JP6813766B2 - 樹脂ブロックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂を含む樹脂ブロックの製造方法に関する。
熱可塑性樹脂を含む樹脂製品は、加熱・溶融された樹脂材料を金型内に射出して成形する射出成形法、金型内で樹脂材料を溶融させて成形する圧縮成形法、溶融させた樹脂材料を積層して成形する熱溶解積層法等の積層造形法、又はその他の種々の成形法によって成形される。また、直方体等の形状を有する樹脂ブロックを一旦成形し、この樹脂ブロックを切削して樹脂製品を作製することが行われている。樹脂ブロックは、射出成形法、圧縮成形法、積層成形法等を行って得られる他、押出成形法において、押出機の吐出口に設けたカウンタープレートを用いて、吐出口から吐出される溶融した樹脂材料の流動を抑制することによっても得られる。
また、近年、特許文献1等に示されるように、ゴム型のキャビティ内に充填された樹脂材料に、ゴム型の外部から0.01〜100mの波長領域を含む電磁波を照射して樹脂製品を得る電磁波照射成形法も提案されている。
国際公開第2013/073015号公報
しかしながら、射出成形法及び圧縮成形法においては、金型内で溶融樹脂を冷却する際に、樹脂ブロックの内部に空隙(ボイド)が発生する可能性があるといった理由から、成形する樹脂ブロックの厚みには限界がある。そのため、射出成形法又は圧縮成形法によっては、必要な厚みの樹脂ブロックを得ることができない。
また、熱溶解積層法等の積層造形法においては、上下方向としての特定方向に樹脂材料が積層されるといった理由から、この特定方向の引張強さが、特定方向に直交する2つの方向の引張強さよりも、例えば1/10程度に弱くなる。そのため、積層造形法によっては、特定方向の引張強さが極端に弱い樹脂ブロックしか得ることができない。
また、押出成形法においては、押出を行うために、溶融した際の流動性が高い樹脂しか用いることができない。また、押出成形法によって成形された樹脂ブロックには、溶融した樹脂が一方向へ押し出された後に冷却されて生じる熱応力が、残留応力として残される。そのため、押出成形法によって成形された樹脂ブロックを切削したときには、樹脂製品に、残留応力による反り等の変形が発生し、必要な形状の樹脂製品を得ることができない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、内部に空隙がほとんどないとともに、三次元の任意の方向における引張強さのバランスがよく、かつ切削加工性に優れた、長さ、幅及び厚みの全てが20mm以上である樹脂ブロックの製造方法を提供しようとして得られたものである。
本発明の樹脂ブロックの製造方法においては、X軸、Y軸及びZ軸を有する三次元直交座標におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各最大寸法を長さ、幅及び厚みとしたとき、前記三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの前記長さ、前記幅及び前記厚みの全てが20mm以上である、熱可塑性樹脂を含有する樹脂ブロックであって、
後記指標(A)に基づいて求められる、内部の空隙率vが0.5体積%以下であり、
後記指標(B)に基づいて求められる、切削加工したときの反り変形量ΔtがL/80以下であり、
後記指標(C)に基づいて求められる引張強さσであって、前記三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの、前記X軸方向、前記Y軸方向及び前記Z軸方向のうちのいずれか1つの軸方向の引張強さσが、他の2つの軸方向の引張強さσの50〜200%である、樹脂ブロックを製造する
指標(A):
前記樹脂ブロックの任意の一部を、一辺が20mmの立方体形状に切り出して評価用立方体とし、前記評価用立方体の重量W(g)と、25℃における前記評価用立方体の体積V(mm3)とを測定して、前記評価用立方体の平均密度ρ(g/mm3)をρ=W/Vから求め、前記樹脂ブロックを構成する材料の密度をρs(g/mm3)としたとき、空隙率v(体積%)は、(1−ρ/ρs)×100から求める。
指標(B):
前記樹脂ブロックの任意の一部を、一辺の長さLが20〜100mmの範囲内にある正方形を基準面とするとともに前記基準面に垂直な厚みが11L/40である直方体形状の評価用直方体として切り出し、
前記基準面における4つの角部を各々a1,b1,c1,d1とし、前記基準面における、前記角部a1に接する一辺の長さがL/4の正方形からなる非切削基準面を除く部位を、前記基準面からL/4の深さまで切削加工して、厚みがL/40の板状部を形成し、
前記非切削基準面を仮想平面に密着させたときの、前記板状部の切削加工面における、前記角部b1,c1,d1に各々対向する角部b2,c2,d2と、前記仮想平面との間の、前記仮想平面に垂直な距離tb,tc,td(mm)を測定して、反り変形量Δt(mm)は、Δt=[|L/4−tb|+|L/4−tc|+|L/4−td|]/3から求める。
指標(C):
前記樹脂ブロックの任意の一部を、前記いずれか1つの軸方向の寸法がXmm、前記他の2つの軸方向の寸法がX/7.5mm及びX/75mmである評価用試験片として切り出し、前記評価用試験片を前記いずれか1つの軸方向に引っ張ったときの引張強さσ(MPa)とする。
本発明の樹脂ブロックの製造方法は、X軸、Y軸及びZ軸を有する三次元直交座標におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各最大寸法を長さ、幅及び厚みとしたとき、前記三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの前記長さ、前記幅及び前記厚みの全てが20mm以上である、熱可塑性樹脂を含有する切削加工用の樹脂ブロックを製造する方法であって、
熱可塑性樹脂を含む材料に、0.01〜100mの波長領域を含む電磁波を照射して、前記材料の中央部が最初に溶融し、前記材料の溶融範囲が中央部から外側に広がる状態を形成して、
後記指標(A)に基づいて求められる、内部の空隙率vが0.5体積%以下であり、
後記指標(B)に基づいて求められる、切削加工したときの反り変形量ΔtがL/80以下であり、
かつ後記指標(C)に基づいて求められる引張強さσであって、前記三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの、前記X軸方向、前記Y軸方向及び前記Z軸方向のうちのいずれか1つの軸方向の引張強さσが、他の2つの軸方向の引張強さσの50〜200%である樹脂ブロックを成形する、樹脂ブロックの製造方法にある。
指標(A)、指標(B)及び指標(C)は、前記樹脂ブロックの場合と同様である。
本発明の製造方法による樹脂ブロックは、後述する電磁波を用いた電磁波照射成形法の成形条件を調整することによって成形することができるものであり、従来の成形法によっては得られない性質を兼ね備えたものである。
この樹脂ブロックは、三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの長さ、幅及び厚みの全てが20mm以上であって、指標(A)に基づく、内部の空隙率vが0.5体積%以下である。厚みが20mm以上である樹脂ブロックを射出成形法又は圧縮成形法によって成形しようとすると、内部に空隙(ボイド)が残ることになる。そして、射出成形法又は圧縮成形法によって成形した樹脂ブロックの内部の空隙率vは0.5体積%を超える。
射出成形法又は圧縮成形法においては、金型内に充填された、溶融した樹脂材料は、金型のキャビティに接触する表面部から先に固化し、その後に内部が固化する。この際、樹脂ブロックの内部に、冷却に伴う体積の収縮が生じたときには、この体積の収縮分を補うための樹脂材料の補填を、既に固化した表面部から行うことはできず、樹脂ブロックの内部には、空隙が形成されることになる。また、樹脂ブロックの内部に発生するガス等を、既に固化した表面部から外部へ脱気することができず、樹脂ブロックの内部に、空隙が形成されることになる。
本発明の製造方法による樹脂ブロックは、長さ、幅及び厚みの全てが20mm以上であるにも拘わらず、内部の空隙率vが0.5体積%以下である。そのため、この樹脂ブロックは、種々の機械的性質に優れるだけでなく、樹脂ブロックを切削加工したときに、切削後の表面の平滑性等にも優れ、切削加工に適したものであると言える。
なお、内部の空隙率の「内部」とは、樹脂ブロックの表面に現れた凹凸等を除外するものである。実際の樹脂ブロックの表面は、凹凸等がほとんどなく、表面粗さが細かい平滑な表面であり、空隙率vは、評価用立方体の全体の体積に占める空隙の合計体積の割合として示される。評価用立方体の全体の体積は、空隙も含めた体積とする。
また、本発明の製造方法による樹脂ブロックは、残留応力が極めて小さい性質を有し、切削加工したときに必要とする形状を高い精度で得ることができるものである。この樹脂ブロックの残留応力の大きさを示す指標として、切削加工したときの反り変形量Δt(mm)という指標(B)を用いる。反り変形量Δtは、樹脂ブロックの任意の一部を切り出した評価用直方体を、所定の形状に切削加工したときに、切削された各部位に生じる変形量の平均値として求められる。
具体的には、樹脂ブロックの反り変形量Δtは、Δt=[|L/4−tb|+|L/4−tc|+|L/4−td|]/3から求められる値が、L/80以下である。この反り変形量ΔtがL/80以下という値は、押出成形法を行って成形した他の樹脂ブロックからは得ることができない値である。
また、本発明の製造方法による樹脂ブロックは、三次元の特定方向における引張強さが極めて弱いといった性質を有さず、指標(C)に基づく、三次元直交座標におけるいずれか1つの軸方向の引張強さσ(MPa)が、他の2つの軸方向の引張強さσ(MPa)の50〜200%である。この三次元の任意の方向における引張強さのバランスが取れた樹脂ブロックは、3Dプリンター等としても知られる積層成形法等によっては得られないものである。積層成形法によって成形される樹脂ブロックは、樹脂材料を積層する1つの軸方向の引張強さが、他の2つの軸方向の引張強さよりも1/10程度に弱いといった性質を有する。本発明の製造方法による樹脂ブロックは、指標(C)に基づく物性値によって裏付けされるように、三次元の任意の方向における引張強さのバランスが取れたものである。
このように、長さ、幅及び厚みの全てが20mm以上であって、指標(A)、(B)及び(C)に基づく全ての物性値を満たす樹脂ブロックは、従来の射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、積層成形法等を行うことによっては得られないものである。本発明の製造方法による樹脂ブロックは、後述する電磁波を用いた電磁波照射成形法の成形条件を調整することによって成形することができるものである。
従って、本発明の製造方法によれば、内部に空隙がほとんどないとともに、三次元の任意の方向における引張強さのバランスがよく、かつ切削加工性に優れた、長さ、幅及び厚みの全てが20mm以上である樹脂ブロックを提供することができる。
本発明の樹脂ブロックの製造方法においては、熱可塑性樹脂を含む材料に0.01〜100mの波長領域を含む電磁波を照射して成形を行う電磁波照射成形法を使用する。これにより、長さ、幅及び厚みの全てが20mm以上であって、指標(A)及び(C)に基づく物性値を満たす樹脂ブロックを得ることができる。
従って、本発明の樹脂ブロックの製造方法によれば、内部に空隙がほとんどないとともに、三次元の任意の方向における引張強さのバランスがよく、かつ切削加工性に優れた、長さ、幅及び厚みの全てが20mm以上である樹脂ブロックを製造することができる。
実施形態にかかる、樹脂ブロックの例を示す説明図。 実施形態にかかる、他の樹脂ブロックの例を示す説明図。 実施形態にかかる、他の樹脂ブロックの例を示す説明図。 実施形態にかかる、評価用直方体を示す説明図。 実施形態にかかる、引張試験機によって評価用試験片を引っ張る状態を示す説明図。 実施形態にかかる、電磁波照射成形装置を示す説明図。
<実施形態>
前述した樹脂ブロック及びその製造方法にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
(樹脂ブロック1)
本形態の樹脂ブロック1は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなり、X軸、Y軸及びZ軸を有する三次元直交座標におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各最大寸法を長さD、幅W及び厚みTとしたとき、三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上である。樹脂ブロック1の長さD、幅W及び厚みTは、成形する際の大きさの制約の許す限り、大きくすることが可能であるが、実用上は、500mm以下とすることができる。射出成形法、圧縮成形法等によっては、長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上である樹脂ブロック1を、内部に空隙をほとんど形成せずに成形することは困難である。なお、本形態の樹脂ブロック1によれば、内部に空隙をほとんど有しない状態で、長さD、幅W及び厚みTの全てが50mm以上、あるいは100mm以上、さらには200mm以上である樹脂ブロック1を成形することができる。
樹脂ブロック1の形状は特に限定されず、図1に示すように、立方体を含む直方体の他に、図2に示すように、貫通穴11を有する、円環状等の環形状体としてもよい。また、樹脂ブロック1は、図3に示すように、一平面における種々の断面形状が、一平面に直交する方向に連続する三次元形状を有するものとしてもよい。また、樹脂ブロック1の角部には、平坦面を形成する面取り、曲面を形成するフィレット等が行われていてもよい。
樹脂ブロック1は、切削加工を行って任意の形状に形成することができる切削加工用のものとすることができる。切削加工用の樹脂ブロック1の形状は、種々の最終的な製品形状の外形を含む形状とすることができる。また、樹脂ブロック1は、最終的な製品形状に近い形状としてのニアネットシェイプの成形品とすることもできる。
樹脂ブロック1に用いる熱可塑性樹脂は、特に限定されず、種々のものとすることができる。この熱可塑性樹脂は、融点を有しない非晶性の熱可塑性樹脂とすることができ、融点を有する結晶性の熱可塑性樹脂とすることもできる。樹脂ブロック1に用いられる非晶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合)樹脂、メタクリル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)樹脂等がある。樹脂ブロック1に用いられる結晶性の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂等がある。これらの非晶性及び結晶性の熱可塑性樹脂は、汎用プラスチック又は汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)と呼ばれるものであり、熱変形温度が150℃未満のものであることが好ましい。熱変形温度が150℃以上の熱可塑性樹脂は、スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ又は耐熱エンプラ)と呼ばれる。
熱変形温度(荷重たわみ温度)とは、合成樹脂の耐熱性を評価する指標の一つであり、合成樹脂に荷重を加えた状態でその温度を上昇させたときに、この合成樹脂に生じるたわみの大きさが一定になる温度のことをいう。
熱可塑性樹脂は、加熱したときに軟化するとともに冷却したときに固化する性質を有する一般的なものである。熱可塑性樹脂は、透明又は半透明のものであってもよく、不透明のものであってもよい。後述するマイクロ波Xを使用した電磁波照射成形法によって樹脂ブロック1を成形する際には、熱可塑性樹脂は、所定の温度に加熱されたときには、誘電損失率が急激に上昇することによって自己発熱して溶融する。
(空隙率v)
本形態の樹脂ブロック1は、内部の空隙率vが0.5体積%以下であるという性質を有する。内部の空隙率vは、次の指標(A)に基づいて求められる。
指標(A)においては、図1に示すように、樹脂ブロック1の任意の一部を、一辺が20mmの立方体形状に切り出して評価用立方体2とする。評価用立方体2の重量W(g)と、25℃における評価用立方体2の体積V(mm3)とを測定して、評価用立方体2の平均密度ρ(g/mm3)をρ=W/Vから求める。評価用立方体2の体積Vは、評価用立方体2の各辺の長さから算出する。そして、樹脂ブロック1を構成する材料の密度をρs(g/mm3)としたとき、空隙率v(体積%)は、(1−ρ/ρs)×100から求める。樹脂ブロック1を構成する材料の密度は、JIS Z 8807に準じて測定する。
また、樹脂ブロック1の内部の空隙率vは、X線断層撮影装置を用いて観察することもできる。X線断層撮影装置としては、株式会社アールエフ製のX線産業コンピュータ断層撮影装置「NAOMi−CT」を用いることができる。このX線産業コンピュータ断層撮影装置を用いる際には、画素サイズを0.068mmとして、パーシャルスキャン法の条件で断層観察することができる。
(反り変形量Δt)
本形態の樹脂ブロック1は、切削加工したときの反り変形量Δt(mm)がL/80以下であるという性質を有する。Lは、評価用直方体3の基準面31の一辺の長さ(mm)を示す。反り変形量Δt(mm)は、次の指標(B)に基づいて求められる。
指標(B)においては、図1、図4に示すように、樹脂ブロック1の任意の一部を、一辺の長さLが20〜100mmの範囲内にある正方形を基準面31とするとともに基準面31に垂直な厚みが11L/40である直方体形状の評価用直方体3として切り出す。
そして、基準面31における4つの角部を各々a1,b1,c1,d1とし、基準面31における、角部a1に接する一辺の長さがL/4の正方形からなる非切削基準面311を除く部位を、基準面31からL/4の深さまで切削加工して、厚みがL/40の板状部32を形成する。非切削基準面311は、角部a1の先端から第1の辺へL/4の長さを有し、角部a1の先端から第1の辺に直交する第2の辺へL/4の長さを有する正方形とする。切削加工後の評価用直方体3は、一辺の長さがL/4の正方体と、基準面31に平行な方向の4つの辺の長さがLであって厚みがL/40である直方体とが、基準面31に垂直な方向に繋がった形状に形成される。
本形態においては、いわゆるフライス盤を用い、評価用直方体3を、基準面31とは反対側の面を下にしてテーブル上に載置し、回転する切削工具によって、基準面31における、非切削基準面311を除く部位を切削する。切削加工を行う条件は、次のようにする。すなわち、切削工具の直径はφ10mm、切削工具の回転速度は6000rpm、切削工具と評価用直方体3との相対送り速度は2000mm/min(33.3mm/s)、切削工具による評価用直方体3の切込み量は1.5mmとする。
次いで、切削加工後の評価用直方体3における板状部32が、基準面31に垂直な方向にどれだけ変形したかを測定する。この測定を行うときには、非切削基準面311を、測定台の載置面等として設定される仮想平面Hに密着させる。そして、この状態において、仮想平面Hから、板状部32の切削加工面321までの距離を測定する。具体的には、板状部32の切削加工面321における、角部b1,c1,d1に各々対向する角部b2,c2,d2と、仮想平面Hとの間の、仮想平面Hに垂直な距離tb,tc,td(mm)を測定する。そして、反り変形量Δt(mm)は、Δt=[|L/4−tb|+|L/4−tc|+|L/4−td|]/3から求める。tb,tc,tdは、評価用直方体3における残留応力によって、L/4よりも大きくなる場合及びL/4よりも小さくなる場合のいずれの場合も想定され、|L/4−tb|、|L/4−tc|及び|L/4−td|は、いずれも絶対値とする。
(引張強さσ)
本形態の樹脂ブロック1は、三次元の任意の方向における引張強さσの差が、2倍以下の範囲内にあるという性質を有する。言い換えれば、本形態の樹脂ブロック1は、三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のうちのいずれか1つの軸方向の引張強さσ(MPa)が、他の2つの軸方向の引張強さσ(MPa)の50〜200%である。引張強さσ(MPa)は、次の指標(C)に基づいて求められる。
指標(C)においては、図1に示すように、樹脂ブロック1の任意の一部を、いずれか1つの軸方向の寸法がXmm、他の2つの軸方向の寸法がX/7.5mm及びX/75mmである評価用試験片4として切り出す。本形態のいずれか1つの軸方向の寸法Xは150mmとする。そして、他の2つの軸方向の寸法は、20mm及び2mmである。そして、図5に示すように、評価用試験片4における、最も長い方向であるいずれか1つの軸方向の両端部を引張試験機45によって把持し、評価用試験片4をいずれか1つの軸方向に引っ張る。こうして、評価用試験片4が破断したときの応力を引張強さσ(MPa)として求める。この応力は、評価用試験片4を引っ張ったときの最大荷重(N)を、評価用試験片4の初期断面積(X/7.5mm×X/75mm)で割り、この割った値(N/mm2)をMPaに換算したものとする。
引張強さを測定するためのいずれか1つの軸方向は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向として順次変化させる。そして、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向をそれぞれ最も長い方向に設定した3つの評価用試験片4を準備し、3つの評価用試験片4の引張強さσ(MPa)を測定する。
なお、図1においては、樹脂ブロック1から切り出す評価用立方体2、評価用直方体3及び評価用試験片4の向き(姿勢)を揃えて記載している。実際に、評価用立方体2、評価用直方体3及び評価用試験片4を樹脂ブロック1から切り出す位置及び向きは任意に決定することができる。
(製造方法)
本形態の樹脂ブロック1は、マイクロ波Xを使用した電磁波照射成形法によって成形する。
電磁波照射成形法によって樹脂ブロック1を成形する際には、図6に示すように、シリコーンゴム等の絶縁性材料によって形成された成形型51と、0.01〜1mの波長領域を含む電磁波としてのマイクロ波Xを発生させる電磁波発生装置52と、成形型51のキャビティ512内を減圧状態にする真空ポンプ53とを備える電磁波照射成形装置5を用いる。成形型51は、成形する樹脂ブロック1の形状を有するキャビティ512を内部に形成するものである。
成形型51は、複数の分割型部511A,511Bに分割されており、キャビティ512は、複数の分割型部511A,511Bの間に形成されている。キャビティ512内は、真空ポンプ53によって減圧状態に減圧される。キャビティ512の外部と内部との圧力差によって複数の分割型部511A,511Bが互いに接近する際には、キャビティ512の容積が縮小される。キャビティ512の容積を変更可能な成形型51を用いることにより、熱可塑性樹脂の材料10の使用量を少なくして樹脂ブロック1を成形することができる。また、キャビティ512の容積を変更可能な成形型51を用いることにより、樹脂ブロック1の表面外観がよくなり、その寸法精度が向上する。
樹脂ブロック1の成形においては、真空ポンプ53によって成形型51のキャビティ512内を減圧状態にし、キャビティ512内へ粉体状の熱可塑性樹脂の材料10を配置する。次いで、電磁波発生装置52によって、成形型51の外部からキャビティ512内の熱可塑性樹脂の材料10へマイクロ波Xを照射する。このとき、成形型51及び熱可塑性樹脂の材料10がマイクロ波Xを吸収して加熱され、熱可塑性樹脂の材料10が溶融するとともに、成形型51の外部と内部との圧力差によって複数の分割型部511A,511Bの型締め(図6の符号Fによって示す。)が行われる。そして、複数の分割型部511A,511Bが互いに接近して、容積が縮小されたキャビティ512内において熱可塑性樹脂の材料10が圧縮される。
マイクロ波Xが照射されるときには、キャビティ512内の熱可塑性樹脂の材料10は、自らマイクロ波Xを吸収することによって昇温するとともに、成形型51からの熱伝導によっても昇温する。そして、マイクロ波Xの照射を停止した後も複数の分割型部511A,511Bの型締めが行われた状態を維持して、成形型51を空冷によって徐々に冷却する。このとき、溶融した熱可塑性樹脂の材料10が降温して固化し、樹脂ブロック1となる。その後、成形型51のキャビティ512内から樹脂ブロック1を取り出す。樹脂ブロック1は、長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上である大きさに形成される。
また、本形態においては、指標(A)〜(C)に基づく物性値を満たす樹脂ブロック1を得るために、電磁波照射成形法の成形条件としての、成形型51の材質、マイクロ波Xの照射強度及び照射時間、成形型51の冷却時間等を調整する。なお、樹脂ブロック1の製造方法においては、マイクロ波Xを使用する代わりに、1〜100mの波長領域を含む電磁波としての高周波を使用することもできる。
通常の電磁波照射成形法においては、電磁波吸収材料を含有する成形型51がまず加温され、キャビティ512内の熱可塑性樹脂の材料10に、外側から内側に向けて熱伝導が起こり、熱可塑性樹脂の材料10の中央部が最後に溶融する。一方、本形態の電磁波照射成形法においては、成形型51の材質の調整、及びマイクロ波Xの照射強度及び照射時間の調整を行い、更には、冷却時間の段階的なインターバル制御等を行う。これにより、熱可塑性樹脂の材料10の中央部が最初に溶融し、熱可塑性樹脂の材料10の溶融範囲が中央部から外側に広がると考えられる。
(電磁波照射成形装置5)
電磁波照射成形装置5は、より詳細には次の構成とすることができる。
成形型51を構成する絶縁性材料は、ゴム材料、セラミックス材料等の絶縁性を有するものとすることができる。成形型51は、0.01〜100mの波長領域を含む電磁波(以下、「特定電磁波」という。)を吸収して、この電磁波のエネルギーを熱に変換して発熱する種々の材料(以下、「電磁波吸収材料」という。)を塗布、積層又は混合した材料によって構成することができる。
電磁波吸収材料は、成形型51に対して、誘電性を付与するための誘電性付与物質を添加して形成することができる。誘電性付与物質としては、誘電力率が0.01以上の物質を用いることができる。
成形型51は、シリコーンゴム等のゴムと、ゴムに対して電磁波吸収材料を添加して形成することができる。この場合には、成形型51のキャビティ512に成形する樹脂ブロック1が複雑形状であっても、容易にこれを成形することができる。また、ゴムを用いることにより、キャビティ512の各部位に依存せず、均一に熱可塑性樹脂の材料10を加熱する効果を得やすい。さらに、ゴムを用いると成形型51の製造が容易である。
熱可塑性樹脂の種類によっては、その誘電力率が温度、周波数に依存して変化するものがある。熱可塑性樹脂として、誘電力率の高いものを用いる場合には、特定電磁波の照射により、この熱可塑性樹脂をより短い時間で加熱・溶融させることができる。また、熱可塑性樹脂として、温度が上昇するほど誘電力率が高くなる性質を有するものを用いる場合には、特定電磁波の照射により、この熱可塑性樹脂をより短い時間で加熱・溶融させることができる。
また、本形態の複数の分割型部511A,511Bは、一対に形成されており、第1分割型部511Aには、被嵌入凹部513が設けられており、第2分割型部511Bには、被嵌入凹部513に嵌入する嵌入凸部514が設けられている。一対の分割型部511A,511Bの間に形成されたキャビティ512は、その全周が被嵌入凹部513に嵌入された嵌入凸部514によって閉塞されている。電磁波発生装置52は、第1分割型部511A及び第2分割型部511Bの両方又は一方の外側面に対向する位置に配置することができる。
また、第2分割型部511Bには、キャビティ512を真空ポンプ53に繋げるための真空経路531が形成されている。また、誘電性付与物質は、各分割型部511A,511Bにおける、キャビティ512の内壁面を構成する表面層にのみ含有させることができる。この場合には、キャビティ512内の熱可塑性樹脂の材料10は、表面層に近い部分から先に溶融させることができる。また、熱可塑性樹脂の材料10を、表面層からの熱伝導によって加熱、溶融させることができる。
また、誘電性付与物質を含有する表面層は、真空流路531が形成されていない第1分割型部511Aにおけるキャビティ512の内壁面にのみ設けることもできる。この場合には、第1分割型部511Aにおけるキャビティ512の周辺に位置する熱可塑性樹脂の材料10を先に溶融させ、第2分割型部511Bにおけるキャビティ512の周辺に接触する熱可塑性樹脂の材料10を後から溶融させることができる。これにより、真空経路531が、溶融した熱可塑性樹脂の材料10によって塞がれにくくすることができる。
また、複数の分割型部511A,511Bにおける、表面層以外の一般部は、シリコーンゴム又はフッ素ゴムから構成することができる。表面層は、シリコーンゴム又はフッ素ゴムに対して、誘電性付与物質としての炭化珪素、フェライト、チタン酸バリウム、カーボンブラック、黒鉛の1種又は2種以上を、5〜90体積%含有させて構成することができる。
また、この場合には、表面層が効果的に特定電磁波を吸収して、キャビティ512内の熱可塑性樹脂の材料10を熱伝導によって加熱、溶融させることができる。表面層を、より短時間で、より高温に加熱するためには、誘電性付与物質の含有量を多くした方がよい。誘電性付与物質の含有量が、表面層において5体積%未満である場合には、表面層が特定電磁波を吸収する性質を十分に発揮することができないおそれがある。一方、誘電性付与物質の含有量が、表面層において90体積%超過である場合には、表面層を構成する、誘電性付与物質以外の材料と、誘電性付与物質との混合が難しくなり、また、表面層の機械的強度が低下するおそれがある。
誘電性付与物質は、表面層において、10〜70体積%含有していることがより好ましく、13〜50体積%含有していることがさらに好ましく、15〜35体積%含有していることが最も好ましい。この場合には、表面層がより効果的に特定電磁波を吸収して、キャビティ512内の熱可塑性樹脂の材料10を熱伝導によって加熱、溶融させることができる。
誘電性付与物質としては、列挙した物質だけに限定されず、無機化合物、有機化合物、これらの混合物等を用いることができ、誘電力率の高い樹脂を用いることもできる。また、誘電性付与物質は、無機化合物の焼結体とすることもでき、この焼結体は、公知の方法によって製造することができる。誘電性付与物質を焼結体とする場合、例えば炭化珪素は、表面層において50体積%以上含まれていることが好ましい。
また、電磁波照射成形装置5を用いた電磁波照射成形法においては、キャビティ512内に熱可塑性樹脂の材料10を配置する配置工程と、キャビティ512内に配置した熱可塑性樹脂の材料10に、電磁波発生装置52から成形型51を介して特定電磁波を照射する加熱工程と、熱可塑性樹脂の材料10を冷却して樹脂ブロック1を得る冷却工程とを行うことができる。また、配置工程においては、キャビティ512内に粒子状態又は固形状態の熱可塑性樹脂の材料10を配置することができる。配置工程を行った後、加熱工程を行う際には、真空ポンプ53によってキャビティ512内を吸引することができる。
(作用効果)
本形態の樹脂ブロック1は、電磁波照射成形法の成形条件を調整することによって成形することができるものであり、従来の成形法によっては得られない性質を兼ね備えたものである。この樹脂ブロック1は、三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上であって、指標(A)に基づく、内部の空隙率vが0.5体積%以下である。厚みTが20mm以上である樹脂ブロック1を射出成形法又は圧縮成形法によって成形しようとすると、内部に空隙(ボイド)が残ることになる。そして、射出成形法又は圧縮成形法によって成形した樹脂ブロック1の内部の空隙率vは0.5体積%を超える。
射出成形法又は圧縮成形法においては、金型内に充填された、溶融した樹脂材料は、金型のキャビティ512に接触する表面部から先に固化し、その後に内部が固化する。この際、樹脂ブロック1の内部に、冷却に伴う体積の収縮が生じたときには、この体積の収縮分を補うための樹脂材料の補填を、既に固化した表面部から行うことはできず、樹脂ブロック1の内部には、空隙が形成されることになる。また、樹脂ブロック1の内部に発生するガス等を、既に固化した表面部から外部へ脱気することができず、樹脂ブロック1の内部に、空隙が形成されることになる。
本形態の樹脂ブロック1は、長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上であるにも拘わらず、内部の空隙率vが0.5体積%以下である。そのため、この樹脂ブロック1は、種々の機械的性質に優れるだけでなく、樹脂ブロック1を切削加工したときに、切削後の表面の平滑性等にも優れ、切削加工に適したものであると言える。
なお、内部の空隙率の「内部」とは、樹脂ブロック1の表面に現れた凹凸等を除外するものである。実際の樹脂ブロック1の表面は、凹凸等がほとんどなく、表面粗さが細かい平滑な表面であり、空隙率vは、評価用立方体2の全体の体積に占める空隙の合計体積の割合として示される。評価用立方体2の全体の体積は、空隙も含めた体積とする。
また、本形態の樹脂ブロック1は、残留応力が極めて小さい性質を有し、切削加工したときに必要とする形状を高い精度で得ることができるものである。この樹脂ブロック1の残留応力の大きさを示す指標として、切削加工したときの反り変形量Δt(mm)という指標(B)を用いる。反り変形量Δtは、樹脂ブロック1の任意の一部を切り出した評価用直方体3を、所定の形状に切削加工したときに、切削された各部位に生じる変形量の平均値として求められる。
評価用直方体3の反り変形量Δt(mm)は、Δt=[|L/4−tb|+|L/4−tc|+|L/4−td|]/3から求められる値が、L/80以下である。ここで、L/4は、Lが20〜100mmの範囲内から選択されるときの、評価用直方体3における非切削基準面311の一辺の長さであって、評価用直方体3が切削加工される深さを示す。また、tb,tc,tdは、切削加工された深さL/4が評価用直方体3における残留応力によって変化した後の深さを示す。また、tb,tc,tdは、評価用直方体3に生じる残留応力によって、L/4よりも大きくなる場合及びL/4よりも小さくなる場合のいずれの場合も想定され、|L/4−tb|、|L/4−tc|及び|L/4−td|は、いずれも絶対値とする。
評価用直方体3の反り変形量ΔtがL/80以下であるという値は、押出成形法を行って成形した他の樹脂ブロック1からは得ることができない値である。本形態の樹脂ブロック1は、指標(B)に基づく物性値によって裏付けされるように、残留応力が極めて小さいために、切削加工に適していると言える。
また、本形態の樹脂ブロック1は、三次元の特定方向における引張強さが極めて弱いといった性質を有さず、指標(C)に基づく、三次元直交座標におけるいずれか1つの軸方向の引張強さσ(MPa)が、他の2つの軸方向の引張強さσ(MPa)の50〜200%である。この三次元の任意の方向における引張強さのバランスが取れた樹脂ブロック1は、3Dプリンター等としても知られる積層成形法によっては得られないものである。積層成形法によって成形される樹脂ブロック1は、樹脂材料を積層する1つの軸方向の引張強さが、他の2つの軸方向の引張強さよりも1/10程度に弱いといった性質を有する。本形態の樹脂ブロック1は、指標(C)に基づく物性値によって裏付けされるように、三次元の任意の方向における引張強さのバランスが取れたものである。
このように、長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上であって、指標(A)、(B)及び(C)に基づく全ての物性値を満たす樹脂ブロック1は、従来の射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、積層成形法等を行うことによっては得られないものである。この樹脂ブロック1は、樹脂ブロック1の製造方法において示した電磁波照射成形法の成形条件を調整することによって得られるものである。
従って、本形態によれば、内部に空隙がほとんどないとともに、三次元の任意の方向における引張強さのバランスがよく、かつ切削加工性に優れた、長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上である樹脂ブロック1を得ることができる。
<実施例1>
本例においては、炭化珪素(SiC)を25.7体積%含有するシリコーンゴムから構成した成形型51を用いた。また、電磁波照射成形装置5には、(株)ディーメック製のAmolsysM150を用いた。また、熱可塑性樹脂の材料10には、ポリカーボネート樹脂のペレットを用いた。そして、成形型51のキャビティ512の内部にペレットを配置し、真空ポンプ53でキャビティ512の内部を減圧しながら、出力500Wのマイクロ波をペレットに照射して、このペレットを溶融させた。その後、溶融したペレットを空冷して固化させ、100mm×100mm×40mmの直方体形状の樹脂ブロック1を製造した。
この樹脂ブロック1から、一辺の長さが20mmである評価用立方体2を切り出し、この試験品としての評価用立方体2の空隙率v(体積%)を測定した。また、比較のために、一辺の長さが20mmである評価用立方体2を、射出成形法によって成形した樹脂ブロック1から切り出した場合を比較品1とし、一辺の長さが20mmである評価用立方体2を、圧縮成形法によって成形した樹脂ブロック1から切り出した場合を比較品2とした。そして、比較品1,2としての評価用立方体2の空隙率v(体積%)も測定した。
空隙率vは、実施形態に示した指標(A)に基づいて求めた。試験品の空隙率vは、0.1体積%未満であった。一方、比較品1,2の空隙率vは、0.5体積%を超えていた。また、電磁波照射成形法によって製造した樹脂ブロック1は、透明になり、この樹脂ブロック1においては、目視でボイドを視認することができなかった。これに対し、射出成形法及び圧縮成形法によって製造した樹脂ブロック1は、半透明になり、内部に多数のボイドが含まれることが確認された。このことより、空隙率vが0.5体積%以下である樹脂ブロック1は、実施形態に示す電磁波照射成形法によって得られ、射出成形法又は圧縮成形法によっては得られないことが分かった。
<実施例2>
本例においては、実施例1と同様にして電磁波照射成形法による樹脂ブロック1を製造し、この樹脂ブロック1から、基準面31の一辺の長さLが80mmであって高さが22mmである評価用直方体3を切り出し、この試験品としての評価用直方体3の反り変形量Δt(mm)を測定した。また、比較のために、押出成形法によって成形した樹脂ブロック1から、基準面31の一辺の長さLが80mmであって高さが22mmである評価用直方体3を切り出し、この比較品としての評価用直方体3の反り変形量Δt(mm)も測定した。
反り変形量Δtは、実施形態に示した指標(B)に基づいて求めた。試験品及び比較品について、加工面の角部b2と仮想平面Hとの距離tbの絶対値、加工面の角部c2と仮想平面Hとの距離tcの絶対値、加工面の角部d2と仮想平面Hとの距離tdの絶対値(表1中において、それぞれ「距離tb」、「距離tc」、「距離td」として示す。)、及び反り変形量Δtは、表1のようになった。
Figure 0006813766
同表に示すように、比較品の反り変形量Δtは、1.4mmであったことに対し、試験品の反り変形量Δtは、0.5mmであった。このことより、反り変形量Δtが1mm以下である樹脂ブロック1は、実施形態に示す電磁波照射成形法によって得られ、押出成形法によっては得られないことが分かった。
<実施例3>
本例においては、実施例1と同様にして電磁波照射成形法による樹脂ブロック1を製造し、この樹脂ブロック1から、試験品としての評価用試験片4を切り出した。そして、この評価用試験片4のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の引張強さσ(MPa)を測定した。また、比較のために、熱溶解積層法によって成形した樹脂ブロック1から切り出した、比較品としての評価用試験片4のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の引張強さσ(MPa)を測定した。
引張強さσは、実施形態に示した指標(C)に基づいて求めた。試験品及び比較品について、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の引張強さσは、表2のようになった。
Figure 0006813766
同表に示すように、比較品においては、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のいずれか1つの軸方向の引張強さσが、他の2つの軸方向の引張強さσに比べて、50〜200%の範囲を外れた。一方、試験品においては、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のいずれを基準とする1つの軸方向とした場合においても、1つの軸方向の引張強さσが、他の2つの軸方向の引張強さσに比べて、50〜200%の範囲内に収まった。このことより、三次元の任意の方向における引張強さσのバランスがよい樹脂ブロック1は、実施形態に示す電磁波照射成形法によって得られ、熱溶解積層法によっては得られないことが分かった。
実施例1〜3の結果より、内部に空隙がほとんどないとともに、三次元の任意の方向における引張強さのバランスがよく、かつ切削加工性に優れた、長さD、幅W及び厚みTの全てが20mm以上である樹脂ブロック1は、実施形態に示した電磁波照射成形法によってしか得られないことが分かった。
本発明は、実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。
1 樹脂ブロック
2 評価用立方体
3 評価用直方体
31 基準面
311 非切削基準面
32 板状部
321 切削加工面
H 仮想平面
4 評価用試験片
5 電磁波照射成形装置
51 ゴム型
52 電磁波発生装置

Claims (2)

  1. X軸、Y軸及びZ軸を有する三次元直交座標におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各最大寸法を長さ、幅及び厚みとしたとき、前記三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの前記長さ、前記幅及び前記厚みの全てが20mm以上である、熱可塑性樹脂を含有する切削加工用の樹脂ブロックを製造する方法であって、
    熱可塑性樹脂を含む材料に、0.01〜100mの波長領域を含む電磁波を照射して、前記材料の中央部が最初に溶融し、前記材料の溶融範囲が中央部から外側に広がる状態を形成して、
    後記指標(A)に基づいて求められる、内部の空隙率vが0.5体積%以下であり、
    後記指標(B)に基づいて求められる、切削加工したときの反り変形量ΔtがL/80以下であり、
    かつ後記指標(C)に基づいて求められる引張強さσであって、前記三次元直交座標に任意の姿勢で配置したときの、前記X軸方向、前記Y軸方向及び前記Z軸方向のうちのいずれか1つの軸方向の引張強さσが、他の2つの軸方向の引張強さσの50〜200%である樹脂ブロックを成形する、樹脂ブロックの製造方法。
    指標(A):
    前記樹脂ブロックの任意の一部を、一辺が20mmの立方体形状に切り出して評価用立方体とし、前記評価用立方体の重量W(g)と、25℃における前記評価用立方体の体積V(mm3)とを測定して、前記評価用立方体の平均密度ρ(g/mm3)をρ=W/Vから求め、前記樹脂ブロックを構成する材料の密度をρs(g/mm3)としたとき、空隙率v(体積%)は、(1−ρ/ρs)×100から求める。
    指標(B):
    前記樹脂ブロックの任意の一部を、一辺の長さLが20〜100mmの範囲内にある正方形を基準面とするとともに前記基準面に垂直な厚みが11L/40である直方体形状の評価用直方体として切り出し、
    前記基準面における4つの角部を各々a1,b1,c1,d1とし、前記基準面における、前記角部a1に接する一辺の長さがL/4の正方形からなる非切削基準面を除く部位を、前記基準面からL/4の深さまで切削加工して、厚みがL/40の板状部を形成し、
    前記非切削基準面を仮想平面に密着させたときの、前記板状部の切削加工面における、前記角部b1,c1,d1に各々対向する角部b2,c2,d2と、前記仮想平面との間の、前記仮想平面に垂直な距離tb,tc,td(mm)を測定して、反り変形量Δt(mm)は、Δt=[|L/4−tb|+|L/4−tc|+|L/4−td|]/3から求める。
    指標(C):
    前記樹脂ブロックの任意の一部を、前記いずれか1つの軸方向の寸法がXmm、前記他の2つの軸方向の寸法がX/7.5mm及びX/75mmである評価用試験片として切り出し、前記評価用試験片を前記いずれか1つの軸方向に引っ張ったときの引張強さσ(MPa)とする。
  2. 前記熱可塑性樹脂の熱変形温度は150℃未満である、請求項1に記載の樹脂ブロックの製造方法。
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