以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電源システムの概略構成を示す図である。図1に示される電源システム10は、商用電源6からの電力(交流電力)を利用可能に構成され、デマンド値を抑制する直流電源システムである。デマンド値は、30分毎の平均使用電力である。電源システム10は、通信装置20と、スマートメータ30と、蓄電池40と、整流器50と、を含む。以下、個別の装置について概説する。
通信装置20は、電力を受けて動作する負荷(電力消費装置)であって、無線基地局を含んで構成される。
スマートメータ30は、商用電源6から電源システム10に供給される交流電力の大きさを示す瞬時電力値Pを計測する。スマートメータ30は、所定の時間間隔ΔT(単位時間)で瞬時電力値Pを計測し、計測した時刻tを取得する。時間間隔ΔTは、例えば、1分程度である。スマートメータ30は、無線機を内蔵しており、無線通信により時刻tにおいて計測した瞬時電力値Pを整流器50に送信する。
以降、ある時刻における値を示して説明する場合には、各値を示す符号の後に括弧書きで時刻を付加する。例えば、ある時刻t(tは正の整数値)における瞬時電力値Pの値をP(t)と表し、時刻tの1つ前の時刻における瞬時電力値Pの値をP(t−1)、時刻tの1つ後の時刻における瞬時電力値Pの値をP(t+1)等と表す。時刻tについては、小さい値ほど時間的に先であることを表し、大きい値ほど時間的に後であることを表す。時刻tにおける瞬時電力値Pを瞬時電力値P(t)と表す。なお、時刻tは、0,1,2,…の整数値であり、時刻tに対応する実時間は、t×ΔTである。
蓄電池40は、整流器50の出力に接続され、電力を充放電可能に構成されている。蓄電池40は、電源システム10において、整流器50から出力される電力のうち、通信装置20で消費されない電力(余剰電力)を充電する。蓄電池40は、放電によって通信装置20に電力を供給する。蓄電池40は、例えば、停電時に放電により通信装置20に電力を供給する。蓄電池40は、例えばリチウムイオン電池により構成される。
電力線Lは、通信装置20と、蓄電池40と、整流器50と、を電気的に接続するバスラインである。バス電圧は、通信装置20の定格電圧(例えば57V)を超えない電圧(例えば48V)となるように制御される。電力線Lは、電力線L1と、電力線L2と、を含む。電力線L1は、通信装置20と、後述の整流器50の端子Tbと、を接続する部分である。電力線L2は、蓄電池40と、後述の整流器50の端子Tcと、を接続する部分である。
整流器50は、交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を出力する電力変換装置である。電源システム10において、整流器50は、通信装置20及び蓄電池40に電気的に接続されている。整流器50は、商用電源6(外部電源)からの交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を通信装置20及び蓄電池40に対して出力する。整流器50は、端子Ta〜Tcと、整流部51と、制御部53(制御装置)と、リレーRLと、を含む。
端子Taは、交流電力が入力される入力端子であり、商用電源6に接続される。端子Tbは、直流電力が入力されまたは直流電力を出力する入出力端子であり、通信装置20に接続される。端子Tcも、端子Tbと同様の入出力端子であり、蓄電池40に接続される。これにより、通信装置20と蓄電池40とは、電力線L、端子Tb,Tc及びリレーRLを介して電気的に接続される。なお、リレーRLは、蓄電池40の過充電を防止する等のために開状態(遮断状態)とされるが、通常は閉状態(導通状態)とされる。なお、後述する制御動作において蓄電池40への充電を停止する場合に、リレーRLを開状態とすることで蓄電池40への充電を停止してもよい。
整流部51は、端子Taに入力された交流電力を直流電力に変換する。整流部51は、例えば、整流回路及び電圧変換回路(昇圧回路または降圧回路)などを組み合わせて構成される。整流部51から出力される直流電力の電圧は、整流器50の出力電圧(出力電圧Vrc)である。ノードN1は、整流部51、端子Tb及びリレーRL(リレーRLが閉状態のときは端子Tc)の接続ノードである。
制御部53は、電源システム10を制御するコントローラである。制御部53は、特に蓄電池40の充電及び放電(充放電)を制御する。蓄電池40の充電及び放電の制御は、例えば制御信号を用いて行われる。制御部53は、制御信号を蓄電池40に出力することによって、蓄電池40に充電又は放電を行わせる。なお、制御部53は、上記のような制御に必要な種々の情報(例えば後述する上限閾値Pu、下限閾値Pl、制御値Pth、放電可能SOC(放電可能充電率)、及び充電可能SOC(充電可能充電率)等)を記憶している。
以下、図2を用いて制御部53の機能構成について説明する。図2は、図1の制御部の機能構成を示す図である。図2に示されるように、制御部53は、機能的には、パラメータ入力部11と、電力値取得部12と、SOC取得部13(充電率取得部)と、比較部14と、データ記憶部15と、計算部16と、充放電実施部17と、を備える。以下、制御部53の各機能部の概要を説明する。
パラメータ入力部11は、各種パラメータ(上限閾値Pu、下限閾値Pl、制御値Pth、放電可能SOC、及び充電可能SOC)を入力する。パラメータ入力部11は、制御値Pthを計算部16に入力する。制御値Pthは、デマンド値の目標値である。制御値Pthが低く設定されると、契約電力の抑制に繋がるので、基本料金を低減することが可能となるものの、通信装置20の平均消費電力に対して低く設定されると、蓄電池40が放電される可能性が高くなる。このため、蓄電池40が放電末状態となるか、蓄電池40に蓄積されている電力が通信装置20に必要なバックアップ容量を下回る可能性がある。したがって、制御値Pthは、例えば、通信装置20の平均消費電力に設定される。制御値Pthは、充放電制御が行われていない間に、スマートメータ30から取得された瞬時電力値Pに基づいて予め計算され、設定される。
パラメータ入力部11は、上限閾値Pu及び下限閾値Plを比較部14に入力する。上限閾値Puは、デマンド値の許容される上限の値であり、制御値Pthよりも所定の値だけ大きい。下限閾値Plは、デマンド値の許容される下限の値であり、制御値Pthよりも所定の値だけ小さい。上限閾値Pu及び下限閾値Plは、瞬時電力値Pに対する閾値範囲を規定する。閾値範囲は、下限閾値Pl以上であり、かつ、上限閾値Pu以下である値の範囲であり、制御値Pthを含む。閾値範囲は、デマンド値の変動幅を規定する。上限閾値Pu及び下限閾値Plの平均値が制御値Pthとなるように、上限閾値Pu及び下限閾値Plが設定されてもよい。
パラメータ入力部11は、放電可能SOC及び充電可能SOCを充放電実施部17に入力する。放電可能SOCは、蓄電池40が過放電とならないように予め定められたSOCであり、蓄電池40が放電可能な最低のSOCである。無線基地局において、蓄電池40のバックアップ容量の確保は災害対策の観点から重要である。このため、放電可能SOCは、例えば、連続的なトラフィックの増大、及び日照りの継続に備えて、通信装置20に必要なバックアップ容量に設定される。充電可能SOCは、蓄電池40が過充電とならないように予め定められたSOCであり、蓄電池40が充電可能な最大のSOCである。充電可能SOCは、例えば、蓄電池40の保護の観点から定められる。
これらのパラメータは、予め設定されていて、不図示の記憶部に記憶されていてもよく、後述する入力装置53Eを介して入力されてもよい。
電力値取得部12は、商用電源6から供給された交流電力の瞬時電力値P(t)を取得する。本実施形態では、電力値取得部12は、スマートメータ30から瞬時電力値P(t)を取得する。電力値取得部12は、取得した瞬時電力値P(t)を比較部14に出力する。
SOC取得部13は、蓄電池40のSOC(t)を取得する。SOC取得部13は、取得したSOC(t)を充放電実施部17に出力する。
比較部14は、電力値取得部12によって取得された瞬時電力値P(t)と閾値範囲とを比較することによって、瞬時電力値P(t)が閾値範囲内であるか否かを判定する。具体的には、電力値取得部12は、瞬時電力値P(t)と、パラメータ入力部11によって入力された上限閾値Pu及び下限閾値Plと、を比較することによって、瞬時電力値P(t)が閾値範囲内であるか否かを判定する。
比較部14は、比較結果に基づいて、充放電量の更新を行うか否かを示すフラグFLAGの値を設定し、瞬時電力値P(t)とともにフラグFLAGを計算部16に出力する。計画充放電量x’(t)は、今回(時刻t)の蓄電池40の充放電制御に用いられる充放電量である。本実施形態では、計画充放電量x’が正の値である場合、計画充放電量x’は蓄電池40の放電量を示し、計画充放電量x’が負の値である場合、計画充放電量x’は蓄電池40の充電量を示す。
比較部14は、瞬時電力値P(t)が閾値範囲外である場合、つまり瞬時電力値P(t)が上限閾値Puよりも大きいか、瞬時電力値P(t)が下限閾値Plよりも小さければ、充放電量の更新を行うことを示す値にフラグFLAGを設定する。比較部14は、瞬時電力値P(t)が閾値範囲内である場合、つまり瞬時電力値P(t)が上限閾値Pu以上であり、かつ、下限閾値Pl以下である場合には、充放電量を維持することを示す値にフラグFLAGを設定する。
データ記憶部15は、時刻tの1時刻前の時刻t−1の充放電量x(t−1)(前回充放電量)を記憶している。制御部53による充放電制御は時間間隔ΔT(例えば、1分)ごとに実施されるので、充放電量x(t−1)は、前回(時刻t−1)の蓄電池40の充放電制御に用いられた充放電量である。本実施形態では、充放電量xが正の値である場合、充放電量xは蓄電池40の放電量を示し、充放電量xが負の値である場合、充放電量xは蓄電池40の充電量を示す。なお、時刻t=0の場合、データ記憶部15には充放電量x(t−1)が記憶されていない。この場合、充放電量x(t−1)は0として扱われる。
計算部16は、計算部16から受け取った瞬時電力値P(t)と、データ記憶部15から読み出した充放電量x(t−1)と、パラメータ入力部11によって入力された制御値Pthと、に基づいて計画充放電量x’(t)を計算する。計算部16は、フラグFLAGに基づいて、計画充放電量x’(t)の計算を行うか否かを判定する。フラグFLAGが充放電量を維持することを示す値を有していれば、計算部16は、計画充放電量x’(t)の計算を行うことなく、データ記憶部15から読み出した充放電量x(t−1)を充放電実施部17に出力する。
フラグFLAGが充放電量の更新を行うことを示す値を有していれば、計算部16は、計画充放電量x’(t)の計算を行う。計算部16は、制御値Pthと、瞬時電力値P(t)と、充放電量x(t−1)と、を用いて、計画充放電量x’(t)を計算する。具体的には、計算部16は、式(1)に示されるように、瞬時電力値P(t)から制御値Pthを減算した減算結果を充放電量x(t−1)に加えることによって、計画充放電量x’(t)を計算する。計算部16は、計算した計画充放電量x’(t)を充放電実施部17に出力する。
充放電実施部17は、蓄電池40の充放電量x(t)を設定し、設定した充放電量x(t)に基づいて、蓄電池40の充放電を実施する。充放電実施部17は、比較部14によって瞬時電力値P(t)が閾値範囲に含まれていないと判定された場合に、計算部16によって計算された計画充放電量x’(t)に基づいて、充放電量x(t)を設定する。充放電実施部17は、比較部14によって瞬時電力値P(t)が閾値範囲に含まれていると判定された場合に、充放電量x(t−1)に基づいて充放電量x(t)を設定する。
充放電実施部17は、SOC取得部13によって取得されたSOC(t)にさらに基づいて充放電量x(t)を設定してもよい。例えば、充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が蓄電池40の放電のための値(制御量)である場合、SOC(t)と放電可能SOCとを比較し、比較結果に基づいて充放電量x(t)を設定する。充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が蓄電池40の充電のための値(制御量)である場合、SOC(t)と充電可能SOCとを比較し、比較結果に基づいて充放電量x(t)を設定する。
充放電実施部17は、設定した充放電量x(t)に基づいて、蓄電池40に充放電の指示を行うとともに、データ記憶部15に充放電量x(t)を記憶する。以下、充放電実施部17による充放電量x(t)の設定について具体的に説明する。
充放電実施部17は、計算部16から計画充放電量x’(t)を受け取ると、計画充放電量x’(t)が放電のための制御量であるか充電のための制御量であるかを判定する。充放電実施部17は、例えば、計画充放電量x’(t)が0よりも大きい場合に、放電のための制御量であると判定し、計画充放電量x’(t)が0以下である(又は0よりも小さい)場合に、充電のための制御量であると判定する。
充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が放電のための制御量であると判定した場合、SOC(t)が放電可能SOC以上であるか否かを判定する。充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOC以上であると判定した場合、充放電量x(t)を計画充放電量x’(t)に設定する。充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOCよりも小さいと判定した場合、さらなるSOCの低下を防ぐため、放電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定する。
充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が充電のための制御量であると判定した場合、SOC(t)が充電可能SOC以下であるか否かを判定する。充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOC以下であると判定した場合、充放電量x(t)を計画充放電量x’(t)に設定する。充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOCよりも大きいと判定した場合、さらなるSOCの上昇(過充電)を防ぐため、充電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定する。
充放電実施部17は、計算部16から充放電量x(t−1)を受け取ると、蓄電池40が放電中であるか、充電中であるかを判定する。充放電実施部17は、例えば、充放電量x(t−1)が0よりも大きい場合に、蓄電池40が放電中であると判定し、充放電量x(t−1)が0よりも小さい場合に、蓄電池40が充電中であると判定する。
充放電実施部17は、蓄電池40が放電中であると判定した場合、SOC(t)が放電可能SOC以上であるか否かを判定する。充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOC以上であると判定した場合、充放電量x(t)を充放電量x(t−1)に設定する。充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOCよりも小さいと判定した場合、さらなるSOCの低下を防ぐため、放電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定する。
充放電実施部17は、蓄電池40が充電中であると判定した場合、SOC(t)が充電可能SOC以下であるか否かを判定する。充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOC以下であると判定した場合、充放電量x(t)を充放電量x(t−1)に設定する。充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOCよりも大きいと判定した場合、さらなるSOCの上昇(過充電)を防ぐため、充電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定する。
ここで、図3を参照して、制御部53のハードウェア構成の一例について説明する。制御部53の機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、本発明の一実施の形態における制御部53は、充放電制御を行うコンピュータとして機能してもよい。図3は、本実施形態に係る制御部53のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の制御部53は、物理的には、プロセッサ53A、メモリ53B、ストレージ53C、通信モジュール53D、入力装置53E、出力装置53F、及びバス53Gなどを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、又はユニットなどに読み替えることができる。制御部53のハードウェア構成は、図に示された各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
制御部53における各機能は、プロセッサ53A、メモリ53Bなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ53Aが演算を行い、通信モジュール53Dによる通信、並びに、メモリ53B及びストレージ53Cにおけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ53Aは、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ53Aは、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、及びレジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、制御部53の各機能部は、プロセッサ53Aで実現されてもよい。
また、プロセッサ53Aは、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール及び/又はデータを、ストレージ53C及び/又は通信モジュール53Dからメモリ53Bに読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御部53の各機能部は、メモリ53Bに格納され、プロセッサ53Aで動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ53Aで実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ53Aにより同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ53Aは、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
メモリ53Bは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ53Bは、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ53Bは、本発明の一実施の形態に係る充放電制御方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ53Cは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ53Cは、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ53B及び/又はストレージ53Cを含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信モジュール53Dは、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカードなどともいう。
入力装置53Eは、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置53Fは、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置53E及び出力装置53Fは、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ53A及びメモリ53Bなどの各装置は、情報を通信するためのバス53Gで接続される。バス53Gは、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、制御部53は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ53Aは、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
次に、図4〜図6を参照して、制御部53が行う充放電制御方法の一連の処理を説明する。図4は、図2の制御部が行う充放電制御方法の一連の処理を示すフローチャートである。図5は、図4の充放電量更新処理を詳細に示すフローチャートである。図6は、図4の充放電量維持処理を詳細に示すフローチャートである。図4に示される一連の処理は、例えば、電源システム10(整流器50)が起動すること(時刻t=0)を契機として開始される。
まず、パラメータ入力部11が、各種パラメータを入力する(ステップS01)。具体的には、パラメータ入力部11は、上限閾値Pu及び下限閾値Plを比較部14に入力し、制御値Pthを計算部16に入力し、放電可能SOC及び充電可能SOCを充放電実施部17に入力する。なお、パラメータは、適宜変更されてもよいが、ここでは、パラメータの入力は、時刻0において行われ、それ以降は行われないこととする。以下、時刻tにおける処理を説明する。
時刻tにおいて、電力値取得部12は、スマートメータ30によって計測された瞬時電力値P(t)を、スマートメータ30から取得する(ステップS02)。そして、電力値取得部12は、取得した瞬時電力値P(t)を比較部14に出力する。また、SOC取得部13は、蓄電池40のSOC(t)を蓄電池40から取得する(ステップS03)。そして、SOC取得部13は、取得したSOC(t)を充放電実施部17に出力する。
続いて、比較部14は、パラメータ入力部11によって入力された上限閾値Pu及び下限閾値Plと、電力値取得部12によって取得された瞬時電力値P(t)と、を比較することによって、瞬時電力値P(t)が閾値範囲内であるか否かを判定する(ステップS04)。具体的には、比較部14は、瞬時電力値P(t)が上限閾値Puよりも大きいこと、及び瞬時電力値P(t)が下限閾値Plよりも小さいことのいずれかを満たすか、いずれも満たさないかを判定する。瞬時電力値P(t)が上限閾値Puよりも大きいか、又は瞬時電力値P(t)が下限閾値Plよりも小さければ(ステップS04:YES)、比較部14は、充放電量の更新を行うことを示す値にフラグFLAGを設定し、瞬時電力値P(t)とともにフラグFLAGを計算部16に出力する。そして、充放電量更新処理が行われる(ステップS05)。
ステップS05の充放電量更新処理では、図5に示されるように、フラグFLAGが充放電量の更新を行うことを示す値を有しているので、計算部16は、計画充放電量x’(t)の計算を行う(ステップS51)。計算部16は、パラメータ入力部11によって入力された制御値Pthと、計算部16から受け取った瞬時電力値P(t)と、データ記憶部15から読み出した充放電量x(t−1)と、を用いて、上述の式(1)に示されるように計画充放電量x’(t)を計算する。そして、計算部16は、計算した計画充放電量x’(t)を充放電実施部17に出力する。
続いて、充放電実施部17は、計算部16から計画充放電量x’(t)を受け取ると、計画充放電量x’(t)が放電のための制御量であるか充電のための制御量であるかを判定する(ステップS52)。ここでは、充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が0よりも大きいか否かを判定し、計画充放電量x’(t)が0よりも大きい場合に、放電のための制御量であると判定し、計画充放電量x’(t)が0以下である場合に、充電のための制御量であると判定する。そして、充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が放電のための制御量であると判定した場合(ステップS52:YES)、SOC(t)が放電可能SOC以上であるか否かを判定する(ステップS53)。
そして、充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOC以上であると判定した場合(ステップS53:YES)、充放電量x(t)を計画充放電量x’(t)に設定し(ステップS54)、後述のステップS07を実施する。一方、ステップS53の判定において、充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOCよりも小さいと判定した場合(ステップS53:NO)、さらなるSOCの低下を防ぐため、放電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定し(ステップS55)、後述のステップS07を実施する。
ステップS52の判定において、充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が充電のための制御量であると判定した場合(ステップS52:NO)、SOC(t)が充電可能SOC以下であるか否かを判定する(ステップS56)。そして、充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOC以下であると判定した場合(ステップS56:YES)、充放電量x(t)を計画充放電量x’(t)に設定し(ステップS57)、後述のステップS07を実施する。一方、ステップS56の判定において、充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOCよりも大きいと判定した場合(ステップS56:NO)、さらなるSOCの上昇(過充電)を防ぐため、充電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定し(ステップS58)、後述のステップS07を実施する。
一方、ステップS04の判定において、瞬時電力値P(t)が下限閾値Pl以上であり、かつ、上限閾値Pu以下である場合には(ステップS04:NO)、比較部14は、充放電量を維持することを示す値にフラグFLAGを設定し、瞬時電力値P(t)とともにフラグFLAGを計算部16に出力する。そして、充放電量維持処理が行われる(ステップS06)。
ステップS06の充放電量維持処理では、図6に示されるように、フラグFLAGが充放電量を維持することを示す値を有しているので、計算部16は、計画充放電量x’(t)の計算を行うことなく、データ記憶部15から読み出した充放電量x(t−1)を充放電実施部17に出力する。
続いて、充放電実施部17は、計算部16から充放電量x(t−1)を受け取ると、蓄電池40が放電中である否かを判定する(ステップS61)。ここでは、充放電実施部17は、充放電量x(t−1)が0よりも大きい場合に、蓄電池40が放電中であると判定し、充放電量x(t−1)が0よりも小さい場合に、蓄電池40が充電中であると判定する。そして、充放電実施部17は、蓄電池40が放電中であると判定した場合(ステップS61:YES)、SOC(t)が放電可能SOC以上であるか否かを判定する(ステップS62)。
そして、充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOC以上であると判定した場合(ステップS62:YES)、充放電量x(t)を充放電量x(t−1)に設定し(ステップS63)、後述のステップS07を実施する。一方、ステップS62の判定において、充放電実施部17は、SOC(t)が放電可能SOCよりも小さいと判定した場合(ステップS62:NO)、さらなるSOCの低下を防ぐため、放電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定し(ステップS64)、後述のステップS07を実施する。
ステップS61の判定において、充放電実施部17は、蓄電池40が放電中でないと判定した場合(ステップS61:NO)、蓄電池40が充電中である否かを判定する(ステップS65)。そして、充放電実施部17は、蓄電池40が充電中であると判定した場合(ステップS65:YES)、SOC(t)が充電可能SOC以下であるか否かを判定する(ステップS66)。そして、充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOC以下であると判定した場合(ステップS66:YES)、充放電量x(t)を充放電量x(t−1)に設定し(ステップS67)、後述のステップS07を実施する。一方、ステップS66の判定において、充放電実施部17は、SOC(t)が充電可能SOCよりも大きいと判定した場合(ステップS66:NO)、さらなるSOCの上昇(過充電)を防ぐため、充電を実施しない。すなわち、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定し(ステップS68)、後述のステップS07を実施する。
ステップS65の判定において、充放電実施部17は、蓄電池40が充電中でないと判定した場合(ステップS65:NO)、充放電量x(t)を充放電量x(t−1)に設定し(ステップS69)、後述のステップS07を実施する。つまり、蓄電池40が放電中でも充電中でもないので、蓄電池40は待機状態であるとみなされ得る。この場合、充放電量x(t−1)は0に設定されているので、充放電実施部17は、充放電量x(t)を0に設定する。
続いて、充放電実施部17は、設定した充放電量x(t)に基づいて、蓄電池40に充放電の指示を行うとともに、充放電量x(t)をデータ記憶部15に記憶する(ステップS07)。これにより、時刻tにおいて、蓄電池40が充放電量x(t)で充放電を行う。そして、ステップS02に戻って、次の時刻t+1において、ステップS02〜ステップS07の処理が繰り返される。以降、各時刻において、ステップS02〜ステップS07の処理が繰り返される。
次に、図7及び図8を参照して、電源システム10による充放電制御の一例を説明する。図7は、図1の電源システムにおける充放電量及びデマンド値の推移の一例を示す図である。図8は、図1の電源システムにおけるデマンド値の推移の一例を示す図である。図8の横軸は時刻を示し、図8の縦軸は瞬時電力値を示している。この例では、制御値Pth=7、上限閾値Pu=8、及び下限閾値Pl=6に設定されている。また、スマートメータ30から取得した瞬時電力値Pが図7及び図8に示される値であるとし、放電状態(時刻t=2〜7)では、蓄電池40のSOCは放電可能SOCよりも大きく、充電状態(時刻t=10,11)では、蓄電池40のSOCは充電可能SOCよりも小さいと仮定する。
時刻t=1では、瞬時電力値P(1)は6であり、閾値範囲内であるので、充放電量x(1)は充放電量x(0)に設定される。充放電量x(0)は0であるので、充放電量x(1)は0に設定される。このため、蓄電池40は充放電を行わない待機状態であり、デマンド値は6となる。続いて、時刻t=2では、瞬時電力値P(2)は10であり、上限閾値Puを超えているので、充放電量x(2)は、瞬時電力値P(2)から制御値Pthを減算した値を充放電量x(1)に加算した値に設定される。充放電量x(1)は0であるので、充放電量x(2)は3に設定される。このため、蓄電池40は放電状態となり、デマンド値は瞬時電力値P(2)に充放電量x(1)を加えた値から充放電量x(2)を減算した値である7となる。
同様に、時刻t=3では、瞬時電力値P(3)は9であり、上限閾値Puを超えているので、充放電量x(3)は、瞬時電力値P(3)から制御値Pthを減算した値を充放電量x(2)に加算した値である5に設定される。このため、蓄電池40は放電状態を維持し、デマンド値は7となる。続いて、時刻t=4では、瞬時電力値P(4)は7であり、閾値範囲内であるので、充放電量x(4)は充放電量x(3)(つまり、5)に設定される。このため、蓄電池40は放電状態を維持し、デマンド値は7となる。時刻t=5,6も時刻t=4と同様の処理が行われる。
続いて、時刻t=7では、瞬時電力値P(7)は5であり、下限閾値Plを下回っているので、充放電量x(7)は、瞬時電力値P(7)から制御値Pthを減算した値を充放電量x(6)に加算した値に設定される。充放電量x(6)は5であるので、充放電量x(7)は3に設定される。この場合も、蓄電池40は放電状態を維持し、デマンド値は瞬時電力値P(7)に充放電量x(6)を加えた値から充放電量x(7)を減算した7となる。
同様に、時刻t=8では、瞬時電力値P(8)は4であり、下限閾値Plを下回っているので、充放電量x(8)は、瞬時電力値P(8)から制御値Pthを減算した値を充放電量x(7)に加算した値である0に設定される。これにより、蓄電池40は待機状態となり、デマンド値は瞬時電力値P(8)に充放電量x(7)を加えた値から充放電量x(8)を減算した値である7となる。続いて、時刻t=9では、瞬時電力値P(9)は7であり、閾値範囲内であるので、充放電量x(9)は充放電量x(8)(つまり、0)に設定される。このため、蓄電池40は待機状態を維持し、デマンド値は7となる。
続いて、時刻t=10では、瞬時電力値P(10)は5であり、下限閾値Plを下回っているので、充放電量x(10)は、瞬時電力値P(10)から制御値Pthを減算した値を充放電量x(9)に加算した値である−2に設定される。これにより、蓄電池40は充電状態となり、デマンド値は瞬時電力値P(10)に充放電量x(9)を加えた値から充放電量x(10)を減算した7となる。同様に、時刻t=11では、瞬時電力値P(11)は5であり、下限閾値Plを下回っているので、充放電量x(11)は、瞬時電力値P(11)から制御値Pthを減算した値を充放電量x(10)に加算した値である−4に設定される。これにより、蓄電池40は充電状態を維持し、デマンド値は瞬時電力値P(11)に充放電量x(10)を加えた値から充放電量x(11)を減算した7となる。
このように、瞬時電力値P(t)が上限閾値Puを上回る場合には、制御値Pthよりも瞬時電力値P(t)が上回る分だけ充放電量x(t)が増加される。瞬時電力値P(t)が下限閾値Plを下回る場合には、制御値Pthよりも瞬時電力値P(t)が下回る分だけ充放電量x(t)が減少される。これにより、デマンド値がほぼ制御値Pthとなるように、蓄電池40の充放電が制御されるので、デマンド値の増加が抑制される。
デマンド値d、通信装置20の消費電力q、及び蓄電池40の充放電量xには、以下の式(2)で示される関係が成立する。つまり、デマンド値d(t)は、消費電力q(t)から充放電量x(t)を減算した値である。なお、充放電量xが負の値である場合に蓄電池40を充電し、充放電量xが正の値である場合に蓄電池40を放電する。
瞬時電力値P、消費電力q、及び充放電量xには、以下の式(3)で示される関係が成立する。つまり、瞬時電力値P(t)は、消費電力q(t)から充放電量x(t−1)を減算した値である。
そして、計画充放電量x’は、上述の式(1)によって計算される。式(1)〜式(3)によれば、充放電量x(t)を計画充放電量x’(t)とする場合には、式(4)に示されるように、デマンド値d(t)は、制御値Pthと等しくなる。
このように、蓄電池40の充放電を実施している場合に、消費電力qに変動があった場合でも、デマンド値dを抑制することができ、デマンド値dの平準化が可能となる。
以上説明した電源システム10では、商用電源6から供給された交流電力の瞬時電力値P(t)と閾値範囲(上限閾値Pu及び下限閾値Pl)とが比較され、瞬時電力値P(t)が閾値範囲に含まれていないと判定された場合に、瞬時電力値P(t)と制御値Pthと充放電量x(t−1)とに基づいて計算された計画充放電量x’(t)に基づいて、蓄電池40の充放電量x(t)が設定され、蓄電池40の充放電が実施される。蓄電池40の充放電制御が行われている場合に取得される瞬時電力値P(t)は、消費電力q(t)と異なる。通信装置20の消費電力q(t)は、瞬時電力値P(t)に充放電量x(t−1)を加えた値とみなされ得る。このため、瞬時電力値P(t)及び制御値Pthだけでなく、充放電量x(t−1)を用いて計画充放電量x’(t)を計算することで、蓄電池40から放電された電力又は蓄電池40に充電された電力を考慮して、デマンド値d(t)を制御値Pthとするように充放電量x(t)を設定することができる。その結果、蓄電池40の充放電を実施している場合に、通信装置20の消費電力qに変動があった場合でも、デマンド値dを抑制することが可能となる。ひいては、電気料金を削減することが可能となる。
例えば、瞬時電力値P(t)がある閾値を超えた場合に蓄電池40を放電し、瞬時電力値P(t)が当該閾値を下回る場合に蓄電池40を充電する場合、蓄電池40の充電と放電とが頻繁に切り替わるおそれがある。これに対し、電源システム10では、互いに異なる上限閾値Pu及び下限閾値Plによって閾値範囲が規定されている。充放電実施部17は、瞬時電力値P(t)が閾値範囲に含まれていると判定された場合に、充放電量x(t−1)に基づいて充放電量x(t)を設定する。具体的には、瞬時電力値P(t)が閾値範囲内に含まれる場合には(下限閾値Pl≦瞬時電力値P(t)≦上限閾値Pu)、前回の充放電量x(t−1)が今回の充放電量x(t)として設定される。これによれば、蓄電池40の充電と放電とが頻繁に切り替わることを抑制できる。デマンド値dを一定の値とすることはできないものの、制御値Pthに対して一定の範囲内に収めることができるので、デマンド値dを抑制することが可能となる。
充放電実施部17は、SOC(t)にさらに基づいて充放電量x(t)を設定する。具体的には、充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が蓄電池40の放電のための制御量である場合、SOC(t)と放電可能SOCとを比較し、比較結果に基づいて充放電量x(t)を設定する。SOC(t)が放電可能SOCよりも小さい場合に、充放電量x(t)が0に設定されるので、さらなるSOCの低下を防ぐことができる。これにより、蓄電池40のバックアップ容量を確保しながら、デマンド値dを抑制することが可能となる。
また、充放電実施部17は、計画充放電量x’(t)が蓄電池40の充電のための制御量である場合、SOC(t)と充電可能SOCとを比較し、比較結果に基づいて充放電量x(t)を設定する。SOC(t)が充電可能SOCよりも大きい場合に、充放電量x(t)が0に設定されるので、さらなるSOCの上昇(過充電)を防ぐことができる。これにより、蓄電池40の保護が可能となる。
電力値取得部12は、スマートメータ30から瞬時電力値Pを取得する。これにより、クランプメータ及び電力センサ等の電力測定装置を設ける必要が無い。このため、電力測定装置の購入費用及び設置費用が不要となるので、電源システム10のコストを低減することが可能となる。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る電源システムの概略構成を示す図である。図9に示される電源システム10Aは、電源システム10と比較して、太陽光発電装置60をさらに備える点において主に相違している。
太陽光発電装置60は、太陽光を受けることにより電力を生成する発電装置であって、ソーラーパネルなどを含んで構成される。太陽光発電装置60は、太陽光の日射量に応じた大きさの直流電力を生成する。電源システム10Aにおいて、太陽光発電装置60は、通信装置20に供給するための発電電力Pgを生成する。太陽光発電装置60は、発電電力Pgを通信装置20又は蓄電池40に供給する。太陽光発電装置60の出力電圧Vpvは、一定電圧(例えば55V)に設定されている。太陽光発電装置60は、電力線L1に接続される。なお、端子Tb、通信装置20及び太陽光発電装置60の接続点が、ノードN2として図示される。
電源システム10Aでは、制御値Pthは、例えば、太陽光発電装置60の発電電力Pgの平均値だけ、通信装置20の平均消費電力よりも小さい値(つまり、通信装置20に供給される平均電力)に設定される。制御値Pthは、充放電制御が行われていない間に、通信装置20に供給される平均電力が計算され、設定される。
電源システム10Aでは、蓄電池40は商用電源6のほか発電電力Pgの余剰電力によっても充電される。つまり、電源システム10Aは、発電電力Pgが通信装置20の消費電力を上回る場合に、蓄電池40に余剰電力を充電しながら通信装置20に電力を供給する。この場合、デマンド値d、消費電力q、充放電量x、及び発電電力Pgには、以下の式(5)で示される関係が成立する。つまり、デマンド値d(t)は、消費電力q(t)から充放電量x(t)及び発電電力Pg(t)を減算した値である。なお、充放電量xが負の値である場合に蓄電池40を充電し、充放電量xが正の値である場合に蓄電池40を放電する。
瞬時電力値P、消費電力q、充放電量x、及び発電電力Pgには、以下の式(6)で示される関係が成立する。つまり、瞬時電力値P(t)は、消費電力q(t)から充放電量x(t−1)及び発電電力Pg(t)を減算した値である。
そして、計画充放電量x’は、上述の式(1)によって計算される。式(1)、式(5)、及び式(6)によれば、充放電量x(t)を計画充放電量x’(t)とする場合には、式(4)に示されるように、デマンド値d(t)は、制御値Pthと等しくなる。
このように、電源システム10Aでは、発電電力Pgの余剰電力を蓄電池40に充電しつつ、デマンド値dを制御値Pthにするように蓄電池40の充放電量x(t)が設定される。したがって、電源システム10Aにおいても、蓄電池40の充放電を実施している場合に、消費電力qに変動があった場合でも、デマンド値dを抑制することができ、デマンド値dの平準化が可能となる。
太陽光発電装置60の発電能力が消費電力qに比べて大きい場合、余剰電力が生じる。余剰電力の供給先が無い場合には余剰電力は熱等となって損失する。太陽光発電装置60が消費電力q以上の発電電力Pgを生成する場合、整流器50から通信装置20に供給される電力が0となる。これにより、瞬時電力値Pが下限閾値Plを下回るので、余剰電力が蓄電池40に充電され、余剰電力の損失が低減される。その結果、発電電力Pgを有効的に活用することが可能となる。
比較例の電源システムを用いて、電源システム10Aにおける余剰電力の有効利用についてさらに説明する。
比較例の電源システムでは、瞬時電力値Pc及び制御値Pth_cを用いて、以下の式(7)により充放電量xcが設定される。
また、充放電量xcについても、式(5)及び式(6)と同様の関係が成立する。式(5)〜式(7)によれば、以下の式(8)が成立する。また、発電電力Pgcは、以下の式(9)で表され得る。なお、比較例の電源システムでは、充放電量xc(t−1)により、発電電力Pgc(t)、瞬時電力値Pc(t)、及び充放電量xc(t)が順次求まる。まず、式(9)から発電電力Pgc(t)が求まり、次いで式(6)と同様にして瞬時電力値Pc(t)が求まり、次いで式(7)から充放電量xc(t)が求まる。
一方、電源システム10Aでは、式(4)の関係が成立するので、式(5)は、以下の式(10)に変形され得る。また、発電電力Pgは、以下の式(11)で表され得る。なお、電源システム10Aでは、充放電量x(t−1)により、発電電力Pg(t)、瞬時電力値P(t)、及び充放電量x(t)が順次求まる。まず、式(11)から発電電力Pg(t)が求まり、次いで式(6)から瞬時電力値P(t)が求まり、次いで式(1)から充放電量x(t)(計画充放電量x’(t))が求まる。
制御値Pth及び制御値Pth_cが同じであるとすると、発電電力Pg(t)と発電電力Pgc(t)との差分は以下の式(12)で示される関係となる。ここで、デマンド値dc(t)は0以上である。また、余剰電力が生じる場合には、発電電力Pg(t−1)が消費電力q(t−1)以上となる。このため、以下の式(12)で示されるように、発電電力Pg(t)は発電電力Pgc(t)以上となる。このように、電源システム10Aによれば、比較例の電源システムよりも発電電力Pgを有効に活用(充電)することが可能となる。
また、太陽光発電装置60の発電能力が消費電力qに比べて大きい場合、時刻t=0では、充放電制御が行われていないので、発電電力Pg(0)は消費電力q(0)と一致する。このため、上述の式(10)によれば、以下の式(13)の関係が成立する。この関係は、発電電力Pgを消費電力qに対し、制御値Pthだけ高い値で活用(充電)できるようになったことを示している。
そして、時刻t=1では、以下の式(14)の関係が成立する。
このため、上述の式(10)によれば、以下の式(15)の関係が成立する。
同様にして、時刻t=kのとき、以下の式(16)の関係が成立する。
この式(16)を式(11)に代入することにより、以下の式(17)の関係が得られる。この式(17)は、活用できる発電電力Pgが時刻に応じて単調増加することを示している。つまり、太陽光発電装置60の発電能力を限度として、発電電力Pgを有効的に活用することが可能となる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
例えば、整流器50は、電流検出部をさらに備えてもよい。この場合、電流検出部は、電流センサを用いて、整流部51とノードN1との間を流れる電流、及びノードN1と端子Tbとの間を流れる電流を検出する。制御部53は、これらの電流の差分に基づいて、蓄電池40が充電状態であるか放電状態であるかの判断、及び蓄電池40の充放電電流の測定などを行ってもよい。
また、整流器50は、電圧検出部をさらに備えてもよい。この場合、電圧検出部は、整流部51と端子Tbとの間の電圧を、電圧センサを用いて検出する。この電圧は、例えば電力線Lの電圧であり、バス電圧でもある。制御部53は、バス電圧に基づいて、蓄電池40のSOCを検出してもよい。制御部53は、さらに電流検出部による蓄電池40の充放電電流の測定値を考慮して蓄電池40のSOCが検出してもよい。制御部53は、蓄電池40の充放電履歴に基づいて蓄電池40のSOCを検出してもよい。
電力値取得部12は、スマートメータ30に代えて、商用電源6と整流器50との間に設けられたクランプメータ及び電力センサ等の電力測定装置から瞬時電力値Pを取得してもよい。
また、整流部51は、電圧可変機能を有してもよい。つまり、整流器50の出力電圧Vrcは、整流部51を構成する回路を制御することによって調節可能であってもよい。この場合、蓄電池40の充放電制御は、蓄電池40を直接制御することに代えて、整流部51を制御して出力電圧Vrcを調節することによって行われてもよい。制御部53による整流部51の制御は、例えば制御信号を用いて行われる。出力電圧Vrcを調節することによって、制御部53は、蓄電池40を強制的に充電し、あるいは、強制的に放電させることができる。例えば、瞬時電力値Pが上限閾値Puを上回る場合には、制御部53は、蓄電池40の端子電圧Vbatよりも出力電圧Vrcを低くすることで蓄電池40を放電させる。また、瞬時電力値Pが下限閾値Plを下回る場合には、制御部53は、蓄電池40の端子電圧Vbatよりも出力電圧Vrcを高くすることで蓄電池40を充電させる。充電量及び放電量(充電電流値及び放電電流値)は、出力電圧Vrcと端子電圧Vbatとの電位差に依存することから、制御部53は、出力電圧Vrcを調節することによって、蓄電池40の充電量及び放電量を調整することもできる。
また、電源システム10,10Aでは、整流器50が制御部53を備えているが、この構成に限定されない。電源システム10,10Aは、整流器50とは別に制御部53を備えてもよい。
また、電力を受けて動作する負荷は、通信装置20(無線基地局)に限定されず、通信装置20とは異なる負荷であってもよい。
充放電実施部17は、SOC取得部13によって取得されたSOC(t)に基づくことなく充放電量x(t)を設定してもよい。例えば、充放電実施部17は、計算部16から受け取った計画充放電量x’(t)又は充放電量x(t−1)に充放電量x(t)を設定する。この場合、制御部53は、SOC取得部13を備える必要が無いので、制御部53を簡略化することができる。
また、上限閾値Puと下限閾値Plとは同じ値(例えば、制御値Pth)であってもよい。この場合、閾値範囲は、1つの値となる。
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、及びフローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、又はハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、及び機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、及び命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書で説明した情報、及び信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、信号はメッセージであってもよい。
本明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
また、本明細書で説明した情報、及びパラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)の(セクタとも呼ばれる)セルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、および/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、および「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
本実施例の中で記載の「最大送信電力」は、送信電力の最大値を意味するが、これのみではなく、例えば、公称最大送信電力(the nominal UE maximum transmit power)、又は、定格最大送信電力(the nominal UE maximum transmit power)であってもよい。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。