JP6813990B2 - 海底鉱床の採鉱探査方法、並びに、海底鉱床採鉱探査基地、海底鉱床探査装置および蛍光x線分析装置 - Google Patents

海底鉱床の採鉱探査方法、並びに、海底鉱床採鉱探査基地、海底鉱床探査装置および蛍光x線分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、海底鉱床を探査する技術に関する。
近年、各種産業機器を製造する上で必要不可欠な金属であり存在量が少ない有用金属の価格が高騰している。有用金属は産業上必要不可欠なものであるが、可採量が少ないだけでなく、産出国が限られているため地政学的リスクが存在している。そこで、海底鉱物の中でも、海底下に存在する有用金属含有鉱物が注目されている。
海底鉱床には、現在地上で採掘されている鉱物と比較して、高濃度で有用金属が存在していることが各種調査で明らかにされている。そこで、近年、様々な機関で海底鉱床の試掘調査が行なわれ、また、海底鉱床の探査方法や探査装置についても種々提案されている。例えば、学術的探査では、海上の探査船から掘削機を垂下して竪穴でコアを掘り出し、掘り出したコアを地上で詳細に分析することが従来から行われている。
しかし、このような探査方法は用船費が甚大であり、また、掘り出したコアを地上で分析するため、海底の探査範囲を連続して広範囲を探査することが難しい。そのため、採算面をも考慮した産業的探査として採用するには難点がある。
ここで、連続して広範囲を探査し得る探査方法として、電磁波探査方法が知られている(例えば非特許文献1参照)。非特許文献1記載の電磁波探査方法では、深海潜水船と支援母船とにより海底鉱床の電磁波探査を行うことで、連続して広範囲を探査できる。
海底資源探査に向けた磁気探査装置の開発 東海大学紀要海洋学部「海−自然と文化」 第8巻第2号23−40頁(2010)
しかしながら、非特許文献1記載の電磁波探査方法は、鉱床の周縁部分の概略の境界は判るものの、有用金属の存在量の正確な分析や、鉱床の厚みを正確に判断する上で不十分である。また、複雑な地形や磁気異常のあるような海底熱水鉱床では必ずしも所望の探査が行えないおそれがある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、海底鉱床の産業的探査に好適な、海底で広範囲を連続して効率良く探査し得る海底鉱床の採鉱探査方法、並びに、海底鉱床採鉱探査基地、海底鉱床探査装置および蛍光X線分析装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る海底鉱床の採鉱探査方法は、海底鉱床から鉱物を揚鉱する揚鉱モードと、前記海底鉱床の鉱物に含有される有用金属の品位を海中で分析する分析モードと、を選択してまたは同時に実行可能な機器を用いた海底鉱床の採鉱探査方法であって、前記揚鉱モードは、海底にさく孔により有底穴を形成することで鉱物を採掘する採掘工程と、該採掘工程で採掘された鉱物を海中でスラリーにするスラリー生成工程と、該スラリー生成工程で生成されたスラリーを揚鉱する揚鉱工程と、を含み、前記分析モードは、前記スラリー生成工程で生成されたスラリーを海中で検査筒に回収する回収工程と、前記検査筒内のスラリーを海中で分析する分析工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る海底鉱床の採鉱探査方法によれば、試料の分析時には、海底にさく孔により有底穴を形成し、採掘された試料を海中でスラリーとし、そのスラリー化された海底鉱物を海中で検査筒に回収し、その検査筒内のスラリーを海中で分析できる。そのため、一連の工程全てを海中で連続して行えるので、試料の分析時に揚鉱が不要であり、海底で広範囲を連続して効率良く探査できる。また、探査を行いつつ、または探査を行わないで、スラリー状の海底鉱物を揚鉱することができる。
なお、本発明において、「海中」とは、海水との接触状態を問わず「海のなか」の意である。例えば、仮に有底穴内に海水が無い場合であっても、有底穴の内部は、「海中」にあたる。分析工程で用いる分析装置等について同様である。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る海底鉱床採鉱探査基地は、本発明の一態様に係る海底鉱床の採鉱探査方法に用いられる前記機器であって、海中に配置されて且つ海底に立設されるとともにX方向およびY方向の少なくとも一方に自走可能なプラットフォームと、該プラットフォームに装備されて海底に有底穴を形成しつつその有底穴内から採掘された鉱物を海中でスラリーにして吸込管を介して揚鉱管に移送可能に構成されるとともに、前記吸込管から分岐する分岐管から前記スラリーを検査筒に回収可能に構成される採掘装置と、前記検査筒を含み該検査筒内のスラリーを海中で分析する分析装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る海底鉱床採鉱探査基地によれば、採掘装置は、採掘された海底鉱物の試料をスラリーにして海中で検査筒に回収し、分析装置は、検査筒内のスラリーを海中で分析するため、試料となるスラリーの分析時に揚鉱が不要である。
そして、採掘装置は、プラットフォームに装備され、プラットフォームは、海中に配置されて且つ海底に立設されるとともにX方向およびY方向の少なくとも一方に自走可能なので、海底で広範囲を連続して効率良く探査できる。また、探査を行いつつ、または探査を行わないで、スラリー状の海底鉱物を揚鉱することができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る海底鉱床採鉱探査装置は、本発明の一態様に係る海底鉱床の採鉱探査方法に用いられる前記機器であって、海底にさく孔により有底穴を形成することで試料を採掘する採掘部と、該採掘部で採掘された試料を海中でスラリーにするスラリー生成部と、該スラリー生成部で生成されたスラリーを吸込管を介して揚鉱管に移送可能に構成されるとともに、前記吸込管から分岐する分岐管から前記スラリーを海中で検査筒に回収するスラリー回収部と、前記検査筒内のスラリーを海中で分析する分析部と、を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る海底鉱床採鉱探査装置によれば、採掘部は、海底にさく孔により有底穴を形成することで試料を採掘し、スラリー生成部は、採掘部で採掘された試料を海中でスラリーにし、スラリー回収部は、スラリー生成部で生成されたスラリーを海中で検査筒に回収し、分析部は、検査筒内のスラリーを海中で分析できる。よって、この海底鉱物分析装置によれば、一連の探査ステップを海中で行えるので、試料となるスラリーの分析時の揚鉱が不要であり、海底で広範囲を連続して効率良く探査できる。さらに、スラリー回収部は、スラリー生成部で生成されたスラリーを吸込管を介して揚鉱管に移送可能に構成されるので、探査を行いつつ、または探査を行わないで、スラリー状の海底鉱物を揚鉱することができる。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る蛍光X線分析装置は、本発明の一態様に係る海底鉱床の採鉱探査方法における前記分析工程で用いられる蛍光X線分析装置であって、海底から採掘された試料を海中で収容可能に設けられて自身周面に窓穴が形成された円管状の検査筒と、X線を透過可能な窓部が前記窓穴に臨むように前記検査筒の周面に付設される圧力容器と、該圧力容器内に設けられて前記窓部に対向配置されて前記窓部を介して前記試料に一次X線を照射する照射部と、前記圧力容器内に設けられて前記試料から発生する蛍光X線を前記窓部を介して検出する検出部と、該検出部での蛍光X線の検出結果に基づいた元素分析を行う元素分析部と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る蛍光X線分析装置によれば、円管状の検査筒は、海底から採掘された試料を海中で収容可能であり、検査筒の周面には窓穴が形成され、その窓穴にX線を透過可能な窓部が臨むように検査筒の周面に圧力容器が付設されている。そして、その圧力容器内には、窓部を介して試料に一次X線を照射する照射部と、試料から発生する蛍光X線を、窓部を介して検出する検出部とが設けられ、さらに、元素分析部は、検出部での蛍光X線の検出結果に基づいた元素分析を行うことができる。よって、この蛍光X線分析装置によれば、一連の分析作業を海中で行えるので、試料の分析時に揚鉱が不要であり、海底で広範囲を連続して効率良く探査する際の分析装置として優れている。なお、本発明の一態様に係る蛍光X線分析装置において、元素分析部の存する場所は、海中に限定されず、例えば、検出部の検出情報を、信号線を介して海上基地の元素分析部に送信してもよい。
ここで、本発明の一態様に係る蛍光X線分析装置において、前記窓部は、前記照射部からのX線および前記試料に照射して得られる蛍光X線を透過させるアクリル製の探査用ドームであり、耐圧構造として凸の半球状に検査筒側に張り出していることは好ましい。
上述のように、本発明によれば、海底で広範囲を連続して効率良く探査できる。
本発明の一実施形態に係る採鉱探査システムの全体構成を説明する模式図である。 図1の採鉱探査システムの採掘探査基地の模式的説明図であり、同図(a)は海底鉱床全体の平面視、(b)は一の採掘探査基地の正面視(但し、海底鉱床の部分は断面のイメージ(以下正面視にて同様))をそれぞれ模式的に示している。 図2の採掘探査基地の一実施形態を説明する模式的斜視図である。 採掘探査基地に装備される採掘探査装置を説明する模式的正面図である。 図4の採掘探査装置の採掘装置本体の説明図(ハンマ前進状態)であり、同図では軸線を含む縦断面を示している。 図4の採掘探査装置の採掘装置本体の説明図(ハンマ後退状態)であり、同図では軸線を含む縦断面を示している。 図4の採掘探査装置に装備された蛍光X線分析装置の要部説明図であり、同図(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。 図1の採鉱探査システムによる海底鉱床の採掘・探査方法の説明図であり、同図(a)は一の採掘探査基地の正面視、(b)は海底鉱床の所定領域の平面視をそれぞれ模式的に示している。 本発明の一態様に係る採掘装置本体の変形例の縦断面図である。 本発明の一態様に係る採掘探査基地のプラットフォームの第一変形例の模式的平面図((a)〜(c))である。 本発明の一態様に係る採掘探査基地のプラットフォームの第二変形例の模式的斜視図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
まず、本実施形態の採鉱探査システムの全体構成について説明する。
この採鉱探査システムは、海底鉱床の探査および採掘が可能なシステムであって、図1に示すように、海上基地として海上SLに配置される母船1と、海底SBに配置される採鉱探査基地20および揚鉱ユニット4とを有する。なお、海中での探査を限って行い、揚鉱を行わない場合には、揚鉱ユニット4とこれに関連する揚鉱設備を不要とすることができる。
この採鉱探査システムでは、一または複数の採鉱探査基地20を用いる。同図では複数の採鉱探査基地20を用いている。各採鉱探査基地20には、一または複数の採掘探査装置30が装備される。同図では、各採鉱探査基地20に二機の採掘探査装置30が装備されている。
各採掘探査装置30は、海底SBないし海底鉱床ODに、さく孔により有底穴である竪穴VHを形成可能に構成されている。また、各採掘探査装置30は、海底鉱物を竪穴VH内でスラリー状にして採掘可能に構成されている。そして、この採鉱探査システムでは、各採掘探査装置30は、採掘されたスラリー状の海底鉱物を、海中で検査筒に回収するとともに、検査筒内のスラリーを、蛍光X線分析器を用いて海中で分析可能に構成されている。
また、この採鉱探査システムでは、採掘されたスラリー状の海底鉱物を海上に揚鉱することも可能であり、海上に揚鉱する場合には、採掘されたスラリー状の海底鉱物を、吸込管5を介して海中の揚鉱ユニット4に移送し、揚鉱ユニット4は、揚鉱管6を介して母船1に揚鉱可能に構成されている。
詳しくは、本実施形態の例では、母船1、架設配置用母船2および運搬船3が目的とする海域の海上SLに停泊される。架設配置用母船2は、揚鉱ユニット4および採鉱探査基地20を運搬するとともに、これらを海底SBに架設配置するための架設配置用の母船である。母船1は、架設配置用母船2よりも小型の船舶なので、架設配置用母船2に比べて用船費が安価である。
架設配置用母船2には、揚鉱ユニット4および採鉱探査基地20を、海底SBに架設配置するためのクレーン等の作業機11が装備されている。架設配置用母船2は、海底鉱床ODの所期の探査位置ないし採掘位置まで採鉱探査基地20を搬送し、作業機11のワイヤ11wで採鉱探査基地20を垂下して海底SBに立設する。また、同様にして、揚鉱を行う場合には、架設配置用母船2は、海底SBの適切な位置に揚鉱ユニット4を配置する。
母船1には、発電機12および貯蔵器13、並びに不図示の制御用コンピュータが搭載されている。制御用コンピュータは、後述する、揚鉱モード、探査モード、および探査・揚鉱モードのプログラムを実行可能に構成されている。貯蔵器13は換装可能に船上に載置されている。制御用コンピュータおよび発電機12は、アンビリカルケーブル8を介して海底SBに配置された採鉱探査基地20および揚鉱ユニット4に接続され、採鉱探査基地20および採掘探査装置30、並びに揚鉱ユニット4の作動に必要な電力や制御信号を供給可能になっている。
揚鉱ユニット4は、揚鉱用ポンプ25と、サイクロン装置を有する分級器27とを備える。分級器27は、その吐出側が、揚鉱ユニット4の内部で揚鉱用ポンプ25の吸い込み側に接続される。分級器27の吸入側は、吸込管5を介して採鉱探査基地20と接続される。吸込管5内には海水が満たされる。分級器27には、排出管7の一端が接続され、排出管7の他端が、分級で不要とされた鉱物の戻し置き場まで配管される。なお、吸込管5、揚鉱管6および排出管7にはフレキシブル管を用いている。
揚鉱用ポンプ25は、上記揚鉱管6を介して母船1と接続される。揚鉱管6は、採鉱探査基地20で採掘したスラリー状の鉱物を母船1まで揚鉱するためのフレキシブル性を有する円筒状管路である。揚鉱管6内には海水が満たされる。揚鉱管6の上部は、海上SLの母船1まで到達し、母船1の船底を介して貯蔵器13に接続される。貯蔵器13は、揚鉱管6から揚鉱用ポンプ25で揚鉱されたスラリー状の鉱物を貯蔵する。運搬船3は、貯蔵器13を母船1と換装して、母船1に揚鉱された海底鉱物を必要な場所に移送する。
次に、上記採鉱探査基地20について詳しく説明する。
図2に示すように、採鉱探査基地20は、平面視が、矩形枠体状のベースフレーム21を有する。ベースフレーム21は、枠体の四隅が複数(この例では4脚)の支持脚26で支持されている。各支持脚26は、ジャッキ機構49を介してベースフレーム21に固定されている。ジャッキ機構49は、不図示のモータ、減速機構およびラック・ピニオン機構を有する。ラックは支持脚26の軸方向に沿って形成されている。ジャッキ機構49は、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、支持脚26を上下方向(Z方向)にスライド移動可能に且つその移動位置の保持が可能になっている。
本実施形態の例では、ベースフレーム21には、図3に示すように、X方向に沿って二つの移動フレーム43が張り渡されている。移動フレーム43は、例えばトラス構造を有する。各移動フレーム43の両端は、Y方向用移動機構44を介してベースフレーム21にそれぞれ支持される。Y方向用移動機構44は、不図示のモータ、減速機構およびラック・ピニオン機構を有し、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、移動フレーム43をベースフレーム21沿ってY方向にスライド移動可能になっている。なお、本実施形態は、探査に限らず、探査とともに採鉱をも可能とする例なので、移動フレーム43を備える例を示したが、これに限定されず、探査専用とする場合には、移動フレーム43を設けずに、スライド移動しないフレーム固定構造とすることが好ましい。
各移動フレーム43には、ガイドシェル48が縦に配置されている。ガイドシェル48は、採掘探査装置30のZ方向の送り機構を構成する。ガイドシェル48は、X方向用移動機構52を介して移動フレーム43に支持されている。X方向用移動機構52は、不図示のモータ、減速機構およびラック・ピニオン機構を有し、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、ガイドシェル48を移動フレーム43沿ってX方向にスライド移動可能になっている。
さらに、ベースフレーム21には、動力ユニット45および吸込チャンバ51が設けられている。動力ユニット45には、上記アンビリカルケーブル8が接続されている。動力ユニット45には、採鉱探査基地20および採掘探査装置30を駆動するために、以下不図示の、高圧水供給ポンプと、高圧水供給ポンプを駆動するモータと、採鉱探査基地20全体の作動を制御する制御部とが内蔵されている。
これにより、各採鉱探査基地20は、母船1からアンビリカルケーブル8を介して必要な電力や制御信号の供給を動力ユニット45に受ける。動力ユニット45は、母船1側の制御用コンピュータの指令に基づいて、ジャッキ機構49の駆動により、採鉱探査基地20の姿勢を制御する。
さらに、X方向用移動機構52およびY方向用移動機構44の駆動により、ガイドシェル48をX方向およびY方向に移動するとともに、高圧水供給ポンプの駆動により、取水した海水を高圧水として採掘探査装置30に供給し、ガイドシェル48に設けられた採掘探査装置30を駆動可能になっている。
次に、採鉱探査基地20に装備された採掘探査装置30について詳しく説明する。
図4に示すように、ガイドシェル48には、スライダ46を介して採掘探査装置30が装備されている。ガイドシェル48の上部には、ガイドシェル48に沿ってスライダ46をZ方向にスライド移動させるスライド移動機構47が設けられている。スライド移動機構47は、不図示のモータ、減速機構およびラック・ピニオン機構を有し、モータで減速機構を介してラック・ピニオン機構を駆動することにより、ガイドシェル48に沿ってスライダ46をZ方向にスライド移動可能になっている。
採掘探査装置30は、スライダ46に装着されるハウジング部71を有する。ハウジング部71には、不図示の回転駆動機構およびスイベルが内蔵されている。ハウジング部71は、ハウジング部71の上部が、高圧水供給管9を介して上記動力ユニット45の高圧水供給ポンプに接続される。また、ハウジング部71の側面には、この採掘探査装置30の駆動により採掘されたスラリー状の鉱物を吸入するための吸込管5の一端が接続される。吸込管5の他端は、上下に分岐しており、上方に延びる本管5は、上記吸込チャンバ51を介して分級器27に接続される。一方、本管5から分岐して、採掘探査装置30に沿って下方に延びる分岐管5jには、蛍光X線分析装置60が接続されている。
次に、上記採掘探査装置30の採掘装置本体の構成についてより詳しく説明する。
図5に採掘装置本体の部分を拡大して示すように、この採掘探査装置30は、二重管ロッド40よりも前方の部分に採掘装置本体10が装備される。採掘装置本体10は、円筒状のシリンダ31を備える。シリンダ31の内周面には、略円筒状のシリンダライナ33が嵌め込まれている。シリンダ31とシリンダライナ33との間には、シリンダ31の軸方向に沿って通水孔32が形成されている。
シリンダライナ33内には、略円筒状のハンマ34が往復摺動可能に保持されている。シリンダ31の後端は、連結部材35を介して、採掘探査装置30の二重管ロッド40に連結されている。二重管ロッド40は、外筒40aと内筒40bとを同軸に有する二重管から構成されている。外筒40aと内筒40bとの相互の隙間には給水路40cが形成されている。給水路40cの上流側は、上記ハウジング部71のスイベルを介して高圧水供給管9に接続される。高圧水供給管9は、採鉱探査基地20の動力ユニット45に設けられた高圧水供給ポンプの吐出側に接続される。給水路40cの下流側は、連結部材35の内部の給水路35cに連通している。
シリンダ31の後端側には、連結部材35の前端面との間にシリンダブシュ36が挿入されている。シリンダブシュ36の前側には、シリンダ後室42を形成するためのリング39が挿入されている。これにより、リング39とハンマ34の後方部分との間にシリンダ後室42が画成されている。シリンダブシュ36には、給水路35cに連通する連通孔36cが軸方向に沿って設けられている。
シリンダ31の前端には、打撃用の破砕工具であるビット50が装着される。ビット50の後端とハンマ34の前方部分との間にシリンダ前室41が画成される。ビット50は、シリンダ前室41の前側面を塞ぐとともに、ハンマ34からの打撃力を自身後端が受けて、軸方向で所定ストロークの往復摺動が可能に装着されている。ハンマ34の外周面には、複数の制御溝34a、34cおよび連通流路34bが形成されている。
シリンダ31内には、シリンダブシュ36の前側とリング39との間に第一入水孔31bが形成されている。第一入水孔31bは、シリンダブシュ36の連通孔36cとシリンダライナ33の後端部の連通孔33eとを連通させている。シリンダライナ33の連通孔33eは、上記通水孔32に連通している。
通水孔32は、ハンマ34の軸方向での位置に応じて、シリンダライナ33の複数の連通孔33a〜33dに対し、ハンマ34の制御溝34a、34cを所期の位置で連通させることで、ハンマ34をシリンダ31内で前後進させるようにシリンダ前室41またはシリンダ後室42に高圧水を給排するハンマ往復動切換機構を構成している。
更に、シリンダ31内には、円筒状のスリーブ38がシリンダ31と同軸に設けられている。スリーブ38は、内部に吸入孔38tが軸方向に沿って貫通形成されている。スリーブ38は、その後部に形成された段部が、シリンダブシュ36とリング39とに挿入されて軸方向の位置が保持されている。スリーブ38の吸入孔38tの後端は、連結部材35の吸入孔35tを介して、二重管ロッド40の内筒40bの吸入孔40t前端に連通している。
スリーブ38の中間部分は、ハンマ34内部に貫通形成された連通孔34dに隙間を隔てて貫挿されるとともに、スリーブ38の前端部分が、ビット50内部に貫通形成された連通孔50dに隙間を隔てて挿入されている。スリーブ38は、ハンマ34およびビット50に挿入されている径方向での間隙部が、シリンダ前室41およびシリンダ後室42からの排水用通路38aになっている。
スリーブ38には、排水用通路38aの先端側の位置に吐出孔38gが穿孔されている。吐出孔38gは、スリーブ38の外周から中心の吸入孔38tに向けて且つ二重管ロッド40の方向に向けて後方側に傾斜している。スリーブ38の吸入孔38tには、吐出孔38gの出口に、シリンダ前室41への土砂等の侵入を防ぐ為の可撓性のチェックバルブ37が取り付けられている。
ビット50の前端には、スリーブ38中心の吸入孔38tに連通する吸水孔50kが開口している。これにより、採掘探査装置30は、吐出孔38gから吸入孔38tに向けて後方側に吐出される高圧水の流速により、吸水孔50kに負圧を生じさせ、吸水孔50kから吸引した海底鉱物が、吸入孔38t内で海水と混合されるようになっている。
したがって、この採掘探査装置30によれば、さく孔により破砕された海底鉱物を排水流によって採掘探査装置30の内部に吸引し、吸入孔38tの内部で海水と混合してスラリーを生成することができる。また、この採掘探査装置30によれば、二重管ロッド40の内筒40bの吸入孔40tから、生成されたスラリーを回収することができる。
また、揚鉱用ポンプ25は、二重管ロッド40の内筒40bの上端に吸込管5を介して接続され、ビット50の吸水孔50kからさく孔により破砕された海底鉱物を吸引し、海上の母船1に揚鉱可能である。さらに、この採掘探査装置30によれば、吸込管5から分岐する分岐管5jに接続された蛍光X線分析装置60により、後述するように、海底SBで広範囲を連続して効率良く探査可能である。
次に、上記蛍光X線分析装置60の構成について説明する。この蛍光X線分析装置60は、海底鉱床ODから採掘された試料であるスラリー状の鉱物を、蛍光X線分析器61を用いて海中で分析する分析部であり、また、分析装置である。
詳しくは、蛍光X線分析装置60は、図4に示すように、分岐管5jに自身上部が接続される円管状の検査筒65と、検査筒65の周面に装着された圧力容器66と、圧力容器66内に収容された蛍光X線分析器61とを備える。検査筒65は、分岐管5jの下端に設けられたフランジ部5fで分岐管5jと相互に着脱可能に多数のボルト・ナットにより接続されている。検査筒65の下部開口65pには、液圧駆動式のシリンダ72によって開閉可能な開閉蓋73が装備されている。
開閉蓋73は、シリンダ72の伸縮に応じて自身基端部のヒンジまわりに回動され、下部開口65pを閉じた閉じ位置Tと、下部開口65pを開いた開き位置Hとに位置可能になっている。ここで、開閉蓋73は、スラリー状の鉱物の平均粒径を考慮したメッシュ構造を有し、閉じ位置Tでは、スラリー状の鉱物を検査筒65内に保持しつつ、余分な海水を、メッシュ構造を通して下部開口65pから排出可能になっている。
さらに、吸込管5の途中部分には、以下不図示の、管路の内圧を検出する圧力検出器と、吸込管5の流路を開閉する開閉弁とが設けられ、これらは、上記シリンダ72とともに、上記制御用コンピュータの制御部を含む流路管理手段として機能する。つまり、揚鉱モードのとき、制御部は、圧力検出器の検出圧にかかわらず、開閉弁を常に開いて吸込管5から吸込チャンバ51に至る揚鉱流路を確保する揚鉱流路確保処理を行う。
これに対し、探査モードのとき、制御部は、シリンダ72の駆動により開閉蓋73を閉じ位置Tにするとともに、吸込管5の内圧が所定以内であれば開閉弁を閉じる一方、所定を超えたときには開閉弁を開くことで、吸込管5から吸込チャンバ51へのスラリー状の鉱物の吸い込み状態を管理する探査流路管理処理を行う。これにより、上記制御用コンピュータからの指令が探査モードのときは、採掘装置本体10により海底鉱床ODから採掘された試料であるスラリー状の鉱物は、吸込管5の分岐管5jから蛍光X線分析装置60の検査筒65の内部に海中で収容可能になっている。
圧力容器66は、海底2000mでの水圧に耐えられるものであり、検査筒65の軸方向略中央の周面に、検査筒65の軸線と直交方向から付設される。圧力容器66は、図7に拡大図示するように、自身軸方向の中央に設けられた円筒状の胴部68と、胴部68の先端側に装着された凸の半球状の探査用ドーム67と、胴部68の後端側に装着された凸の半球状の後部ドーム69とを有する。
探査用ドーム67と胴部68との合せ面、および後部ドーム69と胴部68との合せ面には、それぞれ円環状のフランジが各部材それぞれに設けられ、対向するフランジ相互は、多数のボルト・ナットによって締結されている。また、圧力容器66全体は、検査筒65の外周面に対して二本の固縛ワイヤによって固縛されて固定されている。
ここで、本実施形態では、圧力容器66の探査用ドーム67が、上記「課題を解決する手段」に記載の「窓部」を兼ねている。つまり、この探査用ドーム67は、照射部からのX線および試料に照射して得られる蛍光X線を透過させるアクリル製である。そして、探査用ドーム67は、耐圧構造として凸の半球状をなすところ、検査筒65の周面には、円形の窓穴65hが形成され、探査用ドーム67は、窓穴65hに臨むように検査筒65の周面に付設され、窓穴65hから検査筒65側に凸の半球状に張り出して窓部を構成している。
圧力容器66の内部には、蛍光X線分析器61が装備されている。蛍光X線分析器61は、照射部62、検出部63および元素分析部64を有する。照射部62は、探査用ドーム67の凸部に対向配置され、探査用ドーム67を介して検査筒65内の、探査用ドーム67との対向位置65nに存するスラリーに一次X線を照射可能になっている。また、検出部63は、照射部62に隣接して探査用ドーム67に対向配置され、一次X線の照射によって検査筒65内のスラリーから発生する蛍光X線を探査用ドーム67を介して検出可能になっている。
元素分析部64は、検出部63での蛍光X線の検出結果に基づいた元素分析が可能に構成されている。元素分析部64からは、ケーブル64sが、圧力容器66の後部ドーム69の中央から外部に導出され、導出されたケーブル64sが、アンビリカルケーブル8を介して上記母船1との間で必要な電力の供給および分析結果の情報を出力可能なように母船1の制御用コンピュータに接続されている。
なお、周知の蛍光X線分析器は、試料を構成する元素(原子)に一次X線を当て、これにより、試料中に存する元素からその元素固有のエネルギーを持つ蛍光X線を発生させる。そして、この発生した蛍光X線(特性X線)を分光して得られたスペクトルから、試料中に含まれる元素とその量に係る情報を分析する装置であるところ、本実施形態の蛍光X線分析器61もこれと同様の原理に基づくものである。ここで、本実施形態の蛍光X線分析器61で分析したい海底鉱床のスラリー中の金属は、主に、金、銀、銅といった重金属なので、探査用ドーム67の窓部を構成するアクリル板に蛍光X線を透過させても所期の分析が可能である。
次に、上述した採鉱探査システムによる海底SBの探査手順、および、海底鉱床ODから鉱物を揚鉱する手順について説明するとともに、上述した採鉱探査システム、採鉱探査基地20、採掘探査装置30および蛍光X線分析装置60の作用・効果、並びに、これら設備を用いる海底鉱物の探査・採掘方法の作用・効果について説明する。
まず、上述の採鉱探査システムにより海底SBの探査・採掘を行う際は、図1に示したように、母船1、および架設配置用母船2を目的とする海域の海上SLに停泊する。次いで、架設配置用母船2に設置されているクレーン等の作業機11を用い、採鉱探査基地20および揚鉱ユニット4を海中に降ろし、これらの機材が図1に示す配置となるように海底SBの適切な位置に設置する。これらの機材の設置前または設置後に、必要に応じ、吸込管5、揚鉱管6および排出管7、並びにアンビリカルケーブル8等の必要な配管および配線を行い、各配管内には海水を満たす。
機材の設置後、母船1からアンビリカルケーブル8を介して動力ユニット45および揚鉱ユニット4に必要な電力や制御信号を供給し、採鉱探査基地20および採掘探査装置30並びに揚鉱ユニット4を必要に応じ駆動して海底鉱床ODに有底穴である竪穴VHをさく孔しつつ海底鉱物を粉砕する。なお、本実施形態において、採鉱探査基地20を海底鉱床ODに配置する際は、海底SBの凹凸形状に応じ、ベースフレーム21の姿勢が水平になるように、ベースフレーム21四隅の支持脚26をジャッキ機構49により上下にスライド移動させておく。
ここで、採鉱探査基地20のベースフレーム21に設けられた高圧水供給ポンプから供給される高圧水は、図5において、採掘探査装置30の二重管ロッド40の内筒40bと外筒40aの間の給水路40cを通って、連結部材35の給水路35cから第一入水孔31bから連通孔33eを経て通水孔32に入る。
通水孔32に入った高圧水は、ハンマ往復動切換機構に導入される。ハンマ往復動切換機構において、ハンマ前進状態での高圧水は、シリンダライナ33の連通孔33b〜制御溝34a〜連通孔33c〜32L〜33dの順に通り、ハンマ34前端のシリンダ前室41に入る。このとき、制御溝34cは連通孔33aとハンマ34の外周面で遮断されている。これにより、ハンマ34は後退(図5において上方に移動)する。
ハンマ34の後退により、ハンマ34後方のシリンダ後室42内の海水は、排水用通路38aを通り、吐出孔38gからチェックバルブ37を経て吸入孔38tに向けて吐出される。次いで、ハンマ34が、図6に示すように、後退限に達すると、シリンダライナ33に形成された通水孔33bがハンマ34の外周面で遮断される。
一方、通水孔33aは、ハンマ34の外周面に形成されている制御溝34cと連通する。そのため、シリンダ31の通水孔32からの高圧水は、ハンマ34後側のシリンダ後室42に流入する。この高圧水のシリンダ後室42への流入により、ハンマ34は後退から前進に転じ、所期の打撃位置でビット50の後端面を打撃する。打撃されたビット50は、先端のチップ50bがさく孔面に衝撃力を加えて海底鉱物を破砕する。
高圧水供給ポンプから採掘探査装置30に高圧水が供給され続けることにより、ハンマ34は、上述の往復移動によりビット50の後端面への打撃を繰り返す。そして、ビット50でのさく孔面への打撃とともに、ガイドシェル48に設けられた送り機構47による採掘探査装置30の給進駆動がなされるとともに、ハウジング部71の回転機構による採掘探査装置30の回転駆動がなされる。
そのため、この採掘探査装置30によれば、海底鉱床ODにさく孔により竪穴VHを形成しつつ海底鉱物の採掘を継続することができる。そして、この採掘探査装置30によれば、竪穴VH内に自身の採掘装置本体10が存在しているので、竪穴VHの開口側を塞いだ状態のままさく孔を進めることができる。したがって、海底鉱物の破砕粉が海中に流出することが防止または抑制される。そのため、海水の懸濁が防止または抑制される(採掘部、採掘工程に対応)。
そして、この採掘探査装置30によれば、ビット50の前端には、スリーブ38の吸入孔38tに連通する吸水孔50kが開口しており、吸入孔38tは、二重管ロッド40の方向に向けて傾斜した吐出孔38gに沿って開放されているので、吸入孔38tを通る高圧水の流速により、吸水孔50kに負圧が生じる。これにより、ビット50の吸水孔50kから、さく孔により破砕した海底鉱物が吸引されるとともに、吸引した海底鉱物を吸入孔38t内で海水と混合することができる。
ここで、衝撃力によるさく孔であると、さく孔により生じる破砕された海底鉱物は、その粒子径が非常に細かくて粒度が均一になる。そのため、この採掘探査装置30によれば、さく孔により生じる破砕された海底鉱物を排水流の作用によって吸引し、採掘探査装置30の吸入孔38t内部で海水と混合したスラリーとすることができる(スラリー生成部、スラリー生成工程に対応)。
ここで、探査を行う上では必ずしもスラリー化する必要はなく、むしろ含水量が少ない方が分析の上では好ましい。但し、本実施形態の蛍光X線分析装置60のように、圧力容器66が半球状の探査用ドーム67を有する構成の場合、蛍光X線分析器61の照射部62/検出部63から試料までの距離が近い方が好ましく、耐圧構造のドーム型に試料を偏りなく載置すると言う意味では粒状が好ましい。また、試料が粒状であることも、本実施形態の採掘探査装置30の破砕方式から得られたもので、これに限定するものではなく、通常の資源探査同様に、コアドリルを用いて試料を得ることもできる。但し、サンプリングのスピードは、本実施形態の採掘探査装置30の方がコアドリルに比べて格段に速いといえる。
さらに、この採掘探査装置30によれば、スリーブ38の吸入孔38tは、二重管ロッド40の内筒40bの吸入孔40tを経て吸込管5に直接導入され、揚鉱ユニット4は、採掘探査装置30で採掘されたスラリー状の鉱物を海水と共に吸込管5から吸入できる。よって、スラリー状の海底鉱物が海水中に舞い上がって飛散してしまうことを防止または抑制できる。よって、海水の懸濁を防止または抑制する上で優れている。
ここで、海底鉱床ODの探査を行う場合、オペレータは、母船1の制御用コンピュータに探査モードのプログラムを実行させる。これにより、制御用コンピュータは探査モードの実行指令を、アンビリカルケーブル8を介して採鉱探査基地20を含む必要な機器に送信する。探査モードが実行されると、制御用コンピュータは、上記探査流路管理処理のもと、上記流路管理手段により吸込管5の連通状態を管理し、これにより、海底鉱床ODから採掘されて吸込管5に吸入したスラリー状の鉱物は、分岐管5jから蛍光X線分析装置60の検査筒65に導入されて、試料として検査筒65に回収される(スラリー回収部、回収工程に対応)。
検査筒65へのスラリーの回収量は、例えば上記流路管理手段の圧力検出器の検出圧力や、採掘探査装置30の給進量、給進時間等の管理パラメータに基づき管理できる。そして、蛍光X線分析装置60の検査筒65内に収容されたスラリーは、上記蛍光X線分析器61を用いて海中で分析される(分析部、分析工程に対応)。分析結果は、分析部64からケーブル64s、およびアンビリカルケーブル8を介して母船1の制御用コンピュータに送られる。これにより、海底鉱床から随時に採掘された試料を海中で分析できる。
蛍光X線分析装置60による採掘試料の分析は、探査目的に応じて、所定の探査深度毎に行われる。例えば、50cmを所定の探査深度とした場合、上記流路管理手段は、採掘探査装置30の給進量に基づいて、給進量が50cm毎にシリンダ72の開閉駆動を行い、開閉蓋73を開いて検査筒65内の分析済みのスラリーを排出し、分析済みのスラリーが排出された後に開閉蓋73を閉じ、上述した採掘工程〜スラリー生成工程〜回収工程〜分析工程を繰り返し行う。これにより、探査深度50cm毎の平均的な分析結果を得ることができる。
なお、本実施形態の蛍光X線分析装置60の場合、分析精度や分析する元素にもよるものの、一回の分析時間に2分程度の時間を要する。そのため、本実施形態では、採掘探査装置30が50cmを掘削したら、「採掘探査装置30を停止→蛍光X線分析装置60によるX線分析→試料排出→再び50cm掘削」といった間欠掘削が行われる。その際、鉱床を突き抜けて単なる堆積土をドリルする事もあり、この場合、堆積土を確認することで鉱床厚さ(境界深さ)がわかる。ここで、鉱床厚さの判断は、蛍光X線分析装置60による分析結果の他、鉱床(硬い)からその下の堆積土(軟らかい)へ掘削するときの応答(音、振動、回転油圧等)の変化を検出することによってより詳細に分析することができる。
資源探査は「資源量×品位」で価値が計れるので、鉱床厚さ(境界深さ)を迅速に知ることは商用探査として重要な要件である。さらに、予定した調査位置を掘っても所期の鉱物が出なければ、その場所の掘削を中止し、速やかに他の調査位置を探査できる。このように、本実施形態によれば、分析結果をその場で確認することで、余計な掘削を不要とし極めて効率的に探査を行うことができる。
探査深度を浅く(例えば10cm)すればきめ細かい分析および探査が可能となり、探査深度を深く(例えば1m)すれば迅速に分析および探査が可能となる。そのため、探査深度は固定値でなく、制御用コンピュータが取得した分析データに基づき、適宜変更することで、よりきめ細かく且つより迅速に分析および探査が可能となる。
各採鉱探査基地20は、図8にイメージを示すように、採掘探査装置30それぞれに指令されたさく孔深度まで採掘したら採掘探査装置30を後退した後に、採掘探査装置30をX−Y平面で移動して、図8(b)に所定範囲を示すように、所定範囲となるX−Y平面全体を走査するように、順次にさく孔並びにその位置での探査処理を行う。なお、X−Y平面での所定範囲の移動および移動後のさく孔並びにその位置での探査処理は、本実施形態のように、コンピュータにより自動的に行ってもよいし、各採鉱探査基地20の状況をオペレータが母船1から監視しつつ、オペレータの手動操作によって行ってもよい。
各採鉱探査基地20が図8(b)に示す所定範囲の探査を終えたら、架設配置用母船2は、採鉱探査基地20を移動させる。つまり、作業機11のワイヤ11wで採鉱探査基地20を海中の途中高さまで一端引き揚げ、複数の所定範囲のうち、次に予定された他の所定範囲に対応する位置まで移動後に、再度垂下して海底SBに各採鉱探査基地20を立設する。以下、この作業を繰り返す。なお、採鉱探査基地20は、複数台を用いて広範囲を同時に採掘できるが、装着するビットの径についても、細径のものから大径のものまで、種々のビットを用いることができる。
ここで、探査時の複数の所定範囲としては、図2(a)に示すように、海底鉱床ODの山の周縁部分に沿って設定することが好ましい。同図の例では、同図左側の採鉱探査基地20は、所定範囲A〜Dを順に探査したイメージを示し、また、同図右側の採鉱探査基地20は、所定範囲W〜Zを順に探査したイメージを示している。また、海底鉱床ODを描く環状の線は、山の等高線のイメージを示している。
このように、本実施形態の採鉱探査システムにおける海底鉱床ODの探査方法は、海底SBにさく孔により有底穴を形成し、採掘された試料を有底穴VHの内部でスラリーとし、そのスラリー化された海底鉱物を海中で検査筒65に回収し、その検査筒65内のスラリーを、蛍光X線分析器61を用いて海中で分析できる。そのため、一連の工程全てを海中で連続して行えるので、試料の分析時に揚鉱が不要であり、海底SBで広範囲を連続して効率良く探査できる。
特に、本実施形態の採鉱探査基地20によれば、蛍光X線分析装置60を有する採掘探査装置30を備え、採掘探査装置30は、採掘された海底鉱物の試料をスラリーにして蛍光X線分析装置60の検査筒65に回収し、蛍光X線分析装置60は、検査筒65に付設されて検査筒65内のスラリーを蛍光X線分析器61で分析する。そのため、試料となるスラリーの分析時に揚鉱が不要である。よって、本実施形態の採鉱探査基地20は、海底で広範囲を連続して効率良く探査する海底鉱床探査基地として優れている。
また、本実施形態の採掘探査装置30によれば、採掘装置本体10の採掘部は、海底にさく孔により有底穴を形成することで試料を採掘し、採掘装置本体10のスラリー生成部は、採掘部で採掘された試料を有底穴の内部でスラリーにし、流路管理手段および吸込管5を含むスラリー回収部は、スラリー生成部で生成されたスラリーを海中で検査筒65に回収し、分析部である蛍光X線分析装置60は、検査筒65内のスラリーを、蛍光X線分析器61を用いて海中で分析できる。そのため、この採掘探査装置30によれば、一連の探査を海中で行えるので、試料となるスラリーの分析時の揚鉱が不要である。よって、海底SBで広範囲を連続して効率良く探査する海底鉱床探査装置として優れている。
さらに、本実施形態の蛍光X線分析装置60によれば、円管状の検査筒65は、海底SBから採掘された試料となるスラリーを海中で収容可能であり、検査筒65の周面には窓穴65hが形成され、その窓穴65hにX線を透過可能な窓部としての探査用ドーム67が臨むように検査筒65の周面に圧力容器66が付設されている。
そして、その圧力容器66内には、探査用ドーム67を介して試料に一次X線を照射する照射部62と、試料から発生する蛍光X線を、探査用ドーム67を介して検出する検出部63とが設けられ、さらに、元素分析部64は、検出部63での蛍光X線の検出結果に基づいた元素分析を行うことができる。よって、一連の分析作業を海中で行えるので、試料の分析時に揚鉱が不要であり、海底で広範囲を連続して効率良く探査する海底鉱床探査用の蛍光X線分析装置として優れている。なお、元素分析部64については、これを海上の基地に設けても、試料の分析時に揚鉱が不要であり、所期の探査が可能である。
一方、本実施形態の採鉱探査システムにおいて、探査を行いつつ、または探査を行わないで、スラリー状の海底鉱物を揚鉱する場合には、オペレータは、母船1の制御用コンピュータに、探査・揚鉱モード、または揚鉱モードのプログラムを実行させる。これにより、制御用コンピュータは、探査・揚鉱モード、または揚鉱モードの実行指令を、アンビリカルケーブル8を介して採鉱探査基地20を含む必要な機器に送信する。
探査・揚鉱モードが実行されると、上記探査モードと同様の探査を行いつつ、分析済みのスラリーを検査筒65の下部開口65pから排出せずに、吸込管5から吸込チャンバ51を介して可及的に揚鉱するように必要な機器が駆動制御される。探査・揚鉱モードであれば、分析済みのスラリーを可及的に廃棄しないため、海底鉱物が海水中に舞い上がって飛散してしまうことが可及的に防止または抑制される。
また、揚鉱モードが実行されると、探査を行わずに、吸込管5で吸入されたスラリー状の鉱物の全ては、吸込チャンバ51を介して分級器27に移送される。分級器27は、鉱物粒子の比重差によって遠心力により所望の鉱物とそうでない不要な鉱物とを分離する。分級で不要とされた鉱物は、図1に示すように、分級器27に接続された排出管7を介して海底の戻し置き場に導かれる。
一方、分離されたスラリー状の鉱物のうち、所望の比重の鉱物は、揚鉱用ポンプ25に送られ、揚鉱管6を介して探査母船1の貯蔵器13に揚鉱される。探査母船1では、貯蔵器13に貯蔵するときに、スラリー状の鉱物を海水と分離し、海底鉱物が貯蔵器13内部に貯蔵される。
各採鉱探査基地20は、図8にイメージを示したように、採掘探査装置30それぞれに指令されたさく孔深度まで採掘したら採掘探査装置30を後退した後に、採掘探査装置30をX−Y平面で移動して、図8(b)に所定範囲を示すように、所定範囲となるX−Y平面全体を走査するように、順次にさく孔並びにその位置での探査処理を行う。
なお、所定範囲でのさく孔の密度は、選択されたモードや、探査の目的や所期の精度、効率等に応じて適宜設定することができる。同図(b)の例では、探査を目的として、比較的に粗いさく孔数を設定した例である。
また、指令されたさく孔深度としては、例えば揚鉱モードであれば最大さく孔深度まで、また、探査モードであれば、得られた随時の分析データに基づいて判定された必要なさく孔深度まで採掘するように設定できる。
また、X−Y平面での所定範囲の移動および移動後のさく孔並びにその位置での探査処理は、本実施形態のように、コンピュータにより自動的に行ってもよいし、各採鉱探査基地20の状況をオペレータが母船1から監視しつつ、オペレータの手動操作によって行ってもよい。
特に、上記採掘探査装置30およびこれを備える本実施形態の採鉱探査システムによる探査方法、および、揚鉱方法によれば、オペレータが監視しつつ手動操作を行う場合、海水中への海底鉱物の飛散が防止または抑制されるため、海洋汚染を防止または抑制しつつも、探査作業の効率および精度、並びに、採掘作業の効率を向上させる上で好適である。
また、本実施形態の採掘探査装置30およびこれを備える採鉱探査基地20、並びに、海底鉱物の採鉱探査システムによる探査、揚鉱方法によれば、探査、揚鉱時のいずれのときも、スラリー状の海底鉱物が竪穴VH内にあるので、海底鉱物が海水中に舞い上がって飛散してしまうことが防止または抑制される。さらに、本実施形態の採鉱探査システムは、採掘探査装置30で採掘されたスラリー状の海底鉱物を竪穴VH内部から吸込管5に直接導入するので、探査、揚鉱時の海水中への飛散も防止または抑制できる。
なお、本発明に係る海底鉱床の探査方法、並びに、海底鉱床探査基地、海底鉱床探査装置および海底鉱物用蛍光X線分析装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
例えば、上記実施形態では、海上基地として母船1を例に説明したが、これに限定されず、海上基地として機能すれば、例えば海上に建設されたプラットフォームなどであってもよい。
また、例えば上記実施形態では、スラリー状の鉱物を、母船1内に設けられた貯蔵器13まで運搬する例で説明したが、これに限定されず、海底で採掘した鉱物を有底穴である竪穴VH内部から直接運搬すれば、海上の近傍や海面下(例えば船底近くに貯蔵器を設ける)で揚鉱もしくは貯蔵、または分級を行ってもよい。
また、例えば上記実施形態では、有底穴の一例として竪穴VHをさく孔する例で説明したが、本発明に係る有底穴は、その軸線の向きが垂直方向に限定されない。つまり、本発明は、さく孔により有底穴を形成し、その有底穴の内部で海底鉱物をスラリーとし、そのスラリーを有底穴の内部から回収可能であればよい。よって、本発明に係る有底穴は、その軸線を水平とする横穴であってもよいし、また、軸線が斜めであってもよい。
また、例えば上記実施形態では、揚鉱ユニット4が分級器27を有し、この分級器27により海中でスラリー状の鉱物を分級する例を示したが、これに限定されず、本発明に係る採掘装置によれば、採掘した鉱物がスラリー状であり、粒子径が非常に細かくて粒度が均一になるので、スラリー状の海底鉱物を分級することなしに揚鉱してもよい。
また、例えば上記実施形態では、採掘探査装置30は、外筒40aと内筒40bとを有する二重管ロッド40を有する例で説明したが、これに限定されず、例えば図9に示すように、単管ロッドを用いて採掘装置を構成してもよい。
すなわち、同図に示すように、この採掘装置130は、単管のロッド57を有し、ロッド57の前方に採掘装置本体100が装着されている。採掘装置本体100は、ロッド57の先端にテーパねじ部56aで連結されたシリンダ56を有する。シリンダ56には、上方から順に、チェックバルブ51、ハンマ54およびビット50が内装され、ハンマ54の前後には、シリンダ前室52とシリンダ後室53が画成されている。
この採掘装置130を駆動する高圧水は、上記実施形態同様に、ロッド57上端のハウジング部71に、高圧水供給ポンプから高圧水供給管9を介して供給される。供給された高圧水は、上記実施形態同様に、シリンダ56とハンマ54の内外周面に形成されたハンマ往復動切換え機構により、ハンマ54をシリンダ56内で前後進させるようにシリンダ前室52またはシリンダ後室53に給排される。また、ロッド57は、上記実施形態同様に、ガイドシェル48に据え付けた送り機構47とハウジング部71の回転機構により回転および給進される。
ここで、この採掘装置130は、シリンダ56には、さく孔口の周囲を囲繞するように、フートパッド58がさく孔口側に向けて押圧可能且つ軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられている。フートパッド58の上部側面には、スラリーを海底鉱物資源として採掘する吸込管5が接続される。
この採掘装置130において、高圧水は、上部のチェックバルブ51を通り、ハンマ往復動切換え機構により、シリンダ前室52とシリンダ後室53とに給排されてハンマ54を前後に駆動し、ハンマ54がビット50を打撃した衝撃によって海底鉱床ODに有底穴である竪穴VHをさく孔する(採掘部、採掘工程に対応)。
打撃後の高圧水は、ビット50の軸心に設けた吸入孔50aを経てビット先端に出るが、さく孔で採掘された海底鉱物は、竪穴VH内で海水と混合されてスラリーとなる(スラリー生成部、スラリー生成工程に対応)。
そして、竪穴VH内で生成されたスラリーは、シリンダ56の外側とさく孔内壁VHnとの隙間、ないし、さく孔内壁VHnに接して海水中まで延設されたロッド57外側とさく孔内壁VHnとの隙間を通り、フートパッド58の内側から吸込管5を介して竪穴VH内から直接回収される(回収部、回収工程に対応)。よって、この採掘装置130のような構成であっても、海中での採掘鉱物の飛散を防止または抑制することができる。
また、上記実施形態同様に、吸込管5から分岐する分岐管5jに、蛍光X線分析装置60を接続して探査を行うこともできる。
また、例えば上記実施形態では、採鉱探査基地20が自らは移動しない例で説明したが、これに限らず、例えば、図10に第一変形例を示すように、採鉱探査基地が自らX方向およびY方向の少なくとも一方に移動可能な機構を有する構成とすることもできる。すなわち、同図(a)に示すように、この採鉱探査基地120は、第一のベースフレーム21Aと、第二のベースフレーム21Bと、第三のベースフレーム21Mとからなる3つのベースフレームでプラットフォームが構成されている。
第一のベースフレーム21Aと第二のベースフレーム21Bとは、互いにコ字状の枠体からなる。第一および第二のフレーム21A、21Bは、コ字状をなす二つの角部に、上記実施形態同様に、ジャッキ機構49を介して支持脚26がそれぞれ設けられている。
第一のベースフレーム21Aのコ字状の幅は、第二のベースフレーム21Bのコ字状の幅よりも狭い。第一のベースフレーム21Aと第二のベースフレーム21Bとは、相互のフレーム21A、21Bのコ字状の開口部分が組み合わせ可能に対向配置される。相互のフレーム21A、21Bの横枠は、不図示の第一のラック・ピニオン機構およびリニアガイド等の第一のスライド案内装置を介して対向面で係合しており、不図示の第一のモータで第一のラック・ピニオン機構を駆動することにより、X方向に相対的にスライド移動可能になっている。
第三のベースフレーム21Mは、Y方向に延びる縦枠からI字状に構成されている。第三のベースフレーム21Mは、I字状の両端に、上記実施形態同様に、ジャッキ機構49を介して支持脚26がそれぞれ設けられている。また、第三のベースフレーム21Mは、Y方向用移動機構およびガイドシェル48を有し、ガイドシェル48を移動フレーム43沿ってY方向にスライド移動可能になっている。なお、ガイドシェル48には、上記実施形態同様の採掘装置が装備される。
第三のベースフレーム21Mは、第一のベースフレーム21Aと第二のベースフレーム21Bに対して横枠と直交する方向に配置される。第三のベースフレーム21Mは、第一および第二のフレーム21A、21Bの横枠に対し、不図示の第二のラック・ピニオン機構およびリニアガイド等の第二のスライド案内装置を介して対向面で係合しており、不図示の第二のモータで第二のラック・ピニオン機構を駆動することにより、X方向に相対的にスライド移動可能になっている。
この採鉱探査基地120において、移動する際は、同図(b)に示すように、まず、第一のベースフレーム21Aのジャッキ機構49を駆動して、第一のベースフレーム21Aの二本の支持脚26を上方に移動させて非支持状態とする。次いで、第一のモータで第一のラック・ピニオン機構を駆動し、これにより、第一のベースフレーム21Aを第二のベースフレーム21Bに対してX方向の正方向に相対的にスライド移動させる。スライド移動後に、第一のモータを停止し、ジャッキ機構49を駆動して、第一のベースフレーム21Aの二本の支持脚26を下方に移動させて支持状態とする。
次いで、同図(c)に示すように、まず、第二のベースフレーム21Bのジャッキ機構49を駆動して、第二のベースフレーム21Bの二本の支持脚26を上方に移動させて非支持状態とする。次いで、第一のモータで第一のラック・ピニオン機構を駆動し、これにより、第二のベースフレーム21Bを第一のベースフレーム21Aに対してX方向の正方向に相対的にスライド移動させる。スライド移動後に、第一のモータを停止し、ジャッキ機構49を駆動して、第二のベースフレーム21Bの二本の支持脚26を下方に移動させて支持状態とする。
次いで、第三のベースフレーム21Mのジャッキ機構49を駆動して、第三のベースフレーム21Mの二本の支持脚26を上方に移動させて非支持状態とする。次いで、第二のモータで第二のラック・ピニオン機構を駆動し、これにより、第三のベースフレーム21Mを、第一および第二のベースフレーム21A、21Bに対してX方向の正方向に相対的にスライド移動させる。スライド移動後に、第二のモータを停止し、ジャッキ機構49を駆動して、第三のベースフレーム21Mの二本の支持脚26を下方に移動させて支持状態とする。これにより、3つのベースフレーム21A、21B、21M全体は、スライド移動量の分だけ全体がX方向の正方向に移動しつつ、同図(a)に示す状態となる。
よって、この採鉱探査基地120によれば、上記のようにして、3つのベースフレーム21A、21B、21Mを順次に移動させることにより、採鉱探査基地120全体をX方向に自ら移動させることができる。なお、スライド移動に際し、ベースフレーム21A、21Bが片持ち状態でオーバーハングするが、相互はスライド案内装置を介して対向面で係合しているので、水平姿勢が保持される。
そして、第三のベースフレーム21Mには、上記実施形態同様に、Y方向用移動機構を有し、ガイドシェル48を移動フレーム43沿ってY方向にスライド移動可能であり、ガイドシェル48には、上記実施形態同様の採掘探査装置30が装備されるので、第三のベースフレーム21Mを移動させていないタイミングで、Y方向移動を適宜行いつつ、採掘探査装置30を駆動することができる。
したがって、このような構成であっても、X方向およびY方向の少なくとも一方に移動可能であり、さく孔により有底穴である竪穴を形成しつつ海底鉱物を採掘し、その海底鉱物を竪穴内でスラリーにするとともに、そのスラリーを竪穴の内部から直接回収することができる。
また、このような構成であれば、プラットフォームがX方向およびY方向の少なくとも一方に自走可能なので、これに装備された上記実施形態同様の採掘探査装置30によれば、海底で広範囲を連続して効率良く探査する上で好適である。
次に、本発明のプラットフォームの第二変形例について、図11を適宜参照しつつ説明する。第二変形例は、プラットフォームがX方向およびY方向に自走可能に構成した採掘探査基地の例である。
第二変形例の採掘探査基地220は、上記実施形態同様の採掘探査装置30と、X方向およびY方向へ自走可能なプラットフォーム21とを備える。プラットフォーム21は、上部プラットフォーム(Upper platform)21X、下部プラットフォーム(Lower platform)21Y、および、中間フレーム(Middle frame)21Mを有する。
中間フレーム21Mと上下のプラットフォーム21X、21Yとは、不図示のラック&ピニオンを介して水平面で互いに直行するX方向およびY方向に相対的スライド移動可能である。また、上下のプラットフォーム21X、21Yは、それぞれ4本の支持脚26をもち、各支持脚26は、不図示のラック&ピニオンを介してZ方向に相対的スライド移動可能である。このように、この採鉱探査基地220は、上下のプラットフォーム21X、21Yおよび支持脚26のスライド運動によってX方向およびY方向に自走可能に構成されている。
なお、第二変形例において、中間フレーム21Mと上下のプラットフォーム21X、21Yとは、ラック&ピニオンを介して水平方向への移動が可能な例を示すが、これに限定されず、水平方向への移動が可能な移動機構であれば、種々の移動機構を採用可能である。例えば油圧シリンダ方式でスライドさせる移動機構とすることができる。同様に、各支持脚26は、ラック&ピニオンを介してZ方向に相対的スライド移動が可能な例を示すが、これに限定されず、例えば油圧シリンダ方式でスライドさせる移動機構とすることができる。
また、第二変形例の採掘探査基地220は、海中での姿勢の安定機構として、ラック&ピニオン駆動モータのトルク計および傾斜センサ並びにコントローラを備え、コントローラは、傾斜センサの出力に基づいて、基地自体の姿勢の不均衡の程度を判定し、ピニオン駆動モータの調整により、姿勢安定を維持する姿勢安定制御を実行するように構成できる。
1 母船(海上基地)
2 架設配置用母船
3 運搬船
4 揚鉱ユニット
5 吸込管
6 揚鉱管
7 排出管
8 アンビリカルケーブル
9 高圧水供給管
10 採掘装置本体
11 作業機
12 発電機
13 貯蔵器
20 採鉱探査基地(海底鉱床探査基地)
21 ベースフレーム(プラットフォーム)
25 揚鉱用ポンプ
26 支持脚
27 分級器
30 採掘探査装置(海底鉱床探査装置)
31 シリンダ
32 通水孔
33 シリンダライナ
34 ハンマ
35 連結部材
36 シリンダブシュ
37 チェックバルブ
38 スリーブ
39 リング
40 二重管ロッド
41 シリンダ前室
42 シリンダ後室
43 移動フレーム
45 動力ユニット
48 ガイドシェル
49 ジャッキ機構
50 ビット
60 蛍光X線分析装置(分析装置、分析部)
61 蛍光X線分析器
62 照射部
63 検出部
64 元素分析部
65 検査筒
66 圧力容器
67 探査用ドーム(窓部)
68 胴部
69 後部ドーム
71 ハウジング部
72 開閉シリンダ
73 開閉蓋
SL 海上
SB 海底
OD 海底鉱床
VH 竪穴(有底穴)

Claims (5)

  1. 海底鉱床から鉱物を揚鉱する揚鉱モードと、前記海底鉱床の鉱物に含有される有用金属の品位を海中で分析する分析モードと、を選択してまたは同時に実行可能な機器を用いた海底鉱床の採鉱探査方法であって、
    前記揚鉱モードは、
    海底にさく孔により有底穴を形成することで鉱物を採掘する採掘工程と、
    該採掘工程で採掘された鉱物を海中でスラリーにするスラリー生成工程と、
    該スラリー生成工程で生成されたスラリーを揚鉱する揚鉱工程と、を含み、
    前記分析モードは、
    前記スラリー生成工程で生成されたスラリーを海中で検査筒に回収する回収工程と、
    前記検査筒内のスラリーを海中で分析する分析工程と、
    を含むことを特徴とする海底鉱床の採鉱探査方法。
  2. 請求項1に記載の海底鉱床の採鉱探査方法に用いられる前記機器であって、
    海中に配置されて且つ海底に立設されるとともにX方向およびY方向の少なくとも一方に自走可能なプラットフォームと、
    該プラットフォームに装備されて海底に有底穴を形成しつつその有底穴内から採掘された鉱物を海中でスラリーにして吸込管を介して揚鉱管に移送可能に構成されるとともに、前記吸込管から分岐する分岐管から前記スラリーを検査筒に回収可能に構成される採掘装置と、
    前記検査筒を含み該検査筒内のスラリーを海中で分析する分析装置と、
    を備えることを特徴とする海底鉱床採鉱探査基地。
  3. 請求項1に記載の海底鉱床の採鉱探査方法に用いられる前記機器であって、
    海底にさく孔により有底穴を形成することで試料を採掘する採掘部と、
    該採掘部で採掘された試料を海中でスラリーにするスラリー生成部と、
    該スラリー生成部で生成されたスラリーを吸込管を介して揚鉱管に移送可能に構成されるとともに、前記吸込管から分岐する分岐管から前記スラリーを海中で検査筒に回収するスラリー回収部と、
    前記検査筒内のスラリーを海中で分析する分析部と、
    を有することを特徴とする海底鉱床採鉱探査装置。
  4. 請求項1に記載の海底鉱床の採鉱探査方法における前記分析工程で用いられる蛍光X線分析装置であって、
    海底から採掘された試料を海中で収容可能に設けられて自身周面に窓穴が形成された円管状の検査筒と、
    X線を透過可能な窓部が前記窓穴に臨むように前記検査筒の周面に付設される圧力容器と、
    該圧力容器内に設けられて前記窓部に対向配置されて前記窓部を介して前記試料に一次X線を照射する照射部と、
    前記圧力容器内に設けられて前記試料から発生する蛍光X線を前記窓部を介して検出する検出部と、
    該検出部での蛍光X線の検出結果に基づいた元素分析を行う元素分析部と、
    を備えることを特徴とする蛍光X線分析装置。
  5. 前記窓部は、前記照射部からのX線および前記試料に照射して得られる蛍光X線を透過させるアクリル製の探査用ドームであり、耐圧構造として凸の半球状に検査筒側に張り出している請求項4に記載の蛍光X線分析装置。
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