との非接合箇所の合計面積に対する、超音波溶着用部材と第2部材の溶着対象表面との接合箇所の合計面積の比率が1未満になるように、超音波溶着用部材を配置し、
超音波溶着用部材が、少なくとも一部において、略等間隔に配された複数のドット状部材片の集合体であり、
超音波溶着用部材の熱可塑性樹脂は、第1部材の熱可塑性樹脂および/または第2部材の熱可塑性樹脂と同一であることを特徴とする、
上記超音波溶着方法。 - 超音波溶着用部材が、前記の略等間隔にまたは不規則的に配された複数のドット状の超音波溶着用部材以外に、少なくとも一部において、複数の線条を含んでなることを特徴とする、請求項4に記載の超音波溶着方法。
- 超音波溶着用部材に含まれる熱可塑性樹脂が、PP、PA6、PA66、PC、PS、PVC、ポリエステル、ABS、PPS、PEEK、およびPEKKからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の超音波溶着方法。
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