JP6797753B2 - 伝搬特性測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、伝搬特性測定装置に関し、特に、光通信装置との間で信号を送受信し、光通信装置に至る光伝送路の特性を測定する装置に関する。
光信号によって情報を伝送する光通信システムが広く用いられている。光通信システムでは、複数のノードの間が光伝送路によって接続されている。各ノードは、光伝送路を介して他のノードとの間で光信号を送受信する。
一般に、光伝送路は光ファイバによって構成される。光ファイバは、伝送される光の波長によって伝搬速度が異なるという分散特性を有する。したがって、広がりのある波長スペクトラムを有する光信号が送信側のノードから送信された場合、光信号の各波長成分が受信側に到達するタイミングが波長成分ごとに異なる。そのため、受信側で受信される光信号には歪みが生じ、時間波形が崩れてしまうことがある。このような問題点の下、光通信システムを構成するノードには、光伝送路の分散特性を測定するものがある。受信側のノードは、受信された光信号に対して、分散特性に応じて歪み成分を補償する処理を実行する。あるいは、送信側のノードは、分散特性に応じて予め歪み成分を含ませた光信号を送信し、歪み成分が補償された光信号が受信側のノードで受信されるようにする。
以下の特許文献1には、光伝送路の分散特性を測定する技術が記載されている。特許文献1に記載されている光伝送システムでは、光伝送路の伝搬遅延時間を1つの波長成分について測定し、測定結果に基づいて分散特性が求められる。この伝搬遅延時間は、一方のノードから測定用信号が送信された後、測定用信号を受信した他方のノードから測定用信号(返送信号)が返送され、先の一方のノードで返送信号が受信されるまでの時間に基づいて測定される。
特開2003−121303号公報
特許文献1に記載されている光伝送システムでは、一方のノード(第1ノード)が測定用信号を送信し、他方のノード(第2ノード)から送信された返送信号を受信する。第2ノードは、測定用信号を受信してから返送信号を送信するまでの返信時間を返送信号に含ませる。第1ノードは、受信した返送信号から上記の返信時間を取得し、測定用信号を送信してから返送信号を受信するまでの時間から返信時間を減算して得られる値に基づいて伝搬遅延時間を求める。
一般に、光通信システムには、複数のノードのそれぞれにおいて個別に基準パルス信号が生成され、各ノードが自らの基準パルス信号に従うタイミングで信号を送信するものがある。光通信システムがこのような非同期システムである場合、一方のノードが測定信号を送信するタイミングと、他方のノードが返送信号を送信するタイミングは、非同期の別々の基準パルス信号に従う。そのため、返信時間が時間経過と共に変化し、返信時間を一定値として伝搬遅延時間を求めたのでは、第1ノードで求められる伝搬遅延時間に誤差が生じてしまう。
本発明は、光伝送路の伝搬遅延時間等、光伝送路の特性についての測定精度を高めることを目的とする。
本発明は、光通信装置に至る光伝送路の特性を測定する伝搬特性測定装置において、前記光通信装置に計測用信号を送信する送信部と、前記計測用信号に応じて前記光通信装置から送信された応答信号を受信する受信部と、前記計測用信号の送信タイミング、および前記応答信号の受信タイミングに基づいて、前記光通信装置までの伝搬遅延時間に関連する伝搬時間測定値を求める演算部と、を備え、前記演算部は、前記送信部から繰り返し送信された前記計測用信号、および、前記計測用信号に応じて前記光通信装置から繰り返し送信された前記応答信号から、時間経過と共に順次前記伝搬時間測定値を求め、測定開始時まで遡るまでの間、または所定時間だけ過去に遡るまでの間における前記伝搬時間測定値の最小値および最大値を前記伝搬時間測定値が求められる度に求め、前記伝搬遅延時間を示す値を、当該最小値および当該最大値を加算した値と、前記計測用信号の送信周期との差異に基づいて、前記伝搬時間測定値が求められる度に求めることを特徴とする。
望ましくは、第1情報または第2情報を含む前記計測用信号を生成する信号生成部を備え、前記信号生成部によって前記計測用信号が生成されると共に、前記送信部は、前記計測用信号を送信し、前記光通信装置は、第1情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第1情報を含む前記応答信号を送信し、第2情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第2情報を含む前記応答信号を送信し、前記信号生成部は、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第2情報を含む前記計測用信号を生成し、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第1情報を含む前記計測用信号を生成し、前記演算部は、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間また、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間に基づいて、前記伝搬時間測定値を求める。
望ましくは、第1情報または第2情報を含む前記計測用信号を生成する信号生成部を備え、前記信号生成部によって前記計測用信号が生成されると共に、前記送信部は、前記計測用信号を送信し、前記光通信装置は、第1情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第2情報を含む前記応答信号を送信し、第2情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第1情報を含む前記応答信号を送信し、前記信号生成部は、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第1情報を含む前記計測用信号を生成し、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第2情報を含む前記計測用信号を生成し、前記演算部は、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間、また、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間に基づいて、前記伝搬時間測定値を求める。
本発明によれば、光伝送路の特性についての測定精度を高めることができる。
光通信システムの構成を示す図である。 マスタ局の構成を示す図である。 スレーブ局の構成を示す図である。 遅延時間測定処理のシーケンスチャートである。 伝搬時間測定値Tmの時間特性の例を示す図である。 伝搬時間測定値Tmの時間特性および伝搬遅延時間の収束特性を示す図である。 伝搬時間測定値Tmの時間特性および伝搬遅延時間の収束特性を示す図である。
(1)光通信システムの動作の概要
図1には、本発明の実施形態に係る光通信システムが示されている。光通信システムは、マスタ局10、光ファイバ20、およびスレーブ局30から構成される。マスタ局10およびスレーブ局30のそれぞれは通信ノードをなし、これらの間は光ファイバ20によって接続されている。マスタ局10から光ファイバ20を介してスレーブ局30に光信号が送信され、スレーブ局30から光ファイバ20を介してマスタ局10に光信号が送信される。光ファイバ20に伝送される光信号は、ディジタル信号を含むフレームによって変調が施された光信号である。
光通信システムの動作の概要を説明する。マスタ局10は、スレーブ局30に所定の送信周期で下りフレームを繰り返し送信する。スレーブ局30は下りフレームを受信すると共に、その下りフレームに対応する上りフレームをマスタ局10に送信する。マスタ局10は、下りフレームを送信してから、その下りフレームに対応する上りフレームを受信するまでの時間を測定し、その測定値に基づいて、マスタ局10からスレーブ局30までの伝搬遅延時間を測定する。このように、マスタ局10は伝搬特性測定装置として動作し、計測用信号としての下りフレームの送信処理および応答信号としての上りフレームの受信処理に基づいて、光通信装置としてのスレーブ局30までの伝搬遅延時間を測定する。
一方、スレーブ局30は、マスタ局10から繰り返し送信された下りフレームのそれぞれに対応する上りフレームをマスタ局10に送信する。すなわち、スレーブ局30は、マスタ局10に所定の送信周期で上りフレームを繰り返し送信する。マスタ局10は上りフレームを受信すると共に、その上りフレームに対応する下りフレームを送信する。スレーブ局30は、上りフレームを送信してから、その上りフレームに対応する下りフレームを受信するまでの時間を測定し、その測定値に基づいて、スレーブ局30からマスタ局10までの伝搬遅延時間を測定する。このように、スレーブ局30は伝搬特性測定装置として動作し、計測用信号としての上りフレームの送信処理および応答信号としての下りフレームの受信処理に基づいて、光通信装置としてのマスタ局10までの伝搬遅延時間を測定する。
マスタ局10またはスレーブ局30は、測定によって得られた伝搬遅延時間に基づいて、自らが送信するフレーム、あるいは、自らが受信したフレームに対して後述の分散特性補償処理を施す。
本実施形態においては、マスタ局10が下りフレームを送信する周期、およびスレーブ局30が上りフレームを送信する周期が、マスタ局10とスレーブ局30との間の往復伝搬時間よりも短い。このような短周期条件が成立する場合、マスタ局10は、下りフレームを送信してから、その下りフレームに対応する上りフレームを受信する前に、次の下りフレームを送信する。この場合、下りフレームを送信した直後に受信される上りフレームは、その下りフレームを送信する前に送信した下りフレームに対応する上りフレームとなる。同様に、スレーブ局30は、上りフレームを送信してから、その上りフレームに対応する下りフレームを受信する前に、次の上りフレームを送信する。この場合、上りフレームを送信した直後に受信される下りフレームは、その上りフレームを送信する前に送信した上りフレームに対応する下りフレームとなる。
したがって、短周期条件が成立する場合には、マスタ局10は、下りフレームを送信するタイミングと、その下りフレームを送信した直後に上りフレームが受信されるタイミングとに基づいて、伝搬遅延時間を測定することはできない。同様に、短周期条件が成立する場合には、スレーブ局30は、上りフレームを送信するタイミングと、その上りフレームを送信した直後に下りフレームが受信されるタイミングとに基づいて、伝搬遅延時間を測定することはできない。また、短周期条件を成立させない場合には、伝搬遅延時間の測定対象となる光ファイバ20は、1送信周期の間に光が往復する距離よりも短いものに限られ、測定可能な光ファイバ20の長さが制限されてしまう。
そこで、下りフレームおよび上りフレームには、フレームを識別するための1ビットの測定フラグが設けられている。
マスタ局10は、測定フラグが1であるオン下りフレームをスレーブ局30に送信する。オン下りフレームを受信したスレーブ局30は、測定フラグが1であるオン上りフレームをマスタ局10に送信する。
オン上りフレームを受信したマスタ局10は、測定フラグを0に反転したオフ下りフレームをスレーブ局30に送信する。オフ下りフレームを受信したスレーブ局30はオフ上りフレームをマスタ局10に送信する。
オフ上りフレームを受信したマスタ局10は、測定フラグを1に反転したオン下りフレームをスレーブ局30に送信する。オン下りフレームを受信したスレーブ局30は、オン上りフレームをマスタ局10に送信する。
このような動作の下では、マスタ局10がオフ下りフレームを送信した後に、オン下りフレームを送信すると、スレーブ局30はマスタ局10に、オフ上りフレームを送信した後に、オン上りフレームを送信する。
マスタ局10は、繰り返し送信する下りフレームを、オフ下りフレームからオン下りフレームに切り換えてから、繰り返し受信する上りフレームがオフ上りフレームからオン上りフレームに切り換わるまでの時間に基づいてスレーブ局30までの伝搬遅延時間を測定する。
また、このような動作の下では、スレーブ局30がオフ下りフレームを受信した後に、オン下りフレームを受信したことに応じて、スレーブ局30はオフ上りフレームを送信した後に、オン上りフレームを送信する。これに応じて、マスタ局10はスレーブ局30にオン下りフレームを送信した後に、オフ下りフレームを送信する。
スレーブ局30は、繰り返し受信する下りフレームが、オフ下りフレームからオン下りフレームに切り換わってから、繰り返し受信する下りフレームが、オン下りフレームからオフ下りフレームに切り換わるまでの時間に基づいてマスタ局10までの伝搬遅延時間を測定する。
このように、マスタ局10は、繰り返し受信される一連の上りフレームに含まれる測定フラグの変化によって、自らが送信した下りフレームに対応する上りフレームを識別する。また、スレーブ局30は、繰り返し受信される一連の下りフレームに含まれる測定フラグの変化によって、自らが送信した下りフレームに対応する上りフレームを識別する。したがって、短周期条件が成立する場合であっても伝搬遅延時間を求めることができる。
なお、下りフレームおよび上りフレームのそれぞれは、1ビットの測定フラグに代えて、複数ビットの測定情報を有してもよい。例えば、測定フラグの値「1」を、測定情報が表すことのできる複数種の情報のうちの第1の情報に対応させ、測定フラグの値「0」を、測定情報が表すことのできる複数種の情報のうちの第2の情報に対応させてもよい。
(2)光通信システムの構成
図2にはマスタ局10の詳細な構成が示されている。マスタ局10は、計測信号生成部12、フレーム送受信部14、送信パルス生成部28、電気/光変換部16、合分波器18、光/電気変換部22、演算部26および情報取得部24を備える。
計測信号生成部12、フレーム送受信部14、演算部26および情報取得部24は、プログラムに応じて動作するプロセッサによって構成されてもよい。また、これらの構成要素は、ディジタル回路によって個別に構成されてもよい。
送信パルス生成部28は、基準パルス信号としてのマスタ局送信パルス信号を計測信号生成部12およびフレーム送受信部14に出力する。マスタ局送信パルス信号は、マスタ局10の送信動作を規定する。
計測信号生成部12は下り計測信号Wを生成し、演算部26およびフレーム送受信部14に出力する。下り計測信号Wは、下りフレームを生成する際に測定フラグの値を決定するための信号であり、ハイレベルおよびローレベルの2種類のレベルを有する。計測信号生成部12が下り計測信号Wのレベルを設定するタイミングは、マスタ局送信パルス信号に従う。
フレーム送受信部14は、下りフレームを生成する下り信号生成部、および下りフレームを電気/光変換部16を介して送信する送信部として動作する。フレーム送受信部14は測定フラグを有する下りフレームを所定の送信周期Tで生成し、電気/光変換部16に出力する。フレーム送受信部14が下りフレームを出力するタイミングは、マスタ局送信パルス信号に従う。
下りフレームは、ヘッダ部およびペイロード部から構成される。ヘッダ部は測定フラグを含み、ペイロード部は下り情報を含む。下り情報はスレーブ局30に送信すべき伝送対象の情報である。下りフレームを送信する際に、フレーム送受信部14は、下り計測信号Wがハイレベルであるときは測定フラグを1とし、下り計測信号Wがローレベルであるときは測定フラグを0とする。
電気/光変換部16は、下りフレームを電気信号から光信号に変換し、合分波器18に出力する。合分波器18は下りフレームを光ファイバ20に出力し、光ファイバ20は下りフレームをスレーブ局30に伝送する。
スレーブ局30は、所定の送信周期Tで上りフレームを光ファイバ20に出力する。上りフレームは、ヘッダ部およびペイロード部から構成される。ヘッダ部は測定フラグを含み、ペイロード部は上り情報を含む。上り情報はマスタ局10に送信すべき伝送対象の情報である。
光ファイバ20は上りフレームをマスタ局10に伝送する。合分波器18は、光ファイバ20から伝送された上りフレームを光/電気変換部22に出力する。光/電気変換部22は、上りフレームを光信号から電気信号に変換し、フレーム送受信部14に出力する。
フレーム送受信部14は、上りフレームを受信する受信部として動作する。フレーム送受信部14は、上りフレームから上り情報を抽出し情報取得部24に出力する。情報取得部24は、テキストの表示、画像の表示、音声の再生等、上り情報に応じた処理を実行する。
また、フレーム送受信部14は、上りフレームに含まれる測定フラグの値に応じた上り計測信号Uを演算部26および計測信号生成部12に出力する。フレーム送受信部14は、測定フラグの値が1であるときは上り計測信号Uをハイレベルとし、測定フラグの値が0であるときは上り計測信号Uのレベルをローレベルとする。上り計測信号Uのレベルは、次の上りフレームが受信されるまで維持される。
演算部26は、下り計測信号Wおよび上り計測信号Uに基づいて、後述する遅延時間測定処理を実行し、マスタ局10からスレーブ局30までの伝搬遅延時間Dを求める。
電気/光変換部16は、伝搬遅延時間Dに基づいて、下りフレーム対して分散特性補償処理を施す。例えば、電気/光変換部16は、伝搬遅延時間Dに基づいて光ファイバ20の長さを求める。そして、光ファイバ20から下りフレームに対して与えられる歪み成分を光ファイバ20の長さに基づいて求め、この歪み成分がスレーブ局30側で抑制されるような逆歪み成分を下りフレームに与える。光/電気変換部22もまた、上りフレーム対して分散特性補償処理を施してもよい。例えば、光/電気変換部22は、光ファイバ20から上りフレームに対して与えられた歪み成分を伝搬遅延時間Dに基づいて求め、この歪み成分を上りフレームから減算する。ただし、後述のように、スレーブ局30側で分散特性補償処理が実行される場合には、電気/光変換部16および光/電気変換部22は分散特性補償処理を実行する必要はない。
なお、計測信号生成部12は、フレーム送受信部14から出力された上り計測信号Uがローレベルからハイレベルになったときは、自らが出力する下り計測信号Wをハイレベルからローレベルに設定する。また、計測信号生成部12は、フレーム送受信部14から出力された上り計測信号Uがハイレベルからローレベルになったときは、自らが出力する下り計測信号Wをローレベルからハイレベルに設定する。
図3にはスレーブ局30の詳細な構成が示されている。スレーブ局30は、マスタ局10と同様の構成を有している。図2に示されている構成要素と同一の構成要素については同一の符号の後に「S」の符号を付して、マスタ局10の構成要素と区別する。
送信パルス生成部28Sは、スレーブ局送信パルス信号を計測信号生成部12Sおよびフレーム送受信部14Sに出力する。スレーブ局送信パルス信号は、スレーブ局30の送信動作を規定する。マスタ局10で生成されるマスタ局送信パルス信号と、スレーブ局30で生成されるスレーブ局送信パルス信号とは同期していなくてもよい。
計測信号生成部12Sは上り計測信号USを生成し、演算部26Sおよびフレーム送受信部14Sに出力する。上り計測信号USは、上りフレームを生成する際に測定フラグの値を決定するための信号であり、ハイレベルおよびローレベルの2種類のレベルを有する。計測信号生成部12Sが上り信号USのレベルを設定するタイミングは、スレーブ局送信パルス信号に従う。
フレーム送受信部14Sは、上りフレームを生成する上り信号生成部、および上りフレームを電気/光変換部16Sを介して送信する送信部として動作する。フレーム送受信部14Sは上りフレームを所定の送信周期Tで生成し、電気/光変換部16Sに出力する。フレーム送受信部14Sが上りフレームを出力するタイミングは、スレーブ局送信パルス信号に従う。上りフレームを生成する際に、フレーム送受信部14Sは、上り計測信号USがハイレベルであるときは測定フラグを1とし、上り計測信号USがローレベルであるときは測定フラグを0とする。
電気/光変換部16Sは、上りフレームを電気信号から光信号に変換し、合分波器18Sに出力する。合分波器18Sは上りフレームを光ファイバ20に出力し、光ファイバ20は上りフレームをマスタ局10に伝送する。
合分波器18Sは、マスタ局10から送信され、光ファイバ20から伝送された下りフレームを光/電気変換部22Sに出力する。光/電気変換部22Sは、下りフレームを光信号から電気信号に変換し、フレーム送受信部14Sに出力する。
フレーム送受信部14Sは、下りフレームを受信する受信部として動作する。フレーム送受信部14Sは、下りフレームから下り情報を抽出し情報取得部24Sに出力する。情報取得部24Sは、テキストの表示、画像の表示、音声の再生等、下り情報に応じた処理を実行する。
また、フレーム送受信部14Sは、下りフレームに含まれる測定フラグの値に応じた下り計測信号WSを演算部26Sおよび計測信号生成部12Sに出力する。フレーム送受信部14Sは、測定フラグの値が1であるときは下り計測信号WSをハイレベルとし、測定フラグの値が0であるときは下り計測信号WSのレベルをローレベルとする。下り計測信号WSのレベルは、次の下りフレームが受信されるまで維持される。
演算部26Sは、下り計測信号WSおよび上り計測信号USを用いて、後述する遅延時間測定処理を実行し、スレーブ局30からマスタ局10までの伝搬遅延時間Dを求める。
電気/光変換部16Sは、伝搬遅延時間Dに基づいて、上りフレーム対して分散特性補償処理を施す。例えば、電気/光変換部16Sは、伝搬遅延時間Dに基づいて光ファイバ20の長さを求める。そして、光ファイバ20から上りフレームに対して与えられる歪み成分を伝搬遅延時間に基づいて求め、この歪み成分がマスタ局10側で抑制されるような逆歪み成分を上りフレームに与える。光/電気変換部22Sもまた、下りフレーム対して分散特性補償処理を施してもよい。例えば、光/電気変換部22Sは、光ファイバ20から下りフレームに対して与えられた歪み成分を伝搬遅延時間に基づいて求め、この歪み成分を下りフレームから減算する。ただし、マスタ局10側で分散特性補償処理が実行される場合には、電気/光変換部16Sおよび光/電気変換部22Sは分散特性補償処理を実行する必要はない。
なお、計測信号生成部12Sは、フレーム送受信部14Sから出力された下り計測信号WSがローレベルからハイレベルになったときは、自らが出力する上り計測信号USをローレベルからハイレベルに設定する。また、計測信号生成部12Sは、フレーム送受信部14Sから出力された下り計測信号WSがハイレベルからローレベルになったときは、自らが出力する上り計測信号USをハイレベルからローレベルに設定する。
マスタ局10が備える計測信号生成部12が、下り計測信号Wのレベルを上り計測信号Uのレベルと異ならしめるのに対し、スレーブ局30が備える計測信号生成部12Sは、上り計測信号USのレベルを、下り計測信号WSのレベルと同一にする。
(3)遅延時間測定処理
(3−1)遅延時間測定処理のシーケンスチャート
図4(a)〜(h)には、遅延時間測定処理のシーケンスチャートが示されている。各図に示されている横軸は時間を示し、縦軸は信号のレベルを示す。図4(a)はマスタ局送信パルス信号を示す。マスタ局10は、マスタ局送信パルス信号に従うタイミングで下りフレームを所定の送信周期Tで繰り返し送信する。オン下りフレームに対応するマスタ局送信パルス信号は実線で示され、オフ下りフレームに対応するマスタ局送信パルス信号は破線で示されている。
図4(b)は、マスタ局10で生成される下り計測信号Wを示す。下り計測信号Wがハイレベルであるときはオン下りフレームがマスタ局10から送信され、下り計測信号Wがローレベルであるときはオフ下りフレームがマスタ局10から送信される。
図4(c)はスレーブ局受信パルス信号を示す。スレーブ局受信パルス信号は、下りフレームの受信タイミングを示し、スレーブ局30が備えるフレーム送受信部14Sの内部で生成される。オン下りフレームに対応するスレーブ局受信パルス信号は実線で示され、オフ下りフレームに対応するスレーブ局受信パルス信号は破線で示されている。
図4(d)は、スレーブ局30で生成される下り計測信号WSを示す。オン下りフレームがスレーブ局30で受信されたときは、下り計測信号WSはハイレベルとなり、オフ下りフレームがスレーブ局30で受信されたときは、下り計測信号WSはローレベルとなる。
図4(e)はスレーブ局送信パルス信号を示す。オン上りフレームに対応するスレーブ局送信パルス信号は実線で示され、オフ上りフレームに対応するスレーブ局送信パルス信号は破線で示されている。スレーブ局30は、スレーブ局送信パルス信号に従うタイミングで上りフレームを所定の送信周期Tで繰り返し送信する。オン上りフレームに対応するスレーブ局送信パルス信号は実線で示され、オフ上りフレームに対応するスレーブ局送信パルス信号は破線で示されている。
図4(f)は、スレーブ局30で生成される上り計測信号USを示す。上り計測信号USがハイレベルであるときは、オン上りフレームがスレーブ局30から送信され、上り計測信号USがローレベルであるときは、オフ上りフレームがスレーブ局30から送信される。
図4(g)は、マスタ局受信パルス信号を示す。マスタ局受信パルス信号は、上りフレームの受信タイミングを示し、マスタ局10が備えるフレーム送受信部14の内部で生成される。オン上りフレームに対応するマスタ局受信パルス信号は実線で示され、オフ上りフレームに対応するマスタ局受信パルス信号は破線で示されている。
図4(h)は、マスタ局10で生成される上り計測信号Uを示す。オン上りフレームがマスタ局10で受信されたときは、上り計測信号Uはローレベルからハイレベルとなり、オフ上りフレームがマスタ局10で受信されたときは、上り計測信号Uはローレベルとなる。
(3−2)マスタ局10およびスレーブ局30が実行する処理
図4(a)〜(h)を参照して、マスタ局10およびスレーブ局30が伝搬遅延時間を測定する処理について説明する。マスタ局10の計測信号生成部12は、時刻t1に下り計測信号Wをローレベルからハイレベルにする。これに伴って、マスタ局10は時刻t1にオン下りフレームを送信する。
光ファイバ20によって伝送されたオン下りフレームは、時刻t2にスレーブ局30で受信される。これに伴って、スレーブ局30のフレーム送受信部14Sは、計測信号生成部12Sに出力する下り計測信号WSをローレベルからハイレベルにする。
下り計測信号WSがハイレベルになった時刻t2の後の時刻t3に、スレーブ局30の計測信号生成部12Sは上り計測信号USをローレベルからハイレベルにする。スレーブ局30は、時刻t3にオン上りフレームを送信する。
時刻t2および時刻t3の差はループ遅延時間Lsに基づく。ループ遅延時間Lsは、マスタ局送信パルス信号とスレーブ局送信パルス信号とが同期していないことに起因する遅延時間である。
光ファイバ20によって伝送された上りフレームは、時刻t4にマスタ局10で受信される。これに伴って、マスタ局10のフレーム送受信部14は、計測信号生成部12に出力する上り計測信号Uをローレベルからハイレベルにする。
上り計測信号Uがハイレベルになった時刻t4の後の時刻t5に、マスタ局10の計測信号生成部12は下り計測信号Wをハイレベルからローレベルにする。マスタ局10は、時刻t5にオフ下りフレームを送信する。時刻t4および時刻t5の差はループ遅延時間Lmに基づく。ループ遅延時間Lmは、マスタ局送信パルス信号とスレーブ局送信パルス信号とが同期していないことに起因する遅延時間であり、ループ遅延時間Lsと同様の特性を有する。
光ファイバ20によって伝送されたオフ下りフレームは、時刻t6にスレーブ局30で受信される。これに伴って、スレーブ局30のフレーム送受信部14Sは、計測信号生成部12Sに出力する下り計測信号WSをハイレベルからローレベルにする。
下り計測信号WSがローレベルになった時刻t6の後の時刻t7に、スレーブ局30の計測信号生成部12Sは上り計測信号USをハイレベルからローレベルにする。スレーブ局30は、時刻t7にオフ上りフレームを送信する。
マスタ局10が伝搬遅延時間Dを測定する処理について説明する。マスタ局10の演算部26は、下り計測信号Wが立ち上がってから上り計測信号Uが立ち上がるまでの時間Tm=t4−t1を測定する。そして、次の(数1)に従ってスレーブ局30までの伝搬遅延時間Dを求める。
(数1)D=(Tm−Ls−Tc)/2
Lsは上述のループ遅延時間である。Tcは、光通信システムに固有の固定遅延時間であり、例えば、次の(i)〜(iv)に列挙した時間を加算合計したものである。(i)マスタ局10において下り計測信号Wが立ち上がってから、オン下りフレームが光ファイバ20に出力されるまでの時間、(ii)スレーブ局30においてオン下りフレームが受信されてから下り計測信号WSが立ち上がるまでの時間、(iii)スレーブ局30において上り計測信号USが立ち上がってから、オン上りフレームが光ファイバ20に出力されるまでの時間、および(iv)マスタ局10においてオン上りフレームが受信されてから上り計測信号Uが立ち上がるまでの時間。
ループ遅延時間Lsは、通常、時間経過と共に変化する。ループ遅延時間Lsの最小値は0であり、最大値はマスタ局10およびスレーブ局30の送信周期Tである。ただし、ループ遅延時間Lsが伝搬遅延時間Dよりもある程度小さい場合には、ループ遅延時間Lsは、近似的に一定値としてもよい。この場合、ループ遅延時間Lsは近似的に送信周期Tの半分としてもよい。
また、ループ遅延時間Lsを近似的に一定値として扱う場合、ループ遅延時間Lsと固定遅延時間Tcとを併せた時間Ls+Tcは、光通信システムの据え付け時に測定し、予め演算部26に記憶させておいてもよい。この測定は、例えば、マスタ局10とスレーブ局30とを光ファイバ20を介さずに直結し、あるいは、光ファイバ20として伝搬遅延時間が0とみなせる程短い光ファイバを用いて時間Tmを測定することで行われる。この条件下での測定値Tmは、ループ遅延時間Lsおよび固定遅延時間Tcを併せた時間Ls+Tcに等しいため、この測定値が時間Ls+Tcとして演算部26に記憶される。
また、上記(i)および(ii)を加算した下り固定遅延時間Tc1と、上記(iii)および(iv)を加算した上り固定遅延時間Tc2とが等しい値T0である場合には、マスタ局10は、次の(数2)に従ってスレーブ局30までの伝搬遅延時間Dを求めてもよい。
(数2)D=(Tm−Ls)/2−T0
なお、図4に示されている伝搬遅延時間D1、すなわち、マスタ局10における下り計測信号Wが立ち上がってから、スレーブ局30における下り計測信号WSが立ち上がるまでの時間(t2−t1)は、下り固定遅延時間Tc1を誤差として含む伝搬遅延時間である。また、伝搬遅延時間D2、すなわち、スレーブ局30における上り計測信号USが立ち上がってから、マスタ局10における上り計測信号Uが立ち上がるまでの時間(t4−t3)は、上り固定遅延時間Tc2を誤差として含む伝搬遅延時間である。
上述のように、マスタ局10の電気/光変換部16は、スレーブ局30側で分散特性補償処理が実行されないことを条件に、伝搬遅延時間Dに基づいて、下りフレームに対して分散特性補償処理を施してもよい。また、光/電気変換部22は、スレーブ局30側で分散特性補償処理が実行されないことを条件に、上りフレームに対して分散特性補償処理を施してもよい。
スレーブ局30が実行する処理について説明する。スレーブ局30の演算部26Sは、下り計測信号WSが立ち上がってから下り計測信号WSが立ち下がるまでの時間Ts=t6−t2を測定する。そして、次の(数3)に従って、マスタ局10までの伝搬遅延時間Dを求める。
(数3)D=(Ts−Ls−Lm−Tc)/2
ループ遅延時間Lmは、通常、時間経過と共に変化する。ループ遅延時間Lmの最小値は0であり、最大値はマスタ局10およびスレーブ局30の送信周期Tである。ただし、ループ遅延時間Lmが伝搬遅延時間Dよりもある程度小さい場合には、ループ遅延時間Lmは、近似的に一定値としてもよい。この場合、ループ遅延時間Lmは近似的に送信周期Tの半分としてもよい。
また、ループ遅延時間LsおよびLmを近似的に一定値として扱う場合、ループ遅延時間LsおよびLmと、固定遅延時間Tcとを併せた時間Ls+Lm+Tcは、光通信システムの据え付け時に測定し、予め演算部26に記憶させておいてもよい。この測定は、例えば、マスタ局10とスレーブ局30とを光ファイバ20を介さずに直結し、あるいは、光ファイバ20として伝搬遅延時間が0とみなせる程短い光ファイバを用いて時間Tsを測定することで行われる。この条件下での測定値Tsは、ループ遅延時間Ls、ループ遅延時間Lmおよび固定遅延時間Tcを併せた時間Ls+Lm+Tcに等しいため、この測定値が時間Ls+Lm+Tcとして演算部26に記憶される。
下り固定遅延時間Tc1と上り固定遅延時間Tc2とが等しい値T0である場合には、スレーブ局30は、次の(数4)に従ってスレーブ局30までの伝搬遅延時間Dを求めてもよい。
(数4)D=(Ts−Ls−Lm)/2−T0
上述のように、スレーブ局30の電気/光変換部16Sは、マスタ局10側で分散特性補償処理が実行されないことを条件に、伝搬遅延時間Dに基づいて、上りフレームに対して分散特性補償処理を施してもよい。光/電気変換部22Sは、マスタ局10側で分散特性補償処理が実行されないことを条件に、下りフレームに対して分散特性補償処理を施してもよい。
(3−3)その他の処理
上記では、マスタ局10の演算部26が、下り計測信号Wが立ち上がってから上り計測信号Uが立ち上がるまでの時間に基づいて伝搬遅延時間Dを求める処理について説明した。この処理を含めて、マスタ局10の演算部26は、次の(a)に示す時刻のいずれかから(b)に示す時刻のいずれかまでの時間の測定に基づいて伝搬遅延時間Dを求めてもよい。
(a)上り計測信号Uが立ち下がった時刻または下り計測信号Wが立ち上がった時刻
(b)上り計測信号Uが立ち上がった時刻または下り計測信号Wが立ち下がった時刻
マスタ局10は、このようにして求められた伝搬時間測定値から、ループ遅延時間LsおよびLmのうち伝搬時間測定値に含まれる一方または両方と、固定遅延時間Tcとを減算し、2で除した値を伝搬遅延時間として求める。
また、上記では、スレーブ局30が、下り計測信号WSが立ち上がってから下り計測信号WSが立ち下がるまでの時間に基づいて伝搬遅延時間Dを求める処理について説明した。この処理を含めて、スレーブ局30は、次の(c)に示す時刻のいずれかから(d)に示す時刻のいずれかまでの時間の測定に基づいて伝搬遅延時間Dを求めてもよい。
(c)下り計測信号WSが立ち上がった時刻または上り計測信号USが立ち上がった時刻(d)下り計測信号WSが立ち下がった時刻または上り計測信号USが立ち下がった時刻
スレーブ局30は、このようにして求められた伝搬時間測定値から、ループ遅延時間LsおよびLmのうち伝搬時間測定値に含まれる一方または両方と、固定遅延時間Tcとを減算し、2で除した値を伝搬遅延時間として求める。
このような処理によって、マスタ局10は、下りフレームを送信してから、その下りフレームに対応する上りフレームが受信されるまでの時間に基づいて、スレーブ局30までの伝搬遅延時間を求め、分散特性補償処理を実行する。マスタ局10は、繰り返し送信する下りフレームに含まれる測定フラグの変化と、繰り返し受信する上りフレームに含まれる測定フラグの変化に基づいて、下りフレームに対応する上りフレームの受信タイミングを認識する。したがって、短周期条件が成立する場合であっても、伝搬遅延時間を測定する処理が容易となる。また、短周期条件が成立する場合であっても、マスタ局10はスレーブ局30までの伝搬遅延時間を求め、1送信周期の間に光が往復する距離よりも長い光ファイバ20について伝搬遅延時間を求めることができる。
同様に、スレーブ局30は、上りフレームを送信してから、その上りフレームに対応する下りフレームが受信されるまでの時間に基づいて、マスタ局10までの伝搬遅延時間を求め、分散特性補償処理を実行する。スレーブ局30は、繰り返し送信する上りフレームに含まれる測定フラグの変化と、繰り返し受信する下りフレームに含まれる測定フラグの変化に基づいて、上りフレームに対応する下りフレームの受信タイミングを認識する。したがって、短周期条件が成立する場合であっても、伝搬遅延時間を測定する処理が容易となる。また、スレーブ局30はマスタ局10までの伝搬遅延時間を求め、1送信周期の間に光が往復する距離よりも長い光ファイバ20について伝搬遅延時間を求めることができる。
本実施形態に係る通信システムでは、フレームを区別するための測定フラグが1ビットであればよいため、フレームに含まれる情報が少なくなるという利点がある。さらに、下りフレームには伝送対象の情報として下り情報が含まれ、上りフレームには伝送対象の情報として上り情報が含まれる。したがって、マスタ局10およびスレーブ局30との間で、テキスト情報、画像情報、音声情報等の情報を送受信しながら、高頻度(リアルタイム)で分散特性補償処理を実行することができる。
(3−4)高精度測定処理
ループ遅延時間を直接測定することなく伝搬遅延時間を測定する高精度測定処理について説明する。図4に示されるループ遅延時間Lsは、マスタ局パルス信号およびスレーブ局パルス信号が同期していないことに起因して時間経過と共に変動する。そのため、マスタ局10における下り計測信号Wが立ち上がってから上り計測信号Uが立ち上がるまでの伝搬時間測定値Tmもまた、時間経過と共に変動する。
図5には、伝搬時間測定値Tmの時間特性の例が示されている。横軸は時間を示し縦軸は伝搬時間測定値Tmを示す。ループ遅延時間Lsは、時間経過に従って0から送信周期Tの間で変動する。ループ遅延時間Lsの最小値は0であり、最大値は送信周期Tである。これに伴って、伝搬時間測定値Tmは送信周期Tの幅で変動する。ループ遅延時間Lsが0となったときに伝搬時間測定値Tmは最小となり、ループ遅延時間Lsによる誤差が含まれない高精度測定値Tm0が求められる。
すなわち、マスタ局10の演算部26は、複数周期に亘って伝搬時間測定値Tmを求め、伝搬時間測定値Tmの最小値を高精度測定値Tm0として求める。演算部26は、次の(数5)に従って伝搬遅延時間Dを求める。(数5)は、(数1)において伝搬時間測定値Tmを高精度測定値Tm0とし、ループ遅延時間Lsを0とすることで導かれる。
(数5)D=(Tm0−Tc)/2
例えば、演算部26は、過去に遡って予め定められた複数周期における伝搬時間測定値Tmの最小値を高精度測定値Tm0として求め、この高精度測定値Tm0に基づいて伝搬遅延時間Dを求めてもよい。この場合、演算部26は、1送信周期が経過する毎に新たに高精度測定値Tm0を求め、この高精度測定値Tm0に基づいて新たに伝搬遅延時間Dを求める。
このように、演算部26は、マスタ局10から繰り返し送信された下りフレーム(計測用信号)、および、下りフレームに応じてスレーブ局30から繰り返し送信された上りフレーム(応答信号)から、時間経過と共に順次伝搬時間測定値Tmを求め、時間経過と共に求められた複数の伝搬時間測定値Tmに基づいて、新たに高精度測定値Tm0を求め、さらに、伝搬遅延時間Dを求める。
同様に、図4に示されるループ遅延時間Lmは、マスタ局パルス信号およびスレーブ局パルス信号が同期していないことに起因して時間経過と共に変動する。そのため、スレーブ局30における上り計測信号USが立ち上がってから下り計測信号WSが立ち下がるまでの伝搬時間測定値Tdもまた、時間経過と共に変動する。
ループ遅延時間Lmは、ループ遅延時間Lsと同様、時間経過に従って0から送信周期Tの間で変動する。ループ遅延時間Lmの最小値は0であり、最大値は送信周期Tである。これに伴って、伝搬時間測定値Tdは送信周期Tの幅で変動する。ループ遅延時間Lmが0となったときに伝搬時間測定値Tdは最小となり、ループ遅延時間Lmによる誤差が含まれない高精度測定値Td0が求められる。
すなわち、スレーブ局30の演算部26Sは、複数周期に亘って伝搬時間測定値Tdを求め、伝搬時間測定値Tdの最小値を高精度測定値Td0として求める。演算部26Sは、次の(数6)に従って伝搬遅延時間Dを求める。(数6)は、(数3)において伝搬時間測定値Tdを高精度測定値Td0とし、ループ遅延時間LsおよびLmを0とすることで導かれる。
(数6)D=(Td0−Tc)/2
例えば、演算部26Sは、過去に遡って予め定められた複数周期における伝搬時間測定値Tdの最小値を高精度測定値Td0として求め、この高精度測定値Td0に基づいて伝搬遅延時間Dを求めてもよい。この場合、演算部26Sは、1送信周期が経過する毎に新たに高精度測定値Td0を求め、この高精度測定値Td0に基づいて新たに伝搬遅延時間Dを求める。
このように、演算部26Sは、スレーブ局30から繰り返し送信された上りフレーム(計測用信号)、および、上りフレームに応じてマスタ局10から繰り返し送信された下りフレーム(応答信号)から、時間経過と共に順次伝搬時間測定値Tdを求め、時間経過と共に求められた複数の伝搬時間測定値Tdに基づいて、新たに高精度測定値Td0を求め、さらに、伝搬遅延時間Dを求める。
上記では、短周期条件が成立する場合について、ループ遅延時間を測定する必要のない処理について説明した。この処理は、短周期条件が成立しない場合、すなわち、マスタ局10が下りフレームを送信する周期、およびスレーブ局30が上りフレームを送信する周期が、マスタ局10とスレーブ局30との間の往復伝搬時間よりも長いという条件下で用いてもよい。例えば、特許文献1に示されているような光伝送システムでは、第1ノードは、測定用信号の送信および返送信号の受信を繰り返し、測定用信号を送信してから返送信号を受信するまでの時間を複数回に亘って測定するものとする。そして、複数回に亘って求められた時間測定値のうち最小のものを用いて、第2ノードまでの伝搬遅延時間を求めることで誤差が抑制される。
(3−5)逐次演算型の高精度測定処理
上記では、マスタ局10の演算部26が、過去に遡って予め定められた複数周期における伝搬時間測定値Tmの最小値を高精度測定値Tm0として求め、この高精度測定値Tm0に基づいて伝搬遅延時間Dを求める処理について説明した。上記の処理において演算部26は、1送信周期が経過する毎に新たに高精度測定値Tm0を求め、この高精度測定値Tm0に基づいて新たに伝搬遅延時間Dを求める。
このような処理に代えて、演算部26は、伝搬時間測定値Tmを求める動作が開始した時から現時点までの間における伝搬時間測定値Tmの最小値を高精度測定値Tm0として求めてもよい。すなわち、演算部26は、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から、最初に伝搬時間測定値Tmを求めた時まで遡った時間までの間における伝搬時間測定値Tmの最小値を高精度測定値Tm0として求めてもよい。演算部26は、新たに高精度測定値Tm0を求める毎に新たに伝搬遅延時間Dを求める。
図6(a)には、伝搬時間測定値Tmの時間特性の例が示されている。この特性は、図5に示された特性と同様である。伝搬時間測定値Tmは時間に対し正の傾きを有する。伝搬時間測定値Tmは、時間t1に最小値minとなって時間経過と共に増加した後、時間t7で最大値maxとなり、時間t8で再び最小値minとなる。測定開始点P1〜P7は、それぞれ、最初に伝搬時間測定値Tmが求められる測定開始時間t1〜t7と、各測定開始時間において求められる伝搬時間測定値Tmを示す。いずれの測定開始点についても、最初に伝搬遅延時間Tmが求められた後は、所定時間δが経過するタイミングで伝搬遅延時間Tmが順次求められ、高精度測定値Tm0が求められ、さらに、(数5)に従って伝搬遅延時間Dが求められる。ここで、所定時間δは、例えば、送信周期Tの正の整数倍である。
測定開始点P1では、伝搬時間測定値Tmの最小値minが求められる。また、測定開始点P7では、伝搬時間測定値Tmの最大値maxが求められる。測定開始点P2〜P6では、最小値minよりも大きく、最大値max未満である伝搬時間測定値Tmが求められる。測定開始点P2〜P6のうち、求められる伝搬時間測定値Tmが最も小さいのは測定開始点P2であり、測定開始点P2、P3、・・・・P6の順で求められる伝搬時間測定値Tmが小さい。
図6(b)には、測定開始点P1〜P7のそれぞれについて求められた伝搬遅延時間Dの収束特性CP1〜CP7の例が示されている。この収束特性は、各測定開始点について所定の時間間隔δで伝搬遅延時間Dを求めたものである。
上述のように、各測定時における高精度測定値Tm0は、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から、最初に伝搬時間測定値Tmを求めた時まで遡った時間までの間に求められた伝搬時間測定値Tmの最小値である。伝搬時間測定値Tmは時間に対し正の傾きを有する。伝搬時間測定値Tmは、時間t1に最小値minとなって時間経過と共に増加した後、時間t7で最大値maxとなり、時間t8で再び最小値minとなる。そのため、測定開始点P1については、高精度測定値Tm0は直ちに最小値minに収束する。測定開始点P2〜P7については、それぞれの測定開始時間から時間t8に至る前までの間、高精度測定値Tm0は、それぞれの測定開始時間で求められた伝搬時間測定値Tmとなり、時間t8に最小値minに収束する。そして、時間t8以降は、高精度測定値Tm0が最小値minとなる。
これによって、測定開始点P1については、伝搬遅延時間Dは直ちに最小値D=(min−Tc)/2に収束する。測定開始点P2〜P7については、それぞれの測定開始時間から時間t8に至る前までの間、伝搬遅延時間Dは、それぞれの測定開始時間で求められた伝搬遅延時間D=(Tm−Tc)/2となり、時間t8に最小値D=(min−Tc)/2に収束する。これによって、時間t8以降は、伝搬遅延時間DはD=(min−Tc)/2となる。
時間t1を測定開始時間とした場合には、収束特性CP1に示されているように収束時間は0である。時間t2、t3、・・・・t7を測定開始時間とした場合には、収束時間は、収束特性CP2〜CP7に示されているように、それぞれ、t8−t2、t8−t3、・・・・t8−t7(=δ)である。すなわち、遅延時間測定値Tmの最小値minが測定された時点で伝搬遅延時間Dが(min−Tc)/2に収束する。
図7(a)には、伝搬時間測定値Tmの時間特性の第2の例が示されている。この特性は、図5に示された特性の傾きを逆極性にしたものである。伝搬時間測定値Tmは時間に対し負の傾きを有する。伝搬時間測定値Tmは、時間t1に最大値maxとなって時間経過と共に減少した後、時間t7で最小値minとなり、時間t8で再び最大値maxとなる。測定開始点Q1〜Q7は、それぞれ、最初に伝搬時間測定値Tmが求められる測定開始時間t1〜t7と、各測定開始時間において求められる伝搬時間測定値を示す。いずれの測定開始点についても、最初に伝搬遅延時間Tmが求められた後は、所定時間δが経過するタイミングで伝搬遅延時間Tmが順次求められ、高精度測定値Tm0が求められ、さらに、(数6)に従って伝搬遅延時間Dが求められる。
測定開始点Q1では、伝搬時間測定値Tmの最大値maxが求められる。また、測定開始点Q7では、伝搬時間測定値Tmの最小値minが求められる。測定開始点Q2〜Q6では、最大値maxよりも小さく、最小値minより大きい伝搬時間測定値Tmが求められる。測定開始点Q2〜Q6のうち、求められる伝搬時間測定値Tmが最も大きいのは測定開始点Q2であり、測定開始点Q2、Q3、・・・・Q6の順で求められる伝搬時間測定値Tmが大きい。
図7(b)には、測定開始点Q1〜Q7のそれぞれについて求められた伝搬遅延時間Dの収束特性CQ1〜CQ7の例が示されている。この収束特性は、各測定開始点について所定の時間間隔δで伝搬遅延時間Dを求めたものである。
上述のように、高精度測定値Tm0は、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から、最初に伝搬時間測定値Tmを求めた時まで遡った時間までの間に求められた伝搬時間測定値Tmの最小値である。伝搬時間測定値Tmは時間に対し負の傾きを有する。伝搬時間測定値Tmは、時間t1に最大値maxとなって時間経過と共に減少した後、時間t7で最小値minとなり、時間t8で再び最大値maxとなる。そのため、それぞれの測定開始時間から時間t7に至るまでの間、高精度測定値Tm0は、それぞれの測定開始時間で求められた伝搬時間測定値Tmから、伝搬時間測定値Tmの時間特性の傾きと同一の傾きで減少して、時間t7に最小値minに収束する。
これによって、測定開始点Q7については、伝搬遅延時間Dは直ちに最小値D=(min−Tc)/2に収束する。測定開始点Q1〜Q6については、それぞれの測定開始時間から時間t7に至るまでの間、伝搬遅延時間Dは、それぞれの測定開始時間で求められた伝搬遅延時間Dから、伝搬時間測定値Tmの時間特性の傾きの半分の傾きで減少して、時間t7に最小値D=(min−Tc)/2に収束する。これによって、時間t7以降は、求められる伝搬遅延時間Dは、D=(min−Tc)/2となる。
時間t7を測定開始時間とした場合には、収束時間は、収束特性CQ7に示されているように0である。時間t1、t2、t3、・・・・t6を測定開始時間とした場合には、収束時間は、収束特性CQ1〜CQ6に示されているように、それぞれ、t7−t1、t7−t2、・・・・t7−t6である。すなわち、遅延時間測定値Tmの最小値minが測定された時点で伝搬遅延時間Dが(min−Tc)/2に収束する。
図6(b)および図7(b)に示される収束時間は、それぞれ、図6(a)および図7(a)に示される伝搬時間測定値Tmの時間特性の傾きの絶対値が小さい程長くなる。伝搬遅延時間Dが収束するまでの間、伝搬遅延時間Dは誤差を含む。したがって、マスタ局送信パルス信号の周波数と、スレーブ局送信パルス信号の周波数が近似していることによって、伝搬時間測定値Tmの時間特性の傾きの絶対値が小さくなり、伝搬遅延時間Dの収束時間が長くなった場合、伝搬遅延時間Dは長時間の間、誤差を含んでしまう。実験では、この収束時間が1時間以上に及ぶ場合があることが確かめられた。そこで、マスタ局10の演算部26は、次に説明する誤差抑制処理を実行し、伝搬遅延時間Dが収束値に至るまでの誤差を抑制する処理を実行してもよい。
(3−6)誤差抑制処理
マスタ局10の演算部26は、最後に伝搬時間測定時間Tmを求めた時から、最初に伝搬時間測定値Tmを求めた時まで遡った時間までの間における伝搬時間測定値Tmの最小値τnおよび最大値τxを、所定時間δが経過する毎に求める。そして、次の(数7)に従ってスレーブ局30までの伝搬遅延時間Dを求める。
(数7)D=((τn+τx)/2−T/2)×(1/2)−Tc/2
=(τn+τx−T)/4−Tc/2
(数7)の上段の右辺は、伝搬時間測定値Tmの各測定時における最小値τnおよび最大値τxの平均値から送信周期Tの半分を減算して求められた値を半分とし、さらに、固定遅延時間Tcの半分を減算することを意味する。
また、上記(i)および(ii)を加算した下り固定遅延時間Tc1と、上記(iii)および(iv)を加算した上り固定遅延時間Tc2とが等しい値T0である場合には、演算部26は、次の(数8)に従って伝搬遅延時間Dを求めてもよい。
(数8)D=(τn+τx−T)/4−T0
なお、(数7)および(数8)は次のような数式の変形に基づいて導かれる。まず、伝搬遅延時間Dの収束後における伝搬時間測定値Tmの最小値τnおよび最大値τxは、それぞれ、(数9)および(数10)によって表される。
(数9)τn=2D+Tc
(数10)τx=2D+Tc+T
(数9)は、ループ遅延時間が0であるときにおける伝搬時間測定値Tm=τnである。(数10)は、ループ遅延時間が最大値であるときにおける伝搬時間測定値Tm=τxである。伝搬遅延時間Dの収束後における伝搬時間測定値Tmの最小値τnと最大値τxの差異が送信周期Tであることは、図5、図6(a)および図7(a)に示されている。
(数9)および(数10)の両辺をそれぞれ加算してDについて解くことで(数7)が導かれる。さらに、固定遅延時間Tcの半分Tc/2をT0に置き換えることで(数8)が導かれる。
図6(c)には、誤差抑制処理を実行した場合において、図6(a)の測定開始点P1〜P7のそれぞれについて求められた伝搬遅延時間Dの収束特性BP1〜BP7の例が示されている。これらの収束特性は、各測定開始点について所定の時間間隔δで、伝搬遅延時間Dを求めたものである。時間t1を測定開始時間とした場合、収束時間は、収束特性BP1に示されているようにt7−t1である。時間t2、t3、・・・・t7を測定開始時間とした場合には、収束時間は、収束特性BP2〜BP7に示されているように、それぞれ、t8−t2、t8−t3、・・・・t8−t7(=δ)である。すなわち、遅延時間測定値Tmの最小値minおよび最大値maxの両者が測定された時点で伝搬遅延時間Dが(min−Tc)/2に収束する。
図7(c)には、誤差抑制処理を実行した場合において、図7(a)の測定開始点Q1〜Q7のそれぞれについて求められた伝搬遅延時間Dの収束特性BQ1〜BQ7の例が示されている。これらの収束特性は、各測定開始点について所定の時間間隔δで、伝搬遅延時間Dを求めたものである。時間t1を測定開始時間とした場合、収束時間は、収束特性BQ1に示されているようにt7−t1である。時間t2、t3、・・・・t7を測定開始時間とした場合には、収束時間は、収束特性BQ2〜BQ7に示されているように、それぞれ、t8−t2、t8−t3、・・・・t8−t7(=δ)である。すなわち、遅延時間測定値Tmの最小値minおよび最大値maxの両者が測定された時点で伝搬遅延時間Dが(min−Tc)/2に収束する。
図6(b)および図7(b)に示されている高精度測定処理の収束特性では、伝搬遅延時間Dの誤差の絶対値の最大値が送信周期Tであるのに対し、図6(c)および図7(c)に示されている誤差抑制処理の収束特性では、伝搬遅延時間Dの誤差の絶対値の最大値は送信周期Tの半分である。また、ランダムなタイミングで測定を開始した場合において、伝搬遅延時間Dが収束するまでの間の伝搬遅延時間Dのばらつきは、誤差抑制処理では高精度測定処理よりも小さくなる。
上記では、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から、最初に伝搬時間測定値Tmを求めた時まで遡った時間までの間に求められた伝搬時間測定値Tmの最小値を所定時間間隔で求め、この最小値を用いて伝搬遅延時間Dを求める高精度測定処理について説明した。さらに、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から、最初に伝搬時間測定値Tmを求めた時まで遡った時間までの間に求められた伝搬時間測定値Tmの最小値および最大値を所定時間間隔で求め、この最小値および最小値を用いて伝搬遅延時間Dを求める誤差抑制処理について説明した。最初に伝搬時間測定値Tmを求めた時から所定時間が経過したときは、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から所定時間まで遡った時間までの間に求められた伝搬時間測定値Tmの最小値を求め、この最小値を用いて伝搬遅延時間Dを求める高精度測定処理を実行してもよい。同様に、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から所定時間まで遡った時間までの間に求められた伝搬時間測定値Tmの最小値および最大値を求め、この最小値および最大値を用いて伝搬遅延時間Dを求める高精度測定処理を実行してもよい。この場合、最後に伝搬時間測定値Tmを求めた時から、伝搬遅延時間の最小値または最大値を求めるために遡る所定時間は、遅延時間測定値の変動周期よりも長い時間とする。
上記では、マスタ局10の演算部26において実行される逐次演算型の高精度測定処理および誤差抑制処理について説明した。スレーブ局30の演算部26Sは、マスタ局10の演算部Dと同様に、逐次演算型の高精度測定処理または誤差抑制処理を実行してもよい。この場合、演算部26が伝搬時間測定値Tmを求める処理に代えて、演算部26Sは伝搬時間測定値Tdを求める。また、伝搬時間測定値Tdには、ループ遅延時間Lmが含まれている。ループ遅延時間Lmは、伝搬時間測定値Tmに含まれているループ遅延時間Lsと同様の性質を有する。すなわち、ループ遅延時間Lmは、ループ遅延時間Lsと同様、マスタ局送信パルス信号とスレーブ局送信パルス信号が同期していないことに基づき変動する。したがって、スレーブ局30の演算部26Sが、マスタ局10の演算部26が実行する処理と同様の処理を実行することで、高精度な伝搬遅延時間Dが求められる。
10 マスタ局、12,12S 計測信号生成部、14,14S フレーム送受信部、16,16S 電気/光変換部、18,18S 合分波器、20 光ファイバ、22,22S 光/電気変換部、24,24S 情報取得部、26,26S 演算部、28,28S 送信パルス生成部、30 スレーブ局。

Claims (3)

  1. 光通信装置に至る光伝送路の特性を測定する伝搬特性測定装置において、
    前記光通信装置に計測用信号を送信する送信部と、
    前記計測用信号に応じて前記光通信装置から送信された応答信号を受信する受信部と、
    前記計測用信号の送信タイミング、および前記応答信号の受信タイミングに基づいて、前記光通信装置までの伝搬遅延時間に関連する伝搬時間測定値を求める演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    前記送信部から繰り返し送信された前記計測用信号、および、前記計測用信号に応じて前記光通信装置から繰り返し送信された前記応答信号から、時間経過と共に順次前記伝搬時間測定値を求め、
    測定開始時まで遡るまでの間、または所定時間だけ過去に遡るまでの間における前記伝搬時間測定値の最小値および最大値を前記伝搬時間測定値が求められる度に求め、前記伝搬遅延時間を示す値を、当該最小値および当該最大値を加算した値と、前記計測用信号の送信周期との差異に基づいて、前記伝搬時間測定値が求められる度に求めることを特徴とする伝搬特性測定装置。
  2. 請求項1に記載の伝搬特性測定装置において、
    第1情報または第2情報を含む前記計測用信号を生成する信号生成部を備え、
    前記信号生成部によって前記計測用信号が生成されると共に、前記送信部は、前記計測用信号を送信し、
    前記光通信装置は、
    第1情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第1情報を含む前記応答信号を送信し、第2情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第2情報を含む前記応答信号を送信し、
    前記信号生成部は、
    第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第2情報を含む前記計測用信号を生成し、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第1情報を含む前記計測用信号を生成し、
    前記演算部は、
    第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間、または、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間に基づいて、前記伝搬時間測定値を求めることを特徴とする伝搬特性測定装置。
  3. 請求項1に記載の伝搬特性測定装置において、
    第1情報または第2情報を含む前記計測用信号を生成する信号生成部を備え、
    前記信号生成部によって前記計測用信号が生成されると共に、前記送信部は、前記計測用信号を送信し、
    前記光通信装置は、
    第1情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第2情報を含む前記応答信号を送信し、第2情報を含む前記計測用信号を受信したときは、第1情報を含む前記応答信号を送信し、
    前記信号生成部は、
    第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第1情報を含む前記計測用信号を生成し、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されたときは、第2情報を含む前記計測用信号を生成し、
    前記演算部は、
    第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間、第1情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第2情報を含む前記応答信号が前記受信部で受信されるまでの時間、または、第1情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されてから、第2情報を含む前記計測用信号が前記送信部から送信されるまでの時間に基づいて、前記伝搬時間測定値を求めることを特徴とする伝搬特性測定装置。
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