JP6805771B2 - エンジンの凝縮水処理装置 - Google Patents
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Description
即ち、毛細管現象を利用した凝縮水の気化に関しても、負圧を利用した筒内への導入に関しても、エンジンの運転領域に応じて大きく変動し、言わば成り行きにまかせたものでしかない。このため気化した凝縮水の筒内への導入量は適切とは言い難く、エンジンの安定した運転を妨げる要因になった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、エンジンを安定した運転状態に保ち、且つ強酸性の凝縮水によるエンジンのダメージを防止した上で、凝縮水を適切に処理することができるエンジンの凝縮水処理装置を提供することにある。
その他の態様として、前記エマルジョン燃料生成手段が、凝縮水槽及び燃料槽の下側に撹拌槽を画成してなる一体容器と、前記凝縮水槽に一時的に貯留された凝縮水及び前記燃料槽に一時的に貯留された燃料を、それぞれ予め設定された流量比で重力により前記撹拌槽内に流下・供給する混合弁と、前記撹拌槽内の前記凝縮水及び前記燃料を撹拌する撹拌手段とから構成されることが好ましい(請求項4)。
その他の態様として、前記エマルジョン燃料生成手段からエマルジョン燃料が供給され、該エマルジョン燃料を加圧手段により加圧して追混合噴射弁から密閉容器内に噴射し、噴射後のエマルジョン燃料を前記第1の燃料噴射手段に供給する追混合手段をさらに備えることが好ましい(請求項5)。
その他の態様として、前記追混合手段が、前記密閉容器内のエマルジョン燃料を前記加圧手段に戻す再循環手段を備えることが好ましい(請求項6)。
[第1実施形態]
図1は第1実施形態のエンジンの凝縮水処理装置を示す全体構成図である。
エンジン1は吸気管噴射型の直列4気筒ガソリン機関として構成されている。エンジン1の吸気管には吸気マニホールド2が接続され、吸気マニホールド2は各気筒の吸気ポート3を介して筒内4(燃焼室)と接続され、吸気ポート3には燃料噴射弁5(1気筒分を図示)が設けられている。また、各気筒の筒内4は、排気ポート6及び排気マニホールド7を介して排気管と接続されている。本発明の吸気通路は、吸気管、吸気マニホールド2及び吸気ポート3に相当し、本発明の排気通路は、排気ポート6、排気マニホールド7及び排気管に相当する。
エンジン1の各気筒の吸気ポート3には上記した燃料噴射弁5に加えて、以下に述べるエマルジョン燃料生成装置10(エマルジョン燃料生成手段)で生成したエマルジョン燃料を噴射するための燃料噴射弁9がそれぞれ設けられている。説明の便宜上、本来の燃料のみを噴射する燃料噴射弁をガソリン噴射弁5(第2の燃料噴射手段)と称し、エマルジョン燃料を噴射する燃料噴射弁をエマルジョン噴射弁9(第1の燃料噴射手段)と称して区別する。
一方、撹拌容器17は第1エマルジョン路24を介して第2燃料ポンプ25と接続され、第2燃料ポンプ25は第2エマルジョン路26を介して各気筒のエマルジョン噴射弁9とそれぞれ接続されている。
ECU31の入力側には、エンジン回転速度や冷却水温等のエンジン1の運転状態を検出する各種センサ類と共に、凝縮水容器22内に貯留される凝縮水の液面レベルを検出する液面センサ32、及び撹拌容器17内に貯留されるエマルジョン燃料の液面レベルを検出する液面センサ33が接続されている。またECU31の出力側には、上記したガソリン噴射弁5、エマルジョン噴射弁9、第1燃料ポンプ12及び第2燃料ポンプ25、撹拌用モータ18及び流量調整弁15,20が接続されると共に、運転席に設けられた凝縮水の不足を報知するための警告灯34、及び図示しない点火プラグを駆動するイグナイタ等の各種デバイス類が接続されている。
またECU31は、EGRクーラ8内に溜まった凝縮水を処理するために、エマルジョン燃料を生成してエマルジョン噴射弁9から噴射しており(噴射量制御手段)、以下、ECU31により実行される当該処理について説明する。
図2はエンジン1の運転領域内のノッキングが発生する領域を示しており、特に高負荷・低回転域でノッキングが発生することが判る。ECU31は全ての運転領域でガソリン噴射弁5を駆動し、これに対してエマルジョン噴射弁9をノッキング発生領域で駆動する。従って、ノッキング発生領域以外(他の運転領域)では、エンジン1の要求出力から算出された要求燃料量となるようにガソリン噴射弁5の噴射量が制御される。
以上のように本実施形態のエンジン1の凝縮水処理装置によれば、EGRクーラ8内に発生した凝縮水を燃料と混合してエマルジョン燃料を生成し、エマルジョン噴射弁9から噴射して筒内4での燃焼に供するようにした。エマルジョン燃料の生成は凝縮水を燃料で希釈することを意味し、希釈された凝縮水は表面の接触面積の縮小により酸性度が弱められる。
しかも本実施形態では、エマルジョン燃料に含まれた凝縮水による筒内燃焼温度の低下作用を利用し、ノッキング発生領域ではガソリン噴射弁5に加えてエマルジョン噴射弁9を駆動すると共に、ノッキング発生領域内で負荷が高くなるほど、換言するとノッキングが発生し易くなるほどエマルジョン噴射弁9の噴射量の比率を増加している。このためノッキング発生領域内の何れでも適切な量の凝縮水を筒内4に導入でき、エンジン1を安定した運転状態に保ちつつ最大限のノッキング抑制効果を得ることができる。
一方、ECU31は、液面センサ32により検出される凝縮水容器22内の液面レベルが予め設定された下限を下回った場合に、警告灯34を点灯表示させる。この点灯表示により凝縮水容器22内の凝縮水の不足を運転者等が認識すると、給水口から凝縮水容器22内に水道水等を補給する。EGRクーラ8内での凝縮水の発生は、エンジン1の運転状態に応じて相違し、EGRクーラ8内で発生した凝縮水がノッキング抑制の必要量に満たない場合もある。このような事態を水道水等の補給によって防止できることから、上記したノッキング抑制に関する効果を常に得ることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明を別のエンジン1の凝縮水処理装置に具体化した第2実施形態を説明する。
本実施形態の凝縮水処理装置の全体的な構成は第1実施形態のものと同様であり、相違点は、凝縮水容器22及び撹拌容器17を一体容器41に置き換えたことにある。そこで、重複する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
一体容器41は、凝縮水槽42、燃料槽43及び撹拌槽44からなり、凝縮水槽42及び燃料槽43が並列配置で画成されると共に、それらの下側で隣接するように撹拌槽44が画成され、全体として1つの容器を構成している。第1実施形態の凝縮水容器22と同じく、凝縮水槽42は第1凝縮水路23を介してEGRクーラ8と接続され、EGRクーラ8からの凝縮水が一時的に凝縮水槽42内に貯留される。また第1実施形態の撹拌容器17と同じく、撹拌槽44は第1エマルジョン路24、第2燃料ポンプ25及び第2エマルジョン路26を介して各気筒のエマルジョン噴射弁9とそれぞれ接続されると共に、撹拌槽44の底部には撹拌用モータ18により回転駆動される撹拌翼19が配設されている。
なお、以下の混合弁45による所定の流量比を達成できれば、必ずしも同一液面レベルとする必要はなく、互いに異なる液面レベルに保ってもよい。
加えて、凝縮水槽42、燃料槽43及び撹拌槽44からなる一体容器41を設け、且つ混合弁45により撹拌槽44内に凝縮水及び燃料を所定の流量比で供給するようにしたため、第1実施形態と比較して凝縮水処理装置の全体的な構成を簡略化できるという効果も得られる。
[第3実施形態]
次に、本発明を別のエンジン1の凝縮水処理装置に具体化した第3実施形態を説明する。
本実施形態の凝縮水処理装置の全体的な構成は第1実施形態のものと同様であり、相違点は、撹拌容器17内で生成されたエマルジョン燃料をさらに良好にエマルジョン化すべく追混合装置51(追混合手段)を設けたことにある。そこで、重複する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
第3燃料ポンプ52及び追混合噴射弁54はECU31により駆動制御され、ECU31は、撹拌容器17内のエマルジョン燃料を第3燃料ポンプ52により加圧した後、追混合噴射弁54から噴射させる。密閉容器53内で空気中に噴射されることによりエマルジョン燃料は微粒化され、その際にエマルジョン燃料に含まれる凝縮水と燃料がさらに均質に混合される(以下、この処理を追混合と称する)。追混合後のエマルジョン燃料は一時的に密閉容器53に貯留され、その後に第2燃料ポンプ25によりエマルジョン噴射弁9に供給される。
[第4実施形態]
次に、本発明を別のエンジン1の凝縮水処理装置に具体化した第4実施形態を説明する。
端的に表現すると、本実施形態の凝縮水処理装置は、第2実施形態の一体容器41、及び第3実施形態の追混合装置51を備えたものである。よって、重複する説明はしないが、第2及び第3実施形態で述べた作用効果が得られる。
[第5実施形態]
次に、本発明を別のエンジン1の凝縮水処理装置に具体化した第5実施形態を説明する。
本実施形態の凝縮水処理装置の全体的な構成は第1〜4実施形態のものと同様であり、相違点は、エマルジョン燃料をエンジン1の排ガス浄化に供するように、エンジン1の排気管61(排気通路)にエマルジョン噴射弁9を設けたことにある。そこで、重複する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に述べる。
また、排気管61のエマルジョン噴射弁9よりも下流側には吸蔵型NOx触媒62(排ガス浄化装置)が設けられ、エンジン1のリーン運転時に排ガス中のNOxを吸蔵して大気中への排出を防止する。
ECU31は、NOx触媒62が吸蔵限界に達する以前に、HCやCO等の還元剤をNOx触媒62上に供給してNOxを放出還元するNOxパージを実行する。この還元剤の供給のためにエマルジョン燃料が利用されており、ECU31はNOxパージの際にエマルジョン噴射弁9を駆動して、排気管61内にエマルジョン燃料を噴射させる。噴射されたエマルジョン燃料はNOx触媒62上に供給され、エマルジョン燃料に含まれる燃料が還元剤として機能してNOx触媒62からNOxを放出還元する。NOxパージの進行状況に応じてNOxの放出還元のために必要な燃料量は変化することから、過不足の無い燃料をNOx触媒62上に供給すべく、ECU31はエマルジョン噴射弁9の噴射量を制御している。
また上記各実施形態では、EGRクーラ8内に発生した凝縮水の処理装置に具体化したが、本発明の排ガス冷却器はこれに限るものではなく、例えばインタクーラに適用してもよい。(EGRの環流により排ガスを含む)吸気がインタクーラを流通・冷却される際に、同じく凝縮水が発生するためである。また、車室内の空調(クーラー)で発生する凝縮水(ドレン水)を適用してもよい。
2 吸気マニホールド(吸気通路)
3 吸気ポート(吸気通路)
4 筒内
5 ガソリン噴射弁(第2の燃料噴射手段)
6 排気ポート(排気通路)
7 排気マニホールド(排気通路)
8 EGRクーラ(排ガス冷却器)
9 エマルジョン噴射弁(第1の燃料噴射手段)
10 エマルジョン燃料生成装置(エマルジョン燃料生成手段)
17 撹拌容器
18 撹拌用モータ(撹拌手段)
19 撹拌翼(撹拌手段)
22 凝縮水容器
31 ECU(噴射量制御手段)
41 一体容器
42 凝縮水槽
43 燃料槽
44 撹拌槽
45 混合弁
51 追混合装置(追混合手段)
52 第3燃料ポンプ(加圧手段)
53 密閉容器
54 追混合噴射弁
55 切換弁(再循環手段)
56 再循環路(再循環手段)
61 排気管(排気通路)
62 NOx触媒(排ガス浄化装置)
Claims (6)
- エンジンの排ガスを冷却して該エンジンの筒内に導入する排ガス冷却器と、
前記排ガスの冷却により前記排ガス冷却器内に発生した凝縮水を燃料と混合してエマルジョン燃料を生成するエマルジョン燃料生成手段と、
前記エマルジョン燃料生成手段により生成された前記エマルジョン燃料を、前記エンジンの筒内を含めた吸排気通路の何れかの箇所に噴射する第1の燃料噴射手段と、
前記エンジンの前記吸気通路から前記筒内までの何れかの箇所に燃料を噴射する第2の燃料噴射手段と、
前記第1の燃料噴射手段及び前記第2の燃料噴射手段の噴射量を制御する噴射量制御手段と
を備え、
前記第1の燃料噴射手段は、前記エマルジョン燃料を前記エンジンの排ガス浄化に供すべく、該エマルジョン燃料を排ガス浄化装置が配設された前記排気通路に噴射し、
前記噴射量制御手段は、排ガス浄化のための還元剤として前記排ガス浄化装置が要する燃料量に基づき前記第1の燃料噴射手段の噴射量を制御する
ことを特徴とするエンジンの凝縮水処理装置。 - 前記第1の燃料噴射手段は、前記エマルジョン燃料を前記筒内での燃焼に供すべく、該エマルジョン燃料を前記吸気通路から前記筒内までの何れかの箇所に噴射し、
前記噴射量制御手段は、前記エンジンのノッキング発生領域では他の運転領域よりも前記第1の燃料噴射手段の噴射量の比率を増加させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの凝縮水処理装置。 - 前記エマルジョン燃料生成手段は、
前記排ガス冷却器内に発生した凝縮水を一時的に貯留する凝縮水容器と、
前記凝縮水容器からの凝縮水と前記燃料とが供給される撹拌容器と、
前記撹拌容器内の前記凝縮水及び前記燃料を撹拌する撹拌手段とから構成された
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの凝縮水処理装置。 - 前記エマルジョン燃料生成手段は、
凝縮水槽及び燃料槽の下側に撹拌槽を画成してなる一体容器と、
前記凝縮水槽に一時的に貯留された凝縮水及び前記燃料槽に一時的に貯留された燃料を、それぞれ予め設定された流量比で重力により前記撹拌槽内に流下・供給する混合弁と、
前記撹拌槽内の前記凝縮水及び前記燃料を撹拌する撹拌手段とから構成された
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエンジンの凝縮水処理装置。 - 前記エマルジョン燃料生成手段からエマルジョン燃料が供給され、該エマルジョン燃料を加圧手段により加圧して追混合噴射弁から密閉容器内に噴射し、噴射後のエマルジョン燃料を前記第1の燃料噴射手段に供給する追混合手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエンジンの凝縮水処理装置。 - 前記追混合手段は、前記密閉容器内のエマルジョン燃料を前記加圧手段に戻す再循環手段を備えた
ことを特徴とする請求項5に記載のエンジンの凝縮水処理装置。
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