JP6819563B2 - 内燃機関システム - Google Patents

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Description

本発明はEGR装置を備える内燃機関システムに関する。
特許文献1には、低圧EGRと高圧EGRとの2つのEGR通路を備える内燃機関が記載されている。特許文献1に記載されたシステムにおいて、高圧EGR通路には、排気ガスを冷却するための高圧EGRクーラが設けられると共に、高圧EGRクーラをバイパスするバイパス通路が接続されている。そして、内燃機関が低負荷又は低回転の場合、低圧EGR通路からのEGRガスの還流とともに、高圧EGRのバイパス通路から高圧EGRクーラをバイパスしてEGRガスが供給されるように制御される。
また、他のEGR装置として、EGRガスの吸気側から排気側への逆流を防止するため、EGR通路に逆止弁が設置されたものが知られている。このようなEGR装置において、逆止弁は、一般に、EGR通路の下流側、即ち、吸気通路に近いところに設置される。
特開2015−068272号公報 特開平10−176681号公報 特開2004−257306号公報
EGR通路に逆止弁が設置されている構成の場合、EGRガスは常に逆止弁を通過して吸気通路に導入される。しかし、内燃機関の低負荷、低回転の運転領域など、EGRガスの逆流が発生しない運転領域もある。このような運転領域では、EGR通路への逆止弁設置にメリットがないばかりでなく、EGRガスが逆止弁を通過することで圧力損失が発生し、EGRガスの還流効率が低下する虞がある。EGRガスの還流効率の低下は、燃費向上の観点からは好ましいものではない。
従って、本発明は、上記課題を解決するため、EGR通路におけるEGRガスの逆流を抑制しつつ、EGRガスの逆止弁通過による圧力損失を低減するよう改良された内燃機関システムを提供するものである。
本発明は内燃機関システムであって、EGR装置と制御装置とを備える。EGR装置は、EGR通路とEGR装置とバイパス通路とEGRクーラバイパス弁と逆止弁とを備える。EGR通路は、内燃機関の排気通路と吸気通路とに接続し、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路に流入させる通路である。EGRクーラは、EGR通路に設置され、通過するEGRガスを冷却する。バイパス通路は、EGR通路の、EGRクーラより上流側の分岐部と、EGRクーラより下流側の合流部とに接続して、EGRクーラをバイパスする通路である。EGRクーラバイパス弁は、バイパス通路へのEGRガスの流量を調節する。逆止弁は、EGRガスが吸気通路側から排気通路側に逆流するのを防止する弁であり、EGR通路の、バイパス通路との分岐部と合流部との間に設置されている。
制御装置は、EGRクーラバイパス弁の開閉を制御する。制御装置は、内燃機関の運転領域が、所定の低負荷かつ低回転の領域にある場合に、EGRクーラバイパス弁を制御して、EGRガスをバイパス通路側に流入させるように構成されている。
本発明の内燃機関システムにおいては、EGR通路の、バイパス通路との分岐部と合流部との間の部分に、EGRガスの逆流防止のための逆止弁が設置される。そして、内燃機関の運転領域が低負荷かつ低回転の領域にある場合、EGRガスはバイパス通路を通過するように制御される。ここで、内燃機関の低負荷かつ低回転の領域は、EGRガスの逆流が発生しないと推定される領域である。つまり本発明によれば、EGRガスの逆流が発生しない領域でのEGRガスの逆止弁通過を回避することができる。これにより、逆止弁通過による圧力損失を低減し、燃費の改善を図ることができる。
本発明の実施の形態における内燃機関システムの全体構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態の内燃機関システムのEGR通路に設置される逆止弁の構成例を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態において制御装置が実行する制御ルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の内燃機関システムが奏する効果について説明するための図である。 本発明の内燃機関システムの逆止弁の上流圧と下流圧との差の変化を説明するための図である 本発明の内燃機関システムが奏する効果について説明するための図である。 本発明の実施の形態の内燃機関システムの他の構成例を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
図1は本実施の形態の内燃機関システムの構成を模式的に示す図である。本実施の形態にかかるシステムは、自動車に動力装置として搭載される内燃機関(以下、単に「エンジン」と称す)2を備える。エンジン2は複数の気筒を備える。図示を省略するが、エンジン2の各気筒には、ピストン、吸気バルブ、排気バルブ、燃料噴射弁等が設けられている。エンジン2は、過給機10を備えている。
過給機10は、排気ガスの排気エネルギによって作動するタービン12と、タービン12と一体的に連結され、タービン12に入力される排気ガスの排気エネルギによって回転駆動されるコンプレッサ14とを有している。更に、過給機10は、タービン12に供給される排気ガスの流量を調整するための可変ノズル(以下「VN」とも略する)16を有している。
エンジン2の吸気通路4は吸気マニホールドにより分岐してエンジン2の各気筒の吸気ポートに連通している。エンジン2の排気通路6は、排気マニホールドにより分岐してエンジン2の各気筒の排気ポートに連通している。
エンジン2の吸気通路4の入口付近には、エアクリーナ20が設けられ、エアクリーナ20の下流には、過給機10のコンプレッサ14、インタークーラ22、スロットルバルブ24が設置されている。エアクリーナ20を通って吸入された空気は、過給機10のコンプレッサ14で圧縮された後、インタークーラ22で冷却され、スロットルバルブ24を通過して、吸気マニホールドにより各気筒の吸気ポート(図示せず)に分配される。
排気通路6には、過給機10のタービン12が設置され、タービン12よりも下流側には、排気ガスを浄化するための触媒26が設置されている。
エンジン2はEGR(Exhaust Gas Recirculation)装置を備えている。吸気通路4における吸気マニホールド近傍には、EGR装置のEGR通路30の一端が接続されている。EGR通路30の他端は、排気通路6の排気マニホールドに接続されている。このEGR通路30を通して、排気ガス(既燃ガス)の一部を吸気通路4へ還流させること、つまり外部EGRを行うことができる。
EGR通路30は、その途中の分岐部で、EGR通路32とバイパス通路34とに分岐しており、EGR通路32とバイパス通路34とは下流側の合流部で、再びEGR通路30に合流している。EGR通路30の分岐部と合流部との間の部分であるEGR通路32には、上流から順に、EGRクーラ36と、逆止弁38とが設置されている。
バイパス通路34は、EGR通路32と並行に設けられたEGRガスの通路であり、EGRクーラ36より上流側の分岐部で、EGR通路30から分岐し、逆止弁38より下流側の合流部でEGR通路30に合流する。つまり、バイパス通路34は、EGRクーラ36と逆止弁38とをバイパスする通路である。バイパス通路34とEGR通路32との合流部には、EGRクーラバイパス弁(以下、単に「バイパス弁」と称する)40が設置されている。バイパス弁40は、バイパス通路34に流入するEGRガス量を調節するために用いられる。
バイパス通路34とEGR通路32との合流部よりも下流側のEGR通路30には、EGR弁42が設置されている。EGR弁42は、吸気通路に流入するEGRガス量を調節するために用いられる。
図2は、逆止弁38の構成の一例を模式的に示す図であり、(a)は開弁時の状態、(b)は閉弁時の状態をそれぞれ表している。図2に示されるように、逆止弁38は、弁体44と弁座部46とを有する。弁座部46にはEGRガスを通過させるための複数の孔48が形成されている。弁体44は弾性を有する板状の部材により形成されており、閉弁時には弁座部46の孔48を塞ぐように設置されている。
図2の(a)に示されるように、逆止弁38の入口側(即ち上流側)のEGR通路32内の圧力(以下「上流圧」とも称する)が、出口側(即ち、下流側)のEGR通路32内の圧力(以下「下流圧」とも称する)よりも大きい場合、EGRガスの流れは正流となる。このとき、弁体44が押されて孔48の一部が開かれ、孔48を介してEGRガスは逆止弁38の下流側に流入する。
一方、図2の(b)に示されるように、逆止弁38の上流圧が下流圧より小さい場合、弁体44が孔48を塞ぐ。これにより吸気側から排気側へのEGRガスの逆流が防止される。
この内燃機関システムは、制御装置を有している。エンジン2が有する各種のセンサ及びアクチュエータは、制御装置に電気的に接続されている。制御装置はECU(Electronic Control Unit)である。制御装置は、エンジン2のシステム全体の制御を行うものであり、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。ROMには、後述するバイパス弁40の制御ルーチンを含む各種制御ルーチンが記憶されている。制御装置は、各センサからの信号に基づいて各アクチュエータを操作することによってエンジン2を制御する。
図3は、本実施の形態において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図3のルーチンは一定の制御期間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図3のルーチンでは、まず、ステップS102において、エンジン回転速度、燃料噴射量、エンジン冷却水温等の、各種センサ値及びアクチュエータ指令値が取得される。
次に、ステップS104に進み、エンジン回転速度と燃料噴射量とをパラメータとするマップに従って、EGRクーラ36をバイパスするエンジン冷却水の基準温が算出される。
次に、ステップS106に進み、EGRクーラバイパス条件が成立するか否かが判別される。EGRクーラバイパス条件は、EGRクーラ36をバイパスさせることができる運転条件である。具体的にステップS106では、エンジン2の運転領域が予め設定された所定の低回転かつ低負荷の領域にあり、かつ、エンジン冷却水温がステップS104で算出された基準温域内である場合に、EGRクーラバイパス条件が成立すると判定される。なお、ここでの所定の低回転かつ低負荷の領域は、逆止弁38の上流圧が下流圧を上回ることがないと推定されるエンジン回転速度及び負荷に基づいて設定される。
ステップS106において、EGRクーラバイパス条件が成立すると判別された場合、ステップS108に進み、EGRクーラ36がバイパスされる。即ち、バイパス弁40の開弁によりバイパス通路34側が開かれ、EGRガスはバイパス通路34側を通過して吸気通路4に導入される。これによりEGRクーラ36と共に逆止弁38もバイパスされる。その後、今回の処理は終了する。
一方、ステップS106において、EGRクーラバイパス条件が成立しないと判別された場合、次に、ステップS110に進み、バイパス弁40によりバイパス通路34が閉じられる。これによりEGRガスはEGRクーラ36を通過して冷却された後、逆止弁38を通過して吸気通路4に導入される。その後、今回の処理は終了する。
図4〜図6を用いて、本実施の形態の内燃機関システムが奏する効果について説明する。図4には、順に、全負荷運転時のEGR率及びNOx量、WLTC(Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycles)燃費の試験結果が表されている。また、左側の列には従来構成1の場合、中央の列には従来構成2の場合の比較例が示されており、右側の列に本実施の形態の内燃機関システムの場合が示されている。なお、比較のため横並びに配置された各グラフには同一目盛りが付されている。ここで、従来構成1は、EGR通路に逆止弁を有さない構成の場合であり、従来構成2は、逆止弁が、EGR通路の吸気通路に近い側、即ち、バイパス通路がEGR通路に合流した合流部よりも下流側のEGR通路に設置されている構成の場合である。
逆止弁を有さない従来構成1の場合、EGRガスの逆流を防ぐことができないため、吸気マニホールド内圧力(以下「インマニ圧」)Pimが、排気圧P4よりも大きくなる場合EGRガスを導入することができない。つまり、従来構成1の場合、低回転全負荷のようにインマニ圧Pimの平均が排気圧P4の平均より大きくなるような領域では、EGRを実行できない。このため、図4に示されるように、従来構成2の場合や、本実施の形態の内燃機関システムの場合と比較すると、低回転全負荷の運転領域でのNOx排出量も多くなっている。
また、従来構成2の場合、平均インマニ圧Pimが平均排気圧P4より大きくなる領域でもEGR導入が可能となっているが、EGRガスは、逆流が発生しない低負荷・低回転領域でも、常に逆止弁を通過することになる。このため逆止弁が圧力損失となり、ポンプ損失(即ち、P4−Pim)が大きくなる。このため従来構成2の場合、WLTC燃費は従来構成1よりも悪化する場合がある。
これに対し、本実施の形態の内燃機関システムでは、逆止弁38を有することで、低回転全負荷運転時のEGRが可能となりNOx排出量が低減されている。更に、低負荷かつ低回転領域では、逆止弁38を通過しない構成となっているため、ポンプ損失が低減される。これにより、本実施の形態の内燃機関システムのWLTC燃費は、従来構成1に対しても従来構成2に対しても、改善するという結果が得られた。
また、本実施の形態の内燃機関システムの場合及び上記従来構成2のように逆止弁を有する構成の場合、インマニ圧Pimの平均が排気圧P4の平均を上回る運転領域でも、EGRを実行することができる。より具体的に、図5の逆止弁の上流圧と下流圧との差に示されるように、インマニ圧Pimの平均が排気圧P4の平均を上回る運転領域であっても、瞬時排気圧P4が瞬時インマニ圧Pimを上回るときがあり、この脈動によりEGRガスを吸気側に導入できる。この脈動によるEGR導入の効果は、脈動振幅が大きいほど、大きくなる。
図6には、順に、逆止弁の瞬時上流圧及び瞬時下流圧の変化、逆止弁を通過するEGRガスの瞬時流量の変化、過給機のVNの閉度、ディーゼルスロットルの閉度、瞬時排気圧P4及び瞬時吸気マニホールド内圧力Pimの変化が示されている、また、図6の左側の列には、従来構成2の場合、即ち、EGR通路の吸気通路に近い部分に逆止弁が設置されて場合が示され、右側の列には、本実施の形態の内燃機関システムの場合が示されている。また、比較のため横並びに配置された各グラフには同一目盛りが付されている。
上述したように、脈動によるEGRガス導入は、排気脈動の振幅が大きいほど効果的である。従って、逆止弁の設置位置は排気通路側に近いほうがよい。この点、図6からも、従来構成2の場合に比べて、EGR通路32に逆止弁が設置された本実施の形態の内燃機関システムのほうが、脈動振幅が大きくなっていることがわかる。これにより、本実施の形態の内燃機関システムでは、EGRガスの逆止弁の瞬時流量も、従来構成2に比べて多くなる。そして、EGR流量が多くなることで、ディーゼルスロットルを閉じなくてもEGRが入る。従って、ディーゼルスロットルの開度も従来構成2に比べて大きくなる。これにより、本実施の形態の内燃機関システムでは、従来構成2と比較してインマニ圧Pimが高くなり、ポンプ損失を小さく抑えられている。
なお、本実施の形態では、逆止弁38をEGR通路32のEGRクーラ36より下流に設置する場合について説明した。逆止弁38をEGRクーラ36の下流に設置することで、高温の排気ガスによる逆止弁38の溶解を防ぐことができる。しかし、逆止弁38の設置位置はこれに限られない。図7に、逆止弁38の他の設置位置の例を示す。図7に示されるように、逆止弁38は、EGR通路32のEGRクーラ36より上流側に設置してもよい。但し、設置される逆止弁の耐熱温度を考慮して、流入する排気ガスの温度に耐えうる逆止弁を設置する必要がある。図7のように逆止弁38をEGRクーラ36より上流側に設置することにより、より大きな脈動振幅を確保することができる。
なお、以上の説明において「上流」「下流」とは、各ガス通路内のガスの正流方向の流れにおける上流、下流を意味するものとする。つまり、EGR通路の上流、下流は、EGRガスの正流方向の流れにおける上流、下流を意味し、即ち、EGR通路のより排気系に近い側が上流側であり、吸気系への流入部に近い側が下流側である。
なお、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
2 エンジン
4 吸気通路
6 排気通路
10 過給機
12 タービン
14 コンプレッサ
16 可変ノズル
20 エアクリーナ
22 インタークーラ
24 スロットルバルブ
26 触媒
30 EGR通路
32 EGR通路
34 バイパス通路
36 EGRクーラ
38 逆止弁
40 バイパス弁(EGRクーラバイパス弁)
42 EGR弁
44 弁体
46 弁座部
48 孔

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路と吸気通路とに接続し、排気ガスの一部をEGRガスとして前記吸気通路に流入させるEGR通路と、
    前記EGR通路に設置され、EGRガスを冷却するためのEGRクーラと、
    前記EGR通路の、前記EGRクーラより上流側の部分である分岐部と、前記EGRクーラより下流側の部分である合流部とに接続し、前記EGRクーラをバイパスするバイパス通路と、
    前記バイパス通路へのEGRガスの流量を調節するためのEGRクーラバイパス弁と、
    前記分岐部と前記合流部との間の前記EGR通路に設置され、前記吸気通路側から前記排気通路側への前記EGRガスの逆流を防止する逆止弁と、
    前記EGRクーラバイパス弁の開閉を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記内燃機関の運転領域が、所定の低負荷かつ低回転の領域にある場合に、前記EGRクーラバイパス弁を制御して、EGRガスを前記バイパス通路に流入させるように構成されていることを特徴とする内燃機関システム。
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