JP6813729B2 - 消防用耐熱ホース及びその製造方法、並びに無人消防システム - Google Patents

消防用耐熱ホース及びその製造方法、並びに無人消防システム Download PDF

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Description

本発明は、消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法、並びに無人消防システムに関し、特に、高温火災用の消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法、並びに無人消防システムに関する。
近年、防油堤火災、タンク火災等の高温火災への対策として、無人消防システムの運用が開発されている。このような無人消防システムとしては、遠隔操作により無人ロボットで消防活動を行なう無人消防システムが知られている(例えば、特許文献1)。
このような無人消防システムでは、消防士による直接の消火活動よりも、より火災源に近い位置での消防活動が可能となる。しかし、その反面、使用する機器が高い輻射熱に曝されることとなりがちである。このため、消防用ホースが輻射熱によって損傷することが懸念され、その対策が望まれている。
特開平9−271527号公報
本発明は、前記事情に照らしてなされたものであり、耐熱性を向上させた消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法、並びに無人消防システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る消防用被覆部材は、消防用耐熱繊維からなる基布層の一面に外気に露出するアルミニウム層を設けてなることを特徴としている。
前記消防用耐熱繊維は、パラ系アラミド繊維とし、前記アルミニウム層は、蒸着層とすることが好適である。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において「蒸着層」とは、本明細書に記載した蒸着法によって基布層にアルミニウムを直接蒸着した状態の層である。
また、本発明は別の側面において消防用ホースである。本発明に係る消防用ホースは、前記被覆部材を、前記アルミニウム層を最外層として、可撓性を有するホース本体の外周面に配したことを特徴としている。
前記被覆部材は、前記ホース本体を先端から少なくとも300m以上被覆するように設けることが好適である。また、前記ホース本体を被覆する被覆部材の両端部を接合部により接合したものとすることができる。
また、本発明は別の側面において無人消防システムである。本発明に係る無人消防システムは、前記消防用ホースを搭載した無人放水ロボットと、前記無人放水ロボットへ送水する車両であって、前記無人放水ロボットを遠隔操作することができる車両とを備えることを特徴としている。
また、本発明は別の側面において消防用被覆部材の製造方法である。本発明に係る消防用被覆部材の製造方法は、前記アルミニウム層を、パラ系アラミド繊維からなる前記基布層の一面にアルミニウムを蒸着することによって形成する工程を含むことを特徴としている。
さらに、本発明は別の側面にて消防用ホースの製造方法である。本発明に係る消防用ホースの製造方法は、前記被覆部材を、前記アルミニウム層が外気に露出するように、前記可撓性を有するホース本体の外周面に隙間を空けて配する被覆工程を備えることを特徴としている。
本発明によれば、耐熱性を向上させた消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法、並びに無人消防システムが提供される。
図1(a)は、本発明に係る消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法の実施の形態について説明するために、当該消防用ホースの一部を切り出して示した概念図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線による断面図である。 図2は、本発明に係る無人消防システムの実施の形態について説明するための概念図である。 図3(a)及び(b)は、実施例にて、消防用被覆部材及びホースの輻射熱の暴露時間に対する温度の変化を示すグラフである。 図4(a)及び(b)は、実施例にて、円筒形火災を想定した場合の火炎高さ、火炎半径及び火炎中心からの距離との位置関係を示すグラフである。 図5は、実施例にて、防油堤火災を想定した場合の可燃性燃料の距離に対する輻射熱強度を示すグラフである。 図6は、実施例にて、タンク火災を想定した場合の可燃性燃料の距離に対する輻射熱強度を示すグラフである。
以下、本発明に係る消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法、並びに無人消防システムについて、詳細に説明する。本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
[消防用ホース]
本発明に係る消防用ホースの一実施の形態について、図1(a)及び(b)を参照して説明する。図1(a)に示すように、消防用ホース1はホース本体2と消防用被覆部材3(以下、被覆部材ともいう。)とを備えており、被覆部材3はホース本体2の外周面に配置されている。
ホース本体2は、消防用途に使用可能な一般的な可撓性ホースであればよい。このような消防用途のホースとしては、例えば、経糸と緯糸とから構成される平織組織又は綾織組織で織られた筒状ジャケットと、その内面又は両面に設けたゴム又は合成樹脂からなるライニング層とを少なくとも備えるホースが挙げられる。このようなホースとしては、例えば、帝国繊維社製のスーパーラインホース(両面樹脂引きホース)がある。
ホース本体2の長さ全体は、消防活動が可能な長さであればよく、限定されない。より具体的には、ホース本体2の長さは、無人消防システム用途の観点より、1m以上300m以下が好ましく、被覆部材の効果を十分に付与するために1m以上150m以下がより好ましい。
ホース本体2の直径は、消防用途として送水が可能な直径であればよく、限定されない。より具体的には、無人消防システム用途の観点から、ホース本体2の直径は100mm以上300mm以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、毎分4000リットルの送水を可能とすると共に、消防用ホース1の直径を軽減することができるため、無人ロボットが負担する消防用ホース1の巻き取り回数を減らすことができる。このような消防用ホースとしては、例えば、直径150mmを有する帝国繊維社製の150スーパーラインAがある。
また、図1(a)に示すように、被覆部材3のホース本体2の長軸方向の長さは、ホース本体2の先端から前記所定の位置までを被覆できる長さであればよく、限定されない。より具体的には、被覆部材3のホース2の先端からの長さは、無人消防システム用途の観点より、1m以上300m以下が好ましく、被覆部材3の効果を十分に付与するために、150m以上がより好ましい。被覆部材3の長さが300m以上であれば、防油堤火災等の高温火災に用いても、消防用ホース1及びその外部の被覆部材3の輻射熱による温度上昇を抑制して溶解を防ぐと共に、材料の劣化を防ぐことができる。その結果、製造した消防用ホース1を繰り返し使用することができる。
被覆部材3の幅は、ホース本体2の外周面を被覆できる幅であればよく、限定されない。その内面同士が完全に接触するまで潰した状態のホース本体の外周面を被膜し、且つ後述するように被覆部材とホース本体との間に隙間を形成する場合、被膜部材3の外周は、350mm以上1000mm以下である。
[被覆部材の構成]
続いて、消防用被覆部材の層構成について説明する。図1(a)及び(b)に示すように、消防用被覆部材3は、基布層3aとアルミニウム層3bとを備えている。被覆部材3は、アルミニウム層3bを最外層として、ホース本体2の外周面に配されている。
基布層3aは、消防用耐熱繊維からなる織布である。消防用耐熱繊維としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、フッ素繊維、アルミナ繊維等のガラス繊維、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリベンツイミダゾール(PBI)繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維等を挙げることができる。これらのうち、耐熱性及び難燃性の観点よりアラミド繊維が好ましく、耐熱性の観点よりメタ系アラミド繊維又はパラ系アラミド繊維がより好ましく、パラ系アラミド繊維がさらに好ましい。パラ系アラミド繊維であれば、耐熱性と共に、高い強度と弾性率を消防用被覆部材に付与できる。メタ系アラミド繊維としては、例えば、ノーメックス(商品名)があり、メタ系アラミド繊維の基布層としては、ノーメックス布がある。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ケブラー(商品名)と称されているポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)繊維があり、パラ系アラミド繊維の基布層としては、ケブラー布がある。基布層3aをパラ系アラミド繊維とすれば、耐熱性に優れるメタ系アラミド繊維よりも高い耐熱性を、アルミニウム層3bによる輻射熱反射効果を低減することなく消防用被覆部材3に付与できる。
基布層3aの厚さは、採用する繊維に応じ、耐熱性に支障のない範囲であれば、特に限定されるものではない。もっとも、一般的には、基布層3aの厚さは、0.5〜0.7mm程度である。
また、アルミニウム層3bは、アルミニウム(Al)を少なくとも含み、基布層3aの一面に外気に露出するように設けられている。すなわち、アルミニウム層3bは、消防用被覆部材3が被覆対象を被覆した際の最外層となる層であり、外気に露出して輻射熱を反射する層として機能するように構成されている。アルミニウム層3bは、基布層3aの表面にアルミニウムを直接的に蒸着してなる蒸着層であることが好ましい。アルミニウム層3bを蒸着層とすれば、接着剤等の接着材料を用いるよりも消防用被覆部材3の厚さを薄くすることができる。また、接着剤塗布工程等の製造工程を減らすことができる。さらに、例えば、層間で固化又は硬化した有機系接着剤を介する構造と比較して、接着材料の高温下での剥離や溶解といった虞を排除できる。その結果、製造コストを低減すると共に、被覆部材3で被覆して形成した消防用ホース1を効率よく無人ロボットに搭載することができる。
アルミニウム層3bの厚さは、輻射熱を良好に反射できる厚さであればよい。一般的には、アルミニウム層3bの厚さは11〜13μmである。
[消防用被覆部材の製造方法]
続いて、以上の構成を有する消防用被覆部材の製造方法について、その一実施の形態を説明する。本発明に係る消防用被覆部材の製造方法は、アルミニウム層形成工程を少なくとも含む。
アルミニウム層形成工程では、アルミニウム層3bを、パラ系アラミド繊維を用いて形成した基布層3aの一面にアルミニウムを蒸着することにより、基布層3a上に連続したアルミニウム層を形成する。
アルミニウム層形成工程でのアルミニウムの蒸着方法としては、化学蒸着法(CVD:Chemical Vapor Deposition)又は物理蒸着法(PVD:Physical Vapor Deposition)を用いることができる。化学蒸着法としては、熱CVD、光CVD、プラズマCMD、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)等が挙げられる。物理蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、イオンビームスパッタリング、マグネトロンスパッタリング等のスパッタリング等が挙げられる。
[消防用ホースの製造方法]
続いて、消防用ホースの製造方法の一実施の形態について説明する。本発明に係る消防用ホースの製造方法は、被覆工程を少なくとも備える。被覆工程では、被覆部材3を、その最外部のアルミニウム層3bが外気に露出するように、可撓性を有するホース本体2の外周面に隙間5を空けて配する。
被覆工程では、被覆部材3によりホース本体2を覆った後、被覆部材3の両端部の一部同士に接合部4を形成することにより固定する。その結果、ホース本体2を被覆可能な形状を有する被覆カバーが形成される。
図4では被覆部材3の両端部の端面に接着剤を塗布して接合部4を形成しているが、特に限定されるものではない。この接合部は、他の方法、例えば溶着又は接合部材により形成することができる。接合部材により接合部を形成する形態では、糸を用いて両端部の一部同士を縫製したり、面ファスナーを用いて両端部の一部同士を固定してもよい。
なお、被覆工程では、ホース本体を覆う前に予めホース本体が挿通可能な形状及び大きさの被覆カバーを形成しておき、これにホース本体を挿入することによって被覆してもよい。
このように形成した接合部4は、ホース本体2を被覆する被覆部材2の両端部を固定した部分である。このような接合部4であれば、被覆部材3の両端部の間に隙間のない連続した後述するアルミニウム層3bを外気に曝すように形成することができ、製造コストも低減できる。
また、隙間5は、ホース本体2の外周面と被覆部材3の基布層3aとの間に形成された間隔である。図1(a)及び(b)に示すように、隙間5は、被覆部材3を円筒形状と仮定し、その中心軸と円筒状の消防用ホース1の中心軸Lとを同軸とした場合、円筒形状の被覆部材3の直径が大きいことで形成される間隔である。換言すれば、隙間5は、可撓性の被覆部材3の外周とホース本体2の外周の長さの差異に基づいて、被覆部材3の幅がホース本体2の外周の長さよりも大きいことで、消防用ホース1の内部に形成される間隔である。隙間5を形成することにより、隙間5に存在する空気の低い熱伝導性を消防用ホース1に付与することができるため、その耐熱性をさらに向上することができる。
[無人消防システム]
続いて、本発明に係る無人消防システムの一実施の形態について、図2を参照して説明する。図2に示すように、本発明に係る無人消防システム10は、消防用ホース1と、無人放水ロボット11と、車両12を少なくとも備える。
消防用ホース1は、少なくとも無人ロボット11と車両12とを連結して、送水を可能とする。消防用ホース1は、車両12と取水部13とを連結してもよく、水源に設置した取水部13から送水してもよい。なお、取水部13としては、貯水槽、消火栓等が挙げられる。無人放水ロボット11は、消防用ホース1を搭載可能であり、放水手段によって火災源14に対して放水するように構成されている。車両12は、消防用ホース1を搭載可能であり、オペレータの操作によって無人放水ロボット11を遠隔操作し、また、取水部13から無人放水ロボット11への送水を行うように構成されている。このような無人消防システム10においても、本発明に係る消防用ホース1を使用することにより火災源からの輻射熱に耐えることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明することにより、本発明の効果を明らかにする。本発明に係る消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法、並びに無人消防システムは、以下の本実施例によって制限されない。
1.試験例の作製
[試験例1、2]
ホースとなる帝国繊維社製の150スーパーラインAから幅90mm、長さ140mm、厚さ4mmのホース試験片を準備し、これを試験例1とした。また、同様のホース試験片を準備して試験例2とした。
[試験例3]
試験例1と同様の寸法を有する帝国繊維社製のノーメックス布を準備し、これを試験例1のホース試験片を覆って積層したものを試験例3とした。
[試験例4]
幅1000mm、長さ1000mm、厚さ0.5mmの帝国繊維社製のケブラー布を準備し、この表面にスパッタリングによってアルミニウムを蒸着し、ケブラー布上に厚さ12μmのアルミニウム蒸着層を形成した。このアルミニウム蒸着層上にフッ素樹脂をコーティングしてコーティング層を形成し、三層の被覆部材を得た。この被覆部材を、アルミニウム層が最外層となるように、試験例1のホース試験片を覆って積層した試験例4とした。
[試験例5]
試験例4と同様のケブラー布を準備し、アルミニウムを蒸着してアルミニウム蒸着層を形成し、二層の被覆部材を得た。この被覆部材を、アルミニウム層が最外層となるように、試験例1と同様のホース試験片を覆って積層したものを試験例5とした。
[試験例6]
ホース試験片の代わりに、試験例1と同様のホースを充水し、充水ホース(静水圧、0MPa)を準備した。これに、試験例5と同様の2層の被覆部材を覆うことによって試験例6とした。
2.熱伝達性試験
各試験例に対して、ISO6942に準拠した耐輻射熱試験を実施し、各試験例の耐熱性を検討した。
各試験例から35cmの距離に、輻射熱源としてヒーターを設置し、ヒーターの熱の暴露による各試験例の表面温度の経時的な変化を測定した。試験例1と試験例2〜6では、暴露面に対する入射熱流束密度(単位時間当たりの入射エネルギー量)を変えた。また、表面温度は、K熱電対をホースと被覆部材の中心部分に取り付けることによって、各試験例のホースと被覆部材のそれぞれの表面温度を測定した。試験例と試験条件の関係を下記表1に示す。
Figure 0006813729
2.1.状態観察
輻射熱の暴露中、0分(試験前)、30分及び60分経過後に、各試験例の状態の変化を目視で観察した。
試験例1は、30分間輻射熱に暴露すると、ホースが変形し、60分間暴露すると、ホース表面が溶解した。30分経過時のホースの表面温度は171℃であり、60分経過時の表面温度は199℃であった。試験例2は、30分間輻射熱に暴露すると、ホース表面が溶解し、60分間暴露すると溶解したホースのジャケットに収縮が生じていた。30分経過時のホースの表面温度は249℃であり、60分経過時の表面温度も249℃であった。また、試験例3は、30分間輻射熱に暴露すると、被覆部材が熱により変色し、60分間暴露すると、ホース表面が溶解してジャケットの収縮が生じていた。60分経過時のホースの表面温度は199℃であり、被覆部材の表面温度は244℃であった。
これに対して、試験例4は、60分間輻射熱に暴露すると、少量の収縮と変色が見られたが、試験例1〜3と比較すると、その原形をほぼ維持していた。60分経過時のホースの表面温度は164℃であり、被覆部材の表面温度は195℃であった。試験例5は、60分間輻射熱に暴露しても、ホースと被覆部材に変化は見られなかった。60分経過時のホースの表面温度は94℃であり、被覆部材の表面温度は159℃であった。また、試験例6も、60分間輻射熱に暴露しても、ホースと被覆部材に変化は見られなかった。60分経過時のホースの表面温度は67℃であり、被覆部材の表面温度は130℃であった。
試験例1〜3の結果より、被覆部材を備えた消防用ホースのほうが、耐熱性に優れることがわかった。また、試験例3と試験例4の結果を比較すると、ノーメックス布の代わりにケブラー布を備えた試験例4のホースは、10kW/m2の熱流束への暴露に耐えることができ、耐熱性に優れることがわかった。よって、試験例3のように、耐熱性布だけでは、熱線を反射することができず、温度上昇を抑制する効果は低い。試験例4のように耐熱性布にアルミニウムを蒸着することで、熱線を反射することができ、ホースの温度上昇を抑えることができる。すなわち、基布の耐熱性の優劣よりも、アルミニウム層の有無がより重要であり、アルミニウム層があれば熱線を反射するため温度上昇が抑制されることがわかった。
さらに、試験例4と試験例5の結果を比較すると、同じ蒸着布を用いた場合でも、蒸着層を最外層に配置したほうが良いことがわかった。また、コーティング層をさらに最外層として形成するよりも、アルミニウム層を被覆部材の最外層としたほうが、輻射熱の反射効率の高さを十分に発揮させて、耐熱性を向上できることがわかった。さらにまた、試験例6の結果より、充水ホースと用いれば、ホース内部の水による冷却効果をさらに得ることができるため、耐熱性をより向上すると共に、ホースと被覆部材の表面温度をさらに低く維持できることがわかった。
2.2.温度上昇の評価
耐輻射熱試験中の各試験例2〜6について、それらの経時的な温度変化を評価した。図3(a)は、耐輻射熱試験中に測定した各試験例の被覆部材の温度変化を示し、図3(b)は、耐輻射熱試験中に測定した各試験例のホースの温度変化を示す。図3(a)及び(b)に示すように、試験例2〜6の被覆部材の表面温度は、輻射熱の暴露開始から10分後に急激に上昇し、20〜60分までほぼ一定の温度に維持していた。
結果より、アラミド繊維を備えた試験例3の消防用被覆部材及びホースであれば、試験例2よりも耐熱性に優れ、0〜60分間の輻射熱の暴露による表面温度の上昇を抑制できることがわかった。また、好適には、パラ系アラミド繊維とアルミニウム蒸着層とを備えた試験例4の消防用被覆部材及びホースであれば、試験例2及び3よりも耐熱性に優れ、0〜60分間の輻射熱の暴露による表面温度の上昇を抑制できることがわかった。さらに、より好適には、アルミニウム層を最外層とした試験例5及び6の消防用被覆部材及びホースであれば、試験例1〜4よりも耐熱性に優れ、0〜60分間の輻射熱の暴露による表面温度の上昇をより抑制できることがわかった。
続いて、図3(a)及び(b)に示す各試験例の初期(0〜10分間)の温度上昇値に着目し、短時間での温度上昇値に起因する消防用被覆部材及びホースの劣化について検討した。
図3(a)に示す被覆部材の温度変化について、試験例4の被覆部材あれば、輻射熱による初期の温度上昇値を約170℃まで抑えることができ、初期の温度上昇値が約180℃〜235℃である試験例2及び3と比較して、被覆部材の劣化を抑制できることがわかった。さらに好適には、試験例5及び6の被覆部材であれば、初期の温度上昇値を約110〜120℃まで抑えることができるため、被覆部材の劣化をより抑制できることがわかった。
また、図3(b)に示すホースの温度変化について、試験例4のホースあれば、輻射熱による初期の温度上昇値を約145℃まで抑えることができ、温度の上昇値が約180〜235℃である試験例2及び3と比較して、被覆部材の劣化に加え、その内部に配置されたホースの劣化も抑制できることがわかった。さらに好適には、試験例5及び6のホースであれば、初期の温度上昇値を約40〜50℃まで抑えることができるため、ホースの劣化をより抑制できることがわかった。
3.耐圧性能の測定
試験後の試験例6に対して、日本消防検定協会発行の消防用ホースの品質評価細則に記載された方法により破断圧を測定した。結果より、試験例6の破断圧は4.6MPaであった。これにより、試験例6は、60分間の輻射熱の後でも、未加熱のホース、すなわち150スーパーラインAと同等の耐圧性能を有していることがわかった。したがって、試験例6の消防用ホースは、輻射熱による素材の劣化を防ぎ、繰り返し使用できることを確認した。
4.高温火災を想定した評価
防油堤火災、タンク火災等の高温火災現場にて試験例1〜6の消防用ホースの使用することを想定し、その適正について評価した。下記式(1)、式(2)〜(6)、表2並びに図4(a)及び図4(b)に示す位置関係と形態係数とを用いて、防油堤火災及びタンク火災における円筒形火災面からの距離(m)による各可燃性液体の輻射熱強度E(kW/m2)を計算した。なお、アルコール類とLNGを除く可燃性液体については、低減率として0.3を計算結果に乗じて輻射熱強度としている。
Figure 0006813729
Figure 0006813729
Figure 0006813729
4.1.防油堤火災を想定した評価
防油堤火災を想定し、各試験例の消防用ホースの適正を評価した。図5は、想定した80000m2の防油堤火災における円筒形火災面からの距離(m)による各可燃性液体の輻射熱強度(kW/m2)を示す。想定した防油堤火災は、図4(a)中の火炎底面半径(R)を159.6mとし、火炎高さ(H)を478.8mと推定して計算した。また、図5中の円筒形火災面からの距離(m)は、図4(a)の円筒形火災面からの距離(L)と火炎底面半径(R)との差異とした。
図5に示すように、火災面からの距離が10mの位置では、ベンゼン、ガソリン、灯油、軽油、原油、重油、メタノール及びエタノールの輻射熱は、10kW/m2以下であることがわかった。また、輻射熱が10kW/m2以下となる距離は、プロパン及びプロピレンの場合は20mであり、n−ヘキサン及びn−ブタンの場合は40mであった。
結果より、石油類、アルコール類の輻射熱が10kW/m2以下であることから、試験例1〜3の消防用ホースでは溶解してしまうことがわかった。これに対して、試験例4の消防用ホースであれば、防油堤火災の火災面から10mであっても、少なくとも60分間使用できることがわかった。より好適には、試験例5及び試験例6の消防用ホースであれば、防油堤火災の火災面から10mであっても、十分に使用できることがわかった。さらに、試験例5及び試験例6の消防用ホースは、無人消防システムにおいて特に好適であることを確認した。
また、エチレンの輻射熱が10kW/m2以下となる距離は150mであり、LNGの輻射熱が10kW/m2以下となる距離は380mであった。したがって、試験例5及び6の消防用ホースであれば、ホースの先端から200m以上、好適には400m以上被覆部材によって被覆されていれば、防油堤火災に対応できることがわかった。
4.2.タンク火災を想定した評価
高温火災の例としてタンク火災を想定し、試験例1〜6の消防用ホースの使用適正を評価した。図6は、想定したタンク火災における円筒形火災面からの距離(m)による各可燃性液体の輻射熱強度(kW/m2)を示す。想定したタンク火災は、図5(a)中の火炎底面半径(R)をタンク半径として50mとし、火炎高さ(H)を150mと推定して計算した。さらに、液面高さを20mとして図5(b)中の形態係数を算出した。また、図6中の円筒形火災面からの距離(m)は、図5の円筒形火災面からの距離(L)と火炎底面半径(R)との差異とした。
図6に示すように、タンク火災では、火災面からの距離が50mにおいて、各可燃性液体の輻射熱は最大値を示した。火災面からの距離が50mの位置では、LNGを除いた石油類及びアルコール類の輻射熱は、10kW/m2以下であることがわかった。また、LNGについては、最大の輻射熱は11kW/m2であり、輻射熱が10kW/m2以下となる距離は約80mであった。
結果より、LNGの最大の輻射熱は11kW/m2であることから、試験例1〜3の消防用ホースでは実使用にて溶解することがわかった。これに対して、試験例4の消防用ホースであれば、LNGを含むタンク火災であっても、少なくとも60分間使用できることがわかった。好適には、試験例5及び試験例6の消防用ホースであれば、タンク火災の火災面からの距離に関わらず、十分に使用できることがわかった。より好適には、タンク火災の火災面からの距離が80m以上あれば、劣化もなく繰り返し使用できることを確認した。さらに、試験例5及び試験例6の消防用ホースは、無人消防システムにおいて特に好適であることを確認した。
本発明に係る消防用被覆部材、消防用ホース及びそれらの製造方法、並びに無人消防システムによれば、消防用被覆部材及び消防用ホースの輻射熱反射率を向上して耐熱性を向上させた無人消防システムを提供することができる。
1 消防用ホース
2 ホース本体
3 被覆部材
3a 基布層
3b アルミニウム層
4 接続部
5 隙間
10 無人消防システム
11 無人放水ロボット
12 車両
13 取水部
14 火災源

Claims (8)

  1. 可撓性を有するホース本体と、
    消防用耐熱繊維からなる基布層の一面に外気に露出するアルミニウム層を設けてなる被覆部材と
    を備え、前記被覆部材を、前記アルミニウム層を最外層として前記ホース本体の外周面に配したことを特徴とする消防用耐熱ホース
  2. 前記消防用耐熱繊維がパラ系アラミド繊維であり、前記アルミニウム層が蒸着層であることを特徴とする請求項1に記載の消防用耐熱ホース
  3. 前記ホース本体が、経糸と緯糸から構成される平織組織又は綾織組織で織られた筒状ジャケットと、内面又は両面に設けたゴム又は合成樹脂からなるライニング層とを少なくとも備えるホースであり、
    前記ホース本体の外周面と前記被覆部材の基布層との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の消防用耐熱ホース。
  4. 前記ホース本体を先端から少なくとも300m以上被覆するように前記被覆部材設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の消防用耐熱ホース。
  5. 前記ホース本体を被覆する被覆部材の両端部が接合部により接合されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の消防用耐熱ホース。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の消防用耐熱ホースを搭載した無人放水ロボットと、
    前記無人放水ロボットへ送水する車両であって、前記無人放水ロボットを遠隔操作することができる車両と
    を備えることを特徴とする無人消防システム。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の消防用耐熱ホースの製造方法であって、
    前記アルミニウム層を、パラ系アラミド繊維からなる前記基布層の一面にアルミニウムを蒸着することによって形成し、前記被覆部材とする工程と、
    前記被覆部材を前記ホース本体の外周に被覆する工程と
    を含むことを特徴とする消防用耐熱ホースの製造方法。
  8. 請求項〜5のいずれか一項に記載の消防用耐熱ホースの製造方法であって、
    前記被覆部材を、前記アルミニウム層が外気に露出するように、前記ホース本体の外周面に隙間を空けて配する被覆工程を備えることを特徴とする消防用耐熱ホースの製造方法。
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