JP6796873B2 - ハーネスおよび救命胴衣 - Google Patents

ハーネスおよび救命胴衣 Download PDF

Info

Publication number
JP6796873B2
JP6796873B2 JP2018217687A JP2018217687A JP6796873B2 JP 6796873 B2 JP6796873 B2 JP 6796873B2 JP 2018217687 A JP2018217687 A JP 2018217687A JP 2018217687 A JP2018217687 A JP 2018217687A JP 6796873 B2 JP6796873 B2 JP 6796873B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
belt
pair
belts
attached
annular
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018217687A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020081175A (ja
Inventor
芳人 岩下
芳人 岩下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CHIFURIYA KOUGYOU LTD.
Original Assignee
CHIFURIYA KOUGYOU LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CHIFURIYA KOUGYOU LTD. filed Critical CHIFURIYA KOUGYOU LTD.
Priority to JP2018217687A priority Critical patent/JP6796873B2/ja
Publication of JP2020081175A publication Critical patent/JP2020081175A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6796873B2 publication Critical patent/JP6796873B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Emergency Lowering Means (AREA)

Description

本発明は、災害時や事故時の要救助者が装着するハーネスおよび救命胴衣に係り、特に、要救助者を上方から吊り下げる際にその身体を安全かつ容易に保持することを目的とするハーネスおよび救命胴衣に関する。
近年、豪雨や台風、地震が頻繁に発生し、洪水や津波によって水没した建物等に住人が取り残される事案が増えている。このような場合、地上から住人を救助することは通常困難である。そのため、救命胴衣を住人に装着し、ヘリコプターから垂らされたロープを救命胴衣に繋ぎ、住人を吊り上げて救助するといった方法を取る必要性がある。
なお、救命胴衣の従来技術として、例えば、前身頃と、後身頃を備える救命胴衣本体において、その襟首部から後襟部を後身頃の背面に沿って起伏自在に吊設し、この後襟部内に浮力材を内装し、後襟部の下端部に把持部を一体的に設けた救命胴衣に関する発明が開示されている(特許文献1)。このような構成の発明によれば、救命胴衣を装着した要救助者が水中に落下した場合、後襟部が水面に浮上するため呼吸を確保可能である。一方で、救助者は、把持部を把持して後方に引っ張ることにより水面に浮かんだ要救助者を救助することができる。
しかし、要救助者を上空から救助する場合では、把持部にロープを接続して吊り上げることが考えられるものの、把持部の1箇所のみにロープを接続したのでは要救助者の体を揺らさず安定的に保持することが困難であり、また把持部や救命胴衣の強度が不足しているおそれもある。そのため、特許文献1に開示された発明を、上空からの救助の場合に使用することは適切でない。
そこで、近年、水中に落下した者を救助するためのものではないが、要救助者を吊り下げて墜落を防止するための救命胴衣の技術が開発されており、それに関して既に発明が開示されている。
特許文献2には「着脱可能な墜落防止用安全帯を備えた落石防護用救命胴衣」という名称で、トンネル内の高所作業に使用する落石防護用救命胴衣に関する発明が開示されている。
以下、特許文献2に開示された発明について説明する。特許文献2に開示された発明は、落石から身体を保護するように、ロープと連結され背板に複数の保護クッションを備えた衣服部と、墜落防止のため、身体部位別に包むように着用するベルトが衣服部内皮に一体に取り付けられるように構成される安全帯を含んでなり、この安全帯は衣服部の前面で両側が互いに平行し、後面で交差するように連結される肩ベルトと、衣服部の胸板前面と側面を連結する胸ベルトと、脚や腰を包む腰兼用下体ベルトからなることを特徴とする着脱可能な墜落防止用安全帯を備えた落石防護用救命胴衣である。
このような特徴を有する発明においては、ロープの一端に設けられたフックをベルトの一部を構成する肩ベルトに係合し、かつロープの他端を作業支持台に係合すると、作業者は落下した際に、フックが係合された肩ベルトの1点において作業支持台から吊り下げられる。また、安全帯は引張力の強い糸で織造され、さらに肩ベルト、胸ベルト等により作業者の胴部を確実にホールドできることから、作業者の墜落を未然に防止可能である。したがって、特許文献2に開示された発明を、上空からの救助の場合に十分適用可能であるとも考えられる。
特開2004−168231号公報 特開2015−140505号公報
しかしながら、特許文献2に開示された発明においては、衣服部の左右の胸板が分離しないようにするために胸ベルトを用いて胸板側面と背板側面を合計4カ所で連結している。また、腰兼用下体ベルトは、少なくとも1カ所のベルト結合部に端部を挿入固定する必要がある。すなわち、各ベルトを作業者の胴部に固定する手順がやや煩雑となるが、トンネル内部で高所作業を行う作業者は元々健常者であって装着を自力で行うことができ、しかも落ち着いて装着する時間的余裕があるため、手順の煩雑さは特に問題とならない。
これに対し、建物等に取り残された住人は、体力の弱った高齢者や病人も含まれており、また健常者であっても疲弊している可能性があるため、身体を自在に動かせず装着困難な場合や、時間的余裕がない場合も多いと考えられる。このような場合、手順の煩雑さは大きな不都合となる。
また、特許文献2に開示された発明においては、作業者は肩ベルトの1点において作業支持台から吊り下げられるため、要救助者の体を揺らさず安定的に保持することが困難であるという課題を十分に解決できていない。
さらに、腰兼用下体ベルトは股関節部に巻回されるとともにロープによって直接吊り下げられないことから、脚部は比較的自由に動かすことができるものと考えられる。そのため、一般人である要救助者が上空から吊り下げられた際に大きく揺さぶられてパニックに陥り、脚部を大きく動かすことでさらに揺れが増大されるおそれがある。このように、特許文献2に開示された発明を上空からの救助の場合に適用すると、要救助者の動きを抑制できない可能性があるため、救助が手間取るおそれがある。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、わずかな手順で装着可能であり、要救助者の体を揺らさず安定的に保持できるとともに要救助者の不要な動きを抑制可能なハーネスおよび救命胴衣を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、一端が要救助者の胸部の左右前面にそれぞれ配置されるとともに他端が両肩部及び背部に架け渡されて両大腿部の高さにそれぞれ到達する一対の背面ベルトと、上端が一端に接続具を介してそれぞれ接続されるとともに下端が両大腿部の前記高さにそれぞれ到達する一対の前面ベルトと、一端同士又は上端同士を第1のジョイントを介して分離可能に連結する連結ベルトと、両大腿部に巻回され、他端と下端が互いに異なる位置でそれぞれ接続される環状ベルトと、一対の前記背面ベルトの途中にそれぞれ取り付けられる一対の肩吊具と、一対の環状ベルトの途中にそれぞれ取り付けられる一対の脚吊具と、一対の肩吊具と一対の他端の間において間隔を空けて取り付けられ、一対の背面ベルトを重ねて1本の重複ベルトとして保持する一対の保持手段を備えることを特徴とする。
このような構成の発明においては、一対の肩吊具の部分に例えばそれぞれロープを係止してハーネス全体を吊り下げると、ハーネスの前面では、一対の前面ベルトが互いに間隔を空けた状態で鉛直方向に沿って平行になり、連結ベルトが略水平方向に沿って一対の前面ベルトの間に配置される。また、環状ベルトは、背面ベルトの他端と、前面ベルトの下端によって略水平に保持される。
ハーネスの後面では、1本の重複ベルトは鉛直方向に沿って配置され、この重複ベルトの上側端部と一対の背面ベルトは略Y字形状をなす。また、重複ベルトの下側端部と一対の背面ベルトは略Y字形状が上下逆転した形状をなす。
実際に使用する際には、一対の肩吊具のみにロープを係止することはなく、一対の脚吊具にもそれぞれロープを係止するのであるが、このようにハーネスを要救助者に装着するには、まず、連結ベルトの第1のジョイントを分離させておき、一対の背面ベルトをそれぞれ両肩に掛け、さらに両脚部をそれぞれ一対の環状ベルト内に挿入し、最後に第1のジョイントを連結させる。そうした後、一対の肩吊具と一対の脚吊具にそれぞれロープを係止すれば、要救助者を吊り下げ可能となる。なお、吊り下げられた際には、要救助者はあたかも椅子に腰掛けたような姿勢となる。
次に、第2の発明は、第1の発明において、背面ベルトは、その一箇所に上方ループ部を形成するために背面ベルトに設けられる形成手段を備え、肩吊具は、上方ループ部に挿通される第1の環状部材であることを特徴とする。
このような構成の発明において、形成手段として、例えば、ベルトに着脱可能又は不能に取り付けられる長さ調整のアジャスターバックルや、背面ベルト同士を縫着した縫着部が考えられる。また、肩吊具としては、金属製のD環、楕円環や円環が考えられる。
上記構成の発明においては、第1の発明の作用に加えて、肩吊具が上方ループ部に挿通されると、肩吊具が背面ベルトの一箇所に上方ループ部を超えてスライド移動不能に取り付けられる。また、形成手段がアジャスターバックルの場合、形成手段自体は背面ベルトに沿ってスライド移動可能である。よって、肩吊具も背面ベルトに沿ってスライド移動可能である。一方、形成手段が縫着部の場合、肩吊具は背面ベルトに沿ってスライド移動しない。
続いて、第3の発明は、第1又は第2の発明において、環状ベルトは、その一箇所に下方ループ部が形成され、脚吊具は、下方ループ部に挿通される第2の環状部材であることを特徴とする。
このような構成の発明において、脚吊具として、例えば、金属製の楕円環や円環、D環が考えられる。
上記構成の発明においては、第1又は第2の発明の作用に加えて、脚吊具が下方ループ部に挿通されることから、環状ベルトに沿って移動することが防止される。また、脚吊具自体は、環状ベルトに着脱可能であり、装着後でも環状ベルトに沿ってスライド移動可能である。
さらに、第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、環状ベルトは、第2のジョイントを備え、この第2のジョイントは、環状ベルトを分離可能に連結することを特徴とする。
このような構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかに記載の発明の作用に加えて、第2のジョイントを分離することで、膝を曲げて大腿部を持ち上げなくても大腿部に環状ベルトが巻回される。
そして、第5の発明は、第1乃至第4のいずれかのハーネスが取り付けられる救命胴衣であって、この救命胴衣は、一対の前身頃と、後身頃を備え、前身頃は、その表面に前面ベルトを固定する前面固定手段が設けられ、後身頃は、その表面に前記重複ベルトを固定する背面固定手段が設けられることを特徴とする。
このような構成の発明において、前身頃と後身頃は、いずれも、浮体と、この浮体を被覆する被覆布を備え、要救助者を衝撃から防護したり、水没を防止したりすることができる。また、救命胴衣は、例えば、頭部を防護するために前身頃に着脱可能に取り付けられる頭部カバーを備えていても良い。なお、頭部カバーはクッション材と、このクッション材を収容する収容体からなるものが考えられる。
上記構成の発明においては、第1乃至第4のいずれかの発明であるハーネスと救命胴衣が、前面固定手段と背面固定手段を介して一体的に形成される。そのため、要救助者にハーネスを装着すると、救命胴衣もほぼ同時に装着される。
なお、前面固定手段と背面固定手段は、いずれもハーネスを取り外し可能、又は不能に救命胴衣へ固定することができる構成である。前面固定手段と背面固定手段としては、例えば、前者ではハーネスを係着する面ファスナーであり、後者では救命胴衣の被覆布とハーネスを重ねて縫着した縫着部である。
さらに、第6の発明は、第5の発明において、前面固定手段は、前身頃に固定される前面保持部と、この前面保持部の下方に配置されるように前面ベルトに取り付けられる前面ストッパーからなり、前面保持部は、前身頃に縫着される前面縫着部と、この前面縫着部を挟んで両側に設けられ互いに係着する前面ファスナーを備え、前面ベルトを前身頃に対して移動可能に保持するとともに、前面ストッパーを係止可能であり、背面固定手段は、後身頃に固定される背面保持部と、この背面保持部の下方に配置されるように重複ベルトに取り付けられる背面ストッパーからなり、背面保持部は、後身頃に縫着される背面縫着部と、この背面縫着部を挟んで両側に設けられ互いに係着する背面ファスナーを備え、重複ベルトを後身頃に対して移動可能に保持するとともに、背面ストッパーを係止可能であることを特徴とする。
このような構成の発明において、前面ファスナーが互いに係着すると、前面縫着部との間に隙間が形成され、この隙間に前面ベルトが上下方向にスライド移動可能に収容される。このような構成は、背面ベルトと背面ファスナーについても同様である。また、前面ストッパー及び背面ストッパーの例として、それぞれアジャスターバックルが考えられる。
上記構成の発明においては、第5の発明の作用に加えて、要救助者が一対の肩吊具及び一対の脚吊具を介してそれぞれ吊り下げロープで吊り下げられるとき、前面ベルトと重複ベルトはそれぞれ前面固定手段と背面固定手段へ近づくように上方にスライド移動する。しかし、前面固定手段において、前面ストッパーは前面保持部の下方に配置されるように前面ベルトに取り付けられているから、前面ベルトが上方へスライド移動すると前面ストッパーが前面保持部に係止される。よって、前面ベルトが上方へ過剰にスライド移動することが防止される。このような作用は、背面固定手段においても同様である。
続いて、第7の発明は、第5又は第6の発明において、前身頃は、表面に背面ベルトを固定する上方固定手段が、前面固定手段の上方、かつ肩吊具の下方に配置されるように設けられ、この上方固定手段は、前身頃に縫着される上方縫着部と、この上方縫着部を挟んで両側に設けられ互いに係着する上方ファスナーを備え、背面ベルトを前身頃に対して移動可能に保持するとともに、肩吊具を係止可能であることを特徴とする。
このような構成の発明においては、第5又は第6の発明の作用に加えて、肩吊具を背面ベルトに沿って移動させてその位置を調整可能な場合、吊り下げ時の荷重のバランスによっては、肩吊具が腹部側の下方へ過剰にスライド移動するおそれがある。しかし、上方固定手段は肩吊具の下方に配置されるように前身頃の表面に取り付けられているから、肩吊具が上方固定手段に係止され、下方へ過剰にスライド移動することが防止される。
第1の発明によれば、前述したように、装着時に連結させるべきジョイントは第1のジョイントのみであるから、わずかな手順で装着可能であり、身体を自在に動かせない要救助者に対しても簡単かつ素早くハーネスを装着することができる。
また、一対の肩吊具及び一対の脚吊具の合計4カ所において、要救助者を吊り下げ可能であることから、一点のみで吊り下げる場合と比較して要救助者の体を揺らさず安定的に保持できる。そのため、要救助者が感じる揺れによる恐怖感を軽減可能である。
さらに、脚吊具と環状ベルトが設けられることで、両大腿部をも直接吊り下げることが可能であるから、仮に要救助者がパニックに陥った場合であっても脚部の不要な動きを抑制することができる。したがって、第1の発明によれば、吊り下げ時における優れた安全性を発揮可能である。
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加えて、肩吊具が背面ベルトの一箇所にスライド移動不能に取り付けられるため、装着時に肩吊具へロープを容易に係止することができる。
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の効果に加えて、脚吊具が環状ベルトに沿って移動することが防止されるため、装着時に脚吊具へロープを容易に係止することができる。また、脚吊具の重みで環状ベルトが捩じれるおそれが考えられるが、環状ベルトには他端と下端が互いに異なる位置で接続されるため、実際にはそのようなおそれはない。
第4の発明によれば、第1乃至第3のいずれかの発明の効果に加えて、大腿部を持ち上げなくても大腿部に環状ベルトが巻回されるので、高齢の要救助者の負担が少ない。
第5の発明によれば、第1乃至第4のいずれかの発明の効果に加えて、要救助者にハーネスを装着すると、救命胴衣もほぼ同時に装着されることになるため、迅速な救助が可能になるとともに、要救助者の安全を確保できる。
第6の発明によれば、第5の発明の効果に加えて、前面固定手段と背面固定手段により、前面ベルトと重複ベルトが上方へ過剰にスライド移動することが防止されるため、吊り上げられる際に環状ベルトが要救助者の股関節部に上昇することが防止される。よって、要救助者の体が締め付けられることがなく、要救助者の身体に与える負荷を軽減することができる。
第7の発明によれば、第5又は第6の発明の効果に加えて、肩吊具が上方固定手段に係止され、下方へ過剰にスライド移動することが防止されるので、吊り上げられる際に要救助者が大きく後傾することを防止でき、安楽な座位の姿勢を保つことが可能である。
実施例1に係るハーネスの前面図である。 実施例1に係るハーネスを構成する形成手段と、肩吊具の斜視図である。 (a)は実施例1に係るハーネスを構成する環状ベルトの斜視図であり、(b)は環状ベルトに取り付けられるアジャスターバックルの斜視図である。 実施例1に係るハーネスと、実施例2に係る救命胴衣の前面図である。 実施例1に係るハーネスと、実施例2に係る救命胴衣の背面図である。 実施例1に係るハーネスと、実施例2に係る救命胴衣の使用状態を示す斜視図である。
本発明の第1の実施の形態に係るハーネスについて、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。図1は、実施例1に係るハーネスの前面図である。
図1に示すように、実施例1に係るハーネス1は、一対の背面ベルト2,2と、一対の前面ベルト3,3と、連結ベルト4と、一対の環状ベルト5,5を備える。このうち、一対の背面ベルト2,2は、一端2a,2aが要救助者50(図6参照)の胸部51の左右前面にそれぞれ配置されるとともに他端2b,2bが両肩部52,52及び背部53に架け渡されて両大腿部54,54の高さにそれぞれ到達する。
また、一対の前面ベルト3,3は、上端3a,3aが背面ベルト2,2の一端2a,2aに接続具6,6を介してそれぞれ接続されるとともに下端3b,3bが両大腿部54,54の高さにそれぞれ到達する。
次に、連結ベルト4は、前面ベルト3,3の上端3a,3a同士を第1のジョイント7を介して分離可能に連結する。なお、連結ベルト4の左右端4a,4aは、それぞれ折り曲げられてループ部が形成されている。左右端4a,4aの各切断端は、プラスチック製のアジャスターバックル13によって、連結ベルト4と重なってそれぞれ挟持される。このアジャスターバックル13は、略長方形の枠体13aと、この枠体13aの短辺を二分割する直線状の連結枠13bからなる。
そして、環状ベルト5,5は、両大腿部54,54にそれぞれ巻回され、他端2b,2bと下端3b,3bが互いに異なる位置で接続されている。
背面ベルト2,2、前面ベルト3,3、連結ベルト4及び環状ベルト5,5は、いずれも合成繊維製であって、法上で規定された安全帯の規格を満たすものである。
また、接続具6は、金属製のバックルであって、アジャスターバックル13と同様の構成をなす。
さらに、第1のジョイント7は、プラスチック製のワンタッチジョイントであって、ジョイント本体7aと、ジョイント本体7aの一方の端面に開口する差込口に差し込んでロックされる差込プレート7bと、差込プレート7bのロックを解除する解除レバー7cからなる。
加えて、ハーネス1は、一対の背面ベルト2,2の途中にそれぞれ取り付けられる一対の肩吊具9,9と、一対の環状ベルト5,5の途中にそれぞれ取り付けられる一対の脚吊具10,10と、一対の肩吊具9,9と一対の他端2b,2bの間において間隔を空けて取り付けられ、一対の背面ベルト2,2を重ねて1本の重複ベルト2Aとして保持する一対の保持手段11,11を備える。
より詳細には、背面ベルト2は、一端2aがループ状に形成されて、一端2aの切断端は背面ベルト2に縫着されている。そして、一端2aは、そのループの内部に接続具6の一の長辺を通した状態で、接続具6と接続されている。また、他端2bもループ状に形成されて、その切断端は背面ベルト2に縫着されている。さらに他端2bは、そのループの内部に、アジャスターバックル14,14によって挟まれた部分の環状ベルト5を挿通した状態(図3(b)参照)で、環状ベルト5に対してスライド不能にこの環状ベルト5と接続されている。
また、前面ベルト3は、1本のベルト素材が二つ折りにされてなり、上方の折れ曲がり部分が上端3aである。この上端3aは、その内部に接続具6の他の長辺を挿通することで、接続具6と接続されている。なお、連結ベルト4の左右端4a,4aは、そのループ部内に前面ベルト3,3を挿通することで、この前面ベルト3,3と接続されている。このとき、左右端4a,4aは、それぞれ接続具6,6とアジャスターバックル14,14の間に配置されることにより、前面ベルト3,3に沿って移動不能となっている。
そして、前面ベルト3の下方は2枚のベルト素材が分離した状態で重なり合い、そのうちの一方が下端3bとなっている。この下端3bは脚吊具10寄りの環状ベルト5に縫着されることで、環状ベルト5に対して直交しつつ環状ベルト5と接続されている。
加えて、下端3bと環状ベルト5の間には、これらに対して傾斜して架け渡される補強ベルト3cが備えられている。補強ベルト3cの両端が前面ベルト3と環状ベルト5に対して縫着されていることにより、下端3bと環状ベルト5との接続が強化されている。なお、前面ベルト3を構成する2枚のベルト素材のうちの他方は、補強ベルト3cの直上において、図示しない環状のゴムベルトによって前面ベルト3の下端3bと重ねて挟持される。
さらに、保持手段11,11は、それぞれ略五角形状をなす、例えばプラスチック製の板材11aからなり、板材11aの中心点を中心としておよそ120度おきに、背面ベルト2,2と重複ベルト2Aをそれぞれ通過させる3個の挿通孔11bが設けられる。
そして、上方の保持手段11の3個の挿通孔11bには、背面ベルト2,2と重複ベルト2Aが挿通される。すなわち、上方の保持手段11は、背面ベルト2,2が要救助者50(図6参照)の体軸に対して互いに対称的に傾斜して配置され、1本の重複ベルト2Aが体軸に沿って配置されることにより、背面ベルト2,2の途中に取り付けられる。
また、下方の保持手段11は、上方の保持手段11と上下を逆転させて背面ベルト2,2の途中に取り付けられる。
次に、肩吊具の構成について、図2を用いながらより詳細に説明する。図2は、実施例1に係るハーネスを構成する形成手段と、肩吊具の斜視図である。なお、図1で示した構成要素については、図2においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図2に示すように、背面ベルト2は、その一箇所に上方ループ部Lを形成するために背面ベルト2に設けられる形成手段12を備える。そのため、肩吊具9は、上方ループ部Lに挿通される第1の環状部材である。
具体的には、形成手段12は、例えばプラスチック製のバックルであって、略長方形の枠体12aと、この枠体12aの短辺同士を連結する連結枠12bと、外側上方に突出するように枠体12aの短辺に形成される半円状の摘み部12cからなる。
また、肩吊具9は、金属製のD環であって、その直線部9aは筒状をなす例えばプラスチック製のローラー9bとともに上方ループ部Lに挿通される。よって、肩吊具9の湾曲部は、直線部9aを中心として略180度の範囲内で回動可能である。
続いて、環状ベルトの構成について、図3を用いながらより詳細に説明する。図3(a)は実施例1に係るハーネスを構成する環状ベルトの斜視図であり、図3(b)は環状ベルトに取り付けられるアジャスターバックルの斜視図である。なお、図1及び図2で示した構成要素については、図3においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)に示すように、環状ベルト5は、第2のジョイント8と、この第2のジョイント8に隣接する脚吊具10と、3個のアジャスターバックル14,14,14´を備える。このうち、背面ベルト2の他端2bを挟んで配置される2個のアジャスターバックル14,14は、第2のジョイント8及び脚吊具10に対し、環状ベルト5の半周程度の間隔を空けて配置される。また、環状ベルト5には、脚吊具10寄りに前面ベルト3の下端3bが接続される。なお、背面ベルト2の他端2bのループ状に形成された内部には環状ベルト5が挿通されているため、他端2bは2個のアジャスターバックル14,14を超えて移動することができない。
そして、第2のジョイント8は、環状ベルト5を分離可能に連結する例えば金属製のワンタッチジョイントであって、ジョイント本体8aと、ジョイント本体8aの一方の端面に開口する差込口に差し込んでロックされる差込プレート8bと、差込プレート8bのロックを解除する解除レバー8cを備える。
また、ジョイント本体8aの他方の端面寄りには、環状ベルト5が分離され折り曲げられて形成される一対の分離端5a,5bのうち、一方の分離端5aが係止される柱状の係止部8dが設けられる。さらに、分離端5aの切断端は、アジャスターバックル14と同一形状のアジャスターバックル14´により、環状ベルト5と重ねて挟持される。すなわち、係止部8dとアジャスターバックル14´は、環状ベルト5の全周の長さを調整する長さ調整手段として機能するものである。
これに対し、他方の分離端5bは、下方ループ部Lが形成され、分離端5bの切断端は、環状ベルト5に縫着されている。なお、環状ベルト5の分離端5bの縫着部分は図3中の死角に位置しているため、図3中には示されていない。
脚吊具10は、下方ループ部Lに挿通される第2の環状部材であって、具体的には、その一部を開閉可能とするヒンジ構造を備えた金属製の楕円環である。
次に、図3(b)に示すように、アジャスターバックル14は、例えばプラスチック製であって、両端が直角に屈曲した枠体14a,14aと、この枠体14a,14aを連結する直線状の連結枠14bからなる。図3(b)中において矢印で示すように、環状ベルト5を枠体14aのうち一方の角部と連結枠14bとの隙間Sに挿通した後、枠体14aの他方の角部と連結枠14bとの隙間Sに挿通することで、アジャスターバックル14は環状ベルト5の任意の箇所に取り外し可能、かつ環状ベルト5に沿って移動可能に固定される。
実施例1に係るハーネス1を要救助者50に装着するには、まず、連結ベルト4のジョイント本体7aと差込プレート7bを、解除レバー7cを操作して分離させておき、一対の背面ベルト2,2をそれぞれ両肩部52,52(図6参照)に掛け、さらに両大腿部54,54をそれぞれ一対の環状ベルト5,5内に挿入する。このとき、要救助者50が両膝を曲げて両大腿部54,54を上昇させることが困難な場合には、ジョイント本体8aから差込プレート8bを引き抜いて第2のジョイント8,8をそれぞれ分離した後、環状ベルト5,5を両大腿部54,54に巻回し、さらにジョイント本体8aに差込プレート8bを差し込んで第2のジョイント8,8をそれぞれ連結すると良い。
そして、最後に第1のジョイント7の差込プレート7bをジョイント本体7aに差し込む。そうした後、一対の肩吊具9,9と一対の脚吊具10,10にそれぞれロープRをフックF(図6参照)を介して係止すれば、要救助者50を吊り下げ可能となる。なお、吊り下げられた際には、要救助者50の姿勢をやや後傾した座位に維持することができる。
そして、肩吊具9が胸部51(図6参照)に位置して固定されるように、予め形成手段12(図1,2を参照)の位置を調整しておくのであるが、要救助者50の身長によっては、形成手段12の摘み部12cを摘まんでその位置を微調整することができる。また、環状ベルト5の全周の長さも、アジャスターバックル14の配置を移動させることで、両大腿部54の太さに応じて、適宜微調整することができる。
したがって、実施例1に係るハーネス1によれば、装着時に必ず操作するジョイントは第1のジョイント7であるから、わずかな手順で装着可能である。また、環状ベルト5は、必要に応じて第2のジョイント8において分離可能である。この場合、大腿部54を持ち上げなくてもこの大腿部54に環状ベルト5を巻回することができるので、身体を自在に動かせない要救助者50に対しても簡単かつ素早くハーネス1を装着することができる。
さらに、ハーネス1によれば、肩吊具9,9と脚吊具10,10という合計4箇所において、要救助者50を吊り上げることができるので、一点のみで吊り下げる場合と比較して要救助者50の体を揺らさず安定的に保持できる。そのため、要救助者50が感じる揺れによる恐怖感を軽減可能である。加えて、合計4箇所で吊り下げると、要救助者50の荷重を分散できるため、環状ベルト5,5と脚吊具10,10に係止した各ロープRを高強度とすることで、安全性も向上させることができる。
さらに、ハーネス1によれば、肩吊具9が形成手段12によって背面ベルト2の一箇所にスライド移動不能に取り付けられるため、ハーネス1を装着時にロープR(図6を参照)を肩吊具9へ容易に係止することができる。また、肩吊具9が不用意に背面ベルト2に沿って移動すると、ロープRの係止作業が遅れるばかりか、他の部材に衝突するおそれがある。しかし、形成手段12が設けられることにより、意図した以外に肩吊具9は背面ベルト2に沿ってスライド移動しないため、実際にはそのようなおそれはない。
さらに、ハーネス1によれば、脚吊具10が下方ループ部Lに挿通されて環状ベルト5に沿って移動することが防止されるため、ハーネス1を装着時にロープRを脚吊具10へ容易に係止することができる。また、金属製の脚吊具10の重みで環状ベルト5が捩じれるおそれが考えられるが、環状ベルト5には背面ベルト2の他端2bと前面ベルト3の下端3bが互いに異なる位置で接続されるため、実際にはそのようなおそれはない。
加えて、ハーネス1によれば、第2のジョイント8の係止部8dとアジャスターバックル14が、環状ベルト5の全周の長さを調整する長さ調整手段として機能することから、大腿部54の太さに応じ、適切な余裕を持った状態で環状ベルト5を巻回できる。さらに、前面ベルト3においても上端3aから下端3bまでの長さを調節できるとともに、連結ベルト4においてもアジャスターバックル13,13の取付位置を変更することにより第1のジョイント7から左右端4a,4aまでの長さをそれぞれ調節できる。よって、ハーネス1は、体格の異なる全ての要救助者50に対して適用可能である。
さらに、折り曲げられた分離端5aの切断端は、アジャスターバックル14´により環状ベルト5と重ねて挟持されるため(図3を参照)、分離端5aの切断端が係止部8dから抜け落ちたり、分離端5aの切断端が揺動して装着作業の邪魔になったりすることを抑制できる。
そして、ハーネス1によれば、吊り下げられた際には、要救助者50の姿勢をやや後傾した座位に維持することができるから、自然に顔が上向きとなる。したがって、吊り下げ時に要救助者50が常に下方を向いておらず、要救助者50が感じる不安感を軽減できる。
しかし、仮に要救助者50がパニックに陥った場合であっても、脚吊具10,10と環状ベルト5,5が設けられることによって、両大腿部54,54を直接吊り下げることが可能なので、両脚部の不要な動きを抑制することができ、救助時の安全性を確保できる。
本発明の第2の実施の形態に係る救命胴衣について、図4乃至図6を用いて詳細に説明する。図4は、実施例1に係るハーネスと、実施例2に係る救命胴衣の前面図である。図5は、実施例1に係るハーネスと、実施例2に係る救命胴衣の背面図である。なお、図1乃至図3で示した構成要素については、図4及び図5においても同一の符号を付して、その説明を省略する。
図4及び図5に示すように、実施例2に係る救命胴衣15は、実施例1に係るハーネス1が取り付けられる救命胴衣であって、一対の前身頃16,16と、後身頃17を備える。前身頃16,16は、それぞれ浮体(図示せず)と、この浮体を被覆する被覆布16a,16aと、前身頃16,16同士を連結する線ファスナー16b,16bを備える。後身頃17は、浮体(図示せず)と、この浮体を被覆する被覆布17aを備える。よって、救命胴衣15は、要救助者50(図6参照)を衝撃から防護したり、要救助者50が溺れることを防止したりすることができる。
また、救命胴衣15は、頭部を防護するために、前身頃16,16の上方に固定される留め金具16k,16kに例えば金属フック(図示せず)を介して着脱可能に取り付けられる頭部カバー31(図6参照)と、頚部をその後側から支持かつ防護するために、前身頃17,17の上端同士の間に例えば面ファスナー等(図示せず)を介して着脱可能に取り付けられる短冊状の頚部支持体32を備えている。なお、頭部カバー31と頚部支持体32はいずれも、クッション材と、このクッション材を収容する収容体からなる。
さらに、前身頃16,16は、その表面に前面ベルト3,3を固定する前面固定手段18,18がそれぞれ設けられ(図4,6を参照)、後身頃17は、その表面に重複ベルト2Aを固定する背面固定手段19が設けられる(図5を参照)。
加えて、前身頃16,16には、その表面に背面ベルト2,2を固定する上方固定手段28,28が、前面固定手段18,18の上方で、かつ肩吊具9,9の下方に配置されるようにそれぞれ設けられる。
詳細には、図4に示すように、前面固定手段18は、例えば前身頃16の被覆布16aに固定される前面保持部20と、この前面保持部20の下方に配置されるように前面ベルト3に取り付けられる前面ストッパー23からなる。
前面保持部20は、例えば被覆布16aに縫着される前面縫着部21と、この前面縫着部21を挟んで両側に設けられ互いに係着する前面ファスナー22a,22aを備え、前面ベルト3を前身頃16に対して上下方向に沿って移動可能に保持するとともに、前面ストッパー23を係止可能である。
具体的には、前面保持部20は、例えば合成繊維製の細長形状をなす基材を備え、前面ファスナー22a,22aは、この基材に縫着される面ファスナーである。また、前面ストッパー23は、アジャスターバックル14と同様の構成をなすバックルである。
また、上方固定手段28は、前身頃16の被覆布16aに縫着される上方縫着部29と、この上方縫着部29を挟んで両側に設けられ互いに係着する上方ファスナー30a,30aを備え、背面ベルト2を前身頃16に対して上下方向に沿って移動可能に保持するとともに、肩吊具9及び形成手段12を係止可能である。なお、上方縫着部29及び上方ファスナー30a,30aは、それぞれ前面保持部20及び前面ファスナー22a,22aと同様な材料及び構成からなる。
次に、図5に示すように、背面固定手段19は、例えば後身頃17の被覆布17aに固定される背面保持部24と、この背面保持部24の下方に配置されるように重複ベルト2Aに取り付けられる背面ストッパー27からなる。
背面保持部24は、被覆布17aに縫着される背面縫着部25と、この背面縫着部25を挟んで両側に設けられ互いに係着する背面ファスナー26a,26aを備え、重複ベルト2Aを後身頃17に対して移動可能に保持するとともに、背面ストッパー27を係止可能である。
具体的には、背面保持部24は、前面保持部20と同様に、例えば合成繊維製の細長形状をなす基材を備え、背面ファスナー26a,26aは、この基材に縫着される面ファスナーである。また、背面ストッパー27は、アジャスターバックル14と同様の構成をなすバックルである。
上記構成の救命胴衣15においては、ハーネス1と救命胴衣15が、前面固定手段18,18と背面固定手段19を介して一体的に形成される。そのため、前述した方法により要救助者50にハーネス1を装着して、前身頃16,16の線ファスナー16b,16b同士を係合すると、救命胴衣15も同時に装着される。
また、要救助者50が肩吊具9,9及び脚吊具10,10を介してそれぞれ吊り下げロープRで吊り下げられるとき、前面ベルト3,3と重複ベルト2Aはそれぞれ前面固定手段18,18と背面固定手段19に対して上方にスライド移動する場合がある。しかし、前面固定手段18において、前面ストッパー23は前面保持部20の下方に配置されるように前面ベルト3に取り付けられているから、前面ベルト3が上方へスライド移動すると前面ストッパー23が前面保持部20に係止される。よって、前面ベルト3が上方へ過剰にスライド移動することが防止される。なお、図4では、前面ストッパー23と同一構造のストッパー(符号なし)が前面保持部20を挟むように前面縫着部21の上方において前面ベルト3に取り付けられているため、前面ベルト3が下方へ過剰にスライド移動することも防止される。ただし、このストッパーは省略されても良い。
背面固定手段19においても、背面ストッパー27は背面保持部24の下方に配置されるように重複ベルト2Aに取り付けられているから、重複ベルト2Aが上方へスライド移動すると背面ストッパー27が背面保持部24に係止される。よって、重複ベルト2Aが上方へ過剰にスライド移動することが防止される。
さらに、救命胴衣15においては、形成手段12の摘み部12c(図2を参照)を摘まんでその位置を微調整することができる。そのため、吊り下げ時の荷重のバランスによっては、肩吊具9が腹部側の下方へ過剰にスライド移動するおそれがある。しかし、このような場合であっても、上方固定手段28(図4,6を参照)は肩吊具9の下方に配置されるように前身頃16の被覆布16aに取り付けられているから、肩吊具9が上方固定手段28に係止され、下方へ過剰にスライド移動することが防止される。
次に、ハーネス1と救命胴衣15の使用状態について、図6を用いて説明する。図6は、実施例1に係るハーネスと、実施例2に係る救命胴衣の使用状態を示す斜視図である。なお、図1乃至図5で示した構成要素については、図6においても同一の符号を付して、その説明を省略する。また、形成手段12やアジャスターバックル13,14、頚部支持体32等の図示も省略する。
図6に示すように、実施例1に係るハーネス1が取り付けられた救命胴衣15は、ハーネス1の肩吊具9,9および脚吊具10,10のそれぞれにロープRの先端に連結されたフックFが係止され、4点で吊られる状態となる。ただし、本図では、1つの脚吊具10のみにロープR及びフックFが係止された状態を示しており、残りの肩吊具9と脚吊具10については、ロープR等の図示を省略している。
すると、救命胴衣15の前面固定手段18,18と背面固定手段19(図5参照)により、ハーネス1の前面ベルト3と重複ベルト2A(図5参照)が上方へ過剰にスライド移動することが防止されるため、吊り上げられる際に環状ベルト5,5が要救助者50の股関節部に上昇することが防止される。さらに、脚吊具10,10が設けられることで、常に両大腿部54,54をロープR,Rで吊り上げることが可能となる。よって、要救助者50の姿勢がやや後傾した座位に維持される。
以上説明したように、ハーネス1が取り付けられた救命胴衣15によれば、ハーネス1を装着すると、救命胴衣15も同時に装着されることになるから、迅速な救助が可能になる。
また、要救助者50を上空から吊り上げられる際に、ハーネス1の背面ベルト2,2及び前面ベルト3,3が要救助者50の身体に直接接触しないから、要救助者50の体が締め付けられることがなく、要救助者50に与える負荷を軽減することができる。また、環状ベルト5,5についても、救命胴衣15の前面固定手段18,18と背面固定手段19により、環状ベルト5,5が要救助者50の股関節部に上昇することが防止されるため、要救助者50に与える負荷を軽減することができる。
加えて、ハーネス1の肩吊具9,9および脚吊具10,10の4点で吊られて、要救助者50の姿勢がやや後傾した座位に維持されるため、不安定な姿勢で吊り上げられることがなく、要救助者50に安心感を与えることができる。
特に、上方固定手段28により、肩吊具9が下方へ過剰にスライド移動することを防止できるので、要救助者50の頭部が大きく後傾せず、要救助者50に不快感や頚部の痛み等を感じさせないようにすることが可能である。
なお、本発明に係るハーネス及び救命胴衣は、実施例に示すものに限定されない。例えば、連結ベルト4は、第1のジョイント7を介して、一端2a,2a同士を分離可能に連結しても良い。また、前面固定手段18,18として、前面保持部20と前面ストッパー23の代わりに、前面ベルト3,3が直接前身頃16,16の被覆布16a,16aにそれぞれ縫着されても良い。背面固定手段19についても、背面保持部24と背面ストッパー27の代わりに、重複ベルト2Aが直接後身頃17の被覆布17aにそれぞれ縫着されても良い。さらに、前面ストッパー23及び背面ストッパー27は、それぞれ前面保持部20の上方及び背面保持部24の上方に追加されても良い。なお、本発明に係るハーネス及び救命胴衣は、災害時や事故時の要救助者のほか、高所や立坑等で危険作業に従事する作業従事者に対して適用されても良い。
本発明は、災害時等の要救助者や危険作業に従事する作業従事者が装着するハーネスおよび救命胴衣として利用可能である。
1…ハーネス 2…背面ベルト 2A…重複ベルト 2a…一端 2b…他端 3…前面ベルト 3a…上端 3b…下端 3c…補強ベルト 4…連結ベルト 4a…左右端 5…環状ベルト 5a,5b…分離端 6…接続具 7…第1のジョイント 7a…ジョイント本体 7b…差込プレート 7c…解除レバー 8…第2のジョイント 8a…ジョイント本体 8b…差込プレート 8c…解除レバー 8d…係止部 9…肩吊具 9a…直線部 9b…ローラー 10…脚吊具 11…保持手段 11a…板材 11b…挿通孔 12…形成手段 12a…枠体 12b…連結枠 12c…摘み部 13…アジャスターバックル 13a…枠体 13b…連結枠 14,14´…アジャスターバックル 14a…枠体 14b…連結枠 15…救命胴衣 16…前身頃 16a…被覆布 16b…線ファスナー 16k…留め金具 17…後身頃 17a…被覆布 18…前面固定手段 19…背面固定手段 20…前面保持部 21…前面縫着部 22a…前面ファスナー 23…前面ストッパー 24…背面保持部 25…背面縫着部 26a…背面ファスナー 27…背面ストッパー 28…上方固定手段 29…上方縫着部 30a…上方ファスナー 31…頭部カバー 32…頚部支持体 50…要救助者 51…胸部 52…肩部 53…背部 54…大腿部

Claims (7)

  1. 一端が要救助者の胸部の左右前面にそれぞれ配置されるとともに他端が両肩部及び背部に架け渡されて両大腿部の高さにそれぞれ到達する一対の背面ベルトと、
    上端が前記一端に接続具を介してそれぞれ接続されるとともに下端が前記両大腿部の前記高さにそれぞれ到達する一対の前面ベルトと、
    前記一端同士又は前記上端同士を第1のジョイントを介して分離可能に連結する連結ベルトと、
    前記両大腿部に巻回され、前記他端と前記下端が互いに異なる位置でそれぞれ接続される環状ベルトと、
    一対の前記背面ベルトの途中にそれぞれ取り付けられる一対の肩吊具と、
    一対の前記環状ベルトの途中にそれぞれ取り付けられる一対の脚吊具と、
    一対の前記肩吊具と一対の前記他端の間において間隔を空けて取り付けられ、一対の前記背面ベルトを重ねて1本の重複ベルトとして保持する一対の保持手段を備えることを特徴とするハーネス。
  2. 前記背面ベルトは、その一箇所に上方ループ部を形成するために前記背面ベルトに設けられる形成手段を備え、
    前記肩吊具は、前記上方ループ部に挿通される第1の環状部材であることを特徴とする請求項1に記載のハーネス。
  3. 前記環状ベルトは、その一箇所に下方ループ部が形成され、
    前記脚吊具は、前記下方ループ部に挿通される第2の環状部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のハーネス。
  4. 前記環状ベルトは、第2のジョイントを備え、
    この第2のジョイントは、前記環状ベルトを分離可能に連結することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のハーネス。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のハーネスが取り付けられる救命胴衣であって、
    この救命胴衣は、一対の前身頃と、後身頃を備え、
    前記前身頃は、その表面に前記前面ベルトを固定する前面固定手段が設けられ、
    前記後身頃は、その表面に前記重複ベルトを固定する背面固定手段が設けられることを特徴とする救命胴衣。
  6. 前記前面固定手段は、前記前身頃に固定される前面保持部と、この前面保持部の下方に配置されるように前記前面ベルトに取り付けられる前面ストッパーからなり、
    前記前面保持部は、前記前身頃に縫着される前面縫着部と、この前面縫着部を挟んで両側に設けられ互いに係着する前面ファスナーを備え、前記前面ベルトを前記前身頃に対して移動可能に保持するとともに、前記前面ストッパーを係止可能であり、
    前記背面固定手段は、前記後身頃に固定される背面保持部と、この背面保持部の下方に配置されるように前記重複ベルトに取り付けられる背面ストッパーからなり、
    前記背面保持部は、前記後身頃に縫着される背面縫着部と、この背面縫着部を挟んで両側に設けられ互いに係着する背面ファスナーを備え、前記重複ベルトを前記後身頃に対して移動可能に保持するとともに、前記背面ストッパーを係止可能であることを特徴とする請求項5に記載の救命胴衣。
  7. 前記前身頃は、前記表面に前記背面ベルトを固定する上方固定手段が、前記前面固定手段の上方、かつ前記肩吊具の下方に配置されるように設けられ、
    前記上方固定手段は、前記前身頃に縫着される上方縫着部と、この上方縫着部を挟んで両側に設けられ互いに係着する上方ファスナーを備え、前記背面ベルトを前記前身頃に対して移動可能に保持するとともに、前記肩吊具を係止可能であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の救命胴衣。
JP2018217687A 2018-11-20 2018-11-20 ハーネスおよび救命胴衣 Active JP6796873B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018217687A JP6796873B2 (ja) 2018-11-20 2018-11-20 ハーネスおよび救命胴衣

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018217687A JP6796873B2 (ja) 2018-11-20 2018-11-20 ハーネスおよび救命胴衣

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020081175A JP2020081175A (ja) 2020-06-04
JP6796873B2 true JP6796873B2 (ja) 2020-12-09

Family

ID=70904730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018217687A Active JP6796873B2 (ja) 2018-11-20 2018-11-20 ハーネスおよび救命胴衣

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6796873B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111588163B (zh) * 2020-06-24 2023-07-14 万舟救生装备(东台)有限公司 一种具有便捷和求救功能的腰挂式救援浮力腰包

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4593788A (en) * 1984-02-21 1986-06-10 Larry Miller Rescue apparatus
JPS62200096U (ja) * 1986-06-10 1987-12-19
US20120012421A1 (en) * 2010-07-16 2012-01-19 Kirby Morgan Dive Systems, Inc. Harness and Lift Sling
JP5823916B2 (ja) * 2012-05-30 2015-11-25 藤井電工株式会社 ヘリ救助用の被災者用装着バンド
JP6026693B1 (ja) * 2015-11-25 2016-11-16 有限会社ちふりや工業 救命具

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020081175A (ja) 2020-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1589838B1 (en) Full body harness
US8056675B2 (en) Safety harness
US7490610B2 (en) Fall protection harness
US9988245B2 (en) Multi-purpose emergency services strap
US20120217090A1 (en) Harness with suspension relief seat
US20080245610A1 (en) Personal Emergency Rescue Belt
US11364980B2 (en) Lift vest with webbing to reduce or eliminate vertical sliding
US20060195962A1 (en) Full body harness
US20020042942A1 (en) Suspended extrication harness apparatus having installation assembly
US20120012421A1 (en) Harness and Lift Sling
US20130175118A1 (en) DS-001 Full-Body Safety Harness
US6308335B1 (en) Extrication harness apparatus having suspender assembly
WO2014088603A1 (en) Safety harness, lanyard, hook assembly
JP6796873B2 (ja) ハーネスおよび救命胴衣
US20150060195A1 (en) Harness with Integral Relief Loops for Suspension Trauma
US9492692B2 (en) Attachable arrangement
ES2905439T3 (es) Ropa de protección
US20030146044A1 (en) Sefety harness with support strap
KR20190108876A (ko) 다목적 하네스 일체형 작업복
US20190388716A1 (en) Trauma Relief Strap Assembly for Safety Harness
US5921345A (en) Safety harness
JP5017326B2 (ja) 救助用具
JPS6314994B2 (ja)
KR101522873B1 (ko) 완강기용 구명조끼
JP6864355B2 (ja) ハーネス型安全帯

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201009

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20201009

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20201028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6796873

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250