しかしながら、特許文献1に記載のエンジン制御装置では、エンジンに対して負荷が投入されると事前に検知した時間とエンジンに対して実際に負荷が投入された時間との差が、例えば、メインポンプの油路の構成によって異なってしまう。このため、エンジンに供給する燃料の増加が適切なタイミングで行なわれず、エンジンの回転数の低下を防止できない場合がある。
また、特許文献2に記載の技術では、エンジンの回転数の低下を防止するためには、アシストトルクを発生させる電動機や、この電動機を駆動させるためのバッテリが必要になってしまう。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態は上述の従来技術に鑑みなされたものであり、アタッチメントが負荷対象物に接触する直前のタイミングを精度よく把握することで、エンジンの過渡応答性を向上可能なエンジン回転数制御装置、及び、エンジン回転数制御方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン回転数制御装置は、エンジンと、前記エンジンによって駆動される作業機構部であって、負荷対象物に接触するアタッチメントを含む作業機構部と、を有する作業用車両の前記エンジンの回転数を制御するエンジン回転数制御装置であって、前記エンジン回転数制御装置は、前記作業機構部の動作を監視する監視センサを有する監視手段と、前記作業機構部の動作中における特定の姿勢に基づいて、前記作業機構部の状態が、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する判定部と、前記判定部によって前記作業機構部の状態が前記事前状態にあると判定されると、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触する前に、前記エンジンの回転数を増加させる増加処理を実行するエンジン回転数増加部と、を備える。
上記(1)の構成によれば、判定部は、作業機構部の動作中における特定の姿勢に基づいて、作業機構部の状態が、アタッチメントが負荷対象物に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する。このため、特許文献1のように、例えば、油路の構成によって、エンジンに対して負荷が投入されると事前に検知した時間とエンジンに対して実際に負荷が投入された時間との差が大きくずれることはなく、アタッチメントが負荷対象物に接触する直前のタイミングを精度よく把握することができる。
また、上記(1)の構成によれば、エンジン回転数増加部は、判定部によって作業機構部の状態が事前状態にあると判定されると、アタッチメントが負荷対象物に接触する前に、エンジンの回転数を増加させる増加処理を実行する。このため、アタッチメントが負荷対象物に接触して、このアタッチメントの動作によってエンジンの回転数を低下させる前に、エンジンの回転数を予め増加させておくことで、エンジンの過渡応答性を向上させることができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の一構成において、前記判定部は、前記特定の姿勢に至るまでの前記作業機構部の動作を考慮して、前記作業機構部の状態が前記事前状態にあるかどうかを判定する前記判定処理を実行する。
監視センサによって監視される作業機構部の動作中における特定の姿勢が、事前状態の作業機構部の姿勢と一致するとしても、作業機構部の動作によっては、アタッチメントが負荷対象物に接触しない場合がある。上記(2)の構成によれば、判定処理は、アタッチメントの動作中における特定の姿勢だけではなく、この特定の姿勢に至るまでのアタッチメントの動作を考慮して、アタッチメントの状態が事前状態にあるかどうかを判定する。このため、アタッチメントの状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理の精度を高めることができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の一構成において、前記判定部は、前記特定の姿勢が、前記事前状態に対応する前記作業機構部の姿勢である事前姿勢と一致するかどうかを判定する姿勢判定処理を実行する姿勢判定部と、前記特定の姿勢に至るまでの前記作業機構部の動作が、前記事前状態に対応する前記作業機構部の動作である事前動作と一致するかどうかを判定する動作判定処理を実行する動作判定部と、を含み、前記特定の姿勢が前記事前姿勢と一致し、且つ、前記特定の姿勢に至るまでの前記作業機構部の動作が前記事前動作と一致する場合に、前記作業機構部の状態が前記事前状態にあると判定する前記判定処理を実行する。
上記(3)の構成によれば、姿勢判定処理および動作判定処理の2つの処理結果に基づいてアタッチメントの状態が事前状態にあるかどうかを判定することで、判定処理の精度をさらに高めることができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)の何れかに記載の一構成において、前記アタッチメントの位置から前記負荷対象物の位置までの距離を計測するための距離計測センサをさらに備え、前記判定部は、前記距離計測センサによって計測される前記距離を考慮して、前記作業機構部の状態が前記事前状態にあるかどうかを判定する前記判定処理を実行する。
監視センサによって監視される作業機構部の動作中における特定の姿勢が、事前状態の作業機構部の姿勢と一致するとしても、アタッチメントと負荷対象物との距離によっては、アタッチメントが負荷対象物に接触するまでの時間が、想定している時間とずれる虞がある。上記(4)の構成によれば、判定部は、アタッチメントの位置からアタッチメントが接触する負荷対象物の位置までの距離を考慮して、判定処理を実行する。このため、アタッチメントの状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理の精度を高めることができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)の何れかに記載の一構成において、前記監視センサは、前記作業機構部の動作を撮像可能な監視カメラからなる。
上記(5)の構成によれば、監視センサは作業機構部の動作を撮像可能な監視カメラからなるので、作業機構部の動作中における特定の姿勢、及び作業機構部の動作を視覚的に容易に監視することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)の何れかに記載の一構成において、前記作業機構部は、アクチュエータを介して、前記エンジンによって駆動され、前記監視センサは、前記アクチュエータの出力を計測可能な出力計測センサからなる。
上記(6)の構成によれば、作業機構部は、アクチュエータを介して、エンジンによって駆動されているので、このアクチュエータの出力を計測することで、作業機構部の動作中における特定の姿勢、及び作業機構部の動作を定量的(数値的)に容易に監視することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)から(6)の何れかに記載の一構成において、前記判定部が前記作業機構部の状態を前記事前状態にあると判定してから所定時間が経過するまでに、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触しない場合には、前記増加処理を中止する中止処理を実行する中止処理部をさらに備える。
上記(7)の構成によれば、判定部が作業機構部の状態を事前状態にあると判定してから所定時間が経過するまで、アタッチメントが前記負荷対象物に接触しない場合には、所定時間の経過後に中止処理を実行する。このため、不要な増加処理を中止するので、燃料の消費を抑制することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)から(7)の何れかに記載の一構成において、前記判定処理及び前記増加処理は、前記作業用車両が停車している状態で実行される。
例えば、フォークリフトのフォークによる荷物の持ち上げ作業や油圧ショベルのバケットによる地面の掘削作業などは、停車している状態で行われる。このため、上記(8)の構成によれば、上述したような作業が行なわれる際に判定処理及び増加処理を実行することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)から(8)の何れかに記載の一構成において、前記作業機構部の状態が前記事前状態にあると判定された時における前記作業機構部の前記特定の姿勢と、前記作業機構部の状態が前記事前状態にあると判定された後に前記アタッチメントが前記負荷対象物に第1時間以内に実際に接触したか否かとの相関性について機械学習を行う第1学習部をさらに備え、前記判定部は、前記第1学習部による機械学習の結果を考慮して、前記作業機構部の状態が前記事前状態にあるかどうかを判定する前記判定処理を実行する。
上記(9)の構成によれば、第1学習部は、作業機構部の状態が事前状態にあると判定された時における作業機構部の特定の姿勢と、作業機構部の状態が事前状態にあると判定された後にアタッチメントが負荷対象物に第1時間以内に実際に接触したか否かとの相関性について機械学習を行う。そして、判定部は、この第1学習部による機械学習の結果を考慮して、判定処理を実行する。このため、アタッチメントが特定の姿勢にあれば、アタッチメントが負荷対象物に接触するという信頼性が向上し、作業機構部の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理の精度を高めることができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)から(9)の何れかに記載の一構成において、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触した直後の前記エンジンに投入される負荷の大きさと、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触した直後の前記エンジンの回転数との相関性について機械学習を行う第2学習部をさらに備え、前記エンジン回転数増加部は、前記第2学習部による機械学習の結果を考慮して、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触する前に、前記エンジンの回転数を増加させる前記増加処理を実行する。
上記(10)の構成によれば、第2学習部は、アタッチメントが負荷対象物に接触した直後のエンジンに投入される負荷の大きさと、アタッチメントが負荷対象物に接触した直後のエンジンの回転数との相関性について機械学習を行う。そして、エンジン回転数増加部は、この第2学習部による機械学習の結果を考慮して、増加処理を実行する。このため、アタッチメントが負荷対象物に接触した直後のエンジンに投入される負荷の大きさに応じて、エンジン回転数増加部によってエンジンの回転数を適切に増加させることで、エンジンの過渡応答性を向上させることができる。
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン回転数制御方法は、エンジンと、前記エンジンによって駆動される作業機構部であって、負荷対象物に接触するアタッチメントを含む作業機構部と、を有する作業用車両の前記エンジンの回転数を制御するエンジン回転数制御方法であって、前記エンジン回転数制御方法は、前記作業機構部の動作を監視する監視ステップと、前記作業機構部の動作中における特定の姿勢に基づいて、前記作業機構部の状態が、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する判定ステップと、前記判定ステップによって前記作業機構部の状態が前記事前状態にあると判定されると、前記アタッチメントが前記負荷対象物に接触する前に、前記エンジンの前記回転数を増加させる増加処理を実行するエンジン回転数増加ステップと、を備える。
上記(11)の方法によれば、判定ステップにおいて、作業機構部の動作中における特定の姿勢に基づいて、作業機構部の状態が、アタッチメントが負荷対象物に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する。このため、特許文献1に記載されているエンジン制御装置のように、エンジンに対して負荷が投入されると事前に検知した時間とエンジンに対して実際に負荷が投入された時間との差が、例えば油路の構成によって、大きくずれることはなく、アタッチメントが負荷対象物に接触する直前のタイミングを精度よく把握することができる。
また、上記(11)の方法によれば、エンジン回転数増加ステップにおいて、判定ステップによって作業機構部の状態が事前状態にあると判定されると、アタッチメントが負荷対象物に接触する前に、エンジンの回転数を増加させる増加処理を実行する。このため、アタッチメントが負荷対象物に接触して、このアタッチメントの動作によってエンジンの回転数を低下させる前に、エンジンの回転数を予め増加させておくことで、エンジンの過渡応答性を向上させることができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、アタッチメントが負荷対象物に接触する直前のタイミングを精度よく把握することで、エンジンの過渡応答性を向上可能なエンジン回転数制御装置、及び、エンジン回転数制御方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置は、特に、エンジンを走行用の動力源として利用することに加え、作業を行なうためのアタッチメントを駆動するための動力源としても利用する作業用車両に適用される。作業用車両とは、例えば、フォークリフト等の産業車両や、ショベル系掘削機、ブルドーザ、スクレープドーザ、スクレーパ、ローダ等の建設機械を含む。作業(operation)とは、アタッチメントによって負荷対象物に対して仕事(work)を行うことを意味し、例えば、フォークリフトのフォークによって荷物を持ち上げる持ち上げ作業や、油圧ショベルのバケットによって地面を掘削する掘削作業等を含む。アタッチメントは、作業目的に応じて異なる種類のものに交換可能であってもよい。本開示では、フォークリフト、及びショベル系掘削機の一種である油圧ショベルを例にして、エンジン回転数制御装置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置の概略構成図である。図2は、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置の構成を示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置を備える作業用車両の一例であるフォークリフトの全体構成図である。図4は、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置の構成図であって、作業用車両の一例であるフォークリフトに適用された場合を例に示した構成図である。図5は、エンジンの回転数の過渡応答性について説明するための説明図である。図6は、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置を備える作業用車両の一例である油圧ショベルの全体構成図である。図7は、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置の構成図であって、作業用車両の一例である油圧ショベルに適用された場合を例に示した構成図である。図8は、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置のエンジン回転数制御方法のフローチャートである。
尚、図3又は図6に示す構成が、図1に示す構成と同じものを表す場合には、同一の符号を付している。同様に、図4又は図7に示す構成が、図2に示す構成と同じものを表す場合には、同一の符号を付している。
図1に示すように、作業用車両1は、エンジン2と、燃料噴射装置3と、走行装置4と、を備える。エンジン2は、燃料噴射装置3から供給される燃料を燃焼することで駆動するように構成されている。そして、このエンジン2が駆動することで発生する出力トルクを走行装置4に伝達することで、作業用車両1を走行させる。
尚、走行装置4は、図1に示すように、駆動軸9と車輪10とを有するように構成されてもよいし、あるいは、車輪10に代えて不図示のクローラ(いわゆる、キャタピラ)を含むように構成されてもよい。また、エンジン2は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンである。
本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置100は、図1に示すように、エンジン2と、作業機構部7と、を有する作業用車両1のエンジン2の回転数を制御するための装置である。
作業機構部7は、エンジン2によって駆動されるように構成されている。図1に示した実施形態では、作業機構部7は、アクチュエータ6及び油圧ポンプ8を介して、エンジン2によって駆動されるように構成されている。具体的に説明すると、エンジン2は、上述した出力トルクによって、油圧ポンプ8を駆動させる。そして、この駆動した油圧ポンプ8から供給される圧油によって、アクチュエータ6を駆動させる。そして、このアクチュエータ6の駆動によって、作業機構部7を駆動させる。
また、作業機構部7は、負荷対象物50に接触するアタッチメント11を含む。図1に示した実施形態では、アクチュエータ6を駆動させることで、後述するフォークリフト30の作業機構部7A(7)、又は後述する油圧ショベル40の作業機構部7B(7)を駆動させる様子が例示されている。そして、フォークリフト30の作業機構部7Aには、例えば、フォークリフト30に対する負荷対象物50である荷物50A(50)を持ち上げる持ち上げ作業を行なうためのアタッチメント11であるフォーク11Aが含まれる。同様に、油圧ショベル40の作業機構部7Bには、例えば、油圧ショベル40に対する負荷対象物50である地面50B(50)を掘削する掘削作業を行なうためのアタッチメント11であるバケット11Bが含まれる。そして、これらアタッチメント11は、作業機構部7が駆動することによって、負荷対象物50に接触する。
エンジン回転数制御装置100は、図1〜図4、図6及び図7に示すように、作業機構部7の動作を監視するための監視センサ12を有する監視手段を備える。また、エンジン回転数制御装置100は、図2、図4及び図7に示すように、判定部22とエンジン回転数増加部24とを含むコントローラ20を備える。
コントローラ20は、例えば、プロセッサを含む中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、およびI/Oインターフェイスなどから構成されている。そして、図2、図4及び図7に示した実施形態では、このコントローラ20は、例えば、CPUによってROMに記憶されている判定部22やエンジン回転数増加部24などのようなプログラムを実行可能に構成されている。
判定部22は、作業機構部7の動作中における特定の姿勢に基づいて、作業機構部7の状態が、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する。
エンジン回転数増加部24は、判定部22によって作業機構部7の状態が事前状態にあると判定されると、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する前に、エンジン2の回転数を増加させる増加処理を実行する。
ここで、図3〜図5を参照しながら、フォークリフト30による荷物50Aの持ち上げ作業を例にして、判定部22によって実行される判定処理、及びエンジン回転数増加部24によって実行される増加処理について説明する。
図3に示すように、フォークリフト30は、車体31と、車体31に設けられたチルトシリンダ6A及びリフトシリンダ6B(アクチュエータ6)と、車体31の前方に設けられた作業機構部7Aと、監視カメラ12A(12)からなる監視センサ12と、を備える。
作業機構部7Aは、図3に示すように、チルトシリンダ6Aの駆動によって車体31に対して傾斜可能なマスト33と、リフトシリンダ6Bの駆動によってマスト33に沿って昇降されるリフトブラケット34と、リフトブラケット34に取り付けられているフォーク11Aと、を含む。
このような作業機構部7Aを備えるフォークリフト30は、図3に示すように、フォーク11Aをパレット51に挿入して、このフォーク11Aを昇降させることで、パレット51に載せられている荷物50Aを昇降させる。そして、フォーク11Aに取り付けられている監視カメラ12Aによってフォーク11Aを監視することで、フォークリフト30の作業機構部7Aの動作が監視されている。
ここで、フォークリフト30のフォーク11Aによって荷物50Aを持ち上げる持ち上げ作業について説明する。図4に示すように、パレット51は、互いに平行に配置された一対の板状部材である上側部材51aと下側部材51bとを含む。そして、上側部材51aと下側部材51bとの間には、上述したフォーク11Aが挿入される空間である挿入孔52が形成されている。そして、上側部材51aの上面51a1には、荷物50Aが載せられている。
そして、荷物50Aの持ち上げ作業を行なうために、チルトシリンダ6Aの駆動によって、フォーク11Aの上面11A1がパレット51の上側部材51aの下面51a2に対して略平行となるようにマスト33を傾斜させる。そして、図4に示すように、フォーク11Aを、挿入孔52に差し込んで、リフトシリンダ6Bの駆動によってリフトブラケット34を上昇させる。そして、このリフトブラケット34の上昇によりマスト33に沿ってフォーク11Aを上昇させることで、フォークリフト30の作業機構部7Aは、フォーク11Aの上面11A1がパレット51の上側部材51aの下面51a2に接触する直前の状態である事前状態になる。そして、さらにフォーク11Aを上昇させることで、フォーク11Aの上面11A1をパレット51の上側部材51aの下面51a2に接触させて、フォーク11Aによって荷物50Aを持ち上げる持ち上げ作業が行われる。
このような持ち上げ作業において、フォークリフト30の作業機構部7Aにおけるフォーク11Aの動作は、監視カメラ12Aによって監視されている。
そして、判定部22は、図4に示すように、この監視カメラ12Aによって監視されているフォークリフト30の作業機構部7Aの動作中における特定の姿勢M1と判定部22に予め記憶されている事前状態におけるフォークリフト30の作業機構部7Aの事前姿勢M0とを対比させることで、フォークリフト30の作業機構部7Aの状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する。
そして、図4に示されるエンジン回転数増加部24は、後述する図8に示すように、判定部22によってフォークリフト30の作業機構部7Aの状態が事前状態にあると判定されると、フォーク11Aがパレット51(フォーク11Aの上面11A1がパレット51の上側部材51aの下面51a2)に接触する前に、燃料噴射装置3に対してエンジン2に供給する燃料を増加するように指示することで、エンジン2の回転数を増加させる増加処理を実行するように構成されている。
ところで、フォークリフト30や油圧ショベル40などの作業用車両においては、そのアタッチメント11が負荷対象物50に接触(衝突)した直後に、エンジン2に対して急激に負荷が投入され、エンジン2の回転数が急低下してしまうことが知られている。これに対して、本発明者らの知見によれば、図5に示すように、エンジン2に対して急激に負荷が投入されるタイミングT0の直前(第1タイミングT1a、第2タイミングT1b及び第3タイミングT1c)から、エンジン2に供給する燃料の噴射量を増加させることで、エンジン2の過渡応答性が向上することが判明している。図5に示した実施形態では、エンジン2に対して負荷が投入されるタイミングT0、エンジン2に対して負荷が投入されるタイミングの直前である、第1タイミングT1a、第2タイミングT1b、及び第3タイミングT1c(T1a<T1b<T1c)でエンジン2に供給する噴射量を増加した場合におけるエンジン2の回転数の過渡応答性を示している。
ここで、エンジン2の過渡応答性とは、アタッチメント11が負荷対象物50に接触することによりエンジン2に対して急激に負荷が投入されてから、エンジン2の回転数が所定の回転数に戻るまでの応答時間の長さに関し、過渡応答性が向上するとは、この応答時間が短くなることを意味する。図5に示した実施形態では、第1タイミングT1aにエンジン2に供給する燃料の噴射量を増加しておくことで、最も過渡応答性が向上していることが示されている。
このような本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置100によれば、判定部22は、作業機構部7の動作中における特定の姿勢M1に基づいて、作業機構部7の状態が、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する。このため、特許文献1のように、例えば油路の構成によって、エンジン2に対して負荷が投入されると事前に検知した時間とエンジン2に対して実際に負荷が投入された時間との差が大きくずれることはなく、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する直前のタイミングを精度よく把握することができる。
また、このような本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置100によれば、エンジン回転数増加部24は、判定部22によって作業機構部7の状態が事前状態にあると判定されると、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する前に、エンジン2の回転数を増加させる増加処理を実行する。このため、アタッチメント11が負荷対象物50に接触して、このアタッチメント11の動作によってエンジン2の回転数を低下させる前に、図5に示すように、エンジン2の回転数を予め増加させておくことで、エンジン2の過渡応答性を向上させることができる。
幾つかの実施形態では、図4及び図7に示すように、判定部22は、特定の姿勢M1に至るまでの作業機構部7の動作N1を考慮して、作業機構部7の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行するように構成されている。
図4に示した実施形態では、判定部22は、監視カメラ12Aによって監視されているフォークリフト30の作業機構部7Aの動作中における特定の姿勢M1と判定部22に予め記憶されている事前姿勢M0とを対比させ、且つ、特定の姿勢M1に至るまでのフォークリフト30の作業機構部7Aの動作N1と判定部22に予め記憶されている事前動作N0とを対比させることで、作業機構部7の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行するように構成されている。
フォークリフト30の作業機構部7Aの動作中における特定の姿勢M1が事前状態におけるフォークリフト30の作業機構部7Aの事前姿勢M0と一致するとしても、作業機構部7の状態が上述した事前状態に該当しない場合がある。例えば、作業機構部7Aが図4に示す事前姿勢M0に一致するとしても、事前姿勢M0に至るまでフォーク11Aが下降中だった場合には、この後もフォーク11Aはパレット51に接触しないことが予測される。したがって、このような場合は事前状態には該当しない。
このような構成によれば、判定処理は、アタッチメント11の動作中における特定の姿勢M1だけではなく、この特定の姿勢M1に至るまでのアタッチメント11の動作を考慮して、アタッチメント11の状態が事前状態にあるかどうかを判定する。このため、アタッチメント11の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理の精度を高めることができる。
幾つかの実施形態では、図2、図4及び図7に示すように、判定部22は、姿勢判定部26と動作判定部28とを含む。
姿勢判定部26は、特定の姿勢M1が、事前状態に対応する作業機構部7の姿勢である事前姿勢M0と一致するかどうかを判定する姿勢判定処理を実行する。
動作判定部28は、特定の姿勢M1に至るまでの作業機構部7の動作N1が、事前状態に対応する作業機構部7の動作である事前動作N0と一致するかどうかを判定する動作判定処理を実行する。
そして、判定部22は、特定の姿勢M1が事前姿勢M0と一致し、且つ、特定の姿勢M1に至るまでの作業機構部7の動作N1が事前動作N0と一致する場合に、作業機構部7の状態が事前状態にあると判定する。
このような構成によれば、姿勢判定処理および動作判定処理の2つの処理結果に基づいてアタッチメント11の状態が事前状態にあるかどうかを判定することで、判定処理の精度をさらに高めることができる。
幾つかの実施形態では、図1〜図4、図6及び図7に示すように、エンジン回転数制御装置100は、距離計測センサ15をさらに備える。そして、この距離計測センサ15は、アタッチメント11の位置から負荷対象物50の位置までの距離dを計測するためのセンサである。そして、判定部22は、この距離計測センサ15によって計測される距離dを考慮して、作業機構部7の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する。
尚、図1〜図4、図6及び図7に示した実施形態では、監視カメラ12A、12Bは、監視センサ12及び距離計測センサ15の両方の役割を兼ねている。
上述した実施形態では、アタッチメント11と負荷対象物50との相対的な位置関係については考慮せずに、フォークリフト30の作業機構部7Aの動作中における特定の姿勢M1に基づいて、判定処理が実行されている。つまり、監視カメラ12Aによって監視されるフォークリフト30の作業機構部7Aの動作中における特定の姿勢M1が、事前状態のフォークリフト30の作業機構部7Aの事前姿勢M0と一致するとしても、フォーク11Aとパレット51と(フォーク11Aの上面11A1とパレット51の上側部材51aの下面51a2と)の距離dによっては、フォーク11Aの上面11A1がパレット51の上側部材51aの下面51a2に接触するまでの時間が、想定している時間とずれる虞がある。
このような構成によれば、判定部22は、アタッチメント11の位置からアタッチメント11が接触する負荷対象物50の位置までの距離dを考慮して、判定処理を実行する。このため、アタッチメント11の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理の精度を高めることができる。
幾つかの実施形態では、上述した図3及び図4、及び後述する図6及び図7に示すように、監視センサ12は、作業機構部7の動作を撮像可能な監視カメラ12A、12Bからなる。
このような構成によれば、監視センサ12は作業機構部7の動作を撮像可能な監視カメラ12A、12Bからなるので、作業機構部7の動作中における特定の姿勢M1、及び作業機構部7の動作を視覚的に容易に監視することができる。
次に、図6及び図7を参照しながら、油圧ショベル40による地面50Bの掘削作業を例にして、判定部22によって実行される判定処理、及びエンジン回転数増加部24によって実行される増加処理について説明する。
図6に示すように、油圧ショベル40は、車体41と、車体41の前部に取り付けられている油圧ショベル40の作業機構部7Bと、この作業機構部7Bを駆動させるためのアクチュエータ6と、を備える。
幾つかの実施形態では、図6に示すように、作業機構部7は、アクチュエータ6を介して、エンジン2によって駆動され、監視センサ12は、アクチュエータ6の出力を計測可能な出力計測センサ17からなる。
図6に示した実施形態では、油圧ショベル40の作業機構部7Bは、ブーム42と、アーム43と、バケット11Bと、からなる。ブーム42は、車体41の前部に回動可能に取り付けられるとともに、ブームシリンダ6C(6)からなるアクチュエータ6を介して、エンジン2によって駆動される。アーム43は、このブーム42の先端に回動可能に取り付けられるとともに、アームシリンダ6D(6)からなるアクチュエータ6を介して、エンジン2によって駆動される。バケット11Bは、このアーム43の先端に回動可能に取り付けられるとともに、バケットシリンダ6Eからなるアクチュエータ6を介して、エンジン2によって駆動される。
出力計測センサ17(例えば、圧油の圧力を検出する圧力センサやシリンダの伸縮量を検出する伸縮量センサなど)は、図6に示すように、ブームシリンダ6C、アームシリンダ6D及びバケットシリンダ6Eのそれぞれに取り付けられている。そして、この出力計測センサ17からの出力データを基に、例えば、図6に示すような、車体41の前後方向に延びる第1仮想軸O1に対するブーム42の角度θ1、第1仮想軸O1と直交する第2仮想軸O2に対するアーム43の角度θ3、アーム43に対するバケット11Bの角度θ4が算出される。そして、ブーム42の長さ(L1、L2)と、ブーム42の屈曲部の角度(θ2)と、アーム43の長さ(L3)とは、予め判明しているため、バケット11Bの位置を算出することができる。
このような作業機構部7Bや出力計測センサ17を備える油圧ショベル40は、図6に示すように、ブームシリンダ6Cの駆動によってブーム42の角度θ1を調整し、アームシリンダ6Dの駆動によってアーム43の角度θ3を調整することで、バケット11Bを地面50Bに近づける。そして、バケットシリンダ6Eの駆動によって、バケット11Bを駆動させることで地面50Bを掘削するように構成されている。そして、出力計測センサ17で計測される出力によって、油圧ショベル40の作業機構部7Bの動作が監視されている。
そして、判定部22は、図7に示すように、この出力計測センサ17によって監視されている油圧ショベル40の作業機構部7Bの動作中における特定の姿勢M1と判定部22に予め記憶されている事前状態における油圧ショベル40の作業機構部7Bの事前姿勢M0とを対比させ、且つ、特定の姿勢M1に至るまでのフォークリフト30の作業機構部7Aの動作N1と判定部22に予め記憶されている事前動作N0とを対比させることで、油圧ショベル40の作業機構部7Bの状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する。
そして、エンジン回転数増加部24は、図7に示すように、判定部22によって油圧ショベル40の作業機構部7Bの状態が事前状態にあると判定されると、バケット11Bが地面50Bに接触する前に、燃料噴射装置3に対してエンジン2に供給する燃料を増加するように指示することで、エンジン2の回転数を増加させる増加処理を実行する。
このような構成によれば、作業機構部7は、アクチュエータ6を介して、エンジン2によって駆動されているので、このアクチュエータ6の出力を計測することで、作業機構部7の動作中における特定の姿勢M1、及び作業機構部7の動作N1を定量的(数値的)に容易に監視することができる。
幾つかの実施形態では、図6に示すように、油圧ショベル40は、車体41に取り付けられている監視カメラ12A(12)を備える。そして、この監視カメラ12Aによって、上述したブーム42の長さL1及び角度θ1、アーム43の長さL2、L3及び角度θ2、θ3及びバケット11Bの位置を視覚的に監視してもよい。
幾つかの実施形態では、図2、図4及び図7に示すように、判定部22は、中止処理部25をさらに備えている。中止処理部25は、後述する図8に示されるように、作業機構部7の状態を事前状態にあると判定してから所定時間が経過するまでに、アタッチメント11が負荷対象物50に接触しない場合には、増加処理を中止する中止処理を実行するように構成されている。ここで所定時間とは、判定処理によって事前状態であると判定されることで、エンジン2に対して負荷が投入されると予測される時間よりも少なくとも遅い時間である。
図5に示すように、判定部22が作業機構部7の状態を事前状態にあると判定(例えば、第1タイミングT1a)してから、アタッチメント11が負荷対象物50に接触することで、エンジン2に対して実際に負荷が投入(T0)され、エンジン2の回転数が低下する(T2)までには時間差が生じる。そして、中止処理部25は、所定時間が経過するまでに、アタッチメント11が負荷対象物50に接触しない場合には、増加処理を中止する中止処理を実行する。
このような構成によれば、判定部22が作業機構部7の状態を事前状態にあると判定してから所定時間が経過する前に中止処理を実行する。このため、不要な増加処理を中止するので、燃料の消費を抑制することができる。
幾つかの実施形態では、判定処理及び増加処理は、作業用車両1が停車している状態で実行される。
例えば、図3に示すような、フォークリフト30のフォーク11Aによる荷物50Aの持ち上げ作業や、図6に示すような、油圧ショベル40のバケット11Bによる地面50Bの掘削作業などは、停車している状態で行われる。このため、このような構成によれば、上述したような作業が行なわれる際に判定処理及び増加処理を実行することができる。
尚、作業用車両1が停車している状態であるかどうかは、例えば、監視カメラ12A、12Bによって検出することができる。
幾つかの実施形態では、図2、図4及び図7に示すように、コントローラ20は、第1学習部27をさらに備える。そして、この第1学習部27は、作業機構部7の状態が事前状態にあると判定された時における作業機構部7の特定の姿勢と、作業機構部7の状態が事前状態にあると判定された後にアタッチメント11が負荷対象物50に所定時間以内に実際に接触したか否かとの相関性について機械学習を行う。そして、判定部22は、この第1学習部27による機械学習の結果を考慮して、作業機構部7の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する。
ここで、第1学習部27によって行われる機械学習とは、複数のサンプルデータ集合を対象に解析を行い、そのデータから有用なルール、判断基準などを抽出することをいう。例えば、第1学習部27は、事前状態と判定された特定の姿勢M1、この特定の姿勢M1に至るまでの動作N1、及びこの特定の姿勢M1におけるアタッチメント11と負荷対象物50との距離dと、フォーク11Aがパレット51に実際に接触した回数をカウントする。そして、このカウント数が、例えば、所定値を満たさない場合には、新たな判断基準となる事前姿勢M0、事前動作N0、アタッチメント11と負荷対象物50との距離dを抽出する。
このような構成によれば、第1学習部27は、作業機構部7の状態が事前状態にあると判定された時における作業機構部7の特定の姿勢M1と、作業機構部7の状態が事前状態にあると判定された後にアタッチメント11が負荷対象物50に所定時間以内に実際に接触したか否かとの相関性について機械学習を行う。そして、判定部22は、この第1学習部27による機械学習の結果を考慮して、判定処理を実行する。このため、アタッチメント11が特定の姿勢M1にあれば、アタッチメント11が負荷対象物50に接触するという信頼性が向上し、作業機構部7の状態が事前状態にあるかどうかを判定する判定処理の精度を高めることができる。
幾つかの実施形態では、図2、図4及び図7に示すように、コントローラ20は、第2学習部29をさらに備える。そして、この第2学習部29は、アタッチメント11が負荷対象物50に接触した直後のエンジン2に投入される負荷の大きさと、アタッチメント11が負荷対象物50に接触した直後のエンジン2の回転数との相関性について機械学習を行う。そして、エンジン回転数増加部24は、この第2学習部29による機械学習の結果を考慮して、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する前に、エンジン2の回転数を増加させる増加処理を実行する。
ここで、第2学習部29によって行われる機械学習とは、複数のサンプルデータ集合を対象に解析を行い、そのデータから有用なルール、判断基準などを抽出することをいう。例えば、増加処理によって増加される燃料の増加量が異なる場合や、増加処理を実行するタイミングが異なる場合における、アタッチメント11が負荷対象物50に接触した直後のエンジン2に投入される負荷の大きさと、アタッチメント11が負荷対象物50に接触した直後のエンジン2の回転数との相関性について機械学習を行う。つまり、燃料の増加量が異なる場合の過渡応答性のデータや、図5に示すような、増加処理を実行するタイミングが異なる場合の過渡応答性のデータを集める。そして、燃費の消費を抑制しつつ、良好な負荷応答性を有するように、エンジン2に供給する燃料の増加量、及びエンジン2に燃料を供給するタイミング(第1タイミングT1a)を抽出する。
このような構成によれば、第2学習部29は、アタッチメント11が負荷対象物50に接触した直後のエンジン2に投入される負荷の大きさと、アタッチメント11が負荷対象物50に接触した直後のエンジン2の回転数との相関性について機械学習を行う。そして、エンジン回転数増加部24は、この第2学習部29による機械学習の結果を考慮して、増加処理を実行する。このため、アタッチメント11が負荷対象物50に接触した直後のエンジン2に投入される負荷の大きさに応じて、エンジン回転数増加部24によってエンジン2の回転数を適切に増加させることで、エンジン2の過渡応答性を向上させることができる。
図8に示すように、本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置100のエンジン回転数制御方法は、監視ステップS2と、判定ステップS3と、エンジン回転数増加ステップS4と、を備える。
図8に示した実施形態では、作業用車両1が停車している状態である(ステップS1:Yes)と、監視ステップS2を実行する。作業用車両1が走行している状態(ステップS1:No)であると、エンジン回転数制御方法によるエンジン2の回転数の制御は実行されずに終了する。
監視ステップS2では、作業機構部7の動作を監視する。そして、判定ステップS3では、監視ステップS2において監視されている作業機構部7の動作中における特定の姿勢M1に基づいて、作業機構部7の状態が、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する判定処理を実行する。判定処理によって作業機構部7の状態が事前状態にあると判定される(判定ステップS3:Yes)と、エンジン回転数増加ステップS4を実行する。判定処理によって作業機構部7の状態が事前状態ではないと判定される(判定ステップS3:No)と、エンジン回転数制御方法によるエンジン2の回転数の制御は実行されずに終了する。
エンジン回転数増加ステップS4では、判定ステップS3によって作業機構部7の状態が事前状態にあると判定されると、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する前に、エンジン2の回転数を増加させる増加処理を実行する。
幾つかの実施形態では、図8に示すように、判定ステップS3によって作業機構部7の状態が事前状態にあると判定してから所定時間ΔTが経過する前に、アタッチメント11が負荷対象物50に接触しない場合には、増加処理を中止する中止処理を実行する中止ステップS5をさらに備える。
このような本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置100のエンジン回転数制御方法によれば、判定ステップS3において、作業機構部7の動作中における特定の姿勢M1に基づいて、作業機構部7の状態が、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する直前の状態である事前状態にあるかどうかを判定する。このため、特許文献1のように、例えば油路の構成によって、エンジン2に対して負荷が投入されると事前に検知した時間とエンジン2に対して実際に負荷が投入された時間との差が大きくずれることはなく、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する直前のタイミングを精度よく把握することができる。
また、このような本発明の一実施形態に係るエンジン回転数制御装置100のエンジン回転数制御方法によれば、エンジン回転数増加ステップS4において、判定ステップS3によって作業機構部7の状態が事前状態にあると判定されると、アタッチメント11が負荷対象物50に接触する前に、エンジン2の回転数を増加させる増加処理を実行する。このため、アタッチメント11が負荷対象物50に接触して、このアタッチメント11の動作によってエンジン2の回転数を低下させる前に、エンジン2の回転数を予め増加させておくことで、エンジン2の過渡応答性を向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態にかかるエンジン回転数制御装置、及びエンジン回転数制御方法について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。