JP6801205B2 - 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関するものである。
電子写真方式の画像形成装置は、一般的には次のような構成、およびプロセスを有する。即ち、電子写真感光体表面を帯電装置で定められた極性および電位に帯電させ、帯電後の電子写真感光体の表面を、像露光により選択的に除電することにより静電潜像を形成させた後、現像手段で該静電潜像にトナーを付着させることにより、潜像をトナー像として現像し、トナー像を転写手段で被転写媒体に転写させることにより、画像形成物として排出させる。
近年、電子写真感光体は、高速かつ高印字品質が得られるという利点を有することから、複写機及びレーザービームプリンター等の分野においての利用が多くなってきている。
これら画像形成装置において用いられる電子写真感光体としては、従来からのセレン、セレンーテルル合金、セレンーヒ素合金、硫化カドミウム等無機光導電材料を用いた電子写真感光体(無機感光体)が知られており、近年では、安価で製造性及び廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を用いた有機感光体(有機感光体)が主流を占めるようになってきている。
電子写真感光体の長寿命化、高信頼性化のために、電子写真感光体の表面に保護層を設けて強度を向上させることが提案されている。
保護層を形成する材料系としては、以下のものが提案されている。
即ち、例えば、特許文献1には、導電粉をフェノール樹脂に分散したものが、特許文献2には、有機−無機ハイブリッド材料によるものが、特許文献3には、アルコール可溶性電荷輸送材料とフェノール樹脂によるものが、それぞれ開示されている。
また、特許文献4には、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂と、電子受容性カルボン酸、或いは、電子受容性ポリカルボン酸無水物の硬化膜が、特許文献5には、ベンゾグアナミン樹脂に、ヨウ素、有機スルホン酸化合物、或いは、塩化第二鉄などをドーピングした硬化膜が、特許文献6には、特定の添加剤と、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シロキサン樹脂、或いはウレタン樹脂との硬化膜が、保護層として開示されている。
また、近年ではアクリル系材料による保護層が注目されている。例えば、特許文献7には、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を硬化した膜が、特許文献8には、炭素−炭素二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷移動材、及びバインダー樹脂の混合物を、熱或いは光のエネルギーによって前記モノマーの炭素−炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素−炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が、特許文献9、10には、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜が、保護層として開示されている。また、特許文献11には、スチリル基変性した正孔輸送性化合物を重合した化合物からなる膜を用いた電子写真感光体が開示されている。
これら連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物は、硬化条件、硬化雰囲気等の影響を強く受けることから、例えば、特許文献12には、真空中、或いは不活性ガス中で放射線照射後に加熱されることによって形成された膜が、特許文献13には、不活性ガス中で加熱硬化された膜が開示されている。
また、例えば、特許文献8、14には、電荷輸送材料自身をアクリル変性し、架橋可能とすると共に、電荷輸送性を有さない反応性モノマーを添加し、膜強度を向上させることも開示されている。
更に、反応物、硬化膜による保護層としては以下のようなものも提案されている。
例えば、特許文献15には、電荷輸送材料自身を3官能以上の多官能に変性し、これを重合した化合物を含有する保護層が開示されている。また、特許文献16には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の重合物を保護層に使用する技術が開示されており、また、摩擦特性を向上させるために、潤滑剤としてフッ素原子含有化合物を保護層中に含有する技術が開示されている。加えて、特許文献17には、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送物質の濃度を最表面から内部に向かって傾斜を持たせることで、機械特性と電気特性を両立できることが開示されている。
また、特許文献18には、連鎖重合性官能基を1つ以上有する第1の電荷輸送性化合物と、第1の電荷輸送性化合物に対し5.0〜45.0wt%の量の連鎖重合性官能基を有さない第2の電荷輸送性化合物とを含有させることが開示されている。特許文献19には、少なくともアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する第一の電荷輸送性化合物と、水酸基を有する第二の電荷輸送性化合物とを含有させることが開示されている。特許文献20には、架橋型電荷輸送層中にさらに電荷輸送層と同じ低分子電荷輸送材料を含有させることが開示されている。
また、特許文献21、特許文献22および、非特許文献1には、表面に架橋構造を有する感光体にステアリン酸亜鉛を供給すること、さらに、窒化ホウ素のような固体潤滑剤、酸化アルミのような研磨剤をステアリン酸亜鉛中に含有させることで画像の維持性を高めることが開示されている。
また、特許文献23には、表面に架橋構造を有する感光体と、メジアン径が0.10μm以上1.00μm以下の脂肪酸金属塩粒子を含有するトナーを用いた画像形成方法が開示されている。
また、特許文献24には、表面層がポリカーボネートからなる感光体の摩耗率とトナー中のステアリン酸亜鉛の含有量について記載されている。
また、特許文献25には、特定構造の架橋膜表面の感光体と、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸をトナー中に添加した例が、特許文献26には、特定構造の架橋膜表面の感光体を用い、プリント後の感光体表面のステアリン酸亜鉛被覆率を制御する方法が開示されている。
また、特許文献27には、転写装置よりも感光体の回転方向下流側に配備された補助帯電装置が、その転写装置により転写された後に感光体に残留したトナーを正極性に帯電し、1つの導電性クリーニングブラシを用いて、補助帯電装置によって正極性に極性が揃えられたトナーを静電的に除去する装置について記載されている。
そして、特許文献28には、特定構造の感光体表面と、クリーニングブレードの位置について、特許文献29には、トナー外添剤と、クリーニングブレード当接圧について記載されている。
特許第3287678号公報 特開平12−019749号公報 特開2002−82469号公報 特開昭62−251757号公報 特開平7−146564号公報 特開2006−84711号公報 特開平5−40360号公報 特開平5−216249号公報 特開2000−206715号公報 特開2001−166509号公報 特許第2852464号公報 特開2004−12986号公報 特開平7−72640号公報 特開2004−302450号公報 特開2000−206717号公報 特開2001−175016号公報 特開2007−86522号公報 特開2005−62301号公報 特開2005−62302号公報 特開2006−138956号公報 特開2007−79244号公報 特開2012−123209号公報 特開2010−54884号公報 特開2007−310181号公報 特開2013−44820号公報 特開2013−44820号公報 特開2007−304246号公報 特開2007−86320号公報 特開2006−259312号公報
Ricoh Technical Report No.38,P.37
本発明の課題は、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された電子写真感光体と、電子写真感光体の表面に接触又は近接して配置され、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む現像剤を収容し、現像剤により、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、電子写真感光体の表面に接触し、電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードを有するクリーニング手段と、を備える画像形成装置において、ブレードの先端部を電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度が120°未満の場合に比べ、長期に亘って濃度ムラを抑制した画像が得られる画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
導電性基体および前記導電性基体上に設けられた感光層を有し、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に接触又は近接して配置され、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記電子写真感光体の表面に接触し、前記電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードであって、ブレードの先端部を前記電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ、前記電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち前記電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度が120°以上160°以下となる状態で配置されるブレードを有するクリーニング手段と、
を備える画像形成装置。
請求項2に係る発明は、
前記脂肪酸金属塩粒子が、体積基準によるメディアン径が0.1μm以上10.0μm以下のステアリン酸亜鉛の粒子である請求項1に記載の画像形成装置。
請求項3に係る発明は、
前記反応性電荷輸送材料が、同一分子内に電荷輸送性骨格及び連鎖重合性官能基を少なくとも有する連鎖重合性化合物である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
請求項4に係る発明は、
前記反応性電荷輸送材料が、下記一般式(I)及び(II)で示される連鎖重合性化合物から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

〔一般式(I)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。Lは、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。mは1以上8以下の整数を示す。〕

〔一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。 m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。〕
請求項5に係る発明は、
導電性基体および前記導電性基体上に設けられた感光層を有し、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面に接触又は近接して配置され、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に接触し、前記電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードであって、ブレードの先端部を前記電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ前記電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち前記電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度が120°以上160°以下となる状態で配置されるブレードを有するクリーニング手段と、
を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
請求項1に係る発明によれば、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された電子写真感光体と、電子写真感光体の表面に接触又は近接して配置され、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む現像剤を収容し、現像剤により、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、電子写真感光体の表面に接触し、電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードを有するクリーニング手段と、を備える画像形成装置において、ブレードの先端部を電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度が120°未満の場合に比べ、長期に亘って濃度ムラを抑制した画像が得られる画像形成装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、トナーに、脂肪酸金属塩粒子として、体積基準によるメディアン径が10.0μm超えのステアリン酸亜鉛の粒子のみを含む場合に比べ、長期に亘って濃度ムラを抑制した画像が得られる画像形成方法が提供される。
請求項3、又は4に係る発明によれば、電荷輸送材料として非反応性電荷輸送材料のみを含む最表面層を有する電子写真感光体を採用した場合に比べ、長期に亘って濃度ムラを抑制した画像が得られる画像形成方法が提供される。
請求項5に係る発明によれば、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された電子写真感光体と、電子写真感光体の表面に接触又は近接して配置され、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む現像剤を収容し、現像剤により、電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、電子写真感光体の表面に接触し、電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードを有するクリーニング手段と、を備える画像形成装置において、ブレードの先端部を電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度が120°未満の場合に比べ、長期に亘って濃度ムラを抑制した画像が得られるプロセスカートリッジが提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 画像パターンを示す模式図である。 電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度(ブレード角度)を説明するための模式図である。
以下、本発明の一例である本実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体(以下「感光体」とも称する)と、感光体の表面に接触又は近接して配置され、感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、現像剤を収容し、現像剤により、感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、感光体の表面に接触し、感光体の表面をクリーニングするブレード(以下「クリーニングブレード」とも称する。)を有するクリーニング手段と、を備える。
感光体は、導電性基体および前記導電性基体上に設けられた感光層を有し、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された感光体(以下「硬化型感光体」とも称する。)である。また、現像剤は、トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む。
一方、ブレードは、ブレードの先端部を前記電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ、感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち感光体とは反対側に位置する端面との成す角度(以下「ブレード角度」とも称する)が120°以上160°以下となる状態で配置されている。
そして、本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成により、長期に亘って濃度ムラを抑制した画像が得られる。この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと推測される。
従来、ブレードは、ブレードの先端部を感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つブレード角度90°未満の状態で配置されている。なお、ブレードの先端部を感光体の回転方向とは逆方向側に向けて、ブレードを配置する方式を「ドクター方式」とも称する。
一方、トナーに脂肪酸金属塩粒子を用いる技術が知られている。トナーと共に脂肪酸金属塩粒子が感光体とブレードとの接触部(以下「クリーニング部」とも称する)に供給されると、ブレードにより感光体の表面に脂肪酸金属塩の被膜が形成される。この脂肪酸金属塩の被膜により、感光体の最表面層の摩耗が抑制されると共に、ブレードの姿勢が安定し、クリーニング性の向上する。
しかし、ブレード角度90°未満のドクター方式で、且つブレードの先端部を重力方向の上方側に向けて、ブレードを配置した場合、脂肪酸金属塩粒子がクリーニング部へ供給されると、脂肪酸金属塩粒子は廃トナーと共にクリーニング部で過度に滞留し、感光体の表面へ脂肪酸金属塩の被膜が過度に形成されることがある。また、脂肪酸金属塩の被膜は、クリーニング部で脂肪酸金属塩粒子が過度に滞留しているため、繰り返しの画像形成によって除去されず、新たな被膜が形成され難い状態となり易い。
特に、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された硬化型感光体を適用した場合、最表面層の機械的強度が高く、最表面層の摩耗が過剰に抑制されるため、脂肪酸金属塩の被膜が除去され難く、感光体の表面に過度に堆積し易くなる傾向が高まる。さらに、接触型又は近接型の帯電方式を採用した場合、放電の影響が強く、堆積した脂肪酸金属塩の劣化による潤滑性の低下、放電生成物の残留が生じ易くなる。
そして、劣化した脂肪酸金属塩の被膜の堆積が促進され、感光体とブレードとの摩擦が大きくなり、ブレードに与える機械的負荷が大きくなる。
一方、ブレード角度90°未満のドクター方式で、且つブレードの先端部を重力方向の下方側に向けて、ブレードを配置した場合、脂肪酸金属塩粒子がクリーニング部へ供給されると、重力によって落下することで、脂肪酸金属塩粒子は廃トナーと共にクリーニング部で過度に滞留し難くなり、感光体の表面へ脂肪酸金属塩の被膜が形成され難くなる。すると、やはり、感光体とブレードとの摩擦が大きくなり、ブレードに与える機械的負荷が大きくなる。
そして、ブレードに対して機械的負荷が掛かると、ブレードの欠け又は摩耗が生じることで、クリーニング不良(外添剤等のすり抜け等)を招き、画像の濃度ムラが生じ易くなる。
それに対して、ブレード角度120°以上160°以下のドクター方式で、ブレードを配置すると、ブレードの先端部を重力方向の上方側及び下方側に向けて、ブレードを配置した場合のいずれの場合も、脂肪酸金属塩粒子はクリーニング部で適度に滞留し、感光体の表面への脂肪酸金属塩の被膜の形成及び除去が均衡して実現されるため、感光体とブレードとの摩擦の上昇が抑えられる。これにより、ブレードに対する機械的負荷が掛かり難くなり、ブレードの欠け又は摩耗の発生が抑制され、クリーニング不良が抑えられる。
これは、ブレードの先端部を重力方向上方側へ向けて配置した場合、ブレードの先端部の端面を伝って、過剰に滞留する脂肪酸金属塩粒子がクリーニング部から離脱すると考えられるためである。一方、ブレードの先端部を重力方向下方側へ向けて配置した場合、クリーニング部へ供給された脂肪酸金属塩粒子が、ブレードの先端部の端面に乗り上がることで、クリーニング部で滞留し易くなると考えられるためである。
以上から、本実施形態に係る画像形成装置では、上記構成により、長期に亘って濃度ムラを抑制した画像が得られると推測される。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、感光体の表面への脂肪酸金属塩の被膜の形成及び除去が均衡して実現されることから、放電生成物の除去も適切に行われ、画像流れの発生も抑制され易くなる。
なお、一般的によく使用されるシアン画像、マゼンタ画像、イエロー画像、ブラック画像の画像形成工程(画像形成ユニット)を組み合わせたカラーの画像形成装置では、市場において出力される画像の約20%から30%がカラー画像である。つまり、市場において、シアン画像、マゼンタ画像、イエロー画像、ブラック画像の画像形成ユニットを利用する画像形成は、全出力の約20%から30%のみである。一方、市場において、ブラック画像の画像形成ユニットは、ほとんどの出力に利用されるため、画像の濃度ムラが発生しやすく、最も寿命が短い。これは、ブラック画像の画像形成ユニットのみを利用するモノクロの画像形成方法(装置)も、市場で最も利用されているため、同様である。
このように、本実施形態に係る画像形成装置は、市場で最も利用されるブラック画像の画像形成ユニットに適用することがよい。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、ブラック(黒)トナーを含む現像剤を収容し、現像剤により、感光体の表面に形成された静電潜像を現像してブラック(黒)トナー像を形成する現像手段を備えることがよい。
本発明に係る画像形成装置において、画像の濃度ムラを抑制する点から、反応性電荷輸送材料が、同一分子内に電荷輸送性骨格及び連鎖重合性官能基を少なくとも有する連鎖重合性化合物であることがよい。
特に、同観点と共に、電気特性と機械的強度の観点から、連鎖重合性化合物が、一般式(I)及び(II)で示される連鎖重合性化合物(以下、「特定の連鎖重合性電荷輸送材料」とも称する)から選択される少なくとも1種であることがよい。この理由は定かではないが、以下に示す理由によると考えられる。
特定の連鎖重合性電荷輸送材料から選択される少なくとも1種を含む組成物の硬化膜(特定の連鎖重合性電荷輸送材料の重合体又は架橋体(特に架橋体)を含む膜)を最表面層として有すると、最表面層が優れた電気特性と機械的強度を兼ね備える。また、最表面層の厚膜化(例えば10μm以上)も実現される。これは、特定の連鎖重合性電荷輸送材料自身が電荷輸送性能に優れる上、−OH、−NH−などのキャリア輸送を妨げる極性基が少なく、また、キャリア輸送に有効なπ電子を有するビニルフェニル基(スチリル基)で、重合により当該材料が連結されることから、残留歪が抑制され、電荷を捕獲する構造的なトラップの形成が抑制されるためと考えられる。
また、特定の連鎖重合性電荷輸送材料は、アクリル系材料よりも疎水的で水分がつきにくい性質があることから、長期にわたって電気特性が維持され易くなると考えられる。
更に、特定の連鎖重合性電荷輸送材料は、アクリル系材料よりも疎水性が高く、脂肪酸金属塩(特にステアリン酸亜鉛)との親和性が高い。このため、保護層(最表面層)の表面に、少量の脂肪酸金属塩(特にステアリン酸亜鉛)が被覆され易くなると考えられる。
このため、特定の連鎖重合性電荷輸送材料から選択される少なくとも1種を含む組成物の硬化膜(特定の連鎖重合性電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む膜)を最表面層として有すると、最表面層の電気特性と機械的強度が高まり易くなる。
一方で、特定の連鎖重合性電荷輸送材料は、スチリル基を有し、このスチリル基が反応性基を持たない一般的な非反応性電荷輸送材料との親和性が高い。つまり、最表面層中に含ませる非反応性電荷輸送材料の量を増加させ易い。このため、含ませる非反応性電荷輸送材料の量によって、最表面層の機械的強度の調整(例えば機械的強度の低下)が実現し易い。
したがって、反応性電荷輸送材料として、特定の連鎖重合性電荷輸送材料を適用すると、上記各式を満たすように、感光体の摩耗率を制御し、画像の濃度ムラを抑制する上で有効である。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成方法(装置)は、乾式現像方式の画像形成方法(装置)、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成方法(装置)のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、電子写真感光体、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、静電潜像形成手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。
なお、図4には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
(電子写真感光体)
電子写真感光体は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた感光層と、を有している。感光体の最表面層は、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成されている。
なお、電子写真感光体において、最表面層は、電子写真感光体自体の最上面を形成していればよく、保護層として機能する層、又は、電荷輸送層として機能する層として設けられる。最表面層が保護層として機能する層である場合、この保護層の下層には、電荷輸送層及び電荷発生層からなる感光層、又は単層型感光層を有することとなる。
具体的には、最表面層が保護層として機能する層の場合、導電性基体上に、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層、又は単層型感光層)、及び最表面層として保護層が順次形成された態様が挙げられる。一方、最表面層が電荷輸送層として機能する層の場合、導電性基体上に、電荷発生層、及び最表面層として電荷輸送層が順次形成された態様が挙げられる。
以下、最表面層が保護層として機能する層の場合の、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。図2乃至図3はそれぞれ本実施形態に係る電子写真感光体の他の一例を示す概略断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成される。
図2に示す電子写真感光体7Bは、図1に示す電子写真感光体7Aのごとく、電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体である。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3及び電荷発生層2により感光層が構成される。
図3に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6)に含有するものである。図3に示す電子写真感光体7Cにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に単層型感光層6、保護層5が順次形成された構造を有するものである。
そして、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体7A、7B及び7Cにおいて、保護層5が、導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっており、当該最表面層が、上記の構成となっている。
なお、図1、図2及び図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物;2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着せる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro−Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5−263007号公報、特開平5−279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5−98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5−140472号公報、特開平5−140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4−189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004−78147号公報、特開2005−181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基材からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp−型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn−型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n−型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012−155282号公報の段落[0288]〜[0291]に記載された化合物(CG−1)〜(CG−27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n−型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn−型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a−1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、−C−C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
構造式(a−2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、−C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a−1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a−2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「−C−CH=CH−CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「−CH=CH−CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(保護層)
保護層(最表面層)は、電子写真感光体における最表面層であり、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成されている。つまり、保護層は、反応性電荷輸送材料の重合体又は架橋体(好ましくは架橋体)を含む。
保護層には、非反応性電荷輸送材料、不飽和結合(不飽和二重結合)を有する化合物等のその他の添加剤を更に含む組成物で構成されていてもよい。つまり、保護層は、反応性電荷輸送材料と不飽和結合を有する化合物との重合体又は架橋体(好ましくは架橋体)、非反応性電荷輸送材料等のその他の添加剤を更に含んでいてもよい。
なお、硬化膜の硬化方法としては、熱、光、又は放射線などによるラジカル重合が行なわれる。反応が早く進行しすぎないよう調整すると、保護層(最表面層)の機械的強度及び電気特性が向上し、また膜のムラやシワの発生も抑制されるため、ラジカル発生が比較的ゆっくりと起こる条件下で重合させることが好ましい。この点からは、重合速度を調整しやすい熱重合が好適である。つまり、保護層(最表面層)を構成する硬化膜を形成するための組成物には、熱ラジカル発生剤又はその誘導体を含むことがよい。
以下、硬化膜で構成された保護層(最表面層)の各要素の詳細について説明する。
−反応性電荷輸送材料−
反応性電荷輸送材料としては、同一分子内に電荷輸送性骨格及び反応性基を有する化合物であれば、周知の材料から選択される。ここで、反応性基としては、連鎖重合性基が挙げられ、例えば、ラジカル重合し得る官能基であることよく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基が挙げられる。具体的には、連鎖重合性基としては、例えば、ラジカル重合し得る官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性官能基としては、ビニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくも一つを含有する基であることが好ましい。その他、反応性基としては、エポキシ基、−OH、−OR[但し、Rはアルキル基を示す]、−NH、−SH、−COOH、−SiRQ1 3−Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1〜3の整数を表す]等の周知の反応性基も挙げられる。
また、電荷輸送性骨格としては電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
反応性電荷輸送材料としては、画像の濃度ムラ抑制の観点から、同一分子内に電荷輸送性骨格及び連鎖重合性官能基を少なくとも有する連鎖重合性化合物が好ましい。特に、連鎖重合性化合物の中でも、同観点と共に、電気特性と機械的強度の観点から、特定の連鎖重合性電荷輸送材料(一般式(I)及び(II)で示される連鎖重合性化合物)から選択される少なくとも1種が好ましい。
−特定の反応性電荷輸送材料−
特定の反応性電荷輸送材料は、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。
一般式(I)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。
Lは、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
mは1以上8以下の整数を示す。
一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。
L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−の基からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。なお、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基とは、アルカン又はアルケンから水素原子を3つ又は4つ取り除いた基を意味する。以下、同様である。
m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。
一般式(I)及び(II)中、Fは、電荷輸送性骨格、つまり電荷輸送性を有する構造を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物、などの電荷輸送性を有する構造が挙げられる。
一般式(I)中、Lで示される連結基としては、例えば、
アルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−O−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−N(R)−が介在した2価の連結基、
アルキレン基中に−S−が介在した2価の連結基、
が挙げられる。
なお、Lで示される連結基は、アルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
一般式(I)中、Lで示される連結基として具体的には、例えば、
*−(CH−C(=O)−O−(CH−、
*−(CH−O−C(=O)−(CH−C(=O)−O−(CH−、
*−(CH−C(=O)−N(R)−(CH−、
*−(CH−C(=O)−S−(CH−、
*−(CH−O−(CH−、
*−(CH−N(R)−(CH−、
*−(CH−S−(CH−、
*−(CH−O−(CH−O−(CH
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、pは、0、又は1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
一方、一般式(II)中、L’で示される連結基としては、例えば、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−C(=O)−S−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−O−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−N(R)−が介在した(n+1)価の連結基、
分枝状に連結したアルキレン基中に−S−が介在した(n+1)価の連結基、
が挙げられる。
なお、L’で示される連結基は、分枝状に連結したアルキレン基中に、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−、又は−S−の基が2つ介在してもよい。
一般式(II)中、L’で示される連結基として具体的には、例えば、
*−(CH−CH[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH[C(=O)−N(R)−(CH−]
*−(CH−CH[C(=O)−S−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[(CH−O−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−N(R)−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−S−(CH−]


*−(CH−O−C[(CH−O−(CH−]
*−(CH−C(=O)−O−C[(CH−O−(CH−]
等が挙げられる。
ここで、L’で示される連結基中、pは、0、又は1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。qは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。rは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。sは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、L’で示される連結基中、「*」は、Fと連結する部位を示している。
これらの中でも、一般式(II)中、L’で示される連結基としては、
*−(CH−CH[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[C(=O)−O−(CH−]
*−(CH−CH[(CH−O−(CH−]
*−(CH−CH=C[(CH−O−(CH−]
がよい。
具体的には、一般式(II)で示される反応性化合物のFで示される電荷輸送性骨格に連結する基(一般式(IIA−a)で示される基が該当)は、下記一般式(IIA−a1)、下記一般式(IIA−a2)、下記一般式(IIA−a3)、又は下記一般式(IIA−a4)で示される基であることがよい。
一般式(IIA−a1)又は(IIA−a2)中、Xk1は2価の連結基を示す。kq1は0又は1の整数を示す。Xk2は2価の連結基を示す。kq2は0又は1の整数を示す。
ここで、Xk1及びXk2で示される2価の連結基は、例えば、−(CH−(但しpは1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す))が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキレンオキシ基も挙げられる。
一般式(IIA−a3)又は(IIA−a4)中、Xk3は2価の連結基を示す。kq3は0又は1の整数を示す。Xk4は2価の連結基を示す。kq4は0又は1の整数を示す。
ここで、Xk3及びXk4で示される2価の連結基は、例えば、−(CH−(但しpは1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す))が挙げられる。当該2価の連結基としては、アルキレンオキシ基も挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、L、L’で示される連結基において、「−N(R)−」のRで示されるアルキル基としては、炭素数1以上5以下(好ましくは1以上4以下)の直鎖状、分枝状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
「−N(R)−」のRで示されるアリール基としては、炭素数6以上15以下(好ましくは6以上12以下)のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上15以下(好ましくは7以上14以下)のアラルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ビフェニルメチレン基等が挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、mは、1以上6以下の整数を示すことが好ましい。
m’は、1以上6以下の整数を示すことが好ましい。
nは、2以上3以下の整数を示すことが好ましい。
次に、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物の好適な化合物について説明する。
一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物としては、Fとしてトリアリールアミン系化合物に由来する電荷輸送性骨格(電荷輸送性を有する構造)を有する反応性化合物がよい。
具体的には、一般式(I)で示される反応性化合物としては、一般式(I−a)、一般式(I−b)、一般式(I−c)、及び一般式(I−d)で示される反応性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好適である。
一方、一般式(II)で示される反応性化合物としては、一般式(II−a)で示される反応性化合物が好適である。
・一般式(I−a)で示される反応性化合物
一般式(I−a)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性電荷輸送材料として一般式(I−a)で示される反応性化合物を適用すると、環境変化に起因する電気特性の劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、従来用いられていた、(メタ)アクリル基を有する反応性化合物は、重合の際に電荷輸送性能を発現する骨格の部位に対して、(メタ)アクリル基の親水性が強いことから、ある種の層分離状態を形成してしまい、ホッピング伝導の妨げとなっていることが考えられる。このため、(メタ)アクリル基を有する反応性化合物の重合体又は架橋体を含む電荷輸送性膜は、電荷輸送の効率が落ち、更に、部分的な水分の吸着などにより環境安定性が低下するものと考えられる。
これ対して、一般式(I−a)で示される反応性化合物は、親水性の強くないビニル系の連鎖重合性基を有しており、更に、電荷輸送性能を発現する骨格を一分子内に複数有し、その骨格同士を芳香環や共役二重結合などの共役結合を有しない、柔軟性のある連結基で連結している。このような構造を有することから、効率的な電荷輸送性能と高強度化が図れると共に、重合の際の層分離状態の形成が抑制されるものと考えられる。その結果として、一般式(I−a)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、電荷輸送性能と機械的強度との両方に優れ、更に、電荷輸送性能の環境依存(温湿度依存)を低減しうるものと考えられる。
以上から、一般式(I−a)で示される反応性化合物を適用すると、環境変化に起因する電気特性の劣化が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ara5及びAra6は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Xaは、アルキレン基、−O−、−S−、及びエステルから選ばれる基を組み合わせてなる2価の連結基を示す。Daは、下記一般式(IA−a)で示される基を示す。ac1〜ac4は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。但し、Daの総数は1又は2である。
一般式(IA−a)中、Lは、*−(CHan−O−CH−で示され、*にてAra1〜Ara4で示される基に連結する2価の連結基を示す。anは、1又は2の整数を示す。
以下、一般式(I−a)の詳細を説明する。
一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、「Da」以外のものとして、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(I−a)中、Ara1〜Ara4としては、下記構造式(1)〜(7)のうちのいずれかであることが好ましい。
なお、下記構造式(1)〜(7)は、Ara1〜Ara4の各々に連結され得る「−(Da)ac1」〜「−(Da)ac1」を総括的に示した「−(D)」と共に示す。

構造式(1)〜(7)中、R11は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、及び炭素数7以上10以下のアラルキル基からなる群より選ばれる1種を示す。R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を示す。R14は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を示す。Arは、置換又は未置換のアリーレン基を示す。sは、0又は1を示す。tは、0以上3以下の整数を示す。Z’は、2価の有機連結基を示す。
ここで、式(7)中、Arとしては、下記構造式(8)又は(9)で示されるものが好ましい。

構造式(8)及び(9)中、R15及びR16は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を表し、t1及びt2はそれぞれ0以上3以下の整数を示す。
また、式(7)中、Z’は、下記構造式(10)〜(17)のうちのいずれかで示されるものが好ましい。

構造式(10)〜(17)中、R17及びR18は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種を示す。Wは、2価の基を示す。q1及びr1は、それぞれ独立に1以上10以下の整数を示す。t3及びt4は、それぞれ0以上3以下の整数を示す。
構造式(16)〜(17)中、Wとしては、下記構造式(18)〜(26)で示される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。但し、式(25)中、uは、0以上3以下の整数を示す。

一般式(I−a)中、Ara5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基において、このアリーレン基としては、Ara1〜Ara4の説明で例示されたアリール基から目的とする位置の水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
また、置換アリーレン基における置換基としては、Ara1〜Ara4の説明で、置換アリール基における「Da」以外の置換基として挙げられているものと同様である。
一般式(I−a)中、Xaで示される2価の連結基は、アルキレン基、又はアルキレン基、−O−、−S−、及びエステルから選ばれる基を組み合わせてなる2価の基であって、芳香環や共役二重結合などの共役結合を含まない連結基である。
具体的には、Xaで示す2価の連結基として、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられ、その他、炭素数1以上10以下のアルキレン基と−O−、−S−、−O−C(=O)−、及び−C(=O)−O−から選ばれる基とを組み合わせてなる2価の基も挙げられる。
なお、Xaで示される2価の連結基がアルキレン基である場合、このアルキレン基はアルキル、アルコキシ、ハロゲン等の置換基を有していてもよく、この置換基の2つが互いに結合して、構造式(16)〜(17)中のWの具体例として記載した構造式(26)で示される2価の連結基のような構造となってもよい。
・一般式(I−b)で示される反応性化合物
一般式(I−b)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性電荷輸送材料として一般式(I−b)で示される反応性化合物を適用すると、保護層(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、かさ高い電荷輸送骨格と重合部位(スチリル基)が構造的に近く、剛直(リジッド)であると重合部位同士が動きずらくなり、硬化反応による残留歪が残りやすく、電荷輸送骨格が歪むことによりキャリア輸送をになうHOMO(最高被占軌道)のレベルの変化が起こり、結果としてエネルギー分布が広がった状態(エネルギー的ディスオーダー:σが大きい)となりやすいと考えられる。
これに対し、メチレン基、エーテル基を介すると、分子構造に柔軟性が得られ、σが小さいものが得られやすく、さらに、メチレン基、エーテル基は、エステル基、アミド基などに比較し、双極子モーメント(ダイポールモーメント)が小さく、この効果もσを小さくすることに寄与し、電気特性が向上すると考えられる。また、分子構造に柔軟性が加わることで、反応部位(反応サイト)の動きの自由度が増し、反応率も向上することで強度の高い膜となると考えられる
これらのことから、電荷輸送骨格と重合部位との間に柔軟性に富む連結鎖を介在させる構造がよい。
このため、一般式(I−b)で示される反応性化合物は、硬化反応により分子自身の分子量が増大し、重心は移動し難くなると共に、スチリル基の自由度が高いと考えられる。の結果、一般式(I−b)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、電気特性に優れ、且つ、高い強度を有すると考えられる。
以上から、一般式(I−b)で示される反応性化合物を適用すると、保護層(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−b)中、Arb1〜Arb4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arb5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dbは、下記一般式(IA−b)で示される基を示す。bc1〜bc5は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。bkは、0又は1を示す。但し、Dbの総数は、1又は2である。
一般式(IA−b)中、Lは、*−(CHbn−O−で示される基を含み、*にてArb1〜Arb5で示される基に連結する2価の連結基を示す。bnは、3以上6以下の整数を示す。
以下、一般式(I−b)の詳細を説明する。
一般式(I−b)中、Arb1〜Arb4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arb5は、bkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arb5は、bkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
次に、一般式(IA−b)の詳細を説明する。
一般式(IA−b)中、Lで示される2価の連結基としては、例えば、
*−(CHbp−O−、
*−(CHbp−O−(CHbq−O−
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、bpは、3以上6以下(好ましくは3以上5以下)の整数を示す。bqは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Arb1〜Arb5で示される基と連結する部位を示している。
・一般式(I−c)で示される反応性化合物
一般式(I−c)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性電荷輸送材料として一般式(I−c)で示される反応性化合物を適用すると、繰り返し使用しても表面にキズが発生しにくく、かつ画質劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、特定の反応性電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む最表面層を形成する際には、その重合反応又は架橋反応に伴う膜収縮や、電荷輸送構造と連鎖重合性基周辺の構造の凝集が起きると考えられる。よって、繰り返し使用で電子写真感光体表面が機械的負荷を受けると、膜自体が摩耗したり、分子中の化学構造が切断されたりして、膜収縮や凝集状態が変化し、電子写真感光体としての電気特性が変化し、画質劣化を引き起こしてしまうと考えられる。
一方、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、連鎖重合性基としてスチレン骨格を有していることから、電荷輸送材料の主骨格であるアリール基と相溶性が良く、膜収縮や重合反応又は架橋反応による電荷輸送構造、連鎖重合性基周辺構造の凝集が抑制されると考えられる。その結果、一般式(I−c)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)を持つ電子写真感光体は、繰り返し使用による画質劣化が抑制されると考えられる。
加えて、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、電荷輸送性骨格とスチレン骨格を、−C(=O)−、−N(R)−、−S−など特定の基を含む連結基を介して連結することにより、特定の基と電荷輸送性骨格中の窒素原子との間や、特定の基同士の相互作用等が生じると考えられる、その結果、一般式(I−c)で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、強度がさらに向上すると考えられる。
以上から、一般式(I−c)で示される反応性化合物を適用すると、繰り返し使用しても表面にキズが発生しにくく、かつ画質劣化が抑制され易くなると考えられる。
なお、−C(=O)−、−N(R)−、−S−など特定の基は、その極性や親水性に起因し、電荷輸送性や高湿条件下における画質劣化を引き起こす要因となるが、一般式(I−c)で示される反応性化合物は、連鎖重合性基として(メタ)アクリルなどよりも疎水性の高いスチレン骨格を有してるため、電荷輸送性悪化や前サイクルの履歴による残像現象(ゴースト)等の画質劣化が生じ難いと考えられる。
一般式(I−c)中、Arc1〜Arc4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arc5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dcは、下記一般式(IA−c)で示される基を示す。cc1〜cc5は、それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。ckは、0又は1を示す。但し、Dcの総数は、1以上8以下である。
一般式(IA−c)中、Lは、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び、−C(=O)−と−O−、−N(R)−又は−S−とを組み合わせた基からなる群より選択される1つ以上の基を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。
以下、一般式(I−c)の詳細を説明する。
一般式(I−c)中、Arc1〜Arc4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arc5は、ckが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Arc5は、ckが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Dcの総数は、より強度の高い保護層(最表面層)を得る観点から、好ましくは2以上であり、更に好ましくは4以上である。一般に、一分子中の連鎖重合性基の数が多すぎると、重合(架橋)反応が進むにつれ、分子が動きにくくなり連鎖重合反応性が低下し、未反応の連鎖重合性基の割合が増えてしまうことから、Dcの総数は、好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下である。
次に、一般式(IA−c)の詳細を説明する。
一般式(IA−c)中、Lで示される2価の連結基としては、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び、−C(=O)−と−O−、−N(R)−又は−S−とを組み合わせた基(以下、「特定連結基」と称する)を含む2価の連結基である。
ここで、特定連結基としては、保護層(最表面層)の強度と極性(親疎水性)のバランスの観点から、例えば、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(R)−、−C(=O)−S−、−O−C(=O)−O−、−O−C(=O)−N(R)−がよく、好ましくは−N(R)−、−S−、−C(=O)−O−、−C(=O)−N(H)−、−C(=O)−O−、より好ましくは−C(=O)−O−である。
そして、Lで示される2価の連結基としては、例えば、特定連結基と、飽和炭化水素(直鎖状、分枝状、環状いずれも含む)または芳香族炭化水素の残基と、酸素原子と、を組み合わせて形成される2価の連結基が挙げられ、これらの中でも、特定連結基と、直鎖状の飽和炭化水素の残基と、酸素原子と、を組み合わせて形成される2価の連結基がよい。
で示される2価の連結基に含まれる炭素原子の総数としては、分子中のスチレン骨格の密度と連鎖重合反応性の観点から、例えば、1以上20以下がよく、好ましくは2以上10以下である。
一般式(IA−c)中、Lで示される2価の連結基として具体的には、例えば、
*−(CHcp−C(=O)−O−(CHcq−、
*−(CHcp−O−C(=O)−(CHcr−C(=O)−O−(CHcq−、
*−(CHcp−C(=O)−N(R)−(CHcq−、
*−(CHcp−C(=O)−S−(CHcq−、
*−(CHcp−N(R)−(CHcq−、
*−(CHcp−S−(CHcq−、
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、cpは、0、又は1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。cqは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。crは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Arc1〜Arc5で示される基と連結する部位を示している。
これらの中でも、一般式(IA−c)中、Lで示される2価の連結基としては、*−(CHcp−C(=O)−O−CH−が好ましい。つまり、一般式(IA−c)で示される基は、下記一般式(IA−c1)で示される基であることが好ましい。但し、一般式(IA−c1)中、cp1は0以上4以下の整数を示す。
・一般式(I−d)で示される反応性化合物
一般式(I−d)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性電荷輸送材料として一般式(I−d)で示される反応性化合物を適用すると、保護層(最表面層)の摩耗が抑制される共に、画像の濃度ムラの発生が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、一般式(I−b)で示される反応性化合物と同様の理由によるものと考えられる。
特に、一般式(I−d)で示される反応性化合物は、一般式(I−b)に比べ、Ddの総数が3以上8以下と多いため、形成される架橋体がより高い架橋構造(架橋ネットワーク)が形成され易く、より保護層(最表面層)の摩耗が抑制され易くなると考えられる。
一般式(I−d)中、Ard1〜Ard4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ard5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Ddは、下記一般式(IA−d)で示される基を示す。dc1〜dc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。dkは、0又は1を示す。但し、Ddの総数は、3以上8以下である。
一般式(IA−d)中、Lは、*−(CHdn−O−で示される基を含み、*にてArd1〜Ard5で示されるに連結する2価の連結基を示す。dnは、1以上6以下の整数を示す。
以下、一般式(I−d)の詳細を説明する。
一般式(I−d)中、Ard1〜Ard4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ard5は、dkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ard5は、dkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Ddの総数は、より強度の高い保護層(最表面層)を得る観点から、好ましくは4以上である。
次に、一般式(IA−d)の詳細を説明する。
一般式(IA−d)中、Lで示される2価の連結基としては、例えば、
*−(CHdp−O−、
*−(CHdp−O−(CHdq−O−
等が挙げられる。
ここで、Lで示される連結基中、dpは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。dqは、1以上6以下(好ましくは1以上5以下)の整数を示す。
なお、Lで示される連結基中、「*」は、Ard1〜Ard5で示される基と連結する部位を示している。
・一般式(II−a)で示される反応性化合物
一般式(II−a)で示される反応性化合物について説明する。
特定の反応性電荷輸送材料として、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物を適用すると、長期に亘り繰り返し使用しても電気特性の劣化が抑制され易くなる。その理由は定かではないが、以下の通りと考えられる。
まず、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、電荷輸送性骨格から、1つの連結基を介して2つ又は3つの連鎖重合性の反応性基(スチレン基)を有する化合物である。
このため、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、高い硬化度、架橋部位数を保ちつつも、この連結基の存在により、重合又は架橋させた際に電荷輸送性骨格に歪みを発生させ難く、高い硬化度と優れた電荷輸送性能との両立が実現され易くなると考えられる。
また、従来用いられていた、(メタ)アクリル基を有する電荷輸送性化合物は、上記のようにひずみを生じやすい上に、反応性部位は親水性が高く、電荷輸送性部位は疎水性が高いため、微視的な相分離(ミクロ相分離)しやすいのに対し、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物は、スチレン基を反応性基として有しており、更に、硬化(架橋)させた際に電荷輸送性骨格に歪みを生じさせ難い連結基を有している構造であること、反応性部位、電荷輸送性部位ともに疎水性のため相分離が起きに難くなるため、効率的な電荷輸送性能と高強度化が図れると考えられる。その結果として、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物の重合体又は架橋体を含む保護層(最表面層)は、機械的強度に優れると共に、電荷輸送性能(電気特性)がより優れるものと考えられる。
以上から、一般式(II)(特に一般式(II−a))で示される反応性化合物を適用すると、長期に亘り繰り返し使用しても電気特性の劣化が抑制され易くなると考えられる。
一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4は、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ark5は、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示す。Dkは、下記一般式(IIA−a)で示される基を示す。kc1〜kc5は,それぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。kkは、0又は1を示す。但し、Dkの総数は、1以上8以下である。
一般式(IIA−a)中、Lは、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(kn+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。knは、2以上3以下の整数を示す。
以下、一般式(II−a)の詳細を説明する。
一般式(II−a)中、Ark1〜Ark4で示される置換若しくは未置換のアリール基は、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ark5は、kkが0のとき、置換若しくは未置換のアリール基を示し、この置換若しくは未置換のアリール基としては、一般式(I−a)中のAra1〜Ara4で示される置換若しくは未置換のアリール基と同様である。
Ark5は、kkが1のとき、置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、この置換若しくは未置換のアリーレン基としては、一般式(I−a)中のAra5及びAra6で示される置換若しくは未置換のアリーレン基と同様である。
Dkの総数は、より強度の高い保護層(最表面層)を得る観点から、好ましくは2以上であり、更に好ましくは4以上である。一般に、一分子中の連鎖重合性基の数が多すぎると、重合(架橋)反応が進むにつれ、分子が動きにくくなり連鎖重合反応性が低下し、未反応の連鎖重合性基の割合が増えてしまうことから、Dkの総数は、好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下である。
次に、一般式(IIA−a)の詳細を説明する。
一般式(IIA−a)中、Lで示される(kn+1)価の連結基としては、例えば、一般式(II)中、L’で示される(n+1)価の連結基と同様である。
以下に、特定の反応性電荷輸送材料の具体的を示す。
具体的には、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格F(例えば一般式(I−a)中のDaや一般式(II−a)のDkを除く骨格に相当する部位)の具体例、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基(例えば一般式(I−a)中のDaや一般式(II−a)のDkに相当する部位)の具体例と共に、一般式(I)及び(II)で示される反応性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
なお、一般式(I)及び(II)の電荷輸送性骨格Fの具体例の「*」部分は、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基の「*」部分が連結していることを意味する。
つまり、例えば、例示化合物(I−b)−1は、電荷輸送性骨格Fの具体例:(M1)−1、官能基の具体例:(R2)−1と示されているが、その具体的な構造は以下の構造を示す。
まず、電荷輸送性骨格Fの具体例を以下示す。



次に、電荷輸送性骨格Fに連結する官能基の具体例を示す。

次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−a)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−b)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−c)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(I)、具体的には一般式(I−d)で示される化合物の具体例を示す。
次に、一般式(II)、具体的には一般式(II−a)で示される化合物の具体例を示す。
特定の連鎖重合性電荷輸送材料(特に一般式(I)で示される連鎖重合性化合物)は、例えば、以下のようにして合成される。
即ち、特定の連鎖重合性電荷輸送材料は、前駆体であるカルボン酸、又は、アルコールと、対応するクロロメチルスチレンなどでのエーテル化などにより合成される。
特定の連鎖重合性電荷輸送材料の例示化合物(I−d)−22の合成経路を一例として以下に示す。
アリールアミン化合物カルボン酸は、アリールアミン化合物のエステル基を、例えば、実験化学講座、第4版、20巻、P.51などに記載されたように、塩基性触媒(NaOH、KCO等)、酸性触媒(例えばリン酸、硫酸等)を用いる加水分解により得られる。
この際、溶媒としては、種々のものが挙げられるが、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール系を用いるか、これに水を混合して用いることがよい。
さらに、アリールアミン化合物の溶解性が低い場合には、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、ジメチルスルホキシド、エーテル、テトラヒドロフランなどを加えてもよい。
溶媒の量は、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下で用いることがよい。
反応温度は、例えば、室温(例えば25℃)以上溶媒の沸点以下の範囲で設定され、反応速度の問題上、50度以上が好ましい。
触媒の量については、特に制限はないが、例えば、エステル基を含有するアリールアミン化合物1質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下、好ましくは0.01質量部以上0.5質量部以下で用いることがよい。
加水分解反応後、塩基性触媒で加水分解を行った場合には、生成した塩を酸(例えば塩酸等)で中和し、遊離させる。さらに、十分に水洗した後、乾燥して使用するか、必要によっては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトンなど、適当な溶媒により、再結晶精製を行った後、乾燥して使用してもよい。
アリールアミン化合物のアルコール体は、アリールアミン化合物のエステル基を、例えば、実験化学講座、第4版、20巻、P.10などに記載されたように、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウムなどを用いて対応するアルコールに還元して合成する。
例えば、エステル結合にて反応性基を導入する場合、アリールアミン化合物カルボン酸と、ヒドロキシメチルスチレンを酸触媒にて脱水縮合させる通常のエステル化や、アリールアミン化合物カルボン酸と、ハロゲン化メチルスチレンを、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用いて縮合させる方法が使用し得るが、ハロゲン化メチルスチレンを用いる方法が副生成物が抑制されることから好適である。
アリールアミン化合物カルボン酸の酸に対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、好ましくは、1.2当量以上、より好ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上2.0当量以下、好ましくは1.0当量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶媒などが有効であり、アリールアミン化合物カルボン酸の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶媒で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
また、エーテル結合にて導入する場合、アリールアミン化合物アルコールと、ハロゲン化メチルスチレンを、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用いて縮合させる方法が使用することがよい。
アリールアミン化合物アルコールのアルコールに対し、ハロゲン化メチルスチレンを1当量以上、好ましくは、1.2当量以上、より好ましくは1.5当量以上加えることがよく、塩基はハロゲン化メチルスチレンに対し0.8当量以上2.0当量以下、好ましくは、1.0当量以上1.5当量以下で用いることがよい。
溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、1ークロロナフタレンなどの芳香族系溶媒などが有効であり、アリールアミン化合物アルコールの1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いることがよい。
反応温度は特に制限はない。反応終了後、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチルなどの溶媒で抽出、水洗し、さらに、必要により活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などの吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
特定の連鎖重合性電荷輸送材料(特に一般式(II)で示される連鎖重合性化合物)は、例えば、以下に示す一般の電荷輸送材料の合成方法(ホルミル化、エステル化、エーテル化、水素添加)を利用して、合成される。
・ホルミル化:電子供与性基を持つ芳香族化合物・複素環化合物・アルケンにホルミル基を導入するのに適した反応。DMFとオキシ三塩化リンを用いるのが一般的であり、反応温度は室温(例えば25℃)から100℃程度で行われることが多い。
・エステル化:有機酸とアルコールまたはフェノールのようなヒドロキシル基を含む化合物との縮合反応。脱水剤を共存させたり、水を系外へ除去することで平衡をエステル側へ偏らせる手法を用いることが好ましい。
・エーテル化:アルコキシドと有機ハロゲン化合物を縮合させるウィリアムソン合成法が一般的である。
・水素添加:種々の触媒を用いて不飽和結合に水素を反応させる方法。
特定の連鎖重合性電荷輸送材料の含有量は、例えば、層形成のための組成物中の全固形分に対して40質量%以上95質量%以下がよく、好ましくは50質量%以上95質量%以下である。
−樹脂粒子−
保護層(最表面層)を構成する膜は、樹脂粒子を含有してもよい。
樹脂粒子としては、例えば、ビスフェノールAタイプ又はビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂の粒子、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン-アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂の粒子、及びポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーの粒子等が挙げられる。
これらの樹脂粒子は、中空粒子であってもよい。
また、樹脂粒子は、これらの樹脂を単独又は2種以上混合して用いてもよい。
保護層(最表面層)を構成する膜は、樹脂粒子として、フッ素含有樹脂粒子を含有してもよい。
フッ素含有樹脂粒子としては、フルオロオレフィンのホモポリマーや、2種以上の共重合体であって、フルオロオレフィンの1種又は2種以上と非フッ素系のモノマーとの共重合体の粒子が挙げられる。
フルオロオレフィンとしては、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などのパーハロオレフィン、フッ化ビニリデン(VdF)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニルなどの非パーフルオロオレフィン等が挙げられ、VdF、TFE、CTFE、HFPなどが好ましい。
一方、非フッ素系のモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテンなどのハイドロカーボン系オレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル(POEAE)、エチルアリルエーテルなどのアルケニルビニルエーテル、ビニルトリメトキシシラン(VSi)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどの反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのメタクリル酸エステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、「ベオバ」(商品名、シェル社製のビニルエステル)などのビニルエステルなどが挙げられ、アルキルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ビニルエステル、反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物が好ましい。
これらのうち、フッ素化率の高いものが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが好ましい。これらのうちでも、PTFE、FEP、PFAが特に好ましい。
フッ素含有樹脂粒子は、例えばフッ素系単量体を乳化重合などの方法で製造した粒子(フッ素樹脂水性分散液)をそのまま使用してもよく、十分に水洗した後に乾燥したものを使用してもよい。
フッ素含有樹脂粒子の平均粒子径としては0.01μm以上100μm以下が好ましく、特に0.03μm以上5μm以下であることが好ましい。
尚、上記フッ素含有樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)を用いて測定した値をいう。
フッ素含有樹脂粒子は、市販で入手したものを用いてもよく、例えばPTFE粒子としては、フルオンL173JE(旭ガラス社製)、ダニイオンTHV−221AZ、ダニイオン9205(住友3M社製)、ルブロンL2、ルブロンL5(ダイキン社製)などが挙げられる。
フッ素含有樹脂粒子は、紫外領域の発振波長を有するレーザー光を照射されたものであってもよい。フッ素含有樹脂粒子に照射されるレーザー光については特に限定されるものではなく、例えば、エキシマレーザー等が挙げられる。エキシマレーザー光としては、波長が400nm以下、特に193nm以上308nm以下の紫外レーザー光が好適である。特に、KrFエキシマレーザー光(波長:248nm)およびArFエキシマレーザー光(波長:193nm)等が好ましい。エキシマレーザー光照射は、通常、室温(25℃)大気中で行うが、酸素雰囲気中で行ってもよい。
また、エキシマレーザー光の照射条件は、フッ素樹脂の種類および求められる表面改質の程度によって左右されるが、一般的な照射条件は次の通りである。
フルエンス:50mJ/cm/パルス以上
入射エネルギー:0.1J/cm以上
ショット数:100以下
特に好適なKrFエキシマレーザー光およびArFエキシマレーザー光の常用される照射条件は次の通りである。
KrF
フルエンス:100mJ/cm/パルス以上500mJ/cm/パルス以下
入射エネルギー:0.2J/cm以上2.0J/cm以下
ショット数:1以上20以下
ArF
フルエンス:50mJ/cm/パルス以上150mJ/cm/パルス以下
入射エネルギー:0.1J/cm以上1.0J/cm以下
ショット数:1以上20以下
フッ素含有樹脂粒子の含有量は、保護層(最表面層)の固形分全量に対して1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。
−フッ素含有分散剤−
保護層(最表面層)を構成する膜は、フッ素含有樹脂粒子と共に、フッ素含有分散剤を含有してもよい。
フッ素含有分散剤は、フッ素含有樹脂粒子を保護層(最表面層)中に分散させるために用いられるものであるため、界面活性作用を有していることが好ましく、つまり分子内に親水基と疎水基とを持つ物質であることがよい。
フッ素含有分散剤としては、以下の反応性の単量体を重合した樹脂(以下「特定樹脂」と称する。)が挙げられる。具体的には、パーフルオロアルキル基を有するアクリレートと、フッ素を有さないモノマーと、のランダム又はブロック共重合体、メタクリレートホモポリマーおよび前記パーフルオロアルキル基を有するアクリレートと、前記フッ素を有さないモノマーと、のランダム又はブロック共重合体、メタクリレートと、前記フッ素を有さないモノマーと、のランダム又はブロック共重合体が挙げられる。尚、パーフルオロアルキル基を有するアクリレートとしては、例えば2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレートが挙げられる。
また、フッ素を有さないモノマーとしては、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレートが挙げられる。また、米国特許5637142号明細書、特許第4251662号公報などに開示されたブロック又はブランチポリマーなどが挙げられる。またその他に、フッ素系界面活性剤が挙げられる。フッ素系界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−611、サーフロンS−385(AGCセイミケミカル社製)、フタージェント730FL、フタージェント750FL(ネオス社製)、PF−636、PF−6520(北村化学社製)、メガファックEXP,TF−1507、メガファックEXP、TF−1535(DIC社製)、FC−4430、FC−4432(3M社製)などが挙げられる。
なお、特定樹脂の重量平均分子量は100以上50000以下が好ましい。
フッ素含有分散剤の含有量は、保護層(最表面層)の固形分全量に対して0.1質量%以上1質量%以下が好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下がさらに好ましい。
フッ素含有分散剤をフッ素含有樹脂粒子の表面に付着させる方法としては、フッ素含有分散剤を直接フッ素含有樹脂粒子の表面に付着させてもよいし、まず上記の単量体をフッ素含有樹脂粒子の表面に吸着させた後に重合を行なって、フッ素含有樹脂粒子の表面に前記特定樹脂を形成させてもよい。
フッ素含有分散剤は、他の界面活性剤と併用してもよい。但し、その量としては極力少ないことがよく、他の界面活性剤の含有量は、フッ素含有樹脂粒子1質量部に対し、0質量部以上0.1質量部以下がよく、好ましくは0質量部以上0.05質量部以下、より好ましくは0質量部以上0.03質量部以下である。
他の界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤がよく、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、グリセリンエステル類、フッ素系界面活性剤およびその誘導体などが挙げられる。
ポリオキシエチレン類の具体例としては、例えばエマルゲン707(花王社製)、ナロアクティーCL−70、ナロアクティーCL−85(三洋化成工業社製)、レオコールTD−120(ライオン社製)などが挙げられる。
−不飽和結合を有する化合物−
保護層(最表面層)を構成する膜は、不飽和結合を有する化合物を併用してもよい。
不飽和結合を有する化合物としては、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。また、不飽和結合を有する化合物としては、電荷輸送性骨格を有さないものが挙げられる。
不飽和結合を有する化合物として、電荷輸送性骨格を有さないものとしては以下のようなものが挙げられる。
1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo−フェニルフェノールアクリレート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレン、などが挙げられる。
2官能のモノマーは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられる。
3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、不飽和結合を有する化合物のうち、ポリマーとしては、例えば、特開平5−216249号公報、特開平5−323630号公報、特開平11―52603号公報、特開2000−264961号公報、特開2005−2291号公報などに開示されたものが挙げられる。
電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物を用いる場合には、単独又は2種以上の混合物として使用される。
電荷輸送成分を有さない不飽和結合を有する化合物の含有量は、保護層(最表面層)を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して、例えば、好ましくは60質量%以下がよく、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
−非反応性の電荷輸送材料−
保護層(最表面層)を構成する膜は、非反応性の電荷輸送材料を併用してもよい。非反応性の電荷輸送材料は、反応性基を有さないため、非反応性の電荷輸送材料を保護層(最表面層)に用いた場合には電荷輸送成分の濃度が高まり、電気特性を更に改善するのに有効である。また、非反応性の電荷輸送材料を添加して架橋密度を減じ、強度を調整してもよい。
非反応性の電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送材料を用いてもよく、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等が用いられる。
中でも、電荷移動度、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが好ましい。
非反応性の電荷輸送材料は、層形成のための塗布液中の全固形分に対して0質量%以上30質量%以下で用いられることが好ましく、より好ましくは1質量%以上25質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上25質量%以下である。
−その他の添加剤−
保護層(最表面層)を構成する膜は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤と混合して用いてもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−8239(以上、信越化学工業社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤は任意の量で使用されるが、含フッ素化合物の量は、架橋膜の成膜性の観点から、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが好ましい。更に、特開2001−166510号公報などに開示されている反応性のフッ素化合物などを混合してもよい。
ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007−11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
保護層(最表面層)を構成する膜には、劣化防止剤を添加することが好ましい。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、又はヒンダードアミン系が好ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、イルガノックス1076、イルガノックス1010、イルガノックス1098、イルガノックス245、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス1076(以上、BASFジャパン社製)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744(以上、三共ライフテック社製)、チヌビン144、チヌビン622LD(以上、BASFジャパン社製)、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63(以上、アデカ社製)が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)が挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
保護層(最表面層)を構成する膜には、導電性粒子や、有機、無機粒子を添加してもよい。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、好ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、又はアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
保護層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、保護層の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。さらに、粒子を分散させるために公知の種々の分散材を用いてもよい。
保護層(最表面層)を構成する膜には、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
保護層(最表面層)を構成する膜には、塗膜の濡れ性改善のため、シリコーン含有オリゴマー、フッ素含有アクリルポリマー、シリコーン含有ポリマー等を添加してもよい。
保護層(最表面層)を構成する膜には、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属を樹脂の粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。
−組成物−
保護層を形成するために用いる組成物は、各成分を溶媒中に溶解又は分散してなる保護層形成用塗布液として調製されることが好ましい。
ここで、保護層形成用塗布液の溶媒は、電荷輸送材料の溶解性、フッ素含有樹脂粒子の分散性、最表面層の表層側へのフッ素含有樹脂粒子の偏在を抑制する観点から、電荷輸送層の結着樹脂(特定ポリカーボネート共重合体)とのSP値(Feders法で算出した溶解度パラメータ)の差(絶対値)が2.0以上4.0以下(好ましくは2.5以上3.5以下)のケトン系溶媒またはエステル系溶媒を用いることがよい。
具体的には、保護層形成用塗布液の溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、エチルnブチルケトン、ジnプロピルケトン、メチルnアミルケトン、メチルnブチルケトン、ジエチルケトン、メチルnプロピルケトン等のケトン類; 酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸nブチル、イソ吉草酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸イソプロピル、プロピオン酸イソアミル、酪酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酢酸アリル等のエステル類等の単独溶媒又は混合溶媒が挙げられる。また、0質量%以上50質量%以下のエーテル系溶剤(例えばジエチルエーテル、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、アルキレングリコール系溶剤(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)を混合して用いてもよい。
保護層形成用塗布液中にフッ素含有樹脂粒子を分散させるための分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機を利用した分散方法が挙げられる。さらに、当該分散方法としては、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液 液衝突や液 壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などの分散方法も挙げられる。
なお、保護層形成用塗布液の調製方法については特に限定されるものではなく、電荷輸送材料とフッ素含有樹脂粒子とフッ素含有分散剤と必要に応じて溶媒等のその他の成分とを混合し、上述の分散機を用いて調製してもよいし、フッ素含有樹脂粒子とフッ素含有分散剤と溶媒とを含む混合液A及び少なくとも電荷輸送材料と溶媒とを含む混合液Bの2液を別々に準備した後に、これら混合液A及び混合液Bを混合することにより調製してもよい。フッ素含有樹脂粒子とフッ素含有分散剤とを溶媒中で混合することにより、フッ素含有樹脂粒子の表面にフッ素含有分散剤を付着され易くなる。
また、前述の成分を反応させて保護層形成用塗布液を得るときには、各成分を単純に混合、溶解させるだけでもよいが、好ましくは室温(20℃)以上100℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下で、好ましくは10分以上100時間以下、より好ましくは1時間以上50時間以下の条件で加温する。また、この際に超音波を照射することも好ましい。
−保護層の形成−
保護層形成用塗布液は、被塗布面(電荷輸送層)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線又は熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を硬化させる。
硬化の方法は、熱、光、放射線などが用いられる。熱、光で硬化を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒又は熱重合開始剤を用いてもよい。この光硬化触媒及び熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が好ましい。
・電子線硬化
電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より好ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が十分に行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が1000ppm、好ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、又は照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
・光硬化
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば600mW/cmのUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、又は照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
光硬化触媒として、分子内開裂型としては、ベンジルケタール系、アルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系、オキシム系などが挙げられる。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンが挙げられる。
また、アルキルフェノン系としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、アセトフェノン、2−フェニル−2−(p−トルエンスルフォニルオキシ)アセトフェノンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モリホニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられる。
水素引抜型としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンジル系、ミヒラーケトン系などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2−ベンゾイル安息香酸、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)−カンファーキノン、p−アニシルなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用られる。
・熱硬化
熱重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤又はその誘導体が挙げられ、具体的には、例えば、V−30、V−40、V−59、V601、V65、V−70、VF−096、VE−073、Vam−110、Vam−111(和光純薬工業製)、OTazo−15、OTazo−30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT−K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM−C55、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、ペルカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD−E85、パーカドックス12−XL25、パーカドックス12−EB20、トリゴノックス22−N70、トリゴノックス22−70E、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、カヤエステルCND−W50、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス23−W50N、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH−C70、カヤカルボンEH−W60、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(化薬アクゾ社製)、ルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)などが挙げられる。
これらのうち、分子量250以上のアゾ系重合開始剤を用いると、低い温度でムラなく反応が進行することから、ムラが抑制された高強度の膜の形成が図られる。より好適には、アゾ系重合開始剤の分子量は、250以上であり、300以上が更に好適である。
加熱は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下で行い、好ましくは50℃以上170℃以下、より好ましくは70℃以上150℃以下で、好ましくは10分以上120分以下、より好ましくは15分以上100分以下加熱する。
光硬化触媒又は熱重合開始剤の総含有量は、層形成のための溶解液中の全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、更には0.1質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下の範囲が特に好ましい。
なお、本実施態様では、反応が早く進行しすぎると架橋により塗膜の構造緩和ができ難くなり、膜のムラやシワを発生しやすくなるといった理由から、ラジカルの発生が比較的ゆっくりと起こる熱による硬化方法が採用される。
特に、特定の連鎖重合性電荷輸送材料と熱による硬化とを組み合わせることで、塗膜の構造緩和の促進が図られ、表面性状に優れた高い保護層(最表面層)が得られ易くなる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは3μm以上40μm以下、より好ましくは5μm以上35μm以下、更に好ましくは7μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
以上、図1に示される電子写真感光体を参照し、機能分離型の感光層における各層の構成を説明したが、図2に示される機能分離型の電子写真感光体における各層においてもこの構成が採用しうる。また、図3に示される電子写真感光体の単層型感光層の場合、以下の態様であることが好ましい。
即ち、単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含んで構成されることがよい。なお、これら材料は、電荷発生材料及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
なお、本実施形態に係る電子写真感光体では、最表面層が保護層である形態を説明したが、保護層がない層構成であってもよい。
保護層がない層構成の場合、図1に示される電子写真感光体では、その層構成において最表面に位置する電荷輸送層が最表面層となる。そして、当該最表面層となる電荷輸送層が、上記特定の組成物の硬化膜で構成される。
また、保護層がない層構成の場合、図3に示される電子写真感光体では、その層構成において最表面に位置する単層型感光層が最表面層となる。そして、当該最表面層となる単層型感光層が、上記特定の組成物の硬化膜で構成される。但し、上記組成物には、電荷発生材料が配合される。
−帯電装置−
帯電装置8としては、電子写真感光体7の表面に接触又は近接して配置され、電子写真感光体の表面を帯電する帯電装置が採用される。ここで、帯電装置8を近接して配置するとは、例えば、帯電装置8(その導電性部材(帯電部材))を電子写真感光体7の表面から1μm以上200μm以下の範囲で離間して配置することを示す。
帯電装置8として具体的には、帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等の導電性又は半導電性部材を電子写真感光体7の表面に接触して設ける接触型帯電器、前記導電性又は半導電性部材を電子写真感光体7の表面と離間して設ける近接型帯電器が挙げられる。
−露光装置−
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
−現像装置−
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
ここで、現像装置に収容される現像剤は、トナー粒子と、脂肪酸金属塩粒子を含む。脂肪酸金属塩粒子は、外添剤として現像剤に含む。
次に、トナー粒子の構成について説明する。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂を含む。トナー粒子は、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤とを含んでもよい。
・結着樹脂
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
・着色剤
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
・離型剤
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K−1987−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
・その他の添加剤
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
・トナー粒子の特性等
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンー・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の形状係数SF1としては、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
なお、形状係数SF1は、下記式により求められる。
式:SF1=(ML/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
・外添剤
外添剤は、脂肪酸金属塩粒子を含む。外添剤は、脂肪酸金属塩粒子以外にも、画像の濃度ムラ抑制の点から、無機研磨剤粒子、無機潤滑剤粒子等、その他の外添剤を含んでもよい。
脂肪酸金属塩粒子としては、例えば、脂肪酸(例えばステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラウリン酸、その他有機酸等の脂肪酸)と、金属(例えばカルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、その他金属(Na、Li等))との金属塩の粒子が挙げられる。
脂肪酸金属塩粒子として具体的には、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉛、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等の粒子が挙げられる。
脂肪酸金属塩粒子は、これらの中でも、潤滑性、疎水性、及び電子写真感光体への濡れ性と共に、画像の濃度ムラ抑制の点から、ステアリン酸亜鉛の粒子が好ましい。
なお、脂肪酸金属塩粒子は、複数種の脂肪酸金属塩の混合粒子であってもよい。また、脂肪酸金属塩粒子は、脂肪酸金属塩と他の成分とを含む粒子であってもよい。他の成分としては、例えば、高級脂肪酸アルコール等が挙げられる。ただし、脂肪酸金属塩粒子には、脂肪酸金属塩を10質量%以上含む。
脂肪酸金属塩粒子の体積基準によるメディアン径は、画像の濃度ムラ抑制の点から、0.1μm以上10.0μm以下が好ましく、0.2μm以上10.0μm以下がより好ましく、0.2μm以上8.0μm以下が更に好ましい。
脂肪酸金属塩粒子の体積基準によるメディアン径は、次に示す方法により測定される値である。測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows(登録商標) WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
無機研磨剤粒子は、感光体の表面を研磨する機能を有する無機粒子である。
無機研磨剤粒子としては、無機酸化物、窒化物、ホウ化物、炭酸塩等の周知の研磨剤の粒子が挙げられる。無機研磨剤粒子として具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の粒子が挙げられる。
これらの中でも、無機研磨剤粒子としては、研磨性、入手性、及びコストと共に、画像の濃度ムラ抑制の点から、酸化セリウムの粒子、およびチタン酸ストロンチウムの粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子(特に、チタン酸ストリンチウム)が好ましい。
なお、無機研磨剤粒子は、疎水化処理剤により表面に疎水化処理が施されていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤;3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(N−ビニルベンジルアミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;シリコーンオイル;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩;等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
無機研磨剤粒子の体積基準によるメディアン径は、画像の濃度ムラ抑制の点から、0.1μm以上10.0μm以下が好ましく、1.0μm以上10.0μm以下がより好ましく、2.0μm以上8.0μm以下が更に好ましい。
無機研磨剤粒子の体積基準によるメディアン径は、脂肪酸金属塩粒子のメディアン径と同様に測定された値である。
無機潤滑剤粒子としては、物質自身がへき開して潤滑する機能を持つ粒子、又は、内部滑りを起こす粒子が挙げられる。無機潤滑剤粒子として具体的には、雲母、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、滑石、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイト等の粒子が挙げられる。
これらの中でも、無機潤滑剤粒子としては、潤滑性と共に、画像の濃度ムラ抑制の点から、窒化ホウ素の粒子が好ましい。
無機潤滑剤粒子の体積平均粒径は、画像の濃度ムラ抑制の点から、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上10μm以下がより好ましく、0.2μm以上8μm以下が更に好ましい。
無機潤滑剤粒子の体積平均粒径は、無機潤滑剤粒子の一次粒子100個を、SEM(Scanning Electron Microscope)装置により観察し、一次粒子の画像解析によって得られた円相当径の累積頻度における50%径(D50v)であり、この方法にて測定される。
他の外添剤としては、例えば、体積平均粒径5nm以上100nm未満(好ましくは5nm以上80nm以下)の無機粒子が挙げられる。この無機粒子は、トナー流動性及び帯電性向上の目的で、トナー粒子に外添する。なお、この無機粒子の体積平均粒径は、無機潤滑剤粒子の体積平均粒径と同様の方法で測定される値である。
この無機粒子としては、例えば、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
この無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
他の外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
他の外添剤としては、脂肪酸金属塩の粒子および無機潤滑剤粒子以外の滑性剤の粒子も挙げられる。滑性剤の粒子としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系又は石油系ワックス;それらの変性物等の粒子が挙げられる。
・トナーの製造方法
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
・キャリア
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
−クリーニング装置−
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。そして、クリーニングブレード131は、ブレード角度120°以上160°以下のドクター方式で、且つブレード先端部を重力方向下方側に向けて配置されている。
具体的には、クリーニングブレード131は、例えば、ブレード角度が120°以上160°以下となり、ブレード先端部が電子写真感光体7の回転方向に対して逆方向側、かつ水平方向よりも重力方向の下側に向いた状態で、電子写真感光体12の表面に少なくとも先端部の角部が接触するように配置されている。
なお、クリーニングブレード131は、ブレード先端部を重力方向下方側に向けて配置された態様を示しているが、ブレード先端部を重力方向上方側に向けて配置された態様(ブレード先端部が水平方向よりも重力方向の上側に向いた状態で配置された態様)であってもよい。
ブレード角度(電子写真感光体7におけるクリーニングブレード131の先端部が接触する位置での接線と、クリーニングブレード131の先端部の端面のうち電子写真感光体7とは反対側に位置する端面との成す角度)は、画像の濃度ムラを抑制する点から、120°以上160°以下が好ましく、120°以上140°以下がより好ましい。
ここで、ブレード角度(電子写真感光体7におけるクリーニングブレード131の先端部が接触する位置での接線と、クリーニングブレード131の先端部の端面のうち電子写真感光体7とは反対側に位置する端面との成す角度)とは、具体的には次の通りである。まず、電子写真感光体7を軸方向から見たとき、図7に示すように、電子写真感光体7とクリーニングブレード131とが接触する領域のうち、最も電子写真感光体7の回転方向下流側の縁の位置Pと電子写真感光体7の中心軸とを結ぶ直線に直交する直線であって、位置Pを通る直線R1を「電子写真感光体7におけるクリーニングブレード131の先端部が接触する位置での接線」とする。一方、クリーニングブレード131の先端部が電子写真感光体7に接触した状態で、電子写真感光体7と接触しない側におけるクリーニングブレード131の先端部の端面S(平坦面となる領域)を「クリーニングブレード131の先端部の端面のうち電子写真感光体7とは反対側に位置する端面」とする。直線R1と端面Sを通る直線R2とが成す角度θを「ブレード角度」とする。
ブレード角度を上記範囲にするためには、例えば、電子写真感光体7に対するクリーニングブレード131の押し付け圧(接触圧)を調整することがよい。
例えば、クリーニングブレード131の押し付け圧は、好ましくは29mN/mm以上39mN/mm以下(3.0gf/mm以上4.0gf/mm以下)、より好ましくは33mN/mm以上34mN/mm以下(3.3gf/mm以上3.8gf/mm以下)に設定することがよい。
ブレード角度を上記範囲にするために、クリーニングブレード131の押し付け圧を上げても、電子写真感光体7の表面への脂肪酸金属塩の被膜の形成及び除去が均衡して実現されるため、電子写真感光体7とクリーニングブレード131との摩擦の上昇が抑えられる。
また、クリーニングブレード131の先端部を傾斜するように成形又は切断して、ブレード角度を調整してもよい。
クリーニングブレード131は、耐磨耗性、耐へたり性(耐永久変形性)、及び耐欠け性を向上する点から、電子写真感光体7の表面と接触する第一部位と、それ以外の第二部位と、を有し、第一層の材料が、下式(1)〜(3)を満たすことが好ましい。
・式(1) 3.92≦M≦29.42
・式(2) 0<α≦0.294
・式(3) S≧250
〔但し、式(1)〜(3)中、Mは100%モジュラス(MPa)を表し、αは、応力−歪曲線において、歪量が100%以上200%以下における歪量変化(Δ歪量)に対する応力変化(Δ応力)の割合{Δ応力/Δ歪量=(歪量200%における応力−歪量100%における応力)/(200−100)}(MPa/%)を表し、Sは、JIS K6251(ダンベル状3号形試験片使用)に基づいて測定された破断伸び(%)を表す。〕
式(1)に示す100%モジュラスMは、JISK6251(1993年)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力より求められる。なお、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
一方、式(2)に示すαは、応力−歪曲線から求められるものである。応力および歪量は以下に説明する手順・方法により求められる。すなわち、JISK6251(1993年)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を用い、引張速度500mm/minで計測し、100%歪み時の応力と200%歪み時の応力より求められる。なお、測定装置は、東洋精機(株)製、ストログラフAEエラストマを用いた。
ここで、クリーニングブレード131は、1)電子写真感光体7の表面に接触する第一層(第一部位の一例)と第一層の背面に背面層としての第二層(第二部位の一例)を設けた積層構成、2)電子写真感光体7の表面に接触するブレード角部に配置される接触部(第一部位の一例)と接触部を支持する支持部(第二部位の一例)とを有する構成が挙げられる。なお、背面層としての第二層は、単層構成であってもよいし、2層以上の複層構成であってもよい。
以下、第一層と背面層としての第二層(単層)とからなる2層構成のクリーニングブレード131を取り上げて、詳細に説明する。
・第一層
第一層の材料が式(1)を満たすと、良好なクリーニング性を発揮しつつ、耐磨耗性が高まり易くなる。100%モジュラスMは、5MPa以上20MPa以下の範囲内であることが好ましく、6.5MPa以上15MPa以下の範囲内であることがより好ましい。
第一層の材料が式(2)および式(3)を満たすと、耐欠け性が高まり易くなる。
なお、αは0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましく、物性上の限界下限値である0に近ければ近いほどよい。
破断伸びSは300%以上であることが好ましく、350%以上であることがより好ましい。一方、破断伸びSは、耐摩耗性の観点から、500%以下であることが好ましく、450%以下であることがより好ましく、400%以下であることが更に好ましい。
第一層の材料のガラス転移温度Tgは、クリーニングブレード131の接触圧の安定性の点から、装置の使用環境温度の下限値(例えば10℃)以下であることが好ましい。
第一層の材料のガラス転移温度は、粘弾性測定装置により温度分散を測定し、tanδ(損失正接)のピーク温度として求められる。
ここで、tanδ値は、以下に説明する貯蔵及び損失弾性率から導かれるものである。線形弾性体に、正弦波の歪みを定常振動的に与えたとき、応力は式(4)で表される。|E*|は複素弾性率と呼ばれる。また、レオロジー学の理論より、弾性体成分は式(5)、及び粘性体成分は式(6)で表される。ここで、E’は貯蔵弾性率、E''は損失弾性率と呼ばれる。δは応力と歪みとの位相差角を表し、“力学的損失角”と呼ばれるものである。
tanδ値は、式(7)の様にE''/E’で表され、“損失正弦”と呼ばれるものであり、その値が大きい程、その線形弾性体は、ゴム弾性を有するものとなる。
式(4) σ=|E*|γcos(ωt)
式(5) E’=|E*|cosδ
式(6) E”=|E*|sinδ
式(7) tanδ=E”/E’
tanδ値は、レオペクトラ−DVE−V4(レオロジ−(株)製)によって静止歪み5%、10Hz 正弦波引張加振を温度範囲−60℃以上100℃以下で測定した。
第一層の材料の反発弾性Rは、使用環境温度の実質的な下限値である温度10℃以上の環境下において、反発弾性Rは、10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。第一層の材料の反発弾性Rを10%以上とすると、スティック&スリップ挙動(電子写真感光体7の表面に対する第一層の付着及び滑りの繰り返しによって引き起こされる微視的な自励振動現象)が生じ易くなり、第一層の可塑変形が生じ難くなる。これにより、第一層と電子写真感光体7との密着性が向上し、クリーニング不良の発生が抑制され易くなる。反発弾性Rは、JISK6255(1996年)に準じて測定された値である。
次に、式(1)〜(3)を満たす材料について説明する。
式(1)〜(3)を満たす材料は、エラストマー材料であれば特に限定されないが、ハードセグメントおよびソフトセグメントを含むエラストマー材料であることが特に好ましい。エラストマー材料が、ハードセグメントおよびソフトセグメントの双方を含むことにより、式(1)〜(3)に示す物性を満たすことが容易となり、耐磨耗性および耐欠け性の双方を、より高いレベルで両立し得るためである。
なお、「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」とは、エラストマー材料中で、前者を構成する材料の方が、後者を構成する材料よりも相対的に硬い材料からなり、後者を構成する材料の方が前者を構成する材料よりも相対的に柔らかい材料からなるセグメントを意味する。
ここで、ハードセグメントおよびソフトセグメントを含むエラストマー材料のガラス転移温度は、−50℃以上30℃以下の範囲内であることが好ましく、−30℃以上10℃以下の範囲内であることが好ましい。ガラス転移温度が30℃以下であると、クリーニングブレードを使用する実用温度域において脆化の発生が抑制され易くなる。また、ガラス転移温度が−50℃以上であると、実使用領域において十分な硬度、応力が得られ易くなる。
したがって、上記範囲のガラス転移温度を実現するためには、エラストマー材料のハードセグメントを構成する材料(以下、「ハードセグメント材料」と称す場合がある)のガラス転移温度は、30℃以上100℃以下の範囲内であることが好ましく、35℃以上60℃以下の範囲内であることがより好ましい。一方、ソフトセグメントを構成する材料(以下、「ソフトセグメント材料」と称す場合がある)のガラス転移温度は、−100℃以上−50℃以下の範囲内であることが好ましく、−90℃以上−60℃以下の範囲内であることがより好ましい。
また、上記範囲のガラス転移温度を有するハードセグメント材料およびソフトセグメント材料を用いる場合、ハードセグメント材料およびソフトセグメント材料の総量に対するハードセグメントを構成する材料の質量比(以下、「ハードセグメント材料比」と称す場合がある)が46質量%以上96質量%以下の範囲内であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下の範囲内であることがより好ましく、60質量%以上85質量%以下の範囲内であることが更に好ましい。
ハードセグメント材料比が、46質量%以上であると、第一層先端の耐磨耗性が確保され、磨耗の発生が抑制され易くなる。これにより、長期に渡って良好なクリーニング性が維持され易くなる。また、ハードセグメント材料比が96質量%以下であると、第一層先端が硬くなり過ぎず、柔軟性及び伸張性が得られ易くなる。これにより、欠けの発生が抑制され、長期に渡って良好なクリーニング性が維持され易くなる。
ハードセグメント材料とソフトセグメント材料との組み合わせとしては、特に限定されず、一方が他方に対して相対的に硬く、他方が一方に対して相対的に柔らかい組み合わせとなるように公知の樹脂材料から選択されるが、以下の組み合わせが好適である。
すなわち、ハードセグメント材料としては、ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。この場合のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、1000以上4000以下の範囲内であることが好ましく、1500以上3500以下の範囲内であることがより好ましい。
重量平均分子量が1000以上にすると、クリーニングブレード131が低温環境下で使用される場合にハードセグメントを構成するポリウレタン樹脂の弾性が失われ難くなる。これにより、クリーニング不良が抑制され易くなる。また、重量平均分子量が4000以下にすると、ハードセグメントを構成するポリウレタン樹脂の永久歪みが過剰に大きくなり難くなる。これにより、第一層先端が電子写真感光体7に対して接触圧力を保持し得るため、クリーニング不良が抑制され易くなる。
なお、ハードセグメント材料として用いられるポリウレタン樹脂としては、例えば、ダイセル社製、プラクセル205やプラクセル240などが挙げられる。
−転写装置−
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
−中間転写体−
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
なお、以上説明した本実施形態に係る画像形成装置(プロセスカートリッジ)は、上記構成に限られず、周知の構成を適用してもよい。
以下実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りがない場合、「部」及び「%」は各々「質量部」及び「質量%」を示す。
<感光体の作製>
[感光体(1)]
−下引層の作製−
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製):13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業社製)15質量部とをメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン:25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):40質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。
導電性基体として直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmの円筒状アルミニウム基体を準備し、得られた下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にて、円筒状アルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、厚さ18.7μmの下引層を得た。
−電荷発生層の作製−
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn−酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、及びメチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用塗布液を得た。
得られた電荷発生層形成用塗布液を先に円筒状アルミニウム基体に形成した下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の作製−
まず、次のようにして、ポリカーボネート共重合体(1)を得た。
ホスゲン吹込管、温度計及び攪拌機を備えたフラスコに窒素雰囲気下にて1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「Z」と称する)106.9g(0.398モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(以下「BP」と称する)24.7g(0.133モル)、ハイドロサルファイト0.41g、9.1%水酸化ナトリウム水溶液825ml(水酸化ナトリウム2.018モル)、塩化メチレン500mlを仕込んで溶解し、攪拌下18℃以上21℃以下の範囲に保持し、ホスゲン76.2g(0.770モル)を75分要して吹込みホスゲン化反応させた。ホスゲン化反応終了後p−tert−ブチルフェノール1.11g(0.0075モル)および25%水酸化ナトリウム水溶液54ml(水酸化ナトリウム0.266モル)を加え撹拌し、途中トリエチルアミン0.18mL(0.0013モル)を添加し、30℃以上35℃以下の温度で2.5時間反応させた。分離した塩化メチレン相を無機塩類及びアミン類がなくなるまで酸洗浄及び水洗した後、塩化メチレンを除去してポリカーボネート共重合体(1)を得た。このポリカーボネートは、ZとBPとの構成単位の比がモル比で75:25であった。
次に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)25質量部、下記構造式(A)で示される化合物20質量部、及び結着樹脂としてポリカーボネート共重合体(1)(粘度平均分子量:5万)55質量部をテトラヒドロフラン560質量部、トルエン240質量部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、135℃、45分の乾燥を行って膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
−保護層の作製−
電荷輸送材料(連鎖重合性電荷輸送材料)として例示化合物(I−d)−28、100質量部と、重合開始剤のVE−073(和光純薬工業(株)製)2質量部と、酢酸イソブチル300質量部を混合し、室温で12時間撹拌撹拌混合して、保護層形成用塗布液を作成した。
次に、得られた保護層形成用塗布液を、先に円筒状アルミニウム基体上に形成した電荷輸送層上にリング塗布法によって、突き上げ速度180mm/minで塗布した。その後、酸素濃度計を有する窒素乾燥機にて、酸素濃度200ppm以下の状態で、温度160±5℃、時間60分の硬化反応を実施し、保護層を形成した。保護層の膜厚は10μmであった。
以上のようにして、感光体(1)を作製した。作製した感光体(1)を画像形成装置「富士ゼロックス社製(Docucentre−IV C2260)」に装着した。そして、画像形成装置により、図6に示す画像パターンを出力し、目的とする画像濃度の画像が得られることを確認する初期画質テストを実施した。
[感光体(2)〜(24)、感光体(C1)〜(C8)]
感光体(1)に記載の方法と同様にして、円筒状アルミニウム基体に下引層、電荷発生層、電荷輸送層を順次塗布により形成した。その後、表1に従って、保護層形成用塗布液の組成[電荷輸送材料(表中「CTM」と表記)の種類及び量、並びに、添加剤の種類及び量]、及び保護層の厚みを変更した以外は、感光体(1)と同様に、保護層を形成し、感光体(2)〜(24)、感光体(C1)〜(C8)を作製した。そして、感光体(1)と同様にして、初期画質テストを実施した。
<トナー粒子の作製>
[シアン色(C色)のトナー粒子(1)の作製]
−結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成−
加熱乾燥した3口フラスコに、エチレングリコール124質量部、5−スルホイソフタル酸ナトリウムジメチル22.2質量部、セバシン酸ジメチル213質量部、と触媒としてジブチル錫オキサイド0.3質量部を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間攪拌を行った。その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い4時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(1)220質量部を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(M)は19000であり、数平均分子量(M)は5800であった。
また、結晶性ポリエステル樹脂(1)の融点(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は70℃であった。
−樹脂分散液(1)の調製−
結晶性ポリエステル樹脂(1)150質量部を蒸留水850質量部中に入れ、80℃に加熱しながらホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクス)にて混合攪拌して、樹脂粒子分散液(1)を得た。次いで、フタロシアニン顔料250質量部(大日精化(株)製:PV FAST BLUE)、アニオン界面活性剤20質量部(第一工業製薬(株)社製:ネオゲンRK)、イオン交換水700質量部を混合し、溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラクス)を用いて分散し、着色剤(フタロシアニン顔料)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
−凝集粒子の調製―
樹脂粒子分散液(1)2400質量部、着色剤分散液(1)100質量部、離型剤粒子分散液63質量部、硫酸アルミニウム6質量部(和光純薬工業社製)、イオン交換水100質量部、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH2.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で60℃まで攪拌しながら加熱した。60℃で2時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約4.3μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に2時間、60℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が3.3μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
この凝集粒子液のpHは2.4であった。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を0.5質量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら75℃まで加熱し、3時間保持した。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより、シアン色のトナー粒子(1)を得た。得られたシアン色のトナー粒子トナーの融点は65℃であった。
得られたシアン色のトナー粒子(1)は、体積平均粒径=3.2μm、形状係数SF1=133であった。
[イエロー色(Y色)のトナー粒子(1)]
シアン色のトナー粒子(1)の作製において、フタロシアニン顔料の代わりにイエロ−アゾ顔料を使用した以外は、同様の処方で、イエロー色(Y色)のトナー粒子(1)を得た。
[マゼンタ色(M色)のトナー粒子(1)]
シアン色のトナー粒子(1)の作製において、フタロシアニン顔料の代わりにキナクリドン顔料を使用した以外は、同様の処方で、マゼンタ色(M色)のトナー粒子(1)を得た。
[ブラック色(K色)のトナー粒子(1)]
シアン色のトナー粒子(1)の作製において、フタロシアニン顔料の代わりにカーボンブラックを使用した以外は、同様の処方で、ブラック色(K色)のトナー粒子(1)を得た。
[各色のトナー粒子(2)]
4色の各トナー粒子(1)の作製において、平均粒径が約4.3μmである凝集粒子が形成されていることを確認した後、更に1時間、60℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、体積平均粒径が4.5μmである凝集粒子が形成されていることを確認した。
この凝集粒子液のpHは2.4であった。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)を0.5質量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら75℃まで加熱し、3時間保持した。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることによりトナー(2)を得た。得られたトナー粒子の融点は65℃であった。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより、トナー粒子(2)を得た。得られたトナー粒子(2)の融点は65℃であった。
得られたトナー粒子(2)は、体積平均粒径=4.5μm、形状係数SF1=133であった。
<現像剤の作製>
[現像剤1]
得られた4色の各トナー粒子(1)100質量部に、外添剤として、ヘキサメチルジシラザン処理したシリカ粒子(体積平均粒径40nm)0.5質量部と、メタチタン酸にイソブチルトリメトキシシラン50%処理後に焼成して得られたチタン化合物粒子(体積平均粒径30nm)0.7質量部と、脂肪酸金属塩粒子としてのステアリン酸亜鉛粒子(ニッサンエレクトールMZ−2、体積基準によるメディアン径1.5μm、日油社製)0.18質量部と、を75Lヘンシェルミキサーにて10分間混合し、その後、風力篩分機ハイボルター300(東洋ハイテック社製)にて篩分し、4色の各トナー(1)を各々作製した。
次に、フェライトコア100質量部に対して、弗化ビニリデン0.15質量部と、メチルメタアクリレート及びトリフロロエチレンの共重合体(重合比80:20)樹脂1.35質量部との混合物を用いて、ニーダー装置により、平均粒径50μmのフェライトコアに樹脂被覆(コーティング)を行って、キャリアを作製した。
そして、得られた4色の各トナー(1): 8質量部と、得られたキャリア 100質量部とを2リッターのVブレンダーで混合し、4色の現像剤を各々作製した。得られた4色の現像剤のセットを現像剤(1)とした。
[現像剤2]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子の量を0.18質量部から0.12質量部に変更した以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(2)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(2)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(2)を作製した。
[現像剤3]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子の量を0.18質量部から0.03質量部に変更した以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(3)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(3)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(3)を作製した。
[現像剤4]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子(ニッサンエレクトールMZ−2、体積基準によるメディアン径1.5μm、日油社製)に代えて、ステアリン酸亜鉛粒子(ジンクステアレートS、体積基準によるメディアン径12μm、日油社製)を用いた以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(4)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(4)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(4)を作製した。
[現像剤5]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子を加えなかった以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(5)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(5)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(5)を作製した。
[現像剤6]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子の量を0.18質量部から0.25質量部に変更した以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(6)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(6)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(6)を作製した。
[現像剤7]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子の量を0.18質量部から0.06質量部に変更した以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(7)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(7)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(7)を作製した。
[現像剤8]
4色の各トナー(1)の作製において、4色の各トナー粒子(1)をトナー粒子(2)に変更し、ステアリン酸亜鉛粒子の量を0.18質量部から0.12質量部に変更した以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(8)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(8)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(8)を作製した。
[現像剤9]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子(ニッサンエレクトールMZ−2、体積基準によるメディアン径1.5μm、日油社製)に代えて、ステアリン酸亜鉛粒子(ステアリン酸亜鉛FP、体積基準によるメディアン径5.5μm、日油社製)を用いた以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(9)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(1)に代えて、得られた4色の各トナー(9)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(9)を作製した。
[現像剤10]
4色の各トナー(1)の作製において、ステアリン酸亜鉛粒子(ニッサンエレクトールMZ−2、体積基準によるメディアン径1.5μm、日油社製)に代えて、ステアリン酸亜鉛粒子(ステアリン酸亜鉛FP、体積基準によるメディアン径5.5μm、日油社製)を用い、ステアリン酸亜鉛粒子の量を0.18質量部から0.005質量部に変更した以外は、4色の各トナー(1)と同様にして、4色の各トナー(10)を各々作製した。
そして、4色の各トナー(10)に代えて、得られた4色の各トナー(10)を用いた以外は、現像剤(1)と同様にして、現像剤(10)を作製した。
<クリーニングブレードの作製>
[クリーニングブレード(1)]
はじめに、第一層用の部材を以下のようにして形成した。
まず、ポリオール成分として、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル社製、プラクセル205、平均分子量529、水酸基価212KOHmg/g)及びポリカプロラクトンポリオール(ダイセル社製、プラクセル240、平均分子量4155、水酸基価27KOHmg/g)とからなるハードセグメント材料と、2つ以上のヒドロキシル基を含むアクリル樹脂(綜研化学社製、アクトフローUMB−2005B)からなるソフトセグメント材料とを、8:2(質量比)の割合で混合した。
次に、このハードセグメント材料とソフトセグメント材料との混合物100部に対して、イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、以下「MDI」という)を6.26部加えて、窒素雰囲気下で、70℃で3時間反応させた。なお、この反応で使用したイソシアネート化合物量は、反応系に含まれる水酸基に対するイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように選択したものである。
続いて、上記イソシアネート化合物を更に34.3部加え、窒素雰囲気下で、70℃で3時間反応させて、プレポリマーを得た。
なお、プレポリマーの使用に際して利用したイソシアネート化合物の全量は40.56部である。
次に、このプレポリマーを100℃に昇温し、減圧下で1時間脱泡した後、プレポリマー100部に対して、1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物(質量比=60/40)を7.14部加え、3分間泡を巻き込まないように充分に混合し、第一層形成用組成物A1を調製した。
次いで、140℃に金型を調整した遠心成形機に上記第一層形成用組成物A1を流し込み、1時間硬化反応させ、平板状の第一層を形成した。
一方、第二層用の部材として以下の方法により調製した第二層形成用組成物A1を準備した。
脱水処理したポリテトラメチレンエーテルグリコールに、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを混入し120℃で15分反応させ、生成したプレポリマーに硬化剤として1,4−ブタジオールおよびトリメチロールプロパンを併用したものを用いた。
次に、前述の通り第一層を平板状に形成した後の遠心成形機に、第二層形成用の組成物A1を流し込み、硬化させることによって行い、第一層の背面に第二層を形成した。
そして、得られた第一層の背面に第二層を形成した平板を110℃で24時間架橋後冷却し、目的とする寸法にカットして、第一層厚さ0.5mm、第二層厚さ1.5mm(全体の厚さに対するの厚さ割合25%)のクリーニングブレード(1)を得た。
なお、第一層単層での物性を測定したところ、次のとおりであった。
・100%モジュラスM=7.4MPa
・α=0.09(MPa/%)
・破断伸びS=535%
・反発弾性R=35%
・ガラス転移温度Tg=−8℃であった。
<実施例1〜27、比較例1〜7>
表1に従った組合せで、感光体、及び現像剤を、接触帯電方式の帯電装置を備えた画像形成装置(富士ゼロックス社製「Docucentre−IV C2260」)に装着した。そして、表1に示すブレード角度となるようにクリーニングブレード(1)を画像形成装置に装着した。この画像形成装置を実施例1〜26、比較例1〜8の画像形成装置とした。なお、富士ゼロックス社製「Docucentre−IV C2260」で本来設定されるブレード角度は60℃である。
<評価>
各例の画像形成装置により、図6に示す画像パターンをA4用紙に出力し、目的とする画像濃度の画像が得られることを確認する初期画質テストを実施した。
次に、図6に示す画像パターンをA4用紙に連続3枚出力するジョブパターンで、温度25℃、湿度60%RHの環境下で100,000枚(感光体280,000回転(サイクル:cycle)に相当)出力する出力テストを実施した。この画像パターンの出力は、A4用紙[富士ゼロックス製P紙]の短手方向搬送で実施した。
なお、図6に示す画像パターンは、記録媒体としてのA4用紙に、用紙横送り方向(短手方向)に沿って配列した4ドットラインと4ドットスペースの繰り返し細線画像で、用紙長手方向に沿って引かれた幅2mmの細線画像(この部分のみの画像濃度は50%)100Aを3本と、18mm×9mm四方の画像濃度100%のベタ画像100Bを6つと、18mm×9mm四方で、用紙長手方向に沿って配列した4ドットラインと4ドットスペースの繰り返し細線画像(この部分のみの画像濃度は50%)100Cを6つと、からなる画像パターンである。
図6に示す画像パターンにおいて、用紙長手方向に沿って引かれた幅2mmの3本の細線画像100Aの各間には、各々、ベタ画像100Bを3つ、細線画像100Cを3つ、等間隔で交互に配列した画像を形成する。
つまり、記録媒体としてのA4用紙には、細線画像100Aのみを有する画像濃度1.4%の第1の画像パターン101Aと、細線画像100Aおよびベタ画像100Bを有する画像濃度10%の第2の画像パターン101Bと、細線画像100Aおよび細線画像100Cを有する画像濃度5.7%の第3の画像パターン101Cからなる画像を形成する。
なお、各画像パターンの画像濃度とは、用紙送り方向(横送り方向(短手方向))における画像密度の平均値で示し、4ドットラインと4ドットスペースの繰り返し細線画像で、幅2mmの細線画像100Aのみを有する第1の画像パターンの部分は、紙幅210mmに対し画像濃度50%の部分が2mm×3本で(2×3×50%)/210=1.4%であり、同様に、細線画像100Aおよびベタ画像100Bを有する第2の画像パターン101Bの部分は{(2×3×50%)+(9×2×100%)}/210=10%であり、細線画像100Aおよび細線画像100Cを有する画像濃度5.7%の第3の画像パターン101Cの部分は{(2×3×50%)+(9×2×50%)}/210=5.7%と定義される濃度である。
出力テスト終了後に、1)感光体の電気特性(残留電位)の評価、2)感光体の耐傷性の評価、3)クリーニングブレードの摩耗断面積(μm)[ブレード摩耗]の評価、4)クリーニングブレードの欠けの評価、5)外添剤すり抜けの評価、6)画質(画像流れ、濃度ムラ)の評価を行った。
(感光体の電気特性)
感光体の電気特性は、除電した後の残留電位(Rp)を表面電位計(トレック社製、トレック334)を用いて、測定対象の領域に表面電位プローブを設けて(電子写真感光体の表面から1mm離れた位置)測定し、初期の残留電位と各環境50,000枚プリント後の残留電位との差(ΔRp)を算出した。そして、残留電位について、以下の評価基準で評価した。
A+: 20V未満
A : 20V以上50V未満
B : 50V以上80V未満
C : 80V以上
(感光体の耐傷性)
感光体の表面の傷発生度合いを以下のように評価した。A++が最も良好な特性であることを示す。
A+:目視でキズが確認されないが、顕微鏡観察で小さなキズが確認される。
A :目視でキズが若干確認される(実用上は問題ない)。
B :部分的にキズが発生。
C :全面にキズ発生。
(クリーニングブレードの摩耗断面積(ブレード摩耗))
クリーニングブレードが感光体に接する部分をレーザー顕微鏡にて観察し、摩耗断面積を測定した。この摩耗断面積は、初期のブレードが感光体に接する部分の断面積から出力テスト後の摩耗断面積を差し引いた面積として求めた。そして、クリーニングブレードの摩耗断面積について、以下の評価基準で評価した。
A+: 10μm未満
A : 10μm以上20μm未満
B : 20μm以上40μm未満
C : 40μm以上
(クリーニングブレードの欠け)
出力テスト終了後、更に、画像濃度30%のべた画像をA4用紙に1枚出力し、画像上のスジの発生状況を観察した。そして、クリーニングブレードの欠けについて、以下の評価基準で評価した。
A+: スジ発生なし
A : 3本以下の軽微なスジが発生
B : 3本超え10本未満のスジが発生
C : 10本以上の明瞭なスジが発生
(画質)
出力テスト終了後、更に、画像濃度30%のべた画像をA4用紙に1枚出力し、得られた画像を観察し、画像流れ、濃度ムラについて、以下の評価基準で評価した。
(外添剤すり抜け)
各環境での出力テスト終了後、更に、画像濃度30%のべた画像をA4用紙に1枚出力した後、軸方向の中央部分と両端部からそれぞれ5cmの部分との合計3箇所の感光体の表面をレーザー顕微鏡で観察し、100μmの領域内で観察された外添剤の数の平均について、以下の評価基準で評価した。
A+: 外添剤の数が5個未満
A : 外添剤の数が5個以上10個未満
B : 外添剤の数が10個以上20個未満
C : 外添剤の数が20個以上
−画像流れの評価基準−
A+: 画像流れ全くなし
A : 画質上問題となる画像流れなし
B : 若干画像流れ発生
C : 画質上問題となる画像流れ発生
−濃度ムラの評価基準−
A+: 濃度ムラ発生全くなし
A : 画質上問題となる濃度ムラなし
B : 若干濃度ムラ発生
C : 画質上問題となる濃度ムラ発生
(総合評価)
上記各評価を総合し、電子写真感光体、画像形成システムの総合評価を行った。なお、評価基準は、以下の通りである。
A+:特に優れる
A: 優れる
B: 若干課題はあるが、実用上の大きな問題はない
C: 実用上の課題あり
以下、各例の詳細、評価結果を表1〜表2に一覧にして示す。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、濃度ムラの評価が良好であることがわかる。
さらに実施例1〜21では、感光体(C1)〜(C6)を使用した実施例12〜27に比べ、感光体の電気特性(残留電位)、クリーニングブレードの摩耗断面積(μm[ブレード摩耗])、クリーニングブレードの欠け、外添剤すり抜け、画像流れの各評価も良好であることがわかる。
以下、表中に示す各略称の詳細について示す。
[CTM:反応性電荷輸送材料]
・(I−d)−28: 例示化合物(I−d)−28(下記合成法参照)
・(I−b)−23: 例示化合物(I−b)−23
・(I−b)−28: 例示化合物(I−b)−28
・(I−c)−23: 例示化合物(I−c)−23
・(I−d)−20: 例示化合物(I−d)−20
・(II)−50: 例示化合物(II)−50
・(II)−56: 例示化合物(II)−56
・(II)−181: 例示化合物(II)−181
・(II)−182: 例示化合物(II)−182
・化合物(C):下記構造式(C)で示される化合物

・化合物(D): 下記構造式(D)で示される化合物
−例示化合物(I−d)−28の合成−
500mlフラスコに、下記化合物(2)を22g、t−ブトキシカリウム33g、テトラヒドロフラン300ml、ニトロベンゼン0.2gを加え、窒素気流下で攪拌しながら、4−クロロメチルスチレン25gをテトラヒドロフラン150mlに溶解した溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、4時間加熱還流した後、冷却し、水中に注ぎ、トルエンで抽出した。トルエン層を十分に水洗した後、濃縮し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトにより精製して、油状の例示化合物(I−d)−28を29g得た。
なお、他の例示化合物も、上記合成に準じて合成した。
[添加剤]
・L−2: テトラフルオロエチレン重合体粒子:ルブロンL−2(ダイキン工業社製))
1…下引層、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…導電性基体、5…保護層、6…単層型感光層、7A,7B,7C,7…電子写真感光体、8…帯電装置、9…露光装置、11…現像装置、13…クリーニング装置、131…クリーニングブレード、132…ロアシール、133…トナー溜りシート、40…転写装置、50…中間転写体、100…画像形成装置、120…画像形成装置、300…プロセスカートリッジ

Claims (5)

  1. 導電性基体および前記導電性基体上に設けられた感光層を有し、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面に接触又は近接して配置され、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記電子写真感光体の表面に接触し、前記電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードであって、ブレードの先端部を前記電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ、前記電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち前記電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度が120°以上160°以下となる状態で配置されるブレードを有するクリーニング手段と、
    を備える画像形成装置。
  2. 前記脂肪酸金属塩粒子が、体積基準によるメディアン径が0.1μm以上10.0μm以下のステアリン酸亜鉛の粒子である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記反応性電荷輸送材料が、同一分子内に電荷輸送性骨格及び連鎖重合性官能基を少なくとも有する連鎖重合性化合物である請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記反応性電荷輸送材料が、下記一般式(I)及び(II)で示される連鎖重合性化合物から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

    〔一般式(I)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。Lは、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む2価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。mは1以上8以下の整数を示す。〕

    〔一般式(II)中、Fは、電荷輸送性骨格を示す。L’は、アルカン若しくはアルケンから誘導される3価又は4価の基、並びに、アルキレン基、アルケニレン基、−C(=O)−、−N(R)−、−S−、及び−O−からなる群より選択される2種以上を含む(n+1)価の連結基を示す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。 m’は、1以上6以下の整数を示す。nは、2以上3以下の整数を示す。〕
  5. 導電性基体および前記導電性基体上に設けられた感光層を有し、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で、最表面層が構成された電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面に接触又は近接して配置され、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    トナー粒子と脂肪酸金属塩粒子とを有するトナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面に接触し、前記電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードであって、ブレードの先端部を前記電子写真感光体の回転方向とは逆方向側に向け、且つ前記電子写真感光体におけるブレードの先端部が接触する位置での接線と、ブレードの先端部の端面のうち前記電子写真感光体とは反対側に位置する端面との成す角度が120°以上160°以下となる状態で配置されるブレードを有するクリーニング手段と、
    を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
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