JP6800358B1 - 歯科補綴装置の設計方法および設計装置 - Google Patents

歯科補綴装置の設計方法および設計装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6800358B1
JP6800358B1 JP2020016368A JP2020016368A JP6800358B1 JP 6800358 B1 JP6800358 B1 JP 6800358B1 JP 2020016368 A JP2020016368 A JP 2020016368A JP 2020016368 A JP2020016368 A JP 2020016368A JP 6800358 B1 JP6800358 B1 JP 6800358B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
attrition
shape data
tooth
maxillary
mandibular
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020016368A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021122387A (ja
Inventor
朝 高田
朝 高田
井上 智之
智之 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shofu Inc
Original Assignee
Shofu Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shofu Inc filed Critical Shofu Inc
Priority to JP2020016368A priority Critical patent/JP6800358B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6800358B1 publication Critical patent/JP6800358B1/ja
Priority to US17/164,205 priority patent/US11980522B2/en
Priority to EP21154687.4A priority patent/EP3858287B1/en
Priority to DK21154687.4T priority patent/DK3858287T3/da
Publication of JP2021122387A publication Critical patent/JP2021122387A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C5/00Filling or capping teeth
    • A61C5/70Tooth crowns; Making thereof
    • A61C5/77Methods or devices for making crowns
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C13/00Dental prostheses; Making same
    • A61C13/0003Making bridge-work, inlays, implants or the like
    • A61C13/0004Computer-assisted sizing or machining of dental prostheses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C5/00Filling or capping teeth
    • A61C5/20Repairing attrition damage, e.g. facets
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C5/00Filling or capping teeth
    • A61C5/30Securing inlays, onlays or crowns

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Dental Prosthetics (AREA)

Abstract

【課題】歯科補綴物の設計を効率良く行う設計方法及び設計装置を提供する。【解決手段】コンピュータによって歯科補綴装置を設計するための方法であって、上下顎歯列のスキャンデータを取得するステップ、前記スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定するステップ、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットの中から、前記修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出すステップ、前記上下顎歯列の咬耗度合いに応じて前記複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップ、選択した前記咬耗形状データを前記修復部位に配置するステップ、前記修復部位に配置された前記咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成するステップ、を含む。【選択図】図19

Description

本発明は、歯科補綴装置の設計方法および設計装置に関する。
特許文献1には、コンピュータを用いて、ブリッジ、クラウンなどのような歯科補綴物モデルをコンピュータ上で設計する方法が開示されている。特許文献1に記載の方法では、各歯牙形状に対応するポンティックモデルを作成してデータベースに保存しておき、このポンティックモデルを用いてクラウン、ブリッジ等の歯科補綴物モデルの設計を行っている。
特開平10−75963号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、歯科補綴物の設計を効率良く行うという点で未だ改善の余地がある。
そこで、本発明は、歯科補綴物の設計を効率良く行うことができる設計方法及び設計装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様の歯科補綴装置の設計方法は、
コンピュータによって歯科補綴装置を設計するための方法であって、
上下顎歯列のスキャンデータを取得するステップ、
前記スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定するステップ、
上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットの中から、前記修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出すステップ、
前記上下顎歯列の咬耗度合いに応じて前記複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップ、
選択した前記咬耗形状データを前記修復部位に配置するステップ、
前記修復部位に配置された前記咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成するステップ、
を含む。
本発明の一態様の歯科補綴装置の設計装置は、
歯科補綴装置を設計するための装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサにより実行される命令を記憶した記憶部と、
を備え、
前記記憶部は、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットを記憶し、
前記命令は、
上下顎歯列のスキャンデータを取得すること、
前記スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定すること、
前記上下顎の歯の形状データのセットの中から、前記修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出すこと、
前記上下顎歯列の咬耗度合いに応じて前記複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択すること、
選択した前記咬耗形状データを前記修復部位に配置すること、
前記修復部位に配置された前記咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成すること、
を含む。
本発明によれば、歯科補綴物の設計を効率良く行うことができる。
本発明に係る実施の形態1の歯科補綴物の製造システムの一例を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態1の設計装置の一例を示すブロック図である。 咬耗度合いの異なる上下顎歯列のセットの形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる上顎中切歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる上顎側切歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる上顎犬歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる上顎第一小臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる上顎第二小臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる上顎第一大臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる上顎第二大臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる下顎中切歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる下顎側切歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる下顎犬歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる下顎第一小臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる下顎第二小臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる下顎第一大臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 咬耗度合いの異なる下顎第二大臼歯の咬耗形状データの一例を示す概略図である。 本発明に係る実施の形態1の咬耗度合いの一例を示す表である。 本発明に係る実施の形態1の設計方法の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る実施の形態2の設計方法の選択ステップの一例を示すフローチャートである。 仮想曲線を説明するための模式図である。 仮想曲線に基づく咬耗形状データの選択の一例を説明するための模式図である。 本発明に係る実施の形態2の設計方法において、複数の咬耗形状データの中から選択した咬耗形状データの一例を示す模式図である。 本発明に係る実施の形態3の設計方法の選択ステップの一例を示すフローチャートである。 干渉量に基づく咬耗形状データの選択の一例を説明するための模式図である。 咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量の一例を説明するための模式図である。 本発明に係る実施の形態3の設計方法において、複数の咬耗形状データの中から選択した咬耗形状データの一例を示す模式図である。 比較例1の表面偏差解析結果の一例を示す図である。 実施例1の表面偏差解析結果の一例を示す図である。 比較例2の表面偏差解析結果の一例を示す図である。 実施例2の表面偏差解析結果の一例を示す図である。
(本発明に至った経緯)
近年、CAD/CAM技術を用いて歯科補綴装置を製造する方法が歯科領域において普及しつつある。このような方法においては、コンピュータに患者の口腔内形状データを入力し、患者の口腔内環境に調和する形状の歯科補綴装置をコンピュータ上で作成している。そして、作成した形状データに基づいて機械加工をすることによって、歯科補綴装置を製造している。
CADを用いてクラウン、ブリッジなどの歯科補綴装置を設計する際には、患者の口腔内形状データ及びデータベースに保存された歯の形状データをコンピュータ上にインポートする。そして、患者の口腔内形状データにおいて修復する歯の箇所に、対応する歯の形状データを配置し、制御点モーフィング等で歯の形状を変形させる。これにより、臨床現場において、患者の口腔内環境に調和させた歯科補綴装置が設計されている。
一方、人の歯は、萌出後、咬合咀嚼という生理機能によって咬耗を受け、加齢的に変化を続けている。このため、歯の形状が咬耗等によって変化し続けている。
しかしながら、CADを用いた歯科補綴装置の設計に用いられる歯の形状データは、咬耗度合いを考慮していない。即ち、歯の形状データは、咬耗されていない一般的な歯の形状を有している。このため、咬耗度合いの大きい患者の歯科補綴装置をコンピュータ上で設計する場合、患者の口腔内環境に調和させるために、歯の形状データの形状を変更する作業が多くなる。これにより、歯科補綴物の設計を効率良く行うことができないという問題が生じている。
例えば、作業量が増えることによって、設計時間を短くすることができなくなるという問題がある。また、歯科補綴装置の設計に用いられるCADでは、歯の形状データの中で形状の一部を変更する場合、歯の形状の整合性を得るために、他の箇所の形状も変化する場合がある。このため、歯の形状データの変更の作業量が増えると、患者の口腔内環境に調和させることが難しくなる場合がある。
そこで、本発明者らは、鋭意検討したところ、咬耗度合いの異なる歯の形状データを用いて歯科補綴装置の設計を行うことを見出した。具体的には、本発明者らは、それぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットを用いて歯科補綴装置の設計を行うことを見出し、以下の発明に至った。
本発明の第1態様の歯科補綴装置の設計方法は、コンピュータによって歯科補綴装置を設計するための方法であって、上下顎歯列のスキャンデータを取得するステップ、前記スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定するステップ、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットの中から、前記修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出すステップ、前記上下顎歯列の咬耗度合いに応じて前記複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップ、選択した前記咬耗形状データを前記修復部位に配置するステップ、前記修復部位に配置された前記咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成するステップ、を含む。
本発明の第2態様の歯科補綴装置の設計方法においては、前記複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分を歯冠側から歯根側に向かって段階的に削った複数の歯の形状データを含んでいてもよい。
本発明の第3態様の歯科補綴装置の設計方法においては、前記上下顎の歯の形状データのセットは、上顎中切歯、上顎側切歯、上顎犬歯、上顎第一小臼歯、上顎第二小臼歯、上顎第一大臼歯及び上顎第二大臼歯を含む上顎の歯の形状データと、下顎中切歯、下顎側切歯、下顎犬歯、下顎第一小臼歯、下顎第二小臼歯、下顎第一大臼歯及び下顎第二大臼歯を含む下顎の歯の形状データと、を含んでいてもよい。
本発明の第4態様の歯科補綴装置の設計方法においては、人間の平均的な咬耗量は例えば、大臼歯部エナメル質で30(μm/年)であり、60年間で約2.0(mm)咬耗する。高齢化社会の歯科では、咬耗などにより破壊された歯を修復材料により再構築することも必要となってくる。加齢によって咬耗した歯列に、設計する補綴装置を調和させるために、以下の好ましい数値範囲を設定した。前記上顎の歯の形状データは、前記上顎中切歯において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎中切歯の咬耗形状データと、前記上顎側切歯において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎側切歯の咬耗形状データと、前記上顎犬歯において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎犬歯の咬耗形状データと、前記上顎第一小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第一小臼歯の咬耗形状データと、前記上顎第二小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第二小臼歯の咬耗形状データと、前記上顎第一大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第一大臼歯の咬耗形状データと、前記上顎第二大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第二大臼歯の咬耗形状データと、を含み、前記下顎の歯の形状データは、前記下顎中切歯において、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎中切歯の咬耗形状データと、前記下顎側切歯において、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎側切歯の咬耗形状データと、前記下顎犬歯において、対合歯と接触する尖頭を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎犬歯の咬耗形状データと、前記下顎第一小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第一小臼歯の咬耗形状データと、前記下顎第二小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第二小臼歯の咬耗形状データと、前記下顎第一大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第一大臼歯の咬耗形状データと、前記下顎第二大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第二大臼歯の咬耗形状データと、を含んでいてもよい。また本発明において、設計上の利便性を図るために、最大咬耗量を例えば4段階に分けて、様々な患者に対応できるような数値範囲としている。
本発明の第5態様の歯科補綴装置の設計方法においては、前記読み出すステップは、前記複数の咬耗形状データを表示部に表示すること、を有し、前記選択するステップは、ユーザの操作により入力部に入力された入力情報に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、を有していてもよい。
本発明の第6態様の歯科補綴装置の設計方法においては、前記選択するステップは、上下顎歯列を側方から見て、臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ仮想曲線を作成すること、前記仮想曲線に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、を有していてもよい。
本発明の第7態様の歯科補綴装置の設計方法においては、前記仮想曲線に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択することは、前記仮想曲線上に歯の先端が配置されるように、前記修復部位に前記複数の咬耗形状データを配置すること、前記複数の咬耗形状データにおいて、前記仮想曲線上に歯の先端が配置された咬耗形状データで表される歯の辺縁隆線と、前記咬耗形状データで表される歯と隣り合う歯の辺縁隆線と、の間の距離を算出すること、算出した前記距離に基づいて前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、を有していてもよい。
本発明の第8態様の歯科補綴装置の設計方法においては、前記仮想曲線に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択することは、前記仮想曲線上に歯の先端が配置されるように、前記修復部位に前記複数の咬耗形状データを配置すること、前記複数の咬耗形状データにおいて、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときの咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量又は離間量を算出すること、算出した前記干渉量又は前記離間量に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、を有していてもよい。
本発明の第9態様の歯科補綴装置の設計方法においては、算出した前記干渉量又は前記離間量に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択することは、前記干渉量又は前記離間量が0.5mm以下である咬耗形状データを選択してもよい。
本発明の第10態様の歯科補綴装置の設計装置は、歯科補綴装置を設計するための装置であって、プロセッサと、前記プロセッサにより実行される命令を記憶した記憶部と、を備え、前記記憶部は、上下顎列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットを記憶し、前記命令は、上下顎歯列のスキャンデータを取得すること、前記スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定すること、前記上下顎の歯の形状データのセットの中から、前記修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出すこと、前記上下顎歯列の咬耗度合いに応じて前記複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択すること、選択した前記咬耗形状データを前記修復部位に配置すること、前記修復部位に配置された前記咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成すること、を含む。
本発明の第11態様のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに前記第1〜9のいずれかの態様の方法を実行させるためのプログラムを記録する。
本発明の第12態様のプログラムは、コンピュータに前記第1〜9のいずれかの態様の方法を実行させる。
以下、本発明の一実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
(実施の形態1)
[歯科補綴装置の製造システム]
図1は、本発明に係る実施の形態1の歯科補綴装置の製造システム1の一例を示すブロック図である。図1に示すように、歯科補綴装置の製造システム1は、スキャナ10、設計装置20及び加工装置30を備える。
<スキャナ>
スキャナ10は、上下顎歯列の形状をスキャンする。例えば、スキャナ10は、患者の口腔内を直接スキャンすることによって、患者の上下顎歯列の形状データ、即ちスキャンデータを取得する。あるいは、スキャナ10は、患者の口腔内形状を再現した模型をスキャンすることによって、患者の上下顎歯列の形状データ、即ちスキャンデータを取得する。なお、模型は、患者の口腔内を印象材で印象採得し、石膏を流すことによって作製される。
スキャナ10は、例えば、歯科用3Dスキャナである。歯科用3Dスキャナとしては、例えば、光学式のスキャナである。スキャンデータは、上下顎歯列の三次元形状データである。
スキャナ10でスキャンされた上下顎歯列の形状データ、即ちスキャンデータは、設計装置20に送信される。
<設計装置>
設計装置20は、スキャナ10から上下顎歯列のスキャンデータを取得し、スキャンデータに基づいて歯科補綴装置を設計する。設計装置20は、スキャンデータと、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットと、を用いて歯科補綴装置の形状データを設計する。設計装置20は、例えば、コンピュータである。
設計装置20で設計された歯科補綴装置の設計データは、加工装置30に送信される。例えば、設計データは、歯科補綴装置の形状データを含むSTLデータである。
<加工装置>
加工装置30は、設計装置20で設計された設計データに基づいて歯科補綴装置を加工する。例えば、加工装置30は、3Dプリンタ、切削装置であってもよい。
このように、歯科補綴装置の製造システム1では、スキャナ10は、上下顎歯列の形状をスキャンする。設計装置20は、スキャナ10から取得したスキャンデータと、それぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットと、を用いて歯科補綴装置の形状データを設計する(設計データ)。加工装置は、設計装置20から取得した設計データに基づいて歯科補綴装置を加工する。これにより、歯科補綴装置を製造している。
[設計装置]
設計装置20について詳細に説明する。図2は、本発明に係る実施の形態1の設計装置20の一例を示すブロック図である。図2に示すように、設計装置20は、プロセッサ21、記憶部22、入力部23及び表示部24を備える。設計装置20は、例えば、コンピュータである。
<プロセッサ>
プロセッサ21は、例えば、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、又はコンピュータ実行可能命令の実行が可能なその他の処理ユニットである。プロセッサ21は、記憶部22に記憶された命令を実行可能である。
<記憶部>
記憶部22は、例えば、プロセッサにより実行される命令を記憶するコンピュータ記録媒体である。記憶部22は、例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又はその他のメモリ技術、CD−ROM、DVD又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気記憶デバイスであってもよい。
記憶部22は、それぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットを記憶している。また、記憶部22には、歯科用CADのプログラムが記憶されている。
<入力部>
入力部23は、ユーザによる入力を受け付ける機器である。入力部23は、例えば、キーボード、マウス、音声入力器を含んでもよい。ユーザは、入力部23を操作することによって、歯科補綴装置の設計を行うことができる。
<表示部>
表示部24は、情報を表示する機器である。表示部24は、例えば、ディスプレイである。例えば、表示部24には、歯科補綴装置を設計するための設計画面が表示される。設計画面には、上下顎歯列のスキャンデータ及び咬耗形状データが含まれている。
設計装置20を構成する要素は、半導体素子などで実現可能な演算装置で実現することができる。これらの構成要素の機能は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。
なお、設計装置20を構成する要素は、これらに限定されない。設計装置20は、これらの要素以外の要素を含んでいてもよい。例えば、設計装置20は、他の機器と通信する通信部を備えていてもよい。通信部は、所定の通信規格(例えばLAN、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)、CAN(controller area network)、SPI(Serial Peripheral Interface))に準拠して外部機器との通信を行う回路を含む。
<咬耗度合いの異なる上下顎歯列のセット>
図3は、咬耗度合いの異なる上下顎歯列のセットの形状データの一例を示す概略図である。図3に示すように、上下顎歯列のセットの形状データは、上顎の歯の形状データのセットと、下顎の歯の形状データのセットと、を含む。
上顎の歯の形状データのセットは、上顎中切歯T1、上顎側切歯T2、上顎犬歯T3、上顎第一小臼歯T4、上顎第二小臼歯T5、上顎第一大臼歯T6及び上顎第二大臼歯T7の形状データを含む。具体的には、上顎の歯の形状データのセットは、上顎の歯列の左側に配置される、上顎中切歯T1、上顎側切歯T2、上顎犬歯T3、上顎第一小臼歯T4、上顎第二小臼歯T5、上顎第一大臼歯T6及び上顎第二大臼歯T7と、右側に配置される、上顎中切歯T1、上顎側切歯T2、上顎犬歯T3、上顎第一小臼歯T4、上顎第二小臼歯T5、上顎第一大臼歯T6及び上顎第二大臼歯T7と、を含んでいる。
下顎の歯の形状データのセットは、下顎中切歯T8、下顎側切歯T9、下顎犬歯T10、下顎第一小臼歯T11、下顎第二小臼歯T12、下顎第一大臼歯T13及び下顎第二大臼歯T14の歯の形状データを含む。具体的には、下顎の歯の形状データのセットは、下顎の歯列の左側に配置される、下顎中切歯T8、下顎側切歯T9、下顎犬歯T10、下顎第一小臼歯T11、下顎第二小臼歯T12、下顎第一大臼歯T13及び下顎第二大臼歯T14と、右側に配置される、下顎中切歯T8、下顎側切歯T9、下顎犬歯T10、下顎第一小臼歯T11、下顎第二小臼歯T12、下顎第一大臼歯T13及び下顎第二大臼歯T14と、を含んでいる。
上下顎歯列のセットの形状データは、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する。言い換えると、複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗度合いを変化させた形状データを有している。
複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分を歯冠側から歯根側に向かって段階的に削った複数の歯の形状データを含む。咬耗する部分とは、上下顎歯列が咬合するときに接触する部分である。例えば、咬耗する部分は、咬合面である。言い換えると、複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分の形状を段階的に変化させた複数の歯の形状データを含む。
なお、「段階的に削った」とは、削り量が段階的に大きくなっていることを意味する。また、「段階的に大きくなっている」とは、規則的に大きくなること、等間隔で大きくなること、指数関数的に大きくなること、又はランダムに大きくなることを含んでもよい。
実施の形態1では、複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分のみを段階的に削った歯の形状データを含む。言い換えると、複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分以外の部分を削っていない歯の形状データを含む。
図3に示す例では、上下顎歯列のセットの形状データは、咬耗S0、咬耗S1、咬耗S2、咬耗S3、咬耗S4の順に咬耗度合いを段階的に大きくしている。即ち、上下顎歯列のセットの形状データにおいて、咬耗度合いは、咬耗S0<咬耗S1<咬耗S2<咬耗S3<咬耗S4である。なお、咬耗S0は、咬耗度合いが「0」である。
なお、上下顎歯列のそれぞれの歯において、咬耗度合いは異なっていてもよい。例えば、咬耗S1において、上顎中切歯T1の咬耗度合いと上顎第二大臼歯T7の咬耗度合いとは、異なっていてもよい。上顎第二大臼歯T7の咬耗度合いは、上顎中切歯T1の咬耗度合いよりも大きくてもよい。例えば、上顎中切歯T1の咬耗度合いが0.125mmであり、上顎第二大臼歯T7の咬耗度合いが0.25mmであってもよい。
図4−図10は、上顎中切歯T1、上顎側切歯T2、上顎犬歯T3、上顎第一小臼歯T4、上顎第二小臼歯T5、上顎第一大臼歯T6及び上顎第二大臼歯T7の咬耗形状データの一例を示す概略図である。
図4−図10に示すように、上顎の歯の形状データのセットは、上顎歯列の複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分を歯冠側から歯根側に向かって段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。実施の形態1では、上顎の歯の形状データのセットは、咬耗度合いの異なる咬耗S0〜S4の5つの咬耗形状データを有している。
図4に示すように、上顎中切歯T1においては、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、上顎中切歯T1において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。また、上顎中切歯T1において、咬耗する部分は、切端を含む。
図5に示すように、上顎側切歯T2においては、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、上顎側切歯T2において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上0.80mm以下の範囲で段階的に削られている。また、上顎側切歯T2において、咬耗する部分は、切端を含む。
図6に示すように、上顎犬歯T3においては、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、上顎犬歯T3において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削られている。また、上顎犬歯T3において、咬耗する部分は、尖頭を含む。
図7に示すように、上顎第一小臼歯T4においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、上顎第一小臼歯T4において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.40mm以下の範囲で段階的に削られている。また、上顎第一小臼歯T4において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図8に示すように、上顎第二小臼歯T5においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、上顎第二小臼歯T5において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。また、上顎第二小臼歯T5において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図9に示すように、上顎第一大臼歯T6においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、上顎第一大臼歯T6において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。また、上顎第一大臼歯T6において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図10に示すように、上顎第二大臼歯T7においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、上顎第二大臼歯T7において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。また、上顎第二大臼歯T7において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図11−図17は、下顎中切歯T8、下顎側切歯T9、下顎犬歯T10、下顎第一小臼歯T11、下顎第二小臼歯T12、下顎第一大臼歯T13及び下顎第二大臼歯T14の一例を示す概略図である。
図11−図17に示すように、下顎の歯の形状データのセットは、下顎歯列の複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分を歯冠側から歯根側に向かって段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。実施の形態1では、下顎の歯の形状データのセットは、咬耗度合いの異なる咬耗S0〜S4の5つの咬耗形状データを有している。
図11に示すように、下顎中切歯T8においては、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、下顎中切歯T8において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。
図12に示すように、下顎側切歯T9においては、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、下顎側切歯T9において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上0.80mm以下の範囲で段階的に削られている。
図13に示すように、下顎犬歯T10においては、対合歯と接触する尖頭を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、下顎犬歯T10において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する尖頭を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削られている。
図14に示すように、下顎第一小臼歯T11においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、下顎第一小臼歯T11において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.40mm以下の範囲で段階的に削られている。また、下顎第一小臼歯T11において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図15に示すように、下顎第二小臼歯T12においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、下顎第二小臼歯T12において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。また、下顎第二小臼歯T12において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図16に示すように、下顎第一大臼歯T13においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mmの範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、下顎第一大臼歯T13において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。また、下顎第一大臼歯T13において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図17に示すように、下顎第二大臼歯T14においては、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の咬耗形状データを有する。好ましくは、下顎第二大臼歯T14において、複数の咬耗形状データは、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.00mm以下の範囲で段階的に削られている。また、下顎第二大臼歯T14において、咬耗する部分は、咬頭頂を含む。
図18は、本発明に係る実施の形態1の咬耗度合いの一例を示す表である。図18に示すように、上下顎歯列のセットの形状データは、咬耗S0、咬耗S1、咬耗S2、咬耗S3、咬耗S4の順に咬耗度合いを段階的に大きくしている。なお、図18に示す咬耗度合いは例示であり、咬耗度合いは任意の値に設定することができる。
なお、実施の形態1では、上下顎歯列のセットの形状データは、咬耗度合いの異なる咬耗S0〜S4の5つの咬耗形状データを有している例について説明したが、これに限定されない。上下顎歯列のセットの形状データは、咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有していればよい。例えば、上下顎歯列のセットの形状データは、咬耗度合いの異なる2つ以上の咬耗形状データを有していればよい。
[咬耗度合いの異なる上下顎歯列のセットの作成について]
咬耗度合いの異なる上下顎歯列のセットは、例えば、咬耗度合いの異なる歯列模型に基づいて作成される。具体的には、咬耗度合いの異なる歯列模型を製作し、咬耗度合いの異なる歯列模型の三次元形状データを取得する。これにより、上下顎歯列の複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを作成することができる。
<石膏製歯列模型の製作の一例について>
インレーワックス(インレーワックスミディアム,GC社,日本)及びエバンス彫刻刀を用いて、28種の歯の彫刻物を製作する。この彫刻物を複印象用シリコーン(デュプリコーン,松風,日本)で複印象を行い、超硬質石膏(ニューフジロック,GC,日本)で歯の彫刻物を石膏に置換する。石膏製歯の彫刻物を、平均値咬合器上で、解剖学的歯軸に準じて配列を行う。前歯部を垂直被蓋1.0mm、水平被蓋1.0mmとする。また、臼歯部は、1歯対2歯咬合下でABCコンタクトを付与して、犬歯誘導咬合を再現する。そして、パラフィンワックスを用いて歯肉形成を行い、歯列模型を製作する。複印象用シリコーンを用いて、歯列模型を複印象し、石膏製歯列模型を製作する。
<咬耗度合いの異なる歯列模型の製作の一例について>
製作した石膏製上下顎歯列模型を、半調節性咬合器(プロアーチIV,松風、日本)に装着する。矢状課路角を33度、側方課路角を10.7度、イミディエートサイドシフトを1.0mmとする。そして、咬頭嵌合位、左右側方運動及び前方運動における咬合接触部を咬合紙で印記し、印記された部分を、エバンス彫刻刀で削合し、この作業を繰り返すことで擬似的な咬耗状態の歯列模型を製作する。模型の削合量は、上下第二大臼歯の咬耗量の合計値:0mm,0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mmとする。咬耗量の合計値に達した段階で、技工用デスクトップスキャナー(D2000,3Shape,デンマーク)を用いて三次元計測を行い、擬似的な咬耗度合いの異なる歯列模型の三次元形状データを取得する。
<咬耗形状データの作成の一例について>
三次元計測した歯列模型形状データを三次元CADソフトウェア(RHINOCEROUS,ROBERT McNeel & Associates, フランス)でトリムを行い、穴埋め処理を行うことで、それぞれ一本ずつの歯の咬耗形状データを作成する。
[設計方法]
歯科補綴装置の設計方法について説明する。図19は、本発明に係る実施の形態1の設計方法の一例を示すフローチャートである。図19に示すように、歯科補綴装置の設計方法は、取得ステップST1、決定ステップST2、読み出すステップST3、選択ステップST4、配置ステップST5及び作成ステップST6を含む。なお、当該設計方法は、設計装置20によって実施される。
取得ステップST1は、上下顎歯列のスキャンデータを取得する。取得ステップST1においては、設計装置20がスキャナ10から上下顎歯列のスキャンデータを取得する。
決定ステップST2は、スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定する。決定ステップST2においては、設計装置20が取得ステップST1で取得したスキャンデータに基づいて、上下顎歯列のうち修復する歯の部位を決定する。なお、歯の修復部位とは、例えば、歯の欠損部位である。
例えば、歯の修復部位は、スキャンデータと、入力部23に入力された情報とに基づいて決定される。具体的には、設計装置20は、表示部24にスキャンデータに基づいて再現された上下顎歯列の形状データを表示する。ユーザは、上下顎歯列の形状データ上で修復する歯の部位を、入力部23によって選択する。設計装置20は、上下顎歯列の形状データ上で選択された部位を歯の修復部位として決定する。
あるいは、設計装置20は、スキャンデータに基づいて歯の修復部位を自動で決定してもよい。自動で決定するとは、ユーザの操作により入力部23に入力される情報に基づかずに、決定することを意味する。例えば、設計装置20は、上下顎歯列の基準データと、スキャンデータとを比較し、歯の欠損部位を検出し、当該欠損部位を歯の修復部位として決定してもよい。
読み出すステップST3は、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットの中から、修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出す。修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データとは、修復部位に配置される歯を意味する。読み出すステップST3においては、設計装置20は、修復部位に相当する歯を特定し、特定した歯の複数の咬耗形状データを記憶部22から読み出す。例えば、修復部位が上顎中切歯T1である場合、設計装置20は、上顎中切歯T1における咬耗S0〜S4の5つの咬耗形状データを読み出す。
また、読み出すステップST3は、複数の咬耗形状データを表示部24に表示すること、を有する。例えば、修復部位が上顎中切歯T1である場合、設計装置20は、上顎中切歯T1における咬耗S0〜S4の5つの咬耗形状データを表示部24に表示する。これにより、ユーザは修復部位に配置される歯の咬耗形状データを確認することができる。
選択ステップST4は、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。選択ステップST4においては、設計装置20は、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて、読み出すステップST3で読み出された複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。これにより、患者の咬耗度合いに適合する咬耗形状データを選択することができ、患者の口腔内環境により適合した咬耗形状データを使用することができる。
例えば、設計装置20は、入力部23に入力された情報に基づいて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。設計装置20は、読み出すステップST3において複数の咬耗形状データを表示部24に表示している。ユーザは、表示部24に表示される複数の咬耗形状データの中から、入力部23によって咬耗形状データを選択する。設計装置20は、ユーザの操作により入力部23に入力された入力情報に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。
配置ステップST5は、選択した咬耗形状データを修復部位に配置する。配置ステップST5においては、設計装置20は、選択ステップST4で選択された咬耗形状データを、上下顎歯列における歯の修復部位に配置する。咬耗形状データは、上下顎歯列における歯の修復部位において、患者の口腔内に調和する位置に配置される。
作成ステップST6は、修復部位に配置された咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成する。作成ステップST6においては、設計装置20が、ユーザの操作により入力部23に入力された情報に基づいて、修復部位に配置された咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成する。
例えば、ユーザは、入力部23を操作し、修復部位に配置された咬耗形状データにおいて、クラウンの挿入方向、マージンラインの設定及びセメントスペースの設定を行い、クラウン内面のサーフェイスデータを作成する。次に、歯科用CADソフトウェアのモーフィング機能及びブラシ機能を用いて、修復部位に配置された咬耗形状データを変形させて、咬合状態を患者の口腔内に調和させたクラウン外形のサーフェイスデータを作成する。最後に、当該クラウン外形のサーフェイスデータとクラウン内面のサーフェイスデータを接続して、仮想クラウンの設計が完了する。これにより、歯科補綴装置の形状データを設計する。
このように、実施の形態1の歯科補綴装置の設計方法においては、ステップST1〜ST6を実施することにより、上下顎歯列の咬耗度合いに応じた咬耗形状データを用いて歯科補綴装置の形状データを作成している。
[効果]
本発明に係る実施の形態1の設計方法及び設計装置によれば、以下の効果を奏することができる。
歯科補綴装置の設計方法は、取得ステップST1、決定ステップST2、読み出すステップST3、選択ステップST4、配置ステップST5及び作成ステップST6を含む。取得ステップST1は、上下顎歯列のスキャンデータを取得する。決定ステップST2は、スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定する。読み出すステップST3は、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データS0〜S4を有する上下顎の歯の形状データのセットの中から、修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出す。選択ステップST4は、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。配置ステップST5は、選択した咬耗形状データを修復部位に配置する。作成ステップST6は、修復部位に配置された咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成する。
このような構成により、咬耗度合いに応じて選択した咬耗形状データに基づいて、歯科補綴装置を設計することができる。これにより、歯科補綴装置の設計の作業量を減らし、且つ作業時間を短縮することができるため、歯科補綴装置の設計を効率良く行うことができる。
複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分を歯冠側から歯根側に向かって段階的に削った複数の歯の形状データを含む。このような構成により、様々な患者の口腔内環境に対応することができる。例えば、咬耗度合いが大きい患者の上下顎歯列から咬耗度合いの小さい患者の上下顎歯列まで対応することができる。これにより、歯科補綴装置の設計をより効率良く行うことができる。
上下顎の歯の形状データのセットは、上顎の歯の形状データと、下顎の歯の形状データと、を含む。上顎の歯の形状データは、上顎中切歯T1、上顎側切歯T2、上顎犬歯T3、上顎第一小臼歯T4、上顎第二小臼歯T5、上顎第一大臼歯T6及び上顎第二大臼歯T7を含む。下顎の歯の形状データは、下顎中切歯T8、下顎側切歯T9、下顎犬歯T10、下顎第一小臼歯T11、下顎第二小臼歯T12、下顎第一大臼歯T13及び下顎第二大臼歯T14を含む。このような構成により、歯科補綴装置の設計をより効率良く行うことができる。
上顎の歯の形状データは、上顎中切歯T1、上顎側切歯T2、上顎犬歯T3、上顎第一小臼歯T4、上顎第二小臼歯T5、上顎第一大臼歯T6及び上顎第二大臼歯T7のそれぞれにおいて、複数の咬耗形状データを有する。複数の上顎中切歯T1の咬耗形状データは、上顎中切歯T1において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の上顎側切歯T2の咬耗形状データは、上顎側切歯T2において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の上顎犬歯T3の咬耗形状データは、上顎犬歯T3において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の上顎第一小臼歯T4の咬耗形状データは、上顎第一小臼歯T4において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の上顎第二小臼歯T5の咬耗形状データは、上顎第二小臼歯T5において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の上顎第一大臼歯T6の咬耗形状データは、上顎第一大臼歯T6において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の上顎第二大臼歯T7の咬耗形状データは、上顎第二大臼歯T7において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。下顎の歯の形状データは、下顎中切歯T8、下顎側切歯T9、下顎犬歯T10、下顎第一小臼歯T11、下顎第二小臼歯T12、下顎第一大臼歯T13及び下顎第二大臼歯T14のそれぞれにおいて、複数の咬耗形状データを有する。複数の下顎中切歯T8の咬耗形状データは、下顎中切歯T8において、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の下顎側切歯T9の咬耗形状データは、下顎側切歯T9において、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の下顎犬歯T10の咬耗形状データは、下顎犬歯T10において、対合歯と接触する尖頭を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の下顎第一小臼歯T11の咬耗形状データは、下顎第一小臼歯T11において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の下顎第二小臼歯T12の咬耗形状データは、下顎第二小臼歯T12において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の下顎第一大臼歯T13の咬耗形状データは、下顎第一大臼歯T13において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。複数の下顎第二大臼歯T14の咬耗形状データは、下顎第二大臼歯T14において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削っている。このような構成により、各歯において咬耗する部分を設定することによって、歯科補綴装置の設計をより効率良く行うことができる。
読み出すステップST3は、複数の咬耗形状データを表示部24に表示すること、を有する。選択するステップST4は、ユーザの操作により入力部23に入力された入力情報に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択すること、を有する。このような構成により、歯科補綴装置の設計を更に効率良く行うことができる。
設計装置20は、歯科補綴装置を設計するための装置であって、プロセッサ21と、プロセッサ21により実行される命令を記憶した記憶部22と、を備える。記憶部22は、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データS0〜S4を有する上下顎の歯の形状データのセットを記憶している。命令は、取得することST1、決定することST2、読み出すことST3、選択することST4、配置することST5及び作成することST6を含む。取得することST1は、上下顎歯列のスキャンデータを取得する。決定することST2は、スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定する。読み出すことST3は、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データS0〜S4を有する上下顎の歯の形状データのセットの中から、修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出す。選択することST4は、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。配置することST5は、選択した咬耗形状データを修復部位に配置する。作成することST6は、修復部位に配置された咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成する。
このような構成により、咬耗度合いに応じて選択した咬耗形状データに基づいて、歯科補綴装置を設計することができる。これにより、歯科補綴装置の設計の作業量を減らし、且つ作業時間を短縮することができるため、歯科補綴装置の設計を効率良く行うことができる。
なお、実施の形態1では、上下顎の歯の形状データのセットが、上顎中切歯T1、上顎側切歯T2、上顎犬歯T3、上顎第一小臼歯T4、上顎第二小臼歯T5、上顎第一大臼歯T6、上顎第二大臼歯T7、下顎中切歯T8、下顎側切歯T9、下顎犬歯T10、下顎第一小臼歯T11、下顎第二小臼歯T12、下顎第一大臼歯T13及び下顎第二大臼歯T14の歯の形状データを含む例について説明したが、これに限定されない。上下顎の歯の形状データのセットは、上下顎歯列における複数の歯の咬耗形状データを含んでいればよい。例えば、上下顎の歯の形状データのセットは、上述した歯のうちの1つ又は複数を含んでいればよい。
実施の形態1では、設計方法が、取得ステップST1、決定ステップST2、読み出すステップST3、選択ステップST4、配置ステップST5及び作成ステップST6を含む例について説明したが、これに限定されない。設計方法においては、これらのステップST1〜ST6は、減少、分割、及び統合してもよい。あるいは、設計方法は、追加のステップを含んでいてもよい。
実施の形態1では、選択ステップST4は、ユーザの操作により入力部23に入力された入力情報に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する例について説明したが、これに限定されない。選択ステップST4は、設計装置20により自動的に選択されてもよい。
実施の形態1では、選択ステップST4において、表示部24に表示される複数の咬耗形状データの中から、ユーザが入力部23によって咬耗形状データを選択する例について説明したが、これに限定されない。例えば、患者の年齢などの情報を入力部23によって入力し、患者の情報に基づいて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択してもよい。歯の咬耗は、加齢に応じて大きくなっていくことから、患者の年齢の情報に基づいて、咬耗度合いを推定することができる。このため、患者の年齢の情報に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択することができる。
実施の形態1では、設計方法及び設計装置を例として説明したが、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体にも適用可能である。例えば、プログラムは、コンピュータに上述した設計方法を実行させてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに上述した設計方法を実行させるためのプログラムを記憶していてもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る設計方法について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
実施の形態2の設計方法の一例について、図20を用いて説明する。図20は、本発明に係る実施の形態2の設計方法の選択ステップST4Aの一例を示すフローチャートである。
実施の形態2では、上下顎配列の仮想曲線を作成し、仮想曲線に基づいて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する点で、実施の形態1と異なる。
図20に示すように、実施の形態2における選択ステップST4Aは、仮想曲線を作成するステップST11、及び仮想曲線に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップST12〜ST14を含む。
ステップST11は、上下顎歯列を側方から見て、複数の歯の先端を結ぶ仮想曲線を作成する。具体的には、ステップST11は、上下顎歯列を側方から見て、臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ仮想曲線を作成する。ステップST11においては、設計装置20が、患者の上下顎歯列のスキャンデータに基づいて、上下顎歯列を側方から見た場合の臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を検出し、これらを結ぶ曲線を作成することによって、仮想曲線を作成する。実施の形態2では、設計装置20は、上顎歯列と下顎歯列とのそれぞれにおいて仮想曲線を作成する。
図21は、仮想曲線L1,L2を説明するための模式図である。図21に示すように、仮想曲線L1は、上下顎歯列を側方から見て、下顎における臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ曲線である。具体的には、仮想曲線L1は、下顎中切歯T8の切縁、下顎側切歯T9の切縁、下顎犬歯T10の尖頭、下顎第一小臼歯T11の頬側咬頭頂、下顎第二小臼歯T12の頬側咬頭頂、下顎第一大臼歯T13の頬側咬頭頂、及び下顎第二大臼歯T14の頬側咬頭頂を結ぶ曲線である。仮想曲線L2は、上下顎歯列を側方から見て、上顎における臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ曲線である。具体的には、仮想曲線L2は、上顎中切歯T1の切縁、上顎側切歯T2の切縁、上顎犬歯T3の尖頭、上顎第一小臼歯T4の頬側咬頭頂、上顎第二小臼歯T5の頬側咬頭頂、上顎第一大臼歯T6の頬側咬頭頂、及び上顎第二大臼歯T7の頬側咬頭頂を結ぶ曲線である。
仮想曲線L1は、修復部位が下顎歯列に位置する場合に用いられる。仮想曲線L2は、修復部位が上顎歯列に位置する場合に用いられる。仮想曲線L1,L2は、上下顎歯列の咬耗度合いにより変化する。
ステップST12は、仮想曲線L1,L2上に歯の先端が配置されるように、修復部位に複数の咬耗形状データを配置する。ステップST12では、設計装置20が、仮想曲線L1,L2上に歯の先端が配置されるように、修復部位に複数の咬耗形状データを配置する。下顎歯列において、歯の先端は、下顎中切歯T8の切縁、下顎側切歯T9の切縁、下顎犬歯T10の尖頭、下顎第一小臼歯T11の頬側咬頭頂、下顎第二小臼歯T12の頬側咬頭頂、下顎第一大臼歯T13の頬側咬頭頂、及び下顎第二大臼歯T14の頬側咬頭頂に対応する。また、上顎歯列において、歯の先端は、上顎中切歯T1の切縁、上顎側切歯T2の切縁、上顎犬歯T3の尖頭、上顎第一小臼歯T4の頬側咬頭頂、上顎第二小臼歯T5の頬側咬頭頂、上顎第一大臼歯T6の頬側咬頭頂、及び上顎第二大臼歯T7の頬側咬頭頂に対応する。
例えば、修復部位が下顎第二小臼歯T12である場合、仮想曲線L1上に下顎第二小臼歯T12の頬側咬頭頂が配置されるように、複数の下顎第二小臼歯T12の咬耗形状データが修復部位に配置される。
ステップST13は、複数の咬耗形状データにおいて、仮想曲線L1,L2上に歯の先端が配置された咬耗形状データで表される歯の辺縁隆線と、咬耗形状データで表される歯と隣り合う歯の辺縁隆線と、の間の距離を算出する。ステップST13においては、設計装置20が、上下顎歯列において、咬耗形状データで表される歯の辺縁隆線と、隣り合う歯の辺縁隆線と、の間の上下方向の距離を算出する。なお、隣り合う歯とは、咬耗形状データの少なくとも片側に配置される歯を意味する。
ステップST14は、算出した距離に基づいて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。ステップST14においては、設計装置20が、複数の咬耗形状データにおいて、算出した距離が所定の範囲に入っているか否かを判定する。即ち、設計装置20は、距離が第1閾値Q1以上第2閾値Q2以下であるか否かを判定する。例えば、第1閾値Q1は−0.5mmであり、第2閾値Q2は+0.5mmである。なお、咬耗形状データで表される歯の辺縁隆線が隣り合う歯の辺縁隆線よりも低い位置に配置される場合に距離は「正」となり、咬耗形状データで表される歯の辺縁隆線が隣り合う歯の辺縁稜線よりも高い位置に配置される場合に距離は「負」となる。
なお、上述した第1閾値Q1及び第2閾値Q2の値は例示であって、これらに限定されない。第1閾値Q1及び第2閾値Q2は、任意の値に設定することができる。また、歯の種類、患者の症例等に応じて、第1閾値Q1及び第2閾値Q2の値は異なっていてもよい。クラウン等の補綴装置の設計において、隣り合う歯の辺縁隆線と上下方向の高さを揃える事が求められる。当該高さを揃える事で、歯と歯の間に食片等が圧入する事を予防する事ができるからである。当該閾値を設定する事で、隣り合う歯の辺縁隆線の高さを揃える為の調整が最小限で済むという効果が得られる。
ステップST14において、設計装置20は、距離が所定の範囲に入っていると判定した咬耗形状データを選択する。
ステップST12−ST14では、複数の咬耗形状データS0〜S4のそれぞれに対して実施される。これにより、複数の咬耗形状データS0〜S4の中から上下顎歯列の咬耗度合いに適合する咬耗形状データを選択することができる。
図22は、仮想曲線L1に基づく咬耗形状データの選択の一例を説明するための模式図である。図22は、修復部位A1が下顎第二小臼歯T12である例を示す。なお、図22では、修復部位A1に、下顎第二小臼歯T12の第1咬耗形状データD1が配置されている。第1咬耗形状データD1は、咬耗する部分を削った下顎第二小臼歯T12の形状を有している。以下、図22を用いてステップST13及びST14を説明する。
図22に示すように、下顎第二小臼歯T12の第1咬耗形状データD1は、頬側咬頭頂が仮想曲線L1上に配置された状態で修復部位A1に配置されている。第1咬耗形状データD1で表される歯は、下顎第一小臼歯T11側に位置する第1辺縁稜線と、下顎第一大臼歯T13側に位置する第2辺縁稜線と、を有する。ステップST13では、設計装置20は、下顎歯列において、第1咬耗形状データD1で表される歯の第1辺縁隆線と下顎第一小臼歯T11の辺縁隆線との間の上下方向の距離M1を算出する。また、設計装置20は、下顎歯列において、第1咬耗形状データD1で表される歯の第2辺縁隆線と下顎第一大臼歯T13の辺縁隆線との間の上下方向の距離M2を算出する。
図23は、本発明に係る実施の形態2の設計方法において、複数の咬耗形状データの中から選択した咬耗形状データの一例を示す模式図である。図23では、修復部位A1に、下顎第二小臼歯T12の第2咬耗形状データD2が配置されている。第2咬耗形状データD2は、咬耗する部分を削った下顎第二小臼歯T12の形状を有している。
図23に示すように、ステップST14では、設計装置20は、複数の咬耗形状データの中から、距離M1,M2が所定の範囲内に入っていると判定された第2咬耗形状データD2を選択する。即ち、設計装置20は、複数の咬耗形状データの中から、距離M1,M2が第1閾値Q1以上第2閾値Q2以下である咬耗形状データを選択する。
このように、実施の形態2の歯科補綴装置の設計方法の選択ステップST4Aにおいては、ステップST11〜ST14を実施することにより、上下顎歯列の咬耗度合いに応じた咬耗形状データを選択している。
[効果]
本発明に係る実施の形態2の設計方法によれば、以下の効果を奏することができる。
実施の形態2における歯科補綴装置の設計方法においては、選択ステップST4Aは、仮想曲線L1,L2を作成するステップST11と、仮想曲線L1,L2に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップST12〜ST14と、を含む。仮想曲線L1,L2を作成するステップST11は、上下顎歯列を側方から見て、臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ仮想曲線L1,L2を作成する。
このような構成により、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを容易に選択することができる。これにより、歯科補綴装置の設計の作業量を減らし、且つ作業時間を短縮することができるため、歯科補綴装置の設計をさらに効率良く行うことができる。
仮想曲線L1,L2に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップST12〜ST14は、配置ステップST12、算出ステップST13及び選択ステップST14を含む。配置ステップST12は、仮想曲線L1,L2上に歯の先端が配置されるように、修復部位に複数の咬耗形状データを配置する。算出ステップST13は、複数の咬耗形状データにおいて、仮想曲線L1,L2上に歯の先端が配置された咬耗形状データで表される歯の辺縁隆線と、咬耗形状データで表される歯と隣り合う歯の辺縁隆線と、の間の距離M1,M2を算出する。選択ステップST14は、算出した距離M1,M2に基づいて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。このような構成により、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データをより容易に選択することができる。これにより、歯科補綴装置の設計をさらに効率良く行うことができる。
なお、実施の形態2では、選択ステップST4Aが、ステップST11〜ST14を含む例について説明したが、これに限定されない。選択ステップST4Aにおいては、これらのステップST11〜ST14は、減少、分割、及び統合してもよい。あるいは、選択ステップST4Aは、追加のステップを含んでいてもよい。
実施の形態2では、ステップST13において咬耗形状データの両隣の歯との辺縁稜線との2つの距離M1,M2を算出し、ステップST14において2つの距離M1,M2に基づいて咬耗形状データを選択する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ステップST13は、咬耗形状データの片側で隣り合う歯との辺縁稜線との1つの距離を算出してもよい。ステップST14は、1つの距離に基づいて複数の咬耗形状データの中から1つの咬耗形状データを選択してもよい。このような構成においても、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを容易に選択することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る設計方法について説明する。なお、実施の形態3では、主に実施の形態2と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態2と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態2と重複する記載は省略する。
実施の形態3の設計方法の一例について、図24を用いて説明する。図24は、本発明に係る実施の形態3の設計方法の選択ステップST4Bの一例を示すフローチャートである。
実施の形態3では、複数の咬耗形状データにおいて、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときの咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量又は離間量に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する点で、実施の形態2と異なる。
図24に示すように、実施の形態3における選択ステップST4Bは、仮想曲線を作成するステップST21、及び仮想曲線L1,L2に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップST22〜ST24、を含む。なお、実施の形態3におけるステップST21及びST22は、実施の形態2におけるステップST11及びST12と同じであるため説明を省略する。
ステップST23は、複数の咬耗形状データにおいて、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときの咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量又は離間量を算出する。ステップST23においては、設計装置20が、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときの咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量又は離間量を算出する。なお、干渉量とは、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときに、上下顎歯列の上下方向において上顎歯列の歯と下顎歯列の歯とが重なる量を意味する。離間量とは、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときに上顎歯列の歯と下顎歯列の歯とが、上下顎歯列の上下方向において離間する量を意味する。
ステップST24は、算出した干渉量又は離間量に基づいて複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。ステップST24においては、設計装置20が、複数の咬耗形状データにおいて、算出した干渉量又は離間量が所定の範囲に入っているか否かを判定する。即ち、設計装置20は、干渉量又は離間量が閾値Q3以下であるか否かを判定する。例えば、閾値Q3は、0.5mmである。
なお、上述した閾値Q3の値は例示であって、これに限定されない。閾値Q3は、任意の値に設定することができる。また、歯の種類に応じて、閾値Q3の値は異なっていてもよい。また、干渉量の閾値と離間量の閾値とは異なっていてもよい。
図25は、干渉量に基づく咬耗形状データの選択の一例を説明するための模式図である。図25は、修復部位A2が下顎第二小臼歯T12である例を示す。なお、図25では、修復部位A2に、下顎第二小臼歯T12の第1咬耗形状データD11が配置されている。第1咬耗形状データD11は、咬耗する部分を削った下顎第二小臼歯T12の形状を有している。以下、図25を用いてステップST23及びST24を説明する。
図25に示すように、下顎第二小臼歯T12の第1咬耗形状データD11は、頬側咬頭頂が仮想曲線上に配置された状態で修復部位A2に配置されている。第1咬耗形状データD11で表される歯は、対合歯である上顎第二小臼歯T5と干渉領域B1にて干渉する。
図26は、咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量の一例を説明するための模式図である。図26に示すように、干渉量M11は、上下顎歯列を側方から見て、上下顎歯列の上下方向において干渉領域B1の厚みが最も大きくなる部分の長さを意味する。ステップST23においては、設計装置20は、第1咬耗形状データD11で表される歯と対合歯との干渉量M11を算出する。
図27は、本発明に係る実施の形態3の設計方法において、複数の咬耗形状データの中から選択した咬耗形状データの一例を示す模式図である。図27は、第2咬耗形状データD12で表される歯は、その対合歯である上顎第二小臼歯T5と干渉領域B2にて干渉している。
図27に示すように、ステップST24では、設計装置20は、複数の咬耗形状データの中から、干渉量M12が所定の範囲内に入っていると判定された第2咬耗形状データD12を選択する。即ち、設計装置20は、複数の咬耗形状データの中から、干渉量M12が閾値Q3以下である第2咬耗形状データD12を選択する。
[効果]
本発明に係る実施の形態3の設計方法によれば、以下の効果を奏することができる。
実施の形態3における歯科補綴装置の設計方法においては、選択ステップST4Bは、仮想曲線L1,L2を作成するステップST21と、仮想曲線L1,L2に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップST22〜ST24と、を含む。仮想曲線L1,L2を作成するステップST21は、上下顎歯列を側方から見て、臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ仮想曲線L1,L2を作成する。仮想曲線L1,L2に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップST22〜ST24は、配置ステップST22、算出ステップST23及び選択ステップST24を含む。配置ステップST22は、仮想曲線L1,L2上に歯の先端が配置されるように、修復部位に複数の咬耗形状データを配置する。算出ステップST23は、複数の咬耗形状データにおいて、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときの咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量又は離間量を算出する。選択ステップST24は、算出した干渉量又は離間量に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択する。
このような構成により、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを容易に選択することができる。これにより、歯科補綴装置の設計の作業量を減らし、且つ作業時間を短縮することができるため、歯科補綴装置の設計をさらに効率良く行うことができる。
算出した干渉量又は前記離間量に基づいて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップST24は、干渉量又は離間量が0.5mm以下である咬耗形状データを選択する。このような構成により、上下顎歯列の咬耗度合いに応じて、複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データをより容易に選択することができる。これにより、歯科補綴装置の設計をさらに効率良く行うことができる。
実施例に基づき、歯科補綴装置の設計方法を更に説明するが、本発明は、以下に示す実施例により制限されない。
[臨床技工における咬耗度合いの異なる歯の形状データの有用性評価]
実施例1及び2と比較例1及び2とを用いて、歯科補綴装置の形状データの設計を行った。実施例1及び2は、実施の形態1の設計装置20を用いて歯科補綴装置の形状データの設計を行った。実施例1及び2では、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットを用いて、歯科補綴装置の形状データの設計を行った。なお、実施例1及び2では、図18に示す上下顎の歯の形状データのセットを用いた。比較例1及び2は、CADソフトウェア(DentalSystem2018.2.0,3Shape,デンマーク)を用いて、歯科補綴装置の形状データの設計を行った。比較例1及び2では、咬耗を考慮していない上下顎の歯の形状データ(VITA社の歯の形状データ)を用いて、歯科補綴装置の形状データの設計を行った。
実施例1及び比較例1は、上顎第一大臼歯T6におけるクラウンの形状データの設計を行った。実施例2及び比較例2は、下顎第一大臼歯T13におけるクラウンの形状データの設計を行った。実施例1は、咬耗形状データを用いて設計を行っている点を除いて、比較例1と同様の条件でクラウンを設計した。実施例2は、咬耗形状データを用いて設計を行っている点を除いて、比較例2と同様の条件でクラウンを設計した。
設計して得られたデータは、経験10年の歯科技工士が製作したクラウンのワックスパターンのスキャンデータと形状位置合わせを行い、3D表面偏差解析を行った。以下では、経験10年の歯科技工士が製作したクラウンのワックスパターンのスキャンデータを「基準データ」と称する。表面偏差解析の結果を図28−31、表1及び表2に示す。図28は、比較例1の表面偏差解析結果の一例を示す図である。図29は、実施例1の表面偏差解析結果の一例を示す図である。図30は、比較例2の表面偏差解析結果の一例を示す図である。図31は、実施例2の表面偏差解析結果の一例を示す図である。なお、以下では、実施例1と比較例1を症例1とし、実施例2及び比較例2を症例2として説明する。なお、表面偏差解析は、GOM社製GOM Insect 2017を用いて行った。表1及び表2における設計時間は、歯科補綴装置であるクラウンの形状データを作成した時間を意味する。
図28において、領域R1は、比較例1で設計したクラウンの形状と基準データのクラウンの形状とを比べて、乖離している部分を示す。図29において、領域R2は、実施例1で設計したクラウンの形状と基準データのクラウンの形状とを比べて、乖離している部分を示す。なお、乖離している部分とは、基準データと比べて、膨らんでいる部分及び/又は凹んでいる部分を意味する。図28及び図29に示すように、実施例1の領域R2は、比較例1の領域R1と比べて小さい。また、表1に示すように、標準偏差においては、実施例1は比較例1と比べて小さくなっている。このように、実施例1は、比較例1と比べて、歯科技工士が製作したクラウンのワックスパターンに近い形状になっていることがわかる。また、実施例1では、比較例1と比べて、設計時間を短くすることができた。歯科業界を含む工業界において、15%以上作業(設計)時間が短縮される事は有意であると言われている。実施例1において、比較例1よりも15%以上も設計時間が短縮されていることから、効率良く補綴装置の設計ができている事が思料できる。
図30において、領域R3は、比較例2で設計したクラウンの形状と基準データのクラウンの形状とを比べて、乖離している部分を示す。図31において、領域R4は、実施例2で設計したクラウンの形状と基準データのクラウンの形状とを比べて、乖離している部分を示す。図30及び図31に示すように、実施例2の領域R4は、比較例2の領域R3と比べて小さい。また、表2に示すように、3D表面偏差解析の算術平均及び標準偏差においては、実施例2は比較例2と比べて小さくなっている。このように、実施例2は、比較例2と比べて、歯科技工士が製作したクラウンのワックスパターンに近い形状になっていることがわかる。また、実施例2では、比較例2と比べて、設計時間を短くすることができた。実施例2においても、比較例2よりも15%以上も設計時間が短縮されていることから、効率良く補綴装置の設計ができている事が思料できる。
以上のことから、実施例1及び2は、比較例1及び2と比べて、適合性の高い歯科補綴装置を設計できている。また、実施例1及び2は、比較例1及び2と比べて、設計時間が短く、効率よく歯科補綴装置の形状データを設計できている。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
発明に係る歯科補綴装置の設計方法は、コンピュータを用いて咬耗等の加齢変化によって歯の形状が変化した患者に対する歯科補綴装置の設計を容易に且つ効率良く行うことができる。このため、歯科領域における歯科補綴装置の品質向上及び均一化に有用である。
1 製造システム
10 スキャナ
20 設計装置
21 プロセッサ
22 記憶部
23 入力部
24 表示部
30 加工装置
A1,A2 修復部位
B1 干渉領域
D1,D2,D11,D12 咬耗形状データ
L1,L2 仮想曲線
M1,M2 距離
M11,M12 干渉量
T1 上顎中切歯
T2 上顎側切歯
T3 上顎犬歯
T4 上顎第一小臼歯
T5 上顎第二小臼歯
T6 上顎第一大臼歯
T7 上顎第二大臼歯
T8 下顎中切歯
T9 下顎側切歯
T10 下顎犬歯
T11 下顎第一小臼歯
T12 下顎第二小臼歯
T13 下顎第一大臼歯
T14 下顎第二大臼歯

Claims (11)

  1. 科補綴装置を設計するためのコンピュータの作動方法であって、前記コンピュータが前記歯科補綴装置を設計するために実行するステップとして、
    上下顎歯列のスキャンデータを取得するステップ、
    前記スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定するステップ、
    上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットの中から、前記修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出すステップ、
    前記上下顎歯列の咬耗度合いに応じて前記複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択するステップ、
    選択した前記咬耗形状データを前記修復部位に配置するステップ、
    前記修復部位に配置された前記咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成するステップ、
    を含み、
    前記選択するステップは、
    上下顎歯列を側方から見て、上顎における臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ第1仮想曲線と、下顎における臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ第2仮想曲線と、のうち少なくとも1つを含む仮想曲線を作成すること、
    前記仮想曲線に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、
    を有する、
    コンピュータの作動方法。
  2. 前記複数の咬耗形状データは、複数の歯のそれぞれにおいて、咬耗する部分を歯冠側から歯根側に向かって段階的に削った複数の歯の形状データを含む、
    請求項1に記載のコンピュータの作動方法。
  3. 前記上下顎の歯の形状データのセットは、
    上顎中切歯、上顎側切歯、上顎犬歯、上顎第一小臼歯、上顎第二小臼歯、上顎第一大臼歯及び上顎第二大臼歯を含む上顎の歯の形状データと、
    下顎中切歯、下顎側切歯、下顎犬歯、下顎第一小臼歯、下顎第二小臼歯、下顎第一大臼歯及び下顎第二大臼歯を含む下顎の歯の形状データと、
    を含む、
    請求項1又は2に記載のコンピュータの作動方法。
  4. 前記上顎の歯の形状データは、
    前記上顎中切歯において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎中切歯の咬耗形状データと、
    前記上顎側切歯において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎側切歯の咬耗形状データと、
    前記上顎犬歯において、対合歯と接触する舌側面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎犬歯の咬耗形状データと、
    前記上顎第一小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第一小臼歯の咬耗形状データと、
    前記上顎第二小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第二小臼歯の咬耗形状データと、
    前記上顎第一大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第一大臼歯の咬耗形状データと、
    前記上顎第二大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の上顎第二大臼歯の咬耗形状データと、
    を含み、
    前記下顎の歯の形状データは、
    前記下顎中切歯において、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎中切歯の咬耗形状データと、
    前記下顎側切歯において、対合歯と接触する切縁を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎側切歯の咬耗形状データと、
    前記下顎犬歯において、対合歯と接触する尖頭を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎犬歯の咬耗形状データと、
    前記下顎第一小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第一小臼歯の咬耗形状データと、
    前記下顎第二小臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上2.00mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第二小臼歯の咬耗形状データと、
    前記下顎第一大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第一大臼歯の咬耗形状データと、
    前記下顎第二大臼歯において、対合歯と接触する咬合面を歯冠側から歯根側に向かって0.00mm以上1.50mm以下の範囲で段階的に削った複数の下顎第二大臼歯の咬耗形状データと、
    を含む、
    請求項3に記載のコンピュータの作動方法。
  5. 前記読み出すステップは、前記複数の咬耗形状データを表示部に表示すること、を有し、
    前記選択するステップは、ユーザの操作により入力部に入力された入力情報に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、を有する、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンピュータの作動方法。
  6. 前記仮想曲線に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択することは、
    前記仮想曲線上に歯の先端が配置されるように、前記修復部位に前記複数の咬耗形状データを配置すること、
    前記複数の咬耗形状データにおいて、前記仮想曲線上に歯の先端が配置された咬耗形状データで表される歯の辺縁隆線と、前記咬耗形状データで表される歯と隣り合う歯の辺縁隆線と、の間の距離を算出すること、
    算出した前記距離に基づいて前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、
    を有する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンピュータの作動方法。
  7. 前記仮想曲線に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択することは、
    前記仮想曲線上に歯の先端が配置されるように、前記修復部位に前記複数の咬耗形状データを配置すること、
    前記複数の咬耗形状データにおいて、上顎歯列と下顎歯列とを咬合したときの咬耗形状データで表される歯と対合歯との干渉量又は離間量を算出すること、
    算出した前記干渉量又は前記離間量に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、
    を有する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンピュータの作動方法。
  8. 算出した前記干渉量又は前記離間量に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択することは、前記干渉量又は前記離間量が0.5mm以下である咬耗形状データを選択する、
    請求項に記載のコンピュータの作動方法。
  9. 歯科補綴装置を設計するための装置であって、
    プロセッサと、
    前記プロセッサにより実行される命令を記憶した記憶部と、
    を備え、
    前記記憶部は、上下顎歯列のそれぞれの歯において咬耗度合いの異なる複数の咬耗形状データを有する上下顎の歯の形状データのセットを記憶し、
    前記命令は、
    上下顎歯列のスキャンデータを取得すること、
    前記スキャンデータに基づいて歯の修復部位を決定すること、
    前記上下顎の歯の形状データのセットの中から、前記修復部位に関連する歯の複数の咬耗形状データを読み出すこと、
    前記上下顎歯列の咬耗度合いに応じて前記複数の咬耗形状データの中から咬耗形状データを選択すること、
    選択した前記咬耗形状データを前記修復部位に配置すること、
    前記修復部位に配置された前記咬耗形状データから歯科補綴装置の形状データを作成すること、
    を含み、
    前記選択することは、
    上下顎歯列を側方から見て、上顎における臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ第1仮想曲線と、下顎における臼歯の頬側咬頭頂、犬歯の尖頭および切歯の切縁を結ぶ第2仮想曲線と、のうち少なくとも1つを含む仮想曲線を作成すること、
    前記仮想曲線に基づいて、前記複数の咬耗形状データの中から前記咬耗形状データを選択すること、
    を有する、
    設計装置。
  10. コンピュータに請求項1〜のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  11. コンピュータに請求項1〜のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのプログラム。
JP2020016368A 2020-02-03 2020-02-03 歯科補綴装置の設計方法および設計装置 Active JP6800358B1 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020016368A JP6800358B1 (ja) 2020-02-03 2020-02-03 歯科補綴装置の設計方法および設計装置
US17/164,205 US11980522B2 (en) 2020-02-03 2021-02-01 Method and apparatus for designing dental prosthetic device
EP21154687.4A EP3858287B1 (en) 2020-02-03 2021-02-02 Method and apparatus for designing dental prosthetic device
DK21154687.4T DK3858287T3 (da) 2020-02-03 2021-02-02 Fremgangsmåde og apparat til udformning af en tandproteseindretning

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020016368A JP6800358B1 (ja) 2020-02-03 2020-02-03 歯科補綴装置の設計方法および設計装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6800358B1 true JP6800358B1 (ja) 2020-12-16
JP2021122387A JP2021122387A (ja) 2021-08-30

Family

ID=73740933

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020016368A Active JP6800358B1 (ja) 2020-02-03 2020-02-03 歯科補綴装置の設計方法および設計装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US11980522B2 (ja)
EP (1) EP3858287B1 (ja)
JP (1) JP6800358B1 (ja)
DK (1) DK3858287T3 (ja)

Family Cites Families (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2694223B2 (ja) * 1988-05-27 1997-12-24 株式会社ジーシーデンタルプロダクツ 臼歯部用人工歯及びその咬合面部を置換する方法
JPH1075963A (ja) 1996-09-06 1998-03-24 Nikon Corp 歯科補綴物モデルの設計方法およびこの方法を実行するプログラムを記録した媒体
US7160110B2 (en) * 1999-11-30 2007-01-09 Orametrix, Inc. Three-dimensional occlusal and interproximal contact detection and display using virtual tooth models
US7156655B2 (en) * 2001-04-13 2007-01-02 Orametrix, Inc. Method and system for comprehensive evaluation of orthodontic treatment using unified workstation
DE10163105A1 (de) * 2001-12-23 2003-07-03 Zahn Spektrum Entwicklungsgese Zahnsatz
DE10252298B3 (de) * 2002-11-11 2004-08-19 Mehl, Albert, Prof. Dr. Dr. Verfahren zur Herstellung von Zahnersatzteilen oder Zahnrestaurationen unter Verwendung elektronischer Zahndarstellungen
DE10312848A1 (de) 2003-03-21 2004-10-07 Sirona Dental Systems Gmbh Datenbank, Zahnmodell und Zahnersatzteil, aufgebaut aus digitalisierten Abbildungen realer Zähne
US7695278B2 (en) * 2005-05-20 2010-04-13 Orametrix, Inc. Method and system for finding tooth features on a virtual three-dimensional model
US20090148816A1 (en) * 2007-01-11 2009-06-11 Geodigm Corporation Design of dental appliances
DE102009056752C5 (de) * 2009-12-04 2024-04-04 Kulzer Gmbh Herstellung individueller dentaler Prothesen via CAD/CAM und Rapid Manufacturing/Rapid Prototyping aus Daten der digitalen Abdrucknahme
WO2012021816A2 (en) * 2010-08-13 2012-02-16 Sensable Technologies, Inc. Systems for denture preparation
JP4997340B1 (ja) * 2011-08-23 2012-08-08 株式会社松風 咬耗評価装置、咬耗評価方法および咬耗評価プログラム
US9626462B2 (en) * 2014-07-01 2017-04-18 3M Innovative Properties Company Detecting tooth wear using intra-oral 3D scans
DE102014110154A1 (de) 2014-07-18 2016-01-21 Heraeus Kulzer Gmbh Dentalprothese zur Bestimmung von Abrasionsfacetten
US9737257B2 (en) * 2015-01-30 2017-08-22 3M Innovative Properties Company Estimating and predicting tooth wear using intra-oral 3D scans
US10357342B2 (en) 2016-09-21 2019-07-23 uLab Systems, Inc. Digital dental examination and documentation
RU2652014C1 (ru) * 2017-09-20 2018-04-24 Общество с ограниченной ответственностью "Авантис3Д" Способ использования динамического виртуального артикулятора для имитационного моделирования окклюзии при выполнении проектирования стоматологических протезов для пациента и носитель информации
US11039905B2 (en) * 2017-11-06 2021-06-22 Dds Company Prosthesis design method and system based on arch line
JP7382582B2 (ja) 2018-07-12 2023-11-17 株式会社DSi 技工物自動設計システム
DK3705080T3 (da) 2019-03-08 2021-08-23 Exocad Gmbh Computerimplementeret modellering af en patientindividuel tandprotesedel

Also Published As

Publication number Publication date
US20210236239A1 (en) 2021-08-05
DK3858287T3 (da) 2023-05-22
EP3858287B1 (en) 2023-04-19
EP3858287A1 (en) 2021-08-04
JP2021122387A (ja) 2021-08-30
US11980522B2 (en) 2024-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6949932B2 (ja) コンピュータにより実行される歯科修復物設計
US10893920B2 (en) Modeling a digital design of a denture
JP4959854B2 (ja) 咬合調整部分決定方法及び咬合調整部分決定プログラム
US9844430B2 (en) Apparatus and methods of making denture devices
JP5231398B2 (ja) 人工歯
USRE49008E1 (en) Method of composing and designing a set of teeth
JP6757671B2 (ja) 歯肉モデルの仮想二次加工方法
JP7186177B2 (ja) 歯科修復物の製造方法
CN112535545B (zh) 全口义齿的全流程数字化制作方法
WO2009010543A1 (en) Device for reshaping hard and soft tissues of the jaw and dentition
EP3212119A1 (en) Method, system and user interface for creating a digital design for use in manufacturing a molding-shell for a dental restoration
JPWO2018179554A1 (ja) 試適義歯、試適義歯作製プログラム、及び義歯作製方法
KR102054267B1 (ko) 주변 치아 특성을 이용하는 치과용 캐드 장치 및 그 구동방법
WO2013053903A1 (en) Method of globally designing a set of teeth
JP6800358B1 (ja) 歯科補綴装置の設計方法および設計装置
JP6802927B2 (ja) 試適義歯、及び試適義歯作製プログラム
KR102144369B1 (ko) 동명 치아 특성을 이용하는 치과용 캐드 장치 및 그 구동방법
Park et al. Optical impression in restorative dentistry
JP2022105976A (ja) 歯科技工器具セット、義歯の製造方法、及びプログラム
JP2013135875A (ja) 人工歯

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200203

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200203

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200609

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200616

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6800358

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250