JP6808916B2 - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子 Download PDF

Info

Publication number
JP6808916B2
JP6808916B2 JP2015158944A JP2015158944A JP6808916B2 JP 6808916 B2 JP6808916 B2 JP 6808916B2 JP 2015158944 A JP2015158944 A JP 2015158944A JP 2015158944 A JP2015158944 A JP 2015158944A JP 6808916 B2 JP6808916 B2 JP 6808916B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
group
general formula
carbon atoms
polymerizable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015158944A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017037227A (ja
Inventor
藤沢 宣
宣 藤沢
琴姫 張
琴姫 張
史晃 小寺
史晃 小寺
山本 修平
修平 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Priority to JP2015158944A priority Critical patent/JP6808916B2/ja
Publication of JP2017037227A publication Critical patent/JP2017037227A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6808916B2 publication Critical patent/JP6808916B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Description

本発明は液晶表示素子に関する。
カラーフィルターを不要とするフィールドシーケンシャルフルカラー表示方式は、「赤→緑→青」と順次点灯するバックライトを用いることに特徴がある。通常のCRTや液晶ディスプレイでは、フレーム時間が16.7msであるが、フィールドシーケンシャルフルカラー表示方式では、フレーム時間が5.6msと、高速応答性が要求される。
高速応答性を示す指標として、τdとτrの和が挙げられる。τdは液晶の立ち下がり応答時間であり、τrは液晶の立ち上がり応答時間である。フィールドシーケンシャルフルカラー表示方式における高速応答性を満たすためには、τdとτrの和が1.5ms未満であることが望まれている。
現在、市場ではネマチック液晶と呼ばれる液晶材料は、テレビ、モニター、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などのフラットパネルディスプレイにおいて一般的に利用されている。しかし、ネマチック液晶は、応答速度が約十数ミリ秒から数ミリ秒と遅いため、改善が望まれている。応答速度は液晶の回転粘性γ1、及び弾性定数に大きく影響されるため、新規化合物の開発や組成の最適化により改良が検討されているが、改善の進展が遅くなっている。これに対しスメクチック液晶を用いた強誘電性液晶(FLC)は、数百マイクロ秒の高速応答が可能である。しかし、明と暗の二状態のみであるためフルカラー表示に必要な中間階調表示には容易ではく、面積階調等の手法を用いている。
FLCの内、FLCとモノマーの混合物からなるPolymer Stabilized V shaped−FLC(PSV−FLC)素子は、強誘電性液晶内に微細なポリマーネットワークを形成したものであり、FLCの特長である高速応答性のほかに中間階調表示が可能であり、また耐衝撃性も従来のFLCに比較して向上している(例えば、特許文献1参照。)。
また、ネマチック液晶と高分子との複合材料においては、70質量%以上の重合性化合物をネマチック液晶媒体に添加すると数十マイクロ秒の高速応答が得られているが、駆動電圧が約80Vを超え実用に向かず、且つ実効の複屈折率が使用している液晶複屈折率よりも1桁以上低くなってしまうため、素子の透過率を低下させてしまっている。一方、0.3質量%以上1質量%未満の1種類以上の重合性化合物を液晶媒体に添加して、電圧を印加するか印加せずに、UV光重合により、ガラス基板界面上に重合若しくは架橋して得られる微細な突起構造物を形成させてプレチルトを主に誘起させるPS(polymer−stabilised:高分子安定化)又はPSA(polymer−sustained alignment:高分子維持配向)ディスプレイが提案されている(例えば、特許文献2〜6参照。)。しかしながら、これらの素子においても高速応答性の観点においては改良の余地があった。特に、液晶表示装置の立上がり速度の高速応答化に関しては、液晶組成物の低粘性化、高誘電率化、低弾性定数化や、プレティルト角の付与、あるいはオーバードライブ法などの駆動方法の改善等色々な手法が実用化されているが、立下がり速度に関しては、液晶組成物の低粘性化以外に有効な手法が見出されていないのが現状であり、改善が望まれていた。
さらに、突起構造やスリット電極構造を設けた配向分割を施した垂直配向モードのMVA型液晶表示装置の場合は、その基板界面に対する液晶分子のプレチルト角が基板の法線方向に対して0.5°から1°程度と極めて小さく、高い電圧を印加して液晶分子を電界に対して垂直方向に配向させる際は、ランダムな方向に液晶分子が垂直方向に配列する。そのため、液晶分子同士のドメインの配列方向のミスマッチにより、光散乱を起こす現象や液晶ドメインの再配列が起こる事に起因して印加電圧の上昇に伴って2段階に透過率が上昇するような現象が時として現れる。その結果立ち上がり応答速度が極端に遅く観測されるという問題があった。この種の問題を解決する為に考案された突起構造やスリット構造を有さない配向分割を施した負の誘電率異方性を有する液晶組成物を用いたVA−TN型の液晶表示装置においても、配向分割によって副画素領域の液晶分子の捩じれ方向が異なる場合には、各副画素領域の境界近傍で液晶分子配列の乱れを起こし、表示品位を損なうという問題があった。また、正の誘電異方性を有する配向分割を施したTN型の液晶表示装置においても、上記と同様の問題があった。さらに、一方の基板に平行配向処理、もう一方の基板に垂直配向処理を施して、さらに90°の捩じれを加えた構造を有する配向分割されたHTN型(Hybrid Twisted Nematic:ハイブリッドツイストネマティック)の液晶表示装置も考案されており、従来のTN型の液晶表示装置と比較して、応答の高速化、閾値電圧の低下などの面で性能の向上を期待できるが、HTN型の液晶表示装置も上記と同様な問題を有していた。
特開2002−31821号公報 特表2013−536271号公報 特表2013−538249号公報 特表2012−527495号公報 特表2012−513482号公報 特開2012−219270号公報
本発明が解決しようとする課題は、駆動電圧の上昇を抑制し、複屈折率の低減を抑制し透過率を改善させつつ、液晶の立下り時間を改善することで、高透過率且つ高速応答性に優れ、且つ、視野角特性の改善された液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、液晶組成物、及び重合性化合物を含有する重合性液晶組成物において、屈折率異方性を持ち配向機能を有するポリマーネットワークを液晶セル全体に形成させて高速応答を図り、且つ斜め視野角特性の改善を目的としてキラル化合物を用いること、重合性化合物の至適含有率及び、配向膜による液晶の配向方向の規制とポリマーネットワークの形成方向の整合性に着目し、本発明を完成するに至った。
なお、斜め視野角拡大の為の手段として、TN型やHTN型、及びVA−TN型の様な捩じれた液晶分子配列を有する液晶表示装置においては、マスクラビング法や光配向法などを用いて液晶分子配列が各副画素毎に異なる捩じれ角又は捩じれ方向を有する水平又は垂直配向、あるいはハイブリッド配向となる様にすればよい。マスクラビング法を用いて配向分割する場合には、上下基板のラビング方向を考慮して、各副画素毎に上下基板間で液晶分子配列が略90°捩じれた方向にラビングを行う事により、水平配向の場合には基板の平行方向に対して、垂直配向の場合には基板の法線方向に対して所望の方向に僅かにプレチルト角が付与され、捩じれ方向を揃えることができる。一方、光配向法を用いる場合には、垂直配向光配向膜に対しては基板の法線方向に対して任意のプレチルトを与えることができるが、水平光配向膜の場合は基板に平行な方向に対して与えられるプレチルト角はほぼ0°であり、捩じれ方向が決定されない場合が多い。そこで、マスクラビング法、又はフォトマスクを用いた光配向法の何れの方法においても捩じれ方向を安定して所望の方向に揃える為には、キラル化合物の添加が必要である。マスクラビング法を用いる場合、各副画素の液晶の配向方向とポリマーネットワークの形成方向を揃え、且つ、液晶分子のドメイン間の配列方向のリバースドメインを解消する為に、ラビング時に付与されるプレチルト角に起因する捩じれ方向と同一方向の回転方向を有するキラル化合物を添加する事により、又、フォトマスクを用いた光配向法を用いる場合は、回転方向は問わないが一定方向の回転方向を有するキラル化合物を添加することにより、上記背景技術が抱える問題点を解決するに至った。
[1]少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に挟持した1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物中に、1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物の硬化物である重合体又は共重合体及びキラル化合物を含有し、該重合性組成物とキラル化合物と該液晶組成物の全重量中の該重合性組成物の含有量が1質量%以上40質量%未満である液晶表示素子。
[2]該液晶組成物中の該重合体又は共重合体がポリマーネットワークを形成し、透明基板上に液晶組成物を配向させるための配向層を有する前記[1]の液晶表示素子。
[3]該ポリマーネットワークが一軸性の屈折率異方性を有し、該ポリマーネットワークの光軸方向又は配向容易軸方向と該液晶組成物の配向容易軸方向が同一方向である前記[2]の液晶表示素子。
[4]透明基板の法線方向に対して該液晶組成物が0〜90°のプレチルト角をなしている前記[1]〜[3]のいずれか1つの液晶表示素子。
[5]セル断面方向に対して少なくともセル厚の0.5%以上の厚さのポリマーネットワーク層が形成されている前記[2]〜[4]のいずれか1つの液晶表示素子。
[6]透明基板の法線方向又は水平方向に対して該ポリマーネットワークの光軸方向又は配向容易軸方向が0.1〜30.0°のプレチルト角をなしている前記[2]〜[5]のいずれか1つの液晶表示素子。
[7]重合性化合物として、下記一般式(P)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有する前記[1]〜[6]のいずれか1つの液晶表示素子。
Figure 0006808916
(式中、Zp1は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基又は−Spp2−Rp2を表し、
p1及びRp2はそれぞれ独立して以下の式(R−I)から式(R−IX):
Figure 0006808916
のいずれかを表し、前記式(R−I)〜(R−IX)中、R〜Rはお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基または炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基であり、Wは単結合、−O−またはメチレン基であり、Tは単結合または−COO−であり、p、tおよびqはそれぞれ独立して、0、1または2を表し、
Spp1及びSpp2はスペーサー基を表し、Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは1〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し
p1及びLp2はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−OCHCHO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CR−COO−、−CH=CR−OCO−、−COO−CR=CH−、−OCO−CR=CH−、−COO−CR=CH−COO−、−COO−CR=CH−OCO−、−OCO−CR=CH−COO−、−OCO−CR=CH−OCO−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH)z−、−(C=O)−O−(CH)z−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、zは1〜4の整数を表す。)を表し、
p2は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、Mp2は無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は−Rp1で置換されていても良く、
p1は以下の式(i−11)〜(ix−11):
Figure 0006808916
(式中、★でSpp1と結合し、★★でLp1若しくはLp2と結合する。)のいずれかを表し、
p3は以下の式(i−13)〜(ix−13):
Figure 0006808916
(式中、★でZp1と結合し、★★でLp2と結合する。)のいずれかを表し、
p2〜mp4はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、mp1及びmp5はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、Zp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよい。)
[8]液晶組成物として、下記一般式(LC)で表される液晶化合物を含有する前記[1]〜[7]のいずれか1つの液晶表示素子。
Figure 0006808916
(一般式(LC)中、RLCは、炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。ALC1及びALC2は、それぞれ独立して、下記の基(a)、基(b)及び基(c)からなる群より選ばれる基を表す。
(a)トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)、
(c)1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又はクロマン−2,6−ジイル基。
前記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ、フッ素原子、塩素原子、−CF又は−OCFで置換されていてもよい。
LCは単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。
LCは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、及び炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよい。
aは1〜4の整数を表す。aが2、3又は4を表し、一般式(LC)中にALC1が複数存在する場合、複数存在するALC1は、同一であっても異なっていてもよく、ZLCが複数存在する場合、複数存在するZLCは、同一であっても異なっていてもよい。)
[9]セル構造がVA−TN型、TN型、HTN型である前記[1]〜[8]のいずれか1つの液晶表示素子。
[10]2つの方向に配向分割された隣接する副画素の液晶配向方位が略180°異なり、4方向に配向分割された隣接する副画素の液晶配向方位が略90°ずつ異なる前記[1]〜[9]のいずれか1つの液晶表示素子。
[11]少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に挟持した1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物と、1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物の硬化物である重合体又は共重合体及びキラル化合物を含有し、該重合性組成物とキラル化合物と該液晶組成物の全重量中の該重合性組成物の含有量が1質量%以上40質量%未満である組成物中の重合性化合物を、エネルギー線を照射することにより重合してなる液晶表示素子。
[12]該組成物中の重合性化合物を、−50℃〜30℃の温度にてエネルギー線を照射することにより重合してなる前記[11]の液晶表示素子。
[13]該組成物中の重合性化合物を、エネルギー線照射前の透明基板の法線方向又は水平方向に対するプレチルト角が0.1〜30.0°になるような電圧を印加しながらエネルギー線を照射することにより重合してなる前記[11]又は[12]の液晶表示素子。
本発明によれば、駆動電圧の上昇を抑制し、複屈折率の低減を抑制し透過率を改善させつつ、液晶の立下り時間を改善することで、高透過率且つ高速応答性に優れ、且つ視野角特性の改善された液晶表示装置を提供する事である。
本発明によるVA−TN型の液晶表示素子のポリマーネットワーク構造と液晶分子配列の模式図である。 垂直配向セルに電圧を印加して液晶をホモジニアス配向状態にしてUV露光したセルにおける配向重合相分離構造を偏光顕微鏡で観察した写真及びその説明図である。 本発明の液晶表示素子の模式図である。 [図3]の部分拡大図である。 本発明におけるVA−TN型液晶表示装置の画素電極構造の模式図である。 本発明の液晶表示素子の模式図である。 本発明のマスクラビング法による右捩じれ4分割配向の模式図である。 本発におけるVA−TN液晶セルの液晶分子の分子配列を示す模式図である。 重合時の温度の違いによる応答時間の測定結果である。 重合時の温度の違いによる電圧―透過率特性の測定結果である。 重合時の温度の違いによる応答時間の測定結果である。
<液晶組成物>
[液晶化合物]
本発明に用いられる液晶組成物としては、一般式(LC)で表される液晶化合物を含有することが好ましい。
Figure 0006808916
一般式(LC)中、RLCは、炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。RLCのアルキル基は、それぞれ分岐鎖状の基であってもよく、直鎖状の基であってもよいが、直鎖状の基であることが好ましい。
一般式(LC)中、ALC1及びALC2は、それぞれ独立して、下記の基(a)、基(b)及び基(c)からなる群より選ばれる基を表す。
(a)トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。)、
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)、
(c)1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又はクロマン−2,6−ジイル基。
前記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ、フッ素原子、塩素原子、−CF又は−OCFで置換されていてもよい。
一般式(LC)中、ZLCは単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。
一般式(LC)中、YLCは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、及び炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよい。
一般式(LC)中、aは1〜4の整数を表す。aが2、3又は4を表し、一般式(LC)中にALC1が複数存在する場合、複数存在するALC1は、同一であっても異なっていてもよく、ZLCが複数存在する場合、複数存在するZLCは、同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC1)及び一般式(LC2)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
Figure 0006808916
一般式(LC1)又は(LC2)中、RLC11及びRLC21は、それぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよい。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、RLC11及びRLC21は、それぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましく、直鎖状であることが更に好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましい。
Figure 0006808916
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
一般式(LC1)又は(LC2)中、ALC11及びALC21はそれぞれ独立して下記の何れかの構造を表す。該構造中、シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、−CF又は−OCFで置換されていてもよい。
Figure 0006808916
一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、ALC11及びALC21はそれぞれ独立して下記の何れかの構造が好ましい。
Figure 0006808916
一般式(LC1)又は(LC2)中、XLC11、XLC12、XLC21〜XLC23は、それぞれ独立して水素原子、塩素原子、フッ素原子、−CF又は−OCFを表し、YLC11及びYLC21はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、フッ素原子、シアノ基、−CF、−OCHF、−OCHF又は−OCFを表す。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、YLC11及びYLC21は、それぞれ独立してフッ素原子、シアノ基、−CF又は−OCFが好ましく、フッ素原子又は−OCFがより好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
一般式(LC1)又は(LC2)中、ZLC11及びZLC21は、それぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、ZLC11及びZLC21は、それぞれ独立して単結合、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−が好ましく、単結合、−CHCH−、−OCH−、−OCF−又は−CFO−がより好ましく、単結合、−OCH−又は−CFO−が更に好ましい。
一般式(LC1)又は(LC2)中、mLC11及びmLC21は、それぞれ独立して1〜4の整数を表す。一般式(LC1)又は(LC2)で表わされる化合物としては、mLC11及びmLC21は、それぞれ独立して1、2又は3が好ましく、低温での保存安定性、応答速度を重視する場合には1又は2がより好ましく、ネマチック相上限温度の上限値を改善する場合には2又は3がより好ましい。一般式(LC1)又は(LC2)中に、ALC11、ALC21、ZLC11及びZLC21が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。
一般式(LC1)で表わされる化合物としては、下記一般式(LC1−a)から一般式(LC1−c)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
Figure 0006808916
一般式(LC1−a)〜(LC1−c)中、RLC11、YLC11、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11及びXLC12と同じ意味を表す。一般式(LC1−a)から一般式(LC1−c)で表される化合物としては、RLC11はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。また、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましく、YLC11はそれぞれ独立してフッ素原子、−CF又は−OCFが好ましい。
一般式(LC1−a)〜(LC1−c)中、ALC1a1、ALC1a2及びALC1b1は、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表す。また、一般式(LC1−a)〜(LC1−c)中、XLC1b1、XLC1b2、XLC1c1〜XLC1c4はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、フッ素原子、−CF又は−OCFを表す。一般式(LC1−a)から一般式(LC1−c)で表される化合物としては、XLC1b1、XLC1b2、XLC1c1〜XLC1c4はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましい。
また、一般式(LC1)は、下記一般式(LC1−d)から一般式(LC1−p)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることも好ましい。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
一般式(LC1−d)〜(LC1−p)中、RLC11、YLC11、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して前記一般式(LC1)におけるRLC11、YLC11、XLC11及びXLC12と同じ意味を表す。一般式(LC1−d)〜(LC1−p)で表わされる化合物としては、RLC11はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。また、XLC11及びXLC12はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましい。YLC11はそれぞれ独立してフッ素原子、−CF又は−OCFが好ましい。
一般式(LC1−d)〜(LC1−p)中、ALC1d1、ALC1f1、ALC1g1、ALC1j1、ALC1k1、ALC1k2、ALC1m1〜ALC1m3はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表す。
一般式(LC1−d)〜(LC1−p)中、XLC1d1、XLC1d2、XLC1f1、XLC1f2、XLC1g1、XLC1g2、XLC1h1、XLC1h2、XLC1i1、XLC1i2、XLC1j1〜XLC1j4、XLC1k1、XLC1k2、XLC1m1及びXLC1m2はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、フッ素原子、−CF又は−OCFを表す。一般式(LC1−d)〜(LC1−m)で表わされる化合物としては、XLC1d1〜XLC1m2はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましい。
一般式(LC1−d)〜(LC1−p)中、ZLC1d1、ZLC1e1、ZLC1j1、ZLC1k1、ZLC1m1はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。一般式(LC1−d)〜(LC1−p)で表わされる化合物としては、ZLC1d1〜ZLC1m1はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−CFO−又は−OCH−が好ましい。
一般式(LC1−d)〜(LC1−p)で表わされる化合物としては、下記一般式(LC1−1)から一般式(LC1−45)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。一般式(LC1−1)から一般式(LC1−45)中、RLC11はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基を表す。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
一般式(LC2)は、下記一般式(LC2−a)から一般式(LC2−g)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
Figure 0006808916
一般式(LC2−a)〜(LC2−g)中、RLC21、YLC21、XLC21〜XLC23はそれぞれ独立して前記一般式(LC2)におけるRLC21、YLC21、XLC21〜XLC23と同じ意味を表す。一般式(LC2−a)〜(LC2−g)で表わされる化合物としては、RLC21はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基がより好ましい。また、XLC21〜XLC23はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましく、YLC21はそれぞれ独立してフッ素原子、−CF又は−OCFが好ましい。
一般式(LC2−a)〜(LC2−g)中、XLC2d1〜XLC2d4、XLC2e1〜XLC2e4、XLC2f1〜XLC2f4及びXLC2g1〜XLC2g4はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子、フッ素原子、−CF又は−OCFを表す。一般式(LC2−a)〜(LC2−g)で表わされる化合物としては、XLC2d1〜XLC2g4はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子が好ましい。
一般式(LC2−a)〜(LC2−g)中、ZLC2a1、ZLC2b1、ZLC2c1、ZLC2d1、ZLC2e1、ZLC2f1及びZLC2g1はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。一般式(LC2−a)〜(LC2−g)で表わされる化合物としては、ZLC2a1〜ZLC2g4はそれぞれ独立して−CFO−又は−OCH−が好ましい。
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC3)〜一般式(LC5)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることも好ましい。
Figure 0006808916
(式中、RLC31、RLC32、RLC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよく、ALC31、ALC32、ALC41、ALC42、ALC51及びALC52はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
Figure 0006808916
(該構造中シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は酸素原子で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、−CF又は−OCFで置換されていてもよい。)のいずれかを表し、ZLC31、ZLC32、ZLC41、ZLC42、ZLC51及びZLC51はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、Zは−CH−又は酸素原子を表し、XLC41は水素原子又はフッ素原子を表し、mLC31、mLC32、mLC41、mLC42、mLC51及びmLC52はそれぞれ独立して0〜3を表し、mLC31+mLC32、mLC41+mLC42及びmLC51+mLC52は1、2又は3であり、ALC31〜ALC52、ZLC31〜ZLC52が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物からなる群より選ばれる化合物を一種又は二種以上含むことが好ましい。
LC31〜RLC52は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記構造を表すことが最も好ましく、
Figure 0006808916
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
LC31〜ALC52はそれぞれ独立して下記の構造が好ましく、
Figure 0006808916
LC31〜ZLC51はそれぞれ独立して単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CFO−、−OCF−又は−OCH−が好ましい。
一般式(LC3)、一般式(LC4)、及び一般式(LC5)で表される化合物として、一般式(LC3−1)、一般式(LC4−1)、及び一般式(LC5−1)
Figure 0006808916
(式中、R31〜R33は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R41〜R43は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Z31〜Z33は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、X41は水素原子又はフッ素原子を表し、Z34は−CH−又は酸素原子を表す。)で表される化合物群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。
一般式(LC3−1)〜一般式(LC5−1)において、R31〜R33は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数3のアルキル基を表すことが特に好ましい。
41〜R43は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基あるいは炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数4〜8のアルケニル基あるいは炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数3のアルキル基又は炭素原子数2のアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数2のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
31〜Z33は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表すが、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表すことが好ましく、単結合又は−CHO−を表すことがより好ましい。
液晶組成物において、一般式(LC3−1)、一般式(LC4−1)、及び一般式(LC5−1)で表される化合物群から選ばれる化合物を5質量%〜50質量%含有することが好ましく、5質量%〜40質量%含有することが好ましく、5質量%〜30質量%含有することがより好ましく、8質量%〜27質量%含有することがより好ましく、10質量%〜25質量%含有することがさらに好ましい。
一般式(LC3−1)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC3−11)〜一般式(LC3−15)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、R31は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R41aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
一般式(LC4−1)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC4−11)〜一般式(LC4−14)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、R32は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R42aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、X41は水素原子又はフッ素原子を表す。)
一般式(LC5−1)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC5−11)〜一般式(LC5−14)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、R33は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R43aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Z34は−CH−又は酸素原子を表す。)
一般式(LC3−11)、一般式(LC3−13)、一般式(LC4−11)、一般式(LC4−13)、一般式(LC5−11)、及び一般式(LC5−13)において、R31〜R33は、一般式(LC3−1)〜一般式(LC5−1)における同様の実施態様が好ましい。R41a〜R41cは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2のアルキル基が特に好ましい。
一般式(LC3−12)、一般式(LC3−14)、一般式(LC4−12)、一般式(LC4−14)、一般式(LC5−12)、及び一般式(LC5−14)において、R31〜R33は、一般式(LC3−1)〜一般式(LC5−1)における同様の実施態様が好ましい。R41a〜R41cは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は3のアルキル基がより好ましく、炭素原子数3のアルキル基が特に好ましい。
一般式(LC3−11)〜一般式(LC5−14)の中でも、誘電率異方性の絶対値を増大するためには、一般式(LC3−11)、一般式(LC4−11)、一般式(LC5−11)、一般式(LC3−13)、一般式(LC4−13)及び一般式(LC5−13)が好ましく、一般式(LC3−11)、一般式(LC4−11)、一般式(LC5−11)がより好ましい。
本発明の液晶表示素子における液晶層は、一般式(LC3−11)〜一般式(LC5−14)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、1種又は2種含有することがより好ましく、一般式(LC3−1)で表される化合物を1種又は2種含有することが特に好ましい。
また、一般式(LC3)、一般式(LC4)、及び一般式(LC5)で表される化合物として、一般式(LC3−2)、一般式(LC4−2)、及び一般式(LC5−2)
Figure 0006808916
(式中、R51〜R53は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R61〜R63は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、B〜Bはフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、Z41〜Z43は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、X42は水素原子又はフッ素原子を表し、Z44は−CH−又は酸素原子を表す。)
で表される化合物群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。
一般式(LC3−2)、一般式(LC4−2)、及び一般式(LC5−2)において、R51〜R53は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数3のアルキル基を表すことが特に好ましい。
61〜R63は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基あるいは炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数4〜8のアルケニル基あるいは炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数3のアルキル基又は炭素原子数2のアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数2のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
31〜B33はフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、無置換の1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、トランス−1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
41〜Z43は単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表すが、単結合、−CHCH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表すことが好ましく、単結合又は−CHO−を表すことがより好ましい。
一般式(LC3−2)、一般式(LC3−3)、一般式(LC4−2)、及び一般式(LC5−2)で表される化合物は、液晶組成物において10〜60質量%含有することが好ましいが、20〜50質量%含有することがより好ましく、25〜45質量%含有することがより好ましく、28〜42質量%含有することがより好ましく、30〜40質量%含有することがさらに好ましい。
一般式(LC3−2)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC3−21)〜一般式(LC3−29)で表される化合物が好ましい。
また、一般式(LC3−3)で表される化合物として、次に記載する一般式(LC3−31)〜一般式(LC3−33)で表される化合物も好ましい。
Figure 0006808916
(式中、R51は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R61aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表すが、一般式(LC3−2)におけるR51及びR61と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(LC4−2)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC4−21)〜一般式(LC4−26)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、R52は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R62aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、X42は水素原子又はフッ素原子を表すが、一般式(LC4−2)におけるR52及びR62と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(LC5−2)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(LC5−21)〜一般式(LC5−26)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、R53は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R63aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Wは−CH−又は酸素原子を表すが、一般式(LC5−2)におけるR53及びR63と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(LC3−21)、一般式(LC3−22)、一般式(LC3−25)、一般式(LC4−21)、一般式(LC4−22)、一般式(LC4−25)、一般式(LC5−21)、一般式(LC5−22)、及び一般式(LC5−25)において、R51〜R53は、一般式(LC3−2)、一般式(LC4−2)及び一般式(LC5−2)における同様の実施態様が好ましい。R61a〜R63aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2のアルキル基が特に好ましい。
一般式(LC3−23)、一般式(LC3−24)及び一般式(LC3−26)、一般式(LC4−23)、一般式(LC4−24)及び一般式(LC4−26)、一般式(LC5−23)、一般式(LC5−24)及び一般式(LC5−26)においてR51〜R53は、一般式(LC3−2)、一般式(LC4−2)及び一般式(LC5−2)における同様の実施態様が好ましい。R61a〜R63aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は3のアルキル基がより好ましく、炭素原子数3のアルキル基が特に好ましい。
一般式(LC3−21)〜一般式(LC5−26)の中でも、誘電率異方性の絶対値を増大するためには、一般式(LC3−21)、一般式(Lc3−22)及び一般式(LC3−25)、一般式(LC4−21)、一般式(LC4−22)及び一般式(LC4−25)、一般式(LC5−21)、一般式(LC5−22)及び一般式(LC5−25)が好ましい。
一般式(LC3−2)、一般式(Lc4−2)及び一般式(LC5−2)で表される化合物は1種又は2種以上含有することができるが、B〜Bが1,4−フェニレン基を表す化合物、及びB〜Bがトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表す化合物をそれぞれ少なくとも1種以上含有することが好ましい。
また、一般式(LC3)で表される化合物として、他には、下記一般式(LC3−a)及び一般式(LC3−b)
Figure 0006808916
(式中、RLC31、RLC32、ALC31及びZLC31はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31、RLC32、ALC31及びZLC31と同じ意味を表し、XLC3b1〜XLC3b6は水素原子又はフッ素原子を表すが、XLC3b1及びXLC3b2又はXLC3b3及びXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、mLC3a1は1、2又は3であり、mLC3b1は0又は1を表し、ALC31及びZLC31が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
LC31は、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すことが好ましく、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことがより好ましい。
LC31は単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
一般式(LC3−a)としては、下記一般式(LC3−a1)を表すことが好ましい。
Figure 0006808916
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数1〜7のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b12)を表すことが好ましく、一般式(LC3−b1)、一般式(LC3−b6)、一般式(LC3−b8)、一般式(LC3−b11)を表すことがより好ましく、一般式(LC3−b1)及び一般式(LC3−b6)を表すことがさらに好ましく、一般式(LC3−b1)を表すことが最も好ましい。
Figure 0006808916
(式中、RLC31及びRLC32はそれぞれ独立して前記一般式(LC3)におけるRLC31及びRLC32と同じ意味を表す。)
LC31及びRLC32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、RLC31が炭素原子数2又は3のアルキル基を表し、RLC32が炭素原子数2のアルキル基を表すことがより好ましい。
また、一般式(LC4)で表される化合物は、下記一般式(LC4−a)から一般式(LC4−c)で表される化合物が好ましく、一般式(LC5)で表される化合物は、下記一般式(LC5−a)から一般式(LC5−c)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、RLC41、RLC42及びXLC41はそれぞれ独立して前記一般式(LC4)におけるRLC41、RLC42及びXLC41と同じ意味を表し、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して前記一般式(LC5)におけるRLC51及びRLC52と同じ意味を表し、ZLC4a1、ZLC4b1、ZLC4c1、ZLC5a1、ZLC5b1及びZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表す。)
LC41、RLC42、RLC51及びRLC52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表すことが好ましい。
LC4a1〜ZLC5c1はそれぞれ独立して単結合、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CHCH−を表すことが好ましく、単結合を表すことがより好ましい。
前記一般式(LC)で表される化合物は、下記一般式(LC6)で表される化合物(ただし、一般式(LC1)〜一般式(LC5)で表される化合物を除く。)から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることも好ましい。
Figure 0006808916
一般式(LC6)中、RLC61及びRLC62は、それぞれ独立して炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよい。一般式(LC6)で表わされる化合物としては、RLC61及びRLC62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基が好ましく、アルケニル基としては下記のいずれかの構造を表すことが最も好ましい。
Figure 0006808916
(式中、環構造へは右端で結合するものとする。)
一般式(LC6)中、ALC61〜ALC63はそれぞれ独立して下記の何れかの構造を表す。該構造中、シクロヘキシレン基中の1つ又は2つ以上のCHCH基は−CH=CH−、−CFO−、−OCF−で置換されていてもよく、1,4−フェニレン基中1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。
Figure 0006808916
一般式(LC6)で表わされる化合物としては、ALC61〜ALC63は、それぞれ独立して下記のいずれかの構造が好ましい。
Figure 0006808916
一般式(LC6)中、ZLC61及びZLC62はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−を表し、mLC61は0〜3を表す。一般式(LC6)で表わされる化合物としては、ZLC61及びZLC62はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−COO−、−OCH−、−CHO−、−OCF−又は−CFO−が好ましい。
一般式(LC6)で表わされる化合物としては、下記一般式(LC6−a)から一般式(LC6−v)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。一般式(LC6−a1)〜一般式(LC6−p1)の式中、RLC61及びRLC62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基を表す。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
[重合性化合物]
本発明に係る重合性化合物としては、一つの反応性基を有する単官能性の重合性化合物、及び二官能又は三官能等の二つ以上の反応性基を有する多官能性の重合性化合物が挙げられる。反応性基を有する重合性化合物はメソゲン性部位を含んでいても、含んでいなくてもよい。
反応性基を有する重合性化合物において、反応性基は光による重合性を有する置換基が好ましい。特に、垂直配向膜が熱重合により生成するときに、垂直配向膜材料の熱重合の際に、反応性基を有する重合性化合物の反応を抑制できるので、反応性基は光による重合性を有する置換基が特に好ましい。
本発明に係る重合性化合物としては、以下の一般式(P)
Figure 0006808916
(上記一般式(P)中、Zp1は、フッ素原子、シアノ基、水素原子、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルキル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルコキシ基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニル基、水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭素原子数1〜15のアルケニルオキシ基又は−Spp2−Rp2を表し、
p1及びRp2はそれぞれ独立して以下の式(R−I)から式(R−IX):
Figure 0006808916
のいずれかを表し、前記式(R−I)〜(R−IX)中、R〜Rはお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基または炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基であり、Wは単結合、−O−またはメチレン基であり、Tは単結合または−COO−であり、p、tおよびqはそれぞれ独立して、0、1または2を表し、
Spp1及びSpp2はスペーサー基を表し、Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは1〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し
p1及びLp2はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−OCHCHO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CR−COO−、−CH=CR−OCO−、−COO−CR=CH−、−OCO−CR=CH−、−COO−CR=CH−COO−、−COO−CR=CH−OCO−、−OCO−CR=CH−COO−、−OCO−CR=CH−OCO−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH)z−、−(C=O)−O−(CH)z−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−又は−C≡C−(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、zは1〜4の整数を表す。)を表し、
p2は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、Mp2は無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は−Rp1で置換されていても良く、
p1は以下の式(i−11)〜(ix−11):
Figure 0006808916
(式中、★でSpp1と結合し、★★でLp1若しくはLp2と結合する。)のいずれかを表し、
p3は以下の式(i−13)〜(ix−13):
Figure 0006808916
(式中、★でZp1と結合し、★★でLp2と結合する。)のいずれかを表し、
p2〜mp4はそれぞれ独立して、0、1、2又は3を表し、mp1及びmp5はそれぞれ独立して1、2又は3を表すが、Zp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Mp2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物で表されることが好ましい。また、当該重合性化合物は1種又は2種以上含有することが好ましい。
本発明に係る一般式(P)において、Zp1は−Spp2−Rp2であることが好ましく、R11及びR12はそれぞれ独立して式(R−1)から式(R−3)のいずれかであることが好ましい。
また、前記一般式(P)において、mp1+mp5が2以上であることが好ましい。
また、前記一般式(P)において、Lp1は、単結合、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−CH=CH−、−CF−、−CFO−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH)z−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−(C=O)−O−(CH)z−、−OCF−又は−C≡C−であり、Lp2は、−OCHCHO−、−COOC−、−OCOC−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH)z−、−(C=O)−O−(CH)z−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COCO−又は−CCOO−であり、前記式中のzは、1〜4の整数であることが好ましい。
また、前記一般式(P)のLp1およびLp2の少なくともいずれかが、−(CH−C(=O)−O−、−(CH)z−O−(C=O)−および−O−(C=O)−(CH)z−、−(C=O)−O−(CH)z−からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記一般式(P)において、Rp1及びRp2はそれぞれ独立して以下の式(R−1)から式(R−15):
Figure 0006808916
のいずれかがより好ましい。
また、前記一般式(P)のmp3は0、1、2又は3を表し、mp2が1の場合Lp1は単結合であり、mp2が2又は3の場合複数存在するLp1の少なくとも1つは単結合であることが好ましい。
また、前記一般式(P)のmp3は0、1、2又は3を表し、mp3が1の場合Mp2は1,4−フェニレン基であり、mp3が2又は3の場合複数存在するMp2のうち少なくともLp1を介してMp1と隣接するMp2は1,4−フェニレン基であることが好ましい。
更に、前記一般式(P)のmp3は0、1、2又は3を表し、Mp2の少なくとも1つが、1つ又は2つ以上のフッ素で置換されている1,4−フェニレン基であることが好ましい。
更に、前記一般式(P)のmp4は0、1、2又は3を表し、Mp3の少なくとも1つが、1つ又は2つ以上のフッ素で置換されている1,4−フェニレン基であることが好ましい。
また、前記一般式(P)におけるスペーサー基(Spp1、Spp2、Spp4)としては、単結合、−OCH−、−(CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−(CH−、−COCO−、−CCOO−、−CH=CH−、−CF−、−CFO−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH−、−(C=O)−O−(CH−、−O−(CH−O−、−OCF−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−又は−C≡C−であることが好ましく、当該Zは1以上10以下の整数であることが好ましい。
本発明に係る一般式(P)の重合性化合物は、一般式(P−a)、一般式(P−b)、一般式(P−c)および一般式(P−d)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
Figure 0006808916
上記一般式(P−a)〜一般式(P−d)中、Rp1及びRp2はそれぞれ独立して以下の式(R−I)から式(R−IX):
Figure 0006808916
のいずれかを表し、前記式(R−I)〜(R−IX)中、R〜Rはお互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基または炭素原子数1〜5個のハロゲン化アルキル基であり、Wは単結合、−O−またはメチレン基であり、Tは単結合または−COO−であり、p、tおよびqはそれぞれ独立して、0、1または2を表し、
環Aおよび環Bはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、アントラセン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、インダン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、無置換であるか又は炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は−Rp1で置換されていていることが好ましく、
環Cは以下の式(c−i)〜(c−ix):
Figure 0006808916
(式中、★でSpp1と結合し、★★でLp5若しくはLp6と結合する。)のいずれかを表し、
Spp1及びSpp4はスペーサー基を表し、Xp1〜Xp4は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表すことが好ましく、
p4、Lp5およびLp6はそれぞれ独立して、単結合、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−COOC−、−OCOC−、−COCO−、−CCOO−、−CH=CH−、−CF−、−CFO−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH−、−(C=O)−O−(CH−、−O−(CH−O−、−OCF−、−CH=CHCOO−、−COOCH=CH−、−OCOCH=CH−又は−C≡C−であることが好ましく、前記式中のzは、1〜4の整数であることが好ましい。
p3は、−CH=CHCOO−、−COOCH=CH−または−OCOCH=CH−であることが好ましい。
上記一般式(P−a)で表される化合物において、mp6およびmp7は、それぞれ独立して、0、1、2または3を表すことが好ましい。また、mp6+mp7=2〜5であることがより好ましい。
上記一般式(P−d)で表される化合物において、mp12及びmp15はそれぞれ独立して1、2又は3を表し、mp13は、0、1、2又は3を表すことが好ましく、mp14は、0又は1を表すことが好ましい。また、mp12+mp15=2〜5であることがより好ましい。Rp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Rp2が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Spp4が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、Lp4およびLp5が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよく、環A〜環Cが複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよい。
以下に本発明に係る一般式(P−a)〜一般式(P−d)で表される化合物の好ましい構造を例示する。
本発明に係る一般式(P−a)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−a−1)〜式(P−a−31)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
本発明に係る一般式(P−b)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−b−1)〜式(P−b−34)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
本発明に係る一般式(P−c)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−c−1)〜式(P−c−52)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
本発明に係る一般式(P−d)で表される化合物は、以下の一般式(P−d’)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(上記一般式(P−d’)で表される化合物において、mp10は、2または3を表すことがより好ましい。その他の記号は上記一般式(p−d)と同一なので省略する。)
本発明に係る一般式(P−d)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−d−1)〜式(P−d−31)で表される重合性化合物が挙げられる。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
本発明に係る「炭素原子数1〜15個のアルキル基」は、直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。また、上記一般式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜15個のアルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8個のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6個のアルキル基がより好ましい。
本発明に係る「炭素原子数1〜15個のアルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、3−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基などが挙げられる。なお、本明細書中において、アルキル基の例は共通であり、各々のアルキル基の炭素原子数の数によって適宜上記例示から選択される。
本発明に係る「炭素原子数1〜15個のアルコキシ基」の例は、該置換基中の少なくとも1個の酸素原子が環構造と直接結合する位置に存在することが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n−プロポキシ基、i−プロポキシ基)、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基がより好ましい。なお、本明細書中において、アルコキシ基の例は共通であり、各々のアルコキシ基の炭素原子数の数によって適宜上記例示から選択される。
本発明に係る「炭素原子数2〜15個のアルケニル基」の例は、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられる。また、本発明に係るより好ましいアルケニル基としては次に記載する式(i)(ビニル基)、式(ii)(1−プロペニル基)、式(iii)(3−ブテニル基)および式(iv)(3−ペンテニル基):
Figure 0006808916
(上記式(i)〜(iv)中、*は環構造への結合部位を示す。)
で表されるが、本願発明の液晶組成物が重合性モノマーを含有する場合は、式(ii)および式(iv)で表される構造が好ましく、式(ii)で表される構造がより好ましい。なお、本明細書中において、アルケニル基の例は共通であり、各々のアルケニル基の炭素原子数の数によって適宜上記例示から選択される。
また、本発明における重合性化合物の内、低分子液晶との溶解性を高めて結晶化を抑制するのに好ましい単官能性の反応基を有する重合性化合物としては、下記一般式(VI)
Figure 0006808916
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表し、Spは、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、tは2〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Vは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、Wは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子が−CH、−OCH、フッ素原子、又はシアノ基に置換されていてもよい。)で表される重合性化合物が好ましい。
上記一般式(VI)において、Xは、水素原子又はメチル基を表すが、反応速度を重視する場合には水素原子が好ましく、反応残留量を低減することを重視する場合にはメチル基が好ましい。
上記一般式(VI)において、Spは、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、tは2〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表すが、炭素鎖の長さがTgに影響を及ぼすので、重合性化合物含有量が10重量%未満の場合に、あまり長くないことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、重合性化合物含有量が6重量%未満の場合は、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基がより好ましい。重合性化合物含有量が10重量%以上の場合は、炭素数5〜10のアルキレン基が好ましい。また、Spが−O−(CH−を表す場合も、tは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。更に、炭素原子数がプレチルト角に影響を及ぼすので必要に応じて所望のプレチルト角が得られるようにSpの炭素原子数が異なる重合性化合物を複数混合して用いることが好ましい。
上記一般式(VI)において、Vは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、2つ以上の環状置換基により置換されていることが好ましい。
一般式(VI)で表される重合性化合物は更に具体的には、一般式(X1a)
Figure 0006808916
(式中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜17のアルキル基で置換されていてもよい。)を表わし、
及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
pは0〜10を表し、
、B及びBは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数3〜6のトリアルコキシシリル基で置換されていてもよい。)を表わす化合物が挙げられる。
上記一般式(X1a)は、一般式(II−b)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
一般式(II−b)で表される化合物は、具体的には下記式(II−q)〜(II−z)、(II−aa)〜(II−al)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
上記一般式(VI)、一般式(XaI)及び一般式(II−b)で表される化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
また、一般式(VI)で表される重合性化合物としては、一般式(X1b)
Figure 0006808916
(式中、Aは水素原子又はメチル基を表し、6員環T、T及びTはそれぞれ独立して
Figure 0006808916
のいずれか(ただしqは1から4の整数を表す。)を表し、
qは0又は1を表し、
及びYはそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−又は−CHCHCH=CH−を表し、
及びYはそれぞれ独立して単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
は水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基、又は、末端がアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するアルキレン基を表す。)で表わす化合物も挙げられる。
例示化合物としては、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
更に、一般式(VI)で表される重合性化合物は具体的には、一般式(X1c)
Figure 0006808916
(式中、R70は水素原子又はメチル基を表し、R71は縮合環を有する炭化水素基を表す。)で表わす化合物も挙げられる。
例示化合物としては、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
また、本発明における重合性化合物の内、低分子液晶との溶解性を高めて結晶化を抑制するのに好ましい多官能性の反応基を有する重合性化合物としては、下記一般式(V)
Figure 0006808916
(式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは1〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Uは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、kは1〜5の整数を表す。式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子が−CH、−OCH、フッ素原子、又はシアノ基に置換されていてもよい。)で表される重合性化合物が好ましい。
上記一般式(V)において、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表すが、反応速度を重視する場合には水素原子が好ましく、反応残留量を低減することを重視する場合にはメチル基が好ましい。
上記一般式(V)において、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2〜11の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表すが、本発明の液晶表示素子に於けるプレチルト角は該炭素原子数、液晶との含有量、及び用いる配向膜の種類や配向処理条件に影響される。従って必ずしも限定されるものではないが、例えばプレチルト角を5度程度にする場合は、炭素鎖があまり長くないことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基がより好ましく、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基がより好ましい。更に、プレチルト角が2度程度以内にするには、炭素原子数を6〜12の重合性化合物を用いることが好ましく、炭素原子数が8〜10がより好ましい。また、Sp及びSpが−O−(CH−を表す場合も、プレチルト角に影響を及ぼすので適宜必要に応じてSp及びSpの長さを調整して用いることが好ましく、プレチルト角を増加させる目的ではsは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。プレチルト角を小さくする目的では、sは6〜10が好ましい。また、Sp及びSpの少なくとも一方が、単結合であることで分子の非対称性が発現するためプレチルトを誘起するので好ましい。
また、上記一般式(V)においてSp及びSpが同一である化合物も好ましく、Sp及びSpが同一である化合物を2種以上用いることが好ましい。この場合、互いにSp及びSpが異なった2種以上を用いることがより好ましい。
上記一般式(V)において、Uは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)、環状置換基により置換されていてもよく、2つ以上の環状置換基により置換されていることが好ましい。
上記一般式(V)において、Uは具体的には、以下の式(Va−1)から式(Va−13)を表すことが好ましい。アンカーリング力を高くするためには直線性が高いビフェニール等が好ましく、式(Va−1)から式(Va−6)を表すことが好ましい。又、式(Va−6)から式(Va−11)を表す構造は、液晶との溶解性が高い点で好ましく、式(Va−1)から式(Va−6)と組み合わせて用いることが好ましい。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
(式中、両端はSp又はSpに結合するものとする。Zp1及びZp2はそれぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表す。式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子が、−CH、−OCH、フッ素原子、又はシアノ基に置換されていてもよい。又、シクロへキシレン基中の1つ又は2つ以上のCHCH基は−CH=CH−、−CFO−、−OCF−で置換されていてもよい。)
Uが環構造を有する場合、前記Sp及びSpは少なくとも一方が−O−(CH−(式中、sは1〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表すことが好ましく、両方共に−O−(CH−であることも好ましい。
上記一般式(V)において、kは1〜5の整数を表すが、kが1の二官能化合物、又はkが2の三官能化合物であることが好ましく、二官能化合物であることがより好ましい。
上記一般式(V)で表される化合物は、具体的には、以下の一般式(Vb)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは1〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Zは−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−(Y及びYはそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)、−C≡C−又は単結合を表し、Cは1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は単結合を表し、式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい。)
上記一般式(Vb)において、X及びXは、はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表すが、いずれも水素原子を表すジアクリレート誘導体、又はいずれもメチル基を有するジメタクリレート誘導体が好ましく、一方が水素原子を表し、もう一方がメチル基を表す化合物も好ましい。これらの化合物の重合速度は、ジアクリレート誘導体が最も早く、ジメタクリレート誘導体が遅く、非対称化合物がその中間であり、その用途により好ましい態様を用いることができる。
上記一般式(Vb)において、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH)s−を表すが、少なくとも一方が−O−(CH)s−であることが好ましく、両方が−O−(CH)s−を表す態様がより好ましい。この場合、sは1〜6が好ましい。
上記一般式(Vb)において、Zは、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−(Y及びYはそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)、−C≡C−又は単結合を表すが、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合が好ましく、−COO−、−OCO−又は単結合がより好ましく、単結合が特に好ましい。上記一般式(Vb)において、Cは任意の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は単結合を表すが、1,4−フェニレン基又は単結合が好ましい。Cが単結合以外の環構造を表す場合、Zは単結合以外の連結基も好ましく、Cが単結合の場合、Zは単結合が好ましい。
以上より、上記一般式(Vb)において、Cが単結合を表し、環構造が二つの環で形成される場合が好ましく、環構造を有する重合性化合物としては、具体的には以下の一般式(V−1)から(V−6)で表される化合物が好ましく、一般式(V−1)から(V−4)で表される化合物が特に好ましく、一般式(V−2)で表される化合物が最も好ましい。
Figure 0006808916
また、上記一般式(Vb)において、以下の一般式(V1−1)から(V1−5)で表される化合物が液晶組成物との溶解性を高める上で好ましく、一般式(V1−1)で表される化合物が特に好ましい。
また、上記一般式(Vb)が三つの環構造で形成される場合も好ましく用いられ、一般式(V1−6)から(V1−13)で表される化合物が液晶組成物との溶解性を高める上で好ましい。更に、液晶とのアンカーリング力が強い一般式(V−1)から(V−6)で表される化合物は、アンカーリング力が弱く液晶組成物との相溶性が良好な一般式(V1−1)から(V1−5)で表される化合物と混合して用いることも好ましい。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
(式中、q1及びq2は、それぞれ独立して1〜12の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
上記一般式(V)で表される化合物としては、具体的には、以下の一般式(Vc)で表される化合物が、反応速度を高める点で好ましく、又、プレチルト角を熱的に安定化させるので好ましい。更に、必要に応じてSp、Sp及びSpの炭素原子数を調整して所望のプレチルト角を得ることもできる。プレチルトと該炭素原子数の関係は、官能基が2個の場合と同様の傾向を示す。
Figure 0006808916
(式中、X、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Z11は、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表し、Jは1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基又は単結合を表し、式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい。)
重合性化合物として、光配向機能を有する化合物を用いることも好ましい。中でも、光異性化を示す化合物を用いることが好ましい。
光配向機能を有する重合性化合物としては、具体的には、一般式(Vb)において、
及びXがそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp及びSpがそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは1〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Zが−N=N−を表し、Cが1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基(任意の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい。)又は単結合を表す化合物が好ましい。
中でも、以下の一般式(Vn)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808916
(式中、Rn1及びRn2はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、式中、pn及びqnは、それぞれ独立して1〜12の整数を示す。)
[重合開始剤]
本発明に用いる重合性化合物の重合方法としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等を用いることが可能であるが、ラジカル重合により重合することが好ましく、光フリース転位によるラジカル重合、光重合開始剤によるラジカル重合がより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には以下の化合物が好ましい。
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、4′−フェノキシアセトフェノン、4′−エトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,5−ジメチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が好ましい。この中でも、ベンジルジメチルケタールが最も好ましい。
又、ラジカルの寿命や反応性を考慮して複数の重合開始剤を用いることも好ましい。
更に、上述の重合開始剤を使用せずに、光フリース転位によるラジカル重合として紫外線を吸収する共役系の構造を有する重合性液晶化合物を含有させて重合させることもできる。例えば、一般式(X1c−1)から(X1c−4)で表される共役系構造を有する重合性液晶化合物を重合開始剤の代わりに用いることで液晶素子の電圧保持率を低下させないので好ましい。又、重合促進を目的にこれらと重合開始剤と併用することも好ましい。
Figure 0006808916
[重合性組成物]
本発明に用いられる重合性組成物は、上記に例示される1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の1質量%以上15質量%未満重合性組成物を含有することが好ましいが、駆動電圧とのバランスから1質量%以上12質量%未満重合性組成物を含有することがより好ましく、重合性組成物の含有量の下限値は2質量%以上が好ましく、上限値は9質量%未満が好ましく、7質量%未満がより好ましく、5質量%未満がより好ましく、4質量%未満がより好ましい。なお、本発明の重合性組成物は1種又は2種以上の重合性化合物から構成される。
また、本発明に用いられる重合性組成物は、上記に例示される1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の15質量%以上40質量%未満の重合性組成物を含有することも好ましいが、この場合の重合性組成物の含有量の下限値は9質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、上限値は30%質量未満が好ましく、25%質量未満がより好ましく、20%質量未満がより好ましく、15%質量未満がより好ましい。更に、本発明に用いられる重合性組成物は、上記に例示される1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の5質量%以上15質量%未満の重合性組成物を含有することが好ましく、7質量%以上12質量%未満の重合性組成物を含有することがより好ましい。本発明に用いられる重合性組成物は、1質量%以上40質量%未満の重合性組成物を含有することで、一軸性の光学異方性、又は一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するポリマーネットワークを形成するものであることが好ましく、該ポリマーネットワークの光学軸又は配向容易軸と低分子液晶の配向容易軸が略一致するように形成されていることがより好ましい。
尚、該ポリマーネットワークには、複数のポリマーネットワークが集合することにより高分子薄膜を形成したポリマーバインダも含まれる。ポリマーバインダは、一軸配向性を示す屈折率異方性を有しており、該薄膜に低分子液晶が分散され、該薄膜の一軸性の光学軸と低分子液晶の光学軸が略同一方向へ揃っていることが特徴である。従って、これにより、光散乱型液晶である高分子分散型液晶又はポリマーネットワーク型液晶とは異なり光散乱が起こらず偏光を用いた液晶素子に於いて高コントラストな表示が得られる点と、立下り時間を短くして液晶素子の応答性を向上させることが特徴である。更に、本発明に用いられる重合性液晶組成物は、ポリマーネットワーク層を液晶素子全体に形成させるものであり、液晶素子基板上にポリマーの薄膜層を形成させてプレチルトを誘起させるPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶組成物とは異なる。
何れの濃度に於いてもTgの異なる重合性化合物を少なくとも二種類以上含有させて必要に応じてTgを調整することが好ましい。Tgが高いポリマーの前駆体である重合性化合物は、架橋密度が高くなる分子構造を有する重合性化合物であって、官能基数が2以上であることが好ましい。又、Tgが低いポリマーの前駆体は、官能基数が1であるか、又は2以上であって、官能基間にスペーサ基としてアルキレン基等を有し分子長を長くした構造であることが好ましい。ポリマーネットワークの熱的安定性や耐衝撃性向上に対応することを目的にポリマーネットワークのTgを調整する場合、多官能モノマーと単官能モノマーの比率を適宜調整することが好ましい。又、Tgはポリマーネットワークの主鎖、及び側鎖に於ける分子レベルの熱的な運動性とも関連しており、電気光学特性にも影響を及ぼしている。例えば、架橋密度を高くすると主鎖の分子運動性が下がり低分子液晶とのアンカーリング力が高まり駆動電圧が高くなると共に立下り時間が短くなる。一方、Tgが下がるように架橋密度を下げるとポリマー主鎖の熱運動性が上がることにより、低分子液晶とのアンカーリング力が下がり駆動電圧が下がり立下り時間が長くなる傾向を示す。ポリマーネットワーク界面に於けるアンカーリング力は、上述のTgの他にポリマー側鎖の分子運動性にも影響され、多価分岐アルキレン基、及び多価アルキル基を有する重合性化合物を用いることでポリマー界面のアンカーリング力が下げられる。又、多価分岐アルキレン基、及び多価アルキル基を有する重合性化合物は、プレチルト角を誘起させるのに有効で極角方向のアンカーリング力を下げる方向に作用する。
重合性液晶組成物が液晶相を示した状態で、重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させることにより、重合性化合物の分子量が増加して液晶組成物と重合性化合物を相分離させる。二相に分離する形態は、含有する液晶化合物の種類や重合性化合物の種類に大きく依存して異なる。液晶相中に重合性化合物相が無数に島状の核として発生して成長するバイノーダル分解で相分離構造を形成しても良く、液晶相と重合性化合物相との濃度の揺らぎから相分離するスピノーダル分解により相分離構造を形成しても良い。バイノーダル分解によるポリマーネットワークを形成させるには、少なくとも低分子液晶の含有量を85質量%以上にするのが好ましく、重合性化合物の反応速度が速い化合物を用いることにより可視光の波長より小さい大きさの重合性化合物の核を無数に発生させてナノオーダーの相分離構造が形成されるので好ましい。結果として重合性化合物相に於ける重合が進むと相分離構造に依存して可視光の波長より短い空隙間隔のポリマーネットワークが形成され、一方、ポリマーネットワークの空隙は低分子液晶相の相分離によるもので、この空隙の大きさが可視光の波長より小さいと、光散乱性が無く高コントラストで、且つポリマーネットワークからのアンカーリング力の影響が強まり立下り時間が短くなり高速応答の液晶表示素子が得られるようになり特に好ましい。バイノーダル分解に於ける重合性化合物相の核生成は、化合物の種類や組合せによる相溶性の変化や、反応速度、温度等のパラメーターに影響され適宜必要に応じて調整することが好ましい。反応速度は、紫外線重合の場合は、重合性化合物の官能基や光開始剤の種類及び含有量、紫外線露光強度によるもので反応性を促進するように紫外線露光条件を適宜調整すれば良く、少なくとも20mW/cm2以上の紫外線露光強度が好ましい。低分子液晶が85質量%以上では、スピノーダル分解による相分離構造でポリマーネットワークを形成させることが好ましい、スピノーダル分解では周期性のある二相の濃度の揺らぎによる相分離微細構造が得られるので可視光波長より小さい均一な空隙間隔を容易に形成するので好ましい。ポリマーネットワークで形成させることが好ましい。重合性化合物の割合が15質量%未満ではバイノーダル分解による相分離構造を形成させることが好ましく、15質量%以上ではスピノーダル分解による相分離構造を形成させることが好ましい。重合性化合物含有量が増加すると、温度の影響で低分子液晶相と重合性化合物相との二相分離する相転移温度が存在する。二相分離転移温度より高い温度では等方相を示すが、低いと分離が起こり均一な相分離構造が得られず好ましくない。温度により二相分離する場合は、二相分離温度より高い温度に於いて相分離構造を形成させることが好ましい。上述した何れの場合も、低分子液晶の配向状態と同様の配向状態を保持しながらポリマーネットワークが形成される。形成されたポリマーネットワークは、低分子液晶の配向に倣うように光学異方性を示す。ポリマーネットワーク中の液晶層の形態としては、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶組成物が連続層をなす構造、液晶組成物のドロップレットがポリマー中に分散している構造、又は両者が混在する構造、更に、両基板面を起点にポリマーネットワーク層が存在し、対面基板との中心付近では液晶層のみである構造が挙げられる。何れもの構造もポリマーネットワークの作用により液晶組成物が0〜90°のプレチルト角が液晶素子基板の法線方向に対して誘起されていることが好ましい。形成するポリマーネットワークは、共存する低分子液晶を液晶セルの配向膜が示す配向方向へ配向させる機能を有することが好ましく、更に、ポリマー界面方向に対して低分子液晶をプレチルトさせる機能を有していることも好ましい。ポリマー界面に対して低分子液晶をプレチルトさせる重合性化合物を導入すると液晶素子の駆動電圧を低くさせるのに有用で好ましい。又、屈折率異方性を有しても良く、配向方向へ液晶を配向させる機能は、メソゲン基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。
VA型等の垂直配向セルに対しては垂直配向を誘起するメソゲン基を有しない多価アルキル基、又は多価分岐アルキレン基を有する重合性化合物を用いても良く、メソゲン基を有する重合性化合物との併用でも好ましい。上述の重合性液晶組成物を用いて相分離重合により垂直配向セル内にポリマーネットワークが形成された場合は、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが液晶セル基板に対して低分子液晶の垂直方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。又、セル基板表面にある垂直配向膜に液晶が傾斜配向を誘起するようにラビング処理等を施してプレチルト角を誘起するようにした垂直配向膜が用いられた場合は、プレチルトして配向している低分子液晶と同方向に繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが傾斜して形成されていることが好ましい。
更に、電圧を印加しながらプレチルト角を誘起する方法では、重合性液晶組成物の閾値電圧よりも0.9V程度低い電圧から2V程度高い電圧の範囲で電圧を印加しながら重合させると繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが所望のプレチルト角、好ましくは、VA型等の垂直配向の場合はエネルギー線照射前の透明基板の法線方向に対して、ポリマーネットワークの光軸方向又は配向容易軸方向が好ましくは0.1〜30.0°、より好ましくは0.1〜10.0°、さらに好ましくは0.1〜5.0°、特に好ましくは0.1〜3.0°のプレチルト角に誘起するように、又、TN型等の水平配向の場合はエネルギー線照射前の透明基板の平行方向に対して、ポリマーネットワークの光軸方向又は配向容易軸方向が0.1〜30°、好ましくは0.1〜10.0°、より好ましくは0.1〜5.0°、さらに好ましくは0.1〜3.0°、特に好ましくは0.1〜2.0°のプレチルト角に誘起するように傾斜して形成されるのでより好ましくなる。何れの方法で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、二枚のセル基板間を連結していることが特徴である。これにより、プレチルト角の熱的安定性が向上して液晶表示素子の信頼性を高められる。
他に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークを傾斜配向させて形成することにより低分子液晶のプレチルト角を誘起させる方法として、官能基とメソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が6以上のプレチルト角の誘起角度が小さい二官能アクリレートと官能基と、メソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素原子数が5以上のプレチルト角の誘起角度が大きい二官能アクリレートを組合せ用いる方法が挙げられる。これらの化合物の配合比を調整することにより所望のプレチルト角を誘起させることができる。
更に、可逆性の光配向機能を有する重合性化合物を少なくとも1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の0.01%以上1%以下の範囲で添加して繊維状、又は柱状のポリマーネットワークを形成させる方法が挙げられる。この場合、トランス体に於いて低分子液晶と同様の棒状の形態になり低分子液晶の配向状態へ影響を及ぼす。本発明の重合性液晶組成物に含有されている該トランス体は、紫外線をセル上面から平行光として露光すると紫外線の進む方向と該棒状の分子長軸方向が平行になるように揃い、低分子液晶も同時に該トランス体の分子長軸方向へ揃うように配向する。セルに対して傾斜して紫外線を露光すると、該トランス体の分子長軸が傾斜方向に向き液晶を紫外線の傾斜方向へ配向させるようになる。即ち、プレチルト角を誘起するようになり光配向機能を示す。この段階で重合性化合物を架橋させると誘起したプレチルト角が重合相分離で形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークにより固定化される。
従って、VA型で重要なプレチルト角の誘起は、電圧印加しながら重合相分離させる方法、誘起するプレチルト角が異なる重合性化合物を複数添加して重合相分離させる方法、可逆性の光配向機能を有する重合性化合物が示す光配向機能を用いて紫外線が進む方向へ低分子液晶及び重合性液晶化合物を配向させ重合相分離する方法を必要に応じて用い本発明の液晶素子を作製することができる。
光配向機能を有する重合性化合物は、紫外線を吸収してトランス体になる光異性化合物であることが好ましく、更に、光配向機能を有する重合性化合物の反応速度が光配向機能を有する重合性化合物以外の重合性化合物の反応速度より遅いことが好ましい。UV露光されると、直ちに光配向機能を有する重合性化合物はトランス体になり光の進む方向に配向すると、周囲の重合性を含む液晶化合物も同様の方向へ配向する。この時、重合相分離が進行して低分子液晶長軸方向とポリマーネットワークの配向容易軸方向が光配向機能を有する重合性化合物の配向容易軸と同一方向へ揃いUV光が進む方向へプレチルト角が誘起される。
更に、IPSやFFSモード等の平行配向セルに於いては、重合性液晶組成物を用いて相分離重合により繊維状、又は柱状のポリマーネットワークが液晶セル基板面に有る配向膜の配向方向に対して低分子液晶は平行配向するが、形成された繊維状、又は柱状のポリマーネットワークの屈折率異方性又は配向容易軸方向と低分子液晶の配向方向と略同一の方向に形成されていることが好ましい。更に、繊維状、又は柱状のポリマーネットワークは、低分子液晶が分散している空隙を除いて略セル全体に存在していることがより好ましい。ポリマー界面方向に対して該プレチルト角を誘起させることを目的に、メソゲン基を有しない多価アルキル基、又は多価アルキレン基を有する重合性化合物とメソゲン基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。
更に、電気光学特性は、ポリマーネットワーク界面の表面積、及びポリマーネットワークの空隙間隔に影響されるが、光散乱を起こさないことが重要で、平均空隙間隔を可視光の波長より小さくすることが好ましい。例えば、該界面の表面積を広げて該空隙間隔を小さくさせるにはモノマー組成物含有量を増加させる方法がある。これにより、重合相分離構造が変化して該空隙間隔が微細になることにより該界面の表面積が増加するようにポリマーネットワークが形成され駆動電圧、及び立ち下がり時間が短くなる。重合相分離構造は、重合温度にも影響される。
本発明に於いて、相分離速度は、低分子液晶と重合性化合物との相溶性や重合速度に大きく影響される。化合物の分子構造や含有量に大きく依存するので適宜組成を調整して使用することが好ましい。該相溶性が高い場合は、該重合速度の高い重合性化合物を用いることが好ましく、紫外線重合の場合は、紫外線強度を高めることが好ましい。又、重合性液晶組成物中の重合性化合物の含有量を増やすことも好ましい。相溶性が低い場合は、相分離速度は十分に速くなるので本発明の液晶素子を作製するのに好ましい。相溶性を低くする方法として、低温で重合させる方法が挙げられる。低温にすると液晶の配向秩序度が上がり、液晶とモノマーの相溶性が下がるため、重合相分離速度を速くすることができる。更に別の方法として、重合性液晶組成物を、過冷却状態を示す温度にして重合させる方法も挙げられる。この場合、重合性液晶組成物の融点よりも僅かに低くすれば良いので、数度温度を低くするだけで相分離を速くさせることも可能になり好ましい。これらにより、モノマー組成物含有量数十%を液晶へ添加した場合に相当する重合相分離構造、即ち、立ち下がり時間が短くなるように作用する構造であるポリマーネットワーク界面の表面積が多く該空隙間隔が微細なポリマーネットワーク構造が形成される。従って、本発明の重合性液晶組成物は、立ち下がり時間が短くなるように配向機能、架橋密度、アンカーリング力、空隙間隔、を考慮して重合性液晶組成を適宜調整することが好ましい。
本発明の重合性液晶組成物を用いた液晶素子において、高いコントラストの表示を得るには光散乱が起こらないようにする必要があるが、上述した方法を考慮して目的の電圧−透過率特性、及びスイッチング特性を得られるように相分離構造を制御して適切なポリマーネットワーク層構造を形成させることが重要である。ポリマーネットワーク層構造を具体的に説明すると次のようになる。
<ポリマーネットワーク層連続構造>
液晶相中に液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造であって、ポリマーネットワークの配向容易軸や一軸の光学軸が低分子液晶の配向容易軸と略同一方向であることが好ましく、低分子液晶のプレチルト角を誘起するようにポリマーネットワークを形成させることが好ましく、ポリマーネットワークの平均空隙間隔を可視光の波長より小さい大きさで少なくとも450nmより小さくすることにより光散乱は起こらなくなるので好ましい。更に、応答の立下り時間をポリマーネットワークと低分子液晶との相互作用効果(アンカーリング力)により低分子液晶単体の応答時間より短くするには、50nm〜450nmの範囲にする事が好ましい。立下り時間が液晶のセル厚の影響が少なくなりセル厚が厚くても薄厚並の立下り時間を示すようにするには、少なくとも平均空隙間隔が下限は200nm付近で且つ上限は450nm付近の範囲に入るようにすることが好ましい。平均空隙間隔を減少させると駆動電圧の増加が課題になるが、駆動電圧の増加を25V以下に抑制して立ち下がり応答時間を短くするには250nm近傍から450nmの範囲に入るようにすれば良く、立下り応答時間が約5msecから約1msecの範囲に改善ができるので好ましい。又、駆動電圧が5V程度以内の増加に抑制するには、平均空隙間隔が300nm付近から450nmの範囲にすることが好ましい。更に、ポリマーネットワークの平均空隙間隔を制御して立下り応答時間を1msec以下の高速応答にすることも可能である。駆動電圧が30V以上に増加する場合があるが、平均空隙間隔を50nm付近から250nm付近の間にすれば良く、0.5msec以下にするには50nm近傍から200nm付近にすることが好ましい。ポリマーネットワークの平均直径は、平均空隙間隔と相反し、20nmから700nmの範囲にあることが好ましい。重合性化合物の含有量が増えると平均直径は増加する傾向にある。反応性を高くして重合相分離速度を高めるとポリマーネットワークの密度が増加してポリマーネットワークの平均直径が減少するので必要に応じて相分離条件を調整すれば良い。重合性化合物含有量が10%以下の場合は、平均直径が20nmから160nmにあることが好ましく、平均空隙間隔が200nmから450nm範囲に於いては、平均直径が40nmから160nmの範囲であることが好ましい。重合性化合物含有量が10%より大きくなると50nmから700nmの範囲が好ましく、50nmから400nmの範囲がより好ましい。
<ポリマーネットワーク層不連続構造>
セル厚(d)と液晶の実効複屈折率(Δn)の積(リターデーション)が0.275〜0.33程度になるよう二枚の対向する基板間の距離dを決めるが、十分な重合性化合物含有量がある場合は、液晶表示素子全面にポリマーネットワーク層が形成され液晶相が連続している構造に対して、重合性化合物含有量が低くなりセル全体にポリマーネットワーク層が被うのに必要な量が不足するとポリマーネットワーク層が不連続に形成される。ポリイミド配向膜等の基板表面の極性が高いと重合性化合物が液晶セル基板界面付近に集まり易く、基板表面からポリマーネットワークが成長して基板界面に付着するようにポリマーネットワーク層が形成され、セル基板表面からポリマーネットワーク層、液晶層、ポリマーネットワーク層、対向基板の順で積層されるように形成される。ポリマーネットワーク層/液晶層/ポリマーネットワーク層の積層構造を示し、且つセル断面方向に対して少なくともセル厚の0.5%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上の厚さのポリマーネットワーク層が形成されているとポリマーネットワークと低分子液晶とのアンカーリング力の作用により立下り時間が短くなる効果が発現して好ましい傾向を示す。但し、セル厚の影響が大きくなるのでセル厚を増すと立ち下がり時間が長くなる場合は、ポリマーネットワーク層の厚さを必要に応じて増加させれば良い。ポリマーネットワーク層に於けるポリマーネットワークの構造は、低分子液晶と配向容易軸や一軸の光学軸が略同一の方向へ揃っていれば良く、低分子液晶がプレチルト角を誘起するように形成されていれば良い。平均空隙間隔は90nmから450nmの範囲が好ましい。
1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の重合性組成物含有量が1質量%以上から6質量%未満にする場合は、アンカーリング力の高いメソゲン基を有する二官能モノマーを用いることが好ましく、官能基間の距離が短い構造で重合速度が速い二官能モノマーを用いることが好ましく、0℃以下の低温で重合相分離構造を形成させることが好ましい。尚、低温時重合における優位性を、実験例を交えて後で詳述する。1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の重合性組成物含有量を6質量%以上から10質量%未満にする場合は、該二官能モノマーとアンカーリング力が低い単官能モノマーとの組み合わせが好ましく、必要に応じて25℃から−20℃の範囲で重合相分離構造を形成させることが好ましい。更に、該融点が室温以上であれば該融点より5℃程度低くすると低温重合と同様な効果が得られるので好ましい。1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の重合性組成物含有量を10質量%から40質量%にする場合は、ポリマーバインダ、又はポリマーネットワークの影響が低分子液晶の配向や駆動電圧に大きく影響を及ぼし駆動電圧を増大させるので、低分子液晶の配向機能を有し、且つアンカーリング力が比較的弱いメソゲン基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。例えば、アンカーリング力が弱くメソゲン基を有する重合性化合物は、官能基とメソゲン基の間にあるアルキレン基の炭素数を増やすことが有効で炭素数が5〜10が好ましい。又、重合性化合物が30質量%を超えるとポリマーバインダ中に液晶滴が分散した状態になることもあり、この場合でも屈折率異方性を有しているポリマーバインダであって基板面の配向膜が示す配向方向とポリマーバインダの光軸方向が揃うことが好ましい。
重合性液晶組成物中の重合性化合物の濃度が高いほど、液晶組成物とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなり、τdは高速化する。一方、液晶組成物とポリマー界面とのアンカーリング力は大きくなると、τrは低速化する。τdとτrの和を1.5ms未満とするためには、1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物とキラル化合物と1種又は2種以上の液晶化合物を含有する液晶組成物の全重量中の重合性液晶組成物中の重合性化合物の濃度は、1質量%以上40質量%未満であり、2質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上8質量%以下がより好ましい。
<キラル化合物>
TN型やHTN型、及びVA−TN型の様な捩じれた液晶分子配列を有する液晶表示装置においては、通常、マスクラビング法や光配向法などを用いて液晶分子配列が各副画素毎に異なる捩じれ角又は捩じれ方向を有する水平又は垂直配向、あるいはハイブリッド配向となる様にしている。水平配向膜を用いてマスクラビングを行って配向分割処理を行う場合には、各副画素毎に上下基板間で液晶分子配列が略90°捩じれた方向にラビングを行う事により所望の方向に対して基板の水平方向から僅かにプレチルト角が付与される事で、捩じれ方向を揃えることができる。垂直配向膜の場合も上記と同様にラビング又は光配向処理を行う事により、基板の垂直方向から0.1〜1.5°程度傾いた垂直配向が得られる。一方、水平光配向の場合には、基板の水平方向に対してプレチルト角はほぼ0°であり、捩じれ方向が決定されない場合が多い。
そこで、マスクラビング法、又は光配向法の何れの方法においても捩じれ方向を安定させ液晶分子の回転方向を揃え、より安定した高品位の高速応答表示を可能にするには、キラル化合物の添加が必要である。
キラル化合物としては、重合性基を有する化合物でも良いが、液晶組成物に混合されている上記重合性化合物の重合に影響を及ぼすため、重合性基を有さない非重合性キラル化合物を用いることが好ましい。非重合性キラルキラル化合物としては、一般式(I)で表される環状基含有非重合性キラル化合物を用いると、液晶組成物及び重合性液晶組成物との相溶性が良いため好ましい。
Figure 0006808916
(一般式(I)中、Zは1,4−フェニレン基、炭素原子数2〜8のアルキル基、又は炭素原子数1〜7のオキシアルキル基(酸素原子はキラル部位に結合する。)を表し、
は−CH−、−COO−、−OCO−、又は−O−を表し、
及びAは、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基、又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、
は−O−、−S−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−C−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−OCHCHO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=CR−COO−、−CH=CR−OCO−、−COO−CR=CH−、−OCO−CR=CH−、−COO−CR=CH−COO−、−COO−CR=CH−OCO−、−OCO−CR=CH−COO−、−OCO−CR=CH−OCO−、−(CH−C(=O)−O−、−(CH)z−O−(C=O)−、−O−(C=O)−(CH)z−、−(C=O)−O−(CH)z−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−C≡C−又は単結合(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、前記式中、zは1〜4の整数を表す。)を表し、
nは0〜3の整数を表すが、A及びZが複数存在する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
は水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜7のオキシアルキル基(酸素原子はA基に結合する。)、又は炭素原子数2〜7のオキシアルケニル基(酸素原子はA基に結合する。)を表す。)
一般式(I)中、Zは−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−C≡C−又は単結合から選択されることが好ましく、nは1又は2が好ましく、水素原子、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜7のオキシアルキル基(酸素原子はA基に結合する。)、又は炭素原子数2〜7のオキシアルケニル基(酸素原子はA基に結合する。)から選択されることが好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物として、具体的に、以下の式で表される化合物を例示されるが、これらに限定される訳ではない。
Figure 0006808916
また、好ましいその他の非重合性キラル化合物としては、以下の式で表される化合物を例示されるが、これらに限定される訳ではない。
Figure 0006808916
(式中、Sp3a、及び、Sp3bはそれぞれ独立して炭素原子数0〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子、CN基、又は重合性官能基を有する炭素原子数1〜8のアルキル基により置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−により置き換えられていても良く、
A1、A2、A3、A4、及びA5はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基、又はフルオレン−2,7−ジイル基を表し、n、l及びkはそれぞれ独立して、0又は1を表し、0≦n+l+k≦3となり、
Z0、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、及び、Z6はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=OCH2CH2−、−OCOCH2CH2−、−CONH−、−NHCO−、炭素数2〜10のハロゲン原子を有してもよいアルキル基又は単結合を表し、
n5、及び、m5はそれぞれ独立して0又は1を表し、
3a及びR3bは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜18のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH2基又は隣接していない2つ以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−により置き換えられていても良い。)
キラル化合物の添加量に関しては、VA−TN型の様に垂直配向性を有する場合は、キラル化合物の添加された重合性液晶組成物中に含まれる液晶化合物のピッチをPとし、セルギャップをdとする時、液晶層内でヘリカル構造を取れないようにする必要があり、P/dが4以上である事が望ましい。例えば、使用する液晶セルギャップが3μmの場合には、重合性液晶組成物中に含まれる液晶化合物のピッチが12〜30μm程度になるような量を添加すればよい。又、略90°捩じれのTN型や、HTN型の場合は、270°捩じれにならない程度にキラル化合物の添加量を増やしてショートピッチにした方が、応答速度(特にOFFの応答速度)が高速化される。P/dとしては、2以上、好ましくは2.5以上から3.0以下が望ましい。この様にして、捩じれ方向とキラル化合物の回転方向が一致した捩じれネマティックモードに重合性化合物含有ネマティック液晶組成物を封入し、UV照射を行ってポリマーネットワークを液晶バルク内に形成することにより液晶分子配向が安定化され、高速応答化が実現される。
TN型、HTN型やVA−TN型のような捩じれネマチック液晶駆動表示装置においては、セルギャップとキラル化合物の添加量と捩じれピッチの関係が極めて重要であり、低温時(例えば−10℃)の場合と室温時(例えば25℃)とでは、キラル化合物のピッチの温度依存性が異なる為、低温時に適正なP/dとなる様に設定して、重合性化合物含有ネマティック液晶組成物にUV光を照射してポリマーネットワークを形成したとしても、室温で重合反応を行うとピッチの温度依存性(dP/dt t:温度)が正の場合は、ピッチ長が大きくなり所望のP/dが得られなくなってしまい安定した配向構造が得られなくなる。これを回避する方法として、例えばdP/dtが正負逆の特性を有する右回り同士のキラル化合物を適当量混合し、低温時(−10℃)と室温時のピッチ長が略同じになるように調整する必要がある。
本発明の液晶表示素子の駆動電圧は、液晶組成物の誘電異方性や弾性定数だけで決まるものではなく、液晶組成物とポリマー界面との間で作用するアンカーリング力に大きく影響される。
例えば高分子分散型液晶表示素子の駆動電圧に関する記述として、特開平6−222320号公報において次式の関係が示されている。
Figure 0006808916
(Vthはしきい値電圧を表わし、1Kii及び2Kiiは弾性定数を表わし、iは1、2又は3を表わし、Δεは誘電率異方性を表わし、<r>は透明性高分子物質界面の平均空隙間隔を表わし、Aは液晶組成物に対する透明性高分子物質のアンカーリング力を表わし、dは透明性電極を有する基板間の距離を表わす。)
これによると、光散乱型液晶表示素子の駆動電圧は、透明性高分子物質界面の平均空隙間隔、基板間の距離、液晶組成物の弾性定数・誘電率異方性、及び液晶組成物と透明性高分子物質間のアンカーリングエネルギーによって決定される。
このうち本発明の液晶表示素子で制御できるパラメータは、液晶物性とポリマー間のアンカーリング力である。アンカーリング力は、該ポリマーの分子構造、及び低分子液晶の分子構造に大きく依存するため、アンカーリング力が強い重合性化合物を選定すれば応答時間を1.5ms以下に速くすることが可能であるが同時に、駆動電圧が30V以上に増加するので、駆動電圧が30V以下で応答速度が1.5ms以下になるように適宜液晶化合物、及び重合性化合物の選定を行い、組成を調整することが好ましい。
アンカーリング力の強いポリマー前駆体とアンカーリング力の弱いポリマー前駆体を適宜配合して駆動電圧と応答速度のバランスが取れるように組成を調整することが好ましい。一方、駆動電圧を低くするのに求められる液晶組成物の物性としては、P型液晶では誘電異方性が6以上で、N型液晶では誘電異方性が−3以下にすることが特に好ましい。又、複屈折率を0.09以上にすることが好ましい。更に、液晶組成物の複屈折率と繊維状、又は柱状ポリマーネットワークの屈折率を可能な限り近づけ光散乱を無くすとより好ましくなる。但し、ポリマー前駆体の濃度に液晶素子のリターデーションが影響されるので、適宜、必要なリターデーションが得られるように液晶組成物の複屈折率を増減させて使用することが好ましい。
本発明の液晶表示素子は、上述した液晶組成物を−50℃から30℃としながらエネルギー線を照射して、重合性化合物を重合して液晶組成物中に屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するポリマーネットワーク形成して得られたものであることが好ましい。重合温度の上限は、30℃であり、20℃〜−10℃好ましい。実施例において後述するように、本発明者は、重合性化合物組成に依存して低温重合、及び常温重合により、τdが更に高速化することを見出した。この理由は、1)低温により液晶分子の配向度が上昇した状態で重合すること、2)低温重合により重合したポリマーと液晶組成物との相溶性が下がることで相分離が容易になり、重合相分離速度が速まりポリマーネットワークの空隙間隔が微細になること、3)比較的アンカーリング力が低い重合性化合物を用いても空隙間隔が微細なため、アンカーリング力の影響力が強くなるような屈折率異方性ポリマーネットワークの形成等によるものと考えられる。
更に、本発明の液晶表示素子は、一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を持つポリマーネットワーク又はポリマーバインダの光軸方向又は配向容易軸方向が透明基板に対してプレチルト角を成すように形成されたものであることが好ましく、電界の強さを調整して低分子液晶の配向制御行い、基板面に対して傾斜させることにより、上述した液晶層に電圧を印加しながらエネルギー線を照射することで、重合性化合物を高分子化せしめ、液晶組成物中の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有する重合体を得てなる構成であることが好ましい。例えば垂直配向のVA―TN型に於いては、基板法線方向に対してプレチルト角が20度以内になるように電圧を印加して重合させることにより、現行のVA型セルの用いられているポルトリュージョン等やPSA液晶の微細なポリマー突起に相当する効果があるだけではなく、PSAでは実現できない高速応答を示すので特に好ましい。又、電界方向を複数の方向から印加して高分子化させることによりマルチドメインを形成させることができ、視野角向上が可能でより好ましくなる。 更に、基板界面垂直配向膜界面に於いて低分子液晶がプレチルト角を誘起するように光配向処理やラビング配向処理等を該配向膜に施すことで低分子液晶配向の傾く方向が規定されスイッチング時の配向欠陥発生が抑制され好ましく、複数の方向へ傾くように該配向処理を施すとことも好ましい。前記液晶層は、重合性化合物を含有した液晶組成物に対し、適宜−50℃から30℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することで、屈折率異方性を有するポリマーネットワークの光軸方向が基板面に対してプレチルト角を成すように液晶中に形成される。このプレチルト角は低分子液晶の誘電異方性により電界を印加することにより誘起された配向状態で重合相分離させると、重合後のポリマーネットワークの光軸を基板面に対して傾斜させた液晶素子を得ることができ、前記重合性化合物を高分子化せしめた構成であることがより好ましい。
[液晶表示素子]
本発明の液晶表示素子は、液晶組成物中にキラル化合物と重合体又は共重合体を含有し、重合体又は共重合体の含有量が液晶組成物及び重合体又は共重合体の合計の質量の1質量%以上40質量%未満である以外は、従来技術による液晶表示素子と同じ構造を有する。即ち、本発明に係る液晶表示素子は、少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に液晶層が狭持された構造を有している。そして、本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方の透明基板上に液晶組成物を配向させるための配向層を有することが好ましい。基板に設けられたこの配向層と基板に設けられた電極に電圧を印加して、液晶分子の配向が制御される。ポリマーネットワーク又はポリマーバインダが一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有し、ポリマーネットワーク又はポリマーバインダの光軸方向又は配向容易軸方向と低分子液晶の配向容易軸方向が同一方向であることが好ましい。この点で、一軸性の屈折率異方性又は配向容易軸方向を有さない光散乱型のポリマーネットワーク液晶や高分子分散型液晶とは異なる。更に、配向層の配向容易軸方向とポリマーネットワーク又はポリマーバインダの配向容易軸方向が同一であることが好ましい。前記液晶層は、重合性化合物を含有した液晶組成物に対し、−50℃から30℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することで、屈折率異方性を有するポリマーネットワークの光軸方向が基板面に対してプレチルト角を成すように液晶中に形成される。このプレチルト角は低分子液晶の誘電異方性により電界を印加することにより誘起された配向状態で重合相分離させると、重合後のポリマーネットワークの光軸を基板面に対して傾斜させた液晶素子を得ることができ、前記重合性化合物を高分子化せしめた構成であることがより好ましい。
偏光板、位相差フィルムなどを具備させることにより、この配向状態を利用して表示させる。液晶表示素子としては、TN型、STN型、HTN型、VA−TN型などの動作モードに適用できる。視野角を改善する方法としては一般的に、1つの画素を副数の副画素に分割し、それぞれの副画素が異なる配向方位を有する様な配向分割方が考案されており、中でも、TN型、HTN型VA−TN型の様な捩じれネマティック構造を有する表示型が特に好ましい。さらに、2方向に配向分割された隣接する副画素の液晶配向方位が略180°異なり、4方向に配向分割された隣接する副画素の液晶配向方位が略90°ずつ異なる液晶表示素子を用いることも好ましい。ここで、略180°とは、179.0°〜181.0°であることが好ましく、179.5°〜180.5°であることがより好ましく、略90°とは、89.0°〜91.0°であることが好ましく、89.5°〜90.5°であることがより好ましい。
尚、本発明の液晶表示素子は、液晶組成物中に重合体又は共重合体を含有する点で、配向膜上に重合体又は共重合体を有するPSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示素子とは異なる。
本発明の一実施形態の液晶表示素子について図面を参照しながら説明する。
図1は、捩じれ構造を有する垂直配向された液晶表示装置(VA−TN型)内に形成されたポリマーネットワークと液晶分子の配列状態を模式的に示した図であり、垂直配向膜の配向規制力を受け重合性モノマーが垂直方向に配列し、UV光照射によって重合性モノマーを重合・固定化させてポリマーネットワークを形成する。このようにして形成されたポリマーネットワークは、(V1)上下基板にまたがってポリマーネットワークを形成、(V2)上(下)基板から液晶方向に向かってポリマーネットワークを形成するも途中までのもの、(V3)配向膜の表面近傍のみポリマーネットワークを形成。(主に単官能モノマーの場合)、(V4)液晶層内でポリマーネットワーク同士が結合(Floatingはしていない)の、およそ4種類の構造を有するものと推定される。
この様にして形成された異方性を有するポリマーポリマネットワークは、液晶層とはほぼ完全に分離しており、これら高分子ネットワークの間に液晶分子は配向配列しているものと考えられる。液晶分子と高分子ネットワークが混在し、電圧無印加時に光散乱を起こす所謂ポリマーネットワーク型液晶の分子配列構造とは明らかに異なり、またPSA等で用いられる配向膜近傍に偏在する配向維持層のそれとも全く異なる構造を有するものである。
例示として、配向膜を用いた方法によるポリマーネットワークと液晶分子配列構造を示したが、リブやスリット等の構造物を有する所謂MVA方式においても、基板界面近傍のポリマーネットワークや液晶分子のプレチルトが、構造物やスリットを介して印加される斜め電界強度などによってやや異なるだけであり、本質的には、上図のような構造を有するものと推定される。
この様なポリマーネットワークと液晶分子による液晶分子配列を有するVA−TN型液晶表示装置では、電圧無印加時の液晶分子に対するアンカーリング力が、液晶配向膜とポリマーネットワークの持つアンカーリング力の相乗作用により、より強く作用する事となって、結果的に電圧OFF時の応答速度を速くすることが可能となる。
図2に、垂直配向セルに電圧を印加して液晶をホモジニアス配向状態にしてUV露光(3mW/cm 60秒)した場合の配向重合相分離構造を偏光顕微鏡で観察した写真と、写真の説明図を示す。ポリマーネットワークが光学異方性を示すので等方相の液晶部分との間で明暗のコントラストが得られ、重合相分離構造が観察される。ポリマーネットワークの光学軸を偏光方向へ合わせると暗視野になりポリマーネットワークが光学異方性を示しているこが判明した。図16の偏光顕微鏡写真ではホモジニアス配向を示しているが、電圧を印加なしでUV露光したセルを同様な方法で重合相分離構造を垂直配向セルに於いても同様な方法で観察するとポリマーネットワークとの屈折率差が無く暗視野になり、平行した二枚のセル基板面に対して垂直方向にポリマーネットワークが形成されていることを示している。
図3は、液晶表示素子の例を示す概略断面図である。図3では、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。本発明の一実施形態の液晶表示素子1000の構成は、図6に記載するように、対向に配置された第一の透明絶縁基板200と、第二の透明絶縁基板800との間に挟持された重合性液晶組成物(または液晶層500)を有する縦電界方式の液晶表示素子である。第一の透明絶縁基板200は、液晶層500側の面に画素電極層300が形成されている。また、液晶層500の透明絶縁基板200及び第二の透明絶縁基板800のそれぞれの間に、液晶層500を構成する重合性液晶組成物と直接当接して垂直配向を誘起する一対の配向膜400(400a,400b)を有し、該重合性液晶組成物中の液晶分子は、電圧無印加時に前記基板200,800に対して略垂直になるように配向されている。図6に示すように、前記第二の基板800および前記第一の基板200は、が設直交された一対の偏光子100、900に挟持されている。さらに、図3では、前記第二の基板800と配向膜400との間にカラーフィルター600が設けられている。本発明の液晶表示素子の形態としては、いわゆるカラーフィルターオンアレイ(COA)であってもよく、薄膜トランジスタを含む電極層と液晶層との間にカラーフィルターを設けても、または当該薄膜トランジスタを含む電極層と第二の基板との間にカラーフィルターを設けてもよい。
すなわち、本発明の一実施形態の液晶表示素子1000は、第一の偏光板100と、第一の基板200と、薄膜トランジスタを含む画素電極層300と、配向膜400と、重合性液晶組成物を含む液晶層500と、配向膜400と、カラーフィルター600と、第二基板上に形成された共通電極700と、第二の基板800と、第二の偏光板900と、が順次積層された構成である。
第一の基板200と第二の基板800はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。2枚の基板200、800は、周辺領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって貼り合わされていて、その間には基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサーまたはフォトリソグラフィ法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
図4は、当該図3における基板上に形成された薄膜トランジスタを含む電極層300(または薄膜トランジスタ層300とも称する。)のVII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図5は、図4におけるVIII−VIII線方向に図3に示す液晶表示素子を切断した断面図である。以下、図3〜6を参照して、本発明に係る垂直電界型の液晶表示素子を説明する。
半導体層170には、アモルファスシリコン、多結晶ポリシリコンなどを用いることができるが、ZnO、IGZO(In−Ga−Zn−O)、ITO等の透明半導体膜を用いると、光吸収に起因する光キャリアの弊害を抑制でき、素子の開口率を増大する観点からも好ましい。
さらに、ショットキー障壁の幅や高さを低減する目的で半導体層170とソース電極190bとドレイン電極180との間にオーミック接触層160を設けても良い。オーミック接触層には、n型アモルファスシリコンやn型多結晶ポリシリコン等のリン等の不純物を高濃度に添加した材料を用いることができる。
ゲート配線260やデータ配線250、共通ライン(図示せず)は金属膜であることが好ましく、Al、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Ni又はその合金がより好ましく、Al又はその合金の配線を用いる場合が特に好ましい。また、絶縁保護層18は、絶縁機能を有する層であり、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ素酸窒化膜等で形成される。
図4及び図5に示す実施の形態では、共通電極600は第2基板側に設けられた平板状の電極であり、一方、画素電極210は、図6に示す様なスリット構造を有する電極である。すなわち、共通電極600は画素電極210と対向配置されている。画素電極210と共通電極600は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)等の透明導電性材料により形成される。
本発明に係るカラーフィルター600は、光の漏れを防止する観点で、薄膜トランジスタおよびストレイジキャパシタ(図示せず)に対応する部分にブラックマトリックス(図示せず)を形成することが好ましい。また、カラーフィルター600は、通常R(赤)G(緑)B(青)の3つフィルター画素から映像や画像の1ドットからなり、例えば、これら3つのフィルターはゲート配線の延びる方向に並んでいる。当該カラーフィルター600は、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作製することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作製方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作製することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード等の能動素子を設けた画素電極を設置したいわゆるカラーフィルターオンアレイでもよい。
画素電極層300及びカラーフィルター600上には、液晶層500を構成する重合性液晶組成物と直接当接して配向を誘起する一対の配向膜400が設けられている。
VA−TN型、TN型、HTN型の様な90°捩じれモードを用いる場合は、セルギャップが1.5から10μmとなるようにセルギャップ制御する事が好ましく、コントラストが最大になるようにする為には、液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積が0.5又は1.0である事が好ましく、液晶表示装置の応答速度を考慮すると、Δndが0.5近傍であることが更に好ましい。Δnの大きな液晶材料を用いることで、更に応答速度の高速化が期待できる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料などからなる柱状スペーサー等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
2枚の基板間に重合性液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。ODF法の液晶表示素子製造工程においては、バックプレーンまたはフロントプレーンのどちらか一方の基板にエポキシ系光熱併用硬化性などのシール剤を、ディスペンサーを用いて閉ループ土手状に描画し、その中に脱気下で所定量の重合性液晶組成物を滴下後、フロントプレーンとバックプレーンを接合することによって液晶表示素子を製造することができる。本発明に用いられる重合性液晶組成物は、ODF工程における液晶・モノマー複合材料の滴下が安定的に行えるため、好適に使用することができる。
重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、活性エネルギー線である紫外線又は電子線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、重合性化合物を含有した液晶組成物に対し、
重合性液晶組成物を−50℃から20℃の温度範囲で交流電界を印加するとともに、紫外線もしくは電子線を照射することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数100Hzから5kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVA型の液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
照射時の温度は、重合性液晶組成物が−50℃から30℃の温度範囲であることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、365nm未満の紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm〜100W/cmが好ましく、2mW/cm〜50W/cmがより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cmから500J/cmが好ましく、100mJ/cmから200J/cmがより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
図7に、捩じれネマティック方式として用いられるVA−TN型、TN型、HTN型を用いた場合の、1画素を4つの副画素に分割した配向分割時の液晶分子配列を決定するためのラビング方向(光配向方向)を示す。
図8にVA型方式の一形態としたVA−TN型の電圧印加時及び電圧無印加時の液晶分子配列の模式的構造図を示す。
液晶セルの透明電極の内側(液晶層側)には、ガラス基板の法線方向から僅かに傾いた(0.1〜5.0 °)垂直配向膜が形成されており、垂直配向膜及び液晶分子は、上下基板間で略90°の捩じれ構造を有している。
VA−TN型の液晶表示素子の場合は、対向配置される2枚の透明ガラス基板上に形成されたITO透明電極上に垂直配向剤を塗布焼成した後、マスクを用いて図11に示すような方向にそれぞれ異なる方向に4回ラビング処理を行い、進行方向に対して右回りとなるような90°ずつ捩じれ方位の異なる90°捩じれの垂直配向セル(4ドメインVA−TNセル)を作成する。マスクラビング処理法は、煩雑且つラビングによるゴミ、ケバ等の発生により不良品を発生しやすく効率の良くない製造方法なので、4-カルコン基などを有する光配向膜を用いた光2量化型の非接触型の配向方法などが好ましい。光配向処理の場合は、図11に合致する方向からフォトマスクを用いて光照射を行うことで、4ドメインVA−TNセルを作成することが出来る。
TN型の場合は、通常のポリイミド配向膜を塗布焼成した後、VA−TN型の場合と同様に、図7に示す方向に4回マスクラビングを行った2枚のITO電極の形成された基板を対向配置させればよい。この場合も、VA−TN型の場合と同様に、液晶分子配向として桂皮酸ポリマー等を用いた光2量化型の水平光配向膜又は、光分解型ポリイミドを用いて、フォトマスクを介して偏光UVを照射することによって、図7に合致する配向方位を有する4ドメインTNセルを作成することが出来る。
HTN型の場合も、VA−TN型やTN型の場合と同様に、片方の基板にITO透明電極表面に垂直配向膜を塗布焼成し、対抗側基板のITO透明電極基板表面に水平配向膜を塗布焼成した後、図7に示す方向に4回に分けてマスクラビングするか、光配向による垂直配向膜と水平光配向膜をそれぞれのITO基板表面に塗布焼成後、所定の方向から偏光UVを照射することにより、図に合致する配向方位を有する4ドメインHTNセルを作成することが出来る。
いずれの表示モードの場合にも、配向処理に伴って発生する液晶分子の捩じれ方向と同一方向の螺旋ピッチを有するキラル化合物を重合性化合物含有ネマチック液晶組成物に添加し、封入された前記ネマティック液晶組成物にUV照射を行ってポリマーネットワークを形成することによって、配向の安定性が増し、リバースツイストやリバースドメインの発生を抑制することが可能となる。
偏光板100及び偏光板900は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラストが良好になるように調整することができ、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直行する透過軸を有することが好ましい。特に、偏光板1及び偏光板8のうちいずれかは、液晶分子の配向方向と平行な透過軸を有するように配置することが好ましい。また、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を、0.5乃至は1.0程度に調整することが好ましい。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。
<低温重合特性>
本発明の液晶表示素子は、上述した液晶組成物を−50℃から30℃としながらエネルギー線を照射して、重合性化合物を重合して液晶組成物中に屈折率異方性又は配向容易軸方向を有するポリマーネットワーク形成して得られたものであることが好ましい。重合温度の上限は、30℃であり、20℃〜−10℃好ましい。実施例において後述するように、本発明者は、重合性化合物組成に依存して低温重合、及び常温重合により、τdが更に高速化することを見出した。この理由は、1)低温により液晶分子の配向度が上昇した状態で重合すること、2)低温重合により重合したポリマーと液晶組成物との相溶性が下がることで相分離が容易になり、重合相分離速度が速まりポリマーネットワークの空隙間隔が微細になること、3)比較的アンカーリング力が低い重合性化合物を用いても空隙間隔が微細なため、アンカーリング力の影響力が強くなるような屈折率異方性ポリマーネットワークの形成等によるものと考えられる。
以下に、低温重合時と室温重合時における垂直配向型のVA型液晶表示モードにおける電気光学特性の比較に関して詳述する。実験の簡略化のために上下基板間で、液晶分子は90°捩じれていない通常の構造をとっている。
N型液晶組成物として下記(LCN−1)で示される組成物(Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)を調製した。重合性化合物として式(V1−1−2)で示される化合物を用いた。
N型液晶組成物として(LCN−1;Δn0.102、粘性η16.8、Δε−3.8)96質量%、重合性化合物(V1−1−2)4質量%、及び重合光開始剤Irgacure651を重合性化合物(V1−1−2)に対して2質量%含有する重合性液晶組成物(LCM−2)を調製した。
液晶の垂直配向(ホメオトロピック配向)が得られるように、セルギャップ3μmのポリイミド配向膜を塗布した後、基板面法線方向に対してプレチルト角が1°〜2°になるようにラビング配向処理を施しITO付きパラレルラビング配向のセルを用いた。固形の重合性化合物(V1−1−2)を60℃に加熱して液晶(LCN−1)に溶解させた後、室温で重合性化合物(V1−1−2)が均一に溶解してネマチック液晶相を示していることを偏光顕微鏡で確認した。重合性液晶組成物(LCM−2)を60℃に加熱して、真空注入法によりガラスセル内に注入した。
注入後ガラスセルを取り出し、注入口を封口剤3026E(スリーボンド社製)で封止した。紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介した照射強度が15mW/cmの紫外線を、25℃で300秒間照射した。これにより重合性液晶組成物の重合性化合物を重合させて、VA型の液晶表示素子(1)を得た。直交する二枚の偏光板の間に作製したセルを置くと黒くなりセルを方位角方向へ回転しても暗視野が変化せず、ポリマーネットワークの光軸方向と液晶配向容易軸方向が同一方向であることを確認した。
重合温度を−10℃で行った以外は上記と同様の方法にて、VA型の液晶表示素子(2)を得た。
重合性化合物(V1−1−2)の含有されていないN型液晶組成物LCN−1を、全く同一条件で作成した液晶セルに注入封止し、VA型の液晶表示素子(3)を得た。
上記のVA型の液晶表示素子(1)、(2)、(3)に、60Hzの矩形波を印加して電圧―透過率特性及び応答時間を測定し、その結果を下記表に示す。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
上記表の結果から明らかなとおり、重合性化合物がUV光により重合された重合体を含有するVA型液晶表示装置の方が、やや駆動電圧は高くなるが、応答速度、特にτdが高速化されていることが分かり、低温時での重合ではその効果が顕著に表れる。
次いで、重合性化合物の重合温度を室温(25℃)と−10℃で行った場合の電圧透過率−特性、応答速度に関する詳細な結果を図9に示す。図9に示すように、低温重合によりτdの高速化が確認された。
セル作製に用いた重合性液晶組成物を20℃で1週間放置して重合性化合物による結晶化が無いことを確認した。
次いで、重合温度を−10℃、0℃、10℃、25℃としてVA型の液晶表示装置を作製した。
60Hzの矩形波を印加して電圧―透過率特性を測定した所、図10に示す駆動電圧V90(v)を示した。図10に示すように、重合温度が低下するにつれ、駆動電圧が増加していることが確認された。
セル作製に用いた重合性液晶組成物を20℃で1週間放置して重合性化合物による結晶化が無いことを確認した。
更にVAモードにおける応答時間を調べた。結果を図11に示す。図11に示すように、低温重合によりτdの高速化が確認された。又、周波数60Hz間隔でゲートをON状態にしてセルに電圧1Vを16.6ミリ秒間印加して、ゲートOFF後に、セルが保持された電圧を測定して電圧保持率を求めた。25℃の電圧保持率は、99.5%、70℃の電圧保持率は93%であった。
以上の実験結果より、室温でポリマーネットワークを重合した場合よりも低温で重合した方が、τd、τrとも高速応答性が得られることが確認することができた。なお、この重合温度を低温化することにより、τd及びτrが高速化される傾向は、キラル化合物を含有するTN型、HTN型、VA−TN型においても、同様な傾向が得られた。
尚、セルギャップが12μmである以外は全く同一の条件で、垂直配向膜にアンチパラレルラビング処理を施し、室温で重合性液晶化合物にUV光を照射してポリマーネットワーク化したVAパネルを作製し、東陽テクニカ社のプレチルト角測定システムPSA−301型を用いてプレチルト角を測定したところ、プレチルト角は基板の法線方向に対して0.8°のプレチルトを有していた。
基板の上下間で90°捩じれた垂直配向構造を有するVA−TN型のパネルは、捩じれ構造の影響によりVA型のパネルよりもプレティルト角がわずかに大きくなるものと予想されるが、ほぼ同程度のプレチルト角であるものと推測できる。
上記の様な90°捩じれ構造を有するVA−TN型のパネルの場合は、プレチルト角が大きくなりすぎると、セルギャップdと複屈折の積Δndが最適値である0.5からのずれが大きくなり、透過率が低下することになるため、法線方向からの傾きを10.0°以内に抑えることが望ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1、2、3)
(TN型液晶表示素子)
P型液晶組成物として下記(LCP−1)で示される組成物(Δn0.103、粘性η20mPa・s)を調製し、液晶セルのバルク内で自発的なねじれを誘起させる為に、このP型液晶組成物(LCP−1)に、下記式(I−1)で表されるキラル化合物を添加し、ネマチック液晶層内で捩じれの構造を持たせるようにした。
重合性化合物として下記式(V1−1−1)で示される化合物を用いた。式(I−1)で表されるキラル化合物が0.84%添加されたP型液晶組成物(LCP−1)100〜97%、重合性化合物(V1−1−1)をそれぞれ1.0%、2.0%、3.0%、重合光開始剤Irgacure651が重合性化合物(V1−1−1)に対して2%になる重合性液晶組成物を調製した。なお、固形の重合性化合物(V1−1−1)を60℃に加熱して式(I−1)で表されるキラル化合物が0.84%添加された液晶(LCP−1)に溶解させた後、室温の状態で重合性化合物(V1−1−1)が均一に溶解してネマチック液晶相を示していることを偏光顕微鏡で確認した。
ポリイミド配向膜を塗布したITO付きのガラス基板の表面を図7に示すように、上下基板間で右回り90°ツイストとなるようにラビング配向処理を行い、セルギャップ4.9μmのTN液晶セルを作成し、重合性液晶組成物(LCM−1)を真空注入法によりガラスセル内に注入し、実施例1、2、3とした。この場合のP/dは、3.00であり、Δndは0.5と、90°TN型の最も透過率の高い領域のセルパラメーターであることが分かる。
又、重合性化合物V1−1−1を含有しないネマチック液晶組成物を、上記と同様の手順で液晶セルに封入し、比較例1とした。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
注入後ガラスセルを取り出し、注入口を封口剤3026E(スリーボンド社製)で封止した。紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介した照射強度が15mW/cmの紫外線を、25℃で300秒間照射した。これにより重合性液晶組成物中の重合性化合物を重合させて、ポリマーネットワークがネマチック液晶層内に形成されたTN型の液晶表示素子を得た。直交する二枚の偏光板の間に作製したセルをラビング処理方向と偏光軸方向が一致するように置くと明視野になり、リバースツイストもリバースドメインもない90°捩じれた配向層が得られていることを確認した。
セル作製に用いた重合性液晶組成物を20℃で1週間放置して重合性化合物による結晶化が無いことを確認した。
60Hzの矩形波を印加して電圧―透過率特性、応答速度を測定した結果を以下の表に示す。
Figure 0006808916
実施例1〜3の結果から、いずれも立下り速度τdが高速化している。重合性化合物の添加量が1%から3%の領域では、重合性モノマーの添加量の増加に従って立下り時間τdが高速化する反面、立ち上がり時間τrがV90電圧(飽和電圧)の上昇の影響を受けやや遅くなってしまう傾向にあるが、3%添加した実施例3では、立ち上がり速度τrと立下り速度τdの合計が(τr+τd)=11.8msと、重合性モノマー無添加時の17.3msの1.5倍程、高速応答化することが確認された。
実施例1、2、3及び比較例1の液晶パネルを、東陽テクニカ社のプレチルト角測定システムPSA−301型を用いてプレチルト角を測定したところ、得られたプレチルト角は、それぞれ基板の水平方向から、1,4°、1.6°、2.2°、1.2°であった。重合性化合物の添加量によってプレチルト角がやや大きくなっている様な傾向もみられるが、測定誤差を考慮するとほぼ変化がないものと思われる。
使用する配向膜や、重合性化合物の種類によってプレチルト角の値は大きく左右されるが、
90°捩じれ構造を有するTN型パネルの場合は、プレチルト角が大きくなりすぎると、セルギャップdと複屈折の積Δndが最適値である0.5からのずれが大きくなり、透過率が低下することになるため、基板の水平方向からの傾きを10.0°以内に抑えることが望ましい。
(実施例4、5、6)
(光配向膜による4ドメインTN型液晶表示素子)
下記式(P1)で示される高分子光配向材料を、N-メチル-2-ピロリドン(以下NMP)に溶解した後に2-ブトキシエタノールを加え、重量比としてNMP:2-ブトキシエタノール:高分子光配向材料=47.5:47.5::5となるよう調整し、menbrane solution社製のMS PTFE syringe filter(5um,1um,0.45um)を用いてろ過して光配向膜溶液を得た。該溶液をFPDソリューション製のIPS3035-2up基板及び対向基板に約90nmの厚さになるようミカサ(株)製スピンコーターIH-DX-2を用いてスピンコートし、その後AS ONE(株)製ホットプレートdigital hot plate NINOS ND1上にて80℃で3分間乾燥し、さらにAS ONE社製オーブンDO-600FAを用いて空気雰囲気下、150℃で5分間乾燥した。乾燥後室温まで徐冷した。次いで、目白プレシジョン製偏光照射装置を用いて乾燥した膜に313nmの直線偏光を7.5秒間150mJ/cm照射して本発明の光配向膜を調製した。光配向膜を塗布した基板に武蔵エンジニアリング(株)製のシールデイスペンサーを用いて三井化学(株)製ストラクトボンドXN-21-SをIPS基板側に塗布した。塗布後90℃で30分シール剤を乾燥し、基板を張り合わせた。基板張り合わせ後150℃で90分加熱を行い、ガラスセルを作成した。室温まで除冷後、作製したセルギャップ4.9μmのセルに、P型液晶組成物として前記(LCP−1)で示される組成物(Δn0.103、粘性η20mPa・s)を調製し、液晶セルのバルク内で自発的なねじれを誘起させる為に、このP型液晶組成物(LCP−1)に、上記式(I−1)で表されるキラル化合物を添加し、バルクで右捩じれの構造を持たせるようにした。
式(I−1)で表されるキラル化合が0.84質量%添加されたP型液晶組成物(LCP−1)100〜97%に上記重合性化合物(V1−1−1)1.0%、2.0%、3.0%、重合光開始剤Irgacure651が重合性化合物(V1−1−1)に対して2%になる重合性液晶組成物を調製した。紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介した照射強度が15mW/cmの紫外線を、25℃で300秒間照射し、ポリマーネットワークが液晶バルク内に形成されたTN型の液晶表示素子として実施例4、5、6を得た。
又、重合性化合物(V1−1−1)を含有しないネマチック液晶組成物を、上記実施例4〜6と同様の手順で液晶セルに封入し、比較例2とした。
Figure 0006808916
直交する二枚の偏光板の間に作製したセルをラビング処理方向と偏光軸方向が一致するように置くと明視野になり、リバースツイストもリバースドメインもない90°捩じれた配向層が得られていることを確認した。
セル作製に用いた重合性液晶組成物を20℃で1週間放置して重合性化合物による結晶化が無いことを確認した。
上記と同様の手順で、60Hzの矩形波を印加して電圧―透過率特性、応答速度を測定した結果を以下の表に示す。
Figure 0006808916
実施例4〜6では、いずれも立下り速度τdが高速化している。重合性化合物の添加量が1%から3%の領域では、重合性化合物の添加量の増加に従って立下り時間τdが高速化する反面、立ち上がり時間τrがV90電圧(飽和電圧)の上昇の影響を受けやや遅くなってしまう傾向にあるが、3%添加した実施例6では、立ち上がり速度τrと立下り速度τdの合計が(τr+τd)=13.6msと、重合性モノマー無添加時の19.9msの1.5倍程、高速応答化することが確認された。光配向処理を行った場合の配向規制力は、ラビングの場合よりもやや弱く、τdの高速応答化の効果が結果的に低く出てしまう傾向にある事が確認された。
(実施例7、8、9、10、11)
(VA−TN型液晶表示素子)
図7に示す様に90°ずつ捩じれた4つの異なる方向に光によって配向分割されたセルギャップ4.9μmのVA−TN液晶セルを作成しVA−TN型液晶表示素子を作製した。
具体的には、4−カルコン基を有する光配向膜塗布溶液を第1基板及び第2基板に対して、スピンキャスト法により塗布した後、180℃で60分間焼成して配向膜を形成した。続いて、図7に示す様に90°ずつ捩じれた4つの異なる方向に示す配向方位に沿って、配向膜に対し入射角40度で波長365nmのP偏光を3mW/cmの強度で400秒照射することで、光照射による配向処理を実施した。
プレチルト角を測定したところ、第1配向膜近傍及び第2配向膜近傍における液晶分子のプレチルト角は88.5°であった。配向膜の構成分子は、高分子鎖の側鎖に4−カルコン光官能基(感光性基)を有するが、この光配向処理により、光官能基が二量化反応により二量体を形成し、架橋構造が形成された。なお、本実施例においては、第1基板の各画素内を2つの配向処理領域に分け、互いに反対方向から光照射を行った。また、第2基板の各画素内も同様に、2つの配向処理領域に分け、互いに反対方向から光照射を行った。そして、シール形成、スペーサ散布等を行った後、基板貼り合わせ工程において、第1基板と第2基板とを配向処理方向が直交するように貼り合わせた。これにより、各画素内に液晶分子のツイスト方向の異なる4つのドメイン領域を形成させた。
下記式(I−1)で表されるキラル化合物を0.63質量%含有する下記N型液晶組成物(LCN−1)に、下記式(V1−1−1)、下記式(V1−1−2)で表される化合物を添加し、下記表に示される重合性液晶組成物を調整した。実施1〜6と同様にして重合性液晶組成物を液晶パネルに注入・封止後、UV光照射を行い、実施例7、8、9、10、11の光配向処理によるVA−TN型のポリマーネットワーク液晶表示パネルを作製した。セルギャップは4,9μmであった。また、ニ官能モノマーを含まない下記式(I−1)で表されるキラル化合物を0.63質量%含有する液晶組成物(LCN−1)のみを封入したVA−TN型液晶パネルを比較例3とした。
Figure 0006808916
Figure 0006808916
Figure 0006808916
紫外線カットフィルターL−37(ホーヤ カンデオ オプトロニクス社製)を介した照射強度が15mW/cmの紫外線を、25℃で300秒間照射し、ポリマーネットワークが液晶バルク内に形成されたVA−TN型の液晶表示素子を得た。直交する二枚の偏光板の間に作製したセルを光配向処理方向と偏光軸方向又は透過軸方向が一致するように置くと90°ずつ捩じれの方向が異なる4つの領域とも全て明視野になり、きちんと4領域に配向分割されたリバースツイストもリバースドメインもない90°捩じれた配向層が得られていることを確認した。
セル作製に用いた重合性液晶組成物を20℃で1週間放置して重合性化合物による結晶化が無いことを確認した。
上記と同様の手順で、60Hzの矩形波を印加して得られた液晶パネルの電圧―透過率特性、及び応答速度を測定した結果を以下の表に示す。
Figure 0006808916
実施例7〜11では、いずれも立下り速度τdが高速化している。重合性化合物の添加量が1%から2%未満の領域では、重合性モノマーの添加量の増加に従って立下り時間τdが高速化する反面、立ち上がり時間τrがV90電圧(飽和電圧)の上昇の影響を受けやや遅くなってしまう傾向にあるが、2%以上の添加量になると液晶分子配列構造がきちんと揃うため、立ち上がり応答速度τrも高速化してくる。更に添加量を10%程度になると、ポリマーネットワークの配向規制力の影響が顕著に現れ、実施例11では立下り速度τdは、1.8msと、重合性化合物添加時の4倍以上高速応答化することができた。
立ち上がり時間に関しても、駆動電圧が高くなっている影響もあるが、1.2msと、重合性モノマー無添加時の6.0msの5倍程度の高速応答化が達成されており、立ち上がり時間τrと立下り時間τdの合計(τr+τd)=3.0msと、重合性モノマー無添加時の13.9msの4.5倍以上の高速応答化が達成できていることが確認できた。
実施例7、8、9、10、11、及び比較例3の液晶パネルを、東陽テクニカ社のプレチルト角測定システムPSA−301型を用いてプレチルト角を測定したところ、得られたプレチルト角は、それぞれ基板の法線方向から、0.6°、0.8°、0.7°、1.0°、1.2°、0.5であった。重合性化合物の添加量によってプレチルト角がやや大きくなっている様な傾向もみられるが、測定誤差を考慮するとほぼ変化がないものと思われる。重合性モノマーの種類が異なると、プレチルト角が異なっているように思われる。
(実施例12、13、14)
(HTN型液晶表示素子)
第1基板に対して、垂直配向性を有する4−カルコン基を有する光配向膜塗布溶液をスピンキャスト法により塗布した後、180℃で60分間焼成して配向膜を形成した。続いて、図7に示す様に90°ずつ捩じれた4つの異なる方向に示す配向方位に沿って、配向膜に対し入射角40度で波長365nmのP偏光を3mW/cmの強度で400秒照射することで、光照射による配向処理を実施した。
次いで、第2基板に対して実施例4、5、6で用いた水平光配向膜(P1)を用い、全く同一の手順で偏光光照射による水平光配向処理を行った。4方向に配向処理されたITO透明電極付の垂直配向基板と水平配向基板を、図7に示す様に対抗配置し、4.9μmの粒径を有するシリカスペーサを含有するシール材を介してセルギャップ4.9μmのHTN型液晶セルを作製した。このHTN型液晶セルに、P型液晶組成物として前記(LCP−1)で示される組成物(Δn0.103、粘性η20mPa・s)を調製し、液晶セルのバルク内で自発的なねじれを誘起させる為に、このP型液晶組成物(LCP−1)に、前記式(I−1)で表されるキラル化合物を0.84質量%添加し、バルクで右捩じれの構造を持たせるようにした。式(I−1)で表されるキラル化合物が0.84質量%添加されたP型液晶組成物(LCP−1)100〜97%に重合性化合物(V1−1−1)1.0%、2.0%、3.0%、重合光開始剤Irgacure651が重合性化合物(V1−1−1)に対して2%になる重合性液晶組成物を調製した。光照射を行いポリマーネットワークが液晶バルク内に形成されたHTN型の液晶表示素子、実施例12、13、14を得た。
また、ニ官能モノマーを含まないHTN液晶セルを作製し、比較例4とした。
直交する二枚の偏光板の間に作製したセルを配向処理方向と偏光軸方向又は透過軸方向が一致するように置くと90°ずつ捩じれの方向が異なる4つの領域とも全て明視野になり、きちんと4領域に配向分割され、リバースツイストもリバースドメインもない90°捩じれたHTN配向層が得られていることを確認した。
セル作製に用いた重合性液晶組成物を20℃で1週間放置して重合性化合物による結晶化が無いことを確認した。
上記と同様の手順で、60Hzの矩形波を印加して電圧―透過率特性、応答速度を測定した結果を以下の表に示す。
Figure 0006808916
実施例12〜14では、いずれも立下り速度τdが高速化している。VA−TN型の液晶表示素子の場合と同様に、重合性化合物の添加量が1%から3%の領域では、重合性化合物の添加量の増加に従って立下り時間τdが高速化する反面、立ち上がり時間τrがV90電圧(飽和電圧)の上昇の影響を受けやや遅くなってしまう傾向にある。然しながら、3%添加した領域では、立ち上がり時間τrと立下り時間τdの合計(τr+τd)=14.8msと、重合性化合物も添加時の22.0の2倍程度の高速応答化が達成できていることが確認できた。
上記技術は、単に高速応答性を有するTV等の動画表示装置のほか、カラーフィルタ不要なフィールドシーケンシャル方式への採用も可能である。また、近年、急速に注目を集めている超大型高精細の4K×2K−TVや、4K×8K−TVなどへの応用展開が期待される。
1…偏光板、2…第一の透明絶縁基板、3…電極層、4…配向膜、4a…配向方向、5液晶層、6…カラーフィルター、7…第二の透明絶縁基板、8…偏光板、9…連続又は不連続なポリマーネットワーク、100…偏光板、110…ゲート電極、120…ゲート絶縁層、130…半導体層、140…保護層、160…ドレイン電極、190b…有機絶縁膜、200…第一の基板、210…画素電極、220…ストレイジキャパシタ、230…ドレイン電極、240…データ配線、250…ゲート配線、260…ソース電極、270…ゲート電極、300…薄膜トランジスタ層、400…配向膜、500…液晶層、510…液晶表示装置、512…画素電極、512a…画素幹部電極、512b…画素枝部電極、512c…画素スリット、516…走査配線、517…信号配線、600…共通電極、700…カラーフィルター、800…第二の基板、900…偏光板、1000…液晶表示素子

Claims (12)

  1. 少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に挟持した1種又は2種以上の液晶化合物を含有するネマチック液晶組成物中に、1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物の硬化物である重合体又は共重合体及びキラル化合物を含有し、該重合性組成物とキラル化合物と該液晶組成物の全重量中の該重合性組成物の含有量が1質量%以上40質量%未満であり、該液晶組成物中の該重合体又は共重合体がポリマーネットワークを形成し、透明基板上に液晶組成物を配向させるための配向層を有しており、該ポリマーネットワークが一軸性の屈折率異方性を有し、該ポリマーネットワークの光軸方向又は配向容易軸方向と該液晶組成物の配向容易軸方向が同一方向であり、
    該重合性化合物として、下記一般式(Vb)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有し、セル構造がVA−TN型、TN型、又はHTN型であることを特徴とする、非光散乱型の液晶表示素子。
    Figure 0006808916
    (式中、X 及びX はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp 及びSp はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は−O−(CH −(式中、sは1〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Z は単結合を表し、Cは単結合を表し、式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい。)
  2. 透明基板の法線方向に対して該液晶組成物が0〜90°のプレチルト角をなしている請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 透明基板の法線方向又は水平方向に対して該ポリマーネットワークの光軸方向又は配向容易軸方向が0.1〜30.0°のプレチルト角をなしている請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
  4. セル断面方向に対して少なくともセル厚の0.5%以上の厚さのポリマーネットワーク層が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  5. 前記ネマチック液晶組成物中に含まれる液晶化合物のピッチをPとし、セルギャップをdと定義したとき、P/dが2以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  6. 液晶組成物として、下記一般式(LC)で表される液晶化合物を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
    Figure 0006808916
    (一般式(LC)中、RLCは、炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−又は−C≡C−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子に置換されていてもよい。
    LC1及びALC2は、それぞれ独立して、下記の基(a)、基(b)及び基(c)からなる群より選ばれる基を表す。
    (a)トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。)

    (b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個のCH基又は隣接していない2個以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)、
    (c)1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又はクロマン−2,6−ジイル基。
    前記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれ、フッ素原子、塩素原子、−CF又は−OCFで置換されていてもよい。
    LCは単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表す。
    LCは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、及び炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−、−OCF−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子によって置換されていてもよい。
    aは1〜4の整数を表す。aが2、3又は4を表し、一般式(LC)中にALC1が複数存在する場合、複数存在するALC1は、同一であっても異なっていてもよく、ZLCが複数存在する場合、複数存在するZLCは、同一であっても異なっていてもよい。)
  7. 2方向に配向分割された隣接する副画素の液晶配向方位が略180°異なり、4方向に配向分割された隣接する副画素の液晶配向方位が略90°ずつ異なる請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  8. 少なくとも一方に電極を有する2枚の透明基板間に挟持した1種又は2種以上の液晶化合物を含有するネマチック液晶組成物と、1種又は2種以上の重合性化合物を含有する重合性組成物の硬化物である重合体又は共重合体及びキラル化合物を含有し、該重合性組成物とキラル化合物と該液晶組成物の全重量中の該重合性組成物の含有量が1質量%以上40質量%未満である組成物中の重合性化合物を、エネルギー線を照射することにより重合してなる、請求項1に記載の液晶表示素子。
  9. 該組成物中の重合性化合物を、−50℃〜30℃の温度にてエネルギー線を照射することにより重合してなる請求項に記載の液晶表示素子。
  10. 該組成物中の重合性化合物を、エネルギー線照射前の透明基板の法線方向又は水平方向に対するプレチルト角が0.1〜30°になるような電圧を印加しながらエネルギー線を照射することにより重合してなる請求項又はに記載の液晶表示素子。
  11. 前記ポリマーネットワークの平均空隙間隔が50nm〜450nmである請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  12. 前記ポリマーネットワークの平均直径が20nm〜700nmである請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
JP2015158944A 2015-08-11 2015-08-11 液晶表示素子 Expired - Fee Related JP6808916B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015158944A JP6808916B2 (ja) 2015-08-11 2015-08-11 液晶表示素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015158944A JP6808916B2 (ja) 2015-08-11 2015-08-11 液晶表示素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017037227A JP2017037227A (ja) 2017-02-16
JP6808916B2 true JP6808916B2 (ja) 2021-01-06

Family

ID=58047698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015158944A Expired - Fee Related JP6808916B2 (ja) 2015-08-11 2015-08-11 液晶表示素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6808916B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020190675A (ja) * 2019-05-23 2020-11-26 Dic株式会社 液晶表示素子の製造方法、及び液晶表示素子
JP2021017475A (ja) * 2019-07-18 2021-02-15 Dic株式会社 液晶組成物及び液晶表示素子
JP2021017520A (ja) * 2019-07-23 2021-02-15 Dic株式会社 ネマチック液晶組成物、液晶表示素子、及びその製造方法
CN113272726B (zh) * 2019-10-24 2022-08-23 京东方科技集团股份有限公司 显示面板、显示装置及显示面板制造方法
WO2022040002A1 (en) 2020-08-17 2022-02-24 Aligos Therapeutics, Inc. Methods and compositions for targeting pd-l1

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3513888B2 (ja) * 1993-08-16 2004-03-31 大日本インキ化学工業株式会社 液晶表示素子及びその製造方法
JP4904622B2 (ja) * 2000-01-21 2012-03-28 Dic株式会社 液晶相を示す重合性組成物及びこれを用いた光学異方体
JP2002031804A (ja) * 2000-07-18 2002-01-31 Nec Corp 液晶表示装置
CN100351677C (zh) * 2004-01-08 2007-11-28 电子科技大学 含纳米聚合物网络的液晶显示器
JP5229766B2 (ja) * 2006-05-31 2013-07-03 Dic株式会社 垂直配向型超ねじれ液晶表示素子及びその製造方法
KR20120133927A (ko) * 2011-06-01 2012-12-11 삼성디스플레이 주식회사 표시 장치 및 표시 장치 제조 방법
KR101519487B1 (ko) * 2013-03-26 2015-05-12 디아이씨 가부시끼가이샤 액정 조성물 및 그것을 사용한 액정 표시 소자
US20160194561A1 (en) * 2013-05-31 2016-07-07 Dic Corporation Difluorophenyl liquid crystal composition

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017037227A (ja) 2017-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6439990B2 (ja) 重合性液晶組成物
JP6493775B1 (ja) 液晶組成物及び液晶表示素子
JP6260747B2 (ja) 液晶表示素子
JP5720919B2 (ja) 重合性化合物を含有する液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子
JP5509569B2 (ja) 高分子安定化強誘電性液晶組成物、及び液晶素子及び当該表示素子の製造方法
JP6358489B2 (ja) 液晶表示素子
JP6808916B2 (ja) 液晶表示素子
JP6403037B2 (ja) 液晶表示素子およびその製造方法
JP6798097B2 (ja) 液晶表示素子
WO2017026478A1 (ja) 液晶表示素子
JPWO2018074311A1 (ja) 重合性液晶組成物、液晶表示素子、及び液晶表示素子の製造方法
JP7092311B2 (ja) 重合性液晶組成物及び液晶表示素子
JP2020190675A (ja) 液晶表示素子の製造方法、及び液晶表示素子
WO2018216485A1 (ja) 液晶表示素子およびその製造方法
JP2020200428A (ja) 重合性化合物含有液晶組成物及び液晶表示素子

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20180220

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190425

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191015

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200414

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201123

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6808916

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees