以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下では図1の上下左右を上下左右として、図1の紙面と直交する方向を前後方向として説明する。
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態にかかる電磁継電器10は、初期状態において接点オフとなる所謂常開型のものであり、図1に示すように、下部に位置する電磁石装置20と上部に位置する接点装置30とを備えている。そして、この電磁石装置20および接点装置30は、樹脂材料によって中空箱型に形成されたケース11内に収納されている。なお、初期状態において接点オンとなる所謂常閉型の電磁継電器を用いることも可能である。
ケース11は、上方に開口する略箱形状のケース本体12と、このケース本体12の開口を覆うケースカバー13と、を備えている。そして、ケース本体12にケースカバー13を取り付けた状態で形成されるケース11の内部空間内に、電磁石装置20および接点装置30が収容されている。さらに、本実施形態では、ケース本体12内の底部には、ゴム弾性を有する材料からなるダンパーゴム14が設けられており、電磁石装置20は、ダンパーゴム14を介してケース本体12内の底部に載置されている。
電磁石装置20は、コイル部210を備えており、コイル部210は、通電されることで第1の磁束M1を発生させるコイル230と、コイル230が巻回される中空円筒状のコイルボビン220と、を備えている(図2および図4参照)。
なお、図示省略したが、コイルボビン220には、コイル230の両端がそれぞれ接続される一対のコイル端子が固定されており、この一対のコイル端子を介してコイル230に通電することで電磁石装置20が駆動されるようになっている。そして、この電磁石装置20を駆動させることで、後述する接点装置30の固定接点321aと可動接点330aとで構成される接点が開閉されて、一対の固定端子320間の導通、非導通を切り替えることができるようになっている。
コイルボビン220は、絶縁材料である樹脂によって形成されており、このコイルボビン220の中央部には上下方向に貫通する挿通孔220aが形成されている。そして、コイルボビン220は、外表面にコイル230が巻回される略円筒状の巻胴部221と、巻胴部221の下端に連設されて、巻胴部221の径方向外側に突出した略円形の下側フランジ部222と、巻胴部221の上端に連設されて、巻胴部221の径方向外側に突出した略円形の上側フランジ部223と、を備えている。なお、本実施形態では、上側フランジ部223は、巻胴部221の径方向内側にも突出しており、挿通孔220aの開口径は、下側よりも上側のほうが小さくなっている。
また、電磁石装置20は、コイル230の周囲に配置される継鉄240を備えている。この継鉄240は、磁性材料からなりコイルボビン220を包囲するように配置されている。本実施形態では、継鉄240は、コイルボビン220の上端面側に配置される矩形状の継鉄上板241と、コイルボビン220の下端面側および側面側に配置される矩形状の継鉄242とで構成されている。
継鉄242は、コイル230とケース11との間に配置されており、この継鉄242は、底壁242aと、当該底壁242aの左右両端縁(周縁)からそれぞれ立ち上がる一対の側壁242b,242bと、を備えており、前後方向に開放されている。この底壁242aおよび一対の側壁242b,242bは、一枚の板を折曲することにより連続一体に形成することができる。また、継鉄242の底壁242aには、円環状の挿通孔242cが形成されており、この挿通孔242cには磁性材料からなるブッシュ250が装着されている。
そして、継鉄242の一対の側壁242b,242bの先端側(上端側)には、コイルボビン220の上端面およびコイルボビン220に巻かれたコイル230を覆うようにして上述した継鉄上板241が配置されている。
また、電磁石装置20は、コイルボビン220の円筒内部(挿通孔220a内)に挿入され、通電されたコイル230によって磁化される(第1の磁束M1が通過する)固定鉄芯(固定側部材)260と、固定鉄芯260とは上下方向(軸方向)で対向し、コイルボビン220の円筒内部(挿通孔220a内)に配置される可動鉄芯(可動側部材)270と、を備えている。
固定鉄芯260は、コイルボビン220の円筒内部(挿通孔220a内)に挿入される円筒部261と、円筒部261の上端から径方向外側に突出するフランジ部262と、を備えており、この固定鉄芯260には、シャフト(駆動軸)280および復帰ばね297が挿入される挿通孔263が形成されている。一方、可動鉄芯270には、シャフト(駆動軸)280が挿入されて固定される挿通孔270aが形成されている。
シャフト280は、非磁性材料によって形成されており、可動鉄芯270の移動方向(上下方向:駆動軸方向)に長い丸棒状のシャフト本体部281と、シャフト本体部281の上端から径方向外側に突出する略円板状のフランジ部282と、を備えている。
そして、シャフト本体部281の下端側を可動鉄芯270の挿通孔270aに上側から挿入することで、可動鉄芯270とシャフト280とを連結している。
さらに、本実施形態では、電磁石装置20は、非磁性材料からなり、上方が開口した有底円筒状に形成されたプランジャキャップ290を備えている。このプランジャキャップ290は、固定鉄芯260とコイルボビン220との間、および、可動鉄芯270とコイルボビン220との間に配置されている。
本実施形態では、プランジャキャップ290は、上方に開口する有底円筒状の本体部291と、本体部291の上端から径方向外側に突出するフランジ部292と、を備えている。そして、コイルボビン220の中心に形成された挿通孔220a内に、プランジャキャップ290の本体部291が配置されている。このとき、コイルボビン220の上側(上側フランジ部223)には円環状の座面223aが形成されており、この座面223aにプランジャキャップ290のフランジ部292を載置している。
また、コイルボビン220の円筒内部(挿通孔220a内)に設けられたプランジャキャップ290の収容空間290a内に固定鉄芯260の円筒部261と可動鉄芯270とが収納されるようにしている。なお、固定鉄芯260はプランジャキャップ290の開口側に配置されており、可動鉄芯270は、プランジャキャップ290の筒内における固定鉄芯260よりも下側に配置されている。
さらに、固定鉄芯260の円筒部261および可動鉄芯270はそれぞれ外径がプランジャキャップ290の内径と略同径の円筒状に形成されており、可動鉄芯270はプランジャキャップ290の収容空間290a内を上下方向(往復動方向:駆動軸方向)に摺動するようになっている。
また、本実施形態では、プランジャキャップ290の開口側に形成されたフランジ部292が、継鉄上板241の下面における挿通孔241aの周囲に固着されている。そして、プランジャキャップ290の下端底部が、底壁242aの挿通孔242cに装着されたブッシュ250に挿通されている。
こうすることで、プランジャキャップ290の下部に収納された可動鉄芯270がブッシュ250の周部と磁気接合されるようにしている。すなわち、本実施形態では、ブッシュ250が、継鉄240(継鉄上板241および継鉄242)と固定鉄芯260と可動鉄芯270とともに磁気回路を形成するようにしている。
また、継鉄上板241の中央部には固定鉄芯260が挿通される挿通孔241aが貫設されている。そして、固定鉄芯260を挿通する際には、固定鉄芯260の円筒部261を継鉄上板241の上面側から挿通するようになっている。このとき、継鉄上板241の上面の略中心には、固定鉄芯260のフランジ部262と略同径の凹部241bが設けられており、固定鉄芯260のフランジ部262を凹部241bにはめ込むことで抜け止めがなされるようにしている。
さらに、継鉄上板241の上面側には金属製からなる押さえ板295が設けられており、左右端部が継鉄上板241の上面に固定されている。そして、押さえ板295の中央には、継鉄上板241の上面より突出した固定鉄芯260のフランジ部262を収納する空間を形成するように凸部が設けられている。
また、押さえ板295には、シャフト280が挿入される挿通孔296が形成されており、固定鉄芯260の挿通孔263および押さえ板295の挿通孔296を介して、シャフト280の上端側(フランジ部282側)を接点装置30まで延伸させている。
そして、コイル230に通電することで可動鉄芯270が固定鉄芯260に吸引された際に、可動鉄芯270が上方へ移動するようにしている。このとき、可動鉄芯270に連結固定されたシャフト280も、可動鉄芯270とともに上方へ移動する。
可動鉄芯270の移動範囲は、本実施形態では、固定鉄芯260から間隙D1だけ下方に離間配置された初期位置(固定鉄芯260から最も離れた位置)と、固定鉄芯260に当接する当接位置(固定鉄芯260に最も近づいた位置)との間に設定されている。
また、可動鉄芯270と押さえ板295との間には、弾性力により可動鉄芯270を初期位置に復帰させる方向(可動鉄芯270が固定鉄芯260から離れる方向)に付勢する復帰ばね297が配置されている。本実施形態では、シャフト280に巻回されて、固定鉄芯260の挿通孔263内に配置されるコイルばねで復帰ばね297を構成している。
かかる構成とすることで、コイル230への通電時には、固定鉄芯260における可動鉄芯270との対向面264と、可動鉄芯270における固定鉄芯260との対向面271とが、一対の磁極部として互いに異極性になり、可動鉄芯270が固定鉄芯260に吸引されて当接位置に移動する。このように、本実施形態では、コイル230への通電時に、固定鉄芯260における可動鉄芯270との対向面264および可動鉄芯270における固定鉄芯260との対向面271を、それぞれ磁極面として機能させている。
一方、コイル230への通電を停止すると、可動鉄芯270は、復帰ばね297の付勢力により初期位置に復帰する。
このように、本実施形態にかかる可動鉄芯270は、コイル230の非通電時には、間隙D1を介して固定鉄芯260に対向配置されるとともに、コイル230の通電時には、固定鉄芯260側に吸引されるように往復動するものである。
また、電磁石装置20の上方には、コイル230の通電の入切に応じて接点を開閉する接点装置30が設けられている。
接点装置30は、セラミック等の耐熱性材料により下方に開口する箱状に形成されたベース310を備えている。このベース310は、天壁311と、天壁311の周縁部から下方に延設された略角筒状の周壁312と、を備えている。
そして、ベース310の天壁311には、挿通孔311aが2箇所に設けられており、この挿通孔311aには固定端子320がそれぞれ挿通されている。この一対の(複数の)固定端子320は、銅系材料等の導電性材料によって形成されており、挿通孔311aに上方から挿通される略円柱状の固定端子本体321と、固定端子本体321の上端から径方向外側に突出して、天壁311の上面(挿通孔311aの周縁部の上面)に固定される略円板状のフランジ部322と、を備えている。そして、固定端子本体321の下端面には、固定接点321aが形成されている。
なお、図示省略したが、一対の固定端子320には、外部負荷等に接続される一対の端子がそれぞれ取り付けられている。この端子としては、例えば、導電性材料を用いて平板状に形成されたものを用いることができる。
また、ベース310内には、一対の固定接点321a間に跨る形で可動接触子330が配置されており、可動接触子330の上面における固定接点321aに対向する部位に、それぞれ可動接点330aが設けられている。本実施形態では、可動接点330aは、可動接触子330に一体に形成されているが、可動接点330aを可動接触子330とは別体に設けてもよい。
この可動接触子330は、コイル230の非通電時には、可動接点330aが固定接点321aと所定の間隔を空けて対向配置されるように、シャフト(駆動軸)280に取り付けられている。そして、コイル230の通電時には、可動接触子330が可動鉄芯270およびシャフト280とともに上方へ移動し、可動接点330aが固定接点321aと接触するようにしている。
このように、本実施形態では、可動鉄芯270が初期位置にあるときは可動接点330aと固定接点321aとが互いに離間し、可動鉄芯270が当接位置にあるときは可動接点330aと固定接点321aとが接触するように、可動鉄芯270と可動接触子330との位置関係を設定している。したがって、コイル230を通電していない期間には接点装置30がオフとなることで両固定端子320,320間が絶縁され、コイル230を通電している期間には接点装置30がオンとなることで両固定端子320,320間が導通することになる。
なお、シャフト(駆動軸)280は、ホルダ360を介して可動接触子330の中央部に取り付けられている。
さらに、本実施形態では、可動接触子330の周囲にヨーク370を設けることで、アークの発生による接点溶着を抑制できるようにしている。
具体的には、可動接触子330の上側に配置される上側ヨーク(第1ヨーク)371と、可動接触子330の下側に配置される下側ヨーク(第2ヨーク)372とでヨーク370が構成されるようにしている。
また、可動接点330aと固定接点321aとの間の接触圧は接圧ばね340によって確保されるようにしている。
この接圧ばね340は、コイルばねによって構成されており、軸方向を上下方向に向けた状態で配置されている。
具体的には、接圧ばね340は、上端が下側ヨーク(第2ヨーク)372に形成された挿通孔372aに挿入されるとともに、下端がフランジ部282に形成されたばね受け282aに嵌め込まれている。そして、可動接触子330が、この接圧ばね340によって上方向に付勢されるようにしている。
このとき、接圧ばね340の上端を可動接触子330の下面330bに当接させている。このように、本実施形態では、接圧ばね340が、駆動軸方向で下側ヨーク372(ヨーク370)に当接することなく(ヨークを介さずに)可動接触子330を上方へと付勢させており、かかる構成とすることで、電磁継電器10(電磁石装置20および接点装置30)の高さ方向(上下方向:駆動軸方向)の小型化を図っている。
さらに、本実施形態では、可動接点330aが固定接点321aから引き離された際に、可動接点330aと固定接点321aとの間に発生するアークを抑制するために、ベース310内にガスを封入している。このようなガスとしては、アークが発生する温度領域で最も熱伝導に優れた水素ガスを主体とした混合ガスを用いることができる。このガスを封止するために、本実施形態では、ベース310と継鉄上板241との隙間を覆う上フランジ380を設けている。
具体的には、ベース310は、上述したように、一対の挿通孔311aが並設された天壁311と、この天壁311の周縁から下方に延設された角筒状の周壁312とを有しており、下側(可動接触子330側)が開放された中空箱型に形成されている。そして、開放された下側から可動接触子330を周壁312の内側に収容した状態で、上フランジ380を介してベース310を継鉄上板241に固定している。
このとき、ベース310の下面の開口周縁部と上フランジ380の上面とを銀ろうにより気密接合するとともに、上フランジ380の下面と継鉄上板241の上面とをアーク溶接等で気密接合するのが好ましい。さらに、継鉄上板241の下面とプランジャキャップ290のフランジ部292とをアーク溶接等で気密接合するのが好ましい。こうすることで、ベース310内にガスが封入される封止空間Sを形成することができる。
さらに、ガスを用いたアークの抑制方法と並行して、カプセルヨークブロックを用いたアークの抑制も行うようにするのが好ましい。カプセルヨークブロックは、例えば、鉄等の磁性材料によって略U字状に形成されたカプセルヨークおよび一対の永久磁石で構成することができる。
さらに、ベース310の開口部には、固定接点321aと可動接点330aとの間で発生するアークを、ベース310と上フランジ380との接合部から絶縁するための絶縁部材350が設けられている。
絶縁部材350は、セラミックや合成樹脂等の絶縁性材料によって上方が開口した略中空直方体状に形成されており、底壁351と、底壁351の周囲から立ち上がる周壁352と、を備えている。そして、周壁352の上端側に上フランジ380の上端を当接させている。これにより、固定接点321aと可動接点330aとからなる接点部と、ベース310と上フランジ380との接合部との絶縁を図っている。
また、絶縁部材350の底壁351には、シャフト280が挿入される挿通孔351aが形成されている。
次に、電磁継電器10(電磁石装置20および接点装置30)の動作を説明する。
まず、コイル230が通電されていない状態では、復帰ばね297の弾性力によって、可動鉄芯270が固定鉄芯260から離れる方向に移動し、可動接点330aが固定接点321aから離反した図1や図2の状態となる。
このオフ状態からコイル230が通電されると、可動鉄芯270が電磁力により上側(固定鉄芯260側)に吸引されて、復帰ばね297の弾性力に抗して固定鉄芯260に接近移動する。そして、この可動鉄芯270の上側(固定鉄芯260側)への移動に伴って、シャフト280並びにシャフト280に取り付けられた上側ヨーク371、可動接触子330、下側ヨーク372およびホルダ360が上側(固定接点321a側)に移動する。これにより、可動接触子330の可動接点330aが固定端子320の固定接点321aに接触してこれら各接点相互が電気的に導通して電磁継電器10(電磁石装置20および接点装置30)がオンとなる。
ここで、本実施形態では、可動鉄芯(可動側部材)270の固定鉄芯(固定側部材)260への吸引力をより向上させることができるようにしている。
具体的には、第2の磁束M2を発生させる永久磁石40を用い、この永久磁石40で発生する磁束M2を利用することで、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力の向上を図れるようにしている。
本実施形態では、図2および図3に示すように、断面が略四角形状となる円環状(リング状)の永久磁石40を用いている。この永久磁石40は、貫通方向を上下方向に一致させた状態における上面41および下面42がそれぞれ着磁面となっている。さらに、本実施形態では、図4に示すように、上面41がS極、下面42がN極となるようにした状態で永久磁石40を配置している。
そして、この円環状の永久磁石40を、内面43がプランジャキャップ290の本体部291の外面291aと隙間を介して対向するように、コイルボビン220の挿通孔220a内に配置している(図2および図4参照)。なお、本実施形態では、永久磁石40の外面44を挿通孔220aの内面220bに当接させている。この永久磁石40の挿通孔220a内への固定方法としては、嵌合や接着等、従来公知の方法を用いることができる。
さらに、本実施形態では、コイル230への非通電時に、固定鉄芯260における可動鉄芯270との対向面264と可動鉄芯270における固定鉄芯260との対向面271との間に形成される間隙D1に隣接する位置に永久磁石40を配置している。
具体的には、円環状の永久磁石40の内面43が間隙D1の外周縁部を全周にわたって包囲するように、当該永久磁石40を配置している。すなわち、永久磁石40の内面43が、上下方向(往復動方向:駆動軸方向)から視た状態で、間隙D1の境界と略一致する鉄芯(固定鉄芯260や可動鉄芯270)の外表面が描く円の外側で当該円の全周を覆う円を描くように、永久磁石40を配置している。
さらに、本実施形態では、永久磁石40の厚さを間隙D1よりも大きくなるようにしている。こうすることで、永久磁石40が、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、固定鉄芯260および可動鉄芯270のうちの少なくともいずれか一方の鉄芯と重なるようにしている。本実施形態では、図4に示すように、永久磁石40は、下面42が可動鉄芯270の対向面271よりも下方に位置するとともに、上面41が固定鉄芯260の対向面264とほぼ同一の高さ位置となるように配置されている。すなわち、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、永久磁石40が可動鉄芯270と重なるようにしつつ、間隙D1の境界面(対向面264の外周と対向面271の外周との間に形成される円柱面)のほぼ全面が永久磁石40によって覆われるようにしている。
このように、本実施形態では、永久磁石40は、内面43が間隙D1と径方向で対向するように配置されている。
なお、径方向から視た状態で、永久磁石40が固定鉄芯260とも重なるようにすることで、間隙D1の境界面の全面が永久磁石40によって覆われるようにすることも可能であるし、固定鉄芯260および可動鉄芯270のうちのいずれか一方側に、永久磁石40で覆われない部分が存在するようにすることも可能である。
また、固定鉄芯260および可動鉄芯270が永久磁石40で覆われないようにすることも可能である。すなわち、内面43の全面が間隙D1と径方向で対向するように永久磁石40を配置することも可能である。
また、永久磁石40は、固定鉄芯260および可動鉄芯270に対して空間D2を挟んで離れた位置に配置されている。本実施形態では、この空間D2の大きさ(径方向の距離)は、永久磁石40の内面43と本体部291の外面291aとの間の隙間の大きさ(径方向距離)に本体部291の厚さを足したものとなっている。
そして、このように永久磁石40を配置することで、永久磁石40の一対の着磁面(上面41および下面42)をつなぐ方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致することとなる。
すなわち、永久磁石40の一対の着磁面(上面41および下面42)の法線方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致することとなる。
さらに、本実施形態では、固定鉄芯260および可動鉄芯270の対向面(対向面264および対向面271)における第2の磁束M2の向きが、固定鉄芯260および可動鉄芯270の対向面(対向面264および対向面271)における第1の磁束M1の向きと同じ向き(図4では上向き)となるようにしている。
このように、本実施形態では、固定鉄芯260および可動鉄芯270の対向面(対向面264および対向面271)の近傍に、当該対向面において第2の磁束M2の向きが第1の磁束M1の向きと同じ向きとなるように永久磁石40を配置している。こうすることで、例えば、図5に示す構成よりも、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになる(図4参照)。
具体的には、可動鉄芯270の外周部における上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)の中央部に永久磁石40を配置した構成を、図5に示している。かかる構成とした場合、永久磁石40が固定鉄芯260の対向面264側に露出していないため、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)は、下記2つの経路を形成してしまう。
まず、図5に示すように、永久磁石40の上部、可動鉄芯270の外側上部、ブッシュ250の上部、ブッシュ250の下部、可動鉄芯270の外側下部、永久磁石40の下部、永久磁石40の上部の順にループする第1の経路P1が形成されてしまう。
また、永久磁石40の上部、可動鉄芯270の外側上部、可動鉄芯270の内側上部、可動鉄芯270の内側下部、可動鉄芯270の外側下部、永久磁石40の下部、永久磁石40の上部の順にループする第2の経路P2が形成されてしまう。
そして、この第1の経路P1および第2の経路P2は、対向面(対向面264および対向面271)を通過していないため、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)のうち、対向面(対向面264および対向面271)を通過する割合が比較的小さくなってしまう。すなわち、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)のうち、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力の向上に寄与する割合が低くなってしまう。
これに対して、本実施形態では、図4に示すように、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)のうち、少なくとも鉄芯側に形成される経路(図4の矢印a参照)が対向面(対向面264および対向面271)を通過することになる。そのため、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力の向上に寄与する割合をより向上させることができるようになる。
以上、説明したように、本実施形態の電磁石装置20は、通電により第1の磁束M1を発生させるコイル230と、第1の磁束M1を通過させる固定鉄芯(固定側部材)260と、コイル230の非通電時には、間隙D1を介して固定鉄芯260に対向配置されるとともに、コイル230の通電時には、固定鉄芯260側に吸引されるように往復動する可動鉄芯(可動側部材)270と、第2の磁束M2を発生させる永久磁石40と、を備えている。
また、永久磁石40は、間隙D1に隣接するとともに固定鉄芯260および可動鉄芯270に対して空間D2を挟んで離れた位置に配置されている。
そして、第2の磁束M2の向きが、固定鉄芯260と可動鉄芯270との対向面における第1の磁束M1の向きと同じ向きとなるようにしている。
こうすることで、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯(可動側部材)270の固定鉄芯(固定側部材)260への吸引力をより向上させることができるようになる。
また、本実施形態では、一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面(上面41および下面42のうち少なくともいずれか一方の面)の法線方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致するように、永久磁石40を配置している。
こうすれば、着磁面の近傍における磁束(第2の磁束M2)の流向を上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と略平行にすることができる。したがって、第2の磁束M2は、一方の着磁面から他方の着磁面に至る流れの途中で流向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致することとなる。そのため、対向面を通過する第2の磁束M2の流向をより上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に近づけることができるようになって、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより向上させることができる。
特に、本実施形態では、一対の着磁面の両方の法線方向を上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に一致させているため、対向面を通過する第2の磁束M2の流向をより確実に上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に近づけることができる。
また、本実施形態では、永久磁石40が間隙D1(初期状態に形成される間隙)を包囲するリング状をしている。
こうすることで、永久磁石40の全周で磁束(第2の磁束M2)を発生させることができるため、対向面を通過する磁束(第2の磁束M2)をより多くすることができるようになる。また、永久磁石40で発生した磁束(第2の磁束M2)が対向面の全周から通過することになるため、対向面の間で発生する磁束をより均等にすることができる。その結果、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力の作用方向が可動鉄芯270の往復動方向に対して傾斜してしまうのを抑制することができ、よりスムーズに可動鉄芯270を往復動させることができるようになる。
また、本実施形態では、永久磁石40は、可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向から視た状態で、初期状態における固定鉄芯260および可動鉄芯270のうちの少なくともいずれか一方の鉄芯と重なるように配置されている。
こうすることで、永久磁石40の着磁面(上面41および下面42)と固定鉄芯260または可動鉄芯270との距離を近づけることが可能となって、永久磁石40で発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになる。その結果、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより一層向上させることができるようになる。
また、本実施形態にかかる電磁継電器10は、上記電磁石装置20を搭載したものである。
このように、本実施形態によれば、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより向上させることのできる電磁石装置20および当該電磁石装置20を搭載した電磁継電器10を得ることができる。
(第2実施形態)
本実施形態にかかる電磁石装置20Aは、基本的に上記第1実施形態で示した電磁石装置20とほぼ同様の構成をしており、この電磁石装置20Aを搭載することで、電磁継電器10が形成されている。すなわち、電磁継電器10は、下部に位置する電磁石装置20Aと上部に位置する接点装置30とを備えている。
そして、この電磁石装置20Aにおいても、可動鉄芯(可動側部材)270の固定鉄芯(固定側部材)260への吸引力をより向上させることができるようにしている。
具体的には、第2の磁束M2を発生させる永久磁石40を用い、この永久磁石40で発生する磁束M2を利用することで、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力の向上を図れるようにしている。
そして、この永久磁石40の形状や配置位置も、上記第1実施形態で示した電磁石装置20と同様である。
ここで、本実施形態では、図6および図7に示すように、永久磁石40における一対の着磁面(上面41および下面42)のうち少なくともいずれか一方の着磁面側に磁性体50を配置している。
具体的には、永久磁石40の上面41側および下面42側の両方に磁性体50を配置している。
本実施形態では、図6および図7に示すように、断面が略四角形状となる円環状(リング状)の磁性体50を永久磁石40の上下に配置している。このとき、永久磁石40の上面41側に配置された磁性体50は、下面(永久磁石40側の面)51が永久磁石40の上面41に当接した状態で配置されている。一方、永久磁石40の下面42側に配置された磁性体50は、上面(永久磁石40側の面)51が永久磁石40の下面42に当接した状態で配置されている。
こうすることで、永久磁石40の上面41側に配置された磁性体50が、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、固定鉄芯260(当該磁性体50が配置された側に位置する鉄芯)と重なることとなる。また、永久磁石40の下面42側に配置された磁性体50が、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、少なくとも初期状態における可動鉄芯270(当該磁性体50が配置された側に位置する鉄芯)と重なることとなる。
なお、永久磁石40の上面41側および下面42側のいずれか一方のみに磁性体50を配置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、円環状の磁性体50は、内面52をプランジャキャップ290の本体部291の外面291aに当接させるとともに、外面53を挿通孔220aの内面220bに当接させた状態で、コイルボビン220の挿通孔220a内に配置されている(図6参照)。この磁性体50の挿通孔220a内への固定方法としても、嵌合や接着等、従来公知の方法を用いることができる。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
また、本実施形態では、永久磁石40における一対の着磁面(上面41および下面42)のうち少なくともいずれか一方の着磁面側に磁性体50を配置している。
こうすることで、永久磁石40と可動鉄芯270との間の磁気抵抗や永久磁石40と固定鉄芯260との間の磁気抵抗を低減させることができるため、対向面を通過する磁束(第2の磁束M2)をより多くすることができるようになる。その結果、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより一層向上させることができるようになる。
また、本実施形態では、磁性体50は、可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向から視た状態で、当該磁性体50が配置された側に位置する鉄芯(少なくとも初期状態における鉄芯)と重なるように配置されている。
こうすることで、永久磁石40と可動鉄芯270との間の磁気抵抗や永久磁石40と固定鉄芯260との間の磁気抵抗をより低減させることができるため、対向面を通過する磁束(第2の磁束M2)をより多くすることができるようになる。その結果、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより一層向上させることができるようになる。
なお、上記第1実施形態および第2実施形態では、一対の着磁面(上面41および下面42)の法線方向を上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に一致させた永久磁石40を用いたものを例示したが、図9に示す永久磁石40Bを用いることもできる。
図9に示す永久磁石40Bは、断面が略四角形状となる円環状(リング状)をしており、この永久磁石40Bの内面43に一対の着磁面が形成されている。具体的には、内面43の上部43aがS極、下部43bがN極となっている。
このように、図9に示す永久磁石40Bは、一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面(内面43の上部43aおよび下部43b)が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に延在するように配置されている。
このような永久磁石40Bは、例えば、図10に示すように、S極となる内面43の上部43aが固定鉄芯260の円筒部261の外周面261aに対向するとともに、N極となる内面43の下部43bが可動鉄芯270の外周面270bに対向するように配置することができる。
こうすることでも、永久磁石40Bで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより向上させることができるようになる。
なお、図11に示すように、一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面が間隙D1と対向するように永久磁石40Bを配置させることも可能である。
図11(a)には、S極となる内面43の上部43aが間隙D1に対向するとともに、N極となる内面43の下部43bが可動鉄芯270の外周面270bに対向するように永久磁石40Bを配置したものを例示している。
なお、S極となる内面43の上部43aが固定鉄芯260の円筒部261の外周面261aに対向するとともに、N極となる内面43の下部43bが間隙D1に対向するように永久磁石40Bを配置してもよい。
また、図11(b)には、S極となる内面43の上部43aが間隙D1に対向するとともに、N極となる内面43の下部43bも間隙D1に対向するように永久磁石40Bを配置したものを例示している。
また、図12に示す永久磁石40Cを用いることもできる。
図12に示す永久磁石40Cは、断面が略コ字状となる円環状(リング状)をしており、この永久磁石40Cの内面43に一対の着磁面が形成されている。具体的には、内面43の上部43aがS極、下部43bがN極となっており、上部43aと下部43bとの間に、深さ方向が径外方向と一致する凹部45が全周にわたって形成されている。
このように、図12に示す永久磁石40Cも、一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面(内面43の上部43aおよび下部43b)が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に延在するように配置されている。
このような永久磁石40Cは、例えば、図13に示すように、S極となる内面43の上部43aが固定鉄芯260の円筒部261の外周面261aに対向するとともに、N極となる内面43の下部43bが可動鉄芯270の外周面270bに対向するように配置することができる。
こうすることでも、永久磁石40Cで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより向上させることができるようになる。
なお、図14に示すように、一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面が間隙D1と対向するように永久磁石40Cを配置させることも可能である。
図14(a)には、S極となる内面43の上部43aが間隙D1に対向するとともに、N極となる内面43の下部43bが可動鉄芯270の外周面270bに対向するように永久磁石40Cを配置したものを例示している。
なお、S極となる内面43の上部43aが固定鉄芯260の円筒部261の外周面261aに対向するとともに、N極となる内面43の下部43bが間隙D1に対向するように永久磁石40Cを配置してもよい。
また、図14(b)には、S極となる内面43の上部43aが間隙D1に対向するとともに、N極となる内面43の下部43bも間隙D1に対向するように永久磁石40Cを配置したものを例示している。
上述した永久磁石40Bや永久磁石40Cを用いることで、永久磁石40Bや永久磁石40Cの着磁面(内面43の上部43aおよび下部43b)と固定鉄芯260または可動鉄芯270との距離を近づけることが可能となる。その結果、永久磁石40Bや永久磁石40Cで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯270の固定鉄芯260への吸引力をより一層向上させることができるようになる。
なお、上述したように、永久磁石40は、一対の着磁面(上面41および下面42)の両方の法線方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に一致している。一方、永久磁石40Bおよび永久磁石40Cは、一対の着磁面(内面43の上部43aおよび下部43b)の両方が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に延在している。
しかしながら、一方の着磁面の法線方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に一致するとともに、他方の着磁面が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に延在する永久磁石を用いることも可能である。
例えば、上面41をS極、内面43の下部43bをN極とした永久磁石や、内面43の上部43aをS極、下面42をN極とした永久磁石を用いることができる。
そして、上述したいずれの永久磁石を用いた場合であっても、一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面側に磁性体を配置することができる。
(第3実施形態)
本実施形態にかかる電磁石装置20Dは、図15に示すように、固定鉄芯が用いられていない点が電磁石装置20や電磁石装置20Aとは異なっており、その他の構成は、電磁石装置20や電磁石装置20Aとほぼ同様の構成をしている。そして、このような電磁石装置20Dを搭載することで、電磁継電器10が形成されている。すなわち、電磁継電器10は、下部に位置する電磁石装置20Dと上部に位置する接点装置30とを備えている。
ここで、本実施形態では、固定鉄芯の替わりに継鉄上板241を固定側部材としている。すなわち、本実施形態にかかる電磁石装置20Dは、通電されたコイル230によって磁化される(第1の磁束M1が通過する)継鉄上板(固定側部材)241と、継鉄上板241とは上下方向(軸方向)で対向し、コイルボビン220の円筒内部(挿通孔220a内)に配置される可動鉄芯(可動側部材)270と、を備えている。
そして、継鉄上板(固定側部材)241の中央部にはシャフト280が挿通される挿通孔241aが貫設されており、可動鉄芯270と継鉄上板(固定側部材)241との間には、弾性力により可動鉄芯270を初期位置に復帰させる方向(可動鉄芯270が継鉄上板(固定側部材)241から離れる方向)に付勢する復帰ばね297が配置されている。
この電磁石装置20Bにおいても、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようにしている。
具体的には、第2の磁束M2を発生させる永久磁石40Dを用い、この永久磁石40Dで発生する磁束M2を利用することで、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力の向上を図れるようにしている。
本実施形態では、図15および図16に示すように、断面が略四角形状となる円環状(リング状)の永久磁石40Dを用いている。この永久磁石40Dは、貫通方向を上下方向に一致させた状態における上面41および下面42がそれぞれ着磁面となっている。さらに、本実施形態では、図16に示すように、上面41がS極、下面42がN極となるようにした状態で永久磁石40Dを配置している。
そして、この円環状の永久磁石40Dを、内面43がプランジャキャップ290の本体部291の外面291aと隙間を介して対向するように、コイルボビン220の挿通孔220a内に配置している(図16参照)。なお、本実施形態では、永久磁石40Dの上面41をプランジャキャップ290のフランジ部292の下面に当接させるとともに、外面44を挿通孔220aの内面220bに当接させている。この永久磁石40Dの挿通孔220a内への固定方法としては、嵌合や接着等、従来公知の方法を用いることができる。
さらに、本実施形態では、コイル230への非通電時に、継鉄上板(固定側部材)241における可動鉄芯270との対向面241cと可動鉄芯270における継鉄上板(固定側部材)241との対向面271との間に形成される間隙D1に隣接する位置に永久磁石40Dを配置している。
具体的には、円環状の永久磁石40Dの内面43が間隙D1の外周縁部を全周にわたって包囲するように、当該永久磁石40Dを配置している。すなわち、永久磁石40Dの内面43が、上下方向(往復動方向:駆動軸方向)から視た状態で、間隙D1の境界と略一致する部材(継鉄上板241や可動鉄芯270)の外表面が描く円の外側で当該円の全周を覆う円を描くように、永久磁石40Dを配置している。
さらに、本実施形態では、内面43の上部が間隙D1に対向するとともに、内面43の下部も間隙D1に対向するように永久磁石40Dを配置している。すなわち、内面43の全面が間隙D1と径方向で対向するように永久磁石40Dを配置している。
また、永久磁石40Dは、継鉄上板(固定側部材)241および可動鉄芯270に対して空間D2を挟んで離れた位置に配置されている。本実施形態では、この空間D2の大きさ(径方向の距離)は、永久磁石40Dの内面43と本体部291の外面291aとの間の隙間の大きさ(径方向距離)に本体部291の厚さを足したものとなっている。
そして、このように永久磁石40Dを配置することで、永久磁石40Dの一対の着磁面(上面41および下面42)をつなぐ方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致することとなる。
すなわち、永久磁石40Dの一対の着磁面(上面41および下面42)の法線方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致することとなる。
さらに、本実施形態では、継鉄上板(固定側部材)241および可動鉄芯270の対向面(対向面241cおよび対向面271)における第2の磁束M2の向きが、継鉄上板(固定側部材)241および可動鉄芯270の対向面(対向面241cおよび対向面271)における第1の磁束M1の向きと同じ向き(図16では上向き)となるようにしている。
このように、本実施形態では、継鉄上板(固定側部材)241および可動鉄芯270の対向面(対向面241cおよび対向面271)の近傍に、当該対向面において第2の磁束M2の向きが第1の磁束M1の向きと同じ向きとなるように永久磁石40Dを配置している。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
なお、上記第3実施形態では、一対の着磁面(上面41および下面42)の法線方向を上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に一致させた永久磁石40Dを用いたものを例示したが、図17に示す永久磁石40Eを用いることもできる。
図17に示す永久磁石40Eは、断面が略四角形状となる円環状(リング状)をしており、この永久磁石40Bの上面41および内面43に一対の着磁面が形成されている。具体的には、上面41がS極、内面43がN極となっている。
このように、図17に示す永久磁石40Eは、一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面(内面43)が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)に延在するように配置されている。
こうすることでも、永久磁石40Eで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようになる。
また、図18に示す永久磁石40Fを用いることもできる。
図18に示す永久磁石40Fは、永久磁石40Dや永久磁石40Eよりも上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)の厚さが厚くなっており、永久磁石40Fの下面42が可動鉄芯270の対向面271よりも下方に位置するように配置されている。すなわち、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、永久磁石40が可動鉄芯270と重なるようにしている。
こうすることでも、永久磁石40Fで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようになる。
また、図19に示すように、永久磁石40Fにおける一対の着磁面(上面41および下面42)のうち少なくともいずれか一方の着磁面側に磁性体50を配置してもよい。
図19では、永久磁石40Fの下面42側に磁性体50を配置している。
この磁性体50は、断面が略四角形状となる円環状(リング状)をしており、上面(永久磁石40F側の面)51が永久磁石40Fの下面42に当接した状態で配置されている。また、本実施形態では、円環状の磁性体50は、内面52をプランジャキャップ290の本体部291の外面291aに当接させるとともに、外面53を挿通孔220aの内面220bに当接させた状態で、コイルボビン220の挿通孔220a内に配置されている(図19参照)。この磁性体50の挿通孔220a内への固定方法としても、嵌合や接着等、従来公知の方法を用いることができる。
さらに、本実施形態では、永久磁石40Fの下面42側に配置された磁性体50が、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、少なくとも初期状態における可動鉄芯270(当該磁性体50が配置された側に位置する部材)と重なるようにしている。
なお、永久磁石40Fの上面41側および下面42側の両方に磁性体50を配置するようにしてもよいし、永久磁石40Fの上面41側のみに磁性体50を配置するようにしてもよい。また、永久磁石40Dや永久磁石40Eを用い、各永久磁石40D,40Eにおける一対の着磁面のうち少なくともいずれか一方の着磁面側に磁性体50を配置させることも可能である。
こうすれば、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより一層向上させることができるようになる。
また、図20(a)に示すように、永久磁石40Gおよび磁性体50を重ね合わせ、断面が略L字状となるようにし、永久磁石40Gの上面41を継鉄上板(固定側部材)241の下面241cに当接させるようにすることも可能である。また、図20(b)に示すように、断面略L字状の永久磁石40Hを用い、永久磁石40Hの上面41を継鉄上板(固定側部材)241の下面241cに当接させるようにすることも可能である。
こうすれば、永久磁石40Gや永久磁石40Hと継鉄上板241との間の磁気抵抗を低減させることができ、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより一層向上させることができるようになる。
なお、永久磁石40Gや永久磁石40Hの上面41が継鉄上板(固定側部材)241に埋め込まれるようにすることも可能である。
なお、本実施形態においても、永久磁石の形状や配置場所を図9〜図14に示す物とすることが可能である。
(第4実施形態)
本実施形態にかかる電磁石装置20Iは、基本的に上記第1実施形態で示した電磁石装置20とほぼ同様の構成をしており、この電磁石装置20Iを搭載することで、電磁継電器10Iが形成されている。本実施形態では、この電磁継電器10Iは、下部に位置する電磁石装置20Iと上部に位置する接点装置30Iとを備えている。
ここで、本実施形態にかかる電磁石装置20Iでは、図21に示すように、下方に固定鉄芯260が配置され、上方に可動鉄芯270が配置されている点が電磁石装置20とは異なっている。そのため、本実施形態にかかる接点装置30Iでは、固定接点321aを有する固定端子320の上方に、可動接点330aを有する可動接触子330が配置されている。したがって、可動鉄芯270にシャフト280を介して固定された可動接触子330が下方(電磁石装置側)に移動した際に、可動接点330aが固定接点321aと接触することとなる。
また、本実施形態にかかる電磁石装置20Iでは、可動鉄芯270にフランジ部272が形成されており、このフランジ部272が、通電されたコイル230によって磁化される(第1の磁束M1が通過する)継鉄上板(固定側部材)241と、上下方向(軸方向)で対向している。すなわち、フランジ部272の下面272aと継鉄上板(固定側部材)241の上面241dが互いに対向する対向面となっている。
さらに、本実施形態にかかる電磁石装置20Iでは、可動鉄芯270と固定鉄芯260との対向面が水平面と交差する方向に延在する面を有するようにしている。こうすることで、可動鉄芯270と固定鉄芯260との対向面間のエアギャップを小さくして、コイル230への通電開始直後における電磁吸引力を増加させるようにしている。
そして、このような電磁石装置20Iにおいても、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようにしている。
具体的には、図22および図23に示すように、第2の磁束M2を発生させる永久磁石40Iを用い、この永久磁石40Iで発生する磁束M2を利用することで、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力の向上を図れるようにしている。
なお、図22には、図21に示す電磁石装置20Iを簡略化したものを示しており、この図22に示す構成に基づいて本実施形態にかかる電磁石装置20Iを説明する。
本実施形態では、図22および図23に示すように、断面が略四角形状となる円環状(リング状)の永久磁石40Iを用いている。この永久磁石40Iは、貫通方向を上下方向に一致させた状態における上面41および下面42がそれぞれ着磁面となっている。さらに、本実施形態では、図22および図23に示すように、上面41がN極、下面42がS極となるようにした状態で永久磁石40Iを継鉄上板241の上面241dに当接させた状態で配置している。
そして、この円環状の永久磁石40Iを、コイル230への非通電時に、継鉄上板(固定側部材)241における可動鉄芯270との対向面241dと可動鉄芯270における継鉄上板(固定側部材)241との対向面272aとの間に形成される間隙D1に隣接する位置に配置している。
さらに、本実施形態では、内面43の上部が可動鉄芯270に重なるとともに、内面43の下部が間隙D1に対向するように永久磁石40Iを配置している。
また、永久磁石40Iは、継鉄上板(固定側部材)241に対して空間D2を挟んで離れた位置に配置されている。
そして、このように永久磁石40Iを配置することで、永久磁石40Iの一対の着磁面(上面41および下面42)をつなぐ方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致することとなる。
すなわち、永久磁石40Iの一対の着磁面(上面41および下面42)の法線方向が上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)と一致することとなる。
さらに、本実施形態では、継鉄上板(固定側部材)241および可動鉄芯270の対向面(対向面241dおよび対向面272a)における第2の磁束M2の向きが、継鉄上板(固定側部材)241および可動鉄芯270の対向面(対向面241dおよび対向面272a)における第1の磁束M1の向きと同じ向き(図23では下向き)となるようにしている。
このように、本実施形態では、継鉄上板(固定側部材)241および可動鉄芯270の対向面(対向面241dおよび対向面272a)の近傍に、当該対向面において第2の磁束M2の向きが第1の磁束M1の向きと同じ向きとなるように永久磁石40Iを配置している。
さらに、本実施形態では、図22および図23に示すように、永久磁石40Iにおける一対の着磁面(上面41および下面42)のうち少なくともいずれか一方の着磁面側に磁性体50を配置している。
具体的には、永久磁石40の上面41側に磁性体50を配置している。
本実施形態では、図22および図23に示すように、断面が略四角形状となる円環状(リング状)の磁性体50を永久磁石40Iの上に配置している。このとき、永久磁石40Iの上面41側に配置された磁性体50は、下面(永久磁石40I側の面)51が永久磁石40Iの上面41に当接した状態で配置されている。
こうすることで、永久磁石40Iの上面41側に配置された磁性体50が、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、可動鉄芯270のフランジ部272(当該磁性体50が配置された側に位置する部材)と重なることとなる。
なお、永久磁石40の上面41側および下面42側のいずれか一方のみに磁性体50を配置するようにしてもよい。
なお、永久磁石40Iの上面41側および下面42側の両方に磁性体50を配置するようにしてもよいし、永久磁石40Iの下面42側のみに磁性体50を配置するようにしてもよい。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、永久磁石40Iの上面41に磁性体50を配置させたものを例示したが、図24〜図26に示すように、磁性体50を配置させないようにすることもできる。
図24には、上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)の厚さが比較的薄い永久磁石40Jを継鉄上板(固定側部材)241の上面241dに配置させたものを例示している。
この永久磁石40Jも、上面41がN極、下面42がS極となるようにした状態で、継鉄上板241の上面241dに配置されている。
また、図24では、内面43の上部が間隙D1に対向するとともに、内面43の下部も間隙D1に対向するように永久磁石40Iを配置している。すなわち、内面43の全面が間隙D1と径方向で対向するように永久磁石40Iを配置している。
こうすることでも、永久磁石40Jで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようになる。
また、図25には、上下方向(可動鉄芯270の往復動方向)の厚さが比較的厚い永久磁石40Kを継鉄上板(固定側部材)241の上面241dに配置させたものを例示している。
この永久磁石40Kは、内面43がN極、下面42がS極となるようにした状態で、継鉄上板241の上面241dに配置されている。
そして、径方向(可動鉄芯270の往復動方向に直交する方向)から視た状態で、内面43の上部がフランジ部272の外面272bと対向するように、永久磁石40Kを配置している。
こうすることでも、永久磁石40Kで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようになる。
また、図26に示すように、図23で示した永久磁石40Iのみを継鉄上板(固定側部材)241の上面241dに配置させることも可能である。
こうすることでも、永久磁石40Iで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようになる。
また、図27に示すように、図24で示した永久磁石40Jを継鉄上板(固定側部材)241の上面241dに配置しつつ、永久磁石40Jの上面41に磁性体50を配置させることも可能である。
こうすることでも、永久磁石40Jで発生する磁束(第2の磁束M2)をより効率よく対向面を通過させることができるようになって、可動鉄芯(可動側部材)270の継鉄上板(固定側部材)241への吸引力をより向上させることができるようになる。
なお、図25で示した永久磁石40Kを継鉄上板(固定側部材)241の上面241dに配置した場合、空間D2(永久磁石40Kの内面43とフランジ部272の外面272bとの間)に磁性体50を配置することが可能である。
なお、本実施形態においても、永久磁石の形状や配置場所を図9〜図14に示す物とすることが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、上側ヨーク371と下側ヨーク372とでヨーク370を構成したものを例示したが、いずれか一方のヨークだけ設けるようにしてもよいし、ヨーク370を設けないようにすることも可能である。
また、上記各実施形態では、接圧ばね340を下側ヨーク372の挿通孔372aに挿通させたものを例示したが、下側ヨーク372に接圧ばね340を当接させるようにしてもよい。
また、コイルボビン220の形状を様々な形状とすることも可能であるし、コイルボビン220の配置等も適宜に変更可能である。
また、上記各実施形態では、一体に形成された円環状(リング状)の永久磁石を例示しているが、複数に分割された永久磁石を用い、対向面の近傍に配置した状態で永久磁石が円環状(リング状)となるようにすることも可能である。
例えば、リングの一部をなす扇形の永久磁石(中心角が360°よりも小さい扇形の永久磁石:分割ドーナツ形の永久磁石)を複数用い、対向面の近傍に配置した状態で円環状(リング状)となるようにすることができる。
すなわち、中心角の総和が360°となる複数の永久磁石を、周方向に隙間を開けずに配置することで、対向面の近傍に配置した状態で円環状(リング状)の永久磁石となるようにすることができる。
例えば、2つの扇形の永久磁石を用いる場合、中心角が180°の永久磁石を2つ用いたり、中心角が300°の永久磁石と中心角が60°の永久磁石を用いたりすることができる。
また、リングの一部をなす扇形の永久磁石を、1つだけ対向面の近傍に配置させることも可能である。
また、複数の永久磁石を周方向に少なくとも1箇所の隙間が設けられた状態で、対向面の近傍に配置させるようにすることも可能である。例えば、複数の永久磁石を放射状に配置させることが可能であるし、複数の永久磁石を対向面の近傍に配置させた状態で、全体として略C字状となるようにすることも可能である。
さらに、略棒状の永久磁石(棒磁石:略直方体状の永久磁石)や略U字状の永久磁石(U字状磁石:棒磁石を略U字状に折り曲げた形状をしている永久磁石)を少なくとも1つ用い、この永久磁石を対向面の近傍に配置させることも可能である。
また、可動接触子や固定端子、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。