JP6820312B2 - アトルバスタチンにより増加し、炎症を消失させる新規な13−シリーズのレゾルビンの解明 - Google Patents

アトルバスタチンにより増加し、炎症を消失させる新規な13−シリーズのレゾルビンの解明 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年7月20日に出願された米国特許仮出願第62/194,485号の優先権の恩典を主張するものであり、この仮出願は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、米国立衛生研究所によって付与された助成金番号P01GM095467での政府の補助を伴ってなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明により、感染に対して強力な防御作用を示し、炎症の消散において活性な、n−3ドコサペンタエン酸(DPA,C22:5)由来の新しい生物活性化合物を提供する。
感染は、世界的に死因の第1位であり、細菌感染、例えば大腸菌によって引き起こされるものは、急を要する健康問題となっている1,2。細菌感染を処置するための広く行なわれているアプローチは、抗生物質の投与であるが、抗生物質耐性菌の増加に伴い、新しい処置ストラテジーの差し迫った必要性が存在している1,2。感染に応答して、宿主は、自己消散性である場合は防御的である炎症応答を起こす3〜5。本発明者らは以前に、強力な内在性の抗炎症性で消散促進性のメディエーター、すなわち、特殊な消散促進性メディエーター(SPM)であることが知られているレゾルビン、プロテクチンおよびマレシンを特性評価した。これらは、n−3必須脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)から生合成される。EPAからのDHA生合成の中間体であるドコサペンタエン酸(n−3,DPA)は、脂肪酸エロンガーゼ−2をコードしている遺伝子に単一ヌクレオチド多型を伴って個体に蓄積され、また、3つの新しいSPMファミリーの前駆体でもある
自己消散性の急性炎症の消散期では、SPMは局所的に生成され、白血球がアポトーシス細胞、残屑および細菌のクリアランスを刺激することに対して防御作用を発揮するとともに、組織再生を促進させる4,8。感染性炎症の初期に発生するシグナルが炎症応答の大きさと持続期間を決定し得る。したがって、初期応答を微調整して消散を促進させるための、自己消散性感染の初期において生成され得る新規なメディエーターが一般的に重要である。
したがって、自己消散性感染の初期において生成されるメディエーターが同定され、かかるメディエーターが、その構造式と生物活性効果の両方において特性評価される必要性が存在している。
免疫抑制を伴うことなく宿主の防御および感染の消散をもたらす内因性機構は幅広く重要である1,2。ここに、本発明者らは、好中球−内皮系の共培養物において産生され、非感染性炎症または感染後のヒトおよびマウスの組織に存在する4種類の新しい宿主防御性分子の構造を解明した。これらの生物活性分子は、それぞれ13位の炭素位置にアルコールを担持している共役型のトリエン二重結合およびジエン二重結合を含むものであり、n−3ドコサペンタエン酸(DPA,C22:5)に由来するものであった。これらの化合物(13−シリーズのレゾルビン(RvT)と称する)は、大腸菌感染の際のマウスの生存率を高める強力な防御作用を示した。また、RvTは、細菌食作用を刺激し、インフラマソーム成分を調節するヒトおよびマウスの食細胞の応答を調節した。好中球−内皮細胞の相互作用時の該化合物の生合成は、内皮系内のシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)によって開始され、アトルバスタチンによるCOX−2のS−ニトロシル化によって増大した。アトルバスタチンとRvTの作用はマウスの大腸菌感染において相加的であり、この場合、これらによって炎症の消散が加速し、生存率が>60%に高まった。このような結果は、細菌感染における新規な宿主防御性分子、すなわち、13−シリーズのレゾルビン細胞間生合成によってn−3 DPAから誘導され、アトルバスタチンによって増加することを証明するものである。これらの新規な分子は、感染の消散性の−炎症においてカギとなる自然防御応答を調節するものである。
本発明により、驚くべきことに、すべてが22個の炭素の鎖の7位および13位の1つ以上にヒドロキシル基を有するものであるドコサペンタエン酸(is)(DPA)の新規なジヒドロキシおよびトリヒドロキシアナログの新規な化合物、組成物および使用方法が提供される。このような物質は生物起源的に誘導されるもの、および/または炎症滲出液から単離されるものである。
一実施形態では、本発明は、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(I):
を含む化合物に関するものであり、
式中、P、PおよびPの各々は個々に保護基または水素原子であり;
式中、
は二重結合であり;
式中、各二重結合
は独立してZ配置またはE配置のいずれかであり;
式中、7、13および20の炭素は独立してR配置またはS配置であり;
式中、Zは−C(O)OR、−C(O)NR、−C(O)H、−C(NH)NR、−C(S)H、−C(S)OR、−C(S)NRまたは−CNであり;
各Rは独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールまたは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択され;
各Rは独立して保護基またはRであるか、あるいはまた、各Rは、これが結合している窒素原子と一体となって、5〜8員のシクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールを形成しており、該シクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールは、任意選択で1個以上の同じかまたは異なるさらなるヘテロ原子を含むものであってもよく、任意選択で1つ以上の同じかまたは異なるR基または適当なR基で置換されていてもよく;
各Rは独立して、=O、−OR、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF、=S、−SR、=NR、=NOR、−NR、ハロゲン、−CF、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)R、−S(O)、−S(O)OR、−S(O)NR、−S(O)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)OR、−OS(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NH)NR、−C(NR)NR、−C(NOH)R、−C(NOH)NR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(NH)NR、−OC(NR)NR、−[NHC(O)]、−[NRC(O)]、−[NHC(O)]OR、−[NRC(O)]OR、−[NHC(O)]NR、−[NRC(O)]NR、−[NHC(NH)]NRまたは−[NRC(NR)]NRから選択され;
各nは、独立して0〜3の整数であり;
各Rは独立して保護基またはRである;
またはその薬学的に許容され得る塩、種々の態様において、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素ではない。一態様では、P、PおよびPがすべて水素原子である。別の態様では、8位の二重結合がEである。さらに別の態様では、10位の二重結合がZである。また別の態様では、8位の二重結合がEであり、10位の位置の二重結合がZである。
一実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、8位の二重結合がEである。
別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、10位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、8位の二重結合がEであり、10位の二重結合がZである。
さらにまた別の実施形態では、P、PおよびPのすべてが水素原子であり、8位の二重結合がEであり、10位の二重結合がZである。
DPAアナログ(I)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(Ia)であり、
式中、P、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、C7、C13およびC20は独立してR配置またはS配置である。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(I)または(Ia):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P、およびP
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、13および20位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。一態様では、P、PおよびPがすべて水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPがすべて水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
一態様では、8位の二重結合がEである。さらに別の態様では、10位の二重結合がZである。また別の態様では、8位の二重結合がEであり、10位の位置の二重結合がZである。
一実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、8位の二重結合がEである。
別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、10位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、8位の二重結合がEであり、10位の二重結合がZである。
さらにまた別の実施形態では、各P、PおよびPが水素原子であり、8位の二重結合がEであり、10位の二重結合がZである。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。他の実施形態では、化合物IおよびIaが精製されている場合、P、PおよびPは水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPが水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(I)および(Ia)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
別の態様において、本発明は、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(II):
を含む化合物に関するものであり、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、8および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである、
またはその薬学的に許容され得る塩。一部の態様では、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素ではない
一実施形態では、P、PおよびPがすべて水素原子である。
一態様では、11位の二重結合がEである。別の態様では、16位の二重結合がZである。また別の態様では、11位の二重結合がEであり、16位の二重結合がZである。
一実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、11位の二重結合がEである。
別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、11位の二重結合がEであり、16位の二重結合がZである。
さらにまた別の実施形態では、各P、PおよびPが水素原子であり、14位の二重結合がEであり、16位の二重結合がZである。
DPAアナログ(II)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(IIa)であり、
式中、P、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、炭素7、8および13は独立してR配置またはS配置のいずれかである。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(II)または(IIa):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりである。一態様では、P、PおよびPがすべて水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPがすべて水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
一実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、11位の二重結合がEである。
別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、11位の二重結合がEであり、16位の二重結合がZである。
さらにまた別の実施形態では、P、PおよびPの各々が水素原子であり、11位の二重結合がEであり、16位の二重結合がZである。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
他の実施形態では、化合物IIおよびIIaが精製されている場合、P、Pおよび/またはPはともに水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、Pおよび/またはPが水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(II)および(IIa)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(III):
を含む化合物を提供し、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、12および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである、
またはその薬学的に許容され得る塩。種々の態様において、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素ではない。
一実施形態では、P、P、およびPがすべて水素原子である。
一態様では、16位の二重結合がZである。別の態様では、19位の二重結合がZである。さらに別の態様では、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
一実施形態では、P、P、およびPのうちの1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZである。
別の実施形態では、P、P、およびPのうちの1つ以上が水素原子であり、19位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、P、P、およびPのうちの1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
また別の実施形態では、P、P、およびPがともに水素原子であり、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
DPAアナログ(III)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(IIIa)であり、
式中、P、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、12および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(III)または(IIIa):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、12および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。一態様では、P、P、およびPがすべて水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、P、およびPがすべて水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
一態様では、16位の二重結合がZである。別の態様では、19位の二重結合がZである。さらに別の態様では、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
一実施形態では、P、P、およびPのうちの1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZである。
別の実施形態では、P、P、およびPのうちの1つ以上が水素原子であり、19位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、P、P、およびPのうちの1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
また別の実施形態では、P、P、およびPが水素原子であり、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
他の実施形態では、化合物IIIおよびIIIaが精製されている場合、P、Pおよび/またはPは水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPが水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(III)および(IIIa)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
また別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(IV):
を含む化合物を提供し、
式中、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、C7およびC13は独立してRまたはSのいずれかである、
またはその薬学的に許容され得る塩。一部の態様では、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、PとPがともに水素原子である場合、水素ではない。
一実施形態では、PとPがともに水素原子である。
一態様では、16位の二重結合がZである。別の態様では、19位の二重結合がZである。さらに別の態様では、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
一実施形態では、PとPのうち1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZである。
別の実施形態では、PとPのうち1つ以上が水素原子であり、19位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、PとPのうち1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
また別の実施形態では、PとPの両方が水素原子であり、16位の二重結合がZであり、19位の二重結合がZである。
DPAアナログ(IV)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(IVa)であり、
式中、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、C7およびC13は独立してRまたはSのいずれかである。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(IV)または(IVa):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。一態様では、PとPがともに水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、PとPがともに水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
一態様では、8位の二重結合がZである。別の態様では、16位の二重結合がZである。また別の態様では、19位の二重結合がZである。さらに他の態様では、14位の二重結合がEであり、10位の二重結合がZである。
一実施形態では、PとPのうち1つ以上が水素原子であり、8位の二重結合がEである。
別の実施形態では、PとPのうち1つ以上が水素原子であり、16位の二重結合がZである。
さらに別の実施形態では、PとPのうち1つ以上が水素原子であり、19位の二重結合がZである。
さらにまた別の実施形態では、PとPのうち1つ以上が水素原子であり、10、16および/または19位の二重結合のうちの少なくとも2つがZである。
また別の実施形態では、PとPの両方が水素原子であり、10、16および/または19位の二重結合のうちの少なくとも2つがZである。
さらに別の実施形態では、PとPの両方が水素原子であり、7、16および19位の二重結合のうちの2つがZである。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
他の実施形態では、化合物IVおよびIVが精製されている場合、PとPはともに水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、PとPがともに水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(IV)および(IVa)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
また、本明細書に記載の任意の化合物が、本明細書の至る箇所に記載している任意の病気、疾患または罹病状態の処置または予防に使用され得ることも理解されたい。
別の態様において、本発明により、1種類以上の本発明の化合物を他の医薬活性成分とともに、またはなしで、薬学的に許容され得るビヒクルとの混合状態で含む医薬組成物を提供する。かかる調製物は本発明の方法に従って投与され得る。
また別の態様において、本発明は、哺乳動物の炎症または炎症性疾患を処置または予防するための方法に関する。該方法は、予防有効量または治療有効量の少なくとも1種類の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを伴うものである。例えば、本発明の化合物は、炎症、がん、神経変性、物忘れ、シワ、乾癬、フケまたは皮膚炎の処置または予防を、それを必要とする個体に有効量の本明細書に記載の任意の化合物を投与することにより行なうために使用され得る。
また別の態様において、本発明は、哺乳動物の細菌による感染または疾患を処置または予防するための方法に関する。該方法は、予防有効量または治療有効量の少なくとも1種類の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを伴うものである。
また別の態様において、本発明は、健康のために必要とされるスタチンの量を低減させるための方法に関する。該方法は、予防有効量または治療有効量の少なくとも1種類の本発明の化合物またはその医薬組成物を投与することを伴うものである。他の実施形態では、本発明により、スタチン療法を増強するための方法であって、それを必要とする対象に、スタチン療法を必要とする対象に対してスタチン化合物に加えて治療有効量の請求項1〜5による化合物を与えることを含む方法を提供する。
また他の実施形態では、本発明により、細菌感染を処置または予防するための方法であって、それを必要とする対象に上記に開示したRvT 1、1a、2、2a、III、IIIa、IVまたはIVaのうちのいずれかを含む化合物または組成物を投与することを含む方法を提供する。
また別の実施形態では、本発明により、対象に上記に開示したRvT 1、1a、2、2a、III、IIIa、IVまたはIVaのうちのいずれかを含む治療量の化合物を投与することを含む、細菌感染に苦しんでいる対象の生存割合を高めるための方法を提供する。
さらに別の実施形態では、本発明により、食作用、エフェロサイトーシス、創傷治癒または組織再生の促進を、それを必要とする対象において行なうための方法であって、それを必要とする患者に上記に開示したRvT 1、1a、2、2a、III、IIIa、IVまたはIVaのうちのいずれかを含む治療有効量の化合物を投与することを含む方法を提供する。
なおさらなる実施形態では、本発明により、白血球の刺激を必要とする対象に治療量の請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、白血球における活性酸素種の生成の刺激方法を提供する。
さらに、本発明の化合物は、神経の発達、胎児の発育、ホメオスタシス、組織リモデリングまたは創傷修復の増強を、それを必要とする個体に有効量の本明細書に記載の任意の化合物を投与することにより行なうために使用され得る。
本発明のさらなる特色および利点は、以下の詳細説明および特許請求の範囲から、より明らかとなろう。
多くの実施形態を開示しているが、当業者には、以下の詳細説明から本発明のさらに他の実施形態が明らかとなろう。明白なことであるが、本発明は、種々の自明の態様における修正が、すべて、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく可能である。したがって、詳細説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものでないとみなされたい。
本発明による組成物および方法の種々の例示的な実施形態を、以下の図を参照しながら詳細に説明する。
好中球−内皮細胞の相互作用による新規な13−シリーズのレゾルビン(RvT)が自己消散性炎症において高値である。(a)画分をヒト好中球(PMN)−内皮細胞(EC)コインキュベーション物から抽出し(方法参照)、マウスにi.v.注射によって、大腸菌(2.5×10CFU/マウス)接種の5分前に投与し、生存率を評価した。n=10匹のマウス/群(3つの独立した実験)。大腸菌群と比べてp<0.05。 (b)ヒトPMN−ECコインキュベーションにおいて同定された新規な13−シリーズのレゾルビン(RvT)構造案。 (c)血液を健常志願者から運動前と運動後に収集し(方法参照)、RvTの量をLC−MS−MSを用いて評価した。n=4(4つの独立した実験での健常志願者)。運動前値と比べてp<0.05。 (d)血漿をNISTレポジトリーから入手し(SRM 1950,d=3)、健常志願者(n=4)または敗血症と診断された患者(n=9)から収集し、RvTをLC−MS−MSを用いて評価した。結果を2つの独立した実験の平均±s.e.m.として示す。SRM 1950と比べてp<0.05,**p<0.01,健常志願者と比べてp<0.05,##p<0.01。 (e)マウスに大腸菌(1×10CFU/マウス)を接種し、表示した間隔で血液を収集し、RvT量をLC−MS−MSを用いて評価した。 (f)マウスに1×10CFU/マウスの大腸菌(自己消散性)または1×10CFU/マウスの大腸菌(遅延消散)を接種し、4時間後に血液を収集し、RvTをLC−MS−MSを用いて評価した。e,fの結果を平均±s.e.m.として示す。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。0時間目の血液レベル(e)または自己消散性接種材料を投与されたマウス(f)と比べてp<0.05。 好中球−内皮細胞による産物は直接的な抗菌作用を示さない。(a)画分をヒト(h)好中球(PMN)−内皮細胞(EC)コインキュベーション物から抽出した(方法参照)。この産物またはアンピシリン(1mM)をGF−Cフィルター上に置き、次いで、大腸菌(1×107CFU)を入れたLB寒天プレート上に置いた。37℃で一晩インキュベーション後、クリアランスゾーンを評価した。結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。 (b)13−シリーズのレゾルビン(RvT)の構造案および生合成スキーム。 好中球内皮コインキュベーションにおける新規なn−3ドコサペンタエン酸由来13−シリーズのレゾルビンの同定。(a〜d)画分をヒト好中球(hPMN)−内皮細胞(hEC)コインキュベーション物から抽出した(方法参照)。メディエーターを脂質メディエーター(LM)メタボロリピドミクス(metabololipidomics)を用いてプロファイリングした。(a)13−シリーズレゾルビン(RvT)1、 (b)RvT2の同定に使用したMS−MS断片化スペクトル。 (c)RvT3の同定に使用したMS−MS断片化スペクトル。 (d)RvT4の同定に使用したMS−MS断片化スペクトル。結果は、n=4の独立した細胞インキュベーションの代表的なものである。 (e)hECをIL−1βおよびTNF−α(各々、10ng/ml,16時間,37℃)とともに、次いで、ビヒクル(PBS+0.01%EtOH)、1μM EPA、n−3 DPAまたはDHA(15分,37℃)およびヒト好中球(hPNM;1×107細胞/ml,60分,37℃)とともにインキュベートした。画分を固相抽出カラムを用いて抽出し、LC−MS−MSを用いて同定し、定量した(詳細については方法参照)。結果は平均±s.e.m.である。n=3つの細胞調製物(2つの独立した実験)。hPMN−ECインキュベーションと比べてp<0.05,**p<0.01。 (f)hEC)、hPMNおよびhPMN−ECをn−3 DPAとともにインキュベートし(詳細については方法参照)、RvTをLC−MS−MSベースLMメタボロリピドミクスを用いて同定し、定量した。RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4レベルを好中球−内皮細胞共培養物において同定。結果は平均±s.e.m.である。n=4つの細胞調製物/群(4つの独立した実験)。hECにおける量と比べてp<0.05。 ヒトCOX−2は内皮細胞においてn−3DPAを13R−HDPAに変換させる。(a)ヒト内皮細胞(hEC)を、IL−1βおよびTNF−α(各々、10ng/ml,16時間,37℃)とともにインキュベートした後、ビヒクル(0.01%EtOH含有PBS)またはn−3 DPA(1μM,60分,37℃)とともにインキュベートした。画分を抽出し(方法参照)、13−HDPAをLMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングした。結果は平均±s.e.m.である。n=4つの細胞調製物(4つの独立した実験)。hEC+ビヒクル細胞と比べてp<0.05。 (b)キラルLC−MS−MSによる標準的な13R−HDPAおよび13S−HDPAのMRMクロマトグラム。(c,d)hECを(a)の場合のようにしてインキュベートし、13−HDPAをキラルLMメタボロリピドミクスによって評価した。 (c)イオンペアm/z 345>195のMRMクロマトグラム。結果は、n=4つの細胞調製物(4つの独立した実験)の代表的なものである。 (d)13R−HDPAの同定に使用したMS−MSスペクトル。結果は、n=4つの細胞調製物(4つの独立した実験)の代表的なものである。 (e)hECをIL−1βおよびTNF−α(各々、10ng/ml,16時間,37℃)とともにインキュベートした後、ビヒクル(0.01%DMSO含有PBS)またはセレコキシブ(25μM,25分,37℃)とともにインキュベートし;次いでn−3 DPA(1μM,60分,37℃)を添加し、産物を抽出し、13−HDPAレベルをLMメタボロリピドミクスによって測定した。 (f)内皮細胞を、対照のスクランブルド(CS)またはヒトCOX−2 shRNAでトランスフェクトし;次いで細胞をIL−1βおよびTNF−α(各々、10ng/ml,16時間,37℃)ならびにn−3 DPA(1μM,60分,37℃)とともにインキュベートした。13−HDPAレベルをLMメタボロリピドミクスによって測定した。(e,f)の結果は平均±s.e.m.である。n=4つの細胞調製物(4つの独立した実験)。(e)は、IL−1β+TNF−αインキュベーション単独と比べてp<0.05。(f)は、CS−shRNA+IL−1βおよびTNF−αインキュベーションと比べてp<0.05。 (g〜h)ヒト組換え(hr)COX−2を、表示した濃度のn−3 DPAまたはAA(0.1M Tris−HCl,pH8.0,20μMブタヘマチン,0.67mMフェノール、室温,60分)とともにインキュベートし、産物の形成を、n−3 DPAからのhrCOX−2産物のキラルLMメタボロリピドミクスを用いて評価した(方法参照)(g)。(g)の結果は、n=6回のインキュベーションの代表的なものである。 (h)ミカエリス・メンテン速度論。(h)は平均±s.e.m.である。n=6回のインキュベーション(3つの独立した実験)。 RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4の物理的特徴。13R−HDPAをイモ5−LOX(0.1Mリン酸バッファー,pH6.3,0.03%Tween 20,30分)とともにインキュベートし;産物をRP−UV−HPLCを用いて単離した(詳細については方法参照)。(a〜d)同調して、(a)RvT1について記録されたオンラインUV−クロモフォア。 (b)RvT2について記録されたオンラインUV−クロモフォア。 (c)RvT3について記録されたオンラインUV−クロモフォア。 (d)RvT4について記録されたオンラインUV−クロモフォア。 (e〜h)単離した産物をジアゾメタン(エーテル中)(30分間,室温)とともにインキュベートし、LMメタボロリピドミクスによって評価した。(e)RvT1−メチルエステルのナトリウム付加物のMS−MS断片化スペクトル。結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。 (f)RvT2−メチルエステルのナトリウム付加物のMS−MS断片化スペクトル。結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。 (g)RvT3−メチルエステルのナトリウム付加物のMS−MS断片化スペクトル。結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。 (h)RvT4−メチルエステルのナトリウム付加物のMS−MS断片化スペクトル。結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。 分子酸素の組込みは、新規なRvTの生合成における好中球リポキシゲナーゼの役割を示す。ヒト末梢血好中球(5×107/ml)を13−HPDA(75ng/ml;PBS+/+;pH7.45)とともに高18雰囲気中でインキュベートした。次いで大腸菌を添加し(2.5×109/ml)、30分後に(37℃)インキュベーションを2容量の氷冷メタノールを用いてクエンチし、水素化ホウ素ナトリウム(1μg/ml,15分間,4℃)を用いて産物を還元した。産物を抽出し、LC−MS−MSを用いて同定した。(a)RvT1の同定に使用した代表的な構造およびMS−MSスペクトル。結果は、4つの好中球調製物(4つの独立した実験)の代表的なものである。 (b)RvT2の同定に使用した代表的な構造およびMS−MSスペクトル。結果は、4つの好中球調製物(4つの独立した実験)の代表的なものである。 (c)RvT3の同定に使用した代表的な構造およびMS−MSスペクトル。結果は、4つの好中球調製物(4つの独立した実験)の代表的なものである。 (d)RvT4の同定に使用した代表的な構造およびMS−MSスペクトル。結果は、4つの好中球調製物(4つの独立した実験)の代表的なものである。 トラッピング産物は、RvT2およびRvT3の生合成におけるエポキシド中間体の形成を示す。ヒト好中球(5×107細胞/ml)を、13R−HDPA(1μM,37℃,PBS pH7.45)および大腸菌(1×109CFU/ml,2分,37℃)とともにインキュベートした。インキュベーションを、2容量の酸性化メタノール(見かけ上pH3)を用いて停止させ、産物を抽出し、LMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングした。(a)RvT2のメトキシ−トラッピング産物のMRMクロマトグラム(左パネル)およびMS−MSスペクトル(右パネル)。 (b)RvT3のメトキシ−トラッピング産物のMRMクロマトグラム(左パネル)およびMS−MSスペクトル(右パネル)。結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。 アトルバスタチンはマウス感染時における好中球−内皮細胞画分の防御作用を増大させ、RvT形成をS−ニトロシル化COX−2によって促進させる。(a)アトルバスタチンありまたはなしでのヒト好中球−内皮細胞コインキュベーション物中のRvT。平均±s.e.m.;n=4つの独立した細胞調製物。4つの独立した実験。EC群と比べてp<0.05。 (b)C18 SPEを用いて抽出した画分(方法参照)を、大腸菌(2.5×10CFU/マウス)接種の5分前にマウスに投与し(i.v.)、生存率を評価した。n=14〜17匹のマウス/群。3つの独立した実験。大腸菌と比べてp<0.05,大腸菌+hPMN−ECと比べてp<0.05,大腸菌+hPMN+atorvまたは大腸菌+hEC+atorvと比べて§p<0.05。 (c,d)内皮細胞をIL−1βおよびTNF−α、次いでビヒクル、セレコキシブおよび/またはアトルバスタチンとともにインキュベートした後、n−3 DPAおよびhPMNとともにインキュベートした。(c〜d)画分を抽出し(c)LMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングした。平均±s.e.m.n=4つの独立した細胞調製物/群。3つの独立した実験。IL−1β+TNF−αのみとのインキュベーションと比べてp<0.05,**p<0.01 IL−1β+TNF−αおよびアトルバスタチンとのインキュベーションと比べてp<0.05。 (d)大腸菌(2.5×10CFU/マウス)前に投与し、生存率を評価。n=10匹のマウス/群。2つの独立した実験。大腸菌と比べてp<0.05;大腸菌+hPMN−EC+atorvと比べてp<0.05。(e〜f)マウスに大腸菌(1×10CFU/マウス)を接種し、1時間後、L−NAME(24mg/kg)またはビヒクル(生理食塩水)を投与した後、アトルバスタチン(5μg/マウス、i.v.,5時間)またはビヒクル(生理食塩水+0.01%EtOH)を投与した。 (e)血漿RvTをLMメタボロリピドミクスを用いて定量した。 (f)滲出細胞数を数えた。平均±s.e.m.n=4匹のマウス/群。2つの独立した実験。大腸菌と比べてp<0.05。大腸菌+アトルバスタチンと比べてp<0.05。 (g)ヒト組換え(hr)COX−2およびS−ニトロシル化(SNO)hr−COX2によるn−3 DPAの変換。平均±s.e.m.n=3回のインキュベーション。3つの独立した実験。 一酸化窒素合成酵素の阻害により、RvTのアトルバスタチン媒介性増加が逆転される。(a)ヒト(h)内皮細胞(EC)を、IL−1βおよびTNF−α(各々、10ng/ml,16時間,37℃)、ビヒクル(0.01%DMSO含有PBS)、L89 NAME(25μM)または1400W(10μM,25分,37℃)とともにインキュベートした。次いで、アトルバスタチン(atorv;30μM,30分)、n−3 DPA(1μM,15分,37℃)およびPMN(1×107細胞/ml,60分,37℃)を添加し、画分を単離し、LMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングした。結果は平均±s.e.m.である。n=4回の独立したインキュベーション(4つの独立した実験)。hPMN−ECインキュベーションと比べてp<0.05。hPMN−EC+アトルバスタチンインキュベーションと比べてp<0.05。 (b)ヒト組換えCOX−2をS95ニトロソグルタチオン(方法のセクションに詳述したようにして調製)なし(COX−2)またはあり(COX−2+GSNO)で30分間(室温)インキュベートした。次いで、S−ニトロシル化をウエスタンブロッティングを用いて評価した(詳細については方法参照)。結果は、n=6回のインキュベーションおよび3つの独立した実験の代表的なものである。 図10:RvTは白血球の応答を調節し、感染における生存率を高める。(a)マクロファージ(5×10細胞/ウェル)を、表示した濃度のRvT1、RvT2+RvT3(1:1の比)、RvT4またはビヒクル(0.01%EtOH含有PBS;15分間,37℃,pH7.45)とともに、次いで蛍光標識した大腸菌(2.5×10CFU/ウェル)とともにインキュベートした。 (b)マクロファージ(5×10細胞/ウェル)をHDCFDA(5μM,30分間,37℃,pH7.45)とともにインキュベートし、;細胞を洗浄し、表示した濃度のRvT1RvT2+RvT3(1:1の比)、RvT4またはビヒクル(15分,37℃,pH7.45)とともにインキュベートし、大腸菌(2.5×10CFU/ウェル)を添加し、細胞内ROSレベルを測定した。 (c)マクロファージ(5×10細胞/ウェル)を(a)の場合のようにしてRvTとともにインキュベートし、蛍光標識アポトーシスPMN(2.5×10細胞/ウェル)を添加し、取込みを評価した(方法参照)。平均±s.e.m.n=4例のドナー。3つの独立した実験。マクロファージ+ビヒクルと比べてp<0.05,**p<0.01。 (d〜g)マウスにビヒクル(0.1%EtOH含有生理食塩水)またはRvT1、RvT2、RvT3およびRvT4の組合せ(2:1:1:8の比)(各々、単離し、RP−UV−HPLCによって定量(方法参照))をi.p.注射により、大腸菌(1×10CFU/マウス)接種の約5分前に投与した。12時間後、(d)体温を評価した。 (e)腹水中の滲出好中球計数を評価した。 (f)腹水中白血球による細菌食作用(全CD11b集団に対する大腸菌の%)を評価した。 (g)腹腔内滲出液中のマクロファージエフェロサイトーシスを評価した。平均±s.e.m.n=5匹のマウス/群。2つの独立した実験。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。非処置マウスと比べてp<0.05。 (h)マウスに大腸菌(2.5×10CFU/マウス)を接種し;2時間後、ビヒクル(生理食塩水+0.1%EtOH)またはRvT(d〜gの場合のようにして;50ng/マウスもしくは500ng/マウス)をi.p.注射によって投与し、生存率を評価した。n=10匹のマウス/群。2つの独立した実験 大腸菌マウスと比べてp<0.05。 RvTは、大腸菌感染時にヒトマクロファージおよびマウスにおけるインフラマソーム成分を調節する。マクロファージ(Mφ;1.5×105細胞/ウェル)を、表示した濃度のRvT1、RvT2+RvT3(1:1の比)、RvT4またはビヒクル(0.01%EtOH含有PBS;15分間,37℃,pH7.45)とともにインキュベートし、大腸菌を添加し(1.5×107CFU/ウェル,16時間,37℃,pH7.45)、(a)カスパーゼ1レベルをフローサイトメトリーによって評価し; (b)IL−1βレベルを上清み中において測定した。 (c)LDH活性を上清み中において測定した。結果を平均±s.e.m.として示す。n=4例のドナー(3つの独立した実験)。マクロファージ+大腸菌と比べてp<0.05,**p<0.01,***<0.001;マクロファージ単独と比べて##p<0.01.マウスにビヒクル(0.1%EtOH含有生理食塩水)またはRvT1、RvT2、RvT3およびRvT4の組合せ(2:1:1:8の比)(これらは各々、単離し、RP−UV−HPLCによって定量した(詳細については方法参照))をi.p.注射により、大腸菌(1×107CFU/マウス)接種の2時間後に投与し;12時間後、(c)滲出単球/マクロファージのカスパーゼ1発現を調べた。結果は平均±s.e.m.である。n=5匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (d)滲出IL−1βレベルを調べた。結果は平均±s.e.m.である。n=5匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (e)滲出乳酸デヒドロゲナーゼ活性を調べた。結果は平均±s.e.m.である。n=5匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (f)末梢血白血球−血小板凝集塊を調べた。結果は平均±s.e.m.である。n=5匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 RvTは滲出エイコサノイドを調節し、生物活性濃度において抗菌作用を示さない。(a)RvTを単離し、RP−UV−HPLCを用いて定量した。RvT1、RvT2+RvT3、RvT4(10μM)またはアンピシリン(10mM)を、大腸菌(1×107CFU)を入れたLB寒天プレートに入れた。37℃で一晩インキュベーション後、クリアランスゾーンを評価した。結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。 (b)マウスに、RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4の組合せ(RvT;125ngずつ/マウス;i.p.);(各々は単離し、RP−UV−HPLCを用いて定量し(詳細については方法参照)、次いで混合物に合わせた)またはビヒクル(0.1%EtOH含有生理食塩水)を、大腸菌(1×107CFU/マウス)接種の5分前に投与し;12時間後、腹腔内滲出液を収集し、LM LMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングした。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した127の実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05;**p<0.01。 アトルバスタチンとRvTはマウスの感染において局所性および全身性の炎症を低減させる。マウスに、RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4の組合せ(RvT約12.5ngずつ/マウス);(各々は単離し、RP−UV−HPLCを用いて定量した(詳細については方法参照))および/またはアトルバスタチン(atorv;0.5μg/マウスi.p.)またはビヒクル(0.1%EtOH含有生理食塩水)を、大腸菌接種(1×107CFU/マウス;i.p)の5分前に投与した。12時間後、(a)腹水中の滲出好中球計数を測定した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (b)滲出細菌負荷を測定した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (c)末梢血細菌負荷を測定した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (d)滲出IL−1βレベルを測定した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (e)滲出乳酸デヒドロゲナーゼ活性を測定した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (f)腹水中白血球による細菌食作用を測定した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (g)腹腔内滲出液中のマクロファージエフェロサイトーシスを測定した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。 (h〜k)マウスに大腸菌(1×107CFU/マウス;i.p.)を接種し;2時間後、RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4;(各々は単離し、RP−UV−HPLCを用いて定量し(詳細については方法参照)、次いで2:1:1:8の比の混合物に合わせた)(RvT;全部で50ng/マウス)および/またはアトルバスタチン(atorv;0.5μg/マウスi.p.)またはビヒクル(0.1%EtOH含有生理食塩水)を投与した。(h)12時間後、腹水中の滲出好中球計数(左パネル)および滲出細菌負荷を測定した(右パネル)。 (i〜k)大腸菌の投与の6時間後(i,k)、末梢血エイコサノイドレベルをLC−MS−MSまたはELISAを用いて測定し; (j)エンドセリン(ET)−1およびプラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI)の肺内mRNAレベルをqRT−PCRを用いて測定した。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01,***p<0.001;大腸菌+RvTマウスと比べてp<0.05;大腸菌+アトルバスタチンマウスと比べて§p<0.05。a〜eの結果は平均±s.e.m.である。n=5匹のマウス/群(2つの独立した実験)。 大腸菌の投与の6時間後(i,k)、末梢血エイコサノイドレベルをLC−MS−MSまたはELISAを用いて測定した。 (図4):アトルバスタチンとRvTは、マウスの細菌感染において感染の消散を加速させ、生存率を高める。(a)マウスに、大腸菌(1×10CFU/マウス)+RvT(RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4の組合せ,1:1:1:1の比,単離およびRP−UV−HPLCによって定量済,全部で50ng/マウス)を接種した。アトルバスタチン(0.5μg/マウス;i.p.)またはビヒクル(0.1%EtOH含有生理食塩水)を投与し、滲出好中球計数(CD11bLy6G)を、表示した時間点で、光学顕微鏡検査およびフローサイトメトリーを用いて評価した。結果は平均±s.e.m.である。n=4匹のマウス/群(2つの独立した実験)。24時間目のビヒクル群と比べて**p<0.01。 (b)マウスに大腸菌(2.5×10CFU/マウス)を接種し;3時間後、ビヒクル(生理食塩水+0.1%EtOH)、0.5μg/マウス(低用量atorv)、5μg/マウス(高用量atorv)のアトルバスタチン、0.5μg/マウスのアトルバスタチン+50ng/マウスRvT(低用量atorv+低用量RvT)または5μg/マウスのアトルバスタチン+500ng/マウスRvT(高用量atorv+高用量RvT);(各RvTはパネル(a)の場合のようにして単離した)を投与し、生存率を評価した。n=10匹のマウス/群(3つの独立した実験)。大腸菌マウスと比べてp<0.05,**p<0.01。大腸菌+低用量atorvマウスと比べてp<0.05。
免疫抑制を伴うことなく宿主の防御および感染の消散をもたらす内因性機構は幅広く重要である1,2。したがって、本発明者らは、好中球−内皮系の共培養物において産生され、非感染性炎症または感染後のヒトおよびマウスの組織に存在する4種類の新しい宿主防御性分子の構造を解明した。これらの生物活性分子は、それぞれ13位の炭素位置にアルコールを担持している共役型のトリエン二重結合およびジエン二重結合を含むものであり、n−3酸(DPA,C22:5)に由来するものであった。これらの化合物(13−シリーズのレゾルビン(RvT)と称する)は、大腸菌感染の際のマウスの生存率を高める強力な防御作用を示した。また、RvTは、細菌食作用を刺激し、インフラマソーム成分を調節するヒトおよびマウスの食細胞の応答を調節した。好中球−内皮細胞の相互作用時の該化合物の生合成は、内皮系内のシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)によって開始され、アトルバスタチンによるCOX−2のS−ニトロシル化によって増大した。アトルバスタチンとRvTの作用はマウスの大腸菌感染において相加的であり、この場合、これらによって炎症の消散が加速し、生存率が>60%に高まった。このような結果は、細菌感染における新規な宿主防御性分子、すなわち、13−シリーズのレゾルビン細胞間生合成によってn−3 DPAから誘導され、アトルバスタチンによって増加することを証明するものである。これらの新規な分子は、感染の消散性の−炎症においてカギとなる自然防御応答を調節するものである。
特に定義していない限り、本明細書で用いる科学技術用語はすべて、当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。矛盾する場合は、本文書(定義を含む)に支配される。好ましい方法および材料を以下に説明するが、本明細書に記載のものと同様または等価な方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得る。本明細書で挙げた刊行物、特許出願、特許および他の参考文献はすべて、引用によりその全体が組み込まれる。本明細書に開示した材料、方法および実施例は、例示にすぎす、限定を意図するものではない。
本明細書および特許請求の範囲において、用語“including(〜を含む)”および“comprising(〜を含む)”はオープンエンドの用語であり、“including、but not limited to...(〜を含むが、限定されない)”を意味していると解釈されたい。このような用語は、より限定的な用語“consisting essentially of(本質的に〜からなる)”および“consisting of(〜からなる)”を包含している。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形“a”、“an”および“the”は、本文中にそうでないことを明示していない限り、複数の指示対象物を包含していることに注意されたい。同様に、用語“a”(または“an”)、“one or more(1以上)”および“at least one(少なくとも1)”は、本明細書において互換的に使用している場合があり得る。また、用語“comprising”、“including”、“characterized by(〜を特徴とする)”、“contain(s)(〜を含む)”および“having(〜を有する)”ならびにその語尾変化形は互換的に使用している場合があり得、さらなる作用または構造の可能性を排除しないオープンエンドの移行句、用語または語を意図していることも注意されたい。
「本発明の化合物」は、ジヒドロキシおよび/またはトリヒドロキシDPAアナログならびに本明細書に開示した一般式に包含される化合物をいい、構造を本明細書に開示した式の範囲に含まれる任意の具体的な化合物を包含している。本発明の化合物は、化学構造および/または化学名のいずれかによって特定され得る。化学構造と化学名が矛盾する場合、化学構造によって化合物の実体が特定される。本発明の化合物は1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含むものであってもよく、したがって、立体異性体、例えば、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在する場合があり得る。したがって、本明細書に示した化学構造は、図示された化合物の考えられ得るすべてのエナンチオマーおよび立体異性体、例えば、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何的に純粋な、エナンチオマー的に純粋な、またはジアステレオマー的に純粋な)ならびにエナンチオマー混合物および立体異性体混合物を包含している。エナンチオマー混合物および立体異性体混合物は、当業者によく知られた分離手法またはキラル合成手法を用いてそれぞれの成分のエナンチオマーまたは立体異性体に分割することができる。また、本発明の化合物は、1個以上の原子が自然界に通常みられる原子量と異なる原子量を有する同位体標識化合物も包含している。
本明細書の至る箇所に示した化合物はエチレン性不飽和部位を含むものである。炭素−炭素二重結合が存在している場合、立体化学配置はシス(Z)またはトランス(E)のいれかであり得、本明細書の至る箇所に図示したものは限定を意図するものではない。図示したものは、一般に、DPA化合物の立体化学配置に基づいて示しており、理論に限定されないが、同様の化学配置を有していると考える。
の使用は、これが、本明細書の至る箇所および特許請求の範囲において、シス(Z)およびトランス(E)異性体の両方が想定されるようにすることを反映させている。一部の特定の実施形態では、エチレン結合の配置がわかっており、具体的に示している。
本発明の一態様では、本発明の化合物(1種類ならびに複数種)は、当該技術分野で知られた手法によって実質的に精製および/または単離されている。精製された化合物の純度は一般的に少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約99%(重量基準)である。
したがって、用語「精製されている」は、本明細書で用いる場合、絶対純度を必要とするものではない;そうではなく、相対的用語であることを意図する。例えば、精製されたDPAアナログは、主題のDPAアナログが、該アナログが生物体のその自然な環境内に存在し得る場合よりも高濃度であるものであり得る。例えば、本発明のDPAアナログは、調製物中の該アナログの含有量が該調製物の全アナログ含有量の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、98%または99%である場合、精製されているとみなされ得る。
「生物学的活性」およびその状況的等価語「活性」および「生物活性」は、化合物が任意の1つの生物学的試験アッセイにおいて統計学的妥当性のある効果を誘起するものであることを意味する。好ましくは、「活性」化合物と規定される閾値は再現性があり、1μM以下の濃度で未処置対象から少なくとも25%偏差の統計学的妥当性のある効果のものである。
「生物学的試験アッセイ」は、特定の実験手順を意味する。生物学的試験アッセイの非限定的な例としては:1)精製された標的、細胞成分分画、インタクトな細胞または細胞もしくは組織の抽出物に対する直接または間接的なリガンド結合;2)精製された標的、細胞成分分画、インタクトな細胞、細胞もしくは組織の抽出物に曝露されたとき、または任意の経路によってインタクトな生物体に投与されたときの半減期の向上を伴う代謝的防御;3)当業者によって抗炎症作用のサロゲートを表すことが認識される細胞ベースおよび組織ベースの機能的応答の抑制、逆転または改善(例えば、サイトカイン生成および放出の改変);ならびに4)炎症および炎症性疾患の動物モデルにおける症状および/または疾患過程の抑制、逆転または改善が挙げられる。
「検出可能な標識」は、当該技術分野で知られた適切な検出手段によって化合物を追跡、トレース、位置特定、定量、固定化、生成または同定するために使用され得る任意の化学的または生物学的モダリティを意味する。検出可能な標識の非限定的な例としては、蛍光、リン光、発行、放射能または生物学的特異的(biospecific)親和性補足による標識が挙げられる。
「電気陰性基」は、化学的相互作用において電子を失うよりも獲得する傾向にある化学基である。電気陰性基の例としては、限定されないが、−NO、アンモニウム塩、スルホニル基、カルボニル基、ハロゲン、エステル、カルボン酸、ニトリルなどが挙げられる。
「インサイチュ」は、用語「インビボ」、「エキソビボ」および「インビトロ」をいい、これらの用語は当業者に一般的に認知され理解されているとおり、これらを包含している。さらに、語句「インサイチュ」は本明細書において、その最も広い内包的および外延的文脈において、観察されるかまたは所定の位置の実体、細胞または組織(供給源または起源に関係なく)、その状態(“condition”もしくは“status”)またはその場所もしくは位置での存続期間もしくは寿命を特定するために用いている。
「薬学的に許容され得る」は、動物、より特別にはヒトにおける使用が連邦および州政府の規制機関によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般的に認知されている薬局方に記載されていることを意味する。
「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得、親化合物の所望の薬理学的活性を有する本発明の化合物の塩をいう。かかる塩としては:(1)親化合物に塩基性プロトンが存在している場合に形成される塩、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などと形成される酸付加塩;あるいは、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、ターシャリーブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などと形成されるもの、;または(2)親化合物に酸性プロトンが存在しており、いずれかが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオンで置き換えられる場合;または有機塩基、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエチルアミン、プロピルアミノ、ジアザビシクロウンデカンなどとの配位の場合に形成される塩が挙げられる。
「薬学的に許容され得るビヒクル」は、本発明の化合物とともに投与される希釈剤、佐剤、賦形剤または担体をいう。
語句「薬学的に許容され得る担体」は、本明細書で用いる場合、本発明の化合物(1種類ならびに複数種)が対象内において、または対象に対してその意図された機能が発揮され得るように運搬または輸送されることに関与する薬学的に許容され得る物質、組成物またはビヒクル、例えば、液状または固形の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル封入物質を意味する。典型的には、かかる化合物は、ある器官または身体部分から別の器官または身体部分に運搬または輸送される。各担体は、製剤のその他の成分と適合性であり、患者に対して有害でないという意味において「許容され得る」ものでなければならない。薬学的に許容され得る担体としての機能を果たし得る物質の一例としては:糖類、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、例えば、コーンスターチおよびイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤用ワックス;油類、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム および水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸バッファー溶液;ならびに医薬用製剤に使用される他の無毒亭の適合性の物質が挙げられる。
「プロドラッグ」は、体内で活性薬物を放出するための変換が必要とされる薬物分子の誘導体をいう。プロドラッグは多くの場合(必ずしもそうではないが)、親薬物に変換されるまで薬理学的に不活性である。ヒドロキシル含有薬物は、例えばスルホネート、エステルまたはカーボネートプロドラッグに変換され得、これは、インビボで加水分解されてヒドロキシル化合物をもたらし得る。アミノ含有薬物は、例えば、カルバメート、アミド、イミン、ホスホニル、ホスホリルまたはスルフェニルプロドラッグに変換され得、これはインビボで加水分解されてアミノ化合物をもたらし得る。カルボン酸薬物はエステル(シリルエステルおよびチオエステルを含む)、アミドまたはヒドラジドプロドラッグに変換され得、これはインビボで加水分解されてカルボン酸化合物をもたらし得る。上記に示したもの以外の異なる官能基を含む薬物プロドラッグも当業者によく知られている。
「プロ部分(promoiety)」は、薬物分子内の官能基をマスクするために使用すると薬物をプロドラッグに変換させる保護基の一形態をいう。典型的には、プロ部分は薬物に、インビボで酵素的または非酵素的手段によって切断される結合(1つまたは複数)によって結合される。
「保護基」は、マスク分子内の反応性官能基に結合させると該官能基の反応性を低減または抑制する一群の原子をいう。保護基の例は、Green et al.,“Protective Groups in Organic Chemistry”,(Wiley,第2nd ed.1991)およびHarrison et al.,“Compendium of Synthetic Organic Methods,”Vols.1−8(John Wiley and Sons,1971−1996)を見るとよい。代表的なアミノ保護基としては、限定されないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「SES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられる。代表的なヒドロキシ保護基としては、限定されないが、ヒドロキシ基がアシル化されているか(例えば、メチルおよびエチルエステル、アセテートもしくはプロピオネート基あるいはグリコールエステル)またはアルキル化されているかのいずれかであるもの、例えば、ベンジル、およびトリチルエーテルならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMSもしくはTIPPS基)およびアリルエーテルが挙げられる。
「対象」は、感染、炎症、炎症応答、血管収縮および骨髄抑制によって引き起こされるか、またはこれらが寄与している病状または疾患に易罹患性である生きている生物体を意味する。対象の例としては、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギおよびマウスが挙げられる。対象という用語は、トランスジェニック種、例えばトランスジェニックマウスなどを包含していることをさらに意図している。
「アルキル」は単独で、または別の置換基の一部として、記載の数の炭素原子を有し(すなわち、C1〜C6は1〜6個の炭素原子を意味する)、親のアルカン、アルケンまたはアルキンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される飽和または不飽和の分枝鎖、直鎖または環状の一価の炭化水素原子団をいう。典型的なアルキル基としては、限定されないが、メチル;エチル、例えば、エタニル、エテニル、エチニル;プロピル、例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなど;ブチル、例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなど;などが挙げられる。具体的な飽和レベルが意図される場合、以下に定義する名称「アルカニル」、「アルケニル」および/または「アルキニル」が使用される。好ましい実施形態では、アルキル基は(C1〜C6)アルキルである。
「アルカニル」は単独で、または別の置換基の一部として、親のアルカンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される飽和型の分枝鎖、直鎖または環状のアルキルをいう。典型的なアルカニル基としては、限定されないが、メタニル;エタニル;プロパニル、例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど;ブタニル、例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなど;などが挙げられる。好ましい実施形態では、アルカニル基は(C1〜C6)アルカニルである。
「アルケニル」は単独で、または別の置換基の一部として、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、親のアルケンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される不飽和の分枝鎖、直鎖または環状のアルキルをいう。この基は、二重結合(1つまたは複数)に対してシス型またはトランス型のいずれかの立体配座であり得る。典型的なアルケニル基としては、限定されないが、エテニル;プロペニル、例えば、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イル;ブテニル、例えば、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなど;などが挙げられる。好ましい実施形態では、アルケニル基は(C2〜C6)アルケニルである。
「アルキニル」は単独で、または別の置換基の一部として、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、親のアルキンの単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される不飽和の分枝鎖、直鎖または環状のアルキルをいう。典型的なアルキニル基としては、限定されないが、エチニル;プロピニル、例えば、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなど;ブチニル、例えば、ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなど;などが挙げられる。好ましい実施形態では、アルキニル基は(C2〜C6)アルキニルである。
「アルキルジイル」は単独で、または別の置換基の一部として、記載の数の炭素原子を有し(すなわち、C1〜C6は1〜6個の炭素原子を意味する)、親のアルカン、アルケンもしくはアルキンの異なる2個の炭素原子の各々から1個の水素原子を除去することによって、または親のアルカン、アルケンもしくはアルキンの単一の炭素原子から2個の水素原子を除去することによって誘導される飽和または不飽和の分枝鎖、直鎖または環状の二価の炭化水素基をいう。この2つの一価の原子団中心または二価の原子団中心の各結合価は、同じ原子と結合を形成していても異なる原子と結合を形成していてもよい。典型的なアルキルジイル基としては、限定されないが、メタンジイル;エチルジイル、例えば、エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル;プロピルジイル、例えば、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−エン−1,2−ジイル、プロプ−2−エン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−イン−1,3−ジイルなど;ブチルジイル、例えば、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,1−ジイル、ブト−1−エン−1,2−ジイル、ブト−1−エン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロプ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブト−1−エン−1,2−ジイル、シクロブト−1−エン−1,3−ジイル、シクロブト−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなど;などが挙げられる。具体的な飽和レベルが意図される場合、名称アルカニルジイル、アルケニルジイルおよび/またはアルキニルジイルが使用される。2つの結合価が同じ炭素原子上に存在していることが具体的に意図される場合、名称「アルキリデン」が使用される。好ましい実施形態では、アルキルジイル基は(C1〜C6)アルキルジイルである。また、原子団中心が末端の炭素に存在している飽和型の非環式のアルカニルジイル基、例えば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ);など(アルキレノ(以下に定義)とも称する)も好ましい。
「アルクジイル(alkdiyl)」は単独で、または別の置換基の一部として、記載の数の炭素原子を有し(すなわち、C1〜C6は1〜6個の炭素原子を意味する)、親のアルカン、アルケンもしくはアルキンの異なる2個の炭素原子の各々から1個の水素原子を除去することによって、または親のアルカン、アルケンもしくはアルキンの単一の炭素原子から2個の水素原子を除去することによって誘導される飽和または不飽和の分枝鎖、直鎖または環状の二価の炭化水素基をいう。この2つの一価の原子団中心または二価の原子団中心の各結合価は、同じ原子と結合を形成していても異なる原子と結合を形成していてもよい。典型的なアルクジイル基としては、限定されないが、メタンジイル;エチルジイル、例えば、エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル;プロピルジイル、例えば、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−エン−1,2−ジイル、プロプ−2−エン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,1−ジイル− 、プロプ−1−イン−1,3−ジイルなど;ブチルジイル、例えば、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,1−ジイル、ブト−1−エン−1,2−ジイル、ブト−1−エン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロプ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブト−1−エン−1,2−ジイル、シクロブト−1−エン−1,3−ジイル、シクロブト−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなど;などが挙げられる。具体的な飽和レベルが意図される場合、名称アルカンジイル、アルケンジイルおよび/またはアルキンジイルが使用される。好ましい一実施形態では、アルクジイル基は(C1〜C6)アルクジイルである。また、原子団中心が末端の炭素に存在している飽和型の非環式のアルカニルジイル基、例えば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ);など(アルキレン(以下に定義)とも称する)も好ましい。
「アルキレノ」は単独で、または別の置換基の一部として、2つの末端の一価の原子団中心を有し、直鎖の親のアルカン、アルケンまたはアルキンの2個の末端の炭素原子の各々から1個の水素原子を除去することによって誘導される直鎖の飽和または不飽和のアルキルジイル基をいう。具体的なアルキレノの二重結合または三重結合(存在している場合)のロカントは角括弧で表示される。典型的なアルキレノ基としては、限定されないが、メタノ;エチレノ、例えば、エタノ、エテノ、エチノ;プロピレノ、例えば、プロパノ、プロプ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロプ[1]イノなど;ブチレノ、例えば、ブタノ、ブト[1]エノ、ブト[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブト[1]イノ、ブト[2]イノ、ブタ[1,3]ジイノなど;などが挙げられる。具体的な飽和レベルが意図される場合、名称アルカノ、アルケノおよび/またはアルキノが使用される。好ましい実施形態では、アルキレノ基は(C1〜C6)または(C1〜C3)アルキレノである。また、直鎖の飽和型のアルカノ基、例えば、メタノ、エタノ、プロパノ、ブタノなども好ましい。
「ヘテロアルキル」、ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキルジイル」および「ヘテロアルキレノ」は単独で、または別の置換基の一部として、それぞれ、1個以上の炭素原子が各々、独立して、同じかまたは異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基で置き換えられているアルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アルキルジイルおよびアルキレノ基をいう。炭素原子と置き換えられ得る典型的なヘテロ原子および/またはヘテロ原子基としては、限定されないが、−O−、−S−、−S−O−、−NR’−、−PH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−、−S(O)NR’−など(その組合せを含む)が挙げられ、ここで、各R’は独立して水素または(C1〜C6)アルキルである。
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は単独で、または別の置換基の一部として、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」基の環状異形をいう。ヘテロアルキル基では、ヘテロ原子が分子の残部に結合される位置を占めていてもよい。典型的なシクロアルキル基としては、限定されないが、シクロプロピル;シクロブチル、例えば、シクロブタニルおよびシクロブテニル;シクロペンチル、例えば、シクロペンタニルおよびシクロペンテニル;シクロヘキシル、例えば、シクロヘキサニルおよびシクロヘキセニル;などが挙げられる。典型的なヘテロシクロアルキル基としては、限定されないが、テトラヒドロフラニル(例えば、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イルなど)、ピペリジニル(例えば、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イルなど)、モルホリニル(例えば、モルホリン−3−イル、モルホリン−4−イルなど)、ピペラジニル(例えば、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イルなど)などが挙げられる。
「非環式ヘテロ原子橋状結合」は、主鎖原子が排他的にヘテロ原子および/またはヘテロ原子基である二価の橋状結合をいう。典型的な非環式のヘテロ原子橋状結合としては、限定されないが、−O−、−S−、−S−O−、−NR’−、−PH−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−、−S(O)NR’−など(その組合せを含む)が挙げられ、ここで、各R’は独立して水素または(C1〜C6)アルキルである。
「親の芳香族環系」は、共役型のπ電子系を有する不飽和の環式または多環式の環系をいう。具体的には、「親の芳香族環系」の定義には、1つ以上の環が芳香族であり、1つ以上の環が飽和型または不飽和型、例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレン、テトラヒドロナフタレンなどである縮合環系が包含される。典型的な親の芳香族環系としては、限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、テトラヒドロナフタレン、トリフェニレン、トリナフタレンなど、ならびにその種々のヒドロ異性体が挙げられる。
「アリール」は単独で、または別の置換基の一部として、記載の数の炭素原子を有し(すなわち、C5〜C15は5〜15個の炭素原子を意味する)、親の芳香族環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される一価の芳香族炭化水素基をいう。典型的なアリール基としては、限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなど、ならびにその種々のヒドロ異性体に由来する基が挙げられる。好ましい実施形態では、アリール基は(C5〜C15)アリールであり、(C5〜C10)がさらにより好ましい。特に好ましいアリールはシクロペンタジエニル、フェニルおよびナフチルである。
「アリールアリール」は単独で、または別の置換基の一部として、同一の、または同一でない2つ以上の親の芳香族環系が単結合によって一体に直接連接された環系(ここで、かかる直接的な環の連接の数は関与している親の芳香族環系の数より1少ない)の単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される一価の炭化水素基をいう。典型的なアリールアリール基としては、限定されないが、ビフェニル、トリフェニル、フェニル−ナフチル、ビナフチル、ビフェニル−ナフチルなどが挙げられる。アリールアリール基の炭素原子の数が指定されている場合、この数は、親の芳香族環の各々を構成している炭素原子を示す。例えば、(C5〜C15)アリールアリールは、各芳香族環が5〜15個の炭素を含むものであるアリールアリール基、例えば、ビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、フェニルナフチルなどである。好ましくは、アリールアリール基の親の芳香族環系の各々は、独立して(C5〜C15)芳香族、より好ましくは(C5〜C10)芳香族である。また、親の芳香族環系がすべて同一であるアリールアリール基、例えば、ビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、トリナフチルなども好ましい。
「ビアリール」は単独で、または別の置換基の一部として、単結合によって一体に直接連接された2つの同一の親の芳香族系を有するアリールアリール基をいう。典型的なビアリール基としては、限定されないが、ビフェニル、ビナフチル、ビアントラシルなどが挙げられる。好ましくは、該芳香族環系は(C5〜C15)芳香族環、より好ましくは(C5〜C10)芳香族環である。特に好ましいビアリール基はビフェニルである。
「アリールアルキル」は単独で、または別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端の炭素原子またはsp炭素原子に結合している水素原子のうちの1個がアリール基で置き換えられている非環式のアルキル基をいう。典型的なアリールアルキル基としては、限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられる。具体的なアルキル部分が意図される場合、名称アリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルが使用される。好ましい実施形態では、アリールアルキル基は(C6〜C21)アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1〜C6)であり、アリール部分が(C5〜C15)である。特に好ましい実施形態では、アリールアルキル基は(C6〜C13)であり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1〜C3)であり、アリール部分が(C5〜C10)である。
「親のヘテロ芳香族環系」は、1個以上の炭素原子が各々、独立して、同じかまたは異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基で置き換えられている親の芳香族環系をいう。炭素原子と置き換えられる典型的なヘテロ原子またはヘテロ原子基としては、限定されないが、N、NH、P、O、S、S(O)、S(O)、Siなどが挙げられる。具体的には、「親のヘテロ芳香族環系」の定義には、1つ以上の環が芳香族であり、1つ以上の環が飽和型または不飽和型、例えば、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどである縮合環系が包含される。また、「親のヘテロ芳香族環系」の定義には、一般的な置換基を含むことが認知されている環、例えば、ベンゾピロンおよび1−メチル−1,2,3,4−テトラゾールなども包含される。典型的な親のヘテロ芳香族環系としては、限定されないが、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、ベンゾピロン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサキシン、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾリン、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどが挙げられる。
「ヘテロアリール」は単独で、または別の置換基の一部として、記載の数の環内原子を有し(例えば、「5〜14員」は5〜14個の環内原子を意味する)、親のヘテロ芳香族環系の単一の原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される一価のヘテロ芳香族基をいう。典型的なヘテロアリール基としては、限定されないが、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、ベンゾピロン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾリン、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなど、ならびにその種々のヒドロ異性体に由来する基が挙げられる。好ましい実施形態では、ヘテロアリール基は5〜14員のヘテロアリールであり、5〜10員のヘテロアリールが特に好ましい。
「ヘテロアリール−ヘテロアリール」は単独で、または別の置換基の一部として、同一の、または同一でない2つ以上の親のヘテロ芳香族環系が単結合によって一体に直接連接された環系(ここで、かかる直接的な環の連接の数は関与している親のヘテロ芳香族環系の数より1少ない)の単一の原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される一価のヘテロ芳香族基をいう。典型的なヘテロアリール−ヘテロアリール基としては、限定されないが、ビピリジル、トリピリジル、ピリジルプリニル、ビプリニルなどが挙げられる。原子の数が指定されている場合、この数は、親のヘテロ芳香族環系の各々を構成している原子の数を示す。例えば、5〜15員のヘテロアリール−ヘテロアリールは、親のヘテロ芳香族環系の各々が5〜15個の原子を含むものであるヘテロアリール−ヘテロアリール基、例えば、ビピリジル、トリプリジルなどである。好ましくは、親のヘテロ芳香族環系の各々は独立して5〜15員のヘテロ芳香族、より好ましくは5〜10員のヘテロ芳香族である。また、親のヘテロ芳香族環系がすべて同一であるヘテロアリール−ヘテロアリール基も好ましい。
「ビヘテロアリール」は単独で、または別の置換基の一部として、2つの同一の親のヘテロ芳香族環系を有し、単結合によって一体に直接連接されたヘテロアリール−ヘテロアリール基をいう。典型的なビヘテロアリール基としては、限定されないが、ビピリジル、ビプリニル、ビキノリニルなどが挙げられる。好ましくは、ヘテロ芳香族環系は5〜15員のヘテロ芳香族環、より好ましくは5〜10員のヘテロ芳香族環である。
「ヘテロアリールアルキル」は単独で、または別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端の炭素原子またはsp炭素原子に結合している水素原子のうちの1個がヘテロアリール基で置き換えられている非環式のアルキル基をいう。具体的なアルキル部分が意図される場合、名称ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアケニルおよび/またはヘテロアリールアルキニルが使用される。好ましい実施形態では、ヘテロアリールアルキル基は6〜21員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1〜C6)アルキルであり、ヘテロアリール部分が5〜15員のヘテロアリールである。特に好ましい実施形態では、ヘテロアリールアルキルは6〜13員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、アルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1〜C3)アルキルであり、ヘテロアリール部分が5〜10員のヘテロアリールである。
「ハロゲン」または「ハロ」は単独で、または別の置換基の一部として、特に記載のない限り、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。
「ハロアルキル」は単独で、または別の置換基の一部として、1個以上の水素原子がハロゲンで置き換えられているアルキル基をいう。したがって、用語「ハロアルキル」は、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどからパーハロアルキルまでを包含していることを意図する。例えば、表現「(C1〜C2)ハロアルキル」は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチルなどを包含している。
上記に定義した基は、充分に認知されているさらなる置換基を作出するために当該技術分野で一般的に使用されている接頭辞および/または接尾辞を含んでいる場合があり得る。例として、「アルキルオキシ」または「アルコキシ」は式「−OR」の基をいい、「アルキルアミン」は式「−NHR」の基をいい、「ジアルキルアミン」は式「−NRR」の基をいい、ここで、各「R」は独立してアルキルである。別の例として、「ハロアルコキシ」または「ハロアルキルオキシ」は、「R」がハロアルキルである式「−ORの基をいう。
また、本発明は、インフラマソームの活性化、糖尿病、鼻咽頭炎、関節痛、下痢、四肢痛、細菌感染、消化不良、悪心、筋骨格系疼痛、筋痙攣、筋肉痛、不眠症、咽喉頭痛、炎症、動脈の炎症、関節炎、乾癬、蕁麻疹、血管炎、喘息、眼の炎症、肺の炎症、肺線維症、脂漏性皮膚炎、膿疱性皮膚病、心血管疾患、好中球、白血球および/またはサイトカインの動員、アレルギー、アルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化、がん、心血管疾患、糖尿病、泌尿生殖器科系の障害、高血圧、感染性疾患、神経筋障害、腎障害、経口感染または歯周病を処置するための方法に関する。
本発明の医薬組成物は、「治療有効量」または「予防有効量」の1種類以上の本発明のDPAアナログを含むものである。「治療有効量」は、必要投薬量および必要期間において、所望の治療結果、例えば、種々の疾患状態または病状に伴う効果の減弱または抑制が得られるのに有効な量をいう。DPAアナログの治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重ならびに個体において所望の応答を誘起する治療用化合物の能力などの要素に応じて異なり得る。また、治療有効量は、治療用薬剤の毒性効果または有害な効果(あれば)よりも治療的に有益な効果が勝る量である。
「予防有効量」は、必要投薬量および必要期間において、所望の予防結果が得られるのに有効な量をいう。典型的には、予防用量は、対象において疾患前または疾患の初期段階に使用されるため、予防有効量は治療有効量よりも少ない。
投薬量レジメンは、所望の最適な応答(例えば、治療応答または予防応答)がもたらされるように調整され得る。例えば、単回ボーラスで投与してもよく、数回の分割用量を経時的に投与してもよく、用量を、治療状況の必要要件による示唆に応じて比例的に低減または増大させてもよい。非経口組成物を、投与の容易性および投薬量の均一性のために単位投薬形態に製剤化することは特に好都合である。単位投薬形態は、本明細書で用いる場合、処置対象の哺乳動物対象に対する投薬ユニットとして適合させた物理的に独立した単位をいう;各単位には、所望の治療効果がもたらされるように計算された所定の量の活性化合物が、必要とされる医薬用担体とともに含有されている。本発明の単位投薬形態の仕様は、(a)DPAアナログの特有の特徴と、得ようとする具体的な治療効果または予防効果、ならびに(b)個体の過敏症の処置のためのかかる活性化合物の配合技術分野に固有の制限によって決定され、これらに直接的に依存する。
本発明のDPAアナログの治療有効量または予防有効量の例示的で非限定的な範囲の一例は0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。投薬量の値は、緩和対象の病状の型および重症度により異なり得ることに注意されたい。さらに、任意の具体的な対象に対して、具体的な投薬量レジメンは経時的に、個体の必要性および組成物の投与担当者または投与監督担当者の専門的な判断に応じて調整するのがよいこと、ならびに本明細書に示した投薬量範囲は例示的にすぎず、請求項に記載の組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
本発明の化合物を医薬品としてヒトおよび哺乳動物に投与する場合、これを、そのままの状態で投与してもよく、例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)の活性成分、すなわち、少なくとも1種類のDPAアナログを薬学的に許容され得る担体との組合せで含む医薬組成物として投与してもよい。
一部の特定の実施形態では、本発明の化合物は1つ以上の酸性官能基を含むものであり得、したがって、薬学的に許容され得る塩基と薬学的に許容され得る塩を形成し得るものである。用語「薬学的に許容され得る塩、エステル、アミドおよびプロドラッグ」は、本明細書で用いる場合、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに患者の組織との接触における使用に適しており、妥当な便益/リスク比に合っており、本発明の化合物の意図された使用のために有効な本発明の化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミドおよびプロドラッグをいう。用語「塩」は、本発明の化合物の比較的無毒性の無機および有機酸付加塩をいう。このような塩は、該化合物の最終の単離および精製の際にインサイチュで調製されるものであってもよく、精製した遊離の塩基形態の化合物を適当な有機酸または無機酸と別途に反応させ、かくして形成される塩を単離することによって調製されるものであってもよい。このようなものとしては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが主体のカチオン、ならびに無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオン、例えば限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられ得る(例えば、Berge S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977;66:1 19(これは引用により本明細書に組み込まれる)参照)。
用語「薬学的に許容され得るエステル」は、本発明の化合物の比較的無毒性のエステル化生成物をいう。このようなエステルは、該化合物の最終の単離および精製の際にインサイチュで調製されるものであってもよく、精製した遊離の塩基形態の化合物またはヒドロキシルを適当なエステル化剤と別途に反応させることによって調製されるものであってもよい。カルボン酸は、触媒の存在下、アルコールでの処理によってエステルに変換され得る。この用語は、さらに、生理学的条件下で溶媒和され得る低級炭化水素基、例えば、アルキルエステル、メチル、エチルおよびプロピルエステルを包含していることを意図する。
また、湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、フレーバー剤および賦香剤、保存料および酸化防止剤を組成物中に含有させてもよい。
薬学的に許容され得る酸化防止剤の例としては:水溶性の酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性の酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;および金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
本発明の製剤は、としては、静脈内、経口、経鼻、経表面、経皮、口腔内、舌下、経直腸、経膣および/または非経口投与に適したものが挙げられる。該製剤は、単位投薬形態で簡便に提示され得、製薬の技術分野でよく知られた任意の方法によって調製され得る。1つの投薬形態を作製するために担体物質と合わされ得る活性成分の量は、一般的には、治療効果がもたらされる化合物量である。一般的に、100パーセントのうち、この量は、約1パーセント〜約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント〜約30パーセントの範囲である。
このような製剤または組成物の調製方法は、本発明の化合物を担体と、任意選択で1種類以上の補助成分と会合させる工程を含むものである。一般に、製剤は、本発明の化合物を、液状担体または微粉砕された固形担体または両方と一様に充分に会合させ、次いで、必要であれば、製剤品を成形することにより調製される。
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(着香基剤、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、散剤、顆粒剤の形態であり得るか、あるいは水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤として、または水中油型もしくは油中水型の液状乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ剤として(不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシアを使用)、および/またはマウスウォッシュとしてのものなどであり得る。各々は、所定の量の本発明の化合物を活性成分として含有している。また、本発明の化合物をボーラス、舐剤またはペースト剤として投与してもよい。
経口投与のための本発明の固形投薬形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)では、活性成分を、1種類以上の薬学的に許容され得る担体、例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または任意の以下のもの:充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸;結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなど;保湿剤、例えば、グリセロール;崩壊剤、例えば、アガーアガー、炭酸カルシウム、イモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム;溶解遅延剤、例えば、パラフィン;吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウム化合物;湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなど;吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ;滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにその混合物;ならびに着色剤と混合する。カプセル剤、錠剤の丸剤の場合、医薬組成物にはまた、緩衝剤も含めてもよい。また、同様の型の固形組成物を充填剤として、充填型ゼラチン軟カプセル剤および硬カプセル剤において、例えば、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて使用してよい。
錠剤は、任意選択で1種類以上の補助成分を伴って圧縮または成型によって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムもしくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散化剤を用いて調製され得る。成型錠剤は、適当な機械で、粉末化し、湿潤させた化合物と不活性液状希釈剤の混合物を成型することにより作製され得る。
本発明の医薬組成物の錠剤および他の固形投薬形態、例えば、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤を、任意選択で、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶性コーティングおよび医薬品製剤化技術分野でよく知られた他のコーティングを伴って得て(score)もよく、または調製してもよい。また、これを、内部の活性成分の低速放出または制御放出がもたらされるように、例えば、所望の放出プロフィールを得るためのさまざな割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフィアを用いて製剤化してもよい。これを、例えば、細菌保持フィルターに通す濾過によって、または滅菌水もしくはなんらかの他の滅菌注射用媒体に溶解され得る滅菌固形組成物の形態の滅菌剤を使用直前に組み込むことによって滅菌してもよい。また、このような組成物は、任意選択で乳白剤を含有させてもよく、活性成分(1種類または複数種)のみを、または該成分を優先的に胃腸管内の特定の部分に、任意選択で、遅延様式で放出する組成物のものにしてもよい。使用され得る埋め込み用組成物の例としては高分子物質およびワックスが挙げられる。また、適切な場合は、活性成分を、1種類以上の上記の賦形剤とともにマイクロカプセル封入形態にしてもよい。
経口投与のための本発明の化合物の液状投薬形態としては、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロエマルジョン剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液状投薬形態には、当該技術分野で一般的に使用されている不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤など、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物が含有され得る。
不活性希釈剤の他に、経口組成物にはまた佐剤、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤、着色剤、賦香剤および保存剤を含めてもよい。
懸濁剤には、活性化合物に加えて懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーアガーおよびトラガカントなど、ならびにその混合物が含有され得る。
経直腸または経膣投与のための本発明の医薬組成物の組成物は坐剤として提示され得、これは、1種類以上の本発明の化合物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスまたはサリチレートを含む1種類以上の適当な非刺激性の賦形剤または担体と混合することにより調製され得、室温では固形であるが体温では液状となり、したがって、直腸または膣腔内で融解し、活性化合物を放出するものである。
また、経膣投与に適した本発明の製剤としては、当該技術分野で適切であることが知られているものなどの担体を含有しているペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー製剤も挙げられる。
本発明の化合物の経表面または経皮投与のための投薬形態としては、粉末剤、スプレー剤、軟膏、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、貼付剤および吸入剤が挙げられる。活性化合物は、滅菌条件下で薬学的に許容され得る担体と、および必要とされ得る任意の保存料、バッファーまたは噴射剤と混合され得る。
軟膏、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤には、本発明の活性化合物に加えて賦形剤、例えば、動物性および植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物が含有され得る。
粉末剤およびスプレー剤には、本発明の化合物に加えて賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物が含有され得る。スプレー剤にはさらに、慣用的な噴射剤、例えば、クロロフルオロハイドロカーボンならびに揮発性の非置換の炭化水素、例えば、ブタンおよびプロパンが含有され得る。
経皮貼付剤は、身体に対して本発明の化合物の制御された送達がもたらされるという付加的な利点を有する。かかる投薬形態は、該化合物を適正な媒体中に溶解または分散させることにより作製され得る。また、皮膚を通過する該化合物の流量を増大させるために吸収促進剤を使用してもよい。かかる流量の割合は、速度制御膜を設けること、または活性化合物をポリマーマトリックスまたはゲル中に分散させることのいずれかによって制御することができる。
経眼製剤、眼用の軟膏、粉末剤、液剤などもまた、本発明の範囲に含まれることが想定される。かかる液剤は結膜炎の処置に有用である。
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1種類以上の本発明の化合物を、1種類以上の薬学的に許容され得る滅菌された等張性の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁剤もしくは乳濁液、または滅菌粉末(これは、使用直前に滅菌注射用液剤もしくは分散剤に再構成され得る)との組合せで含むものであり、これに、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、製剤を対象のレシピエントの血液と等張性にする溶質または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有させてもよい。
本発明の医薬組成物に使用され得る適当な水性および非水性の担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)および適当なその混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング物質の使用によって、分散剤の場合は必要とされる粒径を維持することによって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
また、このような組成物には佐剤、例えば、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散化剤も含有され得る。微生物の作用の抑制は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にされ得る。また、等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましい場合があり得る。また、注射用医薬形態の持効性吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
一部の場合では、薬物の効果を長引かせるため、皮下または筋肉内注射による薬物の吸収を低速化させることが望ましい。これは、不充分な水溶性を有する結晶性または非晶質の物質の液状懸濁剤の使用によって行なわれ得る。そのため、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、これはさらに、結晶サイズおよび結晶形に依存し得る。あるいはまた、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、該薬物を油性ビヒクル中に溶解または懸濁させることにより行なわれる。
注射用デポー形態は、生分解性ポリマー、例えばポリラクチド−ポリグリコリド中の主題の化合物のマイクロカプセル封入マトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物比および使用される具体的なポリマー性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としてはポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。また、デポー注射用製剤は、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に該薬物をトラップすることにより調製される。
本発明の調製物は経口、非経口、経表面または経直腸で投与され得る。これはもちろん、各投与経路に適した形態によって投与される。例えば、これは、錠剤またはカプセル剤の形態で、注射、吸入、目薬、軟膏、坐剤などによって、注射、輸注もしくは吸入による投与で;ローション剤もしくは軟膏により経表面で;および坐剤により経直腸で投与される。静脈内注射での投与が好ましい。
語句「非経口投与」および「非経口投与される」は、本明細書で用いる場合、経腸および経表面投与以外の、通常、注射による投与様式を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管経由、皮下、表皮内、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内および胸骨内注射および輸注を包含している。
語句「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」および「末梢投与される」は、本明細書で用いる場合、化合物、薬物または他の物質の中枢神経系内への直接的な投与以外の、患者の系に入り、したがって代謝および他の同様のプロセスに供されるような投与、例えば、皮下投与を意味する。
本化合物は、ヒトおよび他の動物に対して治療のために任意の適当な投与経路によって、例えば経口、経鼻(これは、例えば、スプレー剤によって)、経直腸、膣内、非経口、大槽内および経表面(これは、散剤、軟膏または滴剤によって)(口腔内および舌下を含む)で投与され得る。
選択される投与経路に関係なく、本発明の化合物(これは適当な水和形態で使用され得る)および/または本発明の医薬組成物は、当業者に知られた慣用的な方法によって薬学的に許容され得る投薬形態に製剤化される。本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、具体的な患者、組成物および投与様式で、患者に対して毒性となることなく所望の治療応答が得られるのに有効な量の活性成分が得られるように変更され得る。
選択される投薬量レベルは、さまざまな要素、例えば、使用される具体的な本発明の化合物の活性またはそのエステル、塩またはアミド、投与経路、投与期間、使用される具体的な化合物の排出速度、処置の持続期間、他の薬物、使用される具体的な化合物と併用して使用される化合物および/または物質、処置対象の患者の年齢、性別、体重、体調、一般健康状態および既往歴、ならびに医学分野でよく知られた同様の要素に依存する。
当業者の医師または獣医は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができよう。例えば、医師または獣医であれば、医薬組成物中に使用される本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を得るために必要とされるレベルより低いレベルで開始し、所望の効果が得られるまで投薬量を徐々に増やすであろう。
一般に、本発明の化合物の好適な日用量は、治療効果がもたらされるのに有効な最低用量である化合物量である。かかる有効用量は一般的には上記の要素に依存する。一般的に、患者に対する本発明の化合物の静脈内および皮下用量は、指示された鎮痛効果のために使用される場合、約0.0001〜約100mg/キログラム体重/日、より好ましくは約0.01〜約50mg/kg/日、さらにより好ましくは約0.1〜約40mg/kg/日の範囲である。例えば、対象の体重20グラムあたり約0.01マイクログラム〜20マイクログラム、約20マイクログラム〜100マイクログラムおよび約10マイクログラム〜200マイクログラムの本発明の化合物が投与される。
所望により、活性化合物の有効日用量は、1日の間に適切な間隔で分けて投与される2、3、4、5、6回またはそれ以上の分割用量として、任意選択で単位投薬形態にて投与され得る。
本発明では、包装材および該包装材内部に含有されたDPAアナログ製剤を含む製造物品も取り上げて記載している。この製剤は少なくとも1種類のDPAアナログを含むものであり、包装材は、該製剤が対象に対して本明細書に記載の1つ以上病状を処置するために、かかる病状(1つまたは複数)が処置または予防されるのに有効な量、頻度および持続期間で投与され得るものであることを示すラベル表示または添付文書を含むものである。かかる病状は本明細書の至る箇所に記載しており、引用により本明細書に組み込まれる。好適なDPAアナログは本明細書に記載のものである。
本発明により、驚くべきことに、新しい有用なDPAアナログのジヒドロキシおよび/またはトリヒドロキシアナログ、例えば、式(I):
を含む化合物に関する新規な化合物、組成物および使用方法が提供され、
式中、P、PおよびPの各々は個々に保護基または水素原子であり;
式中、
は二重結合であり;
ここで、各二重結合
は独立してZ配置またはE配置のいずれかであり;
式中、7、13および20の炭素は独立してR配置またはS配置であり;
式中、Zは−C(O)OR、−C(O)NR、−C(O)H、−C(NH)NR、−C(S)H、−C(S)OR、−C(S)NRまたは−CNであり;
各Rは独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールまたは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択され;
各Rは独立して保護基またはRであるか、あるいはまた、各Rは、これが結合している窒素原子と一体となって、5〜8員のシクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールを形成しており、該シクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールは、任意選択で1個以上の同じかまたは異なるさらなるヘテロ原子を含むものであってもよく、任意選択で1つ以上の同じかまたは異なるR基または適当なR基で置換されていてもよく;
各Rは独立して、=O、−OR、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF、=S、−SR、=NR、=NOR、−NR、ハロゲン、−CF、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)R、−S(O)、−S(O)OR、−S(O)NR、−S(O)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)OR、−OS(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NH)NR、−C(NR)NR、−C(NOH)R、−C(NOH)NR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(NH)NR、−OC(NR)NR、−[NHC(O)]、−[NRC(O)]、−[NHC(O)]OR、−[NRC(O)]OR、−[NHC(O)]NR、−[NRC(O)]NR、−[NHC(NH)]NRまたは−[NRC(NR)]NRから選択され;
各nは、独立して0〜3の整数であり;
各Rは独立して保護基またはRである;
またはその薬学的に許容され得る塩、
種々の態様において、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素ではない。他の態様では、P、PおよびPがすべて水素原子である。他の態様では、P、PおよびPのうちの1つ以上が水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素である。
DPAアナログ(I)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(Ia)であり、
式中、P、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、C7、C13およびC20は独立してR配置またはS配置である。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(I)または(Ia):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P、およびP
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、13および20位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。一態様では、P、PおよびPがすべて水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPがすべて水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。他の実施形態では、化合物IおよびIaが精製されている場合、P、PおよびPは水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPが水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(I)および(Ia)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
別の態様において、本発明は、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(II):
を含む化合物に関するものであり、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、8および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである、
またはその薬学的に許容され得る塩。一部の態様では、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素ではない。また他の態様では、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素である。
一実施形態では、P、PおよびPがすべて水素原子である。
DPAアナログ(II)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(IIa)であり、
式中、P、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、炭素7、8および13は独立してR配置またはS配置のいずれかである。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(II)または(IIa):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりである。一態様では、P、PおよびPがすべて水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPがすべて水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
他の実施形態では、化合物IIおよびIIaが精製されている場合、P、Pおよび/またはPはともに水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPが水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(II)および(IIa)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(III):
を含む化合物を提供し、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、12および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである、
またはその薬学的に許容され得る塩。種々の態様において、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素ではない。また他の態様では、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPがすべて水素原子である場合、水素である。
一実施形態では、P、P、およびPがすべて水素原子である。
DPAアナログ(III)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(IIIa)であり、
式中、P、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、12および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(III)または(IIIa):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7、12および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。一態様では、P、P、およびPがすべて水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、P、およびPがすべて水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
他の実施形態では、化合物IIIおよびIIIaが精製されている場合、P、Pおよび/またはPは水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、P、PおよびPが水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(III)および(IIIa)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
また別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(IV):
を含む化合物を提供し、
式中、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、C7およびC13は独立してRまたはSのいずれかである、
またはその薬学的に許容され得る塩。一部の態様では、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、PとPがともに水素原子である場合、水素ではない。他の態様では、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、PとPがともに水素原子である場合、水素である。
一実施形態では、PとPがともに水素原子である。
DPAアナログ(IV)の重要な具体的な異性体の1つは、式:
を構成する(IVa)であり、
式中、P、P、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、C7およびC13は独立してRまたはSのいずれかである。
別の態様において、本発明により、新しい有用なDPAアナログ、例えば、式(IV)または(IVa):
を含む精製された化合物を提供し、
式中、P、P
、Z、R、R、R、Rおよびnは先に規定したとおりであり、7および13位の炭素は独立してR配置またはS配置のいずれかである。一態様では、PとPはともに水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、PとPがともに水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
上記のすべての実施形態において、特定の一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
他の実施形態では、化合物IVおよびIVが精製されている場合、PとPはともに水素原子である。一態様では、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。別の実施形態では、PとPがともに水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である。
化合物(IV)および(IVa)は、そのあらゆる薬学的に許容され得る塩、エステル、精製形態/単離形態、ならびに可能なヒドロキシル基のうちの一方または両方が本明細書に記載の保護基に変換されている化合物を包含していることを理解されたい。
材料および方法
大腸菌性腹膜炎
動物実験はすべて、Harvard Medical Area Standing Committee on Animals(プロトコル番号02570)に従って実施した。マウス(雄FvB,6−8週齢,Charles River,供給元によるとおりに必須脂肪酸含有ラボダイエットを給餌)をイソフルランで麻酔し、細菌性腹膜炎を起こした。簡単には、生菌の大腸菌(血清型O6:K2:H1;1×10または1×10CFU/マウス)の5分前に試験化合物またはビヒクルをi.p.またはi.v.で注射した。指定の時間間隔でマウスを回収し、血液を心臓穿刺によってヘパリン中に収集し、腹腔内滲出液を4mlのPBS中に収集した。滲出液中の細胞性組成物を、チュルク氏液および光学顕微鏡検査を用いて、およびフローサイトメトリーによって調べた。フローサイトメトリーのため、滲出細胞を抗マウスCD16/CD32(eBiosciences,20分間,4℃,5%ウシ胎仔血清含有PBS/染色液中)とともにインキュベートした後、FITCコンジュゲート抗マウスLy6G抗体(クローン:1A8,eBiosciences)、PEコンジュゲート抗マウスF4/80抗体(クローン:BM8,eBiosciences)およびPerCP−Cy5.5コンジュゲート抗マウスCD11b抗体(クローン:M1/70,eBiosciences)とともに30分間(4℃,染色液中)インキュベーションした。腹腔滲出白血球の細菌食作用を評価するため、滲出細胞をPerCP−Cy5.5コンジュゲート抗マウスCD11b抗体(30分,4℃,染色液中)とともにインキュベートし、次いで固定し、BD Perm/Wash(商標) Buffer(BD Biosciences)を製造業者の使用説明書に従って用いて透過処理し、FITCコンジュゲート抗大腸菌抗体(GenTex,30分,4℃,BD Perm/Wash(商標) Buffer中)とともにインキュベートした。感染性滲出液中におけるエフェロサイトーシスを、滲出白血球をPEコンジュゲート抗マウスF4/80抗体(30分,4℃,染色液中)とともにインキュベートことにより評価し、次いで固定し、BD Perm/Wash(商標) Buffer(BD Biosciences)を用いて透過処理し、FITCコンジュゲート抗マウスLy6G抗体とともにインキュベートした(30分,4℃,BD Perm/Wash(商標) Buffer中)。体温を、赤外線放射温度計(Fluke)を用いて評価した。末梢血および炎症滲出液中の細菌計数を、LB寒天プレート上での段階希釈した試料の一夜培養(37℃)によって測定した。カスパーゼ1レベルを、PerCP−Cy5.5コンジュゲート抗マウスCD11b抗体との滲出細胞のインキュベーション(30分,4℃,染色液中)によって評価し、次いで固定し、BD Perm/Wash(商標) Buffer(BD Biosciences)を用いて透過処理し、抗カスパーゼ1抗体(Abcam,30分,4℃,BD Perm/Wash(商標) Buffer中)とともにインキュベートした後、抗ウサギAlexa 488コンジュゲート抗体(Life Technologies,30分,4℃,BD Perm/Wash(商標) Buffer中)とともにインキュベートした。IL−1βレベルを無細胞の上清み中において、抗マウスIL−1β ELISA(Abcam)を製造業者の使用説明書に従って用いて測定した。乳酸デヒドロゲナーゼ活性を無細胞の上清み中において測定し、NAD+からのNADHの形成Lactate Dehydrogenase Assayキット(Sigma)を製造業者の使用説明書に従って用いて評価した。
選択実験では、消散指数を27の場合のようにして計算した。Ψmax,滲出液中の最大PMN数;Tmax,PMN数が最大に達したときの時間点;R50,最大PMN数の50%;T50,PMN数が最大の50%まで減少したときの時間点;R(消散時間)、T50−Tmax,50%のPMNが滲出液から消失するまでの期間。試験製剤品の消散促進作用を評価するため、これを、大腸菌(10CFU)接種の12時間後に投与し、消散指数を評価した。
一部の実験では、マウスにi.p.注射により、RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4(後で詳述するようにして単離し、それぞれ、2:1:1:8の比の混合物として合わせた)を大腸菌接種の2時間後に投与した。血液と肺を大腸菌接種の6時間後に回収した。血液は、末梢血エイコサノイドレベルを調べる(後で詳述)ために使用した。肺はTriReagent(Invitrogen)中に入れ、RNAを製造業者の使用説明書に従って単離し、マウスエンドセリン−1およびプラスミノゲンアクチベータインヒビター−1の相対的mRNA発現を、Qiagen SYBR(登録商標)Green ROX qPCRマスターミックスおよびQuantiTect(登録商標)Primerアッセイを製造業者の使用説明書に従って使用し、マウスグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼをハウスキーピング遺伝子として用いて測定した。mRNA発現は、ABI PRISM 7900HTシステム(Applied Biosystems)を用いて測定した。測定実験では、腹腔内滲出液をマウスから大腸菌接種の12時間後に採取し、細菌負荷を白血球計数とともに、上記に詳述したようにして測定した。
生存率の試験のため、マウスに、試験化合物または好中球−内皮細胞(HUVEC)コインキュベーション物由来の生物学的分離物をi.p.注射により、大腸菌(2.5×10CFU)の接種の5分前に投与し、生存率を評価した。指定の実験では、RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4を、後で詳述するようにして単離し、それぞれ2:1:1:8の比の混合物として合わせ、i.p.注射により大腸菌(2.5×10CFU)の2時間後に投与し;その後94時間、生存率を評価した。別個の実験において、0.5μg(低用量)または5μg(高用量)のアトルバスタチンをi.p.により、表示した濃度のRvT1、RvT2、RvT3およびRvT4(これらは、後で詳述するようにして単離して定量し、混合物(2:1:1:8の比)として合わせた)とともに、またはなしで大腸菌(2.5×10CFU)接種の3時間後に投与し、次の93時間、生存率を評価した。
別個の一組の実験において、マウスに大腸菌を接種し;60分後、これらにL−NAME(24mg/kg)を、および5分後にアトルバスタチン(5μg)をi.v.注射によって投与した。5時間後、心臓穿刺によって血漿を得、LMレベルを脂質メディエーターメタボロリピドミクスによって調べた。動物実験ではすべて、マウスを非盲検的にビヒクル群または処置群に無作為化した。
生合成および脂質メディエーターメタボロリピドミクス
単離型n−3 DPA(Cayman Chemicals)を、ヒト組換えCOX−2とともに(Cayman Chemicals;0.1M Tris−HCl中,pH8.0,20μMブタヘマチン,0.67mMフェノール)、室温で30分間インキュベートした。インキュベーションを1容量のメタノールを用いて停止させ、産物をジエチルエーテルを用いて抽出した(28の場合のとおり)。13−HDPAを、RP−HPLC(1100 Series;Agilent Technologies)およびAgilent C18 Poroshellカラム(2.7μm×4.6mm×150mm)を用いて単離し、移動相は、メタノール/水(60:40,vol:vol)(0.5ml/分)からなるものを20分間で98:2(vol:vol)まで直線的に漸増させた。13−HDPA(10μM)をイモ5−LOX(Cayman Chemicals)とともに30分間(4℃,0.1Mリン酸バッファー,pH6.3,0.03%Tween 20)インキュベートした。インキュベーションを1容量の氷冷メタノールを用いて停止させ、産物をNaBH(Sigma−Aldrich)を用いて還元し、抽出した(28の場合のとおり)。
メタノール(2容量)をインキュベーション細胞、血漿(マウスおよびヒト)ならびに感染性滲出液に添加し、試料を抽出時まで−20℃で保存した。LC−MS−MSベースのメタボロリピドミクスのための試料はすべて、固相抽出カラムを用いて既報のとおりに抽出した29。試料の抽出前に、定量を容易にするために、クロマトグラフィー分析における関心領域である変性内部標準(d4−PGE、d5−LXA、d4−RvD2、d4−LTBおよびd−5S−HETE)(500pgずつ)を添加した。抽出した試料を、Shimadzu SIL−20ACオートインジェクターおよびLC−20ADバイナリーポンプ(Shimadzu Corp.)を取り付けたLC−MS−MSシステムQtrap 6500(AB Sciex)によって分析した。Agilent Eclipse Plus C18カラム(100×4.6mm×1.8μm)を、メタノール/水/酢酸を55:45:0.01(vol:vol:vol)から10分間で85:15:0.01(vol:vol:vol)まで、次いで次の8分間で98:2:0.01(vol:vol:vol)まで直線的に漸増させた勾配で使用した。続いて、これを2分間、98:2:0.01(vol:vol:vol)に維持した。流速は0.4ml/分に維持した。脂質メディエーターレベルをモニタリングし、定量するため、各分子の指標イオン断片(m/z)を用いる多重反応モニタリング(MRM)法を開発し、親イオン(Q1)と特徴的な娘イオン(Q3)をモニタリングした。同定は、最低6種類の診断用イオンを使用する公表基準を用いて実施した29。較正曲線は、有機全合成によって得た脂質メディエーター混合物を用いて求め、このとき、これらの脂質メディエーターは入手可能ではなかった(RvT1、RvT2、RvT3、RvT4および13−HDPA);同様のクロマトグラフィー特性を有する既知のメディエーター(RvT1の代わりにRvD2、RvT2およびRvT3の代わりにRvD1;RvT4の代わりにRvD5;13−HDPAの代わりに13−HDHA)を使用した。各化合物のための線形較正曲線は、0.98〜0.99の範囲のr値を用いて得た。検出限界は約0.1pgであった。定量は、29の場合のようにして行なった。6−ケト−PGF1αレベルを測定するため、試料を上記に概略を示したとおりに抽出し、水中に懸濁させ、6−ケト−PGF1αレベルを6−ケト−PGF1α ELISA(Neogen)を用いて測定した。
キラルリピドミクス分析には、Chiralpak AD−RHカラム(150mm×2.1mm×5μm)を使用し、95:5:0.01(v/v/v)の定組成メタノール/水/酢酸を0.15ml/分で用いた。等圧モノヒドロキシドコサペンタエン酸レベルをモニタリングするため、30の場合のような各分子の指標イオン断片を用いる多重反応モニタリング(MRM)法を開発した。
選択実験では、RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4をジアゾメタン(エーテル中)(28の場合のようにして調製)とともに37℃で30分間インキュベートし、産物をLC−MS−MS(質量分析計は正イオンモードで動作)によって評価した。
好中球−内皮細胞コインキュベーション物から生物学的評価用の産物を抽出するため、2容量の氷冷メタノールを添加してインキュベーションを停止させ、試料を−20℃で少なくとも30分間置き、タンパク質を沈殿させた。次いで産物を、C18 SPEを用いて上記に詳述したようにして抽出し、ギ酸メチルを用いて溶出した。次いで、溶媒を窒素下で蒸発させ、産物をエタノール中に懸濁させ、生物学的評価を行なった。
13R−HDPAおよび13S−HDPAは、13−HDHAをデス・マーチン・ペルヨージナンとともにインキュベートし(塩化メチレン中0.03M,30分間,室温);得られた13−オキソ−DPAを次いで、(R)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジンまたは(S)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジンのいずれかとともにインキュベートすることにより得た(31の場合のとおり)。
一部の実験では、ヒト末梢好中球(5×10細胞/ml)を、13R−HDPA(1μM,37℃,PBS pH7.45)および大腸菌(1×10CFU/ml,2分,37℃)とともにインキュベートした。インキュベーションを、2容量の酸性化メタノール(見かけ上pH3)を用いて停止させ、産物を抽出し、LMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングした。
ヒト好中球(4×10細胞/ml)を13R−HDPA(300nM)とともにPBS中(pH7.45,37℃)にて高18環境でインキュベートし;次いで大腸菌(2×10CFU/ml)を添加した。30分後、インキュベーションを、2容量の氷冷メタノールを用いてクエンチし、次いで、水素化ホウ素ナトリウム(1μg/ml,15分間,4℃)とともにインキュベートし、産物を抽出し、LMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングした。以下のMRMトランジション:RvT1−381>145、RvT2−379>145、RvT3−227およびRvT4−363−145を使用し、新しい各産物をモニタリングした。
週に2〜3回、少なくとも45分間運動し、静脈穿刺前の10〜14日間に非ステロイド系抗炎症薬、ASA含有製品またはスタチンを含む薬物療法を受けていないと申告した健常志願者(HV)由来の全血液を、ヘルシンキ宣言および廃棄物に関するPartners Human Research Committee Protocol 1999P001279(CNS)に従う書面での同意を得た後に採取した。運動前、末梢血試料採取の前に、参加者を5〜10分間、座った姿勢で休ませた。直後に、10分間のウォーミングアップとストレッチ運動の後、30〜45分間の運動強度の激しい連続自転車こぎまたはクロストレーニングを含む運動プロトコルを開始し、対象が自身の理論上マックスの約90%に達したとき運動を終了した。これは、32の場合のように220―年齢の式を用いて計算した。これらの対象から血液を、運動終了から15分以内に収集した。血液はすべてヘパリン中に収集し、次いで、内部標準が入った4容量の氷冷メタノール中に入れ、メディエーターレベルをLC−MS−MSにより上記に詳述したようにして評価した。
敗血症と診断された患者由来の血漿をDx Biosamplesから入手した(個体群統計については表1および2参照)。健常志願者(HV)由来の血漿は、上記に概略を示したとおりに収集した。SRM 1950と表示されたヒト参照血漿を米国立標準技術研究所(NIST)から購入した。これらの患者および志願者由来の血漿を、内部標準が入った2容量の氷冷メタノール中に入れ、メディエーターレベルをLC−MS−MSにより上記に詳述したようにして評価した。
マウスにおける大腸菌感染中、全血液をヘパリン中に指定の時間間隔で収集した。次いでこれを、内部標準が入った4容量の氷冷メタノール中に入れ、メディエーターレベルをLC−MS−MSにより上記に詳述したようにして評価した。
好中球−内皮系コインキュベーション物
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC;8.5×10細胞/9.6cm)を、IL−1β(10ng/ml)およびTNF−α(10ng/ml;16時間,37℃,5%CO)とともにインキュベートした。次いで細胞をアトルバスタチン(30nM〜30μM)、セレコキシブ(25μM)、L−NAME(25μM)、1400W(10μM)またはビヒクル(0.01%DMSO含有PBS)とともにインキュベートした後、n−3 DPA(1μM,1時間,37℃,5%CO)を添加した。選択実験では、n−3 DPA添加の30分後、ヒト好中球(1×10細胞/ml)を添加し、細胞を60分間インキュベートした(37℃,5%CO)。インキュベーションを2容量の氷冷メタノールを用いて停止させ、産物を上記に詳述したようにして抽出した。測定実験では、ヒトPMNの添加後、大腸菌(5×10CFU/ml)もまた添加し、細胞を60分間インキュベートした(37℃,5%CO)。次いで、インキュベーションを2容量の氷冷メタノールを用いて停止させ、LMプロフィールをLM−メタボロリピドミクスを用いて評価した。
内皮細胞を対照のスクランブルドsh−RNAまたはヒトCOX−2 sh−RNA(Origene)で、jetPEI(登録商標)−HUVEC(PolyPlus)を製造業者の使用説明書に従って用いてトランスフェクトし、次いで、IL−1β(10ng/ml)およびTNF−α(10ng/ml;16時間,37℃,5%CO)とともにインキュベートした。次いで細胞をn−3 DPA(1μM,37℃,5%CO,0.1%EGM中)とともにインキュベートした。インキュベーションを2容量の氷冷メタノールを用いて停止させ、脂質メディエーターを脂質メディエーターメタボロリピドミクスによって評価した。
ヒト好中球およびマクロファージの食作用ならびにROS
マクロファージは、Children’s Hospital Blood Bank(Boston)から購入した末梢血単核細胞(PBMC)から調製し、食作用は31の場合のようにして評価した。簡単には、マクロファージ(5×10細胞/ウェル)を、RvT1(1pM〜10nM)、RvT2とRvT3の1:1の混合物(1pM〜10nM)、RvT4(1pM〜10nM)またはビヒクル(0.1%EtOH含有DPBS)とともに37℃で15分間インキュベートし、次いで、蛍光標識したアポトーシス細胞を添加し、細胞を37℃で45分間インキュベートした。細胞外蛍光をトリパンブルー(1:15に希釈)を用いてクエンチし、食作用をM3 SpectraMaxプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて評価した。選択実験では、マクロファージ(上記に詳述したようにして調製,5×10細胞/ウェル)または好中球(1×10細胞/ウェル)(31の場合のようにしてPartners Human Research Committee Protocol(番号1999P001297)に従ってヒト健常志願者から採取して単離)をHDCFDA(5μM,30分,37℃)とともにインキュベートし、過剰の染料を洗い流し、細胞をRvT1(1pM〜10nM)、RvT2とRvT3の1:1の混合物(1pM〜10nM)、RvT4(1pM〜10nM)またはビヒクル(0.1%EtOH含有DPBS,15分,37℃)とともにインキュベートし、次いで、大腸菌(白血球:大腸菌が1:50,45分,37℃)とともにインキュベートした。細胞内活性酸素種を、M3 SpectraMaxプレートリーダーを用いて蛍光を測定することにより測定した。細菌食作用を評価するため、マクロファージ(5×10細胞/ウェル)または好中球(1×10細胞/ウェル)をRvT1(1pM〜10nM)、RvT2とRvT3の1:1の混合物(1pM〜10nM)、RvT4(1pM〜10nM)またはビヒクル(0.1%EtOH含有DPBS,15分,37℃)とともにインキュベートし、次いで、BacLight Green(Molecular Probes)で標識した大腸菌(白血球:大腸菌が1:50,45分,37℃)とともにインキュベートした。次いで、細胞外蛍光をトリパンブルー(1:15に希釈)を用いてクエンチし、食作用をM3 SpectraMaxプレートリーダーを用いて評価した。
ヒトマクロファージのカスパーゼ1、IL−1βおよび乳酸デヒドロゲナーゼ
ヒトマクロファージ(1.5×10細胞/ウェル)をRvT1(10pM〜10nM)、RvT2とRvT3の1:1の混合物(10pM〜10nM)、RvT4(10pM〜10nM)またはビヒクル(0.1%EtOH含有DPBS,15分,37℃)とともに、次いで大腸菌(7.5×10細胞/ウェル,DPBS中,16時間,37℃)とともにインキュベートした。マクロファージにおけるカスパーゼ1レベルはフローサイトメトリーによって、細胞の固定および透過処理、抗カスパーゼ1(Abcam;4℃,30分)および抗ウサギ−Alexa 488コンジュゲート抗体(Molecular Probes;4℃,30分)での染色後に評価した。IL−1βレベルは無細胞の上清み中において、抗ヒトIL−1β ELISA(eBiosciences)を製造業者の使用説明書に従って用いて測定した。乳酸デヒドロゲナーゼ活性は無細胞の上清み中において測定し、NAD+からのNADHの形成をLactate Dehydrogenase Assayキット(Sigma)を製造業者の使用説明書に従って用いて評価した。
組換え酵素のインキュベーション
ヒト組換えCOX−2(10単位;Cayman Chemicals;0.1M Tris−HCl中,pH8.0,20μMブタヘマチン,0.67mMフェノール,33の場合のとおり)を、表示した濃度のAAまたはn−3 DPAとともにインキュベートし(1時間,室温)、235nMにおける吸光度を1分間隔で、Cary UV−Vis Spectrophotometer(Agilent)を用いて調べた。
指定の実験では、n−3 DPAを、hrCOX2、hrCOX−2(これは、100mMのグルタチオンを100mMの亜硝酸ナトリウムとともに200mM塩酸中で室温にて、34の場合のようにしてインキュベートすることによって調製したS−ニトロソグルタチオンとともに事前にインキュベートした(30分間 室温))
またはS−ニトロソグルタチオンとともにインキュベートした。20分後、インキュベーションをメタノールを用いてクエンチし、13−HDPAレベルをLC−MS−MSベースのLMメタボロリピドミクスを用いて評価した。
COX−2 S−ニトロシル化を、Pierce Western Blot S−nitrosylation Kit(Thermo Fisher)を製造業者の使用説明書に従って用いて評価し、全COX−2レベルを、ウサギ抗COX−2(Cell Signaling)抗体およびヤギ抗ウサギ−HRPコンジュゲート抗体(eBioscience)を用いて測定した。
抗菌作用
好中球−内皮細胞分離物RvT1(10μM)、RvT2+RvT3(10μM)、RvT4(10μM)またはアンピシリン(1もしくは10mM)をGF−Cフィルター(Waters)上に置き、次いでこれを、大腸菌(1×10CFU)を入れたLB寒天プレート上に移した。37℃で一晩インキュベーション後、クリアランスゾーンを評価した。
統計値
結果はすべて、平均±s.e.m.として表示している。本発明者らは、分析対象の異なる群間において正規性および等しい分散分布を仮定した。群間の差は、スチューデントのt検定(2つの群間)または一元配置ANOVA(多数の群間)を用いて、その後、ボンフェローニポストホックテストを用いて比較した。実験での生存率をカプラン・マイヤー曲線で示し、ログランク(Mantel−Cox)を用いて分析した。試験担当者は、群の割り付けまたは転帰の評価について盲検的でなかった。各実験のサンプルサイズは、予備実験で観察されたばらつきおよび実験系での以前の経験に基づいて決定した。統計学的有意性の基準はp<0.05とした。
結果および考察
好中球は、進入病原体に対する防御の第一線である10,11。これは、血管系から感染部位(1つまたは複数)へと速やかに動員され、細菌の封じ込めとクリアランスに参加する。動員の最初の工程のうちの1つは、血管内皮上への好中球の捕捉である10。このカギとなる工程中に生じる宿主防御作用を行ない得る新しい分子を同定するため、およびレゾルビンとプロテクチンは宿主の細菌感染クリアランスを向上させるため、本発明者らは、これらの細胞型のコインキュベーションによる画分を、C18固相抽出を用いて得た(方法参照)。大腸菌感染が急を要する世界的な健康問題であり、米国だけでも毎年、少なくとも約270,000例の新しい症例が報告されていることを考慮し12、本発明者らは、次に、マウスの大腸菌感染におけるこのような画分の作用を評価した。大腸菌接種の直前に静脈内投与した場合、このようなヒト好中球−内皮細胞コインキュベーションによる単離物は、致死性の大腸菌感染の生存率を有意に向上させたが(図1a;p<0.05)、直接的な抗菌活性は示さなかった(図2a)。
このような画分中の生物活性分子(1種類または複数種)を特性評価して解明し、その構造(1つまたは複数)を推定するため、本発明者らは最初に、脂質メディエーター(LM)−メタボロリピドミクスに基づいた液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC−MS−MS)を使用した。古典的なエイコサノイドおよびSPMとともに、好中球−内皮細胞コインキュベーションによる画分中において、活性を示すこれまでに知られていない分子もまた同定した。これにより、5つの二重結合を有する22−炭素主鎖に特徴的な4つの相違するMS−MSスペクトルおよび保持時間が示され、DPAが前駆体であることが示唆された。MS−MS断片化を使用し、これらの新しいn−3 DPA由来生物活性分子の構造が:7,13,20−トリヒドロキシ−ドコサペンタエン酸、7,8,13−トリヒドロキシ−ドコサペンタエン、7,12,13−トリヒドロキシ−ドコサペンタエン酸および7,13−ジヒドロキシ−ドコサペンタエン酸であると推定した(図1bならびに図2bおよび3a〜d)。これらの帰属を、各産物の物理的特徴、例えば、異なる化学誘導体のMS−MSおよび反応性(すなわち、18組込み、酸性メタノールトラッピングおよびメチルエステル(下記およびオンライン法参照))を用いて確認した。n−3 DPAとの好中球−内皮細胞のコインキュベーションではその量が30〜50%増大したが、SPM4,9のDHA前駆体もEPA前駆体も増大しなかった(図3e)。したがって、これらの新しい生物活性構造体は、各々、炭素−13位にその生合成起源に由来するアルコールを担持しているため、それぞれ、13−シリーズのレゾルビン(RvT)であるRvT1、RvT2、RvT3およびRvT4と示した(図2b)。
ヒトでは、運動により、血漿脂質メディエーターの増加によって顕示される自己消散性の炎症状態がもたらされるため13、RvT生成を運動中の健常志願者において調べた。運動前レベルと比較すると、末梢血中RvTの有意な増加が得られた(図1c,表1a;p<0.05)。それぞれの量は、桁が、AA、EPAまたはDHA生物活性メタボローム、すなわち、プロスタグランジン、ロイコトリエンB、レゾルビン、プロテクチンおよびマレシンのものと同等であった(表1b)。また、RvTは、敗血症患者由来のヒト末梢血中(図1d,表2a)ならびに健常志願者由来の血漿中の量およびNational Institutes for Standards and Technologiesから入手したヒト血漿複合物(SRM1950)中の量と比較した場合も存在した。また、レゾルビンおよびリポキシンも、健常志願者の血漿およびSRM1950血漿複合物のどちらと比較した場合も、敗血症患者の血漿中において高値であった(表2b)。
表1:健常志願者の運動前と運動後の末梢血中の脂質メディエーターのプロフィール
(a)健常志願者の個体群統計(b)末梢血は健常志願者から運動前と運動後に収集し(方法参照)、脂質メディエーターレベルは、親イオン(Q1)と特徴的な断片イオン(Q3)のMRMモニタリングを用いて定量した。結果を平均±s.e.m.として示す。n=4名の健常志願者(4つの独立した実験)。=限界未満;限界は約0.1pg。太字で示した数値は運動前の値と比べてp<0.05である。
表2:健常志願者および敗血症患者由来の血漿中におけるSPMおよびエイコサノイドと新規なRvT(対比)の比較
(a)健常志願者の個体群統計および患者の個体群統計および培養。(b)血漿は、NISTレポジトリー(参照血漿;d=3)から入手、健常志願者(n=4)または敗血症と診断された患者(n=9)から収集し、脂質メディエーターレベルは、親イオン(Q1)と特徴的な断片イオン(Q3)のMRMモニタリングを用いて定量した。結果を2つの独立した実験の平均±s.e.m.として示す。=限界未満;限界は約0.1pg。太字で示した数値は参照血漿値と比べてp<0.05である。
次いで、マウスにおける細菌感染時のRvTの時間的調節を評価した。10CFUの大腸菌/マウスの大腸菌で抗原刺激したFVBマウスは自己消散性の(すなわち、自己限定的な)炎症応答を有し、PMN数は約12時間目に最大に達したが、その後、減少した。RvTは、炎症の開始期中に急速に形成され、末梢血中の量は4時間目に最大に達し、続いてこれは減少した(図1e)。比較において、AA−、EPA−およびDHA−に由来するメディエーター(これら由来のメディエーター)もまた4時間目において高値であり、大部分が12時間目に最大に達した。これらにはRvD2とLXBが含まれた(表3)。注目すべきことには、RvTは、致死性ではないが炎症の増大を引き起こし、消散の遅延を伴う高負荷の大腸菌で抗原刺激したマウス由来の末梢血中の方が>60%少ない(10CFU/マウス;図1fおよび表4)。
表3:マウスにおける自己消散性感染時の末梢血中の脂質メディエーターのプロフィール
マウスに大腸菌(1×10CFU/マウス)を接種し、表示した間隔で血液を収集し、脂質メディエーターレベルを、親イオン(Q1)と特徴的な断片イオン(Q3)のMRMモニタリングを用いて定量した。結果を平均±s.e.m.として示す。n=4匹マウス/群(2つの独立した実験)。=限界未満;限界は約0.1pg.太字で示した数値は0時間の値と比べてp<0.05である。
表4:自己消散性感染および遅延消散感染時におけるマウス末梢血中の脂質メディエーターのプロフィール
マウスに1×105CFU/マウスの大腸菌(自己消散性)または1×107CFU/マウスの大腸菌(遅延消散)を接種し、4時間後に血液を収集し、脂質メディエーターレベルを、親イオン(Q1)と特徴的な断片イオン(Q3)のMRMモニタリングを用いて定量した。結果を平均±s.e.m.として示す。n=5匹のマウス/群(2つの独立した実験)。太字で示した数値は自己消散性の場合の値と比べてp<0.05である。
ヒト好中球−内皮細胞コインキュベーションに基づき、このコインキュベーションによって認識可能な量のRvT1、RvT2、RvT3およびRvT4が得られたため、RvTは細胞間生合成の産物であることが推測された(図3F)。キラルLC−MS−MSにより、内皮細胞をn−3 DPAとともにインキュベートすると、単独の培養培地中に維持した細胞と比較した場合、高値の13R−ヒドロキシ−7Z,10Z,14,16Z,19Z−ドコサペンタエン酸が得られることが示された(13R−HDPA;図4a〜d)。IL−1βおよびTNF−αは内皮COX−2発現(これによりDHAが13−ヒドロキシ−ドコサヘキサエン酸に変換される)を上方調節するため14、内皮COX−2がn−3 DPAも変換して13−HDPAを生成させるのかどうかという疑問が生じた。COX−2選択的阻害薬であるセレコキシブとの内皮細胞のインキュベーションまたはCOX−2を標的化するshRNAでの内皮細胞のトランスフェクションでは、各々、内皮細胞誘導性13−HDPAの有意な低減がもたらされ(付録図3e,f,p<0.05)、13−HDPA生成におけるCOX−2の役割が示された。ヒト組換えCOX−2とのn−3 DPAのインキュベーションにより13R−HDPAが得られ(図4g)、K=3.1±1.3μMであり(付録図3h)、n−3 DPAが内皮COX−2によって13R−HpDPAに変換されることが示された。次いで、この中間体またはその還元アルコール形態が好中球に提供され得、これが該中間体(1種類または複数種)をRvTに変換する。この生合成経路およびRvT構造の提案は、UVクロモフォア、メチル−エステル誘導体のMS−MS断片化スペクトル(図5)、分子の酸素(18)組込み(図6)およびエポキシド中間体の酸−アルコールトラッピング(図7)を評価することによって確証された。これらの結果は、COX−2誘導性13−HDPAがヒト好中球におけるリポキシジェネーション(lipoxygenation)によってRvT1、RvT2、RvT3およびRvT4に変換されることを示す。
アトルバスタチンは、マウスの細菌感染において防御性であり15、COX−2を調節する16。したがって、次に、このスタチンがRvT生合成を調節するのかどうかという疑問が生じた。ヒトにおいて達するものと関連性のある濃度(0.03〜30μM)17のアトルバスタチンとの好中球−内皮細胞共培養物のインキュベーションにより、RvTの用量依存性の増加がもたらされた(図8aおよび表5)。このコインキュベーションに由来する画分では、アトルバスタチンなしの好中球−内皮細胞共培養物由来の画分(図2b;p<0.05)およびアトルバスタチンとともに個々にインキュベートした好中球または内皮細胞に由来するもの(図8b)と比較した場合、大腸菌感染時のマウスの生存率が有意に高まった。セレコキシブは、このインキュベーションにおいてRvTを有意に低減させ(図8c;p<0.05)、アトルバスタチンとの好中球−内皮細胞コインキュベーション物から得られた単離画分の防御作用を無効にした(図8c)。
付録表5:ヒト内皮細胞インキュベーション物および好中球−内皮細胞コインキュベーション物における脂質メディエーターレベル
ヒト内皮細胞をIL1βおよびTNF−α(各々10ng/ml,16時間,37℃)、次いでビヒクル(0.01%EtOH含有PBS)またはアトルバスタチン(Atorv;30分)とともに30分間、その後、n−3 DPA(1μM,15分,37℃)およびヒト好中球(1×107細胞/ml,60分,37℃)またはPBSとともにインキュベートした。産物を、LMメタボロリピドミクスを用いてプロファイリングし、親イオン(Q1)と特徴的な断片イオン(Q3)のMRMモニタリングを用いて定量した。結果は平均±s.e.m.である。n=4つの独立した細胞調製物/群(4つの独立した実験)。太字で示した数値は内皮細胞単独のインキュベーションと比べてp<0.05である。
アトルバスタチンの前にL−NG−ニトロアルギニンメチルエステル(L−NAME)を投与すると、血漿RvTのアトルバスタチン媒介性増加が有意に逆転され(図8e;p<0.05)、マウス感染時における腹膜への好中球動員が増大した(図8f)。ヒト内皮細胞がNOS阻害薬(L−NAMEおよび1400W)を伴う場合も、アトルバスタチン媒介性RvT増加が70〜90%有意に低減された(図9a;p<0.05)。また、S−ニトロシレートCOX−2である18S−ニトロソグルタチオンとのヒト組換えCOX−2(hrCOX−2)のインキュベーション(図9b)では、天然COX−2と比べて13R−HDPAおよびhrCOX−2の触媒活性の増大が得られた(図8g)。このような結果により、アトルバスタチンは内皮COX−2のS−ニトロシル化によってRvT生成を増大させることが示された。
次に、これらの分子の生物作用をヒト白血球で試験した。RvTを、組換え酵素および一次ヒト好中球を用いて生成させ、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を用いて単離した(詳細については方法参照)。RvT1およびRvT4をその単一のRP−HPLCピークの出現および特徴的なUVクロモフォアに基づいて見かけ上均一であるように単離した。RvT2およびRvT3は、同じRP−HPLC画分中に溶出されるため一緒に試験した。RvT1(1pM〜10nM)は、ヒトマクロファージにおける大腸菌食作用および細胞内活性酸素種(ROS)の生成(図10a,b)ならびに炎症消散のカギとなる工程であるアポトーシス好中球のエフェロサイトーシス(図10c)を用量依存的に増大させた。同様の作用がヒト好中球でも得られ、この場合、RvT1(1pM〜10nM)は、大腸菌食作用(20〜55%)および細胞内ROS(20〜40%;n=4例のドナー)を用量依存的に増大させた。また、RvT1(10pM〜10nM)は、インフラマソーム成分のヒトマクロファージ活性化も用量依存的にブロックし、カスパーゼ−1およびIL−1βの発現ならびに細胞外乳酸デヒドロゲナーゼ活性が低下した(LDH;図11a〜c)。同様の結果がRvT4およびRvT2+RvT3でも得られた(図11a〜c)。
RvTが各々、ヒト感染およびマウス感染において同定されたことを考慮し、これらの複合作用をマウスの大腸菌感染において、RvT1、RvT2、RvT3およびRvT4(RvT1〜4)の混合物を腹腔内大腸菌接種の直前に投与することで評価した。12時間後、これらの分子により、低体温症に対する用量依存的防御、炎症部位へのさらなる好中球動員の制限、腹水中白血球による細菌食作用の増大(図10d〜f)、ならびに単球/マクロファージでのカスパーゼ−1の発現、IL−1βレベルおよびLDH活性の低減がもたらされ(図11d〜f)、直接的な抗菌活性は発揮されなかった(図11a)。また、RvTは、血小板−白血球凝集塊の低減によって示されるように、全身性炎症を低減させた(図11g)。RvT1〜4(500ng/マウス)を投与したマウス由来の血漿のLMメタボロリピドミクスでは、感染時、インフラマソームの活性化(すなわち、エイコサノイドストーム)によって高値となる19TxB、PGDおよびPGEの有意な低減が示された(図12b;p<0.05)。また、RvTは滲出マクロファージエフェロサイトーシスを有意に増大させた(図10g;p<0.05)。さらに、大腸菌接種の2時間後のRvT1〜4の投与ではマウスの生存率が用量依存的に高まった(図10i)。
スタチンの長期使用は、いくつかの有害効果、例えば、インフラマソームの活性化20、糖尿病21、ならびに鼻咽頭炎、関節痛、下痢、四肢痛、尿路感染、消化不良、悪心、筋骨格系疼痛、筋痙攣、筋痛症、不眠症および咽喉頭痛と関連している35。したがって、次に、RvTにより、大腸菌感染を排除するのに必要とされるアトルバスタチンの有効用量が低減され、したがってスタチン曝露を低減させることができるかどうかを試験した。大腸菌接種の直前でのRvT1〜4(各々、約12.5ng/マウス)と閾値下限用量のアトルバスタチン(0.5μg/マウス)の共投与により、マウスは低体温症から有意に防御され、好中球動員(約50%;p<0.05)、局所および全身の細菌負荷、滲出IL−1βレベル(約45%;p<0.05)ならびにLDH活性(約40%;付録図10a〜e;p<0.05)が低減された。また、この共処置により、滲出白血球による細菌食作用(約90%;p<0.05)および滲出マクロファージによるエフェロサイトーシス(約90%;図13f,g;p<0.05)が有意に増大した。したがって、RvTによりアトルバスタチン療法に対する曝露が低減され得、スタチン用量で観察されるスタチンの不要な副作用20,21のいくつかが限定的になるかもしれないことが示唆される。
この処置形態が治療状況においても防御的であるかどうかを評価するため、マウスを、アトルバスタチン(0.5μg/マウス)および/またはRvT1〜4の混合物(50ng/マウス)で大腸菌接種の2時間後に処置した。アトルバスタチンとRvTの共投与により腹膜への好中球動員が有意に低減され、滲出細菌負荷が低減された(図13h;p<0.05)。アトルバスタチンとRvTによって活性化される潜在的機構(1つまたは複数)に対する洞察を得るため、アトルバスタチンによって調節される宿主の防御性因子22,23および炎症促進性因子24の発現を調べた。0.5μg/マウスのスタチン単独を投与したマウスでは、宿主防御性のPGIおよび15−デオキシ−Δ−12,14−PGJの増加が測定され(図13i)、一方、炎症促進状態と関連している分子のエンドセリン−1およびプラスミノゲンアクチベータインヒビター−1は低減された(図13j)。RvTの投与(50ng/マウス)によってこれらの分子が一部、調節されたが、アトルバスタチンよりも程度は低かった(約30〜60%低い)。アトルバスタチンとRvT1〜4の共投与では、ビヒクル−またはRvT−処置マウスと比較した場合、これらの分子が有意に低減された(図13j,k;p<0.05)。また、末梢血中エイコサノイドもRvT1〜4を投与すると低減され(図13k)、効果は、部分的にのみアトルバスタチンと共有されたものであった。
このような防御作用を考慮し、本発明者らは、RvTとアトルバスタチンの共投与によって感染の消散が加速され得るかどうかを評価した。RvT1〜4(50ng/マウス)をアトルバスタチン(0.5μg/マウス)と一緒にピーク好中球浸潤(12時間目)に投与すると滲出好中球クリアランスが有意に加速され、滲出白血球による細菌食作用が増大し(約50%;p<0.05)、炎症の消散が加速され、消散時間が約20時間から約8時間に短縮された(図14aおよび図13)。高用量(500ngのRvT+5μgのアトルバスタチン)および低用量(50ngのRvT+0.5μgのアトルバスタチン)ではどちらも、RvT1〜4とアトルバスタチンとの共投与により、アトルバスタチン単独での処置と比べてマウスの生存率が高まった(図4b)。総合すると、このような結果は、RvTにより感染時におけるアトルバスタチンの有効用量が少なくなることを示唆する。
まとめると、LC−MS−MSベースの脂質メディエーター−メタボロリピドミディクス(metabololipidomidics)を使用し、本発明者らは、ヒト好中球−内皮細胞の相互作用時に細胞間生合成4,9,14によって形成されるRvTと称される4種類の新しい生物活性分子の構造を解明した(表6および図2b)。RvT生成は、ヒトおよびマウスにおいて自己消散性炎症性抗原刺激時に高値であり、マウスでは遅延感染消散時に下方調節された。n−3 DPAに由来するこのような13−シリーズのレゾルビンは、抗炎症活性および強力な消散促進活性の両方を発揮し、マウスの大腸菌感染時における宿主の応答およびヒト単離細胞による食作用を調節し、それにより免疫消散体(immunoresolvent)としての基準を満たす:すなわち、これらは、消散の主徴候、例えば、expurgatio reliquiorum(残屑のクリアランス)、expurgatio contagionem agentis(非有効因子のクリアランス)、doloris absentia(鎮痛)およびmuneris lucrum(機能の獲得)を刺激する。ヒトにおける血管−内皮系の広範囲にわたるサイズおよび循環系内の好中球の存在度を考慮し、自己消散性急性炎症の初期段階でのRvTの形成およびアトルバスタチンによるその調節により、感染性炎症に対する新しい処置ストラテジーの開発のための分子的基盤がもたらされ得る可能性がある。また、RvTは、スタチンマーカーおよび消散応答時のその作用のメディエーターの機能も果たし得る。


表6:13−シリーズのレゾルビンの構造、生合成および作用の証拠
表6(続き)13−シリーズのレゾルビンの構造,生合成および作用の証拠
本明細書において具体的に挙げた刊行物および特許はすべて、本発明との関連において使用されるかもしれない刊行物に報告された化学薬品、機器、統計分析および方法論の説明および開示を含むあらゆる目的のために引用により組み込まれる。本明細書に引用した参考文献はすべて、当該技術分野の技術水準を示すものであると解釈されたい。本明細書におけるいかなるものも、先願発明という理由で本発明が、かかる開示より時間的に先行していると主張できないという是認であることの是認と解釈されるべきでない。
1から15まで連続して番号付けした以下のパラグラフは、本発明の種々のさらなる態様を示す。一実施形態では、第1パラグラフにおいて:
1.式:
(式中、P、PおよびPの各々は、存在している場合、個々に保護基または水素原子であり;
は、存在している場合、二重結合を表し、各二重結合は独立してZ配置またはE配置のいずれかであり;
7位と13位または8、12もしくは20位の炭素は、存在している場合、独立してR配置またはS配置であり;
Zは−C(O)OR、−C(O)NR、−C(O)H、−C(NH)NR、−C(S)H、−C(S)OR、−C(S)NRまたは−CNであり;
各Rは独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールまたは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択され;
各Rは独立して保護基またはRであるか、あるいはまた、各Rは、これが結合している窒素原子と一体となって、5〜8員のシクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールを形成しており、該シクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールは、任意選択で1個以上の同じかまたは異なるさらなるヘテロ原子を含むものであってもよく、任意選択で1つ以上の同じかまたは異なるR基または適当なR基で置換されていてもよく;
各Rは独立して、=O、−OR、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF、=S、−SR、=NR、=NOR、−NR、ハロゲン、−CF、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)R、−S(O)、−S(O)OR、−S(O)NR、−S(O)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)OR、−OS(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NH)NR、−C(NR)NR、−C(NOH)R、−C(NOH)NR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(NH)NR、−OC(NR)NR、−[NHC(O)]、−[NRC(O)]、−[NHC(O)]OR、−[NRC(O)]OR、−[NHC(O)]NR、−[NRC(O)]NR、−[NHC(NH)]NRまたは−[NRC(NR)]NRから選択され;
各nは、独立して0〜3の整数であり;
各Rは独立して保護基またはRである)
を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
2.Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、Pおよび/またはP(存在している場合)がすべて水素原子である場合、水素ではない、パラグラフ1の化合物。
3.P、Pおよび/またはPのうちの1つ以上が水素原子であり、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である、パラグラフ1および2の精製された化合物。
4.カルボン酸の薬学的に許容され得る塩である、パラグラフ1、2または3のいずれかの化合物。
5.さらに、組成物を得るための担体を含む、パラグラフ1〜4のいずれかの化合物。
6.インフラマソームの活性化、糖尿病、鼻咽頭炎、関節痛、下痢、四肢痛、細菌感染、消化不良、悪心、筋骨格系疼痛、筋痙攣、筋肉痛、不眠症、咽喉頭痛、炎症、組織の変性、動脈の炎症、関節炎、乾癬、蕁麻疹、血管炎、喘息、眼の炎症、肺の炎症、肺線維症、脂漏性皮膚炎、膿疱性皮膚病、心血管疾患、好中球、白血球および/またはサイトカインの動員、アレルギー、アルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化、がん、心血管疾患、糖尿病、泌尿生殖器科系の障害、高血圧、感染性疾患、神経筋障害、腎障害、経口感染または歯周病を処置または予防する方法であって、有効量の1種類以上の請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を、それを必要とする対象に投与する工程を含み、それにより該疾患または病状が処置または予防されるようにする方法。
7.インフラマソームの活性化、糖尿病、鼻咽頭炎、関節痛、下痢、四肢痛、細菌感染、消化不良、悪心、筋骨格系疼痛、筋痙攣、筋肉痛、不眠症、咽喉頭痛、炎症、動脈の炎症、関節炎、乾癬、蕁麻疹、血管炎、喘息、眼の炎症、肺の炎症、肺線維症、脂漏性皮膚炎、膿疱性皮膚病、心血管疾患、好中球、白血球および/またはサイトカインの動員、アレルギー、アルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化、がん、心血管疾患、糖尿病、泌尿生殖器科系の障害、高血圧、感染性疾患、神経筋障害、腎障害、経口感染または歯周病
のうちの1つ以上を処置または予防するための方法であって、式:
(式中、P1、および/またはPの各々は、存在している場合、個々に保護基または水素原子であり;
は、存在している場合、二重結合を表し;各二重結合は独立してZ配置またはE配置であり;
Zは−C(O)OR、−C(O)NR、−C(O)H、−C(NH)NR、−C(S)H、−C(S)OR、−C(S)NRまたは−CNであり;
各Rは独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールまたは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択され;
各Rは独立して保護基またはRであるか、あるいはまた、各Rは、これが結合している窒素原子と一体となって、5〜8員のシクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールを形成しており、該シクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールは、任意選択で1個以上の同じかまたは異なるさらなるヘテロ原子を含むものであってもよく、任意選択で1つ以上の同じかまたは異なるR基または適当なR基で置換されていてもよく;
各Rは独立して、=O、−OR、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF、=S、−SR、=NR、=NOR、−NR、ハロゲン、−CF、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N、−S(O)R、−S(O)、−S(O)OR、−S(O)NR、−S(O)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)OR、−OS(O)NR、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NH)NR、−C(NR)NR、−C(NOH)R、−C(NOH)NR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(NH)NR、−OC(NR)NR、−[NHC(O)]、−[NRC(O)]、−[NHC(O)]OR、−[NRC(O)]OR、−[NHC(O)]NR、−[NRC(O)]NR、−[NHC(NH)]NRまたは−[NRC(NR)]NRから選択され;
各nは、独立して0〜3の整数であり;
各Rは独立して保護基またはRである)
を有する有効量の1種類以上の化合物またはその薬学的に許容され得る塩(ただし、Zが−C(O)ORである場合、ZのRは、P、PおよびPが各々、水素原子である場合、水素ではないものとする)を、それを必要とする対象に投与する工程を含み、それにより該疾患または病状が処置または予防されるようにする方法。
8.該化合物が精製されており、P、PおよびPが水素原子である場合、Zが−C(O)ORであり、ZのRが水素原子である、請求項1〜7のいずれかの方法。
9.該化合物がカルボン酸の薬学的に許容され得る塩である、パラグラフ1〜8のいずれかの方法。
10.さらに、組成物を得るための担体を含む、パラグラフ1〜9のいずれかの方法。
11.細菌感染を処置または予防するための方法であって、それを必要とする対象にパラグラフ1〜10による化合物とスタチン化合物を投与することを含む方法。
12.スタチン療法を増強するための方法であって、それを必要とする対象に、スタチン療法を必要とする対象に対してスタチン化合物に加えて治療有効量のパラグラフ1〜11による化合物を与えることを含む方法。
13.対象に治療量のパラグラフ1〜12のいずれかによる化合物を投与することを含む、細菌感染に苦しんでいる対象の生存割合を高めるための方法。
14.食作用、エフェロサイトーシス、創傷治癒および組織再生の促進を、それを必要とする対象において行なうための方法であって、それを必要とする患者に治療有効量のパラグラフ1〜13のいずれかによる化合物を投与することを含む方法。
15.白血球の刺激を必要とする対象に治療量のパラグラフ1〜14のいずれかによる化合物を投与することを含む、白血球における活性酸素種の生成の刺激方法。
上記に一般的に説明したデバイスおよび化合物ならびに本発明による方法の種々の例示的な実施形態は、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されよう。本実施例は、実例を示す目的で示したものであり、本発明をいかなる様式でも限定することを意図したものではない。
本発明を、上記に概要を示した種々の例示的な実施形態に関して説明したが、種々の択一例、修正例、変形例、改善例および/または実質的に等価物が、既知のものであれ、予測不可能なものであれ、現時点では予測不可能であり得るものであれ、少なくとも当業者には明らかとなり得よう。したがって、上記に示した本発明による例示的な実施形態は実例を示すことを意図したものであって、限定を意図したものではない。種々の変更が、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく行なわれ得る。したがって、本発明は、例示的な本実施形態の既知の、または後に開発されるあらゆる択一例、修正例、変形例、改善例および/または実質的に等価物を包含していることを意図する。
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Claims (10)

  1. 式:
    (式中、P、PおよびPの各々は水素原子であり、Zは−C(O)OR であり、ZのR は水素原子である)で示される化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  2. カルボン酸塩である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩。
  3. 請求項1または2に記載の1つ以上の有効量の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、インフラマソームの活性化、糖尿病、鼻咽頭炎、関節痛、下痢、四肢痛、細菌感染、消化不良、悪心、筋骨格系疼痛、筋痙攣、筋肉痛、不眠症、咽喉頭痛、炎症、組織の変性、動脈の炎症、関節炎、乾癬、蕁麻疹、血管炎、喘息、眼の炎症、肺の炎症、肺線維症、脂漏性皮膚炎、膿疱性皮膚病、心血管疾患、好中球、白血球および/またはサイトカインの動員、アレルギー、アルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化、がん、心血管疾患、糖尿病、泌尿生殖器科系の障害、高血圧、感染性疾患、神経筋障害、腎障害、経口感染、または歯周病を治療または予防する薬剤。
  4. 請求項1または2に記載の1つ以上の有効量の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、および担体を含む組成物。
  5. インフラマソームの活性化、糖尿病、鼻咽頭炎、関節痛、下痢、四肢痛、細菌感染、消化不良、悪心、筋骨格系疼痛、筋痙攣、筋肉痛、不眠症、咽喉頭痛、炎症、動脈の炎症、関節炎、乾癬、蕁麻疹、血管炎、喘息、眼の炎症、肺の炎症、肺線維症、脂漏性皮膚炎、膿疱性皮膚病、心血管疾患、好中球、白血球および/またはサイトカインの動員、アレルギー、アルツハイマー病、喘息、アテローム性動脈硬化、がん、心血管疾患、糖尿病、泌尿生殖器科系の障害、高血圧、感染性疾患、神経筋障害、腎障害、経口感染、及び歯周病のうちの1つ以上を治療または予防するための、請求項4に記載の組成物。
  6. 請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩とスタチン化合物を投与することを含む、細菌感染を処置または予防するための薬剤。
  7. 請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の1つ以上を含む、スタチン療法を増強するための薬剤であって、前記薬剤がスタチン療法によって処置される対象に投与される薬剤。
  8. 請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の1つ以上を含む、細菌感染症に罹患している対象の生存率を増加させるための薬剤。
  9. 請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の1つ以上を含む、食作用、エフェロサイトーシス、創傷治癒、または組織再生を促進するための薬剤。
  10. 請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の1つ以上を含む、白血球における活性酸素種の生成を刺激するための薬剤。
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